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エロトラップダンジョンロワ

1 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/10(日) 21:47:50 Mt9nBPtc0
世間の人は虎を、性欲の虎を放し飼いにして、どうかすると、その背に乗って逃亡の谷に落ちる。
――森鴎外


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2 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/10(日) 21:48:33 Mt9nBPtc0
チク、タク。チク、タク

チク、タク。チク、タク

チク、タク。チク、タク




時刻を刻む時計の針音が鳴り響く。贄を欲する怪物の呼び声の如く



チク、タク。チク、タク

チク、タク。チク、タク

チク、タク。チク、タク



時計の針が刻む度、暗闇に包まれた世界は光に満ち溢れ、人々は自分たちがとある部屋に居ることにようやく気づく

周囲の壁にはアンリ・マティスの絵がずらりと飾られ、部屋の最奥、そこだけ明かりが灯されていない漆黒の空間の両側には、アルベルト・ジャコメッティ作「歩く男Ⅰ」「指差す男」の彫刻が置かれている

絵や彫刻の他、無造作に配置された白い台座の上には様々な物が置かれている。それは宝石箱であったり、衣服等の物品であったり

――最も、それらが元々『誰』であったのか、それを今いる彼ら・彼女らが知る術は存在しない



チク、タク。チク、タク

チク、タク。チク、タク

チク、タク。チク、タク―――



針音が鳴り止み、ゴォーン、ゴォーンと鐘の音が鳴り響く
鐘の音と共に、最奥の闇は光に照らされ、椅子に座った一人の男の姿が顕となった


「グッド・イブニ〜〜〜〜〜〜ング、諸君」


目の前に姿を晒した男の第一印象を言葉で表すならば、異質の一言
手足が異様に長く、服装は赤と黄緑の左右非対称。それはそれで芸術品としてはあり得るかもしれないが、実際に生きた人間として見るならばまさに異質
芸術の世界から飛び出してきた架空の住人、と言っても過言ではない


「突然呼び出しちゃって申し訳ないねぇ〜。まあ、でもこれは君たちにとっては特でもあり損でもある、まあ賭け事みたいなものだと思って気軽に行こう」

何が気軽に行こうなどと一部が心のなかで突っ込みたい気分を抑えたのを尻目に、男はペラペラと言葉を続ける

男の言葉に、『賭け事』という言葉にある意味安堵するもの、逆に警戒するものと様々だ。おそらく、ここで日常と『非日常』の差が明確に分かれる。そして








「と言っても、賭けるのは自分の命。そ、此処に居るみんなで殺し合ってもらうバトル・ロワイアル、さ!」

その男の言葉に、『日常』を謳歌していた側の人間は、望まぬして自らが置かれた『非日常』を自覚することとなる



「大まかなルール説明は会場に転移した後に渡しておく支給品袋の中にあるルールブックに載ってるから後で見てね〜。いやだってこれこれ細かいところ説明するのメンドクサイし」
「あ〜でも、特に重要な2つのルールは説明しておかないと」


割と雑な男の言動に一部が内心呆れ、一部は完全に恐怖に包まれるも、男はその重要な2つのルールについて話し始める


「まずは一つ、この殺し合いは、オークだとかゴブリンだとか、所謂NPCってのがいてね。……そいつらは率先して君たち参加者を性的な意味で襲いかかるように細工しているんだ」
「他にも、これは特定施設に限定されるわけだけど、参加者を淫らに狂わせるような罠も沢山あるのさ。所謂エロトラップダンジョンってやつ」
「あ〜、男性の方々も油断しないでくれない? 多分女体化トラップとかもあるし、なんならNPCに男色連中もいるかも知れないよ」


男の言葉に、耳を疑う者は多数。仮にも、ただの殺し合いであるならばどれだけ良かったか
『エロトラップダンジョン』という言葉は、一部の人間には聞き覚えがあった。故にその内容を知っている者からすれば、ある者は未知への好奇心、ある者は恐怖から震え座り込む

『無残に殺されるか』『拷問にも等しい快楽の渦の中で壊れるか』、どちらがマシか?
そんなもの、誰にもわかるわけがないのだ



「そしてもう一つ――これは実例で説明したほうがわかりやすいからさ……目を離さないで、よぉ〜〜〜〜く焼き付けておくと良い」


1つ目のルール説明の次、2つ目のルール――その説明をしようとした男が指パッチンで軽快な男鳴り響かせれば、天井のパネルの一部がスライドし、空洞から産み落とされるかのように巨大なモニターが出現
モニターの画面が付き、画面の中には一人の褐色肌の少女の姿が映し出される


3 : Opening of Sabbath ◆2FVYsixnq6 :2021/10/10(日) 21:49:30 Mt9nBPtc0
―○―○―

「で、これから私をどうしようってことかしら?」

クロエ・フォン・アインツベルンが目を覚ませば、自らが拘束され、まるで磔刑寸前の聖女の如き状態であることを認識した

クロエが拘束されている部屋は四方にカメラが配置された殺風景な真っ白い小部屋、彼女の正面にはモニターに映る、先程殺し合いの参加者にルールを説明していたのと同一人物
彼女の首には鉄製の首輪が装着されており、不気味に緑の小さなランプが灯っていた

「生憎、エッチなことしたいってなら諦めたほうが良いわよ。これでもそっちの方の知識は十分あるのよね、私」
『まあ確かに、君はそっち方面の知識は豊富そうに見えると思うよ。それにボクからの優しさで痛覚共有は切っておいた。後腐れなく抵抗してみたら良いと思うよ、――出来ればだけど、ね。メスガキちゃん』
「お気遣いどうも。で、これからどうするつもりなのかしら? あんたが私を弄ぼうっていうなら無駄なことだと思うわね。だってあんたのイチモツ見るからにヒョロそうだし。私のほうが主導権握って逆に弄んであげようかしら」
『生意気な口を叩けるのならそれで十分だなぁ。なんてったってそんなメスガキをこれからどうなるのか、それを客人達は楽しみにしてるんだよ。……今日の晩飯すっぽん鍋にしようかな』

男の『客人』という言葉に、これが見世物であるという可能性に行き着くクロエ。なんとも趣味が悪いと思いながらも、脱出の手段を脳内で模索していた
問題は首輪である。首輪の効力がわからない以上、下手に動くことは出来ない。拘束の方はいつでも脱出できるが、男の真面目なのか巫山戯ているのかよくわからない態度と言動

「さっさとするってなら始めなさい。退屈でこっちは仕方ないのよ」
『そうだねそうだね〜。それじゃあもう―――終わりにしよう』

男の言葉がまるで氷の如く冷たく鋭い音声を発したと同時に、首輪のランプが緑から赤に変わり、『ピーッ!』と警告音を鳴らす







「―――――――おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

その直後、クロエは発狂した。体中から汗や涙、そして様々な体液や尿を撒き散らし、拘束具を今にも壊さんとするほどに痙攣し、暴れ

「あがっ、あびゃがっががががっががががががっっっっっっっおぼごっがっががががあがびゃがぁぁぁいっっっっっ――――――あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっっっっ!!!!!!」


呂律が回らず、意味の成さない悲鳴とも言うべき雑音を垂れ流し、汁と言う汁を部屋中に撒き散らす

「あ………ぁ………………ぁー………ぁー………ぁ―――――」

1分ほど経過し、少女が金切り声のごとくか細い雑音を響かせ、少し痙攣して―――二度と動かなくなった
その姿は、魔法少女姿の褐色少女を、白と黄色で汚く彩った、余りにも悍ましい光景なのであった



【クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤシリーズ 死亡】


4 : Opening of Sabbath ◆2FVYsixnq6 :2021/10/10(日) 21:50:02 Mt9nBPtc0
―○―○―

「何が起こったのか軽く説明するとね、彼女は首輪からナノマシンを注入されたんだ。それは人間の感度を『3千兆倍』にする媚薬を含めた。埋め込まれれば体中に入り込んだナノマシンが性感を活性化させ、脳が焼き切れるほどの快楽を与える」
「その結果、彼女の脳はあまりの快楽にオーバーヒートして死亡。所謂デスアクメってやつ」
「クロエちゃんは皆に、もうすぐ始まる殺し合いでもしルールを破ったらどうなるかを身を以て教えてくれたのでした、南〜無」

モニターに手を合わす、男の巫山戯た態度と言葉に一部の参加者は暴れだす、ただ死ぬだけのほうがマシで、あんな事され方なんてまっぴら御免だと
冷静を保っていた参加者も、一部はかなり動揺しており、怒りの感情でそれを隠すのに精一杯な者が多数
ごく一部は興味深いと目線を向け、一部は逆に自分がどうなるかを楽しみ恍惚とした表情を浮かべるものも

発狂者たちの行動が煩わしかったのか、男が再度指パッチンを鳴らすと、天井の角から砲口のようなものが出現、そこから部屋中にガスが噴出され、部屋にいた、参加者として呼ばれた哀れなる贄達は次々と眠りこける


「――どうせルールブックに載ってるから説明不要かもしれないけど、念の為。もしこの絶望と性欲に塗れた殺し合いでたった一人生き残れたのなら、どんな願いでも叶えた上で、副賞として20億円プレゼント!」
「それじゃあみんな、頑張ってねぇ〜〜〜〜〜! シー・ユー・アゲイン!」

その言葉を最後に男は去り、部屋の中に光が包まれ、そこにいた大勢の人々は光が止むと共に何処かへ消え去っていた


5 : Opening of Sabbath ◆2FVYsixnq6 :2021/10/10(日) 21:51:10 Mt9nBPtc0


『実存主義』という言葉が存在する。簡単に説明するならば「人間が中心である」という哲学思想

ジャコメッティの作品を評価した実存主義哲学者サルトルの有名な言葉に「実存は本質に先立つ」という言葉が存在する

キリスト教の世界観に置いて、神様が必然的にこの世のすべてを決めているという「予定説」があり
そのため人間には神様の創造した本質(魂)があって意味があるという宗教思想が根本に存在するのだ

この考えと全く逆で否定する思想こそが、実存主義、無神論の概念の一つでもある




「皆様方、わたくしのオープニング・セレモニーはどうだったでしょうか」

何処ともわからぬ暗闇の中で、男は『客人』たちへ話しかける

「皆様の享楽と性癖を満足させられたのであれば、わたくしとしても満足の限りです」
「未だ至らぬ点もありますでしょうが、そこは追々精進していく所存でございます」

『客人』たちの姿は見えない。彼らはどこか安全な場所か、ある意味は特等席か、どこかで見下ろしていることは確かなのだ



「―――」

喋り終えた男は、沈黙と静寂の中、新たに映し出されたモニターから会場と参加者を見下ろす
今回の会場はダンジョン『浮遊大陸』、そして浮遊大陸のマッピングは『客人』たちに募集をかけて決めたものだ。どんなマップが募集されたかは男ですらわからない

だからこそ、それが愉しいの。神はサイコロを振らないが、人はサイコロを振るものだ



この場所に『神』はいない。居るのは『人』か、大いなる力を得た『人』か

もし『神』が実在するとしても、それは参加者として連れてこられた者だ



人間存在こそが最初。神の時代は終わらせ、『人』の時代を到来させようとするは欲望に塗れた『人』

享楽と性欲と混沌に満ちた盤上は今此処に幕を開ける

男は、ヒエール・ジョコマンはその始まりただじっと、笑みを浮かべて見つめるのであった



『主催』
【ヒエール・ジョコマン@劇場版クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望】


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6 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/10(日) 21:51:47 Mt9nBPtc0
『ロワルール』
※殺し合いの期間は3日間。優勝者には優勝者の『どんな願いでも一つだけ何でも叶えた』上で、『副賞20億円』が授けられる
※死亡者放送は6時間毎に行われる
※参加者に与えられるの
・大概のものが入る不思議デイバック
・不明支給品1〜3
・水、1日分の食料
・名簿と基本ルールが記載されたファイルが入っているタブレット
・名簿と基本ルールが書かれた紙
・文房具一式
・懐中電灯
・媚薬



※参加者には首輪が填められており、これが起動した場合、首元に注入されるナノマシンと感度3千兆倍を可能にする媚薬によって強制的に絶頂させられ、脳が焼ききれる程の快楽を以て殺害される
※ただし別の条件の場合は起動ではなく爆破となる

首輪の起動条件又は爆破条件は以下の通り
『両方どちらかがランダムに発生するパターン』
・主催による意思
『爆破条件』
・異能等による首輪への干渉
・過度な首輪への衝撃
『起動条件』
・会場からの脱出
・制限を無視した異能の行使
・禁止エリアに指定されたエリアへの侵入


※放送で主催者が指定したエリアが侵入禁止エリアとなる
放送度に禁止エリアは計3マス指定される
参加者が禁止エリアに入って一定以上の時間が経てば、首輪は起動する

『書き手ルール』
※登場候補話を募集。条件は特になし。最初から複数人が登場するSSの投下、最初からバトル、最初から※退場話、なんでもあり。一話退場した場合も、その参加者は名簿に載る
そのため支給品も参戦作品関係なく好きなものを持たせても結構です。支給品の説明があると>>1が助かります
この候補話の中から>>1が選んで参戦キャラを決定。
※登場候補話募集の前に、ロワマップの募集を行うことにします。期間は10/15の22:00で期限後に>>1が抽選王を利用して決定することとなります。そのため登場候補話募集解禁は10/16の00:00となります。
マップの大きさに制限はなしですが、余りにも大きすぎたり小さすぎたりは控えてください
※MAP内にはNPCが存在し、一部施設は俗に言うエロトラップダンジョンになっています。エロトラップダンジョンの配置はMAPコンペでのMAP候補作成者に一任します。
また、NPCの配置や種類は登場候補話書き手に一任しますが、「これ参加者で良くね?」的な感じのはお控えください

『補足』
※こちら側の都合で新しくwikiを作れないので、誰か代わりにページ作成をしてくれると助かります
※ある種の実験用としての側面もあるため、差止めがかかれば停止となりますのでご了承ください


7 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/10(日) 22:32:18 Mt9nBPtc0
追記
・MAP候補のリンクはここに投げ込んでくれれば何よりです
・タイトルとコンセプトがアレなのですが、真面目にまともな話を書いてくれても構いません
元々実験としての側面もあるため、どしどしいろんな話を投げ込んでくれれば嬉しい限りです


8 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:18:31 7RojYPCE0
登場候補話、投下します。


9 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:19:21 7RojYPCE0
 かつて幸せを知らなかった僕は、幸せを憎んだ。そして幸せを知った僕は、幸せに苦しんだ。僕なんかが、幸せに思う権利なんてあるわけがないのだから。僕がいるせいで、幸せを奪われた人たちがいるのだから。

「ごめんなさい。」

――取れないんだ。

「ごめんなさい。」

――あの匂いが、鼻の奥にこびり付いて取れない。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……。」

――酒の匂いが。血の匂いが。燻るように苦い、愛液の匂いが。

「うっ……お゛……」

――部屋中に蔓延する、死の匂いが。

「お゛え゛ぇ…………。」

 込み上げてきた感情ごと、大量の吐瀉物をその場にぶちまけた。撒き散らされた胃酸の匂いが、僕の鼻につんと酸っぱい刺激を主張する。……それでも、もっと嫌な匂いが、鼻の奥から込み上げて止まらない。胃の中が空っぽになっても、この感覚からは、逃げられない。

「はぁ…………はぁ…………。」

 動悸がする。脈が波打って、足取りもおぼつかない。空っぽの胃ではまだ吐き足りないほどに、気持ちが悪い。

 原因は分かっている。人が死ぬ映像を見たこと……などではなく。人の性欲に訴えかけるような、この催しそのものを生理的に受け付けられないのだ。

 性欲なんて、僕は大嫌いだ。愛も幸せも喰らい尽くすように包み込んで――そして、夜の暗闇よりもドス黒く塗り潰していく。酩酊のままに薄汚い欲に溺れる奴が、淫猥な快楽に身を委ねる奴が……そしてそんな奴らから産まれた僕自身が、憎くて憎くて仕方がないんだ。

 本来ならば死刑が確定しているはずの僕――ラッセル・シーガーに架せられた『HD式・更生プログラム』も、今日で6日目。僕は例のごとく、夢の世界へ行く薬『HAPPY DREAM』を注射し、いつもの名も無き町で目覚める……そのはずだった。しかし、目覚めたのは見覚えの全くない空間。それも、よりによって性を生業とするかのごとき世界。僕が、最も嫌悪するもの。これは断じてまやかしの幸せなどではなく――ただただ僕に対する純粋な罰だった。

 プログラムの趣旨が大きく転換した理由には、心当たりがある。HAPPY DREAMの世界で過ごした5日間で、心の不完全だった僕の中に罪悪感というものが芽生えていったからだ。もしもそれがなかったとしたら、更生プログラムは打ち切られ、当初の予定通りに死刑が執行されていたらしい。つまり、プログラムが何かしらターニングポイントを迎えていたとしても、タイミングとしては特におかしくはない。

 これは全部ただの夢――そう思えたら、これほどまでに苦しまなくてもだろうけれど。しかし僕が今ここに立っているのは、そう思えなかったからこその因果なのだから皮肉なものだ。罪悪を覚えたから僕は苦しんでいる。今さら何も取り戻せないから。だけど、罪悪を覚えたからこそ僕は生きている。今さら何も取り戻せないのに。


10 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:20:28 7RojYPCE0
――でも、何かを取り戻せるとしたら?

『――どんな願いでも叶える。』

 唐突に、主催者の言葉が脳裏をよぎる。

 もし、どんな願いでも叶うのなら。僕なんて、最初から産まれてこなければよかったのに。……罪悪感を知ってからは、夢の中でみんなが笑うと、その度にそう思った。

 でもそんな願い、叶うわけがない。これはあくまで夢であって、この世界の外にいる人間は、神様でも何でもないのだから。もちろん、20億円という大金だって、どうだっていい。優勝者への特典に対して無欲であるならば当然、誰かを積極的に殺したいわけではない。

……でも。

『――お前が彼へとした仕打ち、件の証拠をこれへ持て。』

 閑照先生をあの時の包丁で刺さないと進めなくなった時みたいに。

『――彼女の背中を押せばいい。かつてお前がそうしたように。』

 ミレイユを、また突き落とさくてはいけなくなった時みたいに。

 HAPPY DREAMは、例え僕がそれをやりたくなくても、時に誰かを殺すことを要請する。そして今回は、今までよりも明確に分かりやすく、殺し合うように命じられたのだ。……つまり、そういうこと、なのかもしれない。

「……とりあえず、行かなくちゃ。」

 ここで誰かと殺し合わなくてはいけないのなら、僕はきっと、今までよりもずっと苦しいだろう。ここが人の性欲を礎とする世界なのであれば、体験してきたどの施設よりも、どの羅針盤よりも、不愉快な景色が待ち受けているのだろう。

 しかし、如何なる決断を下すにしても、僕は進むしか道は無いのだ。夢の世界の時間は、僕が動かなくては進まないのだから。


11 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:21:02 7RojYPCE0





「……意味が分かりません。どうして殺し合い……? それにどうして、あんな……っ!」

 見せしめに選ばれた女の子の末路を想起するとともに、幡田零はその場にへたり込んだ。同時に、ふわりと舞い上がり視界の隅に映る純白のドレス。この時に零は、自分が辺獄の代行者の姿であることに気付く。

 感度3千兆倍やら20億円やら……そのまま飲み込むには数字の桁が文字通り違いすぎた。しかしその数字の正否は置いておくとしても、女の子に注入されたナノマシンとやらが人を即座に殺せるだけの殺人兵器であること、そして辺獄の代行者の力を行使できる世界で殺し合いを命じられていること、それらが紛れもない事実であることは分かっている。特に後者はこの企画が辺獄という人間の規格の外にある世界で行われていることの証明であり、非現実的な出来事にも信ぴょう性が生まれてくる。

「ここが辺獄ならメフィスとフェレスが助けてくれるといいのですが……でもこの悪趣味さ、特にフェレスなら逆に関わっていてもおかしくないような……」

 零は深くため息をついた。仮にそうだとしたらおそらく自分の命までは取られずとも、逆にどこまでの辱めまでなら受ける羽目になるかは未知数だ。感覚が浮世離れしがちではあるものの、それでも零は年相応の女の子の範疇を大きく逸脱はしていない。陵辱を受けるのは当然に拒絶するべきものである。

「……願い、ですか。」

 しかし――主催者の提示した言葉は、こんな好色な催しの中でも零を揺さぶるに足るものであった。

「そんなの、決まってます。私の願いは、みらいを殺したあの時から、ずっと……」

 アナムネシスへの憎しみに囚われて、暴走した力。頭の中が真っ白なままに、私の剣は大切な妹のみらいを貫いていた。

 その罪悪があればこそ、7つの理念と引き換えにみらいをヨミガエリさせる契約を悪魔と交わすことも躊躇わなかった。その契約の遂行のために、罪もない、命だったものを何千匹殺すことになろうとも。

 その決意の先に、この殺し合いがある。今さら、願いのために誰を殺すことを躊躇するというのか。小衣さんや千さん、777がこの催しに参加させられているかは分からないけれど、必要ならば彼女たちだって、殺してみせる。

「はあ……何にせよ、まずは支給品の確認を――」

 一旦立ち上がろうと、地面に手を着いたその時。

――カチッ。

「……えっ。」

 何かを押してしまった感覚が手のひらに残った。

 その正体の模索を開始するよりも早く――この世界に点在するトラップのひとつが起動する。

「いやああっ!!」

 辺りの大地を突き破って、八方から襲い来る触手。運動神経の鈍い零は、反応する暇もなく両の手足を即座に絡め取られてしまう。

「は、離してっ……!」

 8本の内4本は四肢の拘束に用いられているが、まだ半分は残っており――その内の1本が、ドレスの内部に侵入を試みる。つうと走る太ももへの感触に、ぞわりと走る嫌悪感。この場がどういった場なのか知る零にとって、その向かう先とて想像に難くはない。

「嫌っ……ヘラクレイ……んむっ!!」

 慌てて守護者を呼ぼうとしたが、しかしその名は呼び終えることができなかった。顔に巻き付いた触手の1本が、その前に零の口を完全に塞いだ。

「むっ……むぐっ……」

 手にしていた武器も振るうことは到底適わず、ドレスの内部に侵入した触手に対し、抵抗の手段は残っていない。偏食により細く保たれたスレンダーな肉体を、触手は撫でるように弄び始める。素肌に触れる度に走る快感という名の不快感。その上でなお、がっしりと掴まれた四肢。零の抵抗手段をことごとく潰した上での愛撫は、零を諦めさせるには充分すぎた。

「むっ……むあっ!」

 脱出は不可能であると認めることで無駄な体力を消耗することは避けられたが、当然それは何の解決にもなりはしない。喘ぎ声すらも満足に出せないその状況。更には抵抗の手が緩んだことで、待機していた残る2本の触手も動きを見せ始める。零の装束を脇の部分から下へとずらし込み、はらりと露わになった胸の表面を擦り始める。

「ふみゅっ……んむぅーっ!!」

 胴体を擽るに留まっていたところに、唐突に加えられた性感帯への刺激。堪らず喘ぎ声のトーンが瞬間的に上がる。目に溜まっていた涙が一気に溢れ出て、耳元を伝って地面に落ちる。その体液は意味を与えられることもなく、儚く散っていった。


12 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:21:39 7RojYPCE0







 悲鳴が聴こえた方へと向かってみれば、僕を待っていたのは、怪物に襲われ、全身をまさぐられている少女の姿だった。その身を宙に浮かされる形で拘束され、どう足掻いても抵抗すらままならぬ状態。少女の背面から遭遇したことや、正面から顔に絡み付いている触手のせいで、その全貌はハッキリと見えない。だが、ここが僕の記憶から形成された夢の世界であるこという推測と、怪物が少女の身体を揺り動かす度にばさりと揺れる白銀の髪が、大まかな風貌しか分からぬその少女が誰であるのかを、ハッキリと物語っていた。

――ガーデニア。僕が殺した人たちの、1人。

 自分だけの部屋も、両親からの寵愛も、クラスの人たちからの人気も――彼女が当たり前のように持っていたものを、僕は何も持っていなかった。……それだけなら、まだ妬むだけで終わっていたのかもしれない。でも唯一の親友であるクリスまでも彼女に骨抜きなのを知って、唯一僕だけが持っていたはずのものまで彼女に奪われたような、そんな錯覚に陥って。気が付けば、僕は彼女をホールの階段から突き落としていた。

 半ば通り魔的に殺害したタバサですら、最後はどんな会話をしたのか覚えている。だけどガーデニアだけは、本当はどんな人だったのかを知らない。少なくともバースデイパーティーの誘いを受けた時にひと言ふた言くらいの会話を交わしたことはあるはずだが、その声すらも覚えていない。ましてや恋愛感情となればなおさら微塵も無かったし、そういった類の妄想すら抱いたことは無いと断言できる。

 それならば――僕の夢の中で淫らに発せられるこの喘ぎ声は、僕の記憶の如何なる部分に由来するというのか。その候補なんて、ひとつしかなかった。性欲に関連するものを意識的に遠ざけてきた僕が、唯一知っているそんな声など――母に関わる、忌々しいあの記憶しかないじゃないか。

 ああ、これは本当に僕に対する罰なのだろう。僕の心の中の大好きな人たちが無残に辱められた上で、淫らに堕ちていくその様相さえ、僕の知る限りの最悪の記憶で塗り替えられて。

 ……同時にどこか、納得があった。それが、最低な僕に対する、何よりもの罰だと理解しているから。だから僕は、彼らとの思い出すらも最悪の形で汚すこの催しを、受け入れなくてはならないのだ――



「――そんなのイヤだ。もう、みんなを苦しめたくない……!」


 頭の中に浮かんだ責務を、僕は否定した。

 どの口が言うか、と心の中の僕が僕に吐き捨てる。ああ、分かっている。みんなを苦しめているのは、他でもない僕だ。だってここは、僕の夢の中の世界なのだから。彼らの死すらも貶めて僕を苦しめるための駒にさせたのは紛れもなくこの僕であって、彼らの苦しみもまた僕に起因するものに他ならない。

「僕が殺したみんなが笑っているのは、とても辛かった。だけど……」

 HAPPY DREAMの世界は、幸せだった。今まで向けられたことの無い優しさを向けられる度に、心の奥から何かが溢れ出てくると同時に――それを壊したのは僕であると、嫌でも実感せずにはいられなかった。

 幸せは、僕を苦しめる。だけど、それ以上に。


13 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:22:06 7RojYPCE0
「……みんなが苦しんでいるのは、もっと、辛い。」

 一周まわっての、原点。しかし、ぐるりと一周まわったからこそ辿り着いた境地でもあった。

「だから……僕はみんなを助けたい。」

 ……結局、やることは今までの更生プログラムと全く変わらない。僕が殺してきた人たちと協力して、僕の心から生み出された怪物を倒す。悪夢の囁きは苦しいけれど。みんなの平穏のために戦うのは、胸が痛いけれど。……それでも、みんなを苦しめたくないと思うこの気持ちは、産まれて初めて、真に芽生えた気持ちだから。僕はそれを否定するようなことは絶対にしたくない。

 支給されていたナイフを手に取って、少女に絡み付いた触手を根元から断ち切っていく。敵の拘束と陵辱に特化した触手は、それ自体の耐久力は乏しいらしく、少し力を込めるだけで人の命よりもよほど簡単に、引き裂くことが出来た。

 触手の拘束から解放されると共に、少女は少し持ち上げられていた空中からどさりと落下した。しかしそれ以上の劣情に駆られた少女は、痛み程度では何の呻き声も上げなかった。未だ全身を駆け巡る感触が消えないのか、肩で息をしながら虚ろな目に涙を浮かべていた。僕はその様子を見ることなく、あさっての方向を向きながら声をかける。

「……大丈夫?」

「……ひぐっ……えっ……えっと…………あり、がとう……ございます…………。」

 目を背けながらも、おかしいと直感的に思った。状況が状況で錯乱していてもおかしくないとはいえ、ガーデニアが敬語で話しているのは妙だ。違和感の整合を取るために、半ば無意識にちらりと少女の方を向いていた。

「……あれ?」

 改めて見てみれば、少女はガーデニアではない別人だったようだ。だが、こんな角飾りの生えた人など、自分の記憶の中には存在しない。僕の夢の中の住人は僕の記憶で構成されているはず。現実世界にはいないニャン族やペンギ族なども、何かモチーフとなる記憶に基づく改変に過ぎないのに。だが、この少女の存在は自分のどの記憶とも、結びつかないのだ。

「…………あの。」

 ようやく冷静さを取り戻した少女の声が、僕の思考に割って入った。

「助けてくれたことには本当に感謝しているのですが…………ええと……あまり、見ないでください……。」

 考え事に耽っていると、少女は胸元を隠しながら言い放った。人によっては劣情をも与えかねないその言葉で、眼前の光景が僕のトラウマと重なるものであることに、気付く。

「……っ!」

 込み上げる嫌悪感に、再び襲い来る猛烈な吐き気。

「……ちょっと、仮にも私のあられもない姿を見ておいて、そんな反応って……」

 零の身体から目を逸らすというより、逃げるかのようなその反応を前に、零は苦言を呈しかけて――同時に、目の前の少年の異常なほどの拒絶反応が、トラウマのフラッシュバックによるものであることに気付いた。みらいを殺してしまった手にいつまでも貼り付いたように残っている、私を蝕む感触。私がずっとあの瞬間の光景に苦しんでいるのと、同じような。


14 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:23:08 7RojYPCE0
「……ええっと。」

 それに気付くと、零はいつの間にか言葉を発していた。

「私、幡田零っていいます。よかったら、一緒に行動しませんか? その……お互いに少しは安全かと思うのですが……。」

 我ながら、有り得ない一言だと思った。

 仮にこれが本当に最後の一人になるまで終わらない企画だと言うのなら、みらいをヨミガエリさせるために、早く参加者を皆殺しにして元の場所に戻らないといけないのに。

 仮に『どんな願いでも叶える』という特典が死者のヨミガエリすらも叶えられるのなら、それこそ私は優勝を狙うべきなのに。

 助けられたからか、共感を覚えたからか。どちらであっても、どちらもであっても、一緒に行動するなどあまりにも非合理的な原理だ。少しでも情が湧けば、それだけ切り捨てるのにも躊躇がいる。幽鬼を躊躇いなく殺してきた私も、利用するという名目を加味したとしても、多くの言葉を交わした777を殺すことには少なからず躊躇があった。

「……うん。」

 でも、言ってしまったからには戻れない。少年はこくりと頷いて、同行する運びはすでに決まってしまった。

「僕は……ラッセル。よろしくね、レイ。」

「は、はい……よろしくお願い、します……。」

 二人は半ば儀礼的に、握手を交わす。罪に塗れた掌に、微かに灯る人肌の感触。両者共に、どこか複雑そうな心持ちで、その手を離した。

【ラッセル・シーガー@END ROLL】
[状態]:健康
[装備]:ほんもののナイフ@UNDERTALE
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いには乗らず、HAPPY DREAMを完遂する。
1:レイは一体、何者なんだろう。
[備考]
※罪悪値が20を超えて、6日目開始地点からの参戦です。
※殺し合いの世界を、HAPPY DREAMの世界だと勘違いしています。

【幡田零@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:(身体は)健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜3(未確認)
[思考]
基本:生き残り、幡田みらいのヨミガエリを果たす
1:おそらくは優勝するのが最も確実な方法でしょう。
2:殺し合わずとも、メフィスとフェレスの助けは期待できるかもしれませんが。
3:何にせよ、エロトラップとやらはもうこりごりです……。
[備考]
※第六章「狂信者」以降、第八章(3)「光を愛せざる者」以前からの参戦です。
※貞操は無事です、今はまだ。

【支給品紹介】
【ほんもののナイフ@UNDERTALE】
UNDERTALEにおける最強武器だが、特別なものではなく、ごくごく一般的な包丁であると考えてよい。強いて一般的なナイフとの違いを述べるなら、それが殺人に用いられたナイフであるということ。


15 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:24:16 7RojYPCE0
投下完了しました。

あっち系の描写は初めてなので至らない点もあるかもしれませんが、どうかご容赦を……!


16 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/11(月) 08:42:29 7RojYPCE0
誠に申し訳ありません、登場候補話募集解禁日のルールを、完全に見落としておりました。今回投下した話は破棄致します。


17 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/13(水) 19:36:51 bUWbkJ7M0
ロワ会場の地図候補を二枚投下します

ttps://twitter.com/nanana_nameta/status/1447504629214769159/photo/1

一枚目の地図は地理院タイル(ttps://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html)を加工して作成しました。
地形以外は白地図なので、全て書き手任せになります。
なお、もしこの地図を採用することがあれば、他の場所に画像を張る際、一行目の地理院タイルのくだりは必ず貼ってください。
地理院タイル側の規約なので。


ttps://twitter.com/nanana_nameta/status/1447504629214769159/photo/2

二枚目はWolfRPGエディターで私が製作したものです。
こっちは特にいうことはありません。


18 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/15(金) 22:01:02 l/SdyAsg0
抽選王結果 ロワ会場の地図は

ttps://twitter.com/nanana_nameta/status/1447504629214769159/photo/1

に決まりました


19 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/16(土) 00:00:18 3DvOpTXY0
ではこれより登場話候補募集を開始します。皆様敷居の高さを気にせずどしどし投下していってください
期限は11/29の0:00までとなります

ではまず自分から一作投下させてもらいます


20 : ナデシコガール・ヴァンダリズム ◆2FVYsixnq6 :2021/10/16(土) 00:01:23 3DvOpTXY0
「……ここ、は……」

杜野凛世が『現実』を認識するのに、そう時間は掛からなかった
周囲に広がるのは暗闇と、平原と、誰もいない静寂と


「……っ!」


そして、あの男の悍ましい言葉の数々が夢ではなく、紛れもない現実だったことを否応無しに受け入れないと行けない、ということも
『現実』を自覚した途端、両手が無自覚に震え始める

厳格な家に生まれ、偶然という名の運命から彼女はアイドルという道を歩み始めた
その歩みの中で、彼女は彼女の中を広め、雪積もる世界を暖かく溶かす一筋の虹として、彼女の心の器を満たしていった。それは器から零れ落ちる程に豊富であり、掛け替えのないもの

そして今、杜野凛世は地獄の如き催しの坩堝の中にいる
感度3千兆倍、副賞20億円、どんな願いでも叶えるという元凶たる男の言葉
確認したルールブックに載ってあった理不尽な記載しかされていない文字の羅列


「……これは、紛れもなく」


あまりにも突拍子で、あまりにも理不尽で、あまりにも受け入れがたく
そう、けれど、けれどもこれはどうしようもなく現実なのだ


「………探さないと」


ハッと意識が冷静へと引き戻り、やるべきことを衝動の赴くままに
大切な思い出が、煌めく輝きが、絶望に汚される前に、壊される前に
輝ける虹の放課後クライマックスガールズか、自らの運命の始まりであるプロデューサー様か、どちらでも良い
この催しは、人の形をした芸術の怪物による饗宴。運命の断崖から転げ落ちた哀れなる贄を喰らい潰し、白く染める苦虐の大陸

駆けて、駆けて、駆けて―――悪夢の盤上、藍の着物を翻し走り抜ける
軋む靴は足を蝕み、這いずる常闇へ引きずり込もうとガタガタと揺らぐ

藍は星に煌めき色を辛うじて闇の中に示す、謂わば闇を裂く流星
行けども行けども闇の中、征けども征けども黒の果て

けれどもけれども彼女は止まらぬ、それでも止まぬは虹色の記憶





然し、然して然し、ここには『居』るのだ。か弱く少女を餐う『魔』が、殺害を望む『怪物』が


「GRUUUU………」
「……ひっ」

暗闇に映る、ギョロリと蠢く目玉、闇から這い出る緑色の身体が数匹。――ゴブリン、ファンタジー世界における魔物。小さくも普遍普通の陵辱者
吐息と共に恐怖の声が漏れる、同時に身を翻し走る、逃げる、走る、逃げる

「……ッ……ッ……!」

逃げた先には何があるか、わからずとも今は逃げるしか無い。ゴブリンが駆ける速さはそれ程ではない。自分の足で十分逃げ切れる程



だが、誰も気付かない、誰も気付けやしない。蒼い音速が、それらを追いかける用に、光走った事に








「撒いたのでしょうか……?」


森の影に隠れ、ゴブリンが過ぎ去るのを待つ。なるべく音を立てず、声を小さく
ドクンドクンと動悸が続く、緊張はまだ止まぬ。ゴブリンの数匹が森をじっと見つめている


「――――ッ」


思わず、息を呑む。夜目が利く分実はゴブリンの側が優勢。移動しようにも不要に音をだせば気付かれる
森の奥底から別のうめき声が、金切り音が聞こえている。おそらく別の化け物が鳴り響かせた音


(なんとか、ここから出ないと……本当に)


――殺されるか、壊されるか。齢16の少女にとっては、その結末は絶望に等しいもの、人生の終焉に親しいものであるのだ
その恐怖が、彼女の思考を鈍らせたのか、「それ」は突然牙を向いた


「妙な匂いを辿ってみれば、人間に巡り会えたのは僥倖だ」


声が聞こえ、ゴブリンに気付かれる事すら気にせず駆け出して、杜野凛世の身体は青い光に切り裂かれ、血飛沫を飛び散らした


21 : ナデシコガール・ヴァンダリズム ◆2FVYsixnq6 :2021/10/16(土) 00:02:27 3DvOpTXY0


仰向けに倒れ、動かした右手にはべっとりと血が。脇腹を触れば痛みが響き、血が漏れ出している

蒼い入れ墨、浅縹の肌、そして青のタンクトップと灰のズボンを着こなした、人の形をした『男(ナニカ)』
杜野凛世が見たのは、そんな、夏の夜の悪夢のような、夢であってほしかった、そんな現実の光景

「……だが、匂いがダメだ。喰うにはちと臭ぇ」

少しばかり見定めて、吐き捨てるように口にしたその言葉。明らかな、まるで気持ち悪いものを見ているような、そんな男の目
凛世の思考が纏まらぬ中、男はその紫の爪にてもう一度凛世を切り裂いて

「ああああああああああっっっ!」

二度目の激痛は耐えきれず、悲鳴が夜の森に木霊する。悲鳴に応じ、ゴブリンが凛世の元へぞろぞろと集っていく

「人の愉しみを邪魔してんじゃねぇぞ、ゴミども」

ゴブリンの行動を不快と思ったのか、一度凛世から離れたと思えば、瞬きする暇もなくゴブリンたちの内1体の身体が真っ二つに引き裂かれ、蒼い鮮血が周りに飛び散る
激昂し、襲いかかるものもあれば、我が身可愛さに逃げるゴブリンたち。襲いかかるものは尽く男の高速移動に反応すら出来ず切り裂かれる、逃げるゴブリンもまた男の癪に障ったのか切り刻まれ、絶命する


「……う……ぅ……」


青い蹂躙虐殺劇の中、痛みを堪え、這いずりながらも青い男から逃げようとする
このまま森にいても森にいるかも知れない化け物に何をされるかわからない。でも痛い、痛いものはすごく痛い。身体を引きずり、傷口に小石が擦れる。小枝の先っぽが傷口に擦れる


「誰が逃げて良いと許可した?」


堪えた所で、男からは逃げられない。ゴブリンを虐殺し終わり、逃げようとした凛世に向けて紫爪を突き刺す


「――ううッッッ」


二度目に比べれば痛覚が麻痺したのか痛みはマシ。でも、動きが鈍り、男に何度も何度も切り刻まれる

「ああ……あうっ……あああっ!」
「ほれほれ苦しめ、泣き叫べ! 苦悶の悲鳴で俺を楽しませろっ!」

切り刻む、切り刻む、男の赴くままに。足を、腕を、身体を、顔を
その度に、悲鳴は響き、苦痛の声は響き渡る。麻痺しつつある痛覚でも、余りにも耐えるには酷な時間


「………………プロデューサー、さ、ま」


か細く呟いた、愛し人の名。それは男には聞こえることはなく、少女は意識は朦朧へ揺らぎ溺れ、堕ちて……


22 : ナデシコガール・ヴァンダリズム ◆2FVYsixnq6 :2021/10/16(土) 00:03:14 3DvOpTXY0



「……全部とは言えねぇが、奴にやられた分は少しはスッキリしたぜ」

まるでトイレで大便を捻り出しスッキリ爽快となった気分の如く、男は
―――鬼は少しばかり上機嫌

鬼の目線の先には、見るも切り裂かれた着物、無残に切り刻まれた、鮮血に染まった少女と血溜まり


「………っ……」


だが、それでも少女、杜野凛世は生きていた。彼女の生命を繋ぎ止めたのは、それでも微かに残る「生きたい」意志か、それとも放課後の輝やける虹と、杜野凛世を虹へと導いた運命の人の――


「まだ生きていたか」


鬼は首を傾げ、少女を見下ろしている。いつでも殺せる。邪魔が入ろうとも、その前に殺せる
だがすぐ殺しても面白くない、もっと悲鳴を挙げさせて殺すか? もっと苦痛で顔を歪ませてから殺すか?
陽が上がるまで時間はある、悠長にした場合のデメリットは、いるかどうかわからない鬼狩りと鉢合わせしてしまうぐらいだ
だが、そんな奇跡があり得るはずがない。いや、あり得ない。偶然の偶然が重なってあの男が来る?
―――絶対にあり得ない


「今の俺はすごく気分がいい、その顔が全部赤く染まって、苦しんで苦しんで苦しみぬいた後に――最後に顔を潰してやるよ」
「――――――ぅ」


杜野凛世は動けない。動かないといけないのに、身体に力が入らない。地を這いずろうも血で滑り動けない


(――ああ、私は、終わりなのですね)


運命の出会いを得て、こんな終わり方になるなんて。杜野凛世にとっての放課後の終わりはこんなにも残酷な結末になってしまうのか


(放課後クライマックスガールズの皆様と過ごした日々は、私には余りにも尊い思い出でした)
(……プロデューサーさま、最後ぐらい、プロデューサーさまに、私の思いを届けたかったです)


過去の楽しい記憶と、諦めの気持ちが凛世を支配する。でも、ある意味そんな結末はまだマシなのかもしれない。怪物たちに身体を蹂躙され、穢されてしまうよりも、ずっと―――でも


(……でも、もし。もしも)


杜野凛世は願う。もしも奇跡がこの世にあるのなら

もしも、この世に『正義の味方(ヒーロー)』がいるのなら


(凛世は、まだ、死にたくないと、思ってしまうのです)


その零れ落ちる涙という名の願いは、儚く血溜まりに沈んで―――――

「それじゃ、最初の一撃はっと―――」

響くのは、鬼の残酷な死刑宣告


23 : ナデシコガール・ヴァンダリズム ◆2FVYsixnq6 :2021/10/16(土) 00:04:19 3DvOpTXY0











「―――じゃあテメェは一撃で終わりだよ」


ズ オ ン ! !


それは弾丸の如く、それは流星の如く
少女らしき声が響いたと思えば、超高速で突貫してきたそれは、鬼の頸を切り裂き、周りで隙を伺っていたであろうゴブリンの軍団ごと吹き飛ばし、割れたスイカの如く尽く絶命する
その衝撃で吹き飛んだ血塗れのままの凛世の身体は、それとほぼ同時に飛び出した狼男がキャッチ

(なにが、おきた―――ぁ?)

鬼は何が起こったのかわからなかった。自分の反応速度を超えた何かが、自分目掛けて飛んできたのだ


(ありえねぇ、あいつは兎も角、俺の速さを超えて動くなんて、人間なんぞ――なんぞ、にぃ―――)

絶対にありえない、自分の速度を超えた人間なんて、あの男以外に―――
塵へと消えゆく鬼の、飛ばされた顔が最後に映しだしたのは、衝撃の中心地に降り立つ、身の丈以上の大刀を携えた少女の姿


【音速の鬼@鬼滅の刃(アニメ版) 死亡】





「………生きてるか?」

狼男にお姫様抱っこされ、覚束ぬ視界に映る少女、杜野凛世は辛うじて首を振り肯定。そのまま気を失う
少女が近づき、心音を確認。鼓動が聞こえ、辛うじて生きているのを確認し安堵のため息を吐く

「……趣味の悪ぃ吸血鬼もいたもんだな。見るからに別嬪だってのに……クソッ!」

先程仕留められた『鬼』の趣味の悪さを察し、狼男は苛立ちを見せる

「……気持ちはわからんでもないが、まずはこいつの治療が先だ。傷は酷いが、痛めつける為だけなのか、確実な致命傷となり得るってわけじゃねぇ」
「あいつの趣味の悪さが功を奏したってわけか。いまいち複雑だな……」

だが、優先するべきは少女の様態。傷は酷く、早急に直さなければいけない

「……お前の『加速』でそいつごと……その傷具合じゃ無理があるか」
「ああ。あんたを『飛ばした』時とは訳が違うし、そもそも普通の人間で耐えれるかと言われると別だ」
「……じゃあ、素直に自分の足で運ぶしか無いってことだな」

少女と狼男が此処までやってきた手段。それは、『狼男』の『加速』させる力を以て、少女を加速させ突貫したのだ
『鬼』の匂いは狼男が察知した、移動したのは二人には見えていた、少女の悲鳴は聞こえていた。
成り行きで偶然出会った両者であるが、考えることは合致し、彼女を助けるためにあの青い閃光の主を倒すという結論の上で、あのような行動を取ったのだ

「七原、お前は索敵を頼む。そいつは私が担いでおく」
「いいのか、薫? 確かに直ぐに対応出来るなら俺の方がいいとは思うけれど……」
「気にすんなっての。敵が来たらそん時はまた、『スーパー薫コメット斬』かましてやればいいさ」
「……名前つけたのか、あれ」
「ヒーローの合体攻撃っぽくて良いだろ?」
「こっちはヒーロー名乗ってるやつのあんまいい思い出ないんだけどな」

杜野凛世を助けた二人。少女の名前は益子薫。狼男の名前は七原健
未だ常咲の庭の夢にて眠る少女を、先ずは安全な場所へ運ぶため、二人は混沌の平野を征く


24 : ナデシコガール・ヴァンダリズム ◆2FVYsixnq6 :2021/10/16(土) 00:05:23 3DvOpTXY0
【杜野凛世@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:傷だらけ、出血(多量)、気絶
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:みんなを探さないと
1:???
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします



【益子薫@刀使ノ巫女】
[状態]:健康
[装備]:祢々切丸@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あの気に入らねぇクソ野郎をぶっ飛ばす
1:今はこの少女を安全な場所に運んで治療する
[備考]
※参戦時期は最低でも第一期終了後




【七原健@血と灰の女王】
[状態]:変身中
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あのクソ野郎(ヒエール)は許してはおけねぇ
1:まずは彼女を安全な場所に運んで治療する
[備考]
※参戦時期は最低でも燦然党との開戦前




『支給品紹介』
【祢々切丸@刀使ノ巫女】
益子薫に支給。益子薫の御刀で刃の部分だけで2mは超える巨大な御刀


『NPC紹介』
【ゴブリン@ゴブリンスレイヤー】
狡猾で残忍、かつ極めて自己中心的で執念深い。
夜目が利き、暗所を好み、闇夜に乗じて害を振り撒く。
弱そうな参加者を積極的に襲い、基本的に女性は「孕み袋」にする。上位種もいるかもしれない。


25 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/16(土) 00:06:07 3DvOpTXY0
投下終了します


26 : ◆ytUSxp038U :2021/10/16(土) 00:13:19 NDJutIbg0
投下乙です。自分も一つ投下させて頂きます。


27 : 欲望と病と世界を終わらせる日 ◆ytUSxp038U :2021/10/16(土) 00:15:57 NDJutIbg0
欲望というのは人間なら誰しもが持ち合わせるものである。

例えば餓えて死にそうな人物に、一杯のスープとパンを与えたとしよう。
最初は涙を流して喜び、最高のご馳走としてありつくだろう。
ではそれが数日、数週間と続けばどうなるか。
徐々にそれだけでは物足りなくなってくる。
もっと沢山のパンとスープを飲みたい。いや、それより肉や魚、山盛りのフルーツが食べたい。
酒だって欲しい。それも安物じゃ無く、極上のワインを寄越せ。
質素な食事で満足したはずが、あれも食わせろこれも食わせろと際限なく膨れ上がるのだ。

他にこんな例も挙げてみよう。
幼馴染同士で結婚した夫婦がいたとする。
最初の数年はお互いを深く愛し合い、他の男女になど見向きもしなかった。
だが一定の期間が過ぎると、あれだけ愛し合っていた相手に飽きが生まれる。
そうなると別の異性との関係が欲しくなってくる。
もっと美人の女が良い。もっとスタイルの良い女を抱きたい。もっと若い女を自分のモノにしたい。
純粋な愛はやがて、歪んだ形になっていく。

無論、これらは極端な例に過ぎない。
されどどんな人間だろうと、ほんの少しでも欲を抱くことは否定できないだろう。
毎日の質素な食事にせめてミルク一つを加えて欲しい、一度くらいは他の女と関係を持ってみようか、
そんな欲が生まれてくるはずは絶対に無いと、どうして言えようか。

生物と欲望は切っても切れない関係なのだ。
成功する人間は己の欲を抑制する事ができ、破滅する人間は欲に呑まれる。

ではもしも、欲望が一切存在しない人間がいたとしたら?
美味い物を食べたい、美人と恋人になりたい、一生遊んで暮らせるだけの金が欲しい、そんなありふれた欲を抱かず、
幸福な人生を送りたいとすら願わない、そんな人間がこの世に存在したのなら。
それは果たして、生きていると言えるのだろうか。


28 : 欲望と病と世界を終わらせる日 ◆ytUSxp038U :2021/10/16(土) 00:18:19 NDJutIbg0



「あ……」

女が一人、へたり込んでいる。

その女、正確に言うと少女か。
息詰まるような白に金の刺繍が入った、軍服らしきものを着用している。
だが軍人のような堅苦しさは見当たらない。
大きく開いた胸元からは、服を突き破らんばかりに自己主張する豊かな乳房。
黒いスカートの裾から覗くのは、ガーターストッキングに包まれスラリと伸びた脚。
男の劣情を煽ぐスタイルの持ち主に相応しい、俗な言い方をすれば美少女と呼ぶのが相応しい顔立ちだった。

バトルロワイアルの参加者としては、見事に客人の望みを果たせそうな人間だろう。
その衣服を引き裂いて、生まれたままの姿に変えてやりたい。
見せしめとされた褐色の少女と同じく、端正な顔を快楽一色に染めてやる。
会場にいるという化け物どもに犯される様を、早く見せてくれ。
誰も彼もが己の欲を身勝手にぶつけ、口の端を吊り上げるに違いない。

欲望の捌け口となりたくなければ、早急に動き出さねばならない。
会場に設置されたトラップや、生息するNPC、他の危険な参加者を避けねばならないが、
少女、神崎桂音は未だへたり込んだままだ。

自身に何が起きたか、何に巻き込まれたのかを把握するのには、暫しの時間を要した。
これは桂音が愚鈍な人間だからではない。
むしろ普段の彼女からすれば、こうも迅速に動けない方が有り得ないことだ。
地球と異世界、二つの世界で数多の戦場を駆け、患者の治療に尽くしてきた桂音にとっては、恥ずべき醜態。
であるにも関わらず、すぐには動けない。

―――『愛もまた、『欲』だからだよ』

―――『君も本当は、わかっていたんじゃないのかね。自分の理想が矛盾しているということが』

―――『今一度考えてみてほしい。桂音君。君が欲したのは、どんな世界か。君が守りたいと思ったのは、どんな人々だったのかを』

頭の中で、自分を打ち負かした少年の言葉がリピートされる。
欲があるから人は争う。欲なんてものを人間に植え付けたから、死ぬべきではない人が死んでいく。
この病んだ世界を治療するには、人間から欲を完全に取り除く他ない。
人間が真に幸福となるには、欲を失わせるしかない。
そう信じたからこそ、仲間達を裏切ってフレアガルドの皇帝に付いたのだ。
なのに自分がやったのは結局の所何の意味もない、そればかりか人々を幸福とは程遠い、囚人の如き姿へと変えてしまった。
自らの行いを徹底的に否定され、何も言い返せずガックリと項垂れ――
気が付いたらあの奇妙な部屋にいた。

「…………フフッ。ハハハ、アハハハハハハ……」

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

唐突に顔を上げたかと思えば、笑い出した。
可笑しくてたまらずに笑っているのではない、笑う以外にどうすればいいか分からない。
だからゲラゲラと笑う。


29 : 欲望と病と世界を終わらせる日 ◆ytUSxp038U :2021/10/16(土) 00:19:46 NDJutIbg0
「ねぇ司さん。貴方は言いましたわよね?人はいつか欲を完全に制御できるって」

問い掛ける相手は、自身を打ち負かした少年。
ここには居ない彼へ、思うままに言葉をぶつける。

「これを見ても同じことが言えますの?わたくしが間違っていたと、そう言えるんですか?
 自分の欲を制御できる人間が、こんなふざけた催しをするはずがないですわよね?ねぇ聞こえてますか、司さん。
 あんな人間に!自分の欲を制御できる訳ないじゃありませんか!何百年先になるかも分からない、欲の完全制御なんて夢物語を信じている間に、
 ああいう醜悪な人間が何人出て来ると思っているんですか!?その度に、死ぬべきではない人間が死んでいって…!」

周りには自分一人しかおらず、彼に届くはずはない。
それにこんな大声を出していれば危険な参加者を呼び寄せてしまう。
そう分かっていても、桂音は叫ばずにはいられなかった。

「答えてくださいまし!これでも貴方は、わたくしのやり方が間違っていたと言うのですか!
 欲という欠陥を消し去ることが間違いだって、そう言えるのですか!?」

気付けば、双眸からは涙が溢れていた。
彼女の周りには誰もいない。
袂を分かった超人高校生たちも、ただ一人自分に付いて来てくれた剣豪の少女も、
否定もされなければ肯定もされない。
そんな虚しいだけの叫びへ――



「いいえ。私は貴女が正しいと思いますよ」



答える者が一人、異質な存在感を持って現れた。

「え…?」
「失礼、貴女が不用心に大声を出していたのでつい」

そう言い頭を下げた人物の姿を、桂音は困惑と警戒が混じった瞳で見やる。

男だ。メガネを掛け、皺一つないスーツを着こなした、桂音よりも年上の男。
彼を見て桂音は、初対面で失礼とは思いつつもまるで人形のような男だと感じた。
表情を削ぎ落したかのような仏頂面に、無機質な瞳。
まるで機械音声のように淡々と言葉を発する様は、酷く人間味が無いもののように見えた。

「貴方は…?それに、わたくしが正しいって……」
「言葉通りの意味ですよ。欲望を消し去ろうとした貴女の行動を、私は間違っているとは思えない。だから肯定したまでです」

呆けたような表情となる桂音へ、男は感情の乗らない声色で続ける。
まるで、己の考えに自信を持てない生徒を導く教師のように。

「どれだけ美しく、優しい人間であろうと肥大化する欲望の前には無力でしかない。
 欲望に呑まれた人間の末路は見るに堪えません。貴女の言うように、欲望とは人間を腐らせる重大な欠陥と言えるでしょう」

「ではそんな人間が募る世界をどうするべきか。答えは一つ、人間が腐り切るより先に、美しいものは美しい内に終わらせれば良い」

終わらせる。
男の正体は不明だが、それがどういう意味なのか分からぬ桂音ではない。
人を治療し生かす、医師の信念とは真逆の事を言っているのだろう。


30 : 欲望と病と世界を終わらせる日 ◆ytUSxp038U :2021/10/16(土) 00:20:58 NDJutIbg0
「それは……人々を殺す、ということですか?」
「言い方を変えれば、その通りです。人々が欲望に勝てないのならば、手遅れになる前に終わらせるべきだ」

馬鹿げている。桂音の口から言葉が出掛かった。
だが実際に言葉として男に放たれる事はなかった。
医師である自分が死を肯定するなど、あって良い事ではない筈。
なのに否定できない。

(手遅れになる前に、美しいままで終わらせる……)

男の言葉が不気味なくらいに、桂音の中へと染み渡って行く。

どんな人々を守りたかったのかと問われた時、桂音が思い浮かべたのは戦場で出会った人々。
我が身を犠牲にしてでも家族を守ろうとする者や、失ってしまった誰かに代わって残された命を守ろうとする者。
そういった人々が理不尽に死んでいく世界が許せないからこそ、争いの根源である欲を排除しようとしたのだ。
しかし、男の言葉を聞いて思う。
守りたかった人々が、己の欲に振り回され、その美しさを失わない保証がどこにある?
自分の身を犠牲にして家族を守った者が、反対に家族を犠牲にしてでも自分だけは生き延びようとする。
そんな風に変貌しないと言い切れるのか。

自分と同じく戦場を渡り歩き、理不尽な死を憂いていた剣豪の少女が、いつかは欲に呑まれ醜悪な剣鬼と化すかもしれない。
超人高校生を遥かに超える武力とカリスマを持つリンドヴルム皇帝が、堕落した暴君へと化すかもしれない。
そして自分を否定したあの超人政治家が、国民の幸福を無視し私利私欲を貪る下劣な人間に成り下がる可能性だって否定はできない。
あの少年は自分の治療を複数回受けて尚も、欲が無くならなかった。
それ程の人間が、自分を打ち負かした彼だからこそ、見るに堪えない醜悪な存在になるなど許容できるはずがない。

幾度治療を施しても、人々の欲は無くならなかった。
ではいっそのこと、欲が蔓延する世界自体を消し去ってしまう。
荒唐無稽な考えだが、間違いであると否定できない。

仲間達を裏切ったのは確か。
だけど桂音は彼らを憎んでいるのでも無ければ、殺したいと思っているのでもない。
ただ皆にも、欲を取り除いた幸福な世界で過ごして欲しかっただけだ。
その為にリルルを見殺しにした事だって、ずっと罪悪感を抱え続けていた。
それでも罪の意識を押し殺し、真に幸福な世界を創るにはこれが正しいのだと信じて治療を続けた。

が、ここで啓示された新たな治療法。
病んでしまった世界に対しては、これ以上病状が進行する前に終わらせる。
人の欲を消せないのなら、それこそが、それだけが自分に残された選択肢ではないか。
自分の思考が徐々におかしくなっているとは分かっても、他の道を選ぶ気にはなれなかった。

俯いていた顔をゆっくりと上げる。
視線の先には相も変わらず仏頂面で桂音を見据える男。
その視線が告げている。
答えは出たか?と。

もし彼女が、リンドヴルムと出会う前ならば。
或いはリンドヴルムの手で御子神司が斬られ、彼を治療する中で自分の間違いを認められた後なら。
きっと男の言葉に耳など貸さなかっただろう。
超人医師として、参加者の治療に奔走し、殺し合いを止める道を歩んだだろう。
だが今の桂音にとって、男の言う美しい内に終わらせるというのは、これ以上ないくらいの救いに思えた。思えてしまった。

だから。

「わたくしも…それが正しいと思いますわ」

肯定する。それが正しいのだと信じて。
顔に浮かぶのは、見惚れそうな程の優しさに満ち溢れた、だけどどこか壊れてしまった、そんな笑み。


31 : 欲望と病と世界を終わらせる日 ◆ytUSxp038U :2021/10/16(土) 00:22:04 NDJutIbg0



男に付き従うかのように、桂音は後に続く。
彼女にとって男は自身に新たな治療法を授けてくれた、救世主にも等しい存在。
多くは語っていないが、男は殺し合いにおいても参加者・主催者へ等しく終わりを与えるべく動くとのこと。
ならば自分もと、桂音は同行を申し出た。
見せしめに殺された少女の様に、人間としての尊厳を徹底的に凌辱されて死を迎えるなどあってはならない。
そうなる前に、自分達の手で美しいままの死(すくい)を与えるのだ。

上着を脱ぎ捨てた桂音は代わりに黒いコートを羽織った。
内側に大量のメスや鉗子、医薬品を仕込ませたその支給品は桂音にとってこの上ない武器となる。
常に持ち歩いていた医療器具は全て没収されたが、これならば問題無い。

「そういえば、まだ名乗ってはいませんでしたね。私は真木清人と言います」
「真木さん、ですか。わたくしは神崎桂音。こちらこそ名乗るのが遅れましたわね」





嘗て、世界の終末を望んだ男がいた。
男は欲望のメダルを巡る戦いにおいて、とある青年と、欲望の怪物に敗れた。
しかし何の因果か、消滅したはずの男は現世に舞い戻った。

欲望が溢れる凄惨な地にて、男は再び終末を目指す。



【神崎桂音@超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!】
[状態]:健康
[装備]:ブラック・ジャックのコート@ブラック・ジャック
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:全参加者と主催者を“治療”する
1:真木さんと共に行動
[備考]
※参戦時期は原作10巻、エルムの万博で司が斬られる直前。

【真木清人@仮面ライダーオーズ】
[状態]:健康
[装備]:紫のコアメダル×3@仮面ライダーオーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:全ての生命に良き終末を
1:神崎君がこちらに協力するのなら、付いて来るのを止めはしない
2:但し、意に沿わない行動を取った場合は相応の対処を取る
3:首輪は邪魔なので解除しておく
[備考]
※参戦時期は最終回で死亡後。

【ブラック・ジャックのコート@ブラック・ジャック】
無免許の天才外科医、ブラック・ジャックが着用するコート。防弾使用。
内側には多数の医療器具を仕込んである。

【紫のコアメダル@仮面ライダーオーズ】
支給品ではなく、オーズ本編にて真木清人が自身の肉体へ取り込んだ物。
800年以上前に当時の錬金術士たちが人工の生命を作るため、地球に生息する様々な生物種のパワーを凝縮して作った神秘のメダル。
メダルの力を受け入れた事で、真木は恐竜グリードに変身が可能となった。


32 : ◆ytUSxp038U :2021/10/16(土) 00:22:55 NDJutIbg0
投下終了です


33 : ◆tAzjJve9.E :2021/10/16(土) 00:24:53 1yY0s9Oo0
皆様投下乙です
自分も投下します


34 : 再・会 ◆tAzjJve9.E :2021/10/16(土) 00:25:58 1yY0s9Oo0


「な、何なのこれ……デスゲームってやつ?急に意味わかんないんだけど…胸糞系のエロゲじゃないんだからさ……」


突然始まった殺し合い、自分より幼い少女の凄惨極まる死。アングラなサイトや年齢制限のあるゲームで見たような地獄が今まさに自身に降りかかっている。
何より女として恐怖と悍ましさしか感じられない悪趣味な仕組み。新条アカネは全身に走る寒気を抑えることができなかった。
無意識に両腕で身体を抱いた時、違和感に気づく。あまりにも寒すぎる、というより肌が直接大気に晒されているとしか思えない感覚。何より胸部に触れた時の感触の違い。


この状況下において最悪の想像が頭を過ぎり、急いでデイパックから鏡、あるいはその役割を果たせるものを探す。
中に入っていた懐中電灯とタブレットを取り出し、灯りをつけてタブレットの液晶画面に己の姿を映し出し―――そこで予想が当たっていたことに戦慄した。


「嘘……何でこんな……」


「現実の」新条アカネは取り立てて特徴のない普通の容姿の少女だった。髪は肩まで届く黒髪で胸も決して大きくはない。ついでに少し前には制服で学校に登校していた記憶もある。
しかし今のアカネは薄紫色のセミロングの髪に豊かな胸、そして抜群のプロポーションを強調するような露出度の高い水着姿になっていた。
かつてアレクシスに導かれるままに辿り着いたコンピューターワールドで過ごすために作成したアバター、今はもう決別したはずの姿になっていた。


「何で?何で?アレクシスはもういないはずだし、誰がこんなことするの?
あっ、でもアレクシスはグリッドマンに捕まっただけって聞いたような…脱獄した?それともさっきのあいつが逃がした?あーもうわかんない!」


何もかもがアカネの理解を超える出来事だ。それにもしアレクシスが関与しているとして、自分に何ができる?
無理だ。新条アカネは本来内向的で特撮マニアというだけの高校生に過ぎないのだから。
出来ることがあるとすればグリッドマンが何とかしてくれるまで息を潜めて生き延びることぐらいだ。


「ってか、さっきエロトラップがどうのって……この格好でいるのヤバくない……?」


生き延びるという思考に思い至った時、今の自分の格好がとても頼りないものに感じられた。いや実際そうだろう。
水着とは言うが、外見的には下着で放り出されたのと変わらない。しかもデザインのせいで胸元が特に強調されている。
内向的なアカネがこの水着で堂々と林間学校に出られたのは自らがツツジ台という街の神様という自覚があって、住人は全てアカネを好きになるようプログラムしていたからだ。
誰かに危害を加えられるリスクがあるとわかっていればこんな扇情的な水着など絶対に着ないと言い切れる。
こんな見るからに無防備な格好でいるところを誰かに見られたら獲物と見做されるのは間違いない。殺されるか犯されるか、あるいは両方か。


「えーっと、こういう時は…とりあえず支給品、支給品……」


日頃アングラなサイトを覗いているアカネは所謂デスゲームという状況に少しだけ知識があった。
こんな時こそ持ち物をきちんと点検し、足場をしっかりと固めることが大事なのだと学んだような気がする。
自分の手元にどんな道具があって何が出来るのか。それを知ることが基本にして重要事項だ。
武器でも衣服でも何でもいい。何か役立つものがあってくださいお願いします。その思いでデイパックから取り出したのは―――


35 : 再・会 ◆tAzjJve9.E :2021/10/16(土) 00:26:46 1yY0s9Oo0


「これ、瓶……?ってか中身媚薬って、使うかそんなもん!!」


ある意味この状況に似合いの、しかしアカネからすればふざけているにもほどがあるアイテムだ。
苛立ちからツツジ台で神様をやっていた頃の癇癪が一瞬顔を出し、二度と媚薬を視界に入れまいとばかりに全力で放り投げた。
放物線を描いて飛んでいくはずだった媚薬の入った瓶はしかし、ちょうどアカネの前に現れた何者かの顔面にクリーンヒットし、地面に落ちた。


「えっ!?ひ、人!?ご、ごめんなさいごめんなさい!人がいるとか思わなくて……」


本質的に憶病で小心者なアカネは思いがけず出会ってしまった参加者に怯えながら謝罪する。
右腕で胸元を隠し、左手でデイパックを掴みながら後退りしていくアカネに謎の人物は一言も発さずゆっくりと近づく。
最初は暗闇で見えなかった姿が徐々に見えてきた。その人物はスーツ姿で腰に四本の刀剣を携えた、銀髪の二十歳頃の男性だった。


「お前は……」


驚いたように目を見開く男性にアカネは激しい既視感を覚えた。


「新条、アカネ……」

「え?もしかして……アンチ?」


かつて神だった少女、新条アカネとかつてアカネに造られた怪獣だった青年、アンチ改めナイト。
淫靡で凄惨なバトルロワイアルで、二度と会うはずのなかった二人が出会った瞬間だった。


【新条アカネ@SSSS.GRIDMAN】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式(媚薬除く)、不明支給品0〜3(未確認)
[思考]
基本:とりあえずグリッドマンが何とかしてくれるまで生き残る
0:え?アンチ?
1:殺されるのも犯されるのも絶対に嫌!
[備考]
※本編終了後からの参戦ですが、主催者の手により肉体がツツジ台で使用していたアバターになっています。
※殺し合いにアレクシスが関与しているのではないかと考えています。


【ナイト@SSSS.DYNAZENON】
[状態]:健康
[装備]:サムライ・キャリバーの刀@SSSS.GRIDMAN
[道具]:基本支給品一式、アカネの媚薬、不明支給品0〜2(本人確認済)
[思考]
基本:人間を守り殺し合いを打破する
0:……新条アカネ?
1:この武器、使わせてもらいます
[備考]
※参戦時期は少なくとも9話以降です。
※グリッドナイトへの変身は可能ですが、制限により最大でも5メートルほどのサイズにしかなれません。

【支給品紹介】
【サムライ・キャリバーの刀@SSSS.GRIDMAN】
グリッドマンと共に戦う新世紀中学生の一人、サムライ・キャリバーが携帯する四本の刀。
抜刀すると明らかに鞘の鯉口に収まらないほど厚手のブレードに変化する。


36 : ◆tAzjJve9.E :2021/10/16(土) 00:27:08 1yY0s9Oo0
投下終了です


37 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/16(土) 03:08:35 N/T4ZSSU0
2作続けて投下します。


38 : 石でナイトを釣る ◆U1VklSXLBs :2021/10/16(土) 03:10:10 N/T4ZSSU0
ムジナは会場内のマンションの一室、台所と一体となっているリビングで目覚めると支給品のデイバックの中身を検めていた。家具や調度品は何もない。気がついた見知らぬ大勢の人々と一緒にあの絵画だらけの部屋にいた。仲間の怪獣使い達も招かれたのかもしれないが、自分の近くにはいなかった。

(エロトラップダンジョン…)

赤と黄緑の左右非対称の衣装に身を包んだ人物の言葉を思い出す。耳を疑うような発言だが、この状況から見て冗談ではない。我知らず首輪に指を触れていたムジナは、モニターの少女の最期を思い出して手を引っ込めた。

中にあったのは水や食料、文房具やファイルなど
を除くと石が2個と飴が1個。説明書が親切にも同封されており、石のほうはマハブフストーン、飴の方は月隠の飴というらしい。どちらも有用だが、消耗品。外れを摑まされたようだ。
タブレットを操作すると名簿が出てきた。見知った名前はない。どう行動するべきか、ムジナは決めかねる。優勝賞品などどうでもいいのだが、殺されるのも犯されるのも御免だ。安全を確保する為にも、行動しなければならない。

ムジナは部屋の中に目ぼしい道具がない事を確かめると、デイバックに取り出していた荷物をまとめて部屋を出た。歩き出してすぐ、獣のような悲鳴が聞こえてきた。そう遠くない場所で戦闘を行なっている!ムジナが周囲を警戒しつつ、身を屈めて音がした方向に近づいていくと、人のそれが混じった複数の声が聞こえた。

まもなく、2体の小柄な怪物と戦っている女性がムジナの視界に入る。女性は白金に輝く剣を正眼に構え、油断なく怪物に視線を配る。近くでは1体の怪物が仰向けになり、裂かれた胴体を晒している。

女性の正面にいた怪物が襲いかかる。怪物は間合いを詰めようとした瞬間、右手に回り込んでいた2体目共々、身体を凍りつかせた。

ーー!

怪物を全て切り捨てた女性と物陰から出て来たムジナの視線が交わる。ムジナがマハブフストーンを1個消費して、援護したのだ。無駄に終わるかは、これからの展開次第。
2人は自己紹介を済ませると、近くで目覚めた事と、ほぼ同じタイミングで動き出した為、お互いに情報を何も持っていないことを確認した。女性はミルウーダと名乗った。

「ムジナ、名簿に知り合いは?」
「いない」
「そう、私もよ。貴方さえ良ければ、しばらく一緒に行動しない?」

ムジナより先に、ミルウーダ側から提案する。主催の思惑に乗るかはともかく、生き残る上で単独行動はデメリットの方が大きいだろう。ムジナはどうだか知らないが、ミルウーダに単独で生き延びる実力はない。ムジナには明かしていないが、彼女自身は主催への反抗を考えている。

ミルウーダは招かれる以前、骸旅団という組織に属していた。貴族の支配体制に反抗する革命組織である。叶えたい願いはある。イヴァリースを身分格差から解放するのだ。しかし、こんな尊厳を無視した扱いをする相手にへりくだる事はできない。

招かれる以前に使用していた武器や甲冑は奪われてしまったが、支給品で剣を引き当てることができたのは運が良かった。しかし、ミルウーダ自身に出来ることには限度がある為、仲間が欲しい。先程の行動から、ムジナは組めそうだと当たりをつけているのだ。

「ムジナ、教えられる範囲で構わないから、支給品の内容を教えてくれない?」
「この石が入ってた」
「…貴方、武術や魔法の心得はある?」
「どっちもないよ」

ムジナが誘いを受け入れると、ミルウーダは支給品の情報を要求してきた。石については、先程使った為、隠すことはできない。ミルウーダは深く追及する事はせず、戦闘経験についてムジナに尋ねた。隊列を考える為だ。

ほとんどミルウーダが主導で、彼女が前衛、ムジナが後衛に決まった。オークやゴブリンといった存在がいるそうだが、男の口ぶりからして怪獣ではないのだろう。現状、自分は戦力にならない、とムジナは思った。


39 : 石でナイトを釣る ◆U1VklSXLBs :2021/10/16(土) 03:10:42 N/T4ZSSU0
【ムジナ@SSSS.DYNAZENON】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、マハブフストーン、月隠の飴
[思考]
基本:殺し合いには極力関わらず、生存したい。
1:ミルウーダについていく。
[備考]
※第6回開始前からの参戦。

【ミルウーダ・フォルズ@FFT】
[状態]:軽度の疲労
[装備]:閃刀シルヴァンス
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]
基本:主催からの扱いが気に入らない為、反抗したい。
1:まずは仲間を集める。
2:目的はしばらく伏せる。
3:どうあっても主催に叶わないなら…。
[備考]
※"盗賊の砦"終了後からの参戦。

【支給品紹介】
【マハブフストーン@女神転生シリーズ】
魔界魔法マハブフの効果を秘めた石。
敵全体に氷結属性のダメージ(小)。さらに低確率でfreeze状態を付与。

【月隠の飴@ SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE】
仙峯上人が、らっぱ衆に授けた飴。
一時、音と気配を殺し、敵に見つかりにくくなる。
飴を噛みしめ、「月隠」の構えを取ることでその加護を自らに降ろす。

【閃刀シルヴァンス@ ヴァルキリープロファイル】
白金に輝く金属で作られた長剣。材質など詳細は不明。10%の確率で不死者の動きを封じる力を秘めている。


40 : 朝の勉強会 ◆U1VklSXLBs :2021/10/16(土) 03:12:28 N/T4ZSSU0
個室トイレで目覚めたマリアは、まず着衣に乱れが無い事を確かめた。近くにあったデイバックを抱え、そっとドアを開ける。ハンマーのように胸を打ち続ける心臓の鼓動を感じながら、トイレから廊下に出ると、どうやら学校の2階部分らしい。

人気のない教室の一角に入り、マリアは隅に座り込む。暗く濁ったものが内側に広がっていくのがわかる。まるで泥棒のようにあたりを警戒し、首には奴隷の証のような首輪が嵌め込まれている。

(留学先でこんな催しに巻き込まれるなんて!)

あの最低な趣味の男の発言を思い出す。
殺し合い、エロトラップ。断じて思惑になどなってやるものかとマリアは決意するが、虚勢であるのは何より本人が最もよく分かっている。生き延びる為、ひいては脱出の為の第一歩として、支給品は良い物を引き当てたい。

この現実離れした状況を見るに、優勝賞品が本当に与えられる可能性は高い。しかし、人を殺してでも叶えたい願いがないマリアからすれば、催しに参加するのは割りに合わない。

食料や文房具、懐中電灯など基本的なものが出てくる。次に出てきたのは、用途不明のジェラルミンケースを思わせる何か。付属の説明書が添付されており、興味を惹かれたマリアは開いて目を通す。

レガトゥス。捕らえたキメラと使用者の精神を共鳴させ、制御と視界の共有を可能とした生体兵器レギオンと繋がる端末。格納されているコアを解放する事でレギオンが形成され、猛獣使いの如く操作して二体一組で戦闘を行う事ができる。

専門用語が幾つか出てきたが、記述通りなら何かを操る道具らしい。使い方の通りに腕に装着すると、パーツが展開。コアが宙を舞い、青い電流を伴って人型の異形がマリアの前に顕現した。腕の端末からは鎖が伸び、異形の首に繋がっている。

「イハナ!」

マリアが期待していた以上の支給品だ。鎖で繋がれている姿は罪悪感を抱かせたが、流線型のシルエット、両手のソードは見ているだけで頼もしい。しかし、彼を操って人を殺すのは躊躇われる。直接手を下さないから良い、というものでもない。

マリアは使い心地を試す。敵が現れたら自動で攻撃するらしいが、今はおとなしくしている。進め、と思考するとレギオンは直進。置いてあった机目掛けて、両腕の剣を2度3度と振るう。机の残骸が、音を立てて宙を待った。感覚が直接伝わってくる、変な感じだ。

説明書によれば、レギオンは長時間展開できないらしい。少々怖いが、いざというときに限界が来ても困る。マリアは限界時間を把握する為にあえてレギオンを展開したまま、支給品の確認を再開した。

「あ?」

同じ頃、保健室で古橋伊春が息を整えていた。
重い物体が落ちたような音を聞いたように思ったのだが、自信がない。ベッドに腰を下ろしている彼の上半身には包帯が巻かれ、あちこちから血が滲んでいる。

彼はマリアより少し早く目覚め、学校の探索を開始したのだが、早々にNPCと思われるモンスターに遭遇。セーラー服のゾンビが5体、襲いかかってきたのだ。性的な意味で襲いかかるらしいが、相手をする気はない。

戦闘が始まる直前、デイバックを開けた際に支給品の斧を取り出していたのが幸いして、応戦することができた。囲むように現れた瞳の濁った少女達めがけて斧を払い、包囲を突っ切ったが、防衛隊のスーツを着ていない為に負傷を強いられてしまった。

(クソが…この調子じゃ持たねぇっつーの)

逃げた先にあった保健室に駆け込むと、伊春は机や椅子で扉を塞ぐ。反対側に外への扉が設けられていたが、物音に寄ってくる影は見当たらなかった。伊春は部屋の中を漁り、消毒薬や包帯を発見。自己流で処置すると、疲労が襲ってきた。

(初っ端からキッツ…)

伊春は一休みするついでに、他の支給品を確認しようとデイバックから中身を取り出す。文房具、タブレット、その次に出て来た本の表紙に記された"日本UMA大百科事典"の文字が目に入ったとき、マリアが使役するレギオンがソードを振るった。


41 : 朝の勉強会 ◆U1VklSXLBs :2021/10/16(土) 03:13:12 N/T4ZSSU0
【マリアーナ・プリンシラ@レコラヴ】
[状態]:健康
[装備]:レガトゥス
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1
[思考]
基本:犯されるのも殺されるのも嫌!
1:安全な場所か、味方を探す。


【古橋伊春@怪獣8号】
[状態]:軽傷(手当て済み)、中程度の疲労。
[装備]:グラマラスアクス
[道具]:基本支給品一式、日本UMA大百科事典、不明支給品×1
[思考]
基本:あのひょろ長い奴をぶっ飛ばす。
1:今はちょっと休憩。
2:音の正体が知りたい。
3: 日本UMA大百科事典?
[備考]
※1階廊下でセーラー服のゾンビの群れと戦闘しました。まだ生き残りが徘徊しています。
※保健室の廊下側の入り口にバリケードを設置しました。
※魔術、異能的な力に由来したゾンビである為、負傷させられてもウイルスなどには感染しません。

【支給品紹介】
【レガトゥス@アストラルチェイン】
人工島アークの特務部隊が扱うデバイス。
ソード・レギオンのみ使用可能。両手のソードによって攻撃するほか、電波やエネルギーの流れを切断する能力やソードを突き刺した電子機器からデータを回収する能力を持つが、首輪に対して使用した場合は相応のペナルティが降るだろう。首輪を嵌めている参加者なら誰でも扱うことができる。使用者以外には視認できないが、鎖の届く範囲までしか動かせない。


【グラマラスアクス@真・女神転生2】
邪鬼オーガ、堕天使ペテルギウスからドロップできる斧。ゲーム本編中では攻撃力65、攻撃回数1と表現される男性専用武器。


【日本UMA大百科事典@SIREN2】
発行:超科学研究社  著者:天本真一
第44章 孤島・群島編  日本の孤島は珍獣・奇獣達の宝庫だった!!夜見島に出没する巨大猫ヤミピカリャー  光り物を集める性質があるという報告もあり、その性質を用いた罠を設置する計画も立ち上がった…(以下略)。


42 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/16(土) 03:14:30 N/T4ZSSU0
投下終了です。


43 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/16(土) 05:32:03 elpExJCk0
皆様、投下乙です
私も投下させていただきます。

こちらは以前、天気の子ロワに投下したものを一部手直ししたものになります。


44 : 愛なき時代に、生まれたわけじゃない ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/16(土) 05:33:51 elpExJCk0
ここは会場内にある建物の屋上、そこにこの男はいた。

その男は、力強く男らしい目と眉、そして分厚い唇をしていた。

彼は思案していた。それはほかならぬ、先ほど宣告された殺し合いのことについてだった。

そして彼は憤っていた。それは、『真に人々を喜ばせるものとは何なのか』をはき違えている、この催しについてだった。

―― あの者に、真のサービスとは何なのかを教えねばならぬ。
―― そしてこの催しに参加させられたすべての人を救わねばならぬ。

彼は思案の果てに、そう決意した。

そうと決まれば後は行動するだけだ、そして彼は『いつものアレ』を天に向かっておこなった。

「サー………ビスッ!!」

そういうと彼は決意表明として、自らが着用している衣服の裾をつかんで全力でめくりあげたのだった。

―― 彼の名はサービスマン、世界にサービスを振りまく、愛の伝道師である。

【サービスマン@ボボボーボ・ボーボボ(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:あの主催者に、真の『サービス』とは何かをその身に刻み込ませる。
1:わが心、サービスがままに!
2:ラブ・アンド・サービス!
3:カスタマー・サティスファクショ――ン!
[備考]
エリア内に、彼の『サービス』を目撃した参加者がいる可能性があります。


45 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/16(土) 05:34:29 elpExJCk0
投下終了です


ありがとうございました。


46 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:01:35 19rRU9yA0
今から八本投下します。
まずはコンペロワに以前投下したものを流用、修正したものです


47 : まぞく大ピンチ! 救世主は冒険者と……ヒーロー? ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:02:21 19rRU9yA0
 殺し合いの会場に広がる草原のどこかで、八個の影が疾走している。
 これだと一つの群れが走っているかに思えるが、実際は違う。
 正しくはこうだ。

 一人の少女を、七匹のゴブリンが追い回している。

「だ、誰か助けて下さ――――――い!!」

 少女は助けを求めながら必死にゴブリンから逃げる。
 彼女の名前は吉田優子。現在はシャドウミストレス優子、通称シャミ子である。
 高校一年生にもかかわらず小学生程の体格と身体能力、更に頭に生えた角と腰から生えた尻尾が特徴のまぞくだ。
 そんな彼女はへそ出しを中心に露出度の高い服装、正式名称危機管理フォームで全力疾走していた。
 断っておくが、この服装は彼女の趣味ではない。
 最近羞恥心が少し麻痺しているが、それでもこの露出度はどうかと思っている。
 にも関わらずこんな服装をしているのは、危機管理フォームになると身体能力が上がるのだ。
 五十メートル走のタイムが十一秒のシャミ子にとって、もはや羞恥心など大した問題ではない。
 捕まれば何をされるか分からないゴブリン相手から逃げる方が遥かに重大である。

 なお、シャミ子が危機管理フォームになった瞬間、ゴブリン達は一斉に舌なめずりしたがこれは余談である。

 そうやって火事場の馬鹿力で過去最高級の速度と持久力を見せたシャミ子だが、いよいよ限界が訪れる。
 足がもつれ転んだのだ。

「へぶっ!?」

 受け身を取ることもできず、顔を地面に叩きつけてしまうシャミ子。
 すぐに起き上がろうとするも、追いついてきたゴブリンの一匹に腹を蹴られ、思わず蹲る。
 そんな彼女をゴブリン達は地面に仰向けで押さえ込み、下卑た笑みを浮かべながら服を引き剥がそうとする。
 ここで何をされるか理解したシャミ子は必死にもがくが、数の差で抵抗できない。

「い、いや……やめてください……!」

 もはや無為と理解しつつも懇願するしかない、と思われたその時。

「あいや待たれい!!」

 一つの声がゴブリン達の享楽を止めた。
 ゴブリン達が声のした方を見ると、そこにはどこかの部族の民族衣装みたいな服を着たリザードマンがいた。
 彼は蜥蜴僧侶。
 ゴブリン達と同じ世界の住人にして、ゴブリンを狩り続ける小鬼殺しの冒険者パーティの一人だ。
 故にゴブリン達がシャミ子を押さえつけているのを見つけた瞬間、何をするか察した彼は声をあげることでそれを止めたのだ。
 そのまま彼は呪文を唱えながらゴブリンへ走る。

 リンタオロン
「《 伶盗龍  の鈎たる翼よ 斬り裂き 空飛び 狩りを為せ》」

 呪文を唱え終わると、彼の手に奇跡で生まれた骨刀が現れた。

 一方、ゴブリン達は目の前の蜥蜴僧侶にどう対処するかで揉めていた。
 ゴブリンが七匹全員で掛かれば、相手が何者でもたった一人くらいどうとでもなるだろう。
 しかしここに押さえている孕み袋を放置する選択肢はない。
 故に一匹か二匹はそのまま押さえつけ、残りで戦うというのが最良だろう。
 じゃあ誰が行くんだ、という話になると全員がこう思った。

 ――俺がこの孕み袋を押さえつけておくから、お前らが戦ってこいよ。

 ゴブリンは基本的に自分こそが至上で、他など同族含めてもどうでもいい生き物だ。
 群れで行動するのは、単に都合がいいからに他ならない。

 だがそんな隙をさらしていいほど蜥蜴僧侶は甘い相手ではない。
 あっという間にゴブリン達に近づき、一番近かった一匹を斬り地面に倒れ伏させる。
 そのまま二匹、三匹と続けて斬り、残りは四匹。
 しかしここでゴブリンは、どこに持っていたのかナイフを取り出しシャミ子に突き付けた。
 火を見るよりも明らかな、所謂人質である。


48 : まぞく大ピンチ! 救世主は冒険者と……ヒーロー? ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:02:51 19rRU9yA0

 分かりやすい戦法だが、蜥蜴僧侶は一気に動けなくなった。
 いくらここで蜥蜴僧侶が無抵抗を貫こうとも、彼が死ねばゴブリンはシャミ子を孕み袋にする。それでもだ。
 冒険者とは人質を見捨てぬものである。見捨てたらそれは最早ただの臆病者(チキン)、冒険者ではない。
 もうこのリザードマンには何もできないと、醜い嘲笑を浮かべるゴブリン達。

 だがゴブリンはもう少し考えるべきだった。
 この作戦は人質が要であることを。
 そしてここはゴブリンのホームグラウンドである巣穴ではなく、草原であることを。


 新手が後ろから現れ、人質を取っているゴブリンが殺される可能性を。

「Huu……」

 白と黒の模様が絶えず動くも、しかし決して交わらない不可思議な覆面をかぶりコートを纏った男は、シャミ子を人質に取っていたゴブリンの頭を、持っているバットでかち割る。
 そのまま近くのもう一匹も頭をかち割った。
 そして蜥蜴僧侶も負けじと残りのゴブリンを斬り、決着は着いた。

「あ、あわわわわわ……」

 しかし目の前で怪物とはいえ死体をモロに見てしまったシャミ子のキャパシティは限界に近かった。
 にも関わらず蜥蜴僧侶は倒れ伏したゴブリンに刀を刺していく。
 ゴブリンは死んだふりをすることもあるので、確実にトドメを刺しているのだ。

 そして全てのゴブリンにトドメを刺し終えたころ、それをただ見ていたシャミ子はぺたん、とその場でへたり込んでしまった。

「す、すみません。安心したら腰が抜けてしまいまして……」

 これを聞いた二人はどちらともなく顔を見合わせる。
 さっきまで貞操の危機だったのだ。無理もない、と納得はするが、どうしたものか、とも蜥蜴僧侶は思った。
 しかし覆面の男の行動は早い。
 確認も取らずそそくさとシャミ子を背負い、蜥蜴僧侶に対し一方的にこう言った。

「まずはお前を安全な場所へ運ぶ。情報交換は歩きながらするぞ」

 それだけ言って歩き始める覆面の男。
 普通なら怒りすら覚えそうな程相手の了承を取っていないが、蜥蜴僧侶はどこか仲間では小鬼殺しを思い起こさせた。


 そんな覆面の男の名前はロールシャッハ。
 彼が何を思って戦い、何を目指すのかを蜥蜴僧侶とシャミ子が知るのは、もう少しだけ後の話。


49 : まぞく大ピンチ! 救世主は冒険者と……ヒーロー? ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:03:21 19rRU9yA0

 
【ロールシャッハ(ウォルター・コバックス)@ウォッチメン】
[状態]:健康、シャミ子を背負っている
[装備]:剣義鷹のバット@クーロンズ・ボール・パレード
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを打破し、主催者を裁く
1:少女(シャミ子)を安全な場所へ運ぶ
[備考]
参戦時期は本編開始前

【蜥蜴僧侶@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:健康、奇跡を一回使用
[装備]:竜牙刀(シャープクロー)@ゴブリンスレイヤー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを打破する
1:ひとまず彼(ロールシャッハ)と行動を共にする
2:少女(シャミ子)が心配
3:この方はどこか小鬼殺し殿に似ている
[備考]
参戦時期は3巻終了以降

【吉田優子(シャミ子)@まちカドまぞく】
[状態]:疲労(中)、危機管理フォーム、腰を抜かしている、ロールシャッハに背負われている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らない
1:……
[備考]
参戦時期は5巻終了以降


【剣義鷹のバット@クーロンズ・ボール・パレード】
ロールシャッハに支給。
剣義鷹が持つ金属バット。

【竜牙刀(シャープクロー)@ゴブリンスレイヤー】
蜥蜴僧侶が奇跡で作り出した、決して切れ味が落ちない骨刀。
支給品ではない。


50 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:04:54 19rRU9yA0
投下終了です。
続いて、辺獄ロワに以前投下したものを流用、修正したものを四本連続で投下します


51 : 科学と魔法が交差するとき、物語は始まる ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:06:08 19rRU9yA0
 殺し合いの会場にあるダンジョンの一室。
 休憩室のつもりか、ここにはテーブルと椅子が用意されていた。
 その部屋で、二人の男女が机を挟み相対している。

 男の名前はアルバート・W・ワイリー。
 白髭と白衣が特徴的な、とある世界で世界征服を企む悪の科学者だ。
 彼に相対する女の名前はパチュリー・ノーレッジ。
 隔離された世界、幻想郷にある吸血鬼の館、紅魔館の大図書館の主である魔法使いだ。

 二人が最初出会ったのは、現在地である休憩室のすぐそばだった。
 最初は二人とも警戒していたものの、互いに殺し合いに乗っていないと分かったので、とりあえず近くの落ち着けそうな場所で情報交換することにした。
 ダンジョン脱出を優先しようかとも思ったが、そもそもマッピングもできない場所をあても情報もなくうろつくよりは、せめて味方になりそうな参加者について把握してから、ということにしたのだ。
 そして今に至る。

「異世界。それに魔法か……」
「今更信じないつもり?」
「いいや、信じるとも」

 そこからもたらされた情報は、互いにとって未知である事柄が多かったものの、反応は大きく異なった。
 パチュリーからすれば、幻想郷の外には外の世界が広がっていることは百も承知で、魔法が廃れていることもよく分かっている。
 だが外の世界がどういうものかについてはそこまで詳しくない。
 故に彼女はワイリーの話を聞いてなお、彼は外の世界の住人だと理解するだけだ。
 もっとも、彼が世界征服を企んでいると聞いた時は驚いたが。
 主に、よくそんな面倒なことやろうと思ったな、という意味で。

 一方、ワイリーからすればパチュリーの話は驚愕に満ちていた。
 妖怪、妖精、魔法など。現世にて忘れられたあらゆるオカルトが集う幻想の為の郷。
 最初はさすがの彼も信じなかったが、パチュリーが宙を自在に舞うところを披露したり、簡単な魔法を見せるなどをすれば真実だと認めざるを得ない。
 そして真実だと理解した途端、彼は前触れもなく笑い出した。
 その様子を見て訝し気にパチュリーは問う。

「いきなり笑い出してどうしたのよ」
「何、納得しただけじゃ。
 それより小娘。一応確認じゃが、このダンジョンには魔法の力が関与していると思うか?」
「小娘ってあなたね……」

 ワイリーの発言に呆れ嘆息するパチュリー。
 確かに外見からして老人であるワイリーと違って、パチュリーの外見は十代前半の少女である。
 だが実際の所は、彼女が魔法使いになった時の姿で成長が止まっているだけで、実年齢はワイリーよりも年上だ。
 なので彼に小娘呼ばわりされる筋合いはないのだが、同時に彼女は確信していた。

 この手のタイプは人の言い分を聞かない、と。

 それが分かっている以上いくら抗議しても無駄なので、パチュリーは軽く文句を言うだけにして、ワイリーの質問に対し首を縦に振った。
 おそらくだが、このダンジョンの製造には、何らかの形で魔法が関わっている。

「成程な。
 となるとこの殺し合い、エロトラップダンジョンとやらはブラフかもしれんな」
「ブラフ?」
「うむ、表向きは女子を辱めるくだらん悪趣味な殺し合いじゃが、裏では別の目的があるということじゃ。
 でなければ、ワシや貴様のような手合いを参加者に選ばんじゃろ」
「……まあ、確かに」

 ワイリーの言葉に納得するパチュリー。
 魔法使いやマッドサイエンティストは、この殺し合いからすれば破綻を呼ぶ危険因子そのもの。
 パチュリーなら、このダンジョンに使われている魔法自体を無効化し、ダンジョンそのものをただの一施設にすることも可能かもしれない。
 そしてワイリーなら、参加者に掛かっている首輪を解除することは、そう難しくないはずだ。

 もっとも、あの主催者はそんなものは関係ないのかもしれない。
 例えどれほどの技術を持ち合わせようと、この殺し合いはどうにもならない自信があるだけかもしれない。
 その場合主催者に、老人の男性を性転換させてから性的に辱める、という恐ろしい性癖が追加されることになるが。

「どっちかというとそっちの方が嫌ね」

 おぞましい可能性がパチュリーの中で浮かび、らしくもなく内心で冷や汗を流す。
 一方、そんなことは露知らず、ワイリーは一人立ち上がり、部屋の外へと歩き始めていた。

「まずは適当な参加者から首輪を手に入れて、それを基にサクッと外してやろう。
 そして最後には主催者共が持つ力を奪い取り元の世界に帰って、それを礎に最強のロボットを作り、今度こそ世界征服じゃあ――――っ!!
「元気ねこの人間……」

 どこまでもバイタリティ溢れるワイリーに対し、それについていけないのでテンションが低いパチュリー。
 しかし現状は彼について行くのが一番だと判断しているので、彼女は大人しくそうすることにした。


52 : 科学と魔法が交差するとき、物語は始まる ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:06:35 19rRU9yA0


【アルバート・W・ワイリー@ロックマンシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:こんな殺し合いはとっとと抜け出して、主催者が持つ力を手に入れ、その力で今度こそ世界征服できるロボットを作り上げる。
1:首輪を解除するために、首輪のサンプルを手に入れる
2:戦闘力のある、主催に抗う参加者と合流したい
3:魔法が手に入るなら欲しい
[備考]
幻想郷について把握しました。

【パチュリー・ノーレッジ@東方project】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:さっさと殺し合いから脱出し、紅魔館へ帰る
1:ひとまずワイリーと行動する
[備考]
ロックマンシリーズの世界観を把握しました。
ワイリーを外の世界の住人だと思っています。


53 : 女子高生の彼女がマーダーと出会わずに済んだワケ ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:07:19 19rRU9yA0
「ククク……」

 殺し合いの会場にある街。その道のど真ん中で、一人の男が怪しく笑っている。
 顔の部分が闇のように真っ黒に塗りつぶされ、表情が見えないが彼は確かに笑っているのだ。
 彼の名前はナイ。
 どう見ても人智を超えている彼は、実は這いよる混沌、邪神ナイアーラトテップなのだ。

 そんな彼はなぜ笑っているのだろうか。
 殺戮ゲームを楽しめる感性の持ち主だからか。それとも、殺し合いに来る前にいた所があまりにも酷かったからだろうか。
 答えはどちらもイエスである。

 ナイはこの殺し合いに呼ばれる前、ある『い世界』に居た。
 その世界で自身の叡智を人間に与え、世界を混沌に落とそうとしたのだ。

 しかし、その世界にはバカしかいなかった。
 なにせ文字はひらがな、カタカナ、漢字とあるものの、大半の住人はどれも読めない。
 住人は数も禄に数えられず、十まで数えられたら賢者と呼ばれるような世界なのだ。
 おかげで人間に魔術書を作らせる際、まずはひらがなを教えることから始めなければならなかった。

 もっとも、七十年後には子供の算数で複素平面を学ぶくらい住人の知性は成長するが、それはまた別の話。

 ともかく『い世界』で色々あり、というか住人のバカさ加減に嫌気がさしてナイは一旦撤退した。
 その直後、彼は殺し合いに呼ばれた。
 見知らぬ少女が死のうと別に何とも思わないが、彼はとりあえずルールを確認した。
 そして感激した。

「ルールブックの文字に、漢字が使ってある……!!」

 こうしてさっきまでいた、い世界では見なかったものがあり、彼は心底嬉しかった。
 ここならば、自分は邪神らしく振る舞える。
 エロトラップダンジョンという不穏なものもあるが、前よりはましだ。
 流石に人間に叡智を与えはしないが、邪神らしく人間を混沌と絶望の坩堝に叩き込んでやろう。とナイは決意した。


 ところで、今のナイは凄く怪しい。
 顔は真っ黒で見えないうえ、殺し合いのゲームで嬉しそうに感激して笑っているのだ。
 怪しいことこの上ない。
 もし誰かが見ていたらどう思うだろうか。
 当然、近寄ろうとは思わない。

「あいつ、怪しいな……」

 その証拠に、一人の少女がナイを怪しみ、建物の陰からこっそり覗いていた。
 彼女の名前は志摩リン。
 ソロでキャンプするのが趣味だが、最近は一人の少女との出会いがきっかけで複数人でキャンプするもの悪くない、と思い始めた女子高生だ。

 そんなリンはいきなり巻き込まれた殺し合いに怯えつつも、乗ろうとは思わなかった。
 かといってこんな超常的なことができる相手に勝てるとも思っていないので、彼女は脱出を考えていた。
 その為にまずは信頼できそうな人を探そうとしたが、最初に見つけたのは怪しすぎる男、ナイだった。

 怪しすぎる彼を見て、リンはこう決断した。

「逃げよう」

 いかにも怪しそうな男を放置するのはどうかと思うが、どこまでいっても女子高生でしかない自分は怪しい男には勝てないだろう。
 そう考えた彼女はナイから離れるべく、逃走を開始した。


【志摩リン@ゆるキャン△】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生きて殺し合いから脱出する
1:あの怪しい人(ナイ)から逃げる
2:信頼できそうな人を探す
3:首輪を外したい
[備考]
参戦時期はなでしこと知り合ってからのどこかです。


54 : 女子高生の彼女がマーダーと出会わずに済んだワケ ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:07:42 19rRU9yA0


 怪しげなナイから逃げ出すリン。
 しかしその一方、そんな彼を全く気にせず近づく男の姿があった。
 赤い髪と剣の形をしたイヤリングに、恐ろしく威圧的な雰囲気を持つ男だ。
 まともな人間なら危険視するだろうが、あいにくナイはまともな人間ではなかった。
 なんだったら人間でもなかった。
 彼は目の前の男に取り入るべく、とりあえず話しかけようとする。
 しかし――

「真紅の手品(レッドマジック)真拳奥義『火炎花火の大魔術』!!」
「ぎゃああああああああああああああ!!」

 赤髪の男に問答無用で攻撃され、ナイは何もできず、爆炎の中この世を去った。

【ナイ@偏差値10の俺がい世界で知恵の勇者になれたワケ 死亡】

 断っておくと、これはナイが弱いわけではない。
 仮にも邪神の一柱なのだ。弱いはずがない。
 だが本来の耐久値では並の人間では決して勝てないので、殺し合いに際して主催側から大幅な制限がかかっていたのだ。
 そして赤髪の男はその制限をぶち抜き、一撃で殺してしまったのである。

 そんな赤髪の男の名前はツル・ツルリーナ3世。
 ある世界において三日で世界を制圧し、支配下に置いた帝国、マルハーゲ帝国の王である。

 3世は世界を制圧したのち、なぜかコールドスリープ装置に入り眠りについた。
 そして百年後。眠りから覚めた直後に、彼はこの殺し合いにいた。

 3世はこれに赫怒した。
 彼はまず人間が嫌いであり、にも関わらず人間が何人もいる殺し合いに呼ばれた時点で苛立つ。
 さらにどこの誰とも分からない相手から、帝王である自分に対し一方的に命令してくる始末。
 これで彼の苛立ちは頂点に達した。

 故に3世はこうすることにした。

「皆殺しだ」

 参加者も主催者もNPC全て、どれだけいようとも殺しつくすと。


【ツル・ツルリーナ3世@ボボボーボ・ボーボボ】
[状態]:健康、苛立ち(極大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者含めて皆殺し
1:もし参加者に毛の王国の生き残りがいれば、優先して殺し毛玉を奪い取る
[備考]
※参戦時期は無印にて、百年の眠りから覚めた直後です。
※青藍の手品(ブルーマジック)真拳は全て制限され、使用禁止となっています。
 その他の制限は当選した場合、次の書き手氏にお任せします。


※ナイのデイバック(基本支給品、ランダム支給品1〜3)がナイの遺体と共に会場のどこかに放置されています。


55 : 壬生狼、キャンプ少女と出会う! ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:08:19 19rRU9yA0
 一人の青年が歩いている。
 スラリとした細身であれど筋肉質な体に、長い髪を一本に結わえた髪形。
 服は袴、腰には刀。そして羽織は水色を基調にした羽織。これだけで今の日本人なら、彼が何者か分かるだろう。

 そう。彼は新選組の一員だ。しかも、彼は平隊士ではない。
 一番隊隊長にして、天才剣士の沖田総司である。

 その彼が殺し合いの場に降り立った時、彼は迷うことなく反逆を決めた。

 沖田総司は人斬りである。
 命令されれば町人も隊士も斬った。
 それが武士だと思っているし、それを後悔することはない。

 だがこれは違う。
 この殺し合いの主催者が覇府ならいざ知らず、あんなどこの誰とも分からぬ男に従う理由がどこにある。
 故にこの殺し合いに従う道理なし。むしろあの男を討伐することこそが、新選組の成すべきことだ。

 そう結論付けた総司はデイバックに入っていた愛刀、菊一文字を腰に差し、あてどなく彷徨い始めた。
 殺し合いに乗らない、と決めたはいいが百姓上がりで学のない自覚がある彼は、どうすれば殺し合いを破綻に追い込めるか分からなかった。
 そこでとりあえず他の参加者を探し、知恵を求めることにしたのだ。

「土方さんがいればなあ……」

 思わずぼやく総司。
 新選組副長土方歳三は、自分と違って色々考えていたことを思い出す。

 そうしてしばらく歩いていると、総司はついに他の参加者を見つけた。
 のだが――

「うーん、総司困っちゃう」

 見つけた参加者は、なぜか気絶していた。
 総司の目の前で気絶している参加者は、ピンク色の髪で厚手のダウンジャケットを身に纏った少女であったが、見慣れない服装せいか彼には酷く面様に見えた。

 さて、なぜ彼女は気絶しているのだろうか。今からそれを解説しよう。

 彼女の名前は各務原なでしこ。
 総司とは異なり、現代の日本に住むごく普通の女子高生である。
 特徴といえば、料理が得意なことと、最近、キャンプが趣味に追加されたことくらいだ。

 なでしこは、血を見るのが苦手である。
 スプラッターなホラー映画は勿論、魚の解体にすら目を背けてしまうほどに。
 そんな彼女が、殺し合いの開始を告げたあの会場でクロエ・フォン・アインツベルンの死体を見ればどうなるか。
 答え、いくら血こそ流れなかったとはいえ、痛ましさとショックのあまり気絶。

 なでしこはオープニングの途中から今までずっと気を失っていたのだ。
 総司が来るまで他の参加者やNPCが近くに来ず、支給品にも彼女自身にも手を付けられなかったのは紛れもなく幸運である。

「よいしょっと」

 そんなことは露と知らない総司は、なでしこを背負う。
 曲りなりも殺し合いに逆らうと決めた以上、巻き込まれているだけの何の罪もない人を斬る気はなかった。


 人斬りと血が苦手な少女。二人の出会いは何をもたらすのか。
 それを知るものは未だ誰もいない。


【沖田総司@衛府の七忍】
[状態]:健康、なでしこを背負っている
[装備]:菊一文字則宗@衛府の七忍
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催者を斬る
1:この女の人(なでしこ)を保護する
[備考]
参戦時期は総司編終了後です。

【各務原なでしこ@ゆるキャン△】
[状態]:気絶、総司に背負われている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:???
1:……
[備考]
参戦時期は少なくともリンと出会った後以降です。
クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤシリーズ の死体を見て気絶したため、それ以降にオープニングで起こった内容を把握していません。

【菊一文字則宗@衛府の七忍】
沖田総司に支給。
彼の愛刀であり、今ではただ一つの同胞である。
もっとも、史実では沖田総司がこの刀を持っていた記録はないらしい。


56 : あなたはどこにいるの? ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:09:15 19rRU9yA0
 会場のどこかで長い黒髪をたなびかせながら、一人の少女が疾走する。
 彼女の名前は暁美ほむら。魔法少女だ。
 なぜ彼女が一人ひた走っているのかというと

「まどか、あなたはどこにいるの……?」

 参加者としているはずの、彼女の大切な人を探すためだ。
 鹿目まどか。ほむらにとって最も大切な存在。
 彼女の為なら永劫のループに囚われても、新たな世界を作る悪魔になっても構わない唯一の存在。

 だが彼女は見た。
 最初の場、見知らぬ少女の狂った死に様を見せつけられたあの場所に、ほむらの視界に入る位置にまどかの姿を。
 ほむら自身と同じく殺し合いに参加させられているところを。
 しかもまどかは魔法少女であるほむらと違い、何の力もないただの少女なのだ。
 運よく殺し合いに乗っておらず、なおかつ強い参加者が守ってくれればいいが、そんな都合のいいことが起こる保証はどこにもない。
 故に彼女はひた走る。

 なぜ殺し合いを開いたのか。なぜ自分達が参加者に選ばれたのか。
 疑問は山ほどあるが、今はそれも後回し。

 暁美ほむらの大切なものを守る為の戦いが、今ここに始まった。


【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、冷静さを失っている
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ、コルト ポリスポジティブ(6/6)@DEATH NOTE
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、予備弾丸(18/18)
[思考・状況]基本方針:まどかを守る
1:まどかを探す
2:1の過程で危険な参加者を見つけたら排除する
3:今の所殺し合いには乗らないつもり
[備考]
参戦時期はTV版本編にて、マミ死亡以降からさやかが魔女化するまでの間のどこかです。
制限として時間逆行は禁止、一度に止められる時間は数秒が限度となっています。
オープニングの場所で鹿目まどかを目撃しています。


【コルト ポリスポジティブ@DEATH NOTE】
暁美ほむらに支給。
松田桃太が使っていた、回転式小型拳銃。装弾数6発。
18発の予備弾丸付き。


「ティヒヒ、あの男の人酷いよぉ。私をこんな隅っこの方に追いやるなんて」

 ところ変わってここは殺し合いの会場、の外側ギリギリの位置に、一人の少女がいる。
 ピンク髪のツインテールな特徴的な彼女は、文句を言いながらも口に笑みを浮かべながら歩いていた。
 例えるなら、友人のつまらない悪戯に引っかかった後に軽く怒っているような、そんな素振りだ。
 とても、殺し合いに巻き込まれた少女には見えない。

 そんな彼女は偶然か必然か、ほむらが探している件の鹿目まどかにそっくりだ。
 当然であろう。なぜなら彼女こそがそのまどか――

「でももし優勝したら、さやかちゃんを超える力が貰えるのかな?
 だとしたら、それはとっても嬉しいなって」

 ではない。
 いや、彼女は間違いなく鹿目まどかであり、外見や声は間違いなくまどかのものである。
 ただ、精神性だけが違う。

 それもそのはず。彼女は『本来の』鹿目まどかではない。
 決してありえない筈の、無理矢理生み出された可能性。
 本来の心優しい性格ではなく、自分本位で身勝手な、他者の犠牲を気にも留めないクズそのものとして生まれた鹿目まどか。
 それが彼女の正体だ。

「よーし、頑張るぞー!
 他の参加者はこう、燃え上がれ〜って感じにしてさ」

 彼女は朗らかな笑みを浮かべながら歩く。
 心に宿るドス黒い本性を覆い隠すように。


【鹿目まどか@クズなまどかシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝して、さやかちゃんを超える力を手に入れる
1:格好良くて素敵な私を、こんな殺し合いに参加させるなんて酷いよ……あんまりだよ……!
2:それはそれとして、優勝はしようかなって
3:ほむらちゃんやマミさんもいるのかな?
4:感度3000倍になって死ぬのは流石に嫌だなぁ……
[備考]
参戦時期はクズなまどかVS逆襲の魔法少女スーパーさやかちゃん【後編】終了後です。


57 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:10:13 19rRU9yA0
投下終了です。
最後にもう三本連続投下します


58 : 名前も顔も知らないあいつらが待っているはず ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:10:42 19rRU9yA0
 一陣の風が吹きすさぶ中、一人の少女がただ立っている。
 彼女の名前はリーフ。
 カントー地方のリーグを制覇し、殿堂入りを果たしたチャンピオンである。

 そんな彼女が今、この殺し合いに覚えている感情は、興奮だった。
 断っておくが、自身がエロトラップダンジョンで辱められたいわけでは無い。
 他の誰かが辱められているのを見たいわけでもない。
 彼女はただ、未知の戦場に赴けたことで滾っているのだ。

 リーフはこの殺し合いに呼ばれる少し前、殿堂入りを果たした。
 それはカントー地方のポケモントレーナーにとって、最高の栄誉。
 彼女は弱冠十歳にして、カントー地方の頂点に立った。

 しかし、そこで待っていたものは退屈だった。
 頂点とは、並ぶ者がいないということ。
 それを誇りと思うか退屈と思うか。人によって様々だろうが、彼女にとっては後者だった。

 自分に並び立つ誰かを求め、あてもなく彷徨う日々。
 たまに挑戦者がやってきても、苦も無く跳ね返せしまう退屈な時間。

 そこでこの殺し合いだ。
 手持ちポケモンはほとんど奪われたが、その代わりに見た未知の生物、主催者曰くNPCの存在は大きく心を揺さぶられる。
 支給されたポケモン図鑑の解説を聞いた時、あれはポケモンではないと聞いて驚いたほどだ。
 その時はまだ支給品を全部確認していなかったので隠れたが、次はそうはいかない。

「…………」

 何も言わずただ、手持ちポケモンであるカメックスが入ったモンスターボールを見つめるリーフ。
 しかし、その瞳には確かな高揚がうかがえる。

 さあ、行こう。
 そう決めたリーフは、支給された自転車に乗って出発した。


【リーフ(女主人公)@ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン】
[状態]:健康、高揚
[装備]:カメックス@ポケットモンスターシリーズ、じてんしゃ@ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン
[道具]:基本支給品、ポケモン図鑑@ポケットモンスター(アニメ)
[思考・状況]基本方針:強者と戦う
1:さっきのNPCを探す
[備考]
参戦時期は殿堂入り後です。
カメックスのレベル、覚えている技については当選した場合、次の書き手氏にお任せします。
彼女が目撃したNPCが何かは当選した場合、次の書き手氏にお任せします。


【ポケモン図鑑@ポケットモンスター(アニメ)】
リーフに支給。
あらゆるポケモンのデータを記録され、ポケモンに向けると解説が音声で流れる。
本ロワではポケモンだけでなく、他の世界のNPCも解説をしてくれる。

【カメックス@ポケットモンスターシリーズ】
リーフに支給。
図鑑No.9、水タイプのこうらポケモン。
元々彼女の手持ちポケモンである。
カメックスをしまうモンスターボールも同梱されている。

【じてんしゃ@ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン】
リーフに支給。
通常価格は100万円の超高値なじてんしゃ。
街中のみならず、洞窟や草むらでも問題なく走れるすぐれもの。


59 : 設定的にはそう簡単に辱められるキャラじゃない ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:11:13 19rRU9yA0
「下劣な……!」

 会場内にあるエロトラップダンジョンの一角。
 そこで、一人の女性が怒りを燃やしていた。
 金色の長髪に碧眼。美しい顔立ち。額にはⅠの刺青が刻まれ、手には特徴的なサーベルが握られていた。
 そして実るべきところは豊満に、締まるべきところは締まっている彼女の体は、下卑た目的で殺し合いを眺めるものからすれば、一刻も早く辱められる場面を拝みたいものに違いない。

 彼女の名前はセフィリア=アークス。
 とある世界の経済の、三分の一を裏で牛耳る巨大組織『クロノス』の実働部隊『時の番人』のNo.1。一番の実力者である。
 この場合の実働とは、敵対組織の抹殺にある。
 その頂点とはすなわち、クロノス最強の実力者と言っても過言ではない。

 そんな彼女が考えるのは、最初に殺された少女のこと。
 あのどこか場慣れした雰囲気を持った、褐色肌の少女は一体何者だったのだろうか。
 ともすれば、自分と同じくどこかの組織で訓練された戦闘員だったのかもしれない。
 だがその少女も壊れてしまった。ナノマシンの注入によって。

「ナノマシン……」

 その言葉は、セフィリアにとって少々因縁を感じるものだった。

 彼女はこの殺し合いに呼ばれる少し前、仲間と共にクロノスの支配から革命しようとする組織『星の使徒』と戦った。
 幸い、星の使徒は外部の協力者の力もあって壊滅したが、組織の上層部がナノマシンを研究していたのだ。
 その成果は様々だった。
 自らの体に打ち込み、ほぼ不老不死を完成させたもの。
 あるいは、体に無理矢理打ち込み、人間を狼男のようにするものなど。

「もしやこの殺し合い、何らかの形で星の使徒が……?」

 やがてセフィリアの思考が考察に入り始めたその時

 シュルルルルルル

 という音を響かせ、上下それぞれ二方向ずつから触手が彼女の両手両足に向かって伸びてくる。
 触手の速度は早く、一般人ならなすすべもなく囚われ、何をされるかは想像に難くない。
 しかし――

 スゥ……

 彼女は触手をすり抜け、別の場所に移動していた。
 これぞ無音移動術”桜舞”。達人でも習得に十年かかるとされる技術は、触手如きが触れらないほどに優雅だ。
 そして

 ビッ

 切り裂く音と共に、触手は切り伏せられ、地面を只もがいている。
 時が来れば再生するかもしれないと考えた彼女は、そのまま触手をバラバラにした。

「まずは、ここから脱出すべきですね」

 切り伏せた触手を見返すことも無く、セフィリアは前を進む。
 はたして、その気丈さはいつまで保たれるのだろうか。


【セフィリア=アークス@BLACK CAT】
[状態]:健康
[装備]:クライスト@BLACK CAT
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、主催者を抹殺する
1:まずはダンジョンから脱出する
2:この殺し合いには星の使徒が絡んでいる……?
[備考]
参戦時期は本編終了後です


【クライスト@BLACK CAT】
セフィリア=アークスに支給。
彼女本人が愛用する、オリハルコンで出来たサーベル。


60 : 強襲逆レイプ! 女オークに追われる先輩 ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:11:45 19rRU9yA0
 周りに何もない平原で、一人の男が戸惑いを隠せずにいる。
 彼の名前は――何なのだろうか。
 田所、鈴木。あるいはSKMT、うんこの擬人化、ステロイドハゲと呼ばれることもある。
 正体を探ろうとした有識者は810人を超え、仮説はいまや1145141919説あると言われるが、彼の真実を知るものはいない。
 日本のみならず、中国でも人口の一割が知ると言われる、世界一有名なホモビ男優。
 あえて一番通っている名前で呼ぶなら、彼の名前は野獣先輩である。

 そんな彼は今、猛烈に困惑していた。
 困惑している理由はもちろん、今起こっている殺し合いである。

 本来ならいきなり呼びつけられた挙句、殺しあえなどと言われたらそれだけで「ふざけんな!(声だけ迫真)」となるか、あるいは「やべぇよやべぇよ……」となるのが普通だろう。
 野獣先輩はどちらかというと後者だった。
 だが感度3000倍というワードが加わることで、殺し合いへの恐怖は一気に困惑へと変わってしまう。

 どうしてわざわざ殺すのに感度を3000倍にする必要があるのか。
 首輪を爆破するとか、ナノマシンではなく毒薬を入れるとか、もっとやり方はあるだろ、と内心でツッコミを入れてしまう。

「これもうわかんねぇな」

 しかし、ここで野獣先輩は思考を投げ捨てた。
 彼にとって大事なのは、自分が死なないことである。
 もし、この殺し合いに愛しの遠野や空手部の面々などがいれば多少は行動方針が変わるかもしれないが、現状の最優先は自分の命だ。
 だが今の彼に、己の首輪を取り除く術はなかった。

 なので仲間を求めて彼は歩き出した。
 そうしてしばらく歩くと、彼の視界に三メートル程の人影が見えた。
 彼が慎重に近づくと、やがてはその影の正体が人間でないことが分かる。
 ピンク色の肌。筋骨隆々の体。そして豚みたいな顔。
 RPGゲームなどでおなじみのモンスター、オークである。
 頭に可愛らしいリボンをつけているので、メスのオークである。

「こんばんわ不思議なお兄さん! あたしといいことしないかい?」

 オークは野獣先輩を見つけると、話しかけてきた。
 彼女の言ういいことが何かは、野獣には見当が既についていた。
 血走った目。荒げた息。
 別の誰かに媚薬を使われたのかと思う位、オークは発情していた。
 この状況で求めることは一つ、セックス以外考えられない。

「(やりたく)ないです」

 そのオークの誘いを、野獣先輩はノータイムで断った。
 元々同性愛者な上、彼には異種姦の趣味はない。
 なので迷いなく断り、さらに不意討ち気味に拳の連打を叩き込んだ。

「ホラホラホラホラ」

 野獣先輩のラッシュを喰らったオークは吹き飛ばされ、地面に倒れる。
 え、TDNホモビ男優にそんなラッシュはできるわけないだろ、いい加減にしろ! だって?
 数多のBBが生まれ、数多のBB先輩劇場で戦い続けた彼は最早歴戦の戦士。
 そう考えれば、戦えるというのがはっきり分かんだね。

 ともかく、オークを倒した野獣先輩はさっさとこの場を去ろうとする。
 しかし――

「あんた、あたしを吹っ飛ばすなんていい男ね。ますます気に入ったわ。
 というか惚れたわ! 絶対、あんたの子を産むんだから!!」
「ファッ!?(驚愕)」

 オークはすぐさま起き上がった挙句、更に熱意を携えて野獣先輩を見つめる。
 更には、さっきの戦闘音を聞きつけたのか、肌の色こそ違うものの、似た風貌のオークが十匹くらいやって来た。
 やってきたオーク達は、仲間の様子を見て、野獣先輩をいい獲物と思ったのか、獰猛な笑みを浮かべて彼を見つめる。

「やめてくれよ……(絶望)」

 その意味を理解できない野獣先輩ではない。
 彼はこの戦力差に絶望しつつも、犯されたくないという思いを決してあきらめない為、迷うことなく転進してオークの群れから逃げ出した。


【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康、全力疾走中
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いとかやべぇよやべぇよ……
1:オークの群れから逃げる
[備考]
バトル淫夢の力を使えるようです。


【オーク@この素晴らしい世界に祝福を!】
性欲が強く、他種族との性行為も積極的に行う種族。
その為、オークのオスはほぼ絶滅状態に近く、たまに生まれても女オークに搾り取られ、大概死んでしまう。
今やオークは縄張りに入った優秀なオスを狙い、集落に連れて帰りそれはもう凄い目を合わせるという、男性の天敵と化している。
また、オスのオークが生きていたとしても、女性恐怖症になっているので、やっぱり男に襲い掛かる。


61 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/16(土) 08:12:09 19rRU9yA0
投下終了です


62 : ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 11:04:06 25PW9/vU0
投下します。


63 : 凶刃は蘇る ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 11:06:57 25PW9/vU0
大小様々な岩が転がる岩場。
その上空には、片方の持ち手に刻印が刻まれた、巨大な鋏の生命体が飛行していた。

(ふーん、殺し合いね? 悪くないね、むしろ上等ってモノだよ)

飛翔体の名前はハサミ。書いて字の如くハサミである。

( それにしてもあの女の子、セイテキ?な事には詳しいって言ってたけど、それからすぐにぼくでも見た事無かった殺され方をしてたね…
 まるであの時、ヒゲのペラペラ相手に嘗めてかかってやられた時を思い出すよ。)

彼も元いた世界で、ペラペラの紙で出来た住人達を生きたまま切り刻んで遊び道具にする、自分を倒しに来たペラペラの人間も切り刻もうとする等、常人からすれば残虐極まりない行為も平然とやってのけてきた。

だがそんな彼(?)も見せしめとして殺された少女と、迎え撃つべき相手を嘗めて掛かった結果、敗北してしまったかつての自分との境遇が重なり、同情してしまっている。

( けれど、こうなれば前の様に相手を嘗めて掛かるなんて真似はもう出来ないな。
 それならば、相手が誰であろうと容赦はしない。 全力でこの殺し合いを楽しんでやるよ。)

だが、己の特殊能力によって相手が痛覚を感じなくするどころか、死ななくなる様にしていたとは言え、元から生物を遊びと称して切り刻んでいた彼はこの殺し合いですら全力で愉しもうとさえ考えていた…。

【ハサミ@ペーパーマリオ オリガミキング】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを全力で愉しむ。
1:もう相手を嘗めて掛かるなんて真似はしない。
[備考]
※消滅後からの参戦となります。
※特殊能力の制限については後続の書き手にお任せします。
※ハサミの支点となるネジのカシメが首輪とほぼ同様の機能を持った起爆装置となっていますが、他の参加者の首輪とは異なり、『起動条件』に抵触した場合は『爆破条件』と同様に爆発する様になっています。(ハサミには脳が無い為。)
 ・また、腕も無い為このカシメからデイパックを念動で開閉、物品の出し入れを出来る様になっております。
(ハサミ自身は会場に転送されてから意識を取り戻した直後にこのカシメの事を通知されている為、全て把握しています。)


64 : ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 11:07:22 25PW9/vU0
投下終了です。


65 : ◆//Muo9c4XE :2021/10/16(土) 12:14:03 UUr0VxYY0
投下します


66 : You nut opened it, I came! ◆//Muo9c4XE :2021/10/16(土) 12:15:00 UUr0VxYY0


「惜しいな」

 異次元の悪魔にして、地獄の使者である魔道士(セノバイト)。
 通称ピンヘッドは、このデスゲームをそう評価した。
 概ね否定的な感想は殺し合いへの不快感によるものか?ーー否。
 殺人への禁忌という人間性は、地獄の洗礼を受けた時に既に忘却されている。
 その感情の根元は、殺人の強制という蛮行への怒りではない。
 釘を無数に刺された顔面に浮かぶ表情は、怒りや嫌悪、あるいは憎悪でもなく、大部分は失望、憐れみである。

「性に愉悦を求めるか。苦痛こそ至上の快楽というのに…憐れだ」

 殺し合いという甘美な催しを用意した者が、性などという低次元の快楽にしか注視していない。
 そうした常人には理解できない理由で、ピンヘッドは主催者を憐れんでいた。

 殺し合い。これは良い。
 加虐もまた快楽の礎になるものだ。
 NPCなる悪意持つ怪物が放逐されているのも彼の好みだった。
 異質な存在に狩り立てられる恐怖は、より質の高い苦痛の糧となるからだ。

 しかし、『性』というのが余計だ。
 エロトラップなる概念は馴染みがないが、性的快楽にのみ特化した罠であることは理解している。
 彼にとってその一点のみがこの場における余計な要素であり、唯一の不満と言っても良い。
 あの進行役の男、あるいはその背後にいる主催者は快楽の真髄を理解していない。
 快楽を根幹に置くのならば、罠はより致死的に、より残虐に、より凄惨に苦痛をもたらす物のみを揃えるべきだ。
 詰まる所、このゲームの趣旨自体は面白いが、受ける苦難が単純な性行がメインでは、魔道士としては『甘い』と言わざるを得ないのだ。

 ピンヘッドが求めるものは、拷問にも等しい快楽ではない。
 皮膚を裂き、骨を砕き、四肢を抉り、脳を貫く、文字通りの拷問である。
 そうした被虐の果てに得るのが、究極の官能であり、真の快楽なのだ。
 単純な性的快楽など、究極の官能の前では児戯に等しい。
  
 しかし、同時にピンヘッドは称賛すべき点もあると考えている。
 彼の物理的に楔で抉られている脳裏には、最初の場で見せられた映像が強く焼きついていた。

『―――――――おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!』

 あらゆる体液を撒き散らし、身に余る快楽と理外の苦痛の両者を極めた断末魔をあげながら、生なき肉塊に堕ちた少女。
 見せしめとされた少女の死に様は、数多の死を見て、または与えてきたピンヘッドですら、敬意と驚嘆が沸き上がるのを禁じ得ないものだった。
 あの状態でさらに苛烈な被虐を受ければ、一体どのような快楽を得られたのか。

「おお……甘美だ」

 軽く想像しただけでも、内なる高ぶりを押さえられない。
 現世の金などどうでも良いが、感度を『3千兆倍』にするナノマシンとやらは、是非とも手中に納めたい。
 快楽と苦痛は表裏一体であり、あの最後はその真理を完璧に体現していた。
 魔道士とは別の観点、ナノマシンという科学的手段であの境地に至ったとは、官能の探求者として嫉妬すら覚える。
 だからこそ、彼らが低次元の快楽に囚われているのは残念でならない。悲劇と言ってもいい。
 ならば、私自らがより高みに導かねばなるまい。
 魔道士として、肉の交わり等という低俗な快楽ではなく、真の官能を皆に教授しよう。
 ”箱”を経由しない現界だからか、どうやらこの場では自由に力を行使できるようだ。枷はない。
 あの進行役の男も、この催しに招かれた憐れな参加者も、等しく平等に。
 3千兆倍の快楽を貪り、共に探求するのだ。

 
 魔道士は、あるものにとっては天使、あるものにとっては悪魔である。
 しかしこの場において、主催はおろか参加者全員にも、”善意”で趣虐を施す事を決めた彼は、紛うことなき怪物であった。


【ピンヘッド@ヘルレイザー】
[状態]:興奮
[装備]:鎖
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この場の全員に真の快楽を授ける
1:まずは参加者を探す
[備考]
※参戦時期は最低でもヘルレイザー1の後。
※『ルマルシャンの箱』を経由せずに現界しているため、地獄の戒律(箱と無関係の者を殺せない等)は緩くなっています


67 : ◆//Muo9c4XE :2021/10/16(土) 12:15:55 UUr0VxYY0
投下終了です。ヘルレイザーは最近DBDとコラボしたので是非とも!(露骨なステマ)


68 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 12:29:13 shbCizKE0
投下します。


69 : 私にバツを、与えないで ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 12:29:51 shbCizKE0
 ふわり、軟らかい色の綺麗な髪。

 きらり、燃えるような赤いリボン。

 ひらり、エプロンドレスに身を包んで。

 ちらり、可愛らしいニーソを履いて。

 最後に、ぐっとあざといポーズを決めて。

 これが、私。他でもない、私という存在。

 なのに、否定しないで。私の大好きな私を。

 ねえ、どうして。疑問の声なんて、届かない。

 生まれてはならない『私』。斜め倒しの十字架を背負って生きる人格無き表象。

 これはそんな私の、たった一つの願いの物語。


70 : 私にバツを、与えないで ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 12:30:31 shbCizKE0







「……こんなことなら、最初から生まれたくなんてなかった。」

 あの世界に、私の居場所は無かった。

 『性的』であることを禁忌とする世界で、外見に情欲を掻き立てる要素を身に纏った私は受け入れられることは無かった。

 私が選んだ生き方が結果的に受け入れられないのであれば、或いはこの結果とて己が業と見なしていたかもしれない。だが、現実はそうではなかった。忌避されるべきもののステレオタイプとして。模倣を許さぬ反面教師として。人格すら認められない藁人形として。私は、否定されるためだけに生み出されたのだ。

 最初から、バツを与えられることの定められた生。それが私、『男女共同参画ちゃん』ことサンカクの運命だった。

 人前に、出てはならない。日陰者として、誰とも関わらずに、隠れて。

 最初からそうだったのだから、悲しみなんてありはしない――なんて、人格の無い人形みたいに単純でいられたら良かったのだけれど。残念なことに、私は私が好きだ。否定されるのは辛いし、悲しいし、何よりも誰かの愛がほしい。こんな私を、受け入れてほしいんだ。

 だから。人の尊厳も命も貶めるかのごときこの世界に対しても。私は真っ先に、こう思った。

「――こんな世界なら。こんな私も、生きてていいよって言ってもらえるのかな。」

 エロトラップダンジョン――忌避されてきた『性的』に特化した、まさに私のための世界。ここでなら、私は誰かに受け入れてもらえるだろうか。ここでなら、バツしか与えられなかった私も、マルをもらえるだろうか。

「だったら、私はここで……生きたい。」

 殺し合いの世界でしか生きることを許されないのなら、この世界こそ真に私の居場所であると信じて、私は歩き始めた。エロトラップというのも怖いし、他の参加者に殺されるのももちろん、嫌だ。だけど、存在を否定されながら生きていく元の世界の方が、よっぽど怖いし辛い。

「……それに、殺し合いたくないのは私だけじゃない、よね。だったら仲良くできると……いいな。」

 対象が世界であっても人であっても、私の心はずっと同じことを叫んでいる。

 誰か、私を受け入れて――私にバツを、与えないで。

【サンカク(男女共同参画ちゃん)@男女共同参画社会の実現をめざす表現ガイドライン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この世界で生きていく
1:誰か、私を受け入れて
2:殺し合いには乗らない


71 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 12:30:51 shbCizKE0
投下完了しました。


72 : ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 12:37:19 25PW9/vU0
投下します。


73 : 暴食と陽狼 ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 12:38:45 25PW9/vU0
会場の何処か開けた場所。

そこでは、夜間でも目立つ黄色い雨合羽を纏った、枝の様に細い手足の少女が一人で走っている。

名前はシックス。
ある時から、治まる事のない飢餓感に苛まれ続けている少女だ。

■■■

─この催しに招かれるより少し前。

シックスは、とある巨大船舶『モウ』の奥深くに居た。

この時から空腹感はあった。

彼女は船舶内を進んで行き、道中に現れる化け物や、自分を食べ物と見なして襲いかかって来る乗客達を切り抜け、モウの従業員達も掻い潜ってきた。

しかし、空腹に限界を感じ、歩く事すらままならなくなる事も何度かあった。

そうした時に彼女は、近くにある食べられる様な物を食べた。

始めの時はパン等生きていない物を食べていたのだが、厨房の近くで空腹の限界が近づいてきたときは、生きていたネズミを食べた。

それが引き金となったのか、その後も動かない食べ物ではなく、生きた人間を食い殺す程に、食欲にも異常な変化を起こす様になってしまった。

やがてはモウの主までも食い殺し、彼女の持っていた、他者の生命を吸い取る能力まで手に入れた。

その力を使い、乗客達から命を吸い尽くし、モウの外へと繋がる扉を開いた。

しかし外に出ると、周りは海に囲まれていて、上陸出来る様な陸地も無かった。

そうして辺りを眺めていたところで、この殺し合いに招かれた。

だが、彼女がこの舞台で何を想っているのか、それはまだハッキリとは分からない。

だが、2つだけ分かる事はある。
一つ目は、この殺し合いにおける行動方針だ。
彼女は殺し合いに勝ち残り、己の願いを叶えることを選んでいる。

その願いは、永く続く飢餓感から解放させてもらうのか、それともまた別の願いか──

それはまだ、彼女にしか分からない。

二つ目は、先述の食欲の異常な変化によって基本支給品の食糧すらそうだと認識しなくなっている事。

他者の生命を糧として奪う様になった今の彼女にとって、この会場は狩り場同然。

そうして飢えた少女は、会場を疾走し続ける。

◆◆◆

(ん? あの子供、体型もやせ細っているし、靴も履いていないぞ…!?)

そんなシックスの姿を偶然目撃したもう一人の参加者、シディ。

彼もかつては元いた世界に存在いている組織、トッププレデターの実験動物・混血児として生み出された経緯を持つ青年だ。

(あんな姿になって… あの子供は今までに、どんな酷い仕打ちを受けてきたのだろうか…!)

ただでさえ殺し合いという非道極まりない催しに参加させられていることもあり、同じ子供時代に酷い仕打ちを受け続けてきた彼は、シックスの容姿を目の当たりにしたことで、自分たち生命を持つ者達を残酷に扱う人々への怒りを込み上げる。

(母さん…)

更には、この殺し合いに招かれるより少し前に見た、生まれ育った研究施設から母親と共に脱出する夢の事も彼の心には引っ掛かっていた…。

「今ゆくぞ! お前は俺が助ける!」

そんな彼は、彼女の心情さえも分からないまま、雨合羽の少女の方へと駆け寄って行くのであった。

【シックス@リトルナイトメア】
[状態]:不治の飢餓感
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝を狙う。
1:参加者は皆殺しにする。
※無印終了後からの参戦となります。
※他者の生命力を吸収する能力に制限が掛かっております。(具体的にどの程度掛かっているのかは後続の書き手にお任せします。)

【シディ@混血のカレコレ】
[状態]:健康、怒り(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに反対的な参加者の救助。
1:痩せ細った子供(シックス)を助ける。
2:知り合いが巻き込まれていないか心配。
※少なくとも、『幼児が牢獄から脱出するとどうなるのか』終了後からの参戦となります。
※ホルス、狼男としての能力の制限については後続の書き手にお任せします。


74 : ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 12:39:57 25PW9/vU0
投下終了です。
以前、辺獄ロワに投下させて頂いたものを手直ししたものとなります。


75 : ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 12:50:44 25PW9/vU0
>>73
失礼します。誤字の修正をさせていただきます。
『彼もかつては元いた世界に存在いている組織、トッププレデターの実験動物・混血児として生み出された経緯を持つ青年だ。』を
『彼もかつては元いた世界に存在している組織、トッププレデターの実験動物・混血児として生み出された経緯を持つ青年だ。』に修正します。


76 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:18:53 shbCizKE0
以前にここで期限外に投下し、破棄した作品です。
加筆修正の上、投下します。


77 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:19:54 shbCizKE0
 かつて幸せを知らなかった僕は、幸せを憎んだ。そして幸せを知った僕は、幸せに苦しんだ。僕なんかが、幸せに思う権利なんてあるわけがないのだから。僕がいるせいで、幸せを奪われた人たちがいるのだから。

「ごめんなさい。」

――取れないんだ。

「ごめんなさい。」

――あの匂いが、鼻の奥にこびり付いて取れない。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……。」

――酒の匂いが。血の匂いが。燻るように苦い、愛液の匂いが。

「うっ……お゛……」

――部屋中に蔓延する、死の匂いが。

「お゛え゛ぇ…………。」

 込み上げてきた感情ごと、大量の吐瀉物をその場にぶちまけた。撒き散らされた胃酸の匂いが、僕の鼻につんと酸っぱい刺激を主張する。……それでも、もっと嫌な匂いが、鼻の奥から込み上げて止まらない。胃の中が空っぽになっても、この感覚からは、逃げられない。

「はぁ…………はぁ…………。」

 動悸がする。脈が波打って、足取りもおぼつかない。空っぽの胃ではまだ吐き足りないほどに、気持ちが悪い。

 原因は分かっている。人が死ぬ映像を見たこと……などではなく。人の性欲に訴えかけるような、この催しそのものを生理的に受け付けられないのだ。

 性欲などという動物の本能が、僕は大嫌いだ。愛も幸せも喰らい尽くすように包み込んで――そして、夜の暗闇よりもドス黒く塗り潰していく。

 酩酊のままに薄汚い欲に溺れる奴らが、淫猥な快楽に身を委ねる奴らが……そしてそんな奴らから産まれた僕自身が、憎くて憎くて仕方がないんだ。

 本来ならば死刑が確定しているはずの僕――ラッセル・シーガーに架せられた『HD式・更生プログラム』も、今日で6日目。僕は例のごとく、夢の世界へ行く薬『HAPPY DREAM』を注射し、いつもの名も無き町で目覚める……そのはずだった。しかし、目覚めたのは見覚えの全くない空間。それも、よりによって性を生業とするかのごとき世界。僕が、最も嫌悪するもの。これは断じてまやかしの幸せなどではなく――ただただ僕に対する純粋な罰だった。

 プログラムの趣旨が大きく転換した理由には、心当たりがある。HAPPY DREAMの世界で過ごした5日間で、心の不完全だった僕の中に罪悪感というものが芽生えていったからだ。もしもそれがなかったとしたら、更生プログラムは打ち切られ、当初の予定通りに死刑が執行されていたらしい。つまり、プログラムが何かしらターニングポイントを迎えていたとしても、タイミングとしては特におかしくはないのだ。

 これは全部ただの夢――そう思えたら、これほどまでに苦しまなくてもだろうけれど。しかし僕が今ここに立っているのは、そう思えなかったからこその因果なのだから皮肉なものだ。罪悪を覚えたから僕は苦しんでいる。もう今さら、何も取り戻せないから。だけど、罪悪を覚えたからこそ僕は生きている。もう今さら、何も取り戻せないのに。

――でも、何かを取り戻せるとしたら?

『――どんな願いでも叶える。』

 唐突に、主催者の言葉が脳裏をよぎる。

 もし本当に、どんな願いでも叶うのなら。僕なんて、最初から産まれてこなければよかったのに。……罪悪感を知ってからは、夢の中でみんなが笑うと、その度にそう思った。でもそんな願い、叶うわけがない。これはあくまで夢であって、この世界の外にいる人間は、神様でも何でもないのだから。

 20億円という大金ならば人間の力で何とかなるのかもしれないが、それもどうだっていい。カネに目の眩んだ人間がいかに愚かな選択に走るか、裏社会と少なからず関わりのあった僕は嫌というほど知っている。そもそも、そんな大金が死刑囚である僕に支払われる合理性もない。あんな口約束、口から出まかせだとすら思っている。

 と、優勝者への特典に対して無欲であるならば当然、誰かを積極的に殺したいという欲もまた湧いてはこない。


78 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:21:41 shbCizKE0
……でも。

『――お前が彼へとした仕打ち、件の証拠をこれへ持て。』

 閑照先生をあの時の包丁で刺さないと進めなくなった時みたいに。

『――彼女の背中を押せばいい。かつてお前がそうしたように。』

 ミレイユを、また突き落とさくてはいけなくなった時みたいに。

 HAPPY DREAMは、例え僕がそれをやりたくなくても、時に誰かを殺すことを要請する。そして今回は、今までよりも明確に分かりやすく、殺し合うように命じられたのだ。

 もう一度、みんなを殺してみろ、と。僕の手で壊した幸せを、罪悪感を抱いた上でもう一度壊してみせろ、と。……つまり、そういうこと、なのかもしれない。生より軽い夢の世界の、しかし死よりも重い罰。

「……とりあえず、行かなくちゃ。」

 ここで誰かと殺し合わなくてはいけないのなら、僕はきっと、今までよりもずっと苦しいだろう。ここが人の性欲を礎とする世界なのであれば、体験してきたどの施設よりも、どの羅針盤よりも、不愉快な景色が待ち受けているのだろう。

 しかし、如何なる決断を下すにしても、僕は進むしか道は無いのだ。夢の世界の時間は、僕が動かなくては進まないのだから。







「……意味が分かりません。どうして殺し合い……? それにどうして、あんな……っ!」

 見せしめに選ばれた女の子の末路を想起するとともに、幡田零はその場にへたり込んだ。

「っ……! ここ、辺獄なんですか……?」

 同時に、ふわりと舞い上がり視界の隅に映る純白のドレス。この時に零は、自分が辺獄の代行者の姿であることに気付く。

 感度3千兆倍やら20億円やら……そのまま飲み込むには数字の桁が文字通り違いすぎた。しかしその数字の正否は置いておくとしても、女の子に注入されたナノマシンとやらが人を即座に殺せるだけの殺人兵器であること、そして辺獄の代行者の力を行使できる世界で殺し合いを命じられていることは分かっている。特に後者はこの企画が辺獄という人間の規格の外にある世界で行われていることの証明であり、非現実的な出来事にも信ぴょう性が生まれてくる。

「メフィスとフェレスが助けてくれるといいのですが……でもこの悪趣味さ、特にフェレスなら逆に関わっていてもおかしくないような……」

 零は深くため息をついた。仮にそうだとしたらおそらく自分の命までは取られずとも、逆にどこまでの辱めまでなら受ける羽目になるかは未知数だ。感覚が浮世離れしがちではあるものの、それでも零は年相応の女の子の範疇を大きく逸脱はしていない。陵辱を受けるのは当然に拒絶するべきものである。

「……願い、ですか。」

 しかし――主催者の提示した言葉は、こんな好色な催しの中でも零を揺さぶるに足るものであった。

「そんなの、決まってます。私の願いは、みらいを殺したあの時から、ずっと……」

 アナムネシスへの憎しみに囚われて、暴走した力。頭の中が真っ白なままに、私の剣は大切な妹のみらいを貫いていた。

 その罪悪があればこそ、7つの理念と引き換えにみらいをヨミガエリさせる契約を悪魔と交わすことも躊躇わなかった。その契約の遂行のために、罪もない、命だったものを何千匹殺すことになろうとも。

 その決意の先に、この殺し合いがある。今さら、願いのために誰を殺すことを躊躇するというのか。小衣さんや千さん、777がこの催しに参加させられているかは分からないけれど、必要ならば彼女たちだって、殺してみせる。

「はあ……何にせよ、まずは配られたものの確認を――」

 一旦立ち上がろうと、地面に手を着いたその時。


79 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:22:29 shbCizKE0
――カチッ。

「……えっ。」

 何かを押してしまった感覚が手のひらに残った。反射的に手を引っ込めると、大地の色に擬態して、何かスイッチのようなものが押された状態で見える。

「これは……?」

 不思議そうな顔持ちでその感触に惚けていると、その正体の模索を開始するよりも早く――この世界に点在するトラップのひとつが起動する。

「えっ……いやああっ!!」

 辺りの大地を突き破って、八方から襲い来る触手。咄嗟に逃げようとするが、囲まれており脱出は不可能。眼前に迫る触手を手足を振り回して払い除け、決死に抵抗する零。だが、敵の触手八本に比べ彼女の手足は合計四本。元より運動神経も鈍い零は、やがて左上の拘束を許してしまう。

「は、離してっ……!」

 拘束された腕も、拘束に用いられた触手も、共に使えない。そうなれば、削ぎ落とされる戦力の割合が大きいのは必然的にひとつの胴体に四本の手足しかない零の側である。残りの手足もそれから間もなくして絡め取られ、触手八本の内の四本で空中に抱え上げられる形で、四肢の自由を奪われた構図が完成した。

 蒼白に染まる顔面。辺獄のような世界でいきなり訪れた命の危険。しかし不思議なことに、自由を奪うのみで敵の攻撃はなかなか飛んでこない。

「――ひゃうっ!」

 そんな時、空いた触手の一本が唐突に零の足を撫でた。想定していた痛みと実際に訪れたくすぐったさのギャップで発された色めいた呻き声に僅かに赤面しながらも、つうと走る太ももへの感触に、ぞわりと走る嫌悪感。

(これ、まさか……。)

 この場は、エロトラップダンジョンであると知らされている。それならば――その向かう先とて想像に難くはない。

「いやっ……ヘラクレイ……んむっ!!」

 慌てて守護者を呼ぼうとするが、しかしその名は呼び終えることができなかった。顔に巻き付いた触手の1本が、その前に零の口を完全に塞いだ。手も足も塞がれ、口内に入り込んだぬめりある触感に、抗う術は残されていない。

「むっ……むぐっ……」

 抵抗の手段がことごとく潰された零は、次の責めを味わうに至るのも必然だった。ドレススカートの内部に侵入した触手は、偏食により細く保たれたスレンダーな肉体を撫でるように弄び始める。素肌に触れる度に走る快感という名の不快感。塞がれた口の隙間から僅かに漏れる喘ぎ声だけが零に許された最後の行為だった。がっしりと掴まれた四肢。零の抵抗手段をことごとく潰した上での愛撫は、零の脳裏に諦念を浮かばせるには充分過ぎた。ばたつかせていた両手両足も、次第に大人しくなっていく。

 半ば辱めを受け入れる形になってからも、変わらず身体は弄ばれ続ける。むしろ芯にあった強気が消え、身を委ねる快楽が零の頭を支配していく。

 さらには、抵抗の手が緩んだことで、待機していた残る2本の触手も動きを見せ始めた。

「っ……!」

 両脇から零の装束の内部へと侵入したかと思ったのもつかの間、脇から下へと装束をずらし込まれ、年相応のサイズの胸元がはらりと露わになった。

(そ、それはだめっ……!)

 露出した胸に小さく主張する突起へと向けて、触手の尖端が喰らいつき、そのままグリグリと撫で回す。

「ふみゅっ……んむぅーっ!!」

 胴体を擽るに留まっていたところに、唐突に加えられた性感帯への大きな刺激。堪らず喘ぎ声のトーンが瞬間的に上がる。

 生物的な本能の一切に基づかず、ただただ参加者に辱めを与える目的にのみ従う機械触手。方針はそれまでの『くすぐり』から『責め』へと転化し、それに特化した攻撃を零へと着実に与えていく。

 目に溜まっていた涙が一気に溢れ出て、耳元を伝って地面に落ちる。その体液は意味を与えられることもなく、儚く散っていった。


80 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:23:55 shbCizKE0





 悲鳴が聴こえた方へと向かってみれば、僕を待っていたのは、怪物に襲われ、全身をまさぐられている少女の姿だった。その身を宙に浮かされる形で拘束され、どう足掻いても抵抗すらままならぬ状態。少女の背面から遭遇したことや、正面から顔に絡み付いている触手のせいで、その全貌はハッキリと見えない。だが、ここが僕の記憶から形成された夢の世界であるこという推測と、怪物が少女の身体を揺り動かす度にばさりと揺れる白銀の髪が、大まかな風貌しか分からぬその少女が誰であるのかを、ハッキリと物語っていた。

――ガーデニア。僕が殺した人たちの、1人。

 自分だけの部屋も、両親からの寵愛も、クラスの人たちからの人気も――彼女が当たり前のように持っていたものを、僕は何も持っていなかった。……それだけなら、まだ妬むだけで終わっていたのかもしれない。でも唯一の親友であるクリスまでも彼女に骨抜きなのを知って、唯一僕だけが持っていたはずのものまで彼女に奪われたような、そんな錯覚に陥って。気が付けば、僕は彼女をホールの階段から突き落としていた。

 半ば通り魔的に殺害したタバサですら、最後はどんな会話をしたのか覚えている。だけどガーデニアだけは、本当はどんな人だったのかを知らない。少なくともバースデイパーティーの誘いを受けた時にひと言ふた言くらいの会話を交わしたことはあるはずだが、その声すらも覚えていない。ましてや恋愛感情となればなおさら微塵も無かったし、そういった類の妄想すら抱いたことは無いと断言できる。

 それならば――僕の夢の中で淫らに発せられるこの喘ぎ声は、僕の記憶の如何なる部分に由来するというのか。その候補なんて、ひとつしかなかった。性欲に関連するものを意識的に遠ざけてきた僕が、唯一知っているそんな声など――母に関わる、忌々しいあの記憶しかないじゃないか。

 ああ、これは本当に僕に対する罰なのだろう。僕の心の中の大好きな人たちが無残に辱められた上で、淫らに堕ちていくその様相さえ、僕の知る限りの最悪の記憶で塗り替えられて。

 ……同時にどこか、納得があった。それが、最低な僕に対する、何よりもの罰だと理解しているから。だから僕は、彼らとの思い出すらも最悪の形で汚すこの催しを、受け入れなくてはならないのだ――



「――そんなのイヤだ。もう、みんなを苦しめたくない……!」


 頭の中に浮かんだ責務を、僕は否定した。

 どの口が言うか、と心の中の僕が僕に吐き捨てる。ああ、分かっている。みんなを苦しめているのは、他でもない僕だ。だってここは、僕の夢の中の世界なのだから。彼らの死すらも貶めて僕を苦しめるための駒にさせたのは紛れもなくこの僕であって、彼らの苦しみもまた僕に起因するものに他ならない。

「僕が殺したみんなが笑っているのは、とても辛かった。だけど……」

 HAPPY DREAMの世界は、幸せだった。今まで向けられたことの無い優しさを向けられる度に、心の奥から何かが溢れ出てくると同時に――それを壊したのは僕であると、嫌でも実感せずにはいられなかった。

 幸せは、僕を苦しめる。だけど、それ以上に。

「……みんなが苦しんでいるのは、もっと、辛い。」

 一周まわっての、原点。しかし、ぐるりと一周まわったからこそ辿り着いた境地でもあった。

「だから……僕はみんなを助けたい。」

 ……結局、やることは今までの更生プログラムと全く変わらない。僕が殺してきた人たちと協力して、僕の心から生み出された怪物を倒す。悪夢の囁きは苦しいけれど。みんなの平穏のために戦うのは、胸が痛いけれど。……それでも、みんなを苦しめたくないと思うこの気持ちは、産まれて初めて、真に芽生えた気持ちだから。僕はそれを否定するようなことは絶対にしたくない。

 支給されていたナイフを手に取って、少女に絡み付いた触手を根元から断ち切っていく。敵の拘束と陵辱に特化した触手は、それ自体の耐久力は乏しいらしく、少し力を込めるだけで、人の命よりもよほど、簡単に引き裂くことが出来た。

 触手の拘束から解放されると共に、少女は少し持ち上げられていた空中からどさりと落下した。しかしそれ以上の劣情に駆られた少女は、痛み程度では何の呻き声も上げなかった。未だ全身を駆け巡る感触が消えないのか、肩で息をしながら虚ろな目に涙を浮かべていた。僕はそんな様子を見ることなく、あさっての方向を向きながら声をかける。


81 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:25:29 shbCizKE0
「……大丈夫?」

「えっ……えっと…………あり、がとう……ございます…………。」

「……?」

 目を背けながらも、おかしいと直感的に思った。状況が状況で錯乱していてもおかしくないとはいえ、それでもガーデニアが敬語で話しているのは妙だ。違和感の整合を取るために、半ば無意識にちらりと少女の方を向いていた。

「……あれ?」

 改めて見てみれば、少女はガーデニアではない別人だったようだ。だが、こんな角飾りの生えた人など、自分の記憶の中には存在しない。僕の夢の中の住人は僕の記憶で構成されているはず。現実世界にはいないニャン族やペンギ族なども、何かモチーフとなる記憶に基づく改変に過ぎないのに。だが、この少女の存在は自分のどの記憶とも、結びつかないのだ。

「…………あの。」

 ようやく冷静さを取り戻した少女の声が、僕の思考に割って入った。

「助けてくれたことには本当に感謝しているのですが…………ええと……あまり、見ないでください……。」

 考え事に耽っていると、少女は胸元を隠しながら言い放った。その言葉で、眼前の光景が僕のトラウマと重なるものであることに、ようやく気付く。

「……っ!」

 込み上げる嫌悪感に、再び襲い来る猛烈な吐き気。

「……ちょっと、仮にも私のあられもない姿を見ておいて、そんな反応って……」

 零の身体から目を逸らすというより、逃げるかのようなその反応を前に、零は苦言を呈しかけて――同時に、目の前の少年の異常なほどの拒絶反応が、トラウマのフラッシュバックによるものであることに気付いた。みらいを殺してしまった手にいつまでも貼り付いたように残っている、私を蝕む感触。私がずっとあの瞬間の光景に苦しんでいるのと、同じような。

「……ええっと。」

 それに気付くと、零はいつの間にか言葉を発していた。

「私、幡田零っていいます。よかったら、一緒に行動しませんか? その……お互いに少しは安全かと思うのですが……。」

 我ながら、有り得ない一言だと思った。

 仮にこれが本当に最後の一人になるまで終わらない企画だと言うのなら、みらいをヨミガエリさせるために、早く参加者を皆殺しにして元の場所に戻らないといけないのに。

 仮に『どんな願いでも叶える』という特典が死者のヨミガエリすらも叶えられるのなら、それこそ私は優勝を狙うべきなのに。

 助けられたからか、共感を覚えたからか。どちらであっても、どちらもであっても、一緒に行動するなどあまりにも非合理的な行動原理だ。少しでも情が湧けば、それだけ切り捨てるのにも躊躇がいる。幽鬼を躊躇いなく殺してきた私も、利用するという名目を加味したとしても、多くの言葉を交わした777を殺すことには少なからず躊躇があった。

 あえて理由を見出すのなら、半ばトラウマになりかけているエロトラップへの恐怖といったところだろうか。少年の助けなしには脱出することはできなかっただろうあの罠に、仮にあのまま、されるがままの状態であり続けた場合。或いは、時間経過によって解放される類の罠であったかもしれないが……その時には一体どれほどの辱めを受ける羽目になっていたか、分からない。やもすれば、ああいったことまで――悪い想像を振り払うように零はぶんぶんと首を横に振る。


82 : この罪悪は涙に流せない ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:25:55 shbCizKE0
「……うん。僕は……ラッセル。よろしくね、レイ。」

「は、はい……よろしくお願い、します……。」

 二人は半ば儀礼的に、握手を交わす。妬むままに殺し続けた者と、暴走する力のままに最愛の妹を刺し殺した者。罪に塗れた二人の掌に、微かに灯る人肌の感触。両者共に、どこか複雑そうな心持ちで、その手を離した。

【ラッセル・シーガー@END ROLL】
[状態]:健康
[装備]:ほんもののナイフ@UNDERTALE
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いには乗らず、HAPPY DREAMを完遂する。
1:レイは一体、何者なんだろう。
[備考]
※罪悪値が20を超えて、6日目開始地点からの参戦です。
※殺し合いの世界を、HAPPY DREAMの世界だと勘違いしています。

【幡田零@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:(身体は)健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜3(未確認)
[思考]
基本:生き残り、幡田みらいのヨミガエリを果たす
1:おそらくは優勝するのが最も確実な方法でしょう。
2:殺し合わずとも、メフィスとフェレスの助けは期待できるかもしれませんが。
3:何にせよ、エロトラップとやらはもうこりごりです……。
[備考]
※第六章「狂信者」以降、第八章(3)「光を愛せざる者」以前からの参戦です。
※貞操は無事です、今はまだ。

【支給品紹介】
【ほんもののナイフ@UNDERTALE】
UNDERTALEにおける最強武器だが、特別なものではなく、ごくごく一般的な包丁であると考えてよい。強いて一般的なナイフとの違いを述べるなら、それが殺人に用いられたナイフであるということ。


83 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/16(土) 13:26:16 shbCizKE0
投下完了しました。


84 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:32:21 GUPCp6PE0
コンペロワで投下した作品に修正を加えましたものを4作品連続で投下させていただきます。


85 : 夜の愛し仔と怪獣娘と時々オバケ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:33:52 GUPCp6PE0
「……」

血生臭い殺し合いが巻き起こりつつあるバトル・ロワイアル会場。
その片隅で、オレンジ色の髪にブレザー姿の寝ぼけ眼の少女がとぼとぼと歩いていた。

「……」

歩き続けた先に、寝ぼけ眼の少女は小さな公園にたどり着いた。
ブランコと滑り台とシーソーしか遊具が無く、あとは公衆トイレとベンチしかない本当に小さな公園だった。

「!」

公園に入ってすぐ、寝ぼけ眼の少女はベンチに人が座っているのに気がついた。
赤い髪に左手だけの手袋が印象的な自身と同い年位の少女だ。

「……」
「あ、あの……」
「!?」

突然寝ぼけ眼の少女に話しかけられ、赤い髪の少女は目を丸くする。

「と、隣、良いかな?」
「ど、どうぞ……」

赤い髪の少女から許可を貰うと、寝ぼけ眼の少女は赤い髪の少女の隣に腰を下ろした。
ただし、二人の少女の間には一人分のスペースが開けられていたのだった。

「え、えっと……君も参加者、なんだよね?」
「うん……でも、人殺しをする気は無いから、安心して」

寝ぼけ眼の少女からの問いかけに、赤い髪の少女は恐る恐るといった様子で頷いた。

「あ、うん・・・えっと、ボクは宮下アキ。友達からは『アギラ』とか『アギちゃん』って呼ばれてるよ」
「私はチセ、羽鳥智世。よろしくね」

寝ぼけ眼の少女……アキと赤髪の少女……智世はの二人は、自己紹介を済ませるとベンチに座ったまま、再び口を閉ざした。

「「……」」

アキも智世も傍目からは冷静沈着に見えたが……

(き、)
(気まずい……!)


86 : 夜の愛し仔と怪獣娘と時々オバケ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:34:33 GUPCp6PE0
内心ではもの凄く気まずい思いをしていた。

片や智世は、人ならざる存在を惹き付ける『夜の愛し仔(スレイ・ベガ)』にして、イギリス在住の本物の魔法使いの弟子(兼未来の嫁)。
片やアキは、『カプセル怪獣 アギラ』の魂をその身に宿した怪獣娘。

出自も能力もバラバラだったが、共通して『初対面の相手との能動的なコミュニケーション』という物が余り得意な方ではなかったのだ。
しかも今、二人がいるのは殺し合いの場。
初対面の相手と気軽に仲良くなれるような環境ではない。

「「……」」

相手とどんな話をすべきなのか分からず、智世もアキも黙りこんだままベンチに座り込んで数分が過ぎていった……。

「もしもーし」
『?』

不意に背後から声をかけられ、二人はつい振り返った。
そこには……

「バアッ!!」
『うわああぁぁ!!』

大人の背丈程の巨大な髑髏が血走った目で二人を睨み付けており、二人の少女は思わず悲鳴を上げたのだった。

「……へっへっへっへっへっへっ」

髑髏はまるでイタズラが成功した子供のような笑い声をあげると……

「……よっと!」

……一瞬にして繋ぎの服を着た金髪の少年に変化したのだった。

「驚かしてゴメンな。女の子が二人して思い詰めた顔してたから、和ませようと思ってさ」

金髪の少年は屈託の無い笑顔を浮かべていた。
突然の事態に智世もアキも言葉が出ない。
そこへ智世が少年に声をかけた。

「き、君は……?」
「オイラは、オバケの風郎太。よろしくな♪」
「お、オバケ……?」
「うん、オバケ」

少年……風郎太は満面の笑みを浮かべながら自身を『オバケ』と称した。

魔法使いの弟子(兼未来の嫁)として、普段から妖精や精霊といった『人ならざる存在』と親しくしている智世であったが、
自ら『オバケ』と名乗る者と会うのは初めての事であった。

「……でも足あるし、頭に三角形の布も無いよ?」

一方のアキは風郎太を指差しながら、
いささかトンチンカンな発言をしたのだった。

「いや、それは『オバケ』じゃなくって『幽霊』の特徴だから」

アキの発言に風郎太は真顔でツッコミを入れるが、アキはまたも首を傾げた。

「?『オバケ』も『幽霊』も同じじゃないの?」
「いや、全然違うから!」
「あ、あのね宮下さん……」
「『アギラ』でいいってば」

その後、アキに向けて風郎太と智世による解説が数十分程行われたのだった。



【羽鳥智世@魔法使いの嫁】
[状態]健康、少し気持ちがほぐれた
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:人殺しはしたくない
1:宮下さんとどう話せば……
2:オバケ……?
[備考]
原作『学院編』開始直前からの参戦です

【宮下アキ(アギラ)@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]健康、少し気持ちがほぐれた
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:人殺しはしたくない
1:智世ちゃんとどう話せば……
2:『オバケ』も『幽霊』も同じじゃないの?
[備考]
アニメ第二期からの参戦です

【風郎太@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:人殺しはしない
1:目の前の二人(アキと智世)と話す
2:オバケと幽霊は違うっつーの!
[備考]
第一期終盤(神化43年)から第二期序盤(神化46年)の間からの参戦です


87 : 二人は被造物 ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:35:58 GUPCp6PE0
「あ〜ららら……妙な所で会っちゃったねぇ〜メ・テ・オ・ラ・ちゃん♪」
「……」

黒いセーラー服姿の女……築城院 真鍳は、一周回って気持ちよいくらいに腹の立つ笑みを浮かべる。
白髪にローブ姿の少女……メテオラ・エスターライヒは、無表情のままそれを見つめていた。

「……何故貴女がここに?」
「さぁ〜どうしてだろうねぇ〜?何だか知らないけど、気がついたらなんか『殺し会え』とか何とか言われててさぁ〜。メテオラちゃんもそうでしょう〜?」
「……」

真鍳は相変わらず見ている者が腹を立てそうな物言いをするが、メテオラは一切表情を変えること無くその姿を見ていた。

「イヤァ〜なんか変な薬入りの首輪着けられちゃったのはしゃくに障るけど、自分以外皆殺しにしたらどんな『願い』も叶えてくれるってのはそそられるよねぇ〜……という訳でメテオラちゃん、悪いんだけど死んでもらえる?」
「……」

何でもないことのようにさらりととんでもないことを言う真鍳。
しかし、メテオラはそれに対して何のリアクションも起こさなかった。

「……あぁ〜あ〜……メテオラちゃんは私の力の事知ってるからつまんないなぁ〜。じゃあね〜♪」

リアクションが全く無いメテオラに肩をすくめた真鍳はくるりと回れ右して歩き出した。

「……」

するとメテオラは、その真鍳の後をついて歩き出した。
それに気づいた真鍳は真顔で背後のメテオラに振り向いた。

「……何のつもり〜?」
「貴女はこの殺し合いに乗った危険人物。放っておく訳にはいかない」
「ふぅ〜ん……ま、好きにすればぁ〜?」
「そうさせてもらう」

それを最後に会話は無くなり、二人は会場内を当てもなく歩き始めたのだった。

【築城院 真鍳(ちくじょういん まがね)@Re:CREATORS】
[状態]:健康、ちょっと不機嫌
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:自分以外皆殺し♪
1:メテオラちゃんうっとうしいなぁ〜
[備考]
エリミネーション・チェンバー・フェス終了から、最終話までの間からの参戦。

【メテオラ・エスターライヒ@Re:CREATORS】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・行動]
基本方針:会場からの脱出
1:真鍳の動向を監視
2:知り合いがいるなら、合流
[備考]
エリミネーション・チェンバー・フェス終了から最終話までの間から参戦。


88 : 鬼畜戦士は微熱の魔法使いと朝チュンを迎える ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:37:29 GUPCp6PE0
「もぅ!何なのよこれは!?」

燃えるような赤毛と健康的な褐色肌、男ならつい惹かれてしまいそうなグラマラスボディが印象的なエキゾチックな美少女……トリステイン魔法学院の生徒である『微熱のキュルケ』ことキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは憤慨していた。

この殺し合いを開いた主催者に怒りを抱いたのだ。

彼女は貴族の例に漏れず、プライドが高い少女である。
ナノマシンと爆弾入りの首輪を付けられて『殺し合え』などと言われて、
『はいそうですか』と大人しく従うような性格はしていない。

むしろ、このような蛮行を行う主催者に対して、
マグマのように熱い怒りを燃やしていたのだ。

確かに、魔法を使う為の媒介である杖を取り上げられた今の自分は無力かもしれない。

だが、だからといって理由も無く他人を殺し、自分だけ生き残ろうなどと考える程、キュルケは短絡的な女ではなかった。

ひとまずは信頼できる仲間を探し、ここから脱出しよう。
行動方針を決めると、キュルケは自分の支給品の確認を始めた。

☆☆☆

同じ頃・・・

「くそー!!アイツめー!!」

鎧を纏った冒険者の青年……『鬼畜戦士』として名高いランスもまた、主催者への怒りを燃やしていた。
と言っても、彼の場合は少々毛色が違っていた。


89 : 鬼畜戦士は微熱の魔法使いと朝チュンを迎える ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:38:16 GUPCp6PE0
「何でわざわざ俺様のお楽しみを邪魔するんだー!?」

彼はここに来る直前、欲求不満が貯まってきたので奴隷のシィルで発散しようとしていた。

そしてシィルをベッドへ押し倒そうとした瞬間……この殺し合いに参加させられた、という訳である。

「くそぉ〜。どうせ呼ぶなら、俺様がスッキリしてからにしろというのだ!」

彼は殺し合いに忌避感などはない。
基本的に美女に目がなく、自分以外の男は不要と思うような鬼畜戦士なのだ。

今、彼の頭の中にあるのはただ一つ。
『おあずけ』を食らって暴発寸前な胯間の『ハイパー兵器』をどうやって静めるか、という事であった。

「どこかに美女はいないかぁ〜?この際、多少貧乳でも良いぞ〜?」

最低な事を考えながら、最低な事を口走るランス。
宛もなくさ迷っていると……

「……うん?」
「……あら?」

支給品の確認を行っていたキュルケと鉢合わせした……鉢合わせしてしまったのだ。

「ウオオオオオ!美女、発見!!」
「えっ?ち、ちょっと?何?」
「もう辛抱たまらん!!ウオオオオオ!!」
「キャアアアッ!!」

そのままランスはキュルケを押し倒してしまったのだった。

☆☆☆

東の空に太陽が上り、チュンチュンという小鳥達の鳴き声が聞こえ始めた頃-

ランスとキュルケの二人は一糸纏わぬ姿で原っぱに寝そべっていた。

「zzz〜」

欲求不満が解消されたランスは憑き物が落ちたような穏やかな表情を浮かべながら大いびきで眠っており、

「……///」

キュルケは強姦まがい……というか、強姦されたというのに、
顔を赤らめて、満更でもなさそうな表情を浮かべながら、
愛おしげにランスに抱きついていたのだった。


【ランス@Ranceシリーズ】
[状態]:健康、全裸、超スッキリ、睡眠中
[装備]:無し(全裸)
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:美女は助ける、男はほっとく
1:zzz〜……
[備考]
『戦国ランス』中盤付近から参戦。
周りに二人の衣服と支給品と体液が散らばっています。

【キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー@ゼロの使い魔】
[状態]:健康、全裸、脱力感
[装備]:無し(全裸)
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考]
基本:会場からの脱出
1:……///
[備考]
参戦時期はアニメ第一期頃。
周りに二人の衣服と支給品と体液が散らばっています。


90 : 乙女の危機!変態魔剣カオス! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:39:28 GUPCp6PE0
「うわぁ〜!スッゴく綺麗!」

和服姿の少女……新生・帝国華撃団花組の隊員である天宮さくらは、
目の前に広がる雄大な景色を眺めて思わずそんな感想を口にした。

とはいえ、ここは観光地でもリゾートでもなく、殺し合いの場。
景色に見とれている場合ではない。

ボヤボヤしてると後ろからバッサリなのだ。

「誠十郎さん……は、いないか」

周囲にはさくらが思いを寄せる隊長や信頼する花組の仲間達の姿は無い。

参加させられたのはさくらだけなのか?
それとも会場のどこかにいるのか?

今の段階では見当もつかなかった。

ここは自分で何とかするしかない。
そう思ってさくらは支給品を確認した。

「……これは」

バッグから出てきたのは、黒を基調にグロテスクな装飾が施されたゴツい西洋式の大剣だった。

「西洋の剣か……できれば日本刀の方が良かったかな?」

多少の文句を言いつつも、さくらはその剣を手にして型通りに降ってみた。
愛刀である天宮國定に比べて少々重かったが、振るえない程ではない。
当面はこれで我慢するしかなさそうだった。

支給品の確認を終えると、さくらはいつもは天宮國定を下げている左脇に大剣を下げ、デイバッグを担いだ。

「よし!」

準備を終え、さくらが歩きだそうとした……その時だった。

「……きゃあっ!」

突然、尻を撫でられるような感覚がさくらを襲ったのだ。

「だ、誰かいるんですか!?」

尻を押さえながら慌て周囲を見渡すさくらだったが、先程確認した通り、周囲にさくら以外の人影は一つも無かった。

「……?」

気のせいだったのかな?
そう思ってさくらは再び歩きだした……が、

「キャアアア!!」

今度は胸を触られる……どころか、両乳房をグワシっ!と鷲掴みにされるような感覚に襲われ、さくらは胸を押さえて屈み込んだのだった。

「だ、誰!?誰なんですか!?」

さくらはまた周囲を見渡したが、やはり人影らしき物は全く見えなかった。

「???」

何が何だか分からず、さくらは少し泣きそうになりながらも、とぼとぼと歩きだしたのだった。

(ぐふふふふ……)

さくらの左腰で、ぶら下がる剣がほくそ笑んだ。
よく見れば、その剣の鯉口には顔のような物が見てとれるだろう。

(やーっと、やぁーっと、ピチピチギャル(死語)の使い手じゃ。いやぁ〜長かったのぉ〜)

この剣の名は『魔剣カオス』。
ルドラサウムというクジラみたいな超越存在が産み出したとある大陸において、
『最強』を誇る『魔人』と呼ばれる存在を傷つけられる意思を持つ伝説の剣の一振りである。
ただし、その中身はとんでもないスケベ親父。
長い剣としての一生で、
男ばかりに使われてきた鬱憤を、
この場で晴らす気満々であった。

(むふ〜。えぇの〜えぇの〜。ピッチピチのムチムチじゃわい。ではもう一回……)

カオスの刀身から目に見えないオーラの触手が伸びていく。
その先端はワキワキと卑猥な動きをして、さくらの袴の上からでも分かる柔らかな太ももを撫でようと……した所で空を切った。

(あれ……?)


91 : 乙女の危機!変態魔剣カオス! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:40:23 GUPCp6PE0

カオスはもう一度オーラの触手を伸ばしてみるも、やはりさくらの太ももにはたどり着かない。

というか、左腰にぶら下がっていたはずなのに、
何だか目線が高くなっていた。

(えぇっと……)

そこでカオスは自身の頭の上、すなわち柄の部分を掴まれている事に気がついた。
そして視線を前に向けると……さくらの顔があった。

「へぇ〜……貴方の仕業だったんですか」

口調こそ穏やかだったが、さくらはまるで汚い物を見るような、軽蔑するような視線をカオスに向けており、
眉毛の端はピクピクと痙攣して、額にはうっすら青筋が浮かんでいたのだった。

「いや……あの……」
「あっ、喋れるんですか?喋る剣なんて初めて見ましたけど、あれだけやったんだから覚悟はできてますよねぇ〜?」

それだけ言うと、さくらはカオスの柄から手を離した。
カオスの刀身は重力に従って地面に落ち、
カキーンという金属音を響かせた。

「な、何を!?」

さくらはカオスの言葉に耳を貸すこと無く……
カオスの刀身を踏みつけ始めた。

「ちょっ!ちょっと待て嬢ちゃん!止めるんじゃ!」

カオスが止めるように懇願しても、さくらはカオスを何度も踏みつける。
何度も、何度も。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……。

「ちょっ!本当、待ってくれ!!ワシが悪かった!ワシが悪かったから!!」

カオスが謝罪の言葉を口にしても、さくらの踏みつけは止まらないどころか段々威力が上がっていくようだった。
その姿はまるで、怒り狂う鬼神のようであった。

さくらがカオスを足蹴にし始めて10分程経った時である。

「ちょ、ちょっと貴女!何してるの!」

別の参加者がそこに通りがかり、カオスを踏みつけにし続けるさくらを見て唖然となった。

赤いビスチェと剣闘士の鎧を組み合わせたようなコスチュームを着た、さくらよりも年上の女性だ。

コスチューム姿の女性はさくらを羽交い締めにし、カオスに対する折檻を止めさせたのだった。

「ちょっと!何があったか知らないけど、落ち着きなさい!」
「離して!離して下さい!女の敵に誅伐を!」
「おぉ!お姉ちゃん頼む!助けてくれ!!この嬢ちゃん、話聞いてくれんのじゃ!」

喋る剣に折檻を行う和装の少女、そしてその和装の少女を羽交い締めにする鎧姿の女性……なんともカオスな光景であった。


92 : 乙女の危機!変態魔剣カオス! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:41:20 GUPCp6PE0

☆☆☆

それから15分後……

「ふぅ〜ん……なるほど。話は分かったわ」

ようやく落ち着いたさくらとカオス双方から話を聞いたコスチューム姿の女性……ダイアナと名乗った……はさくらと共に腕組みをして、地面に横たわるカオスに向けて軽蔑するような視線を送っていた。

「……私も意思を持つ剣なんて初めて見たけど……ここまでスケベな剣があったとは驚きだわ」
「全くですよ!」
「なんじゃいなんじゃい!ワシばっかり悪者扱いしおって!」

女性2名から蔑まれ、カオスは不機嫌そうにカタカタと刀身を振るわせた。

「ワシは魔人も切れる伝説の魔剣じゃぞ!良いではないか!ちょっと胸や尻、お触りするくらい!減るもんじゃなし……」
「……こいつ、叩き折りましょうか?」
「手緩いです!ドロドロに溶かしちゃいましょう!!」
「……すいません。調子乗りました。命だけはご勘弁を」

その後、カオスは『今後決してセクハラ行為を行わない』という条件を泣く泣く受け入れ、何とか助命されたのだった。

「良いですか!?今度またあんな事したら、重り付けて海に沈めますからね!?」
「は、はい……」

さくらの左腰にぶら下がりながら、カオスは情けない返事をする。
その様子を眺めながら、ダイアナは肩を竦めたのだった。
まる

【天宮さくら@新サクラ大戦】
[状態]:健康、不機嫌
[装備]:魔剣カオス@Ranceシリーズ
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:この剣サイテー!!
2:花組の仲間がいるなら合流する
[備考]
アニメ版からの参戦

【ダイアナ(ワンダーウーマン)@DCエクステンデッド・ユニバース】
[状態]:健康、呆れ
[装備]:ワンダーウーマンのコスチューム@DCエクステンデッド・ユニバース
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:こんなエッチな剣があるなんて……
2:知り合いがいるなら合流する
[備考]
『ジャスティスリーグ』後からの参戦

【魔剣カオス@Ranceシリーズ】
老舗アダルトゲームメーカー『アリスソフト』製作の人気作『Ranceシリーズ』に登場する伝説の魔剣。
主に主人公であるランスが所持・使用し、ランスの事を『心の友』と呼ぶ。
作中世界において『無敵結界』を持つ『魔人』を切る事ができる意思を持つ剣だが、その中身はとんでもなく下品なスケベ親父。
本来は適合しない者が使用すると最終的に自我崩壊を起こすのだが、このロワにおいて誰でも使用できるように調整されている。
かつては『シーフ・カオス』という人間だったのだが、『魔人や魔王を倒せる力』を願った結果、現在の姿となった。
その他詳細はwikiを参照のこと。


93 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 15:42:45 GUPCp6PE0
以上、4作品の連続投下を終了いたします。m(_ _)m


94 : ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 18:13:38 25PW9/vU0
投下します。


95 : 向き合う時だ。 ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 18:14:18 25PW9/vU0
(人間め、また俺達を殺し合わせるのか)

人気のない路地裏。
その中を一匹で歩く生物がいる。

その生物の名前は『ボルテジオン』。
嘗て、とある世界で「ブリーダー」と呼ばれる人間に虐げられてきた過去を持つ。

ブリーダー達は自分モンスターを捕獲しては無理矢理戦わせたり、モンスターの育成に夢中になる余り自身もモンスターとなり、また同じモンスターを生贄に捧げられたりと酷い仕打ちを散々行ってきた。

そんな日々に堪え切れなくなった彼らは、人間達に復讐する事を決意。

逆にこちらから人間を捕獲しては嘗ての自分たちの様に無理矢理戦わせたりと、人間の下にいた頃に味わい続けてきた苦痛を彼らに返す形で復讐していった。

そんな彼も今や殺し合いの参加者の一匹。

(ならいい、俺はここでも人間共を殺し尽くす。 世界をモンスターの天下にするのだ。)

こうして、彼もこの世界で人間を虐殺する道を選んだのだ。

【ボルテジオン@エバーテイル広告】
[状態]:健康、人間への憎悪(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:嘗て、自分たちを虐げてきた人間共に復讐する。
1:人間に会ったら虐殺する。


96 : ◆bLcnJe0wGs :2021/10/16(土) 18:14:41 25PW9/vU0
投下終了です。


97 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 20:03:30 GUPCp6PE0
すいません、>>92の最後の台詞を以下に変更します。

「良いですか!?今度またあんな事したら、重り付けて海に沈めますからね!?」

「良いですか!?今度またあんな事したら、元々の形が何だったのか分からないくらいに粉々にしますからね!?」


98 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:12:53 3DvOpTXY0
投下します
今回の投下は過激な表現が含まれており、意見等があれば取り下げるつもりでいます
もし不愉快な表現があるのなら申し訳ございませんと先に謝ります


99 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:13:26 3DvOpTXY0
ある所に、殺し合いに巻き込まれた少女がいました

その少女は、何処かで踏ん反り返ってるであろう主催に対し、大声で自分は殺し合いなんかに乗らないと宣言しました

説明の時に見せられた光景は少女にとっては恐怖そのものでしたが、信じてくれた元の世界の友人たちや家族たちを期待や信頼を裏切らない為に、勇気を振り絞ってこの殺し合いに挑むのでした、まるで特撮のヒーローの如く








―――ですが、現実は余りにも非情で残酷なものでした

なにもない筈の平原に仕掛けられた罠のスイッチを踏んでしまい、閉じ込められたのは触手壺の中

幼さに似合わぬ体躯は壺の中のドリル触手や吸盤触手の格好の餌。少女はこんな卑劣な罠には負けないと根気を見せるも、性の悦びを知らぬ少女が初めての『気持ちいい』に耐えれるはずもない

吸盤触手に突起を吸われ、ドリル触手に刺激され、最初は恐怖で泣き出しそうになり、段々と快楽の味を覚えヨガり、最後には快楽に負け絶頂と同時に失禁するほど喘いでしまった

脱出する体力もなく、ただただ嬲られるだけの少女に対し、皮肉にも救ってくれた二人がいました
少女は朧気な意識の中で思いました、ヒーローが助けに来てくれたのだと、しかし



二人の男は正義のヒーローなんかではなく

他者が破滅するように導き、それを愉しむ



悪人よりも邪悪な



――――人の形をした悪魔でした


○ ○ ○

「マジか、マジなのかよ……くそっ!!」

紺碧の夜星が笑う、この滑稽で陳腐な舞台を駆ける少女の影
混迷満ちた闇を往き裂く白い翼の如く、少女は大地を駆け抜ける

西城樹里、283プロ所属アイドル、アイドルユニット『放課後クライマックスガールズ』の一人
アイドルというよりも男の子寄りのボーイッシュな外見、走る姿は宛ら姫を救いださんとする王子様

だが、今の彼女の内心は余りにも動揺していた
最初はたちの悪いドッキリだと思っていた、巫山戯た外見の男は何かしらの3Dだと思っていた

だが違った。モニターに映し出されたアへ狂って死んだ少女、今自分が置かれている状況

示された現実は、絡み合った事実として彼女の心を蝕んでいる
そして、思い返すのはルール説明での男の言葉

『まずは一つ、この殺し合いは、オークだとかゴブリンだとか、所謂NPCってのがいてね。……そいつらは率先して君たち参加者を性的な意味で襲いかかるように細工しているんだ』
『他にも、これは特定施設に限定されるわけだけど、参加者を淫らに狂わせるような罠も沢山あるのさ。所謂エロトラップダンジョンってやつ』

「………みんなはっ……!」

恐怖と焦燥から、駆けゆく足も早くなる。明確な焦りと、身内の心配に思考が支配されていた
そも、此処に他の放課後クライマックスガールズが居るのかすらもわからぬ状況下、巻き込まれたのが自分『だけ』ならば最悪の中でもまだマシか

西城樹里は過去の経歴と風貌に似合わず優しい人物である。ユニット随一の常識人で、仲間思い
全力で走る時間の中、恐怖と焦燥は収まり、冷静な思考を取り戻しつつある

まず大前提として、殺し合いなんかには乗らないし、殺しなんかしてたまるか
漸く掴んだ『自分』を、こんな馬鹿げた事で投げ捨ててたまるか
自分が築き上げてきた、自分の熱意を、仲間の信頼を、自分自身の最初の気持ちを、裏切ってたまるかと

「……此処までくれば、大丈夫か?」

殺風景な草原を抜け終え、たどり着いたのは何処かの町並み。夜の暗闇すら塗りつぶさんと輝く建造物に飾り付けられた照明や路地街頭の波濤
突入するや否や、少し進んだ先にある、照明が余り届かぬ路地の一角にある古びたレンガ建ての一軒家の中に入り込む


100 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:13:50 3DvOpTXY0
「だ、誰かいませんかー?」

入場早々、先ずは人がいるかの確認。性善説を鵜呑みにするわけではないけれど、返答者がやばいやつだと分かれば即座に逃げる準備はある
建造物の中は、荒れた物品が散乱している、軽いゴミ屋敷の様を呈している

散乱物は砕けた木箱に腐った果実、千切れたであろう首飾りの宝石、古ぼけた衣類

「……最初からこうだったのか? いや実は誰かいるとか……?」

最初に目的してこの有様だ、誰がいるかは兎も角「何かがあった」というのは素人目でも一目瞭然だ
照明が届かず、薄暗い建物の中、少女は気になるものを見かける

「……水滴?」

床のタイルに、水が滴ったようなシミ。それはまだ乾いておらず、気になって指で触れてみる
感触はなぜか粘っこく、無色透明だ

「……うわ……。なんて場合じゃない、か」

思わず触れてしまったことに少し後悔するも、湿りっけの具合からして、誰かがこの場所にいるのは確か

「……あれ?」

耳を澄ませば、ヴヴヴヴと何かが振動している音。この場所に機械類らしきものは見当たらない。となれば聞こえてきたのは建物の奥
そしてもう一つ、西城樹里の耳に入ったのは、声である

「………ぁっ………ぁっ………ぁっ………」

か細いながらも、はっきりと聞こえる。流石に声だけでは誰かとは確実に分かるわけではない
勿論危険人物である可能性も否めない、けれど―――

「………っ!」

歯を食いしばりながらも、音源らしき奥へ向かう。行く手を塞ぐのは古びて固くなった扉。何故か鍵がかかっており、素手でこじ開けるのは無理
鍵を探す時間すらもったいない、偶然壁に置いてあった斧を持ち、扉ごと鍵を破壊。扉を蹴っ飛ばし、西城樹里は音源の元凶と対峙しようと部屋へと飛び込み

目の当たりにすることとなった







――その少女は両腕を壁に縛られ、蹲踞のポーズを取らされていた


――その少女の全身は不自然に『白く』濡れていた。そして少女の真下にはポタポタと水滴が溜まっていた


――その少女の瞳には光がなかった


――その少女の口元から、白い液体がこぼれ落ちていた


――その少女の胸先には、ピンク色で親指ほどの何かが刺激を与えるように震えていた




―――その少女は、下半身から白い液体を垂れ流し、その突起は胸先と同じく、ピンク色の何かで振動を与えられ続けていた






「――――――――――――――え?」

西城樹里の思考は、虚無に呑まれた。いや、呑まれざる得なかった。震え出た言葉は、自身の理解を超えた『理不尽』すぎる光景であったから
夢であって欲しかった、どうして彼女が、どうしてこんな目に?

一番幼いながらしっかりしていて、正義のヒーローが大好きで、自分に「やさしい一等賞」なんてくれたこともあった
狂気に陥りそうな頭を、無理矢理右手で強く掴む。頭に掛かる圧が、辛うじて自分を正気に戻してくれる
そして、絞り出すように、言葉を漏らす

「―――か、ほ?」


小宮果穂、西城樹里と同じく283プロ所属のアイドルユニット『放課後クライマックスガールズ』のメンバーの一人
年相応に好奇心が強くて、純粋で、元気いっぱいで、特撮のヒーローが大好きで……
西城樹里が放クラの常識人ポジならば、小宮果穂は放課後を照らしてくれる太陽だ

「―――じゅり、ちゃ、ん? ……あ、ふぁ、あ、あああぁ――――――!!!!」

茫然自失となっている西城樹里に、小宮果穂が気付いた。そして『何か』が決壊した
それは、友達に見られてしまったことによる羞恥心なのか、単純に限界に達したのか、海老反りポーズのまま、アーチ状に無色透明の液体を吹き出したのだ

「あ……」

その光景を、樹里は目を見開いて、嗚咽を溢しながら、力なく見届けるしかなかった


101 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:14:24 3DvOpTXY0



「お〜、果穂ちゃん盛大にイッたっぽいかぁ〜、隣の部屋までイイ声してたぜぇ」


陰鬱とした静寂を引き裂くように、隣部屋から出てきた一人の男。いかにもチャラ男と言うべき風貌の茶髪の青年
青年の目に映る果穂は首を前に垂らし、ぐったりとしている。その状態に青年はいやらしい笑いを浮かべ、満足げな表情

「……ま、そりゃ丹念にほぐされてちゃなぁ。ま、俺もちょっとは楽しませてもらったけどさ」
「―――!」

男の独り言を、樹里は聞き逃さなかった。『俺もちょっとは楽しませてもらった』?という言葉を

「……どういう、意味だ?」
「ああ、ちょっと口の方で、つまみ食いつまみ食い。いやぁ初音ちゃん相手にやった時と同じぐらいに気持ちよかったぜマジで。そろそろ温まってきたし下の方も楽しみたい所なんだが……つーか誰? いつからここにいたわけ? いや可愛いんだかいいけどさ?」

上機嫌に言葉を連ねる男であったが、その最中にようやっと樹里の存在に気づき、彼女に言葉を向ける
が、等の男は多少疑いながらも樹里が「かわいい」事で特に疑いもしなかった

「……もしかして、その子の知り合い?」
「―――そうだと、言ったら?」

樹里がどういう目線で自分を見ているのか知ってか知らずか、一切空気を読まずペラペラと男は喋る
樹里に近寄り、彼女を見定めながら

「しっかしなぁ、この子初音ちゃんと同じぐらいの背丈してんのにボディはいい感じに立派と来た! しかも喘いでる声もヨガってる姿も可愛ってもんだ」
「………」
「しかも『私はこんな事に屈したりなんてしない』なんて言っておいて気持ちよくなっちゃうんだからさぁ、まあさっきまで触手壺の中でお楽しみされてたんじゃ仕方ないよなぁ、女の子は気持ちい事には滅法弱いもんなぁ」
「……………」
「あ、俺も俺で上の方は楽しませてもらったから、次はいい感じにほぐれた下の方を―――」


―――言い掛けた男の顔に、右ストレートが飛んだ

「ぐべらっっっ!?」

地面を響かせる鈍い音と共に、男の身体が叩きつけられる。男にローターの紐が引っかかり外れ、果穂はローターから解放された

「ちょっ、ちょっタンマ! いやだなぁ一時の気の迷いだっての! ほら、まだ下の方はやってないから、だから許して、許してって!」

痛む頬を抑えながら、樹里に対して反省の色が見えない謝罪をする。――樹里の表情は余りにも黒かった、男への怒りと、理性と本能がごちゃまぜになったような表情で、再び男に殴りかかろうとしていた
殴打音に反応してか、果穂は悲しそうな顔で、光の灯らぬ瞳孔のまま樹里を見つめている


「おーっと、悪いがちょっと黙ってくれねぇか、そこのアンタもだ」


その寸前、新たな男の声と背中から銃口を向けられた気配が、樹里の衝動を抑え、引き戻る
樹里が背後を振り返れば、まるで蝿をそのまま擬人化させたような黒い男。向けている銃口は黒い自動小銃のようなものなのか
だが、確かなのは、自分の生殺与奪の権利がこの突然現れたハエ男に握られてしまったということ。その事実が樹里の衝動が引いた理由の一つでもある。そして――


『ご機嫌よう、悪いお嬢さん(Mauvaise dame)』


樹里の耳に、声が響く。ハエ男でも、チャラ男でもない第三の声
ノイズが混じったその声は、西城樹里に向けての音声でもある


「―――誰だよ、お前」


衝動は引いたとて、その身に包む怒りは収まらない。かつての不良時代がぶり返すような、そんなドスの聞
いた声が、樹里の口から発せられる


『――落ち着き給え。君が怒っている理由は明白だ、「彼女」の事だろう?』
「―――っ!」
『だから落ち着き給えと言っている。なぜなら「私」は彼女を助けた側の人間なのだから』
「……それは、どういう意味だよ……!?」

動揺する樹里に対し、『声』の主はノイズ混じりのまま語り始めた


102 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:14:49 3DvOpTXY0
『まずは彼女、小宮果穂の事だな。彼女はその男の言っていた触手壺とやらに囚われていたようでだな』
『その時私と同行していたそこの彼……北ノ城くんに触手壺を破壊してもらい彼女を救出したわけだ』
「俺からしちゃガラでもねぇがな」
『だが、あくまで私達は「助けだ」たけ。元々何かしら情報を聞き出せればよかったのだからね』
「こっちとしちゃさっさと殺しちまっても良かったんだがな」
『……だが、人が目を離している隙にそこの下品な男が彼女で色々と遊んでいたようだ。最も、彼女は助けた当初はかなり出来上がっていたようだからね』

淡々と語る『声』の説明。その間に北ノ城と呼ばれたハエ男の相槌が入る

『その後はだいたいそこの下品な男が好き勝手していたのを観察させてもらっていたのさ。……まあ、聞いていただけではあるが、彼女も存外―――』
「そんな事あるわけねぇだろっっ!!!!!!!」

『声』を塞ぐ用に、樹里の怒号が響き渡る。北ノ城は銃口を向けたまま、チャラ男の方は「あれ、俺まさかの放置プレイ状態?」なキョトンとした表情で話に聞き入っていた

『……戯言はここまでにしておこう。これ以上は君が自滅しかねないからね』
「………果穂を、どうするつもりだ」
『答えを早まるな。話はまだ続いている』

樹里の思考は、早く果穂を助けてあげたいという気持ちと焦りに塗れている
だが、銃口を向けられている状態で下手な動きなんて出来るわけないし、『声』の言う通りこのまま堪え切れずに行動をとってもそれこそ自滅する
今は、『声』の話を聞くしか無いのだ。黙って話を聞く。『声』に対し言葉を返す。西城樹里にはそれしか出来ない

『前提として、彼女の身柄は私達が預かっているという前提である。正直な話有力な情報が取れなかった以上はそこの男に譲り渡してもいいと思っている』
『だが、どうやら君はそこの彼女が大切なようだ。親友とも言っても良い関係と見受ける』
「わかってんなら、さっさと果穂を返しやがれ!」
『……はぁ。……私達は彼女を助けた側の人間だ。なのに恩人に対してその態度は些か失礼ではないのかね?』
「……ッ!」

思わず出た感情論に正論を返され、思わず口が詰まる。事実ならこの二人は果穂を助けた側の人間。果穂がひどい目に合ったのはあくまでチャラ男であって、自分たちには関係のないこと、と言い張る魂胆丸見えである

『ならば、君が私達に対してすべきは、「誠意」を見せることだ。君次第では最低でも彼女の安全は約束しよう』

――『声』が示す「誠意」。一見すればどういうことなのか理解に苦しむ。だが、西城樹里は理解した

小宮果穂の生殺与奪の権利は声の主が握っている。なんならチャラ男に渡してもいいと思っている連中だ
西城樹里は小宮果穂を見捨てるという選択肢を取ることは絶対にない
現状、西城樹里は小宮果穂という『脅迫材料』を声の主に叩きつけられている
そして、その結論の上で西城樹里はその答えへと辿り着く

「……てめぇらの仲間に、なれって事かよ………!」
『だとすれば、どうする?』

ノイズ越しの『声』でも分かる、明らかにその言葉には嘲笑が入り混じっている。樹里の心理を見据え、品定めるように

『私達には情報が足りない、そして人手も足りないのだ』
『この殺し合い、淫靡で下品な単語が関わっているが、余りにも足りない『情報』こそが本質だと思っているのだよ、私は』
『だからこそ、他に割け、情報を集めうる人員が欲しい』

理不尽なルールに、理不尽な会場。その中で圧倒的に足りない情報。声の主が望むのは情報だ
古来より情報の有無は戦争の情勢すらも左右する重要な要素
情報を得るための人員、それが声の主が望む事柄である


103 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:18:53 3DvOpTXY0
北ノ城が銃口を下ろす。声の主が何かしら事前に指示していたからなのか。それを樹里が知る由はない
声の主は沈黙する、チャラ男の方は状況を整理するので精一杯

「……アタシは」

遠回しに、「小宮果穂を助けたければ、私のもとに付け」と言っているようなもの
たしかにそれで果穂が本当に助かるならそれでいいのだろう、チャラ男が何をやらかすとしても背後の北ノ城という男が強硬手段に出るだけと思われる
だが、それで本当に最善と言えるのだろうか? もしこいつらがどうしようもない、それこそ戦隊ヒーロー物で言う巨悪の類だったのなら、自分はもう二度とあの煌めかしい放課後に戻ることが出来なくなる

『――どうしたい? 君の自由意志を、私は尊重しようというのに』

嘲りが透けて見える、声の主の言葉。『果穂を助ける』という前提であるならば、この問いに対し自由意志など尊重されてはいない
これは一種の脅迫。断れば果穂の身柄はあのチャラ男によって蹂躙される。最初から選択肢なんて

「……アタシ、は」

言葉が続かない。喉の奥が詰まったかのように、張り裂けそうな心に堪え切れず、言葉が出ない

(もしかして、俺、果穂ちゃんお持ち帰りできそうな予感!)

