- 1 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 22:23:33
- 保管サイトに載せられていない分を保管するスレ
- 20 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 22:37:35
- 799 名前: ◆nT58vM8A36 [sage] 投稿日: 2013/12/04(水) 06:48:44.93 ID:???0
「ああ、俺達は……」 答えようとしたマフラー野郎を、隊長はそっと手振りで制した。 「はっ、この者達は――」 そして隊長は自ら矢面に立ち、包み隠さず事のあらましを報告する。 話を聞くにつれ、老いぼれたニューラの眉間には 益々深く皺が刻まれていった。 「うぬら、若君の身を危険に晒しただけではなく、 どこの馬の骨とも知らぬ余所者に恩まで着せられというのか……!」 老ニューラはわなわなと拳を震わせ、雷みてえに荒々しく喉を震わせる。 「やはり、近衛の長など到底務まらぬのだ。うぬのような不出来の――」 「ばーちゃん!」 跪く隊長に庇うように抱き付き、子ニューラは叫ぶ。 老ニューラはグッと言を飲み込み、一拍置いて静かに深呼吸した。 それから忌々しげにあっしらに視線を移し、あからさまに作った物とわかる笑みを浮かべる。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 21 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 22:38:08
- 804 名前: ◆v98fbZZkx. [sage] 投稿日: 2013/12/11(水) 11:44:57.81 ID:???0
門が開いた先には新雪に染められた趣のある庭園が広がり、 古ぼけた石畳が敷かれた道の先には如何にもな屋敷がでんと待ち構えていた。 まるで時代劇の中にでも放り込まれたような光景に、 普段のあっしでありゃ御上りさんみてえに庭の中を見回して、 子ニューラの野郎は小憎らしく胸を張って自慢してやがったんだろうが、 さっきのババアとの邂逅が胸焼けのように後に引き摺っていて 何もかもすっかり台無しになっていた。一同は一言も口にせず、 ただ黙々と石畳に足音を響かせた。 正面扉の前に立つ門番らしき二匹のニューラはあっしらが近付くと 静かに礼をして両脇に避け、扉に付いた龍の頭部をあしらったらしき 装飾の口から垂れ下がる鎖をぐいと引っ張った。 「ご苦労」 隊長は門番達に声掛けて屋敷へと踏み入る。 あっしとマフラー野郎にちらちらと向けられる門番からの (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 22 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 22:38:37
- 809 名前: ◆Pc42BttzIw [sage] 投稿日: 2013/12/19(木) 07:15:00.80 ID:???0
隊長は先んじて幕の手前で跪き、子ニューラは隠れるように隊長の背に 虫みてえにぴたりと張り付いたままでいた。そのすぐ後ろにマフラー野郎、 マフラー野郎を挟んで両隣にニャルマーとあっしはおずおずと座り込む。 あっしらの背後にはニューラ達がずらりと横に並んでいて退路は完全に塞がれている。 何か狼藉でも働こうもんなら即座に叩っ斬られそうな雰囲気だ。 「あいつの姿が見えないが?」 幕の奥からの声に子ニューラはぎくりと毛を逆立てた。 隊長は「ささ」と子ニューラを自分の背から引き離し、 そっと幕の前へと押し出した。 「うー……」 子ニューラは耳をぺたんと畳んでばつが悪そうにもじもじと体を揺らす。 こっちに来いと幕に映る影に手招きされて、子ニューラは渋々恐々とした様子で ごそごそ幕を潜り抜けて向こう側へと行く。 いつもはクソ生意気なガキがまるで借りてきた猫のようだ。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 23 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 22:39:09
- 814 名前: ◆nHbSPFGRkE [sage] 投稿日: 2013/12/25(水) 22:52:10.87 ID:???0
