紅の月
――闇に浮かぶ血の瞳

虚空の眼窩より、黒髪の少女が舞い降り立った時
……全てが始まった

空は、荒れ狂い幾千もの雷鳴を轟かせ
地は、大陸を砕かんばかりに震え
海は、数多の島を飲み込んだ

栄えていた国々は、その全ての力をもって抗い
街は崩れ、無数の人命を失いながらも耐え抜いた

――災厄が終わった時
人々は今まで存在しなかったモノを見上げる事となった
大陸と群島を結ぶ海であった筈の場所に忽然と現れた……

巨大な都市と黒き翼の悪魔を

◆  ◆  ◆

紅月映す水面で、少女が微笑う
「――少し、早すぎたかしら?」

瘴気漂う谷の底で、老人が嗤う
「魔女が……バカなことを」

神気満ちる霊峰で、少年が冷笑う
「都合がいいね」


巨大な都市の中央で、地に堕ちた天使が狂笑い続ける

『――― ― ―― !』





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コモン・ラトナ〜紅月の魔〜

スレッド作成:
タイトル:
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内容:

1 : お知らせ(323) / 2 : 機甲練兵(20) / 3 : 聖魔攻防(20) / 4 : 王国崩壊(22) / 5 : 女神守護(32) / 6 : 魔徒降臨(32) / 7 : 第六話共通プロローグ(3) / 8 : 竜神依頼(14) / 9 : 【SS】魔域破壊(22) / 10 : 【SS】東方援軍(22)
11 : 【SS】魔陣偵察(22) / 12 : メインキャラクター一覧(25) / 13 : 第五話共通プロローグ(3) / 14 : 幕間(10) / 15 : 第四話「神無月」共通エピローグ(4) / 16 : 神無月――玄関の章――(32) / 17 : 【SS】神無月――中庭の章――(31) / 18 : 神無月――大広間の章――(31) / 19 : 【SS】麗書真言(19) / 20 : 第四話「神無月」共通プロローグ(2) / 21 : 【SS】怪人怪盗(16) / 22 : 【SS】魔人試技(15) / 23 : 【SS】雪争乱舞(15) / 24 : 【SS】鉄城襲撃(15) / 25 : 【SS】魔境探索(17) / 26 : 【SS】魔女聖杯(19) / 27 : 【SS】星灯小姫(16) / 28 : 【SS】聖都攻防(27) / 29 : 【SS】鉄国動乱(28) / 30 : 【SS】眞国動乱(27) / 31 : 【SS】小姫布石(18) / 32 : 【SS】鍵書麗人(17) / 33 : 【SS】黒竜騒乱(26) / 34 : 【SS】聖地防衛(22) / 35 : 【SS】聖地降魔(25) / 36 : サブキャラクター一覧(18) / 37 : NPC:星の傭兵(3) / 38 : NPC:月の傭兵(5) / 39 : 暫定Q&A(33) / 40 : 世界設定(8) / 41 : NPC:魔導師連合(13) / 42 : 縁システム(2) / 43 : NPC:その他(1) / 44 : NPC:カイゼルード第零師団(3) / 45 : NPC:戦闘狂傭兵団「ジンム」(3) / 46 : NPC:東方戦神師団(3) / 47 : NPC:ヴァルトデス緑旗軍(3) / 48 : NPC:ランファルト近衛娘子騎士団(3) / 49 : NPC:暗殺組織アートルム(3) / 50 : NPC:冒険者連盟(3) / 51 : NPC:ユビキタス教会(3) / 52 : はじめに(1) / 53 : 術能力・異能力(14) / 54 : 新規登録(5) / 55 : プロローグ(2)  (全部で55のスレッドがあります)

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1 お知らせ (Res:323)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 1
1 名前:GM ◆SNwumj5Nac 投稿日: 2007/07/06(金) 22:12:49

7月7日(土)から、参加PLさんの募集を行います。
定員は基本的に10人予定ですが、状況によっては増える可能性があります。

募集期間は7月7日〜7月31日迄。
ただし、期間内でも定員に達し次第締め切りとします。
PLの登録はGMのアドレスratonagm@gmail.comに参加表明のメールを送付することで完了します。
その後の流れは「はじめに」「プロローグ」「世界設定」「新規登録」スレッドを参照にしてください。

参加、お待ちしています(ぺこり

315 名前:GM★ 投稿日: 2010/10/07(木) 11:14:04
後輩のバックレで、休みが消えましたTT
新しい人員が入るまで動きが鈍くなります。
次の休みが水曜なので、そこで何とかしたい処です。

316 名前:GM★ 投稿日: 2010/10/13(水) 00:52:13
生きています、が……疲労で気力がorz
ただ、少しだけ書けてはいるので、毎日少しずつ書いてリハビリしたいと思います。

317 名前:GM★ 投稿日: 2010/10/23(土) 02:25:28
次の休みが月・火ととれそうなので、そこで体制を立て直すつもりです。

318 名前:GM★ 投稿日: 2010/11/05(金) 10:17:48
すみませぬ。再びスランプにorz
忙しくなる→精神的にいっぱいっぱいになってモチベーションが下がる
→少し休めるものの中々書けない→書けない内に忙しくなる→モチベーションが下がる
このスパイラルをなんとかしないと

319 名前:GM★ 投稿日: 2010/11/18(木) 05:36:04
スランプ再発&忙しさでぐったり状態です。
とりあえず、なんとかモチベーションを上げるべく努力してみます。

320 名前:GM★ 投稿日: 2010/12/06(月) 03:06:05
連絡遅れました。
何とか生きているものの、師走の忙しさ&スランプの同時攻撃でダウン中です。
ちょっと重症かもしれませんorz

323 名前:GM★ 投稿日: 2013/08/22(木) 23:58:35
最後のお知らせから、2年半・・・・・。
作者失踪状態で申し訳ありませんでした。

さすがに、再開できるモチベーションと時間が保てない為、
コモン・ラトナ〜紅月の魔〜は今日をもって終了したいと思います。
現在、執筆に関してはリハビリ中で、時間と気力が戻った時には自分のペースで書けるHPでの復活をしようと考えています。

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2 機甲練兵 (Res:20)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 2
1 名前:GM★ 投稿日: 2009/02/17(火) 02:31:39

ガチャ、ガチッ。
金属特有の硬質な音が魔境ワースティタースの空に響く。
小さく後ろを振り返れば、魔導金属装甲に包まれた数十体もの機兵が並んでいる。
ミスティはすっと息を吸い込むと、広い岩ばかりの荒地を見渡す。
――まだ視認は出来ない。しかし、気配は近い。
ヴァルトデスの西、眞の東。双方に魔族の大規模"降臨"が起きた影響で、カイゼルードに隣接している魔境ワースティタースでも、中規模な"降臨"が起きていた。
否、それは少し前までの話。ヴァルトデス、眞のものに比べれば比べ物にならない程の小規模ではある。
しかし、街が近く、ヴァルトデスが落ちれば、魔族に前後から挟まれる形となるカイゼとしては、当然放っておくわけにも行かない。

「……この状況下で、大兵力を派遣する訳にも行きませんからね」
「yes」
愛銃インフィがミスティの言葉に相槌を打つ。
――そう、魔境へ派遣されたのは、ミスティ一人だった。
後ろに並ぶ機甲兵団は全て自律型魔導機兵。
それも最新型、未だ実験段階でのβバージョン。
そんな実験機を魔族相手にぶつけるという作戦が成立したのは、一重にミスティの能力と忠誠が高く評価されているという証でもあった。
(実験機とは言え、対魔決戦兵器の全指揮機能を私に一任するというのは行き過ぎだと思いますが……)
開発に関わったミリー曰く、皇帝の保持する戦力よりも高い機動性と火力を持つことが出来る、とのこと。
無論、異能を換算しない形での通常戦力ではあるだろうが、それでも一個人に持たせるには過ぎた兵力ではある。

この魔導機兵郡は人間の兵隊とは全く違う。
ミスティの思考とリンクし、完全に手足の一部となって動く「兵装」なのだ。
人間ならば、ミスティが皇帝に反旗を翻したとなれば離脱する者や協力を拒む者、裏切る者がでてくるだろう。
しかし――この兵団は全く違う。
「兵装」として設計されている為、どんな命令であっても指揮官の命は絶対に受諾するのだ。
今、皇帝を暗殺しろと命じれば、躊躇いもせずその銃口を創造者であるレイノに向けるだろう。

14 名前:GM★ 投稿日: 2009/11/06(金) 09:17:59

ザッ!!
完璧な"白兵戦型"と変化した十機が真魔の周囲を一瞬で取り囲む。

本来ならばそう簡単に全方位に包囲できる敵ではない。
近づいた瞬間に間合いを支配され、攻撃を喰らう可能性の方が高い相手。
だが……複合結界を直近に張り巡らせるという極端な防御姿勢をとった為、移動速度が極端に縮まったのだ。

(この真魔が使用できるのは高速転移ではありません。
だとしたら、どうしても転移する瞬間に大きな隙が出来ます……気軽に使用できる術ではありませんからね)
ミスティのこの思惑は戦術の定石。
高速転移は推測し難い到達地点のみに僅かな隙が出来る。
しかし、通常転移は始点と到達地点両方に大きな隙が出来る。
また、重い結界を纏ったままでの転移は甚大なエネルギーが必要となる為、ソルしか不可能とされている。
この状況下、真魔の選択肢に転移は無い。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

15 名前:GM★ 投稿日: 2009/11/06(金) 09:18:31

流れるような全方位への連携攻撃。
包囲してからの集団戦闘はこの機体の真骨頂とも言えた。
また、動力消費の低い白兵戦は砲撃と比較して"省エネ"でもある。
機械であるだけに、全く集中を切らさず数時間同じ行動をとれる。