尻目にチャラ男、お持ち帰りチャンス到来? なんて内心ガッツポーズ

「―――アタ、シ、は―――」

なんと答えればいい? どうすればいい? 選択出来ない、選択するには、彼女にとって余りにも重すぎる
だが、そんな彼女に対し、助け舟を渡したのは意外な人物


「こたえなくてもいいよ、樹里ちゃん」
「……果穂」


小宮果穂の声だ。だがその顔は汗と涙と白濁液でぐちゃぐちゃで、樹里の知っている果穂とは余りにも凄惨で、それでも振り絞るように、慰めるように果穂は樹里へと話しかける


「こんな、悪い奴らなんかに、樹里ちゃんがのらなくても、いいん、だよ……」
「……それじゃあ、果穂は」
「そうだね。私も樹里ちゃんも助かる方法が、それしかなくても、そうしちゃったら、樹里ちゃんが、私の知ってる優しい樹里ちゃんじゃ、なくなっちゃうかもって……」
「………」
「私は、負けたくない。こんな卑怯な人たちなんかに。樹里ちゃんを悲しませる奴らに、だから、私のことはいいの。樹里ちゃんは、樹里ちゃんのままで」
「………待てよ、まってく、じゃあ、果穂は」

小宮果穂は、この場にいる全員が思っていたよりも、その心は強かった。あんなひどい目に会ったというのに、光の灯らぬ瞳だというのに、そのか細い言葉には確かに、揺るぎない確固たる意志が宿っている
それは、彼女が憧れたヒーローとしてのあり方。アイドルとして、信じてくれる人たちを笑顔にするという決意

「……私は、多分。戻れない、のかも」
「……そん、な」
「………でも、信じて、私は、屈したりなんて、しない。例えどれだけ酷いことをされても、身体も頭も滅茶苦茶にされても、それでも私は――みんなのことを、信じる、から」

言葉はとぎれとぎれ、顔も紅潮して正常ではない。それでも果穂は樹里に語りかける。「負けないで」と、こんな悪い奴らに屈しないで、と

「……大丈夫。少しは、慣れた、から」
「――――――――――――――――」

無理をしてニッコリと笑う果穂の顔は、西城樹里にとってあまりにも辛い光景であった
もし、果穂の言う通りにして、それで果穂がどうなってしまうかなんて、想像したくなくても、否応に想像できた
その光景が、西城樹里にとって何よりも一番、悍ましい光景であった
小宮果穂のその優しさが、西城樹里にとって何よりも傷になる
西城樹里は何も言えなかった、何も言葉が出なかった、ただ、ぽかんとした間抜けな顔のまま


104 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:19:20 3DvOpTXY0
声の主も、北ノ城も、果穂の言葉をただただ黙って真面目に聞いていた

―――そろそろアウェー感に耐えきれなくなったらしい一人を除いて


「そっかぁ〜、果穂ちゃんは慣れたんだぁ。果穂ちゃんが望んだことなら仕方ないよなぁ〜」
「は?」
「……はぁ」

チャラ男である。わざとらしい台詞を吐いて、果穂へと近づく。樹里は理解が追いつかず言葉が漏れ、北ノ城はチャラ男の行動を予期出来たのか呆れ果てたため息が出る

「じゃあ、樹里ちゃんは自由になって果穂ちゃんは俺のものけってーい!!」
「ま……まって、そこ抓まれたら―――ひぎぃっ!」

チャラ男の突発的な行動に、さしもの果穂も動揺、チャラ男に胸先の突起を強く抓まれ、甲高い声と共に勢いよく背中が浮く



――――やめろ――――


「おーおー良い反応するんじゃないのさ、じゃあ次は両方で……ほいっと!」
「はぅぅぅぅっ!!」

今度は両手で、両方を抓む。再び果穂の声と共に背中が浮く



――――やめろ――――


「良いじゃん良いじゃん! 初音ちゃん以上のイイ反応! これぜってーイジメがいあるって! 『正義のヒロインは友人を助けるためにその身を捧げる』的な同人誌とかAVとかで売ったらぜってー売れる!」
「じゅり、ちゃ、わたしの、ことはいい、から。ふぁ、ああああああああああっっ!」


――――やめてくれ――――


「ふぁ、ふぁあ、ああ、いっぎっっぃぃぃぃっ!」
「下のは感度抜群じゃん! クニクニしたらマジ気持ちよさそうに喘いでくれるなぁ!」


――――やめてくれ!――――


「……はぁ……はぁ……はぁ………」


何度かの軽い絶頂を連続で行わされいた。チャラ男はまるでヴァイオリンに小便を書けるかの如く悪意なのか愉楽なのか、その両方の気持ちなのかで、小宮果穂の身体を弄び続ける

「……で、テメェはどうすんだ。テメェが黙ったままじゃあのガキはいつまでもあのままだぞ」

見かねた北ノ城が未だ黙ったままの樹里へと声をかける。それは果穂への同情心なのではなく、あのまま最悪小宮果穂が壊されるのは此方側にとっても都合が悪いからだ
等の樹里は顔面蒼白で、手足は震えたまま、悪夢のような光景に、先の選択を決められずにいたまま
だが、心は叫んでいる、叫び続けている。「もうやめてくれ」と


「――じゅり、ちゃん」


ふと、果穂の声がする。雫が溢れそうな瞳で、それでもまだ、此方に向けて


「…………―」
「わかった!! わかったから!! 聞こえてんだろ! 協力する! だから果穂には手を出さないでくれぇ!!!」

込や果穂が口を開き『それ』を言うその前に―――――西城樹里の心は、巨悪に屈した

同時に北ノ城が三度果穂に手を出そうとしたチャラ男に向けて突進、チャラ男を突き飛ばしそのまま拘束

「つーわけだ、ちょっと大人しくしてろ」
「で、でめっ……」
「三下が調子こいてんじゃねぇぞ、死にてぇか?」
「ひぃぃぃっっっ!!!」

抵抗するチャラ男に銃口を向け威圧、チャラ男は命の危機に思わず怯み抵抗をやめる。そして


『――ご協力、感謝する』
「――――――――――――――――――――ちく、しょう」

『声』が久方ぶりに音声を流す。樹里はただ、誰にも聞こえないような呟きを溢す。一目散に果穂に駆け寄り、拘束を外し、液に塗れた彼女の身体を構わず抱きしめる

「……ごめん、ごめんな……」

情けなくて、自分の無力さに、涙が溢れ出る。だが、果穂の瞳に、仄かに輝きが見えた気がした

「……ごめんね、樹里ちゃん。こんなんじゃ、私、ヒーロー失格かな、あはは」
「………」
「でもね、だから……負けないで。――私も、負けないから」

その励ましの言葉を切り目に、小宮果穂は一時の眠りに付く
涙を拭い、西城樹里は立ち上がって前を向く


105 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:19:52 3DvOpTXY0


再び静まり返る部屋。疲労から眠りこけた果穂は別部屋で休んでもらっている。チャラ男の背後には銃口を向けた北ノ城

「――それで、アタシはどうすればいい?」
『人や物を探して欲しい、別に一緒に行動しろとは言わん。出来る限りの情報を集める事が優先事項だ』

声の主の要求は変わらず情報集めの手伝いである。屈してしまった以上は従うしか無い
だが、今は屈しても、いずれは果穂を助け出すと、西城樹里の覚悟は決まっている

『一人では心細いだろう、念の為そこの下品な男を同行させてもらう』
「そりゃどうも……こいつは放っておいても碌な事をしなさそうだからな」
「ありり、なんか俺許された感じ?」
「―――ッ」
「あ、待って、ジョーク、ジョークだってばあははははは………」

声の主の言葉に対し、反省の色が見えない発言をして、案の定に樹里に睨まれ弁解するチャラ男
最もチャラ男としても、本能的に声の主に従わなければ自分が碌な目に合わないと自覚したから
実際『小宮果穂に手を出した』という弱みを握られているようなものであるからだ、大多数に知られれば彼の立場は面倒なことになるのは明白

『……まあ君が彼を監視するのならそれで何も問題は無さそうだな』
「もしまたやらかすぐらいならまた痛い目にあってもらうだけ」
『ではもしもの時は念入りにしたまえ』
「俺全く信頼されてねぇどころかボコられること前提?!」
「いや、あたりめぇだろ」

と言うか、樹里及び声の主一派の方でチャラ男の扱いは完全にそういうものだと固着してしまっていた

「……おい行くぞクソ野郎」
「ちょっと樹里ちゃん? 無理やりエスコートされるのは別に悪くないけど俺には伊藤大祐って名前がありましてねってイデデデデデデデ引っ張るの痛いってぇ〜!」
「少し黙れ。………約束は、守ってくれるよね」
『ああ、約束しよう。小宮果穂の安全は私達が保証する。彼女を救うために存分に働き給え、ジュリ・サイジョウ。―――それともう一つ』
「……なんだよ」

チャラ男――伊藤大祐の腕を引っ張り、果穂の安全の確認をしてからそそくさと出ようとする
『声』から、ノイズが消え去り、若い男の声へと変化する

『――呼ぶ名前が無いのは不便だろうから、名乗っておくこととしよう

そして『声』は、こう名乗った


―――「犯罪卿」と』


106 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:20:36 3DvOpTXY0
○ ○ ○


「………へへっ、上手く言ったみたいだな、旦那」
「……見事に彼女は踊らされたようだ。最も、あの男の行動が思いの外有効に働いたようではあるが」

西城樹里と伊藤大祐が去った建物の中、そこにいるのは二人の人影
一人は北ノ城篤、先程のハエ男
そしてもうもう一人、蛇の如き金色の瞳を持った、銀髪の男――それこそ、先程樹里に話しかけていた『声の主』。『犯罪卿』の名を騙った男である

「まあ、俺達は別に嘘は言ってねぇからな。あいつに気付かれるようにはしたがよ」

二人が『小宮果穂を助けた』という言葉は嘘偽りはない。銀髪の男が北ノ城を言葉巧みに招き、情報を得るために小宮果穂を助け、この建物までやって来た
だが、伊藤大祐が小宮果穂に近づけたのは全くの偶然ではない。男は伊藤大祐が近くにいるのを気付いた上で、わざと聞こえるように話し、移動した
そして少しばかし席を外して、伊藤大祐と西城樹里が接触して良いタイミングで登場すれば、それで良い

西城樹里の方に関しては先に気づいたのは北ノ城の方だ。最も、その時は見かけた程度で、何かしらの『脅迫』して使えるかどうかは考えてはいたが、まさか偶然にも此処にたどり着いたどころか、小宮果穂の知り合いとは思いもよらなかった

西城樹里には小宮果穂を、伊藤大祐は先程の所業を。脅迫するにはうってつけのネタだ。材料としては質が良いとは言えないが、あまりにも情報が成さすぎる状況下で出来たのならば及第点である

「……最初はつまらん催しと思っていたが、こうも事が運べば楽しまざる得ないというものだ」

銀髪の男は、樹里とは直接接触せず支給品に入っていた蝶ネクタイ型変声機で自らを偽った。「犯罪卿」の名を名乗ったのは一種の遊び心
あの「犯罪卿」がいるかどうか分からぬが、いるのならばそれは愉快なことにはなりそうだ、との期待も込めて

「オレは神輿に乗らせてもらうだけなんだがな、最初は胡散臭いと思ってたが、中々に楽しめそうだ。良い籤を掴ませてもらったお礼だ、旦那には付き合ってやるよ」

北ノ城篤は不敵に笑う。あの時は予想外に予想外が重なってチャンスを掴みそこねた。この男の事も胡散臭いとは思っていたが、ただの人間にしては中々に頭の回る人物
そして何よりも、この男は上の権力への興味は然程ないということ。男が望むのは自らの愉悦を満たすこと、それが出来る権力があるのならその程度に落ち着くだけの話である

「そう言ってもらえると助かるよ。君と私は対等なビジネスパートナーだ。これからもよろしく頼む」
「……だが良いのか? あの伊藤大祐ってやつだ。オレが言えたタチじゃねぇが、あれぜってー裏切るだろ」
「――だからこそ彼女に同行させたのだよ。彼だからこそ」


107 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:22:47 3DvOpTXY0



(――あーあ、これからどーしよーかなー)

町の外から出た何処か、NPCに気付かれぬように西城樹里と共に行動する伊藤大祐は、内心考えていた
自分の行動が原因とはいえ、かなり面倒な立場になってしまったのだから
自分の失態をお遊びが他参加者にばら撒かれて、色々と疑われては流石に動きづらい
樹里の付添、というわけだが実際は自分も樹里に監視されている立場だ

(まあ樹里ちゃんにぶん殴られた分は後で身体できっちり返してもらうとして、問題はあの蝿野郎と声だけの野郎だな)

彼の思考のメインとなっているのは西城樹里とあの例のハエ男こと北ノ城篤の方だ。前者は隙を見てとっ捕まえて無理矢理やっちまえばいいが、後者はそうは行かない

(あの格好コスプレなのかなぁ……でもあの銃本物っぽかったしなぁ……。つーかあれ完全反則だろ! こっちとら覗いてみたらナイフ一本しかなかったってのに)

北ノ城のコスプレっぽい格好は一旦置いといて、伊藤大祐の支給品には武器の類はナイフのみ。流石に銃を相手にナイフ一本など自殺行為にも甚だしい

(あ、でも冷静に考えたら樹里ちゃん襲ったついでに奪えばいいか、武器あるのか知らないけど)

などと言う短絡的な思考を巡らせながらも、どう考えても不機嫌な樹里になんとか取り入ろうと考えている

(……俺も樹里ちゃんもあの声だけ野郎……「犯罪卿」だったか? に弱み握られてる立場は変わんないからぁ……それをなんとか利用できれば…っと)

伊藤大祐は、自らの理想とするプランを張り巡らせながらニタリと笑う。それは女を狙うケダモノの顔と変わらずない、下卑た下品な男という評価が全くもって相応しい男そのものであった


【伊藤大祐@シークレットゲーム COOE:Revise】
[状態]:顔に殴打痕(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:生存優先だけど、それはそれとして自由気ままに楽しむ
1:今はなんとか樹里ちゃんに取り入る
2:殴られたお返しは後で身体でしてもらうぜ、樹里ちゃん?
3:あの蝿野郎と犯罪卿はいつかぶち殺してやる
4:もしチャンスが有れば果穂ちゃんを堪能したい
[備考]
※参戦時期はREBELルート、死亡後





(――果穂、大丈夫だ。私は誰も殺さない。殺したりしない)

自分に正義のヒーローなんて似合わない。だが、それでも偽善であろうと「自分」は決して捨てたりしない

(「犯罪卿」……アタシは、アタシ達はお前たちなんかには二度と負けない)

自分も、果穂も。いるかどうかわからないけども、夏葉も、凛世も、智代子も
放課後クライマックスガールズは、こんな殺し合いなんか、絶対に屈したりなんてしない

こんな事ただの理想の押しつけだ。けれども、そんな「くだらない」気持ちでも、貫き通せれば、それは綺麗な虹になるのだから


【西城樹里@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、果穂に対する罪悪感(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:こんなくだらない事で「自分」を投げ捨てたくない
1:今は「犯罪卿」に従うしか無い、だけどずっと良いように扱われているつもりはない
2:このクソ野郎(大祐)に気を許すようなことはしない
3:果穂、アタシは……
[備考]
※参戦時期は後続の書き手におまかせします


108 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:23:23 3DvOpTXY0
「つまり、あいつが出し抜いてくれる方が都合がいいことになるかもしれない、と?」
「ああ。それは小宮果穂に対しての交渉材料にもなりうる」

北ノ城の疑問に、銀髪の男は得意げに答える
男曰く、真に重要なのは「伊藤大祐は西城樹里を襲う」という事。彼の武器が何であれ、本気で襲うのならば伊藤大祐は手段を選ばないだろう
その時、西城樹里はどういう手段を取るか? 勿論抵抗するであろう、基本的に相当の手練でなければ女は男の腕力には勝てないのは明白
ならばどうする? 西城樹里は支給品を使うしか無い。銀髪の男は、その結果に期待しているのだ

「彼女がどのような支給品を、どのような武器を持っているかはわからない以上、分の悪い賭けではあるがな。本来ならば、ちゃんとした地盤を作り、仕込みを作った上でやりたかったのだがな」
「………いや、それなら問題ねぇかもな」

銀髪の男の一抹の不安に対し、ある憶測から北ノ城はある説明をする。北ノ城は西城樹里のデイバッグから何かしら禍々しい気配を感じたのだ

「………あいつの持ち物から妙なもんを感じた。呪いの武器の類かどうかは知らねぇが、もし使うってことになりゃ」
「良いことを聞いたよ。………その時を、特等席で見れないは残念だがね」

もしも大祐が行動を起こし、何かしらの弾みで西城樹里がそれを手にとり、最悪彼女の手のひらが血に染まることがあれば、彼女自身が自分自身が築き上げて来たもの全てを自らの手で壊してしまうことになる
そして逆に、伊藤大祐の魔の手にかかったのならば、その事実は小宮果穂への「脅迫材料」となる

「では、私達は当分はこの街を拠点として行動することとしよう、もしかすれば書物店の類があるかもしれないからな。付き合ってもらうぞ、北ノ城」
「いいぜ。アンタと付き合っときゃ、甘い汁据えそうだからな―――ミルヴァートンの旦那」












悪魔はなぜ人を誘惑し、悪に手を染めさせようとするのか

彼らにとって、善き行いをする者に悪事を働かせる事こそが最大の娯楽だからだ

有事依頼、悪事ほど人間を魅力的に惑わす禁じられた愉悦はこの世にはない

真の悪とは、それに対する追求を本質とするものだ

『悪』とは、人が定めた規律から倫理からかけ離れ、超越せしもの





1911年のロンドンに、英国におけるあらゆるメディアを手中に収める実業家がいた

その男はその裏で、人の弱みを握り脅迫を繰り返しては、その者の破滅する姿を見て楽しむ『悪』そのものであった

時には清廉潔白な議員の、護衛の警官を脅迫し議員の家族を殺させ、議員を悪へと堕とした事もあった




彼にとっては平和の治世も、戦乱の時代も関係ない。彼にとっての権力は、自らの愉悦を満たすための道具

その『悪』の名こそ―――『脅迫王』チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンである


109 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:24:53 3DvOpTXY0
【チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン@憂国のモリアーティ】
[状態]:健康
[装備]:蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:自らの愉悦を満たすために行動する
1:『約束通り』小宮果穂の身柄は丁重に扱う
2:西城樹里と伊藤大祐を利用し情報を集める
3:当分はこの街を中心に行動、書物店等を探し適当な資料を集める
[備考]
※参戦時期は死亡後

【北ノ城 篤@血と灰の女王】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:今度こそチャンスを掴んで生き残り、のし上がる
1:ミルヴァートンの旦那に付いて、甘い汁を吸わせてもらう
[備考]
※参戦時期は最低でも10巻以降
※D・ナイト「蝿の王」が使用可能かどうかは後続の書き手におまかせします

【小宮果穂@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:衣服の乱れ、体中が濡れている、性感度上昇(小)、睡眠状態、
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:正義のヒーローとしてこの殺し合いを認めません!
1:私は負けない、樹里ちゃんも、みんなもあんな「悪」に屈したりなんてしない! 私は信じてます!
2:???
[備考]


【蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン】
チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンに支給。阿笠博士が江戸川コナンに渡した蝶ネクタイ型のボイスチェンジャー。ただし声を聞いたことがない人物までは真似ることは不可能

【ピンクローター×4@現実】
伊藤大祐に支給。文字通り4つのピンク色のローター


110 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:25:13 3DvOpTXY0
投下終了します
タイトルは『闇に穢された太陽 -The Dark Night of Badgirl-』です


111 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/16(土) 21:55:12 3DvOpTXY0
『闇に穢された太陽 -The Dark Night of Badgirl-』の大祐と樹里の状態に追記修正


【伊藤大祐@シークレットゲーム COOE:Revise】
[状態]:顔に殴打痕(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ナイフ@現実、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本:生存優先だけど、それはそれとして自由気ままに楽しむ
1:今はなんとか樹里ちゃんに取り入る
2:殴られたお返しは後で身体でしてもらうぜ、樹里ちゃん?
3:あの蝿野郎と犯罪卿はいつかぶち殺してやる
4:もしチャンスが有れば果穂ちゃんを堪能したい
[備考]
※参戦時期はREBELルート、死亡後

【西城樹里@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、果穂に対する罪悪感(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3(そのうち一つに『禍々しい』何か)
[思考]
基本:こんなくだらない事で「自分」を投げ捨てたくない
1:今は「犯罪卿」に従うしか無い、だけどずっと良いように扱われているつもりはない
2:このクソ野郎(大祐)に気を許すようなことはしない
3:果穂、アタシは……
[備考]
※参戦時期は後続の書き手におまかせします


112 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:01:45 qP7u9pHg0
ロワ開幕おめでとうございます!
エロトラップとはまた……💦(笑)
とりあえず、書いてみました!
それでは投稿します。


113 : エロトラップだよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:04:15 qP7u9pHg0
注意!本SSはロワのコンセプトでありますが、エロトラップに関する単語や描写が書かれています。
それらの表現に嫌悪感や不快感を感じる方は読むのはお控えください。


114 : エロトラップだよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:05:24 qP7u9pHg0
エロトラップーーーーー罠の一種。引っかかった者を辱めたり、性的快感で無力化するための仕掛けを指す。
ピクシヴ百科事典より引用。

第一章 若おかみ

「一体、何がどうなってるの!?」
困惑の表情で一人佇む着物の少女。

少女の名は関織子。
旅館「春の屋」の若女将だ。

両親を交通事故で失い、大好きな祖母が経営している春の屋で生活をすることになった織子は、そこで出会った幽霊のウリ坊の頼みで若女将として働くこととなった。
始めは、流れるまま若女将修行をしていた織子だが、様々な宿泊客との出会いから次第に若女将として働くことが生きがいとなり日々を楽しく過ごしていた。

食欲の秋と言われる季節。交通事故を起こしたトラックの運転手である木瀬一家が宿泊客として織子の前に現れた。
両親の死を心の底から受け入れていなかった織子は、夢の中で慰めてくれていた両親から別れを告げられたのも重なり一時はパニックを起こしたが、織子はその心の傷を乗り越え、若女将として立派に成長を遂げた。

「私、いつものようにお客様のおもてなしをしていたのに……!?」
変わらぬ平和の日常。いつものように宿泊客を笑顔にさせるためにはりきって対応をしていたら、突然意識を失い、目を覚ましたら奇妙な絵や彫刻が並べられている部屋に織子はいた。

「殺し合い……夢……じゃないよね?」
部屋の主らしき珍妙な服の男の人が宣言したバトルロワイアル。
織子にはこれが本当に現実なのか懐疑的だった。

しかし―――

「……痛い。夢……じゃないんだ」
試しに自分の頬をつねってみたが、痛みを感じたためこれは現実なのだと受け入れる。

「じゃあ、あれも……///」
それと同時に織子はかぁ〜っと顔を赤らめる。
それは、織子の脳裏から消えないとある少女の顛末。

「―――――――おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

「あの女の子……私と同じくらいの子よね」
自分とさほど歳が離れていない子が聞いたことが無い悲鳴を上げ、尿を漏らして死んでしまった。

―――ブルブル……ッ!

織子は身体を震わせると―――

「……許せないわ!命を弄ぶだけでなく、辱しめるやり方は!」
憤慨した。
両親との別れを受け入れる前だったら恐怖と混乱でパニックに陥っていただろう。
しかし、木瀬一家を受け入れた今の織子に渦巻くのは恐怖と混乱ではなく、怒りと反抗。

春の屋を訪れたお客様には、全員笑顔になって帰ってもらいたい。
そうした信念を持つ織子には、あの人を人とを思わない扱いをする男の人を許せない。

故に織子はバトルロワイアルに立ち向かう選択を選ぶ。

「まずは、誰か一緒に立ち向かう人を探さなきゃ」
流石に一人で解決できると思うほど楽観視してない織子は周囲に人がいないか探す。

すると―――

織子の前に人影が見え―――

「あ、あの!私は関織子といいま……」
織子は自己紹介しながら近づくが、その歩みを止める。

なぜなら―――

人影の正体は―――

―――小鬼英雄(ゴブリンチャンピオン)

ヒエール・ジョコマンが用意したNPC。

☆彡 ☆彡 ☆彡


115 : エロトラップだよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:06:41 qP7u9pHg0
第二章 小鬼英雄

「……!!!」
(その姿……鈴鬼君の仲間?じゃないよね……)

織子は小鬼英雄の姿を見ると、後ずさりする。
別に外見だからという理由ではない。
織子は誰にでも積極的に話しかける性分を持つ。
では、なぜそんな織子が会話をする前に後ずさるのか。

それは―――

―――女としての本能からか身の危険を感じているためだ。

『ほう……』
小鬼英雄は織子の姿を認知すると、姿を一瞥し―――

―――ニタァァァ

イラヤしく口元を歪ませる。
そして、極上の得物を前にしたためか、舌をベロリと出すと、涎が垂らす。

「……ッ!」
(駄目ッ!逃げなきゃ!!)
織子は必死に逃げようと踵を返すが―――

―――ベチャッ!

「きゃッ!?」
(な……何、このべたべたしたの!?)
織子の足に謎のドロドロとした液体状の生き物がまとわりつき、足をその場に留める。

正体はスライム。
脚などにまとわりついて動きを封じるトラップの一種だ。

「……んッ!こ……のッ!」
力いっぱい力を込めて足を持ちあげようとするが、スライムは剥がれない。

そして、さらにそのスライムはただの罠ではない。

「きゃッ!!??」
スライムは身体の一部を伸ばすと、織子の着物の中に潜り込む!!!

そう、このスライムはエロトラップの一種なのだ。

「……きゃ!?いやっ!?はな……れて!!!」
(そんな!?胸にまで……ッ!?)
スライムは織子の身体という身体を包み込もうとする。

すると―――
意外な助けが入った。

『ふん!』
小鬼英雄は織子の胴体を掴むと力任せに持ち上げる。
小鬼英雄の握力により、持ちあげられる織子。

『この牝はオレのだ。どけ』
小鬼英雄は織子の脚にまとわりつくスライムの本体を爪で引き裂く。

「!?」
スライムは小鬼英雄の攻撃で消滅した。

「あ……」
(嫌な感触が消えたわ……もしかして、実はいい人なのかな?)
小鬼英雄の攻撃で消滅したため、身体を覆い包みこもうとしたスライムの部位も消滅した。
一瞬、織子は小鬼英雄がいい人なのではと思い直すが、直ぐにやはり訂正する。

なぜなら―――

―――べろ

小鬼英雄はその異臭放つ舌で織子の頬を舐めたのだ。

「!!!???」
(うえ〜〜〜!気持ち悪い!?それに……臭い……わ!!)
すべすべの肌をした頬に唾がこびりつき、臭い口臭に鼻腔が犯される。
顔を歪ませると同時にやはり、目の前の人物(小鬼英雄)はいい人ではないと悟る。

☆彡 ☆彡 ☆彡


116 : エロトラップだよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:07:14 qP7u9pHg0
「いやッ!?止めてッ!!」
(なんで!?そこは……恥ずかしいよ///)
織子は必死の抵抗するが、掴まれている状況からの脱出は非常に困難。
もう片方の手で小鬼英雄は、織子の着物を捲り女性の大切な生殖器である蜜壺を確認する。

『処女か……ククク、楽しめそうだ』
織子の蜜壺を眺めた小鬼英雄は満足そうに頷くと―――

―――グググッ!

小鬼英雄は醜き一物を大きく膨らませる。

「ッ!?」
(お父さんのより大きい……///)

織子の眼前に大きく反り立つ男の勲章。
それは、父親とのお風呂で見たのとは比較にならない。

『オレの孕み袋として飼ってやろう』

―――それは

小鬼(ゴブリン)に襲われた女の―――

―――ごくありふれた光景

☆彡 ☆彡 ☆彡


117 : エロトラップだよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:08:18 qP7u9pHg0
(ウリ坊……ッ!美代ちゃん……ッ!鈴鬼くん……ッ!)
織子は目に涙を零しながらこの場にいない3人へ助けを祈る。

しかし―――

―――織子の祈りは届かない。

『では、いただこう』
織子の閉じられている蜜壺が小鬼英雄の一物の先に―――

―――正に織子の純潔が奪われる寸前。

「待ていッ!!!」
大きな声が響く。

「?」
小鬼英雄は動きを止めて周囲を見渡す。

そして次に聞こえるのは―――

―――ガラガラガラッ!!!!!!

(誰!?もしかして私を助けてくれるの!?お願い!神様!いいえ!この際、”悪魔”でもいいから―――)
誰か助けが来たのかと思った織子は何不利構わず祈る。

車輪が全力で廻る音が聞こえ―――

「貴様のフニャチンはムスメに相応しくないのう!」

―――ズドッ!!!!!

強烈な地獄突きが小鬼英雄の腹にヒットすると―――

「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!???」
小鬼英雄はその威力に胴体が真っ二つに引き裂かれて絶命した。

☆彡 ☆彡 ☆彡


118 : エロトラップだよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:09:15 qP7u9pHg0
終章 コンゴトモヨロシク

―――パンパンッ!
―――ジャブッ!ゴシゴシッ……
―――シュルルル……ギュッ!!

(ふぅ……)
貞操を失う危機一髪の状況だったが無事に助かった。
織子は着物に付いた砂を手で払い、支給品の水で顔を洗い終えると、若干乱れた着物をきちんと着付け直す。

―――ガラガラガラッ!

「おう!落ち着きを取り戻せたか?」
助けた人物は織子が落ち着きを取り戻すまで、その場を離れていたが戻ってきた。

「あ、はい!……あの!助けてくれてありがとうござい……えッ!?」
(えっ!?えっ!?その姿って……男の人の?///)
助けてくれた人物にお礼を伝えようとする織子だが、その姿を見たとたん顔を赤らめ言葉を詰まらせる。

「気にするなムスメ!……ふむ、やはりここでもワシのギンギンの突きに敵う者などいないわな!グワッハッハッハッハァー!」
そんな織子の様子を意に介さず豪快に笑うその者の正体は―――

「ワシは魔王マーラ。今後ともよろしく」

―――悪魔のご立派さまだった。

【関織子@若おかみは小学生!(映画版)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あの男の人(ヒエール)に負けない
1:とりあえずマーラさんと会話する
2:今後ともよろしくって……え!?
[備考]
※参戦時期は秋の木瀬一家との出来事以降〜春の梅の香神社の舞までの間

【魔王マーラ@真・女神転生ⅣFINAL】
[状態]:バッキバキじゃあ(健康)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あの人間(ヒエール)にモノの違いを教える
1:ムスメにご利益を授ける(庇護する)
2:会場内の参加者共にワシのモノを見せつけ教える
[備考]
※参戦時期はクエスト『助けてハンターボーイ』で主人公たちに討伐される前
※取得スキルは『チャージ』『地獄突き』『マラマラダンス』『マカラカーン』『デクンダ』『会心の眼力』『テトラコワース』
※氷『弱点』銃・電属性『吸収』魅力『無効』

『NPC紹介』 【小鬼英雄(ゴブリンチャンピオン)@ゴブリンスレイヤー】
戦闘経験を経たゴブリンの戦士。小鬼王ほどの高い知性と統率力はないが、強力な筋力や防御力を持っているため、単純な戦闘力だけなら小鬼王や熟練した冒険者たちさえ上回る。戦闘の際にはさらに残忍となり、他のゴブリンを巻き添えに攻撃することや盾にすることすらいとわない。

『エロトラップ紹介』 【全身スライム床@エロトラップダンジョンロワ】
会場内の床や地面に潜んでいるスライム。
一度、まとわりつくと自力で剥がすのは困難。誰かの助けが必要である。
身体を伸ばし、参加者の身体を包み込む。
全身包み込まれた参加者は耳やお尻の穴など穴という穴を犯しつくされてしまう。
その快楽は絶頂に達するほどで男性の場合は亀頭の先にも……ッ!!!
本体を攻撃すれば消滅可能で他の部位のスライムも同時に消滅する。
他の亜種のスライムも存在するかもしれない。


119 : エロトラップだよ!若おかみ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/16(土) 22:10:21 qP7u9pHg0
エロトラップはこういうのでいいのでしょうか💦
投下終了します。


120 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:41:52 GUPCp6PE0
皆様、投下お疲れ様です。

コンペロワに投下した作品に加筆修正を加えましたものを2作投下させていただきます。


121 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:47:17 GUPCp6PE0
暗闇の中に、『スパイダーマン:スパイダーバース』のBlu-ray&DVDセットのケースが置かれた。

☆☆☆

OK!じゃあもう一度だけ説明するね。
僕はマイルス・モラレス。
放射性の蜘蛛に噛まれてから、今まで数ヶ月間、この世にたった一人の『スパイダーマン』だ!
後は知ってるよね?
僕は他の次元からやって来た『スパイダーマン』達と一緒にキングピンの野望を打ち砕いて、
僕の世界の初代スパイダーマン『ピーター・パーカー』の代わりに、街とそこに住む人達を救う毎日を送っていたんだ。
そしたらある日……突然妙な事が起きたんだ。

本当に妙な事が。

どういう訳だか……僕はナノマシンと媚薬が入れられた首輪を付けられて、『殺し合い』に強制参加させられてしまったんだ!
まるで『ハンガーゲーム』みたいだよ!
説明の場所には、僕以外にも何十人もの人達が集められていた……何の罪も無い人達を誘拐して、殺し合いをさせるなんて許さない!
僕は絶対に、この『殺し合い』を止めてみせる!

☆☆☆

会場についてすぐ、僕は森の中をスイングしながら移動してた。
幸か不幸か、僕のスパイダーマンコスチュームのウェブシューターは取り上げられなかったんだ。

僕が会場に送られた時、周りには他の参加者達の姿はなかった。
一刻も早く巻き込まれた人を助けないと!

僕は木々の生い茂る森の中を急いで移動していく。
しかし、こうやって森の中をスイングしてると、アルケマックスに忍びこんだ時を思い出すなぁ……なぁ〜んて僕が考えていた時だった。
突然、目の前の空中に、背中から天使みたいな翼を生やした黒い服の女の子が現れたんだ。
しかも僕がスイングで移動しようとしていた場所に!

「うわぁっ!どいてぇー!!」
「……えっ?」

僕は女の子に向かって叫んだけど、少し遅かったみたいだ。
僕は天使みたいな翼のある女の子に、空中で正面衝突しちゃったんだ!

「うわあぁぁ!?」
「きゃあああ!?」

女の子の方も受け身が取れなかったみたいで、僕達二人は森の中に墜落しちゃったんだ。

「イタタタ……」
「うーん……」

幸い、小枝や落ち葉がクッションになっておかげで、僕も女の子にも目立つケガはついていなかった。
僕はぶつかってしまった女の子に覆い被さっている態勢になってて、女の子の方は地面に仰向けに倒れてた。

それにしても、改めて見てみるとキレイな娘だなぁ……。
歳はだいたい僕より少し上くらい。
銀色の髪を肩に付くか付かないかくらいに切り揃えていて、下手なアイドルやセレブ歌手以上に整った顔をしている。
背中から黒い羽根の翼が生えてる事と合わせて、なんだか教会の絵から抜け出したみたいな神々しさすら感じてしまう程の美少女だ。
グウェンやペニーとどっちが可愛いかなぁ〜……って、何を考えているんだ僕は。

「……大丈夫!?ケガしてない!?」
「う、うん……平気」
「ゴメンね!いきなりぶつかったりして……」
「私こそ、よそ見しててゴメンね」

女の子が僕に謝りながら起き上がろうとした時だった。

ふにょん!

「きゃっ!」
「……えっ?」

僕の手が、なんだかものすごく大きくて柔らかくて手触りの良い感触を感じ、女の子が小さな悲鳴を上げた。

ま、まさか……。

僕は恐る恐る視線を女の子の顔から下げる……そうしたら……。
僕の右手は、
目の前の女の子の、
スパイダー仲間のグウェンやペニーよりも三回りは大きな胸を、
鷲掴みにしていたんだ。

「うわあぁぁ!ご、ゴメン!!」

僕は慌てて、女の子の胸から手を離したけど……これが余計に不味かった。

ビリリッ!

『・・・えっ?』

僕はあまりに慌て過ぎていて、パワーの制御ができていなかったらしい。
僕の右手のひらは女の子の服にくっついていて……
僕が手を離そうと瞬間、女の子の服の胸元の辺りの布が一緒に破けて……
女の子の、
僕の数少ない女子友達であるグウェンやペニーよりも遥かに大きな胸が、
剥き出しになってしまったんだ!

「……キャアアアアアアア!!!」
「うわあぁぁ!?ごごごごゴメン!!」


122 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:48:04 GUPCp6PE0
女の子は剥き出しになった胸を両手で隠しながら悲鳴を上げ、
僕も慌てて女の子から顔を背けた。

クソっ!何やっているんだ僕は!?
いくらわざとじゃないからって、これじゃあ『痴漢』と変わらないじゃないか!?

僕が自己嫌悪と罪悪感に震えていると……。

「……どうした!?大丈夫か!?」

……僕と女の子の前に、また別の参加者らしき人が現れた。

黒い詰襟の服と赤いマフラーを身につけて、左手に包帯を巻き付けたピンク色の短髪の男の人だ。
ペニーに似ている顔つきからして、アジア系……それも中国か韓国か日本辺りの人だ。

「……えっ?」

突然現れた男の人は、固まってしまっていた。
それはまあそうだろうなぁ……。

何せ今、僕は全身タイツにマスク姿という格好で歳の近い女の子に覆い被さっていて、その女の子は服が破かれて胸が丸出しの状態なんだから。

うわぁ〜……自分の事だけど、凄い犯罪チックな光景じゃないか。

「あ〜……」

男の人は僕達を眺めながら顔を赤くして、頬を指で掻きながら所在なさげにしていた。
そして……

「……す、すまない。邪魔をしたみたいだ。ちゃんと避妊するんだぞ」

……おもむろにそう言うと、僕達から背を向けて歩きだして……

「いや待って!ちょっと待って!!」

ここで変な勘違いされたまま立ち去られると、不味いんだけど!
僕、レイプ犯扱いされちゃうよ!!
僕は必死に男の人を呼び止めた。


123 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:48:46 GUPCp6PE0
☆☆☆

暗闇に置かれた『スパイダーマン:スパイダーバース』のBlu-ray&DVDセットのケースの両脇に、
テレビアニメ版『うたわれるもの』のDVDボックスと
『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』のBlu-rayボックスが置かれた。

☆☆☆

私、カミュ!
オンカミヤムカイの第2皇女!
今はお姉さまと一緒にトゥスクルって國にいるの!
友達はアルちゃんとユズっち!

☆☆☆

俺は人吉爾朗(ひとよし じろう)。

厚生省所轄『超過人口審議研究所』……『超人課』のメンバー……いや、『元』メンバーだ。

俺は超人課の一員として、超人を守る為に努力を重ねてきたが……ある事情から超人課を出て、今は在野の一人として超人を守る活動を続けている……俺については、こんなところだ。

☆☆☆


124 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:49:28 GUPCp6PE0
「ハァァァァ……」

僕は森の中で体育座りしながら深い、深〜〜いため息をついていた。

後ろからはごそごそと衣擦れの音がしているけど、僕はまっすぐ正面を向いていた。

そこに、あのピンク色の髪の男の人が僕の背中にポンっ!と手を置いた。

「まぁ、その……悪かったな。色々勘違いして……」
「いや……元はと言えば僕が悪いから……」

ピンク髪の男の人から背中を擦られながら、何だか自分が無性に情けなく思えてきた。

『参加者を救う』とか息巻いてたのに、見ず知らずの女の子に、不可抗力とはいえ痴漢まがいのことをするなんて……大したヒーローだよ、僕は。

これじゃあ、ピーターやグウェンに笑われちゃうなぁ……。

「えっと……もう良いよ」

背後の衣擦れの音が止んで、あの黒い翼の生えた女の子の声がした。
どうやら支度が終わったみたいだ。

振り替えると、さっき僕がセクハラを働いてしまった翼の生えた銀髪の女の子が、大きな木の根元にちょこんと座っていた。

さっき僕が破いてしまった服の胸元には、隣にいるピンクの髪の男の人が首に巻いていた赤いマフラーが巻かれて、胸を隠していた。

まぁ、よく見るとだいぶ胸の谷間が見えるんだけど……丸出しよりはまだましな格好だ。

僕は女の子に向き直ると、前に社会の授業で教わった日本における最大級の謝罪を表す姿勢……『ドゲザ』のポーズをした。

「……本当にゴメン!!わざとじゃないとはいえ、女の子にあんな真似しちゃって……本当にゴメン!!」
「もう……別にもう気にしてないって言ったじゃない。あれは事故!もう忘れようよ?ね?」

とんでもないセクハラをしてしまった僕を、黒い羽の女の子は軽く許してくれた。

優しい子だな……。

もし学校のクラスメートに同じ事したら、例えわざとじゃなくても一生口聞いてくれなくなっちゃうのに……。

「……あ」

そこで僕はまだ自己紹介をしていない事に気づいて、マスクを外した。

ピーターには『誰にも正体を明かすな』って言われたけど、あんな真似を働いちゃった相手なんだからしっかり顔を見せて挨拶しないと。

「えっと……遅くなったけど、僕はマイルス」

僕は女の子に右手を差し出した。

「……私はカミュ。よろしくね、マイルス君?」

女の子……カミュはニッコリ笑いながら僕の手を握り返し、僕らは握手を交わした。

散々な出会いだったけど、思えばグウェンの時も似た感じだったんだ。

きっとカミュとも友達になれる。
確証はなかったけど、僕にはそう思えた。

「……俺もまだ名乗ってなかったな」

それまで黙っていたピンク色の髪の男の人が、握手し合う僕とカミュの手の上に自分の手を置いた。

「……人吉爾朗(ひとよしじろう)という。よろしくな」

男の人……爾朗さんの顔には、優しげな微笑みが浮かんでいた。

ヒトヨシジロウ。
やっぱり日本人なんだ。

日本人は黒髪黒目が多いって聞いたけど、ピンクの髪の人もいるんだ……僕は変なところで感心してしまった。

「うん!よろしくね、ジロウおじ様!」

爾朗さんに向けてカミュは笑顔を向けていたけど、それに対して爾朗さんはなんだか複雑そうな表情を浮かべていた。

「お、『おじ様』……俺はまだ20代なんだが……」

あぁ〜。

爾朗さんの呟きを聞いて、僕は爾朗さんの気持ちを理解してしまった。

確かに……20代の人が若い女の子から『おじ様』と呼ばれるのは色々複雑な気持ちだろう。

というか、『おじ様』というのは、単に『おじさん』と呼ばれるよりも老けているイメージがある呼び方だ。

僕の知り合いだと、ノワール辺りにピッタリなイメージがある。

まぁ……ノワールも若い女の子から『おじ様』なんて呼ばれたら、複雑な気持ちになりそうだけど。

「あっ!ゴメンね、ジロウ『お兄様』!」
「いや……その呼び方もちょっと……」
「……ハハハ」

カミュとコントみたいな掛け合いをする爾朗さんの姿が滑稽に思えて、僕は笑いを漏らしたのだった。


125 : スパイダーマン:バトロワバース ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:50:00 GUPCp6PE0
【マイルス・モラレス(スパイダーマン)@スパイダーマン:スパイダーバース】
[状態]:健康、罪悪感と少々の自己嫌悪
[装備]:スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバース、ウェブシューター@スパイダーマン:スパイダーバース
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:カミュと爾朗と行動する
2:僕はなんて事を!
3:カミュの胸……柔らかかったな
4:スパイダー仲間がいるなら、合流する
[備考]
本編終了から数ヶ月後の時間軸からの参戦。
スパイダーマンのコスチュームは支給品ではありません。
ウェブシューターはコスチュームの付属品です。

【カミュ@うたわれるもの】
[状態]:健康、服損傷
[装備]:人吉爾朗のマフラー@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人殺しはしない
1:マイルスや爾朗と行動する
2:知り合いがいるなら合流する
[備考]
『散りゆく者への子守歌』〜『偽りの仮面』の間のどこかから参戦。
服の胸元が破けており、人吉爾朗のマフラーを胸元に巻いています。

【人吉爾朗@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、首周りが涼しい、少しショック
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:マイルス、カミュと行動する
2:『おじ様』と呼ばれてショック
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
第二期(THE LAST SONG)の中盤から参戦。
まだ『おじ様』と呼ばれるような年齢ではありません。
カミュに自身のマフラーを貸しています。


【スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバース】
マイルス・モラレス(スパイダーマン)@スパイダーマン:スパイダーバースの初期装備。
マイルスやピーター・パーカーを初めとする蜘蛛の力を持ったスーパーヒーロー『スパイダーマン』が、ヒーロー活動を行う際に着用しているクモの巣模様の全身タイツ。
マイルスの物は黒地に赤いクモの巣模様が描かれている。

【ウェブシューター@スパイダーマン:スパイダーバース】
スパイダーマンのコスチューム@スパイダーマン:スパイダーバースの付属装備。
化学合成した蜘蛛糸を発射するスパイダーマンの代名詞的アイテム。
元々は『初代スパイダーマン』ピーター・パーカーが開発した物だが、マイルスが装備している物はピーター・パーカーの叔母メイが作った物。

【人吉爾朗のマフラー@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
人吉爾朗が元々所属していた超過人口審議研究所(通称・超人課)からの出奔後に常に首元に巻いている真紅のマフラー。
現在は服の胸元が破けてしまったカミュ@うたわれるものに貸し出され、カミュの胸元にさらしのように巻かれている。


126 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:51:29 GUPCp6PE0
「そんな……どうして、あんな……うっ!うげっ!!」

眼鏡をかけたブレザーの学生服姿の少年……水篠颯太はついさっき起こった主催者による『殺し合いの開催宣言』と、
見せしめとして陵辱物の18禁アダルトゲームでもやらないような無惨な死に様を晒した少女の姿を思いだし、
胃袋の内容物を何度も何度も地面に吐き下していた。

突然『物語のキャラクター』が現実に出てくるという異常事態に巻き込まれてしばらく経つが、
本来の颯太は投稿サイトにイラストの投稿を行っている事を除けば、
どこにでもいる平凡なオタク少年。

こんな何年か前に、
藤原竜也主演で映画化された高見広春の小説みたいなイベントに強制参加されて平常心を保てる程、
図太い精神など持ってはいないのである。

「ハァ……ハァ……」

胃の内容物を粗方吐き終え、颯太は荒い息を漏らしながら口を拭った。

とりあえずは、他の参加者に会う前にどこかに隠れなければ……。

とりあえずの方針を決めると、颯太は自身に支給されたデイバッグに手を伸ばし……その動きを止めた。
いや、『止められた』というべきか。

突如、颯太の首筋に冷たく硬い物が押し当てられ、颯太の動きは封じられてしまったのだ。

「動くな。動かなければ悪いようにはしない」

背後から若い女性の声が聞こえ、颯太は冷や汗を流しながら大きく唾を飲み込んだ。

「お前はこの殺し合いに……」
「の、乗ってないです……」

背後からの問いかけに、颯太は少々早口になりながら即答する。
しばしの沈黙の後……颯太の首筋から冷たい感触が消えた。

「……ハァ〜」

颯太は安堵のため息を漏らした。

「驚かして申し訳ない。私も、無闇に人の命を奪うような真似をするつもりはない」
「い、いえ……こんな状況ですし……」

仕方ない、と続けようとして背後を振り返り……颯太は目を丸くした。

そこには緑を基調としたチャイナドレスのような服を着用し、長く美しい黒髪をサイドポニーテールでまとめた美少女が、包丁を手にして立っていた。

持っている武器こそ違うが……颯太はその美少女を知っていた。


127 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:52:57 GUPCp6PE0

「か、関羽雲長……愛紗?」

そう……今颯太の目の前にいるのは、
『三国志』をモチーフとしたアダルトゲームを原作とするメディアミックス作品『恋姫†無双』シリーズに登場するヒロインの一人『関羽』こと『愛紗』だったのだ。

「!」

颯太の呟きを耳にすると、愛紗は目の色を変えて颯太に飛びかかり、颯太の体を地面に押さえつけた。

「うわあぁぁ!?」

情けない事に、颯太はろくに抵抗らしい抵抗もできずに 大して歳の変わらない少女に地面に押さえつけられてしまい、その喉元に包丁を突きつけられたのだった。

「貴様……何故、私の『真名』を知っている!?」

愛紗は今にも颯太の喉に包丁を突き刺さんとするかのような剣幕で、怒りを露にしていた。

『真名』とは、『恋姫†無双』シリーズの大半のキャラクターに設定されている『モデルとなった三国志の人物のものとは違う、もう一つの名前』で、今颯太の目の前にいる蜀の武将『関羽雲長』がモデルの少女の『愛紗』という呼び名もその一つである。

この『真名』は『本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前』であり、これを本人の承諾無しに呼ぶ事は、問答無用で切り殺されても文句が言えない程失礼な行為なのである。

「あ、あの……愛……」
「貴様に真名を許した覚えはない!」
「は、はい!ごめんなさい関羽さん!!」

とても自分と大して歳の変わらない少女とは思えない剣幕を見せる愛紗に、颯太は反論する事もできなかった。

「貴様、何故私の名を……真名までも知っている!?貴様はあの主催者の仲間なのか!?」
「いや……その……」
「貴様は何者だ!?」
「は、はい!み、水篠、水篠颯太!です……」

颯太は内心、『なんだか、セレジアさんと最初に会った時みたいだなぁ……』などと現実逃避的な感想を抱きながらも、何とかこの場を切り抜けようとしていた。

「か、関羽さん!僕はあの主催者とは全然関係無いんです!僕も貴女と同じで、無理矢理連れて来られて……」
「……」

颯太は必死に弁解するが、愛紗は颯太の喉元から包丁を離そうとはせず、颯太に疑いの眼差しを向けていた。

「あ、あの!原作のゲームはやった事無いけど、ノベライズとコミカライズは読みましたし、アニメ版は全部見ました!『桃園の誓い』のシーンは凄くて……」
「原作?アニメ?何を言って……」

途中から弁解ではなく、『恋姫†無双』シリーズの感想を述べ始める颯太に、愛紗は首を傾げるが……

「!」

颯太の口にしたある言葉に気づいて目を丸くした。

「『桃園の誓い』だと!?姉上と義姉妹の誓いをたてた時の事か!?」

『桃園(とうえん)の誓い』とは、
三国志演義の序盤において、後に『蜀』を建国する事になる劉備、関羽、張飛の三人が
義兄弟の契りを結ぶシーンの事であり、
三国志をモチーフとする恋姫†無双シリーズにおいてはアニメ版第二期のオープニングテーマのタイトルのモチーフとなっているのだ。

「どういう事だ!?あの時、あそこにはお主のような者の姿はいなかった!どうしてお主が知っているのだ!?」
「そ、それは……」

颯太は恐る恐る語り始めた。
何故自分が愛紗の真名や義姉妹との誓いを知っているのかを、
そして『恋姫†無双』という物語についてを……。

ちなみに、念のため原作の主人公である『北郷一刀』を知っているか聞き、愛紗が『知らない』と答えたので、アニメ版を中心に話している。


128 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:53:59 GUPCp6PE0

☆☆☆

「……と、いう訳なんです」
「………」

颯太が話終えると、愛紗は自身の豊満な胸の前で腕組みをしながら神妙な表情を浮かべていた。

ちなみに現在、颯太は拘束を解かれて、愛紗と向かい合う形で共に地面に正座していた。

「つまり……私はお主の世界で造られた『物語の登場人物』だと、そういうのだな?」
「は、はい……いきなり信じられないかもしれませんけど……」
「……当たり前だ!!」

愛紗は地面に拳を叩きつけながら激昂し、颯太はビクリッ!と震え上がった。

「私のいた場所が、私の仲間や義姉妹が、私自身やその人生が……『娯楽』の為に造られた『絵空事』だと!?そんな世迷い言、信じられる訳ないだろう!!」
「いや、あの、僕に言われても!?」

いかに大して歳の変わらない少女とはいえ、相手は百戦錬磨の武将。
ただのオタク高校生に過ぎない颯太は、その剣幕に涙目を浮かべながら震え上がるしかなかった。

「……あぁ、いや、すまん」

激昂した後、愛紗は頭を抱えながらため息を漏らした。

「……正直信じられないのは本当だが、嘘をつくならばもう少し本当らしい嘘をつくだろうし、私や義姉妹達についてあそこまで詳しいとなると……信じざるえないようだ」
「そ、そうですか……良かったぁ〜……」

愛紗がとりあえずではあるが納得してくれたので、颯太は再び安堵のため息を漏らした。

「……それで、話は分かったが……お主、これからどうするのだ?」
「えっ?そ、そうですねぇ……え〜っと……」

愛紗に今後の方針を問われ、颯太は黙りこんでしまった。

先ほどから何度も書いているが、颯太は平々凡々としたオタク少年。

友人であるセレジアやメテオラ等『被造物』達、そして目の前にいる愛紗とは違って、戦う力など持っていない。

そして、もう一つ。
颯太にはある懸念があった。


129 : Re:CREATORS外史 颯太、恋姫に出会うのこと ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:54:53 GUPCp6PE0
最初に殺し合いの説明をした人物を、颯太は知っていた。

といっても……『直接的な面識』がある訳ではない。
友人であるセレジアやメテオラ……そして目の前にいる愛紗と同じように、『物語の登場人物』として知っていたのだ。

あの男は、アニメ映画『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』に登場した悪役『ヒエール・ジョコマン』にそっくりだった。
いや、ヒエール・ジョコマンそのものだったのだ。

そしてあの、見せしめとして殺された褐色肌の少女……颯太にはどう見ても、タイプムーンの代表作である『Fate』シリーズの派生作の一つ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』に登場するクロエ・フォン・アインツベルンにしか見えなかったのだ。

そして、目の前にいる『恋姫†無双』シリーズの愛紗……。

殺し合いに巻き込まれてから本のわずかの間に、颯太は3人もの『物語の登場人物』……『被造物』と遭遇していたのだ。

ということは、この殺し合いにはあの『軍服の姫君』……『アルタイル』が一枚噛んでいる可能性と、
他にも多くの『被造物』が参加している可能性があると、颯太には思えてならなかったのだ。

『被造物ばかりを集めた殺し合い』という可能性に、ますます颯太にはどうにも出来そうには思えなかった……。

「あぁ……その……」

颯太の頭の中は堂々巡りの考えばかりが過り、半ば思考停止状態に陥ってしまい、うつ向いたまま黙りこんで数分が経とうとしていた。

「……ハァ、仕方ない」

黙りこんだままの颯太の姿に愛紗はため息を漏らすと、颯太の手を掴んで立ち上がった。

「な、何を!?」
「いつまでもこうしている訳にもいかんだろう。とりあえず場所を変えるぞ」

颯太は愛紗に引っ張られるまま、歩いていった。



はたして、この殺し合いにおける彼らの『物語』はどのような結末を迎えるのか……

それはまだ誰にも分からないのだ。


【水篠颯太@Re:CREATORS】
[状態]:精神的疲労、若干情緒不安定
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺されたくはない
1:……(思考停止状態)
2:他にも被造物が?
[備考]
アニメ第12話辺りからの参戦。
版権キャラやその出典作品に関する知識を持っています。
どの程度の知識があるかは、後の書き手さんに任せます。
少なくとも、『恋姫†無双』シリーズ、『劇場版クレヨンしんちゃん』、『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』に関する知識は持っています。
この殺し合いに『軍服の姫君』ことアルタイル@Re:CREATORSが関わっているのでは?と考えています。

【関羽(愛紗)@アニメ版恋姫†無双シリーズ】
[状態]:健康、動揺(中)
[装備]:包丁@現実
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:殺し合いはしない
1:彼(颯太)と行動する
2:まさか自分が『物語の登場人物』だったとは……
[備考]
アニメ版第三期『真・恋姫†無双 〜乙女大乱〜』最終話後からの参戦です。
颯太の話を聞き、自分が『物語の登場人物』である事を知りました。


【包丁@現実】
どこの家庭にも一本はある、ごく普通のステンレス製包丁。


130 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/16(土) 22:58:18 GUPCp6PE0
以上、投下を終了します。


131 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/17(日) 05:54:14 I95IgL7o0
投下します


132 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/17(日) 05:55:37 I95IgL7o0
 薄暗い森を駆ける一人の少女の姿がある。
 いや、駆けると呼ぶにはとても動きは鈍いものだ。
 と言うのも、少女はサイバーチックな車椅子に乗っているが故に。
 少女の頭部に繋がったコードも合わせ、その姿はどこか近未来的だ。
 SF風味から手動でなくとも動いてはいるものの、所詮は車椅子。
 あくまで補助であり、車のような速度は出せるわけではない。

「……来ないで……!」

 インナーの少女は車椅子ごと振り向きながら、
 車椅子に備えられたキーボードを高速で入力する。
 彼女の目の前に緑色のエネルギーが集約し、
 それが前方へと放たれて彼女を追跡してたゴブリンを吹き飛ばす。
 彼女、朝狗羅由真は始まりと同時にゴブリンに追われることになっていた。
 このようにヒット&アウェイをしながら戦闘を続けて一体ずつゴブリンを処理している。
 お陰で怪我はないものの、気分はよくない。いや、よくてたまるかと言えば当然だ。
 あんな死に方は嫌悪感しかない。女性としての尊厳を踏みにじった行為なのだから。
 特に由真は嘗てPGGに監禁されてた時は性処理としての役割もさせられていた。
 争いを好まないのもあたが、これもあってよりこの殺し合いについての嫌悪感が強い。

 ある日突然やってきた白い狼の助言もあって、
 自分の道を選び、ある人物とも恋仲になれた。
 まだ日本を混沌に陥れた魔界孔を塞ぐには至ってなかったが、
 そんな最中に彼と付き合う日々はかけがえのないものになっていた。
 なのに、なぜこんなことになったのだろうか。

「やっと、倒しきった……」

 肉体で走ってはないが、精神的な疲労に見舞われて肩で息をする。
 B能力に目覚めた特体生ではあるが、あくまでその能力は電脳世界に関しての強さ。
 こうして正面切っての戦闘は得意ではないし。下半身が不自由なせいで体力や気力も余りない。

(どこへ行けばいいのかもわからない。)

 できれば参加者、特に斬真狼牙の仲間に出会えれば心強いだろう。
 しかし此処は日本のどこでもない。彼らが何処へ向かうかも判断がつかないし、
 電脳世界と言う強みも胡椒なのか主催の意図的な制限によるものか使えない。
 はっきり言って、一般人とそう大差がないのが現状とも言える。

(今は抜け出さないと。)

 魔界孔からでも出てきたかのような怪物。
 ここらを根城にしてる可能性は十分にある。
 まずは森を抜け出すことを方針に車椅子を動かす。

「え?」

 払おうとした目の前のツタが、突然伸びた。
 首元を締め付け、無理やり車椅子から引きはがす。
 締め付けられてるせいで声が余り出せず、視線をツタの先へ向ける。
 向けた先にいたのは、黒を基調とした大型の鳥類か。
 普通の鳥ではないので、恐らくゴブリンの同類の魔界孔から出た存在だと察するが、
 そんなことを考えている余裕は何処にもなかった。
 NPCは性的に襲い掛かってくる。この後どうなるかが目に見えてる。
 だが逃れようとするも続けざまに手を、更に足を縛られて磔にされた状態で首を絞められる。

「ア、ガ……!!」

 息苦しさに必死にもがくが、
 ツタで磔にされては手も満足に首に届かない。
 元々B能力ありきで戦ってきた彼女に、生身で抵抗する力など一般人にも劣る。

(お願い……!!)

 脳裏に浮かぶのは白き狼ではなく、
 彼の伴侶を名乗る幼き少女でもない。
 声が大きく、はっきりと物事を言う自分とは正反対な男、毛利尊拳の姿。
 彼がいるなんてわからない。むしろいないでいてほしいとすら思える。
 でも願わずにはいられない。自分に気遣って一緒にいてくれた人だから。

 その願いが届いたのか、
 ドサリと彼女は地面に倒れた。
 ツタが突然斬られて解放されたのだ。

「ゲホッゲホッ!」

「君! すぐに逃げるんだ!」

 白い狼でも、その彼でもない。
 そこに現れたのは、ただの人だった。
 しかし、その志は白い騎士そのものが。


 ◇ ◇ ◇


 最初に彼が抱いたのは疑問だ。
 尊厳も倫理も何もない殺し合いに、
 更に淫蕩さに拍車をかけた何かが加えられた催し。
 理解しろと言う方が普通無理だ。理解したら終わりのようなもの。
 そんな中彼は理解した。理解したからこそ、選ぶ道を決めている。


133 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/17(日) 05:56:20 I95IgL7o0
「この悪辣な催しを止める。」

 彼、アダム・ホワイトリーは不平等を望まない。
 貴族が優遇されるのが当たり前な社会の中で、
 誰よりも平等を志して社会に立ち向かった議員になる。
 それは家でも同じだ。メイドや秘書も家族のように接しており、
 だからこそ彼らからも家族のような関係を築くことができていた。
 その紳士にして、真摯な振る舞いはロンドンを賑わせた犯罪卿すら認める程の人物、
 とすれば彼がいかに優れてた人物かと言うことは、最早語るは不要なものだろう。

 もっとも、その夢を彼は見届けることはなかった。
 悪魔によって彼は血塗られた殺人鬼に仕立て上げられたことで、
 犯罪卿による、自分も受け入れた殺人劇によってその生に幕を下ろす。
 平等を掲げた象徴が一度喪えば、絶望へと落ちて平等化の道は二度と来ない。
 その希望を絶やさない為に、彼はあえて死を選ぶことで希望をつないだ。
 私怨による殺人鬼ではなく、家族を殺されてもなお平等を目指した白い騎士として。

(これではまるで一部の貴族のようではないか……!!)

 詳しくは知らないが、
 人間狩りと言う子供を標的にした狩りを楽しんでた者達がいたそうだ。
 人とは思えないような所業をした連中は犯罪卿によって裁かれたとの噂は聞く。
 他にも貴族の中には言葉にすることすら憚られるような、凄惨なことをしてた者もいたと聞く。
 全てが真実ではないだろう。だが、そうと裏付けるような要因が一部出てきたものもまた事実。
 言うなればこの催しはそれだ。人を人として扱わず、自分の娯楽や利益のためのもの。
 命を捨ててでも社会を正そうとした男が、この不平等極まりない行為を許せるはずがない。

 馬車を爆破した犯人を素早く捕まえられる行動力、
 それは殺し合いの場においても迅速に動いていた。
 遠くない場所で誰かが戦ってる、或いは逃げてる音が。
 目的の場所へ辿り着けば、彼女と出会うこととなった。

「貴方、は……」

「私のことはいい! 早く!」

 デイバックにあったレイピアで、ツタと言う尾を切り裂いた。
 彼女のそばの車椅子をみて、動かずにはいられなかったのだ。
 身体のハンデがある……それは彼が亡くした弟、サムと重なる。
 家族を、弟を助けられなかった。その後悔は死してなお渦巻く。
 嘗ての彼の後悔を埋めるための行為……と言われると少し否定はできないが、
 もう二度と弟を、誰かが不平等に、理不尽に死にゆく姿など見たくはない。
 その上彼女は女性。この場において辱めを受ける側となっている。
 猶更守らなければならない。こんなふざけた催しの捌け口になど。

「ガアアアッ!」

 樹の上に止まっていた鳥が叫ぶ。
 邪魔をされて尾も斬られればそうなるのは当然。

「早くッ!!」

 木の上に牽制の突きを何度かしながら、
 ホワイトリーはより強い声で行動を促す。

「え、ええ!」

 必死に車椅子を起こして乗って、直ぐに移動。
 その背後から鳥と男性が戦ってる音が聞こえたが、
 振り向かずに、出せる全速力で森の中を駆けていく。
 音が殆ど届かないぐらいまで走っていると、

「キャアッ!」

 太めの木の根が段差となって、派手に転ぶ。
 下半身が不自由では、車椅子を起こすことも難儀だ。

「早く、助けを呼ばないと……!」

 彼が一体どこの誰なのか。
 それらについては何一つ知らない。
 いや、一つだけある。女性の尊厳を奪うかのような舞台で、
 欲望の捌け口ともせず、人を気遣えた本当の善性の人間だと。
 だからこそ助けたい。人に迷惑を掛けたくないから声を掛けられない、
 そんな彼女が人を見捨てられるわけがなかった。

 白菫の花畑の上に投げ出した身を起こして、
 再び車椅子を起こそうとする。

「助けが、必要なのですか。」

 その時、彼女は白亜の騎士の姿を見た。
 騎士のような志を持った人物の次に出会ったのは、
 本当の姿からしての騎士だ。


 ◇ ◇ ◇


 結果は、ホワイトリーの敗北だ。
 デイバックに入っていたレイピアで多少応戦したものの、
 相手はただの動物ではなく、この生物がいた世界においては、
 ガードと呼ばれる存在が討伐する必要がある魔物と呼ばれる存在だ。
 彼も決して弱くないと言えどもそれは人間の範疇での話であり、
 使い慣れた武器と言うわけでもない為に苦戦を強いられた。
 結果、今は樹にその触手で括り付けられ、首を絞められている。
 先ほど朝狗羅由真と、ほとんど同じような状態だ。
 このままいけば絞殺されるのも、時間の問題だろう。

(あの子は逃げ切れただろうか。)


134 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/17(日) 05:58:21 I95IgL7o0
 思うのは先程の少女。正直嫌な予感は拭えない。
 自分のように彼女を保護する側の人物はいると願いたい。
 しかし、人と言うのは時と場合で倫理に外れた行動をしてしまう。
 殺し合いだからと言って、彼女を手にかけたりする可能性もある。
 無論そんなことは考えたくはない。だが自分がその体現者なのもまた事実
 家族を殺された衝動に身を任せて、犯人を殺した自分を忘れることはない。

(何処かの誰か……彼女のことを、頼んだ───)

 薄れゆく意識の中、何かが通り過ぎる。
 通り過ぎれば今度は彼が由真と同じく解放された状態になる。

「断ち切る!」

 その場に馳せ参じたのは、
 白銀の甲冑を纏った紫の髪の騎士。
 手にはホワイトリーが落としたレイピアを握っている。
 容姿端麗な顔立ちと姿とも相まって、まさに物語の騎士そのものだ。

「ガアアアアッ!!」

 二度も邪魔をされて、
 怒り心頭の鳥は騎士へと迫る。
 狙うは鎧に囲まれてない頭部だが、
 素早い動きで難なく躱されてしまう。

「排除させてもらう!」

 その一言共に一刀両断。
 ホワイトリーでは防戦一方だった相手を、
 白銀の騎士は一太刀だけで切り伏せてしまう。

「貴方は───」

「無事、だった……?」

 聞いた覚えのある声。
 声の方へ視線を向ければ、由真がやってくる。
 少し服が汚れているが、大事には至ってない。

「……よかった、間に合った……」

 胸をなでおろすと共に零れる涙。
 過去の件もあって余り感情を出さないが、
 本当は人並みの感情を十分に持ち合わせいる。

「君が助けを呼んできてくれたのか、ありがとう。」

 彼へと手を伸ばし、それを握り立ち上がる。
 一匹の鳥による、本当に小さな騒動は終わりを告げた。


 ◇ ◇ ◇


「我が王やマスターが参加している可能性があるが故に、
 私はこれ以上貴殿らとの同行することはできない……申し訳ない。」

 先程二人が出会った白菫の花畑。
 三人はそこまで移動を終えると、
 ランスロットと呼ばれた騎士は申し訳なさそうに二人を見やる。

「そうか……できれば君に彼女を預けたかったが、探すべき人がいるのだな。」

 はっきり言って異次元の強さだ。
 人間ができるレベルの芸当ではない。
 あの一瞬で、直観による観察がでおおよそ察してはいた。
 彼の知らない、サーヴァントと呼ばれるものではあるが、
 少なくとも彼がただの人間ではないことは気づいている。
 だからこそ自分よりも安全な彼へ任せたかったものの、
 彼にも都合がある。無理に押し付けるわけにはいかない。

「此処で守れなければ、騎士の名折れなので。」

 とはいうものの、正直ランスロットは複雑だ。
 自分はバーサーカーとして召喚されるべき人物と思ってやまない。
 相性は今のセイバーの方が適正が高いが、それは彼自身が許せないことだった。
 裏切りの騎士と呼ばれた自分が、高潔な騎士を名乗るセイバーと言う皮肉。
 ブリテンを滅びに至らせた自分にはとても似合わないものだと。
 唯一今バーサーカーでないことがあるとするのならば、
 狂化で理性を失わず、二人を攻撃しなかったことぐらいだ。
 だからと言って騎士の矜持を投げ出そうなどとは思わない。
 せめて、この場でも騎士としてあり続けたい。それがランスロットの願い。

「私達も協力しよう。私とアサクラは君の反対側へ行く。
 道中リツカ・フジマルを見かけたら、君が北へ向かったと伝えよう。」

「感謝の至り……では、私はこれで。」

「武器は大丈夫なのか?」


135 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/17(日) 06:02:20 I95IgL7o0
 殺し合いの為の道具。
 誰かに渡すと言うことは『そう言うこと』になる。
 暴力に屈しないようにしていた彼を否定するような行動だが、
 批判の意見が相次いでたように万人が殺し合いに反対なわけではない。
 どうしたって無理なものを、彼はその身をもって知りすぎている。

「ご安心を。武器自体はどうやら持ってたみたいなので。
 そのレイピアは、貴方が彼女を守るときに使っていただきたい。」

「分かった。承知の上かもしれないが、
 ランスロット卿も気を付けていただきたい。」

 武力だけが全て解決するわけではない、
 そんな風にも感じられるのがこの舞台だ。
 そういう意味だとは彼も分かっており、
 ホワイトリーの言葉に軽くうなずいて、
 ランスロットは人間離れした動きで走り出す。
 自分達に合わせていてくれたことを証明するかのような、
 とてつもない速さで。

「出来れば彼に君の護衛を頼みたかったが、すまない。」

「……ううん。大事な人がいるかもしれない、
 そう思うとあの人の気持ち、わかるから……」

 彼女も同じだ。
 もしここに毛利尊拳がいれば。
 探しに行かないなんて選択肢はない。

「私もだ……では我々も行こうか。」

 三人は分かれる。
 誠実の意味を持つ白菫の花畑で。

【アダム・ホワイトリー@憂国のモリアーティ】
[状態]:首に絞め跡と傷(所謂吉川線)
[装備]:水口レイピア@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:不平等を強いるこの催しを止める。
1:アサクラと共に南へ向かう。
2:ランスロット卿の知り合いに彼のことを伝える。
3:殺し合いに発展しそうな時、私は動けるのだろうか……
[備考]
※参戦時期は死亡後



【朝狗羅由真@大番長】
[状態]:疲労(中)
[装備]:朝狗羅由真の車椅子@大番長
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:生きて、彼の下へ帰る。でも殺し合いはしたくない。
1:ホワイトリーさんと南へ向かう。
2:……彼(尊拳)は、いないよね?
[備考]
※参戦時期はキャラクリすべてクリア済みです。
※車椅子がデフォルトの代わりにランダム支給品が減ってます




【ランスロット(セイバー)@Fate/Grand Order】
[状態]:ステータス低下、複雑
[装備]:ランスロットの鎧@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜2(刀剣類はある)
[思考・状況]
基本方針:せめて、この場では騎士でありたい。
1:マスターや我が王がいないことを願う。
[備考]
※カルデアに召喚されたランスロットです。
※姿は最終再臨です。
※鎧の都合ランダム支給品が減ってます。
※マスター不在の為、ステータスが低下してます。
※騎士は徒手にて死せず、己が栄光の為でなくの二つは使用可能ですが、
 マスターか魔力の代替がないため通常よりも性能は低いです。
 アロンダイトがないためそれに連なる宝具は使えません


136 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/17(日) 06:03:15 I95IgL7o0
【朝狗羅由真の車椅子@大番長】
朝狗羅由真のデフォルト支給品。
原作において朝狗羅が乗っている車椅子。
ハッキングから攻撃に大概の事は出来たが、
機能が制限か不備か、攻撃プログラム以外は使えない。

【水口レイピア@刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火】
ホワイトリーの支給品。原作では新多弘名の御刀。
御刀なのにレイピアと思われるが、水口レイピアは、唯一日本で生産された西洋剣。
鍔には双頭の鷲の文様が施され【折り返し鍛錬】と呼ばれる日本刀と同様の製法が施された。
珠鋼という特殊な金属で、基本的には錆びず刃こぼれもすることはない。
新多弘名以外の刀使がこれを持つことで刀使の力が行使できるかは現時点では不明。

【ランスロットの鎧@Fate/Grand Order】
ランスロットのデフォルト支給品。
第二再臨以降に装備しているセイバーランスロットの白銀の甲冑。
ギルガメッシュのような特別な効果を持ち合わせてるわけではない。


137 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/17(日) 06:04:12 I95IgL7o0
以上で『白菫の下に』投下終了です


138 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 08:38:04 4fGXdBPc0
2本連続で投下します


139 : ホモビームに敗けた娼年 ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 08:38:43 4fGXdBPc0
「へっへっへっへ! 殺し合いか、面白い」

 緑色の体に、虫のような頭をした人型の生物が嗤っている。
 一見すると着ぐるみにも見えるが、こういう生物だ。
 当然、まともな生物ではない。
 彼は、世界征服を企む秘密結社メガデスによって作られた怪人であり、通称メガデス怪人である。
 戦闘力は一般人にも負けかねないほど弱いが、喰らった相手を言いなりにする催眠光線、通称ホモビームが強力だ。

 怪人は、この殺し合いに好意的だった。
 元々悪の組織が世界征服の為に作った存在。
 人、それも全く好みでもないメスガキが何人死のうと揺らぐことはない。
 それどころか、20億円とどんな願いも叶える権利を献上すれば、世界征服の一助になると考えたのだ。
 しかし、彼には一つ疑問があった。

「なぜ女なんだ」

 彼は疑問に思った部分。
 それは、主催者がエロトラップダンジョンに引っかかるのを期待しているのは、間違いなく女だということである。
 別に男を女体化させる必要などないだろうに、と怪人は考えていた。

 メガデス怪人は、ホモだ。
 せっかくのホモビームも男を犯す為に使われ、時には立場を利用して部下にセクハラすることもある。
 時には男二人を催眠して、催眠した男同士をセックスさせて自分は逃げることもあるが、それは逃げる為だ。
 そんな彼からすれば、せっかくの男をわざわざ女にするなど理解できない。
 無論、セクシャルマイノリティやマジョリティについての理解はあるが、だったら自分を参加させなければいいのに、と彼は思う。

 しかし、思考に浸る彼の前に、別の参加者が現れた。
 小柄で女の子にも見えるが、男性用の学生服を身に纏っていることから少年だと分かる。
 少年は怪人に恐怖しているのか、どこか怯えた目を見せた。
 その目が怪人の嗜虐心をそそらせる。

「この俺が怖いのかい?」

 少年に対し挑発する怪人。
 彼はこのまま少年が逃げ出す素振りを見せるかと思ったが、予想に反して少年は懐からボールを取り出し、怪人に投げつけてきた。
 少年が投げたボールは赤と白で上下が分かれており、怪人は咄嗟に避けようとするも当たってしまう。
 しかし――

 コン

 と軽い音と共に何事もなく、地面にボールが落ちるだけだった。
 その様に少年は驚いた素振りを見せる。
 少年が驚いている隙を見て、怪人はホモビームを浴びせた。
 すると、少年はまるでキョンシーみたいに両腕を前に伸ばした。これが怪人に操られている者の特徴である。
 
「まずは名前を教えてもらおうか、可愛い坊ちゃん」
「……僕の名前は夜之川しいなです」

 怪人の問いに素直に答える少年、もといしいな。
 次に怪人は、さっきしいなが投げたボールについて質問する。

 しいな曰く、ボールの名前はモンスターボール。
 弱っているNPCに投げると、捕まえて自分の手駒にできるそうだ。
 また、弱っていなくても一瞬ボールに入るらしい。
 しいなはその隙をついて逃げ出そうとしたのだ。

 確かに自分の外見なら、NPCに見えないことも無い。
 だからボールに封じ込められず驚いたのだな、と怪人は納得した。

「それじゃ、そのボールは俺様が貰うぜ。
 ひょっとしてお前、まだ持っているんじゃないか?」
「はい」

 落ちていたボールを拾うだけでなく、しいなからカツアゲする怪人。
 事実、しいなはデイバッグに九個も持っていた。
 これを見て怪人は鋭い笑みを浮かべる。

 これで強力な手駒を手に入れれば、殺し合いは一気に有利になる。
 更にホモビームで他の参加者を従えれば、優勝は間違いなしだ。
 しかしまあ、それはそれとして――


140 : ホモビームに敗けた娼年 ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 08:39:06 4fGXdBPc0

「しいな、俺様についてこい」

 しいなは、怪人の好みだった。
 もう一度言おう。怪人はホモである。
 そして、せっかくの催眠能力も主な使用用途は大体自身の性欲を満たすためのホモセックスである。

 つまり、メガデス怪人は夜之川しいなとホモセックスする気満々だった。
 己の手で快楽によがるしいなを想像し、興奮してくる怪人。
 しかし彼は知らない。

 夜之川しいなは、その容姿を生かして今まで数十人以上の男と援助交際をしてきたことを。
 そして、幾人の男に尻穴を掘られながらも、今まで一度たりとも感じたことのない超マグロ体質なことを。

 しいなの知らない未来では、ある薬剤師が調合した強力な媚薬で感度を上げた状態でのセックスに嵌ることになる彼。
 この殺し合いでも同じ結末に至るのか。はたまた違う未来が待っているのか。
 その答えはきっとGOだけが知っている。
 つまりGOは神。

 GO is God.


【メガデス怪人@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康、興奮気味
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、モンスターボール×10@ポケットモンスターシリーズ
[思考・状況]基本方針:優勝し、首領に20億円と願いを叶える権利を献上する
1:しいなと遊ぶ(意味深)
2:自分に従う手駒を手に入れる
3:エロトラップに引っかかる参加者を女に変える必要……あるか?
[備考]
ホモビームで催眠できる人数に制限があります。制限以上の人数を催眠に掛けると一斉に催眠が解除されます

【夜之川しいな@キメセクに敗けた娼年】
[状態]:言いなり状態
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:???
1:メガデス怪人に従う
[備考]
参戦時期は本編開始前です


【モンスターボール×10@ポケットモンスターシリーズ】
夜之川しいなに支給。
ご存じポケモンを捕らえるために必須のアイテム。
本ロワではポケモン以外のNPCを捕らえることもできる。参加者は捕らえられない。
ただし弱っていないと逃げられるが、死んだNPCも捕らえられない。
捕らえたNPCはモンスターボールを投げた参加者が所有者となる。他の参加者と交換、譲渡も可能。
捕らえたNPCは所有者に従い、所有者が死亡した場合は解放される。
原作と同じく他の参加者が捕らえているNPCに投げても、ボールは弾かれる。


141 : ニンジャであって対魔忍ではない。いいね?アッハイ ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 08:39:44 4fGXdBPc0
「ア、アイエエエ……」


【ヤモト・コキ@ニンジャスレイヤー】
[状態]:衰弱、手足を拘束されている
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:アイエエエ……
[備考]
どうしてこうなったのかは当選した場合、次の書き手氏にお任せします。


142 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 08:40:09 4fGXdBPc0
投下終了です


143 : ◆TCeRkOBksY :2021/10/17(日) 13:02:20 AUon96GQ0
投下します


144 : ◆TCeRkOBksY :2021/10/17(日) 13:03:07 AUon96GQ0
少女の瞳は、涙に濡れていた。
少女の名前はイリヤスフィール。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
あの時、参加者にこの殺し合いが真実なのだと知らせるための見せしめとして殺されたクロエ・フォン・アインツベルンの家族だ。

「……許せ、ない」

イリヤは、ずっと泣いていた。
ずっと一緒にいられるものだと、根拠もなくそう思っていたクロ。
彼女の辿った最期はあまりにも無様で、そして残酷すぎるものだった。
命というものを、そして心というものを馬鹿にしているとしか思えない殺害方法。
最初は悲しみがあった。嘆きがあった。
けれどそれがイリヤの中で、燃え上がるような怒りに変わるまでに──そう時間はかからなかった。

「絶対……絶対! こんな殺し合い、台無しにしてやるんだから……!!」

殺し合い。
バトル・ロワイアル。
こんな戦いは認められないし、それをたくさんの罪もない人たちに強いる主催者のことはもっと認められない。
イリヤの大事な家族を無惨に辱めて殺した報いを与えるためにも、必ずこのゲームを破綻させてみせる。
そして主催のあの男のところまで辿り着いて……クロにしたことを詫びるまで何度でも、何発でもひっぱたいて、ぶん殴ってやる。

それがイリヤの決めた方針だった。
誰も殺さない──クロはきっとそんなことを望まないから。
必ずみんなを救って、生きて元の世界に帰る──クロならきっと、自分がそうすることを望むだろうから。

「(助けられなくてごめんね、クロ。怖い思いさせちゃって、ほんとにごめん)」

ぎゅっと唇を噛み締めて、心の中で今はもう亡き家族に謝罪する。
クロはイリヤにとって、時に姉のようであり、時に妹のようでもあった。
自分がいて、美遊がいて、他のみんながいて……そこには当然クロもいる。
そんな当たり前の日常は、もう決して帰ってくることはない。
クロは死んだのだ。死んだ人間は、もう生き返らない。


145 : 流星のゆくえ ◆TCeRkOBksY :2021/10/17(日) 13:04:16 AUon96GQ0
それは取り返しのつかない喪失。
この世において、最大の不可逆的悲劇。
イリヤはもうクロに届かない。
その手を握れることは、ない。
──けれど。今はもう違う世界に逝ってしまった彼女の魂に、報いることはできる筈だ。

「……今までありがとう、クロ。ケンカしてばっかりだったけど、わたしは──楽しかったよ。クロと出会えて、一緒に暮らせてよかった。ミユもリンさんたちも、きっとみんな同じことを思ってくれるよ」

ずっと泣き叫んで、声が枯れるまでそうしていたい。そう出来たらきっと楽だろう。
でもそれでは前に進めない。
クロエ・フォン・アインツベルンという少女の生きた証を誰にも残せない。
だからイリヤは喪失の痛みに耐えながらも、それでも前を向くことを決めた。
全ては、あの子に。
クロに誇れるような、そんな生き方をしてみたいから。

「しばらくは、さよならだけど……わたしを見てて、クロ。必ずわたしが──誰も彼も、みんな助けてみせるから……!」

やることは変わらない。
イリヤは誰も取りこぼさないし見逃さない。
全員を助ける、どんなに荒唐無稽と笑われてもその道を大真面目に進んでみせるのが彼女だ。
その手にカレイドステッキはなかった。
アインツベルンの姓に恨みでもあるのかと疑いたくなる話だが、どうも別の誰かに支給されているらしい。
つまり今のイリヤは、魔法少女ですらないただの少女だった。
それでも、彼女は勇敢そのものの表情で歩き始める。

恐怖はある。
不安もある。
でもそれをかき消すくらい、あの子の見られなかった明日が見たい気持ちが強くあった。
だからイリヤは戦える。
どんなに絶望的でも、カレイドライナーの輝きは曇らない。

今、彼女のバトル・ロワイアルがその幕を開けた。


146 : 流星のゆくえ ◆TCeRkOBksY :2021/10/17(日) 13:04:54 UzvPcKHM0
◇ ◆


「ぉっ……ああああ……くえっ! あえっ! えけっ! おっおぉ? あ、あ、ああああっああ?」

その三十秒後、彼女は地面に倒れ伏し、恥も外聞もなく足をガニ股に開いて発狂していた。
小学生とはいえ羞恥心はあるだろうに、下着を開いた股の間から露出させてしまっていることにも何ら頓着していない。
いや、そうする余裕がない──というべきかもしれなかったが。

「あ! あ! あ! あ! いっ、いい! おおおあ! あー!」

彼女の頭に引っ付いているのは、スライムのようにもクラゲのようにも見える異形の生命体だった。
水色の体色。流線型のフォルムは確実に人間のそれではないのに、しかし帽子にも似た傘、髪の毛や手足にも似た触手のビジュアルはどこか「ワンピースを着た少女」のようでもあるから不可思議だった。
ある種見ようによっては神秘的、幻想的ですらあるそれ。
しかしそれは今、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの頭に取り付き。
彼女という人間に寄生を行なっている真っ最中であった。

「あっ、あいいっ!? あ、いー、うっ、おおおお? あいうぇおっおっお! あひぉおおっ!!」

生命体の名はウツロイド。
ポケットモンスターという不思議な生き物が実在する世界に出現したウルトラビースト、その一体。
UB01 PARASITE(パラサイト)のコードネームの通り、これは何かに寄生して生きる。
それはたとえ人間であろうとも、例外ではなかった。

「あぎょぶぼほぉっ、おおぉぉぉ!? あはま、あひゃまあがぁ! の、のうみしょがぁぁ!? いだいっ、ぎぼぢいぃ、やっぱいだいっ、でもぎぼぢぃ!? いだぎぼぢよしゅぎるにょぉ!! に゛ゃに゛ごれぇ〜〜!!?」

ウツロイドは何やら決意したような顔で歩くイリヤに後ろから取り付いて、いつも通りにその脳へと神経毒を注入した。
ウツロイドの毒には超強力な覚醒作用が備わっており、これは人間に極度の興奮と自我の開放を発生させ──心理的な抑制力が麻痺した、自らの情動や欲望のままに暴走する人格としてしまう。

「い、ひぃっ! あひ! こ、こんにゃの、こんにゃの耐えれにゃひ! くろ! みゆ! ぐろ゛ぉ! びゆ゛ぅ! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だじゅ゛け゛て゛ぇ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛〜〜!!」

イリヤは、生まれて初めて味わう二つの感覚によって崩壊する。

「──おっ、あ、あひ、ひは、いああえおおおおお! だじゅけ゛て゛よ゛ぉ゛ぉ゛〜〜! やぁだあ゛〜〜! し゛に゛た゛ぐな゛い゛ぃ〜〜! こんなのや゛だあ゛〜〜!!!」

一つは、脳味噌に直接毒が浸透し生きながらに壊されていく激痛。
そしてもう一つは、脳細胞が毒に書き換えられて全身がバカになっていく快楽。
その二つがないまぜになった地獄篇の中で、イリヤはちょろちょろと黄金水を漏らした。

汗と涙とそしてさまざまな体液。
股間からは尿。身体をジタバタ痙攣させて暴れるその姿は──さながら、見せしめに殺されたクロエ・フォン・アインツベルン。彼女の生き写しのようであった。

「いぎっ、おぎょっぐっぐががっががががががっっっっっっあびゃばっばっばばばばばおごあびゃぁあああががっ──────お゛ぉ゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっっっ!!!!!!」

──そう。
ウツロイドの毒は、投与された対象の感情や情動、欲望を暴走させる。
イリヤは歳幼い。
性知識ですらろくにあるか怪しく、実践したことなどあるはずもない「いい子」だ。いや、だった、というべきか。

しかし彼女は、見てしまった。
あの場、あの時。性の限りを受けて崩壊し、惨死するクロの姿を目に焼き付けてしまった。
クロの死に憤る一方で、されどイリヤの頭の中にあの異様な光景は確かに理解不能の現象としてこびり付いており。
それが、ウツロイドの毒に侵されたことによって大きく歪み、狂い。
そうして表層に出てきてしまったのは──彼女と彼女に救われた者たちにとっては、不運以外の何物でもなかったに違いない。


147 : 流星のゆくえ ◆TCeRkOBksY :2021/10/17(日) 13:05:58 UzvPcKHM0
◆ ◇


「ほっ♪ おっ♪ おほっ♪ あはっ♪」

崩壊の数分後。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは、何事もなかったかのように歩いていた。
汗や尿、自分の唾液や鼻水でべとべとになった服を平然と着ながら。
尿だまりでのたうち回ったことで黄色く染まった銀髪を拭いもせずに歩いている。

「あ〜〜♪ 気持ちいいよぉ♪ おまんこ気持ちいい♪ あっは〜〜♪ しあわせ♪ しあわせ♪」

彼女は、下の衣類を一切着ていなかった。
小さな手で股間と肛門を同時に弄りながら、舌をでろりと出したまま引っ込めない。
垂れ流しの唾液が糸を引くのも構わず。
イリヤは自分の得た答え、幸せの形に浸る。

「(主催者さん……あの人は、みんなを幸せにしたくてこのゲームを始めたんだね♪ わたしあの人のこと誤解してた♪ クロも……死んじゃったけど、あんなに気持ちよくなれてきっと幸せだったよね♪ あ〜〜♪ ミユもいればいいのになぁ♪ ミユと一緒にクロのお墓の前でおまんこほじくり回したいなぁ♪ ミユもクロみたいになったらとっても可愛くて、めちゃくちゃおまんこにキそうなのになぁ〜〜♪)」

このゲームは、悲劇を生む土壌などではない。
幸せを作る、そんな素晴らしいものなのだ。
クロは気持ちよさ、快楽の中死ねた。
でももう寂しくはない。クロはきっと先にあっちに行って、自分たちのことを見守ってくれているはずだから。
──快楽にどっぷり浸りながら、だらしのない笑顔を浮かべて。

「もっといろんな人に、この気持ち良さを教えたいなぁ……一緒にがんばろーねっ♪」

ウツロイドをその隣にふよふよと浮かべながら。
世界を救うと決めた少女は、歪んだ目的のために歩む。
人々を、正しくて楽しい快楽で救うために。
……いや。本音は。

「(この会場をうろうろしてたら、誰かとセックスできるかもしれないよね……保健の授業でしか知らないけど気持ちいいんだろうなぁ♪ おまんこもお尻の穴も好き放題ほじくりまわして欲しいよぉ〜♪ それ邪魔するなら許さないっ♪ 絶対殺すっ♪ いるのか分かんないけどミユでもリンさんでも殺すからっ♪)」

そんな下心ありき。
気持ちよくなりたい、他の人も気持ちよくなってほしいけど何よりまず自分が気持ちよくなりたい。
それを邪魔するのなら殺したって構わない。
この幸せを邪魔する人間なんて、世界を滅ぼそうとする輩よりもずっと罪深くて許せない存在なのだから。

「(ミユや大事な人を殺されたりしたら嫌だけど……わたしのオナニーやセックス止められるのはもっと嫌だもん)」

脳裏でクロの痴態を思い返しながら、オナニーに耽溺するイリヤ。
命を賭してオカズになってくれた家族に感謝しながら、彼女は歩む。
救いという建前の自己満足を満たすために。
そしてそんなイリヤのことを、ウツロイドは何を考えるでもなく見つめていた。

ウツロイドが出会い頭に犯し、壊した少女。
彼女がいなければ決して救われることのない世界があることなど、ウツロイドは知らないし気にも留めていなかった。


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:神経毒、下半身露出、オナニー依存症(重度)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:自分が気持ち良くなるために生きる
1:皆を快楽で救う建前でセックスする
2:それを邪魔する参加者は殺す。
3:ぁあああ♪ クロの死に方すごい興奮する〜♪ マンズリ止まんないよぉ♪♪
4:ミユの世界? あぁ、そんなのあったね♪
[備考]
参戦時期は「ドライ!!」、ベアトリス戦の直前です。
ウツロイドの神経毒に侵されています。時間経過では毒は消えません。
今のオカズはクロエ・フォン・アインツベルンの死に様です。

【ウツロイド@ポケットモンスターシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:生き残る
1:神経毒を使って寄生先を増やし、殺し合いのペースを促進する。
[備考]
ポケットモンスターサン・ムーンに登場した個体とは別種です。ウルトラホールの向こう側から呼ばれたものと推測できます(なのでゲーム本編をプレイする必要はあまりありません)


148 : ◆TCeRkOBksY :2021/10/17(日) 13:07:28 UzvPcKHM0
投下終了です


149 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 15:15:47 LQ.Z8KFo0
投下します
イキリトというネットスラングについて独自の解釈を含みます


150 : それがぼく達の在り方 ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 15:17:30 LQ.Z8KFo0
百雲龍之介(以下、もぐも)は男でも女でもない。
世間的には『男の娘』と呼ばれる存在に限りなく近いのだが、その呼び方を本人は好まない。
もぐもの性自認は男性でも女性でもない──Xジェンダーというものだ。

非常にややこしい性自認。更に見た目がどれだけ可愛くても『男』という性別だけで何度も、もぐもはからかわれてきた。

ゆえにもぐもは自分を理解してくれる友達を求め、短冊に願う。

やがて願いは叶い、もぐもの周りには男の身でありながら悩みを持つ様々な友人が出来たのだが──いつの間にかよくわからない殺し合いに巻き込まれていた。

「哲くん……」

もぐもは自分が好意を向ける男の名を呼ぶが、返事はない。
めいも、鈴も、てんちゃん、琴ちゃんも、さっちゃんも居ない。

完全に孤立した状況。否が応でも先程の光景を……少女が情けなく惨めに死ぬ姿を思い出してしまう。
もぐもは性自認が他とは違うだけの一般人だ。あんなものに対する耐性なんて一切ない

「やだ……」

あんな姿を晒したくない。

「ぼくはあんなふうになりたくない……。めい達だって……」

自分だけじゃなくて、女の子になりたがってるめいのこともあんな目に遭わせたくない。
めいだけじゃない。鈴も、てんちゃんも、琴ちゃんも、さっちゃんも……。

「ぼく達のことを勝手に巻き込むな!!」

もぐもの感情が爆発する
理不尽に対して嘆き、怒り、哀しみ……様々な感情がごちゃごちゃに入り交じる。

「酷いよなー、やっぱ」

いきなり少年の声が聞こえて、もぐもの肩がピクリと跳ね上がる。
緊張やストレスによってもぐもが気付いていなかっただけで、この場にはもう1人参加者が存在したのだ。

心臓の鼓動がバクバクと早まる。これは命懸けの殺し合いで、なんとかしなければ生き残れない。
脳裏に少女の惨めな姿が思い浮かぶ。

──僕たち、友達になれるかもね

不思議とめいの言葉が思い浮かぶ。
めいがあんなふうにされる姿が……思い浮かんだ

──君がわがまま言ってくれたおかげで……。僕……ううん、私もわがまま言えちゃった。ありがと

やだ。
めいをあんな目に遭わせたくない。
めいは……ぼく達は見世物なんかじゃない……っ

────なんとかしなきゃ……!

もぐもは緊張して震える手でデイバックから何かを取り出そうとして……少年は両手を上にあげた。

「一応言うけど……俺、これでも殺し合いをする気はありませんよ?」

戦意がないと語る少年を、もぐもは注意深く見つめる。
じーっと見つめるもぐもに対して少し照れ臭そうな表情をした後、少年はニッコリと笑った


151 : それがぼく達の在り方 ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 15:18:59 LQ.Z8KFo0
「こんな可愛い子を狙うなんて、キリトはしないしなw」

黒の剣士キリト──それは少年にとって憧れの存在だ
彼に憧れ過ぎたがゆえに『自分はキリトに似てる』という趣旨の痛々しいツイート……後にイキリト構文と呼ばれるモノを投下してしまったが、それは純粋に憧れていたがゆえの行為でもある。
今やイキリトとして名を馳せてしまった彼は此度の殺し合いでも『イキリト』という名前で参加させられていた。

イキリトは妙に痛々しい部分さえ除けばただの一般人だ。しかし彼は決してこの状況に屈していない。
そもそもイキリトは元々がポジティブな性格である。ポジティブであるがゆえに憧れのキリトが自分と似ているという痛々しいツイートを恥ずかしげもなく投下出来た
悪く言えばイキリに見えるかもしれないが、良く言えば非常にポジティブなのだ。

ちなみにあのツイート自体は妄想が多大に含まれているのだが、それを披露出来てしまうのはもうポジティブとしか言えないだろう。
周りからキリトに似てると言われるのは事実だが、ただの皮肉である。だがイキリトはポジティブに考えることでそのイジメを耐え切っていた

自分のツイートがイキリト構文としてネットに根付いたことも、色々と複雑な気分ではあるがみんなが楽しいならそれはそれで良し!としている
だから弁明したり、怒ることもなくイキリト構文を放置していた

まさか自分がイキリトとして殺し合いに参加するという事態になるとは思わなかったし、見せしめの少女の姿も脳裏に焼き付いている。
それでもなんだか不安そうにしている少女(?)を見て、持ち前のポジティブさで元気付けようとした

ちなみにもぐもは少女としては高い声ではなく低い声で、少年のような声にも聞こえるのでもぐもが普通の少女でないことはイキリトもなんとなく察していた。胸の平ペったさも、貧乳というには明らかに無理がある。骨格だって身長が低いだけで、女の子のソレではない。

だが女の子の格好をしている可愛い子であることに違いはなく、偏見の目で見るつもりはない。イキリトはそこら辺、DQN以外には差別意識がなくピュアなのだ

「……ぼくのこと、女の子だとおもってる?」

何か誤解されているように感じたもぐもがイキリトに質問を投げ掛ける

「男の娘かなー、やっぱw」

イキリトの回答は堂々としたものだったが、もぐもの表情が少しだけ暗くなる。
男の娘という呼び方をもぐもは嫌う。もぐもは男でも女でもないのだから。
それでもわざわざ女の子だと思っているか聞いたのは、なんだか誤解されていると感じたから。
性自認が他と全く違うというだけあって、もぐもの心は複雑だ。

「男の娘って呼び方、嫌だったか?」
「うん。ぼくは男でも女でもないから……」

男女どちらにも該当しない複雑な性自認。
それがもぐもの抱えている悩みであり、普通の人にはなかなか理解されない部分でもある。
イキリトは少し考えて……それでも励まし方がイマイチ思い浮かばないから自分の言葉でもぐもに気持ちを伝えた

「……誰がなんて言っても、お前はお前だしなw」

性別なんて関係ない。目の前の可愛い子が男でも女でもないというのなら、ありのままを受け入れるだけだ。

「……ぼくのこと、男や女って決めつけないの?」

初対面の相手。それも今までそういう知り合いすらいなさそうな少年に予想外の事を言われて、もぐもは困惑気味に質問した。まさか自分のことをこんなにスムーズに受け入れてくれる人が、この殺し合いの場に存在するとは思わなかったから。

「性別なんてどうでもいいだろww」

イキリトはオタクだから男の娘という存在には慣れている。もぐものような性自認の人は初めて見たが……どんな性別だろうが関係ない。

というかイキリトとしても、もぐもの気持ちはなんとなくわかる
今ではここまでポジティブになれた彼だが、昔は「お前キリトみたいだなw」と馬鹿にされるイジメを受けていた。

だからもぐもが『男の娘』と呼ばれて表情が少しだけ暗くなった時……その姿がかつての自分と重なった。

「───俺は俺で、お前はお前だ」

だからその一言だけは戯けることなく、ハッキリとした声で口にする。
イキリトとして参加した彼だが、自分が自分で在ることは捨て去っていない。……イキリトは周りからネタにされてばかりのスラングと化しているが、それでも彼は彼だ。どれだけ馬鹿にされようが、イキリトにとってはそれこそが自分なのだ。


152 : それがぼく達の在り方 ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 15:19:57 LQ.Z8KFo0

───私が私でいることに許可なんていらなくない?ねっ、もぐも

「うん……」

めい達と問題を乗り越えた時のことを思い出して、もぐもの表情が柔らかくなる。
イキリトは性別なんて気にせず、もぐもという人間自体を見ている……それは殺し合いの場には似つかわしくないくらい、もぐもにとって恵まれた出会いだった。

「そういえばまだお互いの名前を言ってなかったなw 俺は……」

どう名乗ろうか暫し迷うが、こんなふうに呼ばれたのだからやはりこれしかないだろうとイキリトは笑う。

「イキリトかなー、やっぱw」

わざわざ自分がキリトの姿で呼ばれた理由は、そういうことだろう。
この殺し合いを観戦している『客人』を笑わせるために彼はイキリトとして参加することになった

「イキリトくんはそれが本名なの?」
「うーん……本名じゃないけど、これも立派な俺の名前だなw」

本名は別にあるが、イキリトもまた彼の名前。
メイドカフェのみんなが本名じゃなくても立派な名前を名乗っているように、イキリトもそうしている。もぐもはそう認識した

「ぼくはもぐもだよ。よろしくね、イキリトくん」

その後デイバックを見たらエリュシデータが支給されていることに気付き、イキリトは狂喜乱舞したという

【百雲龍之介@不可解なぼくのすべてを】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生きて帰りたい
1:めい、鈴、てんちゃん、琴ちゃん、さっちゃんが心配。哲くんは男だから大丈夫だよね
2:イキリトくんを信じて一緒に行動する
[備考]
参戦時期はめいと和解して友達になった後〜哲と付き合う前です

【イキリト@Twitter】
[状態]:健康
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:対主催かなーやっぱw
1:もぐもを守る。昔の俺と少し似てるしなw
[備考]
キリトの姿で参戦しています。キリトのソードスキルが使えますが、本物のキリトより劣ります
この姿がアバターか生身かは後続の書き手にお任せします

【エリュシデータ@ソードアート・オンライン】
作中初期よりキリトが所持している片手剣。
アインクラッド第50層のボスからラストアタックボーナスで入手した魔剣クラスの代物であり、以来キリトの愛剣として活躍している。鍛冶屋のリズベットもその桁外れの性能を認めた一振りである。


153 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 15:20:42 LQ.Z8KFo0
投下終了です


154 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/17(日) 16:04:25 Slzz1f5g0
投下します


155 : 最後のガラスをぶち破る前にこれは聞いてない ◆2dNHP51a3Y :2021/10/17(日) 16:05:26 Slzz1f5g0
疲弊したこの世界の代わりに

新たな新天地で別れたる魂の邂逅をもたらすと 神が約束しようとも

歩んできた自らの世界と命を 棄て去るなど





絶対にあってはならない








「――――」

闇には明るすぎて、輝きよりは暗い昏き大地にて、その少女は降り立った

「……高天原では、無いようですね」

鉄の葦舟は無く、携えるのは木刀一本、在るのはこの身一つ
見たこともない機器の操作に多少戸惑ったが、その上で把握できた事


この催しは、余りにも醜悪で、悍ましいものであると
「ひえぇる」という男が何者か等は、彼女にすら分かるはずもない
だがらこそ、底が見えない。自分がつい先程まで何処にいたかなど理解している


故に、あれを恐ろしい相手だとも思った。あれが神でなければ、一体あれは誰なのかと

「……ならば結構」

少女には、会わなければならぬ者がいる。朝霧の中、朽ち果てるこそすら許されず、破れ朽ちた約束を繕ろわんとする少年に
その道筋を邪魔するならば、その邪悪を、禍津を、何もかも避け、元凶を打倒し、踏破しよう

その果てに――――


【日瑠子@朝霧の巫女】
[状態]:健康、憤り
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:諸悪の根源を討ち果たし、審判者の元へ辿り着く
1:???
[備考]
参戦時期は最低でも第三十二話終了後〜第三十三話で忠尋を見つける前


156 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/17(日) 16:05:43 Slzz1f5g0
投下終了します


157 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/17(日) 17:16:04 Slzz1f5g0
拙作をちょい修正

疲弊したこの世界の代わりに

新たな新天地で別れたる魂の邂逅をもたらすと 神が約束しようとも

歩んできた自らの世界と命を 棄て去るなど





絶対にあってはならない








「――――」

闇には明るすぎて、輝きよりは暗い昏き大地にて、その少女は降り立った

「……高天原では、無いようですね」

鉄の葦舟は無く、在るのはこの身一つ
見たこともない機器の操作に多少戸惑ったが、その上で把握できた事


この催しは、余りにも醜悪で、悍ましいものであると
「ひえぇる」という男が何者か等は、彼女にすら分かるはずもない
だがらこそ、底が見えない。自分がつい先程まで何処にいたかなど理解している


故に、あれを恐ろしい相手だとも思った。あれが神でなければ、一体あれは誰なのかと

「……ならば結構」

少女には、会わなければならぬ者がいる。朝霧の中、朽ち果てるこそすら許されず、破れ朽ちた約束を繕ろわんとする少年に
その道筋を邪魔するならば、その邪悪を、禍津を、何もかも避け、元凶を打倒し、踏破しよう

その果てに――――


【日瑠子@朝霧の巫女】
[状態]:健康、憤り
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:諸悪の根源を討ち果たし、審判者の元へ辿り着く
1:???
[備考]
参戦時期は最低でも第三十二話終了後〜第三十三話で忠尋を見つける前


158 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 18:58:24 4fGXdBPc0
投下します。
今回、嫌悪感を煽る描写があると思いますので、ご注意ください


159 : 女賢者の恥辱 ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 18:59:07 4fGXdBPc0
「ふざけないで!!」

 殺し合いの会場にある町の一角。
 そこで二人の男女が言い争いをしていた。
 いや、その言い方は正しくない。
 正しくは、怒鳴り散らす少女を中年の男性がいなしていた。

 少女の外見は蒼色の髪に豊満な胸。
 何気に露出度の高い服に対し、その部分を隠すかのような青いマント。
 彼女はとある世界の女賢者。攻撃と回復、双方の魔法に長けた職業だ。
 それも、あの勇者ロトのパーティに参加し、大魔王ゾーマの撃破に尽力した凄腕である。

 対し、男はちょびヒゲが少々特徴的なことを除けば何の特徴もない。
 彼は道具屋の店員だ。村や町の道具屋で、誰かを相手に商売をする一般人。
 女賢者が英雄譚の主役なら、彼は脇役。出番があればいい方のモブでしかない。
 しかし、そんな彼もこの場にいる女賢者との決定的な違いがある。

 道具屋の首には、首輪が無かった。
 ナノマシンを流し込み、感度を3000倍に増幅させるあの首輪が。
 それもそのはず、なぜなら彼は参加者ではなくNPC。
 殺し合いの主催者が用意した、ただの舞台装置である。

 さて、そんな舞台装置になぜ女賢者は憤るのか。
 時は少々遡る。

 女賢者が殺し合いの会場に放り込まれてから最初に行ったことは、支給品の確認だ。
 しかし彼女は不運なのか恣意的なのか、武器が支給されなかった。
 無論、武器が無くとも戦える自信はあるが、敵は未知の力を持ち、異様な手段を以って少女を殺害した存在。
 そんな相手に無手というのは、少々心もとない。

 そう考えていると、彼女は道具屋と出会った。
 最初は主催者の手の者と聞いて気分が悪くなったが、細かいことを言ってる場合ではない。
 詳しくシステムを聞くと、こうだ。

 道具屋は本来、金銭を対価に商品を渡すが、この殺し合いに金銭はない。
 なので、代わりに支給品か、参加者の首輪を渡すことで商品を渡すのだ。物々交換である。
 有用な支給品、または強力な力を持った参加者の首輪程価値があり、渡せる商品も強力になるのだ。
 ここまでは、女賢者も理解はできる。
 問題はここからだ。

「どうして私のつけているパンツが物々交換の対象に入っているのよ!!」

 なんと、道具屋曰く女賢者の着用しているパンツも物々交換に出していいそうだ。
 怒る彼女だが、元々この殺し合いは『そういうもの』だ。
 この殺し合いは、女性を性的に辱める為のエロトラップが仕掛けられているダンジョンが会場の一部であり、そうでなくとも女性を性的にNPCが跳梁跋扈する地獄。
 当然、町にいるNPCも例外ではない。
 あらゆる悪意が、罪の有無に関わらず参加者の女性を辱めようと向かってくる。

 とはいえ、道具屋はあくまで道具屋。
 差し出されたものに対し、対価として相応しい商品を渡すだけのシステム。
 彼が提供したものは、女賢者にとって喉から手が出るほど欲しいものだった。

「この杖はかなり値打ちものですよ。これに見合うものをあなたは支払えますか?
 勿論、支払えるというのであれば別に下着をよこせなどとは言いませんが……」

 そう言って道具屋が見せたものは、一見デッキブラシにしか見えないものだった。
 しかし、デザインこそふざけているものの、その実何らかの精霊の加護を受けている強力な杖だと女賢者には理解できる。
 これに相応しいものなど、持っている支給品を全て差し出しても足りはしない。

「これを、どんな屑支給品でもいいから一つと、あなたのパンツを対価に渡すと言ってるのです。
 実際、かなり破格の取引だと思いますよ」

 道具屋の言い分は正しい。
 だが羞恥心という少女として当たり前の領分が、女賢者にこの取引を躊躇わせる。
 いくら英雄譚の登場人物に相応しい存在と言えど、彼女は未だ男とまぐわいはおろか、恋の一つもしたことのない清らかな乙女なのだ。
 そんな彼女が、下卑た目で見られることを分かってパンツを脱ぐなど、そう簡単なことではない。

 一瞬、この店員を殺して商品を奪ってやろうか、という蛮族じみた考えすら女賢者の脳裏に浮かぶ。
 だが首元には主催者の都合でいつでも己の命を奪える爆弾がある。
 そんな状況で主催者の駒を手に掛けるのは、あまりにリスキーな行いだった。

 羞恥か装備か。女賢者の決断は――


160 : 女賢者の恥辱 ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 18:59:30 4fGXdBPc0

「わ、分かったわよ……脱げばいいんでしょ」

 装備だった。
 決断した彼女は、まず差し出す支給品を道具屋の前に出す。
 それは、ビニール袋に入ったうまのふんだった。

「」

 予想以上に価値のないものを提示され、言葉を失う道具屋。
 だが取引は取引。彼は納得してうまのふんを引き取る。
 そして、それを見た女賢者は、約束通りパンツを脱ぐべく一旦離れようとする。
 脱ぐにしてもせめて誰も見てない所で、という彼女のいじらしい抵抗だったが――

「ここで脱いでください」
「そんな……!」

 道具屋の無慈悲な一言がせき止める。
 ただでさえ恥ずかしいのに、これ以上足元を見ようというのか。
 女賢者は道具屋を睨むが、羞恥の余り涙目となった彼女のそれは、もはや威圧ではなく懇願にしか見えない。

 一方、道具屋も実質的な後出しジャンケンに思うところがあったのか、二つのものを取り出した。
 片方はエーテル。
 魔力を回復させるアイテムで、女賢者の感覚で言うなら魔法の聖水が一番近い。
 もう片方は新品のパンツ。
 なんてことのない普通の女性用下着で、色は黒。女賢者が着用するには何の問題もない。

「もしここで脱いでいただけるのなら、あなたには”どちらか片方”を追加で渡しましょう」
「どち、らか……!?」

 道具屋の言葉に、女賢者は憮然となる。
 さらなる羞恥心を引き換えに、魔力か替えの下着を選ばされる異様な状況。
 あるいは、どちらも選ばないという道もある。
 だが――

「う、うぅ……ぐすっ……」

 女賢者は、屈辱と恥ずかしさのあまり涙を流しながら、道具屋の眼前で自身の下着に手を掛ける。
 彼女はスカートの横から手を入れ、せめて秘所を晒さないよう気を配りながら、少しずつパンツを下げる。
 やがて彼女の脚に沿って姿を見せたパンツの色は、彼女の清純さに相応しい白。
 彼女の下半身を包んでいた布は、秘所が触れていた部分に湿り気があり、どこか彼女の臭いがする。
 やがてパンツは足首までたどり着き、彼女は慎重に片足をあげ、パンツを通す。
 そしてもう片方も通し、彼女は完全にパンツを脱いだ。

「こ、これでいいんでしょ……!」

 泣きながらスカートを左手で押さえつつ、女賢者は右手でパンツを道具屋に渡す。
 そのパンツを彼は無遠慮に広げ、さっきまで秘所が触れていた場所をまじまじと眺めているが、彼女は最早そんなことを気にする余裕がない。
 彼女は素早くデッキブラシをひったくると、今度はその手でスカートを抑え、今度は反対側の手を伸ばす。
 伸ばす手の先にあるものは、エーテルと黒パンツ。

 魔力を回復するアイテムか、替えの下着か。
 彼女の選んだものは――


161 : 女賢者の恥辱 ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 18:59:51 4fGXdBPc0


【女賢者@ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…】
[状態]:健康、ノーパン、羞恥(大)
[装備]:デッキブラシ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み、武器の類はなし)
[思考・状況]基本方針:主催者を倒す
1:何なのこの道具屋……!?
2:恥ずかしい……
3:下着か魔力の回復薬か。私は――
[備考]
参戦時期はゾーマ撃破後です。
彼女の名前や賢者になる前の職業は、当選した場合次の人にお任せします。


【うまのふん@ドラゴンクエストシリーズ】
女賢者に支給。せめてもの配慮か、ビニール袋に入っている。
その名の通り、たんなる馬糞。売値は1ゴールド。
一応、錬金釜があれば素材になるが、そうでなければただの糞。

【デッキブラシ@テイルズオブシンフォニア】
道具屋の売り物。
見た目はただのデッキブラシだが、実は風の精霊の加護を受けた神秘のブラシ。
風属性で、杖として扱える。
見た目はネタにしか見えないが、実は終盤のダンジョンで拾える武器より強い。
攻撃力+550、命中+50、回避+20、幸運+30

【エーテル@ファイナルファンタジーシリーズ】
道具屋の売り物。
MPを回復アイテム。回復量は概ね50。
本ロワでは魔力を多少回復するアイテム。

【女性用パンツ@現実】
道具屋の売り物。
ごく普通のパンツ。色は黒。


【道具屋@ドラゴンクエストシリーズ】
ドラクエにてどうぐを売る店の店員。外見は店によって様々。
本ロワでは会場にある町で、回復アイテム、武器、防具など様々な道具を扱っている。
ただしこのロワでは金銭に意味がないので、支給品、参加者の首輪などで物々交換をする。
女性参加者の場合は使用済み下着も交換できるものに入る。価値は穿いていた参加者によって変わる。
場合によってはその下着は他の男性参加者に渡される、かも。
仮に参加者が道具屋に危害を加えて商品を奪い取ろうとするとペナルティが発生。店員もすぐ代わりが来るため殺しても無意味。
ちなみに、何人もいるがトルネコ@ドラゴンクエストⅣ 導かれしものたち はNPCとして存在しない。

※本家ドラクエの道具屋に、女性の使用済み下着を売り飛ばすシステムはありません。


162 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/17(日) 19:00:15 4fGXdBPc0
投下終了です


163 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/17(日) 19:12:24 VAlSTFyI0
皆様、投下乙です。
コンペロワに投下した作品に加筆修正を加えましたものを投下させていただきます。


164 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/10/17(日) 19:13:32 VAlSTFyI0
謎の主催者による『殺し合い』という血生臭いイベントの会場となっている謎の浮遊大陸……。

その片隅に位置する採石場のような場所で、二人の男が対峙していた……。


一人は、まだ『少年』と呼べる程に年若い、軽装の鎧にウサギを思わせる白髪赤目の男……迷宮都市『オラリオ』で最近知名度を上げつつある『ヘスティア・ファミリア』の眷属、ベル・クラネル。

もう一人は、アメリカの国旗を思わせる青を基調としたコスチュームを着用した筋骨たくましいベル・クラネルよりも年上の男……世界の平和を守るスーパーヒーローチーム『アベンジャーズ』のメンバー、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース。

「ハァアア!」
「フンッ!」

二人は互いに徒手空拳の状態で戦いあっていた。
いや……それは『戦い』というより、格闘技道場などで行われる『組み手』のようだった。

「ハァッ!」

ベルは見ている方にも必死さが伝わるような表情を浮かべながら、
スティーブに向けて拳や蹴りを繰り出していく。

「……フンッ!」

しかし、一方のスティーブは汗一つ無い涼しい顔を浮かべながら、ベルの繰り出す拳や蹴りを軽々といなしていく……といっても、『全くの余裕』という訳ではない。

普通、超人兵士であるスティーブがベルと同い年くらいの少年と戦ったとして……
例え相手がなにかしらの格闘技を習得していたとしても、スティーブの体にはかすりもしないだろう。

「ヤアァァッ!」
「……ムッ!」

しかし、ベルの繰り出す拳や蹴りは的確な速度と威力でスティーブの体を狙い、スティーブはそれらを『両手』を使って防いでいたのだ。

ベルの知り合いがこの光景を見たならば、『ベル君、おしい!』と純粋な感想を述べるだろうが、
スティーブの知り合いがこの光景を見たならば、『信じられない』『あの少年は何者だ?』と驚愕するだろう。

「ハァアア!!」

ベルはスティーブの腹部に向けて回し蹴りを食らわそうとした。
しかし……

「フッ!」

スティーブはベルの渾身の蹴りを受け止め……

「ハァアア!!」

ベルの襟首を掴むと、柔道で言う『巴投げ』によく似た態勢でベルの体を地面に叩きつけたのだ。

「グワッ!?」

身に付けている鎧のおかげでベルの体には目立つ傷はなかったが、地面に叩きつけられた衝撃は軽いものではなかった。

「ハァ……ハァ……」

ベルが地面に大の字で横たわり、荒い息を漏らしていると、
スティーブがベルに右手を差し出してきた。

「……少し休憩しようか?」
「……はい」

スティーブからの言葉に、ベルは差し出された右手を掴みながら答えたのだった。



『……』ゴクゴク……

ベルとスティーブは、先ほど組み手を行っていた場所から程近い場所にある無人のバラック小屋のような場所に腰を下ろし、水分補給を行っていた。

支給された飲料水は生温い温度ではあったが、一勝負終えた後に口にする水は、熱くなった体を程好く冷ましていったのだった。

「……ベルって言ったっけ?君は中々見所があるよ。最初、『訓練してくれ』って頼まれた時は少し困ったけど……」
「ハァ……そうですか」

スティーブからの称賛の言葉に、ベルは曖昧な返事を返した。
普段の彼を知る者が見たならば、困惑するような姿であったろう。

「……」

スティーブもスティーブで、あったばかりの少年に困惑していた。
何か上手い言葉を話そうとは思うが、ティーンエイジャーの少年にどんな言葉を掛ければ良いのか分からない。

こういう時ばかりは、トニーの軽口やロキの口八丁が羨ましいと内心で思っていた。
しかし、自分はトニーともロキとも違う。
なので、自分なりの問いかけをする事にした。


165 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/10/17(日) 19:14:07 VAlSTFyI0
「なぁベル……君はどうして、僕に組み手を頼んだんだい?」

スティーブが一番気になっていた事がこれ。
会場内で知り合ってすぐ、ベルはスティーブが『歴戦の戦士』である事を知ると、即座に『自分と組み手をして欲しい』と頼んだのだ。
それも、土下座までして。
その事が、スティーブの心に強く引っ掛かっていたのだ。

「それは……強くなりたくて……」
「本当にそれだけかい?だとしても、どうして今すぐ強くなりたいんだい?」
「……」

スティーブからの問いかけに、ベルは一瞬うつむき……そして、静かに語りだした。

「……許せないんです」
「『許せない』?殺し合いを開いたあの男がかい?」
「いえ……確かに殺し合いなんて開くあの人の事も許せないですけど……」

「一番許せないのは……自分自身なんです」

そう語るベルの瞳には、怒りと悲しみと、深い罪悪感が宿っていた。

「……僕は、あの時……見せしめに殺されたあの女の子が、あんな、あんな酷い死に方をするのを……見ている事しかできなかったんです。もしも……もし僕が動けていたら、あの娘を助けられたかもしれないのに!」

ベルは手に持つペットボトルを握り締める。
あまりの力に、ペットボトルはグシャグシャに潰れてしまった。

「……それは僕も同じ気持ちだ。だが、もし君があの少女を助けたとしても……その時は、代わりに君が殺されていただろう」
「……だとしても!」

ベルはスティーブに向けてやるせない気持ちを叫ぶ。

「僕は、あの時……動く事すらできなかったんです……あの女の子を、助けられたかもしれないのに……」

動こうとしなかった自分への『怒り』、
目の前でむざむざと人殺しを許してしまった『罪悪感』、
そして、名も知らぬ少女が死んだ事への『悲しみ』……
それらがない交ぜになって、ベルの両目からは一筋の涙が流れていた。

「……僕は物心ついた時から、おじいちゃんに英雄譚を聞かされて育ちました。もしも……もしも、物語に出てくるような英雄があそこにいたなら……きっと自分の命を犠牲にしてでも……あの場であの男の人を倒して、あの娘だけじゃなくて、みんなを助けてくれた……そう思うんです。だから!」

不意にベルは顔を上げる。

「僕が代わりに!『英雄』になれないとしても『英雄の代わり』として!この殺し合いから、みんなを救いたい!だから、少しでも強くなりたいんです!」

自身の気持ちを語るベルの顔は、先ほどまで泣いていた少年と同一人物とは思えない、覚悟を決めた男の顔をしていた。

「……」


166 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/10/17(日) 19:14:45 VAlSTFyI0
『英雄の代わりとして、みんなを救いたい』。
そう語るベルの姿に、スティーブはかつての自分……
超人兵士となる前、『戦争を早く終わらせたい』と強く思いながらも、
病弱な体が足枷となって何度も徴兵検査に落ちていた頃の自分の姿が重なって見えた。

「『英雄の代わり』としてか……立派な志だ」

スティーブはベルを称賛しながらも、「……だけど」と付け加えた。

「『現実』は、『物語』とは違うんだ。誰もが幸せになる『ハッピーエンド』が必ず来るとは限らない。時には強大過ぎる力の前に敗北する事もあるし、大勢の人間を救う為に犠牲を出さなければいけない事だってあるんだ」

かつてのレッドスカル率いるヒドラとの戦い。
スティーブはワルキューレ爆撃機を北極海に沈め、
ニューヨークとそこに住む何十万もの人々を救ったのと引き換えに、70年もの間氷付けで眠り続ける事になった。

アベンジャーズが最初に結成された時のニューヨークでの戦い。
団結したアベンジャーズはロキ率いるチタウリ軍団から世界を救ったが、彼らが一致団結する事ができたのは、シールドのエージェント・コールソンがロキに殺されたのがきっかけだった。

ウルトロン率いるロボット軍団とのソコヴィアでの決戦。
スティーブ達アベンジャーズはウルトロンを打倒して世界を救うことはできたものの、結果的にソコヴィアの首都は壊滅し、数え切れない数の市民が犠牲となってしまった。

サノスとのインフィニティストーン争奪戦。
スティーブを初めとするヒーロー達は、あと1歩というところでサノスによる『デシメーション』を許してしまい、
全宇宙の生命の半分が消滅する事になった。

それから5年後のサノスとの最終決戦(エンドゲーム)。
スティーブの盟友だったアイアンマンことトニー・スタークは、自らの命と引き換えにサノスとその軍勢を消滅させ、地球を救ったのだ。

「……ベル、君が進もうとしているのは終わりの見えない茨の道だ。一度進み始めたら、もう後戻りは出来ない。時には自分が無力に思えて、心が折れそうになる事もある筈だ」

スティーブはベルの肩にそっと手を置いた。

「ベル、君にその道を進む覚悟はあるかい?」

それは『ヒーロー』として、
『男』として、
何より『一人の大人』として、
スティーブの心からの問いかけだった。
だが……

「……えぇ、もちろんです」

ベルの心は変わらなかった。

「これくらいで諦めていたら……仲間や神様、憧れの人に愛想をつかれちゃいますから」

そう断言するベルの瞳には、迷いやためらいは一切無かった。

「……そうか」

ベルの返答に満足したのか、スティーブも覚悟を決めたような表情を浮かべ、デイバッグを担いで立ち上がった。

「……なら、いつまでものんびりしている訳には行かないな。一人でも多く、巻き込まれた人を助けに行こう!」

スティーブに続いてベルもデイバッグを片手に持って立ち上がった。

「はい!よろしくお願いします、スティーブさん!」

元気の良い返事をするベルだったが、スティーブは首を横に振った。

「……いいや、ベル。僕の事はこう呼んでくれ」




「……キャプテン・アメリカ」

後に、ベルはこう語る。
『この時のキャプテンは、まるで物語から抜け出した本物の英雄のようだった』、と。


167 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/10/17(日) 19:15:39 VAlSTFyI0
【ベル・クラネル@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】
[状態]:健康、若干の疲労、覚悟完了
[装備]:兎鎧@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3、
[思考・状況]
基本:『英雄の代わり』として、参加者達を助ける
1:キャプテン(スティーブ)と共に行動する
2:キャプテン・アメリカ?スティーブさんの二つ名?
3:ファミリアの仲間がいるなら合流する
[備考]
アポロン・ファミリアとの戦争遊戯終了後からの参戦。
兎鎧は支給品ではありません。
スティーブを『オラリオから遠く離れた国出身の戦士』と思っています。


【スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康、体が程よくほぐれている
[装備]:キャプテン・アメリカのコスチューム@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:ベルと共に一人でも多くの参加者を救う
2:アベンジャーズの仲間がいるなら合流する
[備考]
『エンドゲーム』における『トニーの葬儀後〜インフィニティストーンを元の時代に返却しに行く』の直前からの参戦。
ベルを『ソーやロキのような、地球の神話のモデルとなった地球外惑星の出身』だと考えています。


【兎鎧@ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】
ベル・クラネルの仲間である鍛冶士ヴェルフ・クロッゾ製作の軽装防具。
こう書いて『ピョンキチ』と読む。

【キャプテン・アメリカのコスチューム@マーベル・シネマティック・ユニバース】
キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースの専用戦闘服。
アメリカ国旗をモチーフとした赤青白のカラーリングと星のシンボルが特徴。
作品ごとにデザインがマイナーチェンジしていくが、このロワにおいては『アベンジャーズ/エンドゲーム』版のデザインをしている。


168 : リトルルーキー&ファースト・アベンジャー ◆4kMBNI9QkE :2021/10/17(日) 19:17:31 VAlSTFyI0
投下終了します。
なんかタイトル表記が途中おかしくなりましたが
正しいタイトルは『リトルルーキー&ファースト・アベンジャー』です。


169 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 21:48:58 ToPaNGNg0
投下します


170 : 「君を守る」 ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 21:50:22 LQ.Z8KFo0
「ギャアアアアア!落ちる、落ちるぅううう!!」

その言葉を最期に我妻善逸は川に落ちた
エロトラップなんて男の自分には無縁だとタカを括り、とりあえず女の子でも探そうとしたらこの有り様だ。

──あ〜、男性の方々も油断しないでくれない? 多分女体化トラップとかもあるし、なんならNPCに男色連中もいるかも知れないよ

主催者がわざわざご丁寧に男も気を付けろと言っていたことを今更思い出す善逸。
背筋をヒヤリと嫌な汗が伝い、顔面が青ざめる。

「いやぁぁあああ!来ないでェ!!俺そっちの趣味ないからぁぁああ!!!」

きっと川の下には大量の同性愛者がいるんだ、そうに違いない!
何かもう男の防衛本能でケツがむず痒くなって、これがまた気持ち悪くて善逸の絶叫は止まらない

「禰豆子ぢゃああああん!!!」

汚い断末魔をあげて哀れ善逸はホモの餌食に……


はならなかった。

何故ならこのトラップ、思った以上に浅い川な上に主な効果は女体化である。勝手に川の底から男色連中が押し寄せてくると誤解していた善逸は意外にも何も起こらなくて困惑……いや、何か胸の辺りが膨らんだ気がする。
そして股間に何も感触がない。違和感ないのが逆に違和感というこの不思議な感じ!

「ギャアアアアアアアア!!!」

善逸、またしても絶叫。
そして襲いかかって来る数体のゴブリン達……ゴブリン突撃部隊と呼ばれるNPCの一部だ。
本来ならば攻撃力2300を誇る彼らだが、バラけて行動しているようでその強さは大幅に減っている。代わりに股間がギンギンにそそり立ち、別の意味の攻撃力を搭載したようである。

これが群れを率いたゴブリン突撃部隊ならともかく、たかだか数体に後れを取る善逸ではない

───雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

女体化こそしてしまったが、技のキレは一切落ちていない。
ゴブリン達は瞬く間に息絶え、善逸だけが生き残った。

「女の子にされたら変な奴らに襲われるって、こんなことある!?」

己を不運を嘆く善逸。ちなみに他の参加者やNPCを少しでも刺激出来るように可愛く女体化させるエロトラップなのだが、可愛くなろうがなんだろうが何の慰めにもならない。

「これ……普通の女の子だったらやばかったな……」

鬼殺隊でもない、戦う力のない少女が先程のような化け物に襲われたら為す術なく殺されることだろう。
それこそ鬼が一方的に人間を蹂躙するように、彼らNPCも参加者を蹂躙する。

「このままじゃみんなあの子みたいにされちゃうのか……」

見せしめにされた少女を思い出す。
戦う力を持たない女の子は、みんなさっきの化け物に追われてああなっちゃうのか……。

「そんなの、あんまりだ……!」

開始早々エロトラップに引っ掛かって焦っていたが、冷静さを取り戻したことで今更ながら主催者に対してイラついてくる。
自分が襲われているみんなを助けなけなきゃいけない。
きっと炭治郎や伊之助も参加してるから、彼らと共に主催者を打倒すると善逸は自分の方針を決める。日輪刀が支給されていたのは、不幸中の幸いだろう。

決意を固めて歩き始めた善逸は暫くして1人の少女と、彼女に襲い掛かろうとする化け物を発見した。

───雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

ゴブリンが少女を襲うよりも速く、善逸の一撃が決まる。
すぐ近くでゴブリンが死に、少女は悲鳴をあげるが善逸は彼女を安心させようとトラップで女体化したことや自己紹介も含めて事情を説明。そして最後に少女に誓う。

「君は俺が守る。これ以上、もう女の子を泣かせない」

見せしめにされた女の子のような犠牲は、もう出したくない。それに目の前の女の子からは優しい音がする。
だから善逸は彼女を守ると誓った。もちろん禰豆子や他の参加者も守るつもりだ。


171 : 「君を守る」 ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 21:51:28 LQ.Z8KFo0
(おっ、女の子……!)

善逸の真剣な瞳に少女は若干ときめいていた。
実はこの少女の名前は館林明(たてばやし あきら)で心以外は男性のMTFだ。
見た目こそ可愛い女の子だが、それでも心に悩みを抱えて生きている。つい最近までは男の娘という言葉に縛られ、一人称も「私」ではなく「僕」だった。

そんな彼女をごく自然に女と認め、守るとまで言ったのだ。しかも実際ゴブリン襲撃から助けられている。

「そういえば、君の名前は?」
「私の名前はめい。善逸くんはどうして私を守ってくれるの?」

「めいちゃんからは優しい音がする」

人を騙したり、裏切ったり……そういうことをしないような優しい音が。

「だから俺は君を信じて守るよ」

それに鬼ではないにせよ、相手は化け物。鬼殺隊の自分が守らなければめいがどうなるかなんて、わかりきっている。
それだけはどうしても嫌だったから。

「も〜……」

告白じゃないことを知っているが、初対面の相手にいきなり女の子扱いされた上に「守る」なんて言われためいは赤面。
だが善逸にその気があるわけじゃないと理解しているので、すぐに切り替える。

「私も出来る限り善逸くんに協力するね」
「めいちゃあああん!君はなんて優しい子なんだぁあああ!!」

緊張の糸が解けたのか、善逸はいつもの調子に戻った。

ちなみに女体化エロトラップについてはめいが興味を示しても善逸が反対したので諦めた。実際、善逸のように戦う力を持つ者でなければ多少なりとも危険な罠。
そもそもめいの願望を知らない善逸からしたら、どうしてあんなものに興味を示したのかすら謎だ。

善逸はめいの性別に気付いていない。もっとも見た目や性自認は女の子なので、性別以外の点では少女に限りなく近いのだが……。

(もう少しくらい夢を見てもいいよね……)

【館林明@不可解なぼくの全てを】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:生きて帰りたい
1:善逸くんと一緒に行動する
2:性別については、もう少しくらい夢を見てもいいよね……
[備考]
参戦時期はもぐもと和解して友達になり、一人称が変わったばかりの頃です

【我妻善逸@鬼滅の刃】
[状態]:健康、女体化
[装備]:我妻善逸の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:炭治郎達と一緒にこの殺し合いを終わらせる
1:めいちゃんを守る
2:早く男に戻りたい……
3:炭治郎達も居るなら合流する
4:禰豆子ちゃんは見つけ次第、保護する
[備考]
参戦時期は本編終了後
めいの性別に気付いてません

『NPC紹介』 【ゴブリン突撃部隊@遊戯王OCG】
元々は攻2300/守0のモンスター。常に下半身をギンギンにして参加者を襲うが、少人数で行動することも多く大群を率いてない限り大して強くない。守備力がかなり低いので武器さえあれば普通の参加者でも対処は可能かも?

『エロトラップ紹介』 【女体化川@エロトラップダンジョンロワ】
落ちると女体化してしまう、らんまのアレみたいな川。浅いので溺れることはないが、近付く者が何故か落ちてしまいがちな不思議な魔力がある
川の効果はただそれだけ。ただし近くにNPCが配置されているので下半身丸出しになった彼らが襲ってくる仕様


172 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/17(日) 21:51:49 LQ.Z8KFo0
投下終了です


173 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/17(日) 22:50:03 Od/Ak2cI0
投下します


174 : 小さき英雄、『英雄たちの父』と出会う ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/17(日) 22:51:10 Od/Ak2cI0
とある森の中で、一人の少女が叫んでいた。

「ヒエール・ジョコマン!アタシは絶対に、あんたの言いなりにはならない!この戦いを止めてみせる!」

その少女の名前は、南条光。

ヒーローにあこがれ、また人々の笑顔を何よりも愛する少女である。

その彼女が、怒りに燃えていた。

この殺し合いを始めたものに、怒りを燃やしていたのだ。

「…そういえばデイバッグというものが配られていたな。まずはそれを確認しよう。」

そうやってひとしきり叫んだからなのか少し落ち着きを取り戻した彼女は、自分に配られた支給品を確認することにした。

しかし支給品を確認しようとしたその時、突如として自分と同じように何かを叫んでいる男の声が聞こえてきた。

「……何だ、今の声は…?それにさっきの声、どこかで聞き覚えのあるような……?」

彼女はその声の主が何者なのか、そして自分と同じように主催者への怒りを燃やしている者なのかを確認するために支給品の確認を後回しにして、声の聞こえた場所へと向かっていった。

そしてそこで見たものとは……

------------------------
一方、南条とは別の場所……

「ハッハッハッハッハ!あのニンゲンも、なかなかやるなぁ、オイ!」

そこには左手で顔を覆いながら笑い続けている、奇妙な姿をした大男がいた。

その男の右半身はまるでギリシャ彫刻のような、端正な男性の姿をしていた。

それに対し左半身は鋭い牙と無数のとげが生えた、まるで悪魔を思わせる姿をしていた。

更に右手首には青白い稲妻を思わせる刃が、左手首には巨大な漆黒の鎌が生えていたのだ。

それはまさしく、『悪魔』というべき姿をした男だった。

「確かに余は女神のみならず無数のニンゲンと交わり、数え切れぬほどの英雄を生み出したとされている……それを考えれば、このような催しに呼ぶのも納得がいくものだなぁ!」

その男は、興奮していた。

それはほかならぬ、自分がこのような催しに呼ばれたことについてだった。

彼は、自分が無数の女と浮き名を流した存在であり、ヒエールがそのことを踏まえて自分をこのような催しに呼んだのだと結論付けていた。


175 : 小さき英雄、『英雄たちの父』と出会う ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/17(日) 22:51:47 Od/Ak2cI0
「しかし……余に力を示すでもなく、このような首輪を付けさせて参加させたこと……それが気に入らん!」
「ニンゲンが余に助力を申し出るならば……それ相応の誠意を見せるべきだろう、オイ!」

しかし彼は同時に憤っていた。

それは自分を勝手にこのような場に呼んだことについてだった。

「故にニンゲン!貴様はこの余、『魔神ゼウス』が直々に裁きを下してやろうぞ!」

そして彼は天を仰ぎながら、どこかで自分を見ているであろう主催者たちへと宣戦布告をしたのだった。

彼の名は『魔神ゼウス』、とある大地にて【母たち】と呼ばれる存在の意にそぐわなかったことにより封印された『悪魔』である。

「……さて、そこにいるヤツ…覗き見とはいい趣味だな!」

そうやって彼が宣戦布告を終わらせた後、自分の姿を覗き見ている南条光に向かってそう言ったのだ。

「……ああ、それは済まなかった…突然大きな声が聞こえてきたから、何事かと思ってきたんだ」
「アタシは南条光!ちびっこに夢を与える"ヒーロー"に憧れ、みんなに夢と勇気を与えることを願う"人間"だっ!!」

それに対して彼女は、少し申し訳なさそうな顔をしながら彼の前に姿を現し、自分の名とその信念を名乗った。

「ほう……『英雄(ヒーロー)』に憧れるか!ニンゲンの小娘にしては見所のあるやつだなぁ、オイ!」

そしてゼウスは、南条光のその名乗りを痛く気に入ったらしく笑いながら答えるのだった。

その後、ゼウスがひとしきり笑い終えたことを確認した彼女は、頭を下げながら彼にある頼みごとをした。

「いきなりで済まないがゼウスさん!アンタの力を見込んで頼みたいことがあるんだ!聞いてくれないか!」
「それは何だ?申してみよ、んん?」

ゼウスはそれを受けて、一切の動揺を見せることもなく彼女のその頼みごとについて聞くことにした。

南条光の頼み事、それは……


176 : 小さき英雄、『英雄たちの父』と出会う ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/17(日) 22:52:19 Od/Ak2cI0
「アタシは今、この戦いを共に打倒する仲間を集めている!そこで、アンタの力を借りたいんだ!」
「アタシはさっき、アンタがあの主催者に向かって宣戦布告をする姿を見た!だからきっと、この戦いを打倒するために動く……そう感じたんだ!」
「だから……アタシの仲間になってくれ!」

自分とともにこの戦いを打倒する仲間になってくれ、というものだった。

「ほう、自分の"仲魔"となり、ともに戦ってほしいと願うかニンゲン!……ならば、余に力を示せ」

それを受けてゼウスは、自分に力を示すのならばともに戦ってもよいと、そう答えたのだった。

「……"力を示せ"……?つまりそれって、アンタと戦えってことか?」

彼女はゼウスのその言葉に対して、自分と闘えと、そう言っているのかを念押しした。

「理解が速くて助かる、そういうことだニンゲン!余の助力を求めるならば、まずはお前の力を示せ!」
「……と言いたいところだが、お前は見たところ本当の"闘い"というものを知らぬ小娘であろう?違うか?」

彼女のその確認に対しゼウスは、まさしくその通りなのだが、今のお前にそれだけの実力があるようには見えないと、そう答えた。

「ああ……悔しいけれどアタシはまだ、"ヒーロー"に憧れるだけの子供で、今のアタシにこの戦いを止められるだけの力はないんだ……!」

それを受けて南条は、ごもっともだという事をとても悔しそうな表情で答えるのだった。

「故にお前に命ずる!この会場を巡り、力を付けよ!そして余が満足するような強者となれ!」
「これはその前準備だ!受け取れ!」

そしてゼウスは彼女に対し一つの命令を下し、自分のデイバッグの中に入っていた『答申が大きく湾曲した剣』を渡すのだった。

「……ゼウスさん、この剣は一体……?」

彼女が困惑しながらゼウスに尋ねると、彼は笑いながらこう答えた。

「その剣の名前は『斬鉄剣』という、いかなるものも切り裂くと言われる剣らしい!」
「遠慮はいらん!余にはこの、『ケラウノス』と『アダマスの鎌』がある!故にほかの武器など必要ないのだ!」

自分にはすでに、"自分が一番信じられる武器"があるからそれはお前にやると、そう答えたのだ。

「そうか……ありがとう!大事に使わせてもらうよ!」

彼のその言葉を受けた南条はそれに感謝し、先ほど彼が言った通り会場内を巡る旅へと出ることにした。

そして旅立とうとする彼女に対してゼウスはもう一つの命令を下した。それは……


177 : 小さき英雄、『英雄たちの父』と出会う ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/17(日) 22:52:44 Od/Ak2cI0
「ニンゲン!お前にもう一つ、命令する!」
「これより先、余を満足させるその時まで、勝手に死ぬことは許さん!」

『決して死なず、ここに戻ってくること』だった。

「……ああ!もちろんだ!」

彼女はその激励の言葉に対し、短くそして力強い言葉で答えるのだった……。


【南条光@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、目の前の存在(魔神ゼウス)の容姿と声に対する若干の疑問
[装備]:斬鉄剣@Final Fantasy XIV
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには絶対に乗らない。主催者に立ち向かう。
1:ともに主催者に立ち向かう仲間を探す。
2:目の前にいる男(魔神ゼウス)に力を示し、ともに戦う仲間になってほしい。
3:この『魔神ゼウス』は声といい姿といい、仮面ライダーに関係する奴なのか……?
[備考]
特撮キャラ及びその出典作品に関する知識を持っています。
どの程度の知識があるかは、後の書き手さんに任せます。
少なくとも、『仮面ライダー』シリーズに関する知識は持っています。


【魔神ゼウス@真・女神転生DEEP STRANGE JOURNEY(ディープストレンジジャーニー)】
[状態]:健康
[装備]:ケラウノス、アダマスの鎌
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:あのニンゲン(ヒエール)に裁きを下す。
1:あのニンゲン(ヒエール)は、直々に裁きを下す。
2:それまでは、強者との戦いを楽しむ。
3:もしこのニンゲン(南条光)が自分を満足できたならば、その時は力を貸すとしよう。
[備考]
制限により身体が約2メートルにまで小さくされています(出展作品だと、目測でも5メートル以上ある)。
またケラウノスとアダマスの鎌を没収できなかった関係上、支給品の数が減らされています。


【斬鉄剣@Final Fantasyシリーズ】
 出展作品に登場する召喚獣『オーディン』が持っている、刀身が湾曲した片手剣。

 使った場合は相手をほぼ一撃で仕留める力を持つ剣であり、一部の作品では『エクスカリバー』や
 『ラグナロク』などのように最強格の剣として扱われることもある。


【ケラウノス@真・女神転生DEEP STRANGE JOURNEY(ディープストレンジジャーニー)】
 魔神ゼウスの右手首に取り付けられている、青白い稲妻のような刃。

 原典であるギリシャ神話においてゼウスが振るう最強の武具であり『雷そのもの』であるとされる武器。

 出展作品では強大な稲妻を放ち、更に相手の防御力を4段階まで弱体化させてしまうという能力を持っている。

 なお魔神ゼウスの身体の一部となっているため、その分支給品の数を減らされるという制限をかけられている。


【アダマスの鎌@真・女神転生DEEP STRANGE JOURNEY(ディープストレンジジャーニー)】
 魔神ゼウスの左手首に取り付けられている、巨大な漆黒の鎌。

 原典であるギリシャ神話においてゼウスの父である農耕神、『クロノス』が振るったとされる巨大な鎌であり、
 これをもってクロノスは自らの父である天空神、『ウラヌス』を失墜させて神々の王になったと言われている。

 出展作品ではゼウスがテューポーン退治の際にケラウノスとともに振るった武器とされており、
 強力な一撃を加えるほか自身の攻撃力を2段階上げる効果を持っている。
 
 なお魔神ゼウスの身体の一部となっているため、その分支給品の数を減らされるという制限をかけられている。


178 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/17(日) 22:53:34 Od/Ak2cI0
投下終了です

完全に余談ですが、魔神ゼウスの見た目は一部で『ファ〇グジョー〇ー』とネタにされており、
最近だと『仮面ラ〇ダーリバイ〇ス』の≪バ〇ス≫と声優が同じため、そちらもネタにされてたりします。

以上、ありがとうございました。


179 : ◆OQfaQnysJI :2021/10/17(日) 23:17:49 FKm0Mj4w0
投下します


180 : がんばれお母さん ◆OQfaQnysJI :2021/10/17(日) 23:19:42 FKm0Mj4w0
会場の片隅に、恐怖で震える一人の女性の姿があった。
彼女は、とある田舎の町でパン屋を経営する女性だ。
便宜上、ここでは彼女のことを「ココアの母」と呼ぶことにする。

「私は……どうしたら……」

彼女は、まともに思考することができなくなっていた。
これまで平穏な人生を送ってきた女性が突然殺し合いに巻き込まれ、その上自分の娘達よりも幼い少女が無惨に死ぬ姿を見せられたのだ。
平静さを保てという方が無理であろう。

「とにかく、こんなところからは早く逃げないと……。
 何か、使えそうなものは……」

わらにもすがる思いで、彼女はカバンをあさる。
その結果出てきたのは、それなりの大きさがあるアタッシュケースだった。
カバンの中からケースが出てくるという事態に多少の違和感を覚えつつも、彼女はそれを開けてみる。

「何これ……」

彼女の顔が、みるみるうちに赤く染まっていく。
ケースに入っていたもの、それはあまりにも露出の多い衣服だった。
こんなものを着て出歩こうものなら、即座に警察のお世話になること間違いなしである。
だがこの「リビドークロス」なる衣服、単なる変態衣装ではないらしい。
付属していた説明書によると、人妻が着ることによって大きく身体能力を上昇させることができるとのことだ。

「つまり、これを着て戦えってことなの……?
 無理よ……こんな恥ずかしい格好するくらいなら、死んだ方が……。
 いや、死ぬよりはまだましかも……」

葛藤するココアの母。
その時、彼女の背後で小さな物音が響いた。

「誰かいるの!?」

即座に振り向くココアの母。
彼女の目に映ったのは、ゴキブリを擬人化したような不気味な怪物の姿だった。

「いやぁぁぁぁぁ!!」

ホラー映画から飛び出してきたような異形を目の当たりにして、彼女がわずかに取り戻していた冷静さも再び失われてしまった。
リビドークロスのことも頭から抜け落ち、脇目も振らずに逃げだそうとする。
だがあまりの恐怖に腰が抜けてしまい、まともに移動することもままならない。

「来ないで! 来ないでぇぇぇ!!」
「じょうじ……」

ココアの母の必死の叫びを意に介さず、ゴキブリ男はじわじわと距離を詰めていく。
しかもその数は1体ではなく、闇の中からさらに複数の個体が姿を現した。
迫り来る恐怖にココアの母が意識を手放しかけたその時、彼女を救う者がその場に現れた。

「はああああ!!」

気合いの声と共に駆けつけたのは、眼鏡をかけた大柄な女性だった。
その手には、本人の身の丈ほどもある巨大な黒い刀が握られている。
走りながら刀を構えた女性は、軽々とそれを振り抜く。
ゴキブリ男はそれに反応することすらできず、あっけなく首を跳ね飛ばされた。

「じょうじ! じょうじぃ!」

仲間を殺された残りのゴキブリ男たちは恐れをなし、一目散に逃げていく。

「助かった……の……?」
「大丈夫ですか、ご婦人」

急展開についていけず呆然とするココアの母に、刀を持った女性が声をかける。

「はい、大丈夫です……。ありがとうございます……」

ココアの母は、改めて恩人の姿を確認する。
決して若くはないが、同性でも見惚れるような美人だ。
だがその顔以上に目を引くのが、彼女の服装であった。
その衣服は、乱暴に言えば「体にぴっちり貼りついた裸エプロン」。
正直、卑猥と言うほかない。

「あの……その格好は……」
「え? これは仕事着ですけど」
「そうなんですか……」

恩人に対して、それ以上何も言えないココアの母であった。


181 : がんばれお母さん ◆OQfaQnysJI :2021/10/17(日) 23:20:45 FKm0Mj4w0


【ココアの母@ご注文はうさぎですか?】
[状態]精神不安定
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、リビドークロス「Kidnapper」@淫獄団地、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:バトルロワイアルから脱出する


【武器屋カトレア@クイーンズブレイド】
[状態]健康
[装備]黒刀「夜」@ONE PIECE
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いにあらがう


『支給品紹介』
【リビドークロス「Kidnapper」@淫獄団地】
人妻の欲望を増幅し、暴走させる「リビドークロス」の一つ。
捕獲特化型であり、手首からワイヤー付きの手錠を発射して対象を捕縛することができる。
それ以外の武装はないが、鎖分銅の要領で手錠を打撃に使ったり、ワイヤー部分で締め上げたりといった形で攻撃を行うことは可能。
弱点としてワイヤーがその細さゆえに切断に弱く、市販のペンチで切断できるほどの強度しかない。
本ロワでは、人妻であれば誰でも装備可能。
使用者がクロスに対応する欲望を抱いていなければ、暴走することはない。


【黒刀「夜」@ONE PIECE】
世界最強の剣士であるミホークが愛用する、巨大な刀。
作品世界内における刀剣の最高ランクである「最上大業物」の一振りに数えられている。


『NPC紹介』
【エロフォーマー@今日のテラフォーマーズはお休みです】
異常進化したゴキブリである「テラフォーマー」が、スケベな人間の遺伝子を取り込むことで生まれてしまった亜種。
人間の女性に強い興味を持つが同時に臆病でもあり、無抵抗の女性を取り囲んでも胸を揉む程度しかできない。
いちおう、身体能力や知能は本家と同レベルと思われる。


182 : ◆OQfaQnysJI :2021/10/17(日) 23:21:42 FKm0Mj4w0
投下終了です


183 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/18(月) 09:40:50 OK/aA1L.0
只今より、コンペロワに投下した作品に加筆修正を加えましたものを2作品連続投下させていただきます。


184 : 日米スピードスター対決! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/18(月) 09:42:04 OK/aA1L.0
そこかしこで血生臭い殺し合いの前哨戦が巻き起こりつつあるバトル・ロワイアル会場。
そこに……旋風が巻き起こっていた。

他の参加者の目には止まらぬ程の速さで会場各地を駆け巡る、二つの赤と黄色の旋風。

ビデオカメラで撮影してスロー再生しても、ぼんやりとした赤い影にしか見えないだろう。
それほどのスピードだ。

途中で会場各地に仕掛けられているエロトラップにかかることも何度かあったのだが……トラップが発動するよりも速く通り過ぎてしまうために、事実上エロトラップにはまる事は一切無かった。

北へ南へ、東へ西へ。

会場内を一通り一周し終えて……二つの赤い旋風は動きを止めた。

旋風が治まった時、そこには2人の人物が立っていた。

一人は黄色い大きなボタンが着いた赤い服を着て、端が地面につく程長い黄色いマフラーを首に巻いた十代後半程の栗色の髪の日本人少年。

もう一人は胸元に稲妻のシンボルが着いた赤いジャンプスーツを着用し、顔を口元が露出するタイプのマスクで覆い隠した白人男性。

『……』

二人の赤い男は静かに視線を交わす。

「……同着、かな?」
「……そうみたいだね」

二人の赤い男はどちらともなく、笑いだした。
一対一の真剣勝負を終え、相手の力量を確認した戦士がするような笑みだ。

「しかし凄いなぁ、君は。『地上最速の男』である僕と同じ速さで走れる男が、日本にいるなんて……驚きだよ」
「いやぁ〜そんな……」

マスクの男に誉められ、少年は照れ臭そうに頭を掻いた。

「僕は加速装置内蔵式のサイボーグだから……改造されてない生身の体で、あれだけのスピードで走れる君の方が凄いよ」
「そうかい?ハハハ!」

謙遜するような少年の言葉に、今度はマスクの男性が照れ臭そうに笑いだした。

「……そう言えば、まだちゃんと名乗ってなかったね」

マスクの男性はおもむろに自身のマスクを外した。
マスクの下から出てきたのは、20代半ば程の金髪の白人青年の顔だった。

「僕の名前はバリー・アレン。仲間からは『フラッシュ』って呼ばれてる」

自己紹介をしながら、マスクの男性……バリーは右手を差し出した。

「……僕は島村ジョー。仲間からは『009』って呼ばれているよ」

少年……ジョーも自己紹介しながら差し出された手を握り返し、二人のスピードスターは固く握手を交わしたのだった。

「……『009』?ジェームズ・ボンドみたいだね」
「……『フラッシュ(閃光)』なんて呼び名も安直だと思うけどね」
『ハハハハハハ!!』

既に二人は軽口が叩き合える程仲良くなっていた。
その姿は、さながら長年に渡る親友のようだった。



【島村ジョー(009)@サイボーグ009】
[状態]:健康
[装備]:サイボーグ戦闘服@サイボーグ009
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:参加者を救い、会場から脱出する
1:バリーと協力して仲間を集める
2:他のゼロゼロナンバーサイボーグがいるのなら、合流する
[備考]
平成テレビシリーズからの参戦。
サイボーグ戦闘服は支給品ではありません。


185 : 日米スピードスター対決! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/18(月) 09:42:52 OK/aA1L.0
【バリー・アレン(フラッシュ)@The FLASH/フラッシュ(ドラマ)】
[状態]:健康
[装備]:フラッシュスーツ@The FLASH/フラッシュ
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:ジョーと協力して仲間を集める
2:STARラボの仲間がいるなら合流する
[備考]
ファースト・シーズンからの参戦。
フラッシュスーツは支給品ではありません。


【サイボーグ戦闘服@サイボーグ009】
009/島村ジョーを初めとするゼロゼロナンバーサイボーグ達が戦闘時に着用しているお揃いのスーツ。
大きな黄色いボタンのついた赤い上下の服と黒いブーツ、立った時に地面に届く程長い黄色いマフラーで構成されており、銃弾が当たってもびくともしない防御力を持つ。

【フラッシュスーツ@The FLASH/フラッシュ】
バリー・アレンがフラッシュとして活動する際に着用している深紅のジャンプスーツ。
元々はバリーの仲間の一人であるS.T.A.R.(スター)ラボの科学者シスコ・ラモンが消防士用に開発した耐熱・耐摩擦スーツ。
胸にある稲妻のシンボルはバリーが着用するようになった後にシスコが付け加えた。
作中本編では幾度か破損・焼失しており、The FLASH/フラッシュのシーズンが進むごとに外見がマイナーチェンジしていく。
このロワでのバリーの参戦時期はシーズン1の為、スーツの外見もそれに準ずるものとする。


186 : 水中決闘!仮面ライダーXVSアクアマン ◆4kMBNI9QkE :2021/10/18(月) 09:44:04 OK/aA1L.0
どんなバトルロワイアルも、大抵の場合は『絶海の孤島』で行われる(一部例外あり)。
しかし、全てのエリアが『陸地』とは限らない。
中には海に面する、または湖のど真ん中に位置するエリアも存在するのだ……。

☆☆☆

会場内に存在するとある湖の水面下。
濁った水で覆われ、魚と水草ばかりが存在する水中で……二つの人影がぶつかりあっていた。

1人は、銀の仮面に黒マフラー、額に輝くVとV。
黒い手袋、赤い胸……
人類の自由と平和の為に戦う『仮面ライダー』の一人である深海開発用改造人間『仮面ライダーX』!

対するのは、
髭と髪を長く伸ばし、
黄金色に輝く魚鱗柄の鎧を纏った筋骨隆々とした威丈夫……海底王国アトランティスの女王と地上の灯台守との混血児『アクアマン』!

「ウオォォォォ!」
「トリヤアアアア!!」

アクアマンが愛用の矛を振り下ろすと、Xライダーは自身の愛用武器であるライドルスティックでそれを受け止める。

「ウオリヤアアアア!!」

しかしアクアマンは矛にかける力を緩めず、矛を受け止めるライドルスティックに向けて渾身の力をかける。

原子力潜水艦もあっという間に浮上させる程の力を込められ、Xライダーの体はもの凄い速さで湖底へと沈んでいき、あわや湖底の泥の中に打ち付けられんとする……だが、Xライダーも負けてはいない。

「ライドルロープ!」

グリップのボタンを操作し、ライドルをスティックからロープに変化させると、そのままアクアマンの矛を絡めとったのだ。

「なにぃ!?」
「Xキック!」


187 : 水中決闘!仮面ライダーXVSアクアマン ◆4kMBNI9QkE :2021/10/18(月) 09:44:54 OK/aA1L.0
アクアマンの腹部にXライダーの蹴りが入り、アクアマンの体が大きく吹き飛ばされる。

しかしアクアマンは両足に力を込めて踏ん張ると、Xライダーから5メートル離れた水中に制止した。

「やってくれたなぁ!」

アクアマンは近くを泳ぐ魚達に向けてテレパシーを送る。
すると、それまでXライダーとアクアマンの戦いを無視して水中を思い思いに泳いでいた魚や虫や両生類の一部が、
まるで王に仕える近衛騎士団のように勇ましく、
アクアマンを攻撃しているXライダーに向かって行ったのだ。

「うわっ!?こ、この!?」

コイやナマズに尾鰭で顔を叩かれ、
猛スピードで泳ぐザリガニやタガメに体当たりされ、
イモリやサンショウウオやドジョウの大軍にぬるぬると纏われつかれては、さしもの歴戦の戦士たるXライダーもたじたじであった。

「……ライドルホイップ!」

Xライダーはグリップのボタンを操作して、ライドルを細剣のホイップ形態に変化させると、自身に纏わりつく魚や両生類達を切り裂いていくが、魚の数は減らないどころか徐々に増えていくばかりだった。

「ウオォォォォ!!」

Xライダーが魚達に纏わりつかれる隙を突き、アクアマンは矛を構えて猛スピードで突っ込んでいく。

「……はっ!オリャアアア!!」

アクアマンの突進に気づいたXライダーはライドルホイップを振るった。

そして二人の戦士の武器が交差した……。

『……』

アクアマンの矛とXライダーのライドルホイップの切っ先は、それぞれ相手の喉元の部分で止まっていた。

しばし二人は視線を交わした後……静かに武器の構えを解いた。

「……お前、中々やるじゃねぇか」

アクアマンは不敵な笑みを浮かべながらXライダーを賞賛した。

「あぁ……アンタも生身の割にやるじゃないか」

Xライダーもアクアマンの実力に感服し、右手を差し出す。

二人の海の戦士は、他に魚と水棲昆虫と両生類しかいない湖の水中で、固く握手を交わしたのだった。


188 : 水中決闘!仮面ライダーXVSアクアマン ◆4kMBNI9QkE :2021/10/18(月) 09:45:26 OK/aA1L.0
【神敬介(仮面ライダーX)@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康、仮面ライダーXに変身中、一勝負終えて清々しい気分
[装備]:ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]
基本:参加者を助け、会場から脱出する
1:アクアマンと協力して仲間を集める
2:生身の癖に、やるなコイツ……
3:他の仮面ライダーもいるなら合流する
[備考]
無印単行本第15巻当たりからの参戦です。
ライドルは変身と同時に出現するので、支給品ではありません。
支給品を入れたバッグは完全防水なので、支給品が水に浸かって使用不能になる事はありません。

【アーサー・カリー(アクアマン)@DCエクステンデッド・ユニバース】
[状態]:健康、一勝負終えて清々しい気分
[装備]:アトラン王の鎧@DCエクステンデッド・ユニバース、アトランナの矛@DCエクステンデッド・ユニバース
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:仮面ライダーXと協力して、仲間を集める
2:コイツ(仮面ライダーX)、やるじゃねぇか!
[備考]
単独映画『アクアマン』後からの参戦です。
鎧は支給品ではありません。
支給品を入れたバッグは完全防水なので、支給品が水に浸かって使用不能になる事はありません。


【ライドル@仮面ライダーSPIRITS】
仮面ライダーXの基本武器。
普段はXライダーのベルトにグリップ部だけを出した状態で収納されている。
グリップ部のボタン操作で、
ホイップ(細身の剣)、
スティック(両端に握りのある長さ1.5メートル程の棒)
ロープ(縄。鞭としても使用可能)
ロングポール(最大10メートルの長さがある高跳び用のような棒)
に変形する。
例え破壊されても、
グリップ部が残っていれば、ベルトに収納する事により修復可能。

【アトランナの矛@DCエクステンデッド・ユニバース】
アクアマンことアーサー・カリーの母『アトランナ』が使用していた五つ又の矛。
現在はアクアマンの愛用武器となっている。
単独映画『アクアマン』において、アクアマンの父親違いの兄弟との最初の決闘で破壊された。

【アトラン王の鎧@DCエクステンデッド・ユニバース】
アトランティス初代国王・アトランが着ていた鎧。
黄金色に輝く魚鱗柄の上半身と緑色の下半身で構成されている。
単独映画『アクアマン』で、アクアマンがアトラン王のトライデントを手にした時に同時に入手したもので、原作コミックスにおけるアクアマンのコスチュームに似ている。

【魚@現実】
会場内の水辺にいるNPC達。
基本的に全て日本またはアジア地域の淡水域に生息している魚類。
『魚』と表記してはいるが、甲殻類、水棲昆虫、両生類などの魚類以外の淡水棲生物も含まれる。
アクアマンは魚類を初めとする水棲生物をテレパシーで操る事ができるので、会場内に配置されている水棲生物は全てアクアマンの味方と言っても良い。


189 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/18(月) 09:46:14 OK/aA1L.0
以上、連続投下を終了します。


190 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/18(月) 16:17:53 413N5.Cs0
投下します。


191 : とある母親と銃撃記憶 ◆U1VklSXLBs :2021/10/18(月) 16:18:35 413N5.Cs0
会場内にある小さな診療所にて、一つの惨劇が幕を開けていた。1人の女性が、参加者の1人に暴行を加えられているのだ。もっとも、それを咎める者はいない。女性は両手を3人掛けの椅子の足に手錠で繋がれている。口には自身の下着が押し込まれ、助けを呼ぶことすらできない。

暴行を加えている男、仮に"入れ替わった容疑者"と呼ぼう。イタリアで警官に護送されていた彼は、突如眠気に襲われ、目が覚めると警官と身体が入れ替わっていたのだ。自由と新しい身分を得た直後、この場に招かれた。

催しの趣旨は好みだが、自分が死ぬのは御免だ。そう思いながらを支給品を確かめてようとした彼は、拳銃と手錠を身につけたままであることに気づいた。さらに同じ場所には別の参加者がいて、これがショートヘアの若い女。デイバックより先に、男は目覚めていない彼女を調べることにした。息を荒げながら彼女を手錠で拘束、デイバックを遠ざけ、準備は整った、という訳だ。

「誰だか知らないが、最高だったよ。あんたのカバンはもらっといてやるぜ、アモーレ♪」

男は行為を済ませると制服のズボンをあげ、女を見下ろしながらベルトを締める。非常に名残惜しいが、この会場から生きて出なくてはならない。呻き声をあげる女から離れて、男は支給品を確認する。女のものらしいデイバックの中に、気になるものがあった。バックルとライターのような物体だ。

説明書がついており、その通りに操作した男の姿が変わる。大型の拳銃を装備した青色の怪人。女の支給品から見つけたロストドライバーとメモリによって変化した、「仮面ライダートリガー」である。呆れるほどの幸運が続き、男のテンションはいよいよ最高潮に達する。

「気が変わったよ!あんたの荷物はこれ以外は手をつけないでおいてやる。明日になったら様子を見にくるから、脱出するなり俺を待つなり、好きにしてな」

女のデイバックを彼女の足元まで動かすと、男は診療所を脱出した。コミックヒーローの如く変身した男は、試し撃ちがしたくて仕方がない。彼は鼻歌を歌いながら進む。途中で不動産屋が1階に入っているテナントビルを見つけ、中を探索するも誰にも遭遇せず、2階を調べ終えた時点で切り上げ、男は窓から飛び降りるも無傷だった。

やがて左右の家並みが途切れ、海岸前の道路に出た。目の前に広がる海を眺める男の前に、鳥のような翼と爪を持った美女達が現れた。

「へぇ、女のモンスターとは面白そうだ!ちょっとだけ相手してやるぜ!」

男が啖呵を切った直後、変身が解ける。診療所をからずっと変身したままでいた為だ。パニックになってメモリを再装填しても反応しない。男に急降下する美女達の爪が殺到する。やがて押し倒され、男の陵辱が始まった。その顔面に1体のハーピィが騎乗し、その衝撃によって首輪が起動。男の首と、顔面に騎乗していたハーピィの局部を爆破した。

【魂が入れ替わった容疑者@ジョジョの奇妙な冒険 part5 死亡】
【速杉 サクラ@新幹線変形ロボ シンカリオン
THE ANIMATION 拘束中】


男の死から10分弱経過した頃、海岸近くの路上に1人の若い女性が現れた。白いYシャツに黒パンツのシンプル極まりないコーディネートだが、彼女はそれで十分人目を惹きつけることができた。少女のようですらある可憐な顔立ちに、シャツの上からでも把握できる豊かな乳房と磨き上げられたプロポーション。

しかし女性、御坂美鈴は中学生の娘を持つ母親である。この度、承諾も無しにこの殺し合いに放り込まれた。見ず知らずの少女の最期もそうだが、あの赤と黄緑の服を着た男の宣告が美鈴を不快にさせた。女性である彼女の場合、ただ殺されるだけでは済まないのだ。NPCもそうだが、男性参加者には警戒しなければならない。

(全員が全員、やる気になってるとは思いたくないけど…)

美鈴が目覚めたのは、海岸沿いの民家。置かれた状況に落ち込んでいた彼女は首輪の爆発音を聞くと、デイバックを手に窓から様子を伺い、ハーピィ達が去った後、少し時間を置いて、他の参加者が近くにいないと判断。

意を決して外に出た美鈴を襲う者はない。ハーピィ達が群がっていたまで辿り着くと、彼女は男の死体を発見した。静かに遺体に手を合わせた美鈴は、近くに転がっているバックルとメモリ、デイバックを手に取った。


192 : とある母親と銃撃記憶 ◆U1VklSXLBs :2021/10/18(月) 16:19:25 413N5.Cs0
【御坂美鈴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×3、ロストドライバー、トリガーメモリ、男の荷物(基本支給品一式、不明支給品×3)
[思考]
基本:会場からの脱出
1:なんかあったら、パパと娘に顔向けできないでしょうが!
2:これは?
3:申し訳ありません、荷物は使わせてもらいます…。
[備考]
※ 会場内の病院に、速杉 サクラが拘束されています。次回登場時の生死は、後続の書き手さんにお任せします。


【支給品紹介】
【ロストドライバー@仮面ライダーW】
バックル部分にガイアメモリを装填する事で、仮面ライダーに変身できるベルト。メモリスロットは右側に一つのタイプで、メモリ1本分の特性を発揮する。普段はバックル部分のみで、腹部にあてることで、ベルト部分が伸長、装着される。

【T2トリガーメモリ@仮面ライダーW】
銃撃者の記憶を内包した、射撃攻撃力をもたらすメモリ。上記のドライバーと共に使用する事で対象を強化変身させ、高い射撃技術と共に専用武器の大型銃"トリガーマグナム"を生成・装備させる。風都にばら撒かれた後、テロ組織"NEVER"が入手した物と同型の品。より強く適合する者を求め、スロット処置無しで人体に入り込み怪人"ドーパント"へ変身させる性質がある。


『NPC紹介』
【ハーピィ・レディ@遊戯王】
人に羽の生えたけもの。美しく華麗に舞い、鋭く攻撃する。


193 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/18(月) 16:19:48 413N5.Cs0
投下終了です。


194 : ◆.EKyuDaHEo :2021/10/18(月) 19:26:08 l2Mvv.X.0
投下します


195 : 災難な風間くんだゾ ◆.EKyuDaHEo :2021/10/18(月) 19:26:54 l2Mvv.X.0
「何処だろう...ここ...僕はしんのすけ達とかすかべ防衛隊の会議をしていたはずじゃ...?」

一人の少年、風間トオルは今の状況に困惑していた、目を覚ますと手足の長い男がバトル・ロワイアルというのを開催と断言していた、最初は『ただの』ゲームなのかと思っていた...しかし、画面に映し出された少女が悲惨な姿になっているのを見て誰もが納得するであろうそれは『リアル』なゲームだった...

「うっ...思い出したら気持ち悪くなってきた...」

様々な修羅場をくぐり抜けた風間でも実際は幼稚園児、映し出された光景はさすがに見るに堪えない光景だった

「とりあえずこれからどうしたらいいんだろう...僕がいるってことは皆も連れてこられてるのかな」

風間の言う『皆』とは、風間と同じかすかべ防衛隊のメンバー、『野原しんのすけ』、『佐藤マサオ』、『桜田ネネ』、『ボーちゃん』のことだ
自分が巻き込まれているということは他のメンバーが巻き込まれていても不思議ではないと考える風間、今までもかすかべ防衛隊皆で事件に巻き込まれたこともあれば皆で力を合わせて強敵に立ち向かうことだってあった

「とにかく、困った時は誰か頼りになる大人に相談しなさいっていつも幼稚園で教わってたから誰か探そう...懐中電灯は...あ、あった」

誰か頼りになる大人を探すため風間は歩き始めた




────




とある場所では三人の少女が集まっていた

「これからどうしましょうか...」
「とりあえず協力してくれる人を探した方がいいかな?かな?」
「まぁそれしかなさそうね...」

右目が翡翠、左目が紅玉のオッドアイで金髪の少女『高町ヴィヴィオ』、橙色に近い茶髪と青色の瞳を持つ少女『竜宮レナ』、桃色がかったブロンドの長髪と鳶色の瞳を持つ『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』
彼女達はこの会場に転送された後直ぐ会った、最初はお互い警戒しあっていたが話している内に殺し合いに乗ってないということが分かり三人で行動していた

「それにしても下品なトラップがあるなんて...あの主催悪趣味すぎるわね」
「そうですね、それに平気で人を殺して...許せないです...!」

主催に対してルイズは呆れ、ヴィヴィオは怒りを露にしていた...その時...

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「「「!?」」」

三人の近くで悲鳴が聞こえてきた

「い、今の悲鳴は...?」
「何かな?かな?」
「とりあえず行ってみましょ」

三人は悲鳴の正体を確かめるため悲鳴が聞こえた方面に向かった

「こっちから聞こえたわね」

しばらく進み辺りを見渡すと人影が見えた
さらに近づき咄嗟にヴィヴィオが声を掛ける

「大丈夫です...か...?」

しかしそこにいたのはヴィヴィオ達より明らかに幼く、全裸になっていた一人の少年がいた...


196 : 災難な風間くんだゾ ◆.EKyuDaHEo :2021/10/18(月) 19:28:14 l2Mvv.X.0
────




遡ること三分前

「懐中電灯があっても暗くて良く見えないなぁ...」

風間は頼りになる人を探すため歩き続けていた

「そういえばあの変な人が『トラップもあるから気を付けて』って言ってたっけ...?」

変な人とは主催(ヒエール)のことだろう
そう、この会場では様々なトラップが仕掛けられている

「だとしたら気を付けなくちゃ...でも暗くて分かりづらいな...」

懐中電灯があるとはいえ今は深夜...懐中電灯だけでは照らしてくれる幅はそんなにない
その時...










───カチッ───










「ん?今変な音が...」

歩いている最中にカチッという音がした...とその瞬間!

ボフン!!
「うわ!?」

突如風間の周りに煙が吹き出した

「何だこれ...!?まさかこれがトラップ!?」

そして徐々に煙が薄くなっていきやがて晴れた

「本当に僕ついてないな...でも特に何の仕掛けもなさそうだけど...」

風間はトラップを踏んでしまったことに不幸だと思ったが何も起きなかった...しかし何かがおかしかった

「何だかやけに寒いな...」

さっきとはうって変わってやけに肌寒く思った...何かおかしいと思った風間は自分の体を見る、そこには...

「え...?」

何故か自分の着ていた服がパンツもろとも全部消えており下半身には風間のぞうさんが出ていた、いわゆる全裸状態だ

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!?///」

急な出来事に風間は悲鳴を上げた

「な、何で僕裸になってるんだ!?ぼ、僕の服は!?」

突然服が消えたことに風間は焦り出す、しかし風間には心当たりがあった

「も、もしかして...僕がトラップを踏んだから...?」

普段の風間ならこんなふざけたことにツッコんでいるだろうが今はそれどころでない

「ど、どうしよう...これじゃあ恥ずかしくて誰にも会えないじゃないか...!」

頼りになる人を探していた風間にとって最悪の出来事だった...しかしここで風間はハッとする

「そ、そうだ!このバックの中に何か代わりの服入ってないかな?」

デイバックの中に服が入っているかもしれないと思った風間はデイバックの中身を漁った

「...ダメだ...何も入ってない...」

しかし願いも叶わず、デイバックには衣服は何も入ってなかった、他に武器のようなものは何個か入ってたが今の風間にはどうでも良かった

「あぁこれからどうすればいいんだ〜〜!!」

今の自分は全裸、両親も友達もいるか分からないこの場で一体どうしたらいいのか...風間は絶望でしかなかった...しかし、更なる絶望を味わうことを風間はまだ知らなかった...そしてそれは突然起きた


197 : 災難な風間くんだゾ ◆.EKyuDaHEo :2021/10/18(月) 19:28:40 l2Mvv.X.0

「こっちの方から聞こえたわね」

それは少女の声であった、その声を聞いた風間は心身固まった

「大丈夫です...か...?」

振り返ると三人の少女が風間のことを見ていた、この時風間は絶望におちていた...



────




そして今に至る、今の状況に両方とも唖然としていた...やがて...

「きゃあぁぁぁ!?///」
「あ、あんた何で全裸なのよ!?///」
「ち、違います!!これには訳があって!!///」

というやり取りを行った...いくら幼稚園児とはいえ異性の裸を見るのは抵抗があったようだ
しかし一人だけ反応が違うものがいた

「はう〜、かあいいよ〜!お持ち帰り〜!」
「う、うわぁ〜!?何ですか!?///」
「ちょ、レナ!落ち着きなさいって!」

突如レナが風間を抱きしめようとしたがルイズが咄嗟にそれを制御した

「ね、ねぇ君...お名前は?」
「か、風間トオルです...」
「風間君だね、えっと...こんなこと聞くのも変かもしれないけど...何で裸になってるのかな...?」
「...実はそれには訳があって...///」

ヴィヴィオが風間に質問し、風間はさっきまでの出来事を一部始終説明した

「なるほどね、つまりトオルはトラップに引っ掛かって全裸になったってわけね...あまり信じたくない話だけど」
「僕だって信じたくないですよ...でもトラップを踏んだ瞬間に服がいつの間にか消えてて...」
「そういえば主催の人がトラップがあるって言ってましたね」
「トオル君も大変だね?だね?」
(とりあえず理解してくれて良かった...いや裸見られてるから全然良くないけど)

風間が説明し終わると三人は何とか風間の身に何が起きたのか理解していた、それを見た風間は安堵したが裸を見られたことに関しては屈辱的に思っていた、その時ヴィヴィオが風間にある提案を出した

「ねぇ風間君、良かったら私達と一緒に行動しない?」
「え!?で、でも僕今裸ですし...」
「確かに最初は驚いたけど仕方ないことだからね、それに一人じゃ心細いでしょ?服も一緒に変わりになるもの探してあげるからよ!ルイズさんとレナさんもそれでいいですか?」
「私は全然歓迎だよ!だよ!」
「はぁ、しょうがないわね...このまま放っておくのもあまり良い気分しないし...ただし!変なことしたら許さないわよ!」
「ほら、二人もいいって言ってるから、遠慮しなくて大丈夫だよ!」
「...あ、ありがとうございます...!」

こうして風間は三人と共に行動することになった
あの時トラップに引っ掛かり大声をあげていなかったら気づかれてないことを考えると不幸中の幸いなのかもしれない...


198 : 災難な風間くんだゾ ◆.EKyuDaHEo :2021/10/18(月) 19:28:51 l2Mvv.X.0
【風間トオル@クレヨンしんちゃん】
[状態]健康、精神的ダメージ(中)、全裸
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:服が欲しい
1:僕本当についてないな...
2:恥ずかしいけど三人(ヴィヴィオ、レナ、ルイズ)と行動する
[備考]
※映画の出来事を経験しています
※支給品は目を通しただけです(支給品については次の書き手に任せます)
※殺し合いについては理解できてますが性的なことに関しては全く知識がありません

【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはvivid】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いに乗らずここから脱出する
1:二人(ルイズ、レナ)と行動し、風間くんを保護する
2:主催の人は絶対に許さない
[備考]
※参戦時期は本編終了後

【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:こんな殺し合いには乗らない
1:全く悪趣味な奴ね...
2:何で全裸なのよ!///
3:二人(ヴィヴィオ、レナ)と行動し、トオルを仕方なく保護する
[備考]
※魔法などの能力制限するかどうかは次の書き手に任せます

【竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に業】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本行動方針:皆で協力して生き残る
1:はう〜トオル君かぁいいよ〜
2:二人(ヴィヴィオ、ルイズ)と行動し、トオル君を保護する


199 : ◆.EKyuDaHEo :2021/10/18(月) 19:29:08 l2Mvv.X.0
投下終了します


200 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/18(月) 21:27:26 68WqOl/60
投下します。


201 : ヴァンパイアみっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/18(月) 21:28:09 68WqOl/60
学芸員ーーーーー日本の博物館法に定められた博物館における専門的職員および、その職に就くための国家資格のことである。
Wikipediaより引用。

第一章 ヴァンパイアと人間

「ギェッ!?」「ガパァァァ!?」「ギャピィィィ!?」

―――ザシュッ!ザシュ!!ザシュ!!!

―――鋭い爪がゴブリン達を切り裂く。

ゴブリン達はなんとか反撃が出来ないかと企んでいるが、スピード・パワー共に相手に敵わない。

『バ……バカなァァァ!?ゴブリンの中でも一を誇る選抜隊のオレ達がァァァ!?』
驚愕の表情を抑えきれないのはゴブリンの種族の中でも、勇猛果敢さで有名な”ゴブリン切り込み部隊”

―――彼らの瞬発力には並の冒険者やモンスターでは敵わない。
―――だが。
―――相手が悪かった

―――ザシュッ!ザシュ!!ザシュ!!!

―――彼らは瞬く間に切裂かれて死を迎えた
―――そして、静寂が訪れ……

「お〜〜……綺麗にズバッと斬られている。凄いね!綺羅々ちゃん」
ゴブリンの死体を興味津々そうに眺める女性。

女性の名は清棲あかり。

かなでの森博物館の鳥類・ほ乳類担当にして、若くして次々とユニークな論文を発表する新進気鋭の研究者。

「だぁ――――!あのなぁ……先生。だから、私を下の名前で呼ぶなって何度もいってんだろ!」

あかりの言葉に辟易した表情で訂正するのは―――
ドンキにでもいそーなコッテコテなヤンキー女。(七原の偏見です。筆者は関係ありません)
女の名は立花綺羅々。

噴火した富士山の火山灰を浴びてヴァンパイアの力を得た
「それにしても、こんな生き物に興味を抱くなんて、先生もスキモノだな」
(このゴブリン?とかいう気持ち悪い生物。全然モフリたいとも思えねぇ……)
目をキラキラと輝かせてゴブリンの死体を見聞しているあかりに綺羅々は引いている。

「うん、研究者として”知りたい”は大事なことだからね」
呆れる綺羅々にあかりはニッと笑みを返す。

「はぁ……たく、こんな状況なのに呑気な先生だ……」
(参加者でもないのに……これも驚異の部屋に繋がるってわけか)
あかりの返答に綺羅々はぽりぽりと頭を掻く。

「……」
(だけど、そんな先生にアタシは救われた……)
そう呟くと、綺羅々は想起する……

☆彡 ☆彡 ☆彡


202 : ヴァンパイアみっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/18(月) 21:28:38 68WqOl/60
第二章 へんなものみっけ

―――て……
―――全て……消えてく……私の前から……
―――どうして誰も守れねぇ……
―――弱いからかよ……
―――私も……消えちまいてぇ……!

「〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

―――ん?
―――誰かの……声?一体……誰の……

「貴方は私が消させない!絶対に助けるわ!!!」
―――意識が戻ると、見知らぬ女性が目の前にいた。

「ッ!?あんた一体何を……」
(クソッ!私としたことが気を失うなんてッ!)

意識を取り戻した綺羅々は、見知らぬ女性が自身の身体に触れていたため、威嚇しようとするが―――

「目が覚めたのね!悪いけど、ちょっと静かにしていてッ!動くと治る者も治らないわッ!」

「あ、ああ……わかったよ」
(何だぁ……この私が飲まれるだと!?)
空手の総体にも出た実力であるにも関わらず、綺羅々は見知らぬ女性の迫力に押された。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……よし!これで一通りの怪我は大丈夫かな?」
綺羅々への応急処置を終えるとあかりは安堵した表情で見つめる。

「あ、ああ……あんたは医者か何かなのか……?」
余りの怪我の処置の手際の良さに立花の脳裏に浮かぶのは”医者”という職業と”先生”と呼ばれているヴァンパイア。

「医者?……ううん。私は博物館で働いている研究者だよ!」
―――そして

「私の名前は清棲あかり。よろしくね!」
女性はニッと笑顔で自己紹介をした。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「え!?それじゃあ、やっぱり綺羅々ちゃんは知らないの?」
「下の名前はよしてくれ……ああ、気を失っていたから」
そう、綺羅々が男(ヒエール・ジョコマン)に呼び出されたのは、丁度七原の最終奥義である最終加速(ファイナルウルフ)を直に直撃して変身を解いた瞬間で話を碌に聞いてはいなかったのだ。

「うん……実はね」
あかりは、これから話す内容が内容だけに落ち込む顔色で綺羅々に説明する。

―――かくかくしかじか

「はぁ、何なんだ!そのふざけた男は!!!」
綺羅々は部屋に集められていたときの状況を聞くと、みるみると険しい顔になる。

「しかも、”デスアクメ”だぁ!?女を何だとおもってやがるんだ!?ざっけやがって!!!」
特に幼い女の子が見るも無残な死を迎えたのには、怒りを通り越して、ヴァンパイアの姿へと変身するほどだ。

「綺羅々ちゃん!?その姿……」
あかりはヴァンパイアへと変身した綺羅々を見ると口に手を当て―――

「ああ、この姿は……」
(しまった!?怒りに任せて変身しちまった!?どう説明すりゃいいんだ……)
綺羅々はあかりを怖がらせないようにどう説明するか思案しようとしたら―――

「ねぇ!その姿!ちょっと調べさせて!」
あかりはキラーンと瞳を輝かせて迫ってきた。

「ちょッ!?お、おい……おちつ……!!!???」
綺羅々はあかりにまたしても、気迫を押されてしまい―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


203 : ヴァンパイアみっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/18(月) 21:28:56 68WqOl/60
「へぇ〜……私の知るヴァンパイアとはイメージが違うけど……」
「まぁ、一般的な吸血鬼とは違うみたいだな……」
あかりは綺羅々の姿を紙に写生しながら会話を続ける。

「でも、なんで先生は生きた証なんて集めようとするんだ?」
(そんなこと、する意味あるのか?)
綺羅々は会話であかりがここでとる行動(生きた証を集める)に懐疑的だった。

「綺羅々ちゃんは驚異の部屋(ウ゛ンダーカンマー)って知ってる?」
「いや、知らねぇ……つか下の名は恥ずかしいからよしてくれ!」
あかりの言葉に綺羅々は抗議しつつ首を傾げる。

「驚異の部屋はね、昔ヨーロッパで珍しい物を集めて作った部屋のこと!それが後に博物館になっていくの!」
あかりは綺羅々に驚異の部屋について説明する。

「へー、初めて知ったよ。……んで、それがこのバトルロワイアルでの行動に何の関係があるんだ?」
その”驚異の部屋”の説明だけでは綺羅々は納得できない。

「おそらく、私も含めてだけど、全員が生きて帰れるのは不可能だと思う」
綺羅々の質問にあかりは真剣な顔で応える。

「おそらく、ここで死んだら元の世界では死んだことすら知らないままになるのかも知れない。私はそれは許せない。このバトルロワイアルに参加させられた参加者は全員たしかに”いたんだ”なのだから」
男の所業はあかりが目指す”いたんだ”を冒涜している。
―――故に、あかりは行動する。

「だから、私は他の参加者達の生きる証を集めたい。この悪趣味なバトルロワイアルがあったということを100年後にも伝えたいから」
「……先生」
あかりのケツイに綺羅々は息を呑んだ。

―――真祖との力の差を思い知らされ、七原との闘いにも負け、抜け殻になっていた綺羅々の身体に熱が灯る。

それから、ほどなくしてゴブリン斬り込み部隊が襲ってきて冒頭へ至る。

☆彡 ☆彡 ☆彡


204 : ヴァンパイアみっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/18(月) 21:30:51 68WqOl/60
終章 恩義

「……」
あかりはゴブリン達の検分を終えると両手で黙とうする。
たとえ自分達を襲う存在だとしても命への敬意を払う。

―――だが、それとは別に不安と恐怖を抱いている
「……」
(私は正直、綺羅々ちゃんのように悪意を持つ者と戦える力はない。一人だったらこのゴブリンという生物に心身果てまで犯され殺されてもおかしくなかった……)

―――ブル

明るい性格のあかりだが、生き残る困難を理解している。
故に―――
―――身体を震わせる。

―――すると
―――ポン

「心配そうな顔をすんなよ」
「……綺羅々ちゃん」
あかりの表情から心情を察した立花は肩に優しく手を置く。

「……綺羅々ちゃん?」

―――七原を止められなくて抜け殻になっていた私はあんたに救われた
―――救ってもらったこの恩義……絶対、命に代えても私が守る

「下の名前は呼ぶなって……安心しな。あんたは私が守ってやるから……だから、驚異の部屋ってやつを完成させようぜ。……キヨス先生」
「……うん。お願いするね!立花ちゃん!!」

力なき人間と力持つヴァンパイアは手と手を取り合う。
それぞれの信念を貫くために。

【立花綺羅々@血と灰の女王】
[状態]:健康 ヴァンパイア状態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:キヨス先生を守りつつあの男(ヒエール・ジョコマン)に落とし前をつけさせる
1:自分を救ってくれたキヨス先生への恩義に報いる
2:七原……
[備考]
※参戦時期は138話七原の受けて変身が解けた瞬間より
※ヴァンパイアの力並びにキヨスの治療により、七原との戦闘の傷は治療されました。

【清棲あかり@へんなものみっけ!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:参加者たちの生きた証を記しこの殺し合いの出来事を風化させない
1:立花と行動を共にする
2:参加者の生きた証を集める
[備考]
※参戦時期は原作1話 事故死したカモシカを博物館に持って帰ったところ
※現在集めた証は”立花綺羅々”とNPCの”ゴブリン切り込み部隊”

『NPC紹介』 【ゴブリン切り込み部隊@遊戯王OCG】
元々は攻1900/守備0のモンスター。
ヒエール・ジョコマンの手により性欲のモンスターと化している。
守備力0なため、基本どんな攻撃でも簡単に斃すことができる。


205 : ヴァンパイアみっけ! ◆s5tC4j7VZY :2021/10/18(月) 21:31:03 68WqOl/60
投下終了します。


206 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/18(月) 21:59:12 lGBXK1vU0
投下させていただきます。


207 : 神に挑むは、人なりや? ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/18(月) 22:01:01 lGBXK1vU0
「……グハッ!?」

月の光に照らされし奥深い森の中。

全身を金属に包まれたフクロウのような顔の怪獣を擬人化させたような姿をした銀髪の眼鏡少女……
怪獣娘の一人・ウインダムが悲鳴を上げていた。

「ハァ…ハァ…」

ウインダムの体には痛々しい火傷や刺傷があちこちに刻まれ、
全身を包む金属質な獣殻(シェル)のほとんどが黒い煙を上げて焼け焦げていた。

「う、ウインダムさん!」
「ウインちゃん!大丈夫!?」
「は、はい……だ、大丈夫、です……」

痛々しく傷ついたウインダムに、10歳程のロシア人少女……クラーラ・M・ルシュコヴァと
黄色いリボンにピンクのセーラー服を身に着けた紫髪とタレ目が印象的な少女……柊つかさが駆け寄る。

ウインダムは二人に『大丈夫』とは言ったもの、それがやせ我慢である事は誰の目にも明らかだった。

「ふん……無駄な悪あがきなどしおって」

傷つき、今にも倒れそうなウインダムの姿を見ながら、
ウインダムを傷つけた張本人が鼻で笑った。

古代ギリシャの人々が纏うような白いチュニックにマントを着用し、
燃える炎のように赤い髪をした少年だ。

「!!」

ウインダムは赤い髪の少年に向けて額からレーザー光線を発射する。
しかし、ウインダムの放った光線は少年の体にかすりもしなかった。

「ハハハハッ!なんだそれは?『攻撃』とはこうするのだ!」

赤い髪の少年はウインダムを嘲笑いながら、その人差し指をウインダムに向ける。
少年の指先からは真紅のレーザー光線が放たれ……ウインダムの左肩に命中した。

「ああああああ!!!」

赤い髪の少年の放ったレーザー光線は、ウインダムの左肩を貫通して針で刺したような穴を開けた。
傷口からは血こそ出ることは無かったが、まるで焼けた火箸で刺したように焼け、白い煙を上げていたのだ。

「もういいだろう……」
「ガッ!?」

赤い髪の少年はもはや虫の息のウインダムの首を掴み上げた。

「今楽にしてやる……」
「あぁ……あぁ……」

少年に首を掴まれながら、ウインダムは背後にいるクラーラとつかさに視線を向ける。

「に、逃げ…逃げて……」
「そ、そんなの……」
「は、早く…」
「……」

いち早く動いたのはクラーラだった。
腰が抜けているつかさの手を握り、一目散に駆け出した……までは良かったが。

「……はい、そこまで」
「!?」

そこに、大きな角飾りのついた金色の兜と緑色のローブを纏った男に回り込まれてしまったのだ。

「……遅かったじゃないか。何をしていたんだ?」
「いや、失礼。少し準備をしていてね」

突然現れた緑のローブの男に、赤い髪の少年は当たり前のように声をかける。
どうやら緑のローブの男は赤い髪の少年の仲間のようだった。

「あ、あぁ……」

退路を封じられてつかさは腰を抜かしてしまい、ウインダムの命も風前の灯火。

「……」

唯一、クラーラだけがその目に闘志を燃やしていた。しかし……

突如、薄暗い森の中に地響きが轟き、風もないのに木々が揺れだした。
そして…


208 : 神に挑むは、人なりや? ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/18(月) 22:01:30 lGBXK1vU0
『ゴォ〜ブゥ〜』

獣の唸り声のような声が響き渡り、月の光が大きな影によって遮られた。

『!?』

その影の本体を目にし、ウインダムもつかさもクラーラも目を丸くした。

『ゴォ〜ブゥ〜!』

それは、緑色の肌に包まれたいわゆる『ゴブリン』だった。
見た目は確かにゴブリンだったが……大きさが桁違いだった。

『ゴォ〜ブゥ〜!』

それは身長約10m以上の巨大ゴブリンだったのだ!

