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「あなたは昔から男の子だよ?」√ミア

1名無しさん@転載は禁止:2022/04/17(日) 00:22:10 ID:kY4V8VBY
春。
出会いと別れの季節、春。

それはここ、虹ヶ咲学園にも当然訪れる。
三年生は卒業して、新入生が新たに加わる。

それは今までもあったことだし、今更戸惑うこともない。

たった一つだけ、あることを除けば。

歩夢「──どうしたの? 今日は朝からなんだか調子が悪そうだけど……」

侑「あ、あぁ……いや、なんでもないよ、歩夢」

歩夢「ならいいんだけど……何か困ってることとか、悩みごとがあったら、なんでも相談してね!」

幼馴染みの上原歩夢。
自分で言うのもなんだけど、可愛い女の子だと思う。そんな子が幼馴染みだと……羨ましがられるんだ。

そう──特に、今は。

歩夢「そういえば、今日は身体測定があるんだって。『女子』は更衣室使うみたいだけど、間違って入っちゃだめだよ〜」

自分が──女の子から、男の子に変わってしまっている今は。

☆☆☆

侑「はぁ〜〜〜なにがなんだか……」

まさか眠りから覚めたら男の子になっちゃってるなんて……いや、わけわかんないよ。
わけわかんないけど、仕方ないから順応する。

わかっていることは、歩夢とは変わらず幼馴染みであること、自分のことは僕と呼ぶ事、そして一番驚いたのは、ここではスクールアイドル同好会が存在しないこと。

スクールアイドルという文化自体はあるようだけど……。

先生「はい、身長169センチ、体重は57キロね」

侑「ご、57……」

先生「ん? どうしたの?」

侑「いえ……」

女の子の体のときを、かんがえるとちょっとショックだったけど、別にこれくらいが普通、というかちょっと軽いらしい。

むしろ身長はもう少し欲しいくらいだね、なんて言われた。

(むしろ、視線が高くなって変な感じ)

まさか歩夢を見下ろす日が来るとは思わなかった。

(でも、なにはともあれ、だよね)

どんな理屈、ファンタジーで私が男の子になってしまったのかはわからないけど、普通に日常を送らないと。

もしかしたら、そのうち元に戻れるかも……しれないし。

「え〜と、となると気を付けないといけないことは……」

うっかり女子トイレにはいらない、男子のちんちん見えても動揺しない、僕っていうこと、男の子っぽく過ごすこと。

2名無しさん@転載は禁止:2022/04/17(日) 00:24:58 ID:kY4V8VBY
一先ずミア√からです。
歩夢の登場はほぼないです。振られるシーンもないです。

3名無しさん@転載は禁止:2022/04/17(日) 03:36:59 ID:DwdS4gMY
時系列的には歩夢√までの間かな?
ようやく掴んだ幸せの後にまたループだと流石に壊れそう

4名無しさん@転載は禁止:2022/04/17(日) 23:15:47 ID:kY4V8VBY
得には考えていませんでしたが、それが一番ですね。
歩夢√が最後ということにしたいですし。

5名無しさん@転載は禁止:2022/04/17(日) 23:28:27 ID:kY4V8VBY
★★★

ミア「はぁ……」

ボクはため息をつく。
この虹ヶ咲学園は退屈だからだ。
刺激もなく、あくびのでるカリキュラム。

高校になんて今更行ったところで、特に意味はないと思うのだけれど。

ミア「ボクもお人好しだな、作曲だけならわざわざ日本に来ることもなかったかな……」

6名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 04:15:50 ID:ZPhhdiSU
ミア(まぁいいさ。来年には卒業だ。その時が来たらとっとと帰るだけ……)

ボクを退屈させない何かがあるなら話は別だけど、そんなこともないだろう。

ミア「ん……」

音楽室から聞こえてくるピアノの演奏。

7名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 04:57:28 ID:ZPhhdiSU
ミア(誰かが引いてるのか……)

何とはなしに、それに耳を傾けてみた。
 
ミア「……これは」

★★★

ピアノを見つけたとき、私は何気なく座りその指を踊らせていた。

というより、まぁ引きたいから引いていただけ。
だけ、なんだけど……。

侑「わぁ、なんか今のすごい良いの引けたな……」

頭の中で思いついただけのメロディーを引いてみると、自分でもグッと来てしまうくらいのものが出来てしまった。

侑「う〜ん、でも好きなように引いただけだしな……」

8名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 05:18:55 ID:ZPhhdiSU
けれど、そうじゃない。
このときの私は知らなかった。

人の感情、涙腺を刺激する必殺のメロディーラインを作り上げるのは、天才や名だたる作曲家でもなく。

ただの素人が偶然産み出すこともあるのだと。

ミア「キミ、どこかで作曲したことある?」

侑「へ?」

……誰だろう。
パッと見、歳下だけど……でもリボンの色は3年生だった。

9名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 05:45:44 ID:ZPhhdiSU
ミア「あぁ、ごめんね。ボクはミア。ミア・テイラー」

