- 1 :名無しさん :2017/07/10(月) 01:04:59
- ここだけ境界都市のなんでもありスレです
エログロ・SS等本スレでは避けられるようなものはこちらに書きましょう
- 7 :赤ら顔の骸骨① :2017/07/10(月) 18:53:41
- 「………」
死んだ魚のような目をしながら、運命を呪った。ボロボロの薄い札束を握り締めて、砂利道を裸足で歩く 道の舗装すらされていないこの貧民街で、あたしはきっといつも食べているゴミのようになって死んでいくのだろう
せめて最後に手元に残ったお金で、行ける所まで行ってみようと、キャブを呼びつけようとした
あたしの旅を締めくくる場所をここにしたくないという一心だった このわずかなお金で、忌々しいこの街からどれだけ離れる事ができるんだろう?
「わっ……ごめんなさ……」
そう考えていた矢先だった。ガタイのいいおっさんにぶつかって、やせ細った身体はそれだけで吹き飛んだ 尻餅をついて、怯えながらその男を見上げる
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- 8 :赤ら顔の骸骨① :2017/07/10(月) 18:56:09
- 「そんな俯いて、なんでそんな顔をする必要があるんだ?」
「上を見な。空はこんなにも青く晴れ渡ってるってのに……」
「……え?」
でも、向けられたのは暴力でも、銃口でもなく、あたしの耳を擽るような低い声 呆気に取られているあたしにそっと差し伸べられたのは、優しく開かれた大きな手
逃げ出してから、あたしに手を差し伸べてくれた人は初めてだった。訳も分からずその手を取る 日に焼けて、しわくちゃで毛だらけ傷だらけ。でもそんな手が……あたしにはとても美しく見えた おっさんはあたしを引き起こすと、上を見ろと言って笑いながら指で空を指した
「あぁ待て、今日は日差しが強いからな……俺のサングラスを使えよ」 「ほら……綺麗だろ空は!いいか?俺は世界を変える。皆がこんな空を仰げるようにな」
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- 9 :赤ら顔の骸骨① :2017/07/10(月) 18:58:29
- 「……俺と一緒に来るか?」
あたしはおっさんのズボンにしがみついてわんわん泣いた。その提案がどれだけ大きな拠り所になったのだろう 必死に頷きながら泣きじゃくると、おっさんは困ったように禿げ頭を掻いて、それからあたしを優しく抱き締めてくれた 汚い身体でスーツが汚れることを気にするそぶりも見せず、おっさんはあたしが落ち着くまでそのまま動かなかった
「そうか、嬢ちゃん……名前は?」
あたしがようやく落ち着くと、おっさんはあたしの名前を聞いてきた
……名前 パパとママがあたしに付けてくれた名前 もうずっと名前を名乗らなかった。売春宿では偽名で働いていたし だからあたしはその名前を名乗るが少し気恥ずかしくて、それでも幸せで あたしのコトを名前で呼んでくれる人がまたできるんだって、はにかみながら答えた (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 10 :赤ら顔の骸骨② :2017/07/10(月) 23:08:47
- ファミリアに拾われてからの最初の半年は、病気を治して貰い、徹底的な身体づくりを施された
ご飯はたっぷり食べさせてもらったし、毎日ふかふかのベッドで眠る事ができた 誰にも襲われる事も無いし、病気になっても医者が駆け付けてくれる。両親と暮らしていた時よりも、ずっといい暮らしになった
それが幸せかどうかはあたしには分からない。でも一番楽しかったのは、昔を思い出して涙を流す事じゃない アルトゥーロと裏の世界で生きるための勉強をする時だった。当時のあたしにとっては、アルトゥーロが世界の全てだったから
「いいかアレサ、お前には特別な力がある」 「そしてこの俺様も同じ力を持ってる……異能の力だ」
彼はあたしに不思議な力の存在を教えてくれた。超能力、異能、名前は何だっていい あたしには命の源を操る力があった。即ち血液だ。身体の外に出た血液を自由自在に操作できる
アルトゥーロは自分の掌をナイフで切って、血液を動かしてみろと笑いながらあたしに言った あたしは能力の使い方なんて知らないし、そんなことはできないとアルトゥーロに言った (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 11 :赤ら顔の骸骨② :2017/07/10(月) 23:09:29
- 「よし、お前には今日から相棒を付ける」
「アレサ、チコ。チコ、アレサだ。チコはお前よりも先に組織に入ったが、訓練を始めたのはお前よりも後だ」 「お前等!互いに協力して、本物の姉弟みたいに仲良くすること、いいな」
半年間の療養が終わってようやく本格的な訓練が始まった。アルトゥーロともう一人。三人一組での特訓だ ファミリア第二の能力者、チコ・ビセンテ・ルチャ・ペーニャ。一つ年下の生意気なチビッ子 彼はあたしよりもずっと強力で出力の大きな能力を持っていた。でもあたしとは違い、その扱いに苦労しているようだった
アルトゥーロはあたし達に裏社会での生き方を教えてくれた。ルールやしきたり、常識。主要な勢力から重要人物まで 座学だけじゃない。銃の扱いから格闘技術、パルクールやフリーラン。ネゴシエーション、恫喝、諜報、拷問、隠蔽 実戦的な技術もアルトゥーロは教えてくれた。彼が何故ファミリアの人間から憧れられているのか、はっきりと分かった
「ねぇチコ、身長全然伸びないよね」 「うっせ!俺は大器晩成タイプなの!」
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- 12 :赤ら顔の骸骨② :2017/07/10(月) 23:10:38
- 「………」
雪の日の深夜、あたしはアルトゥーロの寝室へとこっそり忍び込んだ。護衛にはアルトゥーロから呼ばれたと嘘をついて シャツとスラックスのまま、革靴を履いたままベッドで大の字になっているアルトゥーロを見て、思わずあたしは息を呑む そして意を決してそっとその隣に座り、横に寝転がって、アルトゥーロの顔を優しく撫でた。……じょりじょりする
「…………何してる」 「ひゃっ!?」
眼を閉じたままアルトゥーロは口を開いて、あたしは驚いてベッドから飛び退いた あたしが入って来た時から彼は気が付いていたらしい。ホントは最初からずっと起きていたのかも
「いや、あの………アルトゥーロ、あのね……!?」 「今日は一緒に……その、あたしと寝て欲しいなー……?」
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- 13 :赤ら顔の骸骨② :2017/07/10(月) 23:12:43
- 「アレサ……俺はお前のオヤジじゃねぇ」
「……うん」
ハッキリとそれを告げる彼の言葉ひとつで、あたしの胸はまるでハンマーで殴られたような衝撃を受ける 胸が締め付けられて苦しい。熱くて冷たい。どうにかなってしまいそうだ
「俺は汚れた人間だ、お前のオヤジの代わりになってやることもできねぇ」 「…ぅ……ん…っ」
追い打ち、逃げ出してしまいたくなる気持ちがわっと込みあげる。涙声になってしまうのを堪えきれないのがとても恥ずかしかった 馬鹿馬鹿しい、自分が求めていたのは結局依存するための心の拠り所だったのだと自嘲する
「でもな」 「俺たちは本物の家族(ファミリア)になれる。お前さえそう信じてくれたらな」
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