「ふぅん……まぁ、この程度か」

緑色のローブの男は背後の巨大ゴブリンとその手に持つ黒い虫の巣のような物を見比べながら感心するように呟いた。

「さて……ではトドメといくか」
「あ……あが……」

赤い髪の少年がウインダムの首を掴む手に力を籠めると、手からは白煙が上がってウインダムの首を焦がしていく。

「あわわわわ……」
「……」
『ゴォ〜ブゥ〜』

つかさとクラーラは目の前で鼻息を荒くしている巨大ゴブリンに震え上がり、
巨大ゴブリンは顔を青くする二人にゴワゴワとした手を伸ばしていく。

「フフフ……」

緑のローブの男はその様子を見ながら勝ち誇るかのような笑みを浮かべていた。


その時だった。

突如、巨大ゴブリンの腕が何者かに切り落されたのだ。

『!?』
『ゴブゥ〜!!!』

巨大ゴブリンは断面から湧き水のように血が流れ出る腕を抑えながら悲鳴を上げる。

『ハァッ!!!』

続いて巨大ゴブリンの首が一瞬にして千切れ飛び、
腕と頭を失った巨大ゴブリンの体はそのまま地面に倒れ伏したのだった。

「こ、これって……」
「えっ?えぇっ??」

突然のことにクラーラは目を丸くし、つかさは何が何だか分からず混乱していた。
クラーラとつかさだけではない。

「あ、あれ……」
「な、なんだ……?」
「ど、どういう事だ?一体?」

ウインダムも、赤い髪の少年も、緑のローブの男も突然の事態に困惑していた。

『……そこまでだ』

すると、いつのまにか新たなる乱入者が姿を現していた。


209 : 神に挑むは、人なりや? ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/18(月) 22:02:53 lGBXK1vU0
髑髏を思わせるヘルメットで顔を覆い隠し、黒い繋ぎのような服と黒いマントを身にまとった人物。
体型からして性別は男。
その右手には……刀身が血で濡れた大剣が握られていた。

「……」

赤い髪の少年はヘルメットの男に向けて怒りの籠った視線を向けると、
それまで首を締めあげていたウインダムをゴミのように放り捨てた。

「あぁ……」

赤い髪の少年から解放されると、ウインダムの変身が解除されて
ブレザーの制服姿の白銀レイカの姿となって気を失ってしまった。

「う、ウインダムさん!」
「ウインちゃんしっかり!?」

気を失ったレイカにクラーラとつかさが駆け寄るが、
赤い髪の少年はそれを気にする素振りも見せず、ヘルメットの男を睨みつける。
緑のローブの男も赤い髪の少年の隣に並び立ち、ヘルメットの男を睨みつけた。

「貴様、何者だ?」
『……私はクロード。怪剣クロード!』

ヘルメットの男……クロードは血に濡れた剣を掲げて、堂々と名乗りを上げる。

『こちらは名乗ったぞ。そちらも名乗るのが礼儀ではないかな?』

「……我が名はアポロン」
「私はアスガルドの、ロキ」

『我らは、神なり!』

赤い髪の少年……アポロンと、緑のローブの男……ロキは高らかに名乗りを上げ、
自らを『神』と称した。

『……ならば問おう。神々よ』

クロードは剣を持たない左手をアポロンとロキに向け、ある『問いかけ』をする。

『君たちはこの場所で、何のために戦う?
『正義』のためか?
『自由』のためか?
それとも『平和』のためか?』

クロードからの問いかけに、アポロンとロキは即答する。

「……決まっている。愚かな人間達に裁きを与え、地上に『平和』をもたらすためだ」
「私の場合は……愚かな人間達から『自由』を奪い、支配するためだ」
『……』

アポロンとロキの返答を聞き、クロードは剣を握る手に力を籠める。

『……そのために、『殺し合い』に乗ったという訳か』
「その通りだ」
「正直、犬のように首輪を嵌められたのは気に食わないが……神である私たちを攫い、首輪を嵌めたあの男の力は大したものだ。
『どんな願いも叶える』という言葉に偽りは無いと思うのが当然だろう?」
『……そうか』

アポロンとロキの返答を受け、クロードは静かに剣を構えながら横たわるレイカの傍にいるクラーラとつかさに声をかけた。

『君たち!その娘を連れて、物陰に隠れるんだ!」
「は、はい!つかささん、手伝って!」
「う、うん!」

クロードからの指示を受け、クラーラとつかさは気を失ったままのレイカを担いで木の陰へと隠れた。
剣を構えるクロードの姿に、アポロンは小馬鹿にするようにせせら笑った。

「ほぉ……『人間』の分際で『神』に挑もうというのか?愚か者め」
『アポロン、私は『超人』だ』
「……どちらでも大して変わらないさ」

剣を構えるクロードに対して、アポロンとロキもそれぞれ構えを取る。

『……』
「……」

3者はしばし睨みあい……

『……ハァァァァァッ!!!』
『オラアアアアアアア!!!』




『オリヤアアアアアアアアアアアアア!!!!!』


210 : 神に挑むは、人なりや? ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/18(月) 22:03:17 lGBXK1vU0
【白銀レイカ(ウインダム)@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]:重傷、気絶
[装備]:ソウルライザー@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:人殺しはしない
1:……(気絶)
2:クラーラとつかさを守る
3:アギラやミクラスが居るなら、合流する
[備考]
アニメ第二期終了後からの参戦。

【柊つかさ@らき☆すた】
[状態]:健康、少し情緒不安定
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:早く帰りたいけど、人殺しはしたくない
1:クラーラ、レイカ(ウインダム)と行動する
2:クロードさんって良い人、なのかな?
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
高校3年時からの参戦。

【クラーラ・M・ルシュコヴァ@新サクラ大戦】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:レイカ(ウインダム)、つかさと行動する
2:クロード……何者?
3:花組の仲間がいるなら合流する
[備考]
テレビアニメ版中盤から参戦。
能力の制限に関しては後の書き手さんに任せます。

【怪剣クロード(長川神)@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、怒り
[装備]:クロードのヘルメット@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜、
クロード製の剣@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:『超人』として参加者を助ける
1:少女達(レイカ、つかさ、クラーラ)を助ける
2:もしも爾朗が居たならば……
[備考]
第一期13話『新宿擾乱』直前からの参戦。
剣は支給品ではありません。
名簿にも『怪剣クロード』として記載されています。


【アポロン@サイボーグ009】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:優勝し、地上に平穏をもたらす
1:ロキと協力して参加者を潰していく
2:クロードを倒す
[備考]
平成アニメ版からの参戦

【ロキ・ラウフェイソン@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康
[装備]:ビービ虫の巣@天装戦隊ゴセイジャー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:優勝し、王になる
1:アポロンと協力して参加者を潰していく
2:クロードを倒す
[備考]
『アベンジャーズ』終了直後からの参戦。



【ソウルライザー@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
怪獣娘が人間の姿から怪獣の姿に変身する際に使用するスマートフォン型アイテム。
通信機能やメッセージ機能等のアプリ付き。
紛失した場合は再発行手数料として24,800円徴収される。

【クロードのヘルメット@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
怪剣クロードが装着している髑髏を思わせるデザインの施されたバイク用ヘルメット。
クロードの能力を強化する機能とボイスチェンジャー機能が搭載されており、
被ると自動的に声がCV:関智一に変化する。
左側が割れており、クロードが力を発揮する際、割れた奥から幾つも連なった目が出現する。

【クロード製の剣@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
怪剣クロードが自らの能力である金属精製によって作り出した剣。
材料である金属があれば幾らでも作り出せる。

【ビービ虫の巣@天装戦隊ゴセイジャー】
ブレドランこと救星主のブラジラが生み出した使い魔『ビービ虫』の巣。
このロワにおいて、これを所持している参加者はビービ虫を自在に操れる。
ビービ虫は魔虫兵ビービを生み出したり、NPCを巨大化させる事が可能。

【巨大ゴブリン@オリジナル】
NPC。
会場各地にいるゴブリンの一体をロキがビービ虫を使って巨大化させたもの。
大きさ以外は通常のゴブリンと違いは一切ない。


211 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/18(月) 22:03:52 lGBXK1vU0
投下終了します


212 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/18(月) 23:06:55 oi2RaUFY0
失礼します。誤字の修正をさせていただきます。

>>176の『答申が大きく湾曲した剣』を『刀身が大きく湾曲した剣』に、
>>177の南条光の状態表にある『斬鉄剣@Final Fantasy XIV』を『斬鉄剣@Final Fantasyシリーズ』に修正します。

以上、お手数をおかけしますがよろしくお願いいたします。


213 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:27:55 d7nEH96M0
投下します。
今回の投下は残酷な表現が含まれています。
過激な性的描写が苦手な方には不快になる内容なので読まない様、注意をお願いします


214 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:31:14 d7nEH96M0
「夢じゃ……無いんだよね……?」

私、藤原千花は気が付いたら知らない場所に拉致されて、殺し合いを強要されています。
それが嘘では真実だと見せつけるために、モニター越しで幼い少女が残酷に殺される姿が映し出されていました。

「お家に帰りたい……皆に遭いたいよ……」

不安のあまり、生徒会メンバーを思い出していたら涙が零れ落ちた。
少女がたった一人で見知らぬ土地に放り出され、殺し合いをやらされているのだ。
恐怖に感じないハズはない。

「殺し合いに反対な人もきっといるはずです。まずは人を探しましょう」

不安で心が押し潰されないよう、ポジティブ思考で動こうと決めた。
何かをしていないと、いつまでも涙が出てきてしまいそうだから。

向かった先は小さな集落でした。
そこに行けば、他の参加者に会えるかもしれない。

話し合えばきっと分かり合えるはずです。
誰だって殺し合いなんてやりたくないはずだから。

パチパチパチ……

集落の中央では焚き火が置かれており、淡い光と薪が焼ける音が響いている。
焚き火の周囲にはいくつもの人影があった。

あれは参加者達に違いない、私も仲間に入れてもらおう。
皆で脱出の方法を探せばきっとなんとか出来ます。

集落の廃屋の壁から顔を出した千花はすみませーん、と言いそうになった声を急いで止めた。
そこにいたのは参加者達では無かったからだ。

子供のような背丈で緑色の肌をした醜悪な怪物達が
焚き火の前でけたけたと談笑を繰り返している。

主催者である怪しい男の言葉を思い出す。
ここにはオークやゴブリンなどNPCが存在し、参加者を性的に襲うと。
それが事実だとしたら、この怪物達に見つかったら……

(はやく、逃げないと!)

身の危険を感じた千花は一歩後ろへ下がる、すると。

ペキッ

足元に木の枝が落ちているのに気付かず踏みつけてしまった。

「ゴブ!?」
「ゴブブ!!」

音に反応したゴブリン達が一斉に動き出した。

「ひっ」

短い悲鳴をあげた千花の周囲を取り囲んだゴブリン達は
千花の姿を舐め回すような視線で見つめ、よだれを垂らしながら舌なめずりをする。
一匹のゴブリンが千花に飛びかかり、スカートにしがみ付いた。

「いや……こないでっ!やだぁぁ!!」

ゴブリンの体重が加わり、バランスを崩した千花は尻もちをつく。
隙を待っていたとばかりにゴブリン達が次々と千花に群がった。

「離してっ!いやぁ!やめてぇっっ!!!!」

ゴブリン達の手が千花の体を弄り、衣類を引き裂いて
制服が破り捨てられ、下着姿が露わになる。

「ゴブヒャヒャ!」
「ゴブリィィ!」

ゴブリンの一匹が千花のブラジャーを掴んだ。

「ううっ……お願いです。やめてください……」

力任せにブラジャーが引き千切られると
衝撃で地下の胸がぷるんっと揺れる。
低身長ながら、同じ年頃の女性達と比べても一際豊満なサイズの胸を
下衆な笑みを浮かべたゴブリンが乱暴に掴みかかった。

「イヤぁぁぁ!!誰か!、助けてくださいぃぃ!!だれかぁ!!」


215 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:32:15 d7nEH96M0
「その娘から、離れろぉぉぉぉっっっっ!!!!」

ザシュッ

「ゴブゥ!?」

千花に馬乗りしていたゴブリンの頭部が斬り裂かれ絶命する。
更に斬撃が振るわれ、二匹目、三匹目とゴブリンが斬り捨てられた。

「ゴブリンめ!お前達の好きにはさせない!うおおおおおっ!!」

現れたのは鉢巻きをした若き青年の剣士だった。
青年剣士は長剣はがねのつるぎを装備し、次々とゴブリンに斬りかかった。

「ゴブブッ!」
「ゴブ―ゴブー!」

千花に気を取られ、周囲を警戒していなかったゴブリン達は
青年剣士の奇襲によって数匹斬り殺され、逃げ去っていった。

「君、大丈……おっとゴメン」
「え?……きゃっ!その、助けてくれてありがとうございます……」

千花の痴態に気付いた青年剣士は慌てて目を反らす。
その反応に気付いた千花も慌てて両手で胸元を隠し、青年剣士へお礼を言った。

「人助けは冒険者の務めだからな。はい、これ」

青年剣士は千花を見ないように顔を背けたまま、服を渡した。

「これは?」
「俺の支給品さ。『きぬのローブ』と『はがねのつるぎ』の二つが入っていたんだ」
「支給品……そうだ私のも!」

そこで千花はまだ、自分の支給品を確認していなかったのに気付いた。
いそいそときぬのロープに着替えた千花はデイバックの中身を確認しようとした時

ズシン……ズシン……

巨大な人影が近づいてきた。

「う、うしろ……」
「え?」

青年剣士が振り返ると目の前には身長6mほどの怪物が立っていた。
人間を遥かに超える巨体に牛のような頭部。
ファンタジー作品を少しでも齧った物ならそいつの存在は知っているだろう。
強大な怪力を誇る怪物、ミノタウロスを

「ブモオオォォーーーー!!!!」

怪物が吠える。
圧倒的体格差に加え、両手に持つ巨大なハルバードは二人を威圧させるには十分だった。

「なんだよこれ……う、うわああああぁぁっっ!!」

青年剣士が雄叫びをあげながらミノタウロスに特攻を仕掛ける。
先手必勝、攻撃される前に攻撃するのは策としてはありだろう。

しかし――

ブオンッ!

(あれ?)

突如、青年剣士の視界がぐるぐると回る。
既に攻撃を終えたミノタウロスに
両手で口元を押さえて震える千花の姿が見えた後に
視界が地べたに固定された。

青年剣士の攻撃が届くよりも早く
リーチもパワーも圧倒的なミノタウロスの斬撃が青年剣士の首を刎ねていた。
宙を舞った頭部は地面を転がり、頭を失った体は切断面から血が噴水のように噴き出していた。

NPCの強さは固定ではない。
ある程度、腕の立つ参加者なら苦も無く排除可能なNPCもいれば
相当の苦戦を強いられるボスNPCも混じっている。

運悪くこの集落にもボスNPCがいた。
多数のゴブリンを従え、集落を拠点とするミノタウロスもそのボスNPCの一人である。

【青年剣士@ゴブリンスレイヤー 死亡】


216 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:33:11 d7nEH96M0
「そんな……私を助けてくれた剣士さんが……」
「ブルルルッ!」

ミノタウロスが鼻息を荒くしながら千花を睨みつける。

「い、や……いやああああっっ!!」

ズシン、ズシンと近づいてくるミノタウロスに恐れをなした千花は悲鳴をあげながら逃げ出した。
すると千花の目の前の地面が爆ぜて砂埃が舞った。

「ひぃっ……」

砂埃の中から地面に突き刺さった血濡れのハルバードが顔を出す。
千花の逃げ道を塞ぐためにミノタウロスが手に持ったハルバードを投げつけたのだと理解するのに時間はかからなかった。

その気になれば今の投擲で千花を真っ二つにする事も可能だっただろう。
『残念ながら』ミノタウロスは易々と千花の命は奪わない。
主催者によって女は徹底的に性的凌辱を与えるよう改造されている。

NPCに捕まったが最後、決して清いまま死ねることはないのである。決して……

「く、来るなぁ!!」

藁にも縋る想いでデイバックに手を伸ばした千花が見つけたのは拳銃だった。
相手は殺し合いを強要された人間では無い。
ただ本能のままに強姦や殺戮を繰り返す怪物だ。
千花は何の躊躇も無く、ミノタウロスに向かって銃弾を撃ち込んだ。

「うわああああああっ!!」

千花は叫びながら発砲を続けた。
放たれた銃弾が次々とミノタウロスの体に突き刺さり、撃たれた個所から緑の血が垂れる。

カチカチッ……

弾が尽きた。
拳銃の小さな弾丸ではミノタウロスの皮膚を貫いても筋肉で止められ、内臓には届かなかった。

「ブモオオオオッッッッ!!!!」
「うぁぁ、ああっ……」

激怒したミノタウロスの雄叫びに
千花はガタガタと身体を震わせ、立つ事もままならなくなり
ぺたりと地面に座り込む。

すぐに癒えるかすり傷とはいえ
孕み袋に過ぎない小娘如きに、己の血を流させたのだ。
ミノタウロスにとっては屈辱である。


徹底的に制裁を与えてやらなければ気が済まない。


これから始まるのは


ゴブリン達にとっては宴であり


千花にとっての地獄の始まりである。


217 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:34:07 d7nEH96M0
「ひっ、いやぁぁぁぁぁッ!!」

きぬのローブを引き裂かれた千花はミノタウロスに持ち上げられる。
ミノタウロスの下腹部には丸太のようなサイズの肉棒が膨れ上がっていた。

「やめてぇっ!本当に、それだけはやめてぇっっ!!」

ミノタウロスの爪が千花の秘所を守る最後の布を引っ掛けて裂いた。
布が取り払われ、千花のピッタリと閉じた陰部が露出する。

本来なら千花は、どこかで気の合う男を見つけて
時には笑いあったり、喧嘩したり、思い出を増やして
お互いの恋心に気付いて、告白したり、告白されたりと
素敵な恋愛の末に、自分の純潔を捧げるのだろう。


そう、かぐや様のように恋愛をしたかったんだ。


ブチブチブチィ!!

「いぎゃあ゛ぁぁッ!!!!ひぎゃぃぎィィィ!!!!げほお゛ォォッ!!」

ミノタウロスの巨根が千花の陰部を貫いた。
明らかに人間に入れるサイズではないそれが
千花の膣口を裂き、筋を千切りながら抉り犯す。
腹部は内側から押し込まれた陰茎がくっきりと浮かぶほど歪に盛り上がり
骨盤は損傷し、内臓は押し上げられ、胃に溜まった物は逆流し
口から吐瀉物がゴボゴボと溢れ落ちる。

「や゛ぁっ、ら゛ぁ……もぅ、ぬ゛いでっ……ぐふえ゛あ゛ッ!!」

ミノタウロスが前後運動を繰り返し、陰茎をピストンさせる。
陰茎が押し込まれる度に、千花はうめき声を漏らしながら、吐瀉物を吐き出す。
目から大粒の涙が零れ落ち、女性器からは陰茎を伝って血がボタボタと滴り落ちた。

「フゴッ!フゴッ!フゴォォォ!!」

「う゛ぐえ゛ぇぇぇッ!!お゛ながっがぁ、もっどぉふぐら゛んでっいぎぃィィ!!」

射精が近づいてきたミノタウロスは更に陰茎が膨張し
ピストン運動も早くなっていく。
陰茎の刺激が最高潮に達したその瞬間。

「ひっぎゃぅ!?お゛ながぁ、がァァっさげう゛ゥゥゥゥゥッ!?」

ミノタウロスの陰茎から粘着な種汁の濁流が弾けるように放たれ
千花の下腹部へと大量に注ぎ込まれた。
叩きつけるような勢いで吐き出された種汁によって千花の腹部は
まるで臨月の妊婦かの如く膨張した。

「あ゛ぁぁ……わら、ひぃ……どぅひてぇ?こん、にゃ……めにぃ……」

ずちゅっ

長い射精を終えたミノタウロスは千花の陰部から陰茎を乱雑に引き抜いた。
すると千花のポッカリと開き切った膣口から
綺麗なピンク色の子宮がだらりと露出して股の下にぶら下がった。
子宮口からは黄ばんだヘドロのような汁が噴き出し、ボチャボチャと地面に零れ落ちた。

ミノタウロスは満足したのか千花をゆっくりと地面に降ろし
どこかへと立ち去って行った。


218 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:35:00 d7nEH96M0






これで終わったんだよね。


とっても酷い目に遭ったけど、あとはゆっくり休めるよね。


先の事は不安だけど、今だけはただ眠っていたいな。





「ゴブ?」
「ゴブブブ」
「ゴブーッ!」


悪夢はこれで終わりじゃありませんでした。


「ゴブヒヒ!」
「ゴブゴブー!」

抵抗する力も完全に失った千花の前に
複数のゴブリン達が集まっていた。
彼らはミノタウロスが千花を犯し尽す様をじっと見ていたのだ。
自分達の番が回ってくるまで

我先にと千花の股下へ移動したゴブリンが
千花の秘所へと陰茎を挿入する。
既に限界以上にまでこじ開けられ、子宮も露出している膣だろうと関係無い。
今度は俺がマーキングするんだとばかりに腰を振って陰茎を叩きつける。

「いぎゃあ゛ぁぁッ、やめでぇぇっ、いぎゃひい゛ィィッ!!」

千花の豊満な乳房を前に興奮したゴブリン達が乱暴に爪を立てて掴み
桜色の乳頭をむしゃぶるように齧り付き
ゴブリン達の孕み袋の証となる傷跡を付けた。

「いゃ……も、うころ゛じってぇ……お゛ごぉ゛ッ……!!」

ゴブリンの一人が千花の口内へ陰茎を押し込んだ。
彼らには体を綺麗にする習慣は無い。
当然、風呂にも入らない。
陰茎は汚れが溜まり、汚物を発酵させたような酷い悪臭を放っている。

「う゛ぐぅぅっ!おぐぅっっ!」

千花の呼吸が苦しくなっていようがお構いなし。
ゴブリンは両手で千花の頭を鷲掴みにして喉奥まで陰茎を突き続ける。

「んぐっ!お゛ごぉ゛ッ……!」

膣内と口内を犯していた二人のゴブリンが同時に射精した。
陰部から黄ばんだ種汁が再び溢れ落ち
喉に放出した種汁は吐き出す事を許さず
全て飲み干すまで頭を押さえ付けられていた。

ゴブリン達の責め苦に耐え切れなくなった千花は
視界がぼんやりと薄まり、意識を手放した。


その後、千花が目を覚ますと見慣れた風景が広がっていた。
辺りを見渡すと四宮かぐや、白銀御行、石上優、伊井野ミコ
生徒会メンバーが揃っている。

「あれ?ここは……生徒会室?それに皆……みんなぁ〜、うわあああぁん!!」

そこは秀知院学園生徒会室だった。
会いたかった人達の姿に千花は思わず泣き崩れる。

「よ゛がっだぁぁ〜!!もう二度と会えないとばかりぃ〜〜!!」

「ちょ、ちょっと!どうしたの?藤原さん」
「きっと何か悪い夢でも見てたのかもしれないな」
「呑気に生徒会室でお昼寝なんてするからですよ」
「学校にゲームを持ち込んでる石上が言える事じゃないでしょ!」

元の世界に帰れたんだ。
そうですよね。だってこんな殺し合いが現実で起きる筈がありません。
ゴブリンやミノタウロスはアニメやゲームにしか存在しない架空の生物なんですから。
あれはとても恐ろしい悪夢だったんですよ。
だからもう忘れましょう。
夢は起きたら忘れるものです。


219 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:36:04 d7nEH96M0
ボキッ!


千花の右腕が変な方向に折れ曲がっていた。

「え?どうして?」

気付くと四宮かぐやが、白銀御行が、石上優が、伊井野ミコが
醜悪なゴブリンの姿へと変化していく。
ケタケタと笑いながら四匹のゴブリンが千花へ飛びかかった。

「いやああぁぁぁぁっっっっ!!!!」

休む事など許されなかった。
ゴブリンが満足するまで楽しませるのが孕み袋の務めである。
勝手に気絶しよう物なら手足を折ってでも叩き起こし、もう一度犯す。

「殺じでぇぇっ!!も゛う゛っわだしを、ごろじてェェェェ!!む゛ぐうう〜っ!!」

ゴブリン達の凌辱は続く。
再び陰部と口内に陰茎を押し込まれる。
乳房を乱暴に掴んで引っ張られ、乳頭を噛み付かれる。

それが終わるとしたら
志を持った参加者達によってゴブリン達を全て討伐するか。
それとも凌辱の果てに衰弱し、命が尽きるかのどちらかだろう。

【藤原千花@かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜】
[状態]:右腕骨折、股関節損傷、会陰裂傷、腟壁裂傷、子宮脱、全身に引っ掻き傷&噛み跡、疲労(極大)精神的疲労(極大)
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・状況]
基本方針:???
1:???(正常な判断が出来ない状態になっています)
[備考]
ゴブリン達による凌辱を受け続けています。
死亡させないように扱われていますが時間が経つごとに衰弱が進みます。


『支給品紹介』
【きぬのローブ@ドラゴンクエストシリーズ】
DQ4以降の作品及びリメイク版DQ3に登場する防具。
いずれの作品でも【しゅび力】は低く、序盤用の防具となる。

【はがねのつるぎ@ドラゴンクエストシリーズ】
本編全シリーズ皆勤賞の偉大な武器で、モンスターズ、不思議のダンジョンシリーズでもほぼ常連。
主に序盤から中盤に切り替わるあたりで店に並ぶようになる。

【ベレッタM84@現実】
ダブルカラムマガジンの採用により.380ACP弾を13発装填可能で、警察用や護身用・競技用としても使用される。
様々なドラマやアニメやゲームでも使用されているポピュラーな銃の一つである。

『NPC紹介』
【ゴブリン@ゴブリンスレイヤー】
成体でも人間の子供程度の身体に膂力と知能しか持っておらず
単体ではあまり強くないうえに討伐報奨金も低く玄人からは獲物扱いされないため、新人冒険者などには侮られることが多い。
しかし、動きが素早いうえに悪知恵が利き、暗闇でも見える目と高い嗅覚を持って絶えず闇間から徒党を組んで襲いかかるため
実は最も多くの新人を殺害している存在でもある。

【ミノタウロス@オリジナル】
集落を根城とし、周辺のゴブリンを統率するボスNPC。
活動範囲は主に集落とその周辺をうろつくのみで
基本的には集落に近づいてきた参加者を待ち構える門番である。
女性参加者は殺さずに、戦闘能力のみを奪い、孕み袋として活用し
男性参加者は躊躇する事無く命を奪う。
体格は6m、武器は両手斧のハルバードで軽々と振り回す。
肉体も頑丈であり、拳銃の銃弾では皮膚は傷ついても筋肉を貫く事ではできない。


220 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/19(火) 05:37:30 d7nEH96M0
これで投下終了です
タイトルは「終わらない悪夢」でお願いします


221 : ◆ytUSxp038U :2021/10/19(火) 12:50:55 z0CAeF0.0
投下します


222 : ガラクタに変わるまで ◆ytUSxp038U :2021/10/19(火) 12:52:03 z0CAeF0.0
ハァ ハァ ハァ ハァ

犬の様に舌を出し、犯されている少女がいる。

月の下に晒された一糸纏わぬ裸体は、異様な程に白い。
爪先から頭頂部まで、髪の毛一本余すことなく白に染まった体は、どこか作り物のようにも見えた。

だが彼女は生きている。生きて、凌辱されている。
肉棒に突き上げられる度に揺れ動く乳房。
体中に浮かんだ玉のような汗。
汗と愛液で湿り気を帯びた陰毛。
これら全てがその証明だった。

「はっ、はっ、はひぃ!。しゅご、しゅごいぃぃぃ…!こへ、きもひいよぉぉぉ…!」

呂律の回らない口調で、快楽を訴える。
少女の言葉に呼応するかのように、腰を打ち付ける勢いが激しくなった。
その度に小ぶりな乳房がぷるぷると波打ち、より一層興奮を高める。

「あっ、あっ、あぁっ!らめ、らめぇ…!くる!きちゃうぅぅ!!」

駄目と言いつつも拒む気は無いのだろう。
二本の脚を相手の腰に絡め、ガッチリと固定する。
これから吐き出される精を一滴たりとも零さないように。

やがて限界が来たのか、一際強く腰を叩きつけた。

「んにゃあああああああああああああああああああああああああ♥♥♥♥♥!!!!」

膣内をあっという間に満たす程の量に、歓喜の悲鳴を上げ悶えた。
ポンプから発射されたが如き、凄まじい射精量。
射精し終えた肉棒が引き抜かれると、ドロリとした精液が溢れ出す。

「ふーっ♥ふーっ♥んむ、じゅるるるるる♥♥♥♥はぁ…♥おいひぃ……♥」

仰向けになっていた体を起こし、今しがた自分を犯していたイチモツにしゃぶりつく。
命令されたのではなく、こうする事が当然とばかりに。
精液と、自分の愛液が混じった肉棒を、口をすぼめて味わう。

少女の淫靡な奉仕を目の当たりにした、彼女を犯していた男は目を細め、


「フム、つまらんな」


冷めた感想を口にした。


223 : ガラクタに変わるまで ◆ytUSxp038U :2021/10/19(火) 12:53:05 z0CAeF0.0
男もまた、少女同様に異様な白さの肌だった。
顔立ちは整っている部類にはいるのだろう。
一昔前のロックバンドが着ていそうなタキシードを、見事に着こなしている。
だが真っ当な人間が彼を見たら、もっと別の部分へ注目するのは間違いない。

赤黒くギラギラとした瞳、人間ではあり得ない生え揃った牙、
何よりも、近付く者を無条件で震え上がらせる程の存在感。
男がただの性犯罪者などではない、もっと恐ろしく、得体の知れない存在である事を示すような特徴であった。

男の名は雅。
人間を見下し、彼らの世界を滅ぼさんとする吸血鬼の王。

雅にとってこの催しは最高の娯楽と言えよう。
見せしめにされた褐色の小生意気な少女の最期は実に痛快だった。
人間の尊厳を徹底的に踏みにじるかのような末路、しかもそれを自分含めた大勢の目に晒されたのだ。
全く持って面白い。
あの少女と同じように、惨めに凌辱される人間がこの先も大勢現れるのだと思うと、楽しむなと言う方が無理というもの。

そうして光に包まれたと思いきや会場に立っており、恐怖や不安とは無縁のように堂々と歩いていた時だ。
この白い少女と遭遇したのは。
どこか錯乱しているようにも見られた少女は、雅を見つけるや否や、有無を言わさず襲い掛かって来た。
掌から無数の糸を生み出し繭を作ろうとしたが、雅を相手にそれは無謀としか言いようが無い。
あっという間に斬り裂かれ、叩きのめされた。

少女にとっての幸運は、雅が興味を抱きすぐに殺す気は無かったこと。
吸血鬼ではない、しかし人間でもない奇妙な存在の正体を確かめるべく少女を尋問した。
力の差を思い知った少女はただ助かりたい一心で、自分の正体をあれこれぶちまけた。
その結果、彼女が鬼と言う雅の知らない化け物である事が判明。
尤も、彼女を鬼にした者については頑なに口を割らず、喋ったら自分が死ぬと震えながら訴えられたが。

鬼に関して一部を除いて情報を手に入れた雅だったが、このまま少女を殺すのは簡単。
しかしそれでは少々面白くない。
そこで彼特有の気まぐれを起こし、少女をレイプするに至ったのだ。
鉄扇により衣服をバラバラにされ、何が起きたと理解する間もなくペニスを突っ込まれた。
まるでお気に入りの音楽を聴くかのように少女の悲鳴を楽しみつつ、折角だからと支給された媚薬も使ってみた。
後はもう言うまでもない。

「これでは使わない方が多少は楽しめたか」

今も一心不乱に己の分身を咥える少女を見下ろし、そう一人ごちる。
愚かにも自分を殺そうとしたガキは哀れな肉奴隷になったが、従順過ぎるのもそれはそれで退屈だ。
媚薬など使わず、犯されぎゃあぎゃあ泣き喚く様を見る方が楽しめたかもしれない。

「ハ、まぁいい。存分に楽しませてもらおうじゃあないか」

不敵な笑みを浮かべ、空を見上げる。
楽しむだけ楽しんだら、自分を招いた細長い男ともたっぷりと“遊んで”やろう。
ふんぞり返ってこちらを見下ろしているだろう男への宣告を、内心で呟いた。
それにもう一つ、雅の心に浮かぶのは――

(明、お前もここにいるのか?)


【雅@彼岸島シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:童磨の鉄扇×2@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:好きにやる
1:明がいるなら会って遊んでやろう
2:こいつ(累の姉)はどうするか
3:鬼に幾らかの興味
[備考]
※参戦時期は少なくとも無印終了以降。

【累の姉@鬼滅の刃】
[状態]:全裸、快楽への依存、思考低下
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:?????
1:おチンポしゅきぃ…♥
[備考]
参戦時期は死亡後。

【童磨の鉄扇@鬼滅の刃】
上弦の弐・童磨が使用する武器。二本セット。
振っても血鬼術は出せないが、人体を切断するくらいは容易い。


224 : ◆ytUSxp038U :2021/10/19(火) 12:54:00 z0CAeF0.0
投下終了です


225 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:32:03 IxSonQSE0
コンペロワに投下した作品に細かな修正を加えましたものを2作品連続投下させていただきます。


226 : エピックonバトロワ 狂気のタイタン人! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:33:14 IxSonQSE0
「……」

会場内のどこか。
一人の大柄な人物が、あてもなく会場内を歩いていた。

体毛が一本も無い紫色の肌。
深い縦皺が複数刻まれた顎。
ゴリラを思わせる筋肉質で大柄な体格。
左手に嵌められた黄金色の籠手……。
もうお分かりだろう。

彼の名はサノス。
『宇宙の全生命の半分を消滅させる事で、残ったもう半分を生かす』という狂気の思想に取り憑かれ、
何年もの間、宇宙各地で残虐な大量殺戮行為を繰り広げ、
文字通り『数え切れない程の人間』から恐れられ、憎まれ、恨まれ、そして嫌われている男である。

「……」

今、サノスの顔には地獄の鬼神のような……いや、地獄の鬼神も泣きわめきながら逃げ出してしまいそうな程恐ろしい『憤怒』の表情が宿っていた。

サノスは長年の宿願である『全宇宙の生命の半分を消滅させる』ために、宇宙誕生以前に存在していた6つの特異点の残骸『インフィニティ・ストーン』の収集を開始。
インフィニティ・ストーンの絶大なエネルギーと力を制御するために作られた籠手『インフィニティ・ガントレット』を自ら装備し、宇宙各地に散らばる6つのインフィニティ・ストーンを探しだし、ようやく6つ全てが揃おうとした時……この『殺し合い』に参加させられたのだ。

幸いにも、インフィニティ・ガントレットは支給品としてサノスの手元にあったのだが、
『パワーストーン』以外の既に入手していた4つのストーンは外されており、本来想定していた力の6分の1しか発揮する事が出来なくなっていたのだ。

「……」

サノスは怒っていた。
自身の大望成就を邪魔し、犬猫のように首輪を嵌めて『殺し合い』を強要する悪趣味な服を着た男に。
そして、その悪趣味な服を着た男にあっさりと浚われて、起動すると快楽でイキ狂いながら死亡するというこれまた悪趣味な首輪を嵌められた自分自身に。

「……」

サノスはあてもなく会場内を移動していく。
途中、両手両足の指を全て使っても数え切れない数のNPCと度々遭遇し、襲われたが……全て返り討ちにした。
会場各所に配置されているエロトラップにかかる事も何度かあったが……全て跡形もなく粉砕した。
『ストーンの力』を使わずに、『己の力』のみで。
それすらもサノスからしたら、八つ当たりにもならない些末な行為だ。
サノスの通り過ぎた後には、まるでその人生の縮図のように死体の山と破壊の傷痕が出来上がっていたのだった。

「……」

ふとサノスは立ち止まり、自身の背後を振り返った。

「……いつまでコソコソついてくるつもりだ?姿を見せろ」
「……フッフッフッ。気づかれていましたか」

サノスの背後の木の影から、何者かが姿を現した。

青い体に蜘蛛の巣模様。
胸部には黄金色に煌めく円形の装飾がなされ、
頭はまるで僧侶の宝冠に羽根をあしらったような見た目をしている……。
紫色の肌をしたサノスに勝るとも劣らない。
まるで『堕天使』を思わせる異形の姿をした怪人だった。

「……貴様、何者だ?」
「お初にお目にかかります。私はブラジラ。『救星主のブラジラ』と申します」

サノスからの問いかけに、怪人……ブラジラはうやうやしく一礼をしながら自己紹介をした。

救星主。
すなわち『星を救う者』。
その意味を理解すると、サノスは鼻をならした。

「フン……ずいぶんと御大層な二つ名だな」
「恐れ入ります」

サノスからの皮肉混じりの感想を受けても、ブラジラは顔色一つ変えなかった。


227 : エピックonバトロワ 狂気のタイタン人! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:34:13 IxSonQSE0
「……まあいい。私の名はサノス。『タイタンのサノス』だ。ブラジラとやら、先程から私の後をつけていたようだが、私に何の用がある?」
「では……単刀直入に言わせていただきましょう」

ブラジラは一旦言葉を切ってから本題に入った。

「……サノス殿、私と『同盟』を結んでいただきたい」
「……何?」

ブラジラからの唐突な『同盟』の申し入れに、サノスは眉の端をピクリと動かした。

「あなたの力は、じっくりと拝見させていただきました。NPCや下劣な罠ごときでは足元にも及ばぬ強大な力……あなたと私が組めば、優勝はおろか、あの忌々しい主催者を打倒する事も不可能ではないでしょう」
「フン……笑わせるな」

ブラジラからの誘いをサノスは鼻で笑った。

「この『殺し合い』に優勝する……つまり『生き残れる』のは一人だけだ。言い換えるならば、『自分以外は全員敵』という事になる。そのような状況で徒党を組んだところで何になる?自分以外の参加者が一人でも残っていれば、待つのは『自身の死』だけだぞ?」
「……まぁ、確かにその通り、『生き残れるのは一人だけ』ですな」

ブラジラはサノスの意見を肯定しながらも、「……ですが」と付け加えた。

「……いかに強大な力や強力な支給品を持っていたとしても、たった一人で行動するよりも同等の力や武器を持った者達と行動した方が生存率も殺害数も高くなるでしょう?最終的に我々以外の参加者が全て死んだならば、その時に改めて我々が殺し合えば問題はありません」
「フム……なるほど」

ブラジラの一々相手を小馬鹿にするような話し方は気に入らなかったが、確かに一理あるとサノスは思った。

いかにたった一つだけで星を容易く破壊できるエネルギーを秘めたインフィニティ・ストーンを持っていたとしても、サノス一人だけでこの会場にいる参加者全てを殺すのは容易な事ではない。
一応『会場そのものをまるごと破壊する』という手段もあるが、サノス自身も巻き添えになりそうなので進んで行う気にはなれない。
それにサノスにはある懸念があった。
先にも書いたように、サノスが装備しているインフィニティ・ガントレットからは『パワーストーン』以外の4つのインフィニティ・ストーンが外されていた。
という事は、『他のインフィニティ・ストーンはサノス以外の参加者に支給されている』可能性が考えられるのだ。
サノス一人で全ての参加者の所持品を一つ一つ調べるよりも、複数人で探しあった方が効率が良いというものだ。

「……良いだろう。お前の提案を受け入れよう。ただし、条件がいくつかある」

そう言うとサノスはブラジラに向けて指を3本立てた。

「一つ、私とお前は『主従』でも『仲間』でも『同志』でもない。あくまで単なる『同盟相手』だ。お前が死にそうになっても私は助けないし、『足手まとい』だと判断すればその場で切り捨てる。二つ、私はこのガントレットに嵌められている物と同じ石を4つ探している。探すのを手伝え。三つ、例えどちらかが裏切ったとしても恨みっこ無しだ。以上だ」
「……えぇ、それで構いませんよ。ではこちらからも二つ。私は『オーブ』という物を探しております。そのガントレットの石の片割れを探すのと引き換えに、私の『オーブ』を探していただきます。それと、もしこの場で『護星天使』を名乗る者がいたならば、手出しは無用。私だけで戦います。よろしいですか?」
「フン、良かろう」

かくして、サノスとブラジラは互いの出した条件を飲み、同盟を結んだのだった。


228 : エピックonバトロワ 狂気のタイタン人! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:34:51 IxSonQSE0
☆☆☆

(フフフ……まずは一歩、といったところか)

ブラジラは心の中でほくそ笑んでいた。

自分は忌々しい見習い護星天使どもに『地球救星』を邪魔されて死んだはずだったが、何故か生きてこの場にいる。
あの奇妙な服を着た男がどんな手段を使ったのかブラジラには分からなかったが、この『死者蘇生』の事実から考えて、主催者の『優勝者にはどんな願いでも叶える権利が与えられる』という言葉は事実の可能性が高いとブラジラは考えたのだ。

ブラジラの願いは決まっていた。
自分の計画を最後まで邪魔をし続けた『見習い護星天使達への復讐』と『地球救星計画の完全遂行』だ。
ブラジラは殺し合いに乗る事にした。

天装術発動の媒体である『オーブ』が没収されている為に『ブレドラン』の姿にはなれないが、それならそれで『ブラジラ』として暗躍すれば良いだけの話。
方針を決めたブラジラは手駒になりそうな参加者を探して……サノスを見つけたのだ。

サノスの力や左手に嵌められたガントレット……正確にはガントレットに嵌められているインフィニティ・ストーンから感じられるエネルギーは、
かつて『彗星のブレドラン』として仕えた『宇宙逆滅軍団ウォースター』の首領『惑星のモンス・ドレイク』を彷彿とさせた。
そして、サノスの動向を観察した末にその実力はモンス・ドレイクはおろか、これまでブラジラが『ブレドラン』として渡り歩いたどの組織の者と比べても並外れていると確信し、同盟を持ちかけたのだ。

もちろん、ブラジラにはサノスと仲良し子よしするつもりなどはさらさらない。
ある程度参加者の数が減ったら、隙を見て騙し討ちにするつもりなのである。

(フフフ……護星天使見習いども、首を洗って待っているが良い!)

ブラジラの脳内では、優勝した自分が見習い護星天使達をコテンパンにする姿がイメージされていたのだった。



【サノス@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康、主催者への怒り
[装備]:インフィニティ・ガントレット@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:宇宙の生命を半分にする為に、生きて帰還する
1:ブラジラと行動する
2:インフィニティ・ストーンを探す
[備考]
『インフィニティ・ウォー』でインフィニティ・ストーンを6つ全て揃える直前からの参戦。
ガントレットにはまっているのは『パワーストーン』一つだけです。
他のインフィニティ・ストーンは他の参加者に支給されているかもしれないし、会場内に隠されているかもしれません。

【救星主のブラジラ@天装戦隊ゴセイジャー】
[状態]:健康、ブラジラとしての姿
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:優勝し、見習い護星天使に復讐する
1:サノスと行動を共にし、手駒を増やす
2:オーブを探す
3:この場に護星天使がいるなら復讐する
[備考]
最終回でゴセイジャーに倒された直前からの参戦。
オーブが没収されており、天装術は使用不可能ですが、ダークサーベルの召喚は可能です。


【インフィニティ・ガントレット@マーベル・シネマティック・ユニバース】
インフィニティ・ストーンの力を最大限に発揮できる左手用の金色のグローブ。
サノスの依頼を受けた惑星“ニダベリア”の“ドワーフ”たちが作成したもので、材質は“アスガルド”の武器にも使われている金属“ウル”であり、非常に強靭なものに作られている。
全体的にドワーフ族風の分割模様の装飾が刻まれ、各指の付け根部分と手の甲に6つのストーンを収容する穴があり、ガントレットをはめた左手を閉じることでそれぞれのストーンの力を自在に使用できる。
また、ストーンが発する強大なパワーを制御するため、ガントレット自体もストーンを埋め込むと、その直後にストーンの力が装着者に流れ込み、常人ではその衝撃に耐えるのは困難である。
6つ全てのストーンを埋め込むと、ガントレットをはめた指を鳴らすだけで全てのストーンの力を同時に発動させ、全宇宙の半分の生命を消すことができる。
(以上、ウィキペディアより抜粋)


229 : 涼宮ハルヒの歓喜、モグラ獣人の苦悩、ロックジョーの??? ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:35:58 IxSonQSE0
浮遊大陸の片隅に存在するとある草原地帯。
突然そこの地面の一部が盛り上がったかと思うと……

「チュチューン!」

……人間の大人程の大きさがある巨大モグラが顔を出したのだった。

体色は明るいオレンジ。
鼻先は花のようになっており、
肩の部分には鉤爪状の部位が、
スコップ状の手には人間のような指があるなど、
明らかに普通のモグラではなかった。

彼の名は、モグラ獣人。
ただの巨大モグラではなく、動植物に人間並みの知能を移植する事によって生み出される『獣人』というカテゴリーの怪人である。
彼はかつて、世界征服を企む秘密結社の一つ『ゲドン』に所属していたのだが、任務に失敗して処刑されかかったところをゲドンと敵対する『仮面ライダーアマゾン』によって助けられた事で、アマゾンの『トモダチ』となったのである。

「はぁ〜……よっこいせ、と」

モグラ獣人は地面から這い出ると、頭上の空で静かに輝く満月を眺めだした。

「………なんで俺、生きてんだろうなぁ?」

月を眺めながら、モグラ獣人はふと先程から頭によぎる疑問をポツリと呟いた。

記憶が正しければ、自分はガランダー帝国のキノコ獣人の殺人カビで死んだ筈なのだ。
だというのに、五体満足の状態で『殺し合い』の会場にいる。
それがモグラ獣人には不思議でならなかった。

死んだと思ったのは自分の気のせいで、アマゾンが殺人カビの解毒剤を飲ませてくれたのか?
いや、あの体から『命』が抜け出していくような感覚は、絶対に気のせいなんかではない。
ならば何故、自分は無事なのか?
そして何故、『殺し合い』に参加させられているのか?

ひょっとしたら、ここは悪いことをした人間が死んだ後に行くという『地獄』と呼ばれる場所かもしれない。
自分はアマゾンの『トモダチ』だったけど、ゲドンの一員として散々悪いことをしてきたから『地獄』に落とされたのかも……。

「う〜ん・・・」

夜空に輝く満月を眺めながらモグラ獣人は考えを巡らせるが、情報が少ない現状では明確な答えなど思い付くはずも無く……

「……はぁ〜」

モグラ獣人は深いため息を漏らしたのだった。
その時だった。

「も、モグラ怪獣!?」
「……チュチューン?」

人間の声が聞こえた。
若い女の声だ。

振り向くと、いつの間にかモグラ獣人の背後に水色を基調にしたセーラー服を着た高校生くらいの少女が佇んでいた。
その少女はモグラ獣人を見ながら驚いていると共に、好奇心旺盛な幼い子供のように目を輝かせていた。

「えっ!?嘘!?本物!?本物の怪獣!?」

少女はいかにも興奮している様子でモグラ獣人に抱きつき、モグラ獣人の体をあちこち触り始めたのだ。

「チュチューン!?」
「凄い!着ぐるみじゃないわ!!本当に生きてる!!」
「チュチューン!!」
「肌は結構すべすべしてるわね……鼻が花の形って洒落か何か?」
「チュチューン!お、おい!止めてくれよ〜!!」
「……喋ったぁぁぁ!!?」

その後、少女が落ち着くまでの30分間…………モグラ獣人は少女に身体中をまさぐられたのだった。


230 : 涼宮ハルヒの歓喜、モグラ獣人の苦悩、ロックジョーの??? ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:36:48 IxSonQSE0
☆☆☆

「チュチューン……」

少女に身体中を触られて、モグラ獣人はぐったりとしていたが、当の少女の方は何故だか元気になっていた。

「いやぁ〜ゴメンね!まさかこんな所で本物の怪獣に会えるなんて思ってなくて、つい興奮しちゃって……あ、私はSOS団団長の涼宮ハルヒよ!アンタはなんて言うの?」

少女……ハルヒは全く悪びれる様子を見せずに自己紹介すると、モグラ獣人にも自己紹介を促した。

「……俺はモグラ獣人だ。というか、俺は『怪獣』じゃなくて『獣人』なんだけど・・・」
「『怪獣』も『獣人』も大して変わらないわよ。ようは体の大きさがビル並みか人間並みかの違いじゃない。それより、聞きたい事があるんだけど……」

モグラ獣人の意見を一蹴りして、ハルヒは強引に情報交換を始めた。

ハルヒの話す『SOS団』なるグループとその仲間達との他愛ない日々の話を聞きながら、モグラ獣人は自然に『楽しいそうだな……』と思った。
次に、モグラ獣人がアマゾンやゲドン、そしてガランダー帝国の話をすると、ハルヒは『世界征服を企む悪の組織にそれと戦うヒーロー!?まるでテレビの特撮番組みたいじゃない!!』と、目を輝かせながら興奮していた。
しかし、モグラ獣人が自身の生死やそれに関するこの場での憶測を語ると……流石のハルヒも神妙な表情を浮かべたのだった。

「えっと……もしかして不味い事聞いちゃったかしら?」
「……いや、大丈夫だよ。本当のところは俺にもよくわからないから」

『自分は地獄に落ちたのかもしれない』と語るモグラ獣人の姿はなんだかとても悲しそうで……ハルヒは胸が締め付けられるような感覚があった。

「あぁもう……そんな辛気臭い顔しないの!確かにここは悪夢みたいな場所かもしれないけど、断言しても良いわ。ここは『地獄』でも『死後の世界』なんかでもないわよ!」
「……なんでそう言い切れるんだ?」
「だって私、まだ死んでないし」

あっけらかんと告げるハルヒにモグラ獣人は呆れそうになるが、ハルヒはモグラ獣人と目と目を合わせて「……それに」と続けた。

「アンタはアマゾンって人の仲間……『トモダチ』だったんでしょ?昔はどうだったか知らないけど、正義のヒーローの『トモダチ』が死んだ後に地獄に落ちる訳ないじゃない!そんなの、閻魔様が許してもこの私が許さないわ!!正義のヒーローが死んだ後に行くべきなのは、『天国』のはずだもの!」
「……」

何の根拠も、確証も無い言葉。
だがモグラ獣人には、何よりの救いの言葉だった。

そうだ。
自分は悪者から世界を守るアマゾンライダーの『トモダチ』だ。
死んだ後に行くべきなのは『地獄』ではなく、『天国』の筈だ。

そう思うと……モグラ獣人の青い目からは自然と涙が流れ出していた。

「……ありがとう。お前、本当は良い奴なんだな」
「……『本当は』は余計でしょ!」

モグラ獣人の言葉にハルヒは頬を膨らませてそっぽを向くが、不思議と悪い気はしなかった。

「ほら!正義のヒーローの仲間が、そんなに簡単に泣いたりしないの!」
「チュチューン……」

ハルヒはスカートのポケットからハンカチを取り出すと、モグラ獣人の目から流れ出る涙を拭き取る。
その姿はまるで、幼子を慰める母親のようだった。

「……ちょっと!誰が『母親』よ!?せめて、『姉』って言いなさいよ!!」
「……チュチューン?」

地の文にツッコミを入れるハルヒの姿に、モグラ獣人は首をかしげたのだった。

その時である。
近くの草むらから、がさごそと何かが動くような音が聞こえてきた。

「えっ?な、何?」
「チュチューン!」

突然の物音にハルヒは固まり、モグラ獣人はハルヒを庇うように身構える。
そして、草むらの方からは……

「ワフゥ〜」

二人の思いもよらない者が姿を現したのだ。


231 : 涼宮ハルヒの歓喜、モグラ獣人の苦悩、ロックジョーの??? ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:37:46 IxSonQSE0
「チュチューン!?」
「こ、今度はブルドック怪獣!?」

そこにいたのは、一匹のブルドックだった。
だが、ただのブルドックではない。

「ワフゥ〜」

それは額からフォークを思わせる触覚を生やし、牛かサイに匹敵する巨体を持つ巨大ブルドックだったのだ。
その首にはハルヒやモグラ獣人と同じく、金属製の無骨な首輪が嵌められている。
どうやらこのブルドックはNPCではなく、参加者のようだった。

「凄い!スゴいわ!モグラ怪獣を見つけたと思ったら、今度はブルドック怪獣に会えるなんて!!」
「いや、だから俺はモグラ『獣人』なんだけど……」

モグラ獣人の抗議がハルヒの耳に入る事はなかった。
ハルヒは巨大ブルドックに駆け寄ると、その大きな体に抱きついた。

「きゃあっ!スッゴいモフモフだわぁ〜♪ぬいぐるみみたい!」
「ワフゥ〜♪」

ハルヒにギュッと抱き締められて、巨大ブルドックは嬉しそうに鳴いていた。
一方、モグラ獣人は巨大ブルドックに対してビビりまくっていた。

「チュチューン……おいやめろよ。食われたらどうすんだよ?」
「フッフッフッ……本物の怪獣に食べられるなら本望よ!」
「チュチューン……」

ハルヒの様子にモグラ獣人は困惑するしかなかった。

「……ん?」

そこでモグラ獣人はある事に気がついた。

「おい、そいつ、首になんか書いてあるぞ?」
「えっ?」

巨大ブルドックの首には『こんにちは、ボクの名前はロックジョー。ハグが大好きです』と英語で書かれた看板がぶら下がっていたのだった。

「へぇ〜、アナタ『ロックジョー』って言うのね?カッコいいじゃない!」
「ワフゥ〜♪」

巨大ブルドック……ロックジョーは、自身の体をなで回すハルヒの顔を、体と同じくらい大きな舌でなめたのだった。

「きゃあ!くすぐった〜い♪」
「ワフゥ〜」

ハルヒとロックジョーは楽しそうにじゃれあっていたが……

「チュチューン……」

………それを眺めるモグラ獣人は困惑するばかりであった。


【モグラ獣人@仮面ライダーアマゾン】
[状態]:健康、困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:アマゾン達に会いたい
1:ハルヒの様子に困惑
2:なんで俺、生きてるんだ?
3:俺は『怪獣』じゃなくて『獣人』なんだけど……
[備考]
キノコ獣人に殺された直後からの参戦。
殺し合い会場は地獄なのでは?と考えています。

【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康、歓喜、興奮
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:生きて帰りたいけど、人殺しはしたくない
1:本物の怪獣がこんなに!!スゴ〜い!!
[備考]
『射手座の日』以降、『消失』以前の時間からの参戦。

【ロックジョー@マーベル・コミックス】
[状態]:健康
[装備]:自己紹介カード@マーベル・コミックス
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:早く帰りたい
1:ワフゥ〜♪
[備考]
『Ms.マーベル』誌でMs.マーベルことカマラ・カーンと行動していた頃からの参戦。
テレポート能力を持っていますが、制限により一度に移動できる最大距離はエリア一マス分だけです。



【自己紹介カード@マーベル・コミックス】
2代目Ms.マーベルことカマラ・カーンと最初に会った時に首から下げていたカード。
「HELLO.My name is Lockjaw.I like Hug(日本語訳:こんにちは、ボクの名前はロックジョー。ハグが大好きです)」と書かれている。


232 : 涼宮ハルヒの歓喜、モグラ獣人の苦悩、ロックジョーの??? ◆4kMBNI9QkE :2021/10/19(火) 17:38:42 IxSonQSE0
以上、投下を終了します。


233 : 災難な風間くんだゾ ◆.EKyuDaHEo :2021/10/19(火) 18:27:53 3WMAQhJk0
自分が投下した候補話に誤字があったので修正します
誤:「確かに最初は驚いたけど仕方ないことだからね、それに一人じゃ心細いでしょ?服も一緒に変わりになるもの探してあげるからよ!ルイズさんとレナさんもそれでいいですか?」
正:「確かに最初は驚いたけどそれは仕方ないことだからね、それに一人じゃ心細いでしょ?服も一緒に変わりになるもの探してあげるよ!ルイズさんとレナさんもそれでいいですか?」


234 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/19(火) 19:19:27 CQaoWxyE0
投下します


235 : ぼっち・ミーツ・ガール ◆7PJBZrstcc :2021/10/19(火) 19:20:08 CQaoWxyE0
 殺し合いの会場である浮遊大陸。
 そのどこかで、二人の少女が睨みあっている。
 いや、正しくは睨んでいるわけでは無いのだが、なぜこうなったのかを解説しよう。

 この場にいる少女の内、一人の名前はゆんゆん。
 あだ名みたいな名前をしているが、本名である。
 世界とは数多あるのだから、こんな本名を持った種族もいるところにはいる。
 いるが、少なくともこの場では現状あんまり関係ない。

 対するもう一人の名前は後藤ひとり。
 勉強も運動もダメで、唯一の特技はギターである。
 その腕前は、ネットにあげている演奏動画チャンネルの登録者数が八万を超えるほどだが、まあ普通の女子高生である。

 ひとりは殺し合いの会場に転送された直後、ゴブリンに遭遇した。
 ゴブリンはたった一匹だったが、彼女からすれば十分な脅威。
 逃げ出そうとするがすぐに追いつかれ、彼女の『はじめて』が奪われるのは時間の問題だった。

 しかし、ここでゆんゆんが助けに入り、ひとりは助かった。
 こうしてひと時の安寧は訪れたが、別の問題が発生した。

 唐突だが、この二人にはある共通点がある。
 それは、二人ともコミュ障でぼっちなことだ。
 その為、彼女達はそれぞれこう思ってしまった。

 一緒に行動したいけど、向こうはどうなの? と。

 ゆんゆんからすれば、ひとりは助けた以上見捨てたくない相手だ。
 この場に放置していると、きっと早死してしまうだろう。
 なので、できれば一緒に行動したいが、向こうはどうなのか、彼女には分からない。

 ひとりとしては、ゆんゆんは掛け値なしに恩人だ。
 しかし、自分にできることは恐らく何もない以上、足手まといになるのは確実。
 はっきり言って、置いていかれるかもしれない。
 だがそれを目の前の相手に確かめる勇気はない。

 かろうじて互いに自己紹介はすませたものの、それ以上踏み込めない二人。
 するとそこに――

 ザッ

 と足音が響く。
 新しい来訪者が現れたのだ。思わず音のする方に二人は首を向けた。
 二人の視線の先には、どちらも面識がない少女が立っていた。

 彼女の名前は桐間紗路。
 とある街に暮らす、ごく普通の女子高生だ。
 普通というには、実は苦学生だったりカフェインで酔っぱらう体質を持っていたりとキャラは濃いが、それでも普通の範疇である。

 そんな彼女は、知らない人が見たらいかがわしい店と勘違いされそうな店の制服を身に纏った状態で、目の前の状況にツッコミを入れるべく叫んだ。

「どういう状況なの!?」


【ゆんゆん@この素晴らしい世界に祝福を!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:ど、どうしよう……どう言えばいいのかな

【後藤ひとり@ぼっち・ざ・ろっく!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:死にたくない
1:な、何で黙ってるの……?

【桐間紗路@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:どういう状況なの!?


236 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/19(火) 19:20:32 CQaoWxyE0
投下終了です


237 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/19(火) 19:37:28 CQaoWxyE0
>>235
シャロの状態表に誤字がありました。以下のように修正します

【桐間紗路@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:どういう状況なの!?


238 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 19:56:15 IOmiXf5I0
投下します。
遊戯王OCGのカードについて独自の解釈を含みます


239 : それでも私はレイが/ココアさんが好き ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 19:58:06 IOmiXf5I0
私は閃刀姫。
あの人も閃刀姫。
互いの信念を胸に何度も斬り合い、刃を通して通じ合った仲だけれど……きっとこの恋は、叶わない




「惨い……」

ルール説明のために醜態を晒しながら逝った少女。まるで見せしめのような哀れな彼女に対して閃刀姫ロゼは同情する。

おそらく彼女には抵抗する手段があった。あの状況下でも途中まで反抗的な態度を取れていたのは武力か、或いは確固たる信念があったに違いない。

だがそんな力や意志すらも感度三千兆倍という快楽の前に為す術なく崩れ去った。
もしも彼女が自分のような戦士であったのなら……きっとその屈辱は、死んでも死に切れぬ程に辛いものだろう。

「あなたが何者なのかは、私にはわからない。所詮は赤の他人だから……」

ロゼは見せしめの少女について何も知らない。
彼女がどんな人生を歩み、どんな性格で、どんな人物なのか。そんなこと赤の他人であるロゼが知るわけもない。

「それでも一つだけわかることがある」

それは彼女が最期に感じたであろう気持ち。『屈辱』だ。

「一切の抵抗も許されず、快楽の沼に堕とされる。戦士としてこれ以上の地獄はないと思う……」

もしも自分があんな目に遭ったら……きっとその屈辱に耐え切れない。
あの死に様は戦士を侮辱しているとしか言えない。反抗の意思すら快楽の波が連れ攫ったあの最期は哀れという他ない。

ならば今のロゼには何が出来る?
死者の蘇生?
───生憎とそんな技術を私は知らない

優勝して見せしめの少女を復活させる?
───論外。あの少女は哀れだけれど、そのために誰かを犠牲にすることは剣士としての誇りに傷が付く

「私に出来る事は、ただ1つ」

己に支給された剣を見据える。
哀れな末路を迎えた少女のために、剣士に出来ることはたった1つしかない。

「あなたの意志は、私が受け継ぐ」

───それだけが剣士の私に出来る最善だから。

ロゼには戦うしか能がない。
ただひたすらに訓練し、好敵手と戦いを繰り広げて生きてきた。
その人生を無駄とは思わないし、恥じるつもりもない。それが閃刀姫ロゼという少女だ。

だから彼女は迷いなく見知らぬ少女の意志を継ぐという選択をした。
死体は見慣れている。何度もこの目で、様々な死に様を見届けてきた。

仲間が死ぬ度に意志を受け継ぎ、技術を継承し、ただひたすらに戦い続けた。

それはこの殺し合いでも変わらない。色々と特殊な状況のようだが、主催者を斬れば済む話。

それが閃刀姫という生き方なのだから。

「レイ……あなたもきっと、そうするはず」

ロゼは好敵手のレイを誰よりも信じている。
もしも彼女も参加しているならば、自分と同じく閃刀姫として殺し合いの破綻を狙うことだろう。


240 : それでも私はレイが/ココアさんが好き ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 19:59:29 IOmiXf5I0

つまりこれは好敵手と共闘出来る数少ない機会でもある。
本来ならばこの状況でこんな感情は間違っているのかもしれないが……レイと共に戦えることは、少しだけ嬉しい。

「私は何を……っ!」

自らの頬をパンパン、と2回程叩く。僅かに緩んでいた顔が再び引き締まった。

ロゼはレイを誰よりも愛している。
好敵手として何度も刃を交えているうちに、彼女が悪人でないことは理解出来た。

そもそも彼女が行っているのは戦争のようなものだ。互いの国を賭けて戦っているから、どちらも譲れないが……片方だけが悪であるなんて、そんなことは有り得ない。

それは正義と正義。信念と信念のぶつかり合いでしかないのだから。

だから何度も互いの想いをぶつけ合った結果として、いつの間にかロゼはレイに惹かれていた。

───好敵手に対して恋愛感情が芽生えるなんて異常だけれど、それでも私は彼女が好き

最初は悩んだ。うつ病になるほど、悩み果てた。
私とレイは敵同士。どちらかが死ぬまで、この戦争は終わらない。
だから私がこんな感情を覚えるなんて、許されないのに……それでもレイが気になる

そもそも私は女性。レイと同じ性別。
女性同士が結ばれるなんて、そんなことは有り得ない。同性愛者なんて異端でしかないはずだから。

異常な気持ちを整理しようとして、それでもなかなか上手く出来なくて。
剣の扱いなら慣れているのに、心の扱いは思った以上に難しい……。

いつもならこんなにも迷わないのに、恋愛感情というものは予想以上に苦しいものだった。

メンタルに支障が出て、寝不足が続くほどに悩んだ。それでも私はレイを諦め切れなかった。

だから私はこの気持ちを捨て去ることを諦めて、ずっと片想いする道を選んだ。
いずれどちらかが果てるまで、この戦争は終わらないのに。私達は戦うしかないのに……。

それでも私は、レイが好き。
あの少女はそういう意味でも哀れだったと思う。
もしも想い人が存在したならば、あんな末路は見せたくないだろうから。
戦士としても、女性としてもあの少女は尊厳を破壊された……。

その想いを。主催者に反抗しようとした気高き意志を継ぐことは私の役目。


241 : それでも私はレイが/ココアさんが好き ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 20:00:35 IOmiXf5I0



女の子同士でこんなのはおかしいってわかっいてる……。
それでも私はココアさんに好きだって言いたい。
ココアさんの笑顔はいつも少しだけ眩しくて、とっても暖かくて……。
それでも嫌われたくないから……引かれたくないから……私は何も言い出せない。




片想いの閃刀姫が誓いを立てているのと同時刻。
彼女と同じく、同性の相手に淡い恋心を抱く少女が居た。

「これはいったい何が……」

少女の名は香風智乃(以下、チノと表記)。
チノは何の力もない普通の少女だ。ティッピーという喋る不思議なうさぎこそ存在するが、それ以外で特筆すべき点が特にないような平和な世界に住んでいる。

だがこのチノは数ある可能性の世界(パラレルワールド)から呼び出された存在であり、普通の香風智乃とは少しばかり違う。

彼女はココアのことが恋愛的な意味で大好きだ。
それはココアのことを想像して自慰してしまう程の愛。そして好きだからこそ、してしまった後に罪悪感で涙を流してしまう。

他のことで頭をいっぱいにして、なんとかココアへの想いを消そうともした。
だがそんな簡単に愛は消えない。消せるわけがない。

本当はココアに気持ちを伝えたいと思っているが、女の子同士の恋愛がおかしいという常識を知っているから伝えられない。
なによりこの世界のココアには兄がいて、彼と性交している声を聞いてしまった。これもまた、大きな原因だろう。

実際はココアもチノのことが好きで、兄妹のエッチはコミュニケーションという謎の刷り込みをされた結果なのだがそんなこと今のチノは知らない。

大好きなココアに嫌われたくないから。引かれたくないから、気持ちを隠してきた。
ずっと彼女の隣に居たい。特別になりたい。それがチノの願いだ。

それなのにチノはココアの隣から離れてしまった。本来ならばそれは一時的な家出で終わり、迎えに来たココアと結ばれるはずだった。
しかし運の悪いことに、チノは家出直後。ココアが迎えに来るより前に、このバトルロワイアルに参加させられてしまった。

チノには男の話す言葉の意味が理解出来なかった。
ずっと日常を謳歌していた人間が、非日常に適応することはあまりにも難しい。


242 : それでも私はレイが/ココアさんが好き ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 20:01:53 IOmiXf5I0
なにより同性愛に悩み、好きな相手のことばかり考えていた少女には男の言葉があまり頭に入ってこない。
それ以上にこのままココアとはなればなれになることをチノは危惧して、頭がいっぱいだった。

だが見せしめにされた少女が尊厳すら破壊されたような死を迎えたその瞬間だけは、よく覚えている。

恋する乙女にとってあの死に様は悲惨極まりない。
好きでもない相手にあんなふうに弄ばれ、恋心を踏み躙られるような真似だけは絶対にされたくない。当たり前のことだ。

「このままじゃ、ココアさんが……」

なによりもチノが気掛かりだったのはココアの存在だった。
もしもココアが巻き込まれていたら、あの少女と同じ目に遭う可能性がある。
それだけは嫌だ。大好きな人を、陽だまりを破壊されたくなんてないから。

そんな最悪の事態を防ぐには、この殺し合いを止めるしかない。
チノは普通の一般人だ。特殊な力や戦うための技術なんて何もないけど、それでも大好きなココアのために戦うしか道はない。

震える手で必死にデイバックから何かを取り出して……。

「そのココアというのは、あなたの大切な人?」

黒の閃刀姫が現れた。


243 : それでも私はレイが/ココアさんが好き ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 20:02:26 IOmiXf5I0



見知らぬ少女に声を掛けられたチノはどうしようか戸惑ったが、素直に自分とココアの関係を語り始めた。
きっとこの女性は引くと考えるチノだが、それでも話せば少しは楽になると思った。
同性愛を真っ向から否定されたら、多少は諦めがつくのではないか……。そんな期待も多少はあった。

だが返ってきたのは意外な言葉。

「なるほど。私にも好きな女性がいる」
「えっ!?」
「何を驚いているの?あなたも私と、同じはず……」

困惑するチノに対してロゼは迷いのない真剣な瞳で話す。

「すみません。でも女の子同士でこんなことは……」

しっかりと真っ直ぐ前自分を見てくるロゼの視線にチノの言葉が僅かに弱まる。
女の子同士の恋愛はおかしいことだが、それを口に出してしまえば自分だけではなく相手も傷付けてしまう。

「たしかに世間的には異常かもしれない。でもそれだけの話」

しかし目の前の剣士はそれを異常と認めた上で「それだけの話」と切り捨てる。

「異常だから誰かを好きになってはいけないという法はない」

普通とか、異常とか。そんな世間の視線にロゼは囚われない。
もっともそれは既に彼女が世間から特殊な目で見られる『閃刀姫』であることも大きいのかもしれないが。

「もしも存在するとしても……私は自分の心に嘘をつきたくない」

それがロゼの結論。
レイとは決して結ばれることがないと理解している彼女が、それでも好意を捨て切れない理由。

「好きなものは好き。好きだから好き。それの何が悪い?」
「それ、は……」

チノはロゼの言葉に何も言い返せない。
世間的に見ればおかしいことかもしれないが、誰かを好きになるのが悪いことだなんて思えないから。

───ココアさんのことが、好きだから……。

「あなたの言う通りです……。女の子同士で恋愛したらダメな法律なんてありません」
「そう。己が気持ちを恥じる必要は何もない」

閃刀姫として生きてきたロゼにも心がある。
幾度となくその刃を血に染めようとも、心の自由だけは誰にも奪われたくない。


244 : それでも私はレイが/ココアさんが好き ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 20:03:04 IOmiXf5I0

数々の命を奪っているのに烏滸がましいと言われるかもしれないが、それが戦争というもの。そう割り切らなければ、やっていられない。

「もう一度聞く。あなたは誰が好き?」
「私はココアさんが大好きです……!」

先程までと違い、迷いを振り切ったように「好き」を口にするチノを見てロゼは微笑む。

人間には心がある。
誰が誰を愛そうが、それは個人の自由だ。

「声に芯が通って安心した。私の名前はロゼ。……これからよろしく、我が同志」
「私はチノです。よろしくお願いします、ロゼさん」

ロゼとチノは同じ道を歩む仲間となった。
それぞれの想い人が殺し合いに参加しているのかわからないが、それでも2人には帰るべき場所がある。

平和な世界に住んでいたチノは当然として、ロゼにだって愛すべき母国がある。
レイとは一生片思いで終わると覚悟しているが、それで良い。

だが決着はこんな殺し合いではなく、互いの信念に従って赴いた戦場でこそ輝く。

なにより愛するレイをあの少女のように穢されたくはない。
新たに出来た同志も失いたくはない。自分が立場的に不可能な分までチノには頑張って欲しいという気持ちもある

そのためにもチノを守りつつ、戦わなければならない。
他にも力なき者が巻き込まれているならば、戦士として助けるべきだろう

───やるべきことは山積み。それでもこれは私自身が選んだ道……。

閃刀姫の少女は静かな闘志を。心の刃を主催者に向ける

【閃刀姫-ロゼ@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者を斬る
1:チノを守る。
2:レイとココアを探す
3:力なき者は助ける
[備考]
ランダム支給品のうち1つはなんらかの剣です
遊戯王カードについての知識はありません

【香風智乃@チノちゃんはご執心 ココア√】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:ココアさんの居るキラキラ輝く日常に帰って「好き」を伝えたい
1:ロゼさんを信じて行動します
2:もしもココアさんも巻き込まれていたら……
[備考]
参戦時期は1巻の終盤。ココアから離れた直後


245 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 20:03:39 IOmiXf5I0
投下終了です


246 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/19(火) 20:09:26 IOmiXf5I0
>>244
チノの状態表が出典の関係で「1巻」だとややこしいので以下のように修正します

【香風智乃@チノちゃんはご執心 ココア√】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:ココアさんの居るキラキラ輝く日常に帰って「好き」を伝えたい
1:ロゼさんを信じて行動します
2:もしもココアさんも巻き込まれていたら……
[備考]
参戦時期はココア√1巻の終盤。ココアから離れた直後


247 : 魅惑に溺れお労しい ◆0EF5jS/gKA :2021/10/19(火) 22:05:32 nxfN1X220
投下をさせていただきます。


248 : 魅惑に溺れお労しい ◆0EF5jS/gKA :2021/10/19(火) 22:06:08 nxfN1X220
会場のどこか、ある場所で一人の少年は困惑していた。

「意味が…わからない…」

誰にも負けぬ侍になるために、
日の本の国で頂点に立てる侍になるのを願う少年が
首輪を意思に関係なく付けられ、淫獄と化した
殺し合いの世界へ召喚されてしまった。
名は継国巌勝、後に上弦の鬼、
黒死牟となる子供である。

「どういうことなんだ…?」

そんな彼にある感情の一つ目は困惑
軟禁状態にあるも同然な弟に木彫りの笛を手渡し
心配するかのように見つめる弟へ
「助けて欲しいと思ったら吹け 兄さんが助けにくる」と
父親に弟にかまった事実に怒りぶたれた次の日に
赤紫に腫れた顔で笑った。

「何が理由でこんな催しに呼ばれたのだ…?確か縁壱に笛を渡して…」

最後の記憶はそれであった。
だからこそ困惑していた、笑った直後になぜこんな
意味など到底わからない殺し合いによばれてしまったのか

召喚してきた得体の知れぬ謎の男は何者か
淫らに狂わせるような罠だの
えろとらっぷだんじょんだとか知識に無い言葉を吐く
男性も油断するなとも言っていたがこれもよくわからない。

巌勝は少なくとも11未満の男児であり
性的な知識はまだ身につけていない。
故に淫らな用語など理解できるはずも無かった。

だがあの四角い物体に映し出された少女の姿を見て
へたな間違いを犯せば自分あのように狂い果てることは伝わった。
その事実が巌勝を恐怖の渦へ誘う。

そして次にわきでる感情は嫌悪であった。
罪が全く無い者たちを無法地帯である
殺し合いへ有無を言わさず放り込み、願いや金で殺戮を煽る主催
見せしめとしてか弱い少女を発狂させ殺害するなど正気の沙汰ではない。
あのような者を生理的に受け付ける人物などこの世にはいない。


「そうだ縁壱は…!頼むこんな場所にいないでくれ…!」

巌勝は弟の縁壱が召喚されている可能性に気づき
急いでバックから名簿が書かれた紙を見ようとした瞬間

「え?」

背後から粘液を浴びた無数の触手がうごめく
触手は子供の身体能力では決して逃げられない
速度で絡みつき自由をあっという間に奪った。

「な、なんだこれ!?」

数えられないほど大量に存在する触手は
何も言わず巌勝を無慈悲にもきつくしめつける

「ぎ、いい…あ…!!やめ…ろ…!」

あまりにも強い力で締め上げられていく

「だ、れ…か…!たす……け…」

助けを呼ぼうにも周囲には誰も居ない
存在するのは話し合いなど天地が逆になろうとも
通じることは無いうごめき続ける触手だけ。


249 : 魅惑に溺れお労しい ◆0EF5jS/gKA :2021/10/19(火) 22:06:47 nxfN1X220
「…やめ……あ……」

体力も気力も猛烈な力で締め付けられ
激痛のあまりで動けなくなり
そのまま地べたへと放り投げられ
故障した人形のように痙攣し何もできなくなった。

(死ぬ…のか…こんなところで…縁壱が呼ばれてしまっているかも…しれぬのに…)

耳も聞こえぬか弱い弟がこの地獄のような
場所に召喚されてしまえばどうなるか
すぐに蹂躙されあの少女の狂わされ
無惨にも殺される結末しか無い。

巌勝は身体的にはまだ子供であり、剣術を教えてもらっている
師範にも全く勝てない程度の実力である。
しかしそれでもあがかないわけには行かないし、
諦める理由にもならない。

芋虫のように張ってでもここから逃げようとするが、
放り捨ててきた無数の触手が再び巌勝を捉えた。

「え?」

再び締め付けられたがさっきよりはきつくは無いが
それでも脱出不可能な程度には力が入っている。

「やめろ…今度はなにをするつもりだ…」

今度こそ締め付け殺そうとするのではと考えたが
それにしてはなぜか緩い。なにが目的なのかと思った次の瞬間
触手が妖しく、くねりながら上下の服の隙間から入り込んだ。

「は?」

触手は乳首とうり坊の肉のように柔らかい下の棒に―
「!?」

ゆっくりと触れこね回した。

「な…なにを…」

迫り来る謎めいた感覚にとまどいと恐怖で心が埋め尽くされていく。

「あ…ぁぁ…」

しかし心は徐々に

「なんだこ…れ…気持ち…悪い?…んぐぅ!?」

何かを感じていた

触手が今度口の中に入り込み
全ての歯を下の表と裏や喉の奥まで
未知の感覚を呼び起こそうとするように
なめ回すかのような動きで這い回る。

「ん〜〜〜〜ぅぅぅぐぅううぅぅぅ!!?」

口の中の触手が抜けた瞬間に
乳首と快楽をつかさどる棒をこねくり回す触手の早さが徐々に増してきた。

(やめろ!お願いだからやめてくれぇ!やめ……ぇ……?)

早さが増すたびに巌勝はさらに恐怖に染まっていく、その一方で

(おかしいどうして………怖い…のに…気……ち…い………?)

奇妙で心地良い快楽が確かに芽生えた。

芽生えと同時にうごめく触手の早さらがさらにまし
さらにもう一本の触手が臀部の穴にまで入り込んだ。


250 : 魅惑に溺れお労しい ◆0EF5jS/gKA :2021/10/19(火) 22:07:36 nxfN1X220
「ひっああっが!!?」

その穴に入り込んだ触手はピストンのように奥に入っては
抜ける動きを繰り返し、巌勝をさらなる快楽と誘っていく。

(ぁぁあ……)

恐怖は徐々に経験したことのない
至福の快楽へと生まれ変わっていく
表情は青ざめていたが今では
愉悦のあまりふやけてしまった。

「こんな…こ……と……やぁあぁぁ……」

体験したことも知識にも無い快楽が
押し寄せたことで呆然とし、
ただ未知の気持ちよさを受け入れるのみとなった、
抵抗するなど微塵も思わない。
ぬめる粘液に感じた気色悪さは既に砕けている。

乳首と肉の棒はそそり立ち
棒からは快楽の白濁液が今にも顔を出しそうになっている。

そして甘美にして淫らな幸福をもたらす
触手がラストスパートだと言わんばかりに
速度をますます上げていく
全身に信じられない快楽と高揚感が巡り際限なく欲情していく。

「びゃあっ!あうあっ…はぁあぁは!」

呼ばれているかも知れない弟を守り抜く
そんな目的はもう塵となり消え失せたも同然である。
今はただ快楽をただ受容するのみ。

「ぁあぁああはあああぁぁああああぁぁぁぁあ!!!」

触手の快楽はピークに達し巌勝はただひたすら
もだえながら白く濁った液体を下の棒から勢いよく流した。
「あ…あぁ…」

もはや巌勝には思考力なども残されていなかった。
この蠢く触手は巌勝が死ぬまで弄ぶのか、
それか死してなお続けるのか、今はまだ不明である。

絶頂した後もお構いなしに触手は
さらに本数を増やして
下の穴を、胸を、固まっている棒を、
こねくり回し、粘液や白濁液にまみれた巌勝を遊び続けるのであった。

「き……もち…い……い……もっ……欲し……い……」

見せしめの少女に比べたらほんの一部ではあるが
日の国で一番の侍を目指した子供は
快楽を刻まれ続けるのであった。

【継国巌勝@鬼滅の刃】
[状態]:絶頂、粘液まみれ、勃起、気持ちよさ、欲情。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、1〜3、
[思考・状況]
基本行動方針:??????
1:気持ちいい…
2:こんなの…知らなかった…
3:より…いち……?そんなことより…気持ちいい…

[備考]
縁壱に笛を渡した直後からの参戦です。

『NPC紹介』
蠢くもの@腐界に眠る王女のアバドーン

綾小路邸を徘徊する無数の触手の集合体
基本的には撃破できず逃げるしか無い。
敗北すると女性であれば陵辱されるが
今回のロワでは主催によって改造され男性でも陵辱する。


251 : 魅惑に溺れお労しい ◆0EF5jS/gKA :2021/10/19(火) 22:08:05 nxfN1X220
投下は以上です。


252 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/20(水) 08:00:52 ceI1cihU0
投下します。


253 : ポテンシャルは高いんですよ ◆U1VklSXLBs :2021/10/20(水) 08:01:30 ceI1cihU0
会場内の丘陵地帯。市街の中心部から離れた場所に立つ廃寺。そこから1人の少女が殺し合いの場へ旅立つ。サイドに括られた金髪、豊かに実った乳房と臀部は服の上からでも男の劣情をそそる。スカートからすらりと伸びる太腿は眩しいほどだ。なにより、クォーターの彼女は美形だった。

(とことん趣味の悪い!なんとしてもぶっ飛ばさないと!)

舞はロワへの参加を告げた男を、必ず殴り倒すと決意した。殺人はともかく、荒事に関しては多少の経験はある。

ファントム。妖怪や幽霊、異形の物の総称である。遡ること十数年前、阿頼耶識社の実験施設がテロに会い、脳に達する事ができるウイルスが流出。バイオハザードにより、ファントムを誰もが認識出来るようになった。さらにファントムに対抗できる、異能を持った子供が誕生する。舞もその1人だ。

ホセア学院高等部、脳機能エラー対策室チームE。幻想と現実の境目が薄くなった世界で、舞はファントム退治の報酬として米や日用品をもらい、生活の足しにしている。

「オークとかゴブリンとか抜かしてたけど」

要はファントムの事だろう。気兼ねなく蹴散らして、主催のもとに辿り着くまでの憂さ晴らしとしよう。あわよくば、報酬の20億も頂いていく。そんな事を考えながら歩いている舞の耳に、何かが風を切る音が飛び込んでくる。

ーー!

舞は素早く反応すると跳躍、右手にあった駐輪場まで駆けていく。自転車の止まっていない駐輪場には、雨雪を除ける屋根が設けられている。もう一度風切り音がして、遮蔽物のフェンスに矢が命中。貫通するも射撃の威力に矢自体が耐えきれず、破片となって舞の目の前に落ちた。

舞の支給品は手甲だ。戦闘スタイルには噛み合っているが、これで飛び道具を相手取ることはできない。身を屈めて張り付くような姿勢をとり、首を伸ばして矢が飛んできた方向に視線を巡らす。屋上に立つ射手の姿を捉える事ができたが、距離は遠い。

(遠いわ…さっさと降りてきなさいよ!)

降りてきたら、こっちから接近して叩いてやるのに。このような場所でなかったなら、身体能力を頼みに舞の側から突撃していただろう。やむを得ず、舞はフェンスで身を隠しながらその場から離脱する。

舞を狙った射手は、舞の姿を見失って数分経過すると弓を下げた。赤みを帯びた皮膚のワニと人を混ぜたような姿のヒューバジャイドは、狙った獲物を追跡したりはしない。砲台のように参加者を狙い、他のNPCの狩りをサポートする。




【川神舞@無彩限のファントム・ワールド】
[状態]:健康
[装備]:武松甲
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]
基本:主催の打倒。
1:ひょろ長い男はぶっ飛ばす。
2:20億円は頂きよ!
3:狙撃か…。



【支給品紹介】
【武松甲@東京魔人學園剣風帖】
素手で虎を倒したという梁山泊の行者、武松が使ったと言われる手甲。ゲーム本編においては、攻撃力80と表現される。


『NPC紹介』
【ヒューバジャイド@鬼武者2】
幻魔の科学者、ギルデンスタンが作成した弓足軽を改良したもの。人間に幻魔の血肉を組み合わせて作られた"造魔"。ヒュージャイドの上位種にあたる。接近戦は行わず、弓矢で仲間の攻撃をサポートする。


254 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/20(水) 08:01:44 ceI1cihU0
投下終了です。


255 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/20(水) 08:56:28 ocKS8Acw0
コンペロワに投下した作品に細かな修正を加えましたものを投下させていただきます。


256 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆4kMBNI9QkE :2021/10/20(水) 08:57:45 ocKS8Acw0
「ハァ……ハァ……」
「フフフ……どうした少年?君の力はその程度か?」

薄暗い森の中。
民族衣装的な服を着た黄土色の髪の少年……ーノ・スクライアは、
黒いドクロを思わせる仮面にマントを装着した野太い声の人物……スカールと対峙していた。

ユーノの体には数えきれない程の傷が刻まれており、左手で押さえている右上腕からは赤い血が流れ出している。

一方、スカールは全くの無傷であり、満身創痍なユーノを嘲笑うかのように両腕を広げて大げさな笑い声を放っていた。

「……」

ユーノは自身の背後に視線を向ける。

「あ……あ……」

そこには左右の髪に×形の髪飾りを着けた制服姿の少女……ゆのが、涙目を浮かべながら地面にヘタリ込んでいたのだった。

☆☆☆

キッカケは些細なことだった。
『殺し合い』の会場に送られてすぐに、ユーノとゆのは出会った。
最初はお互い警戒していたものの、相手が殺し合いに乗るつもりがない事を知ると、互いの名前が似ていた事も合わさってすぐに打ち解けあった。
そして、詳しい情報交換を行うとした所に……スカールが現れたのだ。

スカールは二人との対話を行う事無く、問答無用で攻撃を開始した。
最初こそ、ユーノの使う防御魔法や拘束魔法によってスカールの攻撃を防いだ二人だったが、スカールはユーノが魔法を使う事を知ると二人の目には止まらぬ程の超スピードでユーノを翻弄し、まるでサンドバッグを殴るようにユーノに攻撃を加えていったのだ。

そして話は冒頭に戻る。


257 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆4kMBNI9QkE :2021/10/20(水) 08:58:16 ocKS8Acw0
☆☆☆

「ハァ……ハァ……」

ユーノは荒い息を漏らしながら、背後にいるゆのを守るようにスカールに向かい合っていた。

「………チェーン・バインド!」

ユーノの叫びと共に空中から緑色に光る魔力の鎖が出現し、スカールに向かっていく。

「……ふん」

しかし、鎖が届こうとした瞬間にスカールの姿は消え……

「……遅いな」
「!?」

……まるで瞬間移動でもしたかのようにユーノの眼前に姿を現し、ユーノの腹部に膝蹴りを叩き込んだのだ!

「ぐあっ!?」

ユーノの体はまるでサッカーボールのように吹き飛ばされ、地面に転がった。

「……ユーノ君!」

慌てゆのは、地面にうずくまっているユーノに駆け寄った。

「ハァ……ハァ……」

ユーノは膝蹴りを叩き込まれた腹部に左手を当て、荒い息を漏らしていた。
ユーノの目はもはや焦点も定まっておらず、右上腕の出血と合わさって誰が見ても限界だった。

「ゆ、ゆのさん……に、逃げ、て……」

自身がもう限界だというのに、ユーノは自分ではなく知り合ったばかりのゆのの安否を気にしていた。
しかし……

「そんなの……そんなの出来ないよ!」

ゆのには己の身も省みずに自分を守ろうとしている少年を見捨てる事など出来ず……服が血で汚れる事も気にせずに、傷だらけのユーノを抱き締めた。

「ハハハ!美しい友情だな」

その様子を見ていたスカールは、ゆのとユーノを小馬鹿にするように呟くと、
自身のデイバッグに手を入れた。
デイバッグから出てきたスカールの手には、まるでSF映画に出てくる光線銃をライフルにしたような物が握られていた。
太く銀色の銃身が月の光に照らされて、怪しく輝いていた。

「さて……ではトドメといくか」

スカールはその手に握る光線銃の銃口をユーノとゆのに向ける。

「!」キッ

ゆのはせめてもの抵抗とばかりにスカールを睨むが、スカールにとっては痛くも痒くもなかった。
引き金が引かれ、青白い光弾が放たれる。
ゆのはユーノを抱き締めながら目を瞑り、死を覚悟した。



(・・・?)


258 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆4kMBNI9QkE :2021/10/20(水) 09:00:08 ocKS8Acw0
しかし、どれだけ待ってもその瞬間は訪れない。
恐る恐る目を開けると……

「……大丈夫かい?」

スカールとユーノを抱いたゆのの間に、黒づくめのコスチュームを纏った人物が立っていた。
その人物は、頭のてっぺんから爪先まで、全身を黒と紫のコスチュームで包み、顔を豹を思わせる仮面で隠していた。
突然現れた謎の人物にユーノもゆのも呆気に取られてしまった。

「ほう……今の一撃を受けて無傷か。面白い」

一方のスカールは、手にした光線銃の銃口を黒づくめの人物に向け、再び引き金を引こうとした。
しかし……

「……御免!」
「!?」

スカールの背後からまた別の人物が現れた。
青い繋ぎのような服の上から薄水色の裾長の上着を羽織り、長い黒髪を後頭部で纏めた鋭い目付きの男性だ。
その男性は、抜き身の刀を手にしてスカールを背後から切りつけてきた。
スカールは左腕で男性の刀を受け止めるが……

「ぐわぁ!?」

……スカールの左腕の肘から先は、見事に切り落とされてしまった。
切断面からは機械類が覗いて火花が飛び、血なのかオイルなのか夜闇では判別しずらい液体が漏れだしていた。

「フフフ………二対一とは少し少し卑怯ではないか?」

スカールは切断された左腕を光線銃を持った右腕で抑えながらも、余裕のある振る舞いを見せる。

「黙れ!幼い子供を嬲りものにするような奴に、卑怯だなんだと言われる筋合いはねぇ!!」
「……同感だな」

しかし、コートの男性はそれに怯む事無くスカールに手にした刀の切っ先を向け、黒づくめの人物も指先から鋭い爪を出して今にも飛びかからんとしていた。

「フフフ……仕方ない。ここは一旦、引かせてもらおう」

言うが早いか、スカールの姿は一瞬にして消えた。

「何!?」
「消えた!?」

スカールの姿が消えると同時に、コートの男性と黒づくめの人物は周囲に警戒を向けるが……スカールが再び姿を現す事はなかった。

「ちっ……逃がしたか」

コートの男性は刀を鞘に納め、黒づくめの人物も指先の鋭い爪を収納した。
そして……二人は傷だらけのユーノとユーノの体を抱いているゆのに視線を向けた。

「!」

二人の人物に視線を向けられて、ゆのはユーノの体を強く抱き締めながら身構える。

「……心配しなくて良い。私たちは君達を傷つけるつもりはない」
「……本当、ですか?」

スカールの件もあり、ゆのは黒づくめの男性の言葉をすぐには信用できなかった。

「ああ、もちろんだ」

ゆのに語りかけながら、黒づくめの人物は顔を覆い隠す黒豹を思わせる仮面を外す。

「……約束しよう」

仮面の下から出てきたのは、口髭を生やしたアフリカ系男性の顔だった。
その風貌は日本人とはかけ離れた威圧感があったが、
その瞳には弱者を思いやる優しさが込もっているように
ゆのには感じられた。

「……自己紹介が遅れたな。私はティ・チャラという」

黒人男性……ティ・チャラは微笑みを浮かべながら自己紹介した。

「俺は銀河烈風隊副長・シュテッケン・ラドクリフだ」

続いて、コートの男性……シュテッケンが名乗ったので、ゆのも名乗ることにした。

「は、はい。私の名前はゆのです。こっちはユーノ・スクライア君です」
「……うぅ」

その時、ゆのに抱かれていたユーノがうめき声を漏らした。

「!ユーノ君、大丈夫!?」


259 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆4kMBNI9QkE :2021/10/20(水) 09:00:41 ocKS8Acw0
ゆのは苦悶の表情を浮かべるユーノに声をかける。
次の瞬間……ユーノの体は緑色の光に包まれた。

「……えっ?」
「こ、これは?」

突然の事態に、ゆののみならずティ・チャラやシュテッケンも困惑する。
光が晴れると……先程までユーノが抱かれていたゆのの手の中には、
傷だらけの黄土色のフェレットが横たわっていた。

「ゆ、ユーノ君が動物に!?」
「そんな!信じられねぇ!?」

突然人間が動物に変わるという異常事態に、ゆのは目を白黒させ、シュテッケンも呆気に取られた。

「……ちょっと良いかな?」

そんな中で、ティ・チャラは冷静にゆのに近づくと、ユーノが変化したらしいフェレットの小さな体の脈を測った。

「……よし、微弱だが心臓は動いている。早く手当てすれば、助かるかもしれない!」
「!お、お願いします!ユーノ君を助けて下さい!」

ゆのは涙を流しながら、自分を守るために傷ついた少年を救う事を願ったのだった。


260 : 正義の味方はピンチの時に現れる ◆4kMBNI9QkE :2021/10/20(水) 09:01:13 ocKS8Acw0
【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:フェレット形態、気絶、ダメージ高
[装備]:無し(フェレット形態)、バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは(人間形態)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:巻き込まれた人を助ける
1:……(気絶中)
2:ゆのを守る
3:なのはやフェイトがいるなら、合流する
[備考]
無印最終話からA's第一話までの間から参戦。
はやてやヴォルケンリッターとはまだ面識がありません。
バリアジャケットは支給品ではありません。
フェレットの姿になっても、首輪は外れません。
ゆのを『自分やなのはと同い年か一つ上くらいの年齢』だと思っています。

【ゆの@ひだまりスケッチ】
[状態]:緊張、精神的ダメージ(中)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人殺しはしたくないけど、殺されたくもない
1:ティ・チャラ、シュテッケンについていく
2:ユーノ君が動物になった!?
3:今度は私がユーノ君を助けなくちゃ!
4:宮ちゃんや紗英さんもいるのかな?
[備考]
2年生の中盤付近からの参戦。
ユーノを『自分と同い年くらい』だと思っています

【ティ・チャラ(ブラックパンサー)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康、少し動揺
[装備]:ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:シュテッケンと行動する
2:ユーノの手当てをする
3:人が動物になるとは……
4:知り合いがいるなら合流する
[備考]
『アベンジャーズ:エンドゲーム』以後より参戦。
ゆのを『小学生』だと思っています。

【シュテッケン・ラドクリフ(諸刃のシュテッケン)@銀河烈風バクシンガー】
[状態]:健康、困惑
[装備]:斬鉄剣@ルパン三世
[装備]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:殺しあいだと?ふざけるな!
1:ティ・チャラと行動する
2:ゆのとユーノを助ける
3:人が動物に!?どうなってんだ!?
4:銀河烈風の仲間がいるなら合流する
[備考]
銀河烈風が正式にキョーラーク星警備隊となった辺りから参戦。
ゆのを『ジャッキーやファンファンと同い年くらいの少女』だと思っています。



さて、その頃スカールはというと……

「むぅ〜ん………」

手近な民家の中で、切り落とされた左腕の応急修理を行っていたのだった。

【スカール@サイボーグ009】
[状態]:ダメージ小、左腕欠損、修理中
[装備]:アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:総統の下に帰還する
1:帰還の為に自分以外全員殺す

[備考]
『地下帝国ヨミ編』での009との決戦直前からの参戦。



【バリアジャケット@魔法少女リリカルなのは】
「魔力」によって構成される一種の防護服。
これも一種の魔法であり、大気や温度等の劣悪な環境だけでなく、
「魔法」や物理的な衝撃などからも着用者を保護する。
そのデザインは着用者のイメージによって決定されるが、着用者以外によるデザインの調整も可能。
(以上、ウィキペディアより抜粋)
ユーノ・スクライアの物は民族衣裳的な外見をしているのが特徴。

【ブラックパンサースーツ(アップグレード版)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
『ブラックパンサー』において、ティ・チャラの妹である『シュリ』が製造した新型スーツ。
旧来のスーツ同様ヴィブラニウム製だが、通常時はナノサイズに分解されて豹の爪を模したネックレスの内部に収納されており、使用者の意思によってスーツが形成・装着される。
衝撃を受けるとそのエネルギーを吸収・蓄積し、任意のタイミングで蓄積したエネルギーを周囲に放出する機能がある。

【斬鉄剣@ルパン三世】
言わずと知れたルパン一味の一人『石川五ェ門』の愛刀。
文字通り何でも切れる刀だが、コンニャクを初め切れない物も一部存在する。

【アーニミレーション99L 攻撃用武器@マーベル・シネマティック・ユニバース】
『キャプテン・アメリカ:ファースト・アベンジャー』において、レッドスカル率いる秘密結社ヒドラの兵士が使用しているアサルトライフル。
四次元キューブ(スペース・ストーン)のエネルギーを利用したビームパルスガンで、一発で人間一人を跡形もなく消滅させる威力がある。


261 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/20(水) 09:01:44 ocKS8Acw0
以上、投下を終了します。


262 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/22(金) 19:04:42 HgUVK8Ak0
投下します


263 : 罪と罰と贖いの剣士 ◆QUsdteUiKY :2021/10/22(金) 19:05:55 HgUVK8Ak0
死人が何の脈絡もなく蘇る。
それは黒死牟と呼ばれていた鬼にも信じられぬ事態で、彼は暫し困惑していた。

「有り得ぬ。私は確かに死んだはず……」

醜い化け物と成り果て、生き恥を晒して最期を迎えた瞬間を彼はしっかりと覚えている。
だというのに唐突に蘇生し、よくわからない殺し合いに巻き込まれていた。

そして見せしめの少女の醜態は。生き恥の晒した末の最期は否応なく黒死牟自身の末路を想起させる。

──何だこの醜い姿は……

それが刀身に写った自分自身を見てしまった際の率直な感想だった。
かつてはこの国で一番強い侍を夢見ていたというのに、強烈な才能を持つ弟の縁壱に対するコンプレックスで人生を狂わされた。

縁壱の強さと剣技を我が力にしたいがために妻子を捨て、鬼狩りになった。家庭を持つということは弟が求めても手に入らなかった幸せなのだが、黒死牟は弟のそんな気持ちを知らない。

痣が発現した事で普通の剣士より格段に強くなったが、それでも縁壱に追い付けない。
だがもっと鍛錬を積み重ねればやがて……。

そんな思いすらも粉砕するように痣者がばたばたと死に始め、未来が無いことに気付いてしまう。
鍛錬を重ねる時間もなく、縁壱に追いつく道は途絶える。途絶えるはずだった。

だが運が良いのか、悪いのか。鬼の首領である鬼舞辻無惨に勧誘されたことで鬼に成り果ててしまう。

この時点で彼は自分の道を迷走していたと言わざるを得ないだろう。
それでも尚、老衰した弟にすら勝つ事は出来なかった。
あの鬼舞辻無惨ですら傷一つ付けられない非の打ち所のない天才……それが縁壱だ。

縁壱の死後、黒死牟は勝ち続けることを選んだ。
最も優れた剣士が死んだ今、負けるわけにはいかない。それは死後も縁壱に依存しているような考え方だ。

しかし事実として、彼とタイマンで勝てる存在は無惨と縁壱くらいだろう。
柱3人と特異体質の者を相手にたった1人で立ち回れるほど、彼は強かった。

最終的には更なる強化を遂げ、もしかしたら強さという意味では縁壱に少しは近付けたかもしれない。

だが刀身に映る化け物はあまりにも醜悪で、侍と呼ぶにはあまりにも程遠い存在。
もしも縁壱のことを忘れ去ることが出来れば躊躇することはなかっただろう。
だが刀身に映る己を見た時、幼少期の縁壱の言葉を思い出してしまった。

──兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?

侍という言葉が胸に突き刺さる。
今の己の在り方を本当に自分の望みだったのか、疑問を持ってしまった。

──俺も兄上のようになりたいです。俺はこの国で二番目に強い侍になります

そう話す縁壱の表情はあまりにも穏やかで。

──お労しや、兄上
最期に見た老後の縁壱は、涙を流していた。

それでも負けを認めぬ生き恥を晒し……遂に黒死牟は己が望みに思い至った。


264 : 罪と罰と贖いの剣士 ◆QUsdteUiKY :2021/10/22(金) 19:06:53 HgUVK8Ak0

彼はただ縁壱になりたかったのだ。
兄でありながら弟という太陽に憧れ、嫉妬し、迷走した。
顔を見ただけで吐き気がするというのに、何百年生きてもその顔だけは鮮明に覚えている。

どれだけ太陽に焦がれて手を伸ばしても届かない、それは当たり前の道理だ。
彼に追い付くために色々と捨て去ったのに、それでも到底辿り着けない。
兄弟なのに同じ世界を見ることすら出来なかった。

何も残さず、何者にもなれぬまま惨めに散った鬼。それが黒死牟という存在。

黒死牟は自分の最期を想起して、支給品の日輪刀を手にする。
わざわざ支給品を取り出した理由は、どういうわけか血気術で刀を生み出すことが出来ないからだ。

最後まで生き残ればどんな願いも叶えられるというが、今の黒死牟に戦意はない。あんな末路を迎えたのだから無理もないだろう。

それでも刀を手にしたのは、侍として当たり前のことをしたに過ぎない。……こんな姿で侍を名乗れるだなんて、黒死牟自身も思ってはいないのだが。
だがその時、あまりにも予想外な出来事があった。

「これは……どういうことだ……?」

刀身に反射されて映る姿を見て、黒死牟は驚愕する。

「……有り得ぬ。この姿は私だが……今の私ではないはずだ」

そこに映っていた者は黒死牟であり、黒死牟ではない。
彼が鬼となる前の姿、継国巌勝である。

鬼としての醜い姿は消え失せ、血鬼術すらも使えない。
目は人間として当然の2つに戻り、ただの継国巌勝に戻っている。
何度か血鬼術を使おうと試みたが変化がなく、本当に自分が人間に戻っているということを認めざるを得ない。

「ふむ……。どうやら願いを叶えるという話も……虚言ではないようだ」

あまりにも想定外の事態だが、主催者の男は知らぬ間に自分を殺し合いに放り込むほどの力量がある人物。
そして自分が人間に戻っていることから、願いを叶えるという言葉が本当だと確信する。鬼を人間に戻すというのは、それほど異常なことだ。

「…………」

黒死牟は考える。
もしも自分だけ生き残ることが出来たら、間違いなく縁壱すらも超越した力を得ることが可能だろう。
今までの黒死牟なら即座に優勝を狙い、他の参加者を潰していたに違いない。

だが脳裏を過ぎる、侍という単語。縁壱の言葉。
黒死牟は縁壱を嫌っているはずだが、同時に彼に渡した笛を最期の瞬間までずっと持っていた。

確かに強烈に憎んでいたし、嫌っていたのかもしれない。だがそんな陳腐な言葉で言い表せないほど、弟に対して複雑な感情を持っていたのも事実。

これまでは強さや勝利にばかり固執してきたが、その結果として侍とは言えない醜い姿になってしまった。
元々は縁壱という太陽に焦がれて手を伸ばしたのに、時が経つほど縁壱から程遠い存在になっていた。

残酷な事実が、黒死牟に重くのしかかる。
醜い化け物に成り果て、当初の夢を思い出した今だから冷静に自分の人生を見つめ直せる。

「縁壱、私は……」

私は一体、どうしたらいい?
そんな問いに答えてくれる者は誰一人いない。

──私は一体、何の為に生まれて来たのだ。教えてくれ、縁壱

最期の瞬間に黒死牟が考えていたこと。
自分の人生がまるで意味の無いものだとでも思った彼は、最期に自分が生まれた理由を縁壱に問い掛けた

──兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?

「……そうだ。私の夢は……あんなものではなかった……」

己が原点に立ち返る。
太陽に焦がれた月は人を喰らい、醜い姿になってまで強さを求め続けた。
気付けば太陽を追うという目的やこの国で一番の侍になるという夢から「負けを認めず勝ち続けるこ」に変わり醜い化け物に成り果て……彼の迷走は最期まで止まらなかった。

「だが私は一度鬼となった身……。侍にはなれぬ……」

冷静になった今だからこそ、自分の行ってきた所業が侍という存在から掛け離れていたとわかる。
迷走していた頃の黒死牟は容姿だけでなく、その精神性すらも侍の姿とは言い難い。

「く、来るなぁ!」

少女の叫び声が聞こえた。
それを聞き付けた黒死牟は即座に動く。色々と悩みはあるが、手遅れになってからでは遅い。

「侍にはなれぬというのに、私は何をしているのだ……?」

黒死牟自身にも理由はわからない。
誰かを助けたところで己が罪を赦されるわけでもない。

──俺も兄上のようになりたいです。俺はこの国で二番目に強い侍になります

だというのに、縁壱のその言葉が。その表情が脳裏から離れない。

縁壱のことは憎い。嫌いだ。頼むから死んでくれとさえ思った。
しかしそれだけでは言い表せない複雑な感情が、兄である黒死牟を突き動かす。


265 : 罪と罰と贖いの剣士 ◆QUsdteUiKY :2021/10/22(金) 19:07:56 HgUVK8Ak0



辿り着いた場所に居たのは、棍棒を手にした化け物の大軍だった。
鬼とは別種の化け物が少女と対峙していることに僅かに驚いた黒死牟だが、これが主催の男が言っていたオークやゴブリンというものだと把握する。

少女の名前は天々座理世(以下、リゼと表記)。
リゼは銃を構えているが、その手は震えていた。
それもそのはず。彼女は普通の人間よりは少し高い戦力だろうが、それでも戦闘とは無縁の日常を過ごしている一般人。

戦力的にはゴブリン達の圧勝だが、こちらに銃を突き付けて精一杯の威嚇をしているリゼを彼らは楽しんでいる。
いつでも犯せるからこそ、その前戯みたいなものだ。ゲラゲラと笑う声は、鬼であった黒死牟からしても不快に思う。

ゴブリン達は新たに現れた黒死牟を見て何か話し合っているが、言葉の意味はゴブリン達にしか理解出来ない。

「ふむ……。鬼と違い……言語能力はないようだ……」

黒死牟が日輪刀を構え、ゴブリンを観察していると彼らは一斉に襲ってきた。

「こ……ここは私に任せて……!」

リゼは精一杯の勇気を振り絞り、引き金に手をかけ……

――月の呼吸 漆ノ型 厄鏡・月映え

ゴブリン達が瞬く間に切り裂かれた。
彼らはあくまでNPC。例外的な存在もいる可能性はあるが、ある程度の戦闘力のある者ならば対処は可能である。少なくとも今回のゴブリン達はそうだった。

「な……っ!」
「案ずることはない……。お前に危害は加えぬ……」


266 : 罪と罰と贖いの剣士 ◆QUsdteUiKY :2021/10/22(金) 19:08:34 HgUVK8Ak0


自分をゴブリン達から助けてくれた黒死牟を信じ、2人は軽く自己紹介と情報交換を済ませた。

黒死牟こと巌勝が鬼だったということはあまりにも胡散臭いが、信じるしかない。あの剣技を見るに只者じゃないことはリゼにもわかる。
それに自分が殺し合いに巻き込まれ、ゴブリンまで存在すると知ったのだから鬼という生き物の存在を完全に否定する事は出来ない。

むしろゴブリンが居るのに鬼が居ないのもそれはそれでおかしいだろう。
ちなみにダンジョンの意味を巌勝は知らないのでそれを教えたりもした。

そして鬼として何人も殺してきたというのはもちろん許し難い行為だが、今は心を入れ替えているようなのでそれをとやかく言うつもりもリゼにはない。
本人は「何故リゼを助けたのか……それは自分でもわからぬ……」と言っているがリゼにとって命の恩人であることは確かだ。
黒死牟と継国巌勝、ふたつの名を持ってきるがリゼは人間時代の「巌勝」の方で呼ぶことにした

「それで巌勝さんはこれからどうするんだ?」
「具体的な方針など……何も決めておらぬ。先刻はお前の叫び声が聞こえ……肉体が勝手に動いたのだ……」

巌勝の言葉に嘘はない。
それは彼の態度を見ているリゼにもよく伝わってきた。
そして縁壱の言葉を巌勝から聞いていたリゼに1つの案が思い浮かぶ

「……それならまた侍を目指してみるのはどうだ?」

リゼの提案に巌勝は首を横に振って返答する。

「いや……私は鬼だ……。侍の資格など……とうの昔に失っている」

今でこそ冷静になり、鬼舞辻無惨に対する忠誠がなくなった巌勝だがそれでも鬼は鬼だ。
人間に戻った今でも過去の罪は決して消えない。自ら侍を名乗るなど、烏滸がましいにも程がある。

かといって優勝して縁壱を超越する力を求める気もない。
醜い姿に成り果て、刀身に映る自らの姿を見てしまった時点で迷いが生じていた。
消し炭になるその瞬間、彼は限りなく正気に近い状態に戻っていた。

そして人間に戻り、自身の原点や最期を振り返った事で無惨に対する忠誠心も失せた。
鬼の首領を相手に「侍ごっこ」をしていた自分を巌勝は恥じる。

リゼがどんな声を掛けようか考えていると、巌勝の方から口を開いた

「私がお前を助けたことは……罪滅ぼしに過ぎぬ……」

過去に何人も殺害した男の心境なんてリゼには理解出来ない。
だから、何も言えない。

「私はこの地で罪を償う……。それだけが……今の私に出来る事だ……」

前向きに侍を目指すわけではなく、罪滅ぼしのために人を助ける。
後ろ向きな考えだが、それでも人を助けるという意味では同じだ。だからリゼは彼の方針を否定しようとはしない。

「そういうことなら、私も手伝うぞ。知り合いが巻き込まれてる可能性もあるから、私も頑張らなきゃな」

巌勝としてもリゼの同行を止める理由はない。
このまま一人にしてもまたゴブリンに襲われるのが目に見えている。それならば連れて行く方が完全だろう。

リゼは少しでも力になろうとしているようだが、それについて巌勝は彼女の実力をあまり信用していない。ゴブリンに怖気付く程度の強さで生き残れるはずがない。
だから今後はリゼを守りながら戦うことになるだろう。
今までの彼らしくもない「守るための戦」だ。

ココア、チノ、シャロ、千夜、マヤ、メグなどリゼの知り合いも探さなければいけない。
もしも鬼舞辻無惨が参加しているならば……元々自分の主君だったとはいえ、殺さねばならない。
そして縁壱が参加していた時にどうするのかは……その時にまた決める。

巌勝としては再び迷走する気はないが、果たして縁壱が自分に対してどう思っているのか……。それが気掛かりなところでもある

【黒死牟(継国巌勝)@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:継国巌勝の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:他の参加者を助け、罪を償う
1:リゼを守る。
2:リゼの知り合いを探し、守る
3:鬼舞辻無惨が参加していたら、殺さねばならぬ
[備考]
参戦時期は死亡後。人間に戻っています。当然、血鬼術などは使えません
黒死牟か継国巌勝、どちらの名前で名簿に載っているのかは企画主か後続の書き手にお任せします

【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:みんなと帰りたい
1:巌勝さんを信じて手伝う
2:自分の知り合いを探す
[備考]
ランダム支給品のうち1つはなんらかの銃です


267 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/22(金) 19:09:09 HgUVK8Ak0
投下終了です


268 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/22(金) 21:17:47 sY9guaMA0
投下します


269 : 愚者盲目ノ救世主 ◆2FVYsixnq6 :2021/10/22(金) 21:18:11 sY9guaMA0
「ふざけるな」

暗闇の下、一橋鞍馬は怒りと困惑の中で目を覚ます

「……あの芸術品のような男、殺し合い等とふざけた真似を」

一橋鞍馬という男は曲りなりのも生徒会の会長、学園の秩序と規律を取り締まる者である
その秩序が悪魔から得た力による歪まされたモノであることは別として

「………が、しかし」

義憤の感情を抑え、冷静になる。まずこの空間は何処なのか
地図を見る限りは浮遊都市とのことらしいが、雰囲気としては異界と似て非なる

「……少し試してみるか。―――スペルビア」

そう唱えれば、鞍馬の足元から這い出るは黒い泥のようなもの。泥は分離し、それはボコボコと大きな形となり、泥が弾ければ、そこから現れたのは赤い巨大なペンチを携えた一人の少女
鞍馬がそれを確認し笑みを浮かべると、少女はすぐに霧散し消えていった

「召喚は可能、か。この様子ならば思装や権能も使用可能と考えても問題は無いな」

鞍馬がさっき呼び出したのは悪魔(モナーク)スペルビア。一橋鞍馬が契約した傲慢の名を関する悪魔
契約の際に授けられた権能は『人体を支配するちから』

「……さて。これからどうすべきか。手っ取り早くNPC共を手駒にするのは悪くないが」

自身の権能があれば襲ってくるNPCに対してはある程度は大丈夫だろう。だがそれだけでは心もとない
一橋鞍馬には別に殺し合いに乗って自分の願望を叶えるという手段を取るつもりはない。それこそ秩序に反する行為であるのだから

「まあ良い。NPCの対処はその都度として、先ずは思想を同じとする同志を募るべきだな」

ならばやるべきは共に殺し合いを壊そうとする同志たりえる他の参加者を探すこと
余程の狂人か、追い詰められた人間でなければ殺し合いに乗るなどという思考にはならないだろう。だがそれでも問題が在る人物ならば、最悪権能を用いて無理矢理従わせればいいだけの話


かつて罪を犯した『傲慢』たる秩序の番人
その彼の白き制服は、自らが掲げる秩序の如く、夜闇に負けぬ純白さを保っていた


【一橋鞍馬@モナーク/Monark】
[状態]:健康、主催への強い怒り
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:秩序に真っ向から歯向かうあの殺し合いの主催は必ず潰す
1:先ずは志を共に出来る参加者を探す。最悪『権能』を用いて無理やり従わせる
2:NPCの対処はその都度。権能を用いて手駒にするのも有り
[備考]
※参戦時期は主人公と出会う前
※異界で無くとも思装顕現及びスペルビア召喚は可能です
※権能を使用してもユガミは発生しません。権能の制限は後続の書き手におまかせします


270 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/22(金) 21:18:21 sY9guaMA0
投下終了します


271 : ◆NIKUcB1AGw :2021/10/22(金) 22:50:53 MaJSyftk0
投下します


272 : 吸血鬼にもいろいろあるらしい ◆NIKUcB1AGw :2021/10/22(金) 22:52:14 MaJSyftk0
草原に、けたたましいマシンガンの銃声が響く。
悲鳴と血しぶきが上がり、死体と化したゴブリンが次々と地面に伏せる。
音がやんだとき、そこに立っていたのはマシンガンを手にした女性ただ一人だった。

彼女の名は、セラス・ヴィクトリア。
かつては平凡な警察官であったが、今は半人前の吸血鬼である。
吸血鬼としても戦士としてもまだ未熟である彼女が、明らかな人外とはいえゴブリンを殺すのは、本来ならば多少なりともためらいが生じただろう。
だが実際には、セラスは一切ためらうことなくゴブリンたちに銃弾を撃ち込んだ。
その理由は、今の彼女が激情に支配されていることにある。
尊厳を粉砕するがごときやり方で殺された少女。
その死に様は、セラスの中の忌まわしき記憶を呼び起こした。
それは強盗に殺され、死してなお辱められる母親の姿。
少女に母の姿を重ねた結果、彼女の中には少女を殺した怪人への激しい怒りが生まれた。
絶対にあの男を倒す。セラスはそう決意していた。
そしてその怒りは、怪人の手下であろう怪物たちにも容赦なく向けられたのである。

「ふう……」

セラスの口から、ため息が漏れた。
殺戮によって多少は気が晴れたものの、未だ激情の炎は彼女の中で燃えさかっている。

(今の私を見たら、マスターはなんて言うかなあ……)

ぼんやりと、セラスは自分を吸血鬼にした主のことを考えていた。
「少しは化物らしくなったじゃないか」と褒めるのか、「その程度の感情も抑えられんのか」とあきれるのか。
正解と思えるものを導き出せるほど、彼女はまだ主を理解できていなかった。

(あ、そうだ。荷物の確認しなきゃ。
 このマシンガン見つけたところで、こいつらが襲ってきたからなあ)

支給品の確認が不十分だったことを思い出し、カバンを手に取ろうとするセラス。
だがその時、彼女の聴覚が自分に向かってくる足音を捉えた。

(まだいたか!)

ゴブリンの生き残りと判断し、セラスはその方向に銃を向ける。
だが現れたのは、彼女の予想外の存在だった。

「おっと、こちらに敵意はありません。
 銃を下ろしていただけますか、同胞のお嬢さん」

両手を上げて姿を見せたのは、人の良さそうな顔立ちをした初老の男だった。

「同胞……?」

男が口にしたフレーズに、セラスは困惑を隠せずにいた。

「じゃあ、あなたも吸血鬼?」
「ええ、そうです」

セラスの問いを、男はすぐさま肯定する。
よく見れば、その口元には牙が輝いていた。

「なるほど、あなたも吸血鬼であるというのはわかりました。
 それで……殺し合いに乗るつもりはないと、そう考えていいんでしょうか」
「ええ、もちろんです。自分で言うのもなんですが、私は攻撃性の強い吸血鬼ではないので。
 それに、エッチなことで人を傷つけるような輩に従いたくはありません」
「ん?」

男の言い回しに引っかかるものを感じるセラスであったが、殺し合いに消極的であることは事実のようなのでとりあえずスルーする。

「えーと、とりあえずあなたのことは信用しましょう。
 あ、名前聞かせてもらえますか?
 私はセラス・ヴィクトリア。イギリスの警察官です」

まずは自分から名乗るセラス。
ヘルシング機関の名を伏せたのは最初から個人情報を全て明かすのはさすがにどうかと思ったのと、
対吸血鬼機関の名前を出せば相手を警戒させてしまうのではと考えたためである。

「ほほう、イギリスの方でしたか。
 私は日本の吸血鬼で……君がエッチなことを考えると流れ星を降らせるおじさんと申します」
「は?」

セラスの脳が、理解を拒む。

「あの、すいません……。もう一度言っていただけます?」
「君がエッチなことを考えると流れ星を降らせるおじさんです」
「……あー、ひょっとしてこの状況で錯乱しておられる?」
「私はいたって冷静ですが」
「…………」

もはやどう対応していいかわからなくなり、フリーズするセラス。
とりあえず、彼女の中の激情がすっかり消し飛んだのはたしかなようである。


273 : 吸血鬼にもいろいろあるらしい ◆NIKUcB1AGw :2021/10/22(金) 22:53:26 MaJSyftk0


【セラス・ヴィクトリア@HELLSING】
[状態]健康
[装備]トンプソン機関銃(弾薬2割消費)@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催者の打倒
1:この人、どうすればいいの……
[備考]
参戦時期は、ミレニアムによるイギリス襲撃以前


【吸血鬼君がエッチなことを考えると星を降らせるおじさん@吸血鬼すぐ死ぬ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:エッチなことを悪用する輩に反抗する
1:セラスと協力関係を築きたい
[備考]
能力がどこまで使用できるかは、現状不明です。
そもそも、会場上空に星があるかも不明です。


『支給品紹介』
【トンプソン機関銃@ジョジョの奇妙な冒険】
ジョセフが、ストレイツォとの戦いで使用したマシンガン。
ぶっ壊すほどシュート!


274 : ◆NIKUcB1AGw :2021/10/22(金) 22:54:55 MaJSyftk0
投下終了です


275 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:20:20 fZQ9ize.0
投下します。


276 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:24:42 fZQ9ize.0
スパンキングーーーーー性的嗜好により平らな物や平手でお尻を叩くこと。欧米で盛んである。
Wikipediaより引用

第一章 バシーン! バシ――ン!!

バシーン!バシーーン!!

皆さん!こんにちは―――♪
あなたの隣にあまーい智代子!
チョコアイドルで覚えてくださいねー!

バシーーーン!!!バシ――――ン!!!!

「って、さっきからどんどん、叩く強さが強くなっていませんか!?痛い!!痛いです!!!」
涙目で尻を叩く強さに抗議するアイドル―――

―――アイドルの名は園田智代子。

273プロに所属し、5人組アイドルユニット『放課後クライマックスガールズ』のメンバーの一人にして”チョコアイドル”である。

バシ――――――ン!!!!! バシ―――――――ン!!!!!!

「あうぅぅぅ!?ッ!?うう……弱くなるどころか強くなってきています……」

現在、園田智代子はダンジョン内に仕掛けられていた”スパンキング木馬”に捕らえられ、絶賛尻を叩かれている。

智代子の小ぶりで色白の桃尻はスパンキングによりほんのりと赤みを帯びている。
そして、それだけではなく―――

バシーーーーーーーン!!!!!!! バシ―――――――――ン!!!!!!!!!!

じんわりと智代子のショーツに染みができる。

「くぅっ!?いッ……たぁぁあ!?」
(嘘ッ!?下着が濡れてる!?……ほんと……一体、どうしてこんなことに)

ショーツが濡れた―――
―――つまり、スパンキングにより体が反応したこと。
智代子はショックを隠し切れない―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


277 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:25:10 fZQ9ize.0
”日常”が”非日常”に変化したのは突然でした。

いつものように、レッスンを終えて帰宅するはずだった。
それが、急に意識が落ちて目が覚めると、知らない部屋に……

「と言っても、賭けるのは自分の命。そ、此処に居るみんなで殺し合ってもらうバトル・ロワイアル、さ!」

正直、もしかしてTVのドッキリかな?と始めは思っていました。
だって殺し合いだなんて、余りにも”非日常”すぎるから

だけど―――

「―――――――おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

余りにもリアルで淫靡な声。
もし、あの声が演技だとしたらあの子は天才子役だろう。
同じ同性でも発したことが無い声を出しながらその子は死んでしまった。

浮遊大陸の何処かへ転送された私は多く設置されているダンジョン内にいた。
正直、不安と困惑で泣きたかったが、とりあえず周囲の探索をしていたら―――

―――ザッ!

「何これ?……木馬?」
私の目の前に現れたのはお馬さんの木馬だった。

そして、その三角木馬は私に標準をロックすると―――

―――ガシィィィィ!!!!!

「きゃ!?」
私を捕らえる。

「う……動けない!?」
木馬に付属している鎖の拘束具が私の手足を固く捕らえる。

(この体勢……恥ずかしい///)
三角木馬の本来の座り方である頂上部の鋭角をまたぐように座らないが、腰が浮きお尻を突きだす体勢。
そして、この木馬はそれだけではなかった―――

バシーン!

「痛ッ!?な、なんですか!?」
(え?え?もしかして、今、私……お尻を叩かれた!?)

なんと、木馬からマジックアームが出ると、私のお尻を叩きはじめたのだ。
そう―――
これは、エロトラップの一つ”スパンキング木馬”だったのだ。

―――それから、私はずっとお尻を叩かれ続けている。

☆彡 ☆彡 ☆彡


278 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:26:48 fZQ9ize.0
第二章 ヴァンパイアと妖怪

「これは、一体何なんじゃ……」
(たしか……オレは死んだはずだったよな?)
自分が生きていることに戸惑いを隠せない男が漆黒の翼で宙を飛んでいた。
男の名は阿久津潤。

ゴールデンパームに所属するヴァンパイアの一人である。

「つーことは、あん男がオレを蘇らせたってことか……あのクソがぁっ……!!!」
阿久津はイラつく。
あの手足が長い珍妙な男に。

もちろん死ぬことに後悔がなかったわけではない。
しかし、自分はやるだけのことをして死んだ。
許可なく勝手に蘇らせたということは―――

―――あの男は自分が”上”にいて参加者達を”見下ろしている”ということにほかならない。

阿久津がもっとも気に入らないことを主催の男はしたのだ。

「……まぁええ。あの気色わるぅ男をしめて、20億手に入れた暁にはズムスタの看板でも買うかの」
イラつく気持ちを静め、とりあえず、夢のズムスタの看板を手に入れようと目標を定める。

すると―――

「……へぇ。あなた人間の癖に妖怪じみた能力を得てるのね」
女の声が聞こえた。

「……何者や、アンタ」
(この女……ヴァンパイアか?)

「私?私は古くからあなた達人間を怖がらせる……妖怪だよ」
女はニヤッと嗤う。

―――正体不明のアンノウンX

―――封獣ぬえ

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……妖怪やと?」

「ええ、それもただの妖怪じゃないわ”大妖怪”の一人よ」
女……ぬえは阿久津に不敵な笑みを向ける。

「いっておくが、オレは女でも見下ろすヤツは容赦はせん」
言葉と同時に阿久津は足の爪で女を切裂こうとする。

―――が

「短気は損気って言葉知ってる?」
女は一瞬に阿久津の背後に回った。

「ッ!?」
(バカな……オレが回り込まれた!?)
阿久津は回り込まれたことに驚愕すると同時に―――

―――熱くなった思考を静め、冷静になる。

「あら?意外とクールダウンできる人間なのね?意外だわ」
女は阿久津の様子にポカンとする。

「うるさい女だ。それで、妖怪が人間様に近づいて何が目的じゃあ」
阿久津は目の前の大妖怪と名乗る女に敵意がないことに気づき、目的を探る。

「別に、幻想郷の外に出るなんてもう遥か昔のこと。外の世界の人間はどんな感じか接触してみたかっただけよ。……私の目的のためにも……ね」
そう、ぬえは阿久津と戦う意思はなかった。
あくまでも己の目的のためにただけ。

「それじゃあ、生きていたらまた会いましょ」
ぬえの言葉と同時に―――

「ッ!!!」
阿久津の頭上に黒雲がいつの間にか出来ており、雷が落ちてきたのだ。

「クソがぁ!」
避けた後、再度、妖怪女に攻撃を仕掛けようと試みるが―――

―――既にこの場に女はもういなかった。

☆彡 ☆彡 ☆彡


279 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:27:31 fZQ9ize.0
第三章 阿久津潤

ぬえが去った後、阿久津はダンジョンめいた建物を目にする。

(あれは……もしかして、あのクソヤロウが言ってたエロトラップダンジョンとかいうやつか……)
阿久津は建物を見かけると静めていたイラつきが戻り始める。

「チッ!とりあえず、中へはいるとするかのぉ」
(ダンジョンということは、最深部があるはず。あのクソヤロウはゲーム感覚でおっぱちめやがった。何かあるかもしれんからのぉ……)
阿久津は主催の男がこの胸糞悪い催しをゲーム感覚で開催していることから、ダンジョンを攻略すれば、なにかこちら側に利が起こるイベントがあるのではないかと推測した。

故に―――

―――虎穴に入らずんば虎子を得ず

阿久津はダンジョン内へ潜入した……

☆彡 ☆彡 ☆彡

(なんじゃぁ、”アレ”は……)
物陰に隠れている阿久津の視線の先にあるのは―――
「ひぎッ!?あんッ!もう……やめ……てぇ……」

(なるほど……あん男が言っていたエロトラップとかいうやつか……)
阿久津は理解する。
三角木馬に捕らえられている女が辱めを受けていることを。

「あ、あああッ!?」

―――ジョロロロ……

女の股から尿が漏れ出した。
スパンキングに耐えきれず、漏らしてしまったのだ。

「……一種の地獄絵図じゃな」
女にとってのエロトラップ。
それは、日ノ元達が決戦に民間人を肉の壁として戦術に組み入れた戦場に似てる。

(……ま、オレには関係ない。あの女には気の毒だが、先へ向かわせてもらうとするか)
”気の毒”には思う。
しかし、阿久津は”動揺”はしない。

そのまま、女を放置してダンジョンの奥深くへ潜ろうとする。

―――しかし

―――僕に守れる命があるから守りたい。それだけです。

―――ピタ。

阿久津は足を止める。

「……」
そして長考し―――

阿久津は智代子の尻を責めているスパンキング木馬へ―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


280 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:28:18 fZQ9ize.0
「あ、あの……助けてくれてありがとうございます!」
(その姿……烏?)
智代子は永遠に続くかと思われたスパンキング地獄から解放されたことにお礼を伝える。

「……別にアンタを助けようと思って助けたんやない」
阿久津はそんな智代子のお礼の言葉を受け取らなかった。

「それに言葉だけの礼なんかいらん」
「そ、それじゃあどうすればいいのでしょうか……」
”言葉のお礼はいらない”に智代子は戸惑いを隠せない。

「……そんじゃあ、100万円」
「……え?」
阿久津のまさかの言葉に智代子は身体を膠着させる。

「だから、アンタを助けた報酬じゃ」
「……」
阿久津の現金報酬に千代子は顔を俯く―――

「……」
(はぁ……オレは何を言ってるんじゃ。けど……やっぱり見返りのない手助けはオレには向かないってわけか……)
一度、死んでもなお、変わらぬ自分の思考に阿久津の表情に陰り、俯く―――

―――そう、オレは”佐神”やない

阿久津の脳裏に浮かぶは、同盟相手の配下のヴァンパイア―――

「わ、わかりました!あなたに100万円払います!」
「……あ?」
智代子の言葉に阿久津は俯いていた顔を上げ―――

「アンタ、自分が何言ったか理解しとるのか?」
阿久津は智代子の目線に合わせて凄む。

―――ビリビリビリ

一般人なら耐えられぬ空気。
智代子は凄む阿久津に体をビクリと震わせる。

―――が

「わ、わかっています!勿論!直ぐにお返しはできませんが、必ずあなたに100万円をお支払いします!」
智代子ははっきりと阿久津の目線に合わせる。

「私……お尻を叩かれている間、もう……このまま、あの子供のように”死”を迎えるんじゃないかと思っていました。だから……私は貴方に恩返しをしたい!だって私は……”あなたに甘い思い”を届けるチョコアイドルですからッ!!!」
智代子は精一杯の自分なりの覚悟を阿久津に示す。

(この女……ごっついな……)
阿久津は智代子の覚悟を聞くと―――

「たった今からオレとアンタは金で繋がった関係じゃ。だから……アンタがオレに100万払うまで守ってやる。いっておくけどなぁ……1円もまけたりはしないからな?」

言うだけ言うと阿久津は智代子に背を向けて歩きだす。

「はい!お返しした時、ちゃんと100万円あるかどうか数えて下さいね!……私は園田智代子です。よろしくお願いします」
智代子は追いかけて走ると阿久津の隣に歩きながら自己紹介をした。

「……阿久津潤。よろしくのぉ」
阿久津はぶっきらぼうに答えた―――


281 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:29:46 fZQ9ize.0
【阿久津潤@血と灰の女王】
[状態]:健康 ヴァンパイア状態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:智代子を守り、100万円を受け取る
1:智代子を守り、見返りを望む
2:アイドル……のぉ……小鹿みたいなもんか
3:あの女(妖怪)は次に会ったらしめたるわ……
[備考]
※参戦時期は死後より

【園田智代子@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:疲労(小) 尻に少し痛み(スパンキング跡) パンツ尿で濡れている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:阿久津さんに100万円払う為にも生きて帰る
1:阿久津さんと行動する
2:お尻……痛い
3:私のショーツが……///
[備考]
※参戦時期はプロデュースイベント砂糖づけ・ビターエンドより


282 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:33:53 fZQ9ize.0
終章 正体不明(ぬえ)を追うフットボール娘

阿久津と別れた後、ぬえは別の場所へいた。

「エロトラップ……言葉通りに受け取るなら女や男を辱しめて殺すことが目的よね。つまり…あの人間は”コレ”を見世物としているということか。ふん!……悪いけど、「人間」の思惑には乗るつもりはないわ。むしろ……」
そういうと、ぬえは正体不明の種を自身に纏わせる。

「この殺し合いを利用してこのエロトラップダンジョンを判らないことだらけに染めてやるわ」

「この正体不明の妖怪(ぬえ)が!」

妖怪らしく行動を起こそうとぬえは紅き空を飛翔する。

一方、妖怪ぬえが行動指針を定めたときの地上ではーーーー
ゴゴゴゴゴ!体からオーラが出している少女がいた。
「ああっ!?」

その少女は怒りに燃えていたーーーーー
少女の名前は恩田希。

埼玉県蕨市の蕨青南高校の女子サッカー部に所属している。
ポジションはミッドフィルダー。背番号は8。

「殺し合いって何!?私、次の試合を控えているんだけど!?」
選手権埼玉予選、予選リーグ第2戦を新生ワラビーズ初勝利で終え帰宅していたはずが、気が付けば殺し合いの平安京へ誘われていた。
「あのセクハラ男……女の敵!」
恩田はこの悪趣味な催しを開いた主催の男に怒りを抑えきれない。

「ん?」
ふと、空を見上げると……

「え!?あれは…サッカーボール!?」

無論、サッカーボールなわけがなく、”ぬえ”である。
しかし、恩田は空に浮かぶぬえをサッカーボールと認識しているのだ。

無論、普通はありえない。
”空飛ぶぬえ”が急にサッカーボールに認知されるわけがない。
サッカー馬鹿と言われる恩田だからこそ起きた奇跡。

「とりあえずーーーーーフットボールがしたい!」

恩田は走る。フットボールをするために。

【封獣ぬえ@東方project 】
[状態]:健康
[装備]:正体不明の種
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:判らないものだらけに染め上げて主催者たちの鼻を明かす
1:殺し合いには乗らないが、妖怪として行動する
2:見世物か……いつの時代も人間は愚かで滑稽ね
[備考]
※参戦時期は鈴奈庵26話後

【恩田希@さよなら私のクラマー 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:早く帰って、皆とフットボールしたい
1:空飛ぶサッカーボールを追いかける
2:殺し合いよりフットボールがしたい
[備考]
※参戦時期は51話後

『エロトラップ紹介』 【スパンキング木馬@エロトラップダンジョンロワ】
拷問器具で使われる三角木馬の形状をしている。
女参加者限定に標的を定めているエロトラップ。
捕らえられた女性は助けられるまで、永遠にスパンキングをされ続ける。
外部からの攻撃で破壊するのは簡単であるため、ペア行動推奨。


283 : シガ―ショコラとミルクチョコレート ◆s5tC4j7VZY :2021/10/23(土) 08:34:05 fZQ9ize.0
投下終了します。


284 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/23(土) 18:48:23 5Fi.xBqU0
投下します


285 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/23(土) 18:50:02 5Fi.xBqU0
 彼女は助けた私に礼を告げる。
 それは本心。生命の危機も感じてた程の状況。
 結構経験豊富みたいなのに初歩的な罠に陥ったのは、
 最初の犠牲者の死に方に気が動転していたがゆえにとのこと。
 まあ、気持ちは分からなくもない。あれで死にたくはないでしょうし。

 彼女は先程まで間一髪だったようで、危うく大変なことになってたと告げる。
 それは嘘だ。異形と少女相手に蹂躙されてしまった後はどう見ても大事だ。
 身体も精神も侵されている状態を、私から見ても間一髪とは呼べるものではない。
 主催者となる人物が言ってたダンジョンから始まった彼女の運のなさはあるけど、
 比較的入り口付近だったから私も助けることができたのは不幸中の幸いか。
 奥だったら私は彼女を助けるかどうかと言われれば、恐らくしなかったから。
 言い方は悪いけど、まだその程度で済んだだけ救われてるのかもしれない。

 彼女は同行を持ちかけてきた。
 こんなふざけた殺し合いを止めたいのだと。
 それは本心。この殺し合いに対して乗るつもりはないと。
 数々の巨悪に立ち向かってきた特異点と呼ばれる少女は、
 偽りのない正義感のある志。淫蕩に塗れたこの舞台では眩しすぎるぐらい。
 でも彼女の体力や精神的な面も気遣って、しばらく休むことを私は勧めることにした。

 彼女は大丈夫だと言い張る。
 体力には自信があるそうだ。
 本心で嘘だ。体力の消耗こそあれども、
 その身は数々の事件を乗り越えた旅人のそれ。
 世界を揺るがす存在、最強と謳われた存在との戦い。
 様々な旅路を経て、それを乗り越えた故に誇張抜きの実力も体力もある。

 ───けれど。彼女は自分がされたことを忘れたい。
 その身に受けた事実から目を背けたい。そのための同行の提案。
 人にとって操は大事にするもの。それを人ですらない存在に奪われた。
 気を紛らわせなければ、みっともなく泣き崩れてしまいそうだったから。
 当たり前だ。人にとって齢十五歳とは十分に少女であり、
 そう言うことに関してはまだ夢見る年頃なのだから。
 夢見た果ての相手が異形なんて、受け入れたくもないでしょうし。

 彼女も最初は分かっていた。
 旅をすればいつか、そういうこともあるのだろうと。
 今までが良すぎた。今まではされることがなかったり、
 場合によっては仲間が助けに来てくれたりと恵まれていたそうだ。
 でも必ず悪意は存在する。彼女は現にその悪意となる狡知に出会ったのだから。
 淫らで、邪悪で、狡猾な男は言った───空が蒼でなければならない理由なんてない、と。
 その時は別の理由でそういったが、今の彼女はこの言葉を別の意味で捉えていた。
 違う形で、世界は明るい碧空だけで構成されてないことを理解してしまう。

 表は笑顔で、今までの壮絶な戦いで培った技術の一端を見せる。
 裏は幼くして、その身に受けた仕打ちを理解して涙を流していた。

 助けたお礼もしたいんです。本心。
 私はこの通り大丈夫ですから。嘘だ。
 仲間がいるかもしれないので。本心。
 よくあることだから気にしてません。嘘だ。
 私みたいに危ない目に合う人を助けないと。本心。
 過ぎたことを悔やんでも仕方ないので。嘘だ。

 本当、嘘、本当、嘘、本当、嘘、本当、嘘、本当、嘘。
 嘘、本当、嘘、本当、嘘、本当、嘘、本当、嘘、本当。

 やめなさい。
 私に嘘(本当)を告げないで。
 私に本当(嘘)を読ませるな。
 あべこべだ。気持ち悪くて仕方がない。
 初めて私は、この能力が嫌なものだと感じたかもしれない。


 ◇ ◇ ◇


 私、古明地さとりは人の心が読める。


286 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/23(土) 18:51:29 5Fi.xBqU0
 他人からすれば隠したいプライベートなことすら読めてしまう。
 だから多くの妖怪に疎まれたり嫌われたりしてるけれど、だから何だと。
 自分の能力を誇りに思っているし、こいしの目を閉じたことは残念とも思う。
 と言うより、心を読んで勝手に私が代弁するのだから誇りに思ってない筈もなく、
 同時自分から好かれないようにそう振る舞っているのも一つの原因とも言えるけども。
 所謂妖怪としてのアイデンティティ。これはさとり妖怪としてあるべき姿の体現。
 心を読まずしてさとり妖怪は名乗れない。水橋パルスィが他者に嫉妬するように、
 レミリア・スカーレットが血を吸うように。妖怪として当たり前の行動をしているだけである。
 他者の心が読んでそれを口にする。それがさとりなのだから、読まないさとりなど存在意義を失う。
 人が息をするなと言われるようなものよ。妖怪としての在り方とは生きるのに必要なことだから。
 それに、嫌われたことで動物に囲まれたりして、恵まれた生活環境になったのもまた事実。
 故に『心読めるって悲しいよな』と憐れまれるようなものではないと断言できてた。
 もっとも、以前とは別の理由でこの能力の存在が面倒なものだと感じてしまったけれど。

 此処には流れ込んでくる心の内と言うのは、ろくでもないもので溢れている。
 NPCは何処へ行けども性や快楽を求める声。これについてはありふれたもの。
 地霊殿はペットばかりでそういうのは……まあ、特別多かったわけではないか。
 地底であれば情欲に駆られる奴だって、別段珍しいものではなかった。
 生命が持つありふれた感情。心を読める以上避けられないものなので、
 今更多感な乙女のように慌ただしくしたりするようなものでもなく。

 ただ、人の心を無理矢理に塗り替える……これについては別。
 聖白蓮のような教えを説くと言った手順をなく人の考え方を変える。
 精神操作とか、洗脳とかも妖怪に神が溢れる幻想郷では見慣れた物だけど、
 今回のような快楽や淫欲と言ったものにするのとはついぞお目にかかったことがない。
 いや、あったとしても博麗の巫女がなんとかしてしまってるのかもしれないが。
 人の感情を容易く塗り替えて、参加者を次々とあられもない心へと変えていく。
 本来心を読めばそこにあるはずの本音が嘘へと塗り替えられていくか、
 或いは快楽に溺れてしまいまともに読めるものではなくなってしまう。
 そして嘘が出るはずの口からそれらに侵されなかった本来の心の声が出てくる。
 だから今は酷く気分が悪かった。

 それは参加者にとどまらず、NPCとやらもそれだ。
 彼女と出会うまでの道中に見かけた彼らも同じく思考を変えられる。
 一応、ゴブリンとか一部は元々の本能からしてそう動くみたいだけども。
 しかし多くはあるべき行動に無理矢理性的な行為を付け加えられた状態。
 一人や二人程度ならば、所謂『たまにあること』としか思いはしないだろう。
 だがNPCも含めて本心とは別のものに塗り替えられるのは、ひたすらに不愉快でしかない。
 (因みに彼らは一先ずやりすごして戦闘を避けてたので大事はない。面倒だし)
 この先も恐らく出会うでしょうね。これはそういう趣旨の目的でもあるのだから。
 気が狂うとは思わない。散々人の心の闇を読んできたし、私のメンタルははこの程度では揺るがない。
 とは言え、流石に気持ち悪い。天邪鬼にでもひっくり返されたような、絶望的に噛み合わない心の内。
 元々残留思念など読める相手が多くいる場所だと体調を崩しやすい傾向はあったけど、
 そこに塗り替えられた思考を持ったNPCに、凌辱によって変わり果てる参加者。
 今まで誇っていた自分の能力を初めて持ったことを後悔した気がするほどに。

 正直な感想。さっさと帰りたかった。
 元々インドア派で動きたくない。動かず事件を解決する、
 安楽椅子探偵にでもなりたいぐらいに引きこもり体質なのだから。
 幻想郷の名だたる連中の一部も警戒するほどの妖怪ではあると言っても、
 何人も殺していられる肉体派でもないし、素直に誰かの協力を募って帰る方が効率的。
 最悪優勝も視野……なんてふわふわとした状態で歩いていた最中に私は彼女に出会った。

 ダンジョンからの声に気付き、
 その……エロトラップダンジョンだと分かっても入らざるを得ない。
 軽く進んだ先に、落とし穴の中にいたのは蜘蛛と二人の少女。
 片方は首輪がないので、つまりNPC……蜘蛛のお仲間みたい。
 妖怪としては人は襲うもの。蜘蛛もそういうことなのでしょう。


287 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/23(土) 18:54:04 5Fi.xBqU0
 インドア派な私でも、時に人を襲うのは楽しいものだと思っている。
 それが節理よね……なんて、薄情極まりない思考を見せてはいたのだけど、
 参加者の一人は完全に精神が壊れきってないようでもあった為助けることに。
 対処は簡単なもの。トラウマの再現をしたことで出た殺虫剤一つで即座に逃げた。
 大した労力もなく、少女も蜘蛛に乗って一緒に逃げる程で、相当嫌ってるらしい。
 ……トゲトゲ神? そんな神様もいるものなのね。と言うか神の殺虫剤って、何?

 そうして彼女を助けて安全な場所、
 と言ってもどこが安全かなど分かるはずもなく。
 一先ずダンジョンから引っ張り出して今に至る。
 ぬめったりべたべたはするけど、仕方ないと割り切った。

 妖怪において決して珍しくはない勝者による蹂躙。
 よくある話。私も見た目こそ少女だけど結局は妖怪、
 人の価値観と言うものとは大分ずれたものではある。
 とは言え、そう簡単に割り切ってしまってたら、
 私はペットにも嫌われてた孤独な人生だったでしょうね。
 そりゃ、少なからず助けたことには利用すると言う目的はあれども、
 全て合理的にできるほど私は薄情な人間のつもりではない。多分。

「まあ、無理をしないのであればいいですが。」

 大丈夫だと言い張る彼女に対して空気を読んで私は受け入れる。
 さとり妖怪が相手の心を口にしなくてはならない日が来るなどとは思わなかった。
 凌辱といったものがひしめく舞台。隠したいことなど山ほど増えてくるだろうし、
 今回ばかりは他人の心を見透かして行けば、確実に人からの信用が得られなくなる。
 ついでに慣れたと言えども、余りそっち方面を口にしたいかと言われればお断りだ。

「うん! 分かってる!
 騎空士としてかっこわるい所は見せられないよね!」

 普段の明るく、天真爛漫な姿で少女は振る舞う。
 カラ元気であることは分かるが、それも口にしないでおく。
 今だけはさとり妖怪を名乗るのをやめよう。
 アイデンティティを失うことにはなるが、
 帰るまでの間と割り切ることとする。
 呼吸に等しいと言ったそれに耐えて、
 果たして私はどこまで行けるのか。
 こいし達がいなければいいけれど。





 これは蒼の少女の記録に記載されることのない、
 空を生きる少女と地の底に生きる少女の語られない物語。
 もしこの物語にタイトルを付けるとするのであれば───

 『古明地さとりは語れない』だろうか。

【古明地さとり@東方project】
[状態]:頭痛と不快感、ストレス
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえず帰りたい。殺し合いは最終的手段。
1:人生で初めて能力について後悔したかも。
2:うちのペットやこいし、来てないよね。
3:ジータさんと行動するのが一番。
4:ベリアル……凄い敵に出会ったのね彼女。
[備考]
※参戦時期は少なくとも茨歌仙29話以降です。
※『心が読める程度の能力』は十メートルから読めるようになり、
 近づく程効果が上がり、大体五メートルで普段通りの心を読むことができます。
 また相手の存在を認識してない状態で心を読むことはできません。
※トラウマの再現は可能ですが精神的な汚染を受けてる場合、
 それがうまく再現できないかそっちに引っ張られる可能性もあります。
※飛行能力は短時間ならあまり消費しませんが、長時間は大きく消耗します。
※ジータの心を読んでグランブルーファンタジーの情報を得てます。


288 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/23(土) 18:54:48 5Fi.xBqU0
【ジータ@グランブルーファンタジー】
[状態]:疲労(大)、精神疲労(極大)、複雑、服がべたべた
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしないけど、敵がいたら遠慮はしない。
1:ルリアや皆を探さないと。
2:分かってはいたけど……やっぱり辛い。
3:さとりさんに恩を返さないと!
4:この趣味の悪さ、ベリアル関わってるとかないよね?
[備考]
※参戦時期は少なくとも000終了以降。
※さとりが心を読める能力を持ってると気付いていません。
※されたことの内容は想像にお任せしますが、まあ想像通りの内容です。





【アトラの蟲惑魔@遊戯王OCG】
可憐な少女の姿をしているNPC。
だが、少女は疑似餌で相手を惑わして落とし穴へと招いて、
本体となる、少女の身の丈の数倍はある蜘蛛が本体が捕食する。
……なのだが、一部イラストで疑似餌が自律してたりと割と謎。
本ロワでは本体のほうの性別は雄と言う扱い。なお少女も普通に襲う。
攻撃力は蟲惑魔の中でもそれなりに高い。トゲトゲ神の殺虫剤で撃退可能。
一応ダンジョンにいるが、外へ出てこないとも限らない。


289 : ◆EPyDv9DKJs :2021/10/23(土) 18:55:07 5Fi.xBqU0
以上で『古明地さとりは語れない』投下終了です

それと拙作【白菫の下に】での忘れ物です

【モノトリー@不徳のギルド】
尾を樹から垂らすことでツタとして擬態する鳥類のNPC。
光物が好きで、主に尾を使って相手を締めて弱らせることが多い。
刃物で切れる程度には尾は柔らかいが、常人程度ではちぎるのは難しい。


290 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/24(日) 01:39:43 4DnpoeW.0
投下します


291 : 野生の息吹 ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/24(日) 01:40:49 4DnpoeW.0
―― その日、こんな夢をみた。

―― 大地の力、風の力、水の力、あらゆる力がいっせいに集まってくる。

―― どんどんふくれあがる獣の肉。止められない。

―― そこにすべての欲望が内包されていく。熱くなる。鼓動を感じる。

―― どくどくどくどくどくどくどくどく。

―― そうして、自分たちと同じ姿をした動物たちがあまねく大地に根差していった。

------------------------

そうしてしばらく夢をみた後、彼は目覚めた。

彼は決してこの催しを理解していない。しかし一つのことだけを理解していた。

―― 女と交わり、生命をこの世に生み出すこと。

彼がここで理解しているのは、これだけだけだった。

しかし、彼にはまた別の目的が存在した。

―― 「太陽のしっぽ」を掴むこと。

それは彼のいる部族たちの悲願だった。

その悲願を叶えるために、彼とその先人たちは旅をし続けてきたのだ。

そしてその目的を果たすために彼は、まずこの大地を駆け巡ることにした。

幸い、先ほど見つけた謎のものをどうにかして開けたところ、食料と思われるものや武器が見つかったのでそういった心配はいらなかった。

ならばあとは動くだけだった。

そうして彼は走りだした。いつものように、"野生とは何なのか"を知らしめるように全力で駆け抜けていった……。


【原始人(男)@太陽のしっぽ】
[状態]:健康、ヤル気マンマン
[装備]:トゲモリブリンバット@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:マンモスの牙を集めて塔を作り、「太陽のしっぽ」を掴む。
1:マンモスやほかの動物を探し、狩る。そのついでにつがいを探す。
[備考]
繁殖力と脚力(※全体的な身体能力)が重点的に鍛えられており、
また簡単な道具を扱えるほどの知力があります。
ルールを理解しておらず、『とにかく繁殖すればいい』と理解しています。


【トゲモリブリンバット@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
 角の生えたイノシシのような亜人『モリブリン』が使っている両手武器。

 通常のこん棒と違い、殴りつける面に動物の骨がくくりつけられており
 相手に与えるダメージが格段に高まっている。


292 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/10/24(日) 01:41:23 4DnpoeW.0
投下終了です

ありがとうございました。


293 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/24(日) 04:54:21 BtBDP4Rk0
投下します。今回の投下は性的描写が含まれています。苦手な方は読まないよう、注意をお願いします。


294 : けだものさんが通る ◆U1VklSXLBs :2021/10/24(日) 04:55:10 BtBDP4Rk0
任されていたエバンス城から、殺し合いの場に招かれたゲラルドは支給品の確認を済ませると今後の展開に期待を膨らませた。彼はユングヴィ城を包囲するべく進軍した、ヴェルダン王国軍の一人だ。けだものと呼んで差し支えない彼に与えられたのは、発する音を消す指輪と、対象を魅了する鳥の羽。後者は薄い札入れに4枚。

(ご丁寧に説明書きまでつけてくれるとは、好き者だねぇ)

支給品の効果を見れば、期待されている役割が察せるというもの。ありがたく指輪を装備すると、ゲラルドは獲物を物色するべく会場の探索を開始。そして出会ったのは目が覚めるほどの美貌を持つ美しい少女…いや、雌だ。

ユリシアは単独で襲ってきた獣人を撃退し、息を整えていた。彼女は異世界から地球を侵略する魔導兵器と呼ばれる脅威と戦う特殊戦闘部隊「アマテラス」の一員だ。体内にはコアが埋め込まれ、ハート・ハイブリッドギア「クロス」を展開できる。ただし、エネルギー消費が大きく、自然回復にも時間がかかる為、乱用を控えたかった彼女は支給品の棍棒で戦闘を行なっていた。

背後から近づく存在に気づき、ユリシアは体ごと振り返る。彼女が何者か問うより早く、かざされた羽が威力を発揮した。男に対する警戒感が瞬く間に薄れ、下卑た笑いを浮かべながら近づいてくる男が愛しく感じられる。支給品である、セキレイの羽が効果を発揮したのだ。

「へっへっへ…。ほれ、こいつを飲みな」
「はい!」
「いい子だな、俺はゲラルドってんだ。よろしくな、お嬢ちゃん」

ゲラルドはユリシアが媚薬を飲み干したのを見ると、腰に腕を回して抱き寄せた。強引に唇を吸った後、制服を脱がせる。シャツを破くと、はちきれんばかりの乳房が顔を出す。節くれだった指でつぅっと撫でられる。

「ん…うっ!」

顔の印象からすると意外なほど優しい指使い。
声を零したユリシアの様子に、ゲラルドは気を良くしたが、場所が悪い。目についた商店ーーコンビニに連れ込むと、外から死角になる商品棚の裏にユリシアを寝かせる。

あまり時間をかけてもいられない。大きな掌で尻肉や腹、腿の感触を楽しみつつ、パンツを脱がす。舌先で陰部を撫で回し、ユリシアの準備が既に整っていると判断すると、逞しい逸物をユリシアの視界に晒す。

「邪魔が入る前に終わらせんぞ」
「はい…下さいっ!」

ゲラルドがユリシアの太腿を持ち上げる。鈍く尖った切先があてがわれ、ぬちゃり、と卑猥な音が微かに鳴る。ゲラルドが一気に腰を突き込むと、反り返った逸物は秘肉を押し広げながら、ユリシアの最奥へと進んでいった。

「…く、ぁっ!」
「おぉっ…期待通り、だ」

怒張した肉茎が膣壁を擦るたび、甘い疼きがユリシアの神経を駆け抜ける。魅了の魔力と媚薬の相乗効果によって、ゲラルドを受け入れたユリシアは足を持ち上げられたまま、自らも腰を動かす。

「はあっ…あぁっ!」

ユリシアは眉間を寄せ、恍惚な表情でうめいた。やがて彼女を貫く男根が脈動し、これ以上ない奥に大量の体液が吐き出されると、ユリシアの身体からがくんと力が抜けた。

一度精を吐き出した程度では収まらない程、ユリシアの肢体は魅力的だった。予定変更。うつ伏せにして尻を突き出させると、背中が折れそうな程の勢いでゲラルドは彼女を再度貫く。背中に覆い被さり、豊かな双丘に掌を沈めて今度は揉み潰さんばかりに指を動かす。二度目の解放をもって、やっとゲラルドの欲は鎮まった。

滑り出しは上々だ。しかし、生き残りのプランは何もない。ゲラルドは衣服を整えると、コンビニの表に放置されていたユリシアのデイバックを持ってくる。店内に戻った彼は、持ち主に断りもなく支給品を漁り始める。するとおもむろに、ユリシアが胡座を描くゲラルドのもとまで這ってくる。

「おいおい、まだ足りないってか?」
「はぁ…はい…」

手で制されているユリシアの興奮はまだ冷めていないのか?乱暴に言えばそうだ。元の世界にて、ユリシアはギアのエネルギーを回復する"接続改装"がもたらす興奮を経験している。そして今回の媚薬と魅了による二重催淫。人格が少し汚染されてしまったのだ。


295 : けだものさんが通る ◆U1VklSXLBs :2021/10/24(日) 04:55:50 BtBDP4Rk0
【ユリシア・ファランドール@魔装学園H×H】
[状態]:半裸、重度の疲労、快楽への依存、醒めつつある興奮、淫乱度上昇(小)
[装備]:棍棒、ハート・ハイブリッドギア"クロス"
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]
基本: ゲラルドに従う/脱出する
1:チ●ポ❤️


【ゲラルド@ファイアーエムブレム 聖戦の系譜】
[状態]:脱力感と中程度の疲労
[装備]:静かに眠る竜印の指輪
[道具]:基本支給品一式、セキレイの羽(3)、不明支給品×1
[思考]
基本:男は殺し、女は犯す
1:最高だぜ、このお嬢ちゃん
2:どこかに隠しとくか…?
[備考]
序章にて死亡する前からの参戦。



【支給品紹介】
【セキレイの羽@女神転生3】
敵全体に高確率で魅了の効果を付与。日本神話においてイザナギ、イザナミ両神はセキレイの尾を上下に振る動作を見て、性交の仕方を知ったという伝説がある。4枚一組で支給された。

【静かに眠る竜印の指輪@ダークソウル3】
魔術の故郷として知られるヴィンハイムにおいて、密かにあった裏の魔術師たちの指輪。装備者の出す音を消す。

【棍棒@ドラゴンクエストシリーズ】
木を加工して握りやすくした、手に持って殴打する原始的な武器。


296 : ◆U1VklSXLBs :2021/10/24(日) 04:56:15 BtBDP4Rk0
投下終了です。


297 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/24(日) 20:33:01 Lw.FV/Mo0
投下します。


298 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/24(日) 20:34:49 Lw.FV/Mo0
注意!本SSはエロトラップに関する単語や描写が書かれています。
それらの表現に嫌悪感や不快感を感じる方、もしくは成金ゴブリンのファンの方は読むのはお控えください。


299 : 三頭会議 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/24(日) 20:35:19 Lw.FV/Mo0
成金ーーーーー急に金持ちになること。また、その人。
goo辞典より引用。

第一章 成金ゴブリン

―――カツカツ……
静寂な部屋に靴の音が響く……

「ゴ……ゴブ……ゴブッ!ゴブブッ!!」
一匹のゴブリンが命乞いをしている。
そしてゴブリンにしては、高級そうな服を身に纏っている。
どうやら、この館の主らしい。

―――カツカツ……

「ゴブリンが住む家としては贅沢じゃない?……生意気よ」
少女はゴブリンの顎を持ちあげると―――

―――ガブッ!!!

「ゴブ―――ッ!!!???」
女はゴブリンの生き血を吸い始めた。

―――ゴクゴク……ッ!?
女は顔色を変えると―――

―――バッ!
「ゴブゥゥ!!??」
成金ゴブリンを投げ飛ばした。

「……ハァ。不味いわ……もしこれが、私の食卓に出されたらそのソムリエは即刻解雇よ」
女は血の味に不満気。
手で口元をゴシゴシと拭くと―――

「ところで……ねぇ?貴方はどんな音で鳴くのかしら?」
女の視線の先には屋敷に仕掛けられていたエロトラップの器具が―――

「ゴ……ゴブッ!!!???」

そして―――

「ゴブゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!?????」

―――醜悪な声が屋敷内に響く。

☆彡 ☆彡 ☆彡


300 : 三頭会議 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/24(日) 20:35:53 Lw.FV/Mo0
第二章 集う吸血鬼達

―――ゴブブブブブッ!!!!????

鉄の処女から聞こえるのは、成金ゴブリンの嬌声。
エロトラップとして改造された触手でイッちゃえメイデンの触手にゴブリンは精という精を絞り出されている。

―――ゴ……ブ……ッ!!??
―――ドピュルルルル
成金ゴブリンは何度も射精するが―――

―――ゴブゥゥゥッ!!??
鉄の処女は責めを止めない。

―――シュルルル

「ゴブッ!?」
成金ゴブリンの臭いアナルにも触手が―――

―――ゴブブブブブ!!!!???

ドピュッ!ドピュピュ!!!
そして、またイクーーー

―――ゴッブゥゥゥゥウウウゥゥゥウウウウ

―――そんな成金ゴブリンの鳴き声がBGMとして流れる中

「まったく、不快ったらありゃしないわね…」

不満げに呟く少女ーーーーー

レミリア・スカーレット。
永遠に紅い幼き月の2つ名を持つ吸血鬼。

「この私(吸血鬼)を狗のように首輪で飼いならそうとすることがまず気に食わない」
レミリアは自らの首元に嵌められた首輪をさすると怒りを露わにする。

「そして、”エロトラップ”とかいう巫山戯た目的にも……ね!」
―――バリィィィン!!

もう片方の手で持っていた空のワイングラスを握り割る。

「それには、同感だ」
レミリアの横に蝙蝠が集まると人型になる。

「あら?名を名乗らないなんてレディーに失礼じゃない?」

「これは、失礼した。我が名はデミトリ―――「デミトリ・マキシモフ」
男は自らの名を明かす。

デミトリ・マキシモフ。
魔界の名家「マキシモフ家」の当主であり、闇の貴公子 の2つ名を持つ吸血鬼。

「そう…あなたも吸血鬼なのね」
デミトリの放つ魔力から同族であることを理解するレミリア。

「誇り高き我ら(吸血鬼)をこのような下劣な催しに参加させたこと後悔させねばな」

「そうね。人間の遊びにしては度が過ぎてるわ。貴方もそう思わない?」

―――レミリアの視線の先にもう一匹の吸血鬼が

「……そうね。さっさとクズの始末をしないとね」

―――ドミノ・サザーランド
人の身から吸血鬼となった中でも王であるゴアを除けば”頂点”に立つと称される4人の真祖が一人。

☆彡 ☆彡 ☆彡


301 : 三頭会議 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/24(日) 20:38:36 Lw.FV/Mo0
終章 三頭会議開幕

「ほぉ……」
(”元”人間にしては強大な力を有してるな……)
デミトリはドミノの持つパワーに素直に感心する。

「それじゃあ、とりあえず今後のことについて話し合うとしましょうか?」
レミリアはデミトリとドミノに席へ座るように促す。

「それは構わない。だけど……さっきから鳴り響くその耳障りな声をまずはどうにかしてくれるかしら?」
成金ゴブリンの声に顔を顰めるドミノ。

「あら?お気に召さない?」
「ええ。私の趣味じゃないわ」
ドミノはきっぱりと答える。

「そう……それじゃあ、”片づけましょう”」
そういうとレミリアの手から弾幕が―――

―――ボォォン

鉄の処女は粉々になり中に入っていた成金ゴブリンの身体は爆発して四散した―――

「じゃ、改めて話し合うとしましょうか」
そういうと、レミリアは席に座る。

「うむ」
「……」
デミトリとドミノも席に座る。

―――ここに三頭会議が始まった。

【レミリア・スカーレット@東方project 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:あの男(ヒエール)をとっちめる
1:デミトリ・ドミノと今後の方針について話し合う
2:私以外の吸血鬼……これは、愉しみだわ
[備考]
※参戦時期は虹龍洞後

【デミトリ・マキシモフ@VAMPIRE 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:この戯けた催しを破壊する
1:レミリア・ドミノと今後の方針について話し合う
2:ふむ…様々な世界の者を呼び寄せているのか…?
[備考]
※参戦時期はPROJECT X ZONE 2 後
※PROJECT X ZONE 2の関係で異世界の存在についてある程度知っております。

【ドミノ・サザーランド@血と灰の女王】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状態]
基本方針:あのクズ(ヒエール)は必ず叩き潰す
1:とりあえず、レミリア・デミトリと今後の方針について話し合う
2:話し合いの後、下僕共がいるのかどうか探す
[備考]
※参戦時期は127話から
※真祖の能力に制限が課せられています

『エロトラップ紹介』 【触手でイッちゃえメイデン@エロトラップダンジョンロワ】
拷問器具で使われる鉄の処女の外見をしている。
本来の鉄の処女は内部が針だが、エロトラップ用として設置されているため、中は触手である。
捕らえられた者は男女に限らず、触手でイカされ生き続ける。
外部から破壊すれば、助かるが、強大なパワーで破壊すると中の囚われた者も死を迎えるため、要注意。

『NPC紹介』 【成金ゴブリン@遊戯王OCG】
成金と化したゴブリン。
自身が直接襲うのではなく、性トラップで参加者の悶える姿を見るのが楽しみという下種。
やはり成金でもゴブリンはゴブリン。
なお、彼の歴史はカードして多く語られている。


302 : 三頭会議 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/24(日) 20:38:47 Lw.FV/Mo0
投下終了します。


303 : ◆OQfaQnysJI :2021/10/24(日) 20:58:05 HBzg6Y6s0
投下します


304 : 種族越えて仲間さ ◆OQfaQnysJI :2021/10/24(日) 20:58:55 HBzg6Y6s0
不気味な雰囲気の漂う古城。
その中を、フヨフヨと浮遊しながら移動する一つの影があった。
彼(厳密には両性具有なのだが、便宜上こう呼ぶ)の名は、クリムヴェール。愛称は「クリム」。
「天使の輪」の破損によって下界に転落してしまい、ただれた生活にどっぷりハマってしまったスケベ天使である。

「うう、大変なことになっちゃったなあ……」

クリムの口から、弱音が漏れる。
脳裏に浮かぶのは、あまりに無惨な方法で殺された少女の姿。
思い出すたびに、吐き気がこみ上げてくる。
吐き出せるものはもう全部吐き出してしまっているので、現状では出てくるものは何もないが。

「スタンクさんたち、助けに来てくれないかなあ……。
 さすがに無理かなあ……。ここ、異世界っぽいし……」

スケベだが冒険者としての実力は折り紙付きの仲間たちを思い浮かべるクリム。
しかし、いかに彼らと言ってもここまで常識外れの事態を解決するのは難しそうだ。
となれば、自分の命は自分で守らなくてはならない。

「僕に事態が解決できるとは思えないけど……。
 せめて誰かが解決してくれるまで自力で生き延びないと……。
 いや、それはちょっと他力本願過ぎるかなあ。
 僕にも何かできることは……」

前進を続けながら、真剣に考え込むクリム。
その結果周囲への注意が散漫になった彼は、あっけなくトラップに引っかかってしまう。

「うひゃあっ!」

突然顔を襲った奇妙な感触に、クリムは思わず素っ頓狂な声を上げる。
彼の顔に触れたもの、それは天井から吊り下げられたこんにゃくだった。
むろん、こんなものを主催サイドが真剣にしかけたわけではない。
あくまでこれは、本命のトラップに誘導するための布石だ。

突然の衝撃に動揺したクリムは、よろけて足を地面につけてしまう。
それをスイッチに、床にしかけられたトラップが発動する。

「うええっ!?」

戸惑うクリムに、無数の触手のようなものが襲いかかる。
触手はクリムの体に絡みつき、瞬く間に全ての衣服を剥ぎ取った。

「えええええ!?」

予想外の展開に混乱するクリムは、周囲に放り投げられた衣服を拾うこともせず、全裸のままうろたえる。
しかも……。

「何があったの! 大丈夫?」

叫びを聞きつけ、近くにいた女性が駆けつけてしまった。

「あっ……」
「あーっ!!」

そんなこんなで、一糸まとわぬ姿をバッチリ見られてしまったクリムであった。


◆ ◆ ◆


「すいません。お見苦しいものをお見せしまして……」
「いやいや、謝る必要ないって。どっちかっていうと、謝るべきは見ちゃったこっちでしょ」

数分後、落ち着いて服を着直したクリムは、女性に向かって頭を下げていた。
しかし女性の方は、あまり気にしていないようで朗らかに笑っている。

その後、二人はお互いに自己紹介を行った。
それによると、女性の名前は松本乱菊。死者の魂を鎮める「死神」だという。

「天使ねえ……。そんなものが実在するって話は聞いたことないし、やっぱり私とクリムは別の世界から連れてこられてるっぽいわね」
「そうですか……。ああ、困ったなあ。
 元の世界に帰れるかなあ……」

自分の懸念が当たっていたことを確信し、クリムは頭を抱える。

「まあ、そう悲観しない。こう見えてお姉さん、けっこう強いんだから。
 あんた一人くらい、守ってあげるわよ」
「お手数おかけします……」
「それよりさあ」
「はい?」

下卑た笑みを浮かべて、乱菊はクリムの肩を押さえる。

「さっき、不思議なものが見えた気がするんだけど……。
 もう少し詳しく、天使の体について教えてくれない?」
「ふえ!? い、いや、それは……」

困惑するクリム。その脳裏に浮かぶのは、いつものスケベ共の顔だ。

(僕、こういうタイプに巡り会う運命なのかな……)

受け取り方によっては、乱菊に対してえらく失礼な考えを巡らすクリムであった。


305 : 種族越えて仲間さ ◆OQfaQnysJI :2021/10/24(日) 20:59:57 HBzg6Y6s0


【クリムヴェール@異種族レビュアーズ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生還する
1:大丈夫かな、この人……


【松本乱菊@BLEACH】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:クリムを守る


『トラップ紹介』
【装備外しの罠@不思議のダンジョンシリーズ】
読んで字のごとく、踏むと装備品が外れてしまうトラップ。
本来対象となるのは武器、防具、装飾品などだが、本ロワでは身につけている物全てが外されてしまうように改造されている。
外された物は消失するわけではなくその辺に放り投げられるので、一人で行動しているときに踏んでもさほど問題にはならない。
問題となるのは、敵対的な存在が側にいるときである。


306 : ◆OQfaQnysJI :2021/10/24(日) 21:00:39 HBzg6Y6s0
投下終了です


307 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/25(月) 01:46:22 dLVnTLIg0
投下します


308 : 勇者、魔女、剣士、親父ィ…… ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/25(月) 01:47:22 dLVnTLIg0
「いやあああーーーーーーーーーーーーーー!!こっちにこないでぇえええーーーーーーーーーー!!」

少女の悲鳴が会場に響き渡る。
泣き叫ぶこの少女の名前は加賀城雀。
量産型勇者、防人の一人である。

なぜ雀がここまで怯え、泣いているかというと、それは……

「腐☆腐、お嬢さん。そう怯えることはあるまい」

薄気味悪い笑みを浮かべた変質者の親父ィ……の魔の手にかかろうとしていたからだ。
ガタガタと震え上がる雀に近寄るこの男の名はパラガス。戦闘民族サイヤ人の一人である。

周囲を探索していたパラガスは出会った少女、雀を一目で気に入り
手籠めにするべく、期待と股間を膨らませながら近づいていた。

「さぁ、私が守ってあげようではないか。こっちへ来るんだ」
「嘘です!!絶対私に酷い事をするつもりなんだ!!ひいいいいいっっ!!し゛に゛だく゛ないよーーー!!」

この男は紛れもなく極悪人である。
雀の本能が全力でそう訴えかけている。
あいつは危険人物だ。信用してはならないと。

「安心するがいい。君をすぐに殺したりはしないさ」
「……えっ?」
「君には性奴隷として、私の息子♂の相手をしてもらうのだからね♪」
「いいいいいいいいゃああああああーーーーー!!死ぬのも嫌だけど、こんな変態親父に犯されるのはもっと嫌だああああああーーー!!」

このままだと大切にしていた処女膜があの変態親父ィによってブチ破られてしまう。
脇目も振らずに雀は泣きながら走り出した。
迅速かつ的確な判断力な生存本能である。


だが――


「無駄だよ!」

一瞬にして雀の目の前まで移動したパラガスによってあっさり捕まったのだった。

「やだやだやだやだやだやだぁぁぁーーーーー!!は゛な゛じでぇぇぇぇぇぇ!!」
「こらこら暴れるで無い。ほらっ、私の息子♂に挨拶したまえ。ほ〜れ♪ほ〜れ♪」

布地の上からでもくっきりと分かるほどにパラガスの息子♂が怒張し
腰を振って息子♂を揺らしながら雀の顔に近づけた。

「ぎゃあああああああああっっ!!気持ち悪い!気持ち悪い!気持ち悪い!そんな汚いのをこっちにむけないでぇぇぇぇぇ!!」
「汚いとは失礼な。私の息子♂は毎日ちゃんと綺麗にしているというのに、まぁこれからは……君が私の息子♂を綺麗にしてもらおうか♪」
「嫌だぁぁーーーー!!助けてメブぅぅーーーー!!こんな変態親父に初めて奪われたくないよぉぉぉぉーーーー!!」
「大人しくするんだ。私の老練なテクで気持ち良くさせて」


309 : 勇者、魔女、剣士、親父ィ…… ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/25(月) 01:47:59 dLVnTLIg0
ドォン!

「あーう!」
「今の内に……」

どこからともなく飛んできた火球がパラガスに直撃する。
パラガスはよろめいて手を離した隙に
雀は火球の飛んできた方向へとダッシュで逃げ出した。

「一体誰だ?こんなことをするのは」

パラガスに攻撃を仕掛けた人物それは――

灰色の髪をなびかせ、知的で美しく才能に満ち溢れ。
異世界であるこの場所でさえ誰もが振り返るほどの美女は誰でしょう。

そう、私です。

現れたのは灰色の魔女、イレイナである。
雀の悲鳴を聞いて駆けつけたイレイナは支給品である魔導士の杖を使い
メラを撃ち放ってパラガスにぶつけたのだった。

「だずげでぐれ゛であ゛り゛がどう゛ござい゛ま゛ずぅぅぅぅ!!」
「落ち着いてください。まだ助かっていません」

イレイナの言う通りでメラをまともに食らったのにも関わらず
パラガスはまるで何事も無かったかのようにピンピンとしている。
いや、むしろビンビンになっていた。

「柔らかくてすべすべしてそうな素晴らしいふとももじゃないかぁ。ああっ……撫で回したい」
「うわっ、気持ち悪いですね。不快なのでさっさと死んでくれませんか?」
「その毒舌も嫌いじゃないよ。言葉責めされながら足コキされるのも気持ち良さそうだぁ」

意外にパラガスはM向けのプレイも行けるのだ。
その守備範囲の無駄な広さも気持ち悪さを引き立てている。

「魔女のお姉さん逃げましょう!あの変態親父は滅茶苦茶強いんです!」
「度し難いド変態の癖に強いとかシャレになっていませんね」
「サイヤ人である私から逃げられると思ってるのかね?君達はこれから私に……」

「お、丁度いいぐらいの参加者たちがいるじゃねえか」

雀の悲鳴を聞いて現れたのはイレイナ一人では無かった。
少女を助けようとする参加者だけでなく
積極的に殺して回ろうとする参加者も呼びよせていた。

「こんな女達とおっさんの参加者なら俺でもやれるぜ」

黒い隊服を着た剣士の男が姿を現す。
男はニヤリと笑いながら刀を抜いた。

「貴方は……」
「お前達はそこで大人しくしていろ。俺は安全に勝ちたいんだよ」

男はイレイナと雀を後回しにしてパラガスの方へ狙いを定めた。
弱そうな女達よりおっさんを先に仕留めた方が楽になると判断したのだ。

「この殺し合いで優勝すれば20憶の金が手に入るからなぁ」

彼は鬼殺隊の豊富な資金力を目当てに入隊した男である。
鬼から人々を守るために戦うような志など持ち合わせていない。

「俺の隊は殆ど全滅状態になったと思いきや、突然こんな場所に連れて来られて訳が分からなかったが
 数十人の人間殺して20億手に入ると言うなら、俺は喜んでこの殺し合いに参加させてもらうぜ」
「なんで……?そんな理由で人の命を奪うなんておかしいよぉ!」
「安い給料で命かけて鬼狩りするなんてバカらしいからな。20憶くれるなら俺は鬼殺隊だって裏切れるぜ。オラァっっ!!」

欲に目が眩んだこの男には、雀の涙ながらの言葉も届かない。
鬼殺隊の男は己が勝ち残るためにパラガスに向かって斬りかかった。

「愚か者め!」

ポワンとパラガスの右手が緑色に発光すると
鬼殺隊の男に向かってデッドパニッシャーを撃ち放った。

「ああっーーー!!」

デッドパニッシャーを食らった鬼殺隊の男は吹き飛び
上空で爆発して粉々になって死んだ。

【塁に切り刻まれた隊士@鬼滅の刃 死亡】


310 : 勇者、魔女、剣士、親父ィ…… ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/25(月) 01:48:21 dLVnTLIg0
「フン、汚い花火だ」
「一瞬で、粉々に……」
「ひいいいいぃぃぃぃ!!やっぱり滅茶苦茶強いぃぃぃぃーーー!!」

鬼殺隊の男を瞬殺した事によってパラガスの強さは明かとなった。
雀は怯え震え上がり、イレイナは冷や汗を流しながら隙を伺った。

「さぁ君達、観念して私の息子♂にハメハメされてしまえー!」
「それは死んでもゴメンですね」
「いやだいやだいやだいやだいやだいやだーーーーー!!」
「臆病な小動物系ロリっ娘と毒舌なふともも魔女っ娘との3Pとは、こんな素晴らしいプレイは中々味わえんぞぉ!腐☆腐」

興奮が最高潮に達したパラガスは居ても立っても居られず
その場で犯すべく二人に接近する。

カチリッと何かを踏んだ音がなった。

「ぬう?ぬおおおおおお!?」

パラガスが踏みつけたスイッチから触手が生え出してパラガスに襲い掛かった。

「わ、私の息子♂がぁあああああ!!」
「そこの貴女、逃げますよ!捕まってください!」
「はいっ!!」

何本もの触手がパラガスの戦闘ジャケットの隙間に入り込んで息子♂を扱き、アナルをほぐしていく。
誰得かと言われるような地獄絵図の中、イレイナは支給品の箒に跨った。
魔力によって箒は浮かび上がり、雀もイレイナの背に捕まると
バイクにも負けぬ速度で、その場から離脱した。

「シュワッと!?ええいうっとおしい!!」

触手を引き千切り、脱出した時にはもう
雀とイレイナの姿はどこにもなかった。

「あーう!せっかくピチピチギャルとハメハメしたかったのに……うわははぁ〜〜ん!!」

若い女と性行出来る貴重なチャンスを逃したパラガスは年甲斐も無く号泣した。
だがパラガスはまだ心は折れていない。
この殺し合いで勝ち残り、願いを叶えさえすれば
世界中、いや全宇宙のピチピチギャルを我が物と出来るのだから。

【パラガス@ブロリーMAD】
[状態]ストレス(中)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して願いを叶える。
1:性欲を持て余す。
[備考]
原作と異なり、このパラガスは変態になっています。

【加賀城雀@結城友奈は勇者である_大満開の章】
[状態]疲労(小)、精神疲労(大)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない
1:殺されるのも犯されるのも嫌だ。
2:目の前の魔女さんに助けてほしい。

【イレイナ@魔女の旅々】
[状態]魔力消費(小)
[装備]魔導士の杖@ドラゴンクエストシリーズ
[道具]基本支給品一式、ラピッドスワロー@魔法少女育成計画、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから脱出する。
1:まずはあの変態親父から離れましょう。
2:この子(加賀城雀)は一応、私が保護してあげましょう。

【魔導士の杖@ドラゴンクエストシリーズ】
魔法使いが装備できる杖であり、道具として使用すると
メラの呪文を撃つことが出来る。

【ラピッドスワロー@魔法少女育成計画】
トップスピードが所持する魔法の杖。
最高速度は最新現代科学の戦闘機をも上回るが
このロワではそこまでの速度を出す事は出来ない。

『NPC紹介』
【触手@オリジナル】
女性のみでなく男性にも性的快楽を与える触手で
満足するまで犯したら自動的に放してくれる。
刃物を使うか。常人を超える力を使わないと触手を排除するのは難しい。


311 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/25(月) 01:48:46 dLVnTLIg0
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312 : ◆OmtW54r7Tc :2021/10/25(月) 07:09:37 o8/5CUlM0
投下します


313 : 悪夢は終わらない〜罪悪感が生んだ怪物〜 ◆OmtW54r7Tc :2021/10/25(月) 07:10:57 o8/5CUlM0
クレス。
優しくて正義感が強くて、一時はちょっと好きだった人。

ミント。
優しくおっとりとしていて、おっぱいも大きくて、同じ女性として憧れだった人。

そしてチェスター。
ぶっきらぼうで口が悪くて、だけどもやっぱり優しくて、そして…愛している人。

みんなみんな、大切な仲間。
だけどあたしに、彼らの仲間を名乗る資格なんて、もうないんだ。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

アセリア歴4202年。
あたしとクラースは、152年後の世界でダオスを倒した後、この時代に戻ってきた。

「クレスやミント、チェスターに会えるのは100年後かあ」
「私はもう会えないがな」
「ふふ…クラース、羨ましい?」
「まあ、私も彼らと会いたいし、長寿であるハーフエルフのお前が羨ましくないと言えば噓になる。だが…」

そこで、クラースは何故か暗い顔になった。
そして、アーチェに言った。

「アーチェ…くれぐれも、全てが終わる前の彼らに会いに行ってはだめだぞ」
「分かってるよ、そうしないと歴史が変わっちゃうかもしれないってことでしょ?」
「本当に分かっているのか…?」

自分の能天気な様子に、クラースは不安を感じたらしい。
彼は、真面目な表情でアーチェに問う。

「クレスやチェスター、ミントが、私たちの時代にやって来る前の話は、聞いているか?」
「え?う、うん…クレスとチェスターは村を襲われて、ミントは投獄されてお母さんを…」

そこまで言ったところで、ドクンと心臓が鳴った。
過去の私は、未来に起きる彼らの悲劇を知っている。
それって、つまり…

「ようやく気付いたようだな…そうだ、彼らに起こる悲劇を、お前は黙殺しなければいけない」
「な…そんなの、ダメに決まってるじゃん!」

思い出すのはハーメルの村。
デミテルによって崩壊させられたその村には、親友のリアがいて…彼女は殺された。
あれと同じような悲劇を、止められると分かっていて、止めないなんて、そんなこと…

「お前が彼らの悲劇を止めれば、クレス達はダオスを倒すために私たちの時代に来ることはなくなる。その結果…歴史は変わり、世界は闇に包まれるかもしれない」

クレス達によれば、ダオスは元々モリスンによって倒される予定だったらしい。
しかし、歴史は変わりモリスンは志半ばで死んだ。
クレスや自分たちによってダオスは退けられ、結果的にうまく行ったが…そんな奇跡が何度も起こるとは限らないのだ。

「でも、だからって…」
「それにアーチェ…お前が悲劇を止めれば…私たちと旅をしてきたクレス達は、いなくなる。お前のことを覚えてる彼らは、いなくなるんだ」
「!!…みんなが、私のことを…?」
「とにかく、彼らに会うタイミングは、よく考えてくれ…すまないな、お前ひとりに、このようなことを押しつけてしまって」


314 : 悪夢は終わらない〜罪悪感が生んだ怪物〜 ◆OmtW54r7Tc :2021/10/25(月) 07:12:26 o8/5CUlM0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

アセリア歴4304年、5月21日。
それは、運命の日。
きっと今頃、100年前の時代からやってきた自分たちが、ダオスと戦っているのだろう。

「ごめんね…ごめんね、みんな」

そう、アーチェは見逃した。
トーティスの悲劇も、ミントの母親の死も。
止められる立場にあったのに、見逃したのだ。

「こんなあたしを…みんな受け入れてくれるのかな」



彼らの悲劇を黙殺して以降、アーチェは夢を見るようになった。
クレスやミント、チェスターの夢を。

『アーチェ…どうして今頃になって来たんだい?君がもっと早く来てくれれば、父さんや母さんは死なずに済んだ!』
『私のお母さんも…アーチェさん、ひどいです!』
『お前のせいだ!お前のせいで…アミィは!』

みんなが、あたしを責め立てる。
違う、違うよ。
あたしだって、止めたかった。
見殺しになんか、したくなかったよ。
だけど…仕方ないことだった。
だから…

『お前なんか、仲間じゃない!』

だから…そんなこと言わないでよ!



それから数か月が経ったころ。
おそらく、もう全てが終わったころだろう。
きっとクレス達は、トーティスの復興作業にいそしんでいることだろう。
彼らに、会わないと。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

『アーチェ!?』
『アーチェさん!?』

トーティスにやってきたあたしに、クレスとミントが驚く。

『えへへ…来ちゃった。久しぶり…って言っても、そっちにとっては数か月ぶりになるのかな』
『アーチェ、会いたかったよ』
『この村の復興の目途がついたら、探しに行こうと思ってたんです』

笑顔であたしを迎えてくれるクレスとミント。
そんな二人の姿に、安堵する。

『…アーチェ?』

彼らに続いてチェスターも現れ、アーチェの姿に驚く。

『ひ、久しぶりチェスター!元気そうじゃん』
『…おせえんだよ』
『え?』

ぶっきらぼうなチェスターの言葉に、一瞬ぎくりとする。
脳裏に、自分を責め立てる悪夢の中のチェスターがよぎる。
しかし…チェスターはニッと笑うと、アーチェの肩を組んで行った。

『ここに来たからには、お前もこの村の一員だからな。キリキリ働いてもらうぜ』
『あたしが…この村の一員?』?

チェスターの言葉に、クレスとアーチェも優しい表情で頷く。

『いいの?あたし、みんなといて、いいのかな?』

あたしの言葉に、3人はキョトンとした表情になる。

『お前、100年経ってボケたのかよ?いていいに、決まってるだろ』
『何年経っても、アーチェは僕たちの大切な仲間だ。その仲間を、拒絶する理由なんて、ない』
『歓迎しますよ、アーチェさん』

みんなの言葉に、あたしは目頭が熱くなる。
嬉し涙を流しながら、あたしは元気よく答えた。

『みんな、これからもよろしく!』


315 : 悪夢は終わらない〜罪悪感が生んだ怪物〜 ◆OmtW54r7Tc :2021/10/25(月) 07:13:34 o8/5CUlM0
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

これは、夢。
そうなるはずだった、夢。
しかし、その夢が現実となる前に…トーティスへとたどり着く前に、アーチェはこの殺し合いに巻き込まれた。

「…はは」

アーチェの口から、乾いた笑いが漏れる。

「あは、あはは、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

その笑いは、狂気を帯びた高笑いになる。
嬉しいから笑うんじゃない。
悲しくて、逆に笑えてくるのだ。

「…罰が当たったんだ」

そう、これは罰なんだ。
トーティスを、ミントのお母さんを助けなかった罰。
こんな罪深い自分が、彼らに会おうなどと、虫がいい話だったんだ。

「あたしは、この殺し合いで最後の一人になる。そして…今度こそ、みんなを助けるんだ」

クラースは言っていた。
歴史を変えると、クレス達が自分たちの時代に来なくなり、歴史が変わって未来が闇に包まれるかもしれないと。
だけど、この殺し合いの主催者は言っていた。
どんな願いでも叶えると。
それならば、ダオスの脅威を排除した上で、彼らの悲劇を止められるのでは?
というより、ダオスという存在自体を消すことを望めば、彼らに悲劇は起きないのでは?

勿論、そうなった時、やはりトーティスやミントの母の悲劇はなくなり、過去の時代での自分との出会いもなかったことになるだろう。
だけど、それでいい。
悲劇を見てみぬふりをした自分に、彼らの仲間を名乗る資格なんてないのだから。
彼らが私のことを覚えている必要なんてない。
あたしは…一人でいい!

「クレス、ミント、チェスター、待っててね。みんなの悲劇…今度こそ止めて見せるから。あたしのいない世界で…幸せに生きてね」

【アーチェ・クライン@テイルズオブファンタジア】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:優勝し、ダオスの脅威を排除した上でクレス達の悲劇を止める
[備考]
※参戦時期はED後、クレス達の時代です


316 : ◆OmtW54r7Tc :2021/10/25(月) 07:14:24 o8/5CUlM0
投下終了です


317 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/25(月) 19:24:14 79ggDqZo0
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318 : 急転直下とはまさにこのこと ◆7PJBZrstcc :2021/10/25(月) 19:24:50 79ggDqZo0
 殺し合いの会場である天空の島。
 その一角で、青色の装甲に身を包んだ一人の男が佇んでいた。
 いや、『一人』というのは正しくない。
 なぜなら、彼は人間ではなくロボット、レプリロイドだからだ。

 レプリロイドとは、高度なAIを搭載したロボットのことである。
 彼らは人間と同じように思考し、行動することのできる存在なのだ。

 そしてここにいる彼は、全てのレプリロイドの始まりである存在。
 名前をエックスという。
 彼は今、思いを馳せていた。
 対象は、最初に死んだ少女、クロエ・フォン・アインツベルン。もっとも、彼は名前を知らないが。
 彼は思う。

 彼女は、最初の場で主催者の男に抗っていた。
 それは本来イレギュラーハンター、レプリロイド用の警察みたいなもの、である自分の役目だったのに。
 しかしこうなった以上イレギュラーハンターとして、せめて代わりにあの男を逮捕しなければ。

 そう考えたエックスは、クロエの姿を思い浮かべながら、殺し合いに抗うべく足を進めようと――

「オナニイイイイイイ!!」

 していなかった。
 それどころか、クロエをオカズに自慰行為を行っていた。

 さて、前述の説明を聞いた読者の皆さんは『ロボットに性器なんてないだろ! いい加減にしろ!!』と思う方もいるだろう。
 しかしそれは、ここにいるエックスが『ロックマンXシリーズのエックス』ではないからだ。
 彼は『ゼERO』が出展だったのだ。
 本来の、つまりロックマンXシリーズについて知らない方はwikipediaなどを参照してもらうとして、ここでは簡単にゼEROについて説明しよう。

 ゼEROとは、ニコニコ動画で音MADを中心とした、14年以上続くロックマンXシリーズのMAD動画のことである。
 その中で、エックス含む登場キャラは大体異常性欲に囚われた存在となっているのだ。
 なのでゼERO関連の項目では、エックスのことは『SEエックス』と呼称されていた。

※よって、今までの文章にあった『エックス』の部分は、正しくは『SEエックス』です。誤字をお許し下さるか!?