侑「ミア、ちゃん……」

ミア「ちゃん? ……ボクの方が先輩なんだよ」

侑「あっ、そっか……」

ミア・テイラー……外国人ってことか。
だから、というわけじゃないけれど、幼くは見えるが美人だと思った。

ミア「で、質問なんだけど」

侑「えっ、あぁ……いや、初めてです」

10名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 05:46:27 ID:ZPhhdiSU
自分の信じる歳下先輩を書きます。
また次回。

11名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 17:20:18 ID:ZPhhdiSU
ミア「初めて? へぇ……」

私がそう答えると、ミアちゃんは──胸の内ならいいよね──面白いものを見つけたという顔をした。
 
ミア「いいね、キミ。名前は?」

侑「高咲侑、です」

ミア「別に敬語じゃなくていいよ。それより、今のもっと聴かせてよ」

今の、というとやっぱりさっきの演奏の事か。
でも好きなように引いただけだから、特に決まったものがあるわけではないから。

いざ引き直そうとしても、最初とは少し違うテイストになる。

けれどミアちゃんはそれも気に入ったようだ。

12名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 17:34:57 ID:ZPhhdiSU
ミア「良いセンスだね。」

13名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 17:55:07 ID:ZPhhdiSU
ミア「良いセンスだね」

侑「ありがとう」

ミアちゃん……そういえば聞いたことがある。
世界的に有名なテイラー家の一員だとか。

そんな子に褒めてもらえるなんて。

侑「ミア……さんはどうして虹ヶ咲学園に?」

ミア「連れてこられただけ。あやうく中学に行くところだったけど、飛び級制度があってよかったよ」

14名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 18:38:40 ID:ZPhhdiSU
また明日再開。

15名無しさん@転載は禁止:2022/04/18(月) 22:54:29 ID:sdS0vYZg
3話見てゆうミアの想像色々捗ったけどこっちはどうなるかな

16名無しさん@転載は禁止:2022/04/19(火) 08:33:22 ID:MJj9d3q6
侑「え? 中学?」

ミア「14歳だからね」

侑「14歳!?」

そう言われれば、その年齢に伴った幼さも見える気がするけれど、そこは外国の血のおかげか、逆に年齢よりも大人びて見える。

ミア「音楽科?」

侑「いや、僕は……普通科」

ミア「音楽科に来なよ。キミのこと、もう少し知りたいな」

侑「……でも、さっきのはたまたまだよ? いつでもいい演奏ができるわけじゃ……」

ミア「たまたまだろうと、引けない人はずっと引けないんだから自信持ちなよ」

17名無しさん@転載は禁止:2022/04/19(火) 08:42:20 ID:MJj9d3q6
今回相当性癖が出るかもしれません。

18名無しさん@転載は禁止:2022/04/19(火) 12:26:04 ID:YBqvvTzA
弾く、ね

19名無しさん@転載は禁止:2022/04/19(火) 12:56:23 ID:zBatkMNw
歩夢√でもかなり性癖出てる感じだったけどまだまだ抑えてたのか

20名無しさん@転載は禁止:2022/04/19(火) 18:04:03 ID:MJj9d3q6
侑「そう、なのかな」

ミア「そうさ。ボクの暇つぶしのためにも、ね」

ミア「だめかな?」

その部分だけを聞けば、結構な我儘というか。
無理にそれを聞いて転科する必要はないのだろうけど。

でも私は。
それも面白いかも、なんて思ってしまった。

21名無しさん@転載は禁止:2022/04/19(火) 18:57:12 ID:MJj9d3q6
不思議な雰囲気の娘だった。
私はそれに飲まれたのかもしれない。

そうして私は、歳下の先輩……ミアちゃんのお誘いに乗り音楽科へ転科した。

★★★

ミア「やぁベイビーちゃん、来てくれたんだね」

22名無しさん@転載は禁止:2022/04/19(火) 18:57:27 ID:MJj9d3q6
また明日に。

23名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 07:55:13 ID:5T1LuPdM
侑「先輩の頼みはね。聞かないと」

ミア「良い子だね」

ミアちゃんの印象は、クールな自信家、だった。
実際、その自信に見合った力はあるのだろうけれど。

侑「でも、どうして僕を誘ったの?」

ミア「言ったはずだよ? 面白そうだったからさ」

ミアちゃんにとって、高校の授業は退屈のようで、刺激を求めていたらしい。

ミア「悔しいけど、あのとき聴こえたものはいいな、って思ったからさ。ここに来てからは初めての事だった」

24名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 16:20:41 ID:LGiX6m8k
うひょーたまんねえー!(14歳とセックスはまずいですよ!)

