Article論文のタイトルは「刺激によって引き起こされた、体細胞の多能性への発生運命の転換Stimulus-Triggered Fate Conversion of Somatic Cells into Pluripotency」で、2014年1月に発表されたものと同一である。概要は、「細胞へのストレスは多能性への核のリプログラミングを起こせる」「広い多能性を獲得した細胞はキメラ胚を形成し、生殖細胞にも分化できる」といったところで、CD45によるフローサイトメトリーが新たに行われている以外には、本質的に新しい部分はない。STAP細胞には自己複製能力がなく、細胞株が作れないということは明記されているようだ。細胞が縮小することにも記述があるようで、いったい細胞の大きさと多能性にどのような関係があるのか疑問に付されている。B27培地についても、その内容を明らかにするよう注文がついている。キメラマウスについては、胎児のすべての組織に分化でき、配偶子にもなることが述べられているようだ(作製に当たって、Oct4-GFPの蛍光を使わずにどうやってSTAP細胞を集めたのかという疑問はもっともである)。言葉にこだわるとすれば、「SA細胞(Stress Absorbedか)」が「STAP細胞(Stimulation Triggered Acquirement of Pluripotencyで、査読者がacquisitionに直すよう指示している)」に変わっている。しかし論点は、キメラマウスを作製できるだけの広い分化能力の獲得にとどまっている。