この状況で動くのならば……それは――。

ゴォォン!!
機兵の一体が吹き飛ばされて、地面に転がる。
しかし、すぐさま受身を取り再び包囲網へと加わる。
再び轟音。別の一機が装甲を砕かれてよろける。

同時に激しくなる白兵攻撃。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

16 名前:GM★ 投稿日: 2009/11/06(金) 09:19:08

絶妙な連携で、徐々に真魔の攻撃を引き出してゆく白兵戦部隊。
同時に魔力充填を終えた砲撃部隊が虎視眈々と隙を伺う。

ゴォォオオオオオ!!!
複合結界に僅かな穴が開き、そこを砲台のようにして極太の熱線が放射される。
だが、それも十分な防御体勢をとりながら連携攻撃を行っている機兵達の反応速度には及ばない。
結界を開く為の準備時間で、行動が読めるというのも大きなアドバンテージになっているのだ。

遠距離攻撃能力を削る代わりに防御力・機動力高めた装備での一撃離脱攻撃。
(特にミリーと陛下が全才能を傾けて作り上げた戦闘プログラムは秀逸ですからね)
ここまで有利な状況を作り上げれば、真魔は動かざる得ない。
――薄皮を剥がすように、真魔の攻撃が単調に、そしてイラついたものになる。
自らが作り上げた絶対の防御壁に阻まれ、敵に攻撃がヒットしないのだ。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

17 名前:GM★ 投稿日: 2010/09/03(金) 09:53:09

軽く目を瞑る。
インフィに魔力を注ぎ込み、充填。
この銃撃はインフィの内部で精製していた銃弾を使用する為、先程のような強烈な魔力発動は必要ない。
既に破裂していた毛細血管は修復し、体内の魔力も回復しつつある。
「……では!」
「OK」
頭の中にインフィの声が響く。
その瞬間――ミスティは瞼を上げると無造作に軽く引き金を引いた。

周到に何重もの罠を仕掛け、真魔の結界を盾型に誘導し機兵達に意識を集中させる。
幾度も幾度も攻撃を誘い、結界の中に隙を作り出す作戦は成功した。
――とは言っても、その隙は針の穴程度のもの。
派手な動作をすればすぐさま埋められて、再び結界を挟んだ篭城戦となる。

(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

18 名前:GM★ 投稿日: 2010/09/03(金) 09:53:48
凄まじい精度で真魔の首筋に吸い込まれた弾丸は、真魔の体内でその魔炎を開放する。
真魔の人型の身体が蒼い炎に包まれる。
(同時に体液中の魔力にも反応して体内からも灼いている筈。
大きなダメージでは無いにしても放置可能な傷ではありません)

冷静に真魔を見つめながら、再びインフィへ魔力を注ぎ込む。
次は、三度目の『紅霊炎砲』。
ただし――前回のような無茶な出力はかけない。
(精度は高く。威力は制御可能なレベルでの最適値を)
インフィの銃身に呪紋が現れ、高速データ処理を行っていることを示す。
ミスティは静かに真魔へ瞳を向ける。

魔炎に灼かれながらも、真魔は盾型結界を維持し続けている。
否、維持させられ続けていると言っていい。
炎を消すには魔力の質・量を急激に変化させれば良いだけの話。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

19 名前:GM★ 投稿日: 2010/09/03(金) 09:54:19

ミスティの思惑通り。
真魔は結界を薄めた後、全身を蔽っている魔炎を振り払うようにかき消す。
この時点で、周囲の機兵の銃撃と魔炎消火でかなり疲弊していることは明白だった。
そこへ高度な転移術を使用しようとすれば――。

タァァァン。

通常の人の身体程の太さを持つ『紅霊炎砲』。
しかし、放たれたのは頭一つ分程度の紅炎を纏う弾丸。

魔導機銃によって圧縮・高速化された紅弾は、呪文で形成される術の数倍〜数十倍の結界貫通力を持つ。
その分、広域への破壊力は落ちるがピンポイントでの威力は高い。
相手が予測していない角度からの奇襲。更に、結界が薄くなった瞬間を狙われたならば致命傷となりうる。

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20 名前:GM★ 投稿日: 2010/09/03(金) 09:54:50

◇ ◇ ◇

エピローグ


「……?」
ミスティの秀麗な眉根が僅かに顰められる。
ミリーへ任務完了の報を伝えようとした処、念話が通じないのだ。
魔境ワースティタースの磁場はノイズが酷いため、不思議ではないのだが……嫌な予感がする。

(私の異能、今回は発動……したのでしょうか?)
唇を噛む。
彼女自身が忌んで止まない自らの能力。
"Absolute Fate"
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3 聖魔攻防 (Res:20)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 3
1 名前:GM★ 投稿日: 2009/02/14(土) 11:05:35

真白な光が、漆黒と紅に染まった地を清め魔を浄化してゆく。
放たれた神力が巨大な六芒星を描き、そこから光の柱を生じさせているのだ。
それは、さながら地に突き立てられた光の剣を思わせる。

ユビキタス教会第一使徒エスイトス=ラルの大規模浄化神術は、蟻のように群がっていた魔族達の殆どを消滅させた。
否、殆どの"魔の眷属達を"と言うべきか。

「さすが、"聖盾"と言うべきですね。それでも――」
リョウは小さく呟くと愛弓、ナイトメアシューターの弦を引き絞り鋭い視線を神力の渦巻く地へ向けた。
未だ、消滅を免れ生き残っている黒い姿が、数体。
分類すると、人型・悪魔型・戦車型の三種が残っている。
三番目の戦車型は、十数メートルもある竜のような巨体をもち、ずんぐりとした分厚い装甲のような甲殻に包まれた、今回の降臨で確認されたタイプだった。
長距離からの強力な砲撃を放てる為、敵戦力の中心的な役割を果たしている。
今のところエスイトスの結界で耐えてはいるが、長期戦となれば、かの神盾とはいえ厳しい戦いを強いられるだろう。

リョウはゆっくりと闘気を練りつつ、標的を見据える。

エスイトスの浄化神術後に、周囲の神官からも連続的な術攻撃が繰り出されているが、
やはりエスイトスのものとは桁が一つ劣る。殆どダメージは通ってないだろう。
特に、緩慢な動きながらもこちらに照準を向けつつある、昆虫のような光沢を放つ戦車型の装甲には傷一つ無い。

(まだ――。もう少しですね)
周囲からの焦りを含んだ視線を無視して、リョウは未だ射出の機会を待つ。
あの装甲へマトモに撃ち込んだとしても、ナイトメアシューターとリョウの火力をもってしても致命傷どころか、
中破レベルのダメージを与えることも難しいだろう。
――だとすれば。

14 名前:GM★ 投稿日: 2009/10/29(木) 08:16:52

(厄介な敵ですね……)
すぐさまナイトメアシューターに番えていた矢を放つ。
転移したては、真魔であれ僅かに隙が出来る。
攻撃準備を維持したままのリョウがこの瞬間、優位に立つ。
そして――。
エネルギーの塊と化した魔弾が真魔に吸い込まれてゆく。

が、しかし。
その魔弾は真魔の胸に突き刺さる瞬間、再び真魔の掌に掴まれ、その動きを止めた。
(動体視力と反射神経が化け物ですね)
苦笑いを浮かべながらも素早く複数の矢を同時に番える。
「――これなら、どうです?」

闘気で身体を宙に浮かせたまま、連続射撃。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

15 名前:GM★ 投稿日: 2009/10/29(木) 08:17:34

「――っ!」
気配が現れたのは右上前方。
重力に任せた踏み込みでリョウを白兵戦に持ち込める距離。
完璧に読むことは出来無い。次は相手も油断しない。
こうなれば、先程のようにヒットは至難の業ではある。
否、先程の一撃は掴まれたまま真魔の身体には達していない。
あそこまで優位な状態にも関わらず、一撃も与えることが出来なかった、とも言える。
(まともな戦い方では……あっという間に終わりますね)
高速転移を使う白兵系の魔族。――相性が悪すぎるのだ。

長距離射撃で本領を発揮するリョウとしては、距離が近ければ近いほど不利になる。
逆に魔族は得物から白兵を得意とするのは明白。距離が近ければ近いほど有利となる。

(だとしたら……私の打てる手は)
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16 名前:GM★ 投稿日: 2009/10/29(木) 08:18:24

ザシュッ!
弓でガードしたものの、弾ききれなかった衝撃波がリョウの肩を薙いだ。
(く……ぅ、思ったよりキビシイですね)
リョウとて白兵技術は高レベルで学んでいる。
眼前の魔族の異常な身体能力について行けなくとも防御に徹すればそうそう遅れはとらない。
魔族の戦術・戦略レベルはそう高くなく、力任せ、魔力任せな攻撃が多いからだ。
だが――。目の前の敵は……。

「人間の、戦い方……やはり、真魔は普通の魔族では……ぐぅっ!!」
強烈な連続攻撃を捌き続けるリョウに、闘気と魔力、瘴気を含んだカマイタチが傷を増やしてゆく。
(この傷、瘴気で爛れ始めていますね。長期戦は完全に不利、と。やれやれ)

傍目から見れば、絶対的に不利な状況に追い込まれつつもリョウは冷静さを失わない。
実際、ここまで相性の悪い相手、しかも真魔という正面からマトモに戦えば勝てる訳も無い存在なのだ。
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17 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/26(火) 23:00:19

クロスボウから発射された光弾は、至近距離で防御した魔族を足止めしてリョウを反作用で後ろに飛ばした。
それは、即ち魔族とリョウとの間が大きく開いたということでもある。

「ナイトメアシューター、お願いしますよ」
言葉と共に、リョウは一気に自らの闘気を流し込む。
普通の弓ならば容量をオーバーしたり、本体が出力に耐えられなくなる程の急速高密度の闘気。
それをいとも簡単に吸収するように受け止めてしまうのが、この魔弓の恐ろしいところだった。
(今は、頼もしいですが……ね)