25名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 17:05:52 ID:5T1LuPdM
侑「……でもすごいね。見ず知らずの、それも男子に声をかけて」

ミア「ふふ、ボクにとっては皆ベイビーちゃんさ」

まぁ確かに、大学も経験しているミアちゃんからすればそうなのかな。

まだ14歳なのにね。
どんな頭脳してるんだろう……。

侑「休みの日とかは何してるの?」

ミア「作曲活動、それとベースボールの観戦かな」

侑「ベースボール……野球、好きなの?」

そう問うと、ミアちゃんの表情が変わった。

ミア「ふふ……」

★★★

ミア「……ということでね、それで……」

熱くなって話し込んでいた。
ミアちゃん、野球が本当に好きみたいだ。

26名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 17:26:02 ID:5T1LuPdM
ミア「おっと、もうこんな時間かぁ……」

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
ミアちゃんは背伸びをして体をほぐす。

ミア「他の女子は詳しくなくてね」

侑「男子なら話せる人もいるんじゃないの?」

ミア「やだよ、わざわざ男子とだなんて」

侑「??? 僕は?」

27名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 17:43:29 ID:5T1LuPdM
ミア「キミはまた別だよ」

侑「そっかぁ……そういうものかぁ」

よくわからない特別扱いだった。
けどまぁ、悪い気はしなかった。

★★★

侑「で、キャッチボールと」

ミア「話してたら気分が上がってね。付き合ってくれる?」  

侑「まぁいいけどね」

28名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 17:56:45 ID:5T1LuPdM
放課後、近場の公園でミアちゃんとキャッチボール。

ミア「良い肩してるね」

侑「そっちもね」

キャッチボールなんて久しぶりにした。

侑「観に行くこともあるの?」

ミア

29名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 17:59:35 ID:5T1LuPdM
ミア「of course。テレビでみるのもいいけど、実際にあの熱気を感じるのも最高だ」

ミア「ライブみたいなものさ。直接エネルギーをもらえる」

30名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 17:59:59 ID:5T1LuPdM
また明日に。

31名無しさん@転載は禁止:2022/04/20(水) 23:48:33 ID:Rva.Q9XU
年下の先輩に良いように弄ばれる
って良いんじゃない?

32名無しさん@転載は禁止:2022/04/21(木) 07:58:00 ID:A1jqNeq2
わからせ系になるかと。

33名無しさん@転載は禁止:2022/04/21(木) 17:57:10 ID:A1jqNeq2
侑「ライブみたいなもの……」

確かに、それはわかるかも。
熱気の伝わるパフォーマンス、応援する側の一体感。

あの感覚は、たしかに画面越しだけじゃ満足できないかも。

侑「それは確かにわかるかも」

ミア「だろう? 機会があれば、一緒に観戦しにいくかい?」

まだ出会って間もないけれど、結構グイグイ来るな。
全然いいんだけどね。

34名無しさん@転載は禁止:2022/04/22(金) 02:46:19 ID:NV276UnI
わからせ系… ゾクゾクしますな

35名無しさん@転載は禁止:2022/04/22(金) 16:46:45 ID:muoHT6OU
しばらくキャッチボールをして、日が暮れる頃。

ミア「そろそろ帰ろうかな。十分楽しんだしね」

ミアちゃんはグローブを回収して帰っていった。

ミアちゃんは日本では一人暮らしらしい。
結構いい部屋とのこと。

侑「というか14歳って一人暮らしとかできるのか……まぁ良いならいいのかな」

36名無しさん@転載は禁止:2022/04/22(金) 17:47:55 ID:muoHT6OU
★★★

自宅にて新たな作曲活動。
しかしどうにも上手くいかない。

ミア「引っかかるんだ、やっぱりあれが……」

音楽室で見た、聴いた、短いながらも侑の演奏。
ボクには出来ないものだった。

ミア「どうしてかな、あの姿が忘れられないのは……」

★★★

ミア・テイラー、14歳。
無自覚の一目惚れだったが、それに気付くのはまだ先の話。

37名無しさん@転載は禁止:2022/04/22(金) 17:54:16 ID:muoHT6OU
明日夜再開。

38名無しさん@転載は禁止:2022/04/23(土) 04:27:10 ID:.VmRyoDo
一目惚れミアちゃん可愛い

39名無しさん@転載は禁止:2022/04/24(日) 23:10:27 ID:Y1uJdVJs
★★★

ミアちゃんと出会ってから既に2ヶ月が経っていた。
変わらず良好な友人関係を保っている。

というより、ちょっと生意気な従兄妹と遊んでいるようなものか。

でもまだ一緒に出掛けたりだとかはない。

ミア「侑、今週の休日はなにか予定はある?」

侑「特にはないよ。どうしたの?」

ミア「実はベースボールの試合の観戦チケットをね、『間違えて』2枚購入してしまってね。もし侑も興味があれば、どうかなって」

侑「お、いいね。それなら同行させてもらおうかな」

40名無しさん@転載は禁止:2022/04/24(日) 23:21:06 ID:Y1uJdVJs
本当は、間違えたわけじゃない。
普通に誘おうと思っていたけれど、なぜだかそう出来なかった。

素直に、一緒に行きたいから行こうとは言い出せなかった。

そう言葉にして、侑に直接伝える場面を想像すると、口が閉ざされてしまった。

ミア(なんでだろう。一応男子だから、緊張したのかな)

