したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【場】『自由の場』 その1

1『自由の場』:2016/01/18(月) 01:47:01
特定の舞台を用意していない場スレです。
他のスレが埋まっている時など用。
町にありえそうな場所なら、どこでもお好きにどうぞ。

184小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/20(火) 22:44:51

やや暑さも引き始めた初秋の海辺を一人歩く。
真夏の間は大勢の人々で賑わっていた場所も、今では静かなものだ。
どこか遠い瞳で、打ち寄せる白い波を見つめ続ける。

ここに来たのは、単なる散歩のつもりだった。
ただ、海で喪服に黒い帽子――見る人によっては、これから入水でもするかのような、
どこか不穏な雰囲気が漂っているようにも見えるかもしれない。

185朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/20(火) 23:37:37
>>184

 ザァ…と波が引き上げ、下がる。

磯の香りと、共に夏の終わりを告げる肌寒い風が貴方の傍を通り過ぎ
貴方の衣服のように心に去来する悲しみを暗示させるかのようだった。


    ……が。


 「――うおおおおおおおぉぉぉ!!
パワフルっス! パワフルっス!! パワフルっスよぉ〜〜〜〜!!!
 権三郎!! 1…2…3ッ!! パ――ワ――フ――ルゥおおおおぉ!! スッ!!」

 『パゥ〜〜ワゥッッ!!!』

 パワフルっス!! 北風小僧が何のその!!! 秋の風にも負けずに
パワフルに今日も権三郎とランニングっス! ジョギンクっス!!!

 「うぉおおおおおお!!! フンっ! ホ――ーッス!!」

 クルクル シュッ タンッ 

 海辺で同じように歩いてる人を発見!! ならばする事は一つ!!

「どうも!! 良い天気っス!! こんにちわっス!!」

 シャキーンッッ!!

 『パゥ――フッ!!』

 シャ ッキーンッ!

 権三郎と一緒に元気にご挨拶!  パワフルっス! 
何だが悲し気に見えるおねーさんっスけど、パワフルに挨拶すれば
きっとたちまちパワフルに挨拶を返してくれるはずっス!!

186小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/20(火) 23:58:15
>>185

ふと、声が聞こえ、そちらに向き直る。
彼方から、小柄な少女が力強く走ってくるのが見えた。
そして、次の瞬間には、目の前に彼女の姿があった。
それほどの勢いだった。

   「――こんにちは」

頭を下げ、こちらも挨拶を返す。
その表情には、どこか陰りのある微笑をたたえていた。
続いて、少女の傍らにいる犬に目線を合わせる。

   「こんにちは」

言ってから、犬の頭を優しく撫でた。

   「……かわいい犬ね」

自然と頬が緩む。

187朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 00:12:28
>>186

 >――こんにちは

「うんっ! こんにちはっスお姉さんっ!
自分、朝山 佐生と言いますっス! 中学二年生っス!」

 シャッキーンッ!!

 何だがパワフルさに欠ける笑顔っス! こりゃーもう私が
もっと更にパワフルにポーズを決めるしかないっス!

 そして、権三郎もお姉さんに頭を撫でられたっス!

『パゥッ!』シュタッ

「権三郎も、ありがとうっ! って言ってるっス。
ふっふっふ! 権三郎はとっても可愛いだけでなく
とってもとっても頭も良いっス! 例えばっス、権三郎は
算数に関しても、他の犬より一際冴えてるっス! いくっス!!
 権三郎! 100たす19は幾つっスか!?」

 『ワン(1)ッ! ワン(1)ッ!! …キュゥ(9)〜〜ンッ!』

    「――見たかっ  ス!!」

 シャキーンッッ!!

 真顔で、ポージングを決めると共に 天才犬権三郎の神髄を
お姉さんに見せつけるっス! このサイコーのパワフル頭脳には
誰であろうと、太刀打ちできないっス!!!

188小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 00:41:00
>>187

   「はじめまして、朝山さん。私は小石川――小石川文子よ。」

そして、目の前では、先程から少女が活発に動き回っている。
『とても元気な子』というのが第一印象だった。
まるで真夏の太陽を思わせる眩しさだ。
その言動から、自分とは正反対といった感じを受けた。
こういった溌剌とした姿を見ていると、こちらも元気を分けてもらえる気がする。

       パチパチパチパチ

   「――本当にとっても賢いのね。凄いわ」

権三郎の見せた芸に素直に感心し、拍手で応じる。
どのようなものであれ、両者の間で意思疎通ができていなければ、芸はこなせない。
それができるということは、やはり賢いということなのだろう。

   「それに、とっても仲がいいのね。なんだか羨ましいわ」

意思疎通を行うためには、お互いの心が通じ合っていなければならない。
この一人と一匹の間には、確かな絆が感じられる。
不意に、自分にも、そんな相手がいたことを思い出す。
一瞬、表情に陰が差したようだった。

189朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 19:27:15
>>188

悪の首領並び、パワフルな少女朝山は褒められて鼻高たかだ!