ナイトメアシューターは、その闘気を数倍に増幅、濃縮して禍々しいオーラを放つ矢が形成する。
これもこの魔弓の特徴。だが、力を使えば使う程、リョウは生命力を削られるような脱力を覚える。
更に――異能まで注ぎ込めば……。
(この一回が限度ですね。これでダメなら、さっさと逃げることにしましょう)
凄まじい精神力と集中力で魔弓の弦を引き絞る。
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18 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/26(火) 23:00:53

ゴォォォォ!!
風を切る音が天から響く。
上空から一直線に"降りて"くる闇の塊。
先ほどリョウが撃ち放ったナイトメアシューターの矢だった。
リョウの異能"バリスティック・ルーラー"は軌道を自由に変化させることが出来る。
それでも、物理法則の支配は逃れられない。
飛び去ってゆけば、矢を戻すのに時間はどうしてもかかってしまう。

しかし――。
今、真魔に向かっている矢は……。
(計算通り、ですね)
転移を予測し、真魔を透過した瞬間に上空へ軌道を変えてリョウの真上近くへ飛ばしておいたのだ。
そして、具現化するであろうたいみんぐを測り真下へ降ろす。
敵具現化位置への修正は異能を使えば容易い。
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19 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/26(火) 23:01:58

横目で見るとヴァルトデス軍は結界に守られてつつ、前線を離れ始めている。
――魔群の中央には瘴気に満ちた暗雲。
更なる召喚の気配が渦巻いていた。

「以前よりずっと、召喚ペースが速くなっていますね」

恋人達を安全地帯へ置いてきて良かった。
そう思いながら、魔の群れを見つめる。
そして、一つため息。

「さすがにこの傷の事は聞かれるでしょうね……」
エスイトスの結界領域まで入り、安堵しつつも、今度は別の不安が襲い掛かってくる。
彼女達の元を離れる場合、まず疑われるのが"浮気"。
恋人が複数いる時点で、既に言い訳しようが無い為、これは手の施しようが無い。
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20 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/26(火) 23:02:37

◇ ◇ ◇

エピローグ

「なるほど。――今回の功績の報奨として私の身体が欲しいのですね」
ソフィーの涼しげな瞳がリョウを見つめ、艶やかな唇からとんでも無い言葉が出る。
導連最高導師であることを示す複雑な呪紋の描かれた黒いローブをたっぷりと盛り上げている胸元はいつもながら形が良く、
その美貌と相まって、冷たくも甘い色気を放っている。

「なっ、何を言ってるんですかっ!?」
リョウは顔を片手で覆って呆れたというジェスチャーをする。
――つい、指の隙間からエルフらしからぬ爆乳をちら見してしまったのは、男としては仕方ない処だろう。

「そうですか、私の身体を自由にしたくは無いと」
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4 王国崩壊 (Res:22)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 4
1 名前:GM★ 投稿日: 2009/02/03(火) 08:18:48

阿鼻叫喚。
そんな表現が相応しい光景が広がっていた。
夥しいまでの骸と黒い影。
少し前まで活気のある街であったその地を喰らい尽くすように赤と黒の模様だけが広がっていた。
ヴァルトデス王国西部の都市レティレスレイン。
国王派閥内の対立により短い期間で遷都を繰り返した挙句、決定された新王都。
今、そこは地獄と化していた。
戦火に蹂躙された街を思わせるが、人が起こす侵略の特長ともいうべき略奪、陵辱は一切無い。
――なにせ、生きて動いている"人間"が存在せず、物欲も性欲も無い殺戮と捕食を目的とする生物だけが蠢いている状況なのだ。

魔族の大規模降臨。
それは、眞東部・ヴァルトデス西部へ集中して起きた。
どちらも分裂し内戦が起きた国、その一方の勢力の首都。
そこが"偶然にも"降臨の中心地となっている。

「国王派の壊滅は、我々にとっては都合がいいが、どう考えても……作為を感じる。何より、これは酷すぎる……」
小さな身体に不釣合いな口調で腕組みしながら、ヴァルトデス王国教皇シーレストが呟いた。
国王派の探査妨害用結界が破壊された今、かの地の様子は遠く離れたサラフ神殿で閲覧することも出来る。
だが、導蓮協力の元、貸し出された魔導偵察球によって映し出されたレティレスレインは、悲惨なものだった。
「確かに。この地では無く、シーレスト様はご無事と聞き、安心致しましたが……。同じ国の民がこのようなことになってしまったのは……」
ヴァルトデス王国へ魔族降臨の報により、急遽、教皇の下へ戻されたバーンは教皇の言葉に深く頷き、
自らの無力を想い、歯噛みする。
ここまでの規模では仮にバーンが戦場にいたとしても、何も出来なかったであろうことは間違いない。
以前の聖地汚染とは桁が違う――。国王派を擁護していたユビキタス原理主義者にはかなりの使い手も多くいた。
無論、第一使徒であるエスイトス=ラルを上回る者はいないが、それでも相当な戦力を保持していた筈だった。
それが――結果的に奇襲となったとはいえ碌な抵抗も出来ず壊滅。
王族は死亡を確認できてはいないものの、恐らく生き残ったものはいないだろう。

16 名前:GM★ 投稿日: 2009/10/21(水) 20:42:40

勝負あり。
否、既にルドルフは死んでいる。
誰が見てもそう結論づけざる得ない惨状だった。
過剰な程のロザリオに串刺しにされ、床に縫い付けられたルドルフを睨みつつ、バーンはゆっくりと息を吐いた。
「ふ……ぅ」

血だまりが広く伸びて床一面を紅に彩る。
もし、仮にルドルフが神力術で傷を塞ごうとしても、突き刺さった無数のロザリオ形の矢に阻まれて果たせないだろう。
一定時間、回復不能な傷を与え続けるのもこの術の特徴なのだ。

が――。

「まだ、だな」
カインの声が未だ緊張を帯びて発される。
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17 名前:GM★ 投稿日: 2009/10/21(水) 20:43:55

「さすが、教皇の下、粛清に励んでいた部隊だけはある……。くくく、実戦慣れは大したものだ」
ルドルフは嘲りと皮肉を交えて言葉を紡ぐ。
確かに、教皇直属の部下であるバーンは勿論、ヴァルトデス最強の部隊である緑旗軍も教皇に近く、その命を果たしてきた。
教皇に仇なす者を制圧、逮捕したことも両手の指では足りないほどだ。
ソレを”粛清”と皮肉っているのだろう。
(確かに、我の手は聖職者としては血に染まっている)

「遺言はそれだけか?」
イラついたようなカインの声がルドルフの言葉を遮る。
潔癖な性格なだけに、任務での正当な戦闘行為とは言え粛清等と揶揄されるのは不快なのだろう。
「くく、同胞を殺してきた自覚はあるようだなぁ」
戦況は圧倒的有利なのにも関わらず、ルドルフの言葉は剣のように鋭く、バーン達の胸をえぐる。

「――お前達も、私と同類。否、自覚を拒否しているだけ更に下劣だといえるのではないか?
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

18 名前:GM★ 投稿日: 2009/10/21(水) 20:44:36

「だまれ!だまれ!!!!」
バリィィン!
ルドルフの身体に突き刺さっていた結界が砕け散る。
噴き出す神力に似た、瘴気を伴う魔力が周囲に漂う。
そして――バサリと音を立てて漆黒の瘴気で構成された翼が一対。

白と紅と黒。
衣と血と翼。
色鮮やかに禍々しくその姿を彩っている。
顕現している力の質は――悪しき者、ユビキタスの天敵そのものだった。

「ルドルフ、貴様……」
「何を驚いているのだね?私の異能の最終形態を見れたのだ、光栄に思って欲しいね」
「――魔族に魂を売ったか」
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19 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/13(水) 23:55:44

血刀による斬撃は、バーンの筋肉を切断し、深々とした傷を残している。
"Cross of Sort"の副作用も相まって満身創痍。
傷を受けていない箇所が無いほどにダメージを受けている。
(ふむ、生体回復のみで傷を修復し、神力術は防御に)
常人ならば致命傷。痛みで何も考えられなくなるであろう傷を負いつつも、バーンは冷静に次の手を考える。

ルドルフとバーンでは剣術は勿論、神力術でも向こうが上。
フィジカル面でも異能を発動させている状態のルドルフ相手では分が悪い。
勝算があるとすれば――。
(ルドルフの生体波動から見れば、解かる。あの力は自らの命を削り、魂を闇に染めて得たもの。
加えて我が放った"Cross of Sort"による傷は完全に癒えてはおらぬ)
神力の塊とも言える"Cross of Sort"はルドルフが纏っている負の瘴気と一番相性の悪い属性。
恐らく、食い込んだクロスは今もルドルフの身体を蝕んでいる。

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20 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/13(水) 23:56:31

「ぐぉぉぉぉおおお!!」
バーンの強固な結界と筋肉の鎧をルドルフの血刀が切り裂く。
「ぬうんっ」
それでも尚、バーンは間合いを崩さずデュランダルを振るいつつも防御に徹する。
ルドルフは多才かつ正真正銘の天才。
公式の剣術大会、神力技会等では全てバーンの上位にルドルフがいた。
しかし、その上に――使徒最強のエスイトス=ラル。
更なる高みに圧倒的実力を誇るソル、教皇シーレスト。
バーンにとっては、エスイトスやシーレストは勿論、ルドルフもまた妬みの対象にすらならない。
(いつでも、越えるべきは昔の己自身。他者を羨み妬む必要など無い)
そう考えていたからだ。