そう理由づけて、ボクは侑との約束を取り付けた。

41名無しさん@転載は禁止:2022/04/24(日) 23:30:28 ID:Y1uJdVJs
★★★

侑「やっほー、いい観戦日和だね」

ミア「時期が時期だから雨じゃなくてよかったよ」

ミアちゃんはスポーティなファッションにキャップを被っていた。

侑「楽しみだね」

ミア「ボクもさ。何度来てもいいものだからね……」

42名無しさん@転載は禁止:2022/04/24(日) 23:31:32 ID:Y1uJdVJs
早くミア個人回が来てほしいです。
また明日に。

43名無しさん@転載は禁止:2022/04/25(月) 22:04:01 ID:4O8saVqA
14歳で高2の彼氏がいてヤリまくり(の予定)
こう書くとすごくエロい子に思えてくる

44名無しさん@転載は禁止:2022/04/27(水) 00:30:30 ID:cc2AeM2U
明日再開。
展開早めになりそうです。
ミアは付き合ってからを書きたい気持ちが強いです。

45名無しさん@転載は禁止:2022/04/27(水) 23:51:42 ID:cc2AeM2U
侑「ん……あれ、それ」

ミア「ふふ……」

観客席に座るとミアちゃんはそれを取り出した。

侑「グローブ?」

ミア「そうだよ。だってホームランボール、欲しいからね」

グローブをはめてニギニギと。

侑「……そうだね。ここまでかっ飛ばしてくれたら嬉しいね」

なんだか娘を連れてきたお父さんの気分だ。

46名無しさん@転載は禁止:2022/04/28(木) 00:05:41 ID:xWkoOr9I
★★★

ミア「いけっー! そこだー! かっとばせー!」

侑「かっとばせー!」

ミア「声が小さい! それじゃ選手に届かない!」

侑「かっとばせー!!」

ミア「ユ・タ・カっー!」

★★★

侑「いやぁ……いい試合だったね」

ミア「Excellent! やっぱりベースボールは最後の最後までわからない……勝利の女神が微笑むのもね」

47名無しさん@転載は禁止:2022/04/28(木) 00:15:31 ID:xWkoOr9I
9回裏、さよならホームラン。
さすがにホームランボールは取れなかったけれど。