 そんなSEエックスにとって、クロエは最高のオカズだった。
 整った顔立ちにどこか煽情的な服装と、挑発的な物言い。
 そして、最期に見せた壮絶な絶頂っぷり。
 これら全てが、彼の性欲を暴走させる。

「あぁん……!」

 気づけば、SEエックスは射精し、体には自身の精液がかかっていた。
 しかし、いつまでも彼がこんな状態のままでいいわけない、と思うものがやって来る。

「虫ケラァ!!」

 怒号と共に銃声が響き、SEエックスはマスケット銃でハチの巣にされた。まだ生きてはいるが。
 それからすぐ彼の横に、金髪縦ロールが特徴的な美少女が現れた。

 彼女の名前は巴マミ。
 魔法少女まどか☆マギカの人気キャラだが、彼女もまたゼERO出展である。
 ロックマンXのMADシリーズじゃなかったっけ? という声もあるだろうが、他作品キャラが登場するのもゼEROの特徴である。
 そんな彼女は、SEエックスに対し病的な好意を向けている。
 ヤンデレかメンヘラかは判別しにくいが、とにかく彼女はSEエックスが自分に振り向かないと彼を撃つ女なのだ。

 そして彼女の隣に、また新たな人影が二つ。

「哀れなSEエックス……」

 言葉とは裏腹に嘲笑しながらSEエックスを見つめるのは、ハゲ頭に緑色の巨体とイケメン。そしてプリケツが特徴的な男。
 彼の名はシグマ。SEエックスの上司である。

 シグマがSEエックスを嘲笑したのは、マミの存在を考慮しなかった彼を馬鹿にしたのと、単純にクロエに欲情しなかったので共感できなかったからだ。
 そう、なぜなら。


319 : 急転直下とはまさにこのこと ◆7PJBZrstcc :2021/10/25(月) 19:25:19 79ggDqZo0

「私はホモだ!」

 シグマはホモだから。
 ゼEROでは動画ごとに登場キャラの性癖が変わるので、シグマもロリコンだったり巨乳好きだったりするが、ここにいる彼はホモである。
 だがホモに恋する乙女もいる。それが最後の一人。

「婚姻届にサインをくださいね!」

 大きく実った乳房の谷間から、支給品である婚姻届を取り出しながらシグマに迫る女性。
 彼女の名前はEROフェルト。元はギルティギアシリーズに登場するキャラ、エルフェルト=ヴァレンタインだが、彼女もまたマミと同様である。

「気が早いかもしれませんが、新婚旅行はどこがいいですか? せっかちでごめんなさい。でも私、素敵な式にしたいんです。豪華じゃなくていい、一生の思い出に残るような――」
「やだ! 無理だ! た す け て」

 EROフェルトの猛攻に助けを求めるシグマ。
 しかしSEエックスは未だハチの巣のままで、マミはシグマを見ようともしない。
 そんないつまでも収拾のつかなさそうな混沌の中、前触れもなく何かが飛んできた。

 それはとても小さく、一見すると何でもないものに見える。
 だがシグマとSEエックスはそれがなにか理解した。ゼEROではよくあるが故に。

「爆発オチだ!」
「いつものだね」

 シグマとSEエックス、二人の悟った言葉の後、飛んできたものは爆発した。あれは爆弾だったのだ。
 まあ、爆発オチはゼEROではよくあることである。

「「「「ああああああああああああああああああ!!」」」」

【SEエックス@ゼERO 死亡】
【巴マミ@ゼERO 死亡】
【シグマ@ゼERO 死亡】
【EROフェルト@ゼERO 死亡】





「な、なんて爆発……」

 SEエックス達が巻き込まれた爆発現場から数十メートル離れた所で、一人の女性が爆発におののいている。
 ここだけ切り取ると、突如巻き込まれた殺し合いの壮絶さに怯えている様だが、実際は違う。
 彼女は、自らの支給品で起こした爆発の威力に驚いたのだ。
 そう、彼女こそがSEエックス達に向けて爆弾を投げた真犯人である。彼女は殺し合いに乗っていたのだ。

 彼女の名前は桐江想子。とある世界の有名ミステリー作家、山之内恒聖の屋敷にて住み込みでメイドをしている。
 そんな彼女がなぜ殺し合いに乗ったのか。それは彼女の半生が関わってくる。

 想子の父親は貿易商で、屋敷に住めるほどの金持ちだった。
 そんな彼は本当はミステリー作家になりたくて、いつも思いついたトリックを学生時代からノートに書き溜めていた。
 もっとも、そのノートを見て彼の大学時代の友人であり、まだ有名ではなかった山之内は小説にならないと一刀両断したが。

 しかしある日、想子の父親が事故死してしまう。
 それから色々あり、彼の会社は傾き、家も売られ、想子は天涯孤独の身として施設に送られた。

 その後の彼女の生涯は壮絶だった。
 生きる為なら時に売春まがいのこともして、とにかく必死だった。

 そんな日々が続いた中、二年前に転機が訪れた。
 場末の安酒場にホステスで働いていると、いつの間にか有名になり、大金持ちとなった山之内恒聖が彼女の働いている店に訪れたのだ。

 話の流れで彼の本を貰い読んだ時、彼女は衝撃を受けた。
 なぜならその本の内容は、かつて彼女の父が語った、トリックノートに書かれたものそのものだったからだ。
 彼は盗作していたのだ。

 そう確信した想子は、山之内の家にメイドとして働き始めた。
 そして彼が彼女の父のトリックノートを必死に読む姿を目撃し、確かな真実となる。

 山之内が盗作しているのを目撃した時、彼女は思った。


320 : 急転直下とはまさにこのこと ◆7PJBZrstcc :2021/10/25(月) 19:25:45 79ggDqZo0

 もしあの日、山之内がこれは小説にならないなどと言わなければ。
 もし父が事故死しなければ。
 もしそのトリックノートを、自分が先に見つけていれば。

 そうしたら、自分はあんなに必死になって生きなくてもよかったかもしれないのに。

 そこで巻き込まれたのがこの殺し合いだ。
 想子は一も二もなくこれに乗った。

 願いが叶う、などという眉唾は信じていない。
 だが20億あれば、なんだってできる。新しい人生を送れる。
 それにもし、願いが叶うというのが本当ならば、考えずにはいられない『もし』を実現できるかもしれない。
 最初の場であんな死に方をした少女に対し、同じ女として思うことはあるが、他人と自分なら、やはり自分の方が大事なのだ。

 とにもかくにも、参加者を四人減らした想子はこの場から離れようとした。
 すると、なんと爆心地からデイバッグが一つ、彼女の元へ飛んできた。
 運がいいのか、デイバッグが桁外れに丈夫なのか分からないが、天の助けとばかりに彼女はそれを拾って走り出す。

 だが想子はもう少し考えるべきだった。
 参加者が四人いるなら、デイバッグも四つ。
 そしてここには一つしかないのだから、残りはどこにあるのかを。


【桐江想子@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:炸裂弾×2@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、EROフェルトのデイバッグ(基本支給品、ランダム支給品0〜2)
[思考・状況]基本方針:優勝狙い
1:爆発音が響いたのでここから離れる
[備考]
参戦時期は本編登場前です


※会場のどこかで爆発音が響きました。
※SEエックス、巴マミ、シグマのデイバッグ(全員共通で基本支給品、ランダム支給品1〜3)が会場のどこかに放置されています。
 それぞれ近くにあるかもしれませんし、遠くにあるかもしれません。NPCが持っていくかもしれません。


【婚姻届@現実】
EROフェルトに支給。
役所に行けば貰えるごく普通の婚姻届。爆発で焼失した。

【炸裂弾×3@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-】
桐江想子に支給。
元赤報隊の月岡津南が製作したもの。
ポケットに無造作に突っ込めるほど小型で、衝撃で爆発するので着火作業が必要なく、本編の描写を見る限り多少雑な管理をしても誘爆しない。
それでいて、三つ同時に爆発させれば、戦艦の装甲を破壊できるほどの威力を持つ。
製作者の津南曰く『護身用』とのこと。


321 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/25(月) 19:26:11 79ggDqZo0
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322 : ◆ytUSxp038U :2021/10/25(月) 23:04:11 kRf1NBDA0
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323 : 可能性のドアはロックされたまま ◆ytUSxp038U :2021/10/25(月) 23:05:47 kRf1NBDA0
どうすればいいんだろう。

リボンを付けた少女、橘ありすは現状の最適解を見出せず立ち尽くしていた。

ありすを悩ませる要因は突如巻き込まれた殺し合い、だけではない。
確かに自分と同い年くらいの少女が穴という穴から汁を撒き散らし逝った映像を見た時は、おぞましさの余り気を失いそうになった。
保健体育の授業を受けた時、男女の交際とは手を繋いだりキスをするだけでなく、それ以上の行為があるのだと頬を赤らめながらも知識として覚えた。
だがアレは、あの少女の受けた仕打ちは、小学生の性知識では理解が追い付かない惨たらしさだ。
おまけにエロトラップだのNPCだのが多数配置された場所に投げ出され、いつ自分もあの褐色少女と同じような目に遭うかを考えると、恐くて堪らない。
いつも頼りにしているプロデューサーが傍におらず、代わりにいるのは別の男。

この男こそが、ありすが頭を抱える原因となっていた。

最初に遭遇した時は当然警戒した。
殺し合いという異様な状況で、見知らぬ大人の男と出会ったのだから無理もないだろう。
自分はこれから目の前の男によからぬ事をされるのでは、そう思うと途端に全身が震えだす。
尤も、男がそんな自身の予想とはかけ離れた人物だとすぐに分かったのだが。

男は誰かを殺したりだとか、見せしめにされた少女のような犠牲者を出したりはしないだろう。
それは男が正義感に溢れた熱血漢だからでも、優しさに溢れた紳士だからでもない。
何故なら男は





「もう駄目だ……おしまいだぁ……」


とんでもないヘタレだったからだ。

「あの、恐い気持ちも分かりますけど、こんな所で蹲ってたら危ないですよ」
「ダニィ!?き、貴様!サイヤ人の王子ベジータ様が恐がっているだと!?舐めるなよガキ!」
「ガキじゃありません、橘です」

ありすの言葉が癪に障ったのか、眉を吊り上げ怒鳴って来る男。
しかし直前のヘタレた姿を見ていたありすは怒声を受けても動揺せず、至って冷静に言葉を返した。

「私が言いたいのは、せめて近くの建物に入りましょうって事です。ここにいたら、あの細い人が言ってたNPCっていうのに襲われるかもしれませんし…」
「襲われる…?」

ハッとしたような表情になる男。
どうやら話は通じたようだとありすは胸を撫で下ろす。が、

「そ、そうだ。この俺にまで首輪を填めやがるくらいだ。きっとあのヒョロ長野郎は、とんでもないパワーを持ってるに違いない…!」
「はい?」
「勝てる訳がない!みんな殺されるんだぁ…!」

そう言って再び蹲る男を前に、ありすは気が遠くなる思いだった。


【ベジータ@ブロリーMAD】
[状態]:現状への恐怖(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない
1:もう駄目だ……おしまいだぁ……
2:ブロリーがいるなら絶対に会いたくない
[備考]
※原作と違い極度のヘタレと化しています。

【橘ありす@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰りたい
1:この人どうしよう…


324 : ◆ytUSxp038U :2021/10/25(月) 23:06:39 kRf1NBDA0
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325 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/25(月) 23:47:21 6GhQrVT60
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326 : WorldStart:BreakOut ◆2FVYsixnq6 :2021/10/25(月) 23:47:44 6GhQrVT60
(……許せるわけ、ないでしょ。あんなの見せられて)

美少女探偵ことクリス・クロムウェルは、明らかな異常事態に対して困惑と安堵と、ヒエール・ジョコマンなる男に対しする怒りに包まれていた

(ただ気持ちよくなるだけだったらまだましよ。なのにあんな、あんな小さい女の子を……あんな目に合わせて……)

許せない、なんて言葉じゃ言い表せない。自分よりも小さい女の子を、無理矢理ナノマシンで絶頂地獄に追い込んで、そのままイキ殺すだなんて
あの所業を目の当たりにすれば、自分や讃岐にされていた事なんか児戯同然で、余りにも惨い光景

(でも、あいつ一体何者なのかしら? あのパーティに参加してた連中の中にヒエールなんてやついなかったし)

だがそれと同時に疑問も浮かんでいる。ヒエール・ジョコマンとは一体何者なのか?
ヒエールの言っていた『客人』という言葉から、この殺し合いが誰かの見世物である可能性は高い

最初こそ元の世界で自分が追っていた都知事西園寺祐三が関わっているだろうとは考えていた。だが、いくらなんでも規模が大きすぎるし、浮遊大陸なんてたいそれた物まで持ち込んできたとなれば流石に隠し切る為に必要な予算や人員がかかり過ぎる。享楽としては流石に派手の極みなのだ

勿論、かつえ自分の命を狙っていた実の兄であるマクシミールが関与している可能性も脳に過ぎった。だが西園寺同様派手すぎる手間のかかるような事に関わっているのか?と考えれば明らかに別である

(証拠が少なすぎるわね。でも、逆に突然巻き込まれたのはある意味良かったかも)

何にせよ、自分のやることは決まっている。逆にこんな異常事態に巻き込まれたおかげでさっき迄あっていた恥ずかしい思いの余韻が大分吹き飛んでいるのだ。勿論、あんな思い、忘れられるわけがないのだが
取り上げられたはずのトレードマークの鹿撃ち帽は戻っているし、ゴミ箱に叩き込んだショーツも濡れる前の状態で自分の体に着させられている。何ならついさっきまで痴漢集団に浴びせられた精液は全部吹き飛んでいるのだ
覚えさせられた快楽の記憶以外、ほぼ万全とも言うべき状態で、クリス・クロムウェルはヒエールに繋がるヒントを探すために会場を探し回ることにしたのだ


「………綺麗な桜並木ね」

今クリスがいる場所は、この様な場所でなければお花見場所としてはうってつけな桜並木の大通り
暇さえあれば讃岐を連れてお花見なんて……って事も考えても良い

「……って、そんな事考えてる暇もないか」

真夜中にも関わらず、風に吹かれて舞う桜の花びらは、殺し合いという舞台に関わらず鮮やかなもので
月の光に照らされ飛び散るそれは幻想に揺蕩う妖精の様。ふと見とれてしまうも、両頬をパン!と叩いてやる気を入れ直す

少しばかり路地を歩けば見えたのは人影。片方は男性、もう片方は女性。何やら話し合っている様子であるが、どちらにしろ殺し合いに乗る様な人物とは見受けられない
ここはコソコソと動いて下手に怪しまれるよりも単刀直入に尋ねる。ぶっつけ本番の体当たり捜査が彼女の今までのやり方であるのだから

いを決して二人に近づき、高らかに第一声を切り出した

「そこのお二人さん! 少し良いかしら?」


327 : WorldStart:BreakOut ◆2FVYsixnq6 :2021/10/25(月) 23:49:20 6GhQrVT60
○ ○ ○


桜並みの中にポツンと置かれた、等間隔で置かれた鉄製ベンチの、そのうちの一つ
そこに座り、話しているのはとある一人の男性と女性
女性の方は、サイバーパンク的な衣装に身を包み、その童顔と表情に仄かな凛々しさを残す、(現在進行系で猫被っている)黒髪の女性
方や、着崩してる感じの黒スーツに白のYシャツと黒いズボン。短い黒髪にはくせっ毛が目立つも、野性的でありながら理知的なものも持ち合わせる男性

「あの、貴方はこの殺し合い、どう思いますか……?」

男の前でそう弱気で呟く少女の名前は、黛冬優子。283プロ所属、アイドルユニット『ストレイライト』のリーダー
当然のことながら、彼女の心中は穏やかなものでなかった
何故ならば、彼女は直前の本番の前にこの殺し合いに呼ばれたのだから
『ピックチューン』の特番で行われるライブ、その前にプロデューサーから見せられたゲーム案件のMVで見せられた自分たちのCG
『ストレイライト』は圧倒的パフォーマンスで他を寄せ付けないスタイル。例え完璧であろうとCGはCGで有ることに変わりはないのだから
MVを見せられ俄然やる気が出たと思えば、突然意識が暗転し、呼び出されたのはこの殺し合い
ヒエール・ジョコマンとやらの説明で見せられた映像は、並の女性ならばまず恐怖で狂ってしまってもおかしくない光景、よくその手の同人誌とかで見る尊厳陵辱の境地

『黛冬優子』とて、あんなものを見せられて恐怖を感じない、というのは流石に嘘になる。普通に死ぬなんかよりも残酷なもの、死後の尊厳すら弄ぶ最悪の処刑方法だ
そして勿論、この殺し合いを誰の死者も出さずに済ませることなんて不可能である、ということも黛冬優子は理解していた。理想と現実の区別が付くぐらいには、黛冬優子は大人である

こんな場所に放り込まれてどうしろと、なんて憂鬱になりながら歩いていれば最初の出会えたのは一人の男性。勿論「ふゆ」としてのキャラで話しかけた

「………言っちまえば、クソったれなクエスチョンだな」

対して話しかけられた男。何やら自分を見つめてそわそわしながらの挨拶から、少しして言葉を投げかけてきた冬優子を多少は訝しげに見ながらも、見定める意味も込めて言葉を返す

「くそったれた奴らの見世物で、俺たちは檻の中の動物たちってところか。お嬢さんはさしずめアライグマってところか?」

冬優子は少しばかり眉をひそめた。どうして例えがアライグマなのか割と気になったのだが、何故か自分の本質を見抜かれたような、そんな錯覚をしたからだ

「あ、アライグマって。ふゆとしては、もうちょっと可愛らしい動物で例えてほしかったかなぁ……」
「あーわりぃわりぃ。ちょっとこっちもナイーブな気分だったもんでな。こんな下らねぇ事に巻き込まれたせいで少々気分が冴えたんだがよ。……そういや名前聞いてなかったけど『フユ』って名前なんだな」
「本名は、黛冬優子。略してふゆって言うの。だから貴方もふゆのことは「ふゆ」って呼んでくれると嬉しいかな?」
「じゃ、こっちもいつまでも名乗ってねぇのもアレだ。……俺の名は」


「そこのお二人さん! 少し良いかしら?」


男が名を名乗ろうとしたその時、二人の視界の前に現れた金髪少女の堂々とした名乗りに、思わず目を丸くしてた後、男はこう呟いた

「………どこのお偉いさんかはしらねぇが、あんた誰だ」


328 : WorldStart:BreakOut ◆2FVYsixnq6 :2021/10/25(月) 23:49:40 6GhQrVT60



「………ほ、ほ……ホームズ様ぁぁぁぁぁっっっ!?」
「えっ、ホームズって、あのシャーロック・ホームズなんですか?!」
「……マジか、ジョンの日記が他の国にまで渡ってやがったのか………」

男の名前はシャーロック・ホームズ。英国随一の名探偵で、数々の事件を解決してきた探偵の中の探偵
憧れの探偵を目の前に目を光らせる金髪少女クリスと、話しかけた人物がかの有名人であることに思わずびっくりしてしまう冬優子を他所に、自分の活躍を脚色して助手が執筆出版した日記がここまで有名になっていたとは思わず呆れ果ててしまう

「ふゆ驚いた、まさか本物のホームズだなんて……」
「私だってあのホームズ様に出会えるなんて思わなかったわ! あ、地図の裏にサインもらえる!?」
「てめぇら落ち着け、それとサインならこの事件のケリがついたらいくらでも書いてやる」

軽い自己紹介をし終わった途端にこの有様、望んで英雄(ゆうめいじん)になったわけでもないんだがなと心の奥底でため息が出る
流石にクリスも騒ぎすぎたかと少し反省したのか落ち着き、改めてホームズを真面目な目線で見つめる
クリス・クロムウェルとて探偵の端くれ、ある意味ただならぬ空気に冬優子は思わず

「……申し訳有りません。……もうホームズ様もわかっているかもいsれない、この地図では場所が何処かすら分からない。徹底的に情報という情報が隠蔽されています」
「だな。あそこに集められた奴らの顔は何人かは憶えて入るが、そいつらが本当にいるかどうかってことすら不明瞭だ。とにかく情報が少なすぎる。ま、それを集めながら謎を解き明かしてくのが『俺たち』なんだけどな」

情報の少なさ。徹底的に隠蔽されたロワに関する情報。自分たちがいる場所が桜並木通り以外の事は判明していないし、名簿表も現状真っ白
(ホームズは桜の事を知らなかったが後でクリスとふゆに教えてもらった)

「……」

冬優子は下手に言葉を発せなかった。会ったばかりの半分気怠そうな態度とは違う、探偵同士の話し合いという空気に

「……私は元から体当たり捜査ばかりだったから、こういう方が柄に合ってる。何ならどんとこいってやつよ」
「こっちが言えたタチじゃねぇが、その年でよう何度も何度も突っ込めるもんだな。……てめぇも何度か碌な目にはあってなさそうだからな」
「………」

クリスはその言葉に何も言わない。彼女自身そんな事はわかっている、いや、さっきまで碌でもない目に会っていたのだから尚更だ

「……そうね。でも、こればっかりは私の浅はかさが原因なの。……安心して、ここに連れてこられたおかげで色々とスッキリはしたわ」

クリスのその溌剌とした台詞に、ホームズはこれ以上追求はしなかった。しても結局の所は野暮であるし、それに――


「……置いてけぼりにしちまったな。それで、お前はどうすんだ、フユ」
「………ふゆは、出来れば、みんなが助かる道があれば、いいかなって。……無理だとは、思う、けれど」
「ま、そりゃそうだな。そもそも殺し合いの乗ってる奴以外にもNPCとかいう面倒なのもいるわけだ。……どうせなら、付いてくか?」
「いいんですか?」
「じゃあ冬優子さんはこのまま一人で会場を彷徨うつもりなんですか?」
「…いや、だって本当について行ってもいいのかなって、ふゆ思っちゃってさ」
「……気にすんな、あのままお前が襲われて大変なことにでもなった俺の気が滅入る」


329 : WorldStart:BreakOut ◆2FVYsixnq6 :2021/10/25(月) 23:50:16 6GhQrVT60
○ ○ ○

(はぁ……)

方針が決まり、3人で行動する事になって、シャーロック・ホームズは内心ため息を付いていた
元々シャーロック・ホームズは女子が苦手な方。実際アイリーン・アドラーに手玉に取られまくっていたり、メアリーの場合は彼女の秘密を探ろうとしてうまい具合に回避されまくったりと
だが、あのまま放っておいて二人がNPCに強姦されたりしても後味が悪い。クリス・クロムウェルの方は此処に来る前に既に『被害にあっている』事をわかってしまったから尚更だ

それに黛冬優子……ふゆも何かしら隠している、というよりも本性を抑えて偽りの顔で自分たちに対応していると来ている。変ないざこざを作るつもりは現状無いから特に指摘する事はしなかったが、今後突っ込む事にはなりそうではある

(……しっかしまぁ、俺もとんでもねぇ事件に巻き込まれたわけだ)

今回の件、いかにシャーロック・ホームズとて現実味を得るのに、と言うよりも現実として受け入れるにしても少々時間がかかった。何故なら『自分たちのいた時代』の文明を遥かに凌駕した光景ばかりだったからだ。閑話休題

(………なぁ、お前も、いるのか?)

ふと、あの『彼』が――同じく国を思う、唯一無二の友人の顔が浮かぶ
彼を罪の奈落から引きずり上げるために、同じく咎を背負ったものとして苦しくても今度こそ友達として生きてゆくため、親友を助けるために、シャーロック・ホームズはテムズ川へ身を投げた

あの高さで『彼』ごと川に叩きつけられては無事では済まない、武術(バリツ)で受け身をとったものの、無事であるかどうかは神のみぞ次第であった

だが、その結果はどうだ。巻き込まれたのは新たな事件、醜悪な者たちによる醜悪な催し
自分に対して挑戦状を真っ向から叩きつけられた様な、そんな気分だ

(……どうやらやることがまた出来ちまったようだ)

はっきりな話、友人が、ウィリアム・ジェームズ・モリアーティの事が心配でたまらない
だが探偵たるもの、目の前の謎(あくい)を無視するなんてナンセンスだ
もしかすればこの会場にウィリアムがいるのかもしれない、別の意味ではいないほうが安心できたりするのだが

(……せいぜい高笑いしていやがれヒエール・ジョコマン)

―――名探偵『シャーロック・ホームズ』の冒険は、再び始まったばかり


330 : WorldStart:BreakOut ◆2FVYsixnq6 :2021/10/25(月) 23:51:36 6GhQrVT60
【シャーロック・ホームズ@憂国のモリアーティ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:この殺し合い(ふざけた謎)は必ず解き明かす
1:ウィリアムの事が心配
2:一旦はこの二人と行動
3:フユは本性を偽っているようだが一旦は保留
[備考]
※参戦時期は『最後の事件』、ウィリアムと共にテムズ川に落ちた直後


【黛冬優子@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:ネオンライトロマンサー@アイドルマスター シャイニーカラーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:ホームズ、クリスの二人と行動する
[備考]
※参戦時期は『The Straylight』第六章のライブ前
※呼び出されたタイミングの都合上、衣装がネオンライトロマンサー@アイドルマスター シャイニーカラーズのままです

【クリス・クロムウェル@私立探偵クリスクロムウェル 淫謀のラビリンス】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合い、そんなものに乗るつもりはないわ!
1:二人と一緒に行動
2:ほ、本物のホームズ様?!
[備考]
※参戦時期は第六章終了直後
※捨てられたショーツ等は元通りになった上で再び装着されています


331 : ◆2FVYsixnq6 :2021/10/25(月) 23:51:47 6GhQrVT60
投下終了します


332 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/26(火) 00:08:29 eAKoSJrE0
投下します


333 : きほんあなる ◆2dNHP51a3Y :2021/10/26(火) 00:08:47 eAKoSJrE0
―――男はクッソ悍ましいものを見た

「や、やめろぞぉぉい?! そんなものワガハイに入るわけが、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」

ペンギンのような男が、そのケツに極太触手を挿入されこの世のものとは思えない喘ぎ声を上げている姿を

「ほう、カービィは口で吸い込むのに陛下は『こちら』で吸い込むみたいですな」

その地獄のような光景に、淡々と皮肉混じりの言葉を投げかけているハニワが一体

「ぞ、ぞんなじょうだんい゛っでるびまがぁぁぁあればばやぐだずげおっほおおおおおおおおおおおおおおっっっ!?」

職種によるペンギン男への責は苛烈さを増し、たらこ唇の口の中にもう一本の触手を突っ込み、液体のようなものを流し込む

ケツの締りが良くなったのか、ケツ側の触手は更に動きを増し、ペンギン男から悲鳴にすらならない悲鳴を響き渡らせる

「ぶごっ、ぶごごごごご、おごごごごごごぉぉぉぉっっっ!!!!?!?!」

――地獄絵図だった。クソみたいなペンギン男が快楽に悶え、触手に侵され、狂ったように射精を繰り返す姿を
基本的に影が薄く忘れられやすいイケメンは目撃し


「おっごぉぉぉっ!!!」



―――盛大に吐いた

【デデデ大王@星のカービィ(アニメ版)】
[状態]:連続絶頂(大)、思考混濁(大)、アナル拡張(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:いっぐぅぅぅぅぅぅぅ!?
[備考]

【ボルン署長@星のカービィ(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:今まで私達に迷惑を駆けてきたのですから、自業自得ですなぁ
1:それはそれとしてこの光景は地獄絵図ですなぁ
[備考]

【トランクス@ブロリーMAD】
[状態]:嘔吐
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:何だこの気持ち悪い光景は……!!
[備考]


334 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/26(火) 00:09:20 eAKoSJrE0
投下終了します


335 : 名無しさん :2021/10/26(火) 00:25:15 4ruFou.A0
皆様投下乙です。
>>1ではありませんがまだwikiができてないようだったので作成してみました。
作りたてで簡素な部分が多いので手直しするところがあれば修正お願いします。

w.atwiki.jp/etorarowa/


336 : 名無しさん :2021/10/26(火) 00:42:27 clqBXiq20
失礼ですがアニメ版デデデの一人称はわしではないでしょうか?


337 : ◆2dNHP51a3Y :2021/10/26(火) 00:46:23 eAKoSJrE0
修正します

―――男はクッソ悍ましいものを見た

「や、やめろぞぉぉい?! そんなものワシの中に入るわけが、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」

ペンギンのような男が、そのケツに極太触手を挿入されこの世のものとは思えない喘ぎ声を上げている姿を

「ほう、カービィは口で吸い込むのに陛下は『こちら』で吸い込むみたいですな」

その地獄のような光景に、淡々と皮肉混じりの言葉を投げかけているハニワが一体

「ぞ、ぞんなじょうだんい゛っでるびまがぁぁぁあればばやぐだずげおっほおおおおおおおおおおおおおおっっっ!?」

職種によるペンギン男への責は苛烈さを増し、たらこ唇の口の中にもう一本の触手を突っ込み、液体のようなものを流し込む

ケツの締りが良くなったのか、ケツ側の触手は更に動きを増し、ペンギン男から悲鳴にすらならない悲鳴を響き渡らせる

「ぶごっ、ぶごごごごご、おごごごごごごぉぉぉぉっっっ!!!!?!?!」

――地獄絵図だった。クソみたいなペンギン男が快楽に悶え、触手に侵され、狂ったように射精を繰り返す姿を
基本的に影が薄く忘れられやすいイケメンは目撃し


「おっごぉぉぉっ!!!」



―――盛大に吐いた

【デデデ大王@星のカービィ(アニメ版)】
[状態]:連続絶頂(大)、思考混濁(大)、アナル拡張(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:いっぐぅぅぅぅぅぅぅ!?
[備考]

【ボルン署長@星のカービィ(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:今まで私達に迷惑を駆けてきたのですから、自業自得ですなぁ
1:それはそれとしてこの光景は地獄絵図ですなぁ
[備考]

【トランクス@ブロリーMAD】
[状態]:嘔吐
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:何だこの気持ち悪い光景は……!!
[備考]


338 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:47:46 UJOtTyIY0
投下します。


339 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:48:20 UJOtTyIY0
召喚ーーーーー人を呼び出すこと。ある場所に来るように呼びつけること。
精選版 日本国語大辞典より引用

第一章 始まりは突然に

ここは、浮遊大陸。
老若男女が性による快楽を貪りながら殺し合いをする大陸。

「ん?」

一人の少女がポツ〜ンとーーー

「んん?」

佇んでいたーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

(おいおい……殺し合ってマジ?)
突然の殺し合いに困惑の色を隠せない少女ーーー

少女の名は曽志崎緑。
埼玉県蕨市の蕨青南高校の女子サッカー部に所属している。
ポジションはポジションはミッドフィールダー(ボランチ) 背番号は4。

(こっちは、普通のサッカー女子よ?殺し合いって……)
選手権埼玉予選、予選リーグ第2戦を新生ワラビーズ初勝利で終え帰宅していたはずが、気が付けば殺し合いの平安京へ誘われていた。

「しかも、デスアクメ……」
曽志崎の脳裏に浮かぶのは、幼い子がイッて死んだ凄惨な光景―――

「ッたく…・…女を何だと思ってるんだよ……あの変態男!」
曽志崎は憤る。
殺し合いだけでなく尊厳まで陵辱する

「はぁ……恩田ならきっと、こんな状況になっても「サッカー」やろうとか、言いだしそうだ」
曽志崎の脳裏に浮かぶのは、同じチームメイトの恩田希。

「とにかく、まずは、落ち着ける場所を……」
曽志崎は手ごろな休憩場所がないか、周囲を見渡すとーーー

「お互い、災難ね」
仮面をつけた女の子がいたーーー

「あなたも参加者よね?……よかったら、支給品を見合わない?」
出会い頭に支給品の品評会。

「え、ええ……いいわ」
(ふつう……自己紹介とかじゃない?)
私は疑問に感じたが、仮面の女の人の堂々とした提案に流されるまま、デイバッグから支給品を出したーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


340 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:48:37 UJOtTyIY0
第二章 サッカー少女VS異端審問官

(う〜〜〜ん、あれ?もしかして私、外れをひいた?)
あれから、互いの支給品を見合ったが、私の支給品はナイフと変な呪文みたいなのが書いてある紙とセットの剣の鞘に……帝都戦記とかいうラノベ。

(つーか、ナイフはまぁいいとして、剣の鞘って何よ!?なんて、肝心の剣がないのよ!?)
(それに、ラノベ……って本じゃん!!これで、殺せって言うの!?)
曽志崎は自らの支給品を見ると頭を抱える。

(仮面の子は……)
落ち込んだ気持ちを奮い立たせ、曽志崎は支給品の見せ合いを提案した仮面女子の支給品を眺める。

仮面女子の支給品はアニメに出てくる魔法少女のような杖と中に何か入っている瓶に蹴鞠だった。

(蹴鞠……)
(ほんとに……恩田じゃないけど、サッカーしたいな……)
蹴鞠を見た曽志崎は、何とも言えない気持ちに浸るーーー

「へぇ……ねぇ、これは何なの?」
蹴鞠を見て、感傷に浸っていると、仮面女子が尋ねてきた。

「ああ。これは、ナイフだな」
尋ねられたので、私は答えた。

「でも、刃が出てないわ?」
「これは、バタフライナイフだから、こうするんだ」
折畳んでいる刃を私は出して見せた。

「ふ〜ん……じゃあ、私のその球とナイフを交換しない?」
「え?」
(う〜ん、正直ナイフは武器……だけど…・・・)
普通なら断る交換案件だが、やはりフットサルが好きな女子。
サッカーボールじゃないとはいえ、蹴鞠に魅力を感じてーーー

「あ…ああ。危ないから気を付けなよ」
私は仮面の女の人の言葉に交換を承諾した。
それが間違えであったと気付くのはすぐ後だったーーー

私はナイフを仮面女子に渡し、蹴鞠を受け取るとデイバッグにしまおうとするがーーー

「ええわかっているわ。……ネズミを駆除するだけだからッ!!」
ナイフーーー死神の鎌が私の喉元へ薙ぎ払われるッ!!!!!

☆彡 ☆彡 ☆彡

ーーーザッ!
「あっぶなぁ〜!?」
危機一髪、フットサルで鍛えている反射神経のおかげか、避けることが出来た。

「あら?苦しまないで済むように殺してあげようと思ったのに……」
女は仮面越しからでも分かる、残念そうな顔を見せる。

「ッ!?ざっけんな!殺すつもりかよ!」

「ええ、そうよ。だって、私はロミー。異端審問官。リカンツ及び任務に邪魔する者を殺す権限があたえられている」
女の名はロミー。
ジャンナ教会の異端審問官。

「人を殺す権限が……そんなもんあるのかよ!?」
(どこの野蛮な国の出身だよ!?)
中世や幕末の世界に生きているのかよとツッコミをいれたくなった。

「なぁに?人を殺す愉しみをあなたは知らないの?可哀想……アハハハハ!!」

ーーーこの女。やばい。
人殺しを肯定するなんて、ありえない。

「ッ!!」
私は急いで、危険な女から逃げようと、蹴鞠を仕舞わず、抱えたまま、走り出したーーー

「ふふ……ネズミとの追いかけっこね。面白いわ」

☆彡 ☆彡 ☆彡


341 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:48:53 UJOtTyIY0
「ほらほら、もっと逃げないと死ぬわよ」

(ーーーくそっ、舐めてやがる!!)
あれから、あいつとの鬼ごっこが続くが、はっきりいうと、私は舐められている。

なぜなら、あいつは杖に魔法少女みたく、変な言葉をぶつぶつと喋りかけていると私が走り切った位置に、三角錐にような石が落ちて、爆発する。
つまり、いつでも私に目掛けてその変てこな魔法をぶつけることが可能の癖に、遊んでやがるってこと!!!

「アハハ!ほらほら!!停まると死ぬわよ?」
(へぇ……私のメテオスォームの威力にも怯まず、逃げ続けるなんてネズミにしてはやるわね……)

体力には自信がある。
しかし、このままじゃ、体力が消耗されて、あいつにーーー
私は意を決して、蹴鞠を地面に置き、あいつの眼前に体を向ける。

「へぇ……そんな球っころで私に挑む気?」
明らかに、バカにした態度ーーー

だから、私は思いっきり蹴り飛ばすーーーあの女の顔面向かって。

「なによ。悪い」
ドンーーーーーー
曽志崎緑は中学のとき、全国3位となる実力者。
蹴鞠であろうとーーー
トップクラスのシュート。

「ヴっ!?」
蹴鞠がーーーロミーのーーー仮面にーーーヒットした!!!

「うしっ!」
見たか!のガッツポーズ。
油断・驕りがあるのも要因の一つ、仮面越しでも痛みを感じたのか、あいつは顔を抑えたので、私はその隙に民家へ逃げ込んだ。

エロトラップダンジョンがある殺し合いの場。
おそらく、危険な建物。
それでも、このままでは殺される。
一種の賭けだが私は駆けこんだ。

☆彡 ☆彡 ☆彡


342 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:49:28 UJOtTyIY0
第三章 FATE

バタンッ!……ガチャ!!
私は
「はぁ…はぁ…はぁ…」
とりあえず、時間稼ぎができた。
だけど、おそらく、時間の問題だ。

「うふふ。少しだけ楽しめたけど、これで、あなたは死ぬ」
扉の前に立つロミーは呪文を唱え始める。
鍵付きの扉を破壊するために。

(死ぬの……?こんなところで?)
死が近づくと走馬燈が起きると言われるが本当なのか、同じ部活の仲間が次々と浮かび上がりーーー
(チカ先輩!?)
それは、曽志崎が中学の時、コンビを組んでいた先輩ーーー

(こんなところで、死んでたまるかッーー!!)
チカ先輩と戦いたいから、私は蕨青南高校を選択したーーー
意味わかんない「ここ」で死ぬわけにはいかないーーー

(いちかばちか!)
デイバッグから剣の鞘を畳みに置くとーーー

「ーーー素に銀と鉄」
私は変てこな呪文に賭けるーーーーー

素に銀と鉄
礎に石と契約の大公
降りたつ風には壁を
四方の門は閉じ
王冠より出で
王国に至る三叉路は
循環せよ

閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(みたせ) 閉じよ(満たせ)

繰り返すつどに五度
たた満たされる
刻を破却する

ーーー告げる
汝の身は我が下に
我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い
この意 この理に
従うならば応えよ
誓いを此処に

我は常世統ての善となるもの
我は常世統ての悪を敷くもの
汝 三大の言霊を纏う七天 抑止の輪より来たバッタ―ン!!!!!!!

「うわッ!?」
(げっ!?呪文言い終わらなかった!?)
破壊される扉、破片が舞い散りる音が聞こえ、呪文は言い終わらなかった。

その時、扉が破壊された振動からか私のデイバッグから、もう一つの支給品のラノベが飛び出てーーー

ーーパァァァァァ

「手こずらせたけど、これでお終いね」
あいつは、私が呪文を唱えていた部屋までたどり着いた。

ああ、ここまでなのかーーー?
はっきりと曽志崎の両目に「死」の文字がせまーーーーー

「死になさいッ!!」
光が集束すると同時に刀がーーーー

仮面を貫いたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


343 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:49:47 UJOtTyIY0
「え……!?」
私の前に現れたのは、女の子の剣士。

ーーー剣士と呼ぶには あまりにも 華奢なその身に浅葱の羽織を纏い 刀を振るう姿は
白い肌と相まって さながら雪椿のようであった。

  
                           _
              / ̄ ̄     「 ̄\   / <⌒_    ____
               //          |::::::::::::\//  _彡'⌒  /::::::::::::::::::/ ̄ ::::::::::::::\
              /  {     __|:::::::::::::::::}__>'"⌒ /::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::\
.             {   乂/     / ̄>ミ::::::::::::::::::::: ノ /::::::::::::::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\:::::::
.            `ー‐く  __   / /\――<__ :::: _rヘ ‐ ┐         / ̄ ̄
            /{     ノ ――<__ >――<_「 { {  {ニ┘        / : : : : : : :
              \__>彡 -―-ミ   <⌒  __n -ニ\>ク  ノヽ        /: : : : : : : : : :
            |   x灼  \\  \   Υ   __|ニ- └ ⌒ \ニ\____/: : : : : : : : : : : :
            | \^ リノ   ∨\   _ -ヘ/二二{L_      ∨ニ\_ : : : : : : : : : : : : :
            人  )\       厂_ -ニニ- ヘニニニニ{: : `>―厂厂∨ニニ\ \ : : : : : : : : : :
                 \<⌒ヽ   _ -ニニ-  }::::::∨ニニ{ : : : : / : : \ |ニニニ)  \ : : : : : : : :
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344 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:50:10 UJOtTyIY0
☆彡 ☆彡 ☆彡

第四章 問おう、あなたがわたしのマスターか?

「……ダレよ?あんた」
「……」
あいつもあいつ。
とっさに顔をそらしたのか、仮面が破壊されるだけーーー

仮面の下は幼く見える顔立ち……

「……」
「黙ってヒュ…んじゃ…ないヒュ…」
(こいつ……!?)

「斬りあいの最中に喋るバカで助かりました」

(うそ……あの「一瞬」で!?いつ、抜いたの!?)
どうやら、あの浅葱の剣士は仮面だけであいつの喉元も斬りつけていたようだ。
まるで、アニメの如く、剣士が剣を抜いた姿を私は目視することができなかったーーー

(すごッ!てか、連続の俊足の突きって、まるで沖田総司じゃん!!)
曽志崎はオタクの一面もあり、特に好きなのが土佐の幕末を舞台にしたアニメ「胸きゅん開国」
それゆえか、歴史上の人物は多少ながら詳しい。

(く…っ!これでは、呪文を満足に唱えられないッ!!)
「ふふ……ヒュ……アンタの顔……おぼ……ヒュ……えたわ!!」
「別に覚えなくて結構です。貴方はここで死ぬのですから」

浅葱羽織の剣士はあいつの言葉を歯牙にもかけないで止めをさそうとしたがーーー

あいつは瓶を叩き割ると、魔法なのか、浅葱羽織の剣士と私の動きが停止した。
すると、その隙にあいつは脱兎の如く逃げたーーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……逃げられましたか」
浅葱羽織の剣士の女の子は刀を鞘に納めると、私の方へ体を向けーーーーー

「申し遅れました。あなたが私の主ですか」

「え……そうなの?」
はっきり言って、困惑よ。
そりゃだってーーー、支給品の紙に書いてある通り文字を読んだだけーーーしかも、言い終わってないし。
そんでもって、急に刀をもったこの浅葱色の羽織を着た女の人が現れ、漫画のような戦闘が始まり、挙句に私が主(マスター)!?

私の頭は?で埋め尽くされているとその女性は私の右手を掴みあげ、まじまじと見つける。

「え?てか、何!?この紋章みたいなの!!」
よく見ると、私の右手にタトゥーのような模様が浮かび上がっていた。
え!?これ、消えるの!?高校生のフットサルでタトゥーは不味いっしょ!?

「ここに契約は果たされました」
「よろしく お願いしますね。マスター」
見つめていた女の子はふわっとし朗らかな笑顔でわたしにそう、宣言した。

「は、はい……よろしくお願いします」

こうして、私の殺し合いは始まったのであるーーーまる。


345 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:50:25 UJOtTyIY0
【曽志崎緑@さよなら私のクラマー 】
[状態]:疲労(中) 
[装備]:帝国戦記@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline  セイバー@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline
[道具]: 基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰る
1:浅葱羽織の子と行動を共にする(てか、マスターって何!?)
2:蹴鞠……回収できるかな?
[備考]
※参戦時期は51話後
※セイバーのマスターとなり、右手に令呪が刻まれました。現在3画。
※セイバーの真名はまだ知りません。(まるで、沖田総司みたいな子だなーと思っています)
※Fateの世界の知識はまだ知りません。

【帝国戦記@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
著者不明のライトノベル。
帝都と称される第二子世界大戦中の日本を舞台とした魔術儀式の戦争物語
セイバー召喚の触媒。

【聖剣の鞘@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
かの騎士王の剣の鞘。
しかし…今回、曽志崎が使用したのはレプリカである……現実は……非常なり。
セイバー召喚の触媒その2。

【セイバー(沖田総司)@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
最優と称されるセイバーのサーヴァント。
今回、メフィスとフェレスの戯れもあり、魔術師ではない参加者でも、マスターとして使えることができた。
あくまで、支給品としての扱いの為、マスター(曽志崎)の死は、自らの消滅に繋がる。

【セイバー(沖田総司)@ 帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
[状態]:魔力消費(低) 
[装備]: 菊一文字則宗@ 帝都聖杯奇譚Fate/type Redline
[道具]:
[思考・状況]
基本方針:マスター(曽志崎)を守る
1:マスター(曽志崎)を守る
2:マスター(曽志崎)に仇名す参加者は殺す
[備考]
※参戦時期は1話召喚される前
※Fate/Grand Orderの経験はございません。
※まだマスター(曽志崎)に神明を真名を伝えておりません。
※マスター(曽志崎)が死んだ場合、消滅します。
※マスター(曽志崎)は魔術師ではないため、魔力回復が著しく低く、時間が掛かります。代わりに食事でカバーできます。

【菊一文字則宗@帝都聖杯奇譚Fate/type Redline 】
沖田総司の愛刀。……と言われているが、そもそも、菊一文字なる刀は存在しないらしい(え!?)

☆彡 ☆彡 ☆彡


346 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:50:42 UJOtTyIY0
第五章 怒れるスポット

「ぜ…ったいに、許さヒュ……ないわ!あのヒュ……浅葱羽織の女!!」
ーーー屈辱。
ロミーはプリセプツを使用しなければ、不死の体。
しかし、あの浅葱羽織の女の殺気の目に怯み、退却をとってしまったーーー

「セッカクノ「アワーグラス」マデ ツカウ ハメニ ナルトワ!!」
アワーグラスーーー戦闘中、敵を停止させることができる道具。
貴重な道具を使う羽目となりプライドを傷つけられた。
異端問神官としてのプライドではない。
ロミーの体を支配しているスポットとしてのプライド。

「マァイイ。ツギハ カナラズ コロシテヤル」
少女の体を奪った異形の化け物はケツイするーーーーー

【ロミー@テイルズ オブ ザ テンペスト 】
[状態]:負傷(小) 喉元に2つの小さな突きの穴 魔力消費(小)
[装備]:BCロッド@テイルズ オブ テンペスト
[道具]: 基本支給品、
[思考・状況]
基本方針:優勝。 浅葱の羽織の女の抹殺
1:とりあえず、態勢を整える
2:必ず、あの浅葱の羽織女を自らの手で殺す
[備考]
※参戦時期は、アール山でカイウス達と戦う前
※スポットとしての口調となったため、喋りが明瞭に戻りました。(あくまでスポットとしての喋り)

【BCロッド@テイルズ オブ ザ テンペスト】
青い宝玉の杖。
正式名称は「ブルー・クリスタルロッド」
……かっこいいな!おい!!

☆彡 ☆彡 ☆彡


347 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:51:01 UJOtTyIY0
終章 貫くエゴ

「ム…… ホカノ サンカシャカ…… ウサバラシヲ スルトスルカ!!」
他の参加者を見かけたロミーは先ほどの浅葱羽織の女剣士から受けた屈辱を少しでも癒そうと考え―――

「エクスプロード!」
参加者を中心に大きな爆発が起き、参加者は吹き飛ばされる。

「ハ!ヤハリ ワタシハ スポット ガ ニンゲンニ オクレ ヲ トルコトナド アリエナイノダ!!!」
ロミーは吹き飛ばされた参加者の姿に余裕綽々。
先ほど砕かれた自信を取り戻すーーーが。

吹き飛ばされた参加者は立ち上がると―――

――――ジャキッ!

銃弾がロミーを襲う!!!
「グアアアアア!?ナゼ!?プリセプツ…… スポット ノ ママデ ナケレバ シナヌ ハズ ナノニ!?」

そう、ロミーはスポットの状態じゃなければ殺すことは出来ない。

「そのスポットて状態のことはよくは知らねぇが、制限でもかけられているじゃねぇか」
たじろぐロミーに男は指摘する。

「ッ!?バ……バカナ!?」
ロミーは狼狽し―――

「……ッ!?」
(ナンダ……コノシタイノカズハ!?)
怒りで周囲を見ていなかったのだろう。
ロミーの周辺には多くのゴブリンの撃ち殺された死体が朽ち果ててあった。

「おいおい……自分の身体の異変にも気づかないヤツに俺は吹き飛ばされたってのかよ……」
男はため息をつき、ロミーを見下すとーーー

「そっちから仕掛けてきたんだ。……悪いが同情はしねぇ」

「ギャアアアアアア!!!!!」
男は止めをさしたーーー

こうして、自分の特性に胡坐をかいていた化け物はこの世を去ったーーーーー

【ロミー@テイルズ オブ ザ テンペスト 死亡確認】

☆彡 ☆彡 ☆彡

「命という字は人を一叩きすると書く」

ロミーを仕留めた男の名は館凌太郎
”暴食”の契約者。

「つまり、てめぇの命を守るためなら躊躇せず叩けってことさ」
凌太郎は、理解した。
ここが権能とは異なる力を持つ参加者がいるということを

「俺は、自分の価値を認めさせるためにも死ぬわけにはいかねぇ」

「俺は俺の意志にしか従わねぇから覚悟しとけよ」

凌太郎はここでも貫く―――

―――自らのエゴを


348 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:51:45 UJOtTyIY0
【館凌太郎@モナーク/Monark】
[状態]:負傷(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:俺は俺の我を張る
1:とりあえず、この首輪の解除を最優先
2:積極的に他の参加者と戦闘するつもりはないが、仕掛けて来たら権能を用いて反撃する
[備考]
※参戦時期は第一部「嫉妬ノ章 因果粛正病理」
※異界で無くとも思装顕現及びグラ召喚は可能です
※権能を使用してもユガミは発生しません。権能の制限は後続の書き手におまかせします

『NPC紹介』 【ゴブリン穴埋め部隊@遊戯王OCG】
工事現場で働くゴブリン達
日夜、掘られた穴を埋める作業をしているが、ここでは、参加者の”アナ”を狙う。


349 : 根幹をなすもの ◆s5tC4j7VZY :2021/10/26(火) 06:51:58 UJOtTyIY0
投下終了します。


350 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/26(火) 08:33:56 Q4a50U2s0
投下させていただきます。
コンペロワに投下した作品に細かな修正を加えましたものになります。


351 : 雷神の戦斧!マイティ初穂誕生! ◆4kMBNI9QkE :2021/10/26(火) 08:35:02 Q4a50U2s0
「くっそ!気に食わねぇな〜!」

朱色の髪をサイドポニーテールでまとめた紅白の巫女装束姿の少女……新生帝国華激団・花組隊員の東雲初穂は、
左掌に右拳を叩きつけながら今自分の置かれた状況に苛立ちを見せていた。

帝都に住む人々の平和を守る事を使命とする自分を拉致し、犬や猫のように首輪を嵌めて殺し合いを強要する……
本来の華激団の敵である『降魔』達の行う悪行に勝るとも劣らぬ、残虐で非道な行為だ。
かような場所に放り出されれば、恐怖のあまりに逃げ回るか、自分の命惜しさに殺し合いに乗るのだろうが……

「……へっ、この初穂ちゃんを舐めるなよ」

……初穂はそのどちらでもない道、すなわち『主催者への反抗』を決意していた。
例え腐っても、初穂は帝国華激団の一員。
人々の平和を守る事が使命なのだ。
確かに武器を取り上げられ、隊長である神山を初めとする花組の仲間達からも引き離されてはいるが……そのくらいで諦めるような初穂ではなかった。

「見てろよ主催者!絶対吠え面かかせてやるからな!」

初穂はどこかで見ているであろう主催者達に向けて堂々と反抗を宣言し、デイバッグを開いて支給品の確認を始めた。
いかに帝国華激団の隊員とは言え、丸腰では戦えない。
反抗を決意した相手から渡された物を使うのは癪にさわるが、
贅沢は言ってられないのだ。

「こいつは……斧か?」

デイバッグから最初に出てきたのは、大型の斧だった。
木製の柄だけでも初穂の肩までの長さがあり、初穂の肩幅程もある大きな刃のある戦斧だ。

「『斧』かよぉ……せめて、木槌か金槌渡してくれよぉ〜」

多少の文句を口にしつつ、初穂はその斧を手にし……
柄の先端を地面に勢いよくつけた。


とたんに、初穂の全身が光に包まれた。

「な、なんだ!?」

突然の事に初穂は思わず目を閉じた。
そして光が晴れて、初穂が目を開けると……

「な、ななななんじゃこりゃあ!!?」

なんと、初穂の衣装は紅白の巫女装束から、北欧神話の神々が纏うような甲冑へと変化し、背中には真紅のマントまで付けられていたのだ!

「ど、どうなってんだ、こりゃあ!?」

突然の事態に初穂の頭は混乱していた。

その手に握った戦斧から……絶えず小さな稲光が発せられている事に気がつかない程に……。


【東雲初穂@新サクラ大戦】
[状態]:健康、甲冑姿、混乱
[装備]:ストームブレイカー@マーベル・シネマティック・ユニバース、マイティソーの甲冑とマント@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:主催者を倒して参加者を救う
1:なんじゃこりゃあ!?どうなってんだ!?
2:花組の仲間がいるなら、合流する
[備考]
アニメ版からの参戦。

【ストームブレイカー@マーベル・シネマティック・ユニバース】
『マイティ・ソー バトルロイヤル』で破壊されたムジョルニアに代わるマイティ・ソーの新たなる武器として、『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』から登場した戦斧。
ドワーフの職人・エイトリが作成し、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートが自分の腕を柄にして完成した。
『王の武器』・『アスガルドの歴史上最強の武器』と称され、
ムジョルニアと同等の機能(飛行能力、投げても戻ってくる、ソーの持つ雷や天候操作の能力の補助、等々・・・)の他、ビフレスト(アスガルドの宇宙体系に属する惑星に移動する為のワームホール。別名『虹の橋』)を発生させる能力を持つ。
『斧』としても、マーベル・シネマティック・ユニバースにおけるラスボスであるサノスの強靭な肉体を
一撃で切断できるだけの破壊力を持つ。
ただしムジョルニアと違い、『相応しい者だけが持ち上げられる』機能はなく、その気になれば誰でも使用可能。

【マイティソーの甲冑とマント@マーベル・シネマティック・ユニバース】
アベンジャーズの一員にして神の国『アスガルド』最強の戦士でもあるマイティ・ソーこと雷神ソー・オーディンソンが戦闘時に装着しているコスチューム。
ソーが愛用武器であるムジョルニアやストームブレイカーを掴むと、稲光とともに自動的に装着される。


352 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/26(火) 08:35:45 Q4a50U2s0
以上、投下を終了します


353 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 11:13:37 yyh1a9G20
投下します


354 : きっと主催がカードを書き換えたのだ ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 11:15:17 yyh1a9G20
この世には様々な世界が存在する。
たった1つしか存在していないとその世界の住民は思い込んでいるが、決してそうでは無い。
可能性の数だけ世界がある。パラレルワールドというやつだ。

蟲惑魔が人を襲う世界もあれば、そうでない世界があっても不思議なことではない



「エロトラップカードって、なにこれぇ……?」

トリオンの蟲惑魔は困惑していた。
彼女の効果は召喚した際に「落とし穴」か「ホール」の罠カードをサーチするというものだ。

そして殺し合いのフィールドに召喚されたこの瞬間でも、トリオンの効果は発動する。
流石に支給品が無条件で増えると他の参加者と平等にならないので、ランダムに支給される物のうち1つが任意の「ホール」か「落とし穴」の罠になるという効果に書き換えられているが、それはまあトリオンとしても納得出来る。

トリオン的には落とし穴を駆使した戦術が楽しいのだ。自分だけが有利な条件で駆け引きのない決闘など温いにも程がある。
だからむしろ、これくらいの制限は付けてもらわなければ満足出来ない。

問題はサーチ出来る罠の種類だ。どういうわけか「エロトラップカード」という意味不明な種類のカードのみサーチの対象になっている。
一応粘着落とし穴など普通のカードも存在するが、イラストやテキストがえっちぃものに変化していた。

「もしかしてエロトラップダンジョンに合わせてカードを書き換えられた……?」

このトリオンは彼女自身も決闘者であり、なんともカオスな世界に住む《トリオンの蟲惑魔》である。

この状況はなにがなんだかわからないが、決闘者特有の直感でカードに起こった変化を察した。
カードを書き換えるという用語は意味不明なようで彼女が住む世界の決闘者にとっては妙に聞き慣れた言葉だ。

だからこんなことが起きても困惑しつつ、現状を受け入れることが出来る。それくらいの精神性がなければ決闘者なんてやっていられない。

「ボク自身の効果を制限するだけではなく、まさか罠カードの種類まで増やすなんて……」

エロトラップカード。
今まで見たことのない種類のカード群をじっくりと眺めてトリオンは感心する。

カードの効果や画像は下劣なもので、お世辞にも褒められたものではない。
だが新たな種類のカードを生み出したという点では凄まじいことだ。


355 : きっと主催がカードを書き換えたのだ ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 11:15:39 yyh1a9G20
「まあ……。もう少しまともな事に使えばいいのにとは思うけどね〜」

これらエロトラップカードがまともじゃないと理解しつつ、トリオンはサーチするべきカードを冷静に考える。
まともなカードではないが、落とし穴やホールをベースに考えられているのかエロ要素さえ除けば有用な効果なものが多い。

エロについてはトリオンとしてはどうでもいいのだが、駆け引きに使えるカードという役割は「ホール」や「落とし穴」と変わらないことは幸いだろう。

ちなみにこの《トリオンの蟲惑魔》は少女の部分が疑似餌ではなく、そのまま本体。そして結構なデュエル脳である。
だから卑怯な不意打ちで誰かを罠に嵌めたりせず、真っ向から決闘することを望む。
駆け引きの末に相手を罠に嵌めることは至上の愉悦だが、外道戦法は好まない。

だからサーチする罠も不意打ち特化のもの以外のものが好ましい。そして自分は種としてあまり強くないので、強者に襲われたら逃げながら罠を張り巡らせるのもアリだろう。
幸いにもスコップが支給されているので、特技である落とし穴の自作も容易い。
蟲惑魔というだけあり、落とし穴を掘ることには慣れている

「うーん……。これかな?」

色々と迷った末にトリオンはサーチ対象のカードを選択する。
だがたった1枚の落とし穴とスコップだけでは心許ないので、今後も探し続ける必要があるだろう。
殺し合いに乗るかどうかは、中立派だ。やっぱり最終的には脱出したいが、熱い決闘を楽しみたいという気持ちもある。ついでに落とし穴を掘って悪戯するのもアリかもしれない。
あとは強敵が現れたら共闘するとか、そういう熱い展開になったら喜んで協力する。決闘者だから仕方あるまい。

ちなみに願いを叶える気はなく、賞金にも興味はない。楽しめれば良いというのが彼女だ。

「とにかく楽しい決闘や悪戯がしたいな〜」

この地に召喚された参加者達に期待してトリオンはフラフラと自由気ままに歩き始める。

【トリオンの蟲惑魔@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、スコップ@現実、ランダム支給品1〜2(うち1つはエロトラップカード)
[思考・状況]基本方針:楽しく決闘をして満足する
1:サーチしたエロトラップカードの効果を試してみたい
2:スコップで落とし穴を掘るのもアリかな?
[備考]
決闘者です。ボクっ娘です
ランダム支給品のうち1つはなんらかのエロトラップカードです。名前や効果は後続の書き手にお任せします

【スコップ@現実】
穴を掘ることが可能な大型のスコップ。当たり前だが人を殴れば凶器と化す


356 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 11:16:02 yyh1a9G20
投下終了です


357 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/26(火) 19:18:55 hL/OQJDU0
二本続けて投下します


358 : このロリコンどもめ! ◆7PJBZrstcc :2021/10/26(火) 19:19:29 hL/OQJDU0
「クズがぁ……」

 身長三メートル、金髪で筋肉モリモリマッチョマンの男が憤っている。
 理由は、最初の場で見せたクロエの死に様についてだ。
 こう聞くと、彼が見た目に似合わず、見も知らぬ少女の死に憤る心優しい男に見えるかもしれない。
 しかし実際は違う。

 男は、単なるロリコンだった。
 もし最初の場で死んでいたのがロリではなく大人のお姉さんなら、彼は嬉々として殺し合いに乗り、参加者やNPCを血祭りにあげていただろう。
 しかしそんな未来はもう存在しない。
 彼は、主催者を血祭りにあげるつもりだった。
 そしてクロエを生き返らせて、自分の嫁にする算段も立てていた。
 主催者はどんな願いでも叶えると言っていた。ならばその方法を奪い取れば、彼女を生き返らせられると考えたのだ。

 仮にそれができたとして、クロエが男の嫁になるかは別問題なのだが、彼にそれに気づいていない。
 そんな彼に同調する人間が一人。

「あのガキエロス! ロリ娘最高!」

 もう一人は金髪の男と異なり、クロエと同年代位の少年だった。
 その年頃にしては大柄と言える体格だが、それでも常識の範疇だ。
 彼もまた、クロエに対し欲情していた。

 二人はどちらともなく見つめ合い、やがてなぜか握手をしていた。
 彼らは理解したのだ。目の前の相手は同類だと。
 そして彼らは互いに自己紹介を始めた。

「ブロリー、です……」
「俺は剛田武。ジャイアン様だ!」

 自己紹介を終えた二人は、クロエに対し淫らな妄想を始める。
 一見耳年増な彼女。しかしその実未経験だと、彼らは確信していた。
 なぜと聞かれると困る。多分ロリコン特有の直感。

「気が高まる……溢れる……!」
「あの腰エロス!」

 クロエに対し興奮する二人。
 特にブロリーは気を高め、溢れさせていく。
 その影響で辺りは光に包まれ始めた。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 そして地は裂け、大気は吹き荒れる。
 これがたった一人の男が持つ性欲により生み出されたものだと、誰が想像できるだろうか。

「カカロットォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 勢い余って宿敵の名前を叫ぶブロリー。
 だがカカロットはこの殺し合いには関係ない。多分、きっと、メイビー。


【ブロリー@ブロリーMAD】
[状態]:健康、興奮(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者は血祭りにあげてやる
1:邪魔する奴も血祭りにあげてやる
2:あのロリ(クロエ)娘ェカワイイ! 生き返らせて俺の嫁にしたいです……
3:カカロットォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
[備考]
全体的に弱体化しています。
ロリコンです。

【剛田武@ドラえもんおやくそくMAD】
[状態]:健康、興奮(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者を倒す
1:ブロリーと行動する
2:あのガキ(クロエ)エロス! ロリ娘最高!
[備考]
ロリコンです。クロエは同年代だろというツッコミは聞きません


「はぁ……はぁ……」

 なお、ブロリーの叫びを聞いて逃げ出す、メイド服みたいなものを着た、二人好みの少女がいる模様。
 もし、この光景を傍から見ている者がいたらこう思うだろう。
 見事な慧眼だ、と。


【三条燕@るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―】
[状態]:健康、恐怖(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止めたい
1:叫んでいる人(ブロリー)から逃げる


359 : 主催者に反省を促すダンス ◆7PJBZrstcc :2021/10/26(火) 19:20:14 hL/OQJDU0
 天空の会場どこかで、カボチャマスクを被り、体は黒タイツを着ている男は困惑していた。
 彼はただのダンサーだ。ダンスには自信があるが、それ以外は平凡な男だ。
 こんなことに巻き込んでどうするつもりなんだ、と最早困惑を超えて憤りすら覚えていた。

『やってみせろよ、マフティー!』

 するとどこからか、全く知らない男の声が響いた気がした。
 いや誰だよマフティー。カボチャマスクの男は内心でツッコミを入れる。

『なんとでもなるはずだ!』

 またも響く謎の声。
 なんともならねえよ、とカボチャマスクの男、もう面倒なので偽マフティーと称する、は冷めていた。

 だがこうも思う。
 いくら自分がダンスだけの男とはいえ、何もしないのは間違っていないか? と。

『殺し合いだと!?』

 そうだ、殺し合いだ。
 偽マフティーに求められている役割は、最初の被害者が精々だろう。
 それでもやれることはやってやる。

 何をって? 決まっている。

『鳴らない言葉をもう一度描いて』

 ダンスだ!

 偽マフティーは踊る。
 どこからか聴こえてくる気がする曲に合わせ、己の全てをぶつけ続ける。
 主催者に、こんな殺し合いを開いたことに対する反省を促す為に。

『やっちゃいなよ! そんなエロトラップなんか!』

 それにしても、この声はなんなのだろうか。
 偽マフティーは疑問で一杯だった。


【偽マフティー@連邦に反省を促すダンス】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者に反省を促す
1:踊る
[備考]
ガンダムの知識はありません


※このSSにあるセリフは全部幻聴です


360 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/26(火) 19:20:39 hL/OQJDU0
投下終了です


361 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 22:39:30 fJaDTQJ.0
投下します
最低限ですが人によっては不快になるような表現があるのでごちうさ好きの方はご注意ください


362 : 「世界を取り戻せ」 ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 22:41:30 yyh1a9G20
青年が少女を押し倒し、強引に迫る。
少女は性知識に優れているわけではないが、この青年が恐ろしいことをしようとしているのは理解出来た。

「やめて、ください……っ」

少女は必死に抵抗するが、残念ながら力の差があり過ぎる。
男女差や年齢の差もあるが、それ以上にテュポーンと名付けられた青年のスペックが普通の人間を超越していることが大きな原因だ。

彼は特殊な異能などは持たないが、風見雄二という優秀な戦士の遺伝子を複製して作られた人間。
常人を遥かに超越した者。人から様々なモノを奪い、壊し、殺し尽くす……彼自身の言葉を借りるならば「鬼」だ。

襲われている少女の名は香風智乃(以下、チノと表記)。
普通の日常を謳歌していた、普通の少女だ。
彼女を取り囲む人々はちょっと変わった者も居るが、それでも日常の枠をはみ出しているわけではない。

日常を過ごしていた少女が、非日常的な存在に巻き込まれる。
それは世界のどこかしらで毎日起こっていることだ。
だがそんなものは一般人にとってただのニュースに過ぎず、まさか自分がそんな事件に巻き込まれるなんて思ってもいない。

当然それはチノも同じで、自分が見知らぬ男に襲われるなんて考えてもいなかった。

見せしめの少女の末路はチノにとってトラウマになるほど悲惨なものだったが、所詮は他人。
不安を感じつつも自分はあんなことにならないだろうという甘い考えもあった。
ゴブリンやオークなどNPCという存在には気を付ける必要があるが、同じ人間が他の誰かを襲うことなんてないだろうと思っていた。

チノの住んでいた世界はそんな考え方が当たり前になる程、優しさに満ち溢れた世界。
テュポーンが身を置いていた世界とはまるで正反対の平和な世界。

日常に生きる者の命は、鬼に刈り取られるのみ。
至って単純で残酷な世界が、この殺し合いだ。

だがテュポーンはチノを殺す前に凌辱することにした。
そういう趣味があるというより、ある目的のために少女の純潔を散らすことに決める。
命までは奪わない。目撃者がいればチノを殺すのもアリだが、残念ながら誰も居なかった。

だからチノには深いトラウマを植え付けながらも生き延びてもらい、悪評を拡散してもらわなければならない。
風見雄二は危険人物だ……と。

そのためにテュポーンは風見雄二を名乗り、チノを凌辱する。だが簡単には終わらせない。

まずはチノの頬を殴り、痛みを感じさせる。
日常に住んでいた少女は耐え切れずに悲鳴をあげるが、そんなことは構わず何度も殴る。
涙でぐちゃぐちゃになった今のチノの顔は、そういう趣味の者が見たらきっと喜ぶだろう。

そして遂に衣服に手を掛ける。
如何にも悪人に見えるように、力づくで脱がそうとして……。

「───どうやらまだ地獄に逝っていなかったようだな、このバカ弟が」

駆け付けてきた一人の青年にテュポーンは口元を歪ませた。

「久しぶりだね、兄さん。ほら、受け取りなよ」

テュポーンは潔くチノに対する酷い仕打ちをやめ、彼女を雄二に投げ渡す。


363 : 「世界を取り戻せ」 ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 22:42:19 yyh1a9G20
雄二はなるべくチノが傷つかないよう両手で彼女を受け止めた。

「え……?」

しかし自分の青年を見たチノは、嬉しいという感情よりも先に困惑する。
何故なら彼の見た目は自分を襲ってきた「風見雄二」に酷似しているからだ。髪や瞳の色こそ違うが、それ以外は全く同じ容姿をしている。

「驚くのも無理はないか」

困惑するチノを落ち着かせるように青年は冷静に話し掛ける。

「俺の名前は風見雄二。……そしてあいつは俺の遺伝子から作られたクローン人間だ」

「本当はその子に兄さんの悪評をばら撒いてもらうつもりだったけど、まさか本物が来るとはね」

本物が現れた今、もはや騙す必要もないとテュポーンは開き直る。
今の自分では風見雄二に勝てないと理解しているテュポーンは雄二になりすまして事件に協力した時のように、チノや他の参加者を嬲って彼の悪評をばら撒こうとしていたのだ。

だが本物の雄二が現れたのでは流石に言い訳のしようがないし、そもそも偽る意味が無い。
雄二が悪人じゃないとバレた時点でチノにこの計画の生贄としては期待出来ないだろう。

この場で殺すことも可能だったチノをあえて雄二に投げ渡した理由は、単純に今のテュポーンでは勝ち目が薄いから。
一度敗北した身だ。このままでは雄二に勝てないということは嫌々理解している。

だが自分が雄二より劣っているとは決して認めない。

「勝負はお預けだけど……兄さんを殺すのは俺だ」

だからテュポーンはこれを敗走とは思っていない。この地ではまだ戦ってすらいないのだから。
欠陥品である風見雄二に、自分が負けるわけにはいかないのだから。

「安心しろ。……お前は俺が、地獄へ送ってやる」

雄二はチノを降ろし、この場から去ろうとするテュポーンにそれだけを告げる。
テュポーンがロクなことをしないと雄二もわかっているが、このまま相手を追ってもチノが危ない。彼女の精神状態をなんとかしてやるのが今は最優先だろう。

【テュポーン@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:兄さん(風見雄二)を今度こそ殺し、自分の方が優れていると証明する
1:兄さん(風見雄二)の評判を悪くするために積極的にレイプや殺戮をする
2:兄さんは悪評をばら撒いて弱り切った後に殺す
[備考]
参戦時期はアニメ版の死亡後です


364 : 「世界を取り戻せ」 ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 22:42:51 yyh1a9G20


終章 姉弟と姉妹

テュポーンが去った後、雄二とチノは互いの自己紹介をした。
助けられたということもあり、チノは精神が衰弱していながらも雄二を信用する。

クローン人間という非日常的な者が存在しているだなんて信じ難いが、この地で起こった出来事はそんなことばかりだ。
殺し合い、見せしめの少女、人殺し、クローン人間……今までの日常では有り得なかったものばかりが、ここにはある。

だからたとえどれだけ嘘のような話でも、雄二が言うならば信じるしかない。
なにより彼は恩人だ。もしも雄二が居なかったら……そんなことを考えるだけで体が震え上がる。

一方の雄二は自己紹介や情報交換をしつつ、チノのことを観察していた。
そこで気付いたのはココアという少女がチノにとって少し特別な存在ということだ。

ココアの話をするチノは楽しそうで、彼女のことを一番心配しているようでもあった。
それにチノの話を聞く限り、二人の関係性は姉妹に近いのだろう。
チノは「そっ、そんなことありません……!」と頑なに認めないが、雄二にも姉が居るからなんとなくわかる。

それに雄二の姉は一時的に姿を消していた。
だから姉を失う気持ち、心配する気持ちというのもわからないでもない。

幸いにも雄二の姉は生きていたが、育ての親のような存在である麻子の命を失っている。
その悲しみを知っているからこそ、余計にチノとココアを放っておくわけにはいかない

(ココアがチノと同じような目に遭っていないとは言い切れないが……大丈夫だろうか)

雄二は最悪のケースを考える。
なにしろここはエロトラップダンジョン。ココアがその魔の手に掛かっていないとは限らない。
もしもココアが心に傷を負っていたら……妹のような存在であるチノが最も重要になってくるだろう。

ちなみに自分の友人や知り合いについてはそこまで心配していない。
死線を潜り抜けてきた彼女達なら、きっとなんとかなるだろう。
もちろん合流出来るのが望ましいが、あいつらならそれまで生きているだろうという信頼がある。

もしも姉の一姫が参加していたら勝手に首輪の解析でもしているかもしれない。彼女はそういうことが出来る天才だ。
一姫が参加している場合、彼女に首輪解析を一任するのもアリだろう。首輪を着けたままでは、おそらく脱出できない。

そして逆にチノの友人であるリゼという少女は安心出来ない。チノは彼女を強いと思っているようだが、日常に住んでいた少女が非日常にすぐに適応出来るとは限らないからだ。

「こんな状況では、ココアさんが心配です……」
「チノ。お前とその友人は必ず俺が守る」

雄二の言葉は在り来りだが、そこには力強さと頼もしさが感じられた。

「───この風見雄二、不得手はあっても不可能はない」

だからチノは雄二を信用して、自分達が駆け付けるまでココアが無事であることを祈る。

「ありがとうございます、雄二さん……」

あの日常を。
あの幸せな世界を取り戻すために少女は前に進むしかない

【風見雄二@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:バトルロワイアルからの脱出
1:チノとその友人達を守る
2:次こそはバカ弟(テュポーン)と決着をつける
3:チノと自分の知り合いを探す。特にココアを優先する
4:一姫が参加していたら首輪の解析を任せる
[備考]
アニメ版グリザイアの楽園終了後からの参戦。

【香風智乃@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:右頬や体に殴られた跡
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:みんなと帰りたい
1:雄二さんを信じます
2:ココアさん……無事でいてください……
3:雄二と自分の知り合いを探す
[備考]


365 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/26(火) 22:43:09 yyh1a9G20
投下終了です


366 : ◆OQfaQnysJI :2021/10/26(火) 23:47:23 0UN4KLqw0
投下します


367 : 森の木陰で脱がされて ◆OQfaQnysJI :2021/10/26(火) 23:48:44 0UN4KLqw0
宇治松千夜は、窮地に立たされていた。
突然殺し合いを宣言され、気がついたときには森の中に立っていた。
そして脳内を整理する間もなく、目の前に敵対者が現れた。
月明かりに照らされるそれは、サングラスをかけた屈強な男だった。
いちおうコミュニケーションを取ろうと話しかけてみたが、相手は無言。
眉一つ動かさない。
その様子は、海外の映画に出てくるような殺し屋を千夜に連想させた。

(これは……逃げた方が良さそうね……)

交渉は無理。殴りかかって勝てるような相手でもない。
ならば、逃げるしかない。
そう判断した千夜が一歩後ろずさったその時、男は想定外のリアクションを見せた。

「えっ?」

千夜は思わず、状況を忘れて見入ってしまった。
男が開けた大口、そこから何かがせり出してきたのだ。
そのせり出してきた何かの中心から、ビームが放たれる。
千夜に回避する時間も与えず、ビームは彼女に直撃。その命を奪う……ことはない。
だがその代わり、千夜が纏っていた学校の制服がはじけ飛ぶ。
一瞬にして、彼女は全裸にされてしまっていた。

「い、いや……」

自分の現状を理解した千夜は、涙目で座り込む。
脳裏に浮かぶのは、無惨に殺された褐色の少女の姿。
自分もああなるのだと確信した千夜は、絶望感に押しつぶされまともに動けなくなっていた。
だが、彼女の確信が現実のものとなることはなかった。

『任務達成。次のターゲットを探します』

そう言い残すと、男はきびすを返してその場から去って行った。

「え……? 助かった……?」

予想外の展開に、千夜はしばらく放心して座り込んだままだった。


368 : 森の木陰で脱がされて ◆OQfaQnysJI :2021/10/26(火) 23:49:46 0UN4KLqw0


◆ ◆ ◆


「……ということがあったのよ」
「そっかー。裸にされちゃったのは災難だったけど、それ以上のことをされなかったのはラッキーだったね」

それから数十分後。
千夜は偶然通りかかったミネルバXという少女に話しかけられて我に返り、ひとまず二人で近くにあった小屋へと避難していた。
そこで、ミネルバに支給された衣服を分けてもらったのだが……。

「あの、これ……。エッチなやつじゃないかしら……?」

現在千夜が身につけているのは、妙に扇情的なデザインの水着だ。
素材はたしかに水着っぽいのだが、見ただけではおそらくほとんどの人間に下着と判断されるだろう。

「うん、正直私もエッチだと思う……。
 でも、服はこれしかなくて……。
 私も上着脱いだら下着だけになっちゃうから、貸すわけにもいかないし。
 申し訳ないんだけど、裸よりはましだと思って我慢してくれる?」
「そうよね、裸よりは……。
 でも、早くまともな服がほしいわ……」
「でも、エッチなことさせようとしてるイベントで、まともな服なんて用意されてるのかなあ?」
「うっ、たしかに……」

痛いところを突かれ、千夜の表情が目に見えて暗くなる。

「あー、ごめんごめん! 落ち込ませるつもりじゃなかったの!
 えーと、それじゃあ……。私はもう少しこの小屋を調べてみるから、千夜さんは休んでて!」
「そうさせてもらうわね……」

力なく答える千夜に見送られ、ミネルバは部屋の外に出る。
そしてすぐさま、股間を押さえ込んだ。

(うわー、結構大きくなっちゃってる……。
 エッチすぎるでしょ、あの水着……)

そう、彼女……否、彼は厳密に言うと少女ではない。
見た目は女性でも肉体的には男性……すなわち、「男の娘」である。

(いけないいけない。私の純潔は、Zお姉ちゃんに捧げるんだから!
 他の人に目移りしてちゃいけないわ!
 待ってて、お姉ちゃん! 絶対帰るから!)

愛する姉(設定上)の顔を思い浮かべ、煩悩を振り払うミネルバ。

(本当に願いを叶えてくれるなら、お姉ちゃんと一生イチャイチャできるように願いたいところだけど……。
 さすがに人殺しはねえ……)

ミネルバがいたのは、暴力こそ日常茶飯事だが命までは奪われない世界。
彼女にも、最低限の倫理観は備わっていた。
本当に最低限だが。

(主催者をフルボッコにして、お姉ちゃんの元に帰る!
 それが私のやるべきことよ!)

虚空を見つめながら、ミネルバは決意を固める。
なおそれはそれとして、媚薬は絶対持って帰ろうと思っているミネルバであった。


【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]精神的ダメージ(中)
[装備]大人の水着@魔法先生ネギま!(ゲーム版)
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:無事に帰りたい
1:まともな服がほしい


【ミネルバX@ロボットガールズZ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催者をフルボッコ!
1:とりあえず千夜と行動


『支給品紹介』
【大人の水着@魔法先生ネギま!(ゲーム版)】
PS2のゲーム「課外授業」に登場する水着。
ビキニにガーターベルトとストッキングが付属しており、見た目は完全に下着である。


『NPC紹介』
【田中さん@魔法先生ネギま!】
麻帆良学園工学部で開発された、戦闘用アンドロイド。
正式名称「T-ANK-α3」。
外見はサングラスをかけた、マッシブな白人男性。
身も蓋もない言い方をすれば、髪が長めのターミネーター。
本来はロケットパンチなどの武装も装備されているが、本ロワでは対象の服を吹き飛ばすビーム(通称「脱げビーム」)のみの装備となっている。


369 : ◆OQfaQnysJI :2021/10/26(火) 23:51:01 0UN4KLqw0
投下終了です


370 : ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:52:03 o9gdoJKA0
投下します
性的描写が含まれますので、ご注意ください


371 : 日常が壊れる音がする ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:53:14 o9gdoJKA0
会場の一画にて、異様な宴が繰り広げられていた。

「んん、んぶ、んむううううううううううううううう!!!」

十数人の男が裸となり、同じく生まれたままの姿を晒した少女を凌辱している。
一人の男が少女を後ろから犯し、別の一人は肉棒を無理やり口に突っ込んでいた。

「気持ちいい!こいつのマ○コ超気持ちい!」

何度も腰を打ち付ける男が、歓喜のままに叫ぶ。
その瞳は人間のものではあり得ない、赤黒く染まっている。
よく見ると少女を取り囲む全員が、奇怪な色の瞳であった。

「へへっ、射精るぜ射精るせオラァ!」
「こっちもだ!溢すんじゃねえぞクソガキが!」

「んぎっ、ひぁっ、んむお、お、お、お゛お゛お゛お゛お゛お゛」

口内と膣内を満たす白濁液。
吐き気と快楽が一気に襲い掛かり、気を失いそうになる。
それを許す男達ではない。

「へばってんじゃねぇぞ!」
「あぎぃ!?」

すかさず別の男がペニスを突っ込み、少女の疲労などお構いなしに腰を振るう。

「はっ、はっ、はぐぅ!も、も、ひゃめ…」
「へっ、何だこのガキ、超気持ち良いぜ」

少女の懇願を聞き流し、小振りな乳房を強く鷲掴みにする。
痛みに悲鳴を上げる哀れな人間を、男たちは揃ってニヤニヤと見下ろしていた。





372 : 日常が壊れる音がする ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:54:14 o9gdoJKA0
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…!」

涙を流し、凌辱の宴を物陰から覗く少女。
彼女の名は奈津恵。友人たちからはメグの愛称で呼ばれる、ごく普通の中学生。
メグの涙の原因、それは彼女の目の前で犯されているのが友人の条河麻耶だからだ。

殺し合いの会場で目が覚めてすぐ、メグは恐怖で身動きが取れなかった。
しかしやがて、チノやマヤ達も巻き込まれているのではと考え、怯えながらも友人達を探そうと歩き出した
それからすぐの事だ、大勢の男に犯されているマヤを見つけたのは。

快活とした性格の、あのマヤが男たちの慰み者にされている。
その光景はメグの心へ尋常でない恐怖を与えた。
争いとは無縁の平和な世界を生きて来た少女には、余りにも惨過ぎる現実が目の前に広がっていたのだ。

無論、メグとてマヤを助けたい。
一刻も早くどうにかしたければならないのは分かっている。
同時に、今出て行ったら自分まで男たちの餌食となるのではないか。
そんな思いがメグの心を縛り付ける。

(私がなんとかしないと、でも、でも……。)

そうやってまごついている間にも、凌辱は続く。
メグの耳には絶えず男たちの下劣な笑い声と、マヤの悲鳴が聞こえてくる。

(うあぁ…マヤ…ごめんね…私…)

メグはただ、恐怖と罪悪感に涙を流すしかできなかった。


【条河麻耶@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:精神的疲労(大)、全裸、処女喪失
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:帰りたい
1:誰か助けて……
[備考]

【奈津恵@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:精神的疲労(大)、罪悪感と恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:帰りたい
1:マヤを助けたい。でも今出て行ったら私も…
[備考]

『NPC紹介』
【吸血鬼@彼岸島シリーズ】
吸血鬼ウイルスに感染した人間。犬歯が牙のように鋭くなり、視力が衰える代わりに嗅覚が発達する。
特に人間の血の匂いに敏感になり、興奮すると白目が赤黒い三白眼になる。
血を得るために人間を襲い、噛むことで血を吸うと同時に牙から強力な麻酔を出す。噛まれた者は麻酔の効果により身体が痺れ動けなくなり、場合によっては排尿したり性的快楽を得る。唾液にも少なからず麻酔の効果があり、舐められると少し痺れる。
力は人間の3倍ほどあり、人間であれば致命傷となるほどのダメージを受けても死ぬことはない。ただし不死ではなく、頭を斬り落とされたり潰されると死亡する。
編み笠にほっかむりを着用した彼岸島産と、シャツやジーンズなど普通の衣服を着た本土産の二種類がいる模様。
また今ロワではあくまで主催者が用意したものに過ぎない為、雅や明など原作キャラの事は一切知らない。


373 : ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:55:05 o9gdoJKA0
もう一つ投下します


374 : 運命を食いやぶれ ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:56:24 o9gdoJKA0
失い続けた。
友を、家族を、師を、右腕を、ありふれた夢を。

殺し続けた。
友を、家族を、仲間を、化け物どもを、立ち塞がる全てを。

きっとこの先も変わらないのだろう。
失って、殺して、振り返る暇すら無く進み続けて。
全ての元凶であるあの男を殺すまで。

戻るには余りにも多くを失い過ぎ、立ち止まるには多くを背負い過ぎた。

だから俺は進み続ける。
奴を殺さなければ、死んでいった者全てが無駄になるのだから。





ギリ ギリ ギリ ギリ

怖気が走るような、不快な音がする。
硬い何かを擦り合わせたかのようなソレは、歯軋り。
この世の如何なる猛獣よりも鋭利な牙が、砕けんばかりに擦り合わさり音を立てていた。

「おのれぇ…!!」

憤怒一色の表情。破裂しそうな程に青筋を浮かび上がらせたのは、人間とはかけ離れた存在。
見上げる程の青黒い巨体。
筋骨隆々の肉体を惜しげも無く晒した、異形。
額に生えているのは、刃のように鋭い二本の角。
名はオーガ。四方世界に住まう、祈り持たぬ者。

数多の冒険者から恐れられている人喰い鬼。
それもこの場においては、ヒエール・ジョコマンの用意した一参加者に過ぎなかった。

「人間風情が、ふざけおって…!」

魔神将より軍を預かるこの自分が、あんな人間なんぞに首輪を填められた。
その事実が、オーガのプライドを刺激し、耐え難い屈辱を味わっている。
殺し合いなんぞ馬鹿な人間同士でやらせておけばいいものを、何故自分までこんな茶番に巻き込まれねばならない。
もし目の前にあの細長い人間がいたならば、すぐさま磨り潰して鬱憤を晴らしただろう。
だが現実にはどれだけ怒りの声を上げようと、あの男は姿を見せない。

「良いだろう!すぐに全員殺して、貴様も後を追わせてやる!!」

元より命を奪うのに一切の躊躇を抱かぬ存在。
それ故に、己の怒りのままに皆殺しを決断するのに時間はかからなかった。
巨大な戦槌を担ぎ、力強い足取りで進む。
頭に浮かぶのは、得物によって叩き潰される哀れな参加者やヒエールの姿だけだった。


375 : 運命を食いやぶれ ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:57:55 o9gdoJKA0
暫く進んだ先で、オーガはとうとう最初の獲物を見つけた。
人間の男だ。自分と同じく首輪を填められた男が、真っ直ぐこちらへ歩いて来る。
見たところ武器は何も持っておらず、衣服も軽装。
冒険者のような武装はしていない。

(フン、雑魚か)

つまらなそうに鼻を鳴らす。
尤も相手が冒険者でないからといって、見逃す気は無い。
オーガに気付き向こうが足を止めた瞬間、一気に仕留めんと男へ迫る。
人間一人を殺すのに、オーガのパワーならば一撃で十分。
哀れにも男は戦槌の染みと化す。

ヒョイッ

そのはずだった。
男が軽やかに跳躍し、躱さなければ。

轟音を立て戦槌が地面に沈む。
狙った獲物にはまんまと避けられた。
見ると男の顔には微塵も怯えは浮かんでおらず、ただじっとオーガを睨みつけている。
その目が気に入らない。冒険者共に恐れられて来た自分を、ただの障害程度にしか見ていないだろうその目が。

「舐めるな人間っ!」

戦槌を横薙ぎに振るう。
男は背後へと跳んで躱す。またもや外れ。
だがオーガの力は武器を振るうだけにあらず。

「《カリブンクルス……クレスクント……》」

戦槌を持つのとは反対の、巨大な左手を男へ向ける。
呪文を唱えると掌に光が生まれ、一瞬の内に炎へと変化した。
炎は赤から橙、次いで白、最後は蒼へと色を変えその度に巨大になっていく。

「《――――ヤクタ!》」

呪文を投じた直後、男目掛けて火の玉が尾を引いて放たれた。
火球(ファイアーボール)の呪文。
魔術に通じた冒険者には馴染み深い呪文も、オーガが扱えば威力と範囲は数段上となる。
先の戦槌を大人しく受けていれば一瞬で死ねたものを、愚かにも避けた代償を支払う時だ。
生きたまま焼かれる苦痛を味わえと、邪悪な笑みを浮かべる。


376 : 運命を食いやぶれ ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:58:59 o9gdoJKA0
迫り来る火球に、男は焦る事無くじっと前を見据え、

タッ

勢い良く跳び上がった。
それもただ上空へ避けたのではない。
火球を大きく飛び越え、オーガへと迫った。

「ヌ!?」

予想外の身体能力に目を見開く。
それも束の間、馬鹿正直に突っ込んでくる男を嘲笑う。
そっちからわざわざ首を差し出しに来るとは、実に結構。

「望み通り、我が戦槌の餌食にしてくれるわ!!」

男目掛けて振るわれる戦槌。
勝利を確信したオーガの笑み。
避けられない死を眼前にし、男は――


「叩っ斬る」


ザ ン ッ


「あ……な……」

オークがまず最初に感じたのは、右手への違和感。
戦槌を強く握り締めていたはずが、どういう訳か力が入らない。
自分は人間の男を殺そうとしたのに、何かがおかしい。
視線を動かすと、そこには自分を見上げる男。

そして、親指と人差し指を残し、戦槌ごと斬り落とされた己の右手。

「が…が…ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?!」

理解と同時に痛みが追い付いた。
切断箇所から溢れる血、鼻孔に侵入する鉄の臭い。
何が起きた、何をされたと疑問が浮かぶ。
答えはすぐに分かった。眼前へと跳躍した男の姿を目の当たりにした為に。

――こ、こいつは…!?

先程までは無手だった男は、今一つの武器を手にしている。
否、正確には右手が武器と化している。とでも言うべきか。
肘から下の部分。そこにあるのはギラつく刃。
先端が上向きな形状のソレは、義手刀と言う代物だ。

信じられない、されど信じるしかない現実に頭が追い付かない。
まさかあんなちっぽけな剣で、自分の武器を、手を斬り落としたなど。
有り得ないはずなのに、今目の前で右腕を振り落とさんとする姿は、絶対的な終わりを与える死神のようだと錯覚した。


377 : 運命を食いやぶれ ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 11:59:59 o9gdoJKA0
――し、死ぬ?死ぬ!?我が、我がまた…!?

呪文も、防御も、回避も、何もかもが間に合わない。
想起されるのは殺し合いの直前に味わった、一度目の死。
ゴブリン退治に来た冒険者一党、その中でも粗末な装備をした男によって齎された終わり。

――『お前なぞよりも、ゴブリンの方が、よほど手強い』

同じだ。
あの時と同じ、激痛と屈辱、恐怖と絶望の中で自分は――


「貴様ァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


ザンッ


【オーガ@ゴブリンスレイヤー 死亡】


◆◆◆


失敗した。
そう思った時には既に化け物は事切れており、今更どうにもならない。
己のミスに軽く舌打ちををすると、宮本明は慣れた動作で義手刀を仕舞った。

(一体どうなってやがる…。これは雅が仕組んだ事なのか?)

宿敵である吸血鬼の首領。
あの男ならば、こんな悪趣味極まりない催しを開催しても何ら不思議はない。
雅にとって人間など家畜以下。感度3千兆倍とかいうクソみてェな首輪で殺された褐色肌の少女のように、
徹底的に退屈しのぎの玩具として弄ぶつもりで殺し合いを開いたのだろうか。
だがもし本当に雅が黒幕ならば、あんな人間に司会進行などさせず、明を挑発する為にも自分から姿を現すだろう。
それにあの雅が人間と手を組んでいるなど、俄かには信じられない。

(もし雅と関係ないなら、あの男は何者だ?ここには俺だけじゃなく、鮫島達も巻き込まれてるのか?)

今殺した化け物を尋問して、少しでも情報を引き出した方が良かったと少しばかり後悔する。
百戦錬磨の明とて、こうも唐突に巻き込まれた殺し合いには少なからず動揺していたのかもしれない。
とはいえ過ぎた事を引き摺り続けてどうにかなる訳でもなく、すぐに切り替えた。

「まずはあいつらを探すか」

鮫島や勝次達は何だかんだでタフな連中だ。
そう簡単に死んだりはしないだろうが、それはそれとして合流しておきたい。
仲間がここにはいないなら、長居する理由は無い。
殺し合いをする気は無いが、何とか脱出する方法を見つける。

そしてもしあの男が、雅がここにいるのなら。
ここで全てを終わらせる。

デイバックを拾い、オーガの死体には目もくれずに歩き出した。


【宮本明@彼岸島シリーズ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品1〜5
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗る気は無い
1:鮫島達がいないか探す
2:もし雅がいるなら必ず殺す
3:吸血鬼や化け物も殺す
[備考]
※参戦時期は48日後でユカポンが仲間になって以降のどこか。


378 : ◆ytUSxp038U :2021/10/27(水) 12:00:52 o9gdoJKA0
投下終了です


379 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/27(水) 20:20:23 lN0Yk1Rk0
投下させていただきます。


380 : ある日、珍獣と出会った ◆4kMBNI9QkE :2021/10/27(水) 20:21:34 lN0Yk1Rk0
「……んぅ」

うら若い少女の艶やかな声が周囲に響く。

「や、やだぁ……変な触り方しないでよぉ……」

分度器を思わせる太い眉毛が印象的な少女……南良原ナユナは恥ずかしそうに頬を赤らめ、深く息を吐く。

「あわわわ……」
「おぉ〜……」
「………」ゴクリ

その光景を眺めながら、紫色の髪を腰まで伸ばしてワンピースを着た女性……星野輝子は目を白黒させ、
褐色の肌にポニーテール、セーラー服姿の少女……牛丸ミクはアダルト雑誌を注視する中学生男子のように鼻息を荒くし、
オレンジ色の髪にブレザーの制服姿の少女……ZちゃんことマジンガーZは大きく唾を飲み込んだのだ。

「…………」

そして、この中で唯一の男である黒髪の少年……ルツもまた、目の前の光景に目を丸くしていた。

「おいおい………」





「なんだそいつは!?」

ルツが突っ込みを入れたその先では…………





「ミーヤ♪ミーヤ♪」
「あ、あはは……」

……クリーム色の毛皮とヤマアラシのようなトゲが生えた甲羅を持ったゆるキャラチックな外見をした生き物が、ナユナに抱きついて嬉しそうな鳴き声をあげていたのだった。


☆☆☆


遡ること30分ほど前……

ナユナ、輝子、ミク、Zちゃん、ルツの4人は、この殺し合いの会場に飛ばされてすぐに出会った。

最初は4人とも警戒していたのだが、全員殺し合いに乗る気が無い事を知ると『バラバラに動くよりも安全だ』という理由から行動を共にすることになったのだ。

そして、しばらく宛もなく会場内をさ迷っていると……今、ナユナに抱きついているゆるキャラチックな生き物がいわゆる『亀甲縛り』の状態で緊縛されているのを発見したのだ。

ゆるキャラチックな外見をした可愛らしい生き物が亀甲縛りに緊縛されているという姿にナユナ達は可哀想に思い、縄をほどいてやる事にした。

そして、縄をほどくと同時にナユナに抱きつき……現在に至るという訳である。

☆☆☆

「ハァ……あぁもう、いい加減はなれろよ」

ルツはため息を一つ漏らすと、ナユナに抱きついたままのゆるキャラチックな生き物の首根っこを掴んで、ナユナから引き剥がそうとする。

「ミーヤ!ミーヤ!」

しかし、ゆるキャラチックな生き物はナユナから離れようとはせず、いやいやと首を降った。


381 : ある日、珍獣と出会った ◆4kMBNI9QkE :2021/10/27(水) 20:22:12 lN0Yk1Rk0
「ほら、お前らも見てないで手伝え」
「あ……あぁそっか」
「ワリィ。つい見とれちゃって……」

ルツから声をかけられてミクとZちゃんは我に帰り、ナユナに抱きつくゆるキャラチックな生き物に手をかけた。

「よし、いいか……」
『せー、の!』

掛け声を合図にして、三人はナユナからゆるキャラチックな生き物を引き剥がしにかかった。

「み、ミーヤ!ミーヤ!!」

だが、ゆるキャラチックな生き物は無理やり引き剥がしにかかる3人に抵抗し、ますますナユナに抱きつく力を強めていく。

「あぁもう!しつこいぞお前!?」
「いい加減に離れなってば!」

ナユナから離れようとしないゆるキャラチックな生き物に、ルツもミクも少しイライラしてきた。

「ミーヤ!ミーヤ!!」
「いい加減にしないと怒るよ!?コラ!!」

Zちゃんが青筋を浮かべながら叫んでも、ゆるキャラチックな生き物は全くナユナから離れようしない。

「ち、ちょっと!痛い痛い!痛いよ!?」

一方、ゆるキャラチックな生き物に抱きつかれているナユナは抱きついたままのゆるキャラチックな生き物とそれを引き剥がそうとするルツ達のおかげで痛みを訴え始めた。

その時。

「皆!ちょっと落ち着いて!!」
『?』
「ミーヤ?」

そこに、今まで黙っていた輝子が止めに入った。

「え〜っと……とりあえず、ルツ君達は一度手を離そうか?」
「………えっ?」
「いや、でも……」
「いいから!」

輝子に促され、ルツとミク、Zちゃんの三人は渋々ゆるキャラチックな生き物から手を離した。

「ミ〜ヤ〜♪」
「あはは……」

邪魔者から解放され、ゆるキャラチックな生き物は嬉しげにナユナに抱きつき、ナユナは苦笑する。

その姿を横目に、輝子はルツやミク、Zちゃんと話合っていた。

「とりあえず……無理に離そうとしても逆効果だし、しばらくは『あのまま』にしておきましょう?」
「良いのか『あのまま』で?いきなり襲いかかってきたりしないか?」
「それなら、最初に会った時に襲いかかってる筈だし……多分大丈夫ですよ」
「多分って……アバウトだなぁ」
「まぁ、いざとなったらアタシらでフルボッコにすれば良いだけじゃない?」
「いや、それはちょっと乱暴過ぎ……」

あまりに過激なZちゃんの台詞に、ミクは顔を青くして若干引いた。

話が一応決着すると、輝子はナユナに抱きついたままのゆるキャラチックな生き物に話しかける。

「君、お名前は?」
「ミーヤ!」

輝子からの問いかけに、ゆるキャラチックな生き物は元気に返事をした。

「そっか……『ミーヤ』っていうんだね」
「……いや、今のはタダの鳴き声だろ?」
「細かい事は気にしちゃダメだよ」

夢の無い事を言うルツに、ミクが釘を刺す。

輝子はゆるキャラチックな生き物……ミーヤから視線を外すと、ミーヤに抱きつかれているナユナに向かいあった。

「ナユナさん、無理に離すのは無理みたいなので、しばらくミーヤ君に抱きつかれてもらっててもらえます?」
「あ……はい。抱きつかれるのは慣れてますから」

苦笑いを浮かべながら輝子からの頼みを聞いたナユナは、そのまま自分に抱きつくミーヤの頭を撫でた。

「よろしくね、ミーヤ君?」
「ミーヤ!」

ナユナに頭を撫でられ、ミーヤは嬉しげに返事をする。

その光景に輝子は微笑み、ルツは『やれやれ』といった感じに頭を掻く。
ミクとZちゃんも嬉しそうな笑みを浮かべたのだった。


382 : ある日、珍獣と出会った ◆4kMBNI9QkE :2021/10/27(水) 20:22:50 lN0Yk1Rk0
【南良原ナユナ@怪獣列島少女隊】
[状態]:健康、ミーヤに抱きつかれている
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:死にたくはないけど、人殺しはしたくない
1:ミーヤ君、離れてくれないかな……(苦笑い)
2:輝子、ルツ、ミク、Zちゃんと行動する
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
本編終了後からの参戦
ミーヤを『外来獣』(怪獣)だと思っています。

【星野輝子@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、少し困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:『超人』として参加者を助ける
1:ナユナ、ルツ、ミク、Zちゃんと行動する
2:ミーヤ君って怪獣かな?妖怪かな?
3:知り合いや超人課の同僚がいるなら、合流する
[備考]
第二期(THE LAST SONG)中盤付近からの参戦。
ミーヤを『怪獣』か『妖怪』か判断しかねています。

【ルツ@魔法使いの嫁】
[状態]:健康、人間(少年)態、精神的疲労・下
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:チセの下に帰る
1:ナユナ、輝子、ミク、Zちゃんと行動する
2:こいつ(ミーヤ)、妖精か?
3:もし、チセやエリアスがいるなら合流する
[備考]
学院編開始直前からの参戦。
ミーヤを『妖精』だと思ってます。
妖精態(ブラックドッグの姿)になっても首輪ははずれません。

【牛丸ミク(ミクラス)@怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜】
[状態]:健康、精神的疲労・下
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人殺しはしない
1:ナユナ、輝子、ルツ、Zちゃんと行動する
2:ミーヤ君って怪獣かな?
3:知り合いがいるなら合流する
[備考]
第二期終了後からの参戦。
ミーヤを『怪獣』だと思ってます

【Zちゃん(マジンガーZ)@ロボットガールズZ】
[状態]:健康、精神的疲労・下
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:悪い奴はフルボッコ!
1:ナユナ、輝子、ルツ、ミクと行動する
2:こいつ(ミーヤ)……なんなんだ?
3:知り合いがいたら………ま、大丈夫だろ(´▽`)(根拠の無い謎の自信)
[備考]
『+』終了後からの参戦。

【珍獣ミーヤ@巨獣特捜ジャスピオン】
[状態]:健康、亀甲縛りをされて体力消耗・中、ナユナに抱きついている
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ジャスピオン達の下に帰りたい
1:ミーヤ〜♪(ナユナに抱きついていると落ち着く)
[備考]
本編中盤(20〜30話付近)からの参戦。



[エロトラップ紹介]
【亀甲縛りの罠@オリジナル】
文字通り、発動すると相手を荒縄で亀甲縛りの形に緊縛する。
SM趣味とM気質がある者にとっては『ご褒美』だが、そうではない者にとっては『拷問』に等しい。


383 : ある日、珍獣と出会った ◆4kMBNI9QkE :2021/10/27(水) 20:23:28 lN0Yk1Rk0
以上、投下終了します


384 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 20:59:47 mAoIabPA0
ちょっと不安な内容ですが投下します


385 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:00:47 mAoIabPA0
鬼舞辻無惨は鬼の首領だ。
その強さは約一名の例外さえ除けば鬼狩りの中でも精鋭の者が束にならなければ勝ち目がない、正真正銘の化け物。

だがそんな彼もまた例外なく殺し合いに巻き込まれる。
どれだけ強力な鬼であろうとあの場で主催者の男を攻撃することすら出来なかった。

「この私を捕らえ、あまつさえ殺し合いの場に放つか……」

無惨は主催者の暴挙に対して青筋を立てる。
あんな珍妙な格好をした馬鹿げた存在に鬼舞辻無惨があっさりと捕まる。
それは絶対に有り得ないはずのことだった。彼の住む世界の鬼や人間が聞いても、冗談としか思われないような異常事態だ。

それに無惨は過去に途轍もない才能を持つ剣士から逃げることに成功している。
勝負には敗北したが、逃げたことにより命は助かった。そして何よりその剣士が死ぬまで無惨は見事に逃げ切った。

鬼舞辻無惨を殺す、捕らえるというのはそれだけ難しいことなのだ。
単純な力比べなら彼より上の者が存在していたが、逃げという一点で彼ほど優れた者はなかなか存在しない。

そしてなにより忌々しいのは飼い犬のように着けられたこの首輪だ。
どういう原理か不明だが、これによって大幅に力を制限されている。

本来の無惨なら首輪を外すことなんて容易いはずだった。首輪に巻き付けられているなら、肉体を分解するなりして外せば良いだけのこと。

だが力を制限された今では、そんなことも出来なくなっている。
これは同時に肉体を弾き飛ばし、格上から逃げる術が封じられたことを意味する。

どうしようもないこの状況に無惨は虫唾が走る。
鬼舞辻無惨がこんなにも容易く捕えられるなど、有り得ない。

まるで神や仏すらも想像出来ないはずの、出鱈目な御伽噺だ。
きっと主催者の男は自分を斬り刻んだあの剣士と同じく、化け物なのだろう。

「化け物が…………」

忌々しい化け物に対して無惨は心底、迷惑している。
そして表にこそ出していないが、彼に対する恐怖心もある。

首輪の感触が気持ち悪い。まるで心臓を直接、掴まれているようだ。
主催の気分1つで見せしめの少女のように殺される。力を制限された無惨に逃れる術はない。

そもそも逃れることが出来るような相手なら、こうして巻き込まれることもなかっただろう。
ここに連れてこられた時点で無惨は捕縛されたも同然なのだから。


386 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:01:28 mAoIabPA0
しかし無惨にとって不都合なことばかりでもない。

「だが生き残りに願いを叶えるという条件は素晴らしい。これは私にとって好機とも言える」

最後の一人まで生き残るだけでどんな願いも叶える。
普通の者がそんなことを口にしても信じる気はないが、あの男ならばそれが可能だという確信が無惨にはあった。

何故なら彼は御伽噺のような異常事態を生み出さた男だ。ならば太陽の克服くらい難なく達成出来ることだろう。

そしてダンジョンというあまり日が当たらない地形も鬼に適している。
もちろん全ての場所がそうだとは限らないが、日が当たらない場所が少しでもあることはありがたい。
エロトラップダンジョンという言葉の意味こそ知らないが、主催者が気を利かせてくれたことには感謝する。

何故か自分の姿が女で固定されている理由など、エロトラップダンジョンの意味を知らない無惨にわかるはずもない。

主催が首輪からナノマシンというものを注入し、感度を3千兆倍にする媚薬と話していたのを見るに、逆らえば見せしめのあの少女と同じ目に遭わせるという威嚇だろうと無惨は思い込んでいる。
実際はエロトラップの餌食にするためなのだが、無惨はエロトラップという言葉の意味を知らないのだから仕方ない。

そして先刻から独り言をブツクサと言ってる無惨に容赦のないバズーカの弾が飛んできた。

「うるさいですね……」

いきなり砲弾をぶち込んできた上に「うるさい」と理不尽に言ってきた少女に無惨は虫唾が走る。
力を制限されている影響で再生こそ遅いが、一命は取り留めた。

そういう制限を知ることが出来たのは良いが、唐突に問答無用の一撃をぶち込まれた無惨はキレた。というかそんなことされたら誰だって怒る。

「一つ質問がある。私のどこがうるさかった?」

青筋を立てながら無惨は少女に問い掛ける。

「私はここに連れて来られて、まだ数回しか話していない。それがうるさ……」

「もう一発キメますか」

威圧感たっぷりに語る無惨を無視して、少女は追撃を加える。
現代兵器の一撃は鬼である無惨にもそれなりに重い。普段なら余裕だろうが、制限がかなり響いている。

そして無惨は確信した。
最初の一撃から思っていたことだが、この少女は異常者だ。

数回しか言葉を発していない相手に「うるさい」と文句をつけ、いきなり攻撃してくる。
そして普通の者ならば、鬼ですらも恐れるであろう威圧感に満ちた無惨に容赦のない二発目を放った。

しかもこちらが話しているというのに、それを無視しての攻撃。もうめちゃくちゃだ。
ある意味では鬼狩りよりも異常な存在かもしれない。

ただの身の程知らずの可能性も高いが、無駄に高い狙撃の腕は買っても良いだろう。
こんな少女がどうやって訓練したのかわからないが、彼女が手にしている兵器を扱い慣れていることは無惨にもわかる。

なにより一撃目で仕留め切れないと判断すると怯むことなく即座に二発目をぶち込んできた度胸はなかなかのものだ。


387 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:02:44 mAoIabPA0
倫理観や思考回路が狂っているのかもしれないが、鬼として暴れさせるには非常に適した人材だ。

「私には負けられない理由があります」

迷いのない瞳で少女は語る。

「ラビットハウス以外の喫茶店の壊滅……これ以上の願いはありません。子宮なんてもはや、どうでもいいです!」

無惨は意味不明な言葉の羅列に気圧されそうになるが、異常者の話なんて深く考えないに限る。

「FXでは失敗して多大な借金が出来ましたが、今回は副賞もあるので必ず成功させます」

そして三発目を放つ準備をする。

「ラビットハウスで働くココアさんやリゼさんのためにも……」

準備に時間はかからない。
だがほんの少し、その僅かな時間で無惨は行動を完了する。


そして少女は鬼になった。
彼女の名はチノだが、それすら無惨に教えないで彼女はその場を去る。

だがそれで良い。あの少女は参加者を減らすために生み出した駒でしかないのだから。
鬼となったあの少女には期待出来るが、これでもう鬼を生み出すことは不可能。
鬼に出来る者は一人のみというのが、無惨に課せられた制限の一つだった。

「私も方針を考えるか……」

最後まで生き残るために参加者を減らすことは必須だが、どうやって減らすか。
無差別的に襲うだけでも容易に殺す事は可能かもしれないが、思った以上に制限が厄介だ。

単独でどこかに隠れて人数が減るのを待つか?
どこかの集団に紛れ込み、人数が減るまで本性を隠し通すという手もある。
先刻鬼にした少女の成果にも期待出来るだろう。

それとも他の殺戮者と手を組み、能動的に人数を減らしていくか。
首輪の影響でこれ以上鬼を生み出せないならば、鬼以外の者を利用するのも視野に入れるべきだろう。

とにかく目標は最後まで生き残ることだけ。
逃げ続けるだけでも最後まで生き残れば願いを叶えられるのだから、選択肢は豊富にある。

そして無惨の選んだ手段は───

【鬼舞辻無惨@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:負傷、再生中
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:最後まで生き残り、願いを叶える
1:鬼にした少女(チノ@ごちうさ二次創作)に期待
2:今後の方針を決める
[備考]
制限で弱体化しています。
エロトラップダンジョンに最適化されて女無惨になっています。任意に姿を変えることも不可能です
もう他の参加者を鬼にすることが出来ませんが、NPCなら可能かもしれません


388 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:03:25 mAoIabPA0


本来ならば交わることのない世界の住民をも、この殺し合いは引き寄せる。
見た目こそ同じだが、存在を汚染された者とそうでない者。

しかしお互いなんだかんだで仲良いということは。
ラビットハウスで働いている姉妹のような間柄ということは、どちらの世界でも変わらない


389 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:04:12 mAoIabPA0


冨岡義勇は険しい瞳で、目の前の鬼を見据える。
先刻知り合ったココアを下がらせ、日輪刀を構えた。
対する鬼は。チノは人間の頃とあまり変わらない可憐なその見た目で物騒にも銃を連射した。

血鬼術により生み出された銃から射出された弾丸が義勇を狙う。

水柱である義勇にとって銃の連射を対処することなんて容易い。
だがココアからチノの話を……妹のような存在ということを聞いていたから、僅かに心が痛む。

「チノちゃん、どうして!?」
「うるさいですね……」

ココアが叫ぶが、今のチノには通じない。
FXで借金を作ってしまい、ラビットハウスを立て直すために憎きスタバやコメダの殲滅という願いをチノは決めた。
副賞の20億が手に入り、他の喫茶店さえ潰してしまえば経営も上手くいくはずだった。

だが今のチノには理性がない。
人間の血を求めて無差別的に他者を襲うだけの鬼だ。

「無駄だ、ココア。……アレはもうただの鬼でしかない」

嘘だ。
チノを「ただの鬼」と認識出来るほど、義勇も冷たくはない。
だがチノをこのまま放置するわけにはいかない。この場で斬らなければならない。

「チノちゃんは、チノちゃんだよ!」

鬼になった者の身内の前で鬼を狩ることは初めてじゃない。
それでも多少は思うところがある。ココアの悲痛な叫びが、義勇の胸に刺さる。

「うるさいですね……」

理性は失っているはずのチノが、再び先刻と同じ言葉を口にする。

水柱の義勇にも理由は思い当たらないが、それもそのはず。
このチノはそういう汚染に掛けられているから、理性を失っても「うるさいですね……」という言葉のみ話す事が出来る。

そして先刻聞こえた声の主、ココアに向かって銃弾を放つ。


390 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:04:44 mAoIabPA0
義勇が対処するが、この一撃でチノは禰豆子のような例外でないとわかった。一縷の希望すらも、捨て去らざるを得なくなった。

「……基本的に鬼となった者は元に戻らない」

覚悟を決める。
冨岡義勇は今ここで、チノを殺さねばならない。

「チノちゃんは鬼なんかじゃないよ!」
「ならばどうしてお前を襲った?」
「それは……!」

ココアが言葉に詰まる。
チノがココアを本気で殺そうとするなんて有り得ないから、だからこそ何も言い返せない。

「……覚悟を決めろ、ココア。あれはもうお前の知るチノではない」
「そんな……」
「お前の気持ちはわかる。……俺も過去に姉ら友人を失った」
「義勇さんも……?」

───俺がもっと早く行動してチノを発見することが出来ればお前の妹は鬼にならなかったかもしれない

チノが鬼になった理由はわからないが、もしも他の鬼の手によるものならば義勇が守る事が出来た可能性は存在した。

罪悪感がないわけじゃない。ココアの辛さはよくわかるし、チノを鬼から戻すことが出来ればそれが一番だという気持ちもある。

しかし現実がそんなに甘くないということも、熟知している。
ココアを襲った時点で禰豆子のような例外という可能性も潰えた。

それに鬼と化したチノはそこら辺の鬼と比較して何故か予想以上に手強い。ここで狩らなければ、更なる悲劇を生む可能性がある。

「人を殺す前に、チノのまま殺す。それが俺に出来る事だ」

アレは鬼だと言っておきながら、チノのままというのは矛盾しているかもしれない。
だが義勇の言葉の意味は、ココアにも伝わった。

チノのお姉ちゃんだからこそ、妹が化け物になって人殺しをするところなんて見たくない。


391 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:05:23 mAoIabPA0
それにチノがこのまま戻らないことを、心では拒絶しても頭では理解してしまっていたから……。

「チノちゃん……」
「うるさいですね……!」

鬼となったチノの名を口に出しても、返答はただそれだけ。
きっとこのままだとチノはもっと狂ってしまう。

今のココアに姉として出来ることは一つしかない。
何の因果か支給されていた日輪刀を手にする。
素人のココアが扱えるシロモノではなく、緊張で手が震える。

それでもココアは真っ直ぐな瞳で……大粒の涙を浮かべてチノを見た。
チノに応戦していた義勇もまた、戦いながらココアの覚悟が見えていた。

まさか彼女が日輪刀を手にするとは思わなかったが……妹の最期は自分が介錯してあげたいという気持ちの表れだろうか。

「ごめんね……チノちゃん……」

震える手で刀を構える。
それは皮肉にも鬼となった妹を守り切り、人間に戻した長男の日輪刀だっと。

「それでも私は、チノちゃんに誰も殺してほしくないから……!」

だから妹の介錯をするしかない。
このまま放置しても、チノが苦しむことなんてココアにはわかりきっていた。

───チノちゃんは、人を襲って喜ぶような子じゃないから……

大粒の涙を流してココアは駆ける。
彼女の覚悟を汲み取った義勇はチノの腕を切り捨て、攻撃手段を一時的に失わせた。

そして無防備になったチノの胴体に、日輪刀が突き刺さる
チノが声にもならない絶叫をあげ、苦しみ始めた。

「お願いだから……元に戻って、チノちゃん!」

ココアはチノを介錯するつもりで、突き刺した。
それでもやっぱり、そんな簡単には割り切れない。自分の心には嘘をつけないから……。

「うるさい、ですね……」

そして奇跡は起きない。
ココアの願いが届くほど、現実は甘くない。

「チノちゃん!」

それでもココアに名前を呼ばれる度に、チノの胸の奥がズキズキとする。

「頚を斬れ、ココア!」

肝心な言葉が足りなかったことに気付き、義勇が叫ぶ。


392 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:06:01 mAoIabPA0
鬼を殺すには頚を斬るしかない。非力そうなココアが介錯に失敗した場合は自分が殺すつもりだったが、肝心の弱点を伝え忘れていた。

「えっ!?チノちゃん!?」

焦った義勇が咄嗟に頚を斬ろうと行動した時、チノは串刺し状態から脱し、どこかへ走り去っていった。
あのままココアを喰えた可能性もあるのに、それをせず保身に走った……?

───いや、違う。もしかしたらチノは……

義勇は禰豆子という例外を知っているから、そんな期待が込み上げてしまう。
しかし逃げ去った彼女を追い、捕らえることは難しいだろう。ココアの身体能力がそれほど高いとは思えない。

「待って!チノちゃん!!」

ココアがチノの後を追い掛けるが、彼女ではどう足掻いても鬼であるチノに追い付けない。

「チノちゃん……」

チノの姿が遂に見えなくなり、息のあがったココアから再びとめどなく涙が流れる。

「チノを鬼にしたのは、おそらくだが他の鬼だ」

炭治郎の時とは経緯が少し異なるが、鬼の被害者である少女に義勇は告げる。
彼女は曲がりなりにも鬼と戦った。残酷な運命に立ち向かった。

そして何の因果かわからないが、日輪刀を手にした。
ならばこれだけは、言っておいた方が良いだろう。

「お前に鬼を狩る意志があるならば……俺が戦い方を教えよう」

あまりそういうことには慣れていないが、ココアが望むならば出来る限り鍛える。多少は戦う術を身につけなければ、チノの介錯をすることも難しいだろう。

「鬼は人を喰らう。この殺し合いには少なくともチノ以外にあと一人は存在するはずだ」

ココアは暫く迷った後に……

「……義勇さんはお姉ちゃんを失った時、どうしたの?」

それだけを義勇に問い掛けた。

「姉が鬼に殺されたと周りに言いふらし、異常者扱いされた」

ココアの質問に義勇は嘘偽りなく回答する。
なにも最初から鬼と立ち向かうことを選んだわけじゃない。彼も昔はそんなに強い男ではなかった。


393 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:06:38 mAoIabPA0

「それから師と出会い、友人が出来た。……あいつの言葉で、俺は変わった」

友人である錆兎を失ってから炭治郎と出会い、交流するまで忘れていた言葉だが……再び忘れることはないだろう。

「姉が繋いでくれた命を……。姉と友人に託された未来を繋ぐ。それが俺の戦う理由だ」

───託されたものを後に繋ぐ。もう二度と目の前で家族や仲間を死なせない

ココアは先刻出会ったばかりで仲間と呼ぶ程ではないかもしれないが……自分がそうしてもらったように、彼女のことを守る。
いきなり妹を鬼にされた哀れな姉を助ける。

……正直なところ相手は未知数だ。
鬼舞辻無惨は仲間と共に殺したはずなのに、再び鬼を目にするとは思わなかった。

しかし自分の負傷が完治し、何故か万全の状態で巻き込まれた時点で違和感自体はあった。
最悪、鬼舞辻無惨が復活している可能性も視野に入れる。
それほどの異常事態が起こっているという現実を義勇は受け入れた。


「託された未来……」

チノがああなってしまった今、再び彼女と笑い合える未来をココアは思い描くことは出来ない。

しかしココアにはチノ以外にも仲の良い友達や家族がいる。
このまま鬼を野放しにしたら、チノ以外の友達も犠牲になる可能性があった。

それにココアらしくもない考えかもしれないが……チノを鬼にした化け物は。
大切な妹を取り返しのつかないことにした人は、どうしても許せない。

妹が悲惨な目に遭って黙っていられるほど、ココアは冷たくない。
憎しみに支配されたわけではないが、チノの仇を討ちたいという気持ちはある。

それがみんなの未来のためにもなるし、なによりこのままではチノが浮かばれない。可哀想過ぎる。

「義勇さん。私も鬼退治に協力するね!」

鬼退治。
昔、チノや友達とした鬼ごっこ。
何の変哲もない日常風景だが、だからこそ美しい。


394 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:08:12 mAoIabPA0

(あの時もチノちゃんが鬼役だったね)

その時はチノが手を振り、微笑みながらココアに駆け寄ってきたことでわざと捕まった。
というかチノが鬼でも、姉として妹とハグするチャンスを逃すわけにもいかず飛び付いた。

(……もうあの頃には戻れないよね)

二度と戻れない過去を懐かしみ、寂しい気持ちになる。
それでも姉として、妹の凶行を止めないわけにはいかない。
化け物にされたチノを介錯してやることしか、ココアには出来ないのだから。

「チノちゃん。今、お姉ちゃんが行くからね……!」

それは鬼ごっこでチノにハグをした時と全く同じ言葉。
だけれど意味は全く違う。

でも甘いことを言うなら……妹を独りにしたくない。

(きっとチノちゃんは心の中で泣いてるよね……)

だからお姉ちゃんが行かなければ。
苦痛に苛まれる妹を解放してあげるのもまた、姉としての役割だから。

「ココア……」
「私は大丈夫だよ!」

気丈に振る舞う少女に義勇の心が痛む。
まだチノが襲いかかってくる前、自己紹介した時の印象からして本来は炭治郎のように明るい者なのだろう。

「わかった。鬼と戦う術をお前に教えよう」
「ありがとうね、義勇さん!」

太陽は沈まない。
妹を明るく照らすため、沈むわけにはいかない。

「待っててね、チノちゃん」

だからなるべくいつもと変わらない調子で、お馴染みの言葉を口にした

「お姉ちゃんに任せなさい!」

【保登心愛@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:竈門炭治郎の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:みんなを鬼から守りたい
1:義勇さんに戦い方を教えてもらう!
2:鬼になったチノちゃんを介錯する……
3:チノちゃんを鬼にした鬼を退治する
[備考]
参戦時期は決めていませんが少なくともBLOOMの5話の出来事を経験しています

【冨岡義勇@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:鬼を狩る
1:ココアに戦う術を教え、守る
2:鬼を狩る
3:チノは姉であるココアの手で介錯することを優先する
[備考]
参戦時期は原作の最終決戦終了後
五体満足になって参戦しています


395 : Dear My Sister/太陽は沈まない ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:08:39 mAoIabPA0


ココア達の元から去ったチノは次の獲物を探す。
ココアに呼ばれると何故あんなにも胸がズキズキするのか、その理由はチノにもわからない。

当初掲げていた目的も忘れ、たとえ相手が知人友人でも容赦なく襲い掛かることだろう。
だがもしかしたら、その度に胸がズキズキするかもしれない。

鬼舞辻無惨の血を多く分け与えられたことにより、手強い鬼と化したチノの未来は───

【チノ@ごちうさ二次創作】
[状態]:負傷、右腕欠損、再生中
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:???
1:血がほしい
[備考]
無惨から強力な鬼にされました
血鬼術で銃火器を精製出来ます。制限などは後続の書き手にお任せします
鬼になった際、支給品のバズーカは失ってしまいました。血鬼術で作れるかもしれません


396 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/27(水) 21:09:00 mAoIabPA0
投下終了です


397 : ◆6e2BfwcbSg :2021/10/28(木) 01:09:59 xU/GVt520
投下します


398 : ◆6e2BfwcbSg :2021/10/28(木) 01:10:12 xU/GVt520
「ワン!ワン!ワン!」

____ダンジョンの一角。
そこでは一匹の小型犬が何もない壁に向かって吠え続けていた。
犬種はポメラニアン。ドイツ原産の犬種で、好奇心旺盛な性格が特徴。飼い主に対する忠誠心も十分備えており、小型犬の中ではおとなしい方である。
ではそんな彼がなぜこうも吠え続けているのか。

飼い主から離されたから?違う。
突然見知らぬ場所に放され、混乱しているから?違う。

ただ彼は、食べ物に飢えていたのだ。

「ワン!ワン!ワン!ワン!ワン!」

___しかし、この鳴き声からその飢えを察せる者は都合良く現れるだろうか?
ましてや、今は殺し合いという極限状態の中。一般人であれば、他人の事など考える余裕は殆ど無いだろう。

ワンちゃんの運命や、如何に。

【ポメラニアン@エサあげるの忘れたら犬発狂】
[状態]:空腹状態、怒り(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:???
1:餌を食べたい
[備考]
餌を忘れられて発狂状態にいます。


399 : ◆6e2BfwcbSg :2021/10/28(木) 01:10:23 xU/GVt520
投下終了です


400 : ◆6e2BfwcbSg :2021/10/28(木) 02:01:42 xU/GVt520
すいませんSSタイトル忘れてました
『狂犬の嘆き』でお願いします


401 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:03:35 NMR/ABl.0
投下します


402 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:08:11 NMR/ABl.0

「ひええぇええぇえええぇえええぇ!」

声が震えに震え、大きく上擦った悲鳴が辺りに木霊する。
様々な欲望渦巻く殺し合いの地、浮遊大陸
その一画に設けられたとある街中では一人の女性が激走していた。
首から上より出せる体液をたれ流せるだけ垂れ流しながら走る彼女は東山コベニ、20歳。
ハンバーガーショップ、ファミリーバーガーの店員であり、
元公安対魔特異課のデビルハンターだ。

度重なる悪魔との戦いを信頼できるバディや大枚叩いて買った新車の犠牲を出しながらも
乗り越え生き残ったが、流石に生命の危機を感じて公安を退職する。
退職後はウエイトレスとして再就職し、ブラックな職場でパワハラを受け続ける日々。
そんな精神的にキツイ職場に苦痛を感じていたある時、突如としてチェンソーマンが来店。
彼によって街に連れ出され、その奇天烈な行動に振り回されてることになるのだが…
彼女は理不尽の真っ最中で更なる理不尽に招かれてしまった。

『ファミリーの平手打ち』、『チェンソー』、『ヴァンヴァアヴァー』、『ソフトクリーム』、『ダンスゲーム』
『命の賭け合い』、『NPC』、『エロトラップ』、『デスアクメ』、『ナノマシン』、『20億円』

前後の出来事による強烈な情報の波で開始早々パンク寸前。
気絶一歩手前だった彼女は『悪魔』との遭遇でなんとか我に返り逃走劇を開始。
紆余曲折あって現在に至る。

「おいウエイトレス!待てオイ!」

逃げるコベニを呼び止めるのは逃走劇のきっかけとなった張本人。
頭部から一本の触覚が伸びた全身黒一色の小柄な体躯。
気の抜けるような表情をした真っ白な顔面が黒の中で際立って見える。
短い手足を動かしドタドタと音を立てながら彼女を追い続けていた。
その出で立ちだけでも充分異常だが、一番重要なのはそこではない。


「待てよコラ」 「もう錯乱してんじゃね?」
      「ヘイヘイ!」             「ヘイヘイ!」         
「いつまでもつかな」        「もう諦めろよ」
          「逃げんなよ」    
             「話し合いしようぜ!話し合い」
   「逃げられるわけねぇだろ」        「回り込め回り込め!」
「頑張るねぇ」           「意外と早いなコイツ」
    「ただ走りまわってるだけならつまんねぇぞー!」


この追跡者の最も異常な点。それは圧倒的なまでの『数』。
総数は十匹、ニ十匹どころの話では済まない。少なく見積もっても3桁を超える大群
その全てが触手を風に靡かせながら東山コベニただ一人に狙いを定め、
増水した川の激流のように押し寄せていた。


403 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:10:43 NMR/ABl.0

「別に何もしないから!殺すだけだから!サッと殺してすぐ終わるから!」
「するんじゃないですかぁ!私のこと殺すんじゃないですかぁ〜!」

酷くあっさりとした殺害宣言に恐怖心を増幅させながら一心不乱に逃走を続けるコベニ。
意外にもゲーム開始から続く命がけのチェイスは彼女が優勢であり、
両者の差は徐々にではあるが開きつつあった。

とても戦える人間には思えないが、これでも元公安所属のデビルハンター。
オドオドした様子からは想像も出来ないような高い身体能力を有している。
その実力は包丁一本で本領発揮しきれていないとはいえ魔人と武器人間を迎撃出来る程であり、多くの殉職者を出した対魔特異課に所属していながらも生存し続けていることからも伺える。よって、逃走の為の敏捷も走力を維持する為のスタミナも折り紙付きなのだ。

もし出会った相手がゴブリンやオーク程度だったならば容易く制圧出来ただろう。
だが、現状は武器なし、バディなし、悪魔なし。相手は両手で数え切れないほどの大軍勢。打てる選択肢はどうあがいても逃げの一手のみだ。
例え気弱な彼女でなくとも立ち向かえと言う方が無理な話である。
とはいえ、唯一取れる手段で最大限あがいた結果、彼女は命を拾おうとしている。
振り向く余裕がないので本人は気づいていないが、少しずつ希望が見え始めていた。

「おっと、ここは通行止めだぜ」
「うえっ!?」

しかし、獲物の逃げ切りを許すほど彼らは甘くはなかった。
進行方向に後方の同種と思わしき集団が生きた絶望の壁となり行く手を阻む。
コベニは疾走する身体に急ブレーキをかけ、横の建物内に入ろうとするが、時すでに遅し。
数分後の未来を暗示するような見渡す限りの黒、黒、黒。
彼女は逃げ道を全て塞がれ、完全に包囲されてしまった。

どれだけ足が優れていようとも物量戦術の前では無力。
今まで愚直に後ろから追っていたのは本気でもなんでもない。
いつでも殺せるちっぽけな人間の足掻きを見て、ただ嘲笑っていたに過ぎなかったのだ。


404 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:12:13 NMR/ABl.0

「準備運動の鬼ごっこはこれで終わりな。ここからは楽しいオモチャ遊びの時間だ
なるべく優しく扱ってやっから簡単に壊れんじゃねぇぞ」
「あわあ…あアあわワわ…」

オモチャ遊び
「遊び」とあるが内容は幼児がするようなおままごとでない事は明らか。
悪魔の遊戯の末路を想像してしまい絶望から震えが止まらないコベニ
己の尊厳を徹底的なまでに蹂躙せんとする剥き出しの『悪意』
その前に晒された彼女に出来る事は真面に働かない口で叫び声をあげることだけだった。


「た、たしゅ!たしゅけ「ぅるっせェェーーーーーーーーーーッ!!!」」


呂律の回らない叫びに被さった耳を劈くような怒鳴り声
声の主を探す間もなく建物より周囲の悪魔を巻き込んだ爆発が起こる。
突然の破壊が齎した結果は大きく分けて3つとなった。

「うおおっ!マジか―――

最初は反応が出来ず巻き込まれた数十体。
彼らは声を出し終わる前に水色の閃光で塵芥と化し

「ギャン!!」

次に一瞬の事で呆然としていたコベニ。
彼女は爆風で飛んできた瓦礫が顔面にクリーンヒット。
そのまま意識が刈り取られ、顔面から盛大に地面に倒れる。

「っとと!アブねー!」
「クソが、今ので何割かはもってかれたぞ」
「なめたことしやがって。とっとと出て来いよ」

最後は爆発に巻き込まれなかった残りの悪魔達。
飛ばされないよう個人、もしくは集団で支え合い風圧をこらえきった。
包囲を崩した彼らは建物から距離を取り、爆撃の下手人である
土煙の奥から向かってくる人影を迎え撃つ姿勢を取る

「人が気持ちよくメシ食ってる時になに騒いでんだ!常識ってもんがねぇんか!?」

文句を零しながら壁から出て来たのは山吹色の道着を着た細見だが筋肉質な男。
不満の通りに食事中だったのか口の周りと衣服を食べカスで汚した男は
額に青筋を浮かべ、憤怒の表情で全体を睨みつける。

「ん?あぁーっ!オイ!こいつやったのおめぇらか!?」
「いや、これから遊ぶ予定だったけど気絶させたのはオマ「言い訳すんじゃねぇ!」
「大勢でよってたかって女を痛めつけるなんてサイテーだ!
そんなヤツらに生きる価値なんかねーぞ!」

倒れるコベニの姿を認識した男は向かい合った悪魔に対して説教を始める。
事実、悪事以外の何物でもない行為を働いているので、彼の言い分は正論には違いない。
違いないのだが、説教している本人もコベニの生死を無視した攻撃を放っている。
運よく気絶で済んだから良いものの場所が悪ければ、巻き込まれ粉々になっていただろう。
義憤に駆られての言動ではなく自身の行動の正当化。
男の清々しいまでの棚上げに流石の悪魔達も困惑してざわつきだす。
そして、それが致命的なミスだった事を彼らは次の瞬間思い知らされる。

「だから…死ねェ!」

有無も言わさず放たれたのは膨大なエネルギーと殺意が凝縮された気功波
光弾による閃光が光を抑える障害物を失った事で今度は一帯を包みこむ
困惑から警戒が緩んでしまった彼らは虚を突かれ、
回避も防御も取る間もなく光の奔流に吞まれていく。
やがて、光量が収まり視界が晴れた頃
辺りを埋め尽くす黒の大軍勢は一匹残らずこの世から消滅した。


405 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:14:34 NMR/ABl.0




「ふぁえ〜…あぇ、ここは?」

目を覚ましたコベニはゆっくりと起き上がる。
意識がはっきりしてくると顔面にぶつかった破片の影響か顔全体がジンと痛んだ。
状況を把握する為、ボロボロとなった周囲を見渡すと
あれだけたくさんいた悪魔達はもうどこにもいなかった。

「お〜サッパリした!」

代わりにいたのは憂さ晴らしが出来たとにこやかな笑顔を見せる道着姿の男性
男性は起きた此方の存在に気づくと興味なさげな顔をして近づいてきた。

「お?なんだオメェ生きてたんかぁ。とっくに死んでっかと思ったぞ」
「助けてもらってありがとうございます…!あのアナタは…」
「ん?オラか?」

途中からの記憶は曖昧だが、状況から察するに窮地を救ってくれた命の恩人に違いない。
コベニはお礼を述べるとともに相手の事を尋ねた。

「オラは地球育ちのサイヤ人、孫悟空だ!」

その問いに対して、本来とは異なる世界を生きる『孫悟空』は元気よく答えてみせた。



物理的な大改築で解放感溢れる前衛的なデザインとなった建物内
その中にあるテーブルの上には山盛りの料理が並べられている。
豪勢な料理の数々は悟空の支給品 グルメテーブルかけによるものだ。
和洋中揃った選り取り見取りなテーブルに悟空の豪快な食べっぷり。
最近はロクな物が食べれてないコベニは思わず唾液が止まらなくなる。

「あの…私も…美味しいもの食べたい…」
「だ〜めだ!これは全部オラんだ!ちょっとでも盗ったらぶっ殺すぞぉ!」
「は、はひっ!」

尋常じゃない殺気と唾を飛ばされ、恐怖から食欲も引っ込んでしまう。
自由に食事を出せるのだから分けても問題ないはずなのだが、
食にがめつい悟空が他人に食料を渡すことは天地がひっくり返ってもあり得ない。
食に関する良心の期待はするだけ無駄である。
食事にありつくのは無理だと諦めたコベニは気を取り直して本来の目的である情報交換を開始した(食事に夢中でロクに話を聞いてくれなくて苦戦したが)

「はえ〜そんなてぇへんな事になってたんだな。オラ全く知らなかったぞ」
「え?あの、最初に説明されたと思うんですけど聞いてなかったんですか?」
「だってよ、界王様の話みてぇに長ったらしくなりそうでさ〜
退屈で眠くなっちまってつい…ハハハ!」
「眠くなったってえぇ…?」

己の命が懸かった殺し合いの説明も見せしめになった少女の悲痛な断末魔も
彼にとってはつまらない朝礼の長話のような眠気を誘うものだったというのだから恐ろしい話だ。
平然と笑い飛ばす悟空の無頓着さに悪魔が感じた困惑を自分も味わされる。


406 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:17:53 NMR/ABl.0

「ま、そんなことはどうでもいいさ。
とりあえずとっととけぇってブルマにこれ外してもらうとすっかぁ」
「ふぇ?し、下着?あの、それに帰るってどうやって?」
「ああ、オラには瞬間移動があっかんな!オメェも付いてきてぇなら来てもいいぞ!」

大量の食事を平らげた悟空は腹を摩りながら立ち上がると
こめかみに指を当て、移動の目印となる相手の気を探り始める。
だが、ここで彼の中で違和感が生じた。
ブルマのかすかな気はおろか普段なら至る所から感じるはずの気を全く感じないのだ。

「ん?」
「ぁっ、あの、悟空さん?」

小さな呼びかけを無視した悟空は一度指を離し、再度瞬間移動を試すため指をこめかみに当てる。
―――何も感じない。
諦めず二度目、三度目のトライ
―――反応なし。
幾ら挑戦してもいつものように移動できない事に苛立ちが積り始める
何度も何度も指が額にめり込む勢いで行使をはかるも結果は同じ。

「何でだ…何でだァーーーー!!なんで瞬間移動出来ねぇんだぁーー!」
「あっ、あの!簡単に帰れる手段があったら殺し合いになりませんし、
主催者が瞬間移動を禁止した…とか?」
「なんだと!?デタラメにもほどがある!」

何故か思い通りにならない自分の体に癇癪を起こし怒りの声を上げる悟空。
ここまでずっと殺し合いに関心がなかった頭に初めて驚愕と焦りの感情が湧いた。
コベニの推測から能力を封じられたという考えに至った悟空は更にある事実に気づく

「それに瞬間移動だけじゃねぇ…!超(スーパー)サイヤ人にもなれねぇだなんて…」

そう、サイヤ人の強化形態である『超サイヤ人』になれなかったのだ。
この孫悟空と言う男は異常なまでに沸点が低い。
やれ煩くて眠れない事にむかついただの正論ぶつけられて逆ギレしただの
他人ならスルーして当然な事ですら親友が殺されたかのように怒り散らす事が出来る。
(邪悪な意味で純粋で)穏やかな心と(悟空基準の)激しい怒り。
彼にとって超サイヤ人への変身はコンビニに買い物に行く程度の気軽いもの。
もはや伝説とは名ばかりだ。

ただ、今回は普段のしょうもない理由と違い、
自分の力を大幅に制限されたという(比較的)全うな内容。
通常の尺度から考えれば超サイヤ人の限界をも超えられただろう。
しかし、悲しきかな。やり場のない憤りは肝心な時に力を与えなかった。


「あんのクソ野郎ォ!
オラ、オメェをぜってぇ許さねぇ―――――――――――!!!!!」
「にょひいいいぃいいぃぃいいい!!!」


悉く自分の行動を疎外されたことで遂に怒りは頂点に達した。
歯が砕けんばかりに嚙み締められ、歯茎が見える程大きく口が開かれる。
主催者への怒りは絶叫だけに留まらず、オーラとして表面にも溢れ出す。
解き放たれた気は大気を震わせ、地を揺るがし、臆病なコベニに恐怖を与えた。
怒りの解放が終わった後、悟空はグルンとコベニの方へ顔を向ける。


407 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:21:52 NMR/ABl.0

「こうしちゃいらんねぇ!コベニ、今すぐ主催を丁重に殺しに行くぞ!」
「え?えっえっえっ!?あっ、あの何で私までぇ〜?」
「オラ、寝ちまってたから顔覚えてねぇんだ。
そこで顔を知ってるオメェの出番だ!コベニ!」
「あっ!ああ!でも、あの、えっと、私、主催となんて」
「ごちゃごちゃ言うな!!!オレを困らせたいか!」
「ひゃいいいいい!ごめんなさい!ごめんなさい!行きますから許してくださぁいいい!!!」

提案を躊躇っただけで一人称が変わる程の激情を向けてくる短気っぷり。
これ以上、口答えすればすぐにでも殺しにかかりそうな威圧感に
とにかく機嫌を損ねないよう頷くしかなかった。
彼女の了承で機嫌を直した悟空は移動のため彼女を乱暴に抱え空高く飛び上がる。

「うううう、浮いてる…!」
「うし!そんじゃオラの力(りき)を戻せるヤツを見つけっか!
力がもどったら速攻でぶっ殺してやっから待ってろよ!クソ野郎ォ!」
「んにぇええええぇぇぇぇぇ!!!もう降ろしてえええぇぇぇぇぇぇ!!!」

猛スピードの空中飛行が開始されると凄まじい空気抵抗が体を襲う。
日頃、当たり前のように飛んでいる悟空は何でもない様子だが、
慣れていないコベニは既にグロッキー状態だ。

薄れる意識の中でコベニは元同僚である血の魔人、パワーとの日々を思い出していた。
彼女に関しては苦い思い出しかない。
例え話の出汁にされ殺されそうになるわ、愛車をパクられ交通事故を起こすわで散々だ。
そして、彼女と同様に傍若無人な恩人も確実にトラブルを持ってくる。
出会って一時間もたっていないが彼女には確信めいたものがあった。

理不尽な目に合いたくない一心でデビルハンターを退職したのに気づいてみればこの始末。
自分はこの先どうなることやら分からない。
やめてもやめなくても理不尽に巻き込まれる運命にあるのだろうか
もはやどうしようもない流れの中でコベニは自分の不幸をこっそりと嘆くしかなかった。

【孫悟空@ブロリーMAD】
[状態]:健康、満腹、主催者への怒り(極大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2、グルメテーブルかけ@ドラえもん
[思考]
基本:主催者を丁重にぶっ殺す
1:力が制限されている事に不満。取り戻す方法を探す
2:主催者をぶっ殺すためにコベニを連れていく。ただし、メシを盗ったらぶっ殺す。

[備考]
※原作と異なり性格が非常に悪いです。所謂クズロット状態
※OP中眠ってしまった為、主催者の顔と話を把握していません
※戦闘力が大幅に制限されています。他にも超サイヤ人への変身、瞬間移動は使用不可
まだ制限があるかどうかは後続の書き手にお任せします。

【東山コベニ@チェンソーマン】
[状態]:健康、顔面にダメージ(小)、肉体的疲労(中)、精神的疲労(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(武器の類なし)
[思考]
基本:なるべく理不尽な目に合わないで生き延びたい
1:とにかく今は地上に降ろしてほしい
2:悟空に付いていく。というか付いていかざるおえない
3:自衛出来る武器が欲しい
[備考]
※参戦時期は86話チェンソーマンとのデート中〜マキマによる襲撃前の間

【グルメテーブルかけ@ドラえもん】
22世紀に開発された秘密道具の一つ。
平らな場所に敷き、好きな料理名を注文すればその料理が出現するテーブルかけ。
料理の量、質共に一切の上限は無く、驚くことに利用に関して一切の制限が課せられてない。
一日分の食量しか支給されてないこの殺し合いにおいてグルメテーブルかけは
長引くにつれ問題になってくる食糧不足問題を一気に解決に導いてくれることだろう。
………孫悟空から奪い取れたらの話だが。


408 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:24:14 NMR/ABl.0





「チッ…やっと行ったか。しかし、何なんだアイツ?
あんだけの力を持ったニンゲンが居たら嫌でも気づきそうなもんだが…
ま、ありゃ人ってよりかは認定されてねぇだけの怪人だけどよ」

二人が飛び去った後、廃墟と化した建物から黒い影が顔を出す。
その正体は全滅したはずだった全身黒一色の小さな悪魔、もとい怪人。
コベニ同様運よく気功波を回避した生き残りがいたのだろうか。
答えは否。コベニを包囲していた者たちは悟空によって全滅させられた。
新たに表れた怪人が他と違う点は他の参加者と同じく首輪を巻かれている点のみ。
首輪を付けている以上有象無象のNPCではない。では、この生物は一体何なのか。

生物の名は‘黒い精子‘
人類の平和を脅かし続ける存在、怪人。
その中で例外を除いた事実上の最上位、災害レベル『竜』に指定される怪物だ。
『竜』の脅威度は直径200mの巨大隕石と同等以上と持つされている。

だが、黒い精子は制限下にある悟空にあっさりと敗北している。
如何に悟空が超人過ぎたとはいえ、これで隕石と同等と言えるのか疑問を感じる者もいるだろう。
彼の真骨頂は数の暴力の凶悪性を具現化したかのような特性にある

黒い精子の正体は『11兆4491億71万2554体』の知性を持った細胞からなる群生体。
一体一体は子犬にも勝てない程度の力しかないが、内包された数に応じて身体能力を上げ数百万体にもなると黒い精子がいた世界の最高戦力『S級ヒーロー』に大ダメージを与える程に向上する。

加えて、黒い精子の最も恐ろしい点はその細胞全てが本体だということだ。
先程死亡した数百体など彼にとっては様子見で分裂した氷山の一角に過ぎない。
一億分の一にも満たぬ損害では11兆を超える命を持つ黒い精子という存在は揺らがない。
そんな異常性を持つ怪物が変形、分裂、増殖を繰り返し、集団で襲い掛かってきたらどうなるか…この怪人が『竜』とされる由縁が理解してもらえただろうか。

「どいつもこいつも…なめてるよな?俺を」

彼は今、自身を構成する全細胞が一つの感情に支配されていた。
それはマグマのようにグツグツと沸き立ってくる『怒り』
黒い精子は相手から嘗められたと感じる行為を極端に嫌う。
分裂体を楽勝で殲滅した事で勝ったと思い込み、調子に乗っている道着男は勿論
首輪一つで飼いならした気になっている主催も心底気に食わない。


409 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:26:37 NMR/ABl.0

そう、首輪だ。
複数の要素から構成された苛立ちで最も多くの割合を占める原因は首輪にあった。
ゲーム開始時、黒い精子は体を細かく分裂させる事で首輪を外せるかを試してみた。
しかし、どれだけ分裂しようと必ず誰かには首輪が付いた状態になってしまう。
ここで残機があるのだから起動しても大丈夫と楽観的な考えをするほど彼は愚かではない。
首輪で死なない存在など呼ぶはずがないのは分かり切っている。
恐らくは首輪を付けた細胞が死亡した瞬間、残りも死滅…と言った細工を施しているに違いない。
その上、主催者が黒い精子に仕組んだ細工は首輪だけではなかった。
黒い精子を最強足らしめる11兆を超える細胞たち。その数が勝手に減少させられていたのだ。

「ゲームを公平にするための優しい配慮ってか?え?どんだけなめてんだよアイツ」

異次元の細胞数から成る不死性と無尽蔵のパワー。
それに対抗出来る存在など片手で数え切れるか否かしかいないと自負している。
故に元の状態で参戦していれば殺し合いがワンサイドゲームになりかねない。
結論として設けられたのは明確な弱点と露骨なまでの弱体化。
最強の怪人が「易々とは倒せないが頑張ればなんとか勝てるぞ!」と
まるで催しに緊張感を与えるため放たれた猛獣扱い。
これが嘗められていると言わずしてなんとする。

「ま、とりあえずは皆殺しだな。腹立つがお望み通り動いてやんよ。」

主催の思惑を察した上で黒い精子は殺し合いに乗った。
倫理や法と言った柵から解放された怪人にとって殺しなど呼吸するに等しい行いだ。
誰かにやらされる殺人など癪でしかないが、人間とおてて繋いで主催を潰す気も毛頭ない。
自己完結した完ぺきな存在が蹂躙される側の下等な連中と協調する必要などどこにある。参加者全ては憎き主催の元へ辿り着く為の最短ルート、優勝への鍵だ。
程よく弱らせた自分に嚙ませ犬の役割を求めているならその思惑を粉砕する。
道着男のような相性最悪の相手だろうと圧倒し、与えられた制限が何の苦でもない事を証明してやろう。

「そんで最後はテメェだ、ヒエール・ジョコマン
高みの見物してやがる雑魚をボッコボコに出来たらさぞ気持ちいいだろうよ」

舐め切った連中をなぶり殺しにする未来を想像し残虐な笑みを浮かべる。

俺たちは怪人である
尊厳も正義も愛情も友情も自由も努力も尊敬も信頼も優越も安心も希望も
快楽も後悔も憎悪も敵意も束縛も怠惰も軽蔑も疑心も渇望も不安も絶望も全て
感情の赴くままに踏みにじる。

それこそが怪人のあり方と言うものだ。

【黒い精子@ワンパンマン】
[状態]:体内に無数の同一個体
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:怪人らしく皆殺し
1:必見必殺。特になめたヤツがいたら殺す
2:道着男(孫悟空)は警戒。最終的にはこの手で殺す
3:出来ればタンパク質を補給して細胞ストックを増やしたい

※首輪を付けた個体が死亡した場合、連鎖して他の個体も死亡します
※細胞数が本来より減らされています。
どの程度減らされたかは後続の書き手にお任せします。


410 : ◆c4nYy47bT. :2021/10/28(木) 07:27:54 NMR/ABl.0
以上で「ただ激情に流されるままに」投下終了です


411 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:46:10 wnlqHDHI0
投下させていただきます。
コンペロワと辺獄ロワに投下した作品に加筆修正を加えた作品になります。


412 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:46:58 wnlqHDHI0
「クソッ!どうして、どうしてあんな……」

フクロウをモチーフにしたコスチュームを纏い、仮面とゴーグルで顔を隠した男……ナイトオウル2世ことダニエル・ドライバーグは、巨木に拳を叩きつけながら主催者であるヒエール・ジョコマンへの怒りと憎悪を滾らせていた。



その見た目からもわかる通り、ナイトオウルことダニエルはヒーローである。

ヒーローの活動を禁じる法律『キーン条例』の制定によってやむなく引退したが……つい先日、とある理由から活動を再開。

不当に逮捕されたヒーロー時代の相棒・ロールシャッハの脱獄計画を実行しようとした矢先に、この殺し合いに参加させられたのだ。
しかも、ヒーロースーツ姿で。

ダニエルにはこれが、『主催者からの挑戦状』に思えてならなかった。
『お前が本当にヒーローだと言うのなら、ヒーローの姿でこの殺し合いを止めてみせろ』。
そう言われているように思えてならなかったのだ。

ダニエルは……いや、ナイトオウルは仲間のヒーロー達と比べると『平凡』な部類に入る人物である。

超人であるDr.マンハッタンのように、超能力があるわけではない。
出世頭であるオジマンディアスのように、『世界一』と評されるような財力と頭脳と肉体があるわけでもない。
盟友であるロールシャッハのような、自分の信念に決して妥協を許さない狂気的な精神も、
大先輩であるコメディアンのような、暴力行為を心から楽しむような衝動も、
紅一点のシルクスペクターのような、セックスシンボル的な魅力も持っていない。

あるのは……

銀行家だった亡き父が残したある程度は働かなくても生活していけるだけの財産、
ハーバード大学で手に入れた機械工学と動物学の博士号、
その機械工学の知識を活かして作り出した様々な秘密兵器の数々、
その秘密兵器群を自力で作成できるだけの発明の才能、
一般人よりは鍛えられた肉体……

そして、少年のような『ヒーロー』への純粋な憧れと正義感だけである。

「……やってやろうじゃないか」

ナイトオウルは支給されたデイバッグを担いで動き出した。

ヒーローとして、ナイトオウルとして、一人でも多くの人を助ける為に。
それが彼なりの、主催者への反抗だった。

しばらく歩いて……茂みの中から声が聞こえてきた。
若い女性の叫び声だ。

「……!?」

まさか襲われているのでは?
ナイトオウルは駆け出した。

「大丈夫ですか!?」

そして声の主の下へと駆けつけて……

「……えっ?」

……呆然となったのだった。


413 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:47:29 wnlqHDHI0
☆☆☆

少し前……

「………へっきし!まったくぅ〜」

グラビアモデルも裸足で逃げ出しそうなグラマーな美女……怪盗『ルパン三世』一味の紅一点・峰不二子は主催者に不満を募らせていた。

それもそのはず。

「なんで『こんな格好』で、殺し合いなんかさせようとするのよ〜!?」

現在、不二子は『裸』だったのだ。

豊満すぎる胸はピンク色の先端もむき出しになっていて、括れたウエストや安産型のヒップも丸出し。

唯一身に付けている衣類は股間を隠しているショーツだけで、両腕は後ろ手にロープで縛られているときた……。

第三者から見たら、『恥女』扱いされても仕方のない姿だが……これには理由があった。

この殺し合いに呼ばれる直前……不二子を初めとするルパン一味は、とある少数民族が残した財宝を目当てにモロッコにいた。
不二子はそこで、同じく財宝を狙う『結社』に潜入したのだが捕らえられてしまい、結社に雇われていたオカマの殺し屋に拷問にかけられ、パンツ一丁の姿で天井からつるし上げられ……その時に、この殺し合いに呼ばれたのである。

「もう……冗談じゃないわ!」

こんな姿では他の参加者から『変態』扱いされてしまうし、最悪『性的な意味で』襲われてしまう。

不二子は何とかロープを外そうと悪戦苦闘するが、中々きつく結ばれていて一向にほどける気配はなかった。

その時である。

「……大丈夫ですか!?」

☆☆☆

「……えっ?」
「……あっ」

突然の事態に二人は固まってしまった。

ヒーロー仲間の紅一点であるシルクスペクター以上のグラマーな美女が、裸で緊縛されているという状況にナイトオウルは唖然となり、
不二子もまさかヒーローみたいなコスチュームを着た人物が突然現れるとは思っていなかったので、呆然となったのだ

「……」

ナイトオウルはマスクから覗く口元を茹で上がったタコのように赤くし……

「し、失礼しました!」

……少々声を裏返させながら、回れ右して立ち去ろうとしたのだった。

「……ち、ちょっと待ちなさいよ!」

立ち去ろうとするナイトオウルを、不二子は呼び止めた。

「は、はい!な、なんでしょうか!?」
「なんで立ち去ろうとするのよ!?ロープ外してよ!!」
「は、はい!ちょっと待って下さい!今、目隠しを……」
「バカ!見たって良いから、早くロープを外してよ!!」

不二子に急かされるまま、ナイトオウルは不二子を縛るロープに手をかける。

その時である。

「……どうしたんですか!?」


414 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:47:56 wnlqHDHI0
☆☆☆

「そんな……どうして……あんな事を……」

緑色の髪に蛙と蛇を模した髪飾りを付け、青を基調にした巫女服を着た少女……幻想郷は妖怪の山、守矢神社の風祝である東風谷早苗は、主催者によって見せしめとして無惨に殺された幼い少女を思い、さめざめと涙を流していた。

早苗とて、幻想郷で妖怪退治を行う者。
これまで幻想郷で巻き起こってきた、様々な異変の解決に尽力してきたのだ。

だが、幻想郷の異変はあくまでも『お遊び』の範疇で済む物であり、死人はおろか重傷者が出る事も一度としてなかった。

だが、この『殺し合い』はそんな生ぬるい『異変』とは全く違う。
文字通り命懸けの戦いなのだ。

いかに守矢の風祝とはいえ、早苗は年端も行かない少女……生き残れる可能性は限りなく低かった。

「……」

さめざめと泣いていた早苗は、急に涙を袖で拭い取り、頬を叩いて活を入れた。

「いけない……こんな時こそ頑張らないと。こんな姿、神奈子様や諏訪子様に笑われちゃう」

そう……自身の敬愛する祭神達ならば、きっとこの殺し合いを打破する為に動く筈。
そう考えた早苗は支給されたデイバッグを手に立ち上がった。

「神奈子様、諏訪子様……私、やります!」

あの主催者を退治し、参加者達を救う。
そう決意した早苗は移動を開始したのだった。


歩き始めてしばらくした頃……どこかからか年上の男女の諍いの声が聞こえてきた。

「!?」

早速誰かが襲われている。
そう確信した早苗は声のする方に駆け出した。

「……どうしたんですか!?」


415 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:48:21 wnlqHDHI0
☆☆☆

「……えっ?」
『……えっ?』

突然の早苗の乱入にナイトオウルと不二子はまたも固まってしまった。
しかし、それは早苗も同じだった。

映画に出てくるヒーローのような格好をした男性が、裸の女性を縄で縛っている姿を目にし、早苗の頭は一瞬真っ白になった。
(本当は縄を『ほどこうと』していたのだが、早苗には『縛っている』ように見えた。)

「あ、あの……」

早苗の顔は瞬時に熟れたリンゴのように真っ赤になり……

「し、ししししし失礼しましたぁぁ!!」

……顔を両手で覆って一目散に来た道をUターンしたのだった。

『ちょっと待ってぇぇぇ!!!』

猛スピードで来た道をUターンしようとする早苗を、ナイトオウルと不二子は慌てて引き留める。

「は、はははははいっ!な、なななんでしょうか!?」
「あ、あの違うんだよ!これは『人助け』であって、決してイヤらしいプレイとかじゃないんだよ!」
「そうよ!私達別に、恋人でも何でもない赤の他人同士だし……」
「あ、赤の他人同士でこんな……まさか貴方がた、イメクラ嬢とそのお客さんなんですか……?」
『ちっがーう!!!!』

斜め上な解釈をする早苗の誤解を解こうと、ナイトオウルと不二子は必死に説明したが……

「えっ!?何?どうしたの!?」


416 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:48:52 wnlqHDHI0
☆☆☆

「う〜ん……ドッキリ、とかじゃないよね?」

青い髪を腰まで伸ばし、ピンク色のセーラー服を着た小柄な少女……ある業界では『伝説の少女A』と呼ばれているオタク少女、泉こなたは自身の首に嵌められた首輪を撫でながら呟いた。

最初にあの長身の男性から説明を受けた時は『あれ?何かのイベント?』と思ったが、見せしめとして自分よりも幼い少女が陵辱物のエロゲーでも見ないような無惨な死に方をしたのを見て、冷や汗が止まらなかった。

こなたはオタクであることを除けば、どこにでもいる平凡な女子高生。
合気道を嗜んではいるが、それが殺しあいにおいて有利に働くかどうかは微妙だった。

「全く……ただのイベントに興味ありません、なんてレベルじゃないよ」

どっかで聞いたようなセリフを口にしながら、こなたはとぼとぼと歩き続ける……その時だった。

どこかから人の叫び声のようなものが聞こえてきた。

「!?」

まさか、本当に殺しあいをしているのか?
いてもたってもいられず、こなたは叫び声が聞こえてきた方に走った。

「えっ!?何?どうしたの!?」


417 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:49:18 wnlqHDHI0
☆☆☆

「……えっ?」
『……えっ?』

こなたという新たな乱入者の出現に、ナイトオウルと不二子のみならず、早苗もまた固まってしまった。
それはこなたも同じだった。

アメコミに出てくるヒーローのコスプレをした男性が
裸の女性を縄で縛り、
その横で巫女服らしきコスプレをした少女が顔を赤くしているという、『どんなエロゲだよ』とツッコミたくなる光景に目を丸くしたのだ。

「……」

こなたは真顔に戻ると……

「すいません、お邪魔しました」

……何事もなかったように去っていった。

『ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!!!!』

真顔でその場から去ろうとするこなたを、ナイトオウルと不二子、そして早苗は大声で呼び止めたのだった。

そして………

「待てぇー!!」


418 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:49:57 wnlqHDHI0
「ひどい……酷すぎる」

ビビッドカラーの衣裳を纏った可愛らしい少女……『人間型衛星(ヒューマン・サテライト)』の異名を持つロボット超人・アースちゃんは、会場上空にプカプカと浮かびながらその可愛らしい顔を歪ませていた。


これまで多くの悪人、怪人、怪獣と戦い続け、多くの人々を助けてきたアースちゃんではあるが、
突然拐われて『殺し合い』に強制参加されるのは初めてだった。

同時に、幼い少女が全身の穴という穴から体液を流して無惨に殺される様子を見せられ、ロボットでありながらも吐き気を催すほどの嫌悪感を感じたのだ。

「………」

アースちゃんは空に浮かびながら殺し合い会場である浮遊大陸を静かに見下ろしつつ、参加者からの『助けを求める脳波』を待つ。

例え『殺し合い』の場であろうと関係無い。
『純粋な助け』を求める者を救う。
それがアースちゃんの使命であり、存在意義なのだから。

「!」

全身に気持ちいい感覚が走る。
助けを求める者の脳波をキャッチしたのだ。

アースちゃんは即座にロケット形態に変形し、助けを求める者の下へと飛んでいった。

「待てぇー!!」


☆☆☆


「……‥‥えっ?」
『………えっ?』

アースちゃんという新たなる乱入者の登場に、ナイトオウルと不二子のみならず、早苗やこなたまでも固まってしまった。

しかし、それはアースちゃんも同様だった。

助けを求める脳波を追って来てみれば、
『超人』らしき男が裸の女性を縄で縛り、
その近くでは巫女装束姿の少女が顔を真っ赤に染め、
セーラー服を着た少女がその場から静かに立ち去ろうとしていたのだ。

「あ、ああああ……」

アースちゃんはその可愛らしい顔をトマトのように赤く染め………

「こ……この強姦魔ぁぁぁ!!」

……ナイトオウルの顔面に、右ストレートパンチを叩き込んだのだった。

「ちがぶふぅぅ!?」

アースちゃん渾身の右ストレートパンチを顔面に叩き込まれ、ナイトオウルは悲しい悲鳴を上げたのだった………。







その後、五者五様に拗れまくった誤解を解くのに、丸々4時間かかったのだった。
まる。


419 : 誤解は更なる誤解を呼ぶ ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:50:28 wnlqHDHI0
【ダニエル・ドライバーグ(ナイトオウル2世)@ウォッチメン】
[状態]:健康、動揺、困惑、顔面に青アザ
[装備]:ナイトオウルのコスチューム@ウォッチメン
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:ヒーローとして、参加者を助ける
1:僕は強姦魔じゃな〜い!
2:裸の女性(不二子)の縄をほどく
3:少女達(早苗、こなた、アースちゃん)の誤解を解く
4:なんで彼女(不二子)は、こんな状況でSMプレイしているんだ?
[備考]
ロールシャッハを脱獄させる直前からの参戦。
コスチュームは支給品ではありません。

【峰不二子@ルパン三世】
[状態]:健康、裸にパンツ一丁で縛られている、困惑
[装備]:無し(裸)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:とりあえず服を着たい
1:なんで裸なのよ〜!?
2:コスプレ男(ダニエル)にロープを外してもらう
[備考]
テレビスペシャル『トワイライト☆ジェミニの秘密』で、貞千代に拷問されて五ェ門に助けられる直前からの参戦。

【東風谷早苗@東方project】
[状態]:健康、困惑、動揺
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:主催者を退治し、参加者を救う
1:は、ハレンチな……!///
2:なんでこの人達(ダニエルと不二子)、こんな状況でイメクラみたいな事してるの?
3:この子(アースちゃん)は一体?
[備考]
『東方鬼形獣』終了後からの参戦。

【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康、困惑
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:殺されたくはないけど、人殺しもしたくない
1:……これなんてエロゲ?
2:なんでこの人達(ダニエル、不二子、早苗)、こんな事してるの?
3:な、何?この子(アースちゃん)?
[備考]
高校3年時からの参戦

【アースちゃん@コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜】
[状態]:健康、困惑、怒り
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:『超人』として参加者を助ける
1:この強姦魔ぁぁぁ!!
2:強姦魔(ダニエル)から女性達(不二子、早苗、こなた)を救う
[備考]
第13話『新宿擾乱』直前からの参戦。
ダニエルを『強姦魔』だと誤解しています。


【ナイトオウルのコスチューム@ウォッチメン】
ダニエル・ドライバーグ(ナイトオウル2世)@ウォッチメンがヒーロー『ナイトオウル2世』として活動する際に着用するコスチューム。
顔面以外を覆ったフード、目元を隠す暗視機能付きゴーグル、マント、全身タイツ、秘密兵器が収納されているポーチ付きのベルトで構成されており、全体的にフクロウをデザインモチーフにしている。


420 : ◆4kMBNI9QkE :2021/10/28(木) 12:51:02 wnlqHDHI0
以上、投下終了します。


421 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 17:40:30 ClmD15ew0
投下します


422 : 辛苦に迷う世界の希望になれ ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 17:42:47 ClmD15ew0
鎧を身にまとったゴブリンのエリートは苛立っていた。
彼は何の罪もないエリート戦士で、誇りを胸に戦ってきた。

ゴブリンとはその見た目に反して理性的な者も普通に存在する。
様々な部隊が編成され、しっかりと統率されているのが何よりの証拠だろう。
中には突撃部隊という少しばかり野蛮な連中も居るが、それでも無差別的に人を襲うわけではない。

───この殺し合いは、オークだとかゴブリンだとか、所謂NPCってのがいてね。……そいつらは率先して君たち参加者を性的な意味で襲いかかるように細工しているんだ

「ふざけるな。あの男はゴブリンをなんだと思っているんだ……!」

何がNPCだ。
何が性的な意味で襲い掛かるだ。
こういうやつがいるから、ゴブリンに対して悪い印象を持つ者が一定数存在するのだ。

あの男がしていることはあまりにも許し難い暴挙だ。
ゴブリンの誇りのためにも討ち取らねばならない。それが結果的に他の参加者の平和にも結び付く。

幸いなことに自分には心強い仲間がいる。
突撃部隊、偵察部隊、暗殺部隊、陽動部隊、穴埋め部隊、切り込み部隊……皆それぞれ得意分野や役割こそ違うが、必ずや主催者を倒す手助けをしてくれるだろう。
それにもしかしたら自分以外のエリート部隊も存在するかもしれない。

あの男はゴブリンを見下しているようだが、細工如き通用しないゴブリンだって存在するのだ。
その例として自分は正常な意識を保っている。ならば他の仲間も安全だろう。

他の参加者の安全とゴブリンの誇りのために主催者の打倒を決めたエリートゴブリンは剣を持ち、構える。

「───新手のゴブリンですか」

エリートゴブリンの読み通り、女剣士が現れて刀を振りかざしてきた。
彼女に気付けた理由は殺意だ。剥き出しの殺意を向けられては何も意識しなくても、感じ取ってしまう。

「お前は誰だ!何故、他の参加者を襲う!?」

少女の刃を剣で受け止め、エリートゴブリンは問う。

「私の名前はレイ。閃刀姫レイです!」

閃刀姫。
聞いたこともない単語だが、彼女の雰囲気はまるで部隊に所属している者のようだ。

「あなた達ゴブリンは、人を襲う。だからその存在を許容は出来ません!」
「誤解だ!俺たちゴブリンは皆が皆、野蛮なわけじゃない!」

「じゃあどうして、ゴブリン達は私を襲ってきたんですか?説明出来ますか!?」
「いったいどういう意味だ……!」

エリートゴブリンには少女の言葉の意味が通じない。
いや心当たりはあるが……。本当に細工されて性的な意味で襲う者がいるのか?

「とぼけないでください!あなた達ゴブリンの罪は私が断ち切ります!!」

レイは一度距離を取り、瞳を閉じた。
デイバックの中に眠る一枚のカードが輝き、少女の肉体が炎に包まれる。

エリートゴブリンである彼は、レイの行動に何か意味があることを察する。
どんな理由かわからないが、必ずや彼女は生きている。アレはそういう炎だ。

「フォームチェンジ完了。───参ります」

レイの姿が消え、紅蓮の鎧を纏った戦士が現れた。


423 : 辛苦に迷う世界の希望になれ ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 17:43:44 ClmD15ew0
彼女の名は。そのフォームの名は閃刀姫カガリ。レイが進化を遂げた姿の一つであり、戦士としての姿だ。

「なるほど。そういう戦士か……」

エリートゴブリンはレイの一撃を受け止める。
もしも自分に支給されたものが伝説の剣という業物でなければ、危なかった。

しかし力強い踏み込みで放たれた一撃を真正面から受けたエリートゴブリンの負担は大きい。

これが個として孤独に戦い続けたレイと部隊に所属し、集団戦闘を得意としていたエリートゴブリンの差だ。
このままでは押し負ける。策を考えねばならない。

エリートゴブリンが必死に頭を回していた時……最悪の声が聞こえた。

「ゴブ!」「ゴブゴブ!」「ゴブゥゥウ!!」

股間がギンギンに膨れ上がったゴブリン達が現れた。
彼らは皆、エリートゴブリンと同じ格好をしている。つまりゴブリンエリート部隊に所属している者達だ。

そして彼らはレイとエリートゴブリンを取り囲む。
かつて仲間だったエリートゴブリンであろうが関係ない。犯せるモノは犯す。
彼らNPCはそういうふうに細工されている。

「お前ら、どうしたんだ!俺の顔を忘れたのか!?」

エリートゴブリンは必死に呼び掛けるが、どのゴブリンも反応しない。
代わりに性欲を隠すことなく、エリートゴブリンに一匹が襲い掛かる。

つられて何匹も後に続いた。困惑しているエリートゴブリンに興奮したのだろう。
ギンギンにそそり立つソレは相手が男であろうが萎えることはない。

「まったく。なにぼさっとしてるんですか!」

ゴブリン達がエリートゴブリンに危害を加えるより早く、レイがゴブリン達を斬る。
紅蓮の刃で斬られた彼らは一瞬で焼け炭になるが、如何せん数が多い。

他のフォームが使えるなら他にも手はあるかもしれないが、残念ながら今はカガリにフォームチェンジするための札しか持っていない。

レイに助けられたエリートゴブリンがハッと我に返り剣を構える。

「どうして俺を助けた?」
「あなたはどうやら、彼らとは違うようなので……」

ゴブリン達がエリートゴブリンを襲ったということは、彼はNPC側ではない。
そしてゴブリンが全員野蛮じゃないというのも事実なのかもしれない。

性欲剥き出しで群がるゴブリン達にエリートゴブリンは本気でショックを受けていた。


424 : 辛苦に迷う世界の希望になれ ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 17:44:10 ClmD15ew0
もしかしたら彼らは善良なゴブリンで、本当に主催の細工によって操られているだけかもしれない。

───それなら私が取るべき行動は一つだけですね

「先程は失礼しました。ゴブリンが全員悪人じゃないというのは、我が魂に伝わりました」
「そうか。それでこの状況、どうする……?」

「彼らには申し訳ないですが、死んでもらうしかありません」
「やっぱりそうなるか……」

エリートゴブリンは悲しみこそするが、レイの言葉を否定しない。
そうするしかないことなんて、わかりきっていたから。

「主催者に操られた彼らの魂を救うには、それくらいしかありません」
「そうだな……」

レイが灼熱に燃える紅蓮の刃を、エリートゴブリンが伝説の剣を構える。

「あなた達の因果……私が断ち切ります!」

正義だとか、愛だとか。
戦争をしている自分にはそんなものあまりわからないけれど……それでも私は閃刀姫だから。

だから哀れな彼らの因果を、この手で断ち切る。それこそが最善だと信じて、レイは怒りの刃を叩き付ける。
無論、怒りの矛先は彼らの存在を歪めた主催者に対してだ。

エリートゴブリンも覚悟を決め、かつて仲間だった者を斬る。
NPCとして利用され続けるより、解放して安らかな眠りについてほしかったから。


425 : 辛苦に迷う世界の希望になれ ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 17:44:48 ClmD15ew0



「終わりましたね」

戦いを終えたレイはカガリの姿から通常の状態に戻った。

彼女は元々、自国のため孤独に戦っていた。
それは戦争のようなもので、人の死には慣れているが……やはりあまり気持ちの良いものではない。
今回は相手が操られているだけのゴブリン達だったから余計に胸糞が悪い。

「終わったな……」

エリートゴブリンは仲間の亡骸を呆然と眺めていた。
たとえ主催に利用されて悪事を働いていたとしても、やはり彼らの死には心が痛む。

「黙祷を捧げましょうか。運命を狂わされた彼らに、せめて安らかな眠りを……」

そしてレイは散っていった被害者達に黙祷した。つられてエリートゴブリンも黙祷する。
操られていただけの彼らに決して罪はない。
もしも誰かが罪を咎めるとしても……レイが因果を断ち切ったその瞬間に、彼らは解放された。

だから理不尽にも己が存在を書き換えられてしまった彼らに、せめて安らかな眠りを。

───レイ。お前が辛苦に迷う世界の希望になれ

自分が閃刀姫になったばかりの時、誰かに言われた事を思い出す。
それを言われたすぐ後に散って、今はもう顔すら思い出せないけど……その言葉を胸にレイは生きてきた。

「聞こえていますか?主催者共」

だからバトルロワイアルを開いたあの男が許せない。
見せしめのように殺された褐色の少女やNPCとして利用され、自我を失ったかのように操られていたゴブリン達。

彼らの無念を晴らすことも、自分の役割だと思うから。

「私は希望の戦士、閃刀姫レイ……」

そしてレイは力強く、言葉を告げた。

「貴様の命、私が断ち切る……!」

【閃刀姫-レイ@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、閃刀姫-カガリ@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:あの男(ヒエール・ジョコマン)の命、私が断ち切る
1:ゴブリンエリートと共に行動
2:哀れなNPC達は慈悲をもって因果を断ち切る
3:力なき者は助ける
[備考]
遊戯王カードについての知識はありません
カガリやシズクなどにフォームチェンジするには遊戯王OCGのカードが必要です

【ゴブリンエリート部隊@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:伝説の剣@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:仲間を狂わせたあの男(ヒエール・ジョコマン)は許せない
1:レイと共に行動
2:誇りを胸に戦う
3:力なき者は助ける
4:自分以外のゴブリン達が不安
[備考]
運良くヒエール・ジョコマンによる細工を免れたゴブリンエリート部隊の一員です
遊戯王カードについての知識はありません

【冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-】
冴島鋼牙が使っている魔戒剣。
ソウルメタルという特殊な素材で作られている剣だが、今回は大半の性能がオミットされた。もちろん鎧の召喚も不可能
元々がホラーと呼ばれる怪異を倒すために作られたもので、その性質だけが唯一残っている。鬼や吸血鬼にも効き目があるかもしれない

【閃刀姫-カガリ@遊戯王OCG】
遊戯王OCGのリンクモンスター。主に閃刀姫デッキでレイを素材にリンク召喚される。
今回はモンスターを召喚するためのカードではなく、レイをカガリに変身させる効果になっている

【伝説の剣@遊戯王OCG】
戦士族のみ装備可能。
装備モンスター1体の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。
今回は戦士以外も装備出来るように細工されている

『NPC紹介』 【ゴブリンエリート部隊@遊戯王OCG】
元々は攻2200/守1500のモンスター。
本来はその名の通り誇り高き戦士達だったが、ヒエール・ジョコマンの手によりこれまでの自我が消失。ただの性欲モンスターと化してしまった


426 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 17:45:19 ClmD15ew0
投下終了です


427 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 21:47:55 ClmD15ew0
投下します


428 : 迷い犬オーバーランなのよさ ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 21:48:59 ClmD15ew0
迷犬マロンは絶望していた。
それは見せしめがどうだとか、バトルロワイアルがどうとかじゃない。

彼は迷犬だ。
裕福な家庭で飼われ、甘やかされて育ってきた。
それは今思えばとても幸せな時間だったのだが、当時のマロンはそれを当たり前だと思いワガママな性格になってしまった。
やがて調子に乗って脱走するのだが、道に迷って飼い主の元へ帰れなくなってしまう。

世間はマロンが思っているほど甘くない。餌を食べることすら一苦労だ。

そして飼い主のように自分を愛してくれる存在がいない。
可愛い可愛いと寄ってくる人間もいるが、そんなものはただの一時的な感情。愛情とは言えない。

世間の厳しさを知り、自分がどれだけ愛されていたか知ったマロンは飼い主を求めて彷徨い続けた。
だがそう簡単に見つかるはずもなく、そんな日々がかなり続いた。

しかしそんなマロンにも遂に好機が訪れた。
探し続けていた飼い主の姿が見つかったのだ。
飼い主もマロンを探していたようで、貼り紙をしていた。

これでようやく飼い主の元へ戻れる。
マロンは歓喜のあまり駆け出し……そこで意識を失った。

「グッド・イブニ〜〜〜〜〜〜ング、諸君」

目を覚ましたマロンが見たものは、最悪の光景だった。

自分は飼い主とようやく出会えたのに。あのまま幸せな日常に帰れるはずだったのに。
どうしてこの男は、それを邪魔する。

別に贅沢を言うわけではない。
マロンはただ飼い主の元へ帰りたかっただけ。

しかしそんな希望を。幸せな未来をヒエール・ジョコマンは奪い去った。

彼が憎い。
今すぐ噛み殺してやりたいほど、憎い。

マロンはヒエール・ジョコマンを憎悪する。
あの男さえいなければ、自分は幸せな日々に帰ることが出来たのだから。

だが犬のマロンに出来る事は何も無い。
デイバックが重要ということは理解したから、それを噛み付いてズルズルと引っ張っているが……果たしてただの犬がその中身を使いこなせるだろうか?


「グルルルル……!」

そしてマロンを更なる不幸が襲った。
自分よりも遥かに大きな狂犬が股間をビンビンにしてやってきたのだ。

その姿は犬としての原型をなんとか留めているという感じで、明らかに普通の犬とは違う。
まるで暗黒からやってきたような、そんな化け物だ。

なにより最悪なことは、彼の首輪がマロンと全く同じものということ。
マロンの頭文字「M」が書かれた全く同じ形状のネームプレートを彼はぶら下げていたのだ。

「きゃん!きゃん!」

有り得ない。
どうしてあの犬が、自分と同じネームプレートをぶら下げている……?

もしかしてあの犬は、自分……?
最悪の可能性が過ぎり、それを否定するようにマロンは吠えた。


429 : 迷い犬オーバーランなのよさ ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 21:49:34 ClmD15ew0

「きゃん!きゃん!」

それはまるで悲鳴だ。
狂犬に対する恐怖、そして何より最悪の可能性。
それらのことを考えるだけでマロンの身が震え、狂犬は興奮のあまり股間が更にそそり立つ。

「ガウ!」

そして狂犬の股間がマロンに届く寸前……

「この瞬間を待っていたのよさ!」

股間をぶち込むために僅かにその場に留まるその瞬間を狙撃手は見逃さない。
ズガン!という弟と共に狂犬は倒れ伏した。ヘッドショットによる即死だ。

念のために2発目の弾が撃ち込まれるが、狂犬は動かない。
安全を確認した後、狙撃手の少女……入巣蒔菜は姿を現した。

「弱い者いじめはダメなのよ?」

蒔菜は死んだ狂犬にそれだけ告げるとマロンを見た。
目の前の少女が敵か味方かわからず、マロンは怯える。

「大丈夫!私に犬を襲う趣味なんてないのよさ」

蒔菜がマロンの頭を撫で、落ち着かせる。
随分と懐かしく感じるその暖かさにマロンは少しだけ心地良さを感じた。

蒔菜は口こそ悪いが、性根が腐っているわけではない。
この少女は自分を助けるために狂犬を倒してくれたのだと、マロンは本能で理解する。

「それにしてもやっぱこいつ、首輪が私達と違うのよさ」

蒔菜は死体を眺め、自分達との違いを分析していた。

「やっぱアレか?これが噂のNPCってやつなのか!?」

いつものテンションで狂犬がNPCだと判別に成功する。
蒔菜は最初、ゴブリンやオークばかりがNPCだと考えていたがどうやらそうでもないらしい。

「あ。こいつ、お前さんと同じ首輪してるのよさ!」

マロンと狂犬を何度か見比べ、無邪気にマロンに語り掛ける。
蒔菜としては何の悪意もないが、マロンの顔が曇った。どうやら地雷を踏んだらしい。


430 : 迷い犬オーバーランなのよさ ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 21:50:02 ClmD15ew0

まあ自分と同じ首輪を着けた犬なんて見たら、色々と嫌な予感がする気持ちはわかる。
深い意味で話したわけではないが、犬が本気で凹んでいる姿は蒔菜としても見過ごせない。

「まあ、過去や未来なんて気にすんな!そんなことより今を生きるべきなのよさ!!」

愛情を与えてくれた飼い主の元へ戻ろうとした犬を、母親に愛情を与えられずそこから逃げ去った少女が励ます。

蒔菜はマロンの比にならないほど暗い過去を持つが、それでも今は元気にやっている。
風見雄二が蒔菜を助けたから、彼女はしがらみから解放されたのだ。

「それに嫌な未来があるなら、ぶち壊してやりゃいいのよさ!」

マロンには蒔菜が何を言っているのか理解出来ないが、今の彼女の言葉は不思議とふざけているように聞こえなかった。
雄二を取り戻して、日常を取り返したことのある彼女は絶望の状況でも本当に変えられると信じている。

「まあそれに、私がいる限り百人力だかんな!さっさとあのキモい変態野郎をぶっ倒して元の場所へ帰るのよさ」

マロンがそうであるように、蒔菜にも帰るべき場所がある。

「どうせパパも拉致られてるだろうし、負ける気がしねぇ〜!」

特に根拠のない推測をして一人盛り上がる蒔菜。だがそんな彼女がマロンには暖かく感じられた。

マロンがなんとか自分のデイバックを開けると貼り紙が落ちた。蒔菜はそれを手に取ると彼の名前と迷い犬だということを把握する。

「マロンは必ず飼い主の元へ連れ戻すから、安心するのよ」

マロンを撫で、蒔菜は真剣な眼差しになる。

「私もあの変態に鉛玉ぶち込んで、パパやみんなの元に帰らなきゃ気が済まないと思っていたところなのよさ!」

入巣蒔菜は挫けない。
そんな彼女の後ろを一匹の迷犬が歩く。
今度こそ迷わず、飼い主の元へ戻れるように……と。

【入巣蒔菜@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、迷犬マロンの貼り紙@遊戯王OCG
[思考・状況]基本方針:さっさと変態野郎をぶっ倒してパパやみんなの元に帰るのよさ!
1:マロンのお世話は私に任せるのよさ!
2:パパ(風見雄二)やさっちん(小嶺幸)が居たら合流したいのよ?
[備考]
アニメ版グリザイアの楽園終了後からの参戦。
ランダム支給品のうち1つはなんらかの狙撃銃です

【迷犬マロン@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:飼い主の元へ帰る
1:蒔菜について歩く
2:蒔菜の温もりが好き
3:自分と同じネームプレートの狂犬のNPCはいったい……?
[備考]
遊戯王カードについての知識はありません

【迷犬マロンの貼り紙@遊戯王OCG】
ワンチャン!?のイラストに描かれているマロンを探しているという趣旨の貼り紙。
マロンの名前も記されている

『NPC紹介』 【暗黒の狂犬@遊戯王OCG】
元々は攻1900/守1400のモンスター。
迷犬マロンの成れの果て。暗黒の力により暴走してしまった姿。
ヒエール・ジョコマンの手により性欲が強くなっている


431 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/28(木) 21:50:19 ClmD15ew0
投下終了です


432 : ◆//Muo9c4XE :2021/10/28(木) 23:33:49 F4hk/zdw0
投下します


433 : ケモ夫人外伝 獣狩りの夜 ◆//Muo9c4XE :2021/10/28(木) 23:34:36 F4hk/zdw0

「こ、殺し合いなんて……私、できないわ。ちょうちょしか捕まえた事ないのよ…?」


【ケモ夫人@ケモ夫人】
[状態]:困惑(大)
[装備]:獣狩りの斧@Bloodborne
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:死にたくない
1:殺し合いなんて無理よ…
2:巨人を倒すんじゃないの…?
[備考]
参戦時期は一話で巨人討伐を頼まれた直後

【獣狩りの斧@Bloodborne】
 狩人が獣狩りに用いる、工房の「仕掛け武器」の1つ。
 斧の特性はそのままに、変形により状況対応能力を高めており、重い一撃「重打」と、出血量の高さが特徴となる。
 元がどうあれ、獣は既に人ではない。だがある種の狩人は、処刑の意味で好んで斧を用いたという。


434 : ◆//Muo9c4XE :2021/10/28(木) 23:35:06 F4hk/zdw0
投下終了です


435 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/28(木) 23:53:00 LgKiYzGM0
投下します。


436 : 閃光の――― ◆s5tC4j7VZY :2021/10/28(木) 23:53:27 LgKiYzGM0
閃光ーーーー瞬間的に明るくきらめく光
Oxford Languagesより引用。

第一章 鉄板少女

ここは、性欲と暴力が跋扈することとなった浮遊大陸。
その悪辣な催しに参加させられた一人の少女は肩を震わせながら、大地に降り立った。

「あのヒョロ長男……ッ!ゼッテー許せねぇ……!!」
少女は憤っている。

「あんな幼い子を見るも無残な姿にして見世物みてぇに殺しやがって……ッ!」
自分より幼い子がデスアクメによって殺されたことに。

「そして、それを指咥えて黙って観ていた自分も許せねぇ……ッ!」
それと、男の悪行を止めることもできずに、ただ眺めることしかできなかった自分も許せず―――

―――涙を流す

「……ッ!」
腕で涙を拭うと―――

「テメェの欲望でゲスな企みを開きやがって!お天道さまが許したって、この神楽アカネが許さねぇ!!」
少女はおそらくこの浮遊大陸での性欲混ざる殺し合いを眺めているであろう主催の男に向けて啖呵を切る。

少女の名前は神楽アカネ。
行方を絶ったオヤジを探すために来るまでに移動屋台を営みながら日本全国を練り歩いている鉄板少女。

「さてと……まずは、あたしと同じ志を持つ仲間を探さねぇとな」
必ず自分と同じように主催の男に反抗する参加者がいるはずだとアカネは推測し、探すために歩こうとする。

―――その時

「ゴブゴブゥゥゥゥ!!!!!」
ゴブリン特有の大きな声と同時に―――

―――ガバッ!

「……ッ!?」
アカネに向かって襲い掛かってきた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


437 : 閃光の――― ◆s5tC4j7VZY :2021/10/28(木) 23:53:41 LgKiYzGM0
第二章 ジャイアントオーク

―――ぴちゃ……ちゅ……

「……」
(ちっくしょォォ……)
アカネは悔しい。

乳首を舐められていることにではない。
性欲の塊の怪物になすすべがないことに。

襲い掛かってきた、左目に眼帯をつけたゴブリンこそ、江戸っ子としての持ち前の気の強さと鉄板料理で鍛え上げられた手で撃退することはできた。

しかし―――

ゴブリンとタッグを組んでいた、ジャイアントオークには、流石のアカネも碌な抵抗もできず、組み伏せられてしまった。

そして、服の上着を無理やり破かれると、アカネの若い瑞瑞しい乳房を揉んだり、舐めてきたのだ。

―――ガブッ!

「いたッッ!?」
ジャイアントオークはアカネの薄桃色の乳首を噛みだすと、声を出すまいと耐えていたアカネも声を上げざるをえない。

「女の身体をなんだと思ってやがるッ!」
アカネはジャイアントオークに怒りの声を上げるが―――

―――オークの耳に念仏

―――グググッ……!!!

「なッ!?」
アカネの眼前にそびえ立つとても大きくて太い男根。

「ちょッ!?そんなの入るわむぐぅぅぅ!!??」
眼帯をつけたゴブリンが自分の持ち物であるタオルでアカネの口を塞ぐ。

―――ズル……

そして、アカネのショーパンをずり下し、ジャイアントオークのサポートを行った。

「むぐぅぅぅ―――ッ!!!」
(あたしの処女がこんな怪物に―――)
アカネは逃れられない絶望に瞳を閉じる。

眼帯をつけたゴブリンの卑下た笑み。
そして、蜜壺の位置にジャイアントオークの男根が―――

―――パァン

「……えっ?」
閉じた瞳を開けるとそこには―――

―――眉間に穴が開いているジャイアントオークの顔が

―――ドスン

ジャイアントオークは勃起した状態のまま絶命した。

―――パァン

「ゴ……ゴブゥ!?」
眼帯のゴブリン……鬼ゴブリンは同行者の死に慌てふためき、踵を返して逃げ去ろうとしたが、先ほど同様に一発の銃声と同時に頭に銃弾を喰らい即死した。

☆彡 ☆彡 ☆彡


438 : 閃光の――― ◆s5tC4j7VZY :2021/10/28(木) 23:54:26 LgKiYzGM0
終章 閃光の―――

「ハァ……ハァ……」
貞操を失うところだった―――
アカネは乱れた髪や息を整え、腕で汗を拭う。

「……大丈夫?」
アカネを助けた青年はスーツの上着をアカネの肩にかける。

「あ、ああ……わりぃ。本当に助かった……アンタは?」
アカネは助けてくれた青年にお礼を伝えると同時に名前を訊ねる。

「……」
男は名を名乗るのに何か抵抗でもあったのか、一瞬間を置いたが、やがて口を開く―――

「……僕はノア。ハサウェイ・ノアだ」

それは―――

―――閃光の出会い

【神楽アカネ@鉄板少女アカネ!!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催に落とし前をつけさせる
1:助けてくれたハサウェイと会話する
2:助かった……この恩義はかえさねぇとな
[備考]
※参戦時期は1巻6話後

【ハサウェイ・ノア@閃光のハサウェイ(映画版)】
[状態]:健康
[装備]:Five-seveN@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:とりあえず、この殺し合いを静観しつつ打破する(やむ終えない場合は優勝を狙う)
1:目の前の少女と情報を交換する
[備考]
※参戦時期は映画一部終了直後

『支給品紹介』 【Five-seveN@現実】
ベルギーの会社が開発した自動拳銃。
高い貫通力と多くの弾を装填可能できることが特徴。
ロングマガジンと弾のセットが今回支給品されている。

『NPC紹介』 【鬼ゴブリン@遊戯王OCG】
「立て、立つんだジョー!」とは叫ばない眼帯をつけたゴブリン。声は大きいが、戦闘が主ではないので、普通の一般の女性参加者でも抵抗は可能。ただし、同行者に注意。ちなみに丹下段平ではない。くりかえすが丹下段平ではない。

『NPC紹介』 【ジャイアントオーク@遊戯王OCG】
名は体を表すというように巨漢なオーク。さらにヒエールにより性欲倍増されているため、持ち前の男根は男を知る女性でも狂暴である。ただし、元のカードのためか、性行為を働いている間は守備は全くの無防備となるため、同行者と攻撃できる支給品があれば、対処が可能であるのが救いか。


439 : 閃光の――― ◆s5tC4j7VZY :2021/10/28(木) 23:54:40 LgKiYzGM0
投下終了します。


440 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/29(金) 13:07:36 0DvDEjqo0
投下します


441 : ご注文は聖拳ですか? ◆QUsdteUiKY :2021/10/29(金) 13:09:05 0DvDEjqo0
ご注文はうさぎですか?? Wonderful party!とは、5pbより2016年3月3日に発売されたテレビアニメ『ご注文はうさぎですか??』を題材としたPlayStation Vita用ゲームソフトである。
ニコニコ大百科より引用



「は!?いきなりバトロワなんてふざけんな!」

殺し合いに巻き込まれて参加者は激怒していた
大好きなごちうさのゲームを購入して、家で遊んでたら突如強烈な睡魔に襲われ、眠ってしまった。
そして起きたらこんな事になっていたのだから、激怒するのも無理がない。

しかし声を発した参加者はその後、怒り以上に困惑の感情が湧き出してくる。

「あれ、どうしてココアちゃんの声が……?」

自分の声の代わりにごちうさのキャラの声が聞こえて困惑を隠せない。
しかも何故かココアは自分の言いたいことを1字1句違わず、そのまま声に出しているのだ。

「幻聴でも聞こえてるのかな?俺」

なにがなんだかわからず、幻聴でも聞こえてるのかと思えてくる。
今までバカにしていたが、アルミホイルでも巻いた方がいいのかな?
そんな意味不明なことを考え、近くに水溜りがあることに気付く。

「ダンジョンだからこんな場所にも水溜まりが出来るのかな……?」

ゆっくりと水溜まりを見ると、そこには……


(`0言0́*)<ヴェアアアアアアアア!


衝撃の事実を知ってしまい、参加者は絶叫した。
水溜まりに映っているのは、いつもの見慣れた顔ではなく自分の好きな美少女キャラの姿。というかどう見てもココアだ。

つまりこの男はごちうさのゲームを購入してプレイした後、いつの間にかココアになっていたということになる。

「今明かされる衝撃の真実ゥ!……じゃないよ!!」

なにがなんだかわからず、困惑するあまり自分で自分を突っ込んでしまった。
デイバックを開けば嫌がらせみたいに「このゲームは君がココア君になって友人達と仲良く日々を過ごすゲームだ」というごちうさのゲームの有名な広告を印刷された紙が出てきた。

ご丁寧にも支給品扱いではないらしいのだが、何かもう嫌がらせ以外のなんでもないとココアにされた参加者には思えてしまう。

「とりあえず、あの人のせいで俺は今こんな姿になってるんだね!」

わざわざこんな紙まで入れるのだから、主催が彼をココアに変えたのはほぼ間違いないだろう。
そもそもこの水溜まり自体がダンジョンという性質が生み出した偶然か、或いは主催が真実を突き付けるために用意したものなのか。それすらもわからない。

以降、ココアにされた彼のことは「ココア君」と表記する。

「いきなりバトロワに巻き込んで、こんな事するなんて酷いよ。絶対に許さないからね!」

……口ではそんなことを言いながら、ココア君は少しニヤけていた。
別に今まで女装趣味やそういう願望があったわけじゃない。

だが好きなキャラになるというのは、意外と悪くない気分だった。
自分がココアになった理屈はわからないが、きっといつか元に戻れるだろう。正直そんな楽観的な考えもある。

この時のココア君はここがエロトラップダンジョンだということを完全に失念していた―――


442 : ご注文は聖拳ですか? ◆QUsdteUiKY :2021/10/29(金) 13:09:49 0DvDEjqo0

「とりあえず支給品を確認しなきゃね!」

支給品。デスゲームモノでありがちな用語だから、ココア君はそれがどれだけ大事なものか理解している。
ちなみにココア君的に銃が大当たりだと思っている。現実に住んでいたから、魔法の杖とか変身道具とか、そういう類のモノが存在するとは思いもしない。

―――ヌメり

「ひゃあ!?」

何かがココア君の肌を触った。
ネバネバとした気持ち悪い感触は、生理的な嫌悪感すらある。

ココア君が正体を確かめると、それは小さなスライムだった。
謎の装置から小さなスライムが次々と生み出されていく。

「うわああああ!こんなのどうしようもないよー!!」

ココア君は急いでその場から逃げようとするが、もう遅い。
スライムが全体にまとわりつき、彼の体を弄ぶ。
ココアの胸を、尻を、脚を……ありとあらゆる箇所を責め立てる。

「ひぅっ……」

今まで経験したこともない快感にココア君が嬌声をあげる。
意識しているわけではなく、むしろこんな声は出したくないのに自然と出てしまう。

(ココアちゃんの体を意味不明なスライムに辱められるなんて嫌だよ……っ!)