ルドルフにはそうは思えなかったのだろう。
己の異能が発する瘴気に犯され、猛り狂うルドルフの剣を受けつつバーンは冷静に彼を見つめる。
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21 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/13(水) 23:57:17

「バーン=マーディ。君の言う通りのようだ……くくっ、これも私が選んだ結末か」
既に作り出した眷属も塵と化し、カイン、フレデリカの二人も静かにこちらを見守っている。
なぜルドルフが異能発動に失敗したかは、バーンには解からない。
しかし、幾つか推測は可能だった。
(ルドルフの異能は、異界からの力を取り込み魂を破滅させる程の力を人に与えるもの。
幾つかの事件から推測すれば、それは他者を操り人形にして行うものだったのだろう。
だが、最後の最後、ルドルフは己自身に使用した。そこが落とし穴だった、か)

「虚無の心に力を流し込む……ことが、ごほっ。
私の意志が強く残っていた故に、劣化が――くくっ、こればかりは実験するわけにも行かなかった……な
私は、私自身に負けたのか。ふん、それもいい。
君にも、あの男や教皇に負けた訳ではないのだから」
自嘲の笑みを浮かべ、ルドルフは再び立ち上がる。

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22 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/13(水) 23:58:02

◇ ◇ ◇

エピローグ


「そうか。ルドルフは――」
シーレストの唇がため息を吐く。
被害一つ無く、無事、謀反を起こしたルドルフ=カンツォーネを処分。
強大な実力を持つ使徒の謀反を未然に防ぎ、死者0という見事な結果にも関わらず教皇の顔色は冴えない。

「はい。しかしルドルフが我々を迎え撃つ前に離脱した、彼の養女エレオノーラ=エレクトラ=スミスは未だ逮捕出来ていませぬ。
必要とあらば捜査の手を広げ……」
「解かっているだろうに、バーンも」
苦笑いを浮かべ、シーレストはその幼い顔に笑みを浮かべる。
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5 女神守護 (Res:32)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 5
1 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/27(火) 03:22:54

――銃声。
魔力強化された銃弾が凄まじい回転で加速しながら放たれる。
続けて二発、三発。マグナムは"敵"の動きを予測しながら引き金を引く。
(ヤツにこんな単純な銃撃が当たるわけねぇ)
いくら精度と威力が高い魔導機銃だとしても照準が射撃手の技術に委ねられる以上、
マグナムより上手の者に正面から当てるのは難しい。

だが――。
銃撃で牽制中に編んでいた術を解放。
土煙を上げて、土中からエネルギーの柱が"敵"を襲う。
銃撃前に地雷のように作用する爆裂系魔術を仕込んでおいたのだ。

「おっ、と。やるなマグナム」
アクロバティックに宙へ身を投げ回転しながら、相手は余裕の声をあげる。
銃撃で地雷原へ追い込まれたにも関わらず、それすらも身体能力だけで回避している。
「余裕ぶっこいてるのも今のうちだぜ!」
再び銃声。
威力を抑え、連射に特化したモードに切り替えての激しい銃撃。
幾つもの火線が中空に軌道を描く。
が――その軌道上にいた相手は一瞬の残像を置いたまま宙返り状態で掻き消えた。
身体能力を使った曲芸じみた回避中に、ちゃっかりと転移魔術を編んでいたのだ。
ここまではほぼ完璧にマグナムの戦術は読まれている。
(そりゃ当然だよな。どんだけ毎日一緒に訓練させられてんだよ)
心の中で毒づきながら、再び銃撃と同時発動させていた魔術の効果を解放。

術式とは前回と同じ、地雷系統。
しかし、今度は空気中に。相手が転移先と選んでいるであろう場所へ前もって――。
ッッッゴォォオオオオオオン!!
予め爆発させておく。

26 名前:GM★ 投稿日: 2009/12/16(水) 09:58:05

しかし。この状況では指向性の強い高エネルギー体を放つこの武器は最大の威力を発揮してくれた。
更には、マグナムの魔導技術と魔力ならば十数秒はそのまま具現化し続ける。
身体を貫いている以上、神力術による治癒も効かない。

「さて、と」

身体全身に行き渡らせていた、身体操術を発動。
一挙に頭と身体を"近接戦闘モード"に切り替える。
(レティンと修行していた成果がこんなところで出るたぁね)

敵は軽い鎧型結界によって全身を覆い、近距離で拘束結界か結界武器を使用して自分を倒すつもりだった。
コストの高い転移と攻撃に移るための準備で防御はかなり手薄になっている。
その上、不意打ちを喰らい、高エネルギーの剣で鎧型結界は砕け、痛みと混乱で動きが鈍っている。
――完全に白兵戦に備えていたマグナムの敵ではなかった。
(省略されました・・全てを読むにはここを押してください)

27 名前:GM★ 投稿日: 2009/12/16(水) 09:59:02

◇ ◇ ◇

強大な神力に操られる拘束結界と結界剣の嵐を避け、懐に潜り込む。
剣界に鋼鉄の領域を作り出し、全てを薙ぎ払っては結界を砕く。
それでも尚、無限に湧いて出てくるような力に、若干押されカイの足が止まる。
しかし、その顔には不敵な笑みを湛えたまま。
(ふん。神力と術の基本出力は滅茶苦茶上がってるが、巧緻性は逆に欠け始めている。
薬の影響で理性的な思考が出来なくなってるせいだな。
……何より実戦経験も無く、本能的な動きに身を任せることもできねぇって中途半端加減が――)

「甘ぇぇぇんだよっ!!」

ズッザザザザザ!!!
雷を纏った強烈な斬撃を4m以上離れた距離から打ち込む。
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28 名前:GM★ 投稿日: 2009/12/16(水) 09:59:42

「いや。思ったより弱そうなんで、つまらねぇなと」
軽口を叩くと、ぶんっと右腕を凄まじい速度で振るった。
途端、剣界が鋼の嵐と化す。
ずたずたと触手を切り取りながら、ゆっくりと前へ。
それでもすぐさま再生する触手は剣界の隙を狙おうと四方八方から押し寄せてくる。
「くくくっ、減らず口を。ほらほら、こうやって攻勢を強めれば――」
触手の再生速度が格段にアップし、カイの剣界を蝕む。
拘束結界の間に入り込んでいる結界刀として機能する触手の先端がカイの頬を切り、赤い雫が散る。

「ったく。うっとおしい」
再び雷。
強力な斬撃と雷光の如き剣気に触手が焼き払われる。

「無駄無駄ぁ。ソルの再生力を舐めて――ごばぁぁっ」
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29 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/08(金) 23:29:48

エピローグ

――戦闘後の静寂。
カイが二人、マグナムが一人。
そして、僅かに遅れてレティンが一人……敵をし止め、戦闘は終了。
S級ルナ同士の戦いでは良くあることだが、その内、敵三人は原型を止めていない。
神力術の使い手である以上、防御と回復が間に合わない程の威力を叩き込まなければならないのも理由の一つだった。

「で、内一人はマイスター・マギ……いや、"マイスター・マギと同じ顔"だった訳だ」
マグナムは、自分が倒した白装束の男の襟を持ち顔が解かる様にカイ、レティンへ見せる。
「ほう、慎重な言い方だな」
面白がるようにカイが笑う。
「神力術の実力だけなら、そう断定しても良かったと思うけどなー。同じようなのが四人もいちゃ、よ」
苦笑交じりにレティンが補足を入れる。
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30 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/08(金) 23:31:52

「で、魔術師のお二人さんは今のをどう見るよ?」
発達しすぎて巨大な縄を何十にも重ね合わせたような腕を組んで、カイが質問してくる。
「ユビキタスが関わってるのは間違いねーっと言いたいところなんだけどな」
マグナムは一つため息をついて、言いよどむ。
「あん?アリス像を襲撃してきたのが、あのいけ好かねー聖者議会のヤツなんだから関わってんのは間違いねーだろ」
歯切れの良くないマグナムへカイが突っ込む。
目が笑っている処を見ると、どうやらマグナムが言いよどんでいる理由も承知した上での質問らしい。
先程の戦い方もそうだったが、単純な筋肉バカとは程遠い人物らしい。

「……まあ、な。
っても、襲撃するなら仮面で隠すなんて事をしなくても、別人の顔に変化させるのは簡単だ。
逆に言えば、マギの顔を作って襲ってきたのかもしれねー。濡れ衣を着せる為にな。
他にも幾つか理由は考えられるんだが、証拠が無くなった以上、全部憶測に過ぎねぇ」
そう言って頭を抱える。
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31 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/08(金) 23:32:45

◇ ◇ ◇

「ふん、結構使える奴らだったな」
導連メンバー二人を見送りながら、カイはにやりと笑う。
自分とベクトルは違うが、有能な存在を見ると嬉しくなるのだ。
純戦闘能力では当然自分が上ではあるが……。
(敵の情報を一番収集できたのは、あのマグナムってー男だったな)
当然、カイの目敏い瞳はマグナムが白装束の男の懐から例の薬品を抜き取るところを捉えていた。

(ルナを一時的にソルとする薬か。
身体にゃ悪そうだが……量産されたらかなり厄介にはなる、か)

それだけに、マグナム・レティンに敵対してでも確保しようかと一瞬考えた……が。
(俺が持っていても仕方ねーしな)
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32 名前:GM★ 投稿日: 2010/01/08(金) 23:36:39

「べっ、別に睨んでなんていません!」
さすが上級ルナと言うべきか、エリが耳ざとくカイの言葉を聞き咎め文句を言ってくる。
そして、ナギサをぎゅっと胸に抱くと。
「……でも、ありがとうございました。私とナギサだけでは恐らく厳しかったでしょうから」
エリが深く頭を下げる。
星の傭兵隊長でありながら驕らず、礼を尽くすところはしっかり押さえている。
(さすが、上に立つ人物ってーところか)
「あー、仕事だしな。それに依頼完了まではまだ時間があるんで、礼を言うにゃ早い」
安全確認出来たらテキトーな処で切り上げようと思っていたカイだったが、珍しくそんな事を言ってしまう。