ミア「今日はいい日だったよ! また良かったら一緒に……」

侑「もちろん。また一緒に観戦しに来よう」

ミアちゃんの住むマンションの前で解散。

★★★

ミア「ふう……楽しかった」

部屋に入るなり、そうつぶやいた。
まるで再確認、誰かに聞かせるように。

一人、しんとした部屋の中で。

48名無しさん@転載は禁止:2022/04/28(木) 00:17:11 ID:xWkoOr9I
ミア「……楽しかった、から、だ」

誰もいない部屋で、返事が帰ってこないことが。
寂しいと、感じるのは。

ミア「今さらなにいってるんだか……」

けれども、頭の中では侑の顔が浮かぶ。

ミア「……」

49名無しさん@転載は禁止:2022/04/29(金) 08:00:52 ID:oMsohcWA
大人びてても14歳だし寂しくて当然だよね

50名無しさん@転載は禁止:2022/04/30(土) 01:16:31 ID:/tUAwIu2
こんなこと初めてだ。
人間関係なんて煩わしいと思っていた。

……いや、違うか。
そうじゃない、ボクが気にしていたのは。

ボクの事を、ただの女子として扱ってくれたこと。

テイラーの名前が、そうさせてこなかったから。

ミア「日本で、最初の異性の友人か……」

51名無しさん@転載は禁止:2022/04/30(土) 01:36:36 ID:/tUAwIu2
★★★

侑「もうこの季節は暑いよね〜……海かプールにでも行きたいよ」

ミア「プール……プールか」

ミアちゃんは何かを思い出そうと、人差し指をこめかみに。
そしてすぐに「あぁ」とひらめく。

ミア「それなら、いいところがあるよ」

★★★

そのいいところとは。

侑「ここは?」

ミア「別荘。二人でなら広すぎるくらいのプールがある、ね」

52名無しさん@転載は禁止:2022/04/30(土) 22:38:31 ID:/tUAwIu2
侑「うへぇ〜、さすがにお金持ちなんだ」

ミア「ボクがすごいわけじゃないよ。……とりあえず、遊ぶのなら着替えおいでよ」

★★★

ミアちゃんに言われた通り、着替えてプールサイドに。

侑「テレビで見る、芸能人の所有してるやつみたいだなあ」

実際そんなものか。

ミア「おまたせ」

ミアちゃんも水着に着替えてやってきた。
真っ白な、独特な形のビキニ。

侑「……」

ミア「ん? どうしたの、そんなジロジロと」

侑「あぁいや……」

14歳のスタイルじゃない気が……。

53名無しさん@転載は禁止:2022/04/30(土) 23:16:08 ID:/tUAwIu2
侑「可愛い水着だなぁ、って……」

正直にスタイルが良いと思った、なんて言えない。

ミア「当然だよ、それに見合うようにプロポーションを整えてるんだから」

侑「あ……やっぱり普段から何かしてるんだ」

ミア「自己鍛錬は大切だからね。自己肯定感の向上にも繋がる」

54名無しさん@転載は禁止:2022/04/30(土) 23:40:01 ID:jBg05FdU
年上の男の子を別荘に連れ込むとかさすがアメリカンは進んでるぜ

55名無しさん@転載は禁止:2022/05/01(日) 17:45:16 ID:nvg/tQSE
ミア「ま、そんな話も後にしようよ」

侑「そうだね、よ〜し遊ぶぞー!」

★★★

泳いで勝負したり、浮き輪に浮かんで空を眺めたり。

侑「ふう、ちょっとトイレかりるね」

ミア「中入って、すぐ右手側にあるよ」

侑が一旦トイレへ向かう。

ボクは体の力を抜き、水面に浮いていた。
ふと、思う。

ミア(なんでボク、別荘に呼び出してるんだろう)

大人しくレジャー施設のプールにでも行けばいいのに。

56名無しさん@転載は禁止:2022/05/01(日) 18:03:53 ID:nvg/tQSE
ミア「まぁ、別にいっか」

体制を変えようと

57名無しさん@転載は禁止:2022/05/01(日) 18:15:29 ID:nvg/tQSE
ミア「まぁ、別にいっか」

体制を変えようと力を入れる。
けどその加減がおかしかったのか、両足が攣ってしまった。

ミア「わ、わ、わ……!」

体が沈んでいく。
ばしゃばしゃと水しぶきをあげながら。

ミア「ゆっ、侑っー!」

このプールは深めに作られている。
不自由な体では、溺れるのには十分だ……。

ミア「がぽっ……」

★★★

侑「──ミアちゃん!」

名前を呼ぶ声がしたから、急いで駆けつければミアちゃんが沈んでいっていた。

私もプールに飛び込む。

58名無しさん@転載は禁止:2022/05/01(日) 18:40:46 ID:nvg/tQSE
どれくらい水中にいたんだ、声をかけても返事をしないミアちゃんを抱きかかえて這い上がる。

侑「息してない……」

とにかくがむしゃらだった。
救急車を呼ぶだとかよりもまず。
どうにかして、ミアちゃんを助けたい一心で。

ごめん、後でいくらでも文句言ってくれていいから──

★★★

……朧げとも呼べない薄い意識。
意識があるのかないのか、よくわからないくらいだった。

ミア「っ、げほっ、げほっ……!」

侑「ミアちゃん!」

酸素が入ってきて肺が喜んでいる。
生きている事を実感する。

59名無しさん@転載は禁止:2022/05/01(日) 18:51:41 ID:nvg/tQSE
ミア「ぁ、れ、ボク……」

侑「溺れてたんだよ、それで意識を失ってて……」

ミア「そ、そっか……侑が助けてくれたんだ」

ミア(……あれ、でも)

唇に、少し違和感。
プールの水とも違う湿り。

侑「……」

ミア「……」

60名無しさん@転載は禁止:2022/05/01(日) 23:46:03 ID:nvg/tQSE
ミア「……した?」

侑「い、いやまぁ、緊急事態だったし、あくまで人命救助のためだから……」

馬鹿だな。
そんな事はわかってるのに、聞いてしまうボクは。

ミア「……なんてね。むしろ迷わずに助けてくれてありがとう」

そもそも人工呼吸をキスにカウントすることもおかしいだろう。

61名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 00:00:24 ID:.DjW0U5I
それにボクは意識がなかったんだ。
変な意識をすることはないだろう……だけど……。

侑「……」

★★★

鼻を閉じ、顎を支えて。

侑「ん……」

呼吸を送る。
初めての人工呼吸。

本当にこれであっているのか、不安になりながらも続けた。

その時は何も感じていなかった。
だけどミアちゃんが目を覚まして、安心してしまうと。

唇が柔らかかった、なんて考えてしまった。

62名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 00:10:06 ID:.DjW0U5I
侑(何を考えているんだ私は……相手は歳下、14歳だよ……)

3つしか変わらないかもしれないけれど、高2と中2と書けば……うぅん、どうなんだ?

……案外これ、難しい話じゃない?