ココア君は抵抗しようと手足をバタバタさせるが、無数のスライムが張り付いて押し倒し、手足を拘束。抵抗する手段すらも封じられた。

そしてスライム達はココア君のパンツへ強引に潜り込もうとし―――

「あっ、おい待てぃ(江戸っ子)」

助太刀に現れた坊主頭の男の拳が、スライムを粉砕した。

「女の子に暴力はダメだゾ」

突然やってきた男をスライム達が一斉に睨み付ける。
スライムを一撃で粉砕した坊主頭の男は、彼らにとって危険人物だ。

まずは坊主頭を早急に始末してその後にゆっくりココア君を犯す。急ぐ必要はない。
スライム達は一斉に坊主頭に襲い掛かった。


443 : ご注文は聖拳ですか? ◆QUsdteUiKY :2021/10/29(金) 13:10:39 0DvDEjqo0

「(空手の極意)見たけりゃ見せてやるよ」

坊主頭の正拳突きが、スライム達を瞬く間に粉砕していく。
パンッ!と響き渡る衝撃波がスライム達を消し飛ばしていく。

「これが空手の基本にして極意。
────聖拳『月』だゾ」

彼がその言葉を口にする頃には、既にスライム達が全滅していた。
一体一体は弱いとはいえ、普通の人間には対処が難しい。しかし彼はそれをたった一人で為したのだ。

あまりにも圧倒的。
彼からは武人のような雰囲気すらも感じる。

「すごい……。空手ってこんなことが出来るんだね!」

目をキラキラと輝かせるココア君に坊主頭の男はニッコリと微笑み、力強く返事をした。

「当たり前だよなぁ?」



はだけた服をちゃんと着直して、ココア君は坊主頭の男と自己紹介や情報交換をしていた。
坊主の男の名はMUR。ココア君はどこかで聞いた名前だと引っ掛かったが、思い出すことが出来ない。

ちなみにMURもMURという名前しか思い出せず、しかも何故かローマ字表記しかわからないらしい。
まるで頭おかしい池沼の言い訳みたいだが、ココア君はMURを信じることにした。

大きな理由としてMURが自分を助けてくれた恩人というのもあるが、もう一つ理由は存在する。
ココア君も自分の名前を思い出せないのだ。
思い出そうとしてもココア君という文字しか頭に浮かばない。

つまりMURと似たような状態になっている。
ココア君が正直に話すとMURは彼を疑うことなく信用してくれた。

MURには野獣とKMRという二人の後輩やAKYSという頼れる師匠。そしてポッチャマというペットがいる。

どれも意味不明な名前で特に野獣なんて人名ですらないが、ココア君は自分やMURの名前の件があるのですんなりと受け入れた。
ちなみに全て聞いたことあるような名前だが、どういうわけか思い出せない。

ココア君は自分の身に起こった災難を話したらMURは元々が男だということも含め一切疑うことなく同情してくれた。
普段から後輩二人の世話をしているだけあって面倒見が良いらしい。


444 : ご注文は聖拳ですか? ◆QUsdteUiKY :2021/10/29(金) 13:11:16 0DvDEjqo0

「ココアライオン」
「えっ……(困惑)MURさん、急にどうしたの!?」
「そんな動物が何かに居たことを思い出しただけだゾ」

たまにこういう意味不明なことを言うから池沼に見えることもあるが、根は面倒見の良い優しい先輩である。
まあこういう愛嬌のある部分を含めて後輩から慕われているのだろう。

とりあえず一通り情報交換するとMURは移動することを提案してきた。

「あの機械、絶対また動くゾ」

スライムが次々と生み出されていた機械を指さしてMURが話す。
ココア君は心配のしすぎじゃないかと思ったが、先程のトラウマが脳裏を過りすぐに移動することに決めた。


二人が去った後、暫くして機械が再び動き始める。
MURの判断は何も間違っていなかった。
いきなり池沼みたいなことを言い出すかと思えば、唐突に知将のように的を得た発言をすることもある。それがMURという不思議な男である。

そしてココア君は何も気付いていないが、彼の言葉遣いが徐々にココアっぽくなっている。
まだ一人称などは保っているが、話し方が少しずつココアのようになってきている。

彼がココアになったというのは、なにも声や見た目だけじゃない。
ココア君は無意識のうちにココアに侵食されているのだ。まるで呪いのように……。

【ココア君@このゲームは君がココア君になって友人達と仲良く日々を過ごすゲームだ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:帰りたい
1:MURさんについていくよ!
2:もうレイプされたくない
[備考]
メタ知識が制限されています。参戦作品に関しては、現状では「何となく名前に見覚えがある気がする」程度しか分かりません。
自分の名前が「ココア君」としか思い出せないです
徐々に人格が侵食され、ココアに近付いてしまいます。現段階では言葉遣いがココアっぽくなっています。一人称などはまだ変わっていません
もしかしたら侵食を食い止める方法があるかもしれません

【MUR@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:打倒主催。当たり前だよなぁ?
1:ココア君を守るゾ
2:野獣達仲間と合流したいゾ〜
[備考]
自分の名前が「MUR」というローマ字表記でしか思い出せないです

『エロトラップ紹介』 【スライム増殖炉@遊戯王OCG】
この装置が置いてあるエリアに誰かが踏み込んだ瞬間に作動する。小さなスライムを次々と生み出して性的に襲う。
ただし一度に生み出せる数には上限があり、全て破壊されると一定時間は機能が停止する。スライムは数こそ多いが一体一体は弱い


445 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/29(金) 13:11:58 0DvDEjqo0
投下終了です


446 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/29(金) 19:00:02 HKhxUab.0
三本連続で投下します


447 : メイドさんと一家の父 ◆7PJBZrstcc :2021/10/29(金) 19:00:47 HKhxUab.0
 殺しあうために用意された天空の島。
 そこにある森の中に、男が一人立っている。
 彼の名は野原ひろし。埼玉県春日部市に住むサラリーマンだ。
 そんな彼の顔に浮かんでいたものは、驚愕と怒りだった。
 この顔は突如始まった殺し合いについてだろうか? それもある。
 だがそれ以上に――

「間違いない。あいつ、雲黒斎だ……」

 ひろしは、主催者のことを知っていたからだ。

 雲黒斎とは、ヒエール・ジョコマンがかつて名乗っていた名前だ。
 彼は元々30世紀の住人だったが、戦国時代にタイムスリップし、歴史を改変する時間犯罪者となっていた。
 そいつを捕らえるべく、タイムパトロールであるリング・スノーストームが追っていたが、その過程でひろしとその家族に接触。
 そのまま流れでヒエールを捕らえるべく、戦国時代に転移。
 途中、彼と妻のみさえはヒエールの手先にビー玉に変えられるも、息子のしんのすけとリング、そして現地で出会った吹雪丸のおかげで一度は退ける。

 そして現代に戻ると、いつの間にか同じ時代にやってきていたヒエールが日本を支配していた。
 しかし再びしんのすけとリング、そして家族の絆でヒエールを倒し、そこで野原家とヒエールの戦いは幕を下ろした。

 それからしばらく、野原家に新しい家族である娘のひまわりが産まれてから、ひろしはこの殺し合いに呼ばれたのだ。

 ひろしは怒っていた。
 理由は殺し合いのこともあるが、それ以上に最初の場で見せた、見せしめの少女についてだ。
 別に、あの少女がひろしの娘というわけでは無い。血のつながりはもとより、国籍すら違う縁もゆかりもない相手だ。それでもだ。

 ひろしには、前述の通りひまわりという娘がいる。
 そのことを分かっているのかは不明だが、もし知ってて娘を持つ親にあの壮絶な死を見せたのなら、絶対に許せない。
 加えて、彼はヒエールに恨まれていると思っている。
 誰がどう見ても、ともすればヒエール自身ですら逆恨みだと分かっていても、復讐を企むかもしれない。彼はそういう男だ。
 それを踏まえて、ひろしはこう思ってしまった。

 だとしたら、あの子が死んだのは俺達のせいかもしれない。

「くそっ!!」

 ひろしは苛立ちの余り、思わず手近の木に拳を叩きつけてしまった。
 すると、音を聞きつけたのか元々近くにいたのか、どこからともなく十匹ほどのゴブリンが現れた。
 群れは各々武器を構えながら、ニタニタとひろしを見下す。
 見下されている方もやられてたまるか、とばかりにデイバッグから木刀を引き出すも、多勢に無勢。
 ひろしに、十匹のゴブリンと対峙して勝ち残るほどの力はないのだから。

 しかし、そんな彼に天の助けが舞い降りた。

「はあっ!!」

 なんと、いきなり現れた銀髪の少女が、持っている武器を振るいゴブリンの一匹を切り伏せたのだ。
 突如始まる戦闘にに、ひろしは驚愕する。
 少女が強いことにではなく、少女が振り回す武器に対して。
 それは身の丈はあろうかというほどの大剣だったのだ。

 ひろしが驚愕している間に、気づけば全てのゴブリンは等しく倒され、戦闘は終わっていた。

「ご無事ですか!?」

 少女はひろしの安全を確認するが、彼にその声は届かない。
 なぜならば、彼の眼前には先程よりも大きな衝撃を与えるものが映っているからだ。

 それは胸というにはあまりにも大きすぎた。
 大きく、
 丸く、
 エロく、
 そして整いすぎた。
 それはまさに爆乳だった。

「デカすぎんだろ……」

 様々な感情が一瞬の間に入り混じった末、剣の感想なのか胸の感想なのか分からない言葉を零してしまうひろし。

「?」

 そんなひろしの言葉に、少女はただ首をかしげるのだった。


448 : メイドさんと一家の父 ◆7PJBZrstcc :2021/10/29(金) 19:01:15 HKhxUab.0





「初めまして。アズールレーン、ロイヤルメイド隊所属、軽巡シリアスと申します」
「双葉商事第一営業部係長、野原ひろしだ」

 そうしてひとまず波乱が収まったところで、二人は自己紹介をして、情報交換を始めた。
 そこで二人は、互いに別世界の住人であることを知った。

 ひろしの世界は、時に大騒動が起こることもあるが、基本的には脅威のない平和な世界だ。
 対し、シリアスの世界は脅威にさらされていた。

 セイレーン。それは、シリアスの世界に突如現れた、人類に敵対する謎の存在。
 それに対抗するために生まれたのが、KAN-SENである。

 KAN-SEN。
 正式名称はKinetic Artifactual Navy - Self-regulative En-lore Nodeであり、人の姿をした艦船である。
 そして、シリアスのこのうちの一人なのだ。

「ほぉ〜……」

 シリアスが人間ではないことには驚くひろしだったが、別世界について事態には驚いていなかった。
 彼は過去に平行世界への転移を経験しているので、そういう物もあると理解していた。
 対してシリアスも、別の世界に転移したことはないが、別世界から転移してきた存在は知っているので、こちらも驚きはしなかった。
 代わりに驚愕したのは別のことだ。

「あの男の人と戦ったことがあるのですか!?」
「ああ」

 ひろしは雲黒斎に関する全てを話した。
 30世紀からやって来た時間犯罪者であること。かつて自分達一家が戦い、彼の野望を挫いたこと。
 そして、この殺し合いがもしかしたら自分達への復讐のために行われているかもしれないこと。
 特に、最後の部分は、そのせいで見も知らぬ少女が死んだこともあってか、悲痛な面持ちで話していた。

 それに対し、シリアスは言葉を選びながらも真剣にこう返した。

「卑しいメイドのシリアスでは、その雲黒斎が何を考えているのかは分かりません。
 ですが少なくとも、ひろし様に責任はないと愚考します」

 必死に慰めの言葉をかけるシリアス。
 彼女がなぜここまで言葉を紡ぐのかというと、KAN-SENとしての責務もあるがそれ以上に、彼女はひろしに対しどこか指揮官と似たようなものを感じていた。

 指揮官とは、KAN-SENを指揮する人物。
 シリアスにとっては上司であり、彼女はその人を誇らしきご主人様と称し慕っていた。

 無論、ひろしと指揮官は年齢、立場などあらゆるものがまるで違う。
 しかしどこか重なるものがあった故に、シリアスはここまで優しいのだ。

「……ありがとうな」

 そんなことは露知らず、ひろしはシリアスに対し素直な感謝を口にする。
 そして決意した。

 もしこの殺し合いに自分以外の家族が巻き込まれているなら、絶対に守ると。
 そうでなくとも、雲黒斎をぶっ飛ばすと。


 こうして、二人にとっての殺し合いが幕を開ける。
 その先にあるのは光か闇か、はたまた恥辱か。


【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:雲黒斎(ヒエール)をぶっ飛ばす
1:森から脱出する
2:他の人を探す。しんのすけ達がいるなら優先して探す
[備考]
参戦時期は雲黒斎の野望終了以降。ひまわりは産まれています

【シリアス@アズールレーン】
[状態]:健康
[装備]:ダイゴロン刀@ゼルダの伝説 時のオカリナ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:雲黒斎(ヒエール)を打倒し、誇らしきご主人様の元へ帰還する
1:ひろし様と行動する
2:もし誇らしきご主人様や他のKAN-SENの方々がこの殺し合いに参加しているのであれば、捜索する


【洞爺湖@銀魂】
野原ひろしに支給。
銀魂の主人公、坂田銀時が所有する木刀。持ち手に洞爺湖と彫られている。
真剣と鍔迫り合いをしたり、人体を貫通させるほどの強度がある。
実は名刀『星砕』という名前で売られており、通販で購入可能。

【ダイゴロン刀@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
シリアスに支給。
ゴロン族一の巨体を誇るダイゴロンが製作した剣。
攻撃範囲、威力共に優れた両手剣。


449 : 剣士(セイバー)二人 ◆7PJBZrstcc :2021/10/29(金) 19:01:52 HKhxUab.0
 聖杯戦争、と呼ばれる儀式がある。
 それは、いくつかの世界で行われている魔術儀式だ。
 これを勝ち抜いた者は、魔術師としての栄誉と共に、願望器である聖杯が手に入る。

 聖杯戦争には、ある大きな特徴がある。
 それは英霊と呼ばれる存在を、クラスに押し込めた従者として召喚し、従えて戦うというものだ。
 発祥の世界では冬木という地方都市で行われる聖杯戦争のみの特徴だったが、他の世界ではそうでもなくなり、どこであろうとこの方式が採用されている。

 その儀式、それも冬木で行われている第五次聖杯戦争のサーヴァントが、この殺し合いに呼ばれていた。
 クラスは剣士であるセイバー。名前はアーサー王こと、アルトリア・ペンドラゴン。
 世間では男と伝えられているアーサー王は、とある世界では女性だったのだ。
 そんな彼女がこの会場に降り立った際の第一声は、こんな呟きだった。

「イリヤスフィール……?」

 イリヤスフィール(以下、イリヤと称す)とは、アルトリアの知人である。
 正確に言えば、知人というには少々複雑な関係ではあるが、それらの小史はこの殺し合いに彼女の知るイリヤがいるか分からない以上、ここでは省略する。

 ともかく、そのイリヤをアルトリアは目撃した。殺し合いの開始を告げたあの場所で。
 否、あれはイリヤではなく別人だ。それはアルトリアにも分かっている。
 肌の色も振る舞いも、彼女の知るイリヤとは違いすぎる。
 だがあの少女はあまりにもアルトリアの知己に似ていた。これに関しても小史あるが、知る方法は今の彼女にはない。
 とにかく、それが彼女の思考を殺し合いから逸らさせようとする。

「いえ、今はそれを考えている時ではありません」

 しかし、アルトリアはそれを無理矢理呑み込んだ。
 心の一部には疑問を残しつつも、彼女は思考を殺し合いへと移した。

 アルトリアとしては、この殺し合いには断固として否を唱える。
 英雄として、騎士として。そして人間として、こんなものを認める訳にはいかない。
 エロトラップの意味は知識にないが、最初の場で見たものから推測するに、女性を性的に辱めるものといったところか。
 そして最初の場にいた、名前も名乗らなかった主催者の男の言動からして、それを他の場所にいる誰かに向けて見世物にしているのだろう。
 騎士同士の決闘ならまだしも、何の罪もないものを苦しめて見世物にするなど、彼女は見過ごせない。
 だからこそ行動に移そうとするが、阻むものがある。

「やはり、まずはこの首輪をどうにかしなければ」

 それはアルトリアのみならず、全ての参加者に等しく装着された首輪だ。
 これをどうにかしない限り、主催者に手など届かない。
 サーヴァントには本来、ナノマシンなど通じない筈だが、こうしてつけられている以上何らかの方法で効果を通すはずだ。
 だが彼女は、それに対して有効な手段を持ち合わせていない。

「猪突猛進! 猪突猛進!」

 すると向こうから、誰かが一人でアルトリアに向けて走ってきた。
 体格と声色から少年だと分かるが、頭はなぜか人間のものではなく、猪だった。
 彼女は一瞬魔獣の類かと思ってしまうが、気配ですぐに人間だと察知する。
 なぜそんな被り物をしているのか、と思わなくもなかったが、今はそれより気にすることがある。

 それはすなわち、目の前の少年が殺し合いに乗っているかどうか。
 首輪を自力で外せない以上、他の参加者との接触は必須。
 そして万が一相手が殺し合いに乗っていても、セイバーたるアルトリアならば、よほどの敵でもない限りどうにでもなる。
 その為の武器は、既に彼女の手に収まっていた。


450 : 剣士(セイバー)二人 ◆7PJBZrstcc :2021/10/29(金) 19:02:15 HKhxUab.0





 獣の皮を被り、刃が抉れた刀を二本差す彼の名前は嘴平伊之助。
 鬼舞辻無惨率いる鬼を倒すための組織、鬼殺隊の一員だ。
 彼はこの殺し合いを、鬼によるものだと考えていた。

 伊之助からすれば、いつの間にか全然違う場所に人を呼び出せる存在など、血鬼術を使う鬼しかいない。
 そして相手が鬼ならば、倒すのは鬼殺隊である自分の役目だ。
 しかし、この首輪をどうにかしないと問答無用で死ぬ、ということも理解していた。

「猪突猛進! 猪突猛進!」

 なので、伊之助はとりあえず他の鬼殺隊の面々を探すことにした。
 この殺し合いに来る前、彼は鬼殺隊主導の稽古の場にいた。
 そしてあの稽古には、実力の頂点である柱を筆頭に数多の鬼殺隊がいた。
 その中にはこの首輪をどうにかできる奴もいるんじゃねえか、と考えた。

 そうして走っていると、目の前に少女が現れた。
 鬼殺隊ではないことは一目瞭然だったが、同時に伊之助は理解した。
 目の前の少女、アルトリアが自身より遥か格上の実力者だということを。

 伊之助には学がない。識字率98%の大正時代において字が読めないほどだ。
 そうでなくても、大正時代の人間がアーサー王の名前など知るわけもない。
 しかし頭が悪いわけでは無く、勘も良い。
 故に、目の前の相手が鬼でないことも、実力者であることも理解している。

 その上で、伊之助がとった行動とは――


【アルトリア・ペンドラゴン@Fate/Stay night】
[状態]:健康、困惑(小)
[装備]:マスターソード@ゼルダの伝説シリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主催者を倒し、殺し合いを破綻させる
1:目の前の相手(伊之助)と話す
2:首輪を外す為、他の参加者を探す
3:イリヤスフィール……?
[備考]
参戦時期は当選した場合、次の人にお任せします。

【嘴平伊之助@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:あの鬼(ヒエール)を倒す
1:こいつ(アルトリア)、とんでもなく強え……
2:他の鬼殺隊の面々を探す
[備考]
参戦時期は柱稽古に参加している期間のどこかです。
主催者は鬼で、この殺し合いは血鬼術で起こしたと思っています。


【マスターソード@ゼルダの伝説シリーズ】
アルトリア・ペンドラゴンに支給。
ハイラルに伝わる、伝説の勇者のみが使いこなせると言われる剣。
本ロワでは振るうだけなら誰にでもできるが、真の力は勇者でなければ引き出すことはできない。

【嘴平伊之助の日輪刀@鬼滅の刃】
嘴平伊之助に支給。
伊之助が普段使いしている日輪刀。二本で一セット。
刀鍛冶が打った刀を、伊之助が石で刃を尖らせている。


451 : 熱き決闘者 ◆7PJBZrstcc :2021/10/29(金) 19:02:44 HKhxUab.0
 決闘者(デュエリスト)と呼ばれる者達がいる。
 マジック&ウィザーズ、デュエルモンスターズ。あるいは、遊戯王カードで決闘(デュエル)する者のことだ。

 決闘者にとって、決闘の意味は様々だ。
 ただの趣味。金銭を得るための手段。栄光への切り札。
 世界の命運を委ねるもの。人と人との絆を紡ぐもの、など。

 そしてこの殺し合いの会場にある、街のビルの屋上にも一人、決闘者の参加者がいる。
 目元が見えなくなるほど深々と被った赤い帽子に、同じく赤のジャケットが特徴的な男だ。
 彼の名前はコナミ。

 彼にとって決闘とは、全てだ。
 決闘ができるのなら何でもする。
 友と呼んでくれた相手を裏切ろうとも、世界を滅ぼす存在に与しようとも何も感じない。
 それほどまでに、彼にとって決闘は重いのだ。

 そんなコナミは今――

「……!」

 支給された双眼鏡を覗き込みながら、憤っていた。

 別に、殺し合いに巻き込まれたことに関して憤っているわけでは無い。
 コナミにとって主催者の誘拐も、殺し合いの宣誓も、褐色少女の壮絶な死も何も感じさせない。
 彼の心には小波も立たない。
 だが決闘の果てならともかく、こんな決闘と何の関係もない殺し合いで死ぬのは御免なので、彼は双眼鏡で殺し合いに乗っていなさそうな参加者を探し、合流しようと考えた。
 そして見た。

 デュエルモンスターズのモンスターカードであるゴブリンシリーズが具現化し、見知らぬ女性参加者に対し陰茎を膨らませながら襲い掛かる姿を。

 別に、カードのモンスターが具現化したことに思うことはない。そんなことはよくある。
 モンスターが参加者を襲うことも別にいい。怪物なのだ、そういうこともあるだろう。
 だがデュエルモンスターズのモンスターが人間に性欲を抱くわけがない。

 ならば答えは一つ。主催者が何か弄ったのだ。

 カードの書き換え位ならいい。よくある話だ。
 無からカードが生まれることすらあるのだ。気にもならない。
 しかしカードを決闘と関係ない、それも下らないことに使われ、汚されるのは決闘者として我慢ならない。
 だからコナミは決めた。必ずこの殺し合いを破綻させ、主催者を倒すと。

 そう決めた彼は双眼鏡をしまい、代わりにデュエルディスクとデッキを取り出し、腕に装着する。
 これらは両方とも彼の物ではないので、使うことに躊躇いもあるが、そんなことを言っている場合ではない。
 後で必ず持ち主に返すと心に決め、彼はビルを下るべく階段へ向かう。

 ゴブリンに襲われている参加者に、興味を示すこともなく。


【コナミ@遊戯王タッグフォースシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:榊遊矢のデッキ&デュエルディスク@遊戯王ARC-V
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1、双眼鏡@現実
[思考・状況]基本方針:主催者を倒す
1:他の参加者を探す
2:もし参加者に榊遊矢がいたら、デッキとデュエルディスクを返す
[備考]
詳しい出展、参戦時期は当選したら次の書き手氏にお任せします。


【双眼鏡@現実】
コナミに支給。
遠くまでよく見える、普通の望遠鏡。

【榊遊矢のデッキ@遊戯王ARC-V】
コナミに支給。
主にEMのカードを採用しているエンタメデッキ。切り札はオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン。

【榊遊矢のデュエルディスク@遊戯王ARC-V】
コナミに支給。
質量を持った立体映像、リアルソリットビジョンシステムを利用したもの。
これによりモンスターを具現化させ、実体のあるものとして扱える。リアルファイトも可能。
また通話やネットツール、リアルソリットビジョンの部分を武器としても使用可能。ただし前二つは制限されている可能性もある。
上記のデッキと合わせて1つの支給品として扱われる。


452 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/29(金) 19:03:14 HKhxUab.0
投下終了です


453 : ◆.EKyuDaHEo :2021/10/29(金) 19:45:53 NcoxWmSM0
投下します


454 : 30世紀のタイムパトローラー ◆.EKyuDaHEo :2021/10/29(金) 19:46:15 NcoxWmSM0
「ヒエール・ジョコマン...何故あなたが...!?」

殺し合いの場の中、一人の女性は主催者に対して驚きを露にしていた
彼女の名前は『リング・スノー・ストーム』。30世紀の時間管理局亜細亜支部タイムパトロール隊員である。
実を言うと彼女は時空犯罪の取り締まりに当たっており、ヒエール・ジョコマンは確執的歴史マニアな30世紀の未来人であり、時間軸移動や時の流れを自在に操作して歴史を改変する時間犯罪者である。
戦国時代や現代で好き勝手していたヒエールだがとある家族、『野原一家』が協力してくれたおかげでヒエールを倒すことができた...はずがヒエールは何故か生きていた

「それに人々に殺し合いをさせるなんて...あなたは一体どこまで人を貶めれば気が済むんですか...!」

もし例え生き返ったのだとしても時間犯罪を犯したことを反省するどころか関係のない人々を巻き込み殺し合いをさせていることにリングはさらに怒りを露にしていた

「助けてあげられなくてごめんなさい...あなたの仇...必ず晴らして見せます...!」

リングはヒエールによって見せしめとして殺された少女に対し手を合わせ一礼した
何の関係もないのに突然行われた殺し合いの見せしめとして殺された少女には謝っても謝りきれない気持ちだ...しかし、いつまでも立ち止まっていてはヒエールの思うつぼになってしまう、彼女に対しできることはヒエールの野望を打ち砕くことだとリングは考えた

「しかし、ヒエールが主導として動いているということは...恐らく野原さん達も...」

ヒエールが主導として動いているということは復讐として野原一家も関わっているかもしれないとリングは考えた

「一刻も早く野原さん達を探さなければ...!ヒエール・ジョコマン!!あなたの思い通りにはさせません!!必ずあなたの野望を打ち砕いて見せます!!」

彼女は野原一家を探すとともにヒエールに対して強い意志を表した...
そして彼女はパワードスーツの『ニャオンスーツ』を着用し行動を始めた...


【リング・スノー・ストーム@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:ニャオンスーツ@クレヨンしんちゃん
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:ヒエールの野望を打ち砕く
1:野原さん達が巻き込まれている可能性が高いので探す
2:あなたの思い通りにはさせません...!!
3:出来れば協力してくれる人も探す

【支給品】
【ニャオンスーツ@クレヨンしんちゃん】
リング・スノー・ストームに支給。
リング・スノー・ストームが所持しているパワードスーツの一つ、本来なら通常の20倍の速度で動けるがヒエールによって5倍の速度までしか動けない。


455 : ◆.EKyuDaHEo :2021/10/29(金) 19:46:43 NcoxWmSM0
投下終了します


456 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/29(金) 22:12:00 rEnOrby60
投下します。


457 : 性罠ノ章『天使トノ邂逅』 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/29(金) 22:13:41 rEnOrby60
注意!本SSは性に関する単語や表現が使われています。
それらの表現に嫌悪や不快を感じる方は読むのは控えて下さい。


458 : 性罠ノ章『天使トノ邂逅』 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/29(金) 22:14:03 rEnOrby60
クールーーーーー冷静なさま。冷ややかなさま。
goo辞書より引用。

第一章 狙われた菊門

「あ〜、男性の方々も油断しないでくれない? 多分女体化トラップとかもあるし、なんならNPCに男色連中もいるかも知れないよ」

(……あの男の話から導き出されるのはオレの……冗談じゃない)
主催の男の言葉に冷や汗を流す男子中学生。

名は弓田信哉。
新御門学園の学園長を務める神宮ソラとその執事である神宮優吾の養子として引き取られた。

男による悪趣味なデモンストレーションが終わり、参加者の一人として選ばれた信哉は性と暴力が支配している浮遊大陸へ降りたった。
その直後にゴブリン暗殺部隊に不幸にも狙われてしまった。

信哉は自身の菊門が狙われていることに直ぐに結論づけ、対処するべく思装しようとする。

―――が

手裏剣が四方八方に信哉に向かって放たれた。

「……ッ!」
信哉はそれをなんとか紙一重で避けきる。

―――が
手裏剣を避けることに全集中したため、思装を発動するのが遅れてしまった―――

―――ガシィィィ!!!

「……やば!?」
(コイツら……本当にオレのを……ッ!?)
ゴブリン暗殺部隊はその隙に信哉を四つん這いに組み伏せるとまだ閉じられている菊門を狙おうとする。

そのとき―――

「チョット!アンタたち!!止めなさい!!!」
大きな諫める声が鳴り響く。

「ゴブッ!?」
女の制止の声にゴブリン達は攻撃を止め、その方角に顔を向ける。

そこには―――

女が毅然として立っていた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


459 : 性罠ノ章『天使トノ邂逅』 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/29(金) 22:14:19 rEnOrby60
「ゴブ……」
ゴブリン達は女の身体の品定めをする―――

黒いショーパンからニョキと見える健康的なふともも。
そして、キュッと引き締まった見小尻。
柔らかい瑞瑞しい唇。
なまいきに見える顔たちだが、そこがまたいい。

―――合格だ。

ゴブリン暗殺部隊の一物はギンギンと反り立つ。
故に標的変更。

信哉の菊門から女の蜜壺を犯すため、方向転換して取り囲もうと女へ走り出す。
女は自分が狙われているという状況にもかかわらず、気の強い表情を変えずベルトの左に装備されているテンソウダ―を片手に構えると―――

―――シャキン!! ガッチャ!
口に相当する部分を引き出し―――

「チャンジカード!」

女はもう片方の手でカードを構えると”天装”という言葉と同時に引き出した場所にセットする。
そして、手を大きく旋回させると開いた口を閉じると―――

テンソウダ―が光る。

そして―――

チェンジ!ゴセイジャー!
音声が流れ―――

頭上から降り注ぐ光が女の身体を包み込み―――
サーベルタイガーの姿をしたオーラが頭を包み込むとヘルメットを装着。
手をクロスすると、名乗りを上げた。

芽萌(めぐみ)のランディックパワー ゴセイイエロー!

女の正体―――

それは―――

星を護る天使―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


460 : 性罠ノ章『天使トノ邂逅』 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/29(金) 22:14:49 rEnOrby60
第二章 ランディック!!!

「ゴブッ!」「ゴブブッ!!」「ゴブッゴブブ!!!」
ゴセイイエローの名乗りにゴブリン達は連携をとる合図を送る。

―――ズザザザザッ!!!

巧みな連携はあっという間にゴセイイエローを取り囲む。

「ゴブ―――ッ!!!」

―――ザザザザザッ!!!!!

まずは、弱らせてから美味しくいただく。
一斉に放たれた四方八方の手裏剣がゴセイイエローへと放たれる。

「ランディッククロ―!」
ゴセイイエローは叫びカードをセットすると―――

「はっ!やぁあ!」
ゴセイイエローは腕に装着した鉤爪”ランディッククロ―”で難なく手裏剣をはじき落とす。

「ゴブッ!?……ゴブ」
全ての手裏剣をはじき落とされ、ゴブリン達は一瞬驚愕するが、すぐに冷静に静めると、忍者刀や手甲鉤といったそれぞれの獲物を構えだす。

「ふん!来なさい!!みんな返り討ちにしてあげるわッ!!!」
手をクイクイと挑発するゴセイイエロー。

―――ギリッ!!!

「ゴブ―――ッ!!!」
雌にコケにされ、怒りで我を忘れたゴブリン達は一斉に襲い掛かる。

「ランディックダッシュ!」
なんと、ゴブリン達の攻撃を受けても、ものともせずスーパーダッシュをしてゴブリン暗殺部隊一人ひとりをランディッククロ―で切裂く。

勇猛果敢な滾る力を持つ”ランディック族”だからできる芸当。

「ゴブゥゥゥ!?」「ゴ……ブ……」「ゴパァァアアア!?」
こうして、信哉の菊門を襲おうとしていたゴブリン暗殺部隊は全滅した―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


461 : 性罠ノ章『天使トノ邂逅』 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/29(金) 22:17:01 rEnOrby60
終章 気の強い天使とクールな人間

―――ドサッ!……ドササッ!!
ゴブリン達を無事、仕留めたことを確認終えると―――

―――カッ!

「よし!護星天使の力にかかればこんなものよ!」
ゴセイイエローの変身を解くと、女……モネはどんなものよ!といわんばかりにガッツポーズをした。

「……」
信哉は先ほどの戦闘を黙って見届けていた。

「ねぇ、大丈夫!?怪我はしてない?」
モネは護るべき対象が無事か駆け寄る。

―――が

「ねぇ、あんたって本当に天使なの?」
信哉はモネに質問する。

「……本当は秘密なんだけど、この状況じゃ、しかたないか……ええ。貴方達人間と地球(ほし)を護る護星天使!それが私よ」
モネは誇らしげに自分の使命を信哉に示す。

「……」
モネの言葉を聞いた信哉は無言でスタスタと歩き―――

「ちょ……ちょっと、何か反応ぐらしだしなさいよ」
モネは何も反応を見せない信哉に不満気にいうと―――

「……オレは、あんたみたいな自己中心的な人は嫌いなんだ」
信哉はそういうと、モネの横を通り過ぎてスタスタと歩き始めた。

「な、なによ!可愛くないわね〜!それに私は人じゃなくて護星天使よ!」
信哉の態度にモネは顔を真っ赤にして怒りながら信哉の跡を追いかける。

星を護る天使は人間を見捨てない。

たとえ、それは天使のエゴだとしても―――

―――それが、ゴセイジャーなのだ

【モネ@天装戦隊ゴセイジャー】
[状態]:健康
[装備]:テンソウダ―@天装戦隊ゴセイジャー ゴセイカード@天装戦隊ゴセイジャー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:護星天使としてあの男の人の企みを阻止する
1:信哉と行動を共にする
2:何よ!クールぶる子供ね!
[備考]
※参戦時期は帰ってきたゴセイジャー後
※制限によりスーパーゴセイジャーには現状変身不可

『支給品紹介』 【テンソウダ―@天装戦隊ゴセイジャー】
護星天使たちが天装術を増幅・発動するためのアイテム。
ゴセイカードをセットすることで効果を発揮することができる。

『支給品紹介』 【ゴセイカード(ランディック)@天装戦隊ゴセイジャー】
護星天使たちがゴセイジャーへと変身するためのカードでモネに支給されたのは、自身に関連したカードセット。
カードの内訳
ゴセイイエロー・ランディッククロー・スパーク・エクスプロージョン
イクスパンド・アウトブレイク・イクスパンド

【弓田信哉@モナーク/Monark】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:まずは、ダンジョンとやらを探索しこの殺し合いを見極める
1:とりあえず、探索する
2:天使を名乗る女……自己中な性格……嫌いなタイプだ
[備考]
※参戦時期は第一部「色欲ノ章 不可逆性比翼連理」
※異界で無くとも思装顕現及びグラ召喚は可能です
※モネに心を開いていません

『NPC紹介』 【ゴブリン暗殺部隊@遊戯王OCG】
忍の訓練を受けたゴブリン達。ヒエールの改造により、忍びの技術は性欲を発散するために使われる。


462 : 性罠ノ章『天使トノ邂逅』 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/29(金) 22:17:13 rEnOrby60
投下終了します。


463 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/30(土) 02:07:14 QwIrAph60
投下します。
今回の投下は残酷な表現が含まれています。
過激な性的描写が苦手な方には不快になる内容なので読まない様、注意をお願いします


464 : 復讐者の復讐者 ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/30(土) 02:09:02 QwIrAph60
「はぁ……はぁ……」

木組みの家が立ち並び、石畳の道がどこまでも続いた美しい街。
そこで息を切らしながら走る女性の姿があった。
彼女の名前は青山翠、ペンネームは青山ブルーマウンテンで小説家をしている。

「早く、逃げないと……」

彼女が走る理由、それは見た事も無いような怪物が襲ってきたからである。
奇妙なことに、その怪物は外の世界には存在しない。
だけど、それは確実に存在する。

「ひっ」

民家の窓ガラスに映り込むミイラ男に気付いた翠は短い悲鳴をあげる。
そのミイラ男こそ、翠に襲い掛かってきた怪物だ。
外の世界には存在しない、鏡の中にだけ存在する怪物。
夢でも幻でも無い、確かにそこにいて襲ってくるのだ。

シュッ

ミイラ男の腕に装着された仕込みナイフが鏡の中にいる翠の右頬を切った。
同時に現実世界の翠の右頬に一筋の切れ目が生まれ、切断面から血が零れた。
鏡からの攻撃は現実世界の肉体にも影響を及ぼした。

「いやっ……いやぁぁぁぁ!」

翠は怪物から逃れようと走り出す。
怪物の正体は分からない。
ただ一つ、確かなのは怪物には明確な殺意を持っていることだけ。

サクッ

「あぅっ!」

背中に鋭い痛みが走る。
怪物の動きはとても素早く、逃げる翠に簡単に追いつき
無防備な背中を容赦無く切りつける。

(止まっちゃ駄目!走って!)

翠は激痛でうずくまりそうになる自分を鼓舞しながら必死に逃げ続けた。
諦めなければ希望はまだある。
もしかしたらこの窮地を救ってくれる人が現れるかもしれない。

スパッ

「あああああああああっっ!!」

右足首の肉の一部が切り落とされた。
あまりの痛みに翠は悲鳴をあげながら転んだ。
翠は上半身だけでも起こしながら目の前にある建物を見つめた。

「ここは……」

この街は自分の知る場所によく似ていた。
私の愛する大切な人達が住む、大事な街。
その中でも特に思い出の残った場所、それが。

「……ラビットハウス」

きっと無意識の内に向かっていたのだろう。
右足を引きずりながらも翠はラビットハウスへと向かう。
すると、翠を歓迎するかのようにラビットハウスの扉がゆっくりと開かれた。

(タカヒロさん……じゃない)

出てきたのは大柄の男だ。
男は無言のまま翠を見下ろしている。
顔は影で隠れていて、どんな表情をしているか分からない。

「あの……助け、キャアアアアアア!!」

男はいきなり翠の頭を鷲掴みにして強引に引っ張り上げた。
まるでゴミでも扱うかのように乱暴に引きずってラビットハウスの中へと連れ込んだ。

「痛い!痛い!放してぇぇ!!」

男は翠の悲痛な声にも全く反応せず、そのまま二階へと引きずった。
ガンッ!ガンッ!と身体が階段にぶつかり
特に、未だに出血が続いている右足への苦痛が大きく
目じりから涙が溢れていった。

二階に着いた所で適当な部屋に入った男は
翠をベッドに向かって放り投げると
部屋の明かりを付け、翠に向かって近づいた。

「きゃっ!」

明かりによって男の素顔が明らかになった翠は怯えあがる。
醜悪な顔をしたスキンヘッドの男が
ニタニタと不気味な笑みを見せながら舌舐めずりをしていた。


465 : 復讐者の復讐者 ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/30(土) 02:09:34 QwIrAph60
なにより特徴的なのは男の両腕が右腕だった。
男の名はJ・ガイル、両腕が右腕の特異体質を持ったスタンド使いである。

「グヘェ……ヘヘヘッ。見てたぜぇ、お前が逃げ惑う姿をよぉ〜〜〜」
「……どういうことですか?」
「まだわからねぇか?お前を攻撃していたのは俺だったんだよッ!!」
「ッ!?」

目の前の男からにげるべく翠はベッドから抜け出そうとするも
二つの右腕によってガッチリと押さえつけられてしまう。

「おっとぉ〜、馬鹿め。俺から逃げられると思ったかぁ?」
「いやぁ!やめてください!」
「クククッ……無駄な抵抗だ」

J・ガイルのスタンドであるハングドマンを出現させる。
部屋の窓ガラスに映ったハングドマンが翠に向かってナイフを振り下ろした。

「いやあああああああああああああああ!!!!」
「ハハハハハハハッ!!楽しませてもらうぜぇ」

ハングドマンのナイフが翠のセーターやタイトスカートを切り裂いた。
J・ガイルもスタンドと協力して、ビリビリに破かれた衣類を引きはがした。
露わになった薄い水色のブラやパンツも切り裂いていく。

「クククッ……逃げている時もセーターの上から分かるぐらい胸が揺れ動いてて、気になっていたぜ!」
「ひぃぃぃっ!痛い、痛いです!……掴まないでぇ……」

ブラがを無理やり剥がしたことで、翠の豊満な乳房がたゆんと揺れる。
J・ガイルが翠の両胸を鷲掴みにすると、ぎゅうううっと握りしめ
ぐにゅぐにゅ形を変えさせながら豊乳の感触を味わう。

「ぐへぇ〜へへへッ!たまんねえな、おいッ!」
「お願いです。もうやめ、ひぎぃぃぃっ!!」

翠の桜色の乳頭を咥えたJ・ガイルは舌で舐め回し
転がしながら愉しんだ後に、齧り付いた。
乳輪からは歯形がくっきりと付けられ、血がじわりと滲み出ている。

「おっと、大切な事を忘れていたぜ」

J・ガイルがディバックに手を伸ばすと、中から一つの支給品を取り出した。

「せっかく主催人がこれを俺に寄こしてくれたのだからよぉ……」

取り出したのはビデオカメラである。
J・ガイルが手を離すと、まるで手品を見せるかのように
ビデオカメラがふわっと空中に浮かび上がった。
種をばらすなら、スタンドであるハングドマンに手渡したからである。

「ご期待に添えなきゃ、失礼ってものだよなぁ〜〜〜ッ!!」

J・ガイルがズボンを下すと、ギンギンに膨れ上がった肉棒が飛び出す。
翠のふとももをこじ開けて、薄く陰毛を生やした陰部を見つけると
ぴっちりと閉じた隙間に向かって狙いを定めた。

「駄目!それだけは、やめ、ヒグゥッ……ア゛……ア゛ッ……い……たい……!」
「ああッ?お前まだ処女だったのか。これは儲けだな」

ぷちぷちぃ……

「ああ……こんなこと、うぐっ、いやああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

容赦の欠片も無い暴行によって、翠の純潔が奪われた。
その悲しみに嘆く暇が来るよりも早く
J・ガイルの激しいピストンによって翠の膣内を無理やり押し広げていく。

「いぎぃぃ!もうっ、いや……やめてぇ、ひぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」

J・ガイルは腰を打ち付けながら、両腕で翠の大きな乳房を強く掴んだ。
翠は苦しみのあまり、絶叫に近い悲鳴で叫んだ。

「クククッ……出すぜ。たっぷり受け取りなァ!」
「いやぁ!!やめてぇぇぇぇっっ!!」

翠の子宮口まで押し込んだ肉棒からは大量の種子が吐き出され
ドクドクと膣内の奥底までと流し込まれていく。

「ううっ……どうして私はぁ……」

愛の全く無い性行為によって凌辱され尽くした翠は涙を流し続ける。

「おいおい、まさか一発で終わりだとは思ってないよなぁ〜〜〜ッ!」
「……えっ?」

言っている意味が一瞬分からなかった。
一度、精を出せば男は満足して終わるものとばかり思っていた。
翠がJ・ガイルの言葉を理解する頃には、再び凌辱が始まった。


466 : 復讐者の復讐者 ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/30(土) 02:10:45 QwIrAph60
「……うっ、ううっ……」

早く終わってほしい、早く解放してほしい。
翠は涙を流しながら、ただ耐え続けた。
男が精を全て出し切るまで、ひたすらに……。

「泣いてるだけじゃ、つまらねぇなぁ……そうだ」

ズブッ

「えっ?」

J・ガイルは泣き叫びながら犯される女の撮影を目的としていた。
ただ。すすり泣いている女を犯すだけじゃ盛り上がりに欠ける。
見映えの良い演出を思い付いたJ・ガイルは
ハングドマンを使い、ナイフで翠の左わき腹を突き刺した。

「あ゛がっ……ひぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

突き刺したナイフはグリグリと捩じりながら押し込み
激痛を与え、翠の絶叫が奏でるオーケストラで凌辱を盛り上げる事にした。

ザシュッ

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!ひゃめっ、い゛ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、ぎぃぃぃぃぃ!!」

翠の臍にナイフを刺し込み、穴を空けると
膣から引き抜いた陰茎を、今度は臍の傷穴へと挿入した。

「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ーーーーーッ!!!!」
「ハハハハハッ!!ココも中々いい具合だぜぇッ!!」

ぶちゅっ!ぶちゅっ!ぶちゅっ!

臍内へとピストンを繰り返す毎に、血がゴボゴボと噴き出し
J・ガイルの陰茎を赤く染め上がる。
生暖かい内臓の柔らかい感触が陰茎から直に伝わり
通常の性行為とは違った高揚感を引き出させた。

「お前は中々イイ女だったぜェーーーッ!!ここまで俺を楽しませたのだからなァァッ!!」
「ンムウゥウウウッ!!ムゴォッ……!オゴッ……!ングゥゥゥッ!!」

J・ガイルの興奮は最高潮に達すると
ハングドマンのナイフで翠の左目を突き刺し、グチュグチュと抉り潰した。
スタンドを通して潰れていく眼球の感触を味わいながら
J・ガイルは絶頂し、翠の腸を精液で汚した。
翠の口からは逆流した血によって溢れ出ていた。

「ヒュゥ……ヒュゥ……ヒュゥ……」
「こいつはもう駄目だな。さてと」

臍から大量の血が流れ続け、呼吸もままならない。
失血死する寸前の翠を見てJ・ガイルは最後の仕上げへと取り掛かった。


467 : 復讐者の復讐者 ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/30(土) 02:11:07 QwIrAph60


ラビットハウスで凌辱の舞台となった部屋で
一人の女性の全裸死体が逆さの大の字となって天井に吊るされていた。

死体は全身に刺し傷を付けられ、体は血で赤く染まり
左目はグチャグチャに潰され、残った右目は恐怖と絶望で大きく見開き
絶叫しながら命を奪られたことにより大きく口を開いた状態であった。

『あ゛がっ……ひぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!』
「クックック……中々よく撮れてるぜ」

その残虐な行為を働いた張本人であるJ・ガイルは
先ほど撮った映像を眺めながら陰茎をしごき続け

「うっ……ふぅぅぅ〜〜〜これで完璧だ」

逆さの死体へ白濁液のデコレーションをかけて完成となった。

「逆さ釣りに針串刺しの刑、それはお前にやられたことだぜェ……ポルナレフッ!!」

一度殺されたJ・ガイルはポルナレフの当てつけの様に
己の殺された姿を他者によって再現させたかった。
復讐者への憎悪が歪んだ形で現れていた。

「この女にも家族や恋人や友人と言った大切な人がいるだろうなぁ〜〜〜。
 もし、そいつらに出会ったらこの映像を見せつけてやる。
 そして俺をひたすら憎悪させた末に、嬲り殺してやるぜぇ〜〜〜ッ!!」

元はと言えば己の犯した罪が原因殺された、完全に自業自得な末路であったが
この親にして、この息子あり、逆恨みの凄まじさはエンヤ婆譲りなのであった。

【青山翠@ご注文はうさぎですか? 死亡】

※ラビットハウス内にある香風智乃の部屋に青山翠の全裸死体が逆さに吊るされています。

【J・ガイル@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品×2、チョコラータのビデオカメラ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、ランダム支給品1〜5
[思考・状況]
基本方針:積極的に殺戮、強姦を楽しむ。
1:殺戮・強姦を楽しみながら映像を撮って復讐者を作る。
2:自分を蘇らせた主催者には感謝する。
[備考]
※死亡後からの参戦です。

『支給品紹介』
【チョコラータのビデオカメラ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
チョコラータが殺人の映像を記録するのに使用していたビデオカメラ。
複数の映像が撮れるようにビデオも何本か支給されています。


468 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/10/30(土) 02:11:31 QwIrAph60
投下終了です


469 : 名無しさん :2021/10/30(土) 02:58:51 7hfX0Tac0
皆様投下乙です!
こないだwikiを作った者です。連日力作ばかり投下されて登録作業にやりがいが出ます。
書き手の方が注意されているものとこれは必要かなと思ったものに注意喚起の文を添えさせていただきました。
個人的主観も入っているのでこの作品にも必要もしくは不要だと思われた場合は修正お願いします。


470 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 03:56:09 FpHNh1vE0
wikiの製作者様お疲れ様です
登録作業などをしていただき、感謝するばかりです

投下します
今回はタイトルに#を使う関係で投下終了宣言と共にタイトルを書きます


471 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 03:57:11 FpHNh1vE0
第一章 私の英雄

「た、タケル殿ー!これは非常にまずいですぞ!!」

御成は最悪の状況に追い詰められていた。
NPCと呼ばれるゴブリンが群れを成し、大量に迫ってきていたのだ。

彼らゴブリンは元々遊戯王というカードのモンスターだが、何故かこうして実体化している。
しかも何かの部隊のようにやってきているからタチが悪い。戦闘力のない御成では為す術なく殺されてしまう。

必死に助けを呼ぶ御成の隣を、黒の少女が過ぎった。

「……いや。それほど大したものでもない」

彼女は瞬く間にゴブリンの部隊を壊滅。
剣を振り、ゴブリン達の薄汚い血を地面へ飛ばすことで払った。

「なんと!タケル殿達以外にもこのような手練が存在したとは……助かりましたぞ!」
「タケル殿っていうのは知らないけれど……。閃刀姫ならこれくらい朝飯前」

「閃刀姫。そのような存在、拙僧は聞いたこともありませんな」
「それはきっと、世界が違うから……」

ロゼの世界にはオークやゴブリンなんて存在しない。
閃刀姫という存在を知らないという坊主頭といい、何か違和感がある。
だかはロゼは参加者の世界が違うと早くも結論付けた。

「はて。拙僧には何を言っているのかさっぱりわかりませんぞ……」
「普通の人間には理解出来ないと思う。実際私も、自分の思考に対して半信半疑」

困惑する御成にそれだけ言うと、彼女は再び剣を構える。

「邪悪な気配を感じる……」
「邪悪な気配?そんなもの拙僧には―――」

―――キィィィン!

ロゼが即座に行動したことで、御成は助けられた。もしもロゼが気付いていなければ、御成は即死していただろう。
何故なら禍々しい姿をした化け物が拳を突き出し、御成を殺そうとしたのだから。

どうして先程まで居なかった参加者が現れたのかって?
それはもちろん、彼が途轍もなく強いからだ。猛スピードで近付き、殴り掛かっただけのこと。

「小童風情が我の一撃を受け止めるか」
「私は閃刀姫ロゼ。小童じゃない」

化け物を相手にロゼは一歩も引かない。
それどころか彼を真っ直ぐ眺め、その瞳に戦意を灯している。

「あなたも名乗るべき。それが戦の作法というやつのはず」
「では名乗ろう。我が名はハ・デス。冥界の魔王 ハ・デス!」

ハデスは名乗り終えると同時にレイの剣を殴り飛ばす。
一瞬だけ拮抗しているように見えたのは、ただの遊びだ。彼は最初から本気を出していなかった。

「しまっ……」


472 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 03:58:46 FpHNh1vE0

武器を失い、無防備になったロゼに更なる攻撃が放たれる。
たかだか拳だが、魔王の拳だ。剣を弾き飛ばせる程の威力で殴られたらミンチになるのは目に見えている。

「ロゼ殿!」

だから御成はロゼの体を突き飛ばした。
約立たずのお荷物だと思っていた男の行動にハデスの拳が外れる。
ロゼに当たるはずだったそれは、御成の肉体を無慈悲にも射貫く。

「我の邪魔をするとは、身の程知らずが!」

ハデスが苛立ちに任せて御成にトドメを刺そうとすると―――

―――ガキンッ!

銀の狼を象った鎧が駆け付け、ハデスに剣を振りかざした。
ハデスは貫いた御成を乱雑に投げ捨てると、両手でその一撃を受け止める。

「女の子や戦えない人ばかり襲うなんて、情けないぜ」

銀の狼が軽口を叩く。
彼は古から受け継がれてきた魂と技術で人を守りし者―――魔戒騎士だ。
魔戒騎士としての名を絶狼という。

「俺の名前は涼邑零。二人に危害を加えるつもりはない」

落ちていた剣を再び握り、ロゼは零を警戒していた。
だから彼は自分に敵意がないことを示し、ハデスを相手に互角の戦闘を繰り広げる。

「私の名前は閃刀姫ロゼ。あなたに加勢する」
「必要ないさ。そんなことより、そっちのお坊さんを頼む」

皮肉にもライバルと同じ名を持つ零に指示され、御成を見守る。
彼はロゼを庇って死にかけた立派な戦士だ。雑に扱うわけにもいかない。

「……どうして私を助けた?」

閃刀姫は孤独な戦士だ。
人を助けることはあれど、誰かに庇われた経験なんて一度もなかった。

「ははは……。人を助けることに理由なんていりませんぞ」

ロゼの疑問に対して御成は当たり前のようにそう答えた。
そして微笑みながら言葉を続ける


473 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 03:59:39 FpHNh1vE0
「もしかしたらタケル殿の影響かもしれませんな……」

人を守るために命まで投げ捨てる覚悟を決めたのは、命を燃やして戦った英雄を知っているから。
自分よりも人の命を優先するタケルはどうしようもなくお人好しで優しい青年だ。

そんな英雄を知っているから。
ずっと近くで見守ってきたから、自分を助けてくれた恩人の危機を黙って見ているわけにはいられなかった。

「タケル殿という人は、そんなにもすごいのか……」
「当然です。タケル殿は拙僧の英雄ですぞ」

本当はもっとタケルを見守りたかった。
しかし御成は自分が死ぬということを悟っている。
だからこそ零はロゼに御成を頼んだ。最期の言葉も伝えられず、孤独に死ぬのはあまりにも救われないと思ったから。

「なるほど。……そんなあなたも、私の英雄」
「ははは。なかなか嬉しいことを……言ってくれますな……」

ロゼは御成の手をしっかりと握る。
恩人の命が消えゆくことを感じながら……この温もりは決して忘れないと心に刻む。

「拙僧のデイバックに刀が入っていたはずです。ロゼ殿の好きに、使ってくだされ……」

御成の言葉に従って彼のデイバッグを探るとたしかに刀があった。なかなかの業物だ。

「ありがとう。……良ければあなたの名前を教えてほしい」
「拙僧は山ノ内御成と申します。そしてタケル殿は天空寺タケルですぞ」

「ありがとう、御成。あなたの温もりは忘れない」
「それは良かったです。人は優しさや温もりに触れて、変わったりするものですからな」

「私は人の温もりを知らなかった。だから御成は私の英雄」
「なんと!拙僧は一人の少女を救ってしまったわけですな」

最期の灯火で大袈裟に振る舞い、自分は平気だとロゼに見せ付ける。

「ささ。拙僧はピンピンしているので、ロゼ殿は零殿を!」

そんな猿芝居、ロゼには通用しない。
それでも彼女は閃刀姫だから。戦士だから。
御成の覚悟を無碍にするわけにはいかなかった。

「わかった。……本当にありがとう、御成」

御成から貰った刀に持ち替え、ロゼは戦場を駆ける。
武器を持ち替えた理由は、御成の誇り高き魂を受け継ぐという意志の表れでもあった。

ロゼの背中を見つめ、御成は静かに目を閉じる。

「タケル殿……拙僧も命を燃やして戦いましたぞ……」

化け物に殺されたというのに、御成の表情は少し誇らしげだった。


474 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 04:00:25 FpHNh1vE0


魔戒騎士はホラーを狩り、人々を守る。
ならばもし、ホラーという存在ではないにせよ人間を襲う冥界の魔王が現れたらどうする?

そんなもの問うまでもない。
なぜなら彼らは、守りし者なのだから。


475 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 04:01:42 FpHNh1vE0

第二章 ロゼと絶狼

零はハデス相手に一歩も引かず、ほぼ互角の戦いを繰り広げていた。
だが傷付きながらも余裕を保っているハデスに対して、零は僅かに焦っていた。

態度にこそ出ていないが、相手が強過ぎる。
魔戒騎士の鎧には時間制限があり、これを越えれば暴走してしまう。

だから本来、鎧の召喚はよほどのことがない限りすぐに使うべきではない。
しかし今回は少しでも遅ければロゼまで死んでいたような状況。
それにハデスはかなり手強い。どちらにせよ鎧を纏わなければ勝ち目が薄かった。

このままだとまずい、そう思いながら戦っていた時―――

―――ガキンッ!

御成の意志を受け継いだロゼが駆け付け、零の相手をしていたハデスに一太刀を浴びせる。

「零!」

ロゼが零の名を呼び、隣に並び立ってた。
少女の帰還に零の顔が綻ぶ。

「おかえり。あのお坊さんから、何か受け取った?」
「温もりを受け取った」
「それは良かった。君のおかげであのお坊さんも報われたと思う」

―――キィィィン!

冥界の魔王を前にペラペラと喋り出した二人に魔王が拳を叩き込もうとするが、それを零が受ける。
彼は魔戒騎士。仲間と話している時でも油断した覚えはない。

更にこの瞬間、ロゼが刀を叩き込む。今まで蓄積されていたダメージもあり、遂にハデスの右肩が切り取られた。


476 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 04:02:12 FpHNh1vE0

零を攻撃していた右の拳も必然的に失い、その一瞬のうちに零によって左肩まで切り落とされてしまう。

「ふざ……けるな……!この冥界の魔王 ハ・デスがこんなところで……!」
「いいや。お前の野望はここで終わりさ」

絶狼の鎧が蒼い炎に包まれる。
烈火炎装。それは魔戒騎士の必殺奥義。
零が最大出力の技を繰り出そうとしていることに気付いたロゼも、彼に合わせる。

「―――貴様の陰我、俺達が断ち切る」
「御成の魂は私が受け継ぐ……!」

そして―――

「おのれ……我は絶対に認めんぞ……!」

よろりと立ち上がり、恨み言を吐き捨てると―――

「グワァァアアアア!!」

冥界の魔王は遂に力尽き、爆散した。

「やったな、ロゼちゃん」
「うん。これで御成も少しは報われたはず……」

勝利した魔戒騎士は鎧を解除し、閃刀姫は英雄の敵を討てたことに喜び―――

―――グサッ!

背後から投げられた手裏剣が零に突き刺さった。


477 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 04:03:08 FpHNh1vE0


終章 ザルバ

「零!?」

殺したはずのゴブリン達が生き返り、零とロゼを取り囲む。冥界の魔王が死ぬ寸前に施した悪足掻きだ。
瀕死の零を見た彼らはとても楽しそうにしていた。

ロゼは零を庇うように一歩前へ出ようとするが、止められた。

「ロゼちゃん……。俺が道を開けるから君は逃げろ……」
「いや、私が戦う。あの程度の敵なら私だけで……」
「それは無理な話だな。きっとあいつらは冥界の魔王によって再生された。生前と同じ強さだと思わない方がいい」

「それから一緒に……」
「それもダメ。ロゼちゃんまで死ぬ必要はないだろ?」

零はロゼに言い聞かせるが、なかなか納得しない。
目の前で御成を失ったことがよっぽど響いたのか、仲間の最期を看取れないことが不満なのか。或いはその両方か。

「……じゃあロゼちゃんにこれを渡す。果たして閃刀姫は俺の魂まで受け継げるかな?」

二本ある魔戒剣のうち一本。小太刀の方をロゼに渡す。
ロゼは暫く迷った後に受け取り、力強く決意を口にした。

「当たり前。御成と零の魂は、私が受け継ぐ」

零の戦い方を見ていたから、二刀流の扱い方は理解した。
これからは御成と零の誇りを胸に、戦い続ける。それが二人に対する恩返しでもあるから。

「サンキュ。ちなみに俺やロゼちゃんみたいな関係を、俺たちの世界ではザルバって言うんだぜ」
「ザルバ……?」
「友達という意味さ」

二人はまだ出会ったばかりでほんの僅かな時間しか一緒に居られなかった。
だがもう少し一緒に行動出来たら、良き友になれたかもしれない。

それにロゼは零の魂を受け継ぐと決意した。
そんな彼女も鋼牙と同じく、ザルバと呼ぶに相応しいだろう。

「それじゃ、そろそろ道をこじ開けるから。ロゼちゃんは振り返らずに真っ直ぐと進むんだ」
「わかった……!」

零が駆け出し、ゴブリン達を次々と斬っていく。
ロゼに託したおかげでもう剣は一本しかないが、十分だ。
零の読み通り死者の復活という異例の復活をしたゴブリン達は怪異のような性質を持っていた。


478 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 04:03:58 FpHNh1vE0

そして魔戒剣は怪異と化した彼らに効果抜群だった。
こじ開けられた道をロゼは真っ直ぐと進み、危機を脱する。
間もなくして零がゴブリンに殺された。しかし守りし者として人間を助けた彼に後悔はない。

「鋼牙、ロゼちゃん……あとは頼んだぜ。でもやっぱりシルヴァには……ちょっと悪かったかな……」



涼邑零と山ノ内御成という犠牲の果てに、少女は生き残った。
二人の魂は自分が受け継がなければならない。この殺し合いは必ず打破する。

その意志は変わらないけれども―――

「御成、零……。ごめんなさい……」

自分のために散った二人を思い出して、今だけは涙を流したい。

「私……もっと強くなるから……」

ロゼは決して弱くない。
だが今回の戦闘では助けられてばかりで、誰一人守れなかった。

少女は人間の温かさと使命ではなく、本気で人を守る心。そして悔しさという感情を初めて知った

【山ノ内御成@仮面ライダーゴースト】
【涼邑零@牙狼-GARO- 死亡】
【冥界の魔王 ハ・デス@遊戯王OCG 死亡】

【閃刀姫-ロゼ@遊戯王OCG】
[状態]:疲労、悔しさ
[装備]:煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃、涼邑零の魔戒剣(小太刀のみ)@牙狼-GARO-
[道具]:基本支給品、閃刀姫-ロゼの剣@遊戯王OCG、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:御成と零の魂を受け継ぎ、主催者を斬る
1:御成と零のことは忘れない
2:もしも天空寺タケルに出会ったら御成の死を報告して謝罪する
3:閃刀姫レイとの共闘も視野に入れる
[備考]
遊戯王カードについての知識はありません


【涼邑零の魔戒剣@牙狼-GARO-】
涼邑零に本人支給。
涼邑零が使っている魔戒剣。一対二振りでやや短め(日本刀で言う所の長脇差・小太刀サイズ)。
ソウルメタルという特殊な素材で作られている剣だが、今回は大半の性能がオミットされた。零以外が使っても鎧の召喚は不可能
元々がホラーと呼ばれる怪異を倒すために作られたもので、その性質だけが唯一残っている。鬼や吸血鬼にも効き目があるかもしれない

【閃刀姫-ロゼの剣@遊戯王OCG】
閃刀姫-ロゼに本人支給。
閃刀姫-ロゼが持っている剣。それ以外にこれといって特筆すべき点はない

【煉獄杏寿郎の日輪刀@鬼滅の刃】
山ノ内御成に支給。煉獄杏寿郎が使っている日輪刀


479 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 04:04:31 FpHNh1vE0
投下終了です
タイトルはS#0です


480 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:00:36 2ttThmhw0
投下します。


481 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:01:54 2ttThmhw0
 目を閉じる。シャットアウトされた景色に伴い、高まる集中力。風の音が、動物の声が、相対的に大きく主張を強めていく。そして――失くした景色を補うように、瞼の裏側にハッキリと想起された光景が、彼女――芹沢あさひの視る世界を支配する。外界から隔離されたその光景の中で、あさひは追憶の中に存在していた。変化する彼女の常識、もとい興味の対象は、今やたったひとつ、先ほど見たものばかりが占めていた。

(人があんな風になってるの、初めて見たっす。)

 殺し合いが開始して時間も浅く、まだまだ鮮明に思い出せる。自分よりもひと回り幼い少女が、命を奪われる瞬間。少女への追悼か、はたまた未知への探究心か、その瞬間の記憶を脳裏に呼び覚ます。人の死の瞬間は、14歳の少女が――否、一般的な人間が経験するそれと、大きく乖離したものだった。

 それはまるで、蜘蛛の巣に捕らわれた蝶の羽根をむしり取るような光景だった。身体中から体液を撒き散らしながらも、それでも生に縋りつこうと足掻いて、もがいて――そんな少女の本能すらも、手折るように塗り潰して。命の綺麗な一面と、汚い一面を同時に見せつけるが如きコントラスト。とりわけ性と無縁に過ごしてきたあさひであっても、それを感じ取るのは難しくなかった。それほどまでに、命の散る瞬間はあさひの感性を大きく刺激した。

(でも……)

――その上で。

「……わかんないっす。あの人は、あれが楽しいんすかね?」

 仏頂面になりながら、あさひは再び目を開いた。外界から閉ざされた追憶の世界は文字通り瞬く間に立ち消えて、現実の風景があさひの視界に戻ってくる。

 命を『遊び』の対象とすることに、一切の理解や共感ができないわけではない。だけど、蟻を踏み散らして道楽とするプロセスは、とうに卒業している。年齢とともに命というものについて段々と分かっていくその過程で自然と、壊すことよりも慈しみ、観察する方に興味は向いていった。それに、何となく――あの男の行いは、楽しさとか興味とか、そういうものを目当てとした『遊び』とはどこか違う気がした。もっと、目を覆いたくなるほどの醜悪な悪意――少なくとも、あさひのこれまでの生において無縁であったものが、主催者の男の言動の裏からはひしひしと感じ取れた。

「確かに、わたしはあの人じゃないっすけど……」

 だが結局は、他人の心の中なんて分からないものだ。主催者の男がそれを楽しいと思うのなら、そういうものなのだろう。それを否定する言葉など、あさひは持たない。『そんなものの何が楽しいのだ』と無理解のままに放つ言葉が、いかに心に刺さるものであるかは、分かっているつもりだ。それに、自分の感覚の方が一般離れしている自覚も少なからず持っている。


482 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:02:24 2ttThmhw0
「……でもこれは、違うっすよ。」

 それでも、あさひは断言する。あさひ自身が己に向けられることを忌避する、相手の『楽しい』を真っ向から否定する言葉。それを、虚空の先の主催者に向けて投げかける。それは、あさひにとって宣戦布告に等しいものだ。

「だって……わたしひとりじゃ、あの景色は見えなかったっすから。」

 アイドルという道を提示し、わたしの見えていなかった『わたし』を見出してくれたプロデューサーさん。

 アイドルはただすごいパフォーマンスをすればいいのだと思い込んでいたわたしに、それ以外の強さを示してくれたストレイライト。

 わたしは、決してわたし一人じゃ完成し得ない。

「わたしに見えないものが見えてる人がいて、それをわたしに見せてくれようとしてくれる人もいる。
 わたしの知らないワクワクを、わたしじゃない誰かが持ってるんすよ。」

 他人の心の中なんて、見えない。だけど、『伝える』ことはできる。とっても難しいけれど、だけど分かろうとすれば、向こうも手を差し伸べてくれることだってあるだろう。しかしそれは、お互いにお互いを突き放して自分から遠ざけてしまう殺し合いと、全く逆の方向にある。

「だからわたし、殺し合いやらないっす。色んな人に色んなワクワクを、教えてほしいっすから。」

 宣言の先に見据えるは、一人の少女の姿。夜の闇に紛れてその顔は見えない。だが、大まかな身長と、クリーム色の髪。愛依ちゃんを思い出させるような、褐色の肌に大胆なへそ出しルック。しかも、死を連想させるようなどす黒い輪っかが、まるで天使のリングのように頭の上に浮かんでいる。その少女の容貌の何もかもが亡霊のように、未だ網膜の裏側に鮮明に焼き付く、見せしめに殺された少女を想起させる。

「……!ㅤじゃあ……」

 あさひの言葉を受けて、少女はおそるおそる口を開く。


483 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:03:01 2ttThmhw0
「殺し合えって言われてるケド……仲良くしてもいいノ?」
「別に、殺し合いたくないならしなかったらいいんじゃないっすか?」

 はっとしたように、少女は顔をぱあと輝かせた。とてとてとあさひに駆け寄って、ずいと顔を覗き込む。

「……それ、とってもえんじょいで、えきさいてぃんぐだネ!」
「よかったっす。じゃあまずはわたしと仲良くなるっす!」
「うんっ! 777のコトは777(ななな)って呼んでネ! 7がみっつ、ラッキーセブンだヨ!」

――零の妹をヨミガエリさせるための辺獄の旅は、良好に進んでいるはずだった。

 愚問愚塔の足止めを突破できずにイライラしていた零と他のみんなが、険悪な雰囲気になったこともあったけれど。それでも、仲直りした後の零は、幽鬼の777を友達だと言ってくれて、仲間として迎えてくれた。

 零の妹をヨミガエリさせられるだけの理念(イデア)を集め、この旅の終点、再生ノ歯車に乗り込もうと準備を終えた、その時に招かれたのがこの殺し合いだった。

(どうして、こんなトキなノ? 零のいちばん大事な時に、777はチカラになれないノ?)

 焦燥があった。この世界を生きて出る方法が、殺し合うことしか残されていないのなら、それを実行するしかないのか、と。

 同時に、殺し合いたくないという気持ちもあった。殺し合いが開始して最初に出会った少女は、幽者でも幽鬼でもなく、生きている実在の少女だったから。

 もしも彼女が殺し合いに乗って襲ってきていたならば、選択を迷うこともなかっただろう。だが、彼女は殺し合いに乗らないことを宣言した。その上で、やりたくないならやらなくていいと言ってくれた。えんじょいでえきさいてぃんぐなことを求める。777が零に着いていく理由であり、777が777である原点。それをあさひは思い出させてくれた。

「どういうことっすか……? 777プロってとこにでも所属してるんすか?」
「ぷろ……? よくわかんないケド、777は777だヨ。」
「あっ、もしかして名前っすか! あははっ、変わった名前っすね! わたし、芹沢あさひっす。」
「分かった。あさひ、よろしくネ!」
「よろしくっす、777ちゃん!」

 元より『楽しい』を追究することに関しては人一倍敏感なふたりである。殺し合いを命じられた世界という先入観さえ捨て去れば、打ち解けるにも時間は要さない。殺し合いに乗った者やエロトラップ・NPCといったものに対する安全確保という理由関係なしに、自然と同行する運びとなっていた。


484 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:03:36 2ttThmhw0
「へぇ、あさひはあいどるなんだネ。」
「そっす。みんなをワクワクさせることができて、すっごく楽しいんすよ!」
「じゃあ、777のあいどるは零だネ。一緒にいるとすっごくえきさいてぃんぐな気持ちになれるんだヨ。」

 零について語る777は、他の話をしている時よりもずっと楽しそうに見える。777の楽しいの片鱗が垣間見えたような気がして、興味が沸いた。

「レイ……777ちゃんの友達っすか?」
「うんっ!ㅤ零といると、すっごくすっごく楽しいんだヨ!」
「じゃあ、わたしも会ってみたいっす!」
「うんうんうんっ!ㅤあさひは小衣や千みたいにおっかなくないし、きっと零も喜ぶヨ!」
「あははっ、おっかない友達もいるんすね。」

 おっかないという言葉を、文面通りにマイナスの意味に感じ取ることはなかった。これも、あさひがアイドルになったが故の変化だろうか。あさひの脳裏には、おっかないながらも思いやりのある友人の姿が浮かんでいた。本性を自分たちやプロデューサーさん以外には隠している彼女のことをあえて777に語ることこそしなかったが、それでも合流できたら心強いことこの上ないのは間違いない。

「あ、でも……零はこれに巻き込まれていてほしくはないかな……。」
「……?ㅤ会いたくないんすか?」

ㅤ777の表情が一転して曇ったのを感じ取ったあさひ。しかしその理由が読めず、きょとんとしたまま尋ねる。

「ううん、とっても会いたいヨ!ㅤでも……殺し合いなんて零にはやってほしくないシ……」
「それは分からなくもないっすけど……でも、もし巻き込まれてても一緒に脱出すればいいっす!」
「まあ、そうなんだけどネ……」

 あさひとしても当然、冬優子ちゃんや愛依ちゃんやプロデューサーさんが嫌なことに巻き込まれていてほしくないという気持ちはある。だが、そもそも殺し合いという非日常に対し、生命の危機の実感など湧かないのだ。目の前の777が辺獄を闊歩する幽鬼であることも知らなければ、ファンタジーの実在すらも認識していない。極論、どこかからカメラマンが出てきて『ドッキリ』とでも明かされる方が彼女の日常とは結び付いている。

 しかし777は違う。零の妹のため、辺獄で幽者や幽鬼と日々命のやり取りをしている身だ。そういう意味での殺し合いは日常とする身であるし、この殺し合いについても脱出の可否についてはあさひより悲観的に捉えざるを得ない。更には、零がこのゲームに招かれていたとしたら――おそらく零は、殺し合いに乗る選択を取るし、取れる人間だ。譲れない願いのために、自分の気持ちを押し殺して他の命を奪う。それもまた、彼女の日常だから。

 零が招かれていることはすなわち、零と殺し合わなくてはいけないことを意味する。もしもそうなったら零の願いのために自分の命くらい差し出せると、胸を張って言えるけれど。零の優勝のためとはいえ、あさひや他の生きた人たちを殺さないといけないのは、やっぱりイヤだ。零のために頑張ることそれ自体は本懐であろうとも、決してそれが『えんじょい』だとは思えない。


485 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:04:25 2ttThmhw0
「っていうカ……」

 ひとまず暗い気持ちを振り払って再び、顔を上げてみると。

「わーっ!ㅤいつの間にか囲まれてるヨ!?」
「わっ、なんすかこれ!?」

 考え事をしている間に数匹の魔物が宙を漂っていたことに気付く。人間の手の形をした思念体、フユウデ。他者に生命的な危害を直接加える魔物ではなく危険度は低いが、しかし捕まってしまったが最後、マナ、もとい魔力を吸い尽くされるまで身体の至る部分を揉みしだかれることは避けられない。

「すっごく不思議っす!ㅤオバケってほんとにいたんすね!」
「いやいやあさひ、逃げるヨ!!」

 嬉々として敵に向かっていこうとするあさひをふんづかまえて、敵と敵の間をすり抜けていく777。フユウデの群れはそんな二人を追いかける。

「わっ……」

 しかし、あさひと777も身軽であるが、手のひらだけしかないフユウデはそれ以上に、文字通り『身軽』であった。フユウデに与えられたNPCとしての使命――ではなく元々有する習性に基づいて二人に近付く。敵の接近を気配で感じ、振り返る777。二人が捕まるまで、距離はそう離れていない。そしてフユウデの中の一体の手のひらが、777より少し遅れて走るあさひへと伸びる。

 敵の様子を見るために振り返った777が、あさひが捕まりそうになっているのを認識するのと、ほぼ同時。

「こらー!ㅤあいどるはお触りゲンキン、だヨ!」

――Spell.777Doodle

 777の手から、虹色の光線が発射された。あさひを狙っていたフユウデを貫き、さらに後続のフユウデまでもを貫いた。動物の残留思念やマナの思念体でしかないフユウデに、さらに加えられた魔力の塊。フユウデの残留思念は魔力の中で瞬時に薄まり、消えていった。

「まったく、カゲキなファンは困っちゃうネ。あさひ、ダイジョーブ?」

 一直線上に並んだフユウデを一網打尽に撃ち抜いたその手に、まるで銃口から出る硝煙を吹き消すかのごとくフッと息を吹きかけて、ドヤ顔のまま777は語る。それを見るあさひの目は、これまでになくキラキラと輝いていた。


486 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:05:16 2ttThmhw0
「すっごいっす!!ㅤ今の!!ㅤいったいどうやったんすか!?」
「わわっ……あさひ近いヨー」

ㅤずいっと顔を寄せてきたあさひに、どこか照れ臭さを覚える777。或いは、零とも小衣とも千とも違う距離の詰め方に対する戸惑いだろうか。

 777がモジモジしている間にいつの間にか777から離れていたあさひは、777のポーズの真似を始めていた。

「とぉーう!ㅤこんな感じっすか?」
「んー、幽鬼じゃないあさひにはできないかもネ。」
「えー……つまんないっすー……わたしもユウキってのになれないんすか?」
「それはダメだヨー!ㅤいーい?ㅤ幽鬼ってはネ……」

 幽鬼になるというのはすなわち、死ぬということ。それを知って言ったではないのだろうが、殺し合いを命じられている今は縁起でもない。説教がてら、幽鬼とは何であるのか、あさひに説明する777。

「ああ!ㅤ777ちゃんの頭のぴかぴか、そういうことだったんすね。」
「もう……ホントに分かってるノ?」
「これ取れないんすか? そしたらわたしも、ビーム出せるかも!」
「やっぱり分かってなかったヨ!」

 頭の幽冠をぐいぐい引っ張り始めたあさひに、膨れ顔で抗議する777。

「取れないっすー……。」
「トーゼンだヨ!」
「んー、このザックにはその不思議なチカラがあるわっか、入ってないんすかね?」
「ないと思うケド……見ておくのはイイと思うヨ……」

 殺し合いの世界で持ち物を把握しておくのは有益だ、との意味を込めてそう言った。あさひはそれを聞いてサッとザックに手を突っ込む。そして間もなく、その中身を掴んで取り出した。

「これはっ……!」

 そして、ラベルに書かれた文字を堂々と読み上げる。


487 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:06:22 2ttThmhw0
「媚薬っす!」
「ビヤク……!?ㅤそれは……そこはかとなくヤバいヨ!」

 しばし、沈黙が流れる。その後に、あさひは率直な疑問を述べた。

「……媚薬って何なんすか?」
「ノリでそれっぽいリアクションしてみたケド、777も知らないヨ。」
「うーん、何なんすかねー……?」

 純真無垢な二人は薬瓶をまじまじと見つめるも、その答えは出てこない。得体の知れない薬を試しにと服用するような無謀さはさすがの二人も持ち合わせていないため、観察以上のこともできそうにない。次第にあさひの興味は媚薬から離れていく。

「それより、ほら!」

ㅤ次にあさひが取り出したのは、赤い宝石が装飾された一本の杖だった。杖と言っても、歩行補助に用いられるような松葉杖とは全く異なる、いわゆるワンドと呼ばれる形状をしたスタイリッシュな道具である。

「これ、魔法とか使えそうっすよ!」
「おおっ!ㅤあさひ、魔法少女ってヤツだネ!」

 現代日本において日常的に見るものではなく、とりわけファンタジー世界への憧憬を抱くあさひにとっては好みに刺さったようだ。あさひは手にした杖をくるくると振り回して遊び始める。

ㅤそして、その時――



『――悲しみを捧げよ。』



「……あれ。」
「……?ㅤあさひ……どしたノ?」

 声が、聞こえたような気がした。その正体を模索するよりも早く、あさひは脳で感じ取った違和感に気付く。

――白いキャンバスに塗りたくられた黒の絵の具が、じわり、じわりと染み込んでいくように。

「……ああ。777ちゃん。」

 突然落ちた声のトーン。遊ぶことを中断したあさひを不思議そうに覗き込む777。


488 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:06:51 2ttThmhw0
「――離れるっす。」

 次の瞬間、あさひはまるで薙刀のように、手にした杖を777へ振るっていた。

「痛っ……!!」

 杖の先に装飾された宝石が777の顔に吸い込まれたように命中し、同時に777の表情が驚愕に染まった。

「あさひ、何デ……!?」

 唐突に顔面に走った打撃の痛みに悶えながらも、777はバックステップで距離を取る。

 そして改めて向き直ったあさひの白い肌は、いつの間にか青白く染まっていた。アイドルとして日頃の手入れが感じられた綺麗な肌に、亀裂が入ったかのように血管が膨大し、浮き出ている。有り余る好奇心に反してどこか無気力そうだった垂れ目は、今やぎらりと血走っていた。仇敵を睨むが如く777を凝視し、殺意を滾らせて。

「――悲しい……。」

 何よりも続くあさひの声からは、持ち前の明るさというものが消えていた。ひしひしと伝わってくる感情は、楽しいとか嬉しいとかそんな感情ではなく、まるで絶望の中死んでいった幽鬼の死念のような、どす黒い負の感情。

「すっごく、悲しいんすよ。」
「いったい、何がそんなに悲しいノ、あさひ?」

 瞬間、空気が硬直する。ただ事でない何かがあさひに起こっていると全身の感覚が理解する。果たして、あさひを攻撃していいものか777には分からない。だが、黙って攻撃を受けるわけにもいかないのも確かだ。その手には、文房具を操る777のspellにより生成された原寸大を優に超えたサイズの定規。剣代わりに、というよりはむしろ防具代わりに、振るわれた杖と弾き合う。

「――ぐウッ……!」
「悲しいに決まってるじゃないっすか。だって、せっかく、777ちゃんと仲良くなったのに――」

 鍔競りあった間隔から、その杖は少なくとも仕込み刀というわけではないようだ。しかし、定規越しに感じるずっしりと確かな重量。あさひの力は、一般的な女子中学生に出せるそれでないことは明らかだった。


489 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:07:23 2ttThmhw0
「ここでもう、お別れだなんて――!」
「待っ……!」

 力押しでは勝てないと察し、spellにより卵型爆弾を生成する777。前方に投げる素振りを見せるが、あくまでブラフ。迎撃のために一歩下がったあさひを無視して爆弾を消滅させ、引き下がって距離を置く。

 あさひの言動の何もかもが、先ほどのあさひと異なっていた。まるで何かが乗り移ったかのように。或いはさながら、力の制御を失い暴走した己が幽鬼の真名、エピクロスのように。

「……もしあさひの意思じゃないのなら、このままほっとけないヨ……。」

 大好きなはずの零を攻撃しながら。止めたいって思っても、湧き上がる激情が、抑えられなくて――どうにか溢れ出る涙ごと、息の根まで止めてほしくって。自身とあさひの現状を重ね合わせてしまったからこそ、見捨てることはできない。

 確かに、あさひは少なくとも幽鬼ではない。ましてや、状況を見るに幽鬼の暴走の原因となる感情の昂りも無かった。それならば――

「さては、ハンニンが見えたヨ!ㅤ777、ビームっ!」

 あさひの突然の乱心の原因を、手にした杖に見出した777。狙いはあさひではなく、自身へと向かってくるあさひが上方に掲げている杖。虹色の閃光が一直線に伸び、夜空を染め上げる。

――あさひの手にした杖は、名を『神鳥の杖』といった。

 魔法の才の有無に依らず、手にしたものに絶大な魔力を与えると伝えられているこの杖の伝承は、文面こそ事実に即しているが、しかし重大な点が抜け落ちている。その杖には、かつて二つの世界を手中に収め、統制しようと企んだ暗黒神『ラプソーン』の魂が封印されている。肉体を分離した封印下であれどその多大なる魔力は健在。手にしたものの負の感情を増幅し、意のままに操る"呪い"が込められている。

 それが、芹沢あさひの現状。杖を媒体としラプソーンの魔力の一部を行使することができる代わりに、その肉体の支配権をラプソーンに奪われている。

 だが、ラプソーンが支配し、魔力を供給しているとはいえ、それは元よりあさひの肉体である。それならば、その身体に備わる『才能』は――たとえ暗黒神の支配下にあろうとも、失われることはない。

「なるほど、こうやるのか。」
「えっ……!?」

 先ほどあさひの好奇心を刺激した虹色の光線を前に、再び紡がれた言葉は、先のそれよりも、簡潔で――天高く掲げられたあさひの杖から、虹色に煌めく魔力の奔流が撃ち出され、777のスキルと真っ向から衝突し合う。777の放った閃光と限りなく酷似した魔力の渦。

 芹沢あさひの才能。ひと目見ただけで対象の細かい挙動すら記憶できるだけの観察眼。そして、それを正確無比に再現できる出力の才。だが、彼女の真骨頂はそればかりに留まらない。


490 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:08:37 2ttThmhw0
――あさひの操る光線の本数は、777のそれの優に三倍もあった。

 辺獄の管理者より改造を受け、さらに魂の変質まで見せた777が、相応の修練の果てに得たspellの到達点、777Doodle。それをまるでさざ波をかき消すかのごとく凌駕し、消滅させた。

 あさひの演じる模倣は、時に本物すらも超越する。平凡なアイドルが長きに渡る努力を重ね、その上でようやく身に付けたステップを、彼女はひと目で記憶し、そして己の色に染め上げてしまう。

ㅤ打ち寄せる魔力の余波を正面から受け、弾き飛ばされる777。大地を滑り、全身に擦り傷を作りながら、痛みに悶えつつも何とか姿勢を立て直そうとする彼女の眼前に映るは、大きく視界の揺れた端をあさひが疾走し、己へと向かってくる光景。咄嗟に生成した三角定規による防御もいなすように杖で打ち払われ、777の身体は無防備にあさひの前に放り出された。

 倒れた777の前に立ち塞がったあさひ。無慈悲に、その手の杖の末端を、衣装からはみ出た777の臍に突き立てる。

「あガっ……!!」

 腹部を伝わる激痛に、捻り出すばかりの悲鳴が辺りに響き渡る。刃物と呼べる代物では到底無いが、少なからず尖った杖の末端を相応の力を込めて突き刺せば、肉を抉ることとて不可能ではない――かつて、この杖を用いた刺殺が為されたように。しかし、当時ラプソーンが操っていたドルマゲスは、成人男性としての腕力を有していた。だが、それに比べてあさひは、日々のトレーニングでも暴力行使における腕力として出力するための鍛え方はしていない。さらには、777が人間よりは丈夫な身体を持つ幽鬼であること。それが777の命を繋いでいる要因だった。

「……しぶといっすね。」

 それでも、最初の777Doodleの迎撃に加え、腹に加えられた刺突のダメージは決して小さくない。すでに目の前の景色はぼんやりと霞んでおり、重い足取りでは立ち上がっているのがやっとだ。

「……でも、まだ……負けない、ヨ。」

 もしも、エピクロスのチカラが暴走したあの時に、勢い余って小衣や千、或いは零を殺してしまっていたとしたら。きっと777は後悔していた。涙に流すだけでは足りない罪を背負ったまま、また"独りぼっち"に戻っていた。

 今、777がここに立っているのは、あの時に止めてくれた零たちのおかげに他ならない。だから、777は誰かにとっての、零になりたい。あさひを殺すのではなく止めることを目指せる人がいるとしたら、それはきっと、えんじょいだったあさひを知る、自分だけしかいないから。

「……いい加減、飽きたっすよ。」

 そんな777の覚悟を、あさひは興味なさげに吐き捨てる。彼女自身を構成する何かを塗り替えられてしまったあさひ。

 彼女の精神は、何色にも染まり得る白のように、見えるものをそのまま受け取っていた。しかしそんな彼女の白は、プロデューサーさんやストレイライトの二人との、プリズムよりも多彩な日々の中で、磐石なる白として塗り固められてきたはずだった。受容した物事を、自分の色に咀嚼できる力を、次第に身につけてきたはずだった。

 それでもなお、暗黒神ラプソーンという絶対なる『黒』はあさひの白を侵食した。まるで白色が塗り固められたキャンバスに、黒い筆を――キャンバスごと割るほどに強く、そして激しく。まるで、輝きを纏った光を、混沌よりも深い闇が呑み込んでいくように。


491 : 逆光 -Cursed Enjoyment- ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:09:22 2ttThmhw0
【芹沢あさひ@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康 暗黒神ラプソーンの洗脳下
[装備]:神鳥の杖@ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本:あさひや他の参加者を操り、殺し合いを進行させる。
1:「……。」
[備考]
※参戦時期は少なくとも『Straylight.run()』終了後。
※777Doodle*3を習得しました。他の呪文やスキルの類も、見れば習得する可能性があります。

【777@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:ダメージ(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜3
[思考]
基本:殺し合わず生還する。
1:呪われしあさひを止める。
2:零が呼ばれてるなら、零の望みを叶えたい、ケド……。
[備考]
※第8章「失われた未来を手に」開始時からの参戦です。(777の生前の記憶は戻っておらず、仲間との関係は比較的良好。)

【支給品紹介】
【神鳥の杖@ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君】
芹沢あさひに支給された意思持ちの支給品。暗黒神ラプソーンの魂が封印されており、手にしたものをラプソーンの洗脳下に落とす。この殺し合いにおけるラプソーンのスタンスは、殺し合いなど早々に終えて元の世界に戻り、再び肉体復活のために活動を再開すること。そのため、宿主を操って参加者殺害を主目的に動く。自律行動ができないため支給品の形を取っているが、扱いとしては他者に寄生するタイプの参加者に近い。

本作では神鳥の杖を手にしたあさひ(呪われしあさひ)が777Doodleを777Doodle*3に進化させた上でラーニングしているが、これは以下の原作設定に根拠を置いている。
①ラプソーンの洗脳下では、ドルマゲスのような魔法の才能が無い者も魔法を扱えるようになる。
②魔犬レオパルドが鼻を用いて獲物を探していたことから、宿主となる身体の特質は洗脳下でも発揮される。
③ただの犬でしかないレオパルドも、ラプソーンの洗脳下ではドラクエの中ボス級のステータスを得られる。

【NPC紹介】
【フユウデ@不徳のギルド】
28話に登場する、手の形をした霊魂系の魔物。死んだ人間や動物達のマナと残留思念から成る。手の平から体力と魔力を奪うスキル『気奪(げだつ)』を使うが、一定量マナを取り込むと自身の情報や思念が相対的に薄まっていき、消滅してしまう。その過程で相手の身体をとにかく揉みしだく。
メイデナ曰く、「傍から見たら女の子にイタズラして成仏していくヘンタイにしか見えない」とのこと。
ちなみに本作でマナの無いあさひを狙っているのは、ザックの中の神鳥の杖を狙っての行動。


492 : ◆2zEnKfaCDc :2021/10/30(土) 08:11:47 2ttThmhw0
投下完了しました。
神鳥の杖ですが、支給品としては単体でギミックとして完成されすぎているとも思うので、もし参加者として書いた方がいいという意見があれば修正する所存です。


493 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 13:48:19 FpHNh1vE0
投下します


494 : 風見雄二を求めて ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 13:49:32 FpHNh1vE0
世の中には不思議な動物が存在する。
それは喋るうさぎ、ティッピーだ。
日常世界に潜む非日常的な存在。それがティッピーという生き物だ。

彼はよくチノの頭に乗っているが、今回は離ればなれになってしまった。
チノは彼の孫であり、必然的に真っ先に心配になる。

「チノは大丈夫だろうか……」

もしもチノまで巻き込まれたら、いったい彼女はどんな目にあっているのか。考えるだけでも不安になってくる。
自分の身がウサギであることが今は惜しい。これではチノを探すだけでも一苦労だ。

「喋る動物か。これは珍しい」

ティッピーの背後から男の声が聞こえ―――

―――グサリ

「これでもう何も心配いらないよ」

ティッピーの小さな体に刃物が突き立てられる。
彼はチノや友人に再会出来ぬまま、命を落とした。
動物だろうと容赦なく殺した男の名はオスロ。これまで何度も人を殺しているテロリストだ。

「そのチノという人間も私が殺してやろうじゃないか。これで君の願望は叶うだろう?」

物言わぬ亡骸となったティッピーを持ち、デイバッグに入れる。
彼は人の言葉を喋る珍しい生き物だ。何かと使い道があるかもしれない。

それにチノという人間の反応にも期待出来るだろう。
そこまで期待していないが、もしかしたら母親の危機で父親を殺した風見雄二のように何かが目覚めるかもしれない。

もっとも雄二ほど優秀に育つとは思えないが――殺し合いという場だからこそ才能を開花させる可能性だってある。
そういう意味でもティッピーの死体を持ち歩くのは当然だ。

動物の死体をデイバッグに押し込み、持ち運ぶことには何の抵抗も感じない。
それ以上にチノに出会った時の反応が楽しみだ。

そして―――

「雄二。きっと君も来ているんだろう?」

風見雄二。
彼と再会することをなによりも楽しみにしている。
雄二はオスロのお気に入りだ。なんとかして雄二を自分の元へ連れ戻す。

そのために彼の家族も、女も、友人も仲間も全て殺そう。
まあ。それでも雄二が戻らないようなら、諦めて殺すのみだが……。

とりあえず雄二の探索を優先してオスロは動き始める。
道中で他の参加者に遭遇したらもちろん殺す。
参加者の数が減っても彼にとって何もデメリットはない。
雄二にそうしたように、愛玩動物のように扱っても構わないが最終的には殺す

主催者に逆らうよりも最後まで生き残って帰ることが一番堅実な手段だろう。
雄二については連れ戻すことに成功したら、願いとやらで生き返らせれば良い。
あの主催者は最初に掲げた約束を破らない。きっとそういうタイプの人種だ。

【ティッピー@ご注文はうさぎですか? 死亡】

【ヒース・オスロ@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:優勝狙い
1:雄二を探して連れ戻す
2:道中の参加者は殺す。場合によっては愛玩動物にしても構わない
[備考]
アニメ版からの参戦。参戦時期は少なくとも死亡前です
ランダム支給品のうち1つはなんらかの刃物です


495 : ◆QUsdteUiKY :2021/10/30(土) 13:49:48 FpHNh1vE0
投下終了です


496 : ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:49:23 DhD7oYDg0
投下します


497 : 罰ゲーム ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:50:29 DhD7oYDg0
「……クロ」

ぐ、と拳を握る。
清楚な外見の少女らしからぬ激情が滲んだ顔には涙はない。
今ここで涙を流したところで現状は何一つ好転などしないと分かっているからだ。
クロエ・フォン・アインツベルン。自分にとって最も大切な友人の、姉であり妹でもあるような少女。
最初は敵として現れた彼女はいつの間にか、美遊にとってもかけがえのない友人になっていた。
けれどそんなクロはもう居ない。
弄ばれて晒し者にされて、その上で殺された。

美遊・エーデルフェルトはこれまで、助けられる側の存在だった。
エインズワースに囚われた彼女を、イリヤとクロエは、そして皆は、自分たちの危険も顧みずに並行世界の冬木まで助けに来てくれた。
クロエが殺される時、死ぬ間際の生き地獄に彼女が苛まれている時、美遊は何もできなかった。
ただ無力にその惨劇の一部始終を眺め、絶望と激情に打ちひしがれるのみだった。

──それでも。
まだ、助けられる命は残っている。

この会場に呼ばれ、参加者という言葉で雑に定義された被害者たち。
彼らを一人残らず助け、守り。
そしてあのふざけた男を倒してこのゲームを破綻させることこそが、クロに対し何もしてやれなかった自分にできるせめてもの罪滅ぼしなのだと美遊はそう理解していた。

カレイドステッキを握り締め、歩き出した先は放送局。
此処を通じて放送を行うことが出来れば、殺し合いを良しとしない者たちを集めて主催打倒に向け前進出来るかもしれない。
美遊はそう考えた。恐怖で従わせようとするやり方は確かに人間に対して有効だが、それだけで完全に支配できるわけでもないのが現実である。
必ず、居るはずだ。自分のように殺し合いを良しとせず、主催者を憎む人間が。
美遊はそうした面々と一刻も早く合流し、その上でゲームを挫く方針を選んだのだ。
小学生らしからぬ理知的で筋道の通った考えの元、美遊は放送局を目指し──幸い、特段トラブルに見舞われることもなく目的地に辿り着くことに成功した。


498 : 罰ゲーム ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:51:03 heG1hVE.0
しかし。
局に入るなり、そこで美遊が見たのは──

「フ〜〜……出した出したァ。ブタ箱暮らしが長かったからよ〜、年甲斐もなくハッスルしちまったぜぇ」

悲惨な。
それでいて、非道な光景だった。
大柄な、恐らくは外国人であろう派手な髪色の男が下半身を露出させている。
そしてその足元で、女性と思しき裸の人間がピクピクと痙攣していた。
女性と思しき、という言葉を使ったのは、その人物の顔が激しく腫れ上がっていたからだ。
ひと目見ただけでは性別の区別が出来ない、そんな悲惨な有様で横たわる女性。
その股ぐらは男が出したのだろう白い体液でべっとりと汚されており。

──小学生らしからぬ聡明さと見識を持つ美遊は、此処で何があったのかをすぐさま理解した。

「ン? ……何だ、ガキかよ。ブハハハッ! 見せしめで殺された奴といい、このゲームの主催はロリコン趣味でもあんのか?」
「──喋らないで。耳が腐る」

魔法少女への転身は既に終えている。
この会場において求められる最善の考え方は常在戦場、いつ何処にいても油断しないことであると美遊はそう心得ていた。
その上で美遊は、眼前の男に冷たい敵意を向ける。
すると男は、また下品に声をあげて笑った。

「元気のいいお嬢ちゃんだなあ。オジサンはこの娘と愛し合ってただけだぜ?
 ま、ちょっと熱くなりすぎちまったけどな」
「喋らないで、って言ってる。貴方の発言を聞いてあげる気はないし、聞きたくもない」
「お〜、怖い怖い。……NEXT能力持ちかぁ? その自信。オジサンブタ箱にいて体が鈍ってんだよ、乱暴沙汰は無しにしてくれよ。な?」
「……なら、大人しく拘束されて」

話し合うまでもなく分かる。
この男はゲスだ。
この男はどうしようもないクズだ。
女を犯して、その上で女の命である顔まで気分でぐしゃぐしゃにしてしまうようなゴミだ。
だが、それでも。
美遊には、戦う意志のない相手を一方的に殺すような真似は出来なかった。
嫌悪も露わの目を向けながらも、降伏を促す。
こんな奴、生きていたって意味はない。
そう分かっていても──行動を起こせないのが、彼女の幼さであり甘さなのだろう。

「あぁ、分かった分かった。お嬢ちゃんの好きに拘束してくれて構わねぇよ。
 ……あ。でもその前に」

そういう意味では。
この男は、美遊・エーデルフェルトにとって間違いなく遭遇してはならない相手の一人だった。
社会を震撼させる悪行を働き、その末にヒーローに敗れて投獄された危険すぎる男。
ジェイク・マルチネスの名と風貌に覚えがないのも無理はない。
そもそも住んでいる世界が違うのだから、仕方のないことだ。
だが──この男の卑劣さと非道さ、そして危険さについて。
美遊は、もっと深刻に考え警戒するべきだった。

「遊んだ後の後片付けだけはさせてくれや。小学校でも習うよな? 楽しく遊んだ後は、ちゃんとお片付けしましょう──ってよ」
「……っ! 待っ──!!」

ジェイクが、痙攣する女性に指を向けた。
その指先に光が灯ったのを見た瞬間美遊は彼のやろうとしていることに気付き、急いで地面を蹴り彼への突撃を開始した。
だが、遅い。美遊がジェイクに辿り着く前に、彼の行動は問題なく完了した。

ジェイクの指先から光が伸びて。
それは、女性の無防備な裸体に炸裂。
次の瞬間──彼女の身体は、水風船を地面に叩きつけたみたいに弾け飛んだ。


499 : 罰ゲーム ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:51:43 nVACpf560
「……あ、ぁ……っ」
「ギャハハハハハ! 悪いなぁ、能力者なのはオジサンも一緒なんだわ。
 ガキが偉そーに“おまわりさんごっこ”してたからよ、ちょっとからかってみたくなってよ。
 まさかこんなあっさり信じてくれるとは思わなかったけどなァ。フ、フハッ、あぁやべえ。ツボ入っちまったよ!」

ゲラゲラと腹を抱えて大笑いする、ジェイク。
それを見る美遊の目が、冷たく鋭く細められた。
此処に至って彼女もようやく理解する。
腹の底から込み上げてくる嫌悪感と共に、決断する。

「──ごめんね、サファイア。でも止めないで」

この男は、駄目だ。
こいつは、生きていちゃいけない存在だ。
人間じゃない。これは、悪魔だ。
だから──こいつに一つの命を奪わせてしまった者の責任を果たさなきゃいけない。

「こいつは私が、此処で殺す」

ジェイク・マルチネス。
この卑劣漢を此処で殺し、もう二度と彼のゲスな悪意の犠牲者を出さない。
使命感すら覚えながら、美遊はジェイクへと突撃した。
それをジェイクは、ニタァ、という粘つくような笑みで以って迎え入れるのだった。





(いやぁ──良いなァ。最初はこの俺様に首輪なんぞ嵌めやがって、とムカついてたけどよ。ブタ箱上がりのウォーミングアップには最高のイカしたゲームだぜ、こいつは)

パイプ椅子に座りながら、ジェイク・マルチネスはそう独りごちていた。
ジェイクに道徳だとか倫理観だとか、そういうものはない。
彼はいつだとて徹頭徹尾、悪。
自分の欲望と衝動のままに動き、それで痛い目を見ても決して改心などしない根っからの大悪党だ。
そんな彼のような人間にしてみれば、このバトル・ロワイアルはどんな人気メーカーの最新ゲームよりも魅力的な「遊び場」だった。
首輪を付けられて命運を管理されるのは少しだけ不快だったが、悪を働く側が正義に取って代われるこの趣向は大変愉快だ。
そのくらいの不快感は余裕で我慢できる。

(しっかし……この首輪が作動して死ぬ光景。あれはもう一回見てえなぁ。
 腹がよじれて死ぬかと思ったわ。男でもあんな無様な死に方になんのか? だったらクソいけ好かねえヒーロー気取りクンを一匹二匹捕まえて、無理やり首輪で死なせてみるのも面白ぇかもなぁ……)

ジェイクは自分が殺される可能性など微塵も感じていない。
何故か。彼には、無敵と信じる絶対的な二つの能力が備わっているからだ。


500 : 罰ゲーム ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:52:21 6Soz7yVw0
「さっきの戦い」でも、神に選ばれた者の証拠であるそれらの力は大変圧倒的な戦いをジェイクにプレゼントしてくれた。
そして。戦いに勝利して得た戦利品は今、ジェイクの目の前のスタジオで元気に踊ってくれている。
愉悦の笑みを浮かべながら、ジェイクは戦利品たる彼女へと下劣な野次を飛ばした。

「オラ、もっと腰入れて踊れよ“ブタ女”! 手ぇ抜いてたら本当に殺しちまうぜェ〜〜!?」


「──は、はいぃ……っ! ぶ、ぶひっ…! ぶひぃっ、ぶひぃ! 美遊・エーデルフェルト! 改め! ブタ女、です! ぶひぃ、ぶひぶひぶひ〜〜〜っ!!!」

──あの後。
美遊とジェイクの戦いは非常に一方的なもので終わった。
美遊が放つ攻撃は、その悉くが空を掠めるかジェイクに片手間で防がれるかのどちらかだった。
何かがおかしい。こんなわけがない。
武芸の経験があるとも思えないこんな男が、どうしてこうも自分の動きに対応出来るのか。
まさか──と。
その謎の答え、“他人の心を読める”というものに辿り着いた時にはもう遅かった。
美遊の顔面にはジェイクの拳が突き刺さり、前歯を何本もへし折られて魔法少女は床を転がった。

そこからの顛末はより酷い。
カレイドステッキを奪われ、美遊の味方であったサファイアはジェイクのデイバックに押し込まれてしまった。
無力になり、鼻血を噴いて転がる美遊に対してジェイクが、この卑劣な男が「なに」をしたのかは語るに及ばずだ。
およそ数十分の屈辱が終わった美遊の地獄はしかしそこからだった。
二人立て続けに劣情の捌け口にして上機嫌のジェイクは、彼女に命じたのである。

放送局の電波を利用して、会場中に向けた「裸踊り」を放送することを。


501 : 罰ゲーム ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:53:05 x4Fu81/.0
(こうやって垂れ流しにしときゃ、放送を見た奴の中で局(ここ)を目指す奴も出てくんだろ。
 いたいけな女の子がこんなことするわけがない、誰かにやらされているハズだ──なぁんて、クソウゼえ正義感燃やしてやって来るバカがよ。
 んで、俺がそいつらを狩るって寸法だ。釣りみたいでワクワクすんなァ)

単純に、自分に生意気なことを言ってきたメスガキが無様を晒す姿が笑えるからというのもあるが。
ジェイクの主な魂胆はそれだった。
ジェイクは自らのNEXT能力に絶対の自信を持っている。
そして事実、彼の力は強力無比。初見で何も知らない者が攻略するのは極めて難しい。
この放送局はジェイクにとっての狩場と化した。

「ぶ、ブタ女の……っ。──け、ケツ穴オナニーダンス見てください! ぶひぃ、ぶほっ、ふごっ、ふごぉっ! ふごごっ、ふごごごぉ〜!! 気持ち、いい…ですっ! ケツ穴、ほじって、ッ。ブタ面で踊るの、最高、ですぅ〜〜…っ!!」

全裸で踊らされているだけならまだ良い。
美遊の鼻はフックをかけられ、吊り上げられていた。
そうしてブタのような面を晒しながら、殴られ一撃でKOされた証拠である隙間の増えた歯列を晒し、肛門を弄り回してへこへこ踊る。
髪の毛には、ジェイクからの凌辱の中で晒した失禁で濡れたパンツが被せられている。

(……耐える。今は、耐える。とにかく、耐える。いつかこいつを殺せるかもしれない。耐えないと。耐えないと。私は死ねない。生きるためには耐えないと。耐えないと。耐えないと……)

媚びた笑みの裏で。
ブタの鳴き真似を繰り返す口の裏で。
美遊はうわ言のように、暗示のようにそう繰り返していた。
そうでもしなければ発狂しそうなほどの羞恥と屈辱。
命という何より替えの効かないものを人質に強制される下品な舞。
もしも美遊に背負うものがなければ、帰りたい場所がなければ、一も二もなくこの場で舌を噛み切って自決していただろう。

(耐えよう。そして殺す。こいつだけは、殺す。……他人を性の捌け口にするような奴らは。絶対、許さない)

その覚悟だけを最後の支柱にしながら。
美遊は、ひたすらに踊り狂った。


502 : 罰ゲーム ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:54:05 YjofjGzE0
「ぶっひぃ〜〜! ぶひっ、ぶひぶひ! はぁあああんっ♪ け、ケツ穴……気持ちいいですっ! 気持ちよくてお…おまんこ、濡れちゃってます。見てっ!! ふごぉっ!!」

いつか殺す。──負けたのに?
不意をついて殺す。──心を読まれるのに?
攻略法を探す。──この考えだって丸聞こえになってるのに?
殺すったら殺す。──どうやって?

「(殺すったら殺すの。……殺すったら殺すの……!!)」

──本当に。
ステッキもない私に、こいつを殺せるの?


「ぁ……」


ちょろちょろと。
股間から黄金水を垂れ流して動きを止める美遊。
それでも彼女は踊るしかない。
ジェイクがほんの少し手を動かせば、帰るべき場所のためにと踊り狂う。
がちがちがちと歯を震わせて。
ぶひぶひぶひと滑稽に鳴いて。

──そんな美遊の心の全てを読みながら。
ジェイク・マルチネスは、ただニタニタと笑っていた。


【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:全裸、歯複数本欠損
[装備]:鼻フック、頭に失禁パンツ
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:打倒主催。クロを弄んだ責任を取らせる。
0:ジェイクを殺す。殺すの。
1:生きるために今は耐える。
2:性的なことに対する極めて激しい嫌悪と殺意

【ジェイク・マルチネス@TIGER&BUNNY】
[状態]:健康、上機嫌
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、美遊の基本支給品&ランダム支給品0〜1、カレイドステッキ@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]
基本方針:この最高にイカしたゲームを楽しむ。
1:美遊の生放送で参加者を釣り出して殺す。
2:ムカつくガキにはお灸を据えてやらねーとな?
[備考]
バリア能力に制限がかかっています。連続で10秒以上の展開は出来ません。

[全体備考]
放送局から美遊の裸踊りが会場に放送されています。


503 : ◆TCeRkOBksY :2021/10/30(土) 17:54:21 YjofjGzE0
投下終了です


504 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/31(日) 08:32:32 lG3gEJIA0
短いですが投下します


505 : 何もかわりゃしねえんだよ ◆7PJBZrstcc :2021/10/31(日) 08:33:26 lG3gEJIA0
 参加者の一人である青髪の少女が、ただ怯えている。
 彼女の名前はさやかちゃん。とある小学校のクラスのマドンナである。

 さやかちゃんはこの殺し合いに呼ばれる直前、好意を抱いているクラスメイト、天野河リュウセイが苦悩する姿を見て戦いを止めようとした。
 しかし彼女の言葉を受けたリュウセイは逆に闘志を燃やし、戦場へと向かっていってしまった。
 それを見送った直後、彼女はこの殺し合いに巻き込まれたのだ。

 とりあえず辺りを警戒し、辺りを見回しながら進むさやかちゃん。
 その様はとても隙だらけで、仮に何の訓練を積んでいなかったとしても、彼女より少しでも年上ならよほどの老人でもない限り勝てるだろう、と思わせる有様だった。
 ここで戦い慣れしていて、殺し合いに乗っていない誰かと遭遇すれば、彼女にも生きる目はあっただろう。
 だが現実は――

 グサ

「……え?」

 さやかちゃんは背中から槍で心臓を一突きにされ、酷くあっさりとこの世を去った。

【さやかちゃん@人造昆虫カブトボーグV×V 死亡】





「ま、エロトラップって奴に引っかかるよりはマシだろ。悪く思うなよ」

 亡くなったさやかちゃんのデイバッグを回収しつつ、下手人である赤髪の少女が言葉を零す。
 彼女の名前は佐倉杏子。キュゥべえと契約した魔法少女であり、殺し合いに乗った参加者の一人である。
 彼女が殺し合いに乗った理由は一つ、生きる為だ。

 杏子はそうやって生きてきた。
 昔は他人の為、世界の為に戦っていた時期もあった。
 だが彼女の純粋な願いは、彼女の家族を壊し、彼女を残して一家心中にまで追い込んでしまった。
 その日から、彼女は自分の為だけに生きるようにした。
 そうすれば、何が起きても自分のせい。後悔なんてあるわけない。
 大抵のことは背負えるはず。

 ソウルジェムを濁らせない為に、魔女を倒しグリーフシードを手に入れ続ける日々。
 弱いものが餌になり、強いものがそれを食う食物連鎖。
 そう――

「何もかわりゃしねえんだよ」

 杏子にとって、今までの人生とこれからの殺し合いは何も変わらない。
 殺し合いの主催者という強者に命を握られた以上、逆らうなんて馬鹿な真似はしない。
 もし殺し合いに抗う方に勝ちの目があるなら、そっちに乗り換えることもあるかもしれない。
 だが少なくとも今は、素直に従って殺し続ける。

 躊躇いなんて、あるわけない。


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、魔法少女に変身中
[装備]:ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3、さやかちゃんのデイバッグ(基本支給品、ランダム支給品1〜3)
[思考・状況]基本方針:生存優先
1:今は適当に参加者を探して殺す
2:エロトラップには引っかかりたくない
[備考]
参戦時期はTV版6話終了後です。


506 : ◆7PJBZrstcc :2021/10/31(日) 08:33:54 lG3gEJIA0
投下終了です


507 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:21:17 bK7ocQn.0
投下させていただきます。


508 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:22:22 bK7ocQn.0
浮遊大陸のとある片隅で……


「ヘヘッ。先生方、来ましたぜ?『獲物』になりそうな参加者(カモ)が!」

(二人連れ……若い男と女……デイバック以外は持っていない)

「なるほど……最初の『生贄』としては悪くないな」

(それなら俺が……)

「……おぉっと!あのくらい、俺だけで十分でさぁ。ま、見ててくださいなぁ〜……っと♪」

『……ギギギギィ』



********


「す、すいません京太郎さん……私の荷物まで持ってもらって……」
「なぁ〜に、気にすることないよテルちゃん。カバンを二つ持つくらい、何でもないさ」

月明りに照らされたほの暗い夜道を、黒縁眼鏡とセーラー服を身に着けた黒髪の少女……紅葉山テルと、
20代前半くらいの細身の青年……鏡京太郎の二人が連れ立って歩いていた。


この会場に送られてすぐに、テルと京太郎は出会った。

元々人見知りが激しい恥ずかしがり屋であるテルは、
ここが『殺し合い』の場だということと相手が自分より年上の男性という事も手伝って、
最初は警戒……というか、挙動不審気味ではあったが、
京太郎自身の人柄と殺し合いに乗るつもりは無いスタンスからすぐに打ち解け、行動を共にすることになったのである。

薄暗い夜道を二人はおっかなびっくり歩いていく。

「……?」
「……うぷっ」

その時、京太郎の足が止まり、京太郎の背後についていたテルは京太郎の背中にぶつかってしまった。

「き、京太郎さん?ど、どうかしたんですか?」
「いや……何か、誰かに見られている気が……」

京太郎が周囲を見渡していると、突如ズシン、ズシンという地響きのような音が響き渡り始めた

「えっ?えっ?な、なななななんですか?」
「こ、これは……!?」

突然の事態にテルは慌てふためき、京太郎は厳めしい表情を浮かべる……。
その時、二人の頭上に『巨大な影』が現れた。

『……えっ?』

京太郎とテルが頭上に顔を向けると……

『ギギギギィ!!』

……なんと、骸骨のような頭部から巨大な鎌を生やした身長20m近い大きさの巨大ロボットが、二人を見下ろしていたのだ!

『ギギギギィ!』

ロボットは骸骨のような頭部から生えた巨大な鎌の1本を手に持つと、二人に向けて大きく大きく振り下ろさんとする。


509 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:24:07 bK7ocQn.0
「テルちゃ「京太郎さん下がってください!」えっ?」

京太郎の前に出たテルは、両手首にはめた腕輪をカンカンと2回打ち鳴らした。
するとどうだろう……テルの姿は一瞬にして、
フード付きの白いボディスーツとマント、目元を覆うマスクを身に着けた白い髪の少女へと変化する。

これこそ、紅葉山テルのもう一つの姿。
日本を守る若きヒーロー『シャイ』である!

「て、テルちゃん……君は!?」
「ここは私に任せてください!」

『ギギギギィ!』

テルの突然の変身に京太郎は目を丸くするが、
巨大ロボットはそんな事をお構いなしに手にした巨大鎌を二人に振り下ろした。

「てぇ〜い!!」

テルは……シャイは巨大ロボットの振り下ろした巨大な鎌をその小柄な体の全身を使って受け止める。

「こぉん……のぉ!」
『ギギギギィ!』

巨大ロボットの鎌を受け止めたシャイはその巨大鎌を押し返そうと力を籠めるが、
一方の巨大ロボットはシャイの反撃を意に返さず、巨大鎌でシャイを潰しにかかる。

「……」

京太郎はシャイと巨大ロボットとの戦いを傍らで呆然と見ていたが……
その時、巨大ロボットの鎌の刃が月の光を反射してキラリと輝いたのを見逃さなかった。

「!」

それを見て、京太郎はポーズをとりながら叫んだ。

「ミラー・スパーク!!」

次の瞬間、京太郎の体は光となって巨大ロボットの鎌に飛びこび、次の瞬間……

「……デヤッ!!」

鎌の刃から、銀色を基調に緑と黄色のアクセントを施した戦士が飛び出してきた。
これこそ、二次元人と地球人のハーフである鏡京太郎のもう一つの姿、『ミラーマン』である!

「きょ、京太郎さん!?そ、その姿は……」
「話は後だテルちゃん!まずは、こいつを倒そう!!」
「は……はいっ!!」

ミラーマンからの言葉を受け、シャイは巨大ロボットの鎌を受け止める自身の体に一層の力を籠め……

「ウオリヤアアアアアア!!!」

……ついに、巨大鎌を巨大ロボットごと押し返したのだ!

『ギ、ギギギィ!?』

自分よりも遥かに小さいシャイに押し返され、巨大ロボットの体が大きくよろめく。

「ミラーナイフ!」

そこへ、ミラーマンが巨大ロボットに向けて手刀を構え、白い楔型の光線を放つ。
光線は巨大ロボットの胴体に命中し、爆発を起こしたのだ。

『ギギギギィ!?』

「よしっ!喰らe……」

シャイが爆発に驚いた巨大ロボットに向けて両手から炎を放とうと……した時だった。

キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!

「……うわぁああああああああ!!!」

突然、シャイの頭部を激しい頭痛が襲いかかった。

いや、それは『頭痛』などという生易しいもの等ではない。
脳髄を無理やり握りつぶされるような、精神その物を切り刻まれるような。

形容する言葉も分からない程の激しい苦痛が、シャイの頭部を襲ったのだ。

「て、テルちゃん!大丈夫か!?」

突然頭を抱えて苦しみだしたシャイに、ミラーマンの注意が向いた時だった。

突然、巨大ロボットの背後から『何か』がミサイルのように発射され、ミラーマンに襲い掛かったのだ。

「……デヤッ!?」

突然の攻撃にミラーマンは反応する事もできず、砂ぼこりを上げながら地面に叩きつけられた。

「……全く。『一人で十分』と言っておきながら、この様か?」
「そ、そんな事言ったって……まさか変身するなんて思わなくて……」
「ガアァッ!!」

巨大ロボットの背後から話し声が聞こえてきた。

ミラーマンが顔を向けると、巨大ロボットの足下に三つの人影の姿があった。


510 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:24:50 bK7ocQn.0
一人は、全身をマントに包んだネズミのような顔をした男。

もう一人は、中華風の青い鎧のような服を身に纏い、両腕にそれぞれ5個ずつ、合計10個の腕輪を装着している30〜40代程のアジア系の男。

そして最後の一人……いや、1頭は、全身を黒い剛毛で包み、2本足で直立した身長2m近いゴリラだ。


「お、お前たちは……?」
「……フン」

青い鎧の男はミラーマンの問いかけに答えることなく鼻を鳴らすと、
ミラーマンに向けて右腕を向ける。

すると、鎧の男の腕に装着されていた5個の腕輪がミサイルのように発射されて、
ミラーマンに向かって飛んで行った。

「!?ディフェンス・ミラー!」

慌ててミラーマンが空中をなぞるように手を振ると、
一瞬にして光の壁が出現して5個の腕輪を受け止める。

「……」

しかし、鎧の男は慌てることも騒ぐこともなく、ミラーマンに向けて静かに左腕を向け、
左腕に装着されている腕輪を5個全て発射した。

「で……デヤアアアッ!!?」

流石のミラーマンのバリアも10個全ての腕輪の同時攻撃には敵わず、
地面がえぐられる程の勢いで吹き飛ばされてしまったのだ。

「あああああああああ……」
「で、デヤ……」

シャイは頭を抱えたまま大きく目を見開いて涙とヨダレを垂れ流し、
ミラーマンは銀色の体を土まみれにして地面に横たわっていた。

「……」

10個の腕輪を両腕に再装着した青い鎧の男は、
満身創痍な状態のミラーマンとシャイをまるで屠殺場の豚を見るような目で眺めていた。

「グルルルルッ!」
「ヘヘヘッ」

その背後で、ゴリラは歯と歯茎を剥き出しにして威嚇し、
ネズミのような顔の男は勝ち誇るような笑みを浮かべていた。

そして、青い鎧の男が二人にトドメを刺そうと両手を構えた……その時だった。


ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!

『ギギギギィ!!!』

『!?』

突然、青い弾丸のような『なにか」が巨大ロボットにぶつかり、巨大ロボットは土煙を上げながら地面に倒れ込んでしまったのだ!

これには3人……もとい、2人と1頭も目を見開く。

そして……

2人と1頭が気を取られている隙に、
『何者か』がミラーマンとシャイを連れて『飛び去って』行ったのだった。



********


511 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:25:41 bK7ocQn.0
ミラーマンとシャイが姿を消した後。

「あれまぁ〜?逃げられちまいましたぜ?どうします?」
「……構わん、放っておけ。後でまた会ったら、その時トドメをさせば良いだけだ」

ネズミのような男……ネズミ男からの問いかけに、
青い鎧の男……シュー・ウェンウーは興味なさげな返答をする。

「いやぁ〜……にしても、先生方以外にも妙な力を持った力を持った参加者がいるとは……驚きましたぜ」

ネズミ男は関心するように呟くと、
地面に倒れた巨大ロボット……自身の支給品である『機械獣ガラダK7』に目を向ける。

『ギギギギィ』

スーパー鋼鉄製のガラダK7の胸部は、まるで追突事故を起こした自動車のように凹みができていた。

「確かにな……。だが、『超人的な参加者がいる』という事実、そしてこの会場や配置されたNPCの存在は
あの主催の男の力が本物だという物的証拠でもある」

ウェンウーは自身の掌に目を向ける。

「家畜のように首輪を嵌められ、殺し合いを強制されるというのは正直不本意ではあるが……
優勝すれば『どんな願いも叶える』というのであれば目を瞑ろう」

ウェンウーは拳を固く握りしめ、この場における誓いを立てる。

「優勝し、我が妻を冥府より連れ戻す!そのためならば、私は神仏すらも殺してみせよう!!」

硬い誓いを決めるウェンウーに、ねずみ男は手をすり合わせながら近寄る。

「あの〜?それで、ワタクシとのお約束の方は……?」
「……分かっている。副賞の賞金20億円は全てお前にやろう。私は『金』など腐る程持っているからな」
「ありやっさーす!!」
「それにしても……例え死んでも簡単に蘇る手段や方法を持っているとは……『妖怪』というのは随分と便利な存在なのだな?」
「いやぁ〜♪それほどでもぉ〜?」

ウェンウーの皮肉交じりな言葉に、ネズミ男は照れ笑いを漏らしたのだった。

(……それで?これからどうする?)

そこへ、それまで黙っていたゴリラ……グロッドがテレパシーを使って今後の方針を聞いてきた。

「……一先ずは場所を移動しよう。これだけ大騒ぎしたんだ。NPCや他の参加者が集まってくるかもしれん。
全員殺すとしても、多勢に無勢では逆にやられてしまうからな」
(……了解だ)
「ほらガラ公!さっさと起きろって!」
『ギギギギィ』

……かくして2人と1頭、そして1体は夜の闇へと消えていったのだった。





【シュー・ウェンウー@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康
[装備]:10個のリング@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:優勝し、死んだ妻を蘇らせる
1:ネズミ男、グロッドと行動する
2:とりあえず、場所を移動する
3:アベンジャーズなどのヒーローがいたとしても、返り討ちにする
4:もし、子供たち(シャン・チーとシャーリン)いたならば……
[備考]
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』本編開始前からの参戦

【ネズミ男@ゲゲゲの鬼太郎】
[状態]:健康
[装備]:ガラダK7@マジンガーZ(ダメージ・中)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:強そうな参加者に従って、賞金20億円を手に入れる
1:先生方(ウェンウー、グロッド)と行動する
2:もし死んでも、恐山の妖怪病院で生き返らせてもらおう
3:もし鬼太郎がいたら……いつもみたいに寝返ろうかな?
[備考]
アニメ第4期(90年代版)からの参戦。
『もし死んでも、恐山の妖怪病院で生き返らせてもらおう』と思っているので、
生死よりも目先の金を優先しています。

【グロッド@THE FLASH/フラッシュ(ドラマ版)】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:セントラルシティに帰る
1:ウェンウー、ネズミ男と行動する
2:ある程度参加者が減ったら、ウェンウーを倒す
3:もしフラッシュ(バリー・アレン)がいたら、殺す
[備考]
ファーストシーズン終了後、セカンドシーズン開始前からの参戦。


512 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:26:21 bK7ocQn.0
[支給品紹介]

【10個のリング@マーベル・シネマティック・ユニバース】
シュー・ウェンウーの愛用武器であり、ウェンウーが首領を務める秘密結社『テン・リングス』の名前の由来となったアイテム。
正体不明の技術で作られた10個1組の腕輪で、所持者に莫大な戦闘能力と不老長寿を与える。
ウェンウーは1000年前にこの腕輪を入手して以来、妻イン・リーと結婚し死別するまでの一時期を除き、
肌身離さず両腕に装着している。

【ガラダK7@マジンガーZ】
ネズミ男に支給。
世界征服を企む悪の天才科学者『ドクター・ヘル』が開発したロボット兵器『機械獣』の一体。
身長18m・体重200t。
死神を思わせる外見をしており、主な武器は頭部に備えられている2本の鎌と両目から発射するミサイル。
ダブラスM2と共にマジンガーZ第1話・第2話に登場し、マジンガーZと最初に戦った記念すべき機械獣。



********



一方その頃……

「う、うぅ……あれっ?」

気が付くとシャイは、空を高速で飛行していた。

「えっ?私飛んで……」
「騒ぐな!落ちるぞ!」
「えっ?」

突然知らない男性の声が聞こえたので、振り向くと……

「……落ちたいならそう言え。どこに落ちたい?」

……そこには赤い服と黄色いマフラーを身に着けた鳥の嘴のような鼻をした白人男性の顔があった。
どうやら今、シャイはそのクチバシのような鼻をした男性に抱きかかえられた状態で空を飛んでいるようだった。

「あ、あの……え〜っと……」

『見知らぬ男性に抱きかかえられている』という事実にシャイは顔を赤く染めるが、
そこであることに気が付いた。

「……あっ!き、京太郎さん!京太郎さんは!?」

そう、自分と一緒にいたミラーマンこと鏡京太郎は無事なのか?
シャイの頭の中はその事でいっぱいになった。


513 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:26:43 bK7ocQn.0
「……心配はいらない」
「……えっ?」

その時、また別の男性の声が聞こえてきた。

声のした方に顔を向けると……

「……お友達は無事だよ」

そこには、胸部に大きく『S』と書かれた青いボディスーツを着用し、
背中には赤いマントを装着した白人男性が、クチバシのような鼻をした男性と並行する形で空中を飛行していた。
そして……

「!き、京太郎さん!!」

……鏡京太郎のもう一つの姿・ミラーマンが、そのマントの男性に抱えられていたのだ。
ミラーマンはマントの男性に抱えられた状態で顔を項垂れてグッタリとしていた。

「京太郎さん?京太郎さん!?」

シャイに呼びかけられても、ミラーマンは何の反応も返さない。
シャイの脳内に最悪な事態が過った。しかし……

「大丈夫、気を失っているだけだよ。しばらく休ませれば、目覚めるはずだ」
「そ、そうですか……?良かったぁ……」

マントの男性の言葉に、シャイは安堵のため息を漏らした。
そこでシャイは、まだ二人に自己紹介をしていない事に気が付いた。

「えっと……私は日本でヒーローをやっています『シャイ』です。あの、あなた方は……?」
「……俺は『002』だ」

シャイの自己紹介を受け、まず、シャイを抱えている男性……002が名乗る。

「ぜ、002?」
「番号で呼ぶなら、な」
「……僕はスーパーマン」

続いて、ミラーマンを抱えているマントの男性……スーパーマンが自己紹介した。

「アメリカのメトロポリスって街でヒーローをやっているんだ。よろしく」
「……えっ?」

スーパーマンの『アメリカでヒーローをやっている』という言葉に、シャイは違和感を感じた。

「あの、すいません……確か、アメリカ担当のヒーローは『センチュリー』って名前だったと思うんですが……?」
「……『センチュリー』?聞いたことがないな……?」

シャイの問いかけに、今度はスーパーマンが首を傾げた。

「……まぁとりあえず、詳しい話は後にしよう。今はどこか比較的安全な所を探そうか」


514 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 16:28:38 bK7ocQn.0
以上、投下を終了します。
タイトルは『鏡の戦士と恥ずかしがり屋VSテン・リングス首領&ゴリラ+妖怪feat.クリプトン人+サイボーグ戦士』
になります。


515 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/10/31(日) 17:15:56 bK7ocQn.0
すいません、シャイ組の状態表を投下し忘れてました。
以下になります


【紅葉山輝(テル)(シャイ)@SHY】
[状態]:シャイに変身中、精神的ダメージ・大
[装備]:転心輪@SHY
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、参加者を救う
1:まだ頭痛い……
2:京太郎さんって何者?それに、この人達(スーパーマンとジェット・リンク)は……?
3:『アメリカのヒーロー』ってセンチュリーじゃ……?
4:知り合いがいたら合流する
[備考]
単行本9巻終了後からの参戦

【鏡京太郎(ミラーマン)@ミラーマン】
[状態]:ミラーマンに変身中、気絶、ダメージ・大
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、参加者を救う
1:……(気絶中)
2:テルと行動する
3:知り合いがいれば、合流する
[備考]
本編中盤、ジャンボフェニックス登場後からの参戦。
制限により、『巨大化』と『鏡を介したテレポーテーション』は不可能。
変身しても首輪は外れません。

【ジェット・リンク(002)@サイボーグ009】
[状態]:健康
[装備]:サイボーグ戦闘服@サイボーグ009
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:スーパーマンと行動する
2:シャイ(テル)と京太郎を助ける
3:ゼロゼロナンバーの仲間がいれば合流する
[備考]
平成アニメ版からの参戦。

【スーパーマン(クラーク・ケント)@DCエクステンデッド・ユニバース】
[状態]:健康
[装備]:スーパーマンコスチューム@DCエクステンデッド・ユニバース
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:002(ジェット)と共に仲間を集める
2:シャイ(テル)とそのお友達(京太郎)を安全そうな所につれていく
3:日本にもヒーローがいるのか……知らなかった
4:センチュリー?聞かないヒーローだな?
5:ジャスティスリーグの仲間や知り合いがいるなら合流する
[備考]
『ジャスティス・リーグ』終了後からの参戦。
名簿にも『スーパーマン』として記載されています。
能力の制限などに関しては、後の書き手さんにお任せします。


[支給品紹介]

【転心輪@SHY】
作中におけるヒーローの変身アイテム。
両手首に装着するブレスレット状の器具で、2回打ち鳴らす事でヒーローに転心(変身)する。
心のエネルギーを様々な力へと変換する。
発現する能力は着用者の心によって千差万別であり、着用者の思いの強さによって能力も高まる。
着用者が失神または戦意喪失すると、能力や転心は解除される。

【サイボーグ戦闘服@サイボーグ009】
ゼロゼロナンバーサイボーグが戦闘などの非常時に装着するお揃いの服。
黄色い大きなボタンのついた赤い服と黄色いマフラー、黒いブーツで構成されている。

【スーパーマンコスチューム@DCエクステンデッド・ユニバース】
スーパーマンことクラーク・ケントがヒーロー活動を行う際に装着しているコスチューム。
シリーズや媒体によっては単なる全身タイツだが、これは『DCエクステンデッド・ユニバース』バージョンなので、
スーパーマンの故郷『クリプトン星』で作られたボディアーマー。
胸部に描かれた『S』のマークはアルファベットのSではなく、
クラーク・ケントことクリプトン人『カル=エル』の一族の紋章であり、クリプトン星における『希望』のシンボルである。


516 : ◆s5tC4j7VZY :2021/10/31(日) 17:34:50 GdFZJc5g0
投下します。


517 : とある異能のエロトラップ ◆s5tC4j7VZY :2021/10/31(日) 17:35:22 GdFZJc5g0
異能ーーーーー人よりすぐれた才能。一風変わった独特な能力。
Weblio辞書より引用。

第一章 ヘンジル

―――ブンッ!

―――サッ!

―――ゴォッ!!

ササッーーー

一つ目の巨人……サイクロプスは倍増された性欲により、目は血走りをして参加者を襲っている。
全ては参加者を犯すために。

しかし―――

―――サッ!

―――サササッ!!!

襲われている少女はサイクロプスの攻撃を難なくと避け続けている。

少女の名はマタ・タミ。
暗黒世界ドン・クラーイの住民。

マタは持ち前の身軽さでサイクロプスの剛腕を避ける。避ける。避ける。

そして―――

「ヘンジル!」
言葉と同時にマタの身体は―――

―――戦闘機”しん電”へと変化した。
「グアーーーッ!!!」
サイクロプスは目の前の牝が己の思い通りにならず、怒りの雄たけびを上げる。

マタはそれを無視してその場を立ち去った―――

☆彡 ☆彡 ☆彡


518 : とある異能のエロトラップ ◆s5tC4j7VZY :2021/10/31(日) 17:35:44 GdFZJc5g0
第二章 なんとなく頑張る

ブロロロロ―――

―――ボォン!

スタッ―――

変身が解け、マタはクルクルと旋回しながら着地した。

「いつもより、変身できる時間が短くなっている……それに体の疲労が……これもあの男による制限の力か……」
マタは”ヘンジル”による変身時間の短さと疲労から主催の男による制限を課せられていることに気づく。

(しんちゃん……きみがこの場にいないことを祈ってるよ……)
マタは目を瞑ると両手で祈る。
自分の住む世界を救ってくれた”勇者”が巻き込まれていないことを。

「さてと……]
マタは”ん〜〜〜ッ”と両腕を上げて気持ちを切り替え―――

「張り切りすぎたら、エロトラップに引っかかる危険がある。だから……”なんとなく頑張る!”そうだよね?しんちゃん」
マタはしんのすけの言葉を胸にマタは歩きだす。

―――この企みを阻止できる仲間を探すために。

【マタ・タミ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ戻る
1:仲間を探す
2:無理せず”なんとなく頑張る”だよね、しんちゃん
[備考]
※参戦時期は映画終了直後

☆彡 ☆彡 ☆彡


519 : とある異能のエロトラップ ◆s5tC4j7VZY :2021/10/31(日) 17:36:09 GdFZJc5g0
終章 ですの! 

「ガァアアア!!!!!」
マタを取り逃がし、怒り狂って周囲の木々を殴り倒すなど暴れていたサイクロプス。
ようやく新たに参加者を見つけると、今度こそ心中渦巻く性欲を発散しようと襲い掛かった。

―――が

「ガ?」
狙いと定めた牝の少女の姿が消えて、サイクロプスは頭上に?マークを浮かべ、首を傾げる。

その直後―――

「ガッ!!!???」
目の前に姿を現した少女のドロップキックにサイクロプスは怯むと同時に尻もちをつく。

「はぁ……相手の意志を確認せずに無理やり性交へと襲い掛かるなんて、野蛮にもほどがありますわよ?」
少女はあきれるようにサイクロプスを諫めると―――

右手を下に向け、左手で腕章を相手に見えるよう横に引っ張り―――

「ジャッジメントですの!」
お得意のポーズと同時に決め台詞を放つ。

少女の名は白井黒子。
レベル4の空間移動能力を持つ―――風紀委員

☆彡 ☆彡 ☆彡


520 : とある異能のエロトラップ ◆s5tC4j7VZY :2021/10/31(日) 17:41:57 GdFZJc5g0
☆彡 ☆彡 ☆彡

「ガァァァァアア!!!」
黒子の名乗りにサイクロプスは”知るかそんなもん”とばかりに再度、襲い掛かる。

「やはり、怪物相手では、伝わりませんか……なら!」
こりぬ怪物に黒子は”やれやれとため息をつくと、サイクロプスの身体の触れ―――

「安心しなさい。命は取りません……わッ!」
言葉と同時に能力を発動した。

「ガッ!?」
サイクロプスは空中へ空間移動させられた。

それも、逆さまの位置に。

ズド―――ン!!!!

「!!!???」
サイクロプスは強い衝撃を頭から受けて意識を落とした。

「ふぅ……ひとまず、能力は発動することができますわね」
黒子は自身の持つ”空間移動能力”を発動できることに安堵する。

が―――

その能力は今後、使用するたびに黒子の心身を消耗させることとなる。

なぜなら―――

―――カッ!!

「!?」
(足元に魔法陣……ッ!まずいですわ!)

―――エロトラップが発動したからだ

足元の魔法陣に黒子は主催の男の言葉を瞬時に思い出し、即座に離れようとしたが、一足多かった。

「ッ!?」
(お尻……!?)
突如、お尻の穴をカンチョーされたような感覚が黒子を襲う。

それは―――
エロトラップ”アナルほじほじプラグ”

参加者が能力を発動したらアナルをほじほじするアナルプラグのエロトラップ。

ブブブブブ!!!!!

「ッ!!〜〜〜〜〜〜/////」
(お、お尻の穴が!?)
振動が黒子の閉じられたアナルを無理やりほじほじと広げようと振動する。

「お、おやめなさい……ッ〜〜〜〜〜!!?」
お尻の穴を責め立てられ、黒子は膝から崩れ落ち、四つん這いの格好になる。

「く……黒子はまけません……わ……」
黒子は必死に耐える。

―――が

振動が止むのはもう少し後であった―――

【白井黒子@とある科学の超電磁砲外伝 アストラル・バディ】
[状態]:健康 アナルに違和感(大) 屈辱 
[装備]:アナルほじほじプラグ@エロトラップロワ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あの主催の男の企みを阻止して確保する
1:お尻の”コレ”をどうにかしたい
2:くッ……黒子はまけま……せんわ
[備考]
※参戦時期は20話後
※空間移動(テレポータ)の使用をするたびにアナルプラグが振動します。

『エロトラップ紹介』 【エロ魔法陣”アナルほじほじプラグ”@エロトラップロワ】
足元の魔法陣に触れると発動するエロトラップ。
魔法陣のトラップは多種に渡る。
今回、黒子がかかったのは、”アナルプラグ”普通のアナルプラグではなく、能力発動に応じて、装着者のアナルを責め立てる。なお、外すことは不可能である。少なくとも会場とされた浮遊大陸内では。

『NPC紹介』 【サイクロプス@遊戯王OCG】
一つ目の巨人。太い腕とヒエールの改造により巨根と化した一物で参加者を襲う。


521 : とある異能の性罠尻穴 ◆s5tC4j7VZY :2021/10/31(日) 17:43:25 GdFZJc5g0
投下終了します。
それと、同時にスミマセン。
タイトルを
とある異能のエロトラップから
とある異能の性罠尻穴に変更でお願いします。


522 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/01(月) 05:17:46 5IpFIkXo0
投下します


523 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/01(月) 05:20:16 5IpFIkXo0
 黒を基調とした、何処かロックバンド感ある服の青年が木々によって塞がれかけた夜空を見上げる。
 木々が邪魔をして夜空は星をわずかに映すだけで、気分を晴れやかにすることはなかった。
 やれやれとでも言いたげな溜息を吐く青年は橙色が風に靡いたかのように斜めに逆立った髪もあって、
 より音楽を嗜んでそうな格好をしてるが、別にそう言った趣味に勤しんでいるわけではない。
 そも、彼に職と言った概念があるとすれば元王であったことぐらいか。

「俺に殺し合いをさせるって、分かってるじゃねえか。」

 空を眺め終えて瞳を閉じるが、笑みを浮かべながら開く。
 不敵な笑みとか微笑みとかそういう人を惹きつけるものではなく、
 見るからに悪党のような、人を不快にさせる下卑た笑み。
 とても善良な側の人間とは思えないもので、事実その通りだ。

 彼は真月零、と言うのは人間として活動する際の名前でまたの名をベクターと言う。
 バリアン世界を救うために対となるアストラル世界を滅ぼすべく、
 ナンバーズカードを所持するアストラルと敵対していたバリアン七皇の一人。
 と言うのは表向き……と呼べるほどに完璧に隠せていたわけでもないが、
 野心家であるベクターは七皇を裏切り、他の七皇の大半を手にかけている。
 闇討ち、騙し討ち、裏切りは最早彼の十八番。平たく言えばゲスの極み。
 その一言で済ませられる程度には悪逆非道の限りを尽くしていた。

「トラップについては一応俺は詳しい方だぜ? まあカードでの話だがな。」

 何度も対戦相手を演技や罠で翻弄したことを思い返しながら、
 先ほど見せしめになった名も知らない褐色の少女の事も思い返す。
 あれで嫌悪感も不快感も示さずに『なんとおぞましい趣味をお持ちで』で済むのも、
 そう言った外道をほぼ最初から最後まで只管突き進んでいった男だからこその反応だ。
 (無論ああいう手段を取ったことはないので、多少程度とは言え引きつり気味でもあったが)
 人を罠に嵌める快感と言うものはよくわかっている。
 色んな相手を涙ぐましい努力で陥れてきたのだから。

「ゲスな奴に人を蹴落とす殺し合いとか、面白いこと考えるなぁ!」

 笑い声が森へと響く。
 忌避感などどこにもない。
 自分がやられる側とはつゆほども思わない。
 殺し合いやエロトラップダンジョンと、
 人を蹴落とすにはもってこいのものばかり。
 そう、いつも通りをすればいい───と言うのに。

「……まったく、とんだお人好しだったな。」

 ひとしきり笑い終えると、彼は複雑そうな表情を浮かべる。 
 彼が最初の説明よりも前、此処へ来る直前までの記憶。
 バリアンの神ドン・サウザンドに吸収されそうになった時のことだ
 吸い込まれそうになった彼が、誰も掴むはずのない伸ばした手を、敵であるはずの九十九遊馬が掴んだ。
 何度も裏切ってもなお、自分を信じようとしていた底なしのお人よし。

「仏様でも掴まねえだろう手を掴むか? 普通。」

 つまらない友情ごっこで手痛いしっぺ返しを受けて、
 その後も数々の裏切りの場面を目の前で目撃してきた。
 七皇のリーダーにすら『人の心はない』と言わしめる上に、
 道連れにしようと言う意味でその手を握り返した相手を、
 助けるべき奴だと認識できる要素がどこにあると言うのか。

『あぁ、いいぜ、真月。お前を一人になんてしない。お前は俺が守ってやる!』

 道連れにする。どうせこれで折れるだろう。
 そう思ってみれば、遊馬はその手を離そうとはしなかった。
 何度裏切っても、騙そうとも。人の心ができるまで信じ抜こうとする。
 彼のかっとビングに外道を貫き続けてきたベクターでも、ついに根負けした瞬間だ。
 言葉による偽善ではなく、本気でこっちの手を取ろうとしてきた誇張抜きの善人。
 あの時の言葉が脳裏に焼き付いて離れることはなく、複雑な気分だ。

「……ま、そう簡単に善人になるのは癪だな。」

 あれだけ突っぱねてきたのに、
 今から悪いことをやるのはやめます。
 なんてことをベクターがするわけもなく。
 彼はひねくれている。今の彼は経験してることでもなければ、
 カードに宿った魂の残滓のようなものなので経験と呼ぶにも怪しいことだが。
 遊馬とナッシュのデュエルにおいて、彼のエースカードであるアンブラルの効果が、
 偶然といえどもナッシュも遊馬もどちらにも損害を出す結果に至らせたりと、
 素直になるなんてのは彼の性ではない。

「NPCか。」


524 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/01(月) 05:20:47 5IpFIkXo0
 茂みから姿を見せるのは、祈りを持たぬゴブリンだ。
 あれだけ笑えば、そりゃ出てきて当然ではあること。
 デュエリストである以上相応の格闘能力や耐久力はあれど、
 バリアンの力も使えない(そも失ったかもしれない)現状、
 彼は強さだけで言えば一般人よりかはましな程度にすぎない。
 本来は参加者を面倒に思わせる連中でも数が揃えば厄介になる。
 それこそ人数が揃えば高い攻撃力となる、ゴブリン突撃部隊のように。
 悲しいが彼は最弱とされるゴブリンにすらまともに太刀打ちできない。

 せめて武器の一つぐらい手にする暇があればよかったが、
 センチな気分に浸って放っておいたのが仇になったとも言える。
 だから取れる選択肢は逃げる。デュエリストなので森の中でも軽快に走れた。
 距離をどんどんと離すが、相手は諦めようとはせず騒ぐ声が背後では続くし、
 地図を見てない現状、どこを進めば逃げ切れるかの判断もつかない。
 先へ進めば運よく建物を見つけるものの、一瞬だけ立ち止まりかけた。

「チッ、入るしかねえか。」

 一部施設がそういうのになってると言われてはいたが、
 今からルートを変えては追いつかれるのは必定。
 覚悟を決めてダンジョンへと足を踏み込む。
 中は四方を煉瓦で固められた、まさにダンジョンらしい構造。
 嘗てナンバーズを手に入れる際に入った遺跡を彷彿とさせる。
 まだ一本道なので迷うことなく進む、と言うか進むしかできない。
 後ろはゴブリンが複数体が迫っている。戻る選択肢はすでになかった。

 ベクターは走る。一直線の道を只管に。
 申し訳程度に置かれたランタンが壁を照らしているが、
 夜と言う時間帯もあって入り口入って間もなくですら割と暗い道を進む。
 その時だ。

「あ。」

 何か踏んではいけないスイッチを踏んだ音がひびく 。
 間抜けな声と共に消える床。落ちるベクターとゴブリン───





「なーんちゃって!」

 なんてことはなく。
 この程度は予想しており、踏む瞬間に大きくジャンプをして、
 落とし穴にかかることなく着地する。 

「ま、トラップがあんだから使うに決まってるだろ。
 間抜けな参加者演じてみるのは、NPCにも有効ってか。」

 落とし穴と思しきスイッチはわざと踏んだ。
 エロトラップダンジョンともなれば死ぬことは少ない。
 なので踏むことにはさして躊躇いはなかったわけだ。
 と言うよりも、ベクターは前を走ってたので気付けたが、
 そう遠くない先にも開かれた落とし穴が見えていた。
 回避した後油断して歩いたところを落とすダブルトラップ。
 暗がりで気づきにくいが、彼は無事に気づくことができた。
 初歩的な罠に引っ掛かる程、彼も間抜けではない。

「……別の意味でおぞましいな。」

 何か先ほどまでのゴブリンとは違う声が聞こえて、
 なんとなく中を覗いてみると落とし穴の中で桃色の液体に浸ったゴブリンは、
 別の意味で見るに堪えないような光景が広がってたので素直に無視することにする。
 その内容は筆舌に尽くしがたいが、甘ったるい匂いが何かはその光景から察した。

「すまない、誰かいるのか?」

「ん?」

 落とし穴を覗いていたら聞こえてきたのは女性の声。
 少し暗いものの、人が謎の液体に浸かった状態でいることはある程度確認できる。
 先のゴブリンと違い、此方は別に媚薬の類でもなさそうだ。

「ああ、考えたらそれもそうか。」

 あからさまな落とし穴が最初からあるのはおかしい。
 となれば単純に、既に引っかかった参加者がいると言うことだ。
 最初の落とし穴には気付けたが次の穴には落ちた、と言ったところだろう。
 ダブルトラップではあったものの、少し意味合いは違っていた。

「そこから私を引っ張り出せる道具はないか?」

「嫌、どう見てもそっちに道続いてるだろ、そっちから出ろ。」

 ベクターの視界からでも道らしい道がある。
 そっちを通れば何も問題ないはずなのに何故躊躇うのかと思うが、

「こっちは絶対ろくなことにならない! 頼む!」

 角度的な都合でベクターからは見えないが、
 下の彼からはうごめく触手が入れと言わんばかりに待ち構えている。
 生理的に受け付けないと答える人の方が普通の反応だ。

「仕方ねえな……ちょっと待ってろ。」


525 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/01(月) 05:22:12 5IpFIkXo0
 ゴブリンの聞きたくもない嬌声を余所に、
 落とし穴の間の道の上でベクターはザックを漁る。

「ああ、これなら使えるな。」

 声だけで何が起きているのかは分からない。
 助けるつもりはないわけではなさそうなので待っていると、
 突然壁を破壊するような音がし始めて下の彼は困惑し始めた。

「お、おい! 何をしているんだ!」

「材料調達にちょっと壁ぶっ壊した。」

「ざ、材料?」

「えーっと、こうやるのか?」

 説明書を一瞥しながら、ベクターが壁の破片を彼へと投げる。
 だが破片は彼に当たることも、ましてやその水の中へ沈むこともない。

「……小石が浮いてる、だと?」

 時が止まったかのようだ。
 小石は彼が触れても動かずずっと宙に留まったまま。
 その小石を足場代わりにしても、びくともしない。
 後は簡単だ。彼は小石を足場にして、上まで登るだけだ。
 登り終えて、ようやく本来の道へと戻るに至る。

「ありがとう、本当に感謝している……私はドグマ、教会で神父をしている。」

「いや、神父は男がするもんだろ。確か女性は司祭だった気がするんだが。」 

「何を言っている? 私は……ん?」

 ベクターの言うことに違和感しかなかったが、
 自分の少しぶかぶかな袖を見て自分の異変に気付く。
 まさかそんなと、ザックの中から水の入ったペットボトルを取り出し、
 あり得ない光景を目の当たりにする。

「なんだこれは───!?」

 反射で自分の顔を見れば絶叫するしかなかった。
 短かった髪は肩まで伸びており、胸部も男性らしからぬ膨らみ方だ。
 完全に今の彼の姿は男性ではなく、女性の姿になっている。

「私は今女性になってるのか!? いや、待て待て! 殆ど妹の姿ではないか!」

 セミロングの髪を結んでツインテールにしてしまえば、
 どうみても妹とそん色ない姿であることを察した。
 違いがあるとするならば身長は少し縮んでも彼女より高いぐらいか。

「なぜこんなことに!? まさか、さっき浸かったあれか!?」

「ああ、これ両方ともかかる前提か。」

 最初の落とし穴はゴブリンのあの状態から媚薬の類に浸けて、
 次の落とし穴で女性にされるという、一種の二度漬けのようなもの。
 そうした状態でダンジョンを進ませるか退かせるようにしていると。
 典型的で初歩的だ。一般人だったらこの類には引っかかれば、想像するに難くない。

「なんでてめえはこんなところに入ったんだよ。そういう趣味か?」

「ダンジョンからスタートだっただけだ!」

 ドグマがしたのはただの逆走。
 普通こんなダンジョン入りたいとは思わないし、
 そもそも現状はいるメリットが存在してないのだ。
 ベクターも追い詰められなければ入りたいとも思っていないので納得だ。

「ああそうかい。じゃあ後は好きにしな。
 忠告だが早めにでねえとこっちの穴のゴブリンが出てくるぞ。
 一応、さっきからずっとゴブリンがせりあがってくる床を固定してるが、離れるから解除されるぞ。」

 小石をポイっと入口の方へ投げて、足場を作る。
 その際に何か人型の霊のようなものが見えたが、
 ドグマが持つ魔法のように一種の魔法の類だとして気にしないでおく。

「待ってくれ。君は殺し合いには乗らないのだろう。ならば……」

 彼についていく形で落とし穴を超えつつ仲間として誘う。
 見ず知らずの人間、それも殺し合うべき間柄を態々助ける。
 そういった行動がとれる相手が乗っている相手とはとても思えない。

「殺し合いに乗ってないイコール善人か?」

 入口が見えてきた中、ベクターは振り向く。
 先程も目つきの悪さはあったが、今度は本当に悪党が似合う面だ。
 同一人物なのかと疑いたくなるぐらいの凶悪さで顔を近づける。

「人畜無害な奴が、突然人様の家を燃やすことだってあるだろ。
 必要なら俺は他人を欺く、蹴落とす、そして殺すつもりだ。
 お前が俺の敵になるんだったら、テメエをそっちへ突き落してるしな。」

「な……」

「ついでに言えば、俺は神を信じねえし妹のいる兄はむかつく奴を思い出すんだよ。」


526 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/01(月) 05:22:45 5IpFIkXo0
 生前も、バリアン世界の住人になってもバリアンの神に実質殺されたし、
 以前もナッシュとメラグの生前から続く兄妹に苛立ってポイントをためてきた。
 ドグマは言うなればベクターにおける地雷のオンパレードと言ったところだ。
 一緒にいればポイントを高速で一億溜めたところでおかしくはない。

「ま、一先ず暫く乗るつもりはねえが、
 俺の為なら俺は誰だって蹴落とすつもりだ。
 信心深い神父のパートナーに合うわけがねえ。」

「ではなぜ私を助けたんだ? 敵の可能性だってあっただろう。」

 助けてほしい以外は何一つ言ってなかった。
 殺し合いにおけるスタンスも、何もかも。
 先ほど乗った人物ではないことを証明したぐらいか。
 信用を得られる状況が皆無の中彼は邪見にはしてたが、
 騙し討ちもすることなく助けた行動には疑問しか残らない。
 一瞬の静寂が通り過ぎると、ベクターはこう返した。

「……まあ、良かれと思ってだ。」

「良かれと……?」

「だが安心しろ。少なくともテメエの邪魔をするつもりはねえよ。
 もしテメエに似た妹がいたら、助けてやるぐらいは考えてやるさ。」

 誰かの意志を継ぐだとか、誰かのためにといった使命感もなく。
 殺し合いを止めようとする善でも、殺し合いや凌辱を肯定する悪にも非ず。
 ただ何となく、あいつの真似事を暫くはやってみる。それだけの理由。
 彼だったら問答無用で、同じように手を伸ばしていたのだから。
 その言葉を最後に、ベクターは入口へ戻り何処かへと去っていく。

「……神に縋らない、か。」

 何故だろうか。
 具体的な理由は分からないが、
 ドグマはその言葉が脳裏に焼き付いて離れなかった。



【真月零(ベクター)@遊戯王ZEXAL】
[状態]:ちょっとセンチな気分
[装備]:クラフト・ワークのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2(未確認)
[思考・状況]
基本方針:少しだけだが、アイツの真似でもしてみるか……よかれと思ってな。
1:主催者にでも八つ当たりする。あいつにとって良からぬことを始めようじゃねえか。
2:ナッシュや遊馬がいたら少しだけ協力は考えてやる。ナッシュは一回さっきの落とし穴に突き落とすが。
3:ドグマとはなれ合うつもりはないが、邪魔はしない。だが兄貴で神を信奉とかイラッとくるぜ。
4:アイツそっくりな妹がいたら、まあ助けるぐらいはするか。後は知らねえが。
5:『固定の能力』ね……掴んだ手は離さないってか?
[備考]
※参戦時期はドン・サウザンドに吸収による消滅後。
※ドン・サウザンドの力、及びバリアン態等の行使は現状できません。
 力が残っていて、バリアンスフィアキューブがあれば別かも。



【ドグマ(ドグマ・トスカリナ)@END ROLL】
[状態]:女体化、ずぶ濡れ、困惑、頭痛(精神的な)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]
基本方針:乗るつもりはない。
1:この身体、コーディにどう説明すればいいんだ……
2:彼(ベクター)は敵ではないとはわかる。だが協力は難しいか?
3:他の仲間になりうる人物を探す。
[備考]
※参戦時期は少なくとも五日目以降、
 二度目の埋葬者との戦いを経験済みなので『女神の加護』は習得済みです。
 また、ラッセルとどの程度イベントに関わったかは後続の書き手にお任せします。
※ラッセルのハッピードリームにおける夢の世界出てくるドグマです。
※ダンジョンの罠の影響によって身体が女性で筋力が落ちてます。
 ほぼコーディ@ENDROLLがドグマの服を着て髪をストレートにした感じです。



【クラフト・ワークのDISC@ジョジョの奇妙な冒険】
ベクターに支給。頭部にDISCを挿入することでスタンド能力を行使可能だが、相性が悪いと弾かれる。
このDISCは物理的な破壊はほぼ不可能。特殊な手段を用いらない限り消滅するには、
装備した対象が死亡することでの消滅のみ。頭部のディスクは頭に強い衝撃を与えれば出てくる。

原作の第五部でサーレーが使役するスタンドが宿ったDISCで、
ステータスは【破壊力:A スピード:A 射程距離:E 持続力:C 精密動作性:E 成長性:E】
物質を固定する能力を持ち、固定したものは能力の解除以外では基本的には動くことはない。
固定した物はエネルギーを蓄積することが可能で解除時に放出。蓄積次第で弾丸以上の速度で飛ぶ。
ただし大雑把にやると軌道が大きくずれてしまうので、細かい動作での調整が必要とすごく手間がかかる。
飛び道具は肉体の途中で止まる為致命傷になりにくく、近接攻撃も基本のステータスが高く弾丸をはじくぐらいはできる。


527 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/01(月) 05:23:05 5IpFIkXo0
以上で『神に■らない』投下終了です


528 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/02(火) 00:15:07 gh.q8R/20
これから投下いたしますが、今回の作品には以下の3つの内容が含まれておりますので、それらに不快感を感じる人は注意をお願いいたします。
1. 過激な性的描写
2. カニバリズムを連想させるなどの残酷な描写
3. すでに他の人が投稿したキャラクターの使用

では、投下します


529 : 天使が食材を持ってきた/悪魔が料理人を連れてきた ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/02(火) 00:15:53 gh.q8R/20
ここは会場内にあるショッピングモールの一角、そこでは一人の少女が拳銃を持ちながら探索していた。

その少女の名前は天々座理世(てでざ りぜ)。喫茶店『ラビットハウス』で働く高校二年生にして、軍人の娘として生まれたため護身術をはじめとした訓練を積んでいる少女である。

そんな彼女は今、周囲を警戒しながらどこかに人がいないかを確認するために歩き回っていた。

(……あまりにも常軌を逸したシチュエーション過ぎてあまり頭が回っていないけども、まずはここから脱出する方法を考えないといけないな)
(そのためにはまずこの首輪を解析するためのサンプルや、それができる人材が必要になる)
(……それに、もしチノやココアがいるのならば、一刻も早く合流しないと……!)

それは自分の知り合いが呼ばれているかもしれないという心配と、ココから脱出するためには人手がいると判断してのものだった。

そうやって探索をしていたリゼだったが、突如として近くのレストランで物音がした。

それを受けて彼女は誰か人がいるのかと思い、その中へと入っていくことにした。

そこには……

「あっあっあっ、イヒッ、エヘヘヘヘ……あぷぷぅ〜」

右目と左目が別々の方向を見て、また口や鼻など様々な穴から液体を垂れ流している少女がいた。

「あ〜、お客さんか〜!ごめんね〜、今食事中だから料理の準備ができてないんだよ〜」
「もうちょっとしたら"コレ"と同じものを用意するから、また来てほしいな〜」

そして、その少女のむき出しになった頭の"中身"をスプーンでかき混ぜている、コック姿の男がいた。

「何を……何をしているんだ……!答えろぉぉ――!!」

その光景を見た瞬間リゼは、目の前にいる男に向けて拳銃を構えたのだ。

「何って……さっきも言った通り"食事"をしているんだよ〜」
「……まあ、ちょっと珍しいものだったから色々な味付けを試しているんだけどね」

しかしそれを受けてなお男は動じる様子もなく、少女の頭の中に調味料を入れてまたかき混ぜ始めた。

「"食事"って……その子は人間だろう!?なぜそのようなことができるんだ!」

その言葉を聞いてリゼは怒り、叫んだ。人間を食べるなんておかしいと、そう叫んだ。

「何を言っているのかよく分からないねぇ〜?それにこの子は"人間"じゃなくて"鳥"なんだよ〜!」
「この子は髪の毛を使って空を飛んでいたんだ。人間なら、そんなことはできないはずだよ〜」

それに対し男は『人間によく似ているけども、人間じゃないから食べても問題はない』と、そう答えたのだ。

「……」

リゼは男のその常軌を逸した発言を聞いた瞬間、無言で彼と彼によってめちゃくちゃにされている少女めがけて発砲した。

このまま彼を放置すれば、他の人たちにも危害が加わると判断してのものだった。

そして少女を打ち抜いたのは、頭が狂いそうになりながらも"もう楽にしてあげるべきだ"と判断したからだった。

そうやってリゼは目の前にいる狂人を倒したと思った。

しかし……


530 : 天使が食材を持ってきた/悪魔が料理人を連れてきた ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/02(火) 00:16:32 gh.q8R/20
「こんなこともあろうかと、鍛えておいたこの身体!」

男がそう言うと突如として彼の身体が異様なほどに筋肉質なものへと変化したのだ。

そしてその筋肉の膨張に合わせて、先ほど撃ち込まれた銃弾が彼の身体から押し出されてきたのだ。

「な……!」

リゼはその光景を見て硬直をした。

まさか筋肉の力だけで弾丸を押し戻してしまう人間がいるとは、予測できなかったからだ。

「このコックカワサキ、容赦せん!」

その男、『コックカワサキ』がそう言うと彼は、その筋肉質な姿のままリゼへと全力で走ってきた。

「来るな…来るなあぁぁっ!!」

リゼは彼が自分めがけて突っ込んでくることを阻止するべく何度も発砲したが、そのことごとくが彼の超人的な動きによって回避されてしまった。

そうしてカワサキはリゼへと近づいていき、そして……

「さぁ……、つ か ま え た♪」
「じゃあ、"まな板ショー"の始まりだぁ〜!早速味見をしてみよう!」

カワサキはリゼをつかまえると、その勢いのまま彼女の服を引き裂いて地面に押し倒したのだ。

「離せっ!離せえぇぇぇっ!」

リゼは必死に彼の拘束から逃れようとしたが、異様なまでに筋肉質となった彼と、今まで一般人だった彼女では力の差は歴然としていた。

そして彼女は……

------------------------
それから数分後……

「いいよいいよ〜、キミのナカ、とっても気持ちいいよ〜!」

そこでは下着姿となったリゼが、カワサキによって立ちバックの姿で陵辱されている光景があった。

「痛い、痛いぃぃぃっ!うあっ、うああぁぁぁぁ……!」

リゼは涙を流していた。それは純潔を散らされた痛みだけではなく、将来訪れるであろう幸せな瞬間が永遠に失われてしまったことを理解したからでもあった。

しかしカワサキはそんな彼女の涙を意に介する様子もなく、自身のピストン運動により彼女の陰部の筋繊維がすり切れて弾ける、その感触を楽しみ続けていた。

「オレさっき"まな板ショー"って言ったけど、あれはちょっと不適切だったよぉ〜」
「だってリゼちゃんのココ、とっても大きくてとてもまな板じゃないものねぇ〜!」

そう言うとカワサキは彼女のその大きな胸を揉みしだき、その先端をつまんだりシゴいたりし始めた。

「やめろっ!そんなとこイジらな……あぅん!あ、あぁぁぁぁっ!」

そしてリゼはカワサキのその行動に対し拒絶をしたが、次第に快感を感じ始めてしまった。

その結果、ただでさえ精神が限界を迎え始めていた彼女は……

「お゛え゛え゛え゛っ!う゛っ!お゛えぇぇぇぇっ!!」

嘔吐してしまった。自身の純潔をこんな狂人に散らされたことと、そんな状況にもかかわらず自分が快感を感じ始めたことによるショックで、彼女は嘔吐したのだ。

「やっと感じてくれたみたいだね〜、オレもまだまだ捨てたもんじゃないな〜!」

「ぢがう、ぢがうぅぅぅっ!感じてなんが、いないぃぃぃ……!」

その反応を見たカワサキは"やっと快感を感じ始めてくれた"と悦び、リゼはそれを否定した。

そうしてしばらくカワサキがピストン運動を繰り返してリゼの身体を堪能していると、突如としてこのようなことを言い始めた。


531 : 天使が食材を持ってきた/悪魔が料理人を連れてきた ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/02(火) 00:17:17 gh.q8R/20


「鍛えられてるだけあってキミのナカ、きつくて気持ちいいよ〜!これならすぐに終わりそうだ〜!」


カワサキのその言葉を聞いた瞬間、リゼの頭の中に最悪の状況がよぎった。

「お……終わるって……まさか……!」

「キミにタップリ、オレの精液を流し込むってことさ〜!」

リゼの予想したとおり、カワサキは彼女に対して"中出し"をするつもりだった。

「いやだあぁぁぁぁっ!抜いて、抜いてくれえぇぇぇっ!!」

そして彼女は泣きながら彼に"頼むから抜いてくれ"と嘆願をした。

「何を言っているんだい?今まさにキミのカラダを使って、"ヌこうとしている"じゃないか〜?」

「そうじゃない、そうじゃないいぃぃぃ……!」

しかしカワサキは彼女のその言葉に対し、別の"ヌく"という意味だと解釈して返事をするのだった。

「じゃあ、イクよおぉぉぉっ!!」

「やめてくれえぇぇっ!!!」

そうして、カワサキのその言葉とともにリゼの子宮に大量の精が流し込まれるのだった。

「あぁあ……あぁああ……お腹が、お腹が熱いぃぃ……!」
「赤ちゃんできちゃうぅ……、嫌だ…嫌だぁぁぁ……!うああぁぁぁあぁ……!」

リゼは自分の中に流れ込んできた精液の熱を感じ、そして妊娠するかもしれないという恐怖から再び大粒の涙を流し始めた。

しかしそれを受けてなおカワサキは動じる様子もなく、衝撃の行動に出たのだ。

「あ…あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁっ!痛い、痛いぃぃぃっ!」

なんとカワサキが再びピストン運動を始めたのだ。

「ごめんね〜、オレまだ満足していないんだ〜。……だから、愛液と精液を混ぜあって、互いの肉がとろけあうまで〇ックスし続けようよ〜?」

「いやだあぁぁぁぁっ!頼む!頼むから、もうやめてくれえぇぇぇっ!!」

そして辺りにグチュン、グチュン、というくぐもった音を響かせながら、カワサキはリゼを陵辱し続けるのだった……。

------------------------
それから数分後……

「あ゛〜、すっきりした〜!なかなか良かったよ、リゼちゃん」

カワサキはようやく満足したのか、彼女の膣から自身の陰茎を引き抜くのだった。

「あ……ああぁぁぁぁ……ああぁぁぁぁ………!」

そしてそれに対しリゼは、まるで妊娠しているかのように膨れ上がったお腹をしたまま、心が壊れたかのように力なく倒れ込んだ。

またそれとともにお腹が圧迫されたのか、陰部から噴水のように大量の精液を吹き出すのだった。

「……さてと、もう十分堪能したことだし、アソコにしまっておかないとね」
「でも、このままだとどっか行っちゃいそうだし、先に準備をしておこうかな〜?」

カワサキがそう言うと、調理場に置いてあった竹串を持ってきた。

そして……

「いっ……!あぁぁぁぁぁっ!足がっ!私の足がぁぁぁっ……!」

それをリゼの足、正確に言えば"アキレス腱"の部分に突き刺したのだ。

「……これでキミは、もう逃げられない」

そう言うとカワサキは、彼女が痛みに悶え続けるのを無視しながらその身体を抱えて移動をし始めた。

こうしてリゼはカワサキによって倉庫へと運ばれていった。

「じゃあ、後はゆっくり大人しくしててね〜?」

そしてカワサキは倉庫の扉を開けて、リゼを倉庫の中に入れた。

そこで彼女が見たものとは……


532 : 天使が食材を持ってきた/悪魔が料理人を連れてきた ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/02(火) 00:18:05 gh.q8R/20
「も…もう…ど…どこも……う…うごかない……、うっうっ……、ア…アタシのからだを…か…かえして」

先ほどの少女と同じ顔をした、長い黒髪の女の子が両手足を切断された姿と……

『返事がない。ただのしかばねのようだ』

毛皮をはがされた状態で息絶えた、角の生えたウサギの姿があった。


「う……うわっ、うわああぁぁぁぁぁっっっっ!!!」

それらを受けてリゼは再び泣き叫んだ。自分の日常とはあまりにもかけ離れた光景に耐えられなかったのだ。

そしてそんな彼女の様子をよそに、カワサキは倉庫の扉を閉め始めた。

「さぁさぁ、可愛い女の子と食材たちは、どんどんしまっちゃおうねぇ〜」

そうして扉は閉じられ、リゼは倉庫に"しまわれて"しまうのだった……。


【天々座理世@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:精神的疲労(大)、下着姿、アキレス腱の損傷、処女喪失による性器の出血
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本方針:みんなと、生きて帰りたい
1:誰か……誰か助けてくれえぇぇ……。
2:赤ちゃんできちゃうぅ……嫌だ…嫌だぁぁぁ……!
[備考]
支給品の拳銃はコックカワサキに没収されました。
アキレス腱に竹串を突き刺されたため、まともに歩けなくなっています。


【コックカワサキ@狂気のkwskシリーズ】
[状態]:健康、毒電波発生中
[装備]:調理器具@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2(確認済)、拳銃、凶鳥モー・ショボーの手足の肉
[思考・状況]基本行動方針:みんな、セ〇クスし続けろ!激しく!もっと激しく!!
1:ヒィ、ヒヒヒィヒャァハハッ!〇ッッッックス!!
2:オレに任せれば、とっても早く天国に行けるよ〜!
3:オレは……正常だよ〜?
[備考]
出展作品の関係上、『星のカービィ(アニメ版)』以上にエキセントリックな性格と言動になっています。


【アルミラージ@ドラゴンクエストシリーズ】
 NPC。紫色の毛皮と一本の角を持つ、邪悪なウサギのモンスター。

 集団で現れて『ラリホー』という、相手を眠らせる魔法を使うほか強力な突進を行うなど
 見た目に反して中々侮れない実力を持つモンスター。


【凶鳥モー・ショボー@女神転生シリーズ】
 NPC。長い黒髪の先端がそのまま羽根のように左右に広がった、色白の少女の姿をした悪魔。

 モンゴルに伝わる鳥の魔物で、愛を知らずに死んだ少女が変じた姿とされる。
 また好物は人間の脳で、その手口も「旅人を誘惑し、口で穴をあけてすすりとる」という猟奇的なものとなっている。


533 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/02(火) 00:18:40 gh.q8R/20
投下終了です

以上、ありがとうございました。


534 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/03(水) 05:04:25 vBjMaPkk0
投下します。


535 : あや☆スタ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/03(水) 05:05:08 vBjMaPkk0
TS----―肉体的異性化。または性転換全般を指す。
ピクシブ百科事典より引用。

第一章 ツッコむ

「何?何?一体これは、何の冗談!?」
性罠×殺し合いと化した浮遊大陸へ転送され、困惑を隠せない女子高生。
女子高生の名は柊かがみ。

嵐を呼ぶ幼稚園児と同じ埼玉県に住み、私立陵桜学園に通う高校2年生。
友達との間では、ツッコミキャラとしての地位に留まっているごくごく普通の女子高生である。

「おい、まて。なんか悪意ある紹介しなかったかしら?」
……地の文にツッコむな

「大体……エロトラップダンジョンとか意味不明だわ」
かがみは頭を抱えながら呟く。

(何?こなたが遊んでそうなアダルトゲームみたいな設定のデスゲーム……こちとら普通の女子高生よ)
かがみの脳裏に浮かぶのは、オタクの友人の顔。
夢だと思いたい。

だが――――

「夢……じゃないわよね……」
これが夢ではないことを理解する。
かがみは見世物として殺された少女に顔を顰める—————

その直後—————

「「娘」」
かがみの前に2人の偉丈夫が姿を現した。

一人は赤い髪に甲冑を纏い、手には偃月刀。
もう一人は青い髪に甲冑を纏い、手には蛇矛。

———そして、能で使われるお面を被り表情は全く見えない。

名は赤鬼に青鬼。
名の通り人間ではなく魔界の住人にして”鬼”である。

「あんたたち……」
明らかに人ではない二鬼にかがみは後ずさりする。

「我が名は”赤鬼”。ここでの役割を全うさせてもらおう」
「これも仕事……悪いが犯させてもらう。……では参る!」
赤鬼と青鬼は反り立つ一物でかがみの蜜壺を犯そうとする。

「ひっ!?」
かがみは息を呑む—―—

その直後———

——————ゴオッッ!!

かがみの周囲に風が舞うと―――
かがみは同年代らしき女の子にお姫様抱っこされていた。

「……何者だ」
突如、風のように現れた忍びに赤鬼と青鬼はそれぞれ得物を握りしめて構える。
かがみをしょった忍びはゆっくりとかがみを下すと、毅然とした表情と声で答えた。

「……祓忍。風巻祭里だ」

―――それは、古くから妖を祓う忍の一族。

☆彡 ☆彡 ☆彡


536 : あや☆スタ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/03(水) 05:05:25 vBjMaPkk0
第二章 祓忍VS鬼

「祓忍……対魔忍ではないのか?」
赤鬼は祭里の名乗りに魔界の住人にとって宿敵である忍びを口にする。

「どちらでも構わん。参加者は犯しつく。惨めに。」
青鬼は至極当然だといわんばかり。

そして―――――

「「覇ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」」
二鬼は雄たけびを上げ———————

——————―――ザンッッッッッッッッッッッッッッッッッッ

ああ———————

哀れにも、祭里の四肢が斬りおとされ、達磨にされてしまった—————

―――ドサッ……

「いや―――――!!!???」
かがみは顔を真っ青にして叫ぶ。

—————無理もない。自分を救ってくれた恩人が見るも無残な状態にされたのだから。

「……他愛もない」
「ツインテールの女の後でズコズコと犯してくれる。そこで、無力感に浸りながら見ておれ」
忍びを名乗る以上、少しは”できる”と思っていただけに、落胆をしつつも勝利の美酒に酔いしれることはしない二人。
あくまでも、二鬼に求められているのは”武人”ではなく”竿役”なのだから。

「では今度こそ娘の初物を頂くとしよう」
「うむ」
二人は気持ちを切り替えると。再びかがみに向かって歩き出す。
そして、達磨にされた祭里にもう一度、視線を向けると―――

―――ゴロン

そこにいるのは、祭里ではなく丸太であった―――

「「なッ!!??」」
赤鬼と青鬼は顔色を変える。

「変わり身の術!!」
二鬼の頭上高くに祭里はいた。

「悪質な妖は大体、人の怨念から生まれるが……人に仇なす妖を祓うのが俺の仕事だ。わりぃが祓わせてもらうぜ」
人に害する妖を祓うのが祓忍なのだから。

「覇アアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!」
二鬼の大業物が今度こそ祭里を達磨にしようと襲い掛かる。

―――風巻流・祓忍法”旋散華”

「!!!!!??????」
手のひらに溜められた風の突風が赤鬼を切り裂いた―――

「見事!だが、これで避けることはかなわない!!!!!!」
攻撃後の隙を青鬼の邪矛が祭里を————

—————が

ダンッ!!!

「!!!???」
(風を蹴っただと……!?)
そう―――
祭里は両足に風を纏うことで”風を蹴った”

————空中疾走

青鬼の渾身の一撃を避け————

再び、旋散華を青鬼に食らわせ————

—————青鬼は言葉を発することもなく消滅した。

「風に散って出直しな」

☆彡 ☆彡 ☆彡


537 : あや☆スタ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/03(水) 05:09:42 vBjMaPkk0
終章 あや☆スタ

「大丈夫か?」
祭里はかがみに怪我がないか尋ねながら手を差し出す。

「え、ええ……。ありがとう助かったわ」
祭里の手を掴み立ち上がりながらかがみはお礼の言葉を伝える。

「んじゃ、とりあえず、安全な場所に移動するか」
「わ、わかったわ」
祭里の言葉に応じてかがみも承諾する。

「……」
(わぁ〜〜〜……この子の戦う姿、かっこよかった—————。同性なのに惚れてしまいそうだわ。って!私は何を考えているんだ。……はぁ、今の私の姿をこなたに見られたら、100%イジられるわね……)
自信を救うために二鬼にたちむかった祭里の姿にかがみは熱い視線を祭里に向ける。
そんなかがみの熱い視線に祭里は顔を逸らす―――――

「……」
(やっぱ、俺が”男”であることは伏せておいた方がいいよな……)
祭里は、かがみの視線から自分が男だと伝えたらややこしいことになりそうな雰囲気を察した。
そう、風巻祭里は女ではなく男である。
妖の王シロガネの”秘術”性醒流転(せいせいるてん)により女の子の身体へとさせられてしまったのだ—————

(すずがもし、ここにいたら、ぜってー俺が助けないと……)
幼馴染がこのおぞましい舞台にいないことを祭里は祈りながら移動する。

ここは、性罠が大量に設置されている浮遊大陸。
二人による”とらぶる”が発生してもおかしくない場所。

2人の受難は幕を上がったばかりである――――――――――

【風巻祭里@あやかしトライアングル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あの男の人(ヒエール)を捕らえる
1:かがみを安全な場所へ移動させる
2:もし、ここにすずがいたら、直ぐにでも探し出す
3:う〜ん……オレの正体は伏せておいた方がいいよな……
[備考]
※参戦時期は60話〜61話の間
※かがみに元は男だとは話していません。

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催の男は許せない
1:祭里と行動を共にする
[備考]
※参戦時期は12話〜13話の間
※祭里が”男”であることに気づいていません

『NPC紹介』 【赤鬼・青鬼@対魔忍アサギ3】
魔界の住人の鬼。
鬼族の傭兵で売り出し中の兄弟剣客。
しかし、ここで求められているのは武人ではなく”竿役”
中級種であり、戦闘能力がないと倒すのは困難。


538 : あや☆スタ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/03(水) 05:09:53 vBjMaPkk0
投下終了します。


539 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/03(水) 20:21:03 dTzDsUOU0
投下します。


540 : ■■達の末路 ◆bLcnJe0wGs :2021/11/03(水) 20:22:04 dTzDsUOU0
「全く…レディにあんなものを見せるなんて無礼もいいところよ。
 直ぐにでも殺してあげたいところだけど、私の首に描き足されていた首輪が何より厄介なのよね。
 どうにかして『外せない』のかしら?」

会場内の何処かにあるシェルターの一室で、一人の少女…いや、正確には意志を持った、絵画の少女がひとり主催への愚痴をこぼしていた。

この絵画は、嘗て幼少期にとある事故で姉を失った屋敷の主人が、彼女の代わりとして引き取った少女を描いたものだった。

後にモデルとなった少女も姉と同じ様に事故で屋敷の窓から転落してしまった。

─やがてその絵画は意志を持ち、繊細な性格となり、自分の気にそぐわないものを描き加えようものなら直ぐに描いた相手を殺害する代物となった。

それからも何人かの人間の手に渡り、彼女の機嫌を損ねた者達が殺されていった。

そんな彼女もこの殺し合いの一参加者として招かれ、移動も出来ずにただ、自分のもとにやって来る誰かを待つしかなかった。

【絵画の少女@まつろぱれっと】
[状態]:???
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:気に食わない相手(少なくとも主催陣営)は殺す。
0:???
※この作品が当選した場合、参戦時期や特殊能力の類の制限については後続の書き手にお任せします。
(少なくとも主催陣営への干渉は禁止されている。)


541 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/03(水) 20:22:29 dTzDsUOU0
投下終了です。


542 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/03(水) 22:41:52 vNtmNyUs0
コンペロワに投下した作品を一部手直ししたものを、投下させていただきます。


543 : とってもウシナミ ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/03(水) 22:43:05 vNtmNyUs0
ここはある会場内の一角、そこには何者かから逃げるように息をひそめている女の子がいた。

ホルスタイン柄の衣装を着ており、そしてとても大きなモノが胸に付いている女の子だった。

彼女の名前は及川雫、牛を愛する牧場娘であり、アイドルもやっている少女である。

そんな彼女は今、ある存在から逃げ隠れていた。

「何ですかあの怪物は…!あんなものに襲われたら、死んでしまいます……!」

そんな彼女の目の前には、馬の頭をした怪物が女性を襲っている光景が広がっていた。

襲っているといっても弱肉強食という意味ではない。もっと汚らわしい行為を、その怪物は行っていた。

そう、その怪物は女性に対し無理やり自分の子を作ろうとしていたのだ。

彼女、及川雫はこの会場に来てすぐに、窓の外からその光景を見てしまったのである。

そしてこの光景を見た彼女は、その女性の悲鳴から耳をふさぎながら、自分が『女性として最も屈辱的なことをされる』のを恐れて逃げてしまったのだ。

『他の人を見捨てる』という罪悪感にさいなまれながら、そして『自分の身だけでも守りたい』というエゴから、彼女はその場から逃げることを選んでしまった。

そうして彼女はこの建物の中で、怪物が自分の存在に気づかないことを祈りながら息をひそめているのである。


そんな彼女にこの後救いが訪れるのか、それとも目の前の光景を自分の身体で味わうことになるのかは、誰にもわからない………。


【及川雫@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:健康、馬の怪物(ティクバラン)に対する恐怖(大)
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:死にたくない。かといってほかの参加者を襲うつもりもない。でもどうすればいいのか分からない。
1:自分以外に呼ばれているアイドルがいないか心配。
2:あんなものに襲われたら、死んでしまいます……!
3:助けられなくて、ごめんなさい……!
[備考]
女性(NPC)を見殺しにしたことについて、強い罪悪感を感じています。


【ティクバラン@フィリピンの民間伝承】
 NPC。馬の頭に人間の胴体、馬の足を持つ半身半馬の怪物。

 旅人を道に迷わせる力を持ち、また人間の女性を(性的な意味で)襲うために徘徊し、
 更に被害にあった女性は彼と同じ、半身半馬の怪物を産むことになると言われている。

 ……早い話が、同人界隈におけるジャミ様(ドラゴンクエストⅤ)みたいなヤツである。


544 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/03(水) 22:43:39 vNtmNyUs0
投下終了です

以上、ありがとうございました。


545 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/04(木) 19:41:00 Qv0fcmI.0
投下します。


546 : インコ? ◆s5tC4j7VZY :2021/11/04(木) 19:41:29 Qv0fcmI.0
序章 インコは飛ぶ

——————ピィィィ

浮遊大陸————

ゴブリンやオークといったNPCが参加者を犯そうと一物を膨らませて探し求める中、インコが飛んでいる。

一見、人畜無害な鳥が混ざってしまったのかと勘違いを起こしてしまいそうだ。

だが―――

まぎれもなくインコは参加者であった———

☆彡 ☆彡 ☆彡

終章 インコは嗤う

(……私は、死んだはず)
―――そう、確かに死んだ。
敬愛する主からの命を果たすことなく無様に敗れ死んだ。

(あの”人間”の所業……か)
死者蘇生はたとえ”あのお方”の魔力をもってしても不可能。
だが、滅びた身がある以上は、それをやってのけたのは”あの人間”だろう。

(つまり、本当に願いを叶える力を有するということ……)
副賞の20億には興味はない。
人間世界の紙幣など使い道はないに等しい。

(ダオス様……必ずやこのジャミルが願いを手に入れ、貴方様の下へ帰還いたします!)
悪魔は微笑む。
最後に嗤うのは自分だと―――――

【ジャミル@テイルズオブファンタジア】
[状態]:健康 インコの姿に変身中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:願いを叶える権利を手にして主の下へ帰還する
1:基本はインコの姿でいる(機が熟すまで)
2:使えそうな参加者は洗脳して手駒にする
[備考]
※参戦時期はアルヴァニスタ城にてクレス達に敗れた後


547 : インコ? ◆s5tC4j7VZY :2021/11/04(木) 19:42:42 Qv0fcmI.0
投下終了します。

あと遅れましたが、ウィキにて”とある異能の性罠尻穴”を載せるさい、
注意書きを加えて下さりありがとうございます。


548 : ◆TCeRkOBksY :2021/11/04(木) 20:30:01 mSq3USWY0
投下します


549 : 胎内回帰←→体外追放 ◆TCeRkOBksY :2021/11/04(木) 20:31:00 BJ3zqN3g0
 英霊(サーヴァント)。
 人類史の生き写しそのものたる彼らが象徴する歴史は何も眩しく輝くもののみではない。
 人類史の闇、人の罪。
 そうしたものを骨子に成り立つサーヴァントもまた一定数存在するのがこの世の真実だ。
 
「……わたしたちのおかあさん。此処に、居るのかな?」

 ジャック・ザ・リッパー。
 倫敦の悪霧、人類史上最も有名な殺人鬼。
 しかしてその真名を持ち現界した彼女の容貌は幼い少女のそれだった。
 露出の多い服装、纏った黒の外套。
 そこはかとなく香る死と臓物の臭い──それが彼女がジャック・ザ・リッパーであることを他のどんな理屈よりも雄弁に物語っている。
 彼女が……いや。
 “彼女たち”がこの殺し合いに呼び出されていることは、ある種必然的なものであったのかもしれない。
 
「ゲーム、とか。首輪、とか。難しいことは、よくわかんないけど──」

 バトル・ロワイアル、狂気のゲーム。
 此処には死と、そして性の気配が漂っている。
 性。それは赤子の怨念の集合体であるジャックにとっては因縁の深い概念だ。
 ジャックは此処でもこれまでと変わりなく、自分たちの母を探すべく行動するだろう。
 他の道理など、すべて彼女たちにとってはどうでもいい。
 ジャック・ザ・リッパーの願い、それは母の胎内へと還ること。
 誇張でも比喩でもなく、本当に言葉通りの意味で、胎内に回帰すること。
 それだけを追い求めて──ジャックは使い慣れた凶器のナイフを携え、母を探してデパートのワンフロアを闊歩し始めた。

 ……サーヴァントは強大な存在である。
 普通の人間では太刀打ちするどころかその影すら踏めず一方的に狩り殺される、時に戦略兵器にも例えられる怪物。
 ジャックがそのことについて自覚的だったかどうかはさておき。
 しかし彼女はただ一つ、重要なことを見落としていた。
 或いは、侮っていた。
 この会場に眠る数多の“ダンジョン”──その恐ろしさを。
 侮ったまま、母を探してジャックはデパートの一角に密やかに展開されたエロトラップに遭遇し。
 
 そして……。


550 : 胎内回帰←→体外追放 ◆TCeRkOBksY :2021/11/04(木) 20:32:45 Gp2LgjKs0



「……ふ〜〜ッ! ふ〜ッ、ふ、ふ、ふぶぶぅ゛ぅ゛〜〜〜〜……!!」

 数分後。
 ジャック・ザ・リッパーは、脂汗で全身をぐしょ濡れにしながらデパートの中を彷徨っていた。
 先ほどまでの軽やかな足取りは何処へやら。
 まるで何かを我慢しているように辿々しい足取りで、獲物を探す獣みたいにしきりに周囲をぎょろぎょろと見回している。
 
「……れ゛る゛……だ、め゛ぇ゛……ひ、ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛……!」

 その形相はまさに鬼だった。
 鼻穴を広げて鼻水を垂らし、歯を食いしばって歯茎まで完全に露出させている。
 目は血走り頬は紅潮し、もはや幼女にはまったく見えない。
 そんなジャックの口から漏れる声は地の底から響くように低い唸り声だった。
 それに乗せて、彼女は更に耳を疑うようなことを吠える。


「漏゛れ゛る゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛ぅ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛う゛ぅ゛ぅ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」


 ジャックが今感じているもの。
 それは──“便意”に限りなくよく似たものであった。
 しかしサーヴァントは排泄などしない。
 ではジャックは今、何を漏らしそうになっているのか。
 その答えは、彼女が先ほど足を踏み入れて即敗北したエロトラップにこそある。

 ジャックが触れてしまったエロトラップは“人格入れ替え電波”。
 その特性は恐らくこの会場に配備されている全てのトラップの中でも有数の極悪さだ。
 電波を浴びた参加者の体内では即座にその人格がゼリー状の物体に置換され、それが腸の中に下がってくる。
 それを“出して”しまえば最期、その参加者は人格を文字通り排泄し、エロトラップの電波によって植え付けられた新しい人格の元に生きる「別人」となってしまうのだ。

 治療方法は存在しない。
 人格入れ替え電波を浴びた参加者にやれることはただ一つ。
 いつか必ず来る人格排泄の瞬間を、少しでも先に引き伸ばすことである。

「漏゛れ゛る゛漏゛れ゛る゛漏゛ら゛し゛て゛死゛ぬ゛の゛や゛た゛」

 参加者を一人殺すごとに、一時間。
 「我慢の限界」を引き伸ばすことが出来る。
 それが今のジャックに与えられた唯一の救いだった。
 だからジャックは探さねばならないのだ、参加者を。
 母ではなく、参加者を。
 胎内に帰るためではなく、人格排泄の便意に負けないために。

「……ぅ゛う゛う゛ぅ゛あ゛ぁ゛あ゛〜〜っ! 早ぐ、は゛や゛く゛ぅ゛〜〜!! 漏゛れ゛る゛っ゛! 漏゛れ゛る゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛〜〜〜〜!!!!」

 女体からひり出されたモノの成れの果てであるジャック・ザ・リッパー。
 その彼女は今、自分の尻穴からサーヴァント消滅時特有の黄色い粒子を漂わせながら、人格排泄の恐怖とだけ闘っていた。
 胎内に帰ろうとした彼女たち。
 しかし今は、体外に追放されそうになって必死に顔を歪め叫ぶ、生存本能だけの存在だった。


【ジャック・ザ・リッパー@Fateシリーズ】
[状態]:便意(極大)、人格排泄モード
[装備]:ジャック・ザ・リッパーのナイフ@Fateシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:おかあさんの中に、還る。でも今はそんな場合じゃない漏れる
0:漏゛れ゛る゛う゛〜〜〜〜!!!
1:参加者! どこ! どこぉ〜〜〜〜!!!
[備考]
※エロトラップ「人格入れ替え電波」により人格排泄状態になりました。
 人格を排泄した場合、ジャックの身体はそのままで全く別の人格が彼女の頭を支配するようになります。
※参加者を殺すことで一人につき一時間我慢の限界を引き伸ばすことができます。


551 : ◆TCeRkOBksY :2021/11/04(木) 20:33:20 Gp2LgjKs0
投下終了です


552 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/05(金) 00:13:44 D9XDPrIY0
投下します


553 : ここをアレフガルドとする! ◆NIKUcB1AGw :2021/11/05(金) 00:14:36 D9XDPrIY0
いかにも「ダンジョン」という景色が広がる、洞窟の中。
そこに、一人の青年が立っていた。

「エロトラップダンジョン……。
 まあ発想自体は評価しよう。
 だが、使い方がいただけないなあ。
 こんな大それた物を作れる力がありながら、それを殺し合いなんかに使うなんて……」

青年は、これまで数々の道具や建物を作ってきた。
その中には、兵器といっていい代物もあった。
だが青年は、誰かを傷つけるためにそれらを作ったわけではない。
あくまで、理不尽な暴力に立ち向かうためだ。

「人を苦しめるための施設なんか……全部ぶっ壊してやる!
 そしてこの会場まるごと更地にして、新しい町を作ってやるぜーっ!」

雄々しく叫ぶと、青年は手にしたハンマーで近くの壁を手当たり次第に破壊し始めた。


彼は勇者ではない。されど英雄である。
竜王に支配され滅亡寸前にまで追いやられていたアレフガルドを、ほぼ一人の力で救ったのが彼だ。
人は彼を、「伝説のビルダー」と呼ぶ。


【ビルダー@ドラゴンクエストビルダーズ】
[状態]健康
[装備]魔神のかなづち@ドラゴンクエストビルダーズ
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:会場を更地にし、新しい町を作る
1:主催者や殺し合いに乗った参加者は、できる範囲でぶちのめす
[備考]
参戦時期はエンディング後

『支給品紹介』
【魔神のかなづち@ドラゴンクエストビルダーズ】
ドラクエ本編では、会心の一撃が出やすくなる代わりに攻撃を外しやすくもなる呪いの武器。
しかしビルダーズシリーズでは魔力が込められた純粋に強力なハンマーであり、呪いやデメリットは存在しない。


554 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/05(金) 00:15:49 D9XDPrIY0
投下終了です


555 : ◆//Muo9c4XE :2021/11/05(金) 14:24:46 W6x5L6yE0
投下します


556 : 貴方が思うより健全です ◆//Muo9c4XE :2021/11/05(金) 14:26:21 W6x5L6yE0

「うっせぇわ!!!」

 某所、過激に改造されたコスプレのような制服を着た女は、身に降りかかった異常事態に震えていた。
 女ーー仮にうっせえわちゃんと呼称するーーは、お冠であった。

『―――――――おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!』

「うっせぇうっせぇうっせぇわ!!!」

 脳内に焼き付いた例のアレを振り払うかのように、うっせぇわちゃんは怒鳴る。
 派手な格好に反して、うっせぇわちゃんは初心であった。R18は御免被る。
 性に関しては全くの無知とは言わないが、あの見せしめのように、生き恥極まる死に方を迎えるのは断じて嫌だ。
 かといって、殺し合いに乗るのは社会人の常識として有り得ない。
 殺人が許されない事は、子供でもわかる常識だ。
 しかし、無情にも彼女の命は主催者に握られている。こうしている瞬間にも、スケベなNPCや下劣な参加者に襲われないとも限らないのだ。

「(殺る気満々な)ナイフの様な思考回路、持ち合わせる訳もなく……困っちまうこれはエロトラップロワのせい、あてもなくただ混乱するerrday…」

 流石に途方に暮れるうっせえわちゃん。
 しかし、ただそう漫然と過ごしていては何の意味も無いことは理解している。
 こうしている合間も貴重な時間を消費している。殺し合い、しかも性を肯定するような場で後手に回れば、食い物にされる確率はそれだけ高まる。
 見知らぬ誰かに踏み台にされるのも、勿論陵辱されるのも真っ平御免だ。

 叫び疲れたのか、やがて冷静に思考を切り替えたうっせぇわちゃんはデイバックを手に取ると、真っ先に取り出したのはダブレット。
 説明書によると細かい規定はこれで確認できるらしい。
 進行役が省いたルールの詳細は勿論、参加者の名簿も確認を怠らない。
 やがて確認を終えたうっせえわちゃんは、方針を固めた。

「最新のルールは当然の把握、参加者の動向も常時チェック、――結果私は純情な精神で参戦しワーク。社会人じゃ当然のルールです」

 うっせえわちゃんは殺し合いに乗る気はない。殺人は重罪である。しつこいようだが社会人以前に人としての常識だ。
 20億の魅力より、まるで此方に見世物のような立場を強要してくる主催者への嫌悪が勝ったのだ。
 ヒエール・ジョコマンの態度が高圧的な上司を連想させて嫌なのもあるが。

 うっせえわちゃんにもプライドがある。金と暴力で誰もが従うか?ーー否、人間の理性を舐めすぎである。

「一切合切凡庸なあなたじゃ分からないかもね?」

 ヒエール・ジョコマンへの侮蔑を吐き捨て、うっせえわちゃんは歩を進める。

 求めるのは信頼できる仲間。
 認めるのは癪だが、うっせえわちゃんは非力である。参加者は愚か、好戦的なNPCに囲まれれば一溜りもない。
 しかし数が揃えば、弱者とて馬鹿にならない。
 現状では、徒党を組む事が生き延びる最善の手段なのだ。
 参加者の中には20億に吊られてゲームに乗った者も居るだろうが、このゲームはまだまだ序盤。様子見に徹したり同じように仲間を募る者も多いはず。
 最低限、自衛を考えると同性とくらいはチームを作れるだろう。
 首輪を外せそうな参加者と合流できれば尚良いが、それを望むのは欲張りである。

「正しさとは、愚かさとは、それがなにか見せつけてやーーーるーーー!!」

 内なる恐怖を覆すように、うっせぇわちゃんの力強い鼓舞が轟いた。

【ナイマ(うっせぇわちゃん)@うっせぇわ】
[状態]:健康
[装備]:???
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いとかうっせぇうっせぇうっせぇわ!(生存優先) 嗚呼、この可もなく不可もない方針!
1:つっても私は模範人間、殴ったりするのはノーセンキュー。
2:(殺し合いとか)マジヤバない?
[備考]
※歌い手ではなくうっせぇわちゃんとして想定していますが、採用された場合は細かい設定は書き手に委ねます
※公式の名前はナイマですが、名簿にはうっせぇわちゃんと書かれているかもしれません。(書かれているとは言ってない)
※タブレットで参加者名簿、及び支給品は確認済みです


557 : ◆//Muo9c4XE :2021/11/05(金) 14:27:41 W6x5L6yE0
投下終了です


558 : ◆QUsdteUiKY :2021/11/05(金) 16:12:05 Pdw0Hunw0
投下します


559 : 炭治郎ならニートに優しいギャルになる!! ◆QUsdteUiKY :2021/11/05(金) 16:13:30 Pdw0Hunw0
「早くあの主催者をなんとかしないと……!」

竈門炭治郎は走っていた。
人間としての尊厳すら破壊されたような見せしめの少女を黙って眺めていられる炭治郎ではない。

それでもあの少女を守ることが出来なかった。
画面越しだから仕方のないことだが、何も出来なかった自分が情けない。

悔しいし、あの少女に申し訳ない。
だから二度と彼女のような犠牲者を出さないために走って―――

「うわああああああ!?」

勢いよく落とし穴に嵌った。
そこまで深いわけでもないが、底には水が溜まっている。
痛みこそ感じなかったが、何故か胸のあたりが重い。怪我でもしたのだろうか?

―――何故か猛烈に嫌な予感がする……!
急いで自分の胸を炭治郎は意味不明なものを見てしまう。

「えっ……!?」

胸だ。胸が膨らんでいる……!
その大きさは明らかに男性のものじゃない。どう見ても女性の膨らみ方だ。

そして何故かブラジャーを着けている。
これについては実は開始時からそうだったのだが、気持ちの余裕がなくてなかなか気付けなかった。

つまり独特な柄のブラジャーを身に付けた少年が全力で走っていたということになる。
もしも誰かがそれを見掛けていたら、嫌でも印象に残ることだろう。

―――カッ!

「うわああああああ!?」

そして驚いてる炭治郎を強烈な太陽光が照らし、思わず目を閉じてしまう。
大量の紫外線を浴びせられた炭治郎の肌が瞬く間に焼け、褐色になる。
その姿は皮肉にも見せしめにされた少女を思い出させるようなものだった。

「どういうことだ!?」

いきなり胸が膨らんだと思ったら、今度は褐色にされた。
声も普段と違って少女のようなもので、炭治郎はまるで自分が女の子になったような気持ちに陥った。
何故か服装がブラジャーとショーツに変わっていたり、不気味なことが多すぎる。少し不安になってきた。

「これだ!これが太陽光を出していたんだ!!」

落とし穴から上がった炭治郎は、太陽光射出装置を見つけるとすぐに破壊した。
次の犠牲者が出る前に壊しておけば、もう巻き込まれる人はいない。
それにしてもこういう時、日輪刀が没収されているのは不便だ。なんとか探さなければならない。

「一応これも何かに使えるとは思うけど……」

支給されたDX日輪刀〜煉獄杏寿郎〜を眺める。
刀身が短い上に何も斬れそうにない材質。そして煉獄がデカデカと描かれ、何故か猗窩座まで居る謎のパッケージ。

猗窩座の音声も収録!という一文がまたよくわからない。
上弦の鬼が協力している?それとも声だけを何らかの方法で録音した?
柱と鬼に対して人脈があるとしたら、製作者は何者なのか……。

『心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け」
「煉獄さん……!」

試しにボタンを押してみたら、煉獄の声が出て思わず感動する。

「そうだ。俺は前を向いて歩かなきゃならない!」

女の子の身体にされたから、それがなんだというのだ。
日輪刀を没収されたからといって、それだけで戦えない理由にはならない。

「煉獄さん……ありがとうございます!」

煉獄の言葉で目が覚めた。
女の子になろうが、炭治郎は炭治郎。
心を燃やし、ひたむきに前に進めば良い。
助けを求める誰かのために戦えば良い。


560 : 炭治郎ならニートに優しいギャルになる!! ◆QUsdteUiKY :2021/11/05(金) 16:16:08 Pdw0Hunw0
申し訳ありません。>>559はメモしていた際のものです
微妙に違うので改めて投下します


561 : 炭治郎ならニートに優しいギャルになる!! ◆QUsdteUiKY :2021/11/05(金) 16:16:40 Pdw0Hunw0
「早くあの主催者をなんとかしないと……!」

竈門炭治郎は走っていた。
人間としての尊厳すら破壊されたような見せしめの少女を黙って眺めていられる炭治郎ではない。

それでもあの少女を守ることが出来なかった。
画面越しだから仕方のないことだが、何も出来なかった自分が情けない。

悔しいし、あの少女に申し訳ない。
だから二度と彼女のような犠牲者を出さないために走って―――

「うわああああああ!?」

勢いよく落とし穴に嵌った。
そこまで深いわけでもないが、底には水が溜まっている。
痛みこそ感じなかったが、何故か胸のあたりが重い。怪我でもしたのだろうか?

―――何故か猛烈に嫌な予感がする……!
急いで自分の胸を炭治郎は意味不明なものを見てしまう。

「えっ……!?」

胸だ。胸が膨らんでいる……!
その大きさは明らかに男性のものじゃない。どう見ても女性の膨らみ方だ。

そして何故かブラジャーを着けている。
これについては実は開始時からそうだったのだが、気持ちの余裕がなくてなかなか気付けなかった。

つまり独特な柄のブラジャーを身に付けた少年が全力で走っていたということになる。
もしも誰かがそれを見掛けていたら、嫌でも印象に残ることだろう。

―――カッ!

「うわああああああ!?」

そして驚いてる炭治郎を強烈な太陽光が照らし、思わず目を閉じてしまう。
大量の紫外線を浴びせられた炭治郎の肌が瞬く間に焼け、褐色になる。
その姿は皮肉にも見せしめにされた少女を思い出させるようなものだった。

「どういうことだ!?」

いきなり胸が膨らんだと思ったら、今度は褐色にされた。
声も普段と違って少女のようなもので、炭治郎はまるで自分が女の子になったような気持ちに陥った。
何故か服装がブラジャーとショーツに変わっていたり、不気味なことが多すぎる。少し不安になってきた。

「これだ!これが太陽光を出していたんだ!!」

落とし穴から這い上がった炭治郎は、太陽光射出装置を見つけるとすぐに破壊した。
次の犠牲者が出る前に壊しておけば、もう巻き込まれる人はいない。
それにしてもこういう時、日輪刀が没収されているのは不便だ。なんとか探さなければならない。

ちなみにこのエロトラップ、最後は媚薬を射出する仕組みになっている
もし少しでも判断が遅ければ炭治郎に向けて媚薬の成分が入った液体をぶっ掛けられるという最悪の地獄絵図になっていた

「一応これも何かに使えるとは思うけど……」

支給されたDX日輪刀〜煉獄杏寿郎〜を眺める。
刀身が短い上に何も斬れそうにない材質。そして煉獄がデカデカと描かれ、何故か猗窩座まで居る謎のパッケージ。

猗窩座の音声も収録!という一文がまたよくわからない。
上弦の鬼が協力している?それとも声だけを何らかの方法で録音した?
柱と鬼に対して人脈があるとしたら、製作者は何者なのか……。

『心を燃やせ。歯を食いしばって前を向け」
「煉獄さん……!」

試しにボタンを押してみたら、煉獄の声が出て思わず感動する。

「そうだ。俺は前を向いて歩かなきゃならないんだ!」

女の子の身体にされたから、それがなんだというのだ。
日輪刀を没収されたからといって、それだけで戦えない理由にはならない。

「煉獄さん……ありがとうございます!」

煉獄の言葉で目が覚め、落ち着きを取り戻した。
女の子になろうが、炭治郎は炭治郎。
心を燃やし、ひたむきに前を歩けば良い。
助けを求める誰かのために戦えば良い。


562 : 炭治郎ならニートに優しいギャルになる!! ◆QUsdteUiKY :2021/11/05(金) 16:17:20 Pdw0Hunw0


「どうしてこんな場所にいるんですか!危険ですよ!?」
「えー。だって歩くの面倒だし……」

炭治郎は一人の女性に出会った。
シャイニート・マジシャンと名乗った彼女は適当な小屋に閉じこもってゴロゴロと寝転んでいる。

割と多くのNPCが徘徊している危険地帯なのだが、生粋の引きこもりであるシャイニートマジシャンはその場から離れようとしない。
実際こうして説得している間にも何度かNPCに襲われている。

幸いにも大した敵には遭遇せず、頭突きだけでなんとか撃退出来ているが流石の炭治郎でも限界がある。

「それにしても派手な服装だねー。どうしてブラジャーとショーツだけなの?」
「それは俺が知りたいくらいです」

シャイニートマジシャンは炭治郎の意味不明な言葉に困惑するが、これまでの経緯を説明されて納得する。
そして罠の危険性も理解した。

「つまりここに引きこもってれば最強なんじゃない?」

それらを理解した上で未だに引きこもりを続行しようとする頑固者だった。

「何かこう……もっと違う反応はないのかなぁ!?」
「驚けばいいの?」
「男が女の子になるんですよ?怖いと思わないんですか!?」

必死の形相でまくし立てるように話す炭治郎に対して

「私は男になってもデメリットないからねー。グダグダ出来ればいいよ」

シャイニートマジシャンはゴロゴロしながら涼しい顔で答えた。
こうまでされると普通の人は呆れて見放すものだが、そこは炭治郎。微塵も離れる気がない。

「……まだ私と一緒に居るの?」
「はい。俺はシャイニートマジシャンさんから離れません」

シャイニートマジシャンはきっと戦えない。
だから自分が守らなければ―――というのが炭治郎の主張だ。

そして時間の経過によりNPC達もイライラしている。
そりゃあ目の前にニートの少女とギャルがいるのに犯せないなんて彼らも腹が立つ。

「ゴブゥゥウウウ!!」
「グォォオオオ!!」

遂に痺れを切らしたゴブリンとオークが雄叫びをあげ、二人に襲い掛かる。
敵は多数。頭突きだけでどうにか出来る数じゃない。

「やば……」

グダグダしていたシャイニートマジシャンも流石に立ち上がる。
炭治郎はシャイニートマジシャンがようやく立ち上がったことに感動すると同時に彼女に叫んだ

「シャイニートマジシャンさん!何か武器はないですか!?」
「お、斧くらいしか……」

斧で人間よりも巨大なゴブリンやオークを狩る。
普通の人ならば不可能なことだが―――今の炭治郎ならば可能だ。

「それでいいです。俺に貸してください!」
「……わかった!」

シャイニートマジシャンはすぐに炭治郎に斧を渡した。
彼女はニートと名乗っているが、実は薬の調合を得意としている。
だからモノを見る目には自信があった。なにより炭治郎には何度もNPCを撃退した実績がある。

そして予想通り炭治郎はNPC達を蹴散らした。
彼の実力を信じていたシャイニートマジシャンは炭治郎が複数のNPCを撃破した光景を見ても、大して驚かない。
だがこのエリアの危険性だけは知ったので仕方なく進むしかない。

二人は無事にエリアを脱出したが、途中で幾つかの残骸を見掛けた。
どれも様々な表情をしているが、死体を見慣れていないシャイニートマジシャンには流石に堪える。

「炭治郎……。思った以上に過酷なことになりそうだね……」
「はい。亡くなった人たちの犠牲を無駄にしないためにも、俺たちは進むしかないんです」

ニートの調合師とブラジャーとショーツしか身にまとっていない褐色のギャルが道を往く。
特に炭治郎の方はどう見てもヤバい人にしか見えない格好だが、本人は至って真面目だ


563 : 炭治郎ならニートに優しいギャルになる!! ◆QUsdteUiKY :2021/11/05(金) 16:17:55 Pdw0Hunw0
【竈門炭治郎@鬼滅の刃】
[状態]:女体化、褐色化
[装備]:鬼滅の刃 おやすみ用ブラ&ショーツセット(炭治郎)@現実、斧@現実
[道具]:基本支給品、DX日輪刀〜煉獄杏寿郎〜@現実、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針: 主催者を斬る
1:シャイニートマジシャンさんを守る
2:元の姿に戻りたい
[備考]
主催の手によって普段の服ではなく鬼滅の刃 おやすみ用ブラ&ショーツセット(炭治郎)に着せ替えられています
エロトラップで褐色肌のギャルにされました

【シャイニート・マジシャン@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針: 脱出する
1:戦闘は炭治郎に任せる
2:材料が見つかれば何か薬でも調合する?
[備考]

【鬼滅の刃 DX日輪刀〜煉獄杏寿郎〜@現実】
竈門炭治郎に支給。プレミアムバンダイのグッズ。全長約58cnの迫力のサイズ
柱の1人である煉獄杏寿郎が使用する日輪刀で全36種の劇中音を収録!
猗窩座の音声も収録し、煉獄とのあの激闘の掛け合いも楽しめます!
刀身は炎のエフェクトをまとっており、台詞に合わせて炎に照らされたイメージで光ります。

【鬼滅の刃 おやすみ用ブラ&ショーツセット(炭治郎)@現実】
プレミアムバンダイのグッズ。禰豆子やしのぶと共に何故か炭治郎まで発売された。

TVアニメ「鬼滅の刃」に登場する「竈門炭治郎」をイメージした、リラクシングウェアシリーズが登場。
「おやすみ用ブラ&ショーツセット」の「おやすみブラ」は、就寝時に横に流れてしまうバストを支え、バストの広がりを抑えます。カップは肌に優しいコットン素材で、つけ心地も柔らかく、就寝時の快適な眠りを妨げません。ストラップ部分で長さの調節も可能です。
オールシーズンでインナーとして着用いただけるブラとあわせて着るとかわいい「ショーツ」もセットでご用意いたしました。

【斧@現実】
シャイニート・マジシャンに支給。普通の斧


564 : ◆QUsdteUiKY :2021/11/05(金) 16:18:24 Pdw0Hunw0
投下終了です


565 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:29:17 sCZTU/7Y0
投下します。


566 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:30:51 sCZTU/7Y0
注意! 本ssは過度な性描写があり、不快に感じる表現もあります。
それらに嫌悪を抱く方は読むのはお控えくださいますようお願い致します。


567 : 渋か…… ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:32:18 sCZTU/7Y0
渋いーーーーー「落ち着きがある」「趣がある」といった意味とし使用され、「渋くて格好良い」など、男性に対しての褒め言葉
mayonezビジネス言葉の意味より引用。

第一章 癪に障るばい

「一体、何がどうなっとーと!?」

性欲とエロトラップダンジョンが跋扈する浮遊大陸。
そこへ参加者として選ばれた一人の女子高生は困惑している。

女子高生の名は仲村ナズナ。
五島列島のとある中学校に通う中学3年生。

「明日は卒業式だっていうとに……」
ナズナは頭を抱えている。

そう――――

明日は大事な卒業式。
そして、家を出ていった”父親”と会う約束をしていたのだ。

「あん、女ん子……本当なんよね」
ナズナは褐色肌の女の子の最後の姿を想起すると体を震わせる。

震わせるが―――――

「殺し合いなんて、絶対にやるわけがなか!!!」
ナズナは殺し合いを否定する。

「勿論、あん、女ん子みたいにデスアクメとかいうけん死ぬとは嫌や。だばってん、あん男ん言う通りにするとは癪に障るばい」
故に————

ナズナは主催の男の言う通りにはならない。

だが―――――

「だ、誰!?」
ナズナは周囲を取り囲んできたモンスター達に怯える。

仲村ナズナは所謂普通の女子高生。”戦う力”を持たない合唱部の女子部員。
いくら、殺し合いを否定し、主催の男であるヒエールに反感を持っていたとしても、NPCを追い払うことができないということは—————

—————蜜壺を犯されるほかないということだ。

☆彡 ☆彡 ☆彡


568 : 渋か…… ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:32:41 sCZTU/7Y0
第二章 クンニ

「いや、うちん下着ば返して!ッ!?いや!?やめて——————!」
一つ目のモンスター達に組み伏せられたナズナはスカートを捲られると自分のショーツを脱がされ、奪われる。
それだけではなく、妖怪”一つ目小僧”はナズナの蜜壺をその長い舌で舐めだしたのだ。

————ピチャッ……ピチャッ

「気持ち……悪かッ!これ以上やったら、ほんなこつ許さんばい」
ナズナは嫌悪の表情を向けるが、一つ目小僧は気にせず、ナズナの閉じられた蜜壺を丁寧に舐める。

—————ピチャッッピチャピチャ

「ん!……ッ!?あっ/////」
(嫌……うち……感じとーと!?)
ナズナは脳内を駆け巡る快楽に困惑する。

「あっ!!!???そこ……は/////」
さらに、一つ目小僧はナズナの豆を剥くとむしゃぶり舐める。

女性にとって、豆……クリトリスは特に感じることが多い
一つ目小僧の丁寧でいてネットリとしたクンニにより—————

「ああああッ!!!???」
ブシャァァァァァァーーーーーー

ナズナはイッてしまった。
それも、盛大に潮をふいて。

☆彡 ☆彡 ☆彡


569 : 渋か…… ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:33:08 sCZTU/7Y0
第三章 うちにとって救いんヒーロー

「はぁ……はぁ……」
(すらごと……うち……イッちゃったと!?)
ナズナは乱れた息にイッたという事実に呆然とする。

ナズナをイカせた一つ目小僧は手をパンパンと叩き、喜ぶ。
そして―――――

——————ボォン!!!!!