「はい。そうでした。――宜しくお願いします」
「うんっ。兄ちゃんがいれば、絶対無敵だよっ」
「ナギサ、貴方も護衛なのだから人に頼ってばかりでは……」
「うぅ、でもエリだって……」
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6 魔徒降臨 (Res:32)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 6
1 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/21(水) 01:47:34

厳しい鍛錬と任務の続く毎日。
しかし、充実した設備が整った環境と、神力術Sランクのルナが所属組織に揃っている為、
訓練・任務中での闘気出力過多による心身のダメージもすぐさま癒される。
そして――。
通称"ソウルコア"と呼ばれるシンの源泉。
そこへ直接治癒可能という驚異的な異能を持つ可愛らしい天使と、神力結界によりその異能をサポートする親友。
この二人と毎晩睦み合いながら身体・精神共に癒され、温かな眠りにつく。

魔徒が降臨したその日もまた、パティは雪の小さな身体を抱きしめ、恋に腕枕をしたまま就寝していた。
その豊か過ぎる胸元に深く雪を埋めている為、授乳するような姿になっている。

「パティ、恋ちゃん、雪君、起きなさい」
小さな雪を両側から抱きしめる形での川の字。
そんな三人の寝姿を微笑ましく眺めた後、レイナは小さめの声で囁くように言った。
「ふぁ……う、ううん?お姉さま……」
「ぁ、おはよう、ございます」
「ふにゃぁ、くぅくぅ」
三者三様の反応。
全員全裸である為、半身を起こすとその若く艶めかしい肌が露になる。
(ふふ、私もまざりたかったわ♪――今からでも、と言いたいところだけれど……)
レイナはチロリと唇を舐めて、微笑む。
だが、残念ながら今の状況はソレを許してくれない。

とは言え。
"予定されていたこと"である為、全く猶予が無いという訳でもない。
「ふふ、おはよう」
ちゅ。
三人の唇に甘く口付け、舌先でくすぐり堪能。光る銀の糸を引き、名残惜しげに離れ――用件を言う。

「魔族が降臨したわ。その数――1000万程度かしら」

26 名前:GM★ 投稿日: 2009/11/11(水) 01:59:45

音速を遥かに越える世界の中。
パティは剣界全てを剣気で蒼く染め上げながら疾走している。
周りの全てが止まったようにゆっくり動くこの感覚は、奥義を放った時特有の心地よさを伝えてくる。
そのゆるやかな時間の流れの中、標的である真魔だけが動いている。
パティの速度に対応できているのだ。

心なしか、真魔の唇に笑みが浮かんでいるような気がする。

(うん、ボクも解る。この瞬間は――楽しい!)

純粋なる剣での決着。
悪意と狂気しか発していなかった真魔が見せた奇妙な"人間"らしさ。
(あれ?人間らしい……あ、うん、ロセちゃん達は人間ぽかったから当たり前なのかな?
でも、じゃあ目の前の人は?だって、今まで絶対にオカシかったよ?)
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27 名前:GM★ 投稿日: 2009/11/11(水) 02:00:48

◇ ◇ ◇

空は白。地は蒼。
恋の魔力、パティの剣気の色に染まっている。
上空の召喚された魔族達への砲撃は未だ止まらない。
恋の構成した魔術式は複数の魔力砲門が数十秒もの間砲撃を行うもの。
一瞬で広範囲を覆うものでは無いが、流星のような光の束が時間差で幾つも走っては爆発する。

(維持……すごく、大変だけど)

全身が熱い。魔力を術式に変換する際に熱が身体に残るのだ。
媒介となっているクリアブレイズもまた強烈な熱を手に伝えている。

「追加、行くよ。クリアブレイズ」
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28 名前:GM★ 投稿日: 2009/11/11(水) 02:02:06

パティは刀身の8割を鞘に収めた姿で残心をとっている。
真魔はゆっくりと振り返ると、巨大な剣を振りかぶり……地面に突き刺した。
ズズズズ。
鋼鉄の塊のような刀身が斜めにずれてゆく。
(――パティさんの勝ち、だね。うん)
闘いそのものは見えなくとも、恋は一瞬眺めただけで全てを悟る。
パティと一緒に戦っていた時、何度も見た光景なのだ。
その確信を深めた瞬間、真魔の身体は剣ごと崩れ落ちて蒼い炎に包まれた。
同じように、朱連の方も魔族を片付け退却準備に入っている。

(これで、あたしの役割は終わりっ。――最後の力、振り絞るよ!)
既に音声化機能のリソースも無いのか、クリアブレイズが恋の思念に僅かな点滅で応える。
恋も限界に近づいている。しかし、完璧な安全を確保するには長距離砲撃能力をもった魔族をも牽制可能な連続砲撃が必要となる。

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29 名前:GM★ 投稿日: 2009/12/03(木) 09:03:01

◇ ◇ ◇ 

エピローグ


「すぐに東方師団に連絡したから、後は彼らが抑えてくれる筈。
……もうちょっと押し返せると思ったのだけど、召喚速度が思ったより速い。
戦線にもう少し柔軟性を持たせる布陣を作らないと、一気に瓦解するかもね」
少し悔しそうに朱蓮がため息をつく。
魔族には大きなダメージを与えた上に味方の被害をほぼ0に抑えた。
これだけでも驚異的な指揮、戦術能力ではあるものの、それでは納得いかないらしい。

「それにしても、貴女達結構使えるね。……私の部下になんない?」
パティと恋に視線を向け、朱蓮がにっこりと笑って言う。
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30 名前:GM★ 投稿日: 2009/12/03(木) 09:03:31

「上手……?」
朱蓮の瞳が剣呑さを増す。
「そ、それは。ほらっ。せっちゃんは癒しが得意だから、ね?神力術が上手いなーって」
ちらりと慌てふためくパティを見て恋がフォローを入れる。
雪の異能を最も有効活用する方法……。
というより、恋とパティが雪とシてることを知られると、かなりマズイ気がしたのだ。
「そっ、そうだよっ。うんうん」
朱蓮と目を合わせず、パティもうなずく。
が――。
パティも恋も嘘は上手くない。
特に直情的で素直な性格のパティは嘘をつくととんでもなく不自然な口調になってしまう。

2人が言い募る度に、朱蓮の瞳の色が疑いに染まってゆく。

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31 名前:GM★ 投稿日: 2009/12/03(木) 09:04:49

視線の先には、人形のような端正な顔立ちにも関わらず穏やかな表情とふっくらとした頬が可愛い天使が。
――パティ、恋、朱蓮をみてにこりと笑った。
「えへへ、援軍に来ちゃいました〜」
鈴の鳴るような声。
女の子に冠される筈の慣用句がこれ以上に合う少年はいないだろう。
というより、性別そのものが関係ない小動物のような可愛らしさも纏っている。
にも関わらず天使のような気品や優しさ。
――そして、"食べてしまいたい"という嗜虐心をそそるような容姿。
話題に上っていた"雪"その人だった。

「せっちゃん!」
ぱぁぁっと笑顔で、嬉しそうに駆け寄って行ったのは恋。
反応速度は剣士としての実力と観察力を持つパティの方が早いものの、
そこは年上の余裕で一旦恋に譲るように身を引いたのだ。
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32 名前:GM★ 投稿日: 2009/12/03(木) 09:07:21

「あ……ぁ、ふぁ……ん」
恋の身体が軽く震えると、長い口付けは終わり、銀の糸を引いて離れる。
とさっ、あまりの快感の為か恋の身体が膝から崩れ落ちる。
「えへ。あとはお二人ですね」
雪の当たり前のような笑顔に
「う、うん!!ボクも!」
すぐさまパティも駆けて行き、自分より小さな雪の身体を抱きしめると熱烈な口付けを交わす。
流れ込んでゆく神力にも似た強烈な癒し。そして――甘すぎる程の快感。

恋もパティも異能を使用し消耗が激しいだけに、キスでのヒーリングのみでも耐え切れない程の感覚を得られる。
しかも、何度も何度もこれを経験すると身体が"欲しがって"しまうという現象が起きる。
既に二人はこの中毒性の高い快感に夢中だった。

「ん、ふ……♪」
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7 第六話共通プロローグ (Res:3)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 7
1 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/13(火) 06:17:12

予言されていた破局の引き金は、真紅の月のみが中天に輝く日に引かれた。



――眞国。
皇弟派の拠点、眞北東部の街"漢晋"。
つい先日、正式に首都と定めた東部最大の街を見下ろす城。
その最上階に存在するバルコニーに、眞の正統なる皇帝ととして戴冠式を終えた朱覧が立っていた。

優れた兄を妬み、自らの度量や力では無く、卑劣な策略と他者の力を借用しての皇位簒奪を行った男。
この男が策に乗ってくれたおかげで、既に巨大な国家として繁栄した眞は存在しない。
幾つかのイレギュラーはあったものの、基本的に自分の思惑通りに世界は動いている。
(それも、あの魔女に踊らされているのかもしれませんけど)
不快感と共に、心の中で呟く。
だが、既にこの世にかの者はいない。ならばあとは――。

「皇帝陛下。ここにいらしたのですか」
愚かな"駒"に声をかける。
「おお、天那か。例の作戦の首尾はどうだ?」
振り向いたのは端整な顔立ちの青年。
ルナである為老いが遅く、今や反乱軍の先鋒となっている朱蓮のような娘がいる年には見えない。
「滞り無く。全てはシナリオ通りです」
そう、シナリオ通り。
天那(アマナ)は表情を変えず、その冷たい美貌を皇弟に向ける。
眞の主席参謀にして前皇帝殺害計画の立案、実行を担当した自分に対して、この男は一切の警戒をしていない。
(まあ、したところで無駄ですけど)
今や眞の主力は朱蓮との戦いで前線に集まっている。
無論、首都にもかなりの戦力が滞在してはいるが――天那一人で全て片付けられる程度でしかない。