ロリコン扱いされるんじゃ……いやそもそも何の話だ。

侑「と、とにかく……気をつけようね」

ミア「……うん」

63名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 00:31:17 ID:.DjW0U5I
★★★

その後、少しギクシャクしながらも遊びを再開した。
くたくたになって疲れたけれど、夕日が沈む水平線が綺麗だったから。

それは疲れじゃなくて、達成感のようなものだ。

侑「……」

ミア「どうしたんだい、そんなに呆けた顔をして」

侑「いや……楽しかったけど、ここから家まで帰るのはしんどいなぁと」

そこそこ距離あるし。

ミア「なら泊まっていけばいいじゃないか」

侑「へ?」

64名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 00:49:47 ID:.DjW0U5I
★★★

侑(なんだろう、この状況……)

なんでいきなり泊まることになってるんだろ。
シャワーにうたれながら、ぱさついた髪を洗い流す。

侑「……」

めちゃめちゃ意識してるじゃん、私。
なんでこんなに……。

侑(これも、体が男の子になったことの弊害なのかな……)

とにかく平然を装いつつ、この夜を越えよう。

★★★

侑「ぬおぉ、なんて豪快なステーキ」

ミア「ステイツじゃ普通だよ」

65名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 01:13:58 ID:.DjW0U5I
豪快に塩コショウで味付けされたステーキ。
付け合せの人参のグラッセ、ウェッジカットのポテト。

……ミアちゃんが?

ミア「これくらい一度覚えれば出来るよ。それより食べよう、せっかくの作りたてだから」

ミアちゃんお手製のステーキにかぶりつく。
ぶりんと噛みちぎれて、心地よい噛みごたえ。

侑「うまうま」

ミア「当然だよ、ボクが焼いたんだから」

66名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 01:16:01 ID:.DjW0U5I
今回はここまで。
次回添い寝です。

また明日。

67名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 01:21:48 ID:3kE0t1DI
LLD最新号のおさげのミアがとても可愛かったので何かのネタになれば

68名無しさん@転載は禁止:2022/05/02(月) 01:26:29 ID:mYK7jKDk
添い寝すき

69名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 00:09:42 ID:sftJQ2nw
豪快なステーキを豪快にいただき、お腹も満たされて満足だった。

侑「そういえば、着替えありがとうね」

ミア「たまたま来客用のものがあって良かったよ」

さて、ご飯もお風呂も終えてしまった。

70名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 00:20:29 ID:sftJQ2nw
寝るにはまだ少し早い気もするけれど、昼間に目一杯遊んだ疲れからか、まぶたがうつらうつらと閉じかける。

ミア「おねむかい、ベイビーちゃん」

侑「ふぁ……そうだね、ちょっと眠いかな」

ミア「向こうの部屋にベッドが用意されてるから、そこを使って」

侑「ありがとう。……えっと」

少し、照れくさくなりながら。

侑「おやすみ」

ミア「Good night、侑」

★★★

71名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 00:41:04 ID:sftJQ2nw
いつもと違うベッド。
いつもと違う環境、だからというわけじゃないけれど。

眠気はあるけど、うまく眠ることが出来ない。

侑「……」

人命救助のため。
人工呼吸だから、それをキスとカウントすることは違う……それはその通りだ。

侑「……ん?」

コンコン、とノックの音。

誰──なんて、一人しかいない。

ミア「まだ、起きてる?」

72名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 01:04:57 ID:sftJQ2nw
侑「ミアちゃん?」

ミア「もう普通にちゃん付けだね。まぁいいけど」

ミアちゃんは枕を持ってそこに立っていた。

ミア「あの……その」

★★★

無理だ。
『寂しいから一緒に寝てほしい』だなんて、プライドが許さない。

ミア(でも……)

侑「……そっか。じゃ、こっちおいで」

ミア「へ?」

自身の隣をぽんぽんと手でならす。

ミア「な、なにを……」

侑「え? だって、今寂しいから一緒に寝てほしいって……」

こ、声に出てた!?

73名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 01:14:06 ID:sftJQ2nw
ぐぁぁっと首から上が熱くなる。

ミア「ち、ちがくて……ボクはただ……」

侑「?」

ミア「さ、寂しいからだなんてそんなわけないだろ! ボクは、ボクはただ……そう! 眠るときは抱きまくらがないと眠れないんだ!」

侑「だ、抱きまくら?」

74名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 01:25:03 ID:sftJQ2nw
ミア「ぅ……そ、そうだよ。だから今日は仕方なく、侑を抱きまくらにしようとね!?」

我ながら、とんでもない事を言っている。

侑「そ、そっか……まぁそういうことなら……」

★★★

同じベッドに二人で潜り込む。

ミア(あぁ、ボクはなにをしてるんだろう──)

侑に抱きついている、と言うよりも。
添い寝をされている方が正しいか……。

75名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 01:41:05 ID:sftJQ2nw
侑「……眠れそう?」

ミア「う、うん……」

想像よりもたくましい胸板。
体温がダイレクトに伝わってくる。

ミア「……」

侑「……zzz」

呑気なものだ……もうすやすやと眠ってる。

ミア(こっちはそれどころじゃ……!?)

侑「うぅん……」

ミア「ひゃっ……!?」

ゴロンと寝返りをうつ。
それと同時に、侑の腕の中で抱かれていた。

ミア「ちょ、ちょっと……!」

侑「むにゃ……」

ミア(むにゃじゃない!)