なんと!一つ目小僧は”一つ目鬼”へと変身したのだ。
そう―――――ヒエールの改造により、参加者をイカせると一つ目鬼へと変身するように改造させられているのだ。

—————グググッ

一つ目鬼はクンニを終え、後はいただくだけだといわんばかりにその巨根を勃起させる。

「はぁ……はぁ……」
(うちん初めてが、こがん化け物に奪わるると!?)
いまだ、呼吸や思考が乱れる中、ナズナは人ではなく怪物に処女を失うことに絶望する。

(ケイスケ……)
処女を失う前に想起したのは、幼馴染の男子。
だが―――――

(ばってん、ケイスケがうちば助くることはなかね…だってうち、フラられたけん)

そう―――――

ナズナは失恋した。

「う……うう……ぐす」
助けが誰も来ないと悟り、ナズナは涙をボロボロと流す。
一つ目鬼はそんなナズナの様子に発情してさらに勃起するだけでなく、周囲のモンスター達も勃起する。
—————”一つ目鬼の次は自分達が犯すと”

いよいよナズナの蜜壺が犯されるそのとき――――――

「そこの低俗な下等種族ども。娘からさっさと離れんかぁぁぁぁ!!!!!」

「!!!???」
突如、放たれたエネルギー弾により一つ目鬼は一瞬で蒸発した。

(だ、誰!?)
ナズナは涙を腕拭うと、自分を助けてくれた人影を見る。

—————ナズナを助けた白いマントを羽織る筋肉隆々の男。

———―パラガス。

—————誇り高き戦闘民族サイヤ人の一人

☆彡 ☆彡 ☆彡


570 : 渋か…… ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:33:42 sCZTU/7Y0
第四章 渋か……

「あっはっは!正義のヒーローとは……いやぁ、恐縮ですな」
パラガスはナズナの正義のヒーロー発言に照れるように頬をポリポリとかく。

あれから、パラガスの猛撃により、ナズナを取り囲んでいた悪魔の偵察者達は碌な抵抗もできぬまま散っていった。

パラガスはナズナの奪われたショーツを手に取ると、申し訳なさそうに手渡した。
ナズナはショーツを穿き直すと、パラガスにお礼を申し伝えた。

「そがんことなか!パラガスさんには感謝しかなかとです!」
謙遜するパラガスにナズナは力説する。

そう――――
もし、助けが一歩遅かったら、ナズナの蜜壺は犯されていたのだから。

「やけん……パラガスさんはうちにとって正義んヒーローばい」
ナズナははにかんだ笑顔を見せた。

「……ッ!?」
パラガスはそのナズナの笑顔に———————

一瞬、間ができた—————

そして、コホンと咳払いすると――――

「ふふふ、それではワタシが前に出る。ナズナは安心してついてくるといい」
「は、はい!」
戦闘を歩くパラガスの背中

「……」
(はぁ———そいにしてもパラガスさんって渋み満開の大人だな〜……)
小5のときに起きた家庭問題から男ギライだった。
だが―――

Nコン(NHK合唱コンクール)での出来事を経て—————

—————”失恋”から男ギライを治った。

(ばってん、失恋したけんといって、ケイスケからパラガスさんはいかな年が離れすぎやし、飛躍しすぎばいね……)
流石にナイナイと思いつつも、性欲満開のNPC達から救ってもらったこともあり、その紳士然とした立ち振る舞いにナズナは顔を赤らめる。

☆彡 ☆彡 ☆彡


571 : 渋か…… ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:34:54 sCZTU/7Y0
終章 パラガスの野望

—————ザッ!ザッ!!……

ナズナの尊敬の眼差しを背中で受けつつもパラガスの心中は変わらない。

(……ふんッ!地球人の小娘風情が!!”正義のヒーローみたいでかっこよかった”だと?このオレ……戦闘民族サイヤ人の何がわかるというのだッ!!!)
そう――――
別に正義のヒーローとしてナズナを助けたわけではない。
”利用価値”があると感じたためだ。

(あの愚かなる地球人め……優勝して願いを叶えさせた後は木っ端みじんにしてくれる)
パラガスは怒る。
下等種族である地球人に誇り高き戦闘民族であるサイヤ人の自分の首に猿が如く首輪をつけたことに。

(とりあえずは、この無力な地球人の小娘を引き連れていれば、怪しまれることはあるまい……)
参加者の数に主催の情報が足りない中、積極的に殺し合いに乗ることは愚の骨頂。
故にパラガスは対主催の仮面を被った。

———―――そして、戦う力を持たない女子高生を助けた。

(オレとブロリーの帝国を築き上げてくれるわッ!)
パラガスはほくそ笑む。
自らの野望成就を達成した未来を描きながら。

しかし―――――

————やけん……パラガスさんはうちにとって正義んヒーローばい

「……」
ナズナのはにかんだ笑顔にパラガスは一瞬、心を奪われかけた。
(………ふん!くだらん!!!)
地球人の小娘の予想外の行動に虚をつかれただけ。

パラガスはそう己にいいきかせると歩く。歩く。歩く――――――


572 : 渋か…… ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 18:35:09 sCZTU/7Y0
【パラガス@ドラゴンボール】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して自分とブロリーの帝国を築く
1:とりあえずは対主催の振る舞いをする
2:あの笑顔……ふん!地球人の小娘よ。せいぜい私の駒として動くがいい
[備考]
※参戦時期は映画劇中宇宙船にて地球に降り、ベジータたちの前に姿を現す直前より

【仲村ナズナ@くちびるに歌を(漫画版)】
[状態]:健康 精神的疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰りたい(主催の男は許せない)
1:パラガスさんと行動を共にする
2:はぁ〜、パラガスさん渋か……
[備考]
※参戦時期は3巻最終話Nコン終了〜卒業式の間より

『NPC紹介』 【一つ目小僧@仁王】
大きな一つ目の子坊主。長い舌で参加者の蜜壺やアナルを舐めてイカすようにヒエールに改造された。
参加者をイカせると、一つ目鬼へと変身する。

『NPC紹介』 【一つ目鬼@仁王】
一つ目鬼。武器を使うような知能は持たない。一つ目小僧が参加者をイカせると変この鬼へ変身する。
なお、既に一つ目鬼と化した個体もこの浮遊大陸に存在する。 サイクロプスに似てるは禁則事項です。

『NPC紹介』 【悪魔の偵察者@遊戯王OCG】
闇属性・悪魔族のリバースモンスター。
ここエロトラップダンジョンにおいては、ただの性欲のモンスターの一体に過ぎない。


573 : 渋か…… ◆s5tC4j7VZY :2021/11/05(金) 19:34:26 sCZTU/7Y0
投下終了します。
宣言を忘れていて申し訳ありません。


574 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/05(金) 19:46:51 fMFJHNJQ0
短いですが投下します


575 : 岩(から)人間(に戻った男) ◆7PJBZrstcc :2021/11/05(金) 19:47:22 fMFJHNJQ0
「殺し合いか、面白えな。
 だが断りもなくってのは調子乗ってるなあいつ……」

 一人の男がニタニタと下卑な笑みを浮かべながら、天空の会場にある街の中で歩を進めている。
 彼の名前は片桐安十郎、通称アンジェロと呼ばれる死刑囚にして、現脱獄犯である。

 アンジェロがこの殺し合いに呼ばれ、最初に覚えた感情は驚きだった。
 何せ、彼は直前まで岩と同化した状態だったからだ。
 だが気づけば元の人間の姿に戻り、見も知らぬ場所に連れてこられていたのだ。これで驚かない人間はそうはいまい。

 ちなみに、彼は殺し合いについては一切悪感情を抱いていない。
 主催者の望み通り、犯して殺して回るつもりである。
 こんなゲームに放り込むにしても事前に一言言えよ、位の不満は抱いているが、それだけだ。
 最初の見せしめ扱いとなった少女の無残な死も、彼には面白い見せ物位にしか思っていなかった。

「そういや支給品におもしれえ奴が入ってたな。
 こいつは俺のスタンドとも相性がいいぜ」

 そんなアンジェロが今考えているのは、彼に支給されたあるものをどう使うかということ。
 あるものとは、赤と白で構成されたモンスターボールに入った一匹のポケモン、ポワルンだ。

 ポワルンには、天気を操る技がある。
 雨を降らせること、逆に強い日差しで照らすこと。そして霰を降らせることができ、更には天気を利用した攻撃技も持つ。
 その力は、水と同化する能力を持つアンジェロのスタンド『アクア・ネックレス』との相性は良好だ。

 ただし、ポワルンの力には時間制限と回数制限がある。
 一定時間経つと変わった天気は戻り、一定回数使うとその技は使えなくなる。
 回数制限は一定時間休むと戻るが、考えなしに使えば大きく力が削がれることになる。

「それとこいつもだ」

 そしてもう一つ。アンジェロの手には一枚のカードが握られている。
 その名は人造人間-サイコ・ショッカー
 一見ただのカードにしか見えないが、実は強い力を秘めた支給品である。
 なんせ――

「こいつがいりゃ、エロトラップを破壊できるってんだからな」

 サイコ・ショッカーにはトラップ破壊能力があるからだ。
 これがあれば、もし自分がエロトラップに引っかかっても脱出は難しくない。
 安全バーとして見ればこれほど頼もしいものはないだろう。

 ただし、これは自分が掛かったエロトラップだけを破壊するわけでは無いので、結果的には他の参加者を助ける羽目になることかもしれない。
 だが自分の安全には変えられない。
 この殺し合い上位に強力な支給品と考えてもいいだろう。

 こうしてアンジェロは、不敵な笑みを浮かべながら、ポワルンとサイコ・ショッカーの使い所を考えつつ歩き続ける。
 いずれこれらを活かせると確信して。


【片桐安十郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:ポワルン@ポケットモンスターシリーズ、人造人間-サイコ・ショッカー(召喚可能)@遊戯王
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)、
[思考・状況]基本方針:好きやらせてもらう
1:他の参加者を探す
2:仗助がいるなら復讐したい
[備考]
参戦時期は「東方仗助!アンジェロに会う」終了後です。


【ポワルン@ポケットモンスターシリーズ】
片桐安十郎に支給。
全国図鑑No.351のてんきポケモン。
その名の通り天気を操る技を多く持ち、天気が変わるごとに姿を変えるとくせいを持つ。
覚えているわざはあまごい、にほんばれ、あられ、ウェザーボールの四つ。

本ロワでは天気を変える技を使用すると、一定時間の間、ポワルンを中心に十数メートルの範囲で天気が変わる。
また、HPとPPは一定時間ポケモンを休ませると回復する。

【人造人間-サイコ・ショッカー@遊戯王】
片桐安十郎に支給。
星7/闇属性/機械族/攻2400/守1500 のモンスターカード。
このカードが場にある限り、表側裏側問わずフィールドの罠カードは全て破壊される。

本ロワでは、カードを持ちながら名を叫ぶことで召喚でき、召喚者の後ろをついて回る。
その際、周囲数メートルに存在するエロトラップを全て破壊する。この効果は場に召喚されている限り永続。
戦闘力はそれなりなので、ある程度ならリアルファイトも可能。
召喚されてから数分後、サイコ・ショッカーは場から消える。
再召喚は次の放送を超えるまで不可能となる。


576 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/05(金) 19:47:46 fMFJHNJQ0
投下終了です


577 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/05(金) 21:31:24 kBJQeBPk0
投下します


578 : Un Miracle ◆2FVYsixnq6 :2021/11/05(金) 21:31:50 kBJQeBPk0
奇跡に価値なんてあるのか

人は奇跡をただの現象としか認識せず、その本質を学ぼうとしない

人は変わることはない、人は変われない



その裏で、奇跡によって切り刻まれ、まともな人生すら送ることの出来ない人間が増える

ならば奇跡とは、神々しいものでも、尊いものなのでもない、ただの下らない『現象』の一つでしか無い











● ● ●


「――その言葉、命乞いでの戯言では無さそうだな」

天宙の如き闇の中、星の輝きのみが地を照らす大地の真下、その少女は問いかける
魔女のようなローブと三角帽子に身を包み、その年に似合わない凛々しい顔立ちの、その紫の双眸が、少女の目の前にいる男を見定めようと見つめている

「……一応は、だ」

言葉に応じるのは一人の男。精悍な顔立ちながらも裏腹に、その不健康そうな白い肌同様、その言葉には荒々しさは感じ取れない。だがその赤い右目だけははっきりと少女を映し出していた

「死んだと思えば勝手に殺し合いしろと言われたんだ。今更この世に未練なんて……まあ、あるっちゃあるが、どうにもならねぇだろ」

あっけからんと、諦めたように、開き直るように言葉を連ねる男

――少女はこの殺し合いに呼ばれ、強い不快感を憶えた
少女は錬金術師であり、世界への復讐を望んだ奇跡の殺戮者だ。そのための計画の算段の中、このような催しに呼ばれ、不愉快だった
不愉快のやつあたりとして、偶然目に映った男を殺そうとしたが、男はそんな少女の目を見て、こう呟いた

――お前も俺と同じ、か。と

その言葉に少しばかり眉を顰めながらも、少しばかり興味を示し、少女は男に問いかけた

「なんだこの茶番は。俺が生きてるのは奇跡ってやつか? これが俺への罪業か? ……下らないな」
「オレの前で『奇跡』という言葉を軽々しく喋るな。反吐が出る」
「アンタも『奇跡』が嫌いなクチか? だったら悪かったな」
「……お前も、か?」
「まあ、な。こんなものが俺への『奇跡』だってんなら尚更だ。人間(オールドタイプ)どもは奇跡を現象としか認識しない、そんな奴らが奇跡を何度見ようが変わるわけがない。いっそ、滅んでしまえばいい」
「………」

男の愚痴に対し、少女は興味深そうな反応を見せる
こいつも、奇跡に切り刻まれて、何かを失ったのだと
父を、その功績を『奇跡』として切り捨てられ、異端として処刑されたように

「……ならば、滅ぼすか?」
「なに………?」
「オレは元々世界を滅ぼすつもりでいる。いや、正しくは世界全てを分解して解き明かす事だがな」

少女の言葉に、男は反応する。
滅べばいい、そう滅べばいいのだ
奇跡など、蔓延る病魔にも似た害悪でしかないのだ、故に殺す。そしてそれが罷り通る世界など滅んでしまえばいい
少女の言葉は、男の目に別の光を灯す。それは同じく世界への憎悪を纏った、ギラついた輝きだ

「分解、だ? くはっ、あははっ! 良いこと事ほざくじゃねぇかちびっ子!」

男は高らかに笑った。それは目の前の少女の大言壮語を小馬鹿にしているのではなく、そんな大それた望みを実行しようと考えている少女の『憎悪』に

「……いいぜ、テメェのその世界の分解とやら、気に入った。――手を貸してやる」

それ故に、男の答えは決まっている
今の自分には帰る場所もない、元より、あの刻から、居場所はあの機体とあの艦(ふね)しか存在しない
それすらいなくなったのならば、本当に全てをぶっ壊してしまうのも一興だと


579 : Un Miracle ◆2FVYsixnq6 :2021/11/05(金) 21:32:13 kBJQeBPk0
「……ほう。だが、貴様に何が出来る?」

少女は、男に再び問いかける。少女から視れば多少は特殊な何かを持ち合わせている事以外、ただの人間でしかない
但し、その身に宿した世界への憎悪は、過程こそ全く別なれど自分の至った領域に近い位置にいるのは確か

「何か乗りこなせるものがあれば、な」

男は答える。男は機体(モビルスーツ)に乗り戦うのがその在り方だ。大いなる赤い彗星の後継者として作り変えられた強化人間。複製品の失敗作(デッドコピー)、本物には遠く及ばない
だがその瞳の憶測には憎悪がある、執着がある、仮にも、彗星の後継者の候補だ、技量もそれなりにある

「じゃじゃ馬を押し付けられても文句は受け入れんぞ、オレは」
「元から選択肢なんざねぇよ。何もかもぶっ壊せるんだったら、何だって乗りこなしてやるさ」
「オレに手を貸すとほざいたのだ。それぐらいの根気がないと容赦なく振り落とすぞ」
「それじゃあ、振り落とされない程度には働くさ」

少女は男を受け入れることにした。台詞から察するに何らかのパイロットとはお見受け出来る。まあ錬金術か何かで機体を拵えてやるのは一興か

「……キャロルだ」
「はぁ?」
「キャロル・マールス・ディーンハイム。オレの名前だ。また自己紹介も、お互いの情報共有もまだだったからな」
「ガキの癖して長い名前してんだなお前。……ゾルダン。ゾルダン・アッカネンだ」
「……ゾルダン・アッカネン、か。ならばここから再び始めようではないか」
「……ああ、いつか全部、全部、奇跡も世界も何もかも――――」


全て、壊して、殺して、壊して、殺して

全部、無くなってしまえばいい

全部、滅ぼしてしまおう

其は、奇跡の殺戮者



● ● ●




数多の人の光があろうと、人が変わることはない。少しずつ前に進むことはあっても、その本質を変えることは出来ない

扉を開いた者はいるだろう、扉の近くまで近づけた者もいるだろう。而して、扉を潜る者は誰もいない

「それでも」と、「だとしても」と、その意志を貫くものがいる
その奇跡を、その輝きを、憎悪する掃き溜めから手をのばす怨恨の塊もある

これは後者の物語だ。これは絶望の果てに全てを焼却しようとする者達の、破滅の道筋だ


【ゾルダン・アッカネン@機動戦士ガンダムNT】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:何もかもぶっ壊す
1:キャロルの計画に付き合う
2:都合よくMSがあれば良いんだが……
3:
[備考]
※参戦時期は死亡後


【キャロル・マールス・ディーンハイム@戦姫絶唱シンフォギアシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:万象黙示録を完成させ、世界を分解し奇跡を否定する
1:この男(ゾルダン)の憎悪は興味深い
[備考]
※参戦時期は最低でもGX8話以降


580 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/05(金) 21:32:27 kBJQeBPk0
投下終了します


581 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/06(土) 10:42:09 Bk8iQetM0
投下します。


582 : 科学×科学 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/06(土) 10:47:26 Bk8iQetM0
技術者ーーーーー科学上の専門的な技術をもち、それを役立たせることを職業とする人。
デジタル大辞泉より引用。

序章並びに終章 科学×科学

ここは、ヒエールにより性罠と性欲NPCが跋扈する浮遊大陸。
そこで出会った一組の男女。
彼らは会話を交わした結果—————

「なるほど……どうやらフリージア君と私は別世界の住人ということになるな」
「ええ……ワタシも同意見デス」

互いに別世界の住人だと結論づけた——————

男の名はテム・レイ。
後に一年戦争と呼ばれた戦争のさなか、地球連邦によるV作戦においてガンダムを開発した技術士官。

少女の名はフリージア・ゴッドスピード。
叢雲学園技巧科に所属する一年生。
”刃道”に興味津々な海外の天才少女。

「いや、フリージア君。君のような年齢で既にここまでの技術者としての腕前を持っていること、素直に称賛に値するよ」
テム・レイは一年戦争時、不運な事故によって酸素欠乏症に陥っていたが、奇跡が起きたのか回復することができた。

だが、回復した直後、テム・レイはこの醜悪なる催しに参加させられた。
しかし、最初に出会った参加者はテム・レイにとって僥倖だった。
現地で出会った少女フリージアとの会話から優れた技術者の雰囲気を察したテム・レイは試しにMSに関する技術や数式を見せた。
テム・レイの直感は正しかった。自分の理論を少女は理解したのだ。

「何をいってるのデスか!テム博士のこのMS(モビルスーツ)を始めとした技術は人類の科学技術を飛躍させます。正に天才デス!」
片や、フリージアも興奮を抑えきれない。
MSという自分の世界には存在しない技術を知ったためだ。

「この殺し合いは、科学の発展に活かせる技術を性欲に使う無知で傲慢な男が生じた無意味な殺し合いだ」
テム・レイは憤っている。
別世界の住人を一堂に集める技術。
これだけの技術を有しているのに科学の発展に使うのではなく、性欲という下らない目的に使っていることに。

「そして、あの少女の享受すべき未来を惨酷な方法で閉ざした罪は重い!」
テム・レイがV作戦に熱心だったのは、若者が戦争に駆り出されることがなくなるためという思いが根底にあるためだ。

故に、未来ある若者であった少女を尊厳を踏みにじりながら見世物のように殺した主催の男をテム・レイは断じて許すことはできない。

「だからこそ、有能なる科学者である我々が立ち上がらなくてはいけない。人類のさらなる進化と輝かしき進歩を勝ち取るために君の英知が必要なのだ」
テム・レイの熱い言葉にフリージアは首を縦に振る。

テム・レイはフリージアが自分の理念に賛同してくれたことに口元を弛ませ—————

「それでは、行こうかフリージア君。我々、技術者の力であの傲慢な男の鼻っ柱をへし折るぞ!」
「ハイ。テム博士!ワタシやるよ!あの男は許せないッ!ムカファイアーデス!絶対にあの珍妙な顔をひっぱたきたいからね!」

テム・レイ率いる科学者たちの戦いが始まろうとしていた。

【テム・レイ@ギレンの野望アクシズの脅威V】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:あの傲慢な男の鼻っ柱をへし折る
1:フリージアと行動を共にする
2:首輪の回収・分析
[備考]
※参戦時期はテム・レイ編op直前より
※様々な異世界の住人が集められていることを理解しました。

【フリージア・ゴッドスピード@絆きらめく恋いろは】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:珍妙な男の頬をひっぱたく
1:テム博士と行動を共にする
2;首輪の回収・分析
[備考]
※参戦時期は共通ルート主人公と出会う直前より
※様々な異世界の住人が集められていることを理解しました。


583 : 科学×科学 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/06(土) 10:47:36 Bk8iQetM0
投下終了します。


584 : ◆PkjQuslEWg :2021/11/06(土) 13:29:42 oybiqKQY0
投下します


585 : ◆PkjQuslEWg :2021/11/06(土) 13:29:58 oybiqKQY0
「アンドゥ、ドロー!」

『で、これから私をどうしようってことかしら?』

「アンドゥ、ドロー!」

『さっさとするってなら始めなさい。退屈でこっちは仕方ないのよ』

「アンドゥ……ドr……か、可愛い……」

エロトラップダンジョンロワ、殺し合いが開幕してから三沢大地はデュエルディスクを構え、デッキを収めたスロットからカードをドローする素振りを行っていた。
窮地こそ平静であるべき、彼はこの極限下においても普段通りのデュエルの鍛錬をしていた。
デュエルとは四十枚以上のカードを組み合わせたデッキから、ランダムに五枚の手札を引くことでゲームを行う。
それ故、必要なカードを引き、引くべきではないカードをデッキに眠らせておくことも重要な戦略なのだ。
常日頃から鍛錬を重ねることで、その運命を引き寄せる力を磨き上げることは至極当然の事だ。

「い、いかん……オレは」

だが、三沢は邪念に支配されていた。
ラーイエローの秀才と言われ、優秀な頭脳とデュエルの腕を誇る三沢だが弱点と欠点が存在する。
あまり存在感がなく空気であること、女に弱いという点かつそのストライクゾーンがやけに広いことだ。
最初に見せしめに殺められたクロエ・フォン・アインツベルンを初めて見たとき、三沢は心を奪われてしまった。

白魔導士ピケルのような幼さと純真さを持ちながら、黒魔導士クランのような挑発的な笑みを放ち、憑依装着-ヒータのような活発さも感じられる。
美しくも儚く、気高い。今のままでも十分美しいだろうが、成長すれば更に―――。

『―――――――おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!』

「な、なんて真似を……」

彼女の未来を見ることはもう二度とない。
快楽に精神も身体も徹底的に嬲られ、破壊され尽くされ、屈辱を与えられた彼女の痛ましい姿を忘れることは出来ない。

「メスガキちゃん……オレはキミの名前すら知らないのか」

「三沢殿」

「……拙者さん」

「あまり気負うものではござらんよ」

そう三沢に語り掛ける男の名は拙者、侍でござる。
本人曰く名が思い出せないとのこと、言えるのはココアお姉ちゃんを始めとしたラビットハウスの面々と自身の一人称である拙者のみ。
そのために仮の名として、拙者と三沢は呼ぶことにした。


586 : ◆PkjQuslEWg :2021/11/06(土) 13:30:22 oybiqKQY0

「拙者、この辺を探索して参ったが……いやはや三沢殿のいう、でゅえるもんすたーずなる異形の者共ばかりでござった」
「やはり……ゴブリン突撃部隊といい……見たことのあるモンスターがオレ達を襲ってきていたが、ここは精霊のいる異世界なのか?」

デュエルモンスターズが実体化し、さらにはそれらが文明を持ち営みを送っている異世界が実在する。

「世界には十二の次元がある。その中の幾つかが、デュエルモンスターズの精霊の世界だったが……だがこれは十二の次元の規模を超えている気がしてならない」

拙者の話すラビットハウスのある世界、その背景と三沢の優秀な頭脳が照らし合わせた答え―――恐らくは、日本が第二次世界大戦で勝利しヨーロッパを占拠したという三沢からすればIFの平行世界と考えられる。
そうであれば、彼が未だ侍であることも納得がいく。

「参加者それぞれが、別の平行世界から呼ばれたとなれば……これは十二の次元どころではない」

「あのひえーるという男、底が知れぬでござるな」

「とにかく、オレ達に出来ることは首輪を外すことでしょう。そしてこの空間からの脱出……もし、腕の立つデュエリストが居るならば異世界を超える方法もあるかもしれない」

「どういうことでござるか?」

「オレは以前にも異世界に漂流したことがあったんですが、その時腕の立つデュエリスト達のデュエルによって発生したエネルギーを活用して異世界への出口を作り上げて脱出に成功しました。
 あるいは今回も……しかもここはその異世界と同じモンスターが実体化している世界、条件は整っているかもしれない」

「……奇想天外、摩訶不思議」

理屈は良く分からないが、脱出の方法にある程度算段が付いたのは幸運であった。
何はともあれ、ココアお姉ちゃんたちを見つけ出した後、三沢にそれらの準備を整えてもらえれば良い。

「拙者、かねてより戦う術を持たぬ力無き民を守護る為に侍になり申した」

「……」

「感謝をするでござる。三沢殿、お主がおるからこそ迷うことなくこの剣を振れるというもの。
 拙者一人では、ここからの脱出なんて、とても及びもしないでござろう……」

「いや、オレはオレに出来る事をやっているだけです……。
 例え、誰からも評価されずとも……誰にも見てもらえなくてもやれるだけのことをやる。
 オレみたいな地味で目立たない。存在感がなくて、すぐに誰からも忘れられる……そんな奴には、それくらいしか……」

「謙遜なされるな。 存在感がなく忘れられると申しておりましたな? なら、安心なされよ……拙者は絶対に忘れぬでござるよ。
 ――――お主という、真のサムライを」

「拙者さん……!」

二人の侍は熱い握手を交わした。
それ以上の言葉はなく、ただそこに秘めた信念を汲み取りお互いを認め合ったのだ。


「……さて、そろそろオレ達も行動に移りましょう。同じ殺し合いに反対する人達や、エロトラップに脅かされている人達が居るかもしれない」
「うむ、左様でござr――――」





「いらっしゃーい!」




「むっ、遊郭か…」


587 : ◆PkjQuslEWg :2021/11/06(土) 13:30:46 oybiqKQY0

ココアお姉ちゃん「いらっしゃいませー!」

拙者「むっ…」

拙者(拙者、主人にこの娘で、と合図を出す)

ココア「はーい!ご指名ありがとうございまーす♡」



ココア「ほらこっち座って座って」

ココア「お侍さんはこういうえっちなお店初めて?」

拙者「……。」(拙者、恥辱に顔を背ける)

ココア「だいじょーぶ♡ おねーちゃんにまっかせなさーい!!!」

ココア「はい、ぬぎぬぎしましょーね♡」

拙者「…! な、なにをする!!! この売女風情が!」


ココア「え…? そこのおっきくなってるおちんちんを外に出そうと思って♡」

ココア「えっちなこと、しに来たんでしょ?」

ココア「それとも恥ずかしいから、先におねーちゃんのおっぱい飲んでからにする…?」

ココア「ほら、おっぱい…舐めてもいいんだよ♡」

拙者「――!」(拙者、目前に放り出された豊満な胸を見て驚愕)

拙者「拙者に赤子の真似をしろと申すか!」


588 : ◆PkjQuslEWg :2021/11/06(土) 13:31:40 oybiqKQY0


ココア「ほ〜ら♡ お姉ちゃんのとこきてちゅーちゅーしましょうね♡」

拙者「そう乳を出されては、勿体無くて仕方がない」

拙者「頂戴する」チューチュー

ココア「あっん♡ 歯…あたってる♡」

ココア「頭なでなでしてほしい?」

拙者「…」(こくんと頷く)


ココア「よしよし♡」

拙者(んん♥ おねーちゃんしゅきぃ…♥)

ココア「おねーちゃんのおっぱい、美味しかった?」

拙者「うん…♥ あ、あのねおねーちゃん…」

ココア「どうしたの?もじもじして♡」


拙者「おちんちん…。おちんちんいじってほしい…♥」

ココア「…♡ おねーちゃんにまっかせなさーい♡」

拙者「アッアッアッ…おねーちゃんしゅきぃぃぃぃ♥♥♥」

ヤバすぎでしょwwwwwwwwwwwwwwwwWWwwwWwWwwWwW


【拙者@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:刀@ご注文はうさぎですか?
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:おねーちゃんしゅきぃ……。
1:アッアッアッ…おねーちゃんしゅきぃぃぃぃ。


【保登心愛@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:おねーちゃんにまっかせなさーい。
1:お侍さんのおちんちんをいじってあげる。


589 : ◆PkjQuslEWg :2021/11/06(土) 13:32:38 oybiqKQY0
タイトル書き忘れました。
ラストサムライ これでお願いします。
投下終了します。


590 : 名無しさん :2021/11/06(土) 19:43:09 MR7QOjWo0
投下乙です
候補作にもの申すのもなんですが、途中三沢が消えて状態表もないのと、ミーム汚染っぽいのに原作タイトルそのままの出展になってるのが気になりました


591 : ◆PkjQuslEWg :2021/11/07(日) 05:37:20 A7sxVBgg0
>>590
申し訳ありません。
漫画版とアニメ版では拙者が登場しないのを失念しておりました。
ご指摘通り、以下のように修正いたします。
恐らく問題ないと思うのでwikiの方もこのまま直します。



【拙者@ごちうさ二次創作】
[状態]:健康
[装備]:刀@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:おねーちゃんしゅきぃ……。
1:アッアッアッ…おねーちゃんしゅきぃぃぃぃ。


【保登心愛@ごちうさ二次創作】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:おねーちゃんにまっかせなさーい。
1:お侍さんのおちんちんをいじってあげる。


































「俺もいるぞ!」


【三沢大地@遊戯王デュエルモンスターズGX】
[状態]:健康
[装備]:三沢のデッキ(六つある内の五つは没収)&デュエルディスク@遊戯王デュエルモンスターズGX
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから脱出する。
0:俺、また忘れられてるのか……?
1:首輪の解析及び、殺し合い会場からの脱出方法を模索する。腕のいいデュエリストがいれば……。
2:他参加者から、平行世界の情報を集める。そこに殺し合い打破のヒントがあるかもしれない。
3:メスガキちゃん(クロエ)……南無。
4:あのお姉さん(ココア)が気になる。
[備考]
ごちうさ世界を第二次世界大戦で、日本が勝利した平行世界だと推測しています。
この殺し合いの会場を、異世界@遊戯王GXに近いものではないかと推測しています。
本編149話「魔神対決!幻魔VSエクゾディア」以降の参戦です。


『支給品紹介』

「三沢のデッキ&デュエルディスク@遊戯王デュエルモンスターズGX」

遊戯王GXの異世界編のようにカードの実体化が可能。
細かな制限に関しては、この作品が通った場合に他の遊戯王カードの制限に沿ったものとする。
一応、六つもデッキがあるので五つは没収済み。


592 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:18:46 x6CP0xG.0
投下します。


593 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:19:48 x6CP0xG.0
注意! 本SSは登場人物がデスアクメで死亡する描写があります。
そうした性的・尊厳破壊描写に嫌悪感を抱く方は読むのはご遠慮ください。


594 : 過剰なる正義の暴走 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:20:53 x6CP0xG.0
拳ーーーーー五指を折りまげてにぎり固めた手
Oxford Languagesより引用。

第一章 カンフー女と格闘少女

「アイヤ——————————!!!」
「はぁぁぁぁあああ!!!」
互いの両足が激しく交差する。

—————ゴッ!!!!!

拳と拳の激突。

互いに火花舞い散る攻防―――――

現在、とあるカンフー女と死闘を繰り広げているのは、ホンファ。
職業は女武闘家。
しかも、唯の女武闘家ではない。
かの大魔王ゾーマを斃した勇者の仲間の一人である。

「はぁぁぁあああ!!!」
「よっつよろしく糞転下肢!」
激しい蹴りと蹴りの応酬。

ホンファの蹴りと女の蹴りは拳同様互角。

「あう゛ぅ!?」
「あ゛い゛や゛っ!?」
互いの蹴りが鳩尾に入る。

——————ズザザザザザザ……

「……」
女は直ぐに体勢を整えると構え直す。

「……へぇ。やるわね」
口では強気だが―――――

(まいったわ。この娘……強いッ!)
ホンファの額に冷や汗が流れる。

対峙したときに感じた闘気から只者ではないと察していたが。

(だけど……負けるわけにはいかない!)
————そう、武闘家として欠けているカンフー女には負けられない。

☆彡 ☆彡 ☆彡


595 : 過剰なる正義の暴走 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:24:00 x6CP0xG.0
第二章 悪を許さない

冒頭の死闘が繰り広げられる前——————

ここは、性と罠がはびこる浮遊大陸。
参加者が転送されたとき、犯す犯されるの殺し合いのゴングは鳴る。

—————ズダダダダダッッッッッッ!!!!!!

「ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!!」
性欲機械と化したバトルフットボーラ―の集団は女参加者を犯そうとタックルを仕掛ける。

「……」
標的とされた女はその様子をじっと見つめていると、目をキッ!と睨むと————

「合意なく性行為を働く者は悪!!!」
手からエネルギー波が放たれ———

「ぷにぷにぃ〜〜〜♪」
エネルギー波をくらったバトルフットボーラーは可愛らしい機械音声と表情になり倒れこんだ。

「悪!悪!!悪!!!悪!!!!悪!!!!!」

「ぷにぷにぃ〜〜〜♪」
「ぷにぷにぃ〜〜〜♪」
「ぷにぷにぃ〜〜〜♪」
「ぷにぷにぃ〜〜〜♪」
「ぷにぷにぃ〜〜〜♪」

カンフー女のエネルギー波の効力は絶大であっという間に集団レイパーと化したバトルフットボーラーの集団を”ぷにぷに化”させた。

女の名は玉蘭。
ぷにぷに拳を極めるために修行をしているカンフー娘。

ぷにぷに真掌を得るために”秘薬”を飲んだが、その副作用により玉蘭の正義感が暴走してしまった。
その結果、ほんの小さな出来事でも「悪」とみなして成敗する残酷な性格へと変貌したのだ。

そんな玉蘭は世直しをしている最中に主催の男(ヒエール)により参加者として選ばれたため、怒りが収まらない。

暴走とはいえ、ぷにぷに拳の力は絶大で——————

「ガァァァァアアアアア!!!!!」

「……」

「吼える獣も悪!」

「ぷにぷにぃ〜〜〜♪」
暗黒のマンティコアでさえも可愛く倒れる。

「……」

「まずは一つ、この殺し合いは、オークだとかゴブリンだとか、所謂NPCってのがいてね。……そいつらは率先して君たち参加者を性的な意味で襲いかかるように細工しているんだ」
「他にも、これは特定施設に限定されるわけだけど、参加者を淫らに狂わせるような罠も沢山あるのさ。所謂エロトラップダンジョンってやつ」

————イラッ。

主催の男の言葉を想起した玉蘭。
鬱憤を晴らそうと玉蘭は倒れたマンティコアを一瞥すると止めを―――――

——————ガッ!!!

「……!?」
玉蘭の止めの一撃を突如現れた乱入者が止めたのだ。

「モンスターとはいえ、無力化した者に止めを刺すのは武闘家としていかがなものかしら?」
玉蘭の手を掴みながら、異を唱えたのは、短いツインテールの黒髪の少女。
服には”龍”と書かれた稽古着を身に纏っている。

少女の名はホンファ。

————————女武闘家。

「……」
玉蘭は手を振りほどくと構える。

「ねぇ、貴方も武道を嗜む者なら、一緒に組まない?」
ホンファは玉蘭に仲間にならないかと誘う。

しかし――――

「正義の鉄槌を妨げる者は悪!」
玉蘭は拒否し、ホンファに襲い掛かる。

「ふぅ……やっぱりね。なら……少々、痛い目に合ってもらうわ!!!」
(この娘の闘気……)

こうして、死闘が開始された———————

☆彡 ☆彡 ☆彡


596 : 過剰なる正義の暴走 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:28:29 x6CP0xG.0
第三章 武芸者として欠けているもの

———死闘が続き……

——————勝者は

——————ドン☆

——————玉蘭。

「げほッ……げほッッ!!!」
(負けた……)

大魔王ゾーマを斃した。
確かにゾーマとの死闘により、ホンファの身体は全盛期の実力は発揮できないい。
しかし、負けたことに—————
——————武芸者としてホンファは負けた事実に動揺を隠せない。

——————ギリッッ!
悔しい。
だけど—————

—————負けは負け。それは認めなきゃ……でも……!

ホンファは疲労で身体が困憊の中、玉蘭にキッと見据えると――――

「私の負けよ……だけ……ど、い……いい……ッ!確かに……貴方の技と体には驚かされるわ……でも、武道に一番大切なのは”心”……貴方は武芸者として”心”が欠けているわッ!!!」
同じ武芸者として、玉蘭に指摘する。

—————私の言葉で改心してくれたらいいのだけれど……
一抹の期待を込めながら。

「……ッ!!!」
————ギリッ……

その指摘に玉蘭は唇を噛む。
眼を大きく見張ると―――――

「負け惜しみをいう者は……悪!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
手から特大のビームを発射した—————

☆彡 ☆彡 ☆彡


597 : 過剰なる正義の暴走 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:28:45 x6CP0xG.0
第四章 敗者の結末

「とうでとうとうぷにぷに真掌!」
相手を脳内お花畑にするぷにぷに拳の”究極奥義”

—————ここまで……ね

無様なことはしない——————

指摘の啖呵を切ったとはいえ、敗北した。
ホンファは目を瞑り、技を受けることを選択し——————

「ぷにぷにぃ〜〜〜」
体力を消耗したため、ホンファは脳内お花畑……ぷにぷに化して倒れた。

ぷにぷに化した以上はもう戦闘続行は不可能。
そして、この殺し合いが見世物である以上、そうなった参加者の道は一つしかない。

『バトルロワイアル続行不可能。よってデスアクメ処置をします』
ホンファの首輪から音声が流れると―――――

「おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」
デモンストレーションとしてデスアクメをさせられた少女と同じように——————

ほんと——————最悪

ブッ……シャァァァァァァ〜〜〜〜〜……

蜜壺から愛液と尿を巻き取らし、稽古着はびしょぬれ。
身体は何度絶頂に達し、痙攣を繰り返す。

武芸者として誉ある死を迎えることができないことに—————

「あがっ!?あびゃびゃびゃびゃっががががっがががが!!!!!?????」

—————これでも、私、女なのよ……

「あああああ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっっっっ!!!!!!!!!!!」

———————それにしても……最後に思い浮かべるのが”アイツ”なんてね……

ホンファの今際の際に浮かび上がったのは、喧嘩仲間で親友の”女賢者”

「あ……ああ……ぁ……ぁ——————」

一つ惜しむことがあるとすれば、デスアクメによって女賢者の名前が出てこなかったことであろう。

【女武闘家(ホンファ)@ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ… 死亡確認】

「……」
玉蘭は斃れたホンファの目を閉じる。

”悪”とはいえ、同じ女性である。
デスアクメという尊厳を破壊尽くされた死は心が悼む。
それでも、玉蘭は歩みを止めない。
そして、改めてケツイする。
自分があの男(ヒエール)を成敗しなければと。

【玉蘭@クレヨンしんちゃん】
[状態]:負傷(中) 疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:優勝して巨悪(ヒエール)を討つ
1:悪を成敗する
2:悪ではない参加者は見逃す(玉蘭基準)
3:残りが悪ではない参加者のみとなったら……
[備考]
※参戦時期は映画劇中過剰なる正義が暴走しているところより
※奥義” ぷにぷに真掌”は相手が戦闘に敗れたりなど、負傷または疲労が大〜極大の状態でないと効果は発揮しない。ただし、NPCは別で喰らった瞬間に頭お花畑と化す。

☆彡 ☆彡 ☆彡


598 : 過剰なる正義の暴走 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:29:06 x6CP0xG.0
終章 ……ごめんなさい

玉蘭が去った後——————

「……」
一人の少女は斃れたホンファの遺体を発見した。

少女は目を瞑り、思案し終えると――――

「……ごめんなさい」
言葉と同時に—————

————ザクッ!!!!!!

————ゴトン

先ほど斃れたホンファの頸が斬りおとされた。

————スッ

そして、頸を斬りおとした少女はホンファの頸から首輪を回収する。
そして、首を首元へ戻すと遺体に手を合わせて黙とうする。

「本当なら、埋めてあげたいけど……」
頸を斬りおとしておきながら、その遺体を野ざらしとさらしてしまうことに心を痛める少女……

「でも、あなたの首輪……必ず役立てます。絶対に」
解除をするためには”サンプル”は必要不可欠。
故に少女は心を痛めながらも死体の頸を斬りおとした。

「……これで私の死後は地獄ね。……バナージ」
女はそう呟くと、ナイフについた血を高級そうなハンカチで拭い、回収した首輪をデイバッグへしまうと歩きだす。

少女の名はミネバ・ラオ・ザビ。
ザビ家最後の生き残り。

【ミネバ・ラオ・ザビ@機動戦士ガンダムNT】
[状態]:健康
[装備]:短刀七ツ夜@月姫 -A piece of blue glass moon-
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2 デスアクメ後の首輪
[思考・状況]
基本方針:あの男(ヒエール)の殺し合いを破綻させる
1:自分と同じ志を持つ仲間を探す
2:首輪の解析・解除の方法を探す
3:ごめんなさい……
※参戦時期は映画終了後より

『支給品紹介』 【短刀七ツ夜@月姫 -A piece of blue glass moon-】
柄に七ツ夜と彫られている飛び出しナイフ。
わりと昔の物だが頑丈にできている。
なお、直死の魔眼がなければ”───教えてやる。これが、モノを殺すっていうことだ”とはならない。

『NPC紹介』 【バトルフットボーラー@遊戯王OCG】
高い守備能力を誇るサイボーグ。元々はフットボールマシンとして開発されたらしいが、ヒエールの手により”機械のチンポ”を装着させられているため、ここでは性欲サイボーグの一体に過ぎない

『NPC紹介』 【暗黒のマンティコア@遊戯王OCG】
人間の知能、百獣の王の身体能力、鳥の飛翔能力、蠍の毒と、最強の部位が融合させられた”究極の戦闘生物”。
この浮遊大陸においてはヒエールの改造により”人間の性欲”としてチンポも融合されている。


599 : 過剰なる正義の暴走 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 13:29:19 x6CP0xG.0
投下終了します。


600 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/07(日) 14:02:34 MXy4t.gg0
投下します


601 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/07(日) 14:03:45 MXy4t.gg0
「ふん、醜いな」

 天空の会場にて、一人の男が不愉快そうに顔を歪めている。
 彼の名はユダ。南斗六聖拳の一人、妖星の宿星を持つ拳士である。
 彼はこの殺し合いが酷く不満だった。

 ユダは自らの美しさと知略に絶対の自信を持つ男である。
 そんな彼からすれば、このエロトラップを使い女を辱める醜い殺し合いも、理解不能の技術力を持ちながら、それをこんな風に無駄遣いする主催者にも不満しか抱けない。
 故に、彼は主催者が持つ技術を奪い取り、我が物とすることにした。
 同じ物を持つなら、より有益に使える存在が持つべきだ。
 彼は自分なら使いこなせると、信じて疑わなかった。

 だがしかし、ユダはこの殺し合いの中で一つだけ気に入るものがある。
 それは彼の目線の先にあるもの。

「ふむ、悪くない」

 そこでは、川から流れる水が天空の会場の外へと落ちていく。
 落ちていく水が雫となり、霧散していく光景は中々に幻想的だ。
 今は夜なのでそれだけだが、日が昇ればここに虹もかかるだろう。
 この光景は、ユダの審美眼にもかなうものだった。

 そう、ユダは殺し合いの会場自体を気に入ったのだ。
 なにせ、彼の元居た世界は核戦争で荒廃し、大地の大半が荒野となった世界。
 水も自然も僅かしかなく、特に水は、そこに湧き出る場所があるというだけで奪い取りに来る悪党がいるほどだ。
 そんな世界の住人からすれば、ここは天国と言っても過言ではない。
 ただし――

「それはこいつらがいなければの話だがな」

 そう言いながらユダは足元にあるものを踏みつける。
 それは、無謀にも彼に襲い掛かろうとしたゴブリンの死体だった。
 数は十体ほど。ゴブリンの群れはユダ一人に返り討ちにあったのだ。

 ユダからすれば大したことない雑魚でも、何の力もない参加者ならば数匹集まれば脅威だろう。
 だからもし、このゴブリンの群れが力の差を理解し、ひれ伏すというのであれば従えて、殺すつもりはなかった。
 しかし現実は力の差など認識せず、無謀にも襲い掛かって来るだけ。
 ならば生きる価値なし。美しいならまだしも、醜いのだから殺すことに躊躇など生まれる筈もなく。
 こうして、ユダの中でNPCは邪魔なだけで無価値な物と断定された。

 そしてユダは、自分がまだ支給品を調べていなかったことに気付く。
 彼は、自身がいつの間にか持たされたデイバッグの中を検めた。
 その中で気になったものを取り出す。

「何だこの機械は……?」

 それは、何とも言えない不思議な機械だった。
 付属されている説明書を読むと、この機械は『ちょっとカギマシン』というらしい。
 効果はちょっとした鍵なら開けてしまうらしい。これの有用性をユダは見つけられなかった。

 何せ、ユダは南斗六聖拳の一人。彼に掛かれば大抵のドアなど壊して開けられる。
 むしろ、彼に壊せないドアというだけで相当堅牢な部類だ。
 正直、彼にこれを使うタイミングがあるとは思えない。
 とはいえ、曲がりなりにも主催者が寄越したもの。ひょっとしたら使う機会があるかもしれない。
 もし必要になった時、不要と判断して捨てて後悔するくらいなら、まだ荷物として抱えていた方がマシだろう。

 そう考えたユダはちょっとカギマシンをデイバッグに戻し、歩き始めた。
 目的は他の、出来れば殺し合いに乗っていない参加者と出会うことである。

 ユダの最終目的は主催者を抹殺し、彼らが持つ技術を自分の物にすることである。
 ただし、その為に殺し合いに乗るかどうかは決めかねていた。
 というより、むしろ今決めない方が賢明と判断していた。

 ユダの最終目的は、結論だけ見れば殺し合いに乗る理由は全くない。
 しかし、そこに至るまでに殺し合いに優勝する方が確実となるなら、乗ることに躊躇もない。
 心情的にどちらでもいいなら、より確実に方法を見極めるのは普通のことだろう。
 だが今は判断材料がない。故に殺し合いに乗るかどうかは保留にしているのだ。


602 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/07(日) 14:04:08 MXy4t.gg0

 しかし行動を起こさない道理もない。故にユダは殺し合いに乗らない参加者の集団をつくることにした。
 殺し合いを嫌い主催に抗うなら、ある程度の頭数は必須。
 そして人間が多くいるなら、それは必然集団となる。
 集団となれば、それを纏めるリーダーや、参謀のようなものは必要となる。
 そのリーダーや参謀の位置に、ユダは自分を据えるつもりだった。
 そうなれば、従えて主催と戦うことも、邪魔になった時に切り捨てるのも容易だ。
 ユダはどちらに転んでもいいように策を練っているのだ。

 妖星は、またの名を裏切りの星と呼ばれている。
 しかしユダはそれを否定し、美と知略の星と呼んでいる。

 妖星が彼の言う通り、美と知略で主催者を倒すのか。
 その名の通り、主催者に抗う参加者を裏切り全てを手に入れるのか。
 あるいは、何も得られず全てを失い倒れるのか。

 それは、きっとこれからの出会いが決めるのだろう。


【ユダ@北斗の拳】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)、ちょっとカギマシン@MOTHER2
[思考・状況]基本方針:あの男(ヒエール)と、いるのであれば仲間を抹殺し、奴が持っている技術を俺の物にする
1:殺し合いに乗っていない参加者の集団をつくり、自分はそれを操れる立場に置く
2:殺し合いに乗るか反るかは保留。ある程度場を見て決断する
3:この会場は中々俺好みなので、NPCとやらを追い出して俺の物にしたい
4:ちょっとカギマシン……?
[備考]
参戦時期は少なくともレイと戦うより前です。


【ちょっとカギマシン@MOTHER2】
ユダに支給。
スノーウッド寄宿舎に住むジェフの先輩、ガウスが作ったマシン。
正式名称は”ちょっとした鍵なら開けてしまうマシン”であり、使用用途もそのまま。
ただし”ちょっとした鍵なら”とついている通り、鍵によっては開かないこともある。
原理は不明。


603 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/07(日) 14:04:54 MXy4t.gg0
投下終了です。
入れ忘れましたがタイトルは『妖星はここにいる』です


604 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/07(日) 17:37:35 RGjXE5..0
自作『■■の末路』の文章を一部修正させていただきました。


605 : ◆.EKyuDaHEo :2021/11/07(日) 20:44:56 aswtpNAw0
投下します


606 : 幼き勇者と魔法少女 ◆.EKyuDaHEo :2021/11/07(日) 20:45:28 aswtpNAw0
「こんなこと...絶対に許せない...」

殺伐とした空気に包まれた会場の中、少女、高町なのはは主催に対して怒りを露にしていた
突然人々を殺し合いに巻き込み、平気で見せしめとして人を殺すなんて絶対に許せない行為だった

「何とかしたいけど...レイジングハートがないんじゃ...」

レイジングハートとはなのはが愛用するインテリジェントデバイス。
レイジングハートさえあれば戦力に関しては問題ないであろうがそのレイジングハートは恐らく主催の手によって支給品として誰かに支給されているだろう...とその時...

──ガサガサ──

「!!」

近くの茂みから音がし、なのはは驚いて振り返った、するとその茂みから数体のゴブリンが出てきた

「「「「「ゴブゴブ!!」」」」」
(っ...!よりによってレイジングハートがない時に...)

レイジングハートがなくては一体ならまだしも数体は相手にできないと考えたなのはは逃げようとしたが咄嗟にゴブリン達に囲まれてしまった

(...!?これはまずいかも...)
「「「「「ゴブーー!!」」」」」
(ごめん...みんな...)

数体のゴブリンが一気になのはに飛びかかった、なのははただでは済まないことを悟ると目を閉じ覚悟した...その時...




──ふわっ──




突然身体が浮くような感覚に襲われた、なのはが目を開けるとたくさんのお姉さんにモテるぐらいのイケメンが自分をお姫様抱っこしていた、なのははその突然の出来事に顔を赤くした

「え...?///」
「君、大丈夫?」
「あ、あなたは...?」
「話は後で、まずはあの化け物達を倒してくるゾ!」

なのはを降ろした男はゴブリン達の前に立ち金属バットを持ち剣道の構えをした

「ゴブーー!!」

一体のゴブリンが男に飛びかかった、しかし

「面ーーー!!」
「ゴブ!?」

男の素早く放った打突がゴブリンの面にヒットした、面を打たれたゴブリンはそのまま倒れた

「「「ゴ、ゴブーー!!」」」

自分達の仲間一匹があっさりやられ、男のあまりの強さに怯むが三体のゴブリンが一気に飛びかかった、しかしそれでも男は動じず

「かん!とう!めーーーん!!!」
「「「ゴブーーー!?」」」

一気に三体のゴブリンを全てなぎ倒した

「ゴ、ゴブーー!!!」

最後の一体はとても勝てる相手じゃないと思ったのか逃げるように去っていった

「ふぅ...」
「す...凄い...」

大人とはいえ数体のゴブリンを直ぐに片付けた男になのはは驚いた
すると男が再びこちらに近づいてきた

「君、怪我はない?」
「は、はい...あの...助けてくれてありがとうございます!!それと...凄くカッコ良かったです!」
「いや〜それほどでも〜♪」

なのはの率直な感想に男は照れていた...すると

──ボワン!──

「きゃ!?」

突然男の周りから煙が出てきた、煙が晴れ何があったのか見てみるとなのはは驚愕した

「え...?男の子...?」
「お?ひょっとして変身が解けちゃったのかな?」

なのはは変身が解けたと話している子供に対して唖然としていた



○○○


607 : 幼き勇者と魔法少女 ◆.EKyuDaHEo :2021/11/07(日) 20:45:49 aswtpNAw0



遡ること数分前...

「あのおじさんは...」

嵐を呼ぶ園児、野原しんのすけは主催、ヒエール・ジョコマンを見て驚きの言葉を露にした
普段忘れっぽい性格の彼だがヒエール・ジョコマンは忘れてはいなかった...それはまだひまわりが生まれる前、リング・スノー・ストームの頼みにより家族皆で戦国時代にタイムスリップしたことがある、そして途中で出会った『春日吹雪丸』と出会い、『三人と一匹の勇者』として家族と吹雪丸と共に雲黒城へ行き、雲黒斎の正体であるヒエールを倒した...かに思われたがヒエールは現代世界に逃げており現代世界に戻ってきたしんのすけ達は再び彼と戦い無事倒すことができ世界に平和が訪れた...はずだった...

「あのおじさんのことだ...絶対にまた良くないことを考えてるゾ...」

ヒエールがまたもや何かを企んでいる...殺し合いや性的なことについては当然幼稚園児のしんのすけには何一つ理解できなかった、しかし何か良からぬことを考えていることだけは分かった

「それにしても困りましたな〜...」

しかし、突然知らない場所に連れてこられてしまったしんのすけはう〜んと頭を唸らせた、一体これからどうしたらいいのか分からなかったからだ

「バックの中に何か入ってないかな〜」

とりあえずどうしたらいいか分からずしんのすけはデイバックを漁った、すると中からしんのすけの見覚えのあるものが出てきた

「ん?この服、どっかで見たことあるきがするゾ?どこだっけ...?」

中から出てきたジャージの服についてしばらく思い返すとハッと思い出した

「あ、思い出したゾ、これ確かオラ達が戦国時代にタイムスリップしたときにシロがオラに渡してくれた服だゾ」

正確に言うと過去にシロの身体を借りたリング・スノー・ストームから渡された『タイムスーツ』が運良くしんのすけに支給されていた

「お?紙も入ってるゾ、え〜と...漢字ばっかりで分からないゾ...」

紙、いわゆる説明書が入っていたが漢字ばっかりでしんのすけには分からなかった、しかし過去に使用したことがあるためタイムスーツの扱い方は分かっていた

「え〜と確か、これを着てある呪文を言ったら変身できるんだよね?...なんだったっけ...?ま!後々思い出せばいっか!」

過去に教わった使い方を思い出しながらしんのすけはタイムスーツを着用する、前と変わらずしんのすけには大きすぎるため少しだぼっとしている

「相変わらず大きいですな〜...」

ここで彼の父親がいたら再びピョン吉みたいだと言われていただろう
...とその時、

「お?誰かいるゾ?」

しんのすけの視界に一つの人影が映った、よく見てみると女の子みたいだった
するとどこからか出てきた数体の化け物が女の子を囲んで、まさに今襲いかかろうとしていた

「た、大変だゾ!おたすけしなくちゃ!そうだ!呪文を唱えるんだゾ!え〜と確か...たすけてベスト!...あれ?違う?え〜と、たすけてケテケテ!...これも違う!?え〜とえ〜と...あ!思い出したゾ!!」

呪文を何回も間違えたがようやく思い出すことができ、しんのすけは思い切り息を吸って...叫んだ






「たすけてケスタ!!!!!」






○○○


608 : 幼き勇者と魔法少女 ◆.EKyuDaHEo :2021/11/07(日) 20:46:09 aswtpNAw0



しんのすけはなのはと互いに自己紹介をし、自分がタイムスーツで大人に変身しなのはを助けたことを説明した

「そうだったんだね、ありがとう!しんちゃん!」
「それほどでも〜♪困っている人をおたすけするのは当たり前ですからな!他にも困っている人がいればもちろんおたすけするゾ!」

しんのすけの放った発言になのはは心の底から凄いと思っていた

(私よりも年下でまだ幼稚園児なのに凄いな〜...それなのに私はレイジングハートがないっていうのを言い訳に何もしないで終わろうとしてた...)

デバイスがなくては何もできないと自分で思い込んでいたことになのはは情けなく思っていた

(せっかくしんちゃんが私を助けてくれたんだもん!私も頑張らなくちゃ!!)
「お?なのはちゃんどうかした?」
「あ...にゃはは!大丈夫!何でもないよ!」
「そう?とりあえず、他にも困っている人がいるかもしれないからオラと一緒に困っている人をおたすけしよう!」
「うん!そうだね!」

こうして二人は行動を共にすることを決めた
幼い勇者と魔法少女、二人の結末は如何に...



【野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:SPタイムスーツ@クレヨンしんちゃん
[道具]:基本支給品、金属バット@現実、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本行動方針:あのおじさん(ヒエール)を倒す
1:なのはちゃんと行動する
2:とーちゃん達もいたら探す
3:困っている人がいたらおたすけするゾ
[備考]
※映画の出来事を経験してます

【高町なのは@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本行動方針:主催(ヒエール)を倒して、みんなと脱出する
1:しんちゃんと行動する
2:フェイトちゃん達がいたら探したい
3:諦めちゃだめ!私も頑張らなくちゃ!
4:しんちゃん...カッコ良かったな〜
[備考]
参戦時期は少なくとも闇の書事件終了後です


【支給品】
【SPタイムスーツ@クレヨンしんちゃん】
野原しんのすけに支給。
過去にリング・スノー・ストームから渡された特別なジャージ、これを着て『たすけてケスタ』という呪文を唱えると変身することができる
※残り変身回数4回

【金属バット@現実】
野原しんのすけに支給。
野球やソフトボールで打者が投手の投球を打つために用いられる棒状の用具


609 : ◆.EKyuDaHEo :2021/11/07(日) 20:46:34 aswtpNAw0
投下終了します


610 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:52:20 x6CP0xG.0
投下します。


611 : さぁみんなで声にだしてみよう!せーの! ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:53:48 x6CP0xG.0
注意! 本SSは性的描写に不快に感じる場面があります。
こうした表現に嫌悪する方は読むのはお控えください。


612 : さぁみんなで声にだしてみよう!せーの! ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:54:09 x6CP0xG.0
下剋上ーーーーー下の者が上の者に打ち勝って権力を手中にすること。
デジタル大辞泉より引用。

第一章 交差する世界

浮遊大陸のある場所——————————

——————————そこで出会った一組の男女が情報交換をしていた。

「どうやら、わたしたちは別々の世界から集められたみたいです」
そう、自分の推測を話す少女—————

少女の名はコニシマイン。
超難問エリート校で名高い”MEDA学院”を異例の飛び級で入学した超天才少女。

「にわかには信じられないけれど……マジなようだな」
マインの推測を聞き、始めは信じられないといった顔をしていたが、信じるしかないといった

少年の名は日吉若。
氷帝学園中等部3年にしてテニス部の新部長へと着任したばかりだ。

「今や日本中で販売されている”メダロット”を知らないなんて私達の世界ではありません」
「メダロットもそうだが、”ロボトル”なんてスポーツは一回も聞いたことはない」
マインが発した”メダロット”と”ロボトル”という単語を日吉は今の今まで聞いたことが無い。
故に——————

日吉は一見、ファンタジーでしかないマインのいう”別世界”を信じる。

「それじゃあ、あの男も俺たちとは別世界の可能性があるわけだ」
「はい。おそらく」
日吉の見立てにマインは肯定する。

「それじゃあ、首輪を解除とあの男の関係者を探すのが最善ってことか……」
「それがいいと思います」
日吉とマインは行動の指針を定めた。

そのとき――――――

2人の耳に女性の声が聞こえた。

「日吉さん!」
「ああ!いくぞ!」

その声は”悲鳴”
マインと日吉は声の主を救うべく走り出す。

☆彡 ☆彡 ☆彡


613 : さぁみんなで声にだしてみよう!せーの! ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:54:40 x6CP0xG.0
第二章 えっと……マジ?

「えっと……殺し合いってマジ?」
ヒエール・ジョコマンによる性と欲望塗れる浮遊大陸。

一人の女子高生は夢かそれとも現実かどちらなんだと困惑している。

女子高生の名は和泉愛依。
283プロに所属するアイドルにして、ユニットStray lightの一人。

レッスンを一通り終えた愛依は、事務所でダラダラと過ごしていた。
すると、急に意識を落とし、目を覚ますと、先の出来事。

「……」
正直、アイドルというゲーノー人という立場になったため、これはプロデューサーが持ってきたTVの仕事なのではと思った。

「けど、あれがドッキリだとしたら、マジさいてーな番組だよね」
そう、愛依の心中を渦巻くのは”キモイ”の感情。
もし、幼い子供にあんな演技をさせているのなら、こちらから出演を辞退するレベル。

「はぁ……一体、どうしようかなー」
愛依はどうしたらいいか、わからず佇む。

すると―――――

————ザッ!

「……」
愛依の前に一人の男?が姿を現した。

「おじさん〜〜〜ちょっと怖い顔しすぎだよ」
(何、あのおじさん……こわ)
愛依は目の前に現れたおじさん?の異質な雰囲気にドン引き。

「……」
愛依におじさんといわれた男は口から涎を垂れ流しながら愛依に一歩ずつ近づく。

「ちょっと、ちょっと!うちにこれ以上近づくのはやめてくれる」
愛依はおじさんを睨みつけながら、後ずさりする。

「う゛へ゛へ゛ぇぇぇ!!!」
ちなみに愛依から”おじさん”と呼ばれている男。
男の名は凶悪犯チョップマン。
ヒエールが用意した性欲のNPC。

————————バッ!

チョップマンは愛依を犯そうと襲い掛かるッ!

☆彡 ☆彡 ☆彡


614 : さぁみんなで声にだしてみよう!せーの! ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:55:01 x6CP0xG.0
第三章 日吉王国

「ちょっ……やめ……ッ!?」
「お゛ん゛な゛ぁぁぁああ!」
チョップマンは愛依を組み伏せると、愛依のスカートからショーツを脱がす。
「ッ!!いやぁぁあああ!!??―――――ッ!……」

愛依は必死に抵抗しようとしたが、チョップマンによるチョップにより愛依は意識を落とす――――――

—————二ィ。

チョップマンは愛依の蜜壺を覗く。
健康的な小麦肌にピタリと閉じている蜜壺。

チョップマンは”いただきま〜す”といわんばかりに勃起した一物を———————

そのとき―――――

————シュパン!

風を斬るかのような音がして————

「ッ!!」
チョップマンの頭に固定物がガツンと当たる。

——————トス。

チョップマンは頭を摩ると、当たった物に視線を向けた。

視線の先にあったのは——————

「!!!!!?????」

——————爆弾だった。

直後、強烈な爆発音がしてチョップマンは黒こげになって斃れた。

「マイン!そっちはちゃんとできたか!?」
爆風をなんとか耐えきる日吉はマインに声掛けする。

「成功しました!女子高生の子は無事です」
マインの頭にかぶっているヘルメット型のロボットアームが愛依をがっしりと支え、無事に救出した。

「そりゃ、よかっ—————ッ!?」
日吉はマインを見ると、声を詰まらせる。

「……?」
マインは訳が分からず首をかしげている。

————————何だ!?どうして、マインと助けた女子高生が裸なんだ!?

日吉の眼に映るのは、全裸のマインと愛依。
日吉は顔を真っ赤にして訳がわからないといった様子。

(まるで……”日吉王国”じゃねぇか!)
そう―――――それはまるで自分の技。
日吉が前部長である跡部を越えるべく編み出した技。
—————日吉王国(ひよしキングダム)だ。

残念ながら日吉王国はまだ未完成でなんと————
相手の骨ではなく”服のみしか透けて見えない”

まさに今の日吉の眼は”日吉王国”と同じ。

(そうか……これがあの男がいっていたエロトラップなのか……ッ!)
日吉は理解した。
おそらく、主催の男(ヒエール)が用意したエロトラップを受けたのだと。

そう―――――

日吉は床に設置してあった魔法陣の効力により、常時、女性参加者を裸で見る眼とされてしまったのだ。

「一体、どうしたのですか?日吉さん」
マインは日吉に近づく――――――

「〜〜〜〜〜/////」
マインのつるぺた〜んながらもほんのりとピンク色をした乳首。
助けた女子高生の小麦肌の尻。
そして、2人の蜜壺—————

「わ、悪いが、ちょっと静まるまで待ってくれ!」

「わ、わかりました……」
日吉の言葉にマインは立ち止まる。

日吉も思春期の男子である。
日吉は勃起した自身の一物を鎮めるべく必死に精神統一を行った——————

☆彡 ☆彡 ☆彡


615 : さぁみんなで声にだしてみよう!せーの! ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:55:15 x6CP0xG.0
終章 さぁみんなで声にだしてみよう!せーの!

ふぅ—————

まさかの日吉王国が常に発動してしまうという事態。
一時はどうなるかと焦った日吉だが、精神統一をして心を落ち着かせたおかげで、ギンギンとなっていた息子を静められた。

「……あの、日吉さん。大丈夫ですか」
マインは日吉の背中をさすりつづけて気遣った。

「……大丈夫だ。いつまでも醜態をさらしていくわけにはいかないからな」

——————チラッ

日吉の視線の先には先ほど、助けた女子高生が木の傍で横たわっていた。
裸なのはこの際、無視だ!無視の精神。

「気絶していますが、後遺症に残るような怪我はありませんでした。とりあえずは、目が覚めるまで待ってあげた方がいいと思います」
マインは日吉に助けた女子高生—————愛依が心身共に無事であることを伝える。

「……そっか、それはよかった」
日吉はマインの報告を聴いてホッと胸を撫で下ろした。

そして――――――

—―――サンキュなとマインにお礼の言葉を伝える。

「なら、良かったです!」
マインはニコッと日吉に笑顔を向け——————

「それで……どうしますか、日吉さん」
マインは日吉の顔を覗く。

「……そんなの決まってるじゃねーか」
マインの裸に日吉は冷静をなんとか保ちながら—————

日吉は当然だといわんばかりに高らかに答える。

「下剋上だ」
「はい!下剋上しましょう!」
舐められている人間たちの反抗が今始まる!!!


616 : さぁみんなで声にだしてみよう!せーの! ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:55:33 x6CP0xG.0
【コニシマイン@メダロット9】
[状態]:健康
[装備]:爆弾セット@アトリエシリーズ 帽子型ロボットアーム@メダロット9
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:科学の力であの男(ヒエール)に下剋上する
1:日吉と共に下剋上をする
2:首輪の回収並びに解析を目指す
3:気絶している女子高生の目が覚めるのを待つ
4:もしかして、支給品にメダロットも……?
[備考]
※参戦時期はED後
※日吉の状態(服が透ける眼と化した)にまだ気づいていません。

『支給品紹介』 【爆弾セット@アトリエシリーズ】
アトリエシリーズの錬金術でつくられた爆弾。
今回はフラム、レへルン、プラジク、ルフトの4種類。
それぞれ、5個ある。現在フラム×4レへルン×5プラジク×5ルフト×5である。

『支給品紹介』 【帽子型ロボットアーム@メダロット9】
マイン愛用のヘルメット。
モデルは真型メダロットのビートを模している。
左右に生えているロボットアームは非力なマインをサポートして、とても便利。

【日吉若@テニスの王子様】
[状態]:健康 眼は常時”日吉王国”状態
[装備]:myテニスラケット@テニスの王子様
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:あの男(ヒエール)に下剋上する
1:マインと共に下剋上をする
2:気絶している女子高生の目が覚めるのを待つ
3:くそ……これが、エロトラップってやつか
[備考]
※参戦時期は仮面ライダー1号(映画)劇中
※エロトラップにより、眼は常に”日吉王国”状態となっております。
※眼が変化したことはまだマインには伝えていません。

『支給品紹介』 【日吉のmyラケット@テニスの王子様】
日吉若愛用のmyラケット。
なお、隕石を降らして恐竜を絶滅させる力は有しておりません。

【和泉愛依@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康 気絶
[装備]:爆弾セット@アトリエシリーズ 帽子型ロボットアーム@メダロット9
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:元の日常……283プロへ帰りたい
1:????
[備考]
※参戦時期はちょー早い!のコミュ中

『NPC紹介』 【凶悪犯チョップマン@遊戯王OCG】
元々は闇属性・アンデット族の効果モンスター。
今は、ヒエールの改造により性犯罪者としての凶悪な面を持つ。

『エロトラップ紹介』 【エロ魔法陣”エロい○○身体改造”@エロトラップロワ】
足元の魔法陣に触れると発動するエロトラップ。
魔法陣のトラップは多種に渡る。
今回、日吉がかかったのは、”エロい眼”これにかかった男参加者は女参加者の服を透けて裸を。女参加者は男参加者の服を透けて裸を見てしまう眼と化してしまう。この冬大陸にいる間は治ることはない。


617 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/07(日) 21:55:52 x6CP0xG.0
投下終了します。


618 : ◆//Muo9c4XE :2021/11/08(月) 03:10:23 e71zKGnk0
投下します


619 : 공격전이다 ◆//Muo9c4XE :2021/11/08(月) 03:11:34 e71zKGnk0

「それじゃあ、二人とも同じようにこのゲームには反対なんですね?」

 ホームレスのような小汚ない格好のくたびれた中年男性、ソン・ギフンが問いかけると、残りの二人は軽快に口を開いた。

「俺も同意見だ。こうも早く気が合う参加者と出会えてラッキーだな」

 胸元を大胆に露出させたロングブレザーに、金髪のオールバックと派手な装いの男、ハク・ジウンは、当然といった顔で殺し合いを否定する。

「ああ、俺もこんなイカれた見世物に従う気はない。大韓民国の男は金で魂は売らないぜ!」

 続けてトゲトゲ頭の胴着姿の好青年、朴星日(パク・スンイル)が、力強い覚悟と正義感を感じさせる眼で同調した。
 年齢も職業もバラバラな三人はある共通点がある。コリアン、つまり大韓民国出身の参加者だったのだ。
 序盤で接した参加者が同国の者という幸運もあり、彼らは比較的穏便にチームを組む流れとなった。
 20億という賞金の魅力に飲まれず、対主催という立ち位置が概ね共通していた事もプラスになり、付近に攻撃的なNPCも居らず、殺し合いの場に似合わない和気藹々とした意見交換が行われていた。

「ジウンさんはK-POPスターなんですよね?曲はどんなものを?」

 ソン・ギフンは、一際派手な出で立ちのジウンに問いかける。
 国を代表するポップカルチャーのスターと名乗った男に興味を引かれるのは当然だった。
 ギフンは彼の事を知らないが、自信満々な表情は裏打ちされた実力を表しているようで、さぞ売れている歌手なのだろう。

「あぁ、最近だとシングルアルバムの『カット・スルー・ユー』がヒットしたね。自信作だったんだけど、知らない?」

「うーん、すみません。ちょっと知らないですね。最近の流行には疎くて…」

「あー……良いよ、そういう事もあるさ」

 少し落胆したようだが、ジウンは気にしていないようだ。
 知らないのなら、これから知られるように努力すれば良い。そう言いきったジウンの顔は夢に歩む原動力に溢れていて、ギウンには眩しく映った。
 こういう前向きな姿勢が、スターとして大成するための秘訣なのだろうか。
 初対面だが、ギフンはジウンに好意的だった。

「我が国の文化芸能を担うスター拉致するなんて…許せねぇぜ!」

 朴が怒りの声をあげる。三人の中で一番主催への反抗心を表しているのは彼だ。愛国心に裏打ちされた情熱が、この理不尽な催しへの怒りに駆り立てている。
 聞けば、朴はテコンドーの達人らしい。三人の中では若さもあって一番強いのが彼だろうとギフンは判断していた。
 協力者が正義感を持つ相手であったのは幸いだが、ギフンは浮かない表情を隠せなかった。

「三人で力を合わせて、薄汚い主催のチョッパリどもを皆殺しにしよう!」

 主催者を日本人と断定した朴の言葉には、確信があった。
 その眼には燃えるような義憤と、害虫駆除業者の意識が混合していた。

 出会って早々、朴はギフンとジウンに悪逆非道な日本人野郎こそがこのゲームの黒幕であり、駆逐するべき相手だと力説してきたのだ。
 あまりにも力強い言葉に、何か情報があるのかとギフンは問いかけたが、朴は逆に怪訝な顔で答えた。

『こんな酷い事をするのは、劣等民族で根性が腐った差別主義国家のチョッパリしか有り得ない』と……。

 そんな根拠とも言えない言い掛かりで、朴は主催者を日本人と断定し、義憤を燃やしていたのだ。
 世界最高民族である韓国人が殺し合いに乗ることは有り得ない。
 信頼できる彼らと共に、邪悪なチョッパリ(日本人野郎)を駆逐しなければっ!

 熱く語る朴に対して、ギフンは気後れを感じていた。口にはしないが、過激な発言にジウンも引いているようだ。


620 : 공격전이다 ◆//Muo9c4XE :2021/11/08(月) 03:13:15 e71zKGnk0
 ギフンは、その思想には反対だった。
 愛国心は素晴らしいが、時に弱者にしか見えない人間が、底知れぬ悪行をなす事をギフンは知っている。逆もまた然り。
 アリ・アブドゥルのように、善意で人を助ける外国人も存在するのだ。人の善悪に国の違いは関係がない。
 しかし、直接口にだして訂正するのは躊躇された。
 朴がジウンとギフンに向ける眼差しは裏表のない信頼に溢れている。心から同胞である二人を信じているのは明白だ。
 思想の是非は兎も角、これほど信頼を向けてくる相手に水を差すような事を言うのは気が引けた。

(流石に見過ごせなくなったらとめれば良いか)
 
 幸いにも、同郷のギフンの言葉は聞いてくれる。思想は過激だが、殺し合い自体には断固として反対しているようだ。
 ジウンと協力して説得すれば、何とかなるだろう。まだ協力はできる。ギフンはそう結論付けた。
 信頼できる仲間は貴重だ。特に金に左右されない相手は特に。その事をギフンは嫌という程知っていた。

(……もう殺し合いなんてウンザリだ。今度こそとめてやる……!)

 大金をかけた死のゲームを経験したギフンは、朴に劣らない確かな使命感を胸に抱いていた。
 もうこれ以上、金のために人が殺される光景を見るのは御免だ。
 血に濡れた金を手に入れても満たされない。少なくとも、自分は。
 きっとそれは、己だけではない。名も知れぬホームレスを助けた誰かのように、人には確かに良心があるのだ。
 このバトル・ロワイアルはあのゲームと違って同意の元に行われている訳ではない。
 動機もなく殺し合いを強要されたのなら、優勝賞金よりもゲームを否定する者の方が多い筈だ。
 乗り気の連中に彼らが殺される前に準備を済ませる。数を集め徒党を組めば、きっと主催者に届く。
 いや、絶対に届かせる。
 名も知れぬ少女の冥福を祈り、ギフンはこのゲームの打開を誓った。

【ソン・ギフン@イカゲーム】
[状態]:困惑(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:対主催
1:ハク・ジウン、パク・スンイルと行動する
2:仲間を募り、このゲームの打開方法を探る
[備考]
参戦時期は本編終了後。イルナムとの賭けに勝った後
イカゲームの詳細はまだ語っていません。

【朴 星日(パク・スンイル)@テコンダー朴】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]基本方針:主催者を倒す
1:ソン・ギフン、ハク・ジウンと行動を共にする。
2:強悪非道な日本人野郎(チョッパリ)を打倒する
[備考]
参戦時期は書き手に任せます




 第一段階は上手くいった。
 微笑みの下で二人を嘲笑いながら、ジウンは愉悦に浸っていた。
 ハク・ジウンにとって、自分を魅力的で親しみやすいように見せかける事は慣れていた。人心掌握はスターの必須スキルといっても過言ではない。
 自分のヒット曲も知らないようなド田舎の一般人くらい、取り入るのは簡単だ。

 ここは儀式の場ではない。エンティティの新たな気紛れか、それともかの女神すら意図しない展開か、ジオンには図りかねた。だが、そんなことはどうでも良い。
 名声を得られる場であれば、儀式だろうと殺し合いだろうと構わない。

 朴とソンに語ったのは全て嘘だ。ジウンは優勝を狙っているし、何なら殺人すらも枷にはなり得ない。
 躊躇する倫理観など、バンドメンバーを焼き殺した時に捨ててしまった。
 見知らぬ他人の命を尊重するより、内なる衝動を満たす事がジウンにとって優先するべき事柄である。


621 : 공격전이다 ◆//Muo9c4XE :2021/11/08(月) 03:14:04 e71zKGnk0
ハク・ジウンはヒエール・ジョコマンに嫉妬していた。同時に、燃えるような対抗心も感じている。
 冒頭のPVは壮大かつ派手であり、彼のインスピレーションを大いに刺激したのだ。

 あの少女の死に様は美しかった。
 見てくれは汁にまみれて最悪ではあったが、最後の断末魔には生死の境にある生命の輝きを感じた。それこそが彼が求める音であり、目指すべきものだ。
 惜しいのは、あの悲鳴を録音できなかった事か。あの音源を曲に組み込めば、最高の名曲が仕上がると確信していた。
 あの音源を調律し、シングルアルバムで売り出せば、歴代チャートを塗り替える記録を打ち立てられるだろう。
 まだ機会は失われた訳ではない。
 この忌々しい首輪には、少女の処刑に使われた物と同じナノマシンが仕込んである。あの光景の再現は充分できるのだ。
 あれほどの素材は早々見つかるとは思えないが、参加者の中にはきっとより良い素質を持つものも居るだろう。
 殺し合いという舞台は、素材探しにはうってつけだ。

 幸いにも、パク・スンイルは過激な反日家だ。自覚はないだろうが、この有り様では放っておいても勝手に敵を増やすだろうし、呈の良いスケープゴートに最適と言える。
 見繕った”素材”が日本人ならば、差別主義者だと適当にでっち上げれば喜んで楽器作りにも協力してくれそうだ。それほどの過激さを彼からは感じた。

(でもコイツは邪魔だな……)

 問題なのはソン・ギフンだ。話してみて解ったが、この男は生粋の善人。朴の差別的な言動にも口にはしないが難色を示しているのは明らかだ。
 それに、この男にはどこか侮れない何かを感じる。
 人生から転がり落ちた凡人といった風貌に似合わず、それなりの修羅場を潜ってきたような、霧の森で狩っていた生存者と同じようなオーラを感じる。
 
 ジウンの本質には毛ほども感づいてはいないようだが、侮っていたら足元を掬われるかもかもしれない。
 どう考えても後々邪魔になる。
 だがまだ始末するのは早い。序盤で危険視されて退場なんて失態、ジウンは犯すつもりはない。
 問題なのは時期と場所。幸いにもここは殺し合いの場、火種には事欠かない。
 暫く行動を共にし、準備を済ませた上で彼には脱落してもらう。
 始末した所で、同胞への盲目的な信頼を抱くパクならば、韓国人以外の相手に罪を擦り付ければあっさり信じるだろう。
 名声を得るには、努力と下積みが最大の近道なのだ。ジオンは、そのための手間隙を惜しむ男ではなかった。
 次なる名声に想いを馳せ、トリックスターは笑った。
 彼の懐には、煌めくナイフが肉を抉る瞬間を静かに待ち構えていた。

【ハク・ジウン(トリックスター)@Dead by Daylight】
[状態]:健康
[装備]:ナイフ詰め合わせ@DBD
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:優勝狙い。ナノマシンを使用して断末魔を録音したい
1:ソン・ギフンは頃合いを見て始末する
2:朴は利用できるが、扱いに困ったら始末するかな……
[備考]
参戦時期はエンティティにより霧の森に招かれた後。

【ナイフ詰め合わせ@DBD】
 トリックスターの扱うゲーミングナイフ。44本でワンセット扱いだが細かい所持本数は書き手に任せます。


622 : ◆//Muo9c4XE :2021/11/08(月) 03:16:28 e71zKGnk0
投下終了です


623 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/09(火) 05:54:13 l/jmc8.k0
投下します。


624 : せかいのはんぶんをやろう ◆s5tC4j7VZY :2021/11/09(火) 05:55:57 l/jmc8.k0
勇者ーーーーー勇気にあふれる者
Oxford Languagesの定義より引用。

第一章 正気を失いし者


——————もし、わしのみたかになれば せかいのはんぶんを■■■にやろう。

はい
いいえ
























 はい
→いいえ


625 : せかいのはんぶんをやろう ◆s5tC4j7VZY :2021/11/09(火) 05:56:51 l/jmc8.k0

















































 はい
→いいえ


626 : せかいのはんぶんをやろう ◆s5tC4j7VZY :2021/11/09(火) 05:57:26 l/jmc8.k0



























→はい
 いいえ

☆彡 ☆彡 ☆彡


627 : せかいのはんぶんをやろう ◆s5tC4j7VZY :2021/11/09(火) 05:58:01 l/jmc8.k0
「おおおおおおおおっっっっっ!!!!!」
浮遊大陸に響く大きな声。

「広大な土地……豊かな自然……なんと素敵な」
男は浮遊大陸に感動している。

男の名は”やみのせんし”
かつて、大魔王ゾーマを打ち取った勇者ロトの末裔。

ラダトームのローラ姫を救い、竜王に挑んだ勇者。

「オレさまのもの……この世界はオ レ さ ま のものだぁぁぁぁああああああ!!!!!くひゃはははははっ!」

—————勇者は選択した。

【やみのせんし@ドラゴンクエストビルダーズ】
[状態]:健康 正気を失っている
[装備]:ロトの剣@ドラゴンクエスト1 おうじょのあい@ドラゴンクエスト1
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1
[思考・状況]
基本方針:全て手に入れる
1:くひゃははははっ!
2:この世界はオレさまのものだ!
3:無礼な者は殺す
[備考]
※参戦時期は主人公に敗れて逃げていった後

『支給品紹介』 【ロトの剣@ドラゴンクエスト1】
あらゆる魔を切り裂く大業物。
”やみのせんし”が竜王の誘いに乗る前のすなわち”勇者”の剣。
そのためい剣の宝玉も抜き取られていない。

『支給品紹介』 【おうじょのあい@ドラゴンクエスト1】
救出したローラ姫から受け取った金色の巨大なペンダント
竜王の誘いに乗った勇者にローラは何を想っているのか……

☆彡 ☆彡 ☆彡


628 : せかいのはんぶんをやろう ◆s5tC4j7VZY :2021/11/09(火) 05:59:24 l/jmc8.k0
終章 正気を保つ者

正気を失った勇者もいれば、正気を保つ参加者もいる。

「さて……とんでもないことに巻き込まれた」

エロトラップダンジョンに殺し合いとありがたくもない催しに強制参加させられて困惑を隠せない少女がいた。

少女の志波姫唯華。
宮城県にあるフレゼリシア女子短大付属高校の女子バトミントン部の主将。

(試合が終わって、この仕打ちは正直キツイね……)
そう、唯華は全国大会準決勝を終えた直後にこの殺し合いに参加させられた。
羽咲との激闘は、体力を使い果たした。

(下手に動くとあの不審者に気づかれるから、ここはこのまま隠れて体力回復を目指した方がいいかな)
唯華はまずは、体力回復を取るべきだと判断した。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……うん。とりあえず、最低限の体力は回復できたかな」
試合の疲れを回復させた唯華は両腕を上にグッと伸ばす。

(あの不審者……容姿はヤバいけど、剣を扱う腕前があった……それに、普通に考えれば私がこの殺し合いを生き残る確率は下から数えた方が早いだろう)
唯華は自分を客観視する。

「ここで、死ぬ……」

—————パンッ!

唯華は両手で自分の頬を叩いた。

(弱気になるな……弱気になったらそこで私の命運は決まる!)
唯華は冷静を取り戻す。
強靭なメンタルは伊達じゃない。

「絶対に生きて皆の下へ帰るよ」

——————あの”試合”は私の集大成となった。

—————だから胸を張ってフレ女の皆の下へ戻る。

そのためにも、私がやるべきことは最善を尽くすだけ———————

【志波姫唯華@はねバト!】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて部の皆の下へ帰る
1:主催に対抗する参加者と組みたい
2:あの不審者から出来る限り離れよう
[備考]
※参戦時期は14巻71thラリー試合終了直後


629 : せかいのはんぶんをやろう ◆s5tC4j7VZY :2021/11/09(火) 05:59:38 l/jmc8.k0
投下終了します。


630 : ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 22:53:05 ie6hAGWc0
投下します。


631 : Twin Tales ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 22:53:53 ie6hAGWc0
 武装探偵、もとい武偵。凶悪化する犯罪に対し、武装を以て立ち向かうことが許された国家機関である。各分野のスペシャリストが集った上で逮捕権を含む警察権の多くを内包した権能まで有しているため、検挙した犯罪者は数知れない。今や武偵は凶悪犯罪者の天敵となる組織であり、命を狙われる日々を送る武偵も少なからず存在する。

 武偵の中でも上から二番目の階級であるAランクに位置する少女、峰理子。彼女は『怪盗』の二つ名を持つ情報収集のスペシャリストであった。

 拉致監禁の罪に加え、殺し合いの強制という殺人教唆、首輪による脅迫。さらには、幼い少女に薬物を投与して殺害まで重ねている。目に余るばかりの凶悪犯罪を前に、武偵である彼女は――

「えっちぃのは困っちゃうなぁー。そーゆーの、まだキーくんにだって許してないのにぃ。」

――あざといポーズをキメながら、目の前の少女にそう言い放った。

「そ、そういう問題なの……かしら?」

 そんな理子に対して困惑で返す少女の名は、コーディ・トスカリナ。明色の制服に包まれた理子と対をなすかのごとき暗色の衣装を纏い、首からはロザリオを提げている。

 二人の位置する森は夜の常闇に包まれ、前もロクに見えないほど視界が狭い。殺し合いやエロトラップなど関係なしに充分に危険な場所と言えるのだが、しかし理子がまるで通学路を歩くように堂々と闊歩するものだから、その不安も比較的軽減されるというものだ。

「その……エ……エロトラップ……っていうのがイヤなのもそりゃもちろんなんだけどね? でもそうじゃなくって、もっとツッコむべきところはあるっていうか……殺し合いの方がもっと怖いんじゃないの……?」

 当然、おませ気味な思春期の少女であるコーディも、エロトラップなどという露骨な単語を前にしてはさすがに臆するところはある。しかしそれよりも、殺し合いなどという非日常、目の前で殺された幼い少女の死に様。自分もああなるかもしれないという恐怖――否、もっと心の底から湧き上がってくる根源的な死への恐怖があった。

「こう見えてりこりん、武偵だからね。命のやり取りなんて茶飯事ってわけだよっ!」
「ええ……物騒……。っていうか、そのブテイ?っていうのは一体何なの?」
「…………ぎにゃっ!?ㅤもしかしてこでにゃん……武偵を知らない!?」
「ちょっと……こでにゃんって私のこと?ㅤ……まあいいけど。ブテイなんて聞いたことないわよ。」
「ふぅーん……?」

 理子はその天真爛漫さから一転し、考え込むような仕草を見せた。敵情を知るのは武偵としての彼女の専門分野だ。情報媒体が奪われていても、持ち前の頭脳だけは奪えない。


632 : Twin Tales ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 22:54:39 ie6hAGWc0
(何ていうか、掴みどころのない子ね……。ちょっと、ガーデニアみたい。)

 ぐいぐいと距離を詰めてくる一方で、その根底に垣間見える僅かばかりの聡明さ。コーディには同じ町に住む少女の姿が思い浮かべられた。

「ブテイってのを知らないの、そんなに不思議かしら?」
「そりゃもうビックリとしか言えないよー。こでにゃん、もしかして外国から来たとか? ……言語は一緒みたいだけど。」
「でも確かに、この世界は全体的に私の常識からかけ離れてる気はするわ。私、植物については結構詳しいと思ってたんだけど……この森の植物、知らないものばっかりだから。」
「……ホントに?」

 辺りを見渡せば、確かに色とりどりの植物が咲き並んでいる。だが、さすがに全てではないが、見覚えのある草花は決して少なくない。

「じゃあ例えば、この花は?」

 理子はそこに生えた白い花を摘んで、コーディに手渡す。それを不思議そうな顔持ちでジロジロと見ながら、間もなく自信なさげに『薔薇』と答えた。

「ぶっぶ〜。正解はクチナシ。」
「……聞いたことないわね。」
「う〜ん、そっかぁ〜……。」
「……一体、どういうことなのかしら……。」

――妙だ。

 理子が花についての知識を有しているのは、友人であり教師でもある夾竹桃と、互いの技術を伝達し合ったからだ。常識など人ごとに差異があるだろうし、誰もかもがクチナシの名を当てられるとまでは思わない。しかし、『詳しい』と自称するからには答えられなければいけない程度の知名度のものは出題したつもりだ。

……或いは、武偵を知らないと言ったことと統合するに、コーディが植生も文化も全く異なる地域に住んでいるという可能性もある。その場合、何故そこまで自分たちと縁遠い人物を巻き込むのかは分からない。だが、現代の日本に生きていながら武偵を知らないことよりは、まだ有り得ると思える。



「――私は植物を知らない。あの森の植物は、全部架空のもの。」



 思索に耽る理子の耳に、抑揚の無いコーディの声が唐突に入り込んだ。不気味な声、そして殺気じみた何かを察知し、バッと振り返る理子。

「ッ……!」

 そして同時に理子は目を疑う。

「――それはラッセルが、植物をよく知らないから。」

――そこにいたコーディは、いつの間にか、焼死体の如く顔面が焼け爛れていた……ように見えた。

「……あれ?」

 確かにそう見えたのだ。だが、次の瞬間には今までと同じ、仏頂面地味た顔付きに変わっていた。あの一瞬の光景が見間違いだったのだろうか。武偵という職業の中でも情報を司る立場である以上、死体の写真を見ることは少なくない。一瞬見えたコーディの顔面は、その中でも火事で焼けて亡くなった死体のそれに酷似していた。


633 : Twin Tales ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 22:55:12 ie6hAGWc0
「今の、どういう意味?」

 恐る恐る尋ねると、コーディは俯いた顔を理子に傾け、目が合った。訝しげに見つめる理子の目を見て、コーディは口を開く。

「……あら? ……私今、何してたんだっけ?」

 指を顎に当てて考える仕草のまま、そう言った。

「ええっ、覚えてないの?」
「ええ……。ちょっと私、しっかりしなきゃ。ボケるには早いわよ……。」

 ぽかんとしたままのコーディの様子は、とても演技だとは思えない。よしんば演技だったとして、その意図も読めない。ハニートラップのように、相手を警戒させないまま欺くために無害な少女を演じるならまだしも、少なくとも自分は今、コーディの振る舞いによって彼女を少なからず警戒している。

 だが、数秒前の記憶を失っているのが演技であってもそうでないとしても、さっきの発言がどういう意味であったのかを尋ねることそれ自体は無意味だ。だから、少し趣向を変えて尋ねることとする。

「ところで……ラッセルってだぁれ?」
「……え? 私、アイツのことなんて言ったかしら。」

 コーディが口走った名前を尋ねると、反応があった。やはり惚けている演技のようには見えないが、念のためどちらであっても不自然ではない返しをしておく。

「アイツ? おやおやぁ? もしかしてオトコノコの名前かなぁー? さっきこでにゃんがボーッとしてた時、呟いてたよ?」
「ええっ!? わ、私無意識にそんなことを……!? ち、違うの、わわわ私ラッセルのことなんかそんな……」
「はっはーん……。」
「ちょっと……! 勘違い! それ勘違いだからっ……!」

 必死に否定するコーディに、何かを察する風に振る舞う理子。仮にコーディがただボーッとしていただけで、その時無意識に好きな男の子の名前を呟いた……というのなら、何とも微笑ましく、そして弄りやすいのだが。一点、顔が焼き尽くされていたように見えたことが理子の頭を支配していた。あれも見間違いだったのだろうか。直感だけは、それで済ませてはならないと警鐘を鳴らしている。

(あの一瞬の光景のことは分からないけれど……遠山家の一族みたいに何かの鍵で別の人格が目覚めることは有り得るわね。……別に、どうでもいいけど。)

 その場合、鍵は何であるのか。武偵や植物を知らなかったりといった常識の乖離と何か関係はあるのか。断片的な情報を繋ぎ合わせつつも想像を巡らせるが、しかし理子の持ち合わせた常識から、コーディの真相に辿り着くことは決してなかった。


634 : Twin Tales ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 22:56:04 ie6hAGWc0
――コーディ・トスカリナという少女の本当の出自は彼女自身も知らない――否、少なくともこの時は、知る役割を与えられていない、とでも言った方が正確だろうか。

 本来、コーディは既に、住んでいた教会の火事で兄のドグマ共々死亡している。その後間もなくして、放火犯のラッセルは、それを含む連続殺人の容疑で逮捕。そして裁判を経て死刑判決が下ることとなった。

 そしてラッセルは、人体には危険な薬品『ハッピードリーム』を用いた更生プログラムの実験台となることが決まった。夢の中の世界で、自分が殺してきた者たちと共に過ごしながら、過去の自分の罪、そして自分が破壊してきたものの重みと、改めて向き合うというものだ。それは、幸せを知らなかった少年に、もう取り戻せない前提の幸せを教えるという罰でもあった。

 この世界に招かれたコーディは、元を辿ればラッセルの夢の世界の住人である。だから、彼女は真にコーディという少女ではない。夢の主であるラッセルが罪悪感を覚え始めた影響で、その人格には歪みが生まれ始めている。ラッセルの罪悪感が生んだ死者人格が稀に現れては、己の虚無を訴えかける。垣間見える現実、夢の終わりは近い。されどこの殺し合いは始まってしまった。更生と断罪、与えられた生と共にあった二つの役割から逸脱しつつも、ラッセルの精神から独立した人物としてコーディはここに立っている。人格を宿した現実存在として、外界への干渉を可能としている。

(何にせよ、そろそろ目当ての情報収集といくべきかな。)

 コーディの死者人格の考察を諦めた理子。コーディと接触した本来の目的に移ることに決める。

「ところでこでにゃん、そのおっきい胸にロザリオ付けてるけど、もしかしてシスターか何かだったり?」
「ちょっ……何言ってんのよ!」

 慣れない方向性のアプローチについつい声を荒らげるコーディ。

「まあ……その通りだけど。…………胸じゃなくてシスターの方ね!?」
「くふっ……ちょっとそのロザリオ、見せてくれないかなー?」
「えっ、どうして?」
「りこりん、こういうアクセサリーとか大好きだもんっ!」

 コーディは暫しの間ロザリオをじっと見つめ、そして申し訳なさそうな顔をして言った。

「ごめん……これは大切なものだから、少しの間でも渡せないわ。」
「そーなんだ。何か特別なチカラが宿ってる、とか?」
「ううん、そういうのじゃないんだけど……亡くなったお母さんがくれたロザリオだから。」
「……そっ、か。……それじゃあ、仕方ないよ。」

 少しだけ表情に影を落としながら、理子はあっさりと引き下がった。どの道、特別なチカラを備えていないロザリオに興味はない。大切なのは、コーディのロザリオは、この世界に呼ばれる前から持っているものであるという点だ。

「元々持ってたロザリオを奪われたのはあたしだけ……ってことか。」
「…………理子?」

 出会って真っ先に目に付いたコーディのロザリオについての情報は分かったし、その上で簡潔ではあるが結論も出た。だから――そろそろ潮時、といったところだろうか。



――タァンッ!



 一発の銃声が、闇の中に響き渡った。その意味が即座に理解できなかったのか、コーディの目と口はぽかんと開いたままで。全身から込み上げる熱さに視線を落としたその時、緑色の服の真ん中に空いた穴と、そこから溢れ出る紅い液体に気付きその顔を絶望の色に染めた。


635 : Twin Tales ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 22:56:51 ie6hAGWc0

「えっ……なん、で……」

 裏切られたことへの怒りか、それとも罪に対する報いの役割に縛られてか、覚束無い足取りのままコーディは顔を上げる。そこに見たのは、先ほどの愛嬌を何ら感じさせぬ冷徹な表情のままにこちらを見下ろしている理子の姿。その景色とて、痛みに霞む視界の中にフェードアウトしていく。

「えっ……あっ……いや……いやだっ……。」

 ああ、そうだ。新月の晩、月明かりひとつない常闇の夜――私は、知っていたじゃないか。微かに見えた紅い光とともに、ごうごうと音を立てて世界が終わっていく光景を。かみさまの思し召しというにも理不尽に、死というものがなんの脈絡もなく唐突に与えられるものであったのだということを。

「こんなところで、独りで死ぬの?ㅤいやだよ……助けてっ……兄さん……かみ、さま――」

 怨嗟では足りぬ怒りを。嘆くだけでは足りない悲しみを。様々な感情が、ひとつの言葉となって消えていく。

「――いや、だ。私、しにたく……」

 その言葉を言い終えることもできないままに、コーディは"再び"その命を散らした。それをどこか冷めた目で見ながら、理子は遺物となった支給品を回収する作業にかかる。続いて、穴の空いた胸元に垂れ下がったロザリオに手をかけ、念じる。

(――やっぱりこのロザリオじゃ、あたしの髪は操れない。)

 ダメ元の検証を終えると、コーディの胸の弾痕を隠すようにロザリオを備え直した。或いは何かの役に立つかもしれないと思いつつも、母から授かったというこのロザリオだけは持っていくことができなかった。

――峰理子、もとい峰・理子・リュパン4世。彼女はこの殺し合いに乗っていた。

 得意とするハニートラップを仕掛ける場合において、男の『好き』なものへの理解は欠かせない。だから、理子は男性向けゲーム――通称『ギャルゲー』というものを、少なくとも語れるくらいには嗜んできた。そしてエロトラップダンジョンという言葉も、その知識の範囲内に存在した。

 単に見世物としての価値ならば殺し合いだけを、或いは性的暴力のみを映し出せばいい。前者であれば、闘技場に似た娯楽として、後者は単に人間の三大欲求に基づいて、それぞれ単体でも需要には事欠かないだろう。もちろん、その二つの需要が暴力と強く結びつく以上、そこになんの関連もないとは言わない。だけど、その二つをあえて掛け合わせることに何らかの意味を見出すのならば、そこに適合する答えを理子は知っている。

 ヒステリアモード――性的興奮をトリガーとし、身体能力を激的に向上させることができる遠山家一族に遺伝する体質である。

 殺し合いという実力勝負に、性的要素を加える意味など、むしろ理子にはそれ以外に思い当たるものは無かった。現に理子自身、その身体を用いて遠山キンジのヒステリアモードを実験がてら呼び覚ましたこともある。


636 : Twin Tales ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 23:00:26 ie6hAGWc0
 そしてこの殺し合いが、ヒステリアモードの実験・開発を兼ねているのだとしたら、その主催者はヒステリアモードの秘密を知る数少ない人物に限られる。まさか遠山キンジがこのような催しを主催するとは思えないため、おそらくは遠山金一の加入によってヒステリアモードの秘密を握った犯罪集団イ・ウーの仕業だろう。

(――くそったれ。)

 この想像が正しいのだとしたら、それに招かれている自分はイ・ウーに捨てられた、ということだ。神崎・H・アリアを始末できずイ・ウーを退学になった地点で彼らから何かしらの接触を受ける可能性は考えていたし、この催しがその接触であることは想像に難くない。

 イ・ウーに捨てられることそれ自体は百歩譲って良しとしよう。だが、五歳の誕生日にお母さまがくれて以来、ずっと肌身離さず持っていたロザリオを回収されていることは、到底看過できたものではない。特殊な金属を素材に用いたあの十字架が無ければ髪を操る理子の能力による『双剣双銃(カドラ)』を実現することが出来ない。そうなれば、理子に残るのは遺伝子レベルで無能の烙印を押された身ひとつのみ。それを分かった上でロザリオを取り上げたということは――殺し合いの中で敗れ、死ぬことを期待されているのだろうか。それとも、エロトラップとやらに掛かって純潔を散らし、その果てにNPCとやら、或いは他参加者との子を"孕ませ"ることの方が狙いか。

(……ふざけんな。あたしは遺伝子か? 数字の『4』だってのか?)

――かの名怪盗の血を引く彼女は、しかし怪盗としての才に恵まれることは無かった。親族や、理子を監禁してきたイ・ウーのNo.2、ヴラドに唯一望まれた役目はリュパン一族の遺伝子を後世に継承し、突然変異的に無能であった4世とは異なるリュパン5世を産むことでしかなかった。

 母が死んでからヴラドに拾われた理子は、養殖用雌犬(ブルード・ビッチ)のごとく狭い檻の中で"飼われ"ながら育ってきた。十字架の力で檻の中からは脱出できても、まだ、心は囚われたままでいる。理子が理子のまま存在する価値を否定する初代リュパンの亡霊が、まだずっと、心の中に宿してしまっている。

(やってやるよ。奴らが生存競争を吹っかけてきやがるんなら……こんな殺し合いなんざ勝ち残って、あたしの……峰理子の価値を、奴らに証明してやるんだ!!)

 その顔を絶望に染めた死体を最後に目に入れて、理子はその場を離れ始める。常闇の中には、少女の死体がひとつ。かつて同じ教会の中で死んだ兄は、傍にはいない。かつて彼女の死を悼んだ埋葬者も、傍にはいない。信じるものは救われる、というのならば。何故、聖十字と共に在り続けた少女たちが、かくも悲惨な運命を辿らねばならぬというのか。

ㅤ神なる者はなおも、道ならぬ道を示し続ける。その不条理の解も、示さぬままに。

【コーディ・トスカリナ@END ROLLㅤ死亡】

【峰・理子・リュパン4世@緋弾のアリア】
[状態]:健康
[装備]:ジェファーソン・ホープの拳銃@憂国のモリアーティ、キクル・マダンのナイフ@不徳のギルド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:殺し合いに優勝し、主催者に自分の価値を示す。
1:イロカネのロザリオ@緋弾のアリア が誰かに支給されている場合、それの確保を最優先にする。
2:イロカネのロザリオやいつもの本数の武器が無ければ戦力が心許ないので、ステルスマーダーとして行動するのも手か。
[備考]
飛行機でアリアと戦った後、再会する前からの参戦です。

【支給品紹介】
【ジェファーソン・ホープの拳銃@憂国のモリアーティ】
ジェファーソン・ホープからシャーロック・ホームズに手渡された拳銃。ロワ内における特殊な効力は無い。

【キクル・マダンのナイフ@不徳のギルド】
キクル・マダンが狩りに用いるナイフ。ロワ内における特殊な効力は無い。


637 : ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 23:00:47 ie6hAGWc0
投下終了しました。


638 : ◆2zEnKfaCDc :2021/11/09(火) 23:46:30 ie6hAGWc0
すみません、コーディの支給品を入れ忘れていたので状態表を訂正します。

【峰・理子・リュパン4世@緋弾のアリア】
[状態]:健康
[装備]:ジェファーソン・ホープの拳銃@憂国のモリアーティ、キクル・マダンのナイフ@不徳のギルド
[道具]:基本支給品(二人分)、ランダム支給品0〜1、コーディのランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いに優勝し、主催者に自分の価値を示す。
1:イロカネのロザリオ@緋弾のアリア が誰かに支給されている場合、それの確保を最優先にする。
2:イロカネのロザリオやいつもの本数の武器が無ければ戦力が心許ないので、ステルスマーダーとして行動するのも手か。
[備考]
飛行機でアリアと戦った後、再会する前からの参戦です。


639 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/10(水) 00:51:23 MT6ugyxI0
これから投下いたしますが、今回の作品には以下の2つの内容が含まれておりますので、それらに不快感を感じる人は注意をお願いいたします。
1. 過激な性的描写
2. 原作キャラには存在しない、本ロワ独自の設定

では、投下します


640 : 搾りたて生乳を召し上がれ(ミルク・セーぇキもどうぞ) ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/10(水) 00:53:02 MT6ugyxI0
ここは会場内の水辺、そこには一人の少女がいた。

その少女は頭に角、身体に尻尾、首に鈴をつけ、まるでホルスタインを連想させるグラマラスな体型をしていた。

その少女の名前はミノス。ミノタウロス族の少女であり、優秀な力を持った悪魔でもあった。

「しっかし、なんでまたこんなことに巻き込まれてんだろうなぁ?」

そんな彼女は今、特に目的もないまま会場内を歩き回っていた。

「もしかして、アタシの知り合いも巻き込まれてんかなぁ?」
「メデューサは人見知りだし……、ペルセポネは身体弱いし……、邪神ちゃんは……まぁいいか」

そんな、本人が聞いたら『私の心配もしやがれですわ――っ!!』とツッコミを入れそうな独り言をつぶやきながら、辺りを探索していた。

そうやってミノスがしばらく歩き回っていると、突如として足元から"カチリ"という謎の音がした。

そのことに彼女が気が付いたのと同時に、その背中に何がが突き刺さる痛みを感じたのだった。

「痛ぁっ!何だよいきなり!」

彼女がその正体を探るために背中に手を回してそれを引き抜くと、それは注射器だったことが分かった。

「……なんで注射器が飛んできたんだ……?もしかしてさっきの音って、トラップを踏んだ音だったのかぁ?」

彼女は自分の手の中にある注射器を見ながら、のんきにそう独り言を言うのだった。

(……?…なんだか胸がちょっと重くなったような気がするぞ……?)

自分の身体に起きた、ちょっとした変化に気づくことなく……

------------------------
こうしてしばらく、水辺のあたりを歩き回っていると何やらヌメヌメする場所があることに彼女は気づいた。

「何だこのヌメヌメは……?もしかしてここに誰かいるのか?」

彼女は他の人を探すために、そのヌメヌメした箇所をたどってみることにした。

そうすると……


641 : 搾りたて生乳を召し上がれ(ミルク・セーぇキもどうぞ) ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/10(水) 00:53:34 MT6ugyxI0
「ヌメヌメはここで途切れているなぁ……、水の中に誰かいるのか……?」
「そうと決まれば……おーい、でてこーい!」

先ほど確認したヌメヌメした何かが水の中へと途切れているのを発見し、彼女は誰かいるなら出てこいと大声で叫んだ。

そして、彼女のその叫び声に応じて奇妙な姿をしたサメやマンボウと思われる生き物が彼女めがけて飛んできた。

「うおぉっ!何だこりゃあっ!!」

それに彼女は面食らい、サメに噛み付かれたりマンボウが発射した針によって体を傷つけられることとなった。

「くそおぉぉ〜!舐めるなあぁぁ〜〜っ!!」

しかし彼女はそれらの攻撃をものともせず、衣服が破けるのも構わずサメを力任せに引きはがし、その後マンボウめがけてそれを投げ飛ばして同時に撃退するのだった。

悪魔基準では幼いながらも、力に優れた"ミノタウロス族"である彼女にとって、あれしきの相手に後れを取るようなことはないのは当然のことだった。

「アタシにかかれば、ざっとこんなもんよ!」

そうして彼女が勝ち誇っていると、先ほどの相手とは異なる姿をしたものが水辺から這い出てきたのだ。

その怪物の姿は胴体が人間で、頭が巨大なウミウシになった姿をしており、異様なまでにミノタウロスによく似た姿をしていた。

「新手か!?アタシに勝てるとでも――あ、れ?」

それを見た彼女は戦闘態勢に移ろうとしたが、何の脈絡もなく身体から力が抜け、座り込んでしまったのだ。

「なんで……力が入らないんだ……?!」

一体、なぜ――――彼女が手や足から力が抜けた状態で焦っている内に、先ほどの怪物が彼女の眼前にまで迫ってきていた。

そしてその怪物は彼女の、所々破けた衣服とそのズボンを掴むと全力でそれを引き裂いたのだ。

それを受けて彼女が悲鳴を上げるより先に、その怪物は自身の異様なまでに大きく、そして人間とはかけ離れた形状をした男性器を彼女の"アソコ"に押し当て始めた。

「え……?ちょっと、ウソだろ……?」

その瞬間彼女は気づいた。今から自分が、目の前の怪物に何をされるのかを。

――目の前の怪物が、これから自分を犯そうとしていることに気づいたのだ。

「嫌だぁぁっ!!頼むからそれだけは許してくれぇぇぇっ!!」

それを受けて彼女は泣き叫びながら、必死にその行為をやめてくれるよう嘆願した。

しかし怪物はそんな彼女の嘆願を無視しながら、彼女の一切濡れていない未熟な花弁を刺し貫いたのだ。

「……あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

怪物のその行動によりミノスは、まるで下半身から力任せに引き裂かれるような痛みにより絶叫するのだった。

「あ…あ…あぁあっ!!!」

そして身体を小刻みに震わせながら、先ほどの絶叫とは対照的にうめき声を上げ始めた。


642 : 搾りたて生乳を召し上がれ(ミルク・セーぇキもどうぞ) ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/10(水) 00:54:22 MT6ugyxI0
「やめで…もうやめてくれよおぉ……!」

自身の純潔を奪われ、また無理やり動かされ続ける痛みに涙を流しながら彼女は、普段の男勝りな様子もなく必死にやめてくれるよう呟き続けていた。

しかし彼女のそんな願いを聞き入れることもなく、その怪物は自身の男性器をより深い場所へと入れようとしてきた。

「そんな…おぐ…入らな……っ!!?あぁああっ!!」

そうして彼女の子宮の中に怪物の男性器の先端が入り込んだのと同時に、その怪物が全身をビクン、と大きく揺らした。

その瞬間彼女は、自分の中で何か熱い液体が流し込まれている感触を味わうことになった。

「そんなっ……うそ…嘘だっ!出てるっ…中に出されてるっ!嫌だぁぁっ!!」

そうやってしばらく彼女が泣き叫びながら自身の子宮で精液の熱とその勢いを感じていると、突如として彼女の身体、その大きな胸に変化が現れたのだ。

「やっ!やぁあぁぁッ!あ、熱いっ!!胸が熱いぃぃッ!!」

彼女がそう叫ぶととともに、その身に起きたある変化について思い知ることとなった。

それは……

ビュルルッ、ドビュッ、ビュルルルルッ!!

「う……嘘っ!な……なんでアタシの胸からミルクがッ!ひうっ、あぁぁぁぁ〜〜!!」

自身の胸から、大量のミルクがまるで噴水のように噴き出たからだった。

「こ……これってつまり……!あ……あああ……ああああああああっ!!」

それとともに彼女は絶望した。それは、自身の胸からミルクが出てきたことが原因だった。

『自身の胸からミルクが出てきた』……、それはつまり、『自分は妊娠してしまったのだ』と考えたからだ。

「助げでぇっ!誰か助けでぇぇっ!助゛け゛て゛く゛れ゛え゛ぇ゛ぇ゛っ!!」

それを受けて彼女は大量のミルクで地面を汚しながら、誰かに助けを求めるのだった……。

------------------------

そうしてお互いに大量の"ミルク"を出し続けると、怪物の方は満足したのか彼女の膣から自身の男性器を引き抜く動作をして、それからいずこへと去っていた。

(や…やっと……終わったのか……?)

それを受けて彼女は、やっとこの悪夢が終わったのかと安堵した。

しかし彼女は気づいていなかった。目の前の怪物が男性器を引き抜く動作をした際に、"何かがちぎれる音"がしていたことに……。


643 : 搾りたて生乳を召し上がれ(ミルク・セーぇキもどうぞ) ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/10(水) 00:55:33 MT6ugyxI0
そして彼女がその事実、正確には自分の体の中に起きた異変について気づいたのはすぐのことだった。

「……おごぉっ!モ゛ッオ゛オ゛ォォォォォォ――!!」

突如としてミノスは牛の鳴き声の様な悲鳴を上げ、それとともに盛大に潮と母乳を噴き出したのだ。

「お腹がぁっ!お腹の中で何かが暴れてりゅうぅぅっ!!」

彼女はそう叫んだ。自分のお腹の中、正確には子宮の中で何かが暴れていると、そう叫んだのだ。

それはまさしく事実だった。実際に彼女の女性器の中で何かがうごめいているのだ。

「出ていけぇっ!出て行ってくれよぉぉぉっ!!」

彼女はそういうと自身の指を女性器の中に突っ込み、かき回し始めた。

それは自身の中に入っている"何か"を引きずり出すためだった。

そうやってしばらく、辺りに母乳をまき散らしながら、快感に抗いつつも自分のナカをかき回して取り除こうとしたが、彼女のその行動は無駄に終わることになった。

何故ならば……

「抜けないぃ……!抜けないよぉぉ……!!」

どんなに力を入れても引っこ抜くことができなかったからだ。

それも無理はない話だった。何故なら先ほど彼女を襲った怪物、『ウミノタウルス』の男性器には返しが付いており、そう簡単には引き抜けないような構造になっていたからだ。

そうでなくとも今の彼女は筋力が低下している上に、怪物の男性器を取り除すために自身の女性器を指でかき回しているのならば、強い快感を感じてしまい力が入らなくなるのだからなおさらであった。

「うあ……うああぁぁぁぁ……あんな奴の子供を産むだなんて、絶対に嫌だぁぁぁ……!」

そうやって彼女は、自身の母乳と愛液でできた水たまりの中で泣き叫ぶのだった……。


644 : 搾りたて生乳を召し上がれ(ミルク・セーぇキもどうぞ) ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/10(水) 00:56:04 MT6ugyxI0
【ミノス@邪神ちゃんドロップキック】
[状態]:筋力の低下(中)、精神的ショック(大)、全裸、母乳まみれ、胎内にウミノタウルスの男性器が残留
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:生き延びて、元の世界に帰る。
1:暴れるな……!暴れるなぁぁぁぁぁぁっ!!
2:あんな奴の子供を妊娠しただなんて、イヤだあぁぁぁぁっ!!
3:もしかしてこのまま一生、これは抜けないままなのか……?!
[備考]
※膣および子宮内に【ウミノタウルス】の男性器が入ったままになっています。
 またそれが動き続けているため常に性的な刺激を受け続けています。
 (いつ頃抜けるようになるかは後続に任せます)
※エロトラップ「ミルク・トラップ」により母乳が出るようになりました。
 またそれにより自分が妊娠してしまったと勘違いしています。
※【キラー・ラブカ】及び【ハリマンボウ】の効果で筋力が低下しております。
 

『NPC紹介』
【ウミノタウルス@遊戯王OCG】
 元々は攻1700/守1000の星4・水属性・水族モンスター。胴体が人間で、頭が巨大なウミウシになった姿をしており、
 巷では『ミノタウルス』のパロディキャラだと言われている。
 他の魚族・海竜族・水族モンスターに貫通効果をもたらす能力を持っている。

 (以下、本ロワのオリジナル要素)
 その他にも射精後に自身の男性器を切断し、相手の胎内に切断された男性器を残すという独特な生態をしており、
 また下腹部に予備の男性器が圧縮された状態で体内にいくつか収納されていて、切り離した後にその内の1本を外側に出すことで再び生殖活動が行えるようになるという特徴を持っている。

 更に表面上に細かい無数のとげが挿入方向とは逆に付いており、それによって他生物の精子をかき出すこと、
 相手の子宮に栓をすることで他生物の生殖を阻むことと自身の精子を胎内に長期間残留させ受精を促すなど
 かなり合理的な構造をしている。


【キラー・ラブカ@遊戯王OCG】
 元々は攻700/守1500の星3・水属性・魚族モンスター。『ラブカ』という、世界中の海に生息しているとされる深海ザメの姿をしている。
 魚族・海竜族・水族モンスターが攻撃対象に選択された時、このモンスターの死骸を消滅させることでその攻撃を無効化し、また相手の攻撃力を一時的にダウンさせる効果を持っている。

 ヒエール・ジョコマンの手により、水中に落下した女性に性的な意味で襲い掛かるよう改造されていたが、
 ウミノタウルスによって当て馬にされてしまった。

【ハリマンボウ@遊戯王OCG】
 元々は攻1500/守100の星3・水属性・魚族モンスター。身体から無数の針を飛ばすマンボウの姿をしている。
 死亡した時、近くにいる敵モンスター1体の攻撃力を永続的にダウンさせる効果を持っている。
(本ロワにおいては参加者たちが効果の対象となっている)

 キラー・ラブカと同様に改造されていたが、ウミノタウルスによって当て馬にされてしまった。


『エロトラップ紹介』
【ミルク・トラップ@オリジナル】
 足元に設置されているトラップ。
 女参加者限定に標的を定めているエロトラップで、踏むとどこからともなく注射器が飛んでくる。
 注射器の中には『妊娠の有無にかかわらず母乳が出るようになる』という効果を持つ液体が入っており、
 これに命中した参加者は性的な刺激を受けることで母乳が噴き出るようになってしまう。
 その他にも若干の豊胸効果もあるが、こちらについて効果のほどは不明。


645 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/10(水) 00:56:32 MT6ugyxI0
投下終了です

以上、ありがとうございました。


646 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/10(水) 16:21:23 6TbyUHSY0
投下します。
以前、辺獄ロワに投下させて頂いたものを手直し、流用したものとなります。


647 : 大海賊と出会った少年 ◆bLcnJe0wGs :2021/11/10(水) 16:22:22 6TbyUHSY0
会場内のとある場所。

そこでは、長めの紫髪をした少年が塀にもたれ掛かり、顔を真っ青にしながらガクガクと怯えて震えていた。

少年の名前は真ヶ土 翔太(まがつち しょうた)。

魔法使いの家系に生まれ、一人前に成る為日々鍛練を重ねていた。

そんなある日、一人前に成る事を急ぐ余り、悪魔召喚の儀式を行ってしまった。

─しかし、そこでハプニングが起きた。

それはなんと、彼が居た世界とは別の世界に住んでいた、ケツァルコアトルという、人型の女性に変身出来るドラゴンが本来召喚されようしていた悪魔の代わりに応じて、彼の元にやってきたのであった。

それから、彼女との波瀾万丈(?)な生活を送る事になったのである…。

─だが、彼女らドラゴン達との新しくなった日常を送っている最中でこの催しに招かれてしまった。

「ん?」

─そんな彼が恐怖に包まれ、うずくまっていると、近くから誰かの声が聞こえた。

(…!?)

翔太が驚いて上を見ると、目の前に海賊帽を被り、顔に大きな傷を持った、4本腕の参加者が居た。

「少年(チビッコ)、顔色悪いぞ?」

「う、うぅ…」

翔太から見ると、かなり異様な容姿を持った相手に、思わず言葉を詰まらせる。

(やっぱり、ケッコー怯えているな)

そうして少年を見つめているのは《コルテス》。

翔太とも彼の知るドラゴン達とも異なる世界で暴れ回っている、海賊団の船長である。

罪も無い人々から財宝を奪い取っては、自分の船長室にどんどん放り込んでいった。

しかし、そんな彼も部下からの裏切りを受けた。

その部下は、自分の持つ船『ブラック・スカル号』の動力となる宝石『ドクロジュエル』を盗んで逃げ出してしまった。

動力を失った船は、動かす事が出来なくなり、座礁した。

それから時が経って、残った部下達と共に刻々と死を迎えようとしていた時に、彼もこの催しに招かれた。

そんな唐突な出会いを果たした、彼らを待ち受ける運命とは───?

【真ヶ土翔太@小林さんちのメイドラゴン】
[状態]:健康、恐怖(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくないし、死にたくない。
1:(思考停止中)
[備考]
※少なくとも、ケツァルコアトルと同居する事になって以降からの参戦となります。

【コルテス@ペーパーマリオRPG】
[状態]:左の頭蓋骨に大きな傷(既に縫ってある)、右下の手の部分に欠損
[装備]:コルテスクロウ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いか、どうしようかな…?
1:少年(真ヶ土翔太)の様子を見る。
2:もし、自分を裏切った部下(マルコの先祖にあたる人物)が居たら…
3:媚薬は処分したいところ
[備考]
※参戦時期は元部下(マルコの先祖にあたる人物)に裏切られてドクロジュエルを盗み出された後〜死亡するより前。
※コルテスクロウ(フックの義手)は没収されていません。
※死亡すると亡霊化する可能性もありますが、その場合能力に大幅な制限がかかります。


648 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/10(水) 16:22:43 6TbyUHSY0
投下終了です。


649 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/10(水) 16:27:06 6TbyUHSY0
>>647
失礼します。
コルテスの状態表の備考欄に『※原作では生前の容姿について語られておらず、過去に関する言及も少ない為、自由に設定を追加して頂いても構いません』という一文を追加させていただきます。


650 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/10(水) 16:30:28 6TbyUHSY0
続けて投下します。


651 : 彼らは『生き物』 ◆bLcnJe0wGs :2021/11/10(水) 16:31:21 6TbyUHSY0
(あんな風に人を殺すなんて…ヒドイのら!)

おかっぱ頭の少年、栗田まことがこの殺し合いについて憤りを感じていた。

しかし、彼は小学生ではあるのだが、自分が生活していた町、童守町(どうもりちょう)を中心に霊や妖怪達の引き起こす事件をクラスメイトや霊能力を持った担任教師─鵺野鳴介達と共に解決してきた。

河童と出会った事で不発弾を発見して生徒達を救ったり、童守町に厄災を引き起こそうとしていた男を阻止したりと…

そんな彼が怯えながら、辺りを見渡していると…。

近くの水場に1羽の鳥が居た。
その鳥には参加者の証である、首輪が取り付けられている。
デイパックも嘴に咥えている。

まことはおそるおそるその鳥に近づいてみる。

すると鳥は飛んで逃げて行ってしまった。

落胆するまこと。

しかし鳥が飛び去ってから少し経つと…

今度は突然、魚が飛んできた。

果たして、彼の運命は─?

【栗田まこと@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:健康、恐怖(中〜大)、飛んできた魚に対する驚き(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくない
1:ビックリしたのら!
2:あの鳥さん(鴨)、大丈夫なのら?心配なのら…

【鴨@星の子ポロン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生存優先
[備考]
※殺し合いのルールは把握しております。
『狼ハンターの巻』にて、自身と同じ池に居たもう1羽の鴨と共に、自分たちを撃とうとした狼ハンターを空に連れ去り、落とした後からの参戦となります。

【魚@焼肉きんぐCM】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに優勝して、願いを叶える。
1:あの人間(まこと)を襲う。
[備考]
※殺し合いのルールは把握しております。


652 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/10(水) 16:31:42 6TbyUHSY0
投下終了です。


653 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/10(水) 18:06:30 IFnQAP5U0
投下します。


654 : 世界は逆様の人形劇 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/10(水) 18:08:03 IFnQAP5U0
言葉ーーーーー人が声に出して言ったり文字に書いて表したりする、意味のある表現。言うこと。
goo国語辞書より引用。

序章にして終章 言葉

「人を動かす欲求は二つしかない。一つは性欲。もう一つは偉くなりたいという欲求であるというけど、正に彼を動かしたのは前者というわけだ」

性欲塗れる浮遊大陸。
一人の女性はしたり顔で主催の男の行動原理を分析した。

女性の名は件。
しかし、それは本名ではない。
さらに付け加えるなら、姿も違う。

リグレットが創造した”理想世界リドゥ”での”理想の姿”
ドールPにして、音楽集団オブリガードの一人。

「しかし、尊厳破壊をさせる首輪をつけるとは、まったくおそれいったよ『2%の人が兵役を拒めば戦争は続けられない』というからね」
件は己の首輪を撫でりながら感心する。

————そう、つまり、ここでの殺し合いを拒むということはデスアクメという尊厳破壊による死が待ち受けているということだ。

「はぁ……『恐怖は惨酷の両親である』というけど、まったくもってありがたくない親だよ」
件も”女”である。
自分よりも幼い子供を尊厳破壊して殺す方法は眉を顰めるしかない。

しかし―――――

—————————件の心に、渦巻く言葉が楔として突き刺さっている。

「――どうせルールブックに載ってるから説明不要かもしれないけど、念の為。もしこの絶望と性欲に塗れた殺し合いでたった一人生き残れたのなら、どんな願いでも叶えた上で、副賞として20億円プレゼント!」

そう、件を縛る楔とは主催の男の優勝賞品についての説明。

”どんな願いでも叶える”

件にとってそれは喉から手がでる”ワード”

「『守るではなく、奪いにいく。この差は大きい』……私は奪うよ。その優勝賞品を」

故に、件は”奪う”ことを選択した。

【件@Caligula2】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:自分の願いを叶える(優勝狙いと対主催狙い現在は半々)
1:主催の男に自分の願いを叶えさせる(そのためなら、優勝でなくても構わない)
2:早速、行動を開始しようじゃないか『素晴らしい計画は不要だ。計画は5%行動は95%だ』というからね。
[備考]
※参戦時期は帰宅部と戦う前


655 : 世界は逆様の人形劇 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/10(水) 18:08:18 IFnQAP5U0
投下終了します。


656 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/10(水) 19:19:51 e8RXCE5w0
投下します。

なお、この話には過激な性的表現と本ロワ独自の設定が含まれています。
苦手な方は注意してください


657 : 魂魄妖夢はいやらしい恰好で○○する ◆7PJBZrstcc :2021/11/10(水) 19:20:31 e8RXCE5w0
 浮遊大陸にあるエロトラップダンジョンのどこかにある、石組みの壁が続く通路。
 ここに緑を基調とした服を着ている、銀髪の少女がいる。
 見た目だけなら見麗しい美少女だが、彼女の傍らには白い何かが浮かんでいる。
 それは半霊。これもまた彼女の一部。

 そう、彼女は人間ではない。彼女は半人半霊だ。
 余談だが、半人半霊と言っても別に人と霊の子供はなく、単にそういう種族である。

 彼女の名前は魂魄妖夢。
 冥界にある白玉楼にて、主である西行寺幽々子の警護役と庭師を務めている少女だ。
 彼女は殺し合いに乗る気など全くなく、一刻も早く主の元へ帰還するための行動を開始した。

 しかし妖夢が持つ楼観剣と白楼剣は主催者に奪われたのか手元になく、仕方ないので彼女はデイバッグを検め、中に唯一あった刀を取り出す。
 その刀は普段使いしている二刀と比べて業物ともいえない上、とんでもなく長く、彼女の身の丈を超えかねないほどだった。
 正直、かなり振りにくい。
 おまけにここはダンジョンの通路なので、何も考えずに振り回すと天井はともかく壁に引っかかってしまいそうである。
 悪条件が重なりすぎている気もするが、とにかくまずはダンジョンの脱出を目指そうとしたところで――

 カチッ

 妖夢の足元から、スイッチを押したような音が聞こえた。
 すると上からガチャリ、と開く音が聞こえ、彼女が上を見ると、天井から紫色のドロドロとした生き物が二匹降ってきた。

 この生き物の名はメタモン。
 とある世界のポケモンという生物で、見たものに変身できる能力を持つ。
 しかしそんなことは知らない妖夢は、メタモンを下級妖怪か何かと思いつつ、とりあえずその場から跳んで逃げる。

 カチッ

 しかし、着地したところでまたも妖夢の足元から、先程と同じような音が鳴った。
 それと同時に、今度はジャラララララという音を響かせながら、あらゆる方向から鎖が彼女めがけて迫って来る。
 何とか躱そうとするも、着地直後故に動きが一瞬遅れ、その隙に彼女の片膝に鎖の一本が絡まった。

「っ!?」

 妖夢は咄嗟に鎖を斬ろうとするが、それより早くさっき天井から落ちてきた二匹のメタモンが彼女に追いついた。
 そしてメタモン達はそのままなんと、彼女の服の中に潜り込んだ。

「気持ち悪い!! 離れろ!!」

 メタモンに素肌を蹂躙される感触を味わいつつ、妖夢はそれぞれ前後にいる二匹を振り払おうとするも、体に上手く力が入らず転び、尻餅をついてしまう。
 彼女はそれでも何とか立ち上がろうとするも、今度は片手首が鎖に絡まれ、そのまま斜め上に腕を引っ張られる。
 これにより、彼女は更に体に力が入らなくなった。

 なぜ妖夢の力が入らないのか。それは彼女に絡まる鎖に秘密がある。
 この鎖は、とある世界では”闇の呪縛”と呼ばれるもので、これに絡まれると力がダウンするのだ。
 その為、彼女は上手く抵抗できないのだ。

 しかし、そんなことは露と知らない妖夢は完全に拘束され、持っていたデイバッグと刀を落としてしまった。
 落とした二つは彼女の目線の先にあるが、鎖に絡まれた今では手に届かない。
 だが今は、それより大きなものが彼女の胸の内を支配していた。

「恥ずかしい……!」

 妖夢が拘束されているこの現状は、彼女の羞恥を非常に煽るものだった。
 なぜなら、ここはエロトラップダンジョンの通路ど真ん中。
 そして彼女は鎖により股を大きく広げさせられ、M字開脚を強要させられている。
 その為、スカートによって隠された下着、穢れを知らないような純白が、まるで商店の目玉商品みたく強制的に披露する羽目になっていた。
 更に両腕は大きく外側に伸ばされ、下着を隠すことすらままならない。


658 : 魂魄妖夢はいやらしい恰好で○○する ◆7PJBZrstcc :2021/11/10(水) 19:21:08 e8RXCE5w0

 つまり妖夢は今、通路の真ん中でM字開脚させられ周りに下着を見せつけながら、メタモンに柔肌を蹂躙されつつ、抵抗もできず拘束され続けているわけだ。
 これが恥ずかしくない女性がいるだろうか。
 もしかしたらいるかもしれないが、少なくとも妖夢は違う。彼女は明確に恥ずかしがっている。

 だが悪意は終わらない。この程度で終わるわけがない。
 次の瞬間、彼女は何が起きたかを素早く把握することができなかった。

 ビリビリビリビリビリビリ

「は……? えっ……?」

 なんと、妖夢の服が前触れもなく破れたのだ。
 なぜそうなったのかというと、服に入り込んでいたメタモン二匹が、体の一部を無数の刃物に変化させ、彼女の衣服を切り裂いたのだ。
 無論、それだけでは服の体裁はまだ残るが、そこは二匹が一旦彼女の体から離れつつ、懸命に切り裂いていく。
 こうして彼女はほとんど生まれたままの姿となった。
 残っているものは髪に結わえた黒のリボンと、足に履いた靴と靴下のみ。
 彼女の秘所を守るものは、何もない。

「きゃああああああああああああああああああああああ!!」

 事態を正しく認識した妖夢は、今が殺し合いであることすら忘れて悲鳴を上げた。
 何せ、彼女の白い柔肌も、仄かに膨らんだ胸部と鮮やかな薄紅色の乳頭も、主や祖父にすら見せた記憶がない秘所も、容赦なく外気に曝されているのだから。

「や、やぁっ!? 嫌っ!!」

 妖夢は泣いて叫びながら必死に体をよじらせ、少しでも胸や秘所を隠そうとするが、鎖で拘束されているが故に何一つ成果は得られない。
 それどころか、瞳を潤ませながら抵抗するその様は、逆に男の劣情を煽る結果にしかならないだろう。
 しかしメタモン達は責める手を緩めない。

「ひぎぃ!?」

 なんと、後ろにいるメタモンは妖夢の尻穴に、人間の指二本に変身した一部を挿入したのだ。
 彼女は今地面についているが、尻の割れ目に体の一部を入れることなどメタモンにとっては容易いことである。
 強烈な痛みと異物感が彼女を襲い始める。
 更に、今度は前にいるメタモンが体の一部を人間の両手に変化させ、彼女の両乳首を抓り始めた。

「痛っ! や、やめて……!!」

 妖夢は懇願するが、当然彼女を責め立てる二匹はそんなものを聞くわけもなく。
 更に前にいる方のメタモンは乳首を抓りつつ、体の一部を伸ばして彼女のデイバッグから、何か錠剤を取り出す。
 それは基本支給品の一つである媚薬だ。他の参加者については不明だが、彼女に関しては媚薬は錠剤型で支給されていたのだ。
 メタモンは媚薬を飲ませようと、彼女の口に近づける。

 妖夢はデイバッグを検める際、剣が無いかしか確認していないので、それを見てもメタモンが取り出したものが何かが分からない。
 だがこんな状況で取り出した以上、それが自分にとっての不利益になることくらいは分かる。
 故に彼女は飲まないように口を閉ざす。

 ここで前方のメタモンは、妖夢に媚薬を飲ませる為、ある手を打つ。
 それはとっても簡単なこと。

 メタモンは、妖夢の鼻を塞いだ。

 妖夢が半人半霊という人外でも、生きている以上呼吸は必須。
 そして人型であるが故、呼吸は鼻か口からしか行えない。
 ならば鼻を塞いでしまえば、窒息死を選ばない限りいずれ口を開けるしか道はなくなる。

「くっ……! んう……!!」


659 : 魂魄妖夢はいやらしい恰好で○○する ◆7PJBZrstcc :2021/11/10(水) 19:21:38 e8RXCE5w0

 尻穴責めと乳首抓りを続けつつ、二匹のメタモンは新たな一手を繰り出す。
 まず、後ろのメタモンは体の一部を人間の舌に変え、彼女の両脇を舐め始めた。

(気持ち悪い……!)

 口が開きそうになるものの、何とか堪える妖夢。

(何だか、頭がクラクラする……)

 しかし妖夢が口を閉ざし続けるのも限界が来つつあった。
 尻穴と乳首責めによる影響と、酸欠が近いのだ。
 そしてついに――

「はぁ……あぁ……!!」

 妖夢は口を開けてしまった。
 その隙を前のメタモンは容赦なく突き、彼女の口の中に媚薬を一錠放り込む。
 当然、彼女は吐き出そうとするが、それより早くメタモンは口を塞ぎ、代わりに鼻を開ける。
 それにより、抵抗力が限界だった彼女は素直に媚薬を飲んでしまった
 すると、変化は早速訪れる。

「体が、熱い……!?」

 妖夢の体は、下腹部を中心に熱を持ち始めていた。
 それと同時に、今まで痛みと異物感しかなかった尻穴責めに、違うものを感じ始めていた。

「んっ……! はぁ……っ!!」

 妖夢は、メタモンの尻穴責めに対し、快感を覚え始めていた。
 彼女は自らの体の変化に戸惑うが、前のメタモンは畳みかけるように、乳首責めを止め、代わりに体の一部を男根へと変化させる。
 その意味が分からない妖夢ではない。

 自分には縁遠いと思っていた。
 主が、責務が、剣術が、そんなことを突き放していた。
 だから想像すらしていなかった。

 こんな形で処女が奪われるなんて。

「お”お”ぅっ!!」

 メタモンは男根に変えた体の一部を、妖夢の女性器に容赦なく挿入した。
 最初は痛かった。破瓜の際の痛みが、出血の匂いが彼女の脳内を支配する。
 しかし――

「はぁ……っ! んっ……! くぅ……!!」

 痛いはずなのに、嫌なはずなのに、彼女の体は快感を覚え始めていた。
 その事実が、自分はもう戻れないような気がして恐ろしく、また絶望を感じさせる。
 そして――

「あああああああああああああああああああああああああああ!!」

 魂魄妖夢はいやらしい恰好で絶頂する。
 しかしメタモン達は休むことなく、彼女を責め続ける。
 二匹の陵辱は、まだ始まったばかり。


【魂魄妖夢@東方project】
[状態]:拘束、M字開脚、全裸、感度上昇、処女喪失、絶望(大)、恐怖(大)、疲労(大)
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]基本方針:ここから脱出し、幽々子様の元へ帰還する
1:嫌……! 何で気持ちいいの……!?
2:誰か、助けて……
[備考]
半霊は妖夢からほぼ離れられません。

※妖夢の近くに彼女のデイバッグ(基本支給品(媚薬を一つ消費)、ランダム支給品0〜2(確認済み、刀剣の類はなし))と、とんでもなく長ェ刀@彼岸島 が落ちています。


660 : 魂魄妖夢はいやらしい恰好で○○する ◆7PJBZrstcc :2021/11/10(水) 19:22:12 e8RXCE5w0





 妖夢がメタモン二匹に犯され喘ぐ中、そこから少し離れた所には、彼女を犯すものと同じ種類のポケモン、別のメタモンが覗き込んでいた。
 このメタモンもまた、妖夢を狙っているのだろうか?
 否、そうではない。
 そもそも彼、厳密にはメタモンは性別不明なのでこれが正しいのかは分からないがここでは便宜上こう扱う、は主催者の息がかかったNPCではない。
 彼もまた、この浮遊大陸で殺し合うべく呼ばれた参加者なのだ。

 そして、このメタモンは目の前の光景に強烈な嫌悪感を抱いていた。

 彼はこの殺し合いに来る前は、あるトレーナーの手持ちポケモンだった。
 しかしそのトレーナーは、メタモンをより強いポケモンの卵を手に入れる為の道具としか見ていなかった。
 その為、常に預かり屋に預けられ続け、様々なポケモンと体を重ね続ける日々。
 ある時は♂として♀に”へんしん”で得た男性器を挿入し、またある時は♀として相手の♂の男性器を受け入れてきた。
 そして彼はこの日々が長々と続いたせいで、それがすっかり嫌になると同時に、性的な行為や物に強烈な嫌悪感を抱くようになった。
 そんな折、この殺し合いに呼ばれたのだ。

 殺し合いを告げられた後、このダンジョンに転移させられた彼が最初に覚えた感情は、恐怖だった。
 それは殺し合い自体に対するものであり、見知らぬ少女の壮絶な死に対するものでもあり、今自分が考えている懸念に対してのものだった。

 メタモンの懸念とはすなわち、自分が主催者の言うNPCと間違えられないかということだ。
 最初の場で彼は、周りの参加者が人間ばかりだと把握していた。
 つまり、自分のようなポケモンはほとんどいない。ひょっとしたらポケモンは自分だけかもしれない。
 そして、主催者であるあの男は、オークだとかゴブリンだとかNPCってのがいると言っていた。
 そのNPCに、自分が間違えられない保証はない。

 オークやゴブリンが何かは知らないが、とにかく主催者の手下には違いない。
 主催者の手下相手なら、殺し合いに乗っていない参加者も躊躇なく殺しにかかるだろう。
 他の参加者から見て、そこにメタモンが入らない保証はない。
 そして彼は死にたくないし、殺し合いに乗る気もない。
 主相手ならともかく、人間をどうこうしたいとも思っていないのだ。

 そんなことを考えながら、メタモンは出発した。目的は他の参加者を探すことである。
 彼はこの殺し合い、自分一匹ではどうにもならないと考えていた。
 その為、他の参加者になんとか自分はNPCではないと理解してもらいつつ、同行したいと思っていた。
 なお、具体的なプランは一切ない。

「あああああああああああああああああああああああああああ!!」

 すると、どこからか女の子の悲鳴が聞こえた。
 この女の子を助ければ、自分の信用は大きく上がると考えたメタモンは、声のした方へ向かう。
 そして見た。


 自分と同じ種類のポケモンであるメタモンが、鎖で拘束された銀髪の女の子を襲っている姿を。


 具体的なことは何も分からないが、とにかく性的に襲われているのは間違いない。
 しかし、メタモンに襲われている女の子が別のメタモンに助けられて、素直に感謝できるだろうか。
 恐怖や嫌悪にかられ、距離を取られるだけならまだまし。
 最悪、同族同士で獲物を取り合っているだけと誤解されれば、助けようとした少女に殺されることすらあり得る。
 かと言って、見捨てるのはあまりに忍びない。望まない性行為の辛さは良く知っているからだ。

 そこでメタモンは思いついた。人間に”へんしん”してから助ければいいのでは、と。
 
 彼の”へんしん”は一回に付き十分程度しか持たないが、代わりに視界にあるものだけでなく、記憶の中にあるものにも変身できるという、結構凄いものだった。
 その為、彼は知っている人間、己のトレーナーになろうと踏ん張る。
 しかし、どれだけやっても変身できない。
 仕方ないので今度は預かり屋の主人になろうとするが、それもできない。
 そこで彼はふと、目の前で未だ犯され続ける女の子に”へんしん”を試みた。
 するとあっさり成功した。
 ここで彼はある可能性に思い至る。


661 : 魂魄妖夢はいやらしい恰好で○○する ◆7PJBZrstcc :2021/11/10(水) 19:22:36 e8RXCE5w0

 それはすなわち、この殺し合いの間で出会ったものにしか”へんしん”できないのではないか、と。
 もしそうだとするなら、あの女の子を助けることは酷く難しい。
 なにせ、自分と同じ外見の人間に助けられるのだ。双子でもない限り、目の前の相手がメタモンだと気づくのは簡単だ。
 何故なら、”へんしん”が使えるポケモンはメタモンしかいないのだから。

 厳密には伝説のポケモン、ミュウも使えるのだが、このメタモンはそれを知らない。

 そこで彼は、ひとまず目の前で犯されている女の子に変身し、代わりに助けを呼びに行くことにした。
 しかし、今の彼の姿は全裸に首輪の少女である。首輪はともかく、流石に着てもいない服をイメージで作り出して、変身することはできなかった。
 そして、人間にとって全裸で歩き回るのが良くないことなのは、ポケモンである彼も理解していた。
 とりあえず自身のデイバッグを検め、中にあった服を取り出す。
 彼の知る人間の服とはえらく違うものの、まあ着るものだと説明書きにはあったので彼はそれを着て、助けを呼ぶべくダンジョンを走り始めた。

 だがメタモンは知らない。
 彼が今身に纏っているそれは、スリングショットと呼ばれる露出度の高い水着であり、少なくとも現在着るには相応しくないことを。
 そして今の彼の姿は、下手をすれば全裸以上に煽情的で、他人の性欲を煽りかねないということを。


 魂魄妖夢に化けたメタモンはいやらしい恰好で疾走する。


【メタモン@ポケットモンスターシリーズ】
[状態]:健康、殺し合いへの嫌悪感(大)、女の子(妖夢)への同情心(小)、魂魄妖夢の姿に”へんしん”中
[装備]:スリングショット@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み、服の類はなし)
[思考・状況]基本方針:死にたくないし、交尾を強要されたくない
1:とにかく女の子(妖夢)を助ける為、他の参加者を探す。ただし、無理はしない
2:NPCだと勘違いされないようにしつつ、他の参加者と合流したい
3:出会ったものにしか”へんしん”できない……?
[備考]
首輪が体内に埋め込まれています。これはどんな”へんしん”をしても取り除くことはできません。
”へんしん”は一回につき十分程度までしか持ちません。その後は変身していた時間と同じだけインターバルを置かないと、”へんしん”できません。
”へんしん”ではロワ開始以降に目撃した参加者、NPCにしかなれません。ただし、手など一部のみなら条件を無視できるかもしれません。
(現在”へんしん”できるのは魂魄妖夢のみです)
性嫌悪症です。性的なことを目撃すると嫌悪感が湧きます。


【支給品紹介】
【とんでもなく長ェ刀@彼岸島】
魂魄妖夢に支給。
彼岸島になぜか落ちていたとんでもなく長ェ刀。
少なくとも一メートル半以上はあると思われる。

【スリングショット@現実】
メタモンに支給。
前は非常に細いV字型に一枚でつながっており、後ろはI字型のほぼ紐同然の水着。
最低限、局部と尻穴を隠すだけの布はある。色は黒。


【NPC紹介】
【メタモン@ポケットモンスターシリーズ】
ずかんNo.132、へんしんポケモン。
参加者ではなく、NPCのメタモン。
本ロワでは”へんしん”で肉体の一部を刃物にし、参加者の服を斬り刻んで全裸にした後、人間の手や口などで性的に辱めてくる。”へんしん”に回数制限はない。
制限として、参加者に”へんしん”することはできない。


【エロトラップ紹介】
【隠しNPC解放@オリジナル】
罠が作動すると同時に天井が開き、そこからランダムなNPCが1〜5体降ってくる。

【闇の呪縛@遊戯王OCG】
フィールドの表側表示のモンスター一体を対象とする永続罠カード。
このカードが存在する限り、その表側表示モンスターは攻撃力が700ダウンし、攻撃も表示形式の変更もできない。

本ロワでは、床にスイッチが仕込まれており、踏んで罠が作動すると壁や床から鎖が数本飛んできて参加者を拘束しようとする。
一本でもその鎖に拘束された参加者の力がダウンし、拘束が完了すると動けなくなる。


662 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/10(水) 19:22:59 e8RXCE5w0
投下終了です


663 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/11(木) 06:56:26 tZjKLl2k0
投下します。


664 : 人間力 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/11(木) 06:56:48 tZjKLl2k0
尽力ーーーーーある事や人のために、自分の持っている力をできる限り出して、力になること。
goo辞書より引用。

序章 ジャーナリストの力

「……ゆるせないわ」
その声は低く、燃え滾っている。

「こんな……人道から外れた行為を私は認めないし許さないわッ!」
殺し合いを強要させる男の狂気に女性は身体を震わせる。

女性の名は坂東さきる。
岩手チャグチャグ新聞本社に努める女性記者。

震災から5年。
さきるは岩手の”今”を伝えるために走っていた。

今日も取材をするはずが、急に意識が落ち、意識を取り戻したかと思えば、珍妙な男が強要する殺し合い。

そして、幼い子供を見世物にして殺した行為。

さきるの行動は一つしかない。

「あんたの凶行、必ず記事にする」

「記者をなめないでよね」
————―――さきるは動く。

ジャーナリストとしてできることを——————

【坂東さきる@ゴーガイ!岩手チャグチャグ新聞社】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰り、主催の男の凶行を記事にする
1:主催の男に対抗する参加者を探し組む
[備考]
※参戦時期はゴーガイ!特別篇『金色の風』開発物語後


665 : 人間力 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/11(木) 06:58:21 tZjKLl2k0
終章 装者の力

「あんな……やり方、私は許せないッ!!!」
性と殺し合いが融合した浮遊大陸。

主催の男に対して怒りの声を上げる少女がいた。

少女の名は立花響。
シンフォニア『ガングニール』を受け継ぎ、シンフォギア装者となった少女。
ちなみに趣味は人助け。

趣味に人助けと名乗るほど、強い正義感の持ち主。
故に—————

響はあの”見世物”をただ見ることしかできなかったことに憤りを感じている。

「人同士の殺し合いなんて……私が阻止して見せるッ!」

そう――――――

それが、シンフォギア装者として戦う覚悟である。

【立花響@戦姫絶唱シンフォギアシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:自分が帰るべき日常を護る
1:自分の他に主催の男に対抗する参加者を探し組む
2:他の参加者を護る
3:殺し合いに乗っている参加者に出会ったら無力化する
[備考]
※参戦時期はGX以降


666 : 人間力 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/11(木) 06:58:31 tZjKLl2k0
投下します。


667 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:47:54 9HjW9DvU0
投下します


668 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:49:39 9HjW9DvU0
「……とまあ、こうして録音したものがこれさ。」

『魔術ってどんなのか見せてもらえる?』

「凄い! 本当に録音されてるのね!」

 紺色のローブを羽織った、くせ毛の強い茶髪の青年が持つ巻貝から、
 自分の声が録音テープのように再生されたことで、子供みたいに瞳を輝かせる女性。
 子供みたいとは言うが、モデルのような高身長に恵まれた体型と大人びた容姿になる。
 長い緋色の髪を靡かせる彼女の名前は有栖川夏葉。殺し合いとは無縁な世界に生きるアイドルだ。

 淫蕩と殺伐の二文字の中で何故こんなことになってるのかと言うと、遡ること数分前。
 森の中から始まった夏葉は先の少女の光景を思い出し、気分を害してその場に蹲っていた。
 普段はストイックで逞しい彼女でも、流石にあれを見て平常心を保てるほど壊れた人間ではない。

(何を立ち止まってるのよ夏葉。)

 しかしそれだけだ。無駄に過ごしても何も解決はしない。此処が常に安全と言える保障もなく。
 常日頃隙あらば鍛錬を欠かさず、遊びにも全力で挑む彼女でもこんなトップは取りたいとは思わない。
 WINGのように競い合うのは同じではあるが、敗者には次はない。二度と取り戻せない命を対価としたもの。
 アイドルには次がない人も同じ事務所に確かにいると言えばいた。だが少なくとも夏葉の描くトップアイドルには、
 こんな戦いを必死に生き抜いた果ての、血まみれとなった先にあるものだとは全く思えなかった。 
 何よりも、自分の想定する最悪……彼女の所属する283プロの人物が参加していたらどうする。
 仲間がいて、ファンがいて、共に高みを目指してくれる良きパートナーとなるプロデューサーがいて。
 最初は樹里との衝突もあったが、放課後クライマックスガールズは年齢も出身もバラバラなのに、
 今ではそれらの垣根を超えた存在。彼女にとって此処に来る寸前の『今』が幸せだった。
 それを壊そうとしているかもしれない可能性があるなら、立ち向かわずしてどうする。
 だったら立ち止まるのは終わりだ。動かず無為に時間を過ごすなど有栖川夏葉らしくない。

 すぐに行動しようとしてたところを、NPCに追いかけ回されることになったが、
 戸ちゅうで騒ぎに駆け付けた、今相対する青年が追い払ったので大事には至らなかった。
 ただその退治方法が、地面に突然青い魔法陣から岩が出現して爆ぜると言う、
 彼女の日常では絶対に見ることのないものであることもあって興味があり、
 移動の合間という無駄を減らした状態で説明を受けて今に至っていた。
 殺し合いと言うことを忘れてはないし、気は緩めてるわけではないが、
 些細なものでもつい関心を抱いてしまうところは、彼女の癖に近い。

「ところで、貴方は殺し合いに乗らない理由って何なの?」

「ウイ。俺は金銭とか、人の一般的な欲に興味がなくてね。
 願いは魅力的だが、それをしなくても手に入る可能性もあるんだ。
 人は誰でも幸福に生きる権利がある……パパやママが言っていた言葉さ。
 まあ、他人の幸福の面倒も見れる程じゃあないから、主催の殺し合いにも興味がないが。」

 『ついでに20オクエンがいくらかは分からないからね』とも付け加える。
 青年は幸福を探し求めてる途中。今が幸せな夏葉とは反対の場所だ。
 今が幸せな彼女だからこそ、その存在が大きいものだと理解できる。
 アイドルとしての自分も、放課後クライマックスガールズとしても、
 何一つだって失いたくないものだ。

「誰にでも幸福になれる、ね……私も、見つけられることを願うわ。」

「或いは、此処に幸せがあるかもしれないから楽しみだ。」

 この舞台で幸せを手に入れる。
 殺し合いに乗らないでそれを手に入れるとは、
 どういう意味なのか疑問に思うが質問するタイミングを逃す。
 先程から歩を進めていたため、とある建物が見えてきたからだ。
 一見するとファンタジーによくありそうな古城がそびえたつ。
 夜の月に照らされ、幻想的な雰囲気を作り出す。

「一見するとただの古い城だけど、
 まさかこれも……コホン、そういうダンジョンなのかしら?」

 身内でも大分気恥ずかしい(と言うよりも年齢的にアウトだ)のに、
 初対面である異性の前で言うなど論外だ。少し咳払いして適当に誤魔化す。


669 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:52:58 9HjW9DvU0
「入るのは余りお勧めはしないよ。悲鳴のオーバーチュアが始まるかもしれない。」

「確かに、普通の施設なのか分からない現状、入ったら出られないかも。」

 扉を開けて中を見れば絢爛さはあれども廃城のような、
 物寂しい雰囲気が感じられるエントランスホールが広がっていく。
 彼の言うことはもっともだ。入るメリットは現状不明ではあるので、
 進んで入りたい奴は大体がまともな思考をしていないとみていいだろう。
 だが、場合によってはダンジョンから始まる人がいないとは限らない。
 メンバーを探すには、そういうところも探す必要があると夏葉は思っていた。
 それと、態々入る必要のないダンジョンをルール説明で言ってくると言うことは、
 危険を差し引いてでも恩恵があるものがあると考えられる。
 とは言え、最初の見せしめを思い出すと躊躇いたくなるものだ。

「まあ、なるべく俺も守るつもりではあるが、
 全力とは程遠いから、余り無茶はしないでもらえると助かるよ。」

「あれでも十分強いと思うけど、全力だとどうなるの?」

「小国が一瞬で滅ぶぐらいの恐ろしい力さ。
 建物どころか、君ごと潰してしまいかねない程のね!」

 どこか楽しそうに、青年は脅すかのように高らかに告げる。
 相手の勢いの強さに夏葉は少しばかり引きつった表情にはなるが、
 自分の力を理解してるが故の、一種の注意喚起と言ったとこだろう。
 とは言えその強さが味方でいてくれることについては、ありがたい限りだ。
 虎穴に入らずんば虎子を得ず。夏葉は一歩城の中へと足を踏み入れる。





「ちょっと待ったー!!」

 重量感ある音と制止の声が耳に届く。
 声と共に二人から離れた位置にいたのは、二人と同じ参加者と伝える首輪を持つ。
 白い着物を羽織り、長い銀髪と合わせて雪のような雰囲気が感じられる少女だ。
 だが二人が何よりも注目したのは、銀髪をかき分けて額から突き出す二本の角。
 人である二人とは絶対に違う存在だと主張しているかのように。

「つ、角?」

 二本の角と言えば鬼のそれだ。
 丁度良くその手には角が生えたハンマーを所持しており、
 少し歪ではあるが、鬼の風貌をしていると言ってもいい。

「何かな? マドモアゼル。」

「今すぐ離れなさいそこの男! 今すっごい笑み浮かべてたけど、何考えてたの!?」

「え?」

 紳士的な振る舞いかと言うと、少々お喋りが過ぎるところはある。
 ただそれ以外は特別不快に感じる要素もなく、不快と言うよりは奇妙だが面白い人物。
 夏葉が彼に抱く疑問は大したものではなく、精々聞きそびれた幸福とは何かぐらいだ。

「おいおい、誤解を招く発言はよしてくれないか。」

「ちょっと待って。彼は殺し合いには乗ってないわ。
 私を追い回してたNPCを追い払ったし、乗ってたら既に私は殺されてるはずよ。」

 食ってかかる少女に対して、夏葉が前へ出て庇う。
 態々殺さずに同行し続ける理由が全く見いだせない。
 途中、何度だって隙を見せていた。道中人がいた気配もなかった。
 建物を見つけてまで、自分を殺すのを待つ人物。それでは余りに不自然だ。
 彼女はその笑みを見てないが、少女が嘘の場合疑わせるならもっとましな嘘を選ぶはず。
 位置的にも青年の表情が見える位置にいるので見えてないとも言い切れない。
 なので彼女が嘘を言ってるとも思えないのが現状で、信用が拮抗する。

「だったらそっちから入りなさい。
 まさか、この殺し合いでダンジョンかもしれないのに、
 女性優先だとかそんな理由で先行させるつもりないよね?」

「クハッ、ごもっともな意見だ。
 でもダメなんだ。彼女が前で俺が後ろでないと───」










「彼女の声が聞けないじゃあないか。」

 パチン。
 青年が指を鳴らす。
 小気味よい破裂音が響き、


「───え?」

「……え?」


670 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:55:13 9HjW9DvU0
 夏葉と少女の声が重なった。
 先ほどまで青年を指さしていた彼女の右腕はない。
 いや、腕はある。鮮血を大量にまき散らした状態で地面に転がっていた。

「ア、ガッアアアアア───ッ!!」

 理解が追いつくと、左腕が二の腕を抑えて軽く悲鳴を上げる。

「ん? エレガンスにできなかったな。この距離で外すなんて思えないんだが……」

 腕がちぎれたにしては、かなり控えめな悲鳴で興醒めと言った表情だ。
 それ以上に自分の使った魔術の制度の悪さと消耗に疑問を持ち顎に手を当てる。
 違いがあるとする点は二つあるが、一つはこの場合において無関係の事象。
 必然的に残されているのは、自分の首に巻かれてるそれだけだ。

「貴方、今何をやってるの!?」

「見てのとおり、内側から破裂させたんだ。
 本当は全身はじけ飛ぶはずだったが、制度が悪くてね。」

 振り向きながら詰め寄る夏葉とは対照的に、
 青年は淡々とその光景を気にも留めずに答える。

「そうじゃないわ! 貴方殺し合いには乗ってないのよね!?」

「殺し合いなんて興味すらない。自己紹介の時にも言ったじゃあないか、ナツハ。」

「彼女は疑ってただけよ、何も此処までする必要ないじゃない───ロベリア!!」

「……確かにそうだね。はしたなかったね。
 でも、実は今のオレは無性に機嫌が悪いんだ。
 折角集めてきたコレクションを主催に没収されてしまってね。」

「コ、コレクション……?」

「これだよ。」

 先ほど説明の際に出た巻貝、
 ロベリア曰く『クラポティ』を取り出す。
 彼が言いたいのは音の録音をコレクションしている、
 と言うことはクラポティの説明も合わせて理解はできた。

『ア、ガッアアアアア───ッ!!』

 だがその録音の内容はとても聞けるものではない。
 先ほどの少女の悲鳴が、クラポティから流れてきたのだ。
 凄惨な光景がフラッシュバックも合わせて、数歩後退る。

「何を、しているの……?」

「本当なら明かすつもりはなかったが、
 多分君から信頼を回復するのはとても難しいから言うとだ。
 確かに俺は殺し合いに乗るつもりはないよ。心の底からね。
 しかし、俺の幸福と言うのは『人が壊れる音』を聞くことにあるのさ。」

 相手の言ってることに理解が追いつかなかった。
 夏葉と同行していた男、ロベリアはまともではないからだ。
 当たり前だ。これを理解できる人など、彼の世界にすら皆無に等しいのだから。
 人を破壊した時の音や悲鳴を、クラポティに録音して聴く。それが彼にとっての幸福理論。
 一例を挙げれば、母の全身がすりつぶされる音を聞きながら食べるパスタが極上の味とのこと。
 己の為に少なくとも二百人以上、国を滅ぼしたことも合わせれば確実に増えるサイコキラー。
 自分の幸福のために生きると言う言葉だけなら響きのいいものだが、実態はこの通りのおぞましいものだ。

「だって、あれほどの絶叫! トレッビアンじゃあないか!!
 特に最初に見せしめとなったあの少女の壊れる瞬間を思い出そう!
 穴と言う穴から液体を噴き出して命を落とすあの瞬間、本当に貴重だ!
 アウギュステのビーチで鮫に足を食われ、臓物を貪られた女性の声が、
 貴重だったはずなのに霞んで聞こえてしまう程にブリリアントな悲鳴だったとは思わないか!?
 ああ、あれをクラポティコレクションしたかったのに、あの悲鳴がもう聞けないのが残念で仕方がない!!」

 叫ぶように笑みを浮かべながら一人饒舌に語らうロベリア。
 今までもお喋りだったのに、それを上回る程の語りっぷりだ。
 言ってることが理解できない、と言うより理解してはならないと脳が警鐘を鳴らす。
 最早いる場所が違う。例えるならば───地上にいる人間と『塔』の上にいる人間の会話の如く。
 遥か高みにいる人の声など下には届かない、とでも言いたいかのように理解ができなかった。
 先ほどまでまともだと認識していた彼が、人の形をした何かだとすら思えてくる。


671 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:55:35 9HjW9DvU0
「あれを聞けばアレグレスの一言に尽きるさ!
 あんな命の散り方があるなんて、オレの魔術では想像もつかなかった!
 人の体を中から破裂させても、四肢の先から骨を砕いても出るわけがない!
 オレの想像を超える『音』が! 『幸福』が!! この舞台は幸福に満ちている!!」

 ダンジョンと言う自分では再現のしようがない存在。
 快楽と言う予想の斜め上の物からくる人が壊れる瞬間。
 此処でしか得られない、希少な音が欲しくてたまらない。
 殺すことでしか人が壊れる音を得られなかった男は、
 ある意味最悪の形で人の壊し方を開拓してしまった。

「まあ、人には理解されないだろうね。
 オレはオレの幸せに全力で努めてるだけだが───」

 饒舌な言葉を、小気味よい音と共に止められる。
 彼の頬を、夏葉が怒りの形相で引っぱたいたがゆえに。

「他人を殺して得る幸福、ですって……ふざけないで!」

 理解できるわけがない。
 WINGに出場して敗退したアイドルも、優勝と言う幸福になる権利はあった。
 確かに夏葉は他のアイドルを蹴落として優勝することで奪うことにはなったかもしれない。
 だがこの男とは違う。二度と取り戻すことのない命を以って得る幸福などあってたまるか。

「……『殺した人間にだって幸せになる権利があったはずだ』、
 とでも言いたいのかい? それはもう聞いたよ、此処に来る前に……ね。」

 頬を軽くさすりながら、平静のままロベリアは語る
 此処に来る前に、ロベリアは空の世界を破壊しようとしていた。
 目的まで到達できる上に理解者も得られると思った。だがだめだった。
 星晶獣を迷うことなく倒し、どのような工夫をすればより楽に倒せるのだろうかと、
 何度も何度も、試行錯誤を繰り返したとある騎空団の団長でさえ理解を得られなかった。
 恐らく二度とないであろう生粋の破壊者だったのに、その手を取り合うような間柄にはなってくれない。
 もう理解してくれる人はいない。だから彼は今まで通りの、目立たないように才覚を隠した魔術師、
 ロベリアとしてのロールを続けようとしていたが、あの少女の死にざまに別の意味での興奮が止まらなかった結果、
 周囲に対する警戒と言ったものが欠如してしまったとも言えるだろう。

「先ほども言っただろう?
 他人の面倒を見る程オレはお人よしだったわけでは───!」

 突如として右へとステップで避けるロベリア。
 何事かと疑問に思った夏葉だったが、直ぐに気付けた。
 頭上を掠める豪風、視界の隅に映る角がついた槌。
 今『死』が頭上を通り過ぎて行ったから。

 隻腕となった少女が、彼女の頭上でそのハンマーを横薙ぎに振るったのだ。
 夏葉は女性としては高身長と言えども168cmに対してロベリアの身長は181cm。
 誤差にはできない差があり、端から見れば夏葉ごと狙ってる一撃に見えて、
 攻撃はしっかりロベリアの頭部だけを狙った極めて正確な攻撃だ。
 鮮血が右腕から流しても、そのハンマーを片手で握りしめる少女が夏葉の前へと立ち、
 ロベリアが距離を取ったことで、先程とは反対の構図へと変わる。

「ガッ、グッ……!」

 頭が吹き飛ぶことは避けれたが、
 咄嗟にガードしたロベリアの左腕が少し掠めた角で手首があらぬ方向へと曲がってしまう。
 掠めただけで骨折。直撃していたら彼女と御揃いになっていたのは想像に難くない。

「殺すなと言われてないから殺すと決めた、クロコの方がまだましだったよ。
 人間は今となってはそこまで憎いとは思わなかったけど……お前だけは例外だッ!!」

 ハンマーを向けながら啖呵を切る少女だが、
 その表情は最早少女と言うよりは、鬼のそれだ。
 もっとも、彼女はその角の見た目通り本当に鬼なのだが。

「貴女、大丈夫!?」

 いや無事なわけないでしょ何言ってるのよ。
 状況が整理しきれてないことでボケたことを言ってしまう。
 確かに、機敏な動きで怪我人とは思えない膂力もしっかりあった。
 あれはいくら自分が万全の状態で鍛えたところでどうにもならない動きだと。
 しかし、それでも腕が一本消えて無事であるはずがない。

「あたしのことはいい! 鬼だからどうせ腕ぐらいすぐ治るから!
 そんなことよりとっとと逃げなって! さっきの受けたらまずいでしょ!」

 先の攻撃の威力は人体破壊としての性能は余りにも高い。
 それは彼女の欠損した腕が嫌と言うほど思い知らせてくる。

「でも───」

 見ず知らずの人間を、こんな状態で放っておくなんてことはできない。
 特に目の前の相手は乗ってはいないとしても殺しに躊躇などしない狂人。
 逃げれば彼女が殺されてしまうかもしれないのに。


672 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:56:59 9HjW9DvU0
「守らせてよ……!」

 静かに呟く少女。
 ギリッと歯を食いしばる彼女の横顔。
 痛み自体はあるのか、脂汗も少なくない。

「あたしが守るのは国でも、種族の為でもない。
 守りたいのは、自分の信じる何かの為にって決めているんだ。」

 少女、サザンカは元の世界では白の帝国と呼ばれる国に恭順することになった鬼の一人だ。
 当主となる白の皇帝は憎む人間ともあって、人間と敵対し暗躍した酒呑童子に憧れたこともある。
 最強種族と信じる鬼の暴れっぷりを聞くたびにスカッとした気分だったのを変えたのは、一人の鬼だった。
 鬼刃姫。酒呑童子の娘はまさかの父に叛逆した。今や彼女は鬼でありながら人間の味方を選んでいる。
 今もその理由は分かってはいないが、種族や国ではなく己の信じる何かの為に戦うのだとサザンカは考えた。
 言うなれば信念。身勝手かもしれないが、芯が通った行動と言うのはカッコイイものだと。
 だから彼女のようなカッコイイ生き方をする。それが帝国の鬼の族長となったサザンカの想い。

「帝国の民じゃないかもしれないけど、
 あたしは、あたしの前で命を奪う奴を許さない!」

「とんだエゴイストだが、まあそれはお互い様ってことで。
 まだ殺し合いは序曲だが、コンセルトを奏でようじゃあないか!」

「だから、早く逃げろ───ッ!!」

「ッ!」

 逃げるしかなかった。
 彼女がこの場にいてできることなど何もない。
 できることは、一秒でも早く逃げなければならないと言うこと、それだけ。

「おいおい、もっとエレガンスに振る舞うんだ。」

 虚空から岩が出現し、中から雷光が奔り岩を破裂させる。
 砕けた岩は勢いで弾丸となって逃げる夏葉へと襲い掛かるが、
 それをサザンカはハンマーの一振り。風圧とハンマーの一撃で、
 すべての岩の弾丸は無力化か、逆にロベリアへと襲い掛かり彼もこれを避ける。
 その間に彼女の後姿は薄暗い森へと消えており、追うことはできないだろう。

「あたしが相手だって、言ってるだろうが!!」

 そのまま反撃の如く角竜の素材で作られたハンマーを振るう。
 重量溢れるそれを片手で振るう様は、負傷者とはとても思えない。

「バロ、ベルセ、バロテ!」

 距離を取りつつ、先ほどと同じように次々と岩を出現させては破壊する。
 軽々と振るわれると言えでも、手数と言う問題は覆すことはできない。
 攻撃や防御の合間に岩の弾丸が身体を突き抜けていき、傷口から鮮血が舞う。
 しかし、鬼と言う種族は非常にタフネスで体力は相当なもの。
 その証拠に、先程ちぎれた右腕は既に止血どころか生えつつある。
 サザンカは酒呑童子や大嶽丸、鬼刃姫には劣るかもしれないとしても、
 彼女の傷の再生力だけで言えば、鬼刃姫を上回ってるレベルだ。

「パルフェにうまくはいかないものだ。」

「いかせて、たまるかぁ───ッ!!」

 距離を取りつつあるロベリアに、
 ハンマーをトマホークのように横に回転させながら飛ばす。
 サザンカよりも高速で飛んでくる死の一撃は流石のロベリアも少し冷や汗ものだ。
 しかし、飛んできたそれに注視していたのもあって回避後は彼女の存在へ再び視線を向ければ、
 まだ無事な左腕の鉄拳がすぐに迫っており、両腕をクロスさせ魔法陣を出しつつ防ぐ。

「グ、ガアアアアアアッ!!!」

 腕から鳴ってはならないようなひしゃげる音。
 まるで母を殺したときのような、すりつぶしたときに近しい音色。

(俺が死に近づくこの響き! いいアルモニーだ!!)

 痛みで苦痛の表情だが、少しばかりその音に恍惚しかけた。
 だが楽しむのは一瞬だ。刹那の判断が自分の幸福へ辿り着けなくなる。
 自分の幸福のために全力で生きる。それがロベリアと言う男だ。
 今の至近距離の間合いなら先程と同じ破裂させる攻撃で今度こそ仕留めることができる。
 衝撃で離れる前にと攻撃をしようとするが、逆にサザンカが反動を使ってバックステップ。
 攻撃は外れて仕留めるには至らない。

「さっきの攻撃はもう見切って───!?」

 空から轟音と共に彼女に降った青い雷光。
 予想してなかった攻撃と雷の速度に、回避は間に合わなかった。

「こういうこともできるんだ。まあ、これはタワーだけの力だが。」


673 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:57:37 9HjW9DvU0
 ロベリアは世界を滅ぼすアーカルムシリーズ、
 その中で最も破壊に優れた力を持つタワーとの契約者だ。
 災害と認識された、破壊の雷を力を使役できるのもそれになる。
 元より二百人を一人で、誰にも気づかれず殺し続けた男だと言うのに、
 災厄の力が備わってさらにその実力に拍車をかけている賢者。
 小国を滅ぼす力、と言うのもタワーの力が必須ではあるが嘘ではない。

「こ、の……!!」

 雷を受けながらも膝をつくだけ。
 まだ戦えることにロベリアも軽く関心を抱く。

「ふむ……ダンジョンに入れてからの悲鳴をクラポティに保存したいのに、残念だ。」

 これはフィジカルが余りに強すぎる。
 無力化する頃には相手が死ぬか、まともな音声が取れそうにない。
 先の腕がちぎれる音をルジストルできただけ、マシと思うことにしよう。
 そんな感想を抱きながら、もの悲しそうな表情と共に指を鳴らし、大地に青い魔法陣が浮かぶ。
 中心から岩が突きだして、彼女は回避は間に合うことなく腹部を貫き、その岩が爆ぜる。
 吹き飛ばされて、数度大地を転がっていく。

「まだ、だ……!!」

 腹部の風穴から景色の向こう側が見えるぐらいの傷。
 それでもなお立ち上がるサザンカに、ロベリアも少し呆れ気味だ。
 こんなにボロボロでも戦える人物、彼の記憶にはまだ見たことがない。

「おいおい、それだけの傷で生きてるのは初めて……ん?」

 呆れ気味ではあったものの、
 穴の向こう側に見えた人の姿に思わず注視する。
 先ほど逃げたはずの夏葉が、その穴から見えたからだ。
 何かの間違いかと思って顔を上げれば、やはりその姿がある。

「サリュ。戻ってきてくれたのは想定外だよ。」

「アンタ、なんで……」

「……逃げるべきだと思ったわ。私は間違いなく無力な人間だって。」

 どうしようもない事実。
 弛まぬ努力を続けて高みを目指し続けた。
 だが此処では努力では成し得なない人外魔境の領域がある。
 あのハンマーを空中で振り回せる膂力もなければ、人を破壊する魔術に抵抗すらできない。
 自分がこの舞台においては、無力な側だと言うこと嫌と言うほど思い知らされた。
 だからこそ最初は走り続けた。逃げる以外に何もできないと。

「でもね───何もしないで逃げるだけが、正しいとは思わないわ!」

 だからと言って彼女の心は折れはしない。
 彼女は有栖川夏葉。どんな困難を前にしても、
 自分にできる最大限の努力を以って行動する女性だ。
 無力さを嘆いて諦める、そんなのは有栖川夏葉ではない。
 だから構える。彼女が稼いだこの僅かな時間で確認した支給品を。
 この場を打開できるからこそ、彼女は戻ってきたのだから。

「それで何を───」

 八角形の何かの機械のようなもの。
 この状況を打開できるものか何かしらの飛び道具、
 すぐにそうと判断し身構えていたが、すでに手遅れだ。
 ロベリアの足元には紫色の魔法陣が広がる。

(普通の殺し合いだったら、信じられなかったでしょうね。)

 ロベリアが魔術を披露して、サザンカが異常な力で戦って。
 それらを見たお陰だからこそ、この道具が荒唐無稽ではないと信じられる。
 こういう場でなければ、ずっと目を輝かせてそれを使っていたかもしれない。
 ある意味誰かを殺すつもりがない夏葉にとっては、一番良かったものだ。
 応用すれば殺傷能力はあるかもしれないが、これ自身には殺傷能力はない。
 次元方陣シャンバラ。とある世界で作られた、帝具とよばれる存在だ。

 魔法陣の中心にいたロベリアは消える。
 白の帝国に味方する亜神、ヘカティアのワープのように。

「消え、た?」

「……本当に、できちゃった。」

 シャンバラを使ったことでの消耗と今の光景に、
 少しだけ放心してしまうがすぐに我を取り戻す。

「ねえ、その傷を治せる何かは!?
 私の方にはそういうのはなかったんだけど、貴女の方なら……」

 これだけいろんなものを目の当たりにしてきた。
 飲めばすぐに肉体を再生できるような支給品もあるかもしれない。
 あるなら最初から出してるとは思うが、万が一の為に確認する。

「あたしの方にもないけど、まあ鬼だから大丈夫だよ……あ、そうだ。
 だったらマレブランケって人、探してくれる? ダークプリーストで、
 回復魔法にも長けてる友達がいるんだけど……」

 マレブランケの容姿を伝えつつ、
 どうせあそこの武器以外使わないからと、
 彼女にデイバックを押し付けるように渡す。
 中身はろくに確認してなかったとのことだが、
 残念ながらこの状況を解決できるものはない。


674 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 15:59:47 9HjW9DvU0
「分かったわ、少しでも早くに見つけるから!」

 二つのデイバックを背負うと、
 誤解を招くので自分のに彼女の分を収納する。
 収納すれば見た目の容量を超えた分を入れても重さが変わらないことに気付き、
 試しにサザンカを入れて運ぼうかとも思ったがそれはできないので諦める。
 サザンカは古城の壁にもたれながら夏葉の後姿を眺め、
 準備を終えればシャンバラを片手に彼女は走り出す。
 
【有栖川夏葉@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:憔悴、不安(大)
[装備]:次元方陣シャンバラ@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜4(確認済み、自分0〜2、サザンカ0〜2)
[思考・状況]
基本方針:此処に来る前までの『今』を奪わせたくない。
1:知り合いがいるならすぐに見つけたい。
2:彼女(サザンカ)の言うマレブランケって人か治療できる人を。
3:ロベリアをどうにかしないと……

[備考]
※参戦時期は少なくともWING優勝以降です。
※サザンカからマレブランケの容姿を伝えられてます。










(まあ、嘘なんだけど。)

 残念ながら既にサザンカは手遅れだ。鬼のタフネスはあったが、
 普段よりも再生力が劣っている今、この負傷を回復しきる前に命が尽きる。
 完全に手遅れだ。彼女がシャンバラを使ってまでロベリアを飛ばす意味も殆どなかった。
 よくて、彼女の死に際のクラポティが録音されなかったり、支給品を奪われなかった。それだけだ。

(王子っちや鬼刃姫っちみたいに、誰かを守れただけいい……のかな……)

 冥界の神ハイドース、白の王国を掲げるベラート、
 物質界のダークエルフの長セグナンド、元魔王軍幹部竜将クロコ。
 多くの強敵を王国と帝国の共闘で街から退けた末に、立て続けのバトルロワイアル。
 白の帝国にも頼られる実力ではあったし、鬼の大使としての重要な役割も担った。
 だが、武器も違えば最初の一撃も相まって全力とは程遠い状態では無理からぬことだ。
 自分の信念を貫けて誰かを守れて死ねるだけ、まだましなのだろう。
 この舞台ではより尊厳も何もないまま殺される可能性すらあるのだから。

「ナツハって言ったっけ……」

 あって少しだけの関係だが、凄く綺麗だと思えた。
 例えるならば、芯の通った真っすぐなところと美麗さが備わった存在。
 さながら、彼女が敬愛する鬼刃姫を思い出させてくれる。
 まあ、綺麗だとしても鬼刃姫以上のものはないが。

(いたらだけど、マレブランケ……ナツハのこと、頼んだ───)

 皇帝からの命令、守れなかったなぁ。
 なんてことを夜空を眺めながら思いふけり、
 鬼は誰に看取られることもなくその命を散らす。

【サザンカ@千年戦争アイギス 死亡】










「空間を飛ばす魔術か。人を飛ばせるなんて、すごく高性能だね。
 オレの魔術じゃあ料理やクラポティを収納することぐらいしかできない。
 ナツハは魔術なんてものは使えないようだし、あの道具は素晴らしいものだ。
 アーカルムシリーズは使用者が非才でも相応の力を与える噂も聞いた気がするし、
 まだまだオレの知らないものはあるらしいな。」


675 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 16:00:58 9HjW9DvU0
 全く見覚えない場所に飛ばされた草原にてロベリアは残念がる。
 此処が現在、どのエリアにいるのかさえ分からないのでは、
 元よりどこか把握しきれなかった二人がいた場所へ戻るのは極めて困難だ。

「まあ、仕方がない。今度こそダンジョンでの音をコレクションしたいものだ。」

『ア、ガッアアアアア───ッ!!』

 彼の持つクラポティと呼ばれる巻貝から、サザンカの悲鳴が再生される。
 自前のクラポティコレクションは没収か今は取り出すことができない以上、
 現状は一つこれが唯一のコレクションにして最初のコレクションになる。
 新しいコレクションを手に入れる、それまではこれを楽しみつつ参加者を探すこととした。

(それにしても、タワーを呼べないのにタワーの力は使える。あのムッシュは何者かな?)

 アーカルムシリーズの契約者は繋がりが強く、何かしらを感じることができる。
 だが今は曖昧だ。タワーの力の一端は使えるようではあるがタワー自身は呼べない。
 星晶獣の中でも極めて特殊で、十の獣と世界(ワールド)だけで新世界を築くとされる、
 アーカルムシリーズを制限するなど、天才錬金術師と名高いカリオストロでも不可能だろう。

「まあ、興味はないな。語らう相手がいないのは寂しいが。」

 どうでもいい。自分の幸福には関係がない。
 今はただ、彼の言うダンジョンを使ってみよう。
 人を壊しても、人を潰しても、人を切断しても、
 人を沈めても、人を埋めても、人を溶かしても。
 どのようなことをしたところで満たせなかった幸福が、此処にあるのかも。
 悲鳴を上げる左腕など何事もないかのように、ゆっくりとロベリアは動き出す。

 彼の幸福理論の終わりはすぐそばにまで来ていた。
 彼に協力したとある騎空団の団長の手によって、
 タワーの、ひいてはロベリアの企みは失敗と同時に得た幸福。
 それに辿り着けば彼は欲望の為に人を殺すという行為はやめて、
 己ではなく人の為に魔術を使うという約束を守る、意外と真面目な姿が見られた。
 しかし、残念ながら此処にいるロベリアはそれに気づく前の彼だ。
 止められる者は誰一人としていない。

 タロットカード、十六番目のカード『塔(タワー)』。
 二十二枚の大アルカナで最も不幸とされる存在のカード。
 悪魔や死神でも逆位置は良い意味を持っていたりはするのだが、
 塔だけは正位置、逆位置問わずに凶となる暗示しか存在していないからだ。
 解釈次第では別、と言う声もあるが基本的には占いでこれは引くべきではない。
 意味は悲劇、自傷行為、突然のアクシデント、そして不幸。
 このタロットに『幸福』の二文字は存在しない。

 これが災厄の塔の契約者、魔術師の『始まり』だ。


676 : Crysis Girls ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 16:01:15 9HjW9DvU0

【ロベリア@グランブルーファンタジー】
[状態]:高揚(特大)、魔力消費(大)、左手骨折、左腕亀裂骨折
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、サザンカの声入りクラポティ@グランブルーファンタジー、大量のクラポティ@グランブルーファンタジー、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本方針:クラポティコレクションを増やす。ダンジョンで聞ける破壊はどんな音なんだろうか!
1:言葉の意味は分からないが、あの死に様はオレも初めてだ! ぜひとも聞きたい!
2:ああ、他の参加者はどんなアルモニーを聞かせてくれるのだろうか! 楽しみだ!
3:参加者を見つけてはダンジョンに放り込もう! 最高の舞台だよ此処は!
4:あのマドモアゼル(夏葉)は、残念だったよ。

※参戦時期は少なくともフェイトエピソード『悪意なき悪意』で敗北する前です。
 関わった主人公の性別は現在表記していません(どちらでも問題ないように)
※タワーとの契約は切れていませんが、致死量のダメージを受ければタワーの代償の蘇生はできません
 但し力の一部は行使可能で、タワーを召喚することそのものは現状不可能の為、
 バベラスフィスト等タワー本体を召喚する必要のあるものは現状使用不可能です
 (ゲーム的に言えば奥義、サポアビが発動しない状態)
※メサージュ(クラポティを使った通信)の射程、制限は現時点では不明です
※首輪の制限でいくつかの魔術に制限があり
 ①:物を出したり消したりする収納系の魔術:クラポティのみに適用。他の無機物は不可能。
 ②:音の魔術で内側から破壊する攻撃:消耗が激しく、射程が非常に短い(正確に殺せる射程は一メートル)

※古城の傍に角王鎚カオスオーダー@モンスターハンターポータブル2Gが落ちてます。
 古城の中の入り口のすぐ近くにサザンカの遺体があります。

【クラポティ@グランブルーファンタジー】
ロベリアの支給品。彼が常備している巻貝。
我流の音魔術『コンセール』によって音を録音することができる。
支給されたものは全て音が未収録の物で、ロベリアは元の世界でこれを少なくとも二百、
レストランの一室が埋まりかねない程の人数を壊した音のクラポティを所持している。
応用魔術の『メサージュ』で所謂電話のような機能を持たせることもできるが、
これが使えるかどうかは現時点では不明。支給されたクラポティは全て記録された音はなく、
所持数は少なくとも参加者人数分はある。ロベリア以外にはただの大量の巻貝。砕けば鋭利かも。

【角王鎚カオスオーダー@モンスターハンターポータブル2G】
角竜ディアブロスとその亜種の角を用いたハンマー。
トップクラスの攻撃力を誇る無属性武器。ゲーム的には切れ味もいい。
岩を砕くディアブロスの堅牢な角で殴るためすごく痛い。

【次元方陣シャンバラ@アカメが斬る!】
有栖川夏葉の支給品。始皇帝が生み出したオーバーテクノロジーな帝具と呼ばれる武具。
元々はシュラの帝具で、帝具の中でも上位に位置する。マーキングした場所へと空間移動ができる。
対象をエリアのランダムな場所に飛ばすことも可能だが、六時間ごとに使用回数が増えるため乱用は不可能。
また、別エリアにマーキングしたものを別のエリアから移動することもできない。
なお夏葉は些細なことでも関心を抱くので印象はよく、ほぼ最高性能を発揮している。
帝具は第一印象が避ければ大体相性がいい(相性が悪いと性能が悪くなる、帝具を握るだけでも変な感覚を起こす、使用者が死ぬなど)


677 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/11(木) 16:01:45 9HjW9DvU0
以上で投下終了です


678 : ◆2zEnKfaCDc :2021/11/12(金) 06:31:14 15quvzc60
投下します。


679 : エンドロールにはまだ早い ◆2zEnKfaCDc :2021/11/12(金) 06:32:08 15quvzc60
 時計の針は、止まることなく回り続ける。時に、その巡りの遅さに焦れったく感じることもあれば。時に、すぐに過ぎ去ってしまった時の速さに目まぐるしさを覚えることもある。

 時間ってのはそういうもんらしい。楽しい時ほど早く過ぎるように見えるし、そうじゃない時は、まるで止まったように動かない。

『――時計の針を回したら、早く時間が過ぎたりしねえかなぁ。』

 俺は、早く大人になりたかった。俺が子供だってだけで、大人たちにはいつも舐められる。本当はアイツらだって同類なのに。行き着くべくして行き着いた、社会の底辺。光の当たらないカクレミノ。誰からも見下され、蔑まれ――そんな奴らにとっちゃ、見下せる存在が欲しいんだろう。だから裏社会では、俺のような子供は、大人より力が弱いってだけでどこまでも弱者だ。

 ヒトってのは、ヤなもんだよな。自分より下のやつを必死こいて探して、蹴落とすのに精を尽くして。足元を見ないと、立っていられないんだ。

……そして俺も、その例に漏れずヒトだから、誰かを下に見ていないと、生きていけない。なのに俺は、その中でも最底辺。授業はいっつもサボってるから、先生はもちろんクラスメイトにも基本、嫌われている。もちろん成績なんてどん底で、オフクロだって俺のこと、馬鹿にしてる。

 誰も彼もが俺よりは上にいて、俺の事を見下していて――足場を無くした俺は、落ちるべくして落ちるしかなかった。

 だけど、アイツは。アイツだけは、何ていうか、変なヤツだった。

 成績は良くはないものの授業にはちゃんと出てたし。周りと仲良くはしていなくても、目立たないってだけで疎まれているわけではない。その地点で少なくとも俺よりは上にいるはずなのに。それでもアイツは――ラッセルは、決して俺を見下そうとはしなかったんだ。

 向こうも独りでいるのは寂しいところもあったのか、俺たちは出会って間もなくして親友になった。暴力こそが力である麻薬取引の温床、社会のカクレミノ。つまらない勉強でしか価値を見出されない学校。勝手な期待を押し付けてくる家族。どこにいても見い出せなかった居場所ってものを、俺はようやく見付けられたような気がした。

……なのに、俺は。


680 : エンドロールにはまだ早い ◆2zEnKfaCDc :2021/11/12(金) 06:32:37 15quvzc60
『――ラッセル。明日の授業、一緒にサボろうぜ?』

 それでも、見下す相手が欲しかったのか?

『――補導されたってヘーキだって! ほら、もうちょっとだけ遊んでいこうぜ!』

 いや、見下すことはできないとわかっていても、せめてアイツにも同じステージには立っていてほしかったのか?