2 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/13(火) 06:18:19

「ふふ、そうかシナリオな。確かに、お前の予測通り朱蓮が反乱を起こし、東方師団は寝返った。だが……我らは優勢」
「リスクは想定通りの動きで発生させた方がコントロールしやすいですから」
ここまでの展開は全て天那が、暗殺計画時に皇弟へ語った通りになっている。
朱蓮の反乱や師団の同調も予測の内。それらを無理に阻止するより、誘導してやった方がリスクは低い。
そう語り、未来図を描いて見せたのだ。
その実績があるからこそ、この"駒"の信頼は自分へ向き、より操り易くなる。
だがそれも――。

「あとは仕上げか。悪魔すら味方につけるお前の才があれば――」
世界征服。そんなコドモっぽい夢でもみているのだろう。
「準備は出来ています」
天那は空をちらりと見上げ、応える。
"準備"したのは大昔にファルトゥースを滅ぼした"犯罪者"と、得体の知れない魔女なのだが。

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3 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/13(火) 06:20:50

「こ、この者達が……我の軍として……手足となるのか」
天那は今まで、何度か魔族召喚機を作成、敵軍と召喚した魔族や眷属を戦い合わせ殲滅するという作戦を行ってきた。
だからこそ、そんな"妄想"が言葉としてでたのだろう。

薄く笑う。

「いいえ。彼らは人には制御できません。だから―ー」
「なっ?!天那よ、冗談は……ごばっ」
遠く離れた召喚地点から数条の光が城に突き刺さり、その一つが朱覧の頭を吹き飛ばした。
顔の無い身体が数歩歩き、天那へ向けて倒れこむ瞬間、一瞬、蒼い光に包まれて消滅した。

「さて、これで私のお仕事は終了。マイスターのお戯れも大概にしてもらわないと……っ!?」

そんな呟きを漏らした天那の表情が強張る。
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8 竜神依頼 (Res:14)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 8
1 名前:GM★ 投稿日: 2008/08/13(水) 18:35:43

鋼の暴風が、荒野の大地を削り、周囲の空気を焼く。
豪腕から放たれる剣気は周囲に破壊の跡を刻んでゆく。
「しかし――会う度に腕を上げている」
その爆撃のような剣気をいなし、弾きつつ黒髪を逆立てた青年が評論するように言う。
「るせぇぇぇ!」
カイは裂帛の気合と共に、雷を纏った疾風怒濤の一撃を目の前の青年――竜族の長ソウシン――へ叩きつけた。

ソウシンの左腕が刃を捉えきれず、吹き飛んだ。
初めての展開にカイが思わず心の中で喝采をあげた、隙とも言えぬその一瞬。
左脇腹に激痛が走り、一瞬、視界がブラックアウトした。
カイの巨体が受身すらとれず地面に叩きつけられバウンドする。
そして――止めとばかりに空中から急降下してきたソウシンの膝が入る。
手刀が喉に突きつけられ、カイの動きを封じる。
「ゴホッ、ぐ……こ、の」
「俺の勝ち、と。ま、当たり前と言えば当たり前か」
軽く肩を振ると、光が集まり一瞬で腕が再生する。
竜族の長であるソウシンは"ソル"。無限とも言われる心力をもつ彼には簡単なことなのだろう。
「ちっ、好きにしろ」
「約束どおり――依頼を受けてもらうかな、"鋼の旋風"」
「くそっ!」

以前にも何回かあったやり取り。
ソウシンを目の敵にするカイに対し、自らとの戦いを餌に"仕事の依頼"をする。
勿論、通常のルナを遥かに凌ぎ、体格だけでなく桁違いの戦闘能力を誇るカイであっても、竜族の長に単体で勝てるわけも無い。
このような展開になれば、ソウシンの依頼を受けざるえなくなることは明白だった。
(だが、今回は腕を吹っ飛ばせた――あの切り札が完成して、当てられりゃ、再生の間も無く吹っ飛ばせる筈だ……。ぜってーにいつか、その首ふっ飛ばしてやる)
ギリリと歯噛みして、カイはソウシンを睨みつけた。
そんなカイの内心を推察出来ないソウシンでは無いのだろうが、全くそ知らぬげに笑みを浮かべ、衝撃的な言葉をさらりと言った。

「もう少しで、アリスが復活するから。それまで石像の護衛よろしく」

8 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/05(水) 05:32:48

名の宣告と共に。
魔族"タウルス"の姿が消える。
(ちっ、今度は――)
ギィイイイイイイン!!
正面。
優れた空間移動能力を用い、死角を突くという定石を逆手に取った一撃。
しかし、それもカイの読みには入っていた。
「ぐっ」
だが、再び衝撃波と共に次元の欠片が飛び散り、カイの全身を血まみれにしてゆく。
無論、カイもまた同じように闘気を浴びせかけているものの――威力と性質が違いすぎる。
貫通力の高い次元刃はカイが全身に纏う闘気の鎧をいとも簡単に貫通するのだ。

さあ、どうする?
そう言いたげな冷たい眼差しでタウルスが鍔迫り合いを挑んでくる。
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9 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/05(水) 05:33:50

「るあぁぁぁあああっっ!!」
雷のように変化した闘気・剣気を纏わせた巨大な鋼鉄が振り下ろされる。
異能・身体操術で最大強化されている筋力が生み出したその速度は、S級ルナの平均レベル等遥かに超えるレベルだった。
それでもタウルスとて魔族。凄まじい反応速度で鎚をかざし受け止めるが――。
「ぐぁっ、ぬ……ぅ」
今度は、タウルスの全身から血が吹き上げる。
黒衣に幾つもの染みが浮き出て、鎧の数十箇所がズタズタに裂けた。
滅茶苦茶な急速最大出力を行ったカイの腕もまた幾つもの裂傷が走っている。
カイの"もう一つの異能"をヒントに爆発させるように筋力と闘気を一転集中する技だった。

「どうよ、中々おもしれーだろ?」
ギリギリと鉄槌ごと押しつぶすようにプレッシャーをかけ、カイはにやりと笑ってみせる。
戦闘技術そのものは互角。
だが相手は、心力容量、再生能力は勿論、他のフィジカル面で人間を圧倒している魔族。
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10 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/04(日) 02:33:45

声の主は癖一つ無い長い黒髪を腰まで伸ばした美女。
纏っているのは医者のような白衣。そして、その背後には蝶の羽を小さくはためかせている体長30cm程の妖精。
「ふん」
突然の闖入者に驚いた様子も見せず、タウルスの槌が一閃。
カイを牽制すると共に――次元刃の欠片を美女と妖精の方向へ無数に飛ばす。
カイへ向けたと思われた一撃はフェイク。標的は邪魔者を片付けることだったらしい。
(ま、派手に登場したんだ。いきなり無様に退場ってこたぁーねーだろうしな。ついでに俺の戦いを邪魔してくれたんだ。それなりの実力なけりゃー死んでも文句はねーよな)
そんな思惑もあって、タウルスの一撃を受け止めず避ける方向で動いたのだ。

「タイタニア、頼む」
「はい、ナトセ」
美女と妖精の簡単な言葉のやり取り。
途端、迫っていた次元刃が一瞬で砕かれ消滅した。

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11 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/04(日) 02:35:26

黒い影が動く。
凄まじい速度で鉄槌が振るわれたのだ。不意打ちの一撃。
それは、カイの頭部へ一直線に。

ギィィイィイイイン!!

「はっ!見くびるんじゃねーよ」
間合いの近いカイを不意打ちで吹き飛ばし、その反動でナトセと呼ばれた美女へ向け一直線に踏み込む。
タウルスはそう算段をつけたのだろう。だが、この程度を読めないカイではない。
見事な軌道を描いた文句なしの一撃を大剣の根元でがっしりと受け止め、威力を吸収した。
ダメージは、ピッと次元刃の欠片が頬に傷をつけたのみ。
ギリリ。
鉄槌と大剣の刃が削りあう。
――それは、ナトセとその友妖精タイタニアがタウルスを射程に捉えていることを考えれば、紛れも無い隙となる。
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12 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/04(日) 02:35:58

選択肢は無い。
タウルスの表情が物騒な色を湛えたまま歪む。
「いいだろう。これ以上魔女の掌で踊る必要も無い」
また、妙なことを言う。
途端、周囲に突風が吹き荒れる。次元刃を幾重にも混じらせた嵐。
「ぬぅぅん!!」
ジェーダスの結界が周囲に展開し、カイを含めた味方を包む。
同時に、ナトセとタイタニアが次元刃そのものを迎撃し、消滅させてゆく。
しかし、それはタウルスに対して攻撃面での反応を鈍らすには十分。

「この借りは必ず返す!!!」
――怒声のような声と共に黒き巨躯が一瞬で掻き消える。
(ひゅぅ、さすが次元を操るだけあって見事な転移っぷりだぜ)
敵ながら、タウルスの気持ちは痛いほど解る。
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13 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/04(日) 02:36:48

エピローグ

「大変だったみたいだね」
ゴォオオォォォ!!
鋼の光が風と共に、そう言葉を発したものの喉へ吸い込まれる。

時は真夜中。
例の騒動があった夜。
あの後見つけられた復活の兆しを示す"ヒビ"により、ラトナはお祭り騒ぎとなっていた。
魔族と思しき者が襲撃をかけてきたことも、復活の信憑性に拍車をかけ、既にアリスの復活は規定のものとして扱われている。