76名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 01:47:27 ID:sftJQ2nw
今回はここまで。
また明日に。

77名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 03:25:33 ID:wJwxsX4E
ついさっきまでキス(人工呼吸)の事とかほんのり意識してたのに、甘やかしモードになると急に菩薩になる侑ちゃんくんすき。

78名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 16:31:59 ID:sftJQ2nw
離れようにも身動き取れず、離れられない。

ミア(なにこれなにこれ、嫌なわけじゃないけど……胸が熱い)

でも……これは。
誰かの胸の中で眠るなんて。

ミア(安心する……心地良い……)

その胸に顔を埋める。

79名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 17:05:30 ID:sftJQ2nw
……まるで。

ミア(もしボクに、兄がいたら……)

こんな風に甘えたりするのかな……。

ミア(兄さん、お兄ちゃん……ふふ、ガラじゃないな)

冷静を保っているように見えるかもしれないが、ドキドキして眠れないからいろいろ考えているだけだ。

ミア「……また、明日」

80名無しさん@転載は禁止:2022/05/03(火) 19:25:29 ID:sftJQ2nw
★★★

侑「うぅん……あ、朝……」

目が覚めてから、そうだ自分の家じゃないんだと気付いた。

そして、腕の中のミアちゃん。

年相応の幼い寝顔。
ぎゅっと私のパジャマを握りしめていた。

ミア「ん……」

侑「おはよう、ミアちゃん」

81名無しさん@転載は禁止:2022/05/04(水) 00:09:07 ID:o.HkrvxE
璃奈√みたいな雰囲気になります。
また明日に

83名無しさん@転載は禁止:2022/05/05(木) 01:01:31 ID:fqC21KqA
ミア「ぁ……おぁよう……」

なんて?

ミア「んぅ……」

まだウトウトとしている。
だいぶ隙だらけだ、朝は弱いのかな?

侑「よし、それなら……」

★★★

ミア「ん……アレ……」

ほのかに甘い香りに、鼻をくすぐられる。

ミア「侑……?」

隣で抱きまくらにしていた侑がいない。
けれどすぐに見つかる。キッチンで何かを作っていた。

84名無しさん@転載は禁止:2022/05/05(木) 01:13:42 ID:fqC21KqA
侑「おはよう、ミアちゃん」

ミア「おはよう……なにつくってるの?」

フライパンを覗き込むと、その甘い香りの正体がわかった。

ミア「フレンチトースト、か」

侑「勝手に食パンとか使ったけど、大丈夫?」

ミア「構わないよ。全然」

ボクは二人分のコーヒーを淹れる。

ミア「コーヒーにはミルクいれる?」

侑「おねがーい」

85名無しさん@転載は禁止:2022/05/05(木) 02:12:45 ID:fqC21KqA
★★★

私が作ったフレンチトーストと、ミアちゃんが用意してくれたフルーツとコーヒーで優雅な朝食だ。

侑「さて、お味は……」

一口分切り分けて口の中に。

侑「ん、美味しい美味しい」

ミア「確かにね」

二人でフレンチトーストを美味しくいただく。

侑「そういえば、よく眠ってたね。やっぱり抱きまくらのおかげ?」

ミア「んぐっ……ま、まぁね」

86名無しさん@転載は禁止:2022/05/05(木) 02:33:18 ID:fqC21KqA
★★★

ミア(……た、確かに結果的にはよく眠れてしまった)

侑「僕も遊んではしゃぎすぎたのか、ぐっすりだったよ」

ミア「そ、そっか」

今さらながら、昨夜の己の言動を振り返る。
抱きまくらにさせろだなんて、とんでもないことを。

ミア(でも最後は自分からも抱きついてしまったし……)

悶々としながらコーヒーを飲み干す。
この話を続けていたら、いつまでもペースを乱されそうだ。話を変えよう。

ミア「……で、今日はどうする? またプールで遊ぶのもあれだけど」

侑「うーん……あ、そういえば最近新しくめっちゃおっきいアウトレットモールできたよね。ここからも近いみたいだから、せっかくだし行ってみたいかも」

87名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:14:46 ID:P4QlmYXk
ミア「いいね、行ってみようか」

★★★

当たり前のように二人でお出かけ。
私の昨日のような悶々とした気持ちはどこかに行っていた。

まるで妹の相手をしているみたいだ。
そんなこと言ったら怒りそうだけど。

侑「わぁ、本当に広いね」

新しくできたばかりの大型モールだから、遊びに来ている人もかなりの数だ。

侑「はぐれないようにね」

ミア「子供扱いして」

88名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:46:25 ID:P4QlmYXk
ミアちゃんは不満気だったけど、こっそり私の服の袖を掴んでいた。

それくらいしたって大げさじゃないくらいだったから。
まぁこのご時世、スマホで連絡すれば大丈夫だろうけどさ。

侑「おー、お店も多いねぇ。あ、スタバ行こスタバ」

私は新作のストロベリーフラペチーノ。
ミアちゃんは宇治抹茶。

侑「アメリカと比べたら日本のスタバってどうなの?」

ミア「小さい。向こうじゃ最低でもtallだよ」

89名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:56:31 ID:P4QlmYXk
やっぱり食文化の違いか。
ハンバーガーの大きさもだいぶ違うってぷりぷり言ってたし。

