【2:11】【壱】あなただけの恐い話を集めてみない?
- 1 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:14:50
- あなただけの恐い話を集めてみませんか?
創作でも恐過ぎければおk
んじゃよろ
- 5 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:18:44
- 「開くよヨウスケ。入れるよ」
中を見ると、土間だの荒れきった畳だの、かなりの年代物であることが見て取れた。 埃もひどく、せきが出る。 それでもとりあえず雨宿りにと、二人は畳へ上がって、シャツを脱いで土間へ絞った。 パタパタと水滴が落ち、少し埃が舞う。
ペンライトで家の中を照らした。 二階建ての、古い木造住宅である。それなりに広いようだ。
窓の外に、家へ外付けされたハシゴが見えた。 屋外から直接二階へ出入りできる造りらしい。
とりあえず、山中で迷子という目下の危機を逃れ、安堵する。 そうなればこの年頃の少年たち、やることは決まってくる。 「タカオ、探検しようぜ」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 6 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:19:59
- トッ……トッ……とトイから雨粒の落ちる音がする。
電灯も点かないので、視覚に関しては、闇に慣れてきた目と、ペンライトだけが頼りである。 廊下を歩いていたタカオのつま先に、ポツリと何かが当たった。 拾い上げてみると、タバコの箱よりも一回り小さいくらいの、深緑色の紙箱だった。 表面に、ロゴマークらしき丸い模様と共に品名らしき語が書かれている。 『□神□薬』 神と薬は画数の多い旧字、□の部分はぼろぼろにかすれてしまって読めなかった。 手に取った時点でひどく軽いことは分かっていたが、一応開けてみる。
やはり、中は空だ。
神と来たら、神経か何かの薬が入っていたのだろうか。 飲み薬というよりは、膏薬か何かのチューブが入っていたような様子だった。 大して面白みも感じず、箱を放り捨てて廊下に目を戻すと、カセット・テープがひとつ、これも落ちていた。 古ぼけたカセットにどんな歌が吹き込まれているのか、興味がわいた。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 7 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:20:44
- しかし雷が去っても、タカオの体は震えていた。
今のはなんだ。 雷が鳴った時……。 同じように雷音が聞こえた。
イヤフォンの中から。
そして違和感の正体にも思いが至る。
『この人』って、誰だ。 目の前の人間を指差して言うような声音だった。 誰のことを言ってる? 『この人はいかない』? どこへ?二階へ? (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 8 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:22:28
- まだ停止していないはずなのにテープが回っていない。電源ランプも消えている。
電池は充分なはずだ。 見ると、ステレオのプラスチックの合わせ目から水が染み出している。 リュックから染みた水で壊れたらしい。
…………。 いつから壊れていた?
震える手でコードをつまみ、 イヤフォンをそっと耳に当てた。
「……ママァ、トモエちゃ……から、おこってるよオ……」
テープは止まっている。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 9 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:22:39
- 振り返ると、子供部屋の隅の本棚の陰に人がいた。
背中を向けてうずくまっているが、ヨウスケだ。 物陰になっていて気付かなかった。どうやらペンライトも持っていない。 「ヨウスケ、何で返事しなかったんだよ。ここ出よう!」 「痒い……痒い……」 そういってヨウスケはモゾモゾと動いている。 タカオはいらだち、 「早く立てよ」 そういってヨウスケの肩をつかみ、自分のほうへ向かせた。
ヨウスケは自分の顔をかきむしっていた。 顔面の皮膚が破れ、そこらじゅうに血が滲んでいる。 それでもヨウスケはカサカサと顔をかき続ける。 「何やってんだ、やめろよ!」 「痒いんだよ……痒いから……」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 10 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:23:24
- しかし、足音が追ってくる気配は無かった。
見たくは無かったが、天井の穴を見る。 幸い、ペンライトはヨウスケを引きずる時も握りっぱなしだったので、それで照らした。 暗い入り口の奥には闇が広がるばかりだった。
この家の構造では、家の内外のハシゴさえ外してしまえば誰も下に下りてくることは出来ない。 自分が見たモノもそれに倣うのだろうか。 とにかく、タカオは怪我はしなかったらしいことを確かめて、ぐったりしたヨウスケを引きずって家を出ようとした。 先程投げ捨てた薬の空き箱が足に当たったので、端のほうへ蹴った。
外へ出ると、雨はまだ降り続いている。 タカオは今の家から一番遠い家を見つけ、中には入らずに庇の付いた縁側へヨウスケを寝かせた。 そこまですると、猛烈な疲労と眠気を感じた。 だめだ、今寝たら、あのおっかないのがまた来たらどうする……。 しかしまぶたが落ちるのを止められない。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 11 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :2023/12/12(火) 01:23:49
- その後、幸運にも何とか無事に自転車を見つけ、二人は家に帰りつくことが出来た。
家についてからは二人ともこっぴどく怒られた。 そのあとで、タカオは昼間に、ヘッドフォンに入れっぱなしだった例のテープを自宅のラジカセで再生した。 中には子供の合唱が録音されていた。 あの時に聞いた呟きのような声は、どこにも入っていなかった。
なにぶん昔のことで、あの家で過去に何が起こったのか気にはなったものの、知りようが無い。 そもそもあの集落の正確な場所も覚えていない。 イヤフォンから聞こえてきた声の主の少女やその母親、その他の家族には何があったのか。 あの、実質的に隔離することが出来る二階に暮らしていた人たちはどうなったのか。 なぜあの家は建て増しらしきことをしてまで、あんな構造にしたのだろう。 パイプ・ベッドにいた女は誰なのだろう。 そして顔をあんなにもかきむしっていた少女は。
足首の傷は、数日で癒えてしまった。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
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