そんな喧騒を他所に、"アリスを救った功労者"であるカイは宴を断り、異能で使用した闘気を回復させる為に眠りについていた。
無論、S級ルナであるカイは、熟睡した状態であっても他者が部屋に入れば、
すぐさま飛び起きることのできる気配察知能力を誇っていた。
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14 名前:GM★ 投稿日: 2009/01/04(日) 02:38:56

「竜族ってのもシガラミがありそうだな、はっ」
嘲笑してやると。
「――まあ、五月蝿いのを全員喰らってもいいが……独裁もまたメンドイ」
物騒なコトを言い出す。
「だから人間を駒代わりか?」
「竜族も結構危機的でね。あんまり個体数を減らす危険を冒したくないってのもあるな。元々人間が元凶だし」
ソウシンは、例の"降臨"に関して深い事情を知っているのか、薄く笑う。
(人間が元凶、ね。つーことは、やっぱファルトゥース時代の人間が何かしたってーこったな。あのタウルスってのが言っていた"盗能者"ってのと関係があるのか?)
そんな思惑はおくびにも出さず。
「俺の知ったことか。――このトカゲ野郎がっ!」
ドスの効いた声で脅すものの。
「勿論、カイは自分の自由にしてていいって。こっちもソレを尊重するんで」
余裕で返される。
それは、『戦いを餌にまた依頼するので宜しく』という、自分の勝利を前提とした言葉。
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9 【SS】魔域破壊 (Res:22)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 9
1 名前:GM★ 投稿日: 2008/08/10(日) 09:00:27

主亡き、月の魔女の邸宅
そこに在る雪専用の寝室で、甘い呼吸が聞こえる。

「雪君、大丈夫かな?」
全裸をシーツにくるませたまま、パティが雪の顔を覗き込む。
「ふにゃぁ、はいー」
ふんわりと笑顔を見せる可愛らしい美貌がパティを見つめ応える。
(あぅ、なんだか癒されるよ〜)
思わずきゅっと胸に抱きしめて頬すり。

――月の魔女が失われた"あの時"
パティは激昂のあまり、全ての異能を発動させた上に、肉体の限界を突破して神無月凛に斬りかかった。
だが、そのオーバーブースト、過出力はパティ自身の生命や心力の根源すら傷つける激しいもので、
副作用の心力低下によって戦士生命の危機にまで至ったのだ。
その為パティは、レイナから"雪と恋による"数週間の"治療"を命じられ、完全回復した数日前までずっと雪、恋と交わりながら過ごしてきた。

「元気になりました?」
無邪気で無垢な笑顔。
雪の異能の一つは、性交による心身への完全な癒しと心力の移譲、増幅。
その力をパティの激しい損耗を回復、治癒。更なる力の増幅に注ぎ込んでいたのだ。
パティが、完全に回復した今も雪の異能を"味わって"いたのは――。
(――恋ちゃんにちょっと悪いなーって気がするけど、うん、お仕事の前に念のためだし……仕方ないよねっ)
魔女消失後、初めて月の傭兵としての仕事に挑むからだった。

親しく心を通わせた人を目の前で殺された。
その悲しみと喪失感、そして無力感はまだ残っている。
目の前ではなかったとしても、母がわりとも言える人物を失った雪も同じだろう。
だから、赤ちゃんのようにすべらかな雪の白い頬に口付けて、安心させるように言う。
「うん、ありがとう。――大丈夫、ボクは元気だよ」
「ちゅ……ん、よかったです」
「今度は絶対に、皆を守るから――ぜったい」
「はい」
もう一度口付けしてから、名残惜しげに離れる。


今回与えられた任務は、火力を必要とする魔族殲滅。
願っても無い再起戦の場だった。

16 名前:GM★ 投稿日: 2008/10/28(火) 23:06:32

「はぁぁぁぁぁぁっっ!!」
パティから発する剣気が増大し、巨大な竜巻がパティと魔竜を覆いつくす。
自分の感情に正直なパティなだけに、欲望もまた力となるのか、剣気の平均出力レベルや心力回復レベルまでが精神の高揚と共に引き上げられている。
(行ける!――ん、でも。踏み込みすぎないようにっ)
それでも尚、自分の役割を忘れないところは百戦錬磨の剣士だった。

竜巻に乗るようにして、宙を飛び、剣気を浴びせながら徐々に間合いを取る。

ゴォオオオオオ!!!
「甘いよっ!」
荒れ狂う魔竜が異能と魔術による迎撃を試みるものの、甚大なダメージを受けている状態では気力充実したパティの回避速度と乱舞する剣気による"受け"を突破することが出来ない。
竜巻の烈風の中、風にのりながら、パティは一気に力を解き放ち剣気の刃を叩きつける。
同時に反作用によってふわりと華麗に間合いを広げて――地上へ舞い降りる。
残心は忘れず、愛刀"剣竜"は既に鞘に納まりいつでも再び居合いを繰り出せるよう待機している。
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17 名前:GM★ 投稿日: 2008/10/28(火) 23:07:05

◇ ◇ ◇

本来ならば一瞬で発動可能な異能。
だが、詠唱時間、魔力充填時間を割けば、更なる威力増強が可能となる。
当然――精度も高い。
(パティさんには少し負担をかけてしまうと思っていましたが……)
ミスティの意図を悟り、見事に足止めをしてくれた。
既にこれ以上無い状況で、魔力充填を完了できた。

周囲に魔力の渦が生まれ、魔法陣が輝きを増す。
愛銃インフィからは凄まじい光芒が溢れ、充填されている魔力の高さを物語っている。
既にインフィは最大の威力での発動を可能とするブラストモードに変化し、ずっしりと重い外装に変化している。
この状態で放つは――。
(白霊氷砲。周囲への魔力残滓は極力残したくありませんからね)
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18 名前:GM★ 投稿日: 2008/10/28(火) 23:08:48

白なる奔流。
音を吸収して大気中の物質でさえ凍らせ砕く、白霊の流れ。
ミスティの異能と魔導技術、そして射撃能力の粋を集めた一撃が周囲を白に染めた。

――。
その純白の光に対抗するかのように魔竜からブレスが放たれる。
しかし、その音でさえ威力強化され、周囲の音すら凍らせる特殊な波動の前では無力だった。
熱線となって流れる竜のブレス、それさえ一瞬で飲み込まれ砕け散る。
魔竜の身体に冷気の槍が触れたその瞬間。
爆裂するように白い柱が幾本も天を突くように構成された。

魔力が一気に弾け、周囲の空気そのものを凍らせたのだ。
魔竜の身体も例外では無い――。凍りつき、一瞬で砕けた体組織もあれば、
そのまま氷の塊に封印されている箇所もある。
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19 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/27(木) 01:23:32

◇ ◇ ◇

エピローグ

「お姉さま!」
弾んだ声と共に、パティはレイナのエルフとは思えない大きく柔らかな胸に飛び込む。
そして、顔を埋め甘い至福の瞬間を堪能。更にぎゅぅっと身体を寄せて抱きつく。
「ふふ、甘えん坊ね。パティは」
そう言いながらもレイナもまた優しく抱き返してくれる。
「えへへ」
嬉しさのあまり笑顔が浮かんでしまう。

これは任務達成のご褒美。

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20 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/27(木) 01:24:16

「そうね。まだ早いかしら――」
「まだって……はぅ」
言葉でいぢめられながらも、パティは頬を染めてしまう。
「かぐやちゃんの計画通り、魔族を殲滅出来たら……その時にね?」
「んっ、ふぁ……。ええと、うん」
つい頷いてしまう。
「好きな人の子をいっぱい。……でも、パティは"好きな人"が多いから大変ね♪」
「うう〜、お姉さまのいじわる」
甘い甘い、未来への希望を交えたやり取り。
これは絶望的な状況下でのモチベーションを高める一つの方法でもある。
「ふふ、かぐやちゃんの研究には女の子同士でツクル方法もあったから……」
「え?それじゃ、お姉さまとも……」
レイナの愛撫と言葉で、パティの頬が真っ赤に染まる。
想像してしまった。
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21 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/27(木) 01:26:41

◇ ◇ ◇

カイゼルード皇帝の執務室。
普段は滅多に呼ばれること無いこの場所は、大広間や謁見の間と言って良いほど広い。
しかし、その広い空間に無造作に並べられている大量の魔導器の部品や空中に浮く魔法陣、映像投射窓。
皇帝レイノが武器製造も含めた"執務"を一番行いやすいよう配置されている。
謁見の間が対外的な仕事をする場だとすれば、ここは皇帝自身に一番"近い"場でもあった。

「すまないね。純魔族と戦わせた後、すぐ次の任務というのは……さ」
いつもの魔導甲冑を脱ぎ、美しい赤髪をたゆたわせ、皇帝レイノが微笑む。
「いえ、"ブルーブレード"との共闘ですから。私は楽をさせていただきました」
その凛とした美貌に一瞬見蕩れてしまったものの、顔には出さずミスティは淡々と答える。
実際、確かにかなりの強敵ではあったが、命の危機を感じるような場面は無かったといっていい。
異能も追い詰められての使用では無く、早期決着の為の手段として織り込んで使っている為、準備は万端だったのも大きい。
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22 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/27(木) 01:28:10

「コホン。その準備及び、次の任務のお話を」
ピンク色を帯びてきた空気を一掃するように咳払い。ミスティは殊更真剣な瞳を主に向ける。
「対魔計画Ωを前倒しにする。
――その為の技術者も確保できたんでね。次の任務はその"テスト"かな。……実戦まで」
一瞬、絶句。
「可能なのですか?」
つい問いかけてしまう。
レイノが計画していた「Ω」の内容は理解している。
だが、それは技術・規模・素材・資金全てにおいて豊かなカイゼルードにさえ実現は難しいとされている内容だった。
構想では最低でもあと五年で目処がつく、程度しか進捗していない筈だった。
「可能にするさ。その為に手を尽くしたからね。ほら、新しい技術者もミリーと気が合ってるようだし」
パチンと指を鳴らすと中空に浮かぶ窓が映像を写した。