 「ふっふっふ! 権三郎は生まれた頃からずっと私と
一緒なんっス! 一緒に御飯を食べて、そして一緒に眠った頃もあるっス!
今でも冬とかは一緒に寝るっス! あんまり、布団で一緒に寝るのは
お行儀よくないから、他の季節では犬小屋で寝るっスけどね」

「だけど、そう言う事を抜きにしても権三郎と私の絆は鉄よりも固いんっス!
パワフルっス! うおおおおぉぉ!! 権三郎!! 大好きっスぅぅぅうう!!」

 ごろごろごろごろごろっ!!

 『パァァアゥゥウッ!!』ゴロゴロゴロ!!

 権三郎に抱き着いて、地面をゴロゴロするっス! 権三郎もパワフルにゴロゴロっス!

砂がいっぱい体にくっつくけどパワフルの前にそんなのは無問題なんっス!!

 ―ピタ。

 と、ゴロゴロと砂浜を転がるのを止めて、起き上がるっス。

「……大丈夫っスか? なんか、おねーさん辛そうっス」

そう、朝山は野生の勘なのか小石川を真顔で見つめて言った。

「あっ! お腹が痛いとかなら権三郎を抱いてみるといいっス!
 あったかいから、多分お腹のズキズキにも効くっスよ!
私も食べ過ぎた時、権三郎をぎゅーっと抱きしめると苦しいのが薄れてくるっス!」

 何だか、目の前のおねーさんが少し痛そうな顔をしてたのを見逃さなかったっス!
きっとお腹が痛かったりとかしてるっス! 悪の首領の目は誤魔化されないっス!
 正露丸とかないけど、そー言う時は権三郎をぎゅっと抱き着くと痛いのも薄れるっス!

 権三郎を抱きかかえて、おねーさんのお腹の場所に近づけさせてあげるっス。
権三郎も、優しい奴っスから。痛がってる人にはちゃんと大人しく抱きしめられるっス!!

190小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 21:56:33
>>189

   「――ありがとう。……いい子ね」

権三郎を受け取り、両手で抱きかかえる。
無垢な温かさに、胸の中にある痛みが引いていくようだった。
顔の上に差した陰も、徐々に和らいでいく。
しばらく触れ合ったのち、権三郎を地面に下ろした。
その表情は、いくらか明るくなっている。

   「本当はね、身体が悪いわけじゃないのよ」

   「私にも、あなた達のように一緒にいた人がいたんだけど……お別れしちゃったの」

   「それで……少し寂しくなってたんだと思うわ……」

そう言って、海の方を見つめる。
まるで、その先に別れた相手がいるかのように。
やがて、再び一人と一匹の方へ顔を向けた。

   「でも、ありがとう。朝山さんと権三郎のおかげで、元気になれたから」

最初に見た時と比べると、少し明るくなった微笑が、その顔に浮かぶ。

191朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 22:22:15
>>190

>あなた達のように一緒にいた人がいたんだけど……お別れしちゃったの

「ふ〜む、そうなんっスか。遠いところなんっスか? ブラジルとかだと
日本に戻ってくるのも大変っスよねぇ……」

 『パゥーゥ……』

 小石川おねーさんが海を見てるので、こっちも背伸びをして海を見るっス。
権三郎も私と一緒に首を伸ばして海を見てるっス。まぁ、誰かが海から来る事はないっスけども。

 朝山 佐生には、隣の彼女がどのような悲しい離別を体験したかは露とも知らない。
だから、発言通りに海の向こう側の外国にでも行ったのだろうと思った。

>朝山さんと権三郎のおかげで、元気になれたから

 「ふっふっふっ! こんな事で良ければ何時だって私は
小石川おねーさんの為に権三郎をっ、手を貸してあげるっスよ!」

 シャキーンッ!