『――皆やってるんだって!ㅤ一回だけで辞めたらカラダにもそんな悪い影響はないしさ。騙されたと思って一回だけ、やってみろよ!』

 最初、何を思っていたかはもう分からない。だけど俺は――アイツを、俺のいる場所まで引きずり下ろしていった。

 その果てに何が待っているか、なんて。その時の俺は考えもしていなかったんだ。

 ある日の夜中、家に帰った俺に、オフクロが青ざめた顔で詰め寄ってきた。詳しくは覚えてないけど、『お前も関係していないだろうな』とか、そんなことを言われた気がする。

 なんの事か分からず、だけど俺が何か重大な出来事において信用されていないってことだけは何となく分かって。それが気に入らなくて、俺はオフクロの手を振り払って逃げるように家を出た。夜中に行くところなんか無く、行き先はいつものカクレミノ。そこにはいつもつるんでた大人たちがいて、だけどいつもと少しだけ様子が違うような気がして。尋ねてみると、どこか困惑したように教えてくれた。

――ラッセルが、連続殺人の罪で捕まったらしい。

 詳しく聞いて、はじめに湧いた感情は、怒りだったと思う。俺が好きだった女の子、ガーデニアの死が、本当は事故じゃなくラッセルによるものだと分かったから。

 だけど今は、色んな感情がぐちゃぐちゃになって分からなくなっている。ラッセルが殺した人の中には、俺のオフクロにもその悪名が伝わってるくらいに酷いやつらしい、ラッセルの両親も含まれていたから。

 そして、それならば――アイツに最後の踏ん切りを与えてしまったのは、俺かもしれないから。


681 : エンドロールにはまだ早い ◆2zEnKfaCDc :2021/11/12(金) 06:33:55 15quvzc60
 あれはラッセルが最初に人を殺してしまうよりも前の話。ラッセルと一緒に深夜の遊びをしていると、マフィアのボスを下っ端たちが下克上で殺してしまった場面に遭遇したことがあった。しかもそのボスってのが相当悪どい奴で、皆に無茶な上納金を請求し続けていたためかなり嫌われていたらしく、誰もそれを責めることはしなかった。むしろ皆、実行した奴に感謝し、隠蔽工作に協力までする始末だった。

 その顛末を見ながら、ラッセルは俺に言ったんだ。

『……本当に、苦しい時だったら。それか相手が本当に死んでもいいような奴だったら。そんな時は、殺してもいいってことなのかな。』

 何かと無気力なラッセルが積極的に興味を持ったことに驚きながらも、俺は答えた。

『むっずかしいこと考えてんなー? ま、よく分かんねーけど。それでもアイツは死んでよかったんじゃねえの?』

 哲学地味たことは苦手だ。だから、考えることを放棄したテキトーな答えだった。

 だけど……今にして思えば。

 あの時、ラッセルの価値観は、時に殺しをも是とするものに書き換えられてしまったのだろうか。

 あの時、仮に違うと言えていれば。この結末は変わったのだろうか。

 あの時、俺がアイツを裏社会なんかに関わらせなければ、そんな疑問を持つことすらなかったのだろうか。

 あの時、もっと俺がアイツの居場所になれていれば。アイツが抱えていた潜在的な孤独を、理解してやれていれば。

 あの時。

 あの時。

 あの時――




――数多のifの中には、アイツが殺した全員とは言わずとも、せめて何人かは殺させずに済んだ道だって、きっとあったんじゃないだろうか。


682 : エンドロールにはまだ早い ◆2zEnKfaCDc :2021/11/12(金) 06:35:46 15quvzc60
 いつの間にか14歳の誕生日を迎えていたことでこの国の少年法の保護範囲をギリギリ超えていたアイツは、裁判を経て、当たり前のように死刑判決が下された。開発中の薬、ハッピードリームとやらで更生を試みる実験台になって、その経過次第では実験を免れることができるらしいが……その実験の成功例はなく、ニュースを見てもラッセルの更生は成功しないだろうって見立てがほとんどだ。

 ラッセルは今、夢の中にいる。しかし、死刑台への歩みを、一歩ずつ着実に進めていっている。

 その一方で、何かできたかもしれないのに何もしなかった俺は――殺し合い、というものに巻き込まれていた。



「……はは、俺も誰かを、殺せ……ってか? ったく、ジョーダンきついぜ……。」

 人を殺した末路は、ラッセルがこの上なく示してくれていたというのに。俺にも同じことをしろ、ということらしい。これは、何もしなかった俺へのバツなのかも、しれない。

「なあ、主催者さんよ。何でも願い、叶えてくれるってんなら……だったら夢の中のラッセルに、罪悪感ってヤツを与えてやってくれよ。それが無いとアイツ、死んじまうんだろ。」

 だけど、あの男は確かに言った。俺が一生マジメに働いても得られないほどのおカネだけでなく、どんな願いも叶えるという子供騙しのような謳い文句を。

「……んなこと、できるワケねーよな。」

 ああ、どんな楽観的な奴でも眉唾ものだと吐き捨てるべき、有り得ないことだ。ラッセルみたいな心を壊した奴の更生があの主催者の手にかかれば叶うと言うのなら、ハッピードリームなんて薬はいらない。

「……でも。」

 理屈の上では、理解している。あれがただの甘言に過ぎないと。だけど、その上で。

「もう、イヤなんだ。後悔するのは。」

 最善を尽くし、それでもダメだったのなら、諦めもつくかもしれない。だけど今の俺を苦しめている罪悪感は、それをしなかったことだ。もしここで日和って、何とか平和的に解決する方法を見つけ出したとして、その上でラッセルの死刑を見届けたその時。俺はきっとまた、今の俺の選択を後悔するだろう。

「だから……待ってろよ、ラッセル。」

 時計の針は、回り続ける。時に、その巡りの遅さに焦れったく感じることもあれば。時に、すぐに過ぎ去ってしまった時の速さに目まぐるしさを覚えることもある。

 だけど決して。時計の針は、戻らない。いつまでも絶えず、流れていくだけ。

【クリス@END ROLL】
[状態]:健康
[装備]:特別なバット@アイドルマスター シャイニーカラーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いに優勝し、ラッセルの死刑を止める。
1:もう、後悔したくないんだ。
[備考]
※ハッピードリーム内のクリスではなく、現実のクリスです。
※ラッセルのHD式更生プログラム終了前からの参戦です。

【支給品紹介】
【特別なバット@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
『空と青とアイツ』のコミュで芹沢あさひが購入するも、そのまま飽きられ放置されたバット。店員曰く特別なバットとのことであったが、特に変哲のない普通のバットである。


683 : ◆2zEnKfaCDc :2021/11/12(金) 06:36:06 15quvzc60
投下終了します。


684 : ◆0EF5jS/gKA :2021/11/12(金) 15:36:57 Rjv9hxw.0
投下をします。


685 : 脱出 レタイで su! ココから! ◆0EF5jS/gKA :2021/11/12(金) 15:38:20 Rjv9hxw.0
「うぅうう…僕がドッピオだ…くっそおおお、
こんなえっちなすけべイベントに召喚しやがって…健全を…」

なぜか血まみれで倒れている少年、
みんながどういうわけかみんな寝起き状態のようで言動がちゃらんぽらんな
世界にて、娘の腕をちぎって持って行く邪悪の別人格であるドッピオが
殺し合いに呼ばれた自体に憤っていた。健全さはどこにあるのか。

「行くか。どっかへ行こう。俺は…俺どっかへ行きます…」

メンタルを尋常では無い早さで切り替えてから
直ぐに立ち直り当てもなく歩くことにしたようだ。

「それにしてもアツーイ…いやヒエール?とにかくあのジョコマンは
何の目的で僕をこんな場所へ召喚した…」

それはそれとして主催の行いへ疑問を感じているようだ。
そしたら、緑色の無数の細い線につるされている、

「何 ノ理由 があっテ呼ばれたの!? [[suケベR18]]な殺し合い ニ!」

「アノ恩知ら、。ずの[[しがないスポンジ]]ヲ [[ぎったンげったん]]に レ ナキャならない ノに!せ かくワタ94が全て差し出しの二!」

なんかロボットみたいなスタイリッシュな胴体に
購入したばかりの白紙のように白い顔で
鼻の長いめがね男があらわれた。
どうやらこいつも殺し合いに召喚されて憤っているらしい。

「だれですあなた!?」

当然びっくらこいだドッピオ。元々居た世界でも
客の目の前でタクシー代の桁を堂々とごまかして請求したり
質問に答えなかったくらいで殺すぞなんて言われる不条理かつ劇的な世界であったが
だからといって突如現れたへんてこなロボットに驚かぬ道理は無い。

「ア!!そこ のアnタ[[あnぽnたn]] 、[[こnにちわ]]! みnな ガお気にの、。偉イ[[セールスマン]]」

「ワタ94がスパムトンで゙su!」

初対面の相手をあんぽんたん呼ばわりする上に
おまけに口調も支離滅裂ときた。
どんな生活や習慣を持てばこんな意味のわからない
しゃべり方になるのだろうか、一応怪しいセールスマンというのは理解できた。

「セールスマンアレルギーなので…帰りますね。」

もう色々と関わったらやばい要素ばかりだと
直感したドッピオはさっさとずらかろうとするが。


686 : 脱出 レタイで su! ココから! ◆0EF5jS/gKA :2021/11/12(金) 15:39:47 Rjv9hxw.0
「帰らない で    !待って待っte!」

引き留められてしまった。
絶対ろくなことにならないだろ。

「じゃあ何をすれば良いんです?」

うんざりとして嫌がった表情で問いかける。

「ワタ94ハ[[BIG]]になり た ンdeath。
[[夢は大きく!]]」

「その ためには必要 です !!
アnタの」

「[[吹けば飛ぶチックな命]]ヲ!」
スパムトンはドッピオに向けて右手に搭載されたバスターを突き出した。

「はぁ!?やっぱこんな…えっと…
物騒な展開になんのかよぉ!!ばかぁ!ばかぁ!!」

怒りを包み隠さず表現するドッピオだが
開始早々命の危機に見舞われてしまった。

「ダカラみんなぼコシ て帰る! オ金 トか願いドウ でもいい、。!  早くかえって あの[[しがないスポンジ]]ノ 、。あやシイ[[いのち]]を[[吹き飛ばす]]。!!」

「お前の方が怪しいだろ!!」

怪しさの塊のようなロボットにつっこみつつも
ドッピオは戦闘態勢に入った。

ボスから与えられたと思われている
エピタフを使いこなせればこんな危機など
くぐり抜けられるだろう。

断言できないのは寝起きの世界は元の
「ジョジョの奇妙な冒険」の世界に一応基づいて誕生した世界であり、
登場した人物は一応そちらをなぞった人生を送ったり元ネタ通りの展開になる。

元のジョジョの世界でのドッピオはエピタフという
予知力があるスタンドをディアボロに
分け与えられているためこのドッピオも
たぶんエピタフを分け与えられているのだ。

【ドッピオ@寝起き一発目で振り返った ジョルノの奇妙な冒険 没】
[状態]:健康
[装備]:通常の服装
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:脱出優先する。
1:目の前にロボットから逃げる。
[備考]
特にありません。

【スパムトンNEO@DELTARUNE】
[状態]:健康
[装備]:特になし。
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:[[みんな]]をぼこぼこレてR18なココから 脱出 します!
1:目の 前 ノ[[あnぽnたn]]をヤッケマ su!

[備考]
[[Aルート]] で[[しがないスポンジ]]と戦う直前から の参戦death!


687 : ◆0EF5jS/gKA :2021/11/12(金) 15:40:14 Rjv9hxw.0
投下は以上です。


688 : ◆4kMBNI9QkE :2021/11/12(金) 20:44:42 jMpCVdVs0
投下させていただきます


689 : 魔法少女、こまされる ◆4kMBNI9QkE :2021/11/12(金) 20:45:31 jMpCVdVs0
**注意**
この作品には過激な性的描写とキャラ崩壊が含まれています。
閲覧の際には以上二つに十分注意してお読み下さい。





「ふぁっ!あぁっ!」

月明かりの下、まだ年若い少女のあえぎが周囲に響く。

「あぁっ!す、すご……いいっ!!」

あえぎ声と共に肉と肉がぶつかり合う音がハーモニーを奏で、少女の甘ったるい息が夜の森に広がっていく。

「あぁっ!」

そそり立つ男のイチモツを自身の恥部に咥えながら、銀髪の美少女……地冥界(ディスアス)から救った『伝説の5人(マジカル・ファイブ)』と呼ばれる魔法少女の一人、『ラプチャー☆あすか』こと大鳥居あすかは、同性すら魅了する凛々しい顔を、これまで味わった事の無い激しい快楽で歪めていた……。

☆☆☆

さかのぼること30分前……

「……くそっ!どうして……どうして、あんな……」

大鳥居あすかは浮遊大陸に送られてすぐ、その凛々しい顔を怒りに染めて、両目から涙を流していた。

罪もない人々を大量に拉致し、『優勝した際の褒美』を餌に殺し合いを強要する主催者(ヒエール・ジョコマン)への怒り。

仮にも『伝説の5人(マジカル・ファイブ)』の一人でありながら、ヒエール・ジョコマンにあっさりと拉致されて殺し合いに参加させられた自分の不甲斐なさ。

そして、同じ女としてあまりに惨たらしく殺された見せしめの少女(クロエ)を救えなかった悲しみ……。


それらが心の中でぐちゃぐちゃに混ざり合い、あすかの精神は嵐の海のように荒れていた。

「……」

あすかは服の袖で自身の涙を拭いとると、両手を合掌して見せしめに殺された少女に向けて黙祷を捧げる。

「助けられなくてごめん……仇は、私が必ずとってみせるから……」

少女への黙祷と共に、荒れていたあすかの心は固まっていた。

この殺し合いを打破し、
参加者達を救い、
あの主催者を逮捕する。

それが見せしめの少女を救えなかったあすかの、せめてもの『償い』だった。

今、あすかの手元からは愛用武器であり、魔法少女への変身アイテムでもある『マジカル・カランビット』が没収され、
周囲にはくるみやサッチュウ、M班のメンバーといった仲間達の姿は無い。

だが、それでもあすかはあの主催者を打倒する道を選んだ。
例えどんな手段を使ってでもあの少女の仇を討ち、参加者達を救う。
その決意は岩のように固かった。


690 : 魔法少女、こまされる ◆4kMBNI9QkE :2021/11/12(金) 20:46:02 jMpCVdVs0
「……よし!」

決意を新たに、あすかは自身に支給されたデイバックを担いで移動を始め……ようとした時だった。

「……ヒュ〜♪スゲェべっぴんだな」

突如、背後から別の参加者の声が聞こえたのだ。

「!?」

あすかは支給されたコルトガバメント拳銃を構えながら自身の背後を振り替える。

そこには……女子高生のあすかよりも、少しばかり年上の男性が立っていた。

「おいおい、いきなり物騒だな?」

拳銃を向けられているというのに、男性はどこか飄々とした態度を取っていた。

あすかは目の前の男性を静かに観察する。

年齢はおそらく20代後半。
黒いジャケットと白いズボンを着用し、角刈りに切り揃えられた黒い髪と髪と一体化したかのような独特の眉毛が印象的な、筋骨隆々とした威丈夫だ。

「……」

その男性は、『伝説の5人(マジカル・ファイブ)』の一人であるあすかにもひけをとらない、まるで百戦錬磨の手練れのような雰囲気を纏ってはいたが……魔力の類いは一切感じられなかった。

「……」

数分の間、あすかは男性に向けて油断なく銃を構えていたが……静かに銃をおろした。

「……いきなり申し訳無い。こんな殺し合いに巻き込まれて、こちらとしてもどうしても警戒してしまうんだ」
「ふぅん……そうかい」

男性はあすかからの謝罪を受けると…………

ニヤリと不適な笑みを浮かべた。


大鳥居あすかの誤算。
それは『人間の良い一面』を信じる性善説的思考から来る『殺し合いを強要されて、自ら望んでその通りに実行する人間などいる筈がない』という先入観。
そして、『魔法少女』である為に『例え変身できずとも、魔力を持たない相手に遅れを取る訳が無い』という自負。

だが、それらは目の前の相手……絶対女性上位国家『ウイミィ』との戦争で疲弊したオオサカの街の統一を目指す男、山本悪司には当てはまらない事項だった。


悪司は警戒を解いたあすかの手を掴むと、あすかの苗木のように細い体を強引に抱き寄せた。

「……わぷっ!?」

いきなり年上の男性に抱き締められ、あすかは凛々しい顔には似合わない少女らしいかわいらしい悲鳴をあげる。

悪司はすかさずジャケットのポケットから小ビンを取り出すと、その中身を口に含んだ。

「お、おいっ!いきなり何を……」

あすかは頬を赤く染めながら悪司に抗議するが……悪司はそれに答える事なく、あすかの唇を自身の唇で塞いでしまった。

「んんぅ!!?」

初対面の男性にいきなり唇を奪われて、あすかは宝石のような目を丸くする。

悪司は混乱しているあすかに構う事なく、あすかの口内に自身の舌をねじ込むように入れると、先程口に含んだ小ビンの中身をあすかの体内に流し込んだのだ。

「……んん!!」

あすかは両腕に力を込めて、悪司の拘束から逃れる。

「はぁ……はぁ……」

あすかの凛々しい顔は、熟れたリンゴのように赤く染まり、口の端からはヨダレが垂れて、荒く乱れた息を漏らしていた。

「お、お前!一体何を……」

荒く乱れた息を漏らしながら、あすかは悪司に向けて再び銃を構える。
しかし……

「……いっっ!!」

突如、あすかの体内の深部から激しい『熱』が生まれ、あすかの体内で暴れだしたのだ。

「あぁ!はぁっ!」

あすかの全身を激しい『熱』が駆け巡り、股間の秘所が徐々に湿りだしていく。

「あぁっ!い、いやぁ!」

あすかは銃を手から落とし、激しい『熱』が暴れまわる自身の体を抱き締めながら、地面に膝をついた。


691 : 魔法少女、こまされる ◆4kMBNI9QkE :2021/11/12(金) 20:46:32 jMpCVdVs0
「ほぉ〜ん……眉唾かと思ってたが、中々大した効き目じゃねぇか」

体内で激しい『熱』が暴走しているあすかを尻目に、悪司は先程の小ビンを眺めながら感心するように呟いた。

「お、お前!私に何を飲ませたんだ!?」

あすかは体内で暴れまわる『熱』に耐えながら、先程自身に口移しで『何か』を流し込んだ悪司に問いかける。
その凛々しい顔は、怒りと恥じらいで真っ赤に染まっていた。

「オメェーのカバンの中にも入ってただろ?あの悪趣味ヤローの支給した媚薬さ。しっかし……まさかこんなに効き目があるとは、思わなかったぜ」

あすかに語りながら、悪司は空っぽになった小ビンを草むらに放り捨てる。

「薬に頼るのはちょっと不本意だが……手間が少し省けたから、まぁ良いか」

悪司は自身のデイバックを地面に下ろすと、もはや体内の激しい『熱』によって内側からとろけそうになっているあすかへと、静かに歩みよっていく。

「ひぃっ!く、来るなぁっ!!」

あすかは悪司が自分に何をするつもりなのか気付き、悪司から逃れようとするものの、体内で暴れまわる激しい『熱』の性で体に全く力が入らない。

そんなあすかを見ながら、悪司は悪魔のような笑みを浮かべた。

「心配すんなって……『天国』に連れてってやるからよ?」




「い……イヤアアアアアアッ!!!!」




☆☆☆

そこからは、あっという間だった。

あすかは悪司によって身に着けていた衣類を全て剥ぎ取られて『生まれたままの姿』を晒し、その女子高生離れした美しい体を陵辱された。

少女らしい花のような唇は悪司の男らしい唇によって塞がれ、まるでナメクジのようにイヤらしく蠢く悪司の舌によって口内の白い歯や歯茎は残らずなめ尽くされて、舌までも蹂躙された。

同年代よりも成長が著しい豊満な胸はゴム毬のように気安く揉みし抱かれ、先端の桜色をした乳首は摘ままれ、舐められ、吸われ、甘噛みされて硬く勃起してしまった。

これまで同性にしか見せた事が無かった股間の恥部は、悪司の太い指に愛撫されて大洪水を起こし……悪司の太く立派にそそり立ったイチモツによって貫かれて、処女を散らしたのだった。

「あぁあっ!ああああっ!!」

悪司によって自身の体を蹂躙されながら……

あすかの凛々しい顔は全身を駆け巡る快楽で歪み、性の快楽にはまった『雌』の顔へと落ちていったのだった。

☆☆☆

「ひぃ!ひぅ!だ、ダメぇ……」

あれからどれだけ経ったか。

あすかはいわゆる『騎乗位』の体位で悪司の股間に跨がり、悪司の太く立派なイチモツに貫かれていた。

「だ、ダメぇ……お、おかしくなるぅっ!」

先程から悪司は、あすかが快楽の絶頂に達しようとすると股間のピストン運動を止め、またしばらくすると動きだしてはあすかが絶頂に達しようとすると動きを止める……という行動を幾度も繰り返していた。

そのためあすかは、絶頂を味わいたくても味わえない、『生殺し』の『生き地獄』状態で数十分経とうとしていた。

「お、お願いぃっ……い、イかせてぇ!!」

またしても、絶頂に達しようとしたところでお預けを食らい、もはやあすかは限界を迎えていた。
涙と汗とヨダレで凛々しい顔を汚しながら、自身の恥部をたくましいイチモツで貫く悪司に懇願する。

「お、お願いぃっ!な、なんでもするからぁっ!なんでも言う事、聞くからぁっ!!」
「ほぉ〜……『なんでも』、な」

あすかからの涙ながらの懇願を待っていたとばかりに、悪司は不敵な笑みを浮かべながらあすかと視線を交わした。

「……うんじゃあオメェー、ちょっと『俺の手伝い』をしろ」
「て、手伝いっ?」
「あぁ……」

凛々しかった顔を夏の日のアイスクリームのようにとろけさせたあすかに、悪司は勝ち誇るかのような笑みを見せる。

「……俺が『優勝するため』の手伝いをな」


692 : 魔法少女、こまされる ◆4kMBNI9QkE :2021/11/12(金) 20:47:08 jMpCVdVs0
☆☆☆

山本悪司という男を一言で表すならば、『ガキ大将をそのまま大人にしたような男』である。

そんな悪司にとって、犬猫のように首輪を填められて『殺し合い』を強要させられる等、プライドを酷く傷つけられる事態だった。
事態ではあったが……『優勝した者には賞品が出る』、というのであれば話は別だ。

正直、『どんな願いでも叶える』というのには興味は無いし、そもそも信じてもいない。

『オオサカ統一』の野望は、自分自身の力で叶えなければ意味が無いし、そもそもあの悪趣味な格好をした男(ヒエール・ジョコマン)にそんな神通力があるとも思えなかったからだ。

むしろ悪司の狙いは、副賞の『賞金20億円』の方だった。

ウイミィとの戦争で疲弊した今のニホンで、それだけの大金が一気に手に入る機会など滅多に無い。
未だ成長途中の自身の組織……地域管理組合『悪司組』の財源が潤うというものだ。

『殺し合い』に乗る事にした悪司は、ひとまず手足となる『部下』を作る事にした。

いくら強力な武器を支給されたとしても、たった一人では限界があるし、油断すれば他の参加者どころか、会場に配置されているNPCにすら殺られてしまう。
優勝を目指し、安全に生き残るのであれば『徒党を組む』のが正しい解答だと、悪司は判断した。

その点、悪司にとって今回の『殺し合い』の会場は、非常に都合が良かった。

あちこちにエロトラップが配置されていて、女性の参加者も数多い。
となれば……幼少期より鍛えられ、どんな女性であってもメロメロの虜にしてしまえる自分の『こまし』テクがものを言う。

同性愛者だろうと、男性からの性転換者だろうと、もしくはいわゆる『ふたなり』であろうと……『女性』であれば、誰が相手であっても自分の忠実な『部下』に変えられる自信が悪司にはあった。

そうして、手頃な『獲物』を探し回っていた時に……最初に見つけたのが大鳥居あすかだった、という訳である。


☆☆☆


「そ、それはぁ……」

悪司の優勝の手伝い、つまりは『人殺しの片棒を担げ』という言葉に、あすかの脳内でかろうじて残っていた良心と理性がストップをかける。

「ふぅん……嫌かい?」

口ごもるあすかを見かねて、悪司はそのゴツゴツとした掌であすかの豊満な乳房を無造作に掴む。

「…‥あぁっ!!」

悪司の男らしい手で自身の乳房を掴まれて、あすかは体を仰け反らせながら嬌声をあげる。

悪司はあすかのスイカかメロンのように豊満な乳房を、まるでパン生地を捏ねるように揉みし抱き、その先端で自己主張している桜色の乳首を指の腹で弾いた。

「ふぁっ!うあぁっ!」

それだけで、あすかの脳内に残るわずかな理性と良心は、打ち寄せる快楽の波に呑まれていった。

「……嫌ならいいんだぜ?その代わり、このまま『生殺しでお別れ』だがな」
「そ、それは……」
「さぁ……どうする?」
「くぅぅぅ……」

悪司に突き付けられた究極の二択に、あすかは涙を流しながら苦悶の表情を浮かべる。

そうしている間も、悪司の太くたくましいイチモツはあすかの膣内と子宮を刺激し続けていた。


693 : 魔法少女、こまされる ◆4kMBNI9QkE :2021/11/12(金) 20:48:45 jMpCVdVs0
そして……………………

「………ら」
「あん?」
「……うから」
「何だって?」
「……て、つだう……から……」
「聞こえねぇ〜なぁ〜?」


「て、手伝う!手伝うから!あなたを必ず優勝させるから!お願いぃ!!イかせてぇ!!」

……とうとうあすかは快楽に耐えきれず、『伝説の5人(マジカル・ファイブ)』としての誇りも、矜持も、良心も捨てて……悪司に屈服した。

そんなあすかの懇願を受け、悪司は悪魔のように邪悪な笑みを浮かべながら、あすかの英雄とは思えない苗木のように細い体を掴む。

「よく言えたな……ご褒美だ」

悪司は自身の太くたくましいイチモツを、一旦あすかの膣内から引き抜くギリギリまで抜き……あすかへのピストン運動を再開した。

「ひぎぃっ!!」

再び悪司に恥部を貫かれ、あすかは目を見開く。
そんなあすかを気にも止めず、悪司は激しいピストン運動を再開した。

「ひぃっ!あふっ!い、いぃっ!!」

悪司からの激しい突き上げに、あすかの長く艶やかな髪は舞い踊り、豊満な乳房は千切れそうになるほどに跳び跳ねる。

「い、イヤッ!す、スゴイッ!」

激しいピストン運動によって、あすかに待ち望んでいた絶頂が訪れる。

「ああっ!ああああっ!い、イクッ!イッちゃう!!」




「イクゥゥゥゥゥッ!!」




かくして、山本悪司は忠実な『雌奴隷一号』を手に入れ……
大鳥居あすかは『世界を救った英雄』から、一匹の『雌』に落ちたのだった。


【大鳥居あすか(魔法少女ラプチャー☆あすか)@魔法少女特殊戦あすか】
[状態]:全裸、快楽落ち、脱力感
[装備]:無し(全裸)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2、コルトガバメント拳銃@現実
[思考・状況]
基本:気持ちよくしてもらう代わりに、山本悪司を優勝させる
1:あぁ……いぃ……
[備考]
沖縄編終了後、ウクライナ編開始前からの参戦。
マジカル・カランビットを没収されており、魔法少女に変身できません。
悪司にこまされて、悪司の『雌奴隷』となっています。

【山本悪司@大悪司】
[状態]:健康、ほどよい疲れ、局部露出
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式(媚薬消費)、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:優勝し、賞金20億円を手に入れる
1:会場にいる女を『こまし』て部下を増やし、安全に優勝を目指す
2:とりあえず、こいつ(あすか)に働いてもらう。
[備考]
OVA第5巻中盤(加賀元子とのセックスシーン前)からの参戦。
ヒエール・ジョコマンの『どんな願いも叶える』は眉唾だと思ってます。

【支給品紹介】
【コルトガバメント拳銃@現実】
大鳥居あすかに支給。
アメリカのコルト・ファイヤーアームズ(コルト)社が開発した軍用自動拳銃。
制式名称は『M1911』。
装弾数は7+1発。
1911年にアメリカ軍に採用され、1985年に制式を解かれるまでの70年以上の間、米軍兵士に愛用された拳銃。
現在でも一部の特殊部隊と海軍で使用され続けている。
制式を外れたあとも民間用の拳銃としての人気は高く、護身用銃・競技銃として広く用いられている。
アメリカでは最も有名な拳銃。
(一部Wikipediaより抜粋)


694 : ◆4kMBNI9QkE :2021/11/12(金) 20:49:33 jMpCVdVs0
投下終了します


695 : ◆//Muo9c4XE :2021/11/14(日) 10:58:13 628HH5vk0
投下します


696 : 鬱病になった種付けおじさん in バトロワ ◆//Muo9c4XE :2021/11/14(日) 11:00:29 628HH5vk0

 死にたい。
 俺は種付けおじさんだ。名前はあるがそんなものはどうでもいい。 
 俺は女をチンポで狂わせるテクしかない屑野郎だからだ。
 だから種付けおじさんで充分だ。
 俺は何時ものようにTwitterをしていたんたが、今はゲームに参加している。
 女を狂わせるナノマシンに、下手したら男までヤっちまうトラップまで用意してある趣味の悪いデスゲームにだ。

 賞金20億、すげぇ大金だな。俺一人なら一生遊んで暮らせる。本当に貰えればの話だが。
 優勝すれば願いを叶えるとかもほざいていたが、御笑い草だ。
 人を拉致して見世物にする屑みたいな連中が約束を守る訳がない。
 口封じされるか、精々飼い殺しにされるのがオチだろう。

 叶えたい願いは……無いわけではないが、どうにも気力が湧かない。
 だったら脱出の方法でも探すべきだろうが、俺みたいな屑が人様の命を奪ってまで生き残る資格があるとも思えない。
 必死こいて生き延びて、それでどうなる?俺が存在する価値はあるのか?んなもんねぇよ。
 遺伝子を残してもな、意思を残せなきゃ意味なんてねぇんだよ。
 そして俺にゃそんなタイソウなモンはねぇんだ。生き延びる気力もない。やる気がない。何もかもする気がない。生物として失格の真性の屑野郎じゃねぇか俺。

 死にたい。

 だが殺されるのは嫌だ。死にたいが苦しい思いをする度胸はない。そんな矛盾が嫌になる。死にたい。
 
 俺は種付けおじさんだ。俺を参加者にしたってことは、女をコマして適当にゲームを盛り上げさせるつもりだろう。
 その証拠に、俺のデイバッグにはアダルトグッズ一式が入っていた。ご丁寧に媚薬もセットの優れものだ。笑っちまうぜ。こんなもの使ったって無意味なのにな。
 チンポなんて単なる触覚の一部でしかない。苦労して肉奴隷に堕としても、他の快楽があればそっちに流れちまう。女は男よりずっと強かなんだぜ。

 愛だ。金や権力やチンポがあっても最後には愛に負けるんだ。
 どれだけ女をコマしても最後にはなーんにも残らねぇ。所詮チンポなんてそんなもんなんだ。
 でも俺にはそれしかねぇ。チンポしかねぇんだ。死にたい。
 俺だってなぁ、恋愛映画のような日々に憧れたんだぜ?けどよ、顔は醜い、幾ら見てくれを良くしようとしても手遅れ。
 女を手籠めにする力だけはあるが、落とした女はチンポ以外見やしねぇ。
 なのに運命ってのは残酷なもんだよな。やりたいこととさせられる事を別個に押し付けて、その矛盾で人間を苦しめるんだ。
 きっと俺は誰にも気にもされずに朽ち果てるんだ。お似合いじゃねぇか。

 どうせ死ぬならどこか静かな場所で逝きたい。
 俺みたいなクズが死ねば一番丸く収まるんだ。
 チンポで落とした女なんてすぐに俺の事を忘れてどっかへ彷徨ってくんだ。

 俺ぁ誰にも必要とされねぇんだよ。


【鬱病になった種付けおじさん@鬱病になった種付けおじさんbot】
[状態]:鬱病以外は健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、アダルトグッズ一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]基本方針:未定
1:何もやる気がねぇ…死にたい
2:俺ぁ何のために生きているんだ?意味も価値もねぇよ、わかれよ。
[備考]
特にありません。

【支給品紹介】
【アダルトグッズ一式】
エッチなアイテムの詰め合わせ。女性の調教に必要なアイテムが一通り揃っている。媚薬とセットの優れもの。


697 : ◆//Muo9c4XE :2021/11/14(日) 11:02:04 628HH5vk0
投下終了です


698 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:05:23 qucStkVQ0
投下します。


699 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:05:59 qucStkVQ0
怪物【かいぶつ】
①正体のわからない、不気味な生き物。
②性質・行動・力量などが人並外れた人物。
goo国語辞書より引用



浮遊大陸の森林エリアの一角。
鬱蒼とした森の中。木々の隙間から木漏れ日のように降り注ぐ月明かりが人影を照らす。
青いノースリーブのワンピースに包まれたきめ細やかな白磁の柔肌に華奢な身体。均整の取れた美しい形の乳房と尻。
腰まで伸びた艶やかな青髪に赤い瞳。未だ幼さを残す清楚で上品な顔立ち――人影の正体は美しい少女であった。

デイバックを背負い、周囲を警戒しながら森の中を彷徨う少女。
生い茂る枝葉の間から見下ろす目が一つ、二つ、三つ―――数多の目が少女の逃げ場をなくすように取り囲んでいた。
闇に紛れ、少女を凝視――否、視姦する目の主。それは四方世界より生まれたゴブリンである。

ゴブリン。それは何も生み出さず、他者から略奪でしか己を満たすことができず、己のみが至上と考える醜悪で傲慢な怪物。
力や知能こそ子供並みであり、単体なら撃退も容易いが、恐るべきは数の多さ。
彼らの巣穴に入ったら最後、数の暴力により男は彼らの餌に、女は孕むだけの肉袋へとなり下がる。
この殺し合いにおいても、彼らの役割は変わりない。いつものように奪い、殺し、犯すだけ。

殺し合いが始まって少女が転送された先は、不幸にもゴブリンが巣穴としている森林地帯。
夜に目が聞く彼らにとっては、少女を発見するのにそう時間はかからなかった。
警戒するだけで、武器も持たずに歩く女など格好の餌食でしかない。

「…………」

少女は足を止める。
木々のさざめきに紛れて聞こえるのは、嘲るような小さな笑い声。

けらけら、けらけら、ケラケラ。

笑いは周囲に伝染し、徐々に大きくなっていく。

ケラケラ、ケラケラ
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!

少女は美貌を僅かに歪め、キョロキョロと視線を動かし、笑い声の主を探す。

「…………!」

頭上の月を見上げた。
それと同時に月明かりを、数十の影が覆う。

怪物共にとってこれは日常の一部。
少女の衣服を剥ぎ取り、乳房に噛みつき、蜜壺にあふれんばかりの汚汁を垂れ流す。
いつものように楽しい宴が始まると信じて疑わなかった。

―――――少女の振るう大斧が、眼前に迫るまでは。


700 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:07:03 qucStkVQ0


パチパチパチ……

「GAB、GAROOO」
「GOBGOB、GABGARR」

森林エリアの開けた場所。
焚火を囲って座り、寝そべって談笑する数十匹のゴブリン達。
中には上位種である大柄なゴブリン――ホブゴブリンも多数混じっている。
大して中身のない会話を続けるゴブリン達とは少し離れた場所。そこには最上位たる二匹のゴブリンが鎮座していた。
片方は質の悪い鉄の鎧を纏い、刃こぼれした大剣を装備した巨大ゴブリン――小鬼英雄ことゴブリンチャンピオン。
もう片方は戦斧を持ち、黒い外套を羽織った長身痩躯のゴブリン――小鬼王ことゴブリンロード。ゴブリン達の頭目である。

ゴブリンロード達が陣取る森林エリアは彼らの王国であり、参加者達にとっては指折りの危険地帯である。
ここは盛り上がった地面や木々、岩などが一方通行の道を形作り、『巣穴』のような特殊な地形をしている。
入り口には二〇匹もの斥候が常に待機しており、道中にも多数のゴブリン達だけでなく強力な液体媚薬や麻痺薬の池、参加者だけに反応する触手罠などが存在する天然のエロダンジョンになっている。
ダンジョンの出口は現在、ゴブリンロード達が居座っている大広間のように開けたの空間の奥にある細い小道のみ。
また、必ず通るであろうその空間には、指揮官たる頭目のゴブリンロード、役割を持った近接遠距離とそれぞれ役割を持たされた数十匹ものゴブリン部隊と一〇匹以上で構成されたホブゴブリン部隊。
そして並みの参加者では歯が立たないゴブリンチャンピオン。斥候を含め一〇〇匹近いゴブリン達がこのエロダンジョンで待ち構えている。
出口まで来れるものは罠を潜り抜けてきた参加者か、ゴブリン達に運ばれてきた『獲物』のみ。

斥候達の嘲笑が夜風に乗せられてゴブリン達の耳に届き、すぐに消える。
怪訝な表情を浮かべてゴブリン達は起き上がる。二匹の最上位種も眉を顰めた。
――――まさか自分達だけで『遊んで』はいるまいな。
協調性など欠片も存在しない怪物達は、己らのことを棚に上げ、斥候達を心中で疑い、詰る。
ゴブリンロードは、傍らにいた適当なホブゴブリンに様子を見てくるように指示を出す。
誰もが斥候達が捕らえた獲物を抱えて戻ってくるだろう。そう思っていた。
しかし、

「………GA……ッ!」

帰ってきたものはかき消されるような小さな叫び。
頭目を含め、ゴブリン達に僅かな不安と疑念が生まれる。中には武器を構える者までいた。
しばらくの静寂の後、

じゃり、じゃり

一人分の砂を踏む足音が聞こえる。
土足で巣穴に潜り込んできた存在は、余程の強者らしい。
部下達全員、少し強張った表情で武器を構える。
ゴブリンチャンピオンはつまらなそうに大剣を持ち上げる。ゴブリンロードは出口を塞ぐように最奥を陣取る。

じゃり、ジャリ

足音が大きくなっていく。
群れの中で一番臆病なゴブリンが、矢を放つ。

カァン
ジャリ、ジャリ

弾かれる金属音。
足音が更に大きくなる。
弓手と投石紐のゴブリン達は木の上へ、近接武器を持ったゴブリン部隊は八方へ。
精鋭たるホブゴブリン部隊とゴブリンチャンピオンは遊撃を。
ゴブリンロードは部下達の配置を進めた。
あとは――――

ジャリ

足音が、止まる。
月明かりと、焚火が、照らす。
そこにいたのは血の滴る鉄の大斧を持つ赤眼の少女だった。
肩を露出させたワンピース。白い肌の美しい女体。長い青髪。幼さを残す美貌――それらすべてが血と臓物で塗り尽くされている。

女一人。得物は無骨な大斧ただ一つ。
小鬼王はせせら笑う。小鬼英雄も、その部下達も釣られて嘲笑する。
ゴブリンロードは森中に響く号令を出す。

『我らの同胞を殺した女に鉄槌を! 手足は藻いて食ってしまえ!』

雄叫びと共に怪物の軍勢が一斉に襲い掛かる。
少女は大斧――『魔人の斧』を構え、迎え撃つ。

少女の名前はエンリ・M・ルーヴル。
死と絶望が煮詰まった『奈落』より、底知れぬ悪意からただ一人逃げ延びた女学生。
その最中、『魔人の斧』に選ばれ、ヒトの上位互換種『魔人』へと昇華した貴族令嬢。
ゴブリン達の住まう四方世界とは異なる世界より淫獄へと招かれた参加者の一人。

これより始まるものは怪物達と少女の熾烈極まる戦いでも、清らかな乙女の尊厳を穢す凌辱でもない。
――――魔人によるただの虐殺である。


701 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:08:17 qucStkVQ0


エンリが魔人の斧を振るう。
その度にゴブリン達の武器が砕け、血、肉片、眼球、脳髄、臓物が飛散し、彼女の身体を濡らしていく。
木々には肉片が張り付き、その幹には飛び散ったゴブリンの臓腑がだらりと力なくぶら下がっている。
水溜りができるほどの大量の血が焚火を消し、大地を赤黒く染め上げる。
原型を留めていないほど破壊されたゴブリンの死骸が転がり、中には生き残っていた個体もいたが既に虫の息。数呼吸の内に息絶える。
その中で少女は全身を返り血で染め上げながらも全くの無傷。息一つ上げずに血飛沫を飛ばしながら怪物共を殺し続けている。
――――辺り一帯は地獄絵図と化していた。

その様子をゴブリン達もただ黙って見ているわけではない。
木々の上にいるゴブリン達はそれぞれの遠距離武器を持って、未だ地上で殺され続けている同胞などお構いなしに攻撃を仕掛けるが、

「…………」

魔人の驚異的な反応速度と第六感により、すべて弾かれ、回避される。
自分達への対応がほんの僅かに弱まった隙に、ホブゴブリン数匹を含めた地上部隊が突撃した。
滅多打ちにせんと、周囲を取り囲んだゴブリン達が得物を構えて遅い掛かる。
斧が人の範疇を超えた膂力によって旋回し、血生臭い風を生み出す。
その風に乗ってゴブリンの挽肉が散らばる。何とか形を保っていたホブゴブリン達も半身が両断されており、空中で絶命し血の海に沈む。

かすり傷一つ負わせられないと理解しつつも、安全圏から攻撃を続けていた遠距離部隊にも弾切れという限界が来る。
勝てないと悟り、エンリから背を向けて逃走を図ろうとするゴブリン達だが―――

『逃げるな!!!』

ゴブリンロードの一喝が、遠距離部隊の動きを封じ込めた。

ゴブリンロード。
幾度となくゴブリンの巣穴から巣穴への『渡り』を繰り返し、知恵と統率力を身に着けたゴブリンの最上位種の一匹。
主催者ヒエール・ジョコマンにより改造を施され、会場に存在する全ゴブリンNPCに対する絶対命令権を持たされている。
同じ最上位種であるゴブリンチャンピオンが不平不満を表に出さず、奴隷のように従順になっている理由がそれだ。

役立たずになった無能共にもまだ使い道がある。
ゴブリンロードはそう思考し、暴虐の限りを尽くす怪物(しょうじょ)を無力化すべく指示を出す。

もしエンリにゴブリン達の言葉が理解できていたのなら、真っ直ぐにゴブリンロードに向かっていっただろう。
しかし、ゴブリンの言葉は只人には雄叫びにしか聞こえない。
次々に降りかかる火の粉が誘蛾灯の如くエンリを煉獄へ誘い込んでいく。
そして、ある地点へと足を踏み入れると―――

「………、…………ッ!」

ぬらぬらとした粘液を分泌する触手が地面から飛び出した。エンリのふくらはぎに絡みつき、秘部を目指して太腿を這い上がっていく。
一瞬注意が逸れた隙に動きを封じるべく、細い二の腕、引き締まった腹部にも纏わりついた。

これはゴブリンロードが発見したエロトラップの一つ、触手罠。
ひだ先から分泌される粘液には筋力を低下させる強力な経皮吸収性の神経毒が含まれており、触れたら赤子並みまで筋力が落ちる。

さらにエンリに追い打ちをかけるかの如く、武器がなくなり無能となった遠距離部隊のゴブリン達が奇声をあげながら木陰から飛び出す。
そして手に持っている粗末な器――ゴブリンチャンピオンに適当に殺させた同胞の頭蓋骨から作ったもの――の中身をエンリに浴びせた。

それはダンジョン内にある液体媚薬や麻痺毒の池から掬い上げた液体である。
液体媚薬は衣服が肌に擦れるだけで絶頂させてしまうほど感度を上昇させる強力媚薬。
麻痺毒はほんの一滴だけで成人男性ほどであれば数十分もの間、指一本も動けなくなる筋弛緩性の神経毒。
それらがエンリの返り血と肉片に塗れた身体をほんの少し洗い流す。

――これで終わりだ。相当手こずらせた分、存分に『楽しませて』もらうぞ。

勝利を確信し、ゴブリンロードは下劣に顔を歪めて嗤う。
そして生き残った部下達に指示を出すべく、口を開いた。

小鬼王は油断し、見逃していた。
何も持てなくなっている筈のエンリの手には未だ魔人の斧が握られていることに。


702 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:08:58 qucStkVQ0


魔人とは――――
エンリ・M・ルーヴルが住まう世界における理不尽の塊。
人間や悪魔の天敵であり、魔神の支配する時代を終結させた絶対的な強者。
戦闘に発展した場合、その多くは魔人側の一方的な蹂躙で終わる。
その理由は、単純な戦闘能力の高さだけではなく――――


703 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:10:03 qucStkVQ0


エンリの腕が動く。
エンリの足が大地を踏みしめる。
全身に絡みついた触手が恐ろしい力で引き延ばされ―――

ブチブチブチィッ!!

肉が無理矢理引き千切られる音が辺りに響く。
触手から噴き出す緑色の体液が血溜まりに溶けていく。
それが触手の最期であった。
呆気にとられた元遠距離部隊のゴブリン達は斧の一閃により触手と同じ運命を辿った。

完全な魔人の特性の一つ、万年超健康。
毒、放射線、病気、洗脳など自身の戦闘行動に支障を来すほぼすべての状態異常を無効化する恐るべき体質。
他にも恐怖耐性、食事不要など様々な特性を持つが、どの特性にも制限は課されていない。
高位の魔人であれば『魔人結界』と呼ばれるバリアや異能の力を持つが、エンリ・M・ルーヴルは異能を持たぬ下位の魔人。
それでも、ヒトの超越種であることには変わりない。

ゴブリンロードとエンリの視線が交わる。
エンリの赤眼は光の尾を引き、ゴブリンロードに殺意を向けていた。
己の策、軍勢が悉く破られ、虚栄でしかなかった自尊心がひび割れていく。
逃走を試みたところで、あの怪物は素直に逃がしてくれるだろうか?
寧ろ、背中を向けた瞬間にあの斧が―――。
僅かでも生き残るチャンスを掴むため、ゴブリンチャンピオンを含む部下達に命令を下す。

『誰でもいい! あの怪物を殺せ!』

その言葉を皮切りに、残り少なくなった近接部隊、半数ほどに減ったホブゴブリン部隊が特攻をかける。
ゴブリンチャンピオンも精鋭たるホブゴブリン部隊の後ろへ続いて突進する。

十数匹ほどまで数を減らした近接部隊はあっさりと同胞の後を辿った。
浅知恵を働かせたホブゴブリンの一匹が、殺戮の最中に足を止めた隙を狙って岩を持ち上げ、少女を圧殺させようと投げつける。
しかし、返ってきたものはびちゃんと血溜まりに岩が落ちる音だけ。エンリの姿はどこにもない。
ホブゴブリンの意識に一瞬の空白。
その刹那の間に、

「…………」

瞬間移動と間違えるほどの速さでエンリが目の前に肉薄し、魔人の斧を振り上げていた。

ゴブリンロード一匹。
ゴブリンチャンピオン一匹。
残りは少数のホブゴブリン。
正しく残存戦力を理解したゴブリンチャンピオンは己が生き残る手段を模索する。
ゴブリンロードの絶対服従の呪縛が逃走を許さない。忌々しい。
使えるものは精々自身の両隣にいるホブゴブリンのみ。
それだけ確認すると、すぐに行動に移った。

「GARO!?」
「GAA!?」

両隣のホブゴブリンの頭を力任せに引き千切り、血霧のシャワーを浴び続けている怪物の頭上に投げる。
同時に投げた方向へと駆け出す。チャンスは一度。逃せば確実に死ぬ。エンリとゴブリンロードに殺される。

エンリは己に向かってくる飛来物の存在を確認する。それは驚愕の表情を浮かべた二つのホブゴブリン顔であった。
容赦なく魔人の斧で砕く。ドロリとした脳と飛び出した眼球、僅かに粘り気のある体液がエンリの顔に張り付く。
視界が一瞬狭まる。ホブゴブリンの欠片の隙間から見えるものは、大剣を振りかぶってこちらに向かい跳躍してくるゴブリンチャンピオン。
生き残るためには怪物を殺すしかない。小鬼英雄はそう結論付けた。
下降していく。虚を突かれた魔人に向けて大剣を振り下ろす。
あと少しで届く
あと少しで
あとすこ――――
そこでゴブリンチャンピオンの視界は二つに分かれた。
間に挟まるものは、斧を振り下ろした魔人エンリ。
鉄の鎧ごとゴブリンチャンピオンは両断された。

彼の決死の策は、所詮他のゴブリン達の焼き回し。
それで傷一つつけられなかった相手にどうして通じると思うのか。
己の愚行に気付くことなく、ゴブリンチャンピオンは絶命した。


704 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:11:00 qucStkVQ0


血の池地獄に存在する命はただ二つ。
一つは、刃こぼれ一つしていない血塗られた大斧――魔人の斧を持つ令嬢、エンリ・M・ルーヴル。
もう一つは、

『誰か、誰か自分を守れ……ッ!』

辺りに喚き散らし、己を逃がすための生贄を探し続けるゴブリンロード。
一〇〇近い軍勢を持つゴブリンロードの王国は、ただ一人の魔人によって嬲り殺しにされた。

びちゃん

静まり返った森に響く水音。

ぐちゃん

肉塊を踏む音。
魔人との距離はおよそ十数歩。それがゴブリンロードに残された最後の時間。

びちゃん、びちゃん、ぐちゃん

ゴブリンロードは模索する。
手元にあるものは戦斧。これで何をすればいいのだ。

ぐちゃん、びちゃん、びちゃん、ぐちゃん

ゴブリンロードは模索する。
恐怖で腰が抜けている。

びちゃん、びちゃん、びちゃん、びちゃん

ゴブリンロードは模索する。
できることはただ一つだけだった。

びちゃん

足音が止まる。
目の前の死神に対して、ただの小鬼は己ができる最善手を打つ。

「ご……メん……なさ……イ」

只人の言葉によるたどたどしい謝罪。同属の血肉で汚れることも厭わずに額を地面に擦りつける。
怪物はただ黙って小鬼の言葉を聞く。

「もウ……ダれも………オそイませン……。
モりの……オクで……ひッソりとクラします……。
ミの……ガして……くだサイ………」

涙を流し、同情を誘うような哀れっぽい声で命乞いをする。
祈らぬ者は、ただひたすら怪物の慈悲を祈った。

「……………。
…………………」

ツンツンと、怪物の持つ斧の切っ先が小鬼の頭を突く。
恐怖で慄きながらも、顔を上げた。
そして――――


705 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:12:19 qucStkVQ0


小鬼――ゴブリンロードは森の小道を駆け抜ける。
時折後ろを振り返るも、少女が追いかけてくる様子はない。
ゴブリンロードは完全に見逃されたことに安堵した。

命乞いの言葉通りゴブリンロードは反省するのか?それは否である。
彼を含むゴブリンの中には自省という言葉は存在せず、あるものは肥大化した被害妄想だけである。
あの女を犯せなかったのは罠も部下共も無能だったからだ。自分は欠片も悪くない。
ゴブリンロードは怒りを自分以外のすべてにぶつける。

小鬼王は森を抜け、平原を疾走する。
次こそは上手くやる。数だけではない、呪術師や騎兵だけじゃない、肉の盾も武器も集めてあの青髪の女を殺す。
いや、それだけでは足りない。目を潰し、鼻をそぎ落とし、喉を焼いて、ただ孕むことしかできぬ肉袋にしてやる。
ゴブリンロードの心中にドス黒い憎しみと悪意が湧き出す。その黒の深さはまるで――――。


706 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:13:11 qucStkVQ0


出口となっている森の小道から少し反れた場所にある小さな小屋。
その中でエンリは魔人の斧を消して魔人化を解き、衣服と下着を脱いで全裸になった。
血塗れになったデイバックの中からペットボトルに入っている水を取り出し、小屋内に備え付けてあったタオルを濡らす。
濡れタオルで全身を拭いて血と肉片を落とす。タオルは使えなくなった。
身体が乾くのを椅子に座って待つ。その後に血でカピカピになってしまったシルクの下着を身に着ける。替えの下着が欲しい。
そして血で汚れたワンピースを畳んでデイバックにしまい、代わりに支給品の一つを取り出す。汚れてなくて安心した。
青を基調としたリボンとベスト、白いブラウスにロングスカートのお洒落な服――ラビットハウスという喫茶店の制服らしい――を着る。

身支度を整えて椅子に座り、一息つく。
念のため、魔人の斧を出現させ、魔人化しておく。
魔人の斧は、自分の意志でいつでも取り出せる、半身とも呼べる武装。
魔人化できるのは、この武器のお陰だ。
破壊されても時間が経てば復活するがそれはこの斧の気分次第。いくら頑丈だとは言え気を付けなければ。
魔人の斧が自分の能力だと判断されたためなのか、没収されなかったみたいだ。代わりにランダム支給品が減っていた。

そして、回想する。
エンリが最初に思い出したものは、先ほどの戦闘のことだった。

森の中に転送されてから歩き出し、最初に遭遇したものは参加者ではなく、緑色の魔獣と思われるNPCであった。
彼らの欲望に満ちた目は、スラム街に身を隠していた時に感じていた男達の視線と酷似していた。
そう感じたエンリはすぐに魔人化し、迎撃する。身の危険を感じた彼女は魔人化を解かずに足早に森を進んでいった。
その先にあったものは、大小さまざまなサイズの緑色の人型魔獣達。当然、降り掛かる火の粉を払うかの如く迎撃。
誰か一匹でも背を向けて逃げていれば、見逃していた。しかし、彼らはなぜかそうしなかった。
罠があることには戦いが始まってすぐに気づいた。わざとかかって効かないことを証明すれば逃げてくれるだろうか。
多少危険が伴うが試してみた。結果は失敗。無駄に魔獣達の怒りを買い、襲い掛かられてしまった。
最終的に逃げてくれたのは奥にいた少し大きな魔獣一匹。あの様子だどもう悪さはしないだろう。

次に回想するのは、様々な芸術品が置かれた大部屋での出来事。
鐘の音と共に現れた珍妙な格好の長身痩躯の男。彼がこの殺し合いの主催者らしい。

『―――――――おっぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!』

見せしめとなった褐色肌の幼い少女の断末魔。精一杯強がっていた少女は尊厳を破壊し尽くされて死んだ。
部屋には少女の末路を嘲笑う人。興味を示す人。欲情する人など多種多様の悪意に満ちた人々がいた。
反対に、力なく座り込んで茫然とする人。意味の分からない恐怖に駆られ泣きじゃくる子供。
大切な誰かの名前を必死に叫ぶ人。少女の死に怒りを隠さない人。体を抱いて震える子供。死ぬべきではない人々もいた。
許せない。善良な人々のためにエンリは戦う覚悟を決めた。
殺し合いの中で、欲に駆られた人々と戦うこともあるだろう。その時は躊躇わず魔人の力で無力化させよう。最悪殺すことになっても。

主催者の男の言葉の中には、エロトラップやNPCという言葉以外にも、ナノマシンという聞きなれない言葉があった。
自分達が住まう王都には見られないモニター。最新技術を駆使したナノマシンを注入する首輪。
物語の中でしか登場しないような不気味な魔獣達。基本ルールが記述されたタブレットなる機器。そして浮遊大陸。
これらすべての事柄から、エンリの脳裏によぎったもの。
それは―――『奈落』

国を牛耳る大企業ロベリア株式会社。通称≪D&M≫。生物兵器開発を主にしている軍事企業である。
『奈落』とは、ロベリアが各国で誘拐した人々を使って人体実験を行っている地下施設の呼び名。ここにエンリは二度落ちた。
浮遊大陸とエリア中に蔓延るNPC――魔獣達。
この事象で思い浮かぶものは友人だと思っていた悪意の塊、オリバー・G・ロベリアが発したキーワード。
『奈落の浮上』
魔獣と魔人を解き放って人々を殺戮し、自分のような『完全な魔人』を作り出す。
自分が参加させられた理由も、魔人の能力にほとんど制限が課せられなかった理由も、それで説明がつく。
仮説があっているのなら、主催者の男はおそらくオリバーと同じロベリアの関係者。
性欲を絡めた殺し合いとなったのは地獄を加速させるためか。それともNPC達の進化を促すためか。


707 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:13:57 qucStkVQ0
最後に思い浮かぶのは、二度目の奈落に落ちた時にできた友人達のこと。
エンリが帰るべき日常の象徴。

『は?何?文句あんの?』
『エンリ…ちゃん……ご………ご…ごめんなさい……』

自分を奈落に誘った張本人、エマ・S・ホワイト。
思えば、彼女とその友人達と一緒に肝試しにと奈落へと遊びに行ったことがすべての始まり。
同じ悲惨な事件に巻き込まれただけなのに、責任感を感じて謝ってくれた女の子。気が強いけれど優しいことは知っている。
二度目の奈落事件後に、友達になれた。

『エンリとの会話、凄く楽しい♪ 短時間でたくさんお話しできる♪』
『エンリって…私が思っている以上に凄いね…。凄く…頼りになる…』

奈落の最下層、絶望的な状況に陥った時に助けてくれた魔人、ノイン・ゼロツー。
手も足も出ずに負けてしまったオリバーとの初戦闘の後、絶望の底にいた自分を救ってくれた天使みたいな女の子。
ロベリアによって狂わされてしまった人生にも悲観せず、いつも楽しそうに笑っている友達。
無口な自分との会話と楽しんでくれている。でも心の中まで読まれるのは少し恥ずかしい。

そして―――

『エンリ…好きです。俺と付き合ってください』
『今度、いい喫茶店に連れてってやるからそれでいいか?』

二度目の奈落で最初に出会った人間、エーベル・アルフィー。
特技の読心術で普段ほとんど話さない自分の言葉や意図を読み取ってくれる、優しくて勇気がある男の子。
奈落の中で、自分に真っ直ぐな好意を伝えてくれたことはびっくりしたけれど、とても嬉しかった。
それから、彼のお気に入りの喫茶店に連れて行ってくれる約束もした。事件後、一緒に行った。

でも、オリバーに不覚を取って重傷を負い、奈落の底まで叩き落された時。辛かった思い出。

『なら、好きなだけ食え。ただ、エンリだけは助けてくれ…。
もしも可能であればこの子を生きて地上に返して欲しい。地上に出た後も襲わないでくれ…』
『この人は…大切な人なんだ…』

ノインが優しい女の子だと知らなった初対面時。彼女に食べられそうになった時の言葉。
好きだと言ってくれた彼が自らの命と引き換えに自分を助け出そうとした。
血溜まりの中、死にに行こうとする彼の足を止められるほど力が残っていなかった。あの時ほど自分の無力を呪ったことはない。
あんな身を引き裂かれるような思いは二度としたくない。

皆、とても頼りになる大切な仲間達だ。
殺し合いにおいても力になってくれる人達だけど、自分の本音は……誰も巻き込まれていて欲しくない。
奈落で皆が生きて地上に帰ることができた一番の理由は、幸運に恵まれたからだと思う。
今回の地獄でも運が味方してくれるとは限らない。巻き込まれたのは頑丈で死ににくい自分だけであって欲しい。


708 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:14:46 qucStkVQ0
それに、危険な人ばかりじゃない。
あの部屋では、この地獄に立ち向かおうとしていた人々がいた。
その人達と協力して、黒幕に立ち向かおう。

身支度を整え、エンリは立ち上がる。
"声"は魂、"意思"は鋼、"強さ"は支
ルーヴル家の家訓を心の中で呟き、魔人令嬢はドアを開けた。



【エンリ・M・ルーヴル@-奈落2-】
[状態]:健康、魔人化
[装備]:魔人の斧@-奈落2-、ラビットハウスのカフェ制服@ご注文はうさぎですか?
[道具]:基本支給品一式(水消費)、ランダム支給品0〜1、血塗れの私服
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:殺し合いに反対する人達と協力する
2;危険人物と遭遇した場合はその都度対処する。最悪殺害も視野に入れる
3:主催の男(ヒエール・ジョコマン)はロベリアの関係者かもしれない
4:友人達が巻き込まれていないか心配
5:替えの下着が欲しい。
[備考]
※参戦時期は奈落脱出後ですが、ルートは不明。少なくともエーベルから告白を受けています。
どのルートであるかは後続の書き手にお任せします。
※本ロワに大企業ロベリアが関わっていると考えています。
※魔人の斧がデフォルト支給品として扱われる代わりにランダム支給品が減らされています。

『支給品紹介』
【魔人の斧@-奈落2-】
エンリ・M・ルーヴルのデフォルト支給品。
ロベリア株式会社によって作られた魔人の武器の一つ。
意志があり、この斧に認められることで魔人へと昇華できる。。
認められた所有者はいつでも魔人の斧を手元に召喚できるようになる。
素材は頑丈な鋼鉄であり、何度破損しても時間経過で何度でも完全復活する。復活するための時間は魔人の斧の気分次第。
破損して姿を消している間は所有者は普通の人間に戻る。
魔人の斧が破損している間は魔人化できなくなる。
現在、魔人の斧に認められている存在はエンリのみ。

【ラビットハウスのカフェ制服@ご注文はうさぎですか?】
喫茶店ラビットハウスのカフェ制服。原作6巻の時点で7色の制服が存在している。
エンリに支給された制服のカラーは青。


『NPC紹介』
【ホブゴブリン@ゴブリンスレイヤー】
先祖返りにより普通のゴブリンより巨大な肉体を得たゴブリンの上位種。
戦闘力はゴブリンの完全上位互換であり、力がある人間でも手こずる程。


【小鬼英雄(ゴブリンチャンピオン)@ゴブリンスレイヤー】
豊富な戦闘経験を積んで、ホブゴブリン以上の巨体を誇るゴブリンの最上位種の一角。
知性は他のゴブリンと大差はないが、残忍性や膂力、戦闘能力は上位種のホブゴブリンを遥かに凌駕する。


【小鬼王(ゴブリンロード)@ゴブリンスレイヤー】
ゴブリンにしては異様に高い知能を持っている、統率力に特化したゴブリンの最上位種の一角。
多数の上位種をも擁する大規模な群れを組織できる上、人間の言葉を理解して話すことができる。
本ロワにおいては改造され、別世界の存在を含む全てのゴブリン系NPCに対する絶対命令権を取得している。
同じゴブリンロード同士の場合は、より多い群れを組織しているゴブリンの方の命令に従うようになっている。
今回登場したゴブリンロードはエンリに強い憎し■■■■―――――――


709 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:15:49 qucStkVQ0


浮遊大陸に存在しているNPCは千差万別。
女子供でも武器さえあれば撃退できるNPC――この殺し合いでは一番多い。
特殊能力や戦闘能力を持つNPC――特定のエリアを中心にに生息している。
改造を施されて強化されたNPC――数は少ない分、強力な能力を持たされていることが多い。
そして、会場にはそれぞれ一体しか存在しない特殊な個体―――通称ボスNPC



ァァァァァァ……

ゴブリンロードは背後の脅威から全力で逃走する。
限界まで酷使された足が痛む。肺腑に充分な酸素が送られず、意識が混濁し始める。
手には折れた柄の部分しか残っていない戦斧。突進を防いだ時に砕けた。
あの青髪の女から逃げ切ったはずなのにどうしてこうなった。
淀み始める頭に浮かぶのはそれだけだった。

小鬼王の背後には巨大な人面の目玉だらけの赤蜘蛛――ボスNPC『D-033』。正式名称はDemonic033
大企業ロベリアによる人体実験で人間・蜘蛛・魔人の武器の合成によって製造された魔人の失敗作。
あらゆる攻撃・状態異常に対する強力な耐性と分厚い鋼鉄製のシャッターをぶち破る攻撃力を持ち合わせた恐るべき怪物。
快楽を感じるほどの知性も、参加者とNPCの区別をつける知能も持ち合わせていない、ゴブリンにも劣る生命体。
あるのは生まれ持った殺戮衝動と獲物に対するストーカーじみた執着心だけ。

走り続ける中、ゴブリンロードのぼやける視界の先にうっすらと建物が並ぶ街並みが見えた。
街に入れば隠れられる。この怪物から逃げられる。
安堵し、心の中に余裕が生まれた。それがいけなかった。
気が抜けたせいか、意識が一瞬薄れた。限界を超えて酷使され続けた足がもつれ、転倒する。
起き上がろうにも、酸欠状態のせいで脳がまともに働かない。

背後から聞こえていた叫び声が消える。
ゴブリンロードは背後を振り返る。
赤い人面に焦点の合っていない目が一つ、二つ、三つ―――
そして――

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッ!!!!!!!!!!

―――――ぐちゃ


『NPC紹介』
【D-033@-奈落2-】
会場全体を活動範囲として徘徊するボスNPC。正式名称はDemonic033.
生物技術開発を主にしている大企業ロベリアによって人間と蜘蛛、魔人の武器を融合させて生み出された魔人の失敗作。
ターゲットとみなした存在には執着を見せ、不気味な叫び声をあげながら追いかけて殺害する。
頭胸部に人面と複数の目が張り付いた冒涜的な外見の赤い巨大蜘蛛で、重量は5tと非常に重い。
ミサイルの直撃でも耐えるなど防御力は異常なほど高いが、ひっくり返すことで一時的に無力化できる。
本ロワにおいては上記の防御力+あらゆる状態異常を無効化する耐性を持たされている。
また、参加者・NPC問わず自分以外を全てターゲットと認識して追跡するが、頭はそこまで良くない。
そのため、別の存在を囮にする、十分に距離を離してから建物や物陰に隠れるなどで撒くことが可能。


710 : ◆drDspUGTV6 :2021/11/14(日) 12:17:14 qucStkVQ0
投下終了です。
タイトルは「MONSTERS」です。


711 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/15(月) 19:21:36 t7VWRAcg0
二本投下します


712 : 兄として ◆7PJBZrstcc :2021/11/15(月) 19:22:04 t7VWRAcg0
「クロエ……!」

 会場のどこかにある街。
 辺りにはビルが立ち並び、内一つには新宿アルタ前を思わせる巨大なテレビが設置されている。
 そこに、最初に死んだ少女、クロエ・フォン・アインツベルンを悼む一人の少年がいた。
 彼の名前は衛宮士郎。魔術使いだ。
 彼はクロエを知っていた。

 士郎とクロエの関係性を一言で説明するなら、妹の友人だ。
 彼と彼女だけで見るなら、そこまで長い付き合いがあったわけではない。
 だが一人見知らぬ世界に放り出された妹の、大事な友達だった。
 それだけで、士郎がクロエの仇を討つには十分だった。
 しかし、ここで彼はある可能性に思い至る。

「そうだ、美遊……!」

 美遊。それは士郎の、血の繋がっていない妹。
 彼女を守る為ならば、己を犠牲にすることも、彼女の為に世界を見捨て、最低の悪に成り果てたとしても構わないほどに大切な存在。
 極端な話、士郎は美遊を守る為なら殺し合いに乗ることすら覚悟している。
 その彼女が、この殺し合いに関わっている可能性がある。

 理由は二つ。
 まず、士郎とクロエがここにいること。
 これだけで、他の知己が関わっている可能性を考えるには十分だろう。

 次に、主催者のどんな願いでも叶えるという言葉。
 これは、恐らくだが主催者が願望器たる聖杯を所有しているということ。
 ひいては、美遊を確保している可能性がある。

 美遊は天然の聖杯だ。
 そこに理由はない。『そういうもの』として生まれてきただけだ。
 だがもしそれを十全に使えるなら、どんな願いも叶えるという言葉は嘘ではなくなる。
 美遊を犠牲に使い潰して。

 しかしこの考えにはいくつか疑問が浮かぶ。
 まず、どうやってこの浮遊大陸とNPCを用意したのか。
 次に、どうして願望器をわざわざ呼びつけた参加者に使わせるようなことを言うのか。
 最後に、なぜ殺し合いを開く必要があるのか。

「分からないことだらけだ……」

 思わずぼやく士郎。しかし時間は待ってくれない。
 なので、せめて行動を起こすことにした。
 他の参加者と接触や、会場を調べ、今ある疑問を解き明かそうと考えた。

 その為まずはデイバッグを検める。
 すると、形状はどうみてもネタだが、その実凄まじい力を秘めている双剣が出てきたので、士郎は迷うことなく手に持つ。

 こうして、美遊の兄である衛宮士郎の殺し合いは始まる。
 彼は妹を守れるのか。そもそも妹は殺し合いに関わっているのか。
 それら全ては、未だ定まっておらず。


【衛宮士郎(美遊兄)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:ハリセン@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:美遊を探し、守る
1:他の参加者を探す。美遊がいるなら優先して探す
2:首輪を外す
3:もしこの殺し合いに美遊がいないのなら、クロエの仇を討つ
4:もしこの殺し合いに美遊がいるのなら、その時は殺し合いに乗ることも視野に入れる
[備考]
美遊・エーデルフェルトがこの殺し合いに何らかの形で関わっていると考えています。
名簿に載る際、(美遊兄)の部分は表記されません。


【ハリセン@テイルズオブシンフォニア】
衛宮士郎(美遊兄)に支給。
装備すると斬り攻撃力850、突き攻撃力750、命中30、幸運20上がる双剣。
外見はふざけているが、シナリオ終盤のイベントで手に入る武器とタメを張れるレベルに強い。


713 : ワクワク 初めてが止まらない ◆7PJBZrstcc :2021/11/15(月) 19:22:37 t7VWRAcg0
 浮遊大陸のどこかで、一人の少年が蹲っている。
 彼の名前は海堂マルオ。現在はバイト先を探している無職だ。
 そんな彼がなぜ蹲っているのか。

 突如呼びつけられたこの殺し合いに怯えているのか。
 最初の場で死んだ見知らぬ少女を悼み、悲しんでいるのか。
 正解は、そのどちらでもない。

「へ、へへ、へへへへへ……!
 やっべぇ、ワクワクが止まんねえぞ……!!」

 マルオは笑っていた。
 この状況に対し、高揚していた。
 彼はずっと、こんな展開を待っていたのだ。

 マルオはずっと、漫画の主人公に憧れていた。
 その為に子供の頃、漫画の主人公と同じトレーニングを重ねた。
 結果、彼は七歳で岩を拳でぶち抜くほどの力を手に入れた。
 そして成長し、今や彼は軽く小突くだけで人の骨をへし折り、学校一つの生徒全員と喧嘩しても勝ち、車すら投げ飛ばせるほどの胆力を持つほどになっていた。
 彼の力は最早人外のそれだった。

 しかし、そんなものはマルオにとって何にもならなかった。
 どんな相手と喧嘩しても即座に決着がつく。
 格闘技を志しても、バケモノ呼ばわりされて追い出される。
 かと言ってまともに働こうとしても、仕事にならずクビにされる。

 力があってもどうにもならず、バイト探しに悩むマルオだったが、ここに来てこの殺し合いだ。
 彼は生まれて初めて、全力で戦っても問題ないだろう環境を手に入れたのだ。

「それじゃ、あのおっさんぶっ飛ばしに行くか」

 とはいっても、マルオは殺し合いには乗らない。
 なぜなら、彼の知る漫画の主人公ならば、こんな殺し合いには絶対乗らないからだ。
 なんとかしてこの首輪を外してから、殺し合いの主催者を倒し、最初の場で死んだ少女の仇を討つだろう。

「あ、そっか。
 この首輪外さなきゃなんねえのか」

 ここでマルオは、今まで首輪のことについて何も考えていないことに気付いた。
 とはいっても彼には、これをどうにかする科学知識などない。
 なんかないか、と某猫型ロボットのようにデイバッグを漁ってみると、こんなものを見つけた。

「首輪探知機?」

 それは首輪探知機。使うことで周囲にある首輪を探せる代物だ。
 効果範囲はエリア一つ分。
 すなわち、同じエリアのどこに何人いるかが分かるということだ。

 その探知機を、マルオは躊躇なく使用した。
 彼は周りに誰かいるなら、早速会いに行くつもりだったのだ。
 これで見つけた参加者が首輪を外せそうなら仲間にし、そうじゃなくてもとりあえず同行する。
 そしてもし、殺し合いに乗っていたらぶっ飛ばす算段だった。

 そうこう考えているうちに、探知機の画面は結果を示す。
 はたしてそれは、彼の望むものかどうか。


【海堂マルオ@アヤシモン】
[状態]:健康、高揚
[装備]:首輪探知機@バトルロワイアル
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:主人公になる
1:あのおっさん(ヒエール)をぶっ飛ばす
2:首輪を外してくれそうな奴を探す
[備考]
参戦時期は1話、不良に絡まれる直前です


【首輪探知機@バトルロワイアル】
海堂マルオに支給。
参加者につけられた首輪を探知できる機械。
効果範囲は原作と違い使用者がいるエリア一つ分。
生存者、死者は関係なく反応する。


714 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/15(月) 19:23:02 t7VWRAcg0
投下終了です


715 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/15(月) 21:55:11 wq4GpN3g0
投下します。
一部性的な描写を含みますのでご注意ください。


716 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/15(月) 21:55:49 wq4GpN3g0

「んー……」

 バトルロワイアルのために用意された街の一角で、褐色の肌をした、白を基調としたセーラー服を着た少女が目を覚ました。

「ふわーぁ……」

 少女は眼を擦りながら、溜まっていた眠気を発散するかのような盛大なあくびをする。

「……寒い」

 路上で寝てしまっていたようで、地面がひんやりと冷たい。周囲の様子を確かめた直後、少女は何かを思い出したかのようにこう呟く。

「あー、大変なことになっちゃったねえ」

 なんとも緊張感のない声で少女は言う。少女の名はシロッコ。過去の大戦で戦った艦の魂をその身に宿す『艦娘』の一人だ。イタリアにルーツを置く艦らしく、その身に纏うセーラー服の色はどこかイタリアの国旗を彷彿とさせる。

「死んじゃった子、グレちゃんにちょっと似てたなー……あ、シロッコにも首輪ついてる」

 眠たげないつもの調子を崩さずに、シロッコは自身の首に食らいついている首輪を確認する。

「夢じゃないんだー……。うーん、どうしよっか」

 シロッコは夜空を見上げながら考える。
 勿論のこと、シロッコは死にたくない。マエストラーレ級駆逐艦の姉妹――マエストラーレ、グレカーレ、リベッチオとは離れ離れになりたくないし、鎮守府で自分を指揮する提督も嫌いではない。できることなら、今すぐ帰りたいところだが、ではどうやって帰還するかといえば分からない。このゲームを壊すか、最後の一人になることを目指すか。

「……人殺しちゃったら、マエスト姉さんもグレちゃんもリベちゃんも怒るよね」

 そんなことをシロッコが呟いた、その時だった。

「んー?なにあれ」

 建物と建物の間から、シロッコに向かって何かが飛来してくる。

「……うわぁ。へんな格好」

 シロッコがそう驚嘆せざるを得ないほどに、それはあまりにも突飛な姿形をしていた。
 形容するなら、『白いアヒル型のおまるを模したモノで空を飛ぶパンストを被った人間』。その時点で変というレベルではないことが分かるだろう。しかも、おまる型の飛行物体の下からはその人物の脚が突き出ており、尚のこと外見の滑稽さを増していた。

「……なに?何か用?その格好、『えろとらっぷ』ってやつにでも引っ掛かったの?持ってるそれも、オモチャみたいだね」

 シロッコは小首を傾げながら、自身の前に降り立ったパンストを被った人間に対して言う。そいつは大きめの銃を持っていたが、銃口もなく傍から見ればただのオモチャのようにしか見えなかった。よく言えば純真、悪く言えば無防備、無警戒。そんなシロッコの気質が命取りとなる。
 パンストを被った人間はシロッコに返事を返すこともなく、手持ちの銃をシロッコに向けてピンク色の光線を発射する。


717 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/15(月) 21:56:36 wq4GpN3g0

「え――」

 まさかそれが弾を撃てる銃だとは思いもしなかったシロッコは回避する余裕もなく、ピンク色の光線に被弾してしまった。

「えぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺっ!?!?」

 シロッコは素っ頓狂な声を上げ、ピンクの光に包まれながら身体を大の字に広げて痙攣させる。その間にシロッコの身に着けていたセーラー服は下着に至るまで綺麗に消え去り、代わりに新たな布が再構築されてシロッコの褐色肌の裸体に着せられていく。

「ふぇ――へ?なにこれ!?」

 ピンクの光が収まり、自分の身体を確認したシロッコは目を見開いた。気づけば、彼女は股の部分を腰骨の位置まで鋭角にカッティングした水着――所謂「ハイレグ水着」を強制的に着せられていたのだ。シロッコの未だ凹凸の薄いくびれからうっすらと見える鼠径部の線も丸出しになっており、股を強調した、非常にきわどい格好になっていた。

「ふわ〜、これが『えろとらっぷ』ってやつ?」

 眠たげな調子を崩さないものの、その声は普段よりも上擦っており、シロッコが慌てていることは明白であった。
 今、この場にいるのはパンストを被った人間に、ハイレグ水着を着せられた小麦色の肌の幼げな少女。この光景は異様という他ない。

「シロッコにこんな格好させて、あたしをどうするつもり?」

 ほんのり頬を紅く染めながら、目の前のパンストを被った人間を見据えるシロッコ。
 その傍らで、何か使えるものがないか、持っていたデイバックの中に手を入れようとする。

「――あれ?なんで動けないの〜?」

 しかし、シロッコの身体は金縛りにあったかのように気をつけをしたまま動かなかった。

「これも、あなたの仕業?」

 シロッコが聞くも、目の前のパンスト人間は応えない。しかし、既に手持ちの銃は下げており、この状況が目の前の人物の思い通りであることは明白であった。

「――ハイグレ!」

 そんな時、シロッコの口から突如変な掛け声が発される。それと同時に、シロッコは腰を落として蟹股に脚を開き、両手でV字を形作るように交差させ鼠径部をなぞるように動かす。

「……へ?何これ、いつの間に――」

 しかし、そんな滑稽なことをシロッコが意図してするはずもない。

「あれ?あれれ?身体が勝手に……ハイグレ!ハイグレっ!やだっ、シロッコそんなこと言ってなハイグレ!」

 それでも、シロッコの身体は操られるかのように所謂「コマネチ」をするポーズを繰り返し取り、口をつくかの如く「ハイグレ」と言わされる。

「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレっ!」
(な、なにこれ……?ハイグレするたびに、気持ちよく……?)

 やがて、最初はぎこちなかったシロッコのハイグレの動作が明らかにキレを増してくる。そして、シロッコがハイグレのポーズを取るたびに水着にかろうじて隠された股間が刺激され、快楽の波が押し寄せてくる。

「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレェっ!」

 嫌そうだったシロッコの顔は、いつしか自慰行為に夢中になる女子のような扇情的な表情になっていた。

(このハイグレってやつ、すごく気持ちいい……癖になっちゃいそう……)

 度重なるハイグレのポーズによって、その快楽は閾値を超えようとしていた。

(こんな感じはじめて……すっごく幸せ……ハイグレ魔王様に感謝しないと……あれ、ハイグレ魔王様って誰――)


718 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/15(月) 21:57:30 wq4GpN3g0

 その瞬間、シロッコの脳内に声が響いてきた。

――あなたはハイグレ人間として生まれ変わり、ハイグレ魔王様に仕えて生きていくのです。
――ハイグレ銃で仲間を増やし、ハイグレ魔王様の元に帰還しなさい。
――さすれば、ハイグレ魔王様もお喜びになられるでしょう。

「ハイグレ!ハイグレハイグレハイグレハイグレ――」
「――ハイグレえええええええっ!!!」

 その声に応えるかのように、一際大きなハイグレのポーズを取りながら、シロッコは絶頂した。首を仰け反らせ、水着の股間部に液体を滲ませながら、ビクビクと震えている。
 それは、シロッコの「艦娘としての生」の終わりでもあった。



§



「――ハイグレハイグレッ!ハイグレ人間シロッコ、洗脳完了しました!ハイグレ人間にして頂きありがとうございます!ハイグレグラッチェ!」

 しばらく静止した後、シロッコはこれまでの態度が嘘であるかのように機敏にハイグレをポーズを取りながら、目の前のパンスト人間に忠誠の言葉を贈った。
 パンスト人間――否、パンスト兵は、その様子を見届けるとおまる型の物体に乗って飛び立って行く。去り際に、ハイグレ人間となったシロッコに餞別を贈るかのように、懐からピンク色の洗脳光線を出す銃――ハイグレ銃を取り出し、シロッコに手渡していった。

「パンスト兵様、ありがとうございます!いただいた銃でハイグレ人間を増やして参ります。ハイグレ!」

 シロッコはハイグレのポーズを取りながら去っていくパンスト兵に最大限の感謝を示し、見送った。

「ハイグレってこんなにいいものだったんだね〜。あたしすっかり勘違いしてた」

 身も心もハイグレ人間にされてしまったシロッコは、自身がハイレグ水着を纏っっているという幸福感を噛みしめる。

「ここでじっとしちゃいられない。殺し合いに参加してる皆にも、ハイグレの素晴らしさを、ハイグレ人間になる幸せを伝えなきゃ!」

 そう言って、シロッコはハイグレ銃を構えながら歩き出した。

「殺し合いの主催も参加者も、みんなハイグレ人間になれば殺し合いなんてやめるっしょ。そしてみんなで仲良く手を取り合って、ハイグレ魔王様のもとに帰るんだ!」

 ハイグレは世界を救う――冗談抜きでそう信じながら。
 すべては、未だ見ぬハイグレ魔王様のために。

【シロッコ@艦隊これくしょん】
[状態]:ハイグレ人間、ハイグレ魔王への忠誠、健康
[装備]:ハイグレ銃、ハイレグ水着
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから帰還する
1:ハイグレ銃でハイグレ人間を増やす
2:ハイグレ人間全員で協力する
3:みんなハイグレ人間になればいいじゃん
[備考]
※ハイグレ銃で洗脳されています。
※ハイレグ水着の下には何も着ていません。
※いずれは主催もハイグレ人間にして殺し合いを丸く収めるつもりです。

『支給品紹介』
【ハイグレ銃@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王】
パンスト兵からの手渡しによりシロッコに支給。
ハイグレ魔王軍で末端のパンスト団も使う一般的な兵器であり、銃から出る光線を一発当てると
どんな人間も一発でハイレグ水着の格好にさせた上で洗脳する事が出来る恐怖の兵器。
ハイグレ人間にされたばかりの者は顔がひきつって嫌そうにしているが、時間が経てば洗脳が進み、笑顔でハイグレをするようになっていき、
やがて原作のまつざか先生のように嬉々としてハイグレ魔王軍に従うようになる。
此度のバトルロワイアルではハイグレのポーズを行うたびに股間に性的刺激が行くようになっており、
絶頂を迎えると完全に洗脳されてハイグレ魔王軍に忠誠を誓うようになっている。

『NPC紹介』
【パンスト兵@クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王】
ハイグレ魔王の部下。オマルのような飛行艇に乗り、ハイグレ銃を持っている。
原作では編隊を組んで街にくり出し、地球人をハイグレ光線でハイレグ水着姿のハイグレ人間にしていった。
此度のバトルロワイアルではあくまでNPCであり、見かけた未洗脳の参加者を見かけ次第ハイグレ人間にしていくようプログラムされている。
また、相当数のハイグレ銃を所持しており、参加者をハイグレ人間に洗脳した場合はハイグレ銃を支給するようになっている。


719 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/15(月) 22:00:43 wq4GpN3g0





「あ……ああ……」

 これらの一部始終を、建物の中に隠れて見ていた者がいた。

「そんな……シロッコ……どうしてこんなことに……」

 それは奇しくも、マエストラーレ級姉妹の長女であり、シロッコの姉でもあるマエストラーレだった。ポロポロと涙を零しながら、その場に崩れ落ちる。
 この場所に転送される前、妹であるグレカーレに雰囲気の似た少女が無惨に殺された時に、シロッコの姿は確認していた。長女として、妹だけは守ってみせる。そう思っていたはずだったのに。

(どうして、あの時動けなかったの……あの時私が助けに入っていればシロッコは……!)

 動けなかった。目の前に広がる光景が、シロッコをあんな風に作り変えてしまった奴があまりにも異様で、身体が竦んでしまった。

「っ……」

 今一度、窓を除いてパンスト人間とシロッコのいた場所を確認する。もう既に両者共に去ってしまったのか、夜の静けさを取り戻していた。

「……」

 分かっている。パンスト人間の持っていた銃が、撃った相手を問答無用で洗脳してしまう機能があろうとはそれを目にするまで思いもしなかっただろう。
 仮に、マエストラーレが助けに入ってもシロッコと仲良くハイグレ人間にされていたに違いない。
 しかし、目の前で辱められる妹を前にして動けなかったという事実は、間違いなくマエストラーレの心を蝕んでいた。

「ごめんねシロッコ……待ってて。お姉ちゃんがいつか助けてあげるから」

 だが、希望が断たれたわけではない。洗脳されたとはいえ、シロッコは生きている。生きてさえいれば、艦娘としてのシロッコに戻すことだってできるはずだ。

(長女だもん……絶対に諦めないんだから!)

 マエストラーレは涙を拭い、戦う決意を固める。妹を取り戻すために、そして妹と共に帰還するために。



【マエストラーレ@艦隊これくしょん】
[状態]:シロッコを救えなかった後悔
[装備]:マエストラーレ級姉妹の制服
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから帰還する
1:シロッコをハイグレ人間から取り戻す
2:協力できそうな人がいれば協力する
[備考]


720 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/15(月) 22:02:24 wq4GpN3g0
以上で投下を終了します。

タイトルは『きわどい水着mode』でお願いします。


721 : タナトスの手を振り切って ◆vV5.jnbCYw :2021/11/16(火) 00:32:18 GUylWuHg0
投下します


722 : タナトスの手を振り切って ◆vV5.jnbCYw :2021/11/16(火) 00:32:41 GUylWuHg0
じゃっ、じゃっ、と。
丸いフライパンの上で、小さくいちょう切りにされた人参が油で跳ねる。
そんな日常的な音が、非日常を司る世界の中で、響いている。


料理をしていたのは、長くて白い髪をリボンで括った少女だった。
癖なのかフライパンの上で舞う野菜に合わせて、ひょこひょこと膝を動かしている。
それに合わせて、ひらひらとたなびくエプロンの裾や束ねた髪は、少女の可愛らしい雰囲気を引き立てていた。
やがて野菜に火が通り、平皿の上に盛り付けられる。


「はい、剣士さん。出来ました!!おかわりもあるから好きなだけ食べてね!!」

少女は空き家の椅子に座っていた、武骨な銀の肩当てと、無精ひげが印象的な男に料理を渡す。
見た目は人参だけの質素な野菜炒めだが、綺麗な盛り付けと、水色の平皿とオレンジ色の料理のコントラストが、特別な料理のようにしていた。


「ありがとう、いただこうか。」
男はフォークで、野菜炒めを頬張り始めた。

「美味しいな。長らくこんな料理は食べたことが無かったよ。」
男は精悍な顔つきだが、どこか表情が硬かった。
だが、少女が作った料理を食べたことで、僅かながら頬が緩んだ。


「なら良かった。人参を使った野菜炒めは、私の得意料理なの。
将来はお父さんと同じ料理人になって、お店を出すんだ!」
満開の花のような笑顔を浮かべ、嬉々として自分の将来の夢を語る少女。

「夢があるのか。なら是非とも、生きて帰らないとな。」
それに対して、男はどこかぎこちないが、微笑み返した。


〇〇〇

この殺し合いが始まってすぐに、少女、ガーデニアは会場のモンスターに襲われた。
彼女とて何度か戦いの経験はあるし、支給品の武器は使い慣れたフライパンだった。
だが、相手が悪かった。
何かの道具が入っているのかと思って開けた箱が、実は怪物だったのだ。

完全な不意打ちに対応できずに、箱の怪物が吐いた息によって眠らされ、身体中を舐めまわされそうになった時、男が助けてくれたのだ。
かつては無敵のソルジャーと方々で噂になっていた青年は、支給品の大剣で箱の怪物を瞬時に膾切りにした。
モンスターを始末すると、眠らされていた少女に声をかけた。

「怪我は無いかい。もう大丈夫。」
何の因果か、その言葉はかつて男の運命を大きく変えたとある少女に、初めてかけた言葉と同じだった。

「……おはよ。」
男は半分寝ぼけている少女をかかえ、安全そうな空き家に入った。


723 : タナトスの手を振り切って ◆vV5.jnbCYw :2021/11/16(火) 00:33:01 GUylWuHg0

ガーデニアは助けてくれたお礼にと、支給品にあった人参と食用油で料理を作ってくれた。
どういう訳かは分からないが、空き家はガスや水道は完備されていた。


そして、今に至る。


「ごちそうさま。長らくしていなかったが、机を囲って食べる食事も良いものだな。」
「剣士さんって、旅をしていたの?」
ガーデニアは屈託のない笑顔で尋ねる。

「どうしてそんなことを聞くんだ?」
剣士は少し戸惑った様子で、聞き返した。
「私のお父さんは凄い料理人で、世界中を旅しているんだ!だから外国のことを知りたいの!」
「そうか。君の言う通り、僕も世界中とは言わないが、それなりに色んな街を見てきたよ。
最も職業は盗賊を退治することだがね。」
「なるほど、だからあんなに強かったんだね!」


男がいた世界は、秩序も法も崩壊し、ほとんどの人間が生きるために奪い、生きるために殺すことが平然とまかり通る世界だった。
罪を犯した者を射殺する処刑人がいる場所もいたそうだが、剣士の知っている世界の中では終ぞ見ることは無かった。
中には乾季に襲われた中、孤児院の子供たちの命をつなぐ水脈を奪おうとする者達までいたという。
それでも、自分の命の為に自分の手だけを汚すのならまだ良い。
彼が特に許せなかったのは、盗賊団を結成して集団で弱い者1人から奪ったりする者や、自分より弱い者に盗みをさせ、それを理不尽に強奪する者だった。


他人より強い者に生まれた男は、悪を己の中で飼うことに飽き足らず、悪を蔓延させる邪悪な者を殺して回っていた。
何故そうしていたのかは分からない。
自分がいた世界が、悪い方向に傾いていたのは分かっていた。
だが、自分がしていることが、世界を良い方向に変えるとも、悪い方向に傾くのを止めることに繋がるとさえも思っていなかった。
それでも、長い間愛用していた剣と共に、長い間邪悪を退治し続けていた。


ガーデニアは続けざまに目をきらめかせて、質問を続ける。
「剣士さんが旅した世界にはどんな美味しい料理があったの?」
「う〜ん、特に美味しい食べ物は無かったな。君が作ってくれた野菜炒めが美味しかった。」

彼の世界では、食べ物を選り好み出来るような世界ではなかった。
強いて言えばある少女と焚火を囲んで食べた魚が彼にとって美味しい料理だったが、きっと彼女が求めている解答では無いと思い、無難な回答を選んだ。


「え?そうなの?でも嬉しいな!!」
まだガーデニアと剣士が出会ってから、1時間も経っていない。
それでもその少女は、何度も笑顔を見せた。
彼女の朗らかな性格は、氷のようになっていた剣士の心を溶かす優しい春風になっていた。
孤独を長年の共存相手とし、数少ない長い時間を共にした少女とも死別を遂げた剣士にとって、ガーデニアの一挙一動が唯一の癒しになった。


724 : タナトスの手を振り切って ◆vV5.jnbCYw :2021/11/16(火) 00:33:20 GUylWuHg0
〇〇〇

食事を済ませると、余った食材を支給品袋に入れて、出発の準備をする。
剣士は食事の前に脱ぎ捨てたモスグリーンのコートを拾う。
目的はガーデニアの知り合い探しと、同じようにこの殺し合いから脱出する者を探すことだ。

「あのさ……人は、殺さないで欲しいんだ。」

空き家を出ようとする前に、ガーデニアがため息と共に口にしたのはそんな言葉だった。
目の前の男は、盗賊狩りをやっていたという。
殺し合いに乗る気は無いとしても、自分達が悪党に襲われれば、簡単に斬り殺してしまうだろうという恐怖が彼女にあった。
怪物ならば良いかもしれない。だが、どんな悪人でも自分達の目の前で人が死ぬのを見るのは嫌だった。


「……………。」
それに対し、男は肯定も否定もせず、気まずそうな顔をする。

「ごめんなさい。折角助けてもらったのにこんなことを言って。
でも、手や顔を血だらけにして町の人やパパに会うのは嫌なの。」

どこまでも無垢な少女らしい言葉を、男に投げかける。
嘘はつきたくないし、きっとこの先、約束を通せる自信もない。
どう答えるべきか悩んでいた時だった。
少女から笑顔が消えた。


――――そんなこと、言っ“て”い“る”ば“あ”い“!?
(!!)
ガーデニアの目の前にあるのは、悩んでいる剣士の整った顔。
いや、違う。
血にまみれた、ガーデニア自身だ。


――――な“に”を“シ”て“モ”い“き”て“帰らないとかえらないと返らないとかえらないとカエラナイト還らないとカエラナイトかえらないとか”え“ら”な“い”と“

(何か……言っている……?)
「どうした?顔色が真っ青だ。」
剣士は何も気づいていないようだった。

「うん、大丈夫だよ。行こう……。」
気丈に振る舞うガーデニアは、次の瞬間ふらつき、壁に頭をぶつける。
カチリと軽い音がした。


「うわっ!!」
狭い廊下で、手裏剣がどこからともなく二人目掛けて飛んで来た。
「伏せろ!!」
剣士はガーデニアに指示を出すが、反応は遅れた。
外とは異なる狭い廊下なので、大きな剣も振りにくい。


「くそっ、すまない!!」
剣士はガーデニアを安全圏に突き飛ばし、どうにかして手裏剣を躱そうとする。
しかし、全て避けることは出来ず、服の一部分が破れてしまった。


「だ、大丈夫?」
「気にするな。僕達を殺すのではなく、着ている服を破るのが今の罠の目的らしい。全く悪趣味な仕掛けだな。」
「で、でもこの空き家、ぼろいけど服があるし……!?」


ガーデニアは剣士の方を見た瞬間、表情が固まった。
剣士の服の裂け目からは、裸の胸に大きな裂傷が走っていたからだ。


「そ、その傷、さっきの罠で?」
慌ててガーデニアは手当てしようとする。
丹精込めた彼女の料理は、傷を癒す力もある。

「違う。さっき出来た傷なら、それほど早く血が固まったらおかしいだろう。」
「じゃ、じゃあどうして?」
「君には関係ないことだ。」

(どうせならこの傷も治してくれれば良かったのにな……。)

剣士は支給品袋に入れていたコートを羽織り、服の破れ目とその傷を隠そうとする。


725 : タナトスの手を振り切って ◆vV5.jnbCYw :2021/11/16(火) 00:33:45 GUylWuHg0
「そんなこと言わないで、教えてよ!!」
(僕はこうして頼まれると弱いんだよな……)
一瞬見えただけとはいえ、傷跡は大きく、とても忘れられるものでは無かった。


「僕は一度斬られて死んでいるんだ。弟子にね。」
剣士から告げられたのは、衝撃的な言葉だった。

「ど、どういうこと?それにどうして死んだの?」
先程以上に青ざめたガーデニアは、色々と尋ねてくる。


「そうだな……話は僕の弟子、君ぐらいの年齢の少女と出会った日から話そうか。」
話す気はあまり無いという苦々しげな表情で、剣士は話し始めた。

「あの日僕は、兄に盗みをさせられ、殴られていた少女を助けたんだ。」
「それは凄いじゃん。でも、それがどうして?」
ガーデニアの表情は、先程とは異なり心配気だった。

剣士の話は続いた。
少女を助けた後、弟子にしてくれと何度も頼まれ、二人で旅をすることになった。
その旅は充実していた。
剣士はその間だけは、楽しそうに二人の間であったことの話をしていた。


「あの感じはずっと続くと思っていたんだ。」
剣士の顔は、途端に浮かないものになった。
だが、二人の運命が狂い始めたのは、旅が大分過ぎた頃だった。


弟子だった少女は、店から剣を盗んだ。
しかも店主に見つかった瞬間、店主を斬り殺した。
長年付き添った弟子だからと言って、否、長年行動を共にした弟子だからこそ、見逃すわけにはいかなかった。。


戦いの果て、弟子に斬り殺された。
弟子とは利き腕で戦わなかった。


「ゴメンなさい……こんな悲しい話をさせて。でもその弟子さんは、どうして盗みなんかしたの?」
「……分からない。言えるのは、人は簡単には変わることは出来ないということだ。
だからこそ変わろうと努力するのは、素晴らしい事なんだと思う。
コックになろうとする君にも同じことが言える。」

褒められても、ガーデニアが笑顔になることは無かった。

彼女は出会うまでは、盗みをして命を繋いでいた。
たとえ盗みをしないようになったからと言って、手癖の悪さはそう簡単に取れるわけではなかった。


「でも、死んじゃったんならこの殺し合いに勝って、生き返らせて貰いたくないの?」
「僕が憎んだ悪党と同じことをするつもりはないよ。最も、帰れたらやりたいことはあるけどね。」

「それは……。」
「僕を殺した彼女が、どんな道を歩くのか見たい。」

斬られて意識を手放す直前に、剣士が見たのは弟子の後悔と罪悪感に満ちた表情だった。
躊躇なく盗みと殺しを繰り返していた彼女は、変われたのだと確信できた。


「僕は思うんだ。獣のような欲望や、他人との同調の下で犯した罪は、不幸しか生まない。
けれど罪悪感の果てに決意の下で犯した罪は違う。それが良いという訳じゃないが、何か違う者を作り出す可能性がある。
それは不幸なんて呼ぶのも烏滸がましいほどの地獄かもしれないし、ほんのわずかな希望かもしれない。」

言い終わって、こんなに長くしゃべったのはいつ以来だろうな、という気になった。
もしかすると、弟子に対して言葉足らずだった反省なのか、と自虐的に思った。


726 : タナトスの手を振り切って ◆vV5.jnbCYw :2021/11/16(火) 00:34:04 GUylWuHg0

「じゃあさ、やっぱり帰らないとね。」
「ああ。」
「元の世界に戻ったらさ、お弟子さんと一緒に私の家に来てよ。今度は好きなだけご馳走してあげる。野菜炒め以外にも、ミートパイとか作ってあげるからね!!」
「そうか、それは楽しみだ。」


やや強張っているとはいえ、笑顔に戻ったガーデニアを見て、剣士はあることが疑問に思っていた。

(ガーデニア……君は何者なんだ?)
旅の途中で何度も死者を見て、自分も死者になったからこそ、ガーデニアは彼らと似た気配を醸し出していた。
それを告げることはしなかった。
何か大切なものを壊してしまいたくなかったからだ。


そして、剣士の疑問は外れこそすれど、核心に近づいていた。


ガーデニア・ライトマンという少女は、既に死しており、ここにいる彼女は彼女自身を殺した殺人者の夢が作り出した存在だ。
なぜ夢の存在でしかなかった彼女が、この世界にいるのかは分からない。
その意味では、彼女は死から生き返った剣士以上に、特異な存在だった。


かくして、死神(タナトス)に導かれたはずの二人は、何の皮肉かエロスが支配する空間を旅することになった。
その旅は予定通り死の方向へ向かうか、真の生の方向へ向こうことになるのか。



【ガーデニア・ライトマン@END ROLL】
[状態]:情緒不安定(小)
[装備]:鉄のフライパン@テイルズオブデスティニー
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜1 油@ドラゴンクエストビルダーズ2
[思考]
基本:殺し合いには乗らず、剣士と共に生還する
1:知らない世界での冒険は、不安だが楽しみ
[備考]
※参戦時期は5日目です。
※技・「バースデイ」を習得しています。

【無敵と言われた剣士@無敵のsoldier】
[状態]:健康 ガーデニアに疑問
[装備]:バスターソード@Final Fantasy VII
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜2 がんばりニンジン@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド
[思考]
基本:殺し合いには乗らず、ガーデニアと共に生還する
1:出来るだけ悪人も殺すつもりはないが、出来るかどうかは分からない。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※この世界を「死者のみが集められた世界」だと思い込んでいます。


727 : タナトスの手を振り切って ◆vV5.jnbCYw :2021/11/16(火) 00:34:33 GUylWuHg0
【支給品紹介】
【鉄のフライパン@テイルズオブデスティニー】
ガーデニアに支給されたフライパン。
料理だけではなく、武器として使うことも出来る。
これの元の持ち主であったリリス・エルロンは叩いて敵を攻撃したり、叩いて音を鳴らして攻撃していたが、ガーデニアに出来るかは不明。


【バスターソード@Final Fantasy VII】
剣士に支給された大剣。
身の丈ほどもあり、それなりな剣の腕が無ければ使うことは出来ない。


【油@ドラゴンクエストビルダーズ2】
ガーデニアに支給されたアイテム。
料理用でも、工業用でも、燃料でも何でも使える。
スライムやスライムベスから搾り取ることも出来る。


【がんばりニンジン@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
剣士に支給された野菜。
そのまま食べても傷が僅かながら回復できるが、料理すると回復量が上がる上に、傷も回復する。

【トラップ紹介】
【ひとくいばこ@ドラゴンクエストシリーズ】
宝箱のふりをして、開けた物を襲うモンスター。
本ロワでは噛みつくことは滅多になく、眠らせる甘い息と、舌で舐めまわす攻撃をしてくる。

【服だけを綺麗に裂く手裏剣@オリジナル】
スイッチを押すと突然飛んでくる手裏剣。
これで死ぬことは無いが、服が裂けてしまう。


728 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/17(水) 00:48:05 .DtcMoGI0
コンペロワで投下した作品に修正を加えましたものを1作品、投下させていただきます。


729 : お前は男じゃないのかー! ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/17(水) 00:49:18 .DtcMoGI0
ここは会場内の一角、そこには女騎士がいた。

ドラゴンをイメージした尾に角、そして胸元が開かれた上半身にハイレグというべき下半身といった、やけに露出度の高い恰好をした女騎士だった。

彼女の名前は岸部……、もとい、ラ・ピュセルといった。

そんな彼……彼女は、ここである男と戦っていた。

「自在に大きさを変える剣とは珍しい!俺にくれ!」

顔に隈取りを施し、また赤い鎧をまとった筋骨隆々の男だった。

そしてその男の手には青い刃が刀身に沿って回転している大剣が握られ、その背中には三日月のような槍頭を持つ槍が差してあった。

その男は、彼女の持っている剣に興味を持ち襲い掛かったのである。

男の力はすさまじく、また彼が持っていた武器達がそれを後押ししていた。

そしてラ・ピュセルも彼の凄まじい力と技に対抗すべく魔法の力を駆使して、武器の大きさを変更することで間合いを図らせないようにするなどの戦法を使って、互角の戦いを繰り広げていた。

しかし目の前にいる男は彼女のその戦い方に対しすぐに対処してしまった。

彼は自身の背負っている槍を引き抜くと彼女のその伸ばした剣を絡め捕って、そのまま彼女を投げ飛ばしてしまった。

それに対し彼女は受け身を取ることもままならず、そのまま背中から地面に落下してしまった。

目の前の男が彼女の戦法にすぐ対処できたのも、無理もない話だった。
何故なら今まで命のやり取りをほぼしたことのない彼女と、常に魔物たちや強者との戦いに身を置いていた男とでは、その経験の差は歴然であったからだ。

そして背中から地面に落下したことはそのまま、この戦いが終わりを迎えようとしていることを意味していた。

「戦士としての情けだ、この最強の剣で倒してやるぜ!」

そう言うと男はデイバッグから『月の紋章が付いた西洋剣』を取り出して、ふらつきながらも立ち上がって剣を構え始めた彼女の身体を切り裂いたのである。

……しかしこの後、信じられないことが起こった。

切り裂かれた筈のラ・ピュセルの身体が、まったく傷ついていなかったのだ。

ラ・ピュセルは困惑した。何故なら、完全に体を切り裂かれたと思ったのに傷一つついていなかったからだ。

それは相対している男も同じだった。この剣をもってすれば確実に相手を倒せると思っていたからだ。

そしてその男、『ギルガメッシュ』は叫んだ。

「ば、ばかな!最強の剣じゃないのかー!」

自分の持っている剣が真っ赤なニセモノだということに気づき、大きな声で叫んでいた。

そうしてこの白熱していた戦いは、かなり微妙な空気を漂わせた状態で終了した……。

------------------------------------------------

「えっと、つまりあなたは自分のライバルと決着をつけるために元の世界に戻りたいと?」
「ああ、そのためにこうして様々な奴と戦い、そして武器と仲間を集めるつもりだぜ」

そうして、戦いが終わったところで双方とも話し合いを行った結果、お互いに脱出のために行動していることが分かった。

また、彼もまた戦うすべを持たないものを襲うつもりはないこと、そして生還するためにほかの参加者の実力を試していることが判明した。

「なるほど……それならば、目的も同じなのだから、私とともに行動してはどうかな?」
「そうか、お前の『武器を大きくする魔法』のこともあるし、これからよろしく頼むぜ!」

そうしてともに行動することになった彼らだが、突如としてギルガメッシュが彼女にこう聞いた。

「……ところでなんでお前は、わざわざ女に化けて戦うんだ?ものまね士も性別までは変えないぞ?」
「…それとも、女性の姿にならないと本来の力を発揮できないとか、そういう呪いにでもかかっているのか?」

「………え?」

彼女……もとい彼、岸部颯太がなぜ『ラ・ピュセル』という女性に変身して戦っているのかどうかを聞いたのだ。


……このあと彼が魔法少女に関して説明をし、ギルガメッシュに理解してもらうことに時間を要したのは言うまでもない…。


730 : お前は男じゃないのかー! ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/17(水) 00:49:59 .DtcMoGI0
【ラ・ピュセル(岸部颯太)@魔法少女育成計画(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:魔法の剣@魔法少女育成計画
[道具]:基本支給品、マジカルフォン、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:正義の魔法少女として、人々を守るために戦う。
1:まずは、ギルガメッシュとともに行動する。
2:自分は車に轢かれて死んだはずなのに、一体なぜここにいるんだろう?
3:『ギルガメッシュ』と名乗っているけど、どう見ても弁慶だよなこの人……。
[備考]
※参戦時期は、クラムベリーに敗北し死亡した後。
※魔法の剣は魔法少女への変身とともに召喚されるため、支給品には含まれません。


【ギルガメッシュ@ファイナルファンタジーV】
[状態]:健康
[装備]:エクスカリパー@ファイナルファンタジーV
[道具]:基本支給品、古代兵装・大剣、散打の槍
[思考・状況]基本行動方針:バッツ達との決着をつけるために、この戦いから生還する。
1:とりあえず、生還するためにラ・ピュセルと行動する。
2:この武器(エクスカリパー)、最強の剣じゃないのかー!
3:こいつ(岸部颯太)はなぜ、女に化けているんだ?
[備考]
※参戦時期は、エクスデスによって次元の狭間に放り出され、魔物と単身戦い続けていた時期。
※制限により、ギルガメッシュチェンジ(本来の姿である、八本腕の魔人への変化)は一定時間経過すると自動で解除されます。
 (制限時間と再使用できるまでの時間については後続の書き手にお任せします。)
※ラ・ピュセル(岸部颯太)を、『魔法少女』というジョブの戦士だと思っています。


【魔法の剣@魔法少女育成計画】
 ラ・ピュセルの変身とともに召喚される剣で、西洋の両手剣の形をしている。

 自由に大きさを変えることにより空中にいる相手を打ち落としたり足場にするなど様々な活躍をしている。

 ……なお、『自由に大きさを変える』部分についてはラ・ピュセル自身の能力であり、実際は只の剣である。


【マジカルフォン@魔法少女育成計画】
 卵のような形をした携帯端末で、魔法少女間の連絡などといった機能を持つ共通の変身アイテム。

 今回は制限により、魔法少女への変身以外に使用することはできない。


【エクスカリパー@ファイナルファンタジーV】
 『剣の中の剣』との誉れ高い剣………のニセモノで、どんな敵にも1しかダメージを与えることができない剣。

 しかし装備をしている場合自分の攻撃が必ず当たるようになるので、状況によっては比類なき威力を発揮する。


【古代兵装・大剣@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
 古のシーカー族の技術が使われた両手剣で、独特な文様などが特徴的な武器。

 起動すると刀身に沿って回転する青い刃が出現するという特殊な構造をしており、高い切断力で敵を切り裂くことができる。

 ……要するにチェーンソーである。


【散打の槍@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
 三日月のような、独特な形状の槍頭を持つ槍。

 シーカー族の槍の達人は 湾曲した刃を引っかけて斬る使い方をしたとも言われる。


731 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/17(水) 00:50:45 .DtcMoGI0
投下終了です

以上、ありがとうございました。


732 : ◆tAzjJve9.E :2021/11/18(木) 00:45:56 EkwZuboY0
投下します


733 : 愛の女神の考察 ◆tAzjJve9.E :2021/11/18(木) 00:47:12 EkwZuboY0

この作品は性的で嫌悪感を抱く表現が含まれています。
過激な性的描写が苦手な方には不快となる内容なのでご注意ください






性欲と殺意が渦巻く殺し合いの会場の一角。
人目にはつきにくい、とある空き家の地下にその空間は存在した。


一人の男性NPCがポツンといる他には、カウンターと三組ほどの丸テーブルとイスが置かれている寂れたバーのような店。
しかしカウンターの奥に陳列された物品の数々には特定の参加者に縁のある、知る者が見れば垂涎の物品が揃えられている。


「いらっしゃいませ」


事務的な男の声。隠されたこの店を見つけ、来店した客の姿を認めた故のことだった。
店にとって初めての客は十歳頃の幼い少女だった。リボンで白髪を結わい、紫を基調に黄金の装飾をあしらった独特な服装、何よりどこか妖艶かつ退廃的な雰囲気を醸している。


「首輪がないってことは、あなたNPCですね?
私の用件は一つです。私の弓、ここにありますよね?出してください」


アサシンのサーヴァントである少女、カーマはゲーム開始と同時にいくつかの異常に気がついていた。
まずマスターである藤丸立香との契約による繋がりを断たれた上で、受肉させられている。
また霊基状態を自在に変化させるのがカーマの持ち味であるが、霊基の変化を封じられ、幼い少女の姿に固定されている。それに伴ってか一部のスキルも封印されている。
そして少女姿で現界している時に普段使いしている弓を出せなくなっている。サーヴァントの霊基に干渉できるということは主催者が没収したに違いない。


苛立ちながらすぐにデイパックを漁ったもののやはり愛用の弓はなかった。
別段あれがなければ全く戦闘手段がないというわけでもないが、戦力の低下は否めない。特に宝具を発動できないのは痛い。
忸怩たる思いを抱いていたカーマだが、微かに愛用の弓の気配、あるいは神秘と呼ぶべきものを感じ取った。
英霊とその半身たる宝具は当然結びつきが強い。主催者によって没収されても近くにあれば大まかな位置を感知することもできる。
気配を辿って訪れたのがありふれた空き家に偽装した、秘密の武器屋だったのだ。
NPCである店主はカーマの要求に応えて、店の奥から彼女の武器であるさとうきびの弓を取り出しカウンターに置いた。


「こちらになります。しかしお客様、当店のシステムはご存知ですか?」

「大体想像はつきますけど、一応聞いておきます」


店主曰く、この武器屋は様々な世界から集められた強力な武器を参加者の首輪と交換できるが。
参加者ごとに首輪がランク付けされており、戦闘能力の高い参加者ほど首輪のランクが高く、高ランクの首輪であればよりグレードの高い武器と交換できる。
ただし―――利用者が女性の場合に限り身に着けている衣服を売りに出すことができ、全ての衣服を差し出しても足りない場合は「体で支払う」という選択もできる。


734 : 愛の女神の考察 ◆tAzjJve9.E :2021/11/18(木) 00:47:46 EkwZuboY0


「まあ趣向が趣向ですから当然そうなりますよね。
それで、私は他の人の首輪なんて持ってないわけですが何枚ぐらい脱げばその弓買い取れますかね?
下着だけとかそういう変態的(マニアック)な要望でもいけますよ?」

「首から下の身に着けているもの全てですな」

「ぼったくりすぎでしょ!?第一それ私の武器ですよ!?」

「でしたらこの武器に見合った参加者の首輪を持ってきていただかなければ。
予約や取り置きは受け付けておりませんので他の参加者との先着順、ということになりますが」


あくまで事務的な対応に終始する店主の態度に歯噛みするカーマ。
辱めを受けること自体は想定内のことではあったが、まさか初手から全裸を要求されるとは。
しかし自分の弓を他の誰かに我が物顔で使われるのは癪に障るし、主催者側に首輪を提供するのはやってはならない悪手だ。
自らの権能で店主を魅了することも考えたが、それが首輪を即時起動されるレベルのルール違反に抵触しないという保証がない。
首輪や主催者に関する情報が何もないうちから危ない橋を渡るべきではない。
カーマに取り得る手段は一つだけだった。












「ハイどーぞ、お望み通りのすっぽんぽんですよ。
本当に融通利きませんねえ。服は脱いでもレギンスやアームカバーは残しておく、そんな現代の需要がわからないとは」


数分後、カーマはリボンを除く全ての着衣を店主の前で脱ぎ捨てた上でそれらを綺麗に畳んでカウンターの上に置いた。
最後に靴を置くと、店主から差し出されたさとうきびの弓を受け取った。
用は済んだとばかりに踵を返す。尻が丸見えになるが気にもしない。どうせもう胸も秘所も全て見られているのだから。


「またのご利用をお待ちしております」


店主は去り際の挨拶までも事務的な対応だった。
紳士というわけでも仕事熱心というわけでもなく、主催者によって参加者への直接の手出しを禁じられているだけだろう。


外へ出て、素足で地面を踏みしめる。
カーマの足取りは堂々としたもので、裸身で外を出歩いている羞恥など微塵も感じてはいない。

(全く、この私がいきなり裸に剥かれるとは……。まあこれはこれで悪くない気分ですけど。
ここでは風紀委員気取りの頼光さんやパールヴァティーの目もありませんし)


武器を取り戻すためとはいえ衣服を安く買い叩かれたことには屈辱を感じるが、あくまでそれだけ。
素肌の全てが大気に晒されているというのはある種の清々しさや開放感さえある。
禁じられていること、してはならないことを堂々とするというのは気分が良い。
痴女?露出狂?言いたければ好きに言えばいい。精々役にも立たない下らぬ倫理を振りかざしていればいい。
それに遅かれ早かれエロトラップやNPCによって裸に剥かれた女たちで溢れかえるだろう。
光り輝く世界に生きる者が悪意と性欲の罠に絡めとられて堕ちていく様を想像するだけで笑いがこみ上げそうになる。


(……とはいえ、楽しんでる場合でもありませんか。
ああいう手合いが優勝すれば素直に帰すなんて約束を守るとは思えませんし、それ以前に最悪マスターさんが巻き込まれてる可能性すらあるわけで。
やっぱり最終的にはあの主催者、殺すしかありませんよねえ)


単なる殺し合いに飽き足らず徹底的に女を辱める趣向との合わせ技、これに嫌悪を抱き反抗する参加者は相当数に上るだろう。
清く正しくまっとうに正義に生きる連中と合流して仲良しこよしなど虫唾が走るが、もしもマスターが巻き込まれているならそうも言っていられない。
そうでなくとも最低限生殺与奪を握っている首輪を外さないことには生還など夢のまた夢。


735 : 愛の女神の考察 ◆tAzjJve9.E :2021/11/18(木) 00:48:20 EkwZuboY0


(この私を参加者として出すということは、私でも首輪を起動されたり完全にエロトラップに嵌ってしまえばイキ殺されるということに他ならない。
前に虞美人さんを誘い出して殺そうとした夏の特異点のことを考えると、この世界はそういう法則(ルール)で回っている、と考えるのが自然でしょうね。
つまり、どんなに快楽に強い、あるいは適応できる者であってもこの世界で首輪を填められている限りは一定のラインを超えると完全に堕ちてデッドエンド)


本来サーヴァントという超常存在はただの物理攻撃で殺せるものではなく、不死性や毒等への耐性を持つ英霊であれば尚更死ににくくなる。
しかし何事にも抜け道はあるもので、霊基を根本から弄る、外界から隔絶された特別な空間に誘い込む等すればサーヴァントが人間に対して持つ優位性を崩すことは不可能ではない。
この空間にも特殊な法則が適用されているとすれば、疑似サーヴァントとはいえ性愛を司る女神たるカーマをも快楽で溺死させることができると考えておいた方が良い。
つまり主催者の言うエロトラップやこちらに襲い掛かるタイプのNPCには十分な注意を払わねばならない。


―――と、ここまで考えれば徹底的に凌辱を避けるべきだという結論に至るだろう。だがカーマはそうは思わない。先ほどの武器屋の件がヒントになった。


(単なる殺し合いをさせたいなら性的な要素をわざわざ加える必要はなく、ただ女を凌辱したいなら殺し合いをさせずとも最初に私たちを拉致した時点で達成できている。
その上で敢えて殺戮と凌辱を融合させたゲームを開いたということは、そこには主催者自身の遊びや娯楽があるはず。―――つまり、この空間の様子を撮影し、記録している。
単に主催者のオカズにするためか、あるいはこのゲーム自体を見世物としてどこかの誰かに売るビジネスでもやっているのかもしれませんね。
このゲームが主催者視点ではエンターテインメントなのだとすれば、強固に凌辱を拒絶すればするほど後々に不利になるとか如何にもありそうな話です。
―――だって、必死に頑張って抵抗して守り続けた純潔をもう少しでハッピーエンドというところで散らされるなんて、最高に画になるシチュエーションなんだから)


恐らくこのゲームは参加者に凌辱行為への嫌悪感を徹底的に植え付けつつも、特定の状況では適度に辱められておく方が優位に立てるように出来ている。
もちろんエロトラップに嵌って再起不能になるのは論外だが、あの武器屋のように自らの意思で淫らに堕ちることで得られる特典というものは活用すべきだ。
要は匙加減が重要なのだ。どこまでの辱めなら許容できるのか、どれだけの性的快楽であれば自我を失わずに受け入れることができるのかが女たちに問われている。


逆に、あまりにも意固地になって辱めを跳ね返し続ければ主催者にマークされる可能性は跳ね上がるだろう。
そもエロトラップだのNPCだののインパクトの強い言葉で思考停止してしまいそうになるが、それらはある程度主催者の匙加減一つで操作できるようになっているのではないのか?
少なくともカーマが主催者ならいざという時対主催者集団を一網打尽にできる仕掛けの一つや二つは必ず準備する。というより武器屋もそういった対主催対策の一環に違いない。
何故首輪による物々交換で強力な武器を支給品とは別枠で入手できるシステムを用意するのか?簡単だ、主催者には首輪を解析されたくないという意思があるからだ。
首輪を景品にすることによって対主催に首輪が渡りにくくして殺し合いに乗ったマーダーを有利にする。そうすることでゲーム性を保ちつつも首輪を解析できる技能を持った参加者を排除する。
深い仕組みだ。少なくとも頭ごなしにエロスを否定するような者ではこの仕組みまで気づくことはできないだろう。


736 : 愛の女神の考察 ◆tAzjJve9.E :2021/11/18(木) 00:48:48 EkwZuboY0


「んー、とりあえずマスターさんを探しつつゲームに乗った参加者の邪魔をするって方向でいきましょうかねー」


現状で参加者から外した首輪を主催者側に渡す行為をやりそうなのはゲームに乗ったマーダーだろう。
世のため人のために命を懸けてマーダーを殺しに行く義理はないが、マーダーによって対主催が詰むのは避けねばならない。
首輪の解析ができそうな参加者を探しつつ、マーダーを見つけて嫌がらせを仕掛けていくというのがカーマの立てた方針だった。


「クロエさんはまあご愁傷様ってことで。死者を悼むとかそういうの私のガラじゃないんで他の人に任せます」
(でも私がこの姿に固定されてること、主催者がクロエさんを差して『メスガキ』と言っていたことを考えると強ち他人事とも言い切れませんよね。
主催者が私のことも雑にクロエさんと同じカテゴリーで認識していたとしたら、見せしめは私と彼女のどっちでも良かったのかもしれない。
何かが違えばここにクロエさんがいて、私が見せしめでああやって殺されていたってことも……中々ぞっとしない話ですね、これ)


感度三千兆倍の快楽を与えるという首輪の起動、少なくともサーヴァントの霊基な上に制限も課された今のカーマではとても受けきれない。
何か一つボタンが掛け違えていればクロエではなく愛の女神たる自分が公衆の面前でイキながら死んでいたかと思うと主催者を殺さねばならないという思いがより強くなる。


「マスターさんがいないに越したことはないんですけどねー、あの人のことだから人助けのために分かった上でエロトラップに突っ込むとかやりそうで。
あ、パールヴァティーはいるなら速やかにエロトラップで乱れた姿でも晒しててくださいどうぞ」



【アサシン(カーマ)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、全裸
[装備]:カーマの弓@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催者を打倒。ただし対主催と馴れ合うのは気が進まない。
1:とりあえずマスターさんが優先ですね。
2:マーダーへの妨害工作を行う。特に首輪を主催者側に渡すのは断固阻止。
3:それはそれとして参加者が堕ちていく姿を眺めてみたい。
4:パールヴァティーは(いるなら)エロトラップにでも引っかかっててください。
[備考]
※主催者により受肉させられています。
また能力制限により姿が霊基第一段階固定、形態変化と保有スキル「マーラ・パーピーヤス」が封印され、マスターである藤丸立香からの魔力供給が絶たれています。
※真名が名簿に記載されるかどうかは企画主である ◆2FVYsixnq6氏の判断にお任せします。
※会場全体が何らかのルールによって支配された特異点になっているのではないかと考えています。
※主催者やゲームに対する考察を行っていますが、的中しているとは限りません。


【カーマの弓@Fate/Grand Order】
武器屋の商品。
カーマが霊基第一及び第二段階の時に主武装として使用する、射られた者に情欲を起こすさとうきびの弓。
カーマが所有するサンモーハナと呼ばれる花の矢を番えて放つ宝具『愛もてかれるは恋無きなり(カーマ・サンモーハナ)』は刺さったものに恋慕の情を呼び起こす。



【NPC紹介】
【武器屋@エロトラッブダンジョンロワ】
会場内にある空き家の中に隠された地下室にある武器屋の店主。他にも同系統の店があるかは不明。
参加者の首輪と交換で様々な世界から集められた強力な武器を販売する。
首輪と販売される武器にはそれぞれランクが設定されており、高ランクの武器を購入するには高ランクの首輪を渡すか複数の首輪を渡す必要がある。
ただし利用者が女性の場合に限り衣服を売りに出すことができ、衣服全てを売っても足りない場合は不足分を「体で支払う」ことが可能。
仮に参加者が武器屋に危害を加えて商品を奪い取ろうとした場合や、武器屋の肉体または精神に干渉して強引に商品を譲渡させた場合はペナルティが発生する。


737 : ◆tAzjJve9.E :2021/11/18(木) 00:49:10 EkwZuboY0
以上で投下を終了します


738 : ◆4kMBNI9QkE :2021/11/18(木) 17:49:14 2YZDlFyM0
投下させていただきます。
以前、辺獄ロワに投下した作品に修正した作品になります。


739 : 『ヒト』であって『ヒト』でない者達 ◆4kMBNI9QkE :2021/11/18(木) 17:50:16 2YZDlFyM0
各地にイヤらしいエロトラップが配置され、性欲に狂ったNPCが闊歩する浮遊大陸……

「ウガアアアアアア!!」

その片隅で激しい戦いが起きていた。

☆☆☆

「うわっ!?」

まるでゴリラのような筋肉質で毛むくじゃらな上半身を持った男……スーパーヒーローチーム『アンブレラ・アカデミー』のNo.1ことルーサー・ハーグリーブズは、
野球ボールのように壁に叩きつけられた。

ルーサーの体が叩きつけられた壁は粉々に砕け散り、ルーサーは砕かれた壁の下敷きとなった。

「ウガアアアアアア!!」

ルーサーの体を壁に叩きつけたのは身長3m以上はある緑色の大男……インクレディブル・ハルクだった。

ハルクは瓦礫の下敷きになったルーサーの姿を一瞥すると、
まるで勝利の雄叫びを上げるように鼻息を荒くした。

「う、うぅ……」

ルーサーは瓦礫から抜け出しながら立ち上がる。
瓦礫の下敷きとなったというのに、ルーサーのゴリラのような筋肉質で毛むくじゃらな体には、
かすり傷一つ付いていなかった。

「ウガアアアアアア!!!!」

ハルクはその巨木のように太い腕を振り回しながら、ルーサーへと突進していく。

「!!」

ルーサーは突進してくるハルクに身構えるが……誰が見てもルーサーが不利としか思えないだろう。

その時だった。

「……ライダァァァァ!キィィィック!!」
『!?』

ハルクの体をルーサー以外の何者かが吹き飛ばしたのだ。

ハルクの巨体はまるでサッカーボールのように地面を転がり、突然の事態にルーサーは目を白黒させた。

「ウググゥゥ……」

地面に転がったハルクが体を起こすと……ハルクとルーサーの間に新たな乱入者が立ちふさがっていた。

飛蝗を思わせる緑色の仮面、
首に巻かれた赤いマフラー、
大きな風車が回転している腰のベルト、
銀色に輝くグローブとブーツ………

ゴリラのような上半身のルーサーや緑色のハルクに勝るとも劣らない、異形の戦士だった。


740 : 『ヒト』であって『ヒト』でない者達 ◆4kMBNI9QkE :2021/11/18(木) 17:51:03 2YZDlFyM0
「……大丈夫か?」
「あ、あぁ……」

仮面の男からの問いかけに、ルーサーは困惑気味に答える。

「俺は仮面ライダー一号。お前は?」
「……ルーサー、ルーサー・ハーグリーブズ。アンブレラ・アカデミーのNo.1だ」

仮面の男……仮面ライダー一号と自己紹介を交わしながら、ルーサーは仮面ライダー一号の隣に並び立って、ファイティングポーズを構える。

「ウガアアアアアア!!!!」

一方、一号によって地面に転がっていたハルクも起き上がり、一号とルーサーを睨み付けた。

「……敵は強大だな、ルーサー……いや、大したことはないか」
「?」

一号の呟きにルーサーは首を傾げる。
しかし……

「……今は俺とお前で、一号(No.1)が二人いるんだからな」
「!」

……一号の言葉に驚きつつ、ルーサーは嬉しげな笑みを浮かべる。

「ウガアアアアアア!!!!」

怒り狂うハルクはまるで興奮した象……いや、怪獣のように向かっていく。

『うおぉぉぉぉぉ!!』

二人の一号は恐れる事なく立ち向かっていったのだった。



【ブルース・バナー(ハルク)@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:ハルク化、怒りMAX
[装備]:ハルクパンツ@マーベル・シネマティック・ユニバース
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:目につく奴、全員ぶっ潰す
1:目の前の二人、(一号とルーサー)ぶっ飛ばす
[備考]
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』終了直後からの参戦。
ハルク状態からブルース・バナーに戻っても、首輪は外れません。
支給品は近くに放置されています

【ルーサー・ハーグリーブズ(No.1)@アンブレラ・アカデミー】
[状態]ダメージ・低、上半身裸
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:人を助ける
1:仮面ライダー一号と協力して怪物(ハルク)を倒す
2:アカデミーの兄弟達がいるなら合流する
[備考]
Netflixドラマ版シーズン1中盤からの参戦

【本郷猛(仮面ライダー一号)@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]健康、仮面ライダー(新一号)に変身中
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:主催者を倒し、参加者を救う
1:ルーサーと協力して怪人(ハルク)を倒す
2:他の仮面ライダーや知り合いがいるなら合流する
[備考]
『新仮面ライダーSPIRITS』での地獄大使との決戦直前からの参戦


741 : 『ヒト』であって『ヒト』でない者達 ◆4kMBNI9QkE :2021/11/18(木) 17:51:53 2YZDlFyM0
さて、そこから少し離れた草むら……

(仮面ライダー……それに、アンブレラ・アカデミーか……)

そこに小さな人影があった。

黄色の大きなボタンのついた赤い服を着用し、
首に自身の身長よりも長い黄色いマフラーを巻き、
口におしゃぶりを咥えた銀髪の赤ん坊だ。

彼の名はイワン・ウィスキー。
またの名をサイボーグ001。

外見こそ幼い赤ん坊だが、『電子頭脳』とあだ名される程の天才的知能とテレパシーや念動力を始めとする強力な超能力を持ったサイボーグである。

(それに、あの緑色の怪物……)

彼は先ほどから、ハルクと仮面ライダー一号とルーサー・ハーグリーブズの戦いを静かに眺めていた。

まるで研究室の科学者が、モルモットやマウスを観察するように。

(彼らもブラックゴーストのサイボーグ?それにこの会場は……)

イワンは並みの大人よりも賢い頭脳をフル回転させて考えを巡らせるが……
今の段階では答えを見いだすことはできなかった。

(……)

イワンは静かに三人の戦いを観察し続けるのであった。


【イワン・ウィスキー(001)@サイボーグ009】
[状態]:健康
[装備]:サイボーグ戦闘服@サイボーグ009
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:会場からの脱出
1:彼ら(ハルク、仮面ライダー、ルーサー・ハーグリーブズ)もブラックゴーストのサイボーグなのかな?
[備考]
平成アニメシリーズからの参戦。




【支給品紹介】
【ハルクパンツ@マーベル・シネマティック・ユニバース】
ハルクことブルース・バナーの初期装備。
アイアンマンことトニー・スターク謹製のハルク専用パンツ。
伸縮自在な素材で出来ており、ブルース・バナーの姿からハルクに変身しても決して破けない。

【サイボーグ戦闘服@サイボーグ009】
009/島村ジョーを初めとするゼロゼロナンバーサイボーグ達が戦闘時に着用しているお揃いのスーツ。
大きな黄色いボタンのついた赤い上下の服と黒いブーツ、立った時に地面に届く程長い黄色いマフラーで構成されており、銃弾が当たってもびくともしない防御力を持つ。


742 : ◆4kMBNI9QkE :2021/11/18(木) 17:52:36 2YZDlFyM0
以上、投下終了します


743 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/19(金) 19:24:44 .GkgOrok0
投下します


744 : 勘弁してほしいわ ◆7PJBZrstcc :2021/11/19(金) 19:25:22 .GkgOrok0
 この浮遊大陸を会場として繰り広げられる殺し合い。
 これは突如呼びつけられた参加者同士の殺し合いに留まらない。
 辺りには主催者が放った、NPCと呼ばれる参加者に襲い掛かり、性的に辱めてくる怪物。
 そしてもう一つの特徴として、この会場にはエロトラップが仕掛けられているダンジョンがある。
 それがどこかは分からないが、もし罠に掛かれば人としての尊厳はなにもかも奪われるに違いない。

「って感じなわけよ」
『いやはや、殺し合いだけでなくエロトラップとは……』

 という説明を、参加者の一人である青髪の少女が、彼女に支給されたアイテムにしていた。

 少女の名前は美樹さやか。
 見滝原に住むごく普通の中学生である。
 最近、魔法少女という普通とは言えないものと遭遇し、関わり始めたものの、今の彼女はまだ普通の少女である。

 一方、支給品の名前はカレイドステッキ・マジカルルビー。
 キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが作り上げた杖である。
 これに掛かれば、なんと誰でも魔法少女になれる上、人格があるのでサポートもしてくれる凄い代物だ。
 その代価なのか、えり好みをする上に人格も破綻しているという欠点があるが、それでも凄いことに変わりはない。

 ルビーは今、猛烈に怒っていた。
 前述でさやかから説明を聞いていたように、ルビーはこの殺し合いについて一切知らされていない。
 彼女視点では、さっきまでマスターであるイリヤと一緒にいたはずなのに、気づけばデイバッグに押し込められ、見知らぬ人の手元にいる状況だ。
 そこに殺し合いに使用する支給品として配られたとなれば、当然怒るのが筋というものだ。
 しかし、その怒りをルビーはさやかにはぶつけなかった。
 彼女もまた、自分と同じく無理矢理連れてこられた被害者だからだ。後、一緒にイリヤを探してくれると嬉しい、と思っていた。

 だがそれはそれとして、ルビーは違う方向に対する怒りは遠慮なくぶちまける。

『やめてほしいものです。
 いくら私が魔法少女になる為のステッキとはいえ、全年齢対象なんですよ。
 地上波で四回アニメ化、劇場版アニメを二回もこなせる私達はRで18ではないのです! 触手も罠もNGです!
 しょう女のしょうは娼ではなく少ないに限ります!!』
「へ?」

 ルビーが何に対して怒っているのか今一つ理解できず、呆けた顔になってしまうさやか。
 とりあえずルビーは探し人について話そうとするのだが、ここで彼女は人の気配を感じる。
 彼女がフヨフヨと飛んで軽く辺りを探ると、すぐに気配の主は見つかり、同時に安堵した雰囲気を垣間見せた。

「どうしたの?」
『早速知っている人を見つけました。
 殺し合いに乗るような方ではありませんし、さやかさんも一緒に行きましょう』

 それだけ言ってルビーはフヨフヨ飛んでいき、さやかは彼女を追い歩き始めた。





「どうなってるのよ……?」

 ところ変わって、会場のどこかで一人の少女が困っている。
 もし彼女を他の参加者が目撃したのなら、きっと誰もが驚くだろう。

 それは、彼女が特徴的な外見をしているからだろうか?
 確かに特徴的な美少女ではあるが、それだけではない。
 なぜなら――

「何死んでるのよ、私……!?」

 彼女の外見が、最初の場で亡くなったクロエ・フォン・アインツベルンと酷似しているからだ。
 否、酷似では足りない。最早瓜二つと言ってもいいだろう。
 これは彼女が元々クロエとそっくりだからではない。
 変身能力を持ち、クロエに化けているわけでもない。

 ここにいる彼女もまた、クロエ・フォン・アインツベルンだからだ。
 とはいっても明確に同一存在というわけでもない。
 最初の場で死んだクロエが本体なら、ここにいるクロエは分身。
 彼女は、カルデアに召喚されたサーヴァントとしてもクロエだった。

 もう少し分かりやすくメタ的に言うなら、ここにいるクロエの出展は『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』ではなく『Fate/Grand Order』だった。


745 : 勘弁してほしいわ ◆7PJBZrstcc :2021/11/19(金) 19:25:48 .GkgOrok0

 クロエは今、猛烈に自身の感情を持て余していた。
 自分の本体に対しあんな殺し方をした主催者に対しては、落とし前をきっちりつけてやると怒りを燃やしているのは確かだ。
 しかしそれ以上に、自身の死を見て友人達がどう思うかが疑問だった。

 クロエは妹分であるイリヤや友人の美遊、他にもカルデアのマスターやサーヴァントがこの殺し合いにいると考えていた。
 彼女達なら間違いなく殺し合いに乗らず、自分の仇を討とうとしてくれるだろう。
 だがそんな皆に、自分はどんな表情をして顔を出せばいいのか、という部分に困っていた。

 あれこれ悩むクロエだったが、最終的には会ってから考えればいいや、と結論を出した。
 いる可能性は高いが、確定したわけでは無い。ならばそれについては後回しにしよう、と彼女は考えたのだ。

 とりあえず他の参加者を探そうとしたクロエだが、早速知っている人に出会えた。
 いや、人ではなく杖だが。
 
『クロエさーん、早速会えましたね〜!』
「やっぱりルビーもいるのね」

 それだけ言ってクロエはルビーと同行している参加者へ目線を向ける。
 しかしそこにいるのはイリヤではなく、知らない青髪の少女、美樹さやか。

「え……? 何で……?」

 そのさやかは、目の前に死んだはずのクロエがいることに心底から当惑し、

「あぁ、そうだった……
 勘弁してほしいわ、全く」

 一方、クロエは死んだはずの自分について、知らない相手には説明しなければならないことに面倒くささを覚え、

『おや、どうかしましたか二人とも?』

 最後に、ルビーは二人を見て、殺し合いのオープニングを見てないので、二人の今覚えている感情を理解できず、ただ疑問を浮かべて二人を見回すのだった。


【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、困惑(大)
[装備]:カレイドルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:死にたくないし、エロトラップも襲われるのも嫌
1:え、何であの子(クロエ)が……?
[備考]
参戦時期は少なくともTV版3話、巴マミが死亡するより前です。

【クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:主催者にはきっちり落とし前をつける
1:あぁ、私がいることの説明めんどくさい……
2:イリヤに美遊、それからマスターやカルデアのサーヴァントが参加しているなら探す
[備考]
カルデアに召喚されています。


【カレイドステッキ・マジカルルビー@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
美樹さやかに支給。
キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが作り上げた第二魔法応用謹製による一級品の魔術礼装。
それだけならシンプルに凄い代物だが、人格に問題があるという欠点を抱えている。
気に入らない相手はおもちゃにするが、マスターと認めた相手にはからかいながらもサポートを務めるタイプ。

参戦時期は少なくともドライ開始以降。また、殺し合いについては一切知らされていない。
本ロワではマスター以外であろうとも使用可能となっている。


746 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/19(金) 19:26:13 .GkgOrok0
投下終了です


747 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:47:40 c.G4/qU.0
投下します。


748 : 突出した才能は孤独を招く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:50:02 c.G4/qU.0
一人ーーーーー仲間・相手がいなくて、その人だけであること。
goo辞書より引用。

1章 一人

—————ブンッ!ブンッ!!ブンッ!!!

「はぁ……はぁ……」

支給品の刀を手に持ち、素振りをする少女。
一心不乱に振り下ろす姿は声をかけるのもはばかれる。

「……殺し合い」
少女の脳裏から離れられないのは先ほどの少女の死。

少女は後悔している。
見ていることしかできなかった自分に。

少女の名は衛藤可奈美。
荒魂を斬り祓う刀使。

本来の明るく前向きな性格の可奈美でさえも、自身を取り巻く状況とデスアクメによる尊厳破壊の死は可奈美に暗い影を落とす。

可奈美は一人鍛錬を続けている最中、このバトルロワイアルに参加させられた。

そう――――――
わけあって可奈美は皆と離れ、一人山奥にて生活を続けている。

原因は——————
可奈美の刀使としての力だ。

可奈美は強すぎたのだ。
余りにも——————
その力は政府関係者に危険視されるほど。

故に可奈美の力を”対荒魂”以外にも考える人間も現れる。

しかし、その力の使い道を———————
—————可奈美は望まない。

(山中で一人、剣の鍛錬を続ける生活は正直悪くない。だけど……)


可奈美の脳裏に浮かぶのは仲間との日々。

——————私はただ、”自由”を望むだけ

これは、衛藤可奈美が辿った一つの道行き。

【衛藤可奈美(ANOTHER)@刀使の巫女刻みし一閃の燈火】
[状態]:健康
[装備]:斬鉄剣@ルパン3世
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしない。
1:自由に生きたい
2:千鳥……誰かに支給されているのかな
3:皆が巻き込まれていなければいいな
[備考]
※参戦時期は皆の前から姿を消して、山中で暮らしている中
※御刀ではないので、現在は写シなどといった術は使えません。

『支給品紹介』 【斬鉄剣@ルパン三世】
凄まじい切れ味を誇るだけでなく、刃渡りを無視した長さを斬ることも可能な日本刀。コンニャクが斬れないというのは有名だが、他にも斬れなかった事例もある。

☆彡 ☆彡 ☆彡


749 : 突出した才能は孤独を招く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:50:38 c.G4/qU.0
2章 一人だった少女は出会う

浮遊大陸。
可奈美と同様”一人”の少女がいた。

「……」
ゴーン ゴーン ゴーン

金剛力士像を具現化させているかのようなオーラをひしひしと発している少女。

少女の名は周防すみれ。
この春、埼玉県蕨市の蕨青南高校に入学し、女子サッカー部に入部した。

監督らしからぬ監督が紅白戦を行うと言うと、すみれもそれに参加するはずだった。
これから新天地でのサッカー生活が突如、性と死の殺し合いへと変貌したこの現状。

「絶対に地獄へ堕とす!」
すみれは、ふざけた男を許さない。
部活の紅白戦という大事なときに殺し合いを命ずる男を。
死者の魂を弔う寺の住職の娘としても。

すみれが男に宣戦布告をすると同時に————————

マイクテスト、マイクテスト。あーー、もしもし、聞こえるかー?

なんと、声が聞こえた。

「……ッ!?」
突如、脳内へ響く声にすみれは周囲を見渡す。
しかし――――――
周囲には人一人見当たらない。

ハロー!ニンゲン!キィの名前はキィという!よろしくな!

「……ッ!??」
すみれは、声の出所が自分の胸からだという事実に驚きを隠せない。

ん――――?キィの声は届いているよな?自己紹介されたら自分も名乗るのがニンゲンの常識だよな?

どうやら、胸から聞こえる声の主はこっちは自己紹介したのだから、早くそっちも自己紹介をしろと言っている。

「……周防すみれ」
キィと名乗る声にすみれはしぶしぶといった顔で名乗る。

—————そうか!スミレというのか。

「……!?」
声と同時にすみれの胸から一人の少女が飛び出してきた。

「ふっふっふ……このキィがすみれの支給品として選ばれたからには大船に乗った気持ちでいるがいいぞ」
キィはVサインをすみれに向ける。

☆彡 ☆彡 ☆彡


750 : 突出した才能は孤独を招く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:51:06 c.G4/qU.0
3章 カタルシスエフェクト

———————バーチャドールと人間の邂逅。

「……」
すみれはキィを無言で見つめる。

「う〜〜〜ん。何だか、すみれは口数が少ないな。ハンシンを思い出すぞ」
キィは頭をぽりぽりと掻きつつ、余り口を開かないすみれの姿にかつての相棒を思い出す。

「ハンシン?」
当然、知る由もないすみれはキィの言葉に首をかしげる。

「ああ、キィには相棒のハンシンというのがおってだな……!!!」

すみれの疑問にキィは答えようとしたそんな直後—————

『ゴブゥゥゥゥゥ!!!!!』

ゴブリン達が襲い掛かってきた!

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……ッ!」

キィと話していたため、注意力が散漫となり、ゴブリン達が近づいてくるのに気づくのが遅れたすみれ。

ゴブリン達はすみれを犯そうとギンギンに膨らませた一物を見せびらかせる。

「……その粗末なのをしまえ」
すみれは、ゴブリンを睨みつける。

当然ながらヒエールの手により性欲の塊と化したゴブリンにそんな命令は通らない。

『ゴブゥゥ!!!』
ゴブリン達はすみれを組み伏せ、制服のボタンを外す。

そして――――――
すみれの薄ピンクの乳首を舐めだしたのだ。

「ッ!?」
余り、女の色気を感じさせないすみれだが、ゴブリン達には関係ない。
女であり”穴”があるのであれば問題ないのだ。

「ッやめ……ろ!」
当然、すみれは抵抗するが、ゴブリンはすみれの抵抗をものともせず、スカートの中へ手を潜らせ————

「ッ!?」
すみれのショーツの上から蜜壺に触れてきた。

「スミレ!!!」
キィはすみれを助けようとゴブリン達を剥がそうとするが―――――

『ゴブッ!!!』
一体のゴブリンがキィを後ろから羽交い絞めにすると――――――

「なっ!?」
もう一体のゴブリンがキィのへそを舐めだした。

—————ピチャ……チャ……

「こら!くすぐっ……たいし、気持ち悪い!!!」
キィは自身のへそを舐めるゴブリンにエルボーをくらわせる。

『ゴッブゥゥ!?』
脳天へのエルボーに流石のゴブリンも頭を押さえて、キィから離れる。

「女の敵は成敗!スミレ!!一緒に暴れまわるぞ!!!」
キィはゴブリン達の蛮行に怒り沸騰。
スミレに共に戦うぞ!と声をかける。

「どうやっ……てッ!!」
(コイツ……ッ!!)
乳首を必要に噛むゴブリンを押しのけながらすみれはキィに尋ねる。

「無論!こうやってだ!!!」
キィの言葉と同時に—————————

……Are you Ready?―――

ピシィ!!
キィの言葉に反応して、スミレの胸に硝子の氷柱が飛び出す!
まるで、ガラスの心が反応したかのように。

『ッ!!!???』
ゴブリン達は驚くとすみれから離れる。

GO Liiiiiiive!!

―――パリィィィン

硝子の氷柱はスミレとジャノメエリカの花になり―――
手にはサッカーボールを握りしめていた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


751 : 突出した才能は孤独を招く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:51:24 c.G4/qU.0
「これは……・?」
すみれは自身の姿に戸惑う。

「これは、カタルシスエフェクト!これでスミレは闘う力を持ったぞ!」
キィはすみれに説明する。
戦う力を得たこたことを。

『ゴブゥゥウウウウ!!!』
愉しみを中断させられ抵抗を見せる牝達にゴブリン達も怒り沸騰。
ナイフを構えると、襲い掛かる。

「さっきのお返し!」
すみれは前方にいる一体のゴブリンに向かって————

————思い切り蹴った。

——————ゴッ!!!

すみれの蹴ったサッカーボールがゴブリンを吹き飛ばす。

『ッ!!!!????』
それを見たゴブリン達は目を見開く。

「反撃!!」
すみれの闘志に火が灯る。

すると―――――

―――シンギュラリティエクス

「……!?ッ!!!」
キィの言葉に反応するとすみれの体が勝手に動き出し―――

ブォ!!!
サッカーボールでゴブリン達を打ち上げ、追撃のサッカーボール!ボール!!ボール!!!

—————それは、突出した才能。
―――クルクルクル
勢いよく回転するサッカーボールで顔面に叩きつける!!!!!

「……!!??」
ゴブリン達はスミレの攻撃に耐えきれず―――

ドサッ―――

―――斃れた。

すみれは見事にGOALすると、前にいる―――

パァン―――♪

キィとハイタッチした。

☆彡 ☆彡 ☆彡


752 : 突出した才能は孤独を招く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:51:38 c.G4/qU.0
終章 一人から二人

「……!……!!……」
辛くも生き残ることができた数人のゴブリン達が退散する中、すみれは昂った体を鎮めようと息を整える……

「やったなスミレ!」
目の前の少女はニコッとすみれに笑みを見せる。

「凄い力……」
すみれはキィにより与えられた自分の力に感嘆する。

「ふふん!キィの力の凄さがわかったろ?それじゃあ、確認するが、すみれは”生きて帰る”の方針でいいのか」
「……うん」

方針の確認をキィがしてきたので、すみれはそうだと答える。
あの男を地獄に落として生きて帰る。
それが、周防すみれの意思。

「それじゃあ、そうと決まったら、早速コンビの名前を考えねばな……」
キィは顎に手を添えると思案しだし―――

「……うむ。やはり、あれしかないな。……我らは帰宅部だ!」
キィは宣言する。

「……帰宅部?」
キィの宣言にすみれは目を丸くする。

「そうだ!この世界は珍妙な男が用意したマガイモノだ!キィはそんな世界を認めることはできない!だから、現実世界に戻る……つまり、帰宅部ということだ!」
キィはそういうとこぶしをギュと握る。

「安心しろ。キィが知っている帰宅部の皆はキィにたくさんのことを教えてくれた。そして、今は皆、現実を受け入れて精一杯生きておる!だから、帰宅部という名ならスミレも必ず元の世界へ帰れる!」
キィはそういうと、すみれの目を見つめた。

「……」
キィの熱い思いにすみれは受け入れた―――

「……ところで。なぁ、スミレ。そのサッカーボールということは、もしかしてサッカーでもやっ……ッ!!」
キィはすみれに話しかけようとしたそのとき―――

―――すみれの心の奥に踏み込みますか…?

     はい     いいえ

ドクン!とキィの体に悪寒が全身に巡り走る。

「……どうしたの?」
「い、いや。なんでもない……」
キィの様子の変化に気づいたすみれはキィにどうしたと尋ねるが、キィは大丈夫だと返事を返す。

「……そう?」
すみれは『本当に?』と思いつつもスタスタと前を歩く。

「……」
(そうか……キィがスミレのサーヴァントになったのは”そういうこと”なのか……)
前を歩くすみれの背中を眺めつつキィは悟った―――

自分がこの殺し合いの支給品として存在するわけを―――

「―――――?」
すみれは立ち止まっているキィにどうしたの?といった顔で見つめる。

「……ああ。今行く!」
(そして、スミレの心の奥に踏み込むとしたらハンシンではなくキィなのだな?)
キィはリグレットのときの相棒の姿を想起する。

(……はたしてバーチャドールのキィにできるのだろうか?……いや、キィがやらなきゃいけない!でなければ、帰宅部の皆に顔向けができぬ!)
そう、人の想いを痛みを引き受け、受け入れるのがバーチャドールの役目なのだから―――

かくして、一組のサッカー少女とサーヴァントの帰宅部(コンビ)ができた。

一人だったすみれにキィというパートナーができた!


753 : 突出した才能は孤独を招く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:51:55 c.G4/qU.0
【周防すみれ @さよなら私のクラマー 】
[状態]:健康
[装備]:キィ@Caligula2
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ帰り、ふざけた男を地獄へ堕とす
1:キィと行動を共にする
2:ふざけた男を地獄に堕とす方法を探す
[備考]
※参戦時期は1話紅白戦中

『支給品紹介』 【キィ@Caligula2】
バーチャドール。本編終了後ヒエールにより支給品として支給された。
なお、持ち主であるすみれが死ぬとキィも消滅する。
キキィミミを始めとした能力は制限されています。
現在使用できる能力
『カタルシスエフェクト』
持ち主の心の貌を具現化させて持ち主に戦う能力を付与する。
『キキィミミ』
めっっっちゃ耳がよくなる。特定のワードを検知するようになる。制限により範囲は一エリア分。ただし、ワードの範囲が広いため、必要な情報以外も多く集まるのが欠点。
『キィ憶消去パンチ』
キィ憶消失パンチを受けた者は数日の記憶が曖昧となる。制限により曖昧となるのは疲労が(大)のときに受けないといけない。
『ピッキィング』
簡単な構造の鍵やエロトラップなら解除できる。
『ハッキィング』並びに『マスターキィ』
現在使用不可。
何かしらの方法で使用可能となるかもしれない。

『NPC紹介』 【ゴブリン@ファイナルファンタジー3】
シリーズ初期は大体最初に戦うモンスター。可愛さが皆無な為、某スライムのような人気は無い。
ヒエールにより性欲のモンスターと化している。


754 : 突出した才能は孤独を招く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/19(金) 20:52:05 c.G4/qU.0
投下終了します。


755 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/20(土) 01:47:09 yZ5iEK.s0
これから投下いたしますが、今回の作品には以下の2つの内容が含まれておりますので、それらに不快感を感じる人は注意をお願いいたします。
1. 過激な性的描写及びゴア表現
2. すでに他の人が投稿したキャラクターの使用

では、投下します


756 : Phantom Pain ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/20(土) 01:47:59 yZ5iEK.s0
ここは会場内になぜか存在する神社の中、そこには一人の女性がいた。

彼女の名前は青山翠、"青山ブルーマウンテン"というペンネームで小説家をしている女性である。

「ここに、他の人はいるのでしょうか……?」

そんな彼女は今、自分以外の人間がいるのかを確認するためにこの神社の中を探索していた。

そうしてしばらく鳥居の周辺や、俗に"拝殿"と呼ばれる参拝場所などを巡っていたが、彼女は他の参加者ともNPCとも出くわすことはなかった。

「う〜ん、誰とも出くわさないですね……こうなったら、本当は立ち入り禁止でダメなんですけど、あそこへと向かってみますか」

そして彼女は最後に、神社のご神体があるとされる場所、"本殿"のほうへと歩いて行った。

しかし彼女が本殿の前にたどり着いたその時、その足元から何かスイッチを踏んだような感触を感じた。

その瞬間足元から大量の煙が出てきて、彼女の全身が煙に包まれていったのだった……。


------------------------------------------------
そして……

気が付くと彼女は、口に布が巻かれた状態で一糸まとわぬ姿になっていた。

またその両手足を広げるような形で拘束されており、自身の秘所がさらされた姿となっていたのだ。

(こ……これはどういうことですか……?!)

彼女は突如としてこのようなあられもない姿へと変わっていたことに対し、困惑していた。

(まずは周囲の様子を…って何でしょうかこの音と熱気……?まるで鉄を叩いているような……?)

なぜ自分がこのような状況に置かれているのかを確認するために周囲を確認しようとしたところ、彼女は自分の近くで何か鉄を叩いているような音と強い熱気を感じ始めた。

(……なんでこんな場所に刀鍛冶がいるのでしょうか……?)

彼女が感じた音と熱気の正体、それは鍛冶師が日本刀を作り上げるために赤く灼けた鉄を叩いていたことによるものだった。

そうやって目の前にいる鍛冶師が一通り鉄を打ち続け、日本刀の形に作り上げると突如として彼女のほうに顔を向けてきたのだ。

『さて、最後の"焼き入れ"を行うとしよう……』

男はそう言いながら、まだ赤く灼けたままの日本刀を持ったまま、彼女のほうへと近づいて行った。

そして……

(な゛っ……あ゛か゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!)

その赤く灼けたままの日本刀で一気に、彼女の女性器を刺し貫いたのだ。

それにより彼女は自身の血液が沸騰し、それとともに女性器と膣、子宮とその先に続く内臓の肉が焼け焦げて炭化するという、想像を絶する苦痛に身を悶えさせた。

(痛いぃぃぃぃッ!!赤ちゃんっ!赤ちゃんが産めなくなっちゃうぅぅぅぅっ!!誰か助けてぇぇッ!!)

またその痛みにより、口に巻かれた布を食いちぎらんばかりの勢いで歯を食いしばり、その結果歯はひび割れ、口から血の混じった泡を吹き始めていったのだった……。


------------------------------------------------

ここは会場内になぜか存在する神社の中、そこには一人の女性がいた。

彼女の名前は青山翠、"青山ブルーマウンテン"というペンネームで小説家をしている女性である。

そんな彼女は今、下腹部を中心に謎の苦痛にさいなまれ、失禁しながらその身を激しく悶えさせていた。

そして、本来のかわいらしい顔を苦痛に歪ませながらその口から大量の泡を吹き出していた。

そんな彼女のそばで、神社のご神体と思われる"刀剣"が静かにたたずんでいるのだった……。


757 : Phantom Pain ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/20(土) 01:48:35 yZ5iEK.s0
【青山翠@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:幻覚による精神的疲労(大)、苦痛による失禁
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:無事に帰りたい
1:もうやめてえぇぇぇっ!!赤ちゃんっ!赤ちゃんが産めなくなっちゃうぅぅぅぅっ!!
2:痛いぃ、痛いよぉぉぉ……、誰か助けてぇぇ……!
[備考]
※焼きを入れている最中の刀で自身の女性器を刺し貫かれる幻覚と、その幻覚を忠実に再現した苦痛にさいなまれています。


『施設紹介』
【神社@オリジナル】
 鳥居などからなる、日本固有の宗教である神道の信仰に基づく祭祀施設。

 この神社では"刀剣"をご神体として祀っているが、具体的にどのような神を祀っているのかは不明。


『トラップ紹介』
【リョナシーン追体験トラップ@オリジナル】
 足元に設置されているトラップで、踏むとガスが噴き出る。
 またそのガスには強い幻覚作用があり、それを吸い込むと一定時間、リアルな苦痛を伴う幻覚にさいなまれてしまうことになる。
 しかし限界を超えた苦痛を感じてもショック死することはなく、幻覚と同じ傷を負うわけではないなど安全面に配慮されている。
 (ただしその苦痛が原因で暴れることによる、身体へのダメージについては別の話)


758 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/20(土) 01:49:27 yZ5iEK.s0
投下終了です

完全に余談ですが、本作にて描写したリョナシーンは

" 一 般 誌 に 掲 載 さ れ た 漫 画 "

で実際にあったシーンを基に作成しております。

以上、ありがとうございました。


759 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/20(土) 05:15:55 i2ogSs9U0
投下します。


760 : 意思ある女性達 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/20(土) 05:16:50 i2ogSs9U0
意思ーーーーー何かをしようとするときの元となる心持ち。
goo国語辞書より引用。

第一章 生きて帰る意思

「一体……これは何なんですか!?」
訳もわからないままこの浮遊大陸に送られ、ひたすらに困惑の色を隠せない女性。

女性の名は真手凛
”生論社”に所属する編集者。

「たしか……これから青山先生のサイン会が始まるはずだったはず……」
そう――――――
凜は自分の担当作家である青山翠こと青山ブルーマウンテンのサイン会を開催する大切な一日のはずだった。

しかし、その大切な一日は性欲という一人の男による欲望により塗りたくられてしまった——————

(翠ちゃん……翠ちゃんはこんな悪趣味な場所にいませんよね?)
凜は祈る。
自分の担当作家が巻き込まれていないことを。

「絶対に……生きて帰るんだからッ!」

編集者は動く。
日常へ帰るために——————

——————その意思は心ぴょんぴょん跳ねる

【真手凛@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る
1:他の参加者と合流したい
[備考]
※参戦時期はご注文はうさぎですか?BLOOM10羽青山ブルーマウンテンのサイン会準備前より


761 : 意思ある女性達 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/20(土) 05:17:55 i2ogSs9U0
終章 大志を抱く意思ある2人の女性

性欲が跋扈する浮遊大陸。

「……」
眉を顰めて睨みつづける少女ーーーーー

少女の名は乃木若葉
四国にある良家「乃木家」の出身で居合道を得意とする中学2年生。
しかし、若葉にはある「力」がある。

「…私は貴様を許さない。必ず尊厳を弄びて殺した少女の報いを受けさせる」
ー恩義や情けには報いを。攻撃されたら報復をー

乃木若葉の旨。
ゆえに若葉は罪なき少女を殺めたメフィスとフェレスを許さないーーーーー

「勇者の名にかけて」
そう乃木若葉は「勇者」であるーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡

「これは…一体……?」
浮遊大陸に誘われ、戸惑いを隠せない着物女性。

着物女性の名は徳川家茂。
江戸幕府第14代将軍ーーーーー

紀州徳川家の娘で本来の名は福子。
なぜ、女性である福子が徳川家康が開いた江戸幕府の将軍となったのかというとーーーーー

それは3代将軍家光の御世の頃であった。奇病、赤面疱瘡により日の本の男子が一時絶滅寸前にまで陥ったことがある。
ほとんどが男子にかかると言う恐ろしい赤面疱瘡はなんと、家光公の命まで刈り取ってしまう……
そこで春日局は家光公の落胤の少女に目をむけ、世継ぎを儲けさせようと企む。春日局の死後。その少女は将軍につきそれ以来、代々女性の徳川将軍が生まれた。
原因となった赤面疱瘡は家斉の時代に開発されたワクチンの強制接種により撲滅に成功したが、13代将軍家定の死去した後、大老井伊直弼による推薦もあり女性であるが14代将軍の座についた。

(いけない…早く江戸に戻らねば大問題となる!)
家茂は今の状況に焦る。
ただでさえ、攘夷を叫ぶ薩摩や公家たちの声が大きくなっているなか、将軍である自分がいなくなれば、幕府の権威が完全に失墜する。
なにより、帝に直接、言上した「お守り」するとの約束が果たせなくなる。

(まずは、殺し合いに乗っていない他の参加者と合流をしたい…)
生きて帰るためにも家茂は男が申した殺し合いに乗らない参加者を探すべく歩く。

「あれは……南蛮風の女子(おなご)?」
家茂は見かけた女子に声をかけるーーーーー

☆彡 ☆彡 ☆彡


762 : 意思ある女性達 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/20(土) 05:18:13 i2ogSs9U0
「……」
若葉は手を顎に当てながら思考する。
(徳川家茂?…おかしい。家茂は男性ではないの…?)
若葉は話しかけてきた目の前の着物女性の名に考え込んでいる……

(でも、この女性が嘘をついているようにも見えない……とりあえず、様子を見てみるか)
若葉は女性を家茂として接することに決めた。

「?いかがした。私の名前に何か疑問でも?」
(私を将軍か疑っている?…もしや、服装と言いこの女子は南蛮の者?いや…それにしては発する言葉は流暢……ふむ)
家茂は黙っている女子の容姿を見つつ、考え込む……

「いえ。将軍家茂公とは知らずこのような無礼な振る舞い申し訳ございません」
若葉はとりあえず目の前の女性を徳川家茂として認識する。

「いえ。構いません。将軍とはいえ、ここではその地位は何も意味をなさぬ。それで、そなたの名は?」
(おいおい信頼を結んでいけば分かることか…)
とりあえず、家茂も疑問を横に置き、若葉と会話を続ける。

「私の名前は乃木若葉です。ご安心ください。その御身は私が守ります」
勇者として人々を守る。たとえ、歴史上の人物でもそれは変わらないーーーーー

「それは、たのもしい。頼りにするぞ若葉殿」
家茂は若葉の申し出に朗らかな笑みを浮かべる。

☆彡 ☆彡 ☆彡

(さて、家茂公に伝えるべきか……どうする?)
若葉は家茂が生きていた時代より150年も未来を生きている人間である。
当然ながら徳川の時代は終わっている。

(歴史上の人物に未来を教えても大丈夫なのか?…たしか、タイムパラドックスとか聞いたことがあるが……)

乃木若葉は悩むーーーーー

【乃木若葉@乃木若葉は勇者である】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを打破し、主催の男(ヒエール)に報いを受けさせる
1:家茂や他の参加者を守る
2:ひなたは巻き込まれていないことを願う……
[備考]
※参戦時期は丸亀城の戦いの後

☆彡 ☆彡 ☆彡

(若葉と名乗る女子…並々ならぬ決意を秘めておるようだ)
家茂は若葉の揺るぎない目から感じ取った。

(新しき世を迎えようとする今、流れに倣いたい。私は若葉なる女子から新しき風を学びたい)
家茂は単なるお飾りの将軍ではない。
思慮深く聡明な女性。

未来人かつ戦う力を持つ若葉と出会えたこと徳川家茂は幸甚である。

【徳川家茂@大奥 (漫画) 】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る
1:若葉と行動をともにする
2:若葉と申す女子に興味が湧いた
[備考]
※参戦時期は17巻、一度目の上洛を終えて江戸に戻った直後


763 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/20(土) 05:18:29 i2ogSs9U0
投下終了します。


764 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/20(土) 15:03:20 8X37SlcQ0
投下します


765 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/20(土) 15:03:54 8X37SlcQ0
薄暗い森の中に、一人の美女がたたずんでいる。
彼女の名は、プレシア・テスタロッサ。
悲劇的な事故で死んだ娘を蘇生する方法を求め、狂気の道に堕ちてしまった魔導師だ。

(くだらない道楽に巻き込まれてしまったものね……。
 だけど、あの男が本当に願いを叶える力を持っているのなら……。
 それを狙う価値はあるわ)

「どんな願いでも叶える」という話を、プレシアは頭ごなしに否定はしない。
なぜなら彼女はまさに、「どんな願いでも叶える宝石」を手に入れようと動いていたところだったのだから。
プレシアが叶えたい願いは、むろん愛する娘の蘇生。
本当にそれが可能だというのなら、何十人殺すことになっても彼女は意に介さないだろう。

(手っ取り早いのは、優勝してあの男と直接接触することね。
 ただ状況によっては、あいつから力を奪うことを優先して……)

考えを巡らしながら、歩を進めるプレシア。
やがて彼女は、森の端に到達する。

(誰かいるわね……)

プレシアは森の外に、他の参加者の姿を見つけた。
それは、分厚い眼鏡をかけた少女だった。
ツボのようなものを持って何やら作業をしており、こちらに気づいている様子は全くない。

(格好の獲物ね。
 とりあえず、殺しておきましょうか)

支給された物品の中に、デバイスの類はなかった。
だが無警戒の一般人を殺す程度、プレシアほどの魔導師ならデバイスの補助がなくてもたやすいことだ。
狙いを定めつつ、プレシアは一歩踏み出し……。

バナナの皮を踏み、転んだ。

「は?」

予想だにしない事態に思考を停止したまま、プレシアは転倒。
さらに前方にあった段差から転落し、その下にあった池に飛び込むことになった。

(ええい、私としたことがくだらないミスを……!
 さすがにこれだけ派手に水音を立ててしまっては……気づかれ……)

池の中で、プレシアの思考は次第にスローになっていく。
それを自覚すると同時に、彼女は自分の体の異変にも気づいた。

(ああああああ!! 熱い! 体が熱い!
 まさか、この水は……)


766 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/20(土) 15:04:49 8X37SlcQ0

「あーっ!!」

ここで、プレシアが池に落ちたことに気づいた少女が大声をあげる。

「やってしまいましたー! まさか人が落ちるなんて!
 私は、ただこのツボの効果が媚薬でも有効なのか確かめていただけなのに!」

少女の絶叫は、プレシアの耳には届いても脳には到達しない。

(いやあああ!! 熱い! 熱いぃぃぃぃぃ!
 誰か! 誰か助けて!!)

そこにはもはや、狂気に身を委ねた魔女の姿はなかった。


【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]全身媚薬漬け
[装備]なし
[道具] 基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:娘の蘇生のため、願いを叶える力を手に入れる
1:まともに思考できない
[備考]
参戦時期は、本編開始直前


【平塚和香@あつまれ!ふしぎ研究部】
[状態]健康、混乱
[装備]なし
[道具] 基本支給品、渇きの壺@ドラゴンクエストビルダーズ2、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:とりあえず、死にたくない
1:どうしよう……
[備考]
プレシアが落ちた池は、彼女が渇きの壺に媚薬を入れて作ったものです


『支給品紹介』
【渇きの壺@ドラゴンクエストビルダーズ2】
初出はドラクエ3。この時は浅瀬を干上がらせるほど、無尽蔵に水を吸い込む壺だった。
ビルダーズ2ではその特性に加え、「吸い込んだ液体を無限に吐き出させることができる」という特性が追加された。
真水だけでなく、毒沼や牛乳を吸い込ませることも可能。
このロワ内では、液体ならなんでもいける。


『トラップ紹介』
【バナナの皮@マリオカートシリーズ】
シリーズおなじみの、設置型アイテム。
接触したものを転倒させる。
これ自体に性的要素はなく、他のトラップに参加者を突っ込ませるためのコンボ前提トラップ。


767 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/20(土) 15:05:53 8X37SlcQ0
投下終了です
タイトルつけ忘れてましたが、「足下にご注意を」でお願いします


768 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/20(土) 21:14:29 QeqxL/1A0
投下します


769 : 幸セト愛ノ世界 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/20(土) 21:14:49 QeqxL/1A0
死が二人を分かつまで

なれどその愛は分かたれる事はなく

死の神に愛されざる少女に安息を



○ ○ ○

永遠の闇をも飲み込む輝きに塗れた露店街の大通り。喧騒も人混みもなく、乱雑な露店の並びと不夜の大地が連なるそこは宛ら光のドームである
鉄網に無造作に放り込まれた揚げられた若鶏の匂い、カランカランと風に吹かれて鳴り響く綺羅びやかな風鈴が並べられて暖簾の用にゆらゆらと揺れ動いている
まるでさっき迄、人が存在していてそれが一斉にして一瞬で消えたとしか思えない、宛ら、切り取られた世界の片隅

「デス! デス!」

そんな世界で小さく、されども大声で叫びながら、夜街を駆けるのは一人の少女
何より目立つのは赤いケープが付いた紺色のローブ。そして通常の人間とは思えない、まるで兎の様な黒い耳
世界に混ざった異物、赤い瞳に輝きはあれど、それは死に染まった禍の身
少女は叫ぶ、絶対の理解者にして唯一にして伴侶の名を

「デス! 返事をして! どこにいるの! どこにいるのデス!」

少女はかつて孤独だった。魔術の家に生まれるも才は無く、代わりが生まれた瞬間ただ虐げられるだけの存在になった
少女を唯一を愛したのは死神だった。少女は死神に恋をした。死神もまた少女に恋をした
少女は自分が愛されない世界に絶望した、唯一自分を愛してくれる死神と共に、自分たちだけの新世界を作り上げようとした――――だが、それは叶わなかった。

「デス! デス! あなたまで、あなたまで私を見捨てるの!? 嘘だと言ってよ! ねぇ!」

少女の叫びに、空は答えを返さない。『世界』はその静寂を返答として、少女の問いが只々木霊するだけ

「返事をして、お願いだからっ! 私を、私を一人にしないでぇ!!」

いくら叫んでも、いくら声を張り詰めても、何も応えないし、何も起こらない
凪の刻すら、孤独である彼女の心を蝕む

「……ねぇ、お願い………私を、一人に、しないで……」

少女は崩れ落ちる、孤独と絶望に苛まれた心が濡れる様に、その瞼から水滴が零れ落ちる
それを拭う気力もなく、綺羅びやかな光の中に取り残された少女はただ項垂れるしかなかった

「あの……?」

だが、誰もいない少女の世界に、何の予兆も無く入り込んできた。もとい、声をかけたのは一人の老人
髪が殆ど抜け落ちた頭に、まるで囚人を思わせるような白い服装。だが、それ以上に目を引くのは義手らしき右腕の、禍々しい金色のカギ爪
最も、それ以上に衣服やカギ爪に赤い痕が付着しているのを、少女は見逃してはいない

「……誰?」
「……すみません。お嬢さんがとても悲しい顔をしていましたので、思わず放っておけなくて………」

老人の物腰の柔らかい受け答えに、少女は意識を切り替え、警戒する。あからさまに「ついさっき流血沙汰を起こしました」と全身で表現しているような男に、たとえ老人であろうとすんなりと受け入れられるわけにはいかなかった

「……あなたには、関係のない話でしょ」
「失礼ですが、私にはそうはいかないのですよ。だって殺し合いだなんて野蛮な事ですし、そういうのはもう懲り懲りだと思っていたのに、なんて運の悪い」
「……だったら何? あなた程度、今ここで殺してもいいのよ?」

そう、殺せる。少女には才こそ無かったが力こそは存在する。その圧は老人にもわかっているはずである

「……殺す? すみません、私は夢を叶えるまで死ぬわけにはいかないのです」

だが、そんな言葉に動じず、何らブレないで、老人は語り続ける

「夢ですって? それは大層ご立派な夢なんでしょうね」
「……ええ、みんなが幸せになれる、立派な夢ですよ」
「―――なんですって?」


770 : 幸セト愛ノ世界 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/20(土) 21:15:12 QeqxL/1A0
――「みんなが幸せになれる、立派な夢」。本来なら大言壮語、妄言にしては派手すぎる言葉であろう
だが、少女はそれをただの嘘と疑うには多少は判別は必要であった

ここで少女の説明を軽くしておこう。少女の名はニーア。アーカルムシリーズと呼ばれる星晶獣が一体『デス』と契約を結んだエルーン族の少女
自らを愛してくれない世界に絶望し、今の世界を破壊し自分たちだけの世界を作ろうとした死神に愛されし落とし子
彼女は知っている、世界を滅ぼすことのできる存在を、デスらアーカルムシリーズの創造主である『世界』
原則、アーカルムシリーズは『世界』に歯向かうことは出来ない
しかし、デスだけは例外。万象全てに終焉を齎すデスの力は、『世界』相手でも通用するのだ

「……冗談でも笑えないですよ、それ」
「冗談でもなんでもありませんよ。一度世界を壊して、やり直すんですよ」

老人の言葉は穏やかで、嘘を言ってるようには思えない。それがただの妄想なのかはニーアにはわからないが、老人はそれが出来ると確信した上で発言している、それだけが確かである

「……世界を滅ぼしちゃう事には別には文句はないです。どうせ、私たちを愛してくれない世界なんて、やり直した所で………」
「――では、私があなたを愛しましょう」
「………へぇ、貴方が私を―――ぇ」

老人の言葉に、一瞬ニーアの思考が飛んだ

「あなたを見ていると、私の仲間の一人に似ている目をしているのです。その人は愛する人が出来たようですが、あなたは……」

単純に、似た目をした女が仲間内にいたというだけの話。たったそれだけ、そのはずだったのに。それでも、死神以外から愛してるなんて言葉、まともに言われたことなんて無いのに

「――――愛して、くれるんですか?」

こんな事、デスに聞かれたら嫉妬されそうなんて思ったけれど、それでも、他に自分を愛してくれる人がいると、愛してくれるという事実に
ニーアは戸惑って、少しだけ期待してしまった

「……ええ。途中目的まで一致している、というだけかもしれません。あなたがどんな過去を辿ったのか私にはわかりません。ですが、もし、協力してくれるのであれば、それが私にとって一番嬉しいのです」
「………でも、私には」
「既に愛してる人がいるんですね。困りました、その人がもし嫉妬深かったら私のお節介がただの迷惑だったのかもしれませんし」
「……いえ、そういうわけでは―――……デス?」

デスがいない、という絶望から鈍っていたが、胸の内にこみ上げる熱さがニーアにある事実を思い出させた
……自分はまだデスに見捨てられてなんかいない、契約は切られていない、まだ自分を愛してくれている

「―――ありがと、デス。ごめんね、私、あなたに見捨てられたなんて思っちゃって。そうよね、デスが私のこと、見捨てるわけ無いもんね」

言い聞かせるように、感謝の言葉を紡ぐ。そして、改めて老人に対して視線を向ける

「……私達の目的は、今の世界を滅ぼして、私達が愛される世界を作ることなの。あなたの夢に、私達が認められて、愛される世界はあるんですか」
「―――――ええ、勿論」

明確な意志のこもったニーアの問に、何ら変わりなく、いつもの通りに老人は答える
老人のそれが妄言なのか、はたまた本当に「それが可能である」のかは分からない

「それでは、私と一緒に、夢を見ませんか?」
「……そうね。悪くないわ」

だけれども、幸せを得るためならば、手段なんて選ばない。何であろうと、愛され認められる世界は理想的
現実よりもよっぽどマシだし、何より

(デス以外で愛してくれるなんて言ってくれた人、初めてかも)

こんな新鮮な経験、悪くないかな? 本当に愛してくれる人がいるなら、なんてニーアは思っていた
勿論本命は唯一無二の死神だけで、それは誰にも譲れないのであるが


771 : 幸セト愛ノ世界 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/20(土) 21:15:26 QeqxL/1A0
― ― ―


「そういえば、その赤いのは一体?」
「……ああ。これは……お恥ずかしいのですが、実はあなたの前に仲間に引き入れようと声を掛けた人がいるのですが、その……いつもの悪い癖で、死なせてしまったんです」
「でも、わかりますよ、そういう事。説得しようとしたらつい力みすぎて殺っちゃう事とか」
「おやおや、あなたもそうなんですか。お互い実は似た者同士なのかもしれませんね」
「流石にあなたと似てるのはちょっと違うような……?」
「……そういえば、名前を聞いていませんでしたね。私は……そうですね、本名はあるのですが、長くて呼びづらいので『同志』と呼んでくれれば結構です」
「……わかりました『同志』さん。私はニーアって言います」
「ニーアさんですか、こちらこそ、長い付き合いになってしまいますが、宜しくおねがいします」





露店街の路地裏、光が余り届かぬ場所に、男の死体がある

なにかに抱きしめられ、骨も臓器も潰されたように、男の死体は壊れた人形のように関節があらぬ方向に曲っている

それは、夢に塗れた狂人に殺された、名前も分からぬ犠牲者でしかないのだ

【プロデューサー@アイドルマスター シャイニーカラーズ 死亡】



【ニーア@グランブルーファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[道具]:
[思考]
基本:今ある世界を滅ぼして、自分たちが認められて幸せになれる世界を作る
1:今は『同志』と共に行動を共にする
2:デス以外で愛してるなんて言われたこと、初めてかも……?
[備考]
※参戦時期はキャラエピソード6、主人公たちに敗北した直後

【カギ爪の男@GUN×SWORD】
[状態]:健康、衣服とカギ爪に血の痕
[装備]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[道具]:
[思考]
基本:どうしたものでしょうか……
1:新しいお友達(ニーア)が出来て嬉しいです
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします
※先程殺した人物のことは多分忘れました


772 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/20(土) 21:15:37 QeqxL/1A0
投下終了します


773 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 01:29:22 V/GGoVuY0
投下いたします。


774 : 神(GOD)の名を持つ獣 ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 01:30:54 V/GGoVuY0
殺し合いの会場の中にあるレストラン、そこに巨大なハンバーガーがあった。

だが、そのハンバーガーは誰かが頼んだ料理ではなかった。

何故ならそのハンバーガーには鋭い牙が生えており、そしてその身体を大きく揺さぶるなど明らかに生きている様子だったからだ。

その怪物の名はハングリーバーガー、食われる側から食う側へと回ったハンバーガーの怪物である。

しかしこのハングリーバーガーは明らかに様子がおかしく、何か痛みを感じてのたうち回っているようにも見えた。

それはこの怪物が、先ほど近くにいた"野球選手の格好をした男"を丸のみにしてからずっとだった。

それから怪物が絶叫のようなものを上げると上のバンズから穴が空き、そこから強烈な顔をした男が飛び出してきたのだ。

「いただきま――す!」

そして、そのままの勢いで飛び出すとその男はさっきとは逆にハングリーバーガーを一口で飲み込んでしまったのだった。


―― 彼の名はマツイヒデキ、『東京カイアンツ』という球団に所属している野球選手であり、"ゴジラ(GODZILLA)"の名に恥じぬバケモノである……。


【マツイヒデキ@ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん】
[状態]:健康、腹一分目
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いから脱出し、球場へ向かう。
1:まずは腹いっぱい食べ、その後ほかの参加者を探す。
[備考]
※参戦時期は少なくとも海外移籍する前。


『NPC紹介』
【ハングリーバーガー@遊戯王OCG】
 元々は攻2000/守1850の星6・闇属性・戦士族モンスターで、対応する儀式魔法『ハンバーガーのレシピ』によって召喚されるモンスター。
 鋭い牙が生えた巨大なハンバーガーの姿をしており、どう見ても悪魔族とかそういう種族にしか見えないのだが、なぜ"戦士族"なのかはいまだ不明。


775 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 01:31:29 V/GGoVuY0
投下終了です

ありがとうございました。


776 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 12:58:47 0FqqoDVU0
投下します。


777 : 進んで灯りを灯す者達 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 13:00:48 0FqqoDVU0
行動ーーーーーあることを目的として、実際に何かをすること。行い。
goo国語辞書より引用。

1章 行動する女性

「……許せない!」
—————憤りを隠せない女性。

女性の名は月村アカリ。
物理学を専攻している大学生。

「幼い子供の命をあんな下劣な方法で奪ったこと、私は絶対にを許せない!」
安全な場所で自分達を見下ろしているであろうあの主催の男に宣戦布告をする。

————たとえ、相手が自分よりも進んだ技術を持っていたとしても


———————首輪に爆弾と”科学”に関わる分野で負けてなるものか。

アカリは行動する。

【月村アカリ@仮面ライダーゴースト】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:科学の力であの男(ヒエール)をひっぱたいて警察に突き出す
1:首輪の回収並びに解析、分解を目指す
2:主催に立ち向かう参加者を探す
[備考]
※参戦時期は仮面ライダー1号(映画)劇中

☆彡 ☆彡 ☆彡


778 : 進んで灯りを灯す者達 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 13:01:15 0FqqoDVU0
終章 行動する少年

「……許せねぇな」

——————ギュッ!

そう言いながら、拳を握りしめる少年。
少年の名はフェザー。

これが、純粋の格闘大会なら彼は意気揚々として参加していただろう。
しかし、これは”殺し合い”そして、”デスアクメ”による尊厳破壊がある。
そんな状況下では戦いなど楽しめる筈もない。

何より、一人の男としてあの主催の男の行為は到底許せるものではない。
故にフェザーは、強者との戦いという私情は抑え、まずは、この殺し合いを止めることをケツイした。

「それに、全く、魂が籠っていない相手とは分かり合えないぜ」
—————チラ

フェザーの視線の先には、斃れている格闘戦士アルティメーターがいた。
拳で魂の会話を交わすフェザーにとって、男に改造されたNPCとの勝負は、全く心が滾らない。

「んじゃ!とりあえずダンジョンとやらを攻略してみるとするか!」

フェザーは行動する。

【フェザー@グランブルファンタジー】
[状態]:健康 主催の男への憤り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いを止めた後、強い参加者と戦いたい
1:とりあえず、私情は置いて、殺し合いを止めることに注力する
2:首輪をどうにかしたい
[備考]
※参戦時期はSSR3アビフェイト後。

『NPC紹介』 【格闘戦士アルティメーター@遊戯王OCG】
武器を一切使わず、素手で戦いぬく格闘戦士。
ヒエールの手により倒した相手の蜜壺や菊門を犯す性欲のモンスターと改造されている。


779 : 進んで灯りを灯す者達 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 13:01:26 0FqqoDVU0
投下終了します。


780 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:27:35 0FqqoDVU0
投下します。
なお次のSSに出てくるキャラの”ミスティ”並びに”進んで灯りを灯す者達に出た”フェザー”は別企画でリレーとして書かせて頂いた際、お気に入りのキャラとなりました。
その縁から自作のコンペに書きましたが、キャラに大きな齟齬が無いか参考にさせていただいた面がございますので、ここに記します。


781 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:31:43 0FqqoDVU0
注意!本ssは別企画の自作「平安京での狂騒」並の性的描写並びに尊厳破壊描写がございます。
上記SSを読み、不快に感じられた方。
古波蔵 エレン、フレッド・ポーロックが好きな方は絶対に読むのはお控えいただけると幸いです。


782 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:32:51 0FqqoDVU0
精通ーーーーー男子の初めての射精
デジタル大辞泉より引用。

第一章 走る走る走る

―――ハァ……ッ!ハァ……ッ!!ハァ……ッ!!!

彼は必死に走っている。
その表情はこの世の絶望から逃れたくても逃れられない者の顔だ。

―――話が違う……!あの人間が言っていたことと……!!

息も乱れ、汗が止まらない中、彼は想起する。
あの男の詞を―――

「それじゃ、これから沢山の参加者達がこの浮遊大陸に転送されるから、煮るなり焼くなり好きにしていいよ〜。……あ!でも、出来る限り尊厳という尊厳を破壊しつくしてね。もう観る者が”気持ちE〜!”とアへ顔になるぐらいの……ね」

―――つまり、男も女も犯しつくして殺せというコトカ?

「そういうこと。それと君たちには性に特化するよう強化されてるから安心してゲームクリアを目指してね。それじゃあ、後はヨロシク〜〜〜」

―――ふん!珍妙な男だ
―――だが、我らにとって申し分ない
―――なぜなら、いつも我らは犯し奪う側なのだから

―――ハァ……ッ!ハァ……ッ!!ハァ……ッ!!!

―――それがどうしてこうなった!?
―――あの男の言っていた通り、これは一方的な虐殺陵辱ゲームだったはずだ!?
―――それが用意していた兵隊が全員精という精を絞られて殺されただとッ!?
―――ありえぬ!?我らゴブリンが”女”にこうもしてやられるとはッ!?

―――なぜだ。なぜだ。なぜだ!

「は〜い♪鬼ゴッコはここまでよぉ」
女の言葉と同時に彼の逃走劇は終幕を迎える。

―――ヒィィィィ……頼む!?ゆ……ゆるしてく……
彼は、必死に命乞いをする。

―――女は泣いて命乞いをする者に躊躇することが多い。
―――彼はその”甘さ”に最後の希望を持った。

しかし―――

「あらぁ〜?だ・め……にきまってるじゃなぁ〜い」

―――それは許されなかった。

―――ア……アア……イッッッッッックゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜!!!!????

ドピュ!ドピュ!!ドピュピュ!!!

―――彼の一物から精液がこれでもかと放出される。

―――アア……我らゴブリンよりも”性を弄ぶ女”がイタトハ……

―――ドサッ……

こうして精という精を絞り出された彼―――

NPCの小鬼王(ゴブリンロード)は果てて死んだ。

☆彡 ☆彡 ☆彡


783 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:33:26 0FqqoDVU0
第二章 危険な女

「はぁ〜〜〜……駄目ねぇ。やっぱりゴブリン程度じゃ満足はできないわぁ」
精魂果て、死を迎えた小鬼王を冷めた瞳で見下ろすゴスロリ服を纏う女。

―――女の名は

―――ミスティ

異世界からの侵略者”ダーククライム”の幹部。

(やっぱり、NPCより使えそうな参加者を洗脳した方がいいようねぇ。……はぁ、あのスライム女に”アレ”を譲ったのは失敗だったかしら……」
果たして自身の護衛としてNPCのゴブリン達は使えるかどうかミスティは試したのだが、求めるレベルの戦力とはならないようで不満が残っている。

(……どうせなら”切り札”と”奥の手”は用意しとかないとよねぇ)
ミスティはチラと目線を動かす。
”切り札”は幸いにも用意できた。
後は”奥の手”。
NPCが駄目なら”参加者”から見繕わないといけない。

「それにしてもぉ〜。非常に良い趣味をしているわねぇあの男」
ミスティは自身に付けられた首輪を撫でる。

「感度3千兆倍のデスアクメなんて、想像するだけで、おマンコが濡れるわぁ」
(はぁ……これを持ち帰ってシャインミラージュに付けてみたいわぁ〜)
宿敵が見るも無残にデスアクメする姿を想像しただけで、ミスティは自身の蜜壺から愛液がタラリと流れ落ちる。
それは、甘い甘い蜂蜜の如く。

「ねぇ貴方?貴方はデスアクメとらに興味はあるかしらぁ〜?」
ミスティは、自身の愛液をペロリと舐め、甘い声で大木に向かって語る。

すると―――

―――ザッ

大木の枝から金髪の少女が舞い落ちる。

「……残念デスが、私は興味もてないデスねー」
少女の名は古波蔵エレン。
長船女学園の生徒にして荒玉を祓う刀使の一人。

「ふふ、残念ねぇ〜……?。あらぁ〜?貴方、何だか見たことあるような服を着ているわねぇ?」
「そうなのデスか?これは、私の通っている学園の制服デスが……」
ミスティの呟きにエレンは首を傾げながら答える。

「いえ……何かの記憶違いね……。まぁ、いいわ……可愛い子って好みなのよねぇ。貴方のその閉じたケツ穴をズボズボ調教して私専用の飼い犬にしてあげるわぁ」
ミスティは記憶違いだと結論づけるとエレンに通告する。

「残念ですが、そう思い通りにいくとは限りまセンよー!」
(私の読みなら、直接戦闘はそこまで脅威にはみえないデス。……しかし、支給されたのが刀なのは僥倖デスが……御刀でないのか痛いデスね……)

片やエレンも支給品の仕込み刀を構えるとミスティと対峙して―――

―――両者は激突した。

☆彡 ☆彡 ☆彡


784 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:33:47 0FqqoDVU0
第4章 2人目の危険な女

―――はぁ……はぁ……危険だ。あの女の人は……

何処かの貴族の令嬢のような服を着た女の人(ミスティ)が次々とゴブリン達を抜き殺す姿を隠れながら視ていた少年は、逆方向へと脱兎の如く走っていた。

少年の名はフレッド・ポーロック
イギリスの情報屋。
そして、ウィリアムの犯罪相談の窓口をしている少年だ。

(早く、イギリスに帰らなきゃ……ウィリアムさんが命を賭けて計画を(モリアーティ・プラン)を実行しているのにその場に居合わせられないのは嫌だ……)
フレッドは焦っている。
特権に胡坐をかく貴族たちによる歪んだ国を正そうとしているウィリアムの傍にいたいため。

―――それゆえに身に迫っているスライムに気づけなかった。
―――それがフレッドの運命を決定づけてしまった。

「可愛いわね♪」
フレッドの耳に響くのは先ほどの女性(ミスティ)に負けないぐらいの甘い甘い声。
―――ガシィィィィ!!!!!

「……ッ!?」
(この……ネバネバした液体は……ッ!?)
声と同時にフレッドの身体はピンク色の液体に捕らえられる。
四肢を捕らえられたため、動かそうにも指をも動かすことはできず、抵抗ができない。

「は〜い♪初めまして可愛い男の子君♪私の名前はミルフィ。貴方のご主人様となるスライム娘よ」
フレッドを捕らえたスライム娘。

―――名はミルフィ。

―――魔王雪麗配下の四天王にして合成魔獣達を統べる”霊魔将軍”の地位にいる”スライム女帝”

☆彡 ☆彡 ☆彡


785 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:34:51 0FqqoDVU0
第5章 精通

「……スライム女帝?」
(これが、ゴブリンやオークの仲間!?)
フレッドの世界はファンタジーの魔物が跋扈する世界ではない。
そのため”スライム女帝”という言葉に主催の男が言っていたNPCをよぎる。

「うふふ、可愛い……💗それじゃあ、さっそくいただくわね♪……ん。ちゅ……💗」
「う……やめ……んん!?」
ミルフィはフレッドの唇を塞ぐ。

―――それは蕩けるキス

「んん゛!?ん……ちゅぱ、やめ……ろ……んんんッ!?」
「んん〜〜〜ッ!もっと舌を絡ませるのよ💗こうや……って💗)
舌と舌が絡みつく。
―――唾液の交換
―――大人のキス

―――ディープキス

(甘くて……頭がクラクラする……)
ミルフィのスライム舌の快楽にフレッドは混乱する。

それに加えて―――

(……ッ!?そ……そこはッ!)
ミルフィはフレッドの股間をまさぐりはじめた。

「うん!きちんと勃起してるね!それじゃあ、まずは一発ヌイてみようか♪」
ミルフィはフレッドのぱんぱんに膨らんだ一物に蕩ける視線を向け—————

————ジュッポ!ジュッポ!!
フレッドの一物をフェラしだした。

☆彡 ☆彡 ☆彡


786 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:37:24 0FqqoDVU0
「レロ……れろぉ〜〜〜……💗」
ウラスジに金玉と亀頭など、じっくりと舐める。

「や、やめ……」
(柔らかい……ッ!!??)
ミルフィのスライム口は気持ちよさの波。
必死にフレッドは耐えるが――――――――

———————ずずずうううううう!!!!

柔らかく蕩けるフェラにフレッドは腰をガクガクと震わせる。

そして―――――

びくぅぅぅぅぅぅうううううう!!!!???

腰を痙攣させるフレッド。
しかし――――――
痙攣だけで、フレッドの一物はビクビクと震えるだけ。

—————ぷはぁ……💗

「んーーー?あら?もしかして僕、まだ精通していないの?」
「……」
フレッドの一物から口を離したミルフィの指摘にフレッドは顔を赤らめる。

「クスクス……可愛いわ〜。なら私がキミを男にしてあげるねっ♪」

—————フェラから手コキへと変わる。

「うふふ〜〜〜〜、いきなりは痛いから、まずはゆっくりね〜〜〜〜〜」
温かなスライム液がフレッドの一物を優しく覆い包む。

「フェラしてして思ったんだけど、フレッド君のチ○ポって太くて固いから、きっと多くのスライム娘を満足させられると思うな?」
優しく上下に動かしながら、フレッドの耳元で囁くミルフィ。

「そ……そんなの……しらない……ッ」

—————ツ…………
ウラスジを下から上へなぞられ—————

カリッ!カリッ!
指先でフレッドの亀頭を責める。

「あっ!パンパンに膨らんでいる!?ふふ、可愛い〜〜〜💗でも、がまん💗がまん💗」
ミルフィは金玉を優しく撫でる。

「せ……背中に……」
ミルフィの豊満な胸……そして乳首がフレッドの背中に当たる。
否応なしに意識するフレッド。

「そうっと……ね💗……あ!?おしっこの穴ピクピクしてるよ💗」
柔らかいプルプルした指先が割れ目を———————

「うん……そろそろかな?ドピュんできるようにシゴいてあげるね💗」
ミルフィは手コキのスピードを上げ……
フレッドは必死に—————
必死に耐えていたが――――――――

「も……もうだ……め……ッ!!!???」
(これって、本当にせい……ッ!!!!????)

ドッピュン!!ビュッ!!!ビュ——————!!!!!!

フレッドの亀頭の先から精液が勢いよく噴射する——————

「精通おめでと——————♪これで、フレッド君も大人の仲間入りだね💗」

こうして————————
フレッド・ポーロックの一物は”男”になった。

☆彡 ☆彡 ☆彡


787 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:38:46 0FqqoDVU0
第6章 脳内白濁液💗

「あはは!もっと熱い精液だせるでしょ?フレッド君♪」
―――ムニュムニュ……

ミルフィの言葉と同時にフレッドの一物を覆い包んでいるスライムが揉みあげ愛撫する。

―――グググッ
幾度もなく射精をしたフレッドの一物だが、いまだ滾る熱を失わず、大きく反り立つ。

「何度……僕を辱しめようとも心を支配する……ことはできな……う゛!?」
ドピュドピュピュ!!!

スライム肌の愛撫から逃れられない。
既に男になったフレッドの一物は何度も膨らんでは射精する。

「あは!必死で抵抗しているフレッド君たら可愛い〜💗でも〜💗フレッド君のおチンポはまだまだ出せるよぉ〜と主張しているみたい♪」
ミルフィはフレッドの精液をペロリと舐めると、艶やかに笑みをこぼす。

「はぁ……はぁ……」
(そうでしょ……ウィリアムさん)

それはかつて、モリアーティ邸でウィリアムが話した国(イギリス)の歪みのときのこと。
ウィリアムは仲間たちに言い放った。

―――人には様々な感情があり、人はそれで動く生き物なんだと
―――そして、最も人の心を動かすもの

―――それは”死”だ

(性による支配など、仮初めだ―――)
フレッドはミルフィの支配を認めない。

―――が。

ドピュッッッッン!!!!
フレッドの心とは裏腹に一物は既にミルフィのスライムマンコに夢中で射精を繰り返す。
そして、射精のたびにウィリアムは自分でなくなる感覚を覚えていく―――

(ウィリアムさん……貴方は僕にとって、いやこの世界にとって正義の執行者なんで……あ゛あ゛!?)
ドッッッピュッッッンン!!

―――ギリッ

―――意識が塗りつぶされる……
―――ウィリアムさん。僕はここまでのようです……
―――ああ。願うことなら……
―――誰か、ウィリアムさんに未来を与えて下さい。

ビュルルルル〜〜〜〜〜〜!!!!!

「あ゛!?あ゛あ゛あ゛あ゛い゛ッぐぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜!!!???」
その絶頂を最後にフレッドの意識は白濁の液体で脳を塗りたくられた。

☆彡 ☆彡 ☆彡


788 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:40:15 0FqqoDVU0
終章 完成!おチンポミルク奴隷と精液奴隷

「あら、素敵な子を拾ったのね」
無事にフレッドを精液奴隷として自分の物としたミルフィはミスティと合流した。

「ええ〜。エレンちゃんは最高よぉ〜💗んちゅ……💗そっちの子も可愛いわね。私にゆずってくれないかしらぁ〜?」
エレンの母乳を飲みながら、ミルフィを待っていたミスティ。
フレッドの姿を一瞥すると、舌をペロリと出す。

「だ〜〜め♪フレッド君は私の精液奴隷だからあげないよ。それに、もうフレッド君のおチンポは私達スライム娘でしかイケなくなった身体になっちゃったしね♪」
ミルフィは頬を膨らませながらミスティの要求を却下しつつ理由を伝える。

―――そう、フレッドの身体はミルフィによる調教強制射精により、普通の女性の膣では満足できない体となってしまった。
もう、死ぬまでフレッドのチンポはスライム娘にしか射精できない。

「あら、それは残念ねぇ〜。その子のおチンポとエレンちゃんのおマンコを合体させようと思っていたのに……
ミスティは残念そうな表情を隠せない。

—————パン♪
「それじゃあ、フィンちゃんとSEXしましょうか♪」
両手を心地よく合わせたミスティは気持ちを切り替える。

「……ハ」
ミスティの言葉に応じて姿を現したのはフィン・マックール。
ケルト神話の英雄。

ミスティの命令を受けたフィンは自身の一物をぱんぱんに膨らませるとエレンの蜜壺に—————

ずぶぅぅぅうぅぅううう!!!!!

「OH!フィンのビックチ○ポ!マグナムデ――――ス💗💗💗💗💗最高……デス💗」
エレンはフィンの一物のサイズにアへ顔を晒す。

————————パン!パン!!パン!!!

腰と腰の淫靡なリズム。

「……グッ!?」

———————ドピュ!ドピュ!!!
——————————フィンはエレンの蜜壺内に白濁液をはぜる。

「あっ……///💗💗💗」
エレンはご満悦。

☆彡 ☆彡 ☆彡


789 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:43:16 0FqqoDVU0
フィンとのSEXが一段落着くと、エレンは自らの乳首を弄り回し——————

「あはは――――ミスティ様!私もっとミルクだしたいデス!いいデスか?」
今は詳細は省くが、ミスティの黒針により肉体を改造され、弄ばれたエレンはミスティのおチンポミルク奴隷と化してしまった……

「くす……いいわよぉ〜エレンちゃん。許可するわ💗」

「あ、ありがとうございますデス……それじゃあ、乳首ミルクにおチンポミルクデ――――ス💗💗💗💗💗💗」

―――ブッシャァァァァァァァァ
エレンの豊満な乳房の乳首から母乳がシャワーのように吹き出し、長船学園の制服を濡らし―――
黒針により生やされたふたなりチンポからは白濁液がナイヤガラのように噴射される。

「あらあら、それじゃあ、フレッド君もエレンちゃんに負けないようにおチンポから白おしっこビュービュー出そうね〜」
「は……いぃぃぃぃぃぃ!!!!!?????」
ビュルルルーーーーッッッッッ!!!!!