「なんだとっ!この不潔な百合女めが!」
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10 【SS】東方援軍 (Res:22)All First100 Last50 SubjectList ReLoad 10
1 名前:GM★ 投稿日: 2008/08/10(日) 08:57:28

主を失った月に踊る天使亭。
月の魔女消失から数日間は灯りが消えていたものの、一月経つ現在では何事も無かったように営業している。
否、以前より人が多くなっている節があった。
それは――。

「私は"月の傭兵"では無いのですが……」
リョウはため息と同時に目の前の女性へ語りかける。
そう、この月に踊る天使亭は、月の傭兵とその支持者の情報交換の場として、以前の閑古鳥が嘘のように人が大勢集まっている。
――この場にいるのは"月の傭兵"関係者だと言っても過言ではない状況なのだ。

導連の食客、一時的に雇われただけの関係。
にも関わらず、この場で"月の傭兵"の幹部――レイナ・ウィンドを目の前にしているのはあまり好ましくない展開と言えた。
(これまでは諾々と巻き込まれていましたが……さすがに……)
既に今までの任務達成でそれなりの資金は得ている。
ラトナの政治闘争にかなり首を突っ込んでいる導連、月の傭兵からは少し距離を置きたいとも思っているのだ。
術師では無い以上、導連に加入するメリットは無く、月の傭兵に参入する気も無い。
(というか、女性ばかりで構成されているのだから私が入れる訳ありませんしね。何より……)
自称婚約者とブラコンな姉の顔を脳裏に浮かべ、ふるふると首を振る。

「ええ、だからリョウ君に頼みたいのは、月の傭兵とは関係の無いお仕事」
導連理事ソフィーと月の傭兵参謀レイナ・ウィンド。
ラトナを代表するこの二人からのアポイント。もう少しで契約が切れるとは言え、導連の食客としてラトナに在住している身としては断れる訳も無い。
(ただし、依頼を受けるとは限りませんけどね)
「というと?――私としては加熱している組織闘争から少し距離を置きたいのですが」
「大丈夫、組織闘争とは直接関係のない話よ。そっちはもう片付きつつあるしね♪」
ぐっとレイナが身を乗り出すと、大きく開かれた胸元が強調される。
その深い谷間に、つい目を奪われてしまいながらもリョウは努めて表情をクールに保つ。
「解りました……依頼の件、聞くだけは聞きましょう」
(――この人もエルフ族だったような……ソフィーさんといい、レイナさんといい、あの細い身体に大きな……あー、こら、何を考えてるんですか私は)
煩悩を振り払いつつ、リョウは警戒心を怠らないよう心に言い聞かせながら頷いた。

16 名前:GM★ 投稿日: 2008/10/21(火) 21:20:32

魔族やその他"コア"を有する生物は、コアを守る層が薄ければ薄いほど逆に魔力出力やその操作性は高まる。
人間で言えば重い甲冑を着るか、軽鎧を着るかという違いだろうか。
(あの魔族。ここまで硬い防御設定で、あれ程までの力を……。通常の黒鬼型より強化されてませんか?)
確認されている魔族の個体数はそう多い訳では無い。
比較的多い黒鬼型でさえ、眷属と比較すれば極小数。対魔戦経験豊かなリョウであってもそう詳しくは無い。
だとしても――ここまで戦闘能力が高いとは予想外だった。

(それでも――!)
限界まで高めた闘気を異能でコントロールし、矢を放つ。
ゴォオオオオオオオ!!!
周囲の空気を引き裂き、闘気そのもので形成された矢弾が、淡い光を撒き散らし真っ直ぐバーンへ向けて直進する。
そして……。
突如凄まじい速度で急降下、急上昇。
物理法則に反した、ありえない弾道を描き、見事にバーンの身体を避けて魔族の下腹部、丹田の辺りを直撃した。
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17 名前:GM★ 投稿日: 2008/10/21(火) 21:21:03

◇ ◇ ◇

目の前で、魔族の腹部が弾けコアが露出した。
「ふむ、成功――か」
バーンが白兵での防御と拘束結界によって魔族を足止めする。
その隙にリョウの射撃による攻撃にて多大なダメージを与えるという単純な作戦。
しかし――通常なら無謀な作戦でもあった。
そもそも防御特化したとしても白兵戦型の魔族の間合いに入り、避けるのでは無く打ち合っての"足止め"というのは論外。
更に、白兵戦状態で射手の援護を求めるのもまた非常識な戦術だと言えた。

今の作戦は、人外の防御・再生能力をもつバーンと、常識外の精度を誇る弓使いであるリョウの合作だからこそ可能となったのだ。
(ここまで上手く行くとは――リョウ殿、恐るべしといったところか)
白兵型の凄まじい戦闘能力を誇る魔族と一歩も退かない拠点防御戦を繰り広げていた自分自身を棚に上げ、そう評する。
だが――次の仕事は。
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18 名前:GM★ 投稿日: 2008/10/21(火) 21:21:45

それでも――。
身体操術の全てを筋力に回し、心力は闘気と変えてデュランダルへ流し込む。
(この程度のかすり傷で我が退くものか!)
そして、激痛を無視して目の前のコアに全力で刃を叩きつける。

ピキン。
漆黒の水晶の如きコアにヒビが生まれる。
魔族の咆哮が断末魔の色を帯び――再び激痛。
次は左肩に毒々しい爪が食い込んでいる。
「ぐ、ぬ――」
筋肉と腱が切断され、力が緩む。
それでも尚、体重を一気にかけて刃を食い込ませることは止めない。

そこへ。弓鳴りの音。
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19 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/19(水) 12:08:44

◇ ◇ ◇

エピローグ

「りょーーお!!……今日という今日は――」
「説明してもらいます〜」
「あ、あの。二人とも落ち着いて」
導連から格安で提供されているラトナ近郊の邸宅。
庭とプールの付いた、豪邸とは言わないまでも十分に大きなその家はリョウの"恋人達"が管理している。
自然と、家でのリョウの立場は女性陣によって隅に追いやられいた。
特に――。
姉、クレア。自称婚約者のアリア。リョウ自身が恋人と認識しているマリア。
この三人に詰め寄られると、弱い。

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20 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/19(水) 12:09:15

勿論、普通の戦いであれば彼女達はかなり高いランクのルナ。
特に姉のクレア、婚約者のアリアはS級。
状況や戦い方によってはリョウすら凌ぐ程の戦力となりうる素質もある。
それでも――。
(未曾有の魔族襲来、その最前線というのは……)
三人共、リョウの援護が出来るのならば、とその役割を厭いはしないだろう。
いや、恐らく積極的に申し出ることが容易に想像できる。

だからこそ、リョウはソフィーにいざという時、彼女達は比較的安全な防衛部隊での援護活動に回してくれるよう頼んだのだ。

今回の任務後、更に衝撃的な話も聞かされた。
予測しうる魔族とその眷属の召喚総数は一億に届くとのこと。
あのソフィーがそれでも勝算はあると考えているとはいえ、被害は大陸・群島全てを巻き込むだろう。
人類の存亡を賭けた徹底的な総力戦となるのは必至。
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21 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/19(水) 12:10:03

◇ ◇ ◇

「ふむ、そうか……朱蓮率いる眞革命軍への恩を売ることは成功、導連への義理も果たしたな。
バーンよくやったぞ。さすがは"ラスボス"だけあるな」
笑みを含んだ賞賛の言葉に、バーンは憮然とした仕草で頭を下げる。
対象は遠距離通話能力を持つ結界水晶が映し出す教皇"シーレスト"の映像。
(ぬぅ、シーレスト様まで、あのようなあだ名を。我のどこがそのような禍々しい存在であるというのだ)
ズタボロになった鎧から人外の体格・筋肉を魔族の血で黒く染め、自らの紅の血潮と魔族の漆黒で染めた姿は、どう見ても戦闘型魔族そのものなのだが……。
バーン自身にあまり自覚は無い。
「だが、それ以上にソフィーの提供した召喚されうる魔族の具体数は……衝撃的だが貴重でもある」
可愛らしく小さな体に不似合いな口調で"教皇"シーレストは腕組みをする。
「しかし、ソフィー殿は対応策そのものは未だ示さず秘密裏に動いている様子……それは、ちと」
バーンにはそこがひっかかる。
そこまでの規模で起きる大災厄であれば、全世界に公表し今も続く争いを止め、人類一丸となって動くべきではないのか、と。
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22 名前:GM★ 投稿日: 2008/11/19(水) 12:11:42

「幾つか、情報はある。しかし噂の範囲……彼らと共闘状態にある今、私が動くわけには行かないんだ。
とりあえず私が得た情報はお前に渡しておく」
と、情報結界と呼ばれる円形の結界水晶がバーンの目の前に転送された。
「お手数おかけました。我のことで骨を折ってもらい申し訳ありませぬ」
バーンの脳裏に俗物派筆頭の使徒の顔が浮かぶ。
恨みを買う覚えは無い、とは到底いえない。彼らの行動を妨げ、また陰謀を阻止したことは何度もある。
その何れも、トカゲの尻尾きりで終わり、本尊までは届かなかったが……。

内戦の混乱に乗じて、邪魔なバーンを――ということだろうか?

「解っていると思うが……ヴァルトデスにいるとは言え、私は決して情報に対しての優位性をもってはいない」
ため息のようにシーレストが嘆く。
幾多の才能を持つ彼女ですら、"教皇"という地位により高く掲げられている為にどうしても生の情報は得難い。
強大な力を持つ教皇は、幾つもの制限を架せられている。
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