 「私はいっつもパワフルっス! 海は綺麗だし見てるとすっごく
パワフルになれるっス! そして、今日は小石川おねーさんとも
出会えたっス。  むむっ!? ちょっと待って欲しいっス…いま、私は凄く重要な事に気づいたっス」

 両目の端のくぼみに、両手の人さし指を当てるっス。そして二秒ほどして
パンパカパーン! と両手を上げるっス。そうっス! これは気づかなかったっス!

「いま、私は気づいたっス! 我が愛犬にして相棒かつ無二の家族である権三郎は
小石川おねーさんに抱き上げ、抱き上げられた関係になったっス。
 そして私もたびたび権三郎を抱きしめ、抱きしめられる関係っス。
 ―つまり、こりゃーもう小石川おねーさんと私は友達の関係に収まったと言う事っス!
大発見っス! 私と小石川おねーさんは友達のようだっス!
 おお! 改めて友よ!! 友達の悩みは私の悩みっス! もし今が悩みあるならば
この朝山 佐生に話してみるといいっス。何でも解決してあげるっス!」

 シャキ シャキーンッ!

 どうやら、貴方と朝山は既に友達のようだっ!
悪のポーズと共に、貴方の悩みを聞く準備を整わせている。

192小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 22:59:44
>>191

   「ありがとう……。朝山さんと友達になれて、とても嬉しいわ」

それは、単なる社交辞令などではなく、心からの言葉だった。
失った絆を取り戻すことはできない。
しかし、新しい繋がりを作っていくことはできる。
それが自分の心の傷を癒し、生きる糧ともなってくれる。
生き続ける道を選んだ今の自分にとっては、それが何よりも大切なことだ。

   「そうだわ……。友達の記念に――」

   「これをどうぞ」

バッグから取り出したのは、ガラスの小瓶だった。
その中には、ドライフラワーとなったラベンダーの花が詰っている。
蓋を開ければ、芳しい香りが周囲に漂うだろう。

   「いつも持ち歩いているのよ。この香りがあると、気持ちが落ち着くから……」

小瓶を差し出して、にこりと微笑む。

   「悩み……。そうね……。実は凄く悩んでいることがあるの……」

そう言って、深刻そうな表情をしてみせる。
そして、おもむろに口を開いた。

   「今夜の夕食のメニューが決まらないの……。
   これから買い物に行こうと思うんだけど、何を買えばいいか……。
   良かったら、一緒に考えてもらえないかしら?」

自分の心に纏わりつく死の衝動――それを打ち明けるには、彼女は純粋すぎる。
そう思い、考え出した悩みが、これだった。
実際、メニューが決まらずにいたのは事実であり、嘘ではなかった。

193朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 23:17:50
>>192(かしこまりました。では、此処らへんで自分は〆させて頂きます。
お付き合い有難う御座いました)

 「わぁ! 有難うっス! ん――ッ! とっても良い香りっス!!
いつも枕元に置いて眠る事にするっス! 小石川おねーさん有難うっス!
今日は良い夢が見れそうっス! 今度会った時、私も素敵なプレゼントあげるっス!」

 小瓶を大事に持って、跳ねつつお礼を言うっス!
ラベンダーの胸がすーって癒されるような香りが素敵っス! パワフルっス!!

 「今日の夕飯のメニューっスか!
ふふんっ! ならば私が良い魚屋で秋刀魚を安く勉強して貰うようにしてあげるっス!
 あと良い秋ナスと柿が売ってる所も知ってるっス! 秋刀魚を焼いて
ナスを焼くか浸して、柿を切ってサラダにすると美味しいっスよ!
 それじゃー レッズ ラ ゴ―ッ ス!!」

 『パァ〜ウゥッ!』

 朝山の無垢さに、大人の彼女はあえて深い部分の傷を出す事はなかった。
それは、きっと今日の出逢いの中では賢良な考えであっただろう。

 貴方を導くように、駆け足で朝山は貴方を置いていかない速度で走る。

 きっと、今もその先も 朝山は明るい世界が広がってると信じてるから。

194小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 23:38:49
>>193

   「力になってくれてありがとう。とっても助かるわ」

砂浜を踏みしめて、少女の後に続く。
きっと、本当に人を幸せにできるのは、彼女のような人間なのだろう。
実際、今の自分がそうなのだから。
願わくば、彼女――朝山佐生には、いつまでもその輝きを失わないで欲しい。
少女の背中を追いながら、そんなことを考えていた。

     ザァァァ……

                 ザァァァ……

波が寄せては引いていく。
いつも通りの変わらない光景。
しかし、今は、立ち去っていく二人と一匹を見送っているようにも思えた――。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板