そりゃあ海外の人は体も大きいわけだ。摂取する栄養の量が違う。

ミア「それに、味も薄い」

侑「えー? これとかめちゃ甘だよ? 飲んでみなよ」

ミア「……」

ミアちゃんに差し出す。
少し間を置き、ストローに口をつけた。

90名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 00:59:44 ID:XL2SOrf2
侑君まだほとんど意識してない感じか

91名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 01:30:38 ID:P4QlmYXk
ちうちうと私のストロベリーフラペチーノを飲んでいる。

侑「どう?」

ミア「……美味しいよ」

そう呟くと、ミアちゃんは自分の持っていた宇治抹茶を差し出してきた。

ミア「ボクのも……一口あげるよ」

侑「いいの? ありがとっ」

貰えるものは何でも貰う。

92名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 01:47:34 ID:P4QlmYXk
侑「うん、初めて飲んだけどこっちのもいいね」

ミア「……」

侑「うん? どうしたの?」

ミア「なんでもない」

★★★

なんだ。
人工呼吸をキスみたいだなんてうろたえるのに、間接キスはなんとも思わないと!?

ミア(いや、ボクが意識しすぎなのか……?)

侑「あ、見てみて。おっきい観覧車」

ボクの気持ちなど知らない侑はのんきだ。

93名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 02:13:58 ID:P4QlmYXk
ミア「……」

これじゃ、やっぱりボクが子供扱いされてるみたいじゃないか。

侑(あれっ、なんかちょっとスネてる?)

侑「……あっ! みてよミアちゃん、見たことないハンバーガー屋! はいってみようよ!」

ミア(ふん、ご機嫌を取ろうたって、そうはいかない──)

★★★

ミア「あむ……♪」

アメリカ育ちも満足させるボリュームのハンバーガーに、ミアちゃんもご満悦な表情でかぶりついていた。

94名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 02:29:31 ID:P4QlmYXk
侑「あぁほら、ほっぺにソースついてるよ」

おしぼりでソースを拭き取る。

ミア「んぅ……」

侑「ゆっくり食べなよ、ハンバーガーは逃げないよ」

ミア「むぐ、わかってるさ」

美味しいのはわかるけどね。
シャキシャキとしたレタスと紫玉ねぎ、みずみずしいトマト。
肉厚、肉汁が溢れるビーフパティ。
特殊なソースと薄切りのベーコン。

それぞれが邪魔をするわけでもなく、それらが一つとなり絶妙なテイストになっていた。

95名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 02:39:44 ID:P4QlmYXk
後半になれば、溢れた肉汁が染みたバンズも、行儀のいい食べ物では無くなるけれどそれが良かった。

脂ぎったその塊を、コーラで流し込む。
こりゃ参ったね。ぜっーたい体に良くないけど一番旨いと感じてしまう。

ミア「ふふ、いいじゃないか日本のハンバーガーも」

侑「でしょ?」

お互いたっぷりハンバーガーを堪能してお店を出る。

その後も服を見て回ったり、靴や帽子も。

結局何も買いはしなかったけど、それでも十分楽しかった。

96名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 02:40:07 ID:P4QlmYXk
今回はここまで。また明日に。

97名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 13:05:36 ID:P4QlmYXk
侑「さて、明日からまた学校だし、そろそろ帰ろうかな」

ミア「……」

侑「じゃあミアちゃん、また明日……?」

解散しようとしたけど、後ろ髪ならぬ袖を引かれた。

侑「ミアちゃん?」

ミア「いや、これは……その」 

何かを言いかけたけれど、その口をつぐんでしまった。

侑「……」

98名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 17:36:28 ID:P4QlmYXk
それが正しい行為なのかはわからないけれど、私はミアちゃんの頭を撫でていた。

ミア「な……なんのつもり?」

侑「……うーん。したかった、からかな」

ミアちゃんも嫌がりはしない。
撫でられるがまま、私に撫でられる。

侑「……また明日、ね」

ミア「……うん。また明日」

99名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 18:07:55 ID:P4QlmYXk
ミア「……あっ、や、やっぱり待って!」

両手で止められる。

ミア「ら、来週……金曜日から予定空けておいてくれる?」

侑「金曜日から……うん、いいよ」

ミア「……泊まり込み、で」

侑「え?」

ミア「……だめ?」

侑「だめというか……」

100名無しさん@転載は禁止:2022/05/06(金) 18:22:01 ID:P4QlmYXk
ミア「〜〜〜っ、さ、寂しい、んだよ……」

侑「……一人暮らしだから?」

ミア「そ、そうさ。……侑のせいだよ、誰かといることが楽しいって、気付かせたから……」

ミア「……その分、一人の夜が寂しいんだ」

ミア「責任取ってよ、週末くらいボクの寂しさを埋めるために」


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