そうか、こいつが……ロケット団を脅かすニューラの進化系、マニューラというポケモンか…… だが、それ以上にあっしの脳裏に閃いたのは、昨夜マフラー野郎の話に聞いた、奴の戦友―― 奴と共に死地を戦い抜き、身を挺して奴を助けたという黒猫――スカーの存在だった。 嫌でも目立つ顔のバッテン傷を始め、その姿も言動も、マフラー野郎の話とぴたりと当て嵌まる。 そうでなくとも、体中に刻まれた無数の古傷から、相当な修羅場を掻い潜ってきた歴戦の猛者だろうと察しがついた。 しかし、それなら何故、そんな奴が頭領の地位なんかに納まってやがる? 先程の若えニューラは、この里の頭領は代々世襲制だ、とかいうような事を言っていやがったが…… どうにも分からねえ、やっぱりただの偶然の一致なのか。そう思いながら、あっしは隣のマフラー野郎を見た。 ところが、奴は……両手を床に着け、顔を上げた中途半端な姿勢のまま、大きく目を見開いて硬直していた。 いや、よく見ると、何かを言いたげに口元だけが動いているが、まるで喉にオボンの実でも詰まらせたかのように 言葉がまるで出てこねえ様子だった。 件の頭領は、あっしら一同が生温く見守るのも、ようやく目を覚ましたチビ助がジト目で睨むのも構わず、 マフラー野郎の周りをぐるぐる這い回り、しきりにその体を眺めたり触ったり嗅いだりと忙しなく動き、 仕舞にゃ黒いマフラーを捲り上げ、あの背中のでけえ傷を確かめるに至るや、へたりとその場に座り込んだ。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 24 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 22:39:30
- 821 名前: ◆nT58vM8A36 [sage] 投稿日: 2013/12/31(火) 23:41:05.60 ID:???0
「……頭領様」 声色に戸惑いを混じらせたまま隊長が控えめに呼びかける。 「おー、そうだったそうだった」 ずび、と鼻を拭い、ごほん、と喉を整えて頭領は入り口に並ぶニューラ達に向き直った。 「おう、オメェら、女中達に伝えろ。客人を持て成す宴の準備だ」 「はっ」 号令を受けニューラ達は水が捌けるようにあっという間に部屋を出て行く。 「山ほど積もる話があるからなぁ。何も肴がねえわけにはいかねぇだろ」 「ああ、俺は喜んでお受けしたいところだが……」 「ちょっと、冗談じゃない。アタシはそんな長居するつもりは――」 少なくとも一晩は里での長居につき合わされそうな事の流れに、 今まで黙って成り行きを見ていたニャルマーもすかさず突っかかる。 「まあま、お嬢さん。こんな風に巡り合えたのも何かの縁。 一晩ぐらい酒の席に付き合っちゃくれないかい」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 25 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 22:39:59
- 827 名前: ◆rgWFRtnaRA [sage] 投稿日: 2014/01/09(木) 07:56:38.30 ID:???0
「と、と。それなら、俺様が直々に案内してやるよ」 目を回し、ふらつく足取りを整えながら頭領は言った。 「しかしながら、頭領様にはこの後ご老公方との評定が控えておられるはずでは」 「いいの、いいの。あんなもんどうせ老いぼ――お義母さま方にくだらねえ 嫌味でぐちぐちと突っつかれるだけだからよ。くたばったと思ってた旧友が 生きて現れたってえこの時に水差されたかねえってんだ、ヒャッハッハ」 豪快に笑い飛ばして、頭領は子ニューラを肩車したまま襖を足で勢いよく押し開け、 「付いて来な」ぐいと首であっしら招いた。「ついて来なー」その肩の上で子ニューラが 嬉しそうに真似をする。 小さく嘆息を吐く隊長に、「いつもこんな調子?」とマフラー野郎が小声で尋ねると、 隊長はそっと頷いた。 「変わってないな」 マフラー野郎は呆れたように、しかし少し嬉しそうに苦笑いした。 「何してやがんだ、置いていくぞ」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 26 名前:名無しさん 投稿日: 2014/01/10(金) 23:16:12
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とりあえずここまでが本スレ692〜の内容 692以前の内容は、 http://novel.motekawa.jp/pikatyulife?SID=p72n3avovbvj2n0kqg8n6q6qk1 にある
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