―――親友である薫を始めとした刀使達がこの光景を見たら目を背けるであろう地獄絵図
―――しかし、ヒエール・ジョコマンを始めとしたこの催しを楽しむ下種達には、さながらヒエロムニス・ボスの”快楽の園”そのものだろう。

「キミは最高だよ!フレッド君💗」
「貴方は最高よ〜エレンちゃん💗」

【ミスティ@変幻装姫シャインミラージュ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえずこの状況を楽しみながら立ち位置を見極める
1:とりあえずミスティと今後のことについて話し合う
2:他にも使えそうな参加者を探し、おチンポミルク奴隷とする
3:貴方は最高よぉエレンちゃん
4:フィンちゃんは使える悪魔よねぇ
[備考]
※参戦時期はTheComic6話からより

【古波蔵エレン@刀使の巫女】
[状態]:健康 乳首母乳化 ふたなり化 性感倍増 精神崩壊
[装備]:ウィリアムの仕込み剣@憂国のモリアーティ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:ミスティ様のおチンポミルク奴隷として働くデ――ス♪
1:この場に薫がいたらミスティ様のおチンポミルク奴隷にしてもらう
1:エレンはミスティ様のおチンポミルク奴隷デース!
2:ミスティ様!エレンもっとミルク出したいデース!
3:この快楽……薫に教えてあげたいデース!
5:あは!sexってこんなに気持ちいいものなんデスか♪
6:オ……マスターべー……ション……デース……シュッ!シュッ!!
7:はぁ……はぁ……フィンのチ○ポ、固くて太くて最高デス……
8:ミスティ様ミスティ様ミスティ様〜〜〜〜
9:ミスティ様!エレン!フィンともっとSEXしたいデスよ!
10:薫……ごめんなさいデス……・
[備考]
※参戦時期は漫画3巻13話より
※御刀がないので写シ等の能力は使えません


790 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:43:40 0FqqoDVU0
『支給品紹介』 【フィン・マックール@真・女神転生V】
ケルト神話の英雄。
現在は、ミスティの黒針により自我を崩壊しており、ミスティの護衛兼チ○ポ係。
電撃:弱点 火炎・破魔:無効
スキル
マク・ア・ルイン+5
暗夜剣+5
鎧通し+5
ブフーラ+3
マハラギオン+4
タルカジャ

【ミルフィ@犯され勇者Ⅱ】
[状態]:健康 艶々 満足
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:とりあえずこの状況を楽しみながら首輪をどうにかする
1:とりあえずミスティと今後のことについて話し合う
2:これからもいっぱい私とsexしようねフレッド君♪
3:ウィリアムもしくはホームズって男の人がここにいたら精液奴隷にしたいな〜
[備考]
※参戦時期はゆうしゃルシアに討伐される前

【フレッド・ポーロック@憂国のモリアーティ】
[状態]:健康 常時勃起 精神崩壊 脱精通 脱童貞
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ミルフィ様の精液奴隷として生きる
1:もしこの場所にウィリアム様がいたらミルフィ様の精液奴隷となるようお願いする
2:ミルフィ様を満足させるように働き、射精する
3:射精したい射精したい射精したいミルフィ様のスライムマンコで射精したい
4:射精したい射精したい射精したいミルフィ様のスライムマンコで射精したい
5:射精したい射精したい射精したいミルフィ様のスライムマンコで射精したい
6:射精したい射精したい射精したいミルフィ様のスライムマンコで射精したい
7:射精したい射精したい射精したいミルフィ様のスライムマンコで射精したい
8:射精したい射精したい射精したいミルフィ様のスライムマンコで射精したい
9:射精したい射精したい射精したいミルフィ様のスライムマンコで射精したい
10:ウィリアムさん……あなたは……死んではいけない人です……
[備考]
※参戦時期は49話カークランド伯爵邸にいる最中
※ミルフィの調教によりスライム娘にしか満足できない身体にさせられました
※ミルフィの手で精通をして脱童貞しました

『NPC紹介』 【小鬼王(ゴブリンロード)@ゴブリンスレイヤー】
ゴブリンのうち、統率力に特化して進化した個体。ゴブリンとしては異常に高い知性と統率力を持ち、多数の上位種をも擁する大規模な群れを作るうえ、祈る者たちの共通語を理解して話すことさえある。


791 : その女、性暴につき ◆s5tC4j7VZY :2021/11/21(日) 16:43:50 0FqqoDVU0
投下終了します。


792 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/21(日) 18:27:06 QBZ67dhA0
投下します


793 : 過去よりの落とし子 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/21(日) 18:27:35 QBZ67dhA0
「……クソッ! クソッ! 何がどうなってんだよこれ!?」

綺羅びやかな町並みに、顔立ちの整った少年の姿
黒いスーツに白いネクタイと、謂わば英国貴族のご子息ともお見受けられるその少年は、今の不可解な状況に苛立っている

「エロトラップダンジョン!? ナノマシン!? あいつ意味のわからない事ばかり言って!!」

少年の知識にはない言葉、少年の知識にはない単語、それら全てが受け入れざる要素となって少年を蝕んでいる

「……どうしてだ、どうして僕がこんな目に……! 貴族ですらない薄汚い枯れ木男が、この僕を……!」

少年は憤っていた。どうして自分がこんな目に合わなきゃいけないと

「……大体あいつらが来てから何かがおかしくなった! 平民の分際でアルバート兄様に取り入ろうとする薄汚いゴミども! そうだ、これも彼奴等のせいに決まってる」

怒りのままに、周りを気にせず突出した妄想が展開し、独り言としてぶち撒けられ続ける

「……もう良い、あいつらの思い通りになるなんて思いの外だ。絶対に生き残って、全員牢獄に叩き込んでやる!」


【ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ(本物)@憂国のモリアーティ】
[状態]:主催者(あとついでにウィリアム(孤児)とルイスに対する)への怒り
[装備]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[道具]:
[思考]
基本:この殺し合いを開いた元凶を必ず牢獄へ叩き込んでやる
1:あの薄汚い枯れ木男め、この僕をこんな下らないことに巻き込んで……
2:そうだ、あの二人も今回のことに関わっているんだな!
3:
[備考]
※参戦時期は第一話、夕食後〜ウィリアム(孤児)に冤罪を被せようとする前


794 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/21(日) 18:27:45 QBZ67dhA0
投下終了します


795 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/21(日) 22:14:03 QBZ67dhA0
投下します


796 : 亡霊の引き金 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/21(日) 22:14:19 QBZ67dhA0
「……迷惑な事をしてくれたわね」

今にも落ちてきそうな夜空の下にて、銀の髪を煌めかせる人の少女
白いワンピース着た少女が、その真紅の瞳で夜空の先を見上げている。別に夜空を見上げているのではなく、見据えるのはあの主催であるのだが

「大方、物好きの享楽だろうとは思うけれど」

あの主催の意図や目的は未だ不明だ。ルール説明時の台詞から察するに趣味の悪い金持ち共の趣味趣向を満たすものと少女は考えている

「大体、エロトラップダンジョンってどういうことかしら? 殺し合いを見たいのか陵辱劇を見たいのかどっちかにしてほしいわ。私、荒事は苦手なんだから」

あっけからんと独りごちるその姿に動揺も困惑もなく、自分がこれから為すべき事と、これからどう動くかということ

「……不本意ではあるけれど、雄二と生身で再開(あ)う前に、増えた一仕事を終わらせましょう」

かつて天才と言われた少女、夜の子は眠りから目を覚ました
だが、彼女を待っていたのは、兄が今まで経験してきた戦場とは別の、淫靡と狂騒に塗れた殺し合いの舞台
もしその時が訪れたのならば、タナトスは何の躊躇もなく、引き金を引く



【風見一姫@グリザイアの果実シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[道具]:
[思考]
基本:この殺し合いから早急に抜け出し、兄と再開する
1:???
[備考]
※参戦時期はアニメ版、最低でも天音たちと再開する前


797 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/21(日) 22:14:34 QBZ67dhA0
投下終了します


798 : ◆VJq6ZENwx6 :2021/11/21(日) 22:19:33 JH5INtvE0
投下します


799 : 親子〜ゴッドガーテン〜 ◆VJq6ZENwx6 :2021/11/21(日) 22:20:54 JH5INtvE0
これは、いつかの未来で誰かの過去。
この殺し合いには何の関係もない話。

カーテン越しに入って来る柔らかい光に満たされた部屋。
その部屋の大きく白いベッドの上に赤子を抱いた女性が横たわっていた。
そのベットに垂れた長い髪はこの国の大勢の人間と同じ黒い色をしており、その青い眼は生まれたばかりの我が子を映していた。
その腕に抱かれ赤子が、その小さな体のあらん限りの力を奮って泣き声をあげると女性はその体を揺らしてあやしてやった。
それに伴い、女性の頭に着いた鈴飾りもカランと乾いた音を立てる。
やがて赤子は泣き止み疲れて寝てしまったが、それでも女性の顔から憂いが消えることはなかった。

今日は、祝福されるべき日であった。

現在の世界情勢は暗い。
近年何の前触れもなく生まれた異能の力を持つ人類、第七波動(セブンス)能力者の存在が明らかになるにつれ、時代は混迷を極めていた。
新たな人類を巡り起こる争い、差別、反発、ニュースを見ても嫌になるほど刺激的なニュースで持ち切りだ。
そんな時代の中でも、この国は皇神(スメラギ)グループの尽力により飛躍的安定を保っている。
そしてその皇神グループの中でいち早く第七波動の制御技術を確立した英雄こそが、彼女の夫であった。
新進気鋭の勢いを持つ皇神グループの英雄と、由緒正しき対魔師の家系『神園家』の一員である彼女との婚姻は当然政略結婚ではあったが、その分周囲の人間から惜しみないサポートを受け入れられた。
夫も多忙ながら彼女との時間を作る気立てのいい男であり、パートナーとして不満を感じたことはない。
子どもたちが生まれてくる今日という日は、皇神と神園の繋がりが形になる日であり何より彼女とその夫が何よりも喜ぶ万人から祝福される日だったのだ。
そう、祝福されるべき日だったのだ。

ガラガラと音を立てながら、病室の扉が開かれた。
色素の薄い髪と瞳の男が、赤子を抱いて入ってきた。
その男の顔は、今や彼女は誰よりもよく見知った顔である。


800 : 親子〜ゴッドガーテン〜 ◆VJq6ZENwx6 :2021/11/21(日) 22:23:05 JH5INtvE0
「あなた!ミチルは大丈夫なの!?」

この日生まれた子どもは一人ではない。
双生児、彼女の腕に抱かれた男子の妹となる子どもが産まれていたのだ。
男子は何の問題もなく産まれ、その妹ミチルもなんの異常も無いように見えていたが数時間経てども産声一つ上げず精密検査を受ける運びとなっていた。

「ああ、検査の結果は問題なかったよ。
 もう少し様子を見れば声を出すんじゃないかって言ってたよ。」

「よかった…!」

夫のその言葉に、女性は目に涙を浮かべて喜んだ。
気づけばその腕に抱かれた赤子が、父と同じ赤い瞳を開いて己の父と妹を覗いていた。

「ただ…」

夫がその口を開きかけた時、その腕に抱かれた赤子ミチルがついに口を開いた。
女性はその喜ぶべき瞬間に、何故か不安になって腕の中に居る赤子の手を優しく握った。

この直後、祝福されるべき時は呪われた日に変わる。
世界の終末を告げるトランペットの音のごとく、世界に深い傷を刻む謡精の産声を聞くのは、この四人のみ。


801 : 親子〜ゴッドガーテン〜 ◆VJq6ZENwx6 :2021/11/21(日) 22:24:45 JH5INtvE0
話を戻して、殺し合いの場。

「きゃあ〜!」

暗い洞窟の中に少女の声が響いた。
彼女の名は神園しのぶ、人の世に蔓延る悪魔を追い返す由緒正しい悪魔ハンターの家系に生まれた人間であり、当然このような催しにも反抗の意を持って歩いていた彼女だが、その足を突如掬う存在が居た。

「ま、魔界植物?」

体調十メートルに及ぶかという巨大な植物が、本来植物には持ちえない両の眼が、その触手によって宙に吊り上げられた彼女を見つめていた。
これは魔界植物、かつて悪魔がイタズラのために魔界から持ち込んだもので彼女もかつてひどい目にあわされた。
何故これがこんなところに、そう考えようとしたところで魔界植物の口が大きく開けられた。

「嫌!離して!」

この後どうなるかは彼女が一番よく知っている。
最悪の予感に震え、必死に身をよじるが何の効果もない。

「助けて…天使様…」

魔界植物の口が目前に近づき、もはやここまでかと思ったその時、一条の光が眼に飛び込んできた。

「天魔覆滅!」

一条の光は、宙の触手に強烈なタックルを食らわせしのぶを強引に振り解かせた後、彼女を抱きかかえてゆっくりと大地へ降下した。
神々しくも見えるその光に、彼女は呆然と呟いた。

「あなたは…天使様?」

「悪いが、天使ではないな。」


802 : 親子〜ゴッドガーテン〜 ◆VJq6ZENwx6 :2021/11/21(日) 22:27:27 JH5INtvE0
その光の眩さに目が慣れたころ、しのぶは己を救った一条の光の正体が見えた。
紅白の甲冑(アーマー)を身に纏った少年だ。現在はアーマーの各所からのジェット噴射によりゆっくりと降下しており、先ほどのはこのジェット噴射を用いて魔界植物へ突進したのであろう。
その少年も同様に目が慣れたのか、色素の薄い髪を揺らして赤い瞳を驚愕に見開いてしのぶを見つめていた。

「お前、は――」

少年が何かを言いかけた時、獲物を取られた魔界植物が咆哮を上げる。

「ちっ、走れるか!?」

「あ、あったりまえじゃない!」

少年はすぐさましのぶを下ろし、その手を引いて駆け出した。
すぐさま魔界植物もその後を追うが、二人はその巨体では入れない道に入り込み、走り続ける。

「あの触手を伸ばしてこられたら厄介だ、もっと奥まで行くぞ。」

「あ、あんたいったい何者なのよ。」

「……今の俺は、何者でもない。」

「名前は!?」

それを訪ねた時、少年はようやく足を止めた。
しのぶは、肩で息をしながらその青い瞳で少年の赤い瞳を見つめた。

「……人に聞く前に、自分の名を言え。」

「しのぶよ。神園しのぶ。」

その答えを聞いた少年は、目を伏せて答えた。

「アキ……アキュラ。家も姓も何もない『ただのアキュラ』だ。」

彼はぶっきらぼうにそう答えると、再びしのぶの手を引いて走り出した。
しのぶがその手を掴み続けているのは、魔界植物への恐怖からか、あるいは彼の手から感じる不思議な安心感からか。


803 : 親子〜ゴッドガーテン〜 ◆VJq6ZENwx6 :2021/11/21(日) 22:28:29 JH5INtvE0
二人は殺し合いの中を駆け出した。
これは、いつかの過去で誰かの未来。
いつか母親になる少女と、かつて赤子だった少年の物語。

【神園しのぶ@ぎゃるがん だぶるぴーす】
[状態]:疲労(小)
[装備]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[道具]:
[思考]
基本:悪鬼討滅!殺し合いの打破。
1:とりあえず魔界植物から逃げる。
2:アキュラの手、なぜか安心するわね…?
[備考]
※参戦時期は次の書き手様に任せます。

【アキュラ@蒼き雷霆ガンヴォルト爪】
[状態]:
[装備]:基本支給品、ヴァイスティーガー(付箋付き)、ランダム支給品1~2
[道具]:
[思考]
基本:悪鬼討滅、殺し合いの打破。
1:このふざけた催し、俺が討滅する。
2:とりあえず逃げる。
3:かあさ………。
[備考]
※参戦時期は本編エピローグ後
※ヴァイスティーガーの付箋には『甲冑フェチのために特別に初期装備DEATH!』と書かれた付箋が貼ってあります。また、ホバリング以外の全コードはアンインストールされていおり、バトルポットや銃と言った追加武装もありません。


804 : 親子〜ゴッドガーテン〜 ◆VJq6ZENwx6 :2021/11/21(日) 22:28:41 JH5INtvE0
投下終了です。


805 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 23:40:11 V/GGoVuY0
投下します


806 : 誰かがそれを『愛』と言った ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 23:41:53 V/GGoVuY0
ここは会場内にある、鬱蒼とした森の中……

そこでは虫の触角と羽が生えた男が、身体中の至る所に包帯やガーゼを当てている女性の首を絞めている光景があった。

「すまないねぇ嬢ちゃん、アンタにゃあ恨みはないんだけど……俺には元の世界でやらなきゃならないことがあるんでねぇ…死んでもらいたいんだわ」

男の名前はデューク・ペペ、かつて蟻人間の王だったが勇者たちによって妻と帰るべき故国を失い、その復讐の為に自らの姿を改造して何度も立ちふさがった男である。

そんな彼は今、この森の中で最初に出会ったこの女性を殺害すべく両手で首を絞め続けていたのだ。

「ふふっ、ふふふふふっ」

しかしこの女性は首を絞められてなお、彼の目をじっと見つめながら笑い続けていた。

「……なんで笑っているんだい?こんな状況で、おかしくなってしまったのかい?」

ペペは彼女のその様子を見て、薄気味悪そうに彼女に話しかけたのだった。

「……可哀そうねぇあなた?そんな……何もかも失って、たった一つのことに執着した目をしていて」

それに対し女性は、彼の目を瞬きもせずじっと見つめながら「可哀そう」という言葉を投げかけたのだ。

「……済まないけど、命乞いの台詞ってのはもうちょっと下手に出るモノだねぇ」

それに対しペペは目に見えてイラついた様子になりながら、彼女の首にかけた手にさらに力を入れ始めていった。

「そうですよねぇ?ずうっと大切にしてきたものがあって、それをいきなり奪われてしまって、その落とし前を付けたくて仕方なくって……
 だけどそれが難しいと考えて、それ故に自分がとっても無力な存在に感じて仕方がない……」

しかしそれを受けてなおその女性は彼に語り掛け続けてきた。

「……はっきり言わないと分からないかい?いい加減黙ってて欲しいんだよねぇこっちは!」

いまだ自分に語り掛けてくるその女性に対しペペは、怒りをあらわにしながらより一層力をかけ始めていったのだった。


807 : 誰かがそれを『愛』と言った ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 23:42:22 V/GGoVuY0
「いいよ、もっとやっても?私を殺して、スッキリさせちゃお?
 遠慮しなくていいんだよ?それはとってもキモチよくなれることなんだから」
「私の首をへし折って、ひき肉になるまで私のお腹を殴りつけて……
 それから下着をはぎ取ったり、私の口を強引に開いて、心行くまで犯していいのよ?」
「別に恥ずかしがる必要なんてないんだよ?だってそれがあなたの本当のキモチで、
 一番大切な心の部分なんだから」

しかし自身の首がへし折れそうなほどに首を絞められてもなお、その女性は彼に対し狂った言動を繰り返し続けた。

(な…何なんだこの女は……!?こんな精神構造をした人間なんて初めてだぞ……!)

それを受けて彼は強く動揺し始め、次第に手の力が抜けていってしまった。

「だから……ほらぁ!」

彼の手から力が抜け始めたことにより自由になった女性は、彼を勢いよく突き飛ばしてその上にまたがり始めた。

「赤子のように私の胸を吸っていいんですよ〜?たーっぷり甘えたっていいし、乱暴したっていい…
 私を好きにしていいんですよ?貴方のどんな欲望でも全部飲み込んであげるからぁ」

そして自分の胸を彼の顔に押し付けたり、下着に覆われた秘所を彼の股間に押し当てたりしながらささやき続けた。

「どんな貴方だって受け入れるから……私を吐け口にしていいんだよ?」

「……いい加減、やめてくれ!!」

そうしながら彼に狂った言動を繰り返し続けていたが、ようやっと落ち着きを取り戻した彼が彼女を突き飛ばすことでそのささやきは中断されたのだった。

「……済まないけども、もうアンタにかまっている暇はなくなったみたいなんだ…じゃあ、サラバだよ」

そう言うと彼は急いで彼女の元から立ち去ろうとした。

「……そうだ!たぶんあなたは"昆虫"なんだから、これはとっても必要そうよね!
 だから、受け取ってちょうだい!」

しかし立ち去ろうとする彼に対しその女性は、何やら奇妙なカードのようなものを差し出したのだった。

「……"超進化の繭"?何だいコレは?」

彼は女性から渡されたそのカード、"超進化の繭"を見て困惑した様子で彼女に尋ねた。

「それはどうやら他の昆虫を犠牲にして、別の昆虫を呼び出すことができる魔法みたいなのぉ!
 ……だからきっと、あなたの役に立つはずだわぁ」

彼女はその言葉に対し、カードの持つ効果を説明してそれがペペの役に立つかもしれないことを伝えた。

「……じゃあ、有難く貰っていくよ。丁度それに近いものも持っていたことだしね」

彼はそのカードを受け取り、それから自分のバッグに入っていた"青黒いムカデのような寄生虫"と入れ違いにしまった。

そしてその寄生虫を自分の腕に巻き付けて寄生させたのち、再び立ち去り始めたのだった。

「私はずっとここにいるから、寂しくなったらいつでも来てね」

自分の背中から浴びせられた、女性のその甘ったるく不快な声を無視しながら……。


808 : 誰かがそれを『愛』と言った ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 23:42:51 V/GGoVuY0
【デューク・ペペ@天外魔境II】
[状態]:健康、目の前の女性(さとうの叔母)に対する若干の恐怖
[装備]:寄生虫パラノイド@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、超進化の繭、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:生きて帰り、卍丸達に復讐を果たす。もし誰かにやられていたならば復活させる。
1:愛してるよ、卍丸!お前たちを倒すためなら、俺は何度だって蘇るよ!!
2:だから……俺に倒されるまで、お前たちは誰にも倒されないでくれよ!
3:首を絞められた状態であんなこと言えるなんて、狂ってるのかこの女は……?
[備考]
※参戦時期は鋼鉄城で卍丸達と戦い、死亡した後。
※改造前の、本来の蟻人間の姿に戻っています。


【本尿不明(さとうの叔母)@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:首を絞められたことによる内出血
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:『愛』を受け止める。
1:どんな欲望でも全部飲み込んであげるわぁ、だってそれが私の『愛』だから
[備考]
※参戦時期は本編終了後、マンションへの放火容疑で警察に逮捕された後。


『支給品紹介』
【寄生虫パラノイド@遊戯王OCG】
 元々は攻500/守300の星2・地属性・昆虫族モンスターで、青黒いムカデのような姿をしている。
 他のモンスターの装備品となる効果を持っているが、このモンスターを装備していると種族が昆虫族に変化し、
 またほかの昆虫族への攻撃と効果の発動が無効化されてしまうという妨害効果を持っている。

 しかしこのモンスターの真価は別にあり、それは装備品となっているこのモンスターが死亡した際に、
 レベル7以上の昆虫族モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚できるという、強大なモンスターを自身のしもべとして
 使役できるようになるということにある。


【超進化の繭@遊戯王OCG】
 黄金色に光る巨大な繭が描かれた魔法カードで、元々はさとうの叔母に支給されたもの。
 何かしらの装備品を付けた昆虫族モンスターを破壊し、昆虫族モンスター1体を召喚条件を無視して召喚できるというカード。

 なおこのカードの現状の持ち主であるデューク・ペペは、来るべき卍丸達との戦いのためにこれをとって置く予定の為、
 今のところ会場内で使うつもりはない。


809 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/21(日) 23:44:28 V/GGoVuY0
投下終了です

後、誤字の修正をさせていただきます。

【本尿不明(さとうの叔母)@ハッピーシュガーライフ】

【本名不明(さとうの叔母)@ハッピーシュガーライフ】

以上、ありがとうございました。


810 : 絶対エロトラップなんかに負けたりしない!! ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:19:06 et2Mv3Ao0
投下します。

性的描写、一部リョナ描写を含みますのでご注意ください。


811 : 絶対エロトラップなんかに負けたりしない!! ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:20:12 et2Mv3Ao0
「ホンットここってエッチな奴ばっかりね!」

 殺し合いの舞台となった浮遊大陸内にあるエロトラップダンジョンのうちの一つの中で、マエストラーレ級2番艦であるグレカーレは奮闘していた。
 どうやらここは監獄を模したダンジョンとなっているようで、中には多数の牢屋と目を血走らせた囚人がおり、グレカーレ目掛けて一斉に襲い掛かってくる。
 グレカーレは運悪く囚人が多数いる区画に飛ばされてしまい、こうして多くの囚人を単身相手しているのだ。
 手元に艤装があったことが不幸中の幸いだった。これがなければ今頃グレカーレは囚人たちの慰み物にされていただろう。

「このぉっ!」

 グレカーレは連装砲を囚人に向けて放つ。その衝撃と威力で射線上にいた囚人は吹き飛ばされるも、尚も数が減る気配はない。四方八方を、グレカーレの小麦色の肌を見て鼻息を荒くする囚人たちが取り囲んでいた。

「んにゃあっ!?」

 不意に、グレカーレの背後からセーラー服のスカートを鷲掴みにされる。振り返ると、すぐそこにまで迫っていた囚人がグレカーレの服を脱がそうとしていた。

「っ、近寄るなロリコン!」

 グレカーレは生理的な嫌悪感を催しながら囚人の股間を蹴り上げ、スカートから手が離れた隙に囚人の包囲が薄い方へと駆け、包囲網を突破しようとする。

「あっ!?」

 しかし、突破しきる前に囚人に腕を掴まれてしまう。しまった、と思う間もなく、もう片方の腕に両脚も囚人に掴まれ、四肢を拘束されてしまう。

「っ……」

 ぐぐ……と力を籠めても、囚人の身体能力は人間のそれと比べると遥かに強く、いくら艦娘といえどビクともしない。
 動けなくなったグレカーレの肌――髪から頬、剥き出しの脇に縞パンツ越しのお尻までを、囚人の手が容赦なく撫でる。

「触るな……ヘンタイッ!」

 誘うわけでもなく、本気のトーンで叫ぶグレカーレ。
 グレカーレの所属する鎮守府の提督に対しては自分からスカートを捲って視線を誘うこともあったが、自分から誘うのと無理矢理やられるのとでは話が全く違う。
 性欲が人の形を取ったような存在に囲まれて好き放題されるというのは、いくらグレカーレといえど恐怖すら感じるものだった。

「いい加減に……しろぉっ!」

 このままでは状況は悪くなる一方だ。
 グレカーレは囚人たちの包囲から脱出するべく、温存していた爆雷を地面に落とした。

 次の瞬間、耳を引き裂くような爆発音と共にグレカーレごと囚人たちを吹き飛ばした。
 本来、爆雷は海中に落として水中に潜む潜水艦を撃沈するためにあるものだが、それを手榴弾の如く使ったのだ。
 無論、その真上にいたグレカーレも無事では済まない。だからこそ、この攻撃はあまり使いたくなかったのだ。

「いっつつつ……」

 とはいえ、グレカーレはボロボロになった制服と火傷を負いつつも、五体満足のまま囚人の包囲網を脱出することに成功した。マエストラーレ級は対潜戦闘が得意な方だし、悪運が強い自覚もある。
 そのままダンジョン内を駆け、未だ爆風の煙に巻かれている囚人たちから見つからないよう通路の角に身を隠す。

「――ほんっと、悪趣味ね……」

 囚人たちが追って来ないことを確認し、ホッとして呟いた。




§


812 : 絶対エロトラップなんかに負けたりしない!! ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:21:42 et2Mv3Ao0




――まさか、あんな狂った催しが行われていて、それにあたしが参加させられるなんて。

 エッチなトラップがある会場で為される殺し合い。いくら普段は小悪魔的な言動で提督を誘惑していたグレカーレもこれには困惑した。
 そして、直後に見せつけられた凄惨な「デスアクメ」。殺されたのは、グレカーレをもっと過激にしたような雰囲気の小麦肌の少女。その光景はグレカーレにとって、普段から大人を揶揄うお前のようなメスガキはいずれこうなるのだ、と告げられているような気がして、不快というレベルではなかった。

「あたしはあんなダイレクトなこと言わないから!……まあ、あんな目にあっちゃったのはかわいそうだけどさ」

 そう言いながら、グレカーレは爆雷によるダメージが完治した自分の肌を見つめる。

「へー、すごいじゃん。なんの薬かは知らないけど、良いもの引けちゃったね」

 彼女の傍らには、薬の入っていた器が置かれていた。これは元々グレカーレのデイバックに入っていた支給品の一つだ。

「えーと……これ、なんて読むんだろ。日本語のむずかしー漢字はまだよくわかんないなー」

 付属の説明書の名前欄には、「■■の薬」と大きく書いてあった。一体それが何の薬かは詳しく読んでいないので分からないが、殺し合いの再序盤から手傷を負うのはまずいと判断し、とにかく傷を癒すことを最優先に器の中にある薬らしきものをすべて服用した。すると、爆雷で受けた傷がみるみる内に消えていったのだ。

「これでまだ戦えそうね。あのヒョロ人間の思い通りになるものヤだし、帰る方法見つけないとね!」

 グレカーレがそう言って、薬の器をデイバックに収めて立ち上がった、その瞬間のことだった。
 通路の曲がり角から囚人の一人が顔を出し、グレカーレを捕捉したのだ。

「やっば……!」

 囚人は狂ったように叫びながらグレカーレに性欲をぶつけようとする。

「あーもうっ、しつこい!そういうの嫌われるよっ!」

 咄嗟に囚人から距離を取り、反対の方向へと逃げようとするグレカーレ。
 しかし、彼女は知らなかった。彼女の進む通路の先には、彼女を『終わらせる』エロトラップが仕込まれていたことを。

「へ……?」

 グレカーレが床を踏むと同時に魔法陣のような円形の模様がダンジョンの床に浮かび上がった。
 その模様は光を増していき、グレカーレの視界を白で覆う。

「ちょ、なにこれ――」

 グレカーレに避ける暇も与えずに、その光はグレカーレを呑み込んだ。

(何が起こって……?)

 直に、光が止む。エロトラップに巻き込まれたかと思ったが、グレカーレは無事だった。
 エッチなことをされるというわけでもなく、恥ずかしいところを責められている感覚もない。
 が、グレカーレが無事を確認するために身体を見下ろした瞬間、目を見開いた。


813 : 絶対エロトラップなんかに負けたりしない!! ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:22:34 et2Mv3Ao0

「むああああああああっ!?」

 なんとグレカーレは、艤装から衣服、下着まで剥ぎ取られ、一糸纏わぬ姿にされていた。これまで身に着けていたものはすべて塵と化し、全裸のグレカーレの足元にデイバックが落ちているだけなっていた。

「むうっ、んむう、むぐううううっ!」
(何これっ!?何なのよコレえええええっ!!)

 しかも、両手は鋼鉄の手枷により背中で後ろ手に束ねられ、口にはボールギャグを嵌められていて、恥ずかしいところを隠せないばかりか話すこともできなくなっており、くぐもった声しか出せなくなっていた。

「むううっ!んぐむぅっ!」

 外見相応の幼さを持つ胸と股間を隠そうと手枷をガチャガチャと鳴らして外そうとしているが、鋼鉄でできているそれはビクともしない。
 一瞬のうちに、何もかもを奪われて裸にされた挙句、両手を口を封じられてしまった。
 グレカーレをこのような状態に陥れたエロトラップの名は、「強制装着トラップ」。
 衣服を含め、元々装備していたモノを消滅させて特定のモノだけを装備させるという、モノによっては瞬時に参加者を無力化できる危険なトラップだ。
 これによってグレカーレに装着されたのは、よりにもよって鍵穴の無い鋼鉄の手枷とボールギャグ。
 解錠が不可能のため、拘束を解くには物理的に破壊するしかないという悪質な代物だ。

 お尻をふりふりと振って抵抗しながら、グレカーレは最悪の状況になったことに気が付いた。

(ヤバイ……これ、すっごくヤバイ!)

 嫌な汗が剥き出しの肌の上を伝う。
 エロトラップの跋扈する殺し合いに、裸で拘束されて放り出されることが何を意味するかは想像に難くない。海を取り戻すために戦う艦娘であっても、裸で拘束されれば一人のオンナであることに変わりはない。その行く先は、抵抗も許されずに慰み物にされて嬲られる末路だ。

「むあ……!」

 そしてグレカーレはハッとする。
 これまで自分が置かれていた状況を思い出したのだ。
 裸のまま後ろ手に拘束された彼女の目の前には、あの囚人が佇んでいた。
 性欲旺盛な大男と丸腰で拘束された少女。絶望的な力の差がそこにはあった。
 思わず、後ずさりしてしまう。
 しかし、囚人はそれにも構うことなく、グレカーレに手を伸ばして来た。

「っ!」

 グレカーレは、咄嗟にまだ動く足で囚人を蹴った。

「っ、っ、ふっ!」

 何度も、何度も。追い詰められた鼠のように、げし、げしと囚人をハイキックで蹴りつける。たとえそれが急所である股間を自分を襲い来る相手に晒す行為だとしても、目の前の脅威をどうにかしないと、命に係わると感じていた。
 幼気な拘束された全裸の少女が、五体満足の大男相手にキックだけで立ち向かっているという光景は、どこか滑稽で微笑ましくも、無様で異様だった。
 しかし、そんな抵抗もすぐに終わりを告げる。


814 : 絶対エロトラップなんかに負けたりしない!! ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:23:32 et2Mv3Ao0

――ドゴォッ!
「ふぎいいっ!?」

 そんな打撃音と少女の悲鳴が聞こえると同時に、グレカーレは悶絶しながら倒れる。なんと囚人は、ハイキックをしたことで曝け出されたグレカーレの股間を力いっぱい蹴ったのだ。
 所謂金的攻撃。だがたとえ女でも、痛いものは痛い。
 倒れ伏すグレカーレは、少しでも恥骨の痛みを和らげるために、足を折りたたんだまま縮こまっていた。

「ひっ――」

 だがそれで囚人が満足するはずもなく、グレカーレの金髪を掴んで強引に起き上がらせる。そのまま彼女を黙らせるために、拳を振り上げた。

――ガチャ!

 咄嗟に顔を防御しようとしたグレカーレだが、彼女の両手首に嵌まった手枷がそれを許さない。守ることすら許されず、グレカーレはモロに顔を殴られてしまった。

「ぐべえっ!」

 もう一度床に叩き付けられるグレカーレ。

(痛い痛い痛い痛い痛い――)

 涙も鼻水も垂らしながら、この状況をどうにかしようと考えを巡らすが、後ろ手に拘束されてはデイバックに手を突っ込むのも一苦労で、目の前にいる囚人に対処する策がまったくと言っていい程浮かんでこない。

(死んじゃう……このままじゃ……殺される……!)

 グレカーレは恐怖で息を荒くしながら、囚人を見上げる。その血走った目を見て、死ぬより酷い目に遭うかもしれないとすら感じてしまう。
 そんなグレカーレに残された選択肢は――逃走。幸い、じっとしていたことで恥骨の痛みは引いた――早すぎる気もするが――。グレカーレはよろよろと立ち上がり、両手を後ろに組まされたまま、腰をへこへこと揺らしながら無様に敗走する。

「あっ!?」

 しかし、NPCである囚人にそれをわざわざ見逃すほどの慈悲はプログラムされていない。
 艤装も失った上に後ろ手に拘束された身体ではとにかく走りづらく、逃げ足は格段に落ちていた。グレカーレはすぐに追いつかれ、真正面に向き合わされる。

「ひゃら……ひゃめへ――」

――ドゴォッ!

「がふっ……」

 囚人は力いっぱいの拳をグレカーレの腹にめり込ませる。
 両手を後ろ手に組んでいることで防御もできないグレカーレは、地肌にそれをモロに受け、後方に大きく吹き飛ばされる。

「ぎ……は……」

 ボールギャグの間から吐息を漏らし、カエルのように股を開きながら仰向けに寝転がるグレカーレ。
 今度こそ一貫の終わりか――と思われたが、ここに来て彼女の悪運の強さが発揮された。
 再び彼女のいる床に、魔法陣の模様が浮かび上がり、そこから放たれる光がグレカーレを包み込んだ。

――そして光が止んだ頃には、グレカーレの姿はそこにはなかった。




§


815 : 絶対エロトラップなんかに負けたりしない!! ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:24:13 et2Mv3Ao0




――転移トラップ。

 所謂テレポートを参加者に強要するもので、会場内の無作為の場所へと飛ばされるトラップ。参加者の状況によっては脅威になり得るものだが、グレカーレにとっては間一髪の助け舟になった。
 尤も、それがグレカーレにとって幸せになるものかは不明だが。

 転移された先で、グレカーレは小麦色の肌から恥ずかしいところまで何もかもを晒したまま、とぼとぼと歩く。

(何とかしなきゃ何とかしなきゃ何とかしなきゃ……!)

 たとえ難を逃れたとしても、グレカーレが衣服を剥ぎ取られ、両手を拘束され、口を封じられていることに変わりはない。しかも、デイパックは元の監獄風のダンジョンに置き去りにしてしまった。これで正真正銘の丸腰に拘束具をつけられたまま、殺し合いの会場に放り出されたことになる。
 普段の彼女からは想像もつかないほどに思いつめた表情で、グレカーレは夜風の寒さに身震いしながら必死に考える。

(何とかしなきゃ何とかしなきゃ何とかしなきゃ……でもどうやって……どうしたら……!)

 このままでは攻撃手段がキックだけに限られ、碌な抵抗ができない。仮に他の参加者に助けてもらうとしても、ボールギャグで口が塞がれているため、事情を話すのにも手間取ってしまうだろう。そもそも、これから会う殺し合いの参加者が自分を助けてくれるとも限らない。NPCに出会うかもしれない。

(姉さん……リベ……シロッコ……提督……!)

 グレカーレは、鎮守府にいた姉妹艦と提督の顔を思い浮かべながらも、その足を止めない。

(こんなところで諦めないんだから……絶対こんなエロトラップなんかに負けたりしないんだからぁっ!)

 こんな状況に陥っても絶望せずに自ら動けるのは、腐っても艦娘といったところか。
 絶対に生きて帰還してやる――そう心に誓いながら、グレカーレは、裸で拘束されたまま、浮遊大陸を彷徨い歩くのだった。






§


816 : 絶対エロトラップなんかに負けたりしない!! ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:25:32 et2Mv3Ao0






――だが、グレカーレにとってはあの時囚人に負けてボロ雑巾のように捨てられて死んでおいた方が幸せだったのかもしれない。
 監獄風のエロトラップダンジョンでグレカーレが服用した薬――あれは「蓬莱の薬」。飲んだ者は不死者と化し、永遠の苦しみを課す呪いの薬。
 つまるところ、多少の制限があるとはいえグレカーレは不死ともいえる回復力を身に着けているのだ。
 しかし、今のグレカーレの状態はどうだ。
 衣服を剥ぎ取られ、すべての支給品を失い、両手と口を拘束されて使えない――まさに、性欲旺盛な者に対して「襲ってくれ」と言わんばかりの無力な状態。
 抵抗も許されず、簡単に死ぬことも許されず、逃れられない苦しみを受けるしかない――それが現在のグレカーレなのだ。
 彼女を待ち受ける運命とは、如何に――。


【グレカーレ@艦隊これくしょん】
[状態]:蓬莱人、全裸、後ろ手拘束状態、口枷状態、股間・頬・腹部に打撲痕(急速回復中)
[装備]:鋼鉄の手枷、ボールギャグ
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから帰還する
1:どうすればいいの……!?
2:エロトラップなんかに絶対負けない!
[備考]
※蓬莱の薬について、首輪起動or爆発による死亡以外の不死の程度については後の書き手にお任せします。
※グレカーレに装着された鋼鉄の手枷とボールギャグには鍵穴がなく、解錠不可能です。拘束を解く場合は物理的な破壊に限られます。
※グレカーレのデイパック(蓬莱の薬(使用済み)+不明支給品入り)は監獄風のエロトラップダンジョンに落ちています。

『支給品紹介』
【グレカーレの艤装@艦隊これくしょん】
艦娘の標準装備。
これを装備して海を駆け、砲撃、魚雷、爆雷などの多彩な攻撃で深海棲艦を撃沈する。
マエストラーレ級の特徴として、爆雷による対潜攻撃が得意な傾向にある。
その他、火力と装甲が他の標準的な駆逐艦と比べて若干高め。

【蓬莱の薬@東方project】
グレカーレに支給。
八意永琳が千年以上前に作った不老不死の薬。
服用すると蓬莱人の特徴を得て不老不死となるが、同時に死にたくても死ねなくなる。
此度の殺し合いでは首輪の爆破、およびデスアクメによっては死亡するよう制限されている。

『エロトラップ紹介』
【監獄風エロトラップダンジョン@オリジナル】
その名の通り、監獄を模した構造のエロトラップダンジョン。
中には檻が多数存在し、大量の囚人たちが参加者を襲おうと徘徊している。
傾向として、対象の装備を変更したり、拘束具を強制装着して無力化するエロトラップが多い。

【強制装着トラップ@オリジナル】
予め設定されている装備を、トラップにかかった者に強制的に装着させるエロトラップ。
その際、対象が元々装備していたものは下着も含め、余程特別なものでない限り塵と化し、消滅する(デイバックは例外)。
結果的に全裸に剥いた上で特定のモノ「だけ」を装備させる悪趣味かつ危険なトラップ。
グレカーレの場合、解錠不可能な手枷とボールギャグを装着されて致命的な状態へと転がり落ちた。

【転移トラップ@オリジナル】
対象を会場内のランダムな場所へとテレポートさせるトラップ。
一見地味だが、NPCが跋扈する場所に飛ばされることもあれば、複数人で行動している時はパーティが分断されるため危険。
一方で、危険な状況から逃がしてくれる側面もある。

『NPC紹介』
【囚人@オリジナル】
浮遊大陸上に設置された監獄を模したエロトラップダンジョンに潜む、性欲旺盛な大男。
女を見つけると見境なく襲い掛かるようプログラムされており、それ以外の知性は持たない。
中にはイレギュラーとして男色傾向の囚人もいるかも……?


817 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/22(月) 02:26:40 et2Mv3Ao0
以上で投下を終了します。

とりあえず私個人の性癖をぶちこんだ候補話でした。


818 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/22(月) 06:34:53 rK6O/oek0
投下します。


819 : その男、中間管理職ぅ〜〜〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/22(月) 06:35:38 rK6O/oek0
中間管理職ーーーーーー管理職の中でも、自身より更に上位の管理職の指揮下に配属されている管理職の事を言う
wikipediaより引用。

——————シュボッ!

フゥ—————————————……

紫煙がゆらゆらと動き、空へ舞い上がる。

「……気に入らん」
苦々しい顔をする中年の男。
男の名前は利根川幸雄。
帝愛グループのNO2にして中間管理職。

シュボッ———————

「……」

——————フゥ……

「正直、社会のクズ共が死のうが知ったこっちゃない……」
そう、トネガワ自身もゴミである借金滞納者に対する悪魔的ゲームを立案して取り仕切る立場にいる。
故にそうしたクズ達の”死”に心を痛むことはない。
”殺し”と”エロ”……自身が仕える会長なら涎を垂れ流してクククと嗤いながら鑑賞するであろう。

(これだけの内容が個人の趣味で終わるとは思えん。おそらく、あの男は興行主で背後には財界や大企業の大物が関わっているのだろう。もし、これを取り仕切るのが帝愛だったら”そうする”」
とどのつまり、これは中世のコロシアムのようなもの。
殺し合いと性欲という表に出せない加虐と性癖を満たす見世物としているのだとトネガワは推測したのだ。

「……だが、年端もゆかぬ少女をあのような方法で殺して見世物にする輩に従うのはワシの沽券に関わる」
あのパフォーマンスはトネガワに反発する気持ちを抱かせるだけだった。
これが、見世物とされた人物がクズであったのなら、トネガワも乗っていたのかもしれない。

「ワシは乗らんッ!」
(それにあの男の所為で週末のゴルフがパぁ……ッ!!)

これは、苦悩し葛藤する男の小さな小さな物語。

【利根川幸雄@中間管理職トネガワ(アニメ)】
[状態]:健康
[装備]:パーラメント(タバコ)@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る
1:他の参加者と接触して情報を収集する
2:なるべき殺しはしたくないが、止むを得ずのときは……
[備考]
※参戦時期はアニメ最終話後
※これは見世物で主催の男(ヒエール)は興行主で、背後に財界を始めとした大物の顧客が存在していると推測しています。


820 : その男、中間管理職ぅ〜〜〜 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/22(月) 06:35:49 rK6O/oek0
投下終了します。


821 : ◆4kMBNI9QkE :2021/11/22(月) 12:50:04 u/Wc8ioo0
投下させていただきます。


822 : 見た目は大人、中身は子供、世間的にはスーパーヒーロー ◆4kMBNI9QkE :2021/11/22(月) 12:51:02 u/Wc8ioo0
「たくぅ……なんで僕がこんな目に……」

あちこちに性欲に狂ったNPCとイヤらしいエロトラップが配置され、
血生臭い殺し合いが巻き起こりつつある浮遊大陸。

その片隅で、一人の少年がぶつぶつと文句を呟いていた。

彼の名はビリー・バットソン。
幼い頃に母親と生き別れ、15歳になるまで里親と施設を渡り歩いてきた悲しい境遇の持ち主ながら、そんな弱さを他人には微塵にも感じさせないバイタリティー溢れる少年である。

「全く……こんな首輪付けちゃってさぁ……鬱陶しいったら……」

自身の首に嵌められた首輪を撫でながら、ビリーはため息をつく。

「……あ」

その時、ビリーはある事に気がついた。

「なんだ。簡単じゃん」

そう、ビリーにはある『秘策』があったのだ。
首輪を簡単に外せる上に、上手く行けばこの物騒な浮遊大陸からも脱出できるかもしれない『秘策』が。

ビリーは深く息を吸い込み、一声叫んだ。


「SHAZAM(シャザム)!」


ビリーの叫びと同時に、一陣の稲妻が煌めいてビリーの体を貫き、白煙が上がる。


白煙が収まると……そこには胸元に黄色い稲妻のシンボルが描かれた赤いスーツと金縁の白いマントを纏った筋骨隆々とした威丈夫が立っていた。

これこそ、ビリー・バットソン少年のもう一つの姿。
『地上最強の人間』の異名を持つスーパーヒーロー『シャザム』である!

「フフフ……アーハッハッハッハッハッ!どうだ主催者!お前なんかより、僕の方が一枚上手だったみたいだなぁ!!」

シャザムは勝ち誇るように高笑いをあげ、自身の首元を摩る……が、

「あ、あれ?」

……その首には、しっかりと首輪が嵌められていたのだった。

「……ウソ〜ン」

どうやら『一枚上手』だったのはシャザムことビリーではなく、ヒエール・ジョコマンの方だったようだった。

「え〜!なにこれ!?変身したのに首輪が無くならないなんて、ズルイよ!!」

『主催者を出し抜けた』と思ったらそうはいかず、シャザムは地団駄を踏んで悔しがる。

見た目は厳つい威丈夫が駄々を捏ねるというのはシュールな光景ではあったが、なにぶんその実年齢は15歳。
思い通りにいかずに駄々を捏ねるのも致し方無しである。

「もう……シャザム!」

シャザムは不満げに頬を膨らませながらもう一度魔法の呪文を叫び、稲妻と共にビリー・バットソンの姿に戻った。


823 : 見た目は大人、中身は子供、世間的にはスーパーヒーロー ◆4kMBNI9QkE :2021/11/22(月) 12:52:13 u/Wc8ioo0
「あぁもう……!せっかく逃げられると思ったのに!」

ビリーは支給されたデイバックを枕代わりにして草の上にふて寝する。

「あ〜あ……なんだって僕がこんな目に合わなきゃいけないんだろ?」

ビリーは苛立ちを隠そうともせず、デイバックの中から取り出したパンをふてくさりながら咀嚼する。

そのパンの味は……なんだかしょっぱかった。

「……水、飲むか?」
「……えっ?」

その時、どこからかビリー以外の第三者の声が聞こえた。

ビリーが声のした方に顔を向けると………

………森の中の一際大きな木に、一人の人物がふて寝をしているビリーを見下ろすような形で立っていたのだ。

「えっ……い、いつの間に……?」

目を丸くして呆然とするビリーを尻目に、人影は木から飛び降りてビリーの目の前に着地する。

歳はだいたい20代くらい。
迷彩柄のベストと腰巻き、腰にはまるでコンドルの顔を模したベルトを、左上腕には同じくコンドルの顔を象った腕輪をそれぞれ装着した、ウェーブがかった髪のアジア系と思われる青年だ。

「叫んでたの、お前か?」

青年は立ち上がると、ビリーへと一歩一歩近づいていく。

「いや……あの……えっと」

突然の事態にビリーはどうしたら良いのか分からず、しどろもどろになっていた。

「どうした?お前、元気ない!」
「!」

青年はビリーの細い体を掴むと、まるで幼い子供に『高い高い』をするように軽々と持ち上げた。

「外出る!子供、太陽の下でたくさん遊ぶ!」

困惑しているビリーを尻目に、青年は屈託の無い笑みを浮かべていた。

「オレ、アマゾン!よろしく!」

「アマ・・・ゾン・・・?」

『アマゾン』と名乗る目の前の青年に、ビリーは困惑の表情を浮かべたのだった。
その時、ビリーは自分が今幼児のように『高い高い』をされている事に気付き、顔を赤くした。

「は、離せよ!離せってば!!」

アマゾンの高い高いから解放されたビリーは、腹立たしげに体をはたく。

「?」

そんなビリーの行動が理解できず、アマゾンは首をかしげるのであった。

「たくっ……なんなんだよ一体……」
「だから、オレ、アマゾン」
「名前聞いてんじゃないんだよ!?」
「お前は?」

苛立ちを隠そうともしないビリーに対し、アマゾンはマイペースを崩そうともしない。

「お前、名前は?」
「……ビリー。ビリー・バットソン」
「ビリー……うん。いい名前」
「あっそ。じゃあね」

ビリーは自身のデイバッグを肩に担ぐと、アマゾンに背を向けて歩きだした。

「……」

しかし何を思ったのか、アマゾンはビリーの後についてその後を追いかけていく。

「何?何かよう?」
「……子供一人で夜の道、危ない」
「子供扱いすんなよ!?」

ビリーは足早に歩いて行くが、アマゾンはその後を付かず離れず追いかけていく……。


824 : 見た目は大人、中身は子供、世間的にはスーパーヒーロー ◆4kMBNI9QkE :2021/11/22(月) 12:52:49 u/Wc8ioo0
【ビリー・バットソン(シャザム)@DCエクステンデッド・ユニバース】
[状態]:健康、苛立ち
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:早く帰りたい
1:何で僕がこんな目に……
2:こいつ(アマゾン)、うざい
[備考]
『シャザム』本編終了後からの参戦。
変身しても首輪は外れません。

【山本大介(アマゾン)(仮面ライダーアマゾン)@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]:健康
[装備]:ギギの腕輪@仮面ライダーSPIRITS、コンドラー@仮面ライダーSPIRITS
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:参加者を助ける
1:ビリーが心配だから、着いていく
2:他の仮面ライダーがいるなら合流する
[備考]
沖縄でのガランダー帝国戦終了後からの参戦。
ギギの腕輪とコンドラーは支給品ではありません。


【ギギの腕輪@仮面ライダーSPIRITS】
アマゾンこと山本大介の左上腕に装着されている腕輪。
古代インカに伝わる秘宝で、仮面ライダーアマゾンのエネルギー源。
対となる『ガガの腕輪』と一つになる事で超エネルギーを生み出す。
アマゾンの体と融合しており、これが外れるとアマゾンは死ぬ事になる。

【コンドラー@仮面ライダーSPIRITS】
アマゾンこと山本大介の腰に装着されているベルト。
他の仮面ライダーのベルトと違い、変身アイテムではない。
必要に応じて万能ロープやノコギリに変形できるほかに薬草を調合する際の薬研としても使用されるなど、サバイバルのための小道具的装備品。


825 : 見た目は大人、中身は子供、世間的にはスーパーヒーロー ◆4kMBNI9QkE :2021/11/22(月) 12:53:15 u/Wc8ioo0
投下終了します。


826 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:19:03 vMFb1kjE0
代理投下します


827 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:19:24 vMFb1kjE0
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

『ド#』は ほねがおれる音

『レ 』は にくがつぶれる音

『ミ♭』は なにかがとびだす音

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828 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:19:41 vMFb1kjE0
「ヒエールとか言う奴!何考えてんですか!」

篠原美笛にとって、こうして拉致されるのは二度目となる。
彼女は先程まで、精神をメビウスという如何なる夢も叶える仮想世界に閉じ込められていた。
その首謀者の暴走を止め、ついに夢から覚めて現実へと向き合おうとした矢先にこの世界に呼ばれた。

「エロトラップだがなんだか知りませんがとっとと帰らせてもらいますよ!」

20億円だの感度3000倍だのデスアクメだの人を馬鹿にしているとしか思えなかった。
いくら金を積まれようが美笛は乗る気はない。
ヒエールへと怒りと嫌悪感が湧いている。
美笛は過去に『Stork』という色欲に溢れた者を相手にしたことがあった。
しかしヒエールは彼とはまた違う嫌悪感を抱く。
むしろ『琵琶坂永至』や『ウィキッド』のような、自分が楽しければ相手がどうなろうと構わない人種と近しいものを感じた。

「絶対帰るんだから!お母さんのところに!」

メビウスの中では仲間と協力して、理不尽に抗った。
この場においても美笛がやることは同じだ。
仲間を集め、ヒエールの企みを阻止し元の世界へと帰宅する。
そのために美笛は駆け出した。


〇〇〇


「あ、えっと……私、長谷川夢って言います……」
「夢ちゃんね、私は篠原美笛!」
 
しばらくして、巻き込まれた参加者の影を見つけた。
当初、目の前の少女は怯えていたが、人懐っこい美笛を相手する内に恐怖心が薄れていく。
互いに自己紹介を終え、行動を共にすることにした。

「私、殺し合いなんて、したくないです……」

出会った長谷川夢という少女は、美笛と同じく高校一年生だった。
彼女は暴力が嫌い。見るのも苦手なのだという。
その臆病さは美笛と中の良い『神楽鈴奈』のことを連想させた。
美笛はこのような殺し合いの場で彼女を一人にさせるような者ではない。

「早く、お兄ちゃんのところに帰らないと……」
「大丈夫だよ、夢ちゃん。どんな敵が来ても私が守ってあげるから」
「あ、………はい」

ぎゅっと夢の手を握り、目を見て笑顔を向ける。
本当は美笛も内心では怖がっている。
それでも彼女を不安にさせないように強がった。

(怖いよね……あんなの見たら)

脳裏に浮かぶのは色黒の少女が無残に死にゆく光景。
美笛自身もメビウスの戦いで人が死んだときは立ち直るのに時間がかかった。
人一倍臆病な夢であればその精神的ショックは大きいだろう。
そんな彼女のペースに合わせるように美笛はゆっくりと歩いて。

カチリ、という乾いた音が響いた。

「何?今の音!」

それは、この会場に設置されたトラップのひとつ。
結論を言えば、彼女達が踏んだのはその中でも軽度の罠だった。

「……なんか、お腹すいたような?」

ぎゅるり、と可愛らしい音が鳴った。
それは空腹のワナ。
あるダンジョンに存在する、踏んだ者を空腹にさせるだけのもの。
万全の状態であれば脅威ではないトラップである。

「そっちは大丈夫?夢ちゃん?」

念の為、他に影響は無いか確認する。
美笛は夢の方に振り向いた。


829 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:20:05 vMFb1kjE0
ドクン。

ピキピキ、ボコ、ピリ。

ビギャ。

「あ」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

それはまるで、蛹が蝶になるように。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


830 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:20:29 vMFb1kjE0
「夢、ちゃん……?」

長谷川夢の身体が変わっていく。
身体の殻を破るように、全身から赤黒い異形が生えていく。
植物がコンクリートを割って咲くように、触手のような肉塊が皮膚から飛び出して、少女のあどけない顔を、華奢な身体を破壊していく。
それは例えるならば、蛹が殻の中で身体を溶かしたようなドロドロとした中身。
夢の身体はその原型を残さぬ異形へと変化していく。

空腹のワナは万全の状態であれば、脅威ではない。
万全の状態であれば、だ。
既に飢えている者が踏めば、それだけで危機となる。

長谷川夢はウイルスに感染していた。
その名もpupaウイルス。
それは宿主に驚異の回復力を与える代わりに、耐え難い空腹感を強いる。
最終的に宿主の細胞を蝕み異型の怪物へと変質させるもの。

「あ、……逃げて、ください」

あどけない顔の横半分が肉塊で埋まり、ボコボコと盛り上がっていく。
衣服を突き破り、彼女の意思を無視して枝葉のような触手が伸びる。

元々長谷川夢はその衝動を投薬により一時的に抑えられていた状態だった。
しかし、その抑えは罠による強制的な飢えにより崩れ去った。
結果として夢の理性は少しずつ食欲に呑まれていく。

「ヒエール!あんた絶対許さないから!」

もっとも、美笛にとってそんなことは分からない。
かつて美笛は人間を人形に変える者と戦ったことがあった。
だから、ヒエールの仕掛けたエロトラップによって夢が化け物にされたのだと勘違いした。

「だ、駄目」

夢の身体から生えていく肉塊は、彼女の意思を無視して美笛に襲いかかる。
飢えた獣とは凶暴なもの。
先端に牙が生えて、美笛を食い尽くすための口が産まれる。

触手が伸びる刹那。
手は突如現れたガラスにより防がれる。
美笛はオレンジ色の障壁、『ファストプロテクト』を展開。
攻撃の止まった隙を付き、『ダッシュ』して距離を取る。
触手による攻撃をある程度、美笛は予想していた。
頭の中で相手の動きをシミュレートし、その動きに対処する連続行動を行う。
仲間内で未来視<イマジナリィチェイン>と言われる、自身の空想を戦闘に活かした戦い方だ。
その戦法でタイミング良く障壁を貼り、防衛の準備を整えた。

暴走する夢が体制を立て直す前に、美笛はハンマーを構える。
ハンマー状のそれは、カタルシスエフェクトと呼ばれる、自身の心の貌を武器にした能力だ。
使う技は『クイーンアナフィラキシー』。
自身の心の奥に向き合って身につけた攻撃スキル。
あの日謝れなかった母への思いが形となり、美笛に力を与える。
その「思い」が、言葉通り「重さ」となった、強烈な一撃だ。

「キツイのいきます!」

怯んでいるうちに、伸びた肉塊に猛打を与えていく。
目で追いきれぬほどの速さで、ハンマーを叩きつけていく。
十打程打ち込んだところで、身体を回転させ、勢いを付けたまま飛び上がる。
ハンマーの重みに遠心力が合わさった強烈な一撃を叩きつけた。

「この!この!この!」

攻撃を受けて、肉塊の流出が僅かに収まる。
カタルシスエフェクトは肉体ではなく精神に影響を及ぼすものだ。
この力で、夢が死ぬことは無い。
美笛は過去にデジヘッドという、衝動に浸食された相手を正気に戻したことがある。
同様にこの力で夢の暴走を抑えることが出来たとしても不思議では無い。

美笛は夢が怯んでいる<リスクブレイク>状態であるうちに、次の攻撃の準備をする。
再度カタルシスエフェクトを発現させ、ハンマー投げのように身体を回転させる。
『ブリリアントブリミア』。溜め込んだストレスをオーバードーズさせて一気に開放する美笛の最強技。
遠心力を増しながら何十倍にも膨れ上がるハンマーは、美笛の心そのものといっても過言ではない。

「悪い子は食べちゃうよっ!」

その巨大な衝動は、勢いを残さぬまま肉塊に叩き付けられた。


831 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:20:53 vMFb1kjE0
〇〇〇


夢から生えていた肉塊はスルスルと身体の中に戻っていった。
長谷川夢は普通の人間としての姿を取り戻す。
溢れた肉によって衣服が破れたことで、成長期少女の裸体が晒されている。
美笛は支給品にあった制服を着せて、彼女が起きるのを待った。
夢は、戦闘で体力を使ったのか眠っている。
暴走を抑えるためとはいえ、手荒なことをしてしまったことに申し訳無く思う。
彼女をあのような姿にしたヒエールへと怒りが湧いてくる。
一刻も早く彼を倒し、元の世界に帰ろうと強く決意した。

「……オ」
「気が付いた?大丈夫?夢ちゃん」

美笛は、怖がらせないように笑顔で優しく声をかけ、
気絶から覚めた夢は目をぱちくりさせる。
そうして辺りを見渡して今の状況を理解して。
ゆっくりと言葉を紡いだ。

「……オナカスイタ」

ベリベリと夢の背より二本の触手が生え、肥大化し、夢の身体が脱ぎ捨られていく。
その姿は翅を広げる蝶のよう。
小さな身体の中にどのように抑えられていたのか、体積の十数倍はあるであろう肉塊がどくりと溢れて完全に身体を包み込んだ。

美笛の失敗は、夢の変化をデジヘッドのように外的要因による変化だと判断したことだ。
夢の空腹衝動はpupaウイルスによる永続的なものであり、治療法は無い。
定期的に薬を摂取することで発作は抑えられるが、それは一時的なもの。
カタルシスエフェクトによって衝動は抑えられたとしても、空腹そのものが満たされたわけで無い。
肝心の飢えが満たされていない以上、その抑え込んだ衝動は再び燃え広がる。

食欲とは生命維持に直結する原始的な欲望だ。
心理学者マズローは、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていると提唱した。
食欲といった生命維持に関する生理的欲求は、その最下段に属する本能的欲求だ。
他のあらゆる欲求はこの欲が満たされていなければ抱けない。
一時的に抑えられはしても、生きている限り無くなることは決して無い衝動。

その衝動は収まらず、身体から溢れ出る。
もはや人間の姿は失われた。
華奢な手足は獲物を狩ることに適した強靭な4本足へ作り替わる。
幼い顔は赤黒く染まり、食欲に呑まれた巨大な口に牙が生える。
長谷川夢は完全に異形の化け物へと変貌した。
目の前にいるのは夢ではない。捕食することに特化した生き物だ。
糧を食らわんと、巨大な掌が勢いよく美笛へと振り下ろされる。
カウンター技を持たない美笛に、敵の攻撃を防ぐ手段は回避か防御だけだ。
触手のような点による攻撃ではなく、手による面の攻撃は回避しきることが出来ない。

「あっ……!」

パリン。

咄嗟に防御を選ぶ。
しかし、ファストプロテクトは無敵の防御ではない。
ガードをブレイクする程の強力な一撃を受ければ、簡単に崩れ去るもの。
無敵の防御は裏返り、体制が崩れて隙へと変わってしまう。

そのまま動けなくなった身体を、自分の身長ほどもある巨大な手に押さえつけられる。
戦闘からの『エスケープ』はもう叶わない。『ヒーリング』を行ったところで僅かに余命が延びるのみ。

「ひっ……」

人間は飢えた動物には勝てない。手負いの獣であれば尚の事。
ましてや、それが自分の数倍もの巨体であればどうなるか。
篠原美笛は、生き餌となった。


832 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:21:23 vMFb1kjE0
〇〇〇


【『ド#』は骨が折れる音。】

「い”っ”だ、やめ……で」

体重がかかり、圧力に押し潰される。
手足の骨が折れ、立ち上がることはもう出来ない。
砕けた骨が皮膚を突き破る。
臓器に刺さった物もあるのか、血溜まりが食道を伝って湧き上がる。
吐瀉物と血の混ざったものを吐き出した。
どれだけ救いを懇願してもその声は届かない。
化け物に人間の倫理観は通用しないのだから。

【『レ 』は肉が潰れる音。】

「あ”あ”あ”あ”あ””あ”」

巨大な手が離れたかと思えば、再び叩きつけられる。幾度となく。
生きたまま身体をミンチに作り変えられる。
皮膚が破ける、全身が赤に染まる。
衣服は意味をなさず布切れとなり、篠原美笛は裸体を晒す。
羞恥を気にする余裕もなく、頭の中は絶望に染まっている。

【『ミ♭』は何かが飛び出す音。】

「う”あ”っ”、あ”ぇ”」

腹部が破裂した。
すでに圧を受けた身体は脆い。
潰れた蛹のようにドロドロのグチョグチョだ。
全身の傷跡から中身が飛び出る。
出血。失禁。解放骨折。
腸が腹部から溢れる。筋肉が露出する。
皮膚はその役目を果たさない。
むき出しとなった神経は、風が吹くだけでも激痛が走る。

「だすけ…だれ……せんぱ……」

人が死ぬときは歌が流れる。
断末魔。骨が折れる音。肉が潰れる音。何かが飛び出す音。
それらが混ざって一つの歌となる、人が死ぬ音色だ。
世界の片隅で起こる悲劇を彩るレクイエム。

「が”ぇ”…………」

肺が潰れた。
叫ぶための声すら奪われる。
少しずつ息が出来なくなる。
残された呼吸を使い果たせば、死は目前だ。

人の内蔵はときに果物に例えられる。
瑞々しさ。独特の香り。骨を思わせる種子。噛んだときに中身が飛び出す食感。
果肉とはよく言ったものだ。
下ごしらえの終わった果実は捕食される定め。
中から飛び出したものから、順番に噛みちぎられる。
美笛の身体に食い込む歯列、咀嚼音、腹に流し込まれていく肉片。
ぶちぶちと飛び地が生まれ、美笛の存在が削られていく。
肉が裂け、熱い血が一面に飛び散り、
呼吸が千々に乱れ、ブチブチと骨や筋が磨り潰されていく。
むせかえる程の鉄の匂い、薄れゆく意識、
そして体はただの肉塊となる。

化け物が頭部を口に咥える。
そのまま首筋に力を入れ、ニッパーのように歯を立てる。
べきり、と音を立てて、美笛の頭が外れた。

(お……かあ…………さん)

吐き出され、地面に叩きつけられる。
最後に思ったのは、謝れなかった母への気持ち。
全部夢だったら良かったのに。
そう願い、美笛の意識は苦しみに塗りつぶされて溶けていった。

【篠原美笛@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ- 死亡】


833 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:22:09 vMFb1kjE0
〇〇〇


【オイシイ】

柔らかな腸を噛む。
二の腕にこびり付いた肉を毟る。
女性的な丸っこい肩肉を抉る。
程よく脂肪のついた尻肉を齧る。
鉄の味が染みついた心臓を飲み込む。
胃袋、膵臓、肝臓はほろ苦い。
篠原美笛の命を維持していた組織が、別の命の中へと混ざる。

【オニクオイシイ】

頭部に食い付き、目を、耳を、鼻を食い破る。
頬肉を摘む。よく笑って鍛えられた表情筋は噛むたびに弾力が帰る。
唇を、舌を貪る。食いしん坊な彼女らしく味が染みている。
邪魔な毛髪は、頭皮ごと力尽くで剥がす。
叩き割れて穴の空いた頭部に口を付け、脳味噌を啜る。
独特の臭みのあるドロドロとしたものが吸われていく。
篠原美笛を形成する部品がひとつひとつ解体され、胃の中へと落ちていく。

【ドウシテコンナニオイシイノ】

胸肉はモチモチと反動が楽しい。
膨らみのある部分がジューシー。
子宮はコリコリとした歯応え。
程よい硬さは食事のアクセントとなる。
卵巣はぷにぷにと弾力がある。
小さな口に納まれば、一つ一つプチプチと潰れていく。ぶちゅりとジュースになって喉に落ちる。
篠原美笛のもっとも大切なものすら、消えてなくなった。

小さな口?

「あ、れ」

長谷川夢はいつの間にか人間の姿に戻っていた。
篠原美笛が使ったカタルシスエフェクトと呼ばれる異能。
その力を受けた者は衝動を抑圧され、正気に戻る効果がある。

「いや……そんな……」

夢の暴走の原因となっていた空腹衝動は美笛を捕食したことである程度収まった。
衝動と抑圧のバランスが逆転した今、時間差でその効果を発揮する。

冷静さを取り戻した先程までの彼女は自分の行為を理解する。
化け物になったのはつい先日のこと。
彼女の中身は『まだ』ただの中学生でしかない。
自分が人を喰い殺した現実(じごく)を受け入れるには幼すぎた。

風が吹き、ちぎれた美笛の頭部がごろりと転がった。
そこには存在していたはずの柔らかなパーツが一切存在しない。
元気な表情を作っていた表情筋は無くなり、赤と白で塗りつぶされている。
頭蓋骨は原形を留めず、彼女がどんな頭の形をしてしたかすら分からない。
僅かに残った脳漿を零し、かつて目玉があった眼孔を静かに向けている。

『アナタが喰い殺した』

物言わぬ首がそう呟いた、気がした。

長谷川夢は逃げ出した。


※長谷川夢の衣服、中学校夏制服@ご注文はうさぎですか?が破れた状態でその場に残っています。
※篠原美笛の基本支給品一式、ランダム支給品0〜2はその場に放置されています。
※分かれた頭部と肉片だけ残された篠原美笛の残骸がバラバラになって血溜まりの中に転がっています。
CaligulaOD出典の参加者が参戦した場合でも、元が彼女だと判断することは不可能でしょう。

【長谷川夢@pupa】
[状態]:全裸、また化け物となってしまったことへの恐怖、罪悪値増加
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:お兄ちゃんの所に帰りたい
1:???
[備考]
※参戦時期は原作漫画4話で長谷川現と合流後から「夢と現の7日間」終了までのどこかです。
※抗pupa薬を摂取しなければ、また近いうちに羽化します。

人殺し

『エロトラップ紹介』
【空腹のワナ@不思議のダンジョンシリーズ】
チュンソフトの不思議のダンジョンシリーズに登場するワナの一つ。
作品によっては「空腹スイッチ」「はらへりのワナ」「ハラペーニャのワナ」とも呼ばれる。
つまり踏んだ者の満腹度を減らす罠。
減少量は作品によって変わるが、このロワでは一食抜いたぐらいの空腹に襲われる。


834 : ドリームカーニバル ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:22:28 vMFb1kjE0






逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出した。
逃げ出したが 罪からは
逃げられない。決して。


835 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/22(月) 21:22:44 vMFb1kjE0
代理投下終了します


836 : ◆OmtW54r7Tc :2021/11/23(火) 08:11:46 SKG2IiLE0
投下します


837 : エッチなキタキタ踊り ◆OmtW54r7Tc :2021/11/23(火) 08:12:40 SKG2IiLE0
「うーん、どっかに女の子はいないですかねえ」

一人の魔物、いや、悪魔が森を歩いている。
彼は種族名を「ケベスベス」という悪魔である。
彼の能力は二つ。
一つは身体を動けなくする煙を出す能力。
もう一つは踊りを踊らせる呪いをかける能力である。
そして彼らケベスベスは、みなスケベだった。
故に、男は動けなくして、女にはエッチな踊りを踊らせることを好む傾向があるのだ。
故にこのケベスベスも、女の子を探してエッチな踊りを踊らせようと目論んでいた。
そして、そんな彼が出会ったのは…

「おや、あなたは」
「な、なんですかこの男は〜!?」

女ではなく男。
しかも、身につけているのが腰みのだけという変態おやじだった。
彼の名はアドバーグ・エルドル。
またの名を、キタキタおやじ。

「ケベスベス殿ではないですか」
(お、オイラのこと知ってるじゃん〜!?)

ちなみにこのケベスベス、アッチ村で悪さをしていた個体であり、アラハビカにいたのとは別の個体である。
故に勇者とグルグル使いとは面識があるが、キタキタおやじとは出会っていない。

「か、固まるんじゃん!」

こんな変態おやじからは逃げるに限る。
ケベスベスは身体を動けなくする煙を出す。

「なんの!」

それに対してキタキタおやじの取った行動は…踊る!
彼の代名詞ともいえる、キタキタ踊りを踊り始めた。

「の、呪われてもないのに踊り始めたじゃん〜!?」

いったいその行動にどんな意味があるのか…とケベスベスは考える。
そして数秒後、ケベスベスは驚愕する。

「キタキタキタ〜っ!」
「な、なにいいい!?」

ケベスベスが放った煙は、キタキタ踊りによって分散され、彼に届くことなく霧散していた。
ただの踊りと侮ることなかれ。
彼のキタキタ踊りは、ゴーレムが繰り出す突風攻撃を分散させることに成功しているのである。
おそらくキタキタ踊りでこれほどのことができるのは、彼くらいのものであろうが。


838 : エッチなキタキタ踊り ◆OmtW54r7Tc :2021/11/23(火) 08:13:20 SKG2IiLE0
「ケベスベス殿!」

キタキタおやじは、ケベスベスの肩に手を置く。
や、やられる!…と、ケベスベスは死を覚悟した。

「ひいい!命だけはお助けを〜!」
「誤解ですぞ!私はあなたにお願いがあるのですぞ!」
「お、お願い?」

どうやら命の危機は去ったらしい。
とりあえず、話だけでも聞いてみよう。
下手に拒否すると、今度こそやられてしまうかもしれないし。

「な、なんっすかあお願いって?」
「聞くところによるとあなたは、女の子にエッチな踊りを踊らせるのが趣味の魔物とか…」
「魔物じゃなくて悪魔じゃ〜ん。…語弊はあるけど、まあそんな感じっすね」
「その踊り…エッチな踊りではなく、キタキタ踊りにしてくだされ!」
「えええええええええ!?」

ケベスベスは驚愕する。
キタキタ踊りとは、さっきこの親父が踊っていた気持ち悪い踊りのことだろうか。
そ、そんなの嫌だ!

「あんたの変な踊りなんて、踊らせたくないですよぉ〜」
「変な踊りとは失敬な!キタキタ踊りは、キタの町に伝わる由緒正しい踊りですぞ!それに、元々は女の子の踊りなのです!」
「ふ〜む…?」

女の子の踊りと聞いて、ケベスベスはちょっと興味を示す。

「なんなんじゃん、キタキタ踊りって?」
「よくぞ聞いてくれました!そもそもキタキタ踊りとは…」

その後続いたキタキタおやじの説明は無駄に長かったが、要点をまとめると。
元々キタキタ踊りは、神を祭るための神聖な踊りで、代々町の若い女性が踊ってきた。
このキタキタ踊りを劇場をつくって一般公開したところ大変な評判となり、キタの町には見物客が押し寄せて財政が潤った。
しかし、それ以降町に女の子がぱったりと生まれなくなり、踊り子がいなくなってしまった。
当時町長だったキタキタおやじは、断腸の思いで自らが踊り子となり…町は急激にさびれた。

「私はこの神聖な踊りを次の世代に伝えるまで、踊り続けますぞ!」
(ふーむ…)

話を聞いたケベスベスは思った。
最初は変態おやじの変な踊りだと思っていたが…このキタキタ踊り、思った以上に興味深い。
そもそもこの踊り、キタキタおやじが踊っているせいで変な先入観を与えてしまっているが、若い女性が踊ることでキタの町を活性化させるほど、本来は魅惑的な踊りなのだ。
そう…キタキタ踊りは、ケベスベス好みなエッチな踊りなのだ。
そして、この踊りを一般公開した結果、町に女の子が生まれなくなったというのがまた興味深い。
そんな呪いのような踊り…悪魔であり呪いに精通するケベスベスにとってはぜひとも躍らせたい踊りだった。


839 : エッチなキタキタ踊り ◆OmtW54r7Tc :2021/11/23(火) 08:13:58 SKG2IiLE0
「分かったじゃん〜、オイラがキタキタ踊りを広めるの、手伝ってやるじゃん〜!」
「ほ、本当ですか!?」
「幸いここは森。腰みのや胸当てに使えそうな葉っぱはたくさんあるっすからね〜。オイラはここで衣装作りに勤しむっすよ」

ケベスベスは身体を動けなくする煙を出す能力を持っている。
それを応用すれば、葉っぱを重ねた状態で固定し、接合させるという芸当も可能なのだ。

「分かりましたぞ!では私は、後継者候補となる女の子を見つけてここに連れてきますぞ!」

こうして彼らはそれぞれの役割の為に動きだした。
全ては…キタキタ踊りを広めるために。

【キタキタおやじ@魔法陣グルグル】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:キタキタ踊りを広めますぞ!
1:後継者になりうる女性を見つけてケベスベスの所へ連れていく
[備考]
※参戦時期は少なくともアラハビカ編以降

【ケベスベス@魔法陣グルグル】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:キタキタ踊りを広めるじゃん〜
1:森でキタキタ踊り用の衣装を作る
[備考]
※参戦時期はアッチ村近辺にてククリに倒された後
 アラハビカに出てきたケベスベスとは別個体です。


840 : ◆OmtW54r7Tc :2021/11/23(火) 08:14:28 SKG2IiLE0
投下終了です


841 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/23(火) 15:03:02 Cp2fGQ7U0
投下します


842 : 2021年のゲームガールズ ◆NIKUcB1AGw :2021/11/23(火) 15:04:16 Cp2fGQ7U0
「はあ……はあ……」

会場内のとある場所。
ロボットガールズの一人であるグレちゃんは、ゴブリンの群れに囲まれ苦戦を強いられていた。
本来のグレちゃんであれば、この程度の敵など数秒で壊滅させることができる。
それができていないのは、ゴブリンの中に混じるNPCに原因があった。
縄文土器に顔がついたようなこのNPCの名は、「ドキ土器」。
その名の通り、他者をドキドキさせる妖怪である。
そしてその能力は、この場では性的興奮をもたらす方向に作用していた。

(あり得ない……。こんな化物にときめくなんて……!)

おのれの精神を操作される嫌悪感に眉をひそめながら、グレちゃんは支給された剣を振るう。
だがろくに力が込められていないその攻撃は、ゴブリンにたやすく回避されてしまう。
無様な姿をあざ笑うゴブリンたちの声が、グレちゃんからさらに平常心を奪っていく。

(まずい……。このままじゃいずれやられる……。
 何か打開策を……)

わらにもすがる思いで、グレちゃんは周囲を見渡す。
その結果、彼女は思いも寄らぬものを発見する。
それは丘の上からこちらを見下ろす、一人の少女の姿だった。
その少女は、筒状の物体を手にしていた。
その物体に、グレちゃんは見覚えがあった。
実物を見たことがあるわけではない。見たことがあるのは、ゲームの中だ。
だが、それが実在していることは知っている。

(あれは……)

目を見開くグレちゃん。
その視線に気づいたのか、丘の上の少女は大きく口を開く。
声が聞こえる距離ではない。だが彼女が何を言っているのか、グレちゃんには理解できた。
「アール」「ピー」「ジー」。

メッセージを受け取ったグレちゃんは、すぐさましゃがみ込む。
その行動の意味が理解できず、混乱するゴブリンたち。
数秒後、彼らを爆炎が包んだ。


◆ ◆ ◆


「ありがとう。助かった」
「礼には及ばない」

ゴブリンたちの死体が散乱する中で、グレちゃんと少女は言葉を交わす。
少女の名は、長門有希というらしい。

「なんで貴重な武器を使ってまで、私を助けてくれたの?」

グレちゃんの質問に、長門は無表情のまま答える。

「陵辱系は、趣味じゃないから」


843 : 2021年のゲームガールズ ◆NIKUcB1AGw :2021/11/23(火) 15:05:29 Cp2fGQ7U0


【グレちゃん@ロボットガールズZ】
[状態]健康
[装備]勇者の剣@スライム冒険記
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:こんなくだらない戦いには乗らない
1:Zちゃんも巻き込まれていないか心配


【長門有希@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:陵辱ゲーっぽいので、この殺し合いを破壊する。
[備考]
支給品の一つだったRPG-7@サタスペは消費しました。


『支給品紹介』
【勇者の剣@スライム冒険記】
勇者装備の一つ。
魔を封印する力を持ち、かつて邪悪な龍・魔龍(マロン)の封印に使われた。
装備自体は誰でもできるが、剣に宿る意思に認められなければ真の力は引き出せない。

【RPG-7@サタスペ】
実在するロケットランチャー。
出展元においては、使い捨てだが複数の敵に大ダメージを与えうる強力な武器となっている。
ただし威力はダイス目に左右されるので、期待外れに終わることも。


『NPC紹介』
【ドキ土器@妖怪ウォッチ】
土器がモチーフの妖怪。
取り憑いた相手の心臓を高鳴らせ、緊張させたり不安を煽ったりする。
このロワにおいては、その能力は主に性的興奮に作用する。


844 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/23(火) 15:06:23 Cp2fGQ7U0
投下終了です


845 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 16:26:23 DG.T5RMU0
投下します


846 : 出張!Y談ダダンダンダンダダーン(抱き合わせ商法) ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 16:26:44 DG.T5RMU0
「ふっふっふっ……私の名は吸血鬼Y談おじさん」

「「Y談おじさんって何!?」」

「というわけで先手必勝で喰らえー!」

「ちょこ危ないっ……う、うわあああっっ!!」

「ライカさーん!!!」


なんだかよくわからない展開ですが、先ずはこんな状況になった経緯と自己紹介します
私は園田智代子、283プロ所属のアイドルユニット『放課後クライマックスガールズ』のメンバーの一人をやっております
世間ではチョコアイドルとして有名ですし、まずあだ名からして他のみんなから「チョコ」とか「ちょこ先輩」と呼ばれたりしています

そんな私ですが、ある日突然こんな事に巻き込まれてしまいました
……怖いに決まってるじゃないですか! 女の子があんな目にあって、自分もあんな事になるかもしれないってなったら!
でも、そんな恐怖で震えていた私を励ましてくれたのが、この場所で初めて出会えた、火野ライカって人です
'武偵'というのはよくわかりませんが、樹里さんに似たかっこよさと、腕っぷしに自信のあるその姿に一安心できました
ですが、そんな時に突然現れた、自らをY談おじさんとか名乗る不審者が杖から何やらビームっぽいものを放ってきて、私を庇ってライカさんがそのビームっぽいものの直撃を受けてしまったのです

「ライカさん! 大丈夫ですか!?」

「あ、ああ……可愛らしい女の子に囲まれて添い寝したい」

「―――は?」

ドン引きしました。いえ、ライカさんが無事なのは良かったんですけど、全然無事じゃありませんでした、主に私の心が
ライカさんの方はライカさんの方で自分の発言に気付いて顔を真赤にしていました

「違う! 可愛らしい服を着た女の子に膝枕されたい!」

「ライカさん???」

弁解のつもりがもっと業の深そうな事をライカさんは発言しました。正直頭の理解が追いつきません
えっ、ライカさんってそっち系の趣味なんですか? まさかのミズ・ロリコンなんですか?

「説明しよう、私の催眠術にかかった者はY談しか話せなくなる。性癖をぶちまけて慌てる人間を見るのが私の趣味でね」

Y談おじさんが自慢気にネタばらししてました。その言葉を聞いた私は身震いしました、なんて恐ろしく恥ずかしい催眠術なんだろうと
もし私があれを喰らったら自分の知らない性癖とともにプロデューサーへの思いもぶち撒けられることになったら恐ろしくて震えが止まりません

「お前……私はウェディングドレスを着たロリっ子達とランデブーしたいんだ!」

もう突っ込むのに疲れてきました。もうこの人ダメです。樹里ちゃんみたいなオーラのガワを被った変態ロリコンです

「そもそも可愛い子ちゃん達にクンカクンカされたと思っているのか!」
「無論思ってないさ――ので逃げる!!」
「ま、まてー!!!!」

ライカさんが人として最低なY談を爆弾発言したのを尻目にY談おじさんは即座に逃亡しました


847 : 出張!Y談ダダンダンダンダダーン(抱き合わせ商法) ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 16:27:11 DG.T5RMU0
「………!」


Y談おじさんの目の前に一人の女の人の姿はありました。彼女はY談おじさんが殺し合いに乗っている人だと思ったのか、即座に剣を構えていました
Y談おじさんは振りかざされる剣を華麗に回避してステッキから放った催眠ビームを女の人に浴びせ、彼女が動揺している内に姿をくらませてしまいました

私とライカさんは慌ててその女の人に駆け寄りました。そしたら彼女は

「……ち○ち○!」

なんてとんでもない事を言って顔を赤らめたまま地面に伏してしまいました
助けてくださいプロデューサー


【園田智代子@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康、ライカに対する失望とドン引き、困惑、精神的疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:死にたくない
1:ライカさん最低です
2:みんなは大丈夫なのかな……
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします

【火野ライカ@緋弾のアリアシリーズ】
[状態]:Y談波の影響下
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:やっぱり小さい女の子にはゴスロリ衣装が似合うな(殺し合いなんかに乗らない)
1:ランジェリー姿の麒麟に思いっきり甘やかされたい(智代子の事はちゃんと守ってみせる)
2:私は小さい女の子が大好きだ!(ち、違うんだ、違うんだァァァァァァっっっ!!)
[備考]
※参戦時期は原作5巻から
※Y談波の影響で3時間経過するまで発言すること全てはY談になります


【あたし@無敵のsoldier】
[状態]:Y談波の影響下、自分の発言に恥ずかしがってる
[装備]:無敵と言われた剣士の剣@無敵のsoldier
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本:ち○ち○(まずは状況を把握したい)
1:……ち○ち○(何これ)
2:ち○ち○○○○○○○○!???(うわああああああああっ?!)
[備考]
※参戦時期は無敵と言われた剣士を殺した後です
※Y談波の影響で3時間経過するまで発言すること全てはY談になります

【吸血鬼Y談おじさん@吸血鬼すぐ死ぬ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いなど関係ない、私は私の趣味を楽しむこととしよう
1:今は逃げるが勝ち!
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします
※Y談波は制限により3時間が経過すれば自動的に解除されます

『支給品紹介』
【無敵と言われた剣士の剣@無敵のsoldier】
かつて無敵と言われた剣士が所持していた剣


848 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 16:27:23 DG.T5RMU0
投下終了します


849 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/11/23(火) 17:29:59 mrCL3c1Y0
投下させていただきます。
以前、辺獄ロワに投下した作品に修正を加えたものになります。


850 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/11/23(火) 17:30:33 mrCL3c1Y0
「……」

各地にイヤらしいエロトラップが配置され、性欲に狂った何百という数のNPCが徘徊し、
血生臭い殺し合いの前哨戦が巻き起こりつつある浮遊大陸。

その片隅に位置する薄暗い森の中に、一人の若い男の姿があった。


「……」

年齢は大体20代半ば程。
白いスーツと黒いネクタイを着こなしたダンディな雰囲気の漂う青年だ。

「……ここで良いか」

青年は森の中の開けた空き地のような場所につくと、
自身に支給されたデイバックを地面に下す。
そして……

「……アポロ・チェーンジ!!」

……叫びながら両腕を顔の前でクロスさせると、
青年の姿は一瞬にして全く違うものへと変化する。

純白のスーツは鍛えられた逞しい肉体にピッチリとフィットした黒い全身タイツに変わり、

その黒い全身タイツを覆うように真っ赤に燃える炎の模様が描かれた白いマントが装着され、
頭部には側面に羽飾りが、中央に銀色の矢印模様のついた真紅の兜が装着される。

右腕は三つの銃口とフェンシングで使うような細身の長剣で構成された武骨な義手となり、
左手には日輪を思わせる円形の盾が握られ、左上腕にも小さな盾が装着された。

彼の名はアポロガイスト。

東西の某大国が高度経済成長を遂げる日本を壊滅させるために設立した秘密結社
『GOD(ゴッド、ガバメント・オブ・ダークネス)秘密機関』の秘密警察第一室長にして、
GOD機関の宿敵・仮面ライダーXの好敵手である。

「……変身は問題なし、か」

アポロガイストは怪人態へと変身した自身の体を観察する。


851 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/11/23(火) 17:32:14 mrCL3c1Y0
彼が人気の無い森の中で変身した理由はただ一つ。
この殺し合いを開いたあの悪趣味な恰好の男(ヒエール・ジョコマン)によって
『制限』がかけられているらしい自身の体と能力のチェックをするためである。

「……」

アポロガイストは右腕と一体化している三つの銃口と細身の剣で構成されている武器……
アポロマグナムの銃口を1本の松の木に向ける。

次の瞬間……雷鳴の如き銃声が薄暗い森の中に響き渡り、
松の木の幹の中心が弾け飛んだ。

続けざまに鋭い銃声が2回轟き、松の木の幹は本来の3分の2程の太さに削れていた。

「……なるほど、威力はかなり落ちているな」

未だに銃口から煙が吹いているアポロマグナムを眺めながら、アポロガイストは冷静に分析する。

本来、アポロマグナムは一撃で戦車を破壊する程の威力がある。
だというのに、今しがたアポロマグナムに撃ち抜かれた松の木は幹が少し削れただけ……。
これはアポロマグナムの威力が本来よりも落ちている証拠だった。

「……ガイスト・カッタァァァァ!!」

続いてアポロガイストは左手に持つ日輪を象った円形の盾……ガイストカッターを
松の木に向けて投擲する。

ガイストカッターは松の木の幹に命中し、松の木は幹の中心から真っ二つに引き裂かれた。

「……こちらは異常なしか」

アポロガイストは松の木の根本に転がるガイストカッターを回収する。

その時だった。

アポロガイストの後ろからパチパチという拍手の音が聞こえてきたのだ。

「!」

アポロガイストが振り向くと……
そこには裾の長いコートをまとった40過ぎくらいの白人男性が立っていたのだ。

「素晴らしい。いや、中々大した力だな」

「!」

拍手をする白人男性に、アポロガイストはアポロマグナムについている細身の剣の切っ先を向ける。

「おっと、待ちたまえ。私は君と戦おうとは思っていないし、殺し合いにも乗るつもりはないよ」

喉元に剣を突き付けられているというのに、白人男性は慌てる様子も冷や汗も見せずに
冷静に両手を顔の横に挙げて戦う意思がないことを示した。

「……本当だろうな?」
「あぁ、もちろんだとも。なんならこれでどうだい?」

警戒を緩めないアポロガイストに対して、白人男性は自身に支給されたデイバックを投げ渡した。

「……コートの中に隠し物があるかもしれない。コートもよこせ」
「疑り深いなぁ」

多少の文句を言いつつも、白人男性は素直に着用しているコートを脱いでアポロガイストに投げ渡した。

「ほら、これで信用してもらえるかな?」
「……」

得意げに首をかしげる白人男性の姿に、アポロガイストはようやくアポロマグナムを下ろし、
変身を解いて白いスーツと黒ネクタイの人間態へと戻った。
その様子を見て白人男性は「ヒュ〜♪」と口笛を吹いた。

「一応言っておくが、信用したわけじゃないぞ。この姿の方が交渉しやすいからな」
「懸命な判断だな」

白人男性は両手を上げながら肩をすくめた。
どことなく相手を小馬鹿にしている感じがした。

「自己紹介が遅れたな。私はヘルムート・ジモ。正式には『ヘルムート・ジモ男爵』で、
『ヘルムート・ジモ元・大佐』だ。君は?」
「……アポロガイスト。GOD秘密警察第一室長だ」


852 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/11/23(火) 17:32:38 mrCL3c1Y0
☆☆☆


白人男性……ヘルムート・ジモとアポロガイストは森の中の空き地に腰を下して
情報交換を開始した。
しかし……

「GOD機関……それに仮面ライダーX……初めて聞くなぁ」
「アベンジャーズにサノス、指パッチン……聞いたこともないな」

……お互いにお互いの出し合った情報に混乱していた。

ジモによれば、今から5年前に『サノス』という異星人によって人類の半分が消滅した『指パッチン」
という事件が起き、超人的な能力を備えたヒーロー達の集団『アベンジャーズ』
によって消滅した人類が戻ってきた、とのことだったが、
アポロガイストにとっては全く聞いたことのない情報だった。

それはジモも同じで、ジモは『ヒドラ』という非合法組織に属していたにも関わらず、
東西の大国が創設した組織であるGOD機関の事も、
その宿敵である仮面ライダーXの事も全く知らなかったのだ。

その上……

「つかぬ事を聞くけど、今は西暦何年だか分かるかい?」
「?1974年に決まってるだろ?」
「……私の記憶だと、今は2023年の筈なんだが」
「……何?」

……なんと、時間の認識まで半世紀近くも誤差があったのだ。

一体どういう事なのか?

普通ならば、ウソを言っているか頭がおかしいかのどちらかだと考えるのが普通だが、
殺し合いという状況でおとぎ話のような嘘をつく必要などないし、
ジモは目の前でアポロガイストが変身する瞬間を目撃している。

そこでアポロガイストはある仮説を立てた。

「まさかとは思うが……あの悪趣味な男は、タイムマシンのような物でも持っているんじゃないだろうな?」
「ふむ。なるほど……少々突拍子もないが、可能性としてはあり得ない話じゃないな」

ジモとアポロガイストの間で時間の認識が半世紀以上も誤差があること、
お互いの持つ情報に全く聞き覚えが無いこと、
そして、殺し合いの会場であるこの浮遊大陸とそこに配置された大量のNPCの存在……。

主催者であるあの男が、タイムマシンのような時間移動が可能な機械、
もしくは技術を持っているのであれば、辻褄が合う話だった。

「まぁ、今はどうでもいいか……」

ジモとの情報交換を済ませたアポロガイストは、
自身のデイバックを手にして立ち上がった。

「一つ聞きたいんだが、君はこれからどうするんだい?」
「生きて総司令の下に帰還し、Xライダーと決着をつける……と、言いたいところだが、もうすでに2回も敗北している身だからなぁ……」

アポロガイストは以前、仮面ライダーXと戦って敗北し、
右手に仕込まれたアーム爆弾で心中しようと……したのだが失敗し、一人だけで死亡した。

その死を惜しんだGOD総司令の計らいで強化再生処置を施されて復活したは良いものの、
その再生手術の効果は一か月しか持たず、
死期を悟ったアポロガイストはXライダーに最後の戦いを挑んだが……またしても敗北した。

そして、気づけば五体満足な状態で殺し合いに参加させられたという訳だ。

宿敵との戦いに一度ならず二度までも負けるような人材を、GODは必要としない。
例え勝ち残って総司令の下に戻ったところで、
『役立たず』として処刑される未来しか残ってはいないだろう。

かと言って、『優勝者の願いを叶える』という甘い言葉や『賞金・20億円』に従って無駄な殺戮を行うのは
アポロガイストのプライドが許さなかった。

「そういうお前はどうするんだ?優勝して、死んだ家族でも生き返らせてもらうのか?」
「ふむ、そうだな……」

アポロガイストからの問いかけにジモは遠い目をする。

かつてジモはアベンジャーズのヒーロー達の起こした事件の巻き添えで家族を失い、
アベンジャーズを内部崩壊させることで復讐を果たし、今は刑務所に服役中の身だという。

そんな男にとって、『優勝者の願いを叶える』という主催者の言葉は甘い誘惑の筈だが……

「……いや、あいにく興味はないよ。人間を大量に浚って殺し合いを強要するような奴が、
素直に優勝した者の願いを叶えるとは思えないし、例え本当に生き返らせてもらえたとしても
君のように『サイボーグ』としては嫌だしね」
「ならば……賞金の方はどうだ?」
「そちらも興味ないね。私は『男爵』としてかなりの資産を持っている。
日本円の20億というと……アメリカドルだと1700万程だったか?その程度の額は、私にとっては『はした金』だよ」
「……懸命な判断だな」

ジモの返答にアポロガイストは微笑みを浮かべた。

「すると……我々はお互いに『目的の無い者同士』、ということか」
「そういうことだね」

ジモとアポロガイストは静かに空を見上げる。

暗い夜空に星と月だけが輝いていたのだった……。


853 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/11/23(火) 17:32:59 mrCL3c1Y0
【アポロガイスト@仮面ライダーX】
[状態]:健康、人間態
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:死ぬ気はないが……優勝して叶えたい願いもないし、賞金にも興味は無い
1:Xライダーと今度こそ決着をつけたいが、もう2度も負けているしなぁ……
2:総司令の下に戻っても、『役立たず』として処刑されそうだし……
[備考]
第21話『アポロガイスト最後の総攻撃!!』でXライダーに敗北した直後からの参戦。
怪人態は再生アポロガイストです。
アポロマグナムの威力が一般のライフル銃レベルまで落ちています。
ジモからMCU世界の情報を得ました。
ヒエール・ジョコマンがタイムマシンのような機械or技術を持っているのでは?と考えています。

【ヘルムート・ジモ@マーベル・シネマティック・ユニバース】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本:死にたくはないが、殺し合いに乗る気もない
1:仮面ライダーにGOD機関……アベンジャーズ以外にも超人が?
[備考]
『ファルコン&ウィンターソルジャー』第5話でラフト刑務所に収監後からの参戦。
アポロガイストから仮面ライダーXとGOD機関の情報を得ました。
ヒエール・ジョコマンがタイムマシンのような機械or技術を持っているのは?と考えています。


854 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/11/23(火) 17:33:21 mrCL3c1Y0
投下終了します


855 : ◆j1W0m6Dvxw :2021/11/23(火) 18:08:02 mrCL3c1Y0
すいません、タイトル忘れてました。
『第一室長&男爵』です。


856 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/23(火) 20:42:01 /Mw3RPrI0
投下します。


857 : ニコは震える ◆bLcnJe0wGs :2021/11/23(火) 20:42:55 /Mw3RPrI0
浮遊大陸の砂漠地帯。

そこでは、小柄な白い猿の獣人が恐怖に身を震わせながら会場の地図を眺めていた。

(よりにもよって大陸の形しか描かれてない、白い地図かよー…
 これじゃこの大陸の全体的な地形がどうなっているのか、そしておいらが今どこに居るのかも肝心の施設の場所もまるで分かりゃしないじゃないか〜
 これなら、元々いた諸島で使ってる地図の方がまだ分かり易い位だよー
 色も付いてるし?)

彼の名前はニコ。
とある世界に存在する、様々な環境や地形を持った諸島のある地域で生まれ育った経緯を持つどうぶつである。

そういった生活環境から、諸島の地理には詳しく、その能力がリゾート地の開発にも大きく貢献していった。

過去には、彼の故郷の辺りでも一度は土地開発が計画されたものの中止なってしまい、落胆していたのだが、その後に新たな土地開発の話が舞い込んで来た。

それからニコはその土地開発を進めているという会社に入社し、己の技術や知識を存分に発揮し、会社の活動範囲を広げていった。

そんな彼もこの殺し合いの一参加者として召喚されてしまったのである。

【ニコ@あつまれ どうぶつの森】
[状態]:健康、恐怖(大)、不安(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくない。
1:とにかく動かないと
2:自身に訪れるであろう危険は回避しなければいけない…?
3:出来れば、殺し合いに反対的な参加者と合流したい。 居るならしっかり協力する。
4:それにしても、この浮遊大陸の地図は分かりづらいなぁ?
5:知り合いが巻き込まれていないか心配。
[備考]
※少なくとも、タクミライフに就職してからの参戦となります。


858 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/23(火) 20:43:15 /Mw3RPrI0
投下終了です。


859 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 22:46:57 DG.T5RMU0
投下します


860 : 『Edel Lilie』 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 22:47:54 DG.T5RMU0
「GOBUUッ!?」

蛙が轢き潰されたような呻き声と共に、小柄な緑色の異形、ゴブリンの身体が吹き飛ぶ

もう一体のゴブリンが、華奢で小柄な少女を捕らえようと棍棒を振るうもしゃがんで避けられ、その金髪が掠るだけ。返しとしてゴブリンの脳天に少女の蹴りが炸裂、そのまま倒れ気を失う

「―――――!!」

少女の背後に、先のゴブリンに一回りも二回りも大きい薄水色の巨躯の異形……ジャイアントオークが手に持った棍棒代わりの大骨を少女に叩きつけようとする

叩きつけられる音が鳴り響くが、そこに少女の姿は無く
少女はオークの股の下を潜り抜けて、背後に回った事を確認し跳躍し首元に突きを叩き込む

「………!」

が、少女の突きはオークの意識を落とす事は敵わず、逆に首の圧力のみで少女の手が固定され、逆に少女の腕がオークの手に掴まってしまう
少女の身体を片手の力だけで上空へ放り投げたオーク。大骨を両手で握り直し、少女の身体がちょうど自身の目の前に来た所を狙って、大骨を大きく振るう

「――がっ゛……あ゛っ゛……」

少女の腹に振るわれた大骨が直撃し、地面にぶつかってはボールのように何回か跳ねて、背後の大木に叩きつけられることでようやく止まる

「……しくじっ……ました……の……ガハッ……!」

痛みを堪えながらも立ち上がるも、その前に腹に大きく殴られた影響から込み上げた吐瀉物や血痰が口から吐き出される

「……あ゛……う゛……」

逃げようにも激痛から身体がまともに動いてくれない、さっき叩きつけられた影響からか骨が何本か折れているのがわかる
だがそれでも這いずるようにその場から逃げ出そうとする少女には、こんなのに初めてを奪われるなんてまっぴら御免という恐怖にも似た執念からだ
だが、残酷にもその速さではオークの悠長な動きでも追いつく程の遅さでしかない。少女の運命は残酷なものと決定づけられた、かに思われたが――――



ズドン!という発射音が鳴り響く。少女が顔を振り向いてみれば背後のオークの脳天が撃ち抜かれており、顔を失った巨体は倒れ伏した

「危なかったわね」

声のした方へ少女が顔を向ければ、先程オークを撃ち抜いたらしきシルバーメタリックの拳銃を携えた、また別の一人の少女
ゴスロリチックな服装と右目の眼帯と、人によっては中二病患者とも取られかねないその風貌に似合うかのように、この異常とも言うべき舞台に適応している雰囲気を醸し出していた




○ ○ ○

「……危ない所を助けていただき、ありがとうございますの……」
「礼ぐらい構わないわよ、こんな状況だもの」

私、花園ゆりねは先ほど助けた少女、島麒麟と会話をしながらも、この異質な催しに対して不快感と疑念を抱いていた
デモンストレーションとしては刺激的ではあれど、実際に実物を見せられては不快の方が勝る。ああいうシュチエーションは二次元で抑えておくべきであって、三次元に持ち出してはダメなやつなのだから
私の日常には非日常が多い。邪神にメデューサにミノタウロス、はたまた天使まで。そういう事には慣れさえすれどここまでの非日常というのは有難迷惑そのものということだ

「……申し訳ないですわ。武偵の端くれとはいえ、こうも守られてはライカお姉さまに顔向けできないですの……」
「そのライカお姉さまが誰かは突っ込まないでおくわね」

申し訳無さそうに独りごちる麒麟の表情は、そこはかとなく顔が明るんでるようにも見える。血の繋がりがあるのか無いのかは兎も角、「この子そっち系か」と考え、深入りはしないことにする


861 : 『Edel Lilie』 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 22:48:06 DG.T5RMU0
この会場には先程のオークやらゴブリンやらがいるとは言われていたが、ぶっちゃけ常日頃から邪神ちゃん達と絡んでしまってる為か特に何も感じない。襲いかかると言うなら容赦はしないし、運良く武器の類があったから使わせてもらっているだけ
それに、私は殺し合いに乗るつもりなんて毛頭ない。先ずエロで見世物にするようなクソみたいなものに付き合う気なんて無いのだ

「……あなたは」
「まあやると言っても知り合い探しね。一人で出来ることなんてたかが知れてるもの。と言っても、あいつらなら別に心配する必要もないかしら」
「……どういう方たちですの?」
「個性的の権化みたいな連中よ。クズとクズにヒモ扱いされてるいい子と牛娘」
「どストレートですのね………」

だいぶ大雑把に説明してすませた。そりゃ邪神とメデューサとミノタウロスと同棲してるなんてまともな人だと説明しても信じてくれ無さそうだし

「……ところで麒麟、私に付いていくつもり、ある? ……いや別に嫌なら構わないわ。だって、私があなたを助けたのは」
「例えそうだとしても、人々を守る事が武偵の役目ですの」
「………」

思ったより芯の強い子、だと私は思った。先の戦い、全部を見たわけではないが彼女はその華奢な身体に似合わずあの様な化け物相手に格闘戦を仕掛けていた。あの突きもあの巨躯相手でなければ通用していただろう
だが、それ相応の動きの為か、麒麟が消費するスタミナも激しい。元よりスタミナが少なそうに見える彼女では長期の戦闘は難しい

「………怪我、応急措置はしたけどまだ万全じゃないでしょ。守ってくれるのは嬉しいけど、無茶はしないで頂戴」

まあ、人の善意を素直に受け取らないわけにはいかないのでその申込みは了承することにした。怪我人担いではリスクは高いけれど、守ってくれると言ってくれる人がいるのはやはり安心感が湧くものだ

(………あいつら、無事だと良いんだけど)

思うのは邪神ちゃんたちの事だ。邪神ちゃんはまあ生き汚いし無駄にしぶといから大丈夫。メデューサやミノスは並のやつ相手なら問題ないだろう。……あっ、ぺこらは大丈夫かな

(……はぁ)

我ながららしくもない陰鬱な事を考えてしまった。心配した所で状況が好転するわけでもない。さっさとここから離れて、安全な場所に移動しようと私たちは足を進めることにするのであった

【島麒麟@緋弾のアリアAA】
[状態]:肋骨骨折(数本)、腹部へのダメージ(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:今は彼女(ゆりね)を出来るだけ守る
2:ライカお姉さま……
[備考]
※参戦時期は最低でも5巻

【花園ゆりね@邪神ちゃんドロップキック】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP38・シルバーメタリックモデル@ルパン三世 ワルサーP38
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本:こんな巫山戯た催しに乗るつもりはない
1:彼女(島麒麟)の同行は了承する。守ってくれる人がいる事実は安心感を持てる
2:あいつらは……まあ大丈夫だとは思うけど
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします

『支給品紹介』
【ワルサーP38・シルバーメタリックモデル@ルパン三世 ワルサーP38】
駆け出し時代の頃のルパン三世が使っていたワルサーP38。他との違いはシルバーメタリックに彫刻が彫られている部分。かつてルパンの相棒であったドクターがルパンを裏切った際に奪取した


862 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 22:48:17 DG.T5RMU0
投下終了します


863 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 23:49:43 DG.T5RMU0
投下します


864 : ですよね ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 23:49:56 DG.T5RMU0
「竿役なんざ怖くねぇ、竿役なんざ怖くねぇぇぇぇぇぇっっ!」

『ゲコッ』

「あっ、でっかい蛙――――」


その後、味が不味いということで巨大蛙に吐き出された、涎まみれのイキリ邪神が地面に転がっていたという


【邪神ちゃん@邪神ちゃんドロップキック】
[状態]:全身涎塗れ
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:主催ぶっ殺す!!
1:汚された……
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします


『NPC紹介』
【ジャイアントトード@この素晴らしき世界に祝福を!】
『この素晴らしき世界に祝福を!』において登場するカエル型モンスター
座っている状態の高さが3メートルを超える巨体の持ち主で、山羊や牛を一頭丸呑みにすることが出来る
捕食行動中は頭を上に向けたまま動かなくなるため、そのタイミングで攻撃を仕掛ければ比較的容易に撃破可能
また、打撃攻撃に対しての強い耐性や、金属が苦手という点もある


865 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/23(火) 23:50:06 DG.T5RMU0
投下終了します


866 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/24(水) 19:58:09 mP.cCJpg0
二本投下します
一本目は性的な描写があるので、苦手な人は注意してください。
二本目にはありません


867 : 無理ゲーっていうレベルじゃねぇぞ! ◆7PJBZrstcc :2021/11/24(水) 19:59:19 mP.cCJpg0
 殺し合いの会場にあるエロトラップダンジョンの一角を、一人の少女が歩いている。
 金髪の美少女である彼女の名前はシャルロット・デュノア。
 とある世界の最強兵器インフィニット・ストラトス、通称ISの操縦者を育成する学校『IS学園』の生徒である。
 しかし今はそのISも没収され、彼女は無手でダンジョンを歩いていた。
 そして今の彼女には一つ、参加者、NPC問わず目を引く要素がある。

 シャルロットは現在、全裸なのだ。
 勿論、自分で着ていた服を脱いだわけでは無い。
 エロトラップやNPCの手で脱がされたわけでもない。
 彼女は、裸の状態で殺し合いに参加させられたのだ。

 シャルロットは殺しあいの直前、自身の部屋にある浴室でシャワーを浴びていた。
 故に、この状況に彼女は非がない。
 しかし、彼女にはある懸念があった。
 それは、単に他の参加者に己の裸体を晒すだけではない。

「もし一夏やIS学園の誰かに見られたら、僕が女だってバレちゃう……!」

 そう、彼女は学友や学園を偽っていた。これには理由がある。

 まず、ISはどういうわけか女にしか扱えない。男が使おうとしてもISは作動しないのだ。
 しかしある日、日本のとある少年がISを作動させ、世界に例外が現れた。
 彼の名は織斑一夏。彼は政府の手引きで、世界のどんな組織や国家も干渉が許されないとされるIS学園に入学した。
 そして、そんな一夏が持つISをデータを盗む為、シャルロットは男装し『シャルル・デュノア』を名乗って遅れてIS学園に入学した。
 これは、経営難に陥った彼女の実家の会社、デュノア社の社長にして彼女の父の命令である。

 実はこの社長の行動には別の意味もあるのだが、今の彼女はそれを知らない。

 ともかく、今までバレないようやってきたが、ここに来てこの殺し合いだ。
 なんとしても生き残り脱出しなければならない。
 さしあたってまずは服が欲しいが、支給品を調べるにもまさか道のど真ん中でデイバッグを検めるわけにはいかない。
 とりあえず胸と秘所を両腕を使って隠しながら、どこか安全そうな場所まで移動しようとするシャルロット。

「GOBU?」

 しかしシャルロットはゴブリンの群れと遭遇してしまった。
 数は五匹ほど。今の彼女には難敵なので、迷うことなく転進して逃げ出した。

「GOBUUUU!!」

 当然追いかけるゴブリン達。
 彼らの視界に映るのは、シャルロットが隠し切れない彼女の尻。
 豊満とは言えないが、ほどよく実り形の整ったそれは、ゴブリン達の欲情を煽るには十分なものだった。

「ひっ……!!」

 そんなゴブリン達の視線に気づいたシャルロットは、何としても逃げようとスピードを上げる。
 その瞬間

 カチ

 彼女の足元から何か踏んだ音が聞こえた。
 すると彼女の視界が一変。
 さっきまで薄暗いダンジョンの内部だったものが、いきなり外の風景へと変化していた。

 一体何が起こったのか、と戸惑うシャルロットだが、とりあえずゴブリンからは逃げられたことは理解する彼女。
 しかし危機は終わっていない。

「……え?」

 なんと、シャルロットは身動きが取れなかった。
 どういうことだ、と思い自分の体を見ると、自身の下半身が壁に埋まっていた。
 否、下半身が感じる空気は、下もまた外気に曝されていると教えてくれる。
 つまり現状、彼女は薄い壁に腰のあたりが埋まり、全裸で上半身と下半身を晒していることになる。
 おまけに両腕も壁に埋まっているので、胸や顔を隠すこともままならない。


868 : 無理ゲーっていうレベルじゃねぇぞ! ◆7PJBZrstcc :2021/11/24(水) 19:59:46 mP.cCJpg0

「た、助け……っ!」

 現状を察し助けを呼ぼうとするシャルロットだが、もしここで声を出したとしても、自身が助かる可能性は非常に低いことに気付いた。
 まず、殺し合いの参加者の人数がどれだけかは分からないが、おそらく声を出したとしてもNPCが聞き届ける可能性の方が高い。
 次に、参加者だとしても殺し合いに乗った者である可能性がある。
 最後に、殺し合いに乗っていなかったとしても、この壁を壊せるかは分からない。

「そんな……」

 あまりの条件に絶望するシャルロット。
 しかし彼女は知らない。
 彼女が現在拘束されている壁がある建物には、公衆便所の看板が掲げられていることに。
 そして拘束された参加者から見えないよう設置された、隠しカメラが彼女の顔を映しだし、トイレの内部にあるモニターでリアルタイムで観測が可能ということを。

 シャルロット・デュノアの絶望はまだ始まったばかり。


【シャルロット・デュノア@インフィニット・ストラトス】
[状態]:全裸、壁尻、羞恥(大)、絶望(大)
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]基本方針:生存優先
1:誰か、助けて……
[備考]
参戦時期は2巻、一夏に自身の性別がバレる前にシャワーを浴びている時です

※シャルロット・デュノアのデイバッグ(基本支給品、ランダム支給品1〜3)が彼女の傍に置かれています。

【エロトラップ紹介】
【壁尻便所@オリジナル】
会場の至る所にある隠しスイッチを踏むと、所定の位置にある公衆便所に壁尻の状態で転送させられるトラップ。
上半身は便所の裏側に、下半身は内側で固定。また、デイバッグを持っている場合は下半身側の傍に置かれる。
また、上半身側の外にはトラップに掛かった者の顔を映す隠しカメラが設置されており、内側にあるテレビで見ることができる。
ビデオでリアルタイムで連動しているので、下半身に何かした際の反応を拝むことも可能。


869 : 破壊者 ◆7PJBZrstcc :2021/11/24(水) 20:00:17 mP.cCJpg0
 策略、謀略、そして性欲。
 あらゆるものが至る所で混在する浮遊大陸の一角に、一人の男が立っていた。
 金髪に赤い瞳、そして一見温和で見るものを男女問わず魅了しそうな彼の名は、ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ。
 19世紀のイギリスにて、大学で数学教授をしている男だ。
 しかし彼には裏の顔がある。

 それは犯罪相談役(クライムコンサルタント)
 権力で守られた、法で裁けない悪に罰を与えるべく仲間たちと暗躍する犯罪卿。

 そんなウィリアムにとって、この殺し合いは醜悪であると同時に、酷く不可解だ。
 主に、物理的な部分が。5W1Hでいう所の、Howである。
 Whyの部分に興味はない。
 彼の元の世界であるイギリスには、自身の苛立ちを晴らすためだけに平民を殺したり、狩りの獲物に孤児達を追い回す貴族がいた。
 それらはウィリアム達によって罰を与えられたが、この殺し合いの主催者も同じ類だと考えている。

 だが会場となっている浮遊大陸や、NPCと称された謎の生物をどうやって用意したのかという部分については、まるで想像がつかなかった。
 裏を返せば、そんな想像を超える技術の持ち主がこんな行いをするという事実に、ウィリアムは怒りを覚える。
 しかし恐怖はない。
 なぜならそんな輩に罰を与えるのが、己の役目だからだ。

 そして今、ウィリアムの眼前には、十匹ほどのゴブリンの群れがいた。
 ゴブリン達はどう見ても優男、武器もないウィリアムを見下している。
 しかし彼は逃げることも怯むこともせず、デイバッグから支給品を取り出す。

 それの名前はディケイドライバーとライドブッカー。
 ウィリアムの世界でも、ゴブリン達のいる世界でもない別の世界にて、ある悪の組織が作り上げた武具。
 人類の自由と平和を守る仮面ライダーの力を持つ、世界の破壊者ディケイドに変身するための力。

 ウィリアムがこれら二つの説明書きを見たとき、最初に覚えたのは躊躇と共感だ。
 彼は自分を市民の自由の為に戦っている存在と信じているが、自分を高尚な人間だと思っているわけでは無い。
 むしろここに書いてある仮面ライダーから見れば、自分は裁かれる存在だとすら思っている。

 一方、世界の破壊者には少々共感を覚えた。
 ウィリアムが破壊したいものは階級社会。
 それは支配者側からすれば不変であってほしいもの。
 あるいは、永劫変わらないと信じ切っているもの。
 それを壊そうとする存在は、世界の破壊者と言っても差し支えはないに違いない。
 最も、元のイギリスに帰った後に仮面ライダーの力を借りるつもりは毛頭ないが。

 だがその前に、まずはこの殺し合いを破壊する。
 ウィリアムは腰に装着したディケイドライバーのサイドハンドを引いて、バックルを回転させ 

「変身」 

 ライドブッカーに収納されていたディケイドライダーカードを挿入し

『KAMEN RIDE』

 最後に、サイドハンドを戻せば

『DECADE』

 マゼンダを基調とし、そこに黒の縦縞を入れた鎧を纏った姿に変身する。
 これぞ仮面ライダーディケイド。世界の破壊者の姿。

 そしてウィリアムはゴブリンの群れに立ち向かっていく。
 結果など、最早語る必要も無し。


【ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ@憂国のモリアーティ】
[状態]:健康、仮面ライダーディケイドに変身中
[装備]:ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライドブッカー@仮面ライダーディケイド
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:この世界(殺し合い)を破壊し、主催者を裁く
1:いるのならば犯罪卿としての仲間や、ホームズと合流する
2:仮面ライダー……僕には過ぎた代物だ


【ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド】
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティに支給。
仮面ライダーディケイドに変身するためのベルト。
あらゆる世界を征服しようと企む組織、大ショッカーが作り上げたもの。

【ライドブッカー@仮面ライダーディケイド】
ディケイドのメインウエポン。
普段は箱型に折りたたまれているが、戦闘時には剣や銃になる。
また、ディケイドや他のライダーに変身するためのライダーカードがしまわれている。
ただし、本ロワではディケイド以外のライダーカードは収納されていない。
他の参加者に支給されているのか、主催者の手にあるのかは不明。
前述のディケイドライバーと合わせて、一つの支給品として扱われている。


870 : ◆7PJBZrstcc :2021/11/24(水) 20:00:41 mP.cCJpg0
投下終了です


871 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/27(土) 02:18:00 UrIYwuAk0
投下します


872 : 爆湯宣言!温泉モーレツ大決戦 ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/27(土) 02:19:14 UrIYwuAk0
ここは会場内の、いわゆる露天風呂の中……

「ちょ…!どこ触ってんだアンタ!」
「やぁぁん!ウチの胸を苛めんといてぇぇぇ!!」

そこでは二人の少女が半透明の触手とその中で動き回っている球状の何かによって身体をまさぐられたり、その大きな胸を締め付けられたりしていた。

その少女のうちの一人の名は大垣千明、とある学校にて野外活動サークル、通称『野クル』の部長を務めている少女である。

そしてもう一人の少女の名は犬山あおい、千秋の友人であり共に野外活動サークルを立ち上げた少女である。

そんな二人は今、ちょうど自分たちが飛ばされた場所の近くにあったこの露天風呂で休息を取ろうとしたところをこの謎の怪物に襲われてしまったのだ。

「止めろっ!足を開かせようとすんな、馬鹿ぁっ!!」
「いやっ!こんな恥ずかしい格好、嫌やぁ!!」

そしてその怪物が温泉水で構成された触手を枝分かれさせるとそれを彼女たちの手足に絡みつかせ、無理やりバンザイとガニ股のポーズを取らせたのだ。

それからこの怪物はいまだわき続けている温泉水を使って、先ほど彼女たちを拘束する際に作った触手よりも太くスジ張った形にし、そして先端を"アレ"そっくりなモノを作り始めた。

そうしてしばらくすると、彼女たちのモモから足先までの長さと、頭部ほどの太さを誇る"アレ"が先端についた触手が生成されたのだった。

「何考えてんだお前!そんなもん入るわけねえだろうが!!」

それを見た千明は目の前の怪物に対し、おびえた様子を隠しながら文句を言い始めた。

「千明ちゃん、ダメやそんなんッ!ウチの身代わりになろうとするなんてッ!」

千明が先ほどから怪物に対し悪態をついていた理由、それは自分より先にあおいが襲われないよう、自分にヘイトを向けさせるためのものだった。

「ハハッ……ありがとうなイヌ子…。でも、アタシは野クルの部長で…イヌ子の友達だから……辛い目に合ってほしくないんだよ……!」

「うぅ……千明ちゃんはとんだ馬鹿者やぁッ!」

それに対し千明は彼女に対し感謝の言葉と自分の覚悟をあおいに告げ、あおいは彼女のその覚悟に涙したのだ。

その光景を受けてかどうかは分からないが、この怪物はまず初めに千明の方を襲うことに決めたらしく、先ほど作り上げた触手をゆっくりと彼女の股ぐらへと近づけ始めていったのだ。

「さあ来やがれバケモン!言っておくがアタシはアンタみたいのには絶対に負けないからなぁっ!」

それを受けて千明は恐怖の涙を必死に抑えながら、怪物に更なる悪態をついた。


873 : 爆湯宣言!温泉モーレツ大決戦 ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/27(土) 02:19:55 UrIYwuAk0
しかしそんな彼女たちに対し、救いの手が現れたのだった。

「波ァアアア!!」

何者かのその叫び声とともに、露天風呂の外壁が吹き飛んだのだ。

「な……何やいきなり!何が起こったんや!?」
「突然あそこの壁が吹き飛んだぞ!」

それに対し彼女たちは困惑した様子で、辺りを伺った。

そうすると自分たちの近く、この露天風呂の中に額に十字架が描かれた男がいることに気が付いたのだ。

「何だこの男!一体どこから現れたんだ!?」

千明がそれについて叫ぶと、男は彼女のその言葉に反応しないまま自身の右手にある筒状の機械のスイッチを押した。

するとその機械からレーザーが出て、それを基に刃が形成されたのだ。

「一体何をするつもりや!もし千明ちゃんに手ぇ出したら、承知せんからな!!」

あおいは男のその行動に対し、恐怖と不安をないまぜにしながら怒りの言葉を叫んだ。

「安心してください、私は貴方たちを助けに来ました」

それに対し男は彼女たちを安心させるためなのか、『助けに来た』と率直に答えたのだ。

「では、行きますよ!」

そして男は自身の手に握られている剣を振るい、彼女たちの手足に巻き付いていた触手たちを一刀のもとに切り裂いたのだ。

「うおぉっ!」
「きゃあぁっ!」

その後、触手が元の温泉水に戻ったことで支えを失い、落下した彼女たちの身体を受け止めたあと、少し離れた場所に静かに下ろした。

そして男が残された触手とその中にいる生命体のほうに向きなおると、なんと彼は持っていた剣をしまい始めたのだ。

「波ァアアア!!」

そのあと男が手を開いた状態で両手首を合わせ、先ほど彼が現れた時と同じようにそう叫ぶとその両手からビームのようなものが発射された。

そのビームにより残った触手たちがはじけ飛び、その中にいた球状の生命体が飛び出してきたのだ。

「では、サヨナラです」

彼はその飛び出してきた生命体を片手でつかみ取ると、そのまま全力で床に叩き潰して倒した。

そうして先ほどまで怪物に襲われていた千明とあおいは、突如現れたこの男の助けによって命と純潔を守り通すことができたのだった。


874 : 爆湯宣言!温泉モーレツ大決戦 ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/27(土) 02:20:27 UrIYwuAk0
そして、彼女たちはこの男に感謝の言葉を伝えようとしたが、ここである問題に気が付いた。

「あの……助けてもらったのはありがたいんやけど……」
「その……ちょっとね……」

それにより彼女たちは少し恥ずかしそうな様子で、その問題について少し言いよどんでいた。

「?どうかしましたか?」

それに対しその男は彼女たちの様子を疑問に感じ、何があったのかを尋ねるのだった。

彼女たちが気づいた問題、それは何かと言うと……

「……ここ、女湯なんやねん」
「……だから、さ……?」

この場が"女湯"であり、彼が自分たちの一糸まとわぬ姿を目にしていることだった。

「……ああ!私は気にしませんし、貴方達の裸に興味ないので安心してください」

しかし彼は彼女たちのその意図を理解しておらず、見当違いの回答を示したのだ。

「ウチらが気にするんやクソボケーッ!!」
「"興味ない"ってどういう意味だコラーッ!!」

「アイタタタタタタッ!ちょっ!何が気に入らなかったのですか!?」

彼のその言葉にキレたあおい達はそういって、近くにあった風呂桶で彼の頭を何度も殴ったのだった……。

------------------------
そしてしばらくした後……

先ほど露天風呂のあった温泉施設の中、そこの宴会場では先ほどの男性が頭にタンコブを作った状態で正座していた。

そしてそんな彼の目の前には、しっかりと衣服をまとった状態の二人がテーブルを挟む形で彼と向き合っていた。

「……さ・て・とぉ〜?結局のところ、アンタって何者なんだ?」
「それにさっきの『波ァアアア!!』ってやつ、ありゃ一体何なんや?」

千明とあおいが男に対し、そう尋ねた。

両手からビームを発射するなど明らかに自分たちの常識を外れた身体能力のことなど、彼に尋ねたいことは山ほどあったからだ。

「そういえば自己紹介が遅れましたね、私は、長らく『クルースニク』として生きる者。以後、お見知りおきを」
「あと先ほどの光線についてですが、あれは私に支給されたこの武器によるもので、どうやらああやって叫ばないと光線が発射されないみたいなのですよ」

それに対し彼は『幻魔クルースニク』という自分の種族と名前を名乗り、それと先ほどの技が自分の支給品によるものであることを説明したのだ。

「……『クルースニク』として生きる者?それって結局何なんだ?」
「確かに、それだけやとよう分からんなぁ」

彼女たちは彼のその自己紹介について、"よく分からない"という回答を示した。

「一言で言いますと、吸血鬼を始末するという宿命を背負って生まれてきた元・人間のことです」
「まあ……私が人間の世界で生きていたのももう百年以上も昔の話ですし、知らないのも無理はありませんね」

彼女たちのその言葉に対しクルースニクは自身の出自を話し、それとともに"知らないのも無理はない"とどこか納得した様子で軽く頷いていた。

「ひゃ……百年以上も前!アンタ一体いくつなんだよ!?」
「マジだとしたら、金さん銀さん超えとるさかいなぁ……」

彼の話した内容に対し彼女たちは、その中にあった"百年以上も昔"という部分について強い反応を示したのだった。

「しかしあの頃は、世界中を巻き込んだ戦争の真っ只中……振り返ってみればひどい時代でした…」

そして彼はしみじみとした様子で、自分の生きてきた時代を振り返っていた。

「……貴方達から見て、今は平和な時代を迎えていますか?」

しばらく自分の生きた時代を振り返っていた彼だったが、突如として彼女たちに"今の時代"について尋ね始めた。

「今の時代ねぇ……、まあアタシたちがいるところはとっても平和なのは確かだな」
「少なくとも、ウチらのようなか弱い女の子たちが普通にキャンプできること自体かなり平和な証拠やしね」

それに対し彼女たちは"自分たちが好きなことをできているから、平和だと思う"と答えるのだった。

「なるほど……、自分たちが好きなことを、何の気兼ねなくできるような時代だというわけですか…」
「良い時代に、なったものですね……いや、失礼。久々に人間と出会い、うれしさのあまり話し込んでしまいました」

クルースニクは彼女たちのその答えに再びしみじみとした様子でうなづき始めたが、しばらくすると元の真面目な調子に戻り始めた。

「……では本題に入りますが、先ほどの様子を見る限りですと貴方達は戦う力を持っていないご様子」
「ですので、貴方達の護衛の為に私も同行しようと思いますが、いかがでしょうか?」

それとともに真面目な口調で彼女たちに、"君たちの護衛をしたい"と申し出るのだった。

「そうだなぁ……さっきのようなこともあることだろうし、アンタみたいな人が同行してくれるなら有難いなぁ」
「じゃあ……済まないけども、よろしゅう頼むわ」

そして彼女たちは、彼のその申し出をありがたく受け取ることにしたのだった……。


875 : 爆湯宣言!温泉モーレツ大決戦 ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/27(土) 02:22:39 UrIYwuAk0
「では……"コンゴトモヨロシク"」

「なんでいきなりカタコトになってんだアンタ!?」


【幻魔クルースニク@真・女神転生シリーズ】
[状態]:健康、風呂桶でしこたま殴られたことによる頭部へのダメージ(小)
[装備]:レーザーブレード@魔界戦記ディスガイアシリーズ、ハンドオブグローリー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]基本行動方針:力なき人々を守りつつ、脱出を目指す。もちろん吸血鬼退治も行う。
1:この場にクドラクも呼ばれているならば、決着を付けねば……!
2:まずは、この二人の少女(犬山あおい、大垣千明)を守るべきですね。
3:……人間社会からしばらく離れていたとはいえ、流石にあれはデリカシーなかったと自分でも思います。
[備考]
※耐性とスキル構成については以下の通り。

 物理:耐性 破魔:無効
 スキル:烙印の一撃
     天扇弓
     至高の魔弾
     勝利のチャクラ
     物理ギガブレロマ
     銃ギガブレロマ


【大垣千明@ゆるキャン△(アニメ版)】
[状態]:健康、怪物に襲われかけたことによる恐怖(大)、裸を見られたことによる羞恥心(大)
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:脱出したい。自分の知り合いがいるのなら合流したい。
1:もしなでしこや恵那、しまりん、グビ姉がいるのなら合流したい。
2:ああ、これが"残念なイケメン"ってやつか……。
3:この人、付いて来てくれるのはいいんだけど、また変なことやらかさないかスッゲェ心配…。
[備考]



【犬山あおい@ゆるキャン△(アニメ版)】
[状態]:健康、怪物に襲われかけたことによる恐怖(中)、裸を見られたことによる羞恥心(大)
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:脱出したい。自分の知り合いがいるのなら合流したい。
1:他の子たちや先生がいるんなら、合流するべきやなぁ。
2:凄まじい天然ボケやなぁ、このイケメンさん(幻魔クルースニク)……。
3:ウチら守るためについて来てくれるみたいやけど、できることなら変なことやらかさんでほしいなぁ…。
[備考]



『施設紹介』
【大規模温泉施設@オリジナル】
 源泉かけ流しの温泉に露天風呂、サウナや砂風呂のほか食事処と宴会場があり、
 さらに宿泊施設も併設されている大規模な温泉施設で、設備運用のためのロボット(非戦闘員)が配置されている。

 なお露天風呂については幻魔クルースニクが外壁に穴をあけたのと戦闘行為のせいで荒れてしまい、
 その修復の為現在は閉鎖されている。


『支給品紹介』
【レーザーブレード@魔界戦記ディスガイアシリーズ】
 その名の通り、刀身がレーザーで構成された剣。

 ……『対象年齢4才以上(乾電池別売り)』と説明書にあるが、れっきとした本物の武器である。


【ハンドオブグローリー@魔界戦記ディスガイアシリーズ】
 両手のひらに宝玉のようなものが取り付けられた機械式のガントレットで、銃にカテゴリされている。

 使うときは手を開き、両手首を合わせた状態で「波ァアアア!!」と叫ぶのがマナーとされる。


『NPC紹介』
【水棲核細胞 モーファ@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
 赤く小さな球体のような魔物で、水をスライムのように操る能力を持っている。
 水で出来た触手を使って相手を掴んで振り回す、水中にいる相手にタックルを仕掛けるなどの攻撃をする。
 また水中では素早く動き回るため攻撃を当てるのは至難の業である。

 ……しかしあくまで強敵なのは"水中にいるとき"だけであり、ひとたび水の中から出されてしまえば
 只跳ね回るだけの肉塊と化してしまうという弱点がある。

 本来は会場内の河川などに配置されているNPCだが、配置ミスなのか近くの河川から移動したのか露天風呂に出没した。


876 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/27(土) 02:23:06 UrIYwuAk0
投下終了です

以上、ありがとうございました。


877 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 02:57:59 ye9yuoU60
以前コンペロワに投下したものについて、登場キャラを変更するなど一部手直ししたものを投下します。


878 : 闘う君が教えてくれた、自分の道を信じること ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 02:58:55 ye9yuoU60
―― "ボクは一体、何のために戦ってきたんだろう?"

―― あの時ボクは、そう思ってしまった。

―― 『おとなしく孕んどきな、これが魔法少女としての最後のおつとめなんだからよ』

―― 長い間魔法少女として戦い続けていたボクは、その言葉と共に見ず知らずの男によってレイプされてしまった。

―― 『交代のためのソウルオーブを君が充填するんだよ、新しい命のエネルギー"受精卵"でさ』

―― ボクは戦う力を失って、連続して排卵して何度も受精させられた。

―― そして生まれてくるはずだったボクの子供たちは、次世代の魔法少女を生み出すためのエネルギーのためにすべて使われてしまった。

―― 『よし、ソウルオーブのエネルギーが充填できた。これを次の魔法少女候補に植え付けて交代は完了だ』

―― 『ところで、このルミナって子だがオレが貰ってもいいかい?まだ新鮮な肉便器だし』

―― 『いいとも、廃棄品にもう用はない。報酬として好きにしたまえ』

―― ずっと相棒だと思っていたマスコットに捨てられ、女の子として終わらせられて……。

------------------------

……気が付くとボクは、ベッドの中にいた。

そしてその近くでは、かまどを使って料理している男性がいた。

その人は光り輝く宝玉のついた鎧を着こみ、そして強い意志を感じさせるまなざしをした青年だった。

どうやらその人がボクをここまで運んでくれたらしい。

そのお礼を言うために立ち上がろうとしたが、身体が疼いているせいで全身に力が入らず起き上がることすらできなかった。

「無理をしないほうがいい」

その人はボクにそう言った。

どうやら今のボクは、町を襲っていた怪人を倒して人々から感謝されていたあの時の、まだベテラン魔法少女として戦っていた頃の身体に戻っていたことが判明した。

―― またボクは、あんな目に合うというの?

そのことに気づいた瞬間、ボクは悲鳴を上げていた。ボク自身こんな声が出せるのかというくらいの、化け物じみた声で叫んでいた。

そうやってボクが悲鳴を上げていると、その人がその手を止めて、ボクのそばに近付こうとしてきた。

「君に何があったかは分からないが、辛いことがあったことはわかる。……落ち着くまでそばにいよう」

最初は彼のことが信じられず、ボクは力が入らないまま近くにあったものを彼めがけて投げ続けた。

しかし彼はそれらをよけようともせず僕へと近づき続け、ボクが投げたものの一つが彼の額に当たってそこから流血し始めた。

そして彼は、自分の額から血が出るのもいとわずにボクの手を握ってくれた。

「私は……君の味方だ」

ボクはその手を振りほどこうとした。しかし肉欲に疼き、弱った体では当然力が入るはずもなく、振りほどくことなどできなかった。

それからしばらくすると、その手の温かさと彼の優しいまなざしによって大分ボクは落ち着きを取り戻し始めた。

そうしてボクはポツリポツリと話し始めた。自分の身に何があったのかを。

ボク自身不思議だった。この男と話していると、まるで自分の父親と話しているような感覚になっていたのだ。


879 : 闘う君が教えてくれた、自分の道を信じること ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 02:59:26 ye9yuoU60
------------------------

「……そうか、そんなことが……。……済まない、こんなことを話させてしまって」

「いえ、良いんですよ。……もう、済んだことですから……」

彼はこう言って、申し訳なさそうな顔を、今にも泣きだしそうな顔をしてアタシに謝った。

その目にはボクをレイプした男とボクを裏切ったマスコットに対する激しい怒り、そして生まれてくるはずだったボクの子供たちに対する深い悲しみがあった。

「……君は今、とても体力と筋力が落ちている状態だ。だからまずは、それを回復させる料理を作ろうと思う」

そういうと彼は再びかまどの方へと戻り、料理を再開した。

そうしてしばらくすると、彼はボクに料理を持ってきてくれた。

「ちょうどこの場所にあったレシピを再現してみたんだ……。口に合うと、良いのだが…」

それはキノコとバナナを一緒に和えた、とても独創的な料理だった。

はっきり言ってあまり美味しくなさそうだと感じたけど、せっかく作ってくれたのにもったいないと思い、食べることにした。

「…………!……美味しい……!美味しいよ……!」

気が付くとボクは涙を流していた。自分は今こうして生きているって、辛いことがあったけれども今こうして生きているって、
それを実感できたからだ。

そして涙を流しているボクを、彼はとてもやさしいまなざしで見つめていた。
それは、先ほどボクの手を握り、優しい言葉をかけてくれた時と同じまなざしだった。

------------------------

そうしてひとしきり泣いたボクは、彼に一つ質問をした。

「一つ、聞かせてほしいんです……。なんで貴方は、ボクを助けてくれたんですか?」

それは、なぜ彼が僕のことを助けてくれたのかだった。

「貴方が助けを求めていた……、理由はそれだけだよ」

その言葉にボクは面食らってしまった。まさかそれだけの理由で誰かを助ける人がいるだなんて、今のボクには信じられなかったからだ。

「だったら教えてよ…!ボクが苦しんでいた時、なんでだれも僕のことを助けてくれなかったのかを!」

それとともにボクは激しい怒りを感じてしまった。それは彼が、かつて人を信じていた頃の自分の写し身のように感じたからだ。

そしてボクは彼に叫んだ。自分は苦しんでいる人々のために戦い続けていたのに、なぜ自分が苦しんでいるときに誰も助けてくれなかったのかを。

それはボク自身そう思っていたが、八つ当たりとしか言えないものだった。

「……貴方が苦しんでいたその時、貴方のそばに『人間』はいたのか!?」

しかし彼はボクのその心無い言葉たちを受けて、真剣な様子でこう叫んできた。

「"人が一人でいるのはよくない"……そのために、『人間』は造られたのではないのか!?」
「人のために、人の全ては人のために造られ、全ての人が自らの為に『人間』を与えられたのではなかったのか!?」

そして彼はボクに叫び続けた。『人間』とはどういうものかを、何のために人と人は繋がっていくのかを、それを叫び続けたのだ。

「もう一度聞こう……貴方が苦しんでいたその時、『人間』はどこにいたのだ!?」

彼のその言葉を聞いたとき、ボクはいつの間にか涙を流していた。

そしてその瞬間、ボクは見た。

―― 彼の背中に広がる、とても大きく力強い"純白の翼"を……。

「も…もしかして貴方は……『天使』なのですか……?」

その時ボクはこう思った。今目の前にいる彼はもしかしたら『天使』なのかと。

「いえ、私は……」

しかし彼がこの後に続けた言葉によって、ボクはまた面食らうことになった。

「――ただの、『人間』だよ」

それは彼が自分のことを、ただの『人間』だと、そう答えたからだ。

「ははっ……、まぶしい、まぶしいなぁ……!」

それとともにボクはこう感じた。

"この人のような強い心が欲しい"と、そして"もう一度人を信じ、魔法少女として人々のために戦いたい"とそう感じたんだ……。


……おそらくボクは絶対に、どんな辛いことがあってもこの思いを捨てることはないだろう…!


880 : 闘う君が教えてくれた、自分の道を信じること ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 03:00:21 ye9yuoU60
【ルミナ@爆乳魔法少女ルミナ 淫虐種付け蹂躙】
[状態]:健康、身体の疼きが止まらない
[装備]:ソウルオーブ@爆乳魔法少女ルミナ 淫虐種付け蹂躙
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:できることなら、再び魔法少女として戦いたい。
1:この人のような心の強さを、ボクも手に入れたい。
2:人って、こんなに暖かかったんだ…。忘れかけてたよ……!
3:まぶしいなぁ…この人は……!
[備考]
※参戦時期はラストシーン、相棒だった筈のマスコットにソウルオーブを奪われ完全に肉便器に堕とされた後。
※プロローグ時点の、まだ怪人たちと戦っていたころのベテラン魔法少女の姿に戻っています。
※ソウルオーブは彼女の身体と一体化しているため、厳密には支給品に含まれていません。


【天地騎士クレイ@モンスター烈伝オレカバトル】
[状態]:健康
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1、ツルギバナナ(残り4房)、マックストリュフ(残り1本)
[思考・状況]基本行動方針:他の人々を救い続ける。
1:地上に生きる者として、『人間』として他の人を救う。
2:とりあえず今は、彼女のそばに寄り添い続けよう。
[備考]


『支給品紹介』
【ソウルオーブ@爆乳魔法少女ルミナ 淫虐種付け蹂躙】
ルミナが魔法少女に変身するために必要なアイテムで、ルミナの下腹部に取り付けられている。

魔法少女の力を手に入れられる反面、力を使い続けると戦闘後に身体の疼きが止まらなくなるという副作用がある。

……実は使用限界が近づくと次世代の魔法少女に力をつなぐために
『現在の魔法少女の"受精卵"を使ってエネルギーを回復させる』という機能が備わっており、
ルミナが肉便器へと堕とされてしまったのもこれが原因である。


【ツルギバナナ@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
 フィローネ地方の熱帯林に実るバナナで、皮に包まれた果肉には筋力増強効果があるとされる。

 天地騎士クレイの支給品として5房支給されており、焼いたり揚げたり別の食材と組み合わせるなど料理に使うことで攻撃力アップの効果が発生する。

 なお、会場内に自生しているかは不明。


【マックストリュフ@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】
 ハイラル大森林やハイラル平原で採れるキノコで、回復効果や体力の増強効果があるとされる。

 天地騎士クレイの支給品として4本支給されており、焼いたり蒸したり別の食材と組み合わせるなど料理に使うことで体力の最大値を上げる効果が発生する。

 なお、会場内に自生しているかは不明。


881 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 03:00:49 ye9yuoU60
投下終了です

以上、ありがとうございました。


882 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:06:59 WLSBiCf.0
投下します


883 : 大参事スーパーSEX!!大戦 ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:08:32 WLSBiCf.0
「やはり簡単には外せないようですね。これは困りました」

この会場に連れて来られた少年、エルネスティ・エチェバルリアはため息をこぼす。
『魔法演算領域』を駆使して首輪の解析を行おうとしたが
制限を掛けられているのか、まともに使うことは出来なかった。
支給品として杖が用意されているが、使用可能なのはいくつかの攻撃呪文ぐらいである

「これは厄介ですね。他の皆さんは無事でしょうか?」

エルには仲間達がいるアディやキッド、それにドライクロイツのメンバー達だ。
彼らもこの会場に連れて来られているのだろうか。
それなら一刻も早く、合流しなければならない。

「それにヒエール……彼の正体も気になります」

ヒエールという男は、最初の異世界にも第二の異世界にも、聞き覚えが無い人物である。
今まで戦ったどの組織に所属していない新しい敵なのか。
もしかしたら更に別の異世界からやってきたのか。

(ここで考えても仕方ありません。まずは行動あるのみです!)

エルは思考を一旦中断し、仲間達を探すために歩き出すのであった。



「ミーの名前はニャンちゅうだに˝ゃ˝あ˝あ˝。よろしくでゅ˝え˝え˝ず」
「ニャンちゅうさんですね。僕はエルネスティ・エチェバルリア。エルと呼んでください」

エルが最初に出会ったのはネズミの着ぐるみを被ったやたらダミ声の猫、ニャンちゅうだった。
どう見てもぬいぐるみにしか見えない外見だが猫である。
本来、猫なら喋るはずが無いが

(サイバスターのパイロットであるマサキさんも喋る猫を使い魔にしていましたし、不思議な事ではないでしょう)

とのことで即、受け入れていた。

「エルくんと出会えて良かったに˝ゃ˝あ˝あ˝。一人ぼっちで寂しかったんだに˝ゃ˝あ˝あ˝」
「僕はここから脱出するために協力者を集めている所です。ニャンちゅうさんもご一緒に行きませんか?」
「勿論だに˝ゃ˝あ˝あ˝。殺し合いなんてごめんだに˝ゃ˝あ˝あ˝」

こうしてエルとニャンちゅうは意気投合し、行動を共にする事になったのでした。

「それにしてもヒエールという男は悪い奴だに˝ゃ˝あ˝あ˝」
「僕も同意見です。必ず捕まえて懲らしめてあげましょう」

二人はこの悪質なゲームを開いた主催者であるヒエールに怒りを露わにしていた。
エルはロボットに対する情熱が異常なほどであり、ロボット製作のために非常識と呼べる行為も繰り返しているが
性根は決して外道では無く、好んで人を傷つけるような人間では無い。


884 : 大参事スーパーSEX!!大戦 ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:09:02 WLSBiCf.0
「おおっとぉ!こ、これはぁ……」
「洞窟でしょうか」

二人が見つけたのは如何にも何かがありそうな洞窟であった。
中を覗いてみると意外と広く、地下奥深くまで進める広さである。

「もしかしたら奥にお宝が隠されてるかもしれないに˝ゃ˝あ˝あ˝」
「待ってください。中に魔物やトラップが潜んでいるかもしれません。ここは慎重に動くべきです」

洞窟に入れば何が待ち受けているか分からない。
リスクを考えるなら迂闊に入るべきではないが……。

『……フ…………ス……』

「ん˝ん˝っ!?なんか声が聞こえるに˝ゃ˝あ˝あ˝」
「……確かに、奥に誰かいるようですね」

洞窟の奥から、なにやら人の声が聞こえていました。

「もしかしたら助けを求める声かもしれないに˝ゃ˝あ˝あ˝」
「罠の可能性も捨てきれませんが……行きましょう!」

もし誰かが洞窟の奥で助けを求めているとしたら
そう考えたエル達は洞窟の中へと足を踏み入れたのであった。

洞窟内は真っ暗闇かと思いきや
天井に埋め込まれた照明が点々と続いており。
内部を明るく照らしている。
人為的な手を加えられた洞窟であった。

「ニャンちゅうさん、ここからは僕の後ろに付いてきてください」
「了解でゅ˝え˝え˝ず」

敵意を持った存在が現れた時を考慮して
魔法が使えるエルが先頭に立つ。

『パチュッ……パチュッ……クス……』

奥へ進むたびに、何か柔らかい物を打ち付ける音が響き渡り
男の声らしき音も聞こえてくる。

「そろそろ着きますね」
「なんかちょっと怖くなってきたに˝ゃ˝あ˝あ˝」
「もし罠だったらすぐに退却しましょう」

そして二人は洞窟の終点へとたどり着いた。
そこは巨大な祭壇だった。
地べたは石畳で構築され、天井は10m以上あり、巨大な邪神像が設置されており
邪神像の真下には宗教の教祖かのように佇む一人の男。
その周囲には大量のゴブリン達が蠢いていた。

パチュン!パチュン!パチュン!パチュン!

「GOBUUU!!」
「GOBUGOBU!!」

奇妙な光景であった。
ここにいるゴブリンは全て、ゴブリン同士で犯し合っているのである。
正に地獄絵図、悪夢のような光景である。

「これはひどいっ!!」

本来、ゴブリンは同族同士による性行為はするはずがない。
他種族のメスを攫い、孕み袋として子を産ませているのだ。
ならば、なぜこのゴブリンは同族で性行為を働いてるのか、それは……

「フフフ……SEX!!」

この一人の参加者が原因であった。
男はひたすらSEX!と呟き続ける。

「か、カミーユさん!?」

エルは彼を知っていた。
彼の名はカミーユ・ビダン、ドライクロイツの仲間としてエルと共に戦った戦友である。
しかし、今のカミーユはエルの知るカミーユとは全く別物の人格になっていた。

「え˝え˝っ!?あいつ、エルくんの知り合いなのかに˝ゃ˝あ˝あ˝!」
「はい、でもなんだか様子がおかしくなっています」

カミーユは邪神像の前でにたりと笑いながら口を開いた。
それは身の毛もよだつおぞましい演説だった。


885 : 大参事スーパーSEX!!大戦 ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:09:29 WLSBiCf.0
「諸君 私はSEXが好きだ 諸君 私はSEXが好きだ 諸君 私はSEXが大好きだ。
 平原で 街道で 塹壕で 草原で 凍土で 砂漠で 海上で 空中で 泥中で 湿原で
 この地上で行われるありとあらゆるSEXが大好きだ。
 フフフ……SEX SEX みんなSEXし続けろ。激しく、もっと激しく。
 ペニスとヴァギナをこすり合わせ、愛液と精液を混ぜ合って、肉と肉が蕩け合うまで交わり続けろ!
 いずれは会場中の人間も参加させてやる。支配者面したヒエールもだ。
 会場中の女達の穴という穴全てに精液を流し込んでやる。
 全てのNPCもみんな家畜のようによがらせて可愛い参加者の膣にペニスをぶちこむのさ!
 会場の次は外の世界全ても巻き込んでやる。
 ただすれ違った見ず知らずな奴ら同士をいきなりSEXさせてやる。
 例えそれが親子であろうと 兄弟であろうと 女同士だろうと 男同士だろうと 子供だろうと 老人だろうと 赤ん坊だろうと
 全員残らず性器を結合させて愛液と精液に塗れさせてやる。
 SEX SEX SEX どいつもこいつもSEXさせてやる。
 膣やペニスが擦り切れて、血まみれになっても腰を振り続けさせてやる。
 血と性癖と愛液に塗れながら、喉が渇けばそれを啜り、腹が減ったら互いの肉を噛み千切らせる。
 そして永遠続けさせてやる……SEXを。
 諸君 私はSEXを 地獄のようなSEXを望んでいる。
 諸君 私に付き従うゴブリンの諸君 君達は一体何を望んでいる?
 更なるSEXを望むか?情け容赦のない糞のようなSEXを望むか?
 鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐のようなSEX!!を望むか?」

「GOBU!!」「GOBU!!」「GOBU!!」「GOBU!!」「GOBU!!」「GOBU!!」

「よろしい ならばSEXだ」

カミーユの演説を聞いたゴブリン達の狂乱ぶりにエルもニャンちゅうもすっかり気押されていた。
そんな空気の中でもエルは行動に出た。

「カミーユさん!これはどういうことですか!?何をやっているんですか!?」
「君は誰だい?どうして僕の名前を知っているんだい?」
「エルです。エルネスティ・エチェバルリア、ドライクロイツで一緒に戦ったじゃありませんか!」
「エルネスティ……ドライクロイツ……悪いけど聞いた事が無いね」
「まさか……」

(洗脳による記憶操作?それとも僕の知るカミーユとは別人?)

ヒエールによって記憶や人格を弄られたのか。
そもそもドライクロイツにいたカミーユとは別人なのか。
エルが考察を働かせてる中、カミーユは楽しそうに状況を説明し出した。

「ゴブリン達のことだが、壊してあげたんだよ。心を、心をね。壊してあげたんだ。
 そう、ちょっと特殊な電波を使ってね」
「電波?」
「僕はこの電波の話をするのが大好きでね。まぁ所謂、自慢話で恐縮だけど。
 毒電場とは空から降り注いで人を狂わせたり、おかしな行動を取らせたりする言葉通り毒の様な電波のことさ。
 目には見えないし、知らないうちに脳内に侵入するから防ぎようが無いんだ。
 元々、人間の意志とか感情とかは電気信号の集まりだろ、毒電波はそれを歪め、汚染してしまう力を持っている。
 どうだい?面白いと思わないかい?人間の心が外から歪められてしまうなんて。
 そんな毒電波を、もし仮に自分の意志で操ることが出来るとしたら、とても面白いとは思わないかい?
 他人の脳を離れた所から直接操作できるんだよ、リモートコントロールみたいにね。
 それが僕には出来るんだ、僕が壊してやった……ハハハ!壊してやったんだ!」

「そんなの嘘に決まってるに˝ゃ˝あ˝あ˝!絶対あり得ないに˝ゃ˝あ˝あ˝!」
「いえ、恐らくカミーユさんの言ってる事は本当です」
「フフフ……君は中々、理解力があるじゃないか」

もしエルがドライクロイツのチームとして戦っていなければ信じていなかったかもしれない。
ザンスカール帝国との戦いでエンジェル・ハイロウの力をエルはその身で体験していた。

エンジェル・ハイロウには2万人のサイキッカー達が格納されている。
そのサイキッカー達の思念を増幅させた強力なサイコウェーブによって
ドライクロイツのメンバーは闘争心を失い、戦意を奪われ、危機に陥った事があった。

思念を送り込み、意志を操ることだって不思議ではない。
ましてやニュータイプとして特に能力が秀でているカミーユならなおさらである。


886 : 大参事スーパーSEX!!大戦 ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:10:35 WLSBiCf.0
「さぁ、お前達もSEX!し続けろ」
「に˝ゃ˝あ˝あ˝!不愉快な気持ちになるに˝ゃ˝あ˝あ˝!」
「毒電波……まずい!」

カミーユから放たれる毒電波がエルとニャンちゅうに降りかかる。
危険を察知したエルはすぐさま杖をカミーユに向けて魔法を撃ち放った。

「カミーユさんすみません!ファイアボール!!」

杖から放たれた火炎球はカミーユの足元へ向け飛んでいく。
あくまで威嚇目的の魔法であり、カミーユに傷を負わせるつもりは無かった。

「SEX!!」

カミーユは空手で鍛えた身体能力を駆使して猛スピードで動き回った。
ジグザグに動きながらエルに接近しハイキックを叩き込む。

「なんとぉー!」

後方に飛んでハイキックを避けたエルはもう一度、呪文を唱える。
怪我を負わせてしまうかもしれないが更に高威力の呪文を使わなければこちらが危ない。

「ライオットスパロー!!」

槍状に収束した雷を投射し、カミーユに向かって撃ち放つ。
動きを止めるために雷で痺れさせようと考えての攻撃である。

「SEX!!」
「GOBUUUU!!」

傍でまぐわっていたゴブリンを投げつけ、雷魔法にぶつけた。
雷魔法と衝突したゴブリンは悲鳴をあげながら痙攣を繰り返す。

「まさかゴブリンを飛び道具に使うなんて」
「SEX!!」
「あぐっ!」

カミーユの正拳突きがエルのみぞおちに深く突き刺さる。
激痛で一時的に呼吸不能に陥り、膝を付いて倒れる。

「エル君をいじめるに˝ゃ˝あ˝あ˝!!」
「離せよ!人殺しドモン!!」

エルを救うべく、ニャンちゅうはカミーユに飛びかかる。
ふわふわした体でカミーユを捕まえようとするが
あっさり叩き落とされた。

「に˝ゃ˝ぶ!」
「ハハハハハハ!!ざまぁないぜ!!」
「ニャンちゅうさん!」
「さぁ立つんだエルネスティ……」
「カミーユさん、もうやめてください!」

カミーユはエルの言葉を無視して体を掴み上げると。
何歩か歩いた後にエルを地面へと下した。
すると、カチリという音と共に床下から四本の機械のアームが飛び出した。

「これは、うわぁ!」
「面白いだろう。さっき見つけたトラップなんだ。
 ゴブリンに押させて試したから機能も把握済みだよ」

四本のアームはそれぞれエルの両腕と両足を拘束し
カミーユに尻を向けるような形になって四つん這いの姿勢を強制された。

「離してください、カミーユさん!」
「それを外すにはもう一度このスイッチを押せばいいんだよ。
 罠に掛かった本人からは届かない位置だけどね。
 さぁ、僕と楽しい事をしようかエルネスティ」

薄気味悪い笑みを浮かべながらエルに近づくカミーユ。
その姿は草食の肉を目の前にした肉食動物のようであった。


887 : 大参事スーパーSEX!!大戦 ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:10:59 WLSBiCf.0
「楽しいこと?」
「そうさ。僕のペニスを君のアナルにぶち込むのさ!」
「ごらぁぁぁ!!やめるに˝ゃ˝あ˝あ˝!!」
「ゴブリン共、あのぬいぐるみとSEX!するんだ」

カミーユの一声でまぐわり合ってたゴブリン達は
一斉にニャンちゅうに向かってなだれ込んできた。

「あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝っっ!!ミーの貞操が大ピンチだに˝ゃ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝!!」
「ニャンちゅうさんだけでも逃げてください!!」
「さぁエルネスティは僕と遊ぼうねぇ」

エルのズボンをずるずると下す。
体毛のまったく無い、透き通った腿が露わになる。
尻に触れるとモチモチとした弾力が伝わり、健康的な少年の柔らかさを感じさせる。
絹のようななめらかな肌は少女を思わせる美しさだが
股間からはちゃんとペニスが付いている。
サイズは可愛らしい大きさで毛も全く生えて無い。

ペニスを優しく撫でてあげると
エルの苦しそうな声がハーモニーのように発し
こちらの性的興奮を助長してくれる。

「やめて、ください……おかしいですよ。カミーユさん!」
「おかしい?僕は正常だよ」
「ひぐぅ、うああっっ!」

カミーユの中指がエルのアナルにズブズブと侵入していく。
生まれて始めて感じた刺激に、エルは思わず悲鳴をあげてしまう。

「さぁ、素直になるんだエルネスティ。快楽のままに溺れようじゃないか」
「ダメ……です。クワトロさんやアムロさんが悲しみますよ!」
「安心したまえ。全員SEX!!の虜にしてやるさ……っと」
「あぐぅぅっ!!」

中指だけでなく人差し指も加えて、二本の指でエルのアナルを拡張していく。
カミーユの増幅されたニュータイプ力はエルの性感帯を的確に見つけだし
容赦無く責め続けていた。

(まずい……このまま犯されたら僕は……)

今までの生活に戻れなくなってしまう恐怖がエルを襲う。
ロボに操縦して戦えるなら死んでも本望だったエルだが。
性によってロボ愛が失われ、肉欲に従うまま生きるのはとても恐ろしかった。

「よぉし、十分ほぐれてきただろう。そろそろ僕のペニスが欲しくなってきた頃合いじゃないかい?」

(ああ、こんな太くて大きな物が僕の中に入ったら、僕は……)

カミーユのギンギンにそそり立つペニスがエルのアナルに向けて必中をかける。
その威力は気力最大にして魂をかけた突撃に等しい。

(このままじゃチンポに負けてしまいます。僕の機体がチンポに撃墜されてしまいます)

絶体絶命の状況、閃きも浮かばず、鉄壁も崩され、不屈の精神もチンポに屈してしまうのか。

「ドカン!!」
「GOBU!!」

ダミ声と共にゴブリンの一匹が吹っ飛ばされる。

「ドカン!!」「ドカン!!」「ドカン!!」「ドカン!!」「ドカン!!」「ドカン!!」
「何が起きてる?」

次々とゴブリンが倒れていく。
カミーユが振り返ると右腕に大砲を付けたニャンちゅうが立っていた。

「これはいいものだに˝ゃ˝あ˝あ˝」

空気砲、ニャンちゅうのランダム支給品。
殺傷力は無いが生物を軽く吹き飛ばす威力がある。

「エルくんから離れるに˝ゃ˝あ˝あ˝!」
「うかつな!」

空気砲の攻撃はカミーユに当たる事無く回避されるが
おかげで僅かな時間が稼ぐことができた。

「ニャンちゅうさん!あそこのスイッチを押してください!」
「分かったに˝ゃ˝!」

ニャンちゅうがエロトラップのスイッチを押すと
一斉にアームが外れて、エルの拘束が解除された。
自由になったエルはすぐさま杖を拾い、カミーユに向ける。

「しまっ!」
「エアロスラスト!!」
「SEX!!」

空気の弾丸がカミーユに命中し、吹き飛ばす。
カミーユは壁に叩きつけられ体を強く打ち付ける。

「よくもやったな。お前の精神を木っ端微塵にしてやる!」
「このプレッシャーは!?捕まってください、ニャンちゅうさん!フィジカルブースト!!」
「分かったに˝ゃ˝」

カミーユの思念の強さに危機感を覚えたエルは
身体強化魔法をかけて急ぎニャンちゅうを拾って回収。
すぐさま外に向かって駆け出して行った。


888 : 大参事スーパーSEX!!大戦 ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:11:24 WLSBiCf.0


洞窟から抜け出したエルとニャンちゅうは
カミーユ達に見つからぬようにある程度、洞窟から距離を取った所まで移動し
ようやく一息ついていた。

「はぁ、はぁ……ニャンちゅうさん。怪我は無いですか?」
「エル君こそ大丈夫かに˝ゃ˝?あいつに酷いこそされたでじょ˝う˝?」
「僕は大丈夫です。ニャンちゅうさんのおかげで助かりました。ニャンちゅうさんは命の恩人、いやそれ以上です!」
「そうかに˝ゃ˝?そこまで褒められると照れちゃうに˝ゃ˝あ˝あ˝」

(……本当に恩人です。僕にとってロボットへの愛を失うのは、それは命を失うよりも辛いことですから)

もし、このままカミーユに犯されていたと思うと……
アナルの奥がじゅくじゅくと疼いてくる感覚が蘇ってくる。

「それよりもニャンちゅうさん!その武器すごいですね!少し見せてもらっていいですか!?」
「あ、はい」

カミーユの責めで受けたあの感覚を忘れるべく、エルは目の前にある未来技術に夢中になろうとしていたのであった。

【エルネスティ・エチェバルリア@ナイツ&マジック】
[状態]:健康、魔力消耗(中)、毒電波による汚染(小)、A敏感
[装備]:めぐみんの杖@この素晴らしい世界に祝福を!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らず脱出する
1:仲間を集めて脱出する方法を探す。
2:カミーユさんを元に戻したい。
3:他のドライクロイツの皆の安否が心配。
4:ヒエールさんは許せませんが技術はとっても興味深いです。
[備考]
※スーパーロボット大戦30からの参戦です。
※カミーユの毒電波による悪影響でアナルが敏感になっています。

【ニャンちゅう@母と子のテレビタイム土曜版】
[状態]:健康
[装備]:空気砲@ドラえもん
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らず脱出する。
1:エル君と一緒に脱出するに˝ゃ˝あ˝あ˝
2:あいつ(カミーユ)頭おかしいに˝ゃ˝あ˝あ˝
[備考]

『支給品紹介』
【めぐみんの杖@この素晴らしい世界に祝福を!】
名前の通り、めぐみんが愛用している杖である。

【空気砲@ドラえもん】
ドラえもんに登場するひみつ道具の一つ。
腕に装着して『ドカン』と発声することで圧縮空気を撃ち出す事が出来る。



「どうやら参加者達には僕の毒電波は効き辛いようだ」

エルやニャンちゅうを毒電波で操ろうとしたが抵抗され、失敗に終わった。
参加者はNPCよりも耐性が強くなっているらしい。
それにあまり一気に毒電波を放出するのは精神の負担も大きいようで
僅かに疲労感による頭痛が残っている。
それが分かっただけでも十分な収穫ではある。

「次こそは君のアナルを頂くよ。マーイリトルスイーットハーーーット!!」

【カミーユ・ビダン@カミーユ精神崩壊シリーズ】
[状態]:精神崩壊、精神疲労(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜3
[思考・状況]基本行動方針:全ての参加者を毒電波で洗脳してSEX!!
1:フフフ……SEX!!
2:次にエルネスティと出会ったらフフフ……SEX!!
[備考]
※カミーユの精神が崩壊しています。


889 : ◆IOg1FjsOH2 :2021/11/28(日) 03:11:45 WLSBiCf.0
投下終了です


890 : グレーゾーン ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 05:54:38 SEVXRv5g0
投下します


891 : グレーゾーン ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 05:57:37 SEVXRv5g0
 白い煙が浮遊大陸の空へと昇っていく。
 スーツを着こなした強面の中年男性が岩に腰かけ煙草を吹かす。
 その光景は、端から見ればそっち系の人のステレオタイプが一服してる光景だ。
 いや、事実この男は嘗てはヤクザではあったので決して間違いではないか。

「あんた、なんで助けた?」

 彼の背後で同じようにタバコを吹かすも、
 タールがきついためか軽くむせる若い青年。
 十代中頃だろうか。彼もまたスーツを着こなしている。
 隈が酷く、憔悴しているその顔も合わせて彼もそっち系に見えてしまう。
 青年はこの舞台に招かれてからすぐにNPCに追われる立場となっていた。
 ゴブリンだのなんだのと言ったものには無縁だが、青年も相応の修羅場はくぐっている。
 何匹かは支給品で応戦して処理したものの、所詮道具頼みの上に多勢に無勢。、
 数で圧倒されてたところを、中年の男がガトリングの如く銃撃をして事なきを得て、
 今に至っている。

「殺し合いに興味のない参加者……とは思えないな。」

 人を助けるなら乗った人物ではないと思うのが自然だが、
 興味がないのであれば今は他の人でも助けに向かってるはずだ、
 此処で暢気に二人でタバコを吸い合うことなんてしないだろう。
 ましてや初対面。誰が信用できるか分からない中助けられる謂れなどないのだから。

「腐らせるには勿体ないと思っただけだ。クソみてーな人生を送ってそうな目だったからな。」

 死んだ魚の方がまだましかもしれないような瞳。
 理不尽を受けたり、弱い立場の人間にありふれたもの。
 元ヤクザで、ヤクザではなくなった後もそういう人を見てきたし、
 此処に来る以前に面倒を見ていた奴も、そういう類だ。
 あっちとは違って、まだどん底ではなさそうだが。

「……まあ、間違いではない。」

 マフィアに家族を殺されて、
 復讐の為だけに全てを費やしてきた。
 普通の人からすれば、掃き溜めのような人生。
 なんとなく感じている。この復讐すら『むだごと』なのだと。
 だが止まると言うことは、身の潔白の為に殺した親友の死すら無駄にする。
 自分を守るために死ぬと分かっいても戻ってきた、家族と言ってくれた親友が。
 最早止まることはできない。いや、止める人はもうすでにいなくなったと言うべきか。
 生き返らせたとしても、生きてたことを言及されて復讐が果たせなくなってしまうかもしれない。
 かといってマフィアとも無縁の場所に生き返らせて、果たしてそれは生き返ったと言えるのか。
 何を選んでも変わらない。変えようがない。だからできることは一つだけ。

「今まで受けたものをあいつに返す。だから俺は帰らないといけない。」

 かえって復讐を果たす。
 復讐が終わった際に生き返らせると言う、
 時間差による親友の復活が可能ならそうするだけ。
 他者の命に重みを感じない。白銀の銃口が男の後頭部へとあてがわれる。
 当てられた銃は震えている様子はない。青年らしからぬ冷静さを持つ。
 このまま撃って、そして脳漿をぶちまける。それだけの結果になる。

「別に撃ってもいいぞ。俺は別に生き返る気もないしな。」

 動じることなく、咥えた煙草のフィルターがどんどん灰となっていく。
 男は既に死んでいる。戻ったところで嘗て居座っていた場所はすでにないし、
 別に忠義があったかと言えばない。あるのは精々そこが力を持っていただけに過ぎない。
 燦然とした太陽に焼かれて弱者が蹂躙されていく。それを眺められる場所が其処だっただけ。
 カリスマに心酔したわけでも、恩義があったわけでもない。仲間と仲良しこよしのはずもなし。
 任務に失敗した際も『身の振り方考えるか』と煙草を吸うぐらいに、驚くほどさっぱりしていた。
 今更戻る場所など彼には何処にもない。願望を成就させると言うのが本物でも興味がない。

「……死んだ人間なのか?」

「面倒を見てた奴にとどめを刺されたな。
 だからどーだこーだと言うつもりもねえが。」


892 : グレーゾーン ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 05:58:25 SEVXRv5g0
 突きつけられた銃口が軽く揺れるのが、後頭部越しに伝わる。
 青年の目的はそのマフィアへの復讐。その為にあえてそのマフィアへと入った。
 つまりは復讐すべき相手が自分の面倒を見ていた、と言うことだ。
 同一ではないが、どこか似たものを青年は感じていた。

「だが、欲しくもない優勝を譲ってやるほど心が広い人間でもない。撃った瞬間から殺し合いだ。」

「頭を撃たれるのにか?」

「さっきどうやって助けたのか思い出せばわかる。」

 ガトリングの如く銃撃が飛んだ。何かを持っていたわけではない。
 青年は異能や超能力と言った世界とは無縁の場所の人物だ。
 だから何かのトリックか、捨てたのかと思ったがそうではなかった。
 指先を向けた方角に放たれた弾丸は、近くの木に大きな風穴を開ける。
 指からは硝煙のような煙が昇っており、流石にそのことに気付く。

「……機械なのか?」

「ああ、そういうのを知らねえのか。」

 フィルターぎりぎりまで吸いきった煙草を吐き捨てると、
 無数のムカデがどこからともなく現れ、彼を包んでいく。
 流石に青年も驚嘆せざるを得ず、距離を取る。

 ムカデの動きが終わるころには、
 彼は人の形こそしているが人ではなかった。
 堅牢な鎧に身を包んだ、異形のような姿だ。

「こういうのを、ヴァンパイアと呼ぶらしい。」

 男、芭藤哲也は人間ではない。
 火山灰を被ったことで人間ではなく、ヴァンパイアとなった存在だ。

「ヴァンパイア……想像してた吸血鬼と違うな。」

「頭を撃たれた程度では死なない。脳を斬り落とされてもな。
 それでも頭に撃つって言うなら、やってみてもいいぞ。」

 一応弱点は心臓ではあるが、そこまで親切にするつもりはない。
 七原のように気に入った奴の面倒見は良いが、青年相手には興味があるだけだ。
 未だに鳴り響かない銃声が気になり芭藤が振り返って様子を伺う。
 銃は話しながらも構えたままだ。少なくとも彼ほど臆病な性格ではないらしい。

「ビビってるわけじゃねえだろ。冷静に銃を構えられる。
 少なくともお前は人を殺せる側だ。いや、殺した側か?」

 白銀の銃を下ろしながら、軽い溜息と共に言葉を紡ぐ。

「……いや、やめだ。邪魔をしない人間を殺すメリットが薄い。」

 優勝する気が基本ない、殺し合いを否定しない、その上で力もある。
 殺すか生かすの選択肢で、殺すを選ぶ理由が果たしてどこにあるのか。
 第一、殺せるかどうかも怪しい現状では今の自分ではどうにもならないだろう。
 逆に殺される可能性も低い。態々助けたのもあるが、何よりもその強さにある。
 頭を撃たれても死なないなら、既に彼は十分参加者を蹂躙できる強さを持つ。
 そんな彼が支給品目当てに自分を殺して、死体を漁る光景は想像つかない。

「賢い選択だな。」

 人の姿に戻れば岩の傍に置かれた煙草を咥え、ライターを手に再び一服する。
 タールがきつく青年は蒸せていたが、芭藤は澄まし顔で吸っていた。

「お前、名前はなんだ?」

「アヴィリオ……いや、本名が出されるか。アンジェロ・ラグーザ。」

「アンジェロか。どうせだから持っていけ。」

 そう言って投げ渡されたそれを受け取る。
 そこそこ大きいもので、何かと思ってみれば、灰色の石の仮面。
 仮面らしく不気味で、しかし何処か神秘的なものを感じる程度の古いものだ。

「この仮面は何だ?」

「吸血鬼になる仮面だとよ。注意書きはよく読んでおけよ。朝日に当たれば俺と違って確実に死ぬ。」

 彼の世界とは別の、人間が吸血鬼になるための手段。
 ただの仮面にしか見えず、表と裏を交互に眺めている。
 普通なら眉唾ものだと一蹴してただろう。アンジェロは異能とは無縁だ。
 しかし、既に非科学的なものを目にした。今更なんだとのたまうつもりはない。


893 : グレーゾーン ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 05:59:18 SEVXRv5g0
「俺がいる時点で一般人が勝てる相手は限られる。
 吸血鬼になれば、そのハードルも少しはましになるだろ。」

 弱者救済だとかそんな綺麗事や騎士道精神と言ったものもなく、
 邪魔となる敵は排除するであろう躊躇のなさ。意気込みについては七原よりはずっといい。
 期待できるほどの強さになるかと言われると、比較が後に日ノ元すら評価する七原なので難しい所だが。
 まだ吸血鬼ですらない、ただの人間。いきなり七原程の期待されてる奴と同格などあるはずがなく。

「腐らすには勿体ないから、か。」

「ついでに、俺には意味がない。」

 既にヴァンパイアなのに、
 今更吸血鬼になったところで意味などない。
 別の吸血鬼と融合すると言うのは気にはなったが、
 朝陽が昇るこの浮遊大陸でやるには少々きついものだ。
 ついでに建物を破壊する能力に長けすぎてるの射撃性能。
 今すぐ使うには少々リスクが大きいのも一応の理由ではあった。
 試すならば次の夜だ。次の夜ならば半日は活動ができる。
 もっとも、それまでこの仮面が残っていればの話だが。

「代わりにこれ、貰っていくぞ。」

 置かれていたタバコの箱とライターを手にする。
 元々アンジェロの支給品ではあったが、先程は二人でそれを吸っていたものだ。

「……好きなのか? それ。」

「いや、別に。」

 普通に澄ました顔で吸っていることから、
 気に入ってるのかと思えばそんなことは全くなかった。

「それで蹂躙してやれ。そんで、最終的に俺を殺せればお前の勝ちだ。一応はだが。」

 自分が参加して他が勝てる見込みゼロの人間ばかりではないだろう。
 人を吸血鬼にする仮面がある。場合によっては火山灰が支給されてるかもしれない。
 先のアンジェロの言動から、生きた人間だって参加してる可能性すらある。
 となればドミノ達は勿論、燦然党員……最悪日ノ元すらいることは否定できなかった。
 まあ、別に優勝を意気込むタイプではないので、いてもそれはそれで問題はないが。

(どっちにしても前途多難だろうな、七原。)

 此処にいたら、弱者救済と甘いこと言って人を助けるのだろう。
 いなかったとしても、あの世界でやっていくには余りに甘えたものだ。
 弱者の立場から一転してもなお黒にも白にもちゃんと染まれない、半端者の灰色。
 肝心なところでも非情になれない甘い奴だ。確実に何処かでやらかすだろう。

「分かってる。だが、使わず生き残ることが無理なのは、お前も分かってるだろ。」

「……どこを見てる?」

 自分への返事……としても少しおかしいものだが、
 アンジェロは芭藤を見ておらず、あらぬ方向を見ている。
 人はいない。誰かが話しかけたようには見えないし声もしなかった。

「いや、なんでもない。それと、ネロ・ヴァネッティを名乗る奴がいたら殺さないでくれるか。」

「……そうかい。向こうから手を出さなきゃ放っておいてやるよ。」

 吸いきった煙草を再び吐き捨て、
 煙草を片手に芭藤は何処かへと去っていく。
 事情は聴かない。弱者だった奴の過去なんて大体同じだ。大した興味などない。
 彼の後ろ姿を一瞥した後、アンジェロも何処かへと去る。





 かくして、ヴァンパイアは一人の青年に別の吸血鬼の道を示した。
 ふりまかれる災禍に、どれだけの人が不幸になるか想像しながら。

【アンジェロ・ラグーザ@91Days】
[状態]:精神疲労(極大)
[装備]:454カスールカスタムオートマチック@HELLSING、タバコ&ライター@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜1、石仮面@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本方針:復讐を果たすため元の世界に戻る。願いに興味はない。
1:石仮面を使って吸血鬼になる。その為の血が必要だ。
2:ネロがいたらどうする?

[備考]
※参戦時期は11話、バルベロに捕まる前。
※石仮面が自分の血を使ってもいいことには気づいていません。

【芭藤哲也@血と灰の女王】
[状態]:アンジェロへの興味
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜2、
[思考・状況]
基本方針:参加者を不幸にしていく。変わることはない。
1:アンジェロに興味はあるが、今後次第だな。
2:どうせなら使ってみるか、ダンジョン。
3:ネロを見かけたらどうするか。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※左手のビームはどれだけ長くても、エリアを超えません。


894 : グレーゾーン ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 05:59:35 SEVXRv5g0
【454カスールカスタムオートマチック HELLSING】
アンジェロの支給品。アーカードが最初から所持している白銀の銃。
弾丸は454カスール改造弾。アーカードならまだしも生身の人間では安定した銃撃は難しい。
装弾数は七発だが作者曰く百万発入りのコスモガンらしく、事実作中でも明らかに装填せず七発以上撃っている。

【石仮面@ジョジョの奇妙な冒険】
芭藤の支給品。カーズが太陽を克服し、究極生命体を目指すべく作られた仮面。
仮面が血を浴びると仮面の骨針が頭蓋骨を貫き、脳を刺激することで強靱で不死身の生命体にする。
エキスを贈ることで人間を屍生人(ゾンビ)にもできるが、制限で生きた相手にのみ適用される。
指からの吸血もゾンビ化も可能。弱点は脳を完全破壊、太陽を浴びる、太陽由来の攻撃などがあり、
太陽絡みの傷は再生できない。それらでなくとも大やけどなどの重傷は回復に相当な時間がかかる。
他者の腕を斬り落としてそれを接合、と言った形であれば修繕可能。サイズが合うかは別だが。
なお気化冷凍法や空裂眼刺驚は才覚次第では使えるが、なりたてではディオ程の性能は期待できない。
石仮面の力だけでは究極生物に足りえず、エイジャの赤石があればなれる……かもしれない。

【タバコ&ライター@現実】
ごく普通のたばこ、ごく普通のジッポライター。
何の変哲もないが、タバコはタールが50mもあるキッツイの。
何処かの元ヤクザは、好きでもないのに滅茶苦茶吸っているらしい。


895 : ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 06:00:00 SEVXRv5g0
投下終了です


896 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/28(日) 12:51:52 CODjB61c0
投下します


897 : 蜘蛛 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/28(日) 12:52:03 CODjB61c0
浮遊大陸の海岸部……いや、この場合は空と地の境界線であり、そこから見える光景は大海原ではなく何処までも広がる黒い夜空

星の輝きすら届かず、断崖に聳え立つ灯台から放たれるサーチライトが周りを照らすのみ

「なぁるほどな、面倒くせぇ事に巻き込まれたってことか」

そこにいたのは一人の男、猛禽類の如く鋭い目を持った金髪の男である
男に明確な名前は無い。曰く一時期殺し屋たちの棲まうの孤島に居た時に名乗った『ドクター』という名が今の彼には相応しいであろう

「政府の利害関係の次ゃ、金持ち共の享楽ってか。ま、カネ貰えるんなら乗った所で損はねぇか」

男にとってこの催しは一種のアクシデントだ。因縁の決着へ向かおうとしていた運命は何の因果かこの様な世界へと誘われた

「こうなった以上、俺は意図しねぇ形で島から脱出できたわけだが……」

だが、因縁の精算に拘る必要など無い。どうせ奴らのことだ、解毒剤の資料が残ってる以上はいずれ島から脱出しているのだろう

「……てめぇを殺すのは後回しになっちまったなルパン。精々仮初の自由を楽しんでろ」

今はこの舞台にいないであろうかつてのパートナーに言葉を告げ、男はかつてと同じ用に欺き、騙し、殺す事には変わりはない

【ドクター@ルパン三世 ワルサーP38】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いに優勝して賞金を手に入れる
1:???
[備考]
※参戦時期は飛空艇に乗って島から脱出した直後


898 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/28(日) 12:52:15 CODjB61c0
投下終了します


899 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/28(日) 15:17:42 L5/Cz8H60
投下します


900 : 呉越同舟って、何? ◆NIKUcB1AGw :2021/11/28(日) 15:18:57 L5/Cz8H60
「また生き返ったのかよ……」

公園の芝生の上で、独特の髪型をした強面の男が呟く。
彼の名はオニジャ。
かつて仕えていた国に裏切られて仲間共々死に、なぜか蘇った現代日本でも戦いに敗れ死んだはずの男だ。

「まあ一回生き返ったんだから、また生き返ることもあるか……。
 しかし、殺し合いの場で生き返らされるとは……。
 ちょうどいいじゃねえか!」

オニジャは仲間の中でも、特に「人間を滅ぼす」ことに執着していた男だ。
その手段として怪獣を用いていたが、他に手段がなければ自らの手で殺戮を行うことも辞さない。

「殺し合いに放り込まれた連中皆殺しにしたところで、世界中の人間の中じゃ微々たるもんだろうが……。
 それでも殺せるだけ殺してやるぜ!」
「相変わらず単純な野郎だな、てめえは」
「ああ!?」

独り言のはずの言葉に反応が返ってきたことに驚きつつ、オニジャは声が聞こえてきた方向に視線を向ける。
そこにいたのは、目の下に大きな隈を浮かべた赤髪の男。
その男は、オニジャがよく知る人物だった。

「ガウマ! てめえもいやがったか!」

叫ぶやいなや、オニジャはガウマと呼んだ男に殴りかかろうと走り出す。
それに対し、ガウマは冷静に銃を取り出しオニジャの足下を撃つ。
銃から放たれたのは弾丸ではなく、粘着性のある液体。
それはオニジャの足を地面に固定し、その動きを封じる。

「うおっ! こしゃくな真似を!」
「落ち着けよ、馬鹿野郎。まずは俺の話を聞け!」
「誰がてめえの話なんか聞くか! この裏切り者が!」

かつて国と対立したとき、仲間の中で唯一ガウマだけは国の側についた。
そのことが、オニジャは今もまだ許せなかった。
ゆえに彼は、ガウマを強く憎悪しているのだ。

「その調子じゃ、また裏切られるって言ってるんだよ」
「はあ!? どういうことだ!」
「仮におまえが他の人間を皆殺しにして、生き残ったとしよう。
 その時、あの化物みてえな体の男が約束どおりご褒美渡して自由にしてくれると思うか?
 ガキをさらし者にして殺すようなクズだぞ?
 悪ければ即座に処刑、よくて次の殺し合いにご招待だ」
「…………」

オニジャの顔から、急速に激情の色が失せていく。
ガウマの主張に、一定の説得力を感じているようだ。

「それがいやなら、俺に手を貸せ。
 あの野郎をぶちのめして、殺し合いを破綻させる。
 その後でまだ俺を殺したかったら、好きにしろ。
 どうせたまたま繋がった命だ。くれてやるよ」
「死んでもいいってんなら、なんでわざわざ殺し合いを壊そうとする?」
「俺がこんな悪趣味なもん放置して自分の命を優先したんじゃ、あいつらに申し訳が立たねえだろうが」

ガウマの脳裏には、短い間ながらたしかに強い絆を結んだ仲間たちの姿が浮かんでいた。
彼らの信頼を裏切るような行為など、それこそ死んでもするわけにはいかない。

「裏切り者が、仲間を理由にするのかよ……。
 本当にムカつく野郎だぜ、てめえは。
 だが……たしかに、誰かの命令に従わされたあげくに裏切られるのは、もうごめんだ」
「じゃあ、俺の話に乗るんだな?」
「勘違いするなよ。てめえを許したわけじゃねえ。
 あくまでこの場だけだ」
「ああ、俺だってそのつもりだ」

交渉の成立を確認し、ガウマはニヤリと笑った。

「ところで、もう足のこれ取れよ」
「効果が切れるまで30分かかるらしいから、それまで待て」
「そこそこ長ェな!?」


【ガウマ@SSSS.DYNAZENON】
[状態]健康
[装備]瞬間接着銃@ドラえもん
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:主催者の打倒
[備考]
参戦時期は最終回後。ただし肉体の衰弱は、第1話時点まで回復しています。


【オニジャ@SSSS.DYNAZENON】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:死ぬほど気に入らないが、ガウマに協力する
[備考]
参戦時期は死亡後。


『支給品紹介』
【瞬間接着銃@ドラえもん】
ゲル状の瞬間接着剤を発射する銃。
直接的な殺傷力はないが対象を行動不能に追い込めるため、バトル要素の強い大長編では常連のひみつ道具である。
このロワでは制限により、接着剤は30分で粘着力を失う。


901 : ◆NIKUcB1AGw :2021/11/28(日) 15:20:30 L5/Cz8H60
投下終了です


902 : ケツだけ星人の船出 ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 15:43:05 iJpM.z/U0
投下します。

ただし性的な要素の他、無様エロや変態洗脳の要素もありますのでご注意ください。


903 : ケツだけ星人の船出 ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 15:46:58 iJpM.z/U0

「あ……れ……?」

 マエストラーレ級の3番艦の艦娘であるリベッチオは、夜風の寒さで目を覚ます。
 どうやら草原の上で寝転んでいたようで、風にそよぐ草が肌をくすぐってくる。
 とりあえず、むくりと上体を起こしてみる。

「……」

 赤茶色のツインテールと、小麦肌の上に着ているイタリア駆逐艦の制服を夜風に預けながら、しばらくじっとしていた。
 いつものリベッチオは天真爛漫で快活な少女なのだが、今の彼女はいつになくしょんぼりとした顔つきで俯いていた。

「エロトラップに殺し合いなんて……リベ、何が何だかわかんないよ……」

 リベッチオは言葉を漏らす。
 性に疎いリベッチオはエロトラップが何かすらよく分からないし、殺し合いをするとあんなヘンな男にひょうきんな調子で言われても実感が湧かない。

「グレに似てたあの子、本当に殺されちゃったの……?」

 思い返すのは、いきなり連れてこられた挙句見せられた凄惨な光景。
 1つ上の姉であるグレカーレを彷彿とさせる少女の無様な叫び声が、嫌でも頭に残っていた。
 自分にもつけられている首輪――これを外そうとすると、あの少女のようになってしまう。

「う〜〜〜〜〜ん……」

 リベッチオは難しい顔をしながら考える。
 実感が無いとは言え、あのヘンな男に無理やり呼びだされてここに送られてきた超常的な能力を考えると、リベッチオが殺し合いに参加させられていることは真実と考えてもよさそうだ。
 だが、その上でどうするか。もちろんリベッチオは殺したくないし殺されたくもない。できるなら早く提督やパスタの国の艦娘達が待つ鎮守府へと帰還したい。しかし、首輪も嵌められている上に、勝手に帰ろうものなら殺し合いの主催者が黙っていないだろう。
 それに、リベッチオの姉妹――マエストラーレ、グレカーレ、シロッコも参加させられているかどうかも気がかりだ。

「ん〜〜〜〜〜わかんないっ!」

 しばらく考えていたが、これ以上くよくよしていても埒が明かないと思い、考えるのを放棄する。

「とにかくリベと同じ考えの人に会ってみようっと!」

 考えるより、まずは行動することにした。
 当然、リベッチオと同じ考えの者はいるだろう。とにかく志を同じとする者と協力しあえば、どうにかなると思ったのだ。
 もしかしたら、リベッチオが着任している鎮守府の提督のような知略に長けた者と出会えるかもしれない。
 そして、もし特別な力を持たない者に出会ったとしたら――守ってあげたい。リベッチオも、海を護る艦娘だ。深海棲艦と戦えるくらいの力はあるし、何より前身となった艦船の記憶――危険を顧みずに漂流者の救助を行ったという記憶がその想いを強くする。

「さあ、イタリア駆逐艦の魅力、教えてあげるね!リベッチオ、出撃です!」

 リベッチオは自分を鼓舞するように叫び、普段の快活さを取り戻す。深いことは考えず、とにかく前向きに、このエロトラップの跋扈する殺し合いへと船出するのだった。


904 : ケツだけ星人の船出 ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 15:47:53 iJpM.z/U0









――その直後のことだった。

 ポン、という小気味のいい爆発音が鳴り、リベッチオの周囲を煙が覆う。
 その爆発音の震源は、まぎれもなくリベッチオの身体からだった。

「――」

 幸い、爆発が起こったのにも関わらずリベッチオは無事だった。
 ……否、無事では済まないかもしれない。主に精神面が。

「んぴょおおおおおおおおおおおっ!!!!!!」

 突然、リベッチオは声を上ずらせて素っ頓狂な声を上げた。

「マエストラーレ級3番艦リベッチオ、裸踊りやりまーす!」

 誰に対してでもなく叫び、リベッチオはするすると自分の制服に手をかけ、服を脱ぎ捨て、最後には赤と白の縞パンツも脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になった。
 彼女の目は見開いて焦点が合っておらず、正気でないことは明らかだった。

「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ」

 がに股になって脚を開き、股間を見せつけるような姿勢になった後、左右の足を交互に上下させながら、その動きと連動して左右の手を股間の上と肩の上を行ったり来たりさせる。
 深夜で月夜が照らす草原の上で、リベッチオは日焼けした大事な所を左右の手で隠しながら、無我夢中で裸踊りに熱中していた。
 野外で無観客にも関わらず、健康的な日焼け肌の少女が全裸で独り、三枚目の男しかやらないような裸踊りに興じている様子は、異様というほかなかった。
 約5分の間、リベッチオは裸踊りに没頭していた。


§


「……えっ」

 やがて、リベッチオは正気を取り戻す。
 そして、これまで自分が何をしていたかがフラッシュバックして来て、彼女の頬がぽんっ、と一気に赤くなった。

「ち、違う!リベじゃない!こんなこと自分からやってない!」

 リベッチオは羞恥のあまり全裸でその場に座り込み、頭を抱えて悶絶する。

(もしかして、これがエロトラップ……?)

 実際にエロトラップにかかったことで、リベッチオはその恐ろしさを理解する。
 あんな恥ずかしい姿を誰かに見られてしまったら、もう人前に出られない。

「うう……まさかこんなすぐにエロトラップにかかるなんて……」

 リベッチオは目に涙を浮かべながら、重い動きで脱ぎ捨てた衣服を手に取り、再び制服姿に戻る。
 意気揚々と出発したというのに、あっという間に身体を乗っ取られて裸にされた挙句裸踊りという無様で恥ずかしいことをさせられてしまった。リベッチオに取っては、出鼻を挫かれたというレベルではない。

「いつの間にあんな罠が張られてたんだろ……全然見えなかった〜……」

 リベッチオは先ほどとは打って変わって、意気消沈しながらとぼとぼと歩き出した。

「……あれ?お尻になにかついてる?」

 数歩進んだところで、リベッチオはお尻に違和感を覚える。
 先ほどのトラップのこともあるので、おそるおそるスカートをめくり上げ、縞パンツを少しずり下げて小麦色の自身のお尻を確認すると――。

「なにこれ、時計?」

 そこには小型の時計のようなものが張り付いていた。
 その時計の針は秒を刻むごとに針を動かしており、もうすぐ分針と秒針が頂点を指す。まるで何かをカウントダウンしているようだった。

「……?」

 いつの間にか身体に張り付いた時計。カウントダウン。そして先ほどの爆発に、爆発の直後にやってしまったリベッチオの裸踊り。

「ま、まさかこれ――」

 リベッチオはようやく時計の正体――先ほど自分に裸踊りをさせた犯人に気が付くも、すでに遅かった。
 これは、『時限バカ弾の罠』。
 特に罠の作動する予兆も音もなく、サイレントに22世紀のひみつ道具である『時限バカ弾』を対象の身体に張り付ける質の悪いエロトラップだった。

「きゃああああああっ!!」

 ポン、という小気味のいい爆発音とともに、リベッチオは再び煙に包まれた。


905 : ケツだけ星人の船出 ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 15:48:29 iJpM.z/U0





――その直後、リベッチオは捲り上げたスカートをそのままに、自分の縞パンツをさらにずり下げ、おしりを半分出した姿、所謂半ケツになる。
 半ケツにお尻を露出した後には、脚を蟹股に開き、腰を落として上半身を前かがみにして、お尻と両手をを背後に突き出した格好になる。

 そして――。

「ぶりぶり〜!ぶりぶり〜!ケツだけ星人!ぶりぶり〜!!」

 そう叫びながら、リベッチオは背後に突き出した両手と腰を上下に揺らし、強調したお尻をふりふりと振り回して踊り始めた。
 ただでさえ5歳の男児くらいしかやらないような汚い芸をリベッチオのような少女がやっているので、エロトラップの効果が切れた時が思いやられる――が、今のリベッチオにはそれ以上の不運が襲っていた。

「ぶりぶり〜!いやっ、ぶりぶり〜!やだっ!ぶりぶり〜ぶりぶり〜!誰か止めてえぇぇっ!!」

 今回については、リベッチオは身体を制御権「だけ」を奪われ、正気を保ったままこの無様な芸をさせられていた。
 身体を口が勝手に動き、やりたくないのにその意志に反して「ケツだけ星人」という芸をやらされる。
 これでリベッチオは否が応でも自分のしていることを認識させられ、誰かにこれを見られた時の羞恥も、無様に踊らされる屈辱も、鮮度を保ったまま彼女の心に伝わる。

「ぶりぶり〜!えっ、ちょっぶりぶり〜!どこ行くの!?ぶりぶり〜!勝手にケツだけ星人ぶりぶり〜!移動しないでぶりぶり〜ぶりぶり〜!」

 それだけでなく、なんとリベッチオはおしりを強調する「ケツだけ星人」を踊ったまま、彼女の意思とは関係ない方向に移動し始めたのだ。
 移動してしまえば、それだけ誰かに出くわす可能性も高くなるわけで、この無様な踊りを見られる確率もその分高くなる。考えうる最悪の未来が思い当たり、リベッチオは羞恥で顔を真っ赤しながらも青ざめていく。

「いやああああっ!ぶりぶり〜!ぶりぶり〜!誰かたすけ……ぶりぶり〜!ケツだけ星人!ぶりぶり〜!これいつまで続くのぉっ!ぶりぶり〜!!」

 拒絶の言葉を吐きながらも、リベッチオの身体は尻を突き出してへこへこぶりぶりと踊ったまま、横移動していく。
 ケツだけ星人リベッチオは、踊りながらこの殺し合いを船出するのだった。


【リベッチオ@艦隊これくしょん】
[状態]:半ケツ、ケツだけ星人、羞恥(極大)、屈辱(極大)、精神的疲労(極大)
[装備]:マエストラーレ級姉妹の制服
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから帰還する
1:誰かこれ(ケツだけ星人)止めてぇ〜!
2:とりあえず同じ方針の参加者を探して、協力する
3: もし姉妹(マエストラーレ、グレカーレ、シロッコ)が参加しているのであれば、捜索する
4: 特に力を持たない一般人がいれば守ってあげたい
[備考]
※リベッチオのケツだけ星人が持続する時間は後続の書き手にお任せします。


【エロトラップ紹介】
【時限バカ弾の罠@ドラえもん+オリジナル】
罠が作動しても音や視覚的な情報を対象に与えず、対象の身体に『時限バカ弾@ドラえもん』を隠密に張り付けるエロトラップ。
時限バカ弾とは、時間をあらかじめ指定しておき、爆発すると時限バカ弾の張り付いていた相手が意思を問わずバカなことをしてしまうというくだらないひみつ道具。
今回の殺し合いでは、「時限バカ弾」によるバカな行動は、基本的に局部を露出して行う下品な汚れ芸に限定されている。
正気を保ったままバカなことをやるか、正気を失ってバカなことをやるかは、その時に行うバカな行動によって決まる。
また、貼り付けられる時限バカ弾によって、設定されている時間とバカな行動の持続時間はランダム。
時間内に張り付いている時限バカ弾を取り除くことができれば、バカな行動をしなくて済む。


906 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 15:49:31 iJpM.z/U0
以上で投下を終了します。


907 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/28(日) 16:36:14 NkM83kQk0
投下します。


908 : 揺れる戦士 ◆bLcnJe0wGs :2021/11/28(日) 16:37:01 NkM83kQk0
(何の罪も無い人だって巻き込まれている筈なんだ…!)

浮遊大陸のとある場所。

彼の名はロビン。またの名を【狙撃名手ロビン】という。

彼は嘗て神秘の森と呼ばれる場所で育った戦士で、有名になることを夢見て、また己の信じていた正義の為に戦い続けていた青年だった。

やがては聖天使ウリエルからも悪しき心を撃ち抜くとされる矢を授けられ、それを戦う相手へと射っていった。

─だがしかし、その戦いの中で信念が揺らぎ、己の信じていた『正義』というものを見失ってしまった。

それからは自問自答を繰り返し、苦悩する日々を過ごしていった。

そんな中でこの殺し合いに巻き込まれる事になった彼だが、その心の中ではヒエールへの確かな反逆心を抱いていた。

(けれど、他に連れて来られた者の中には殺し合いに乗っている者もいるかもしれない… 気を引き締めなければ!)

そうして彼は、この殺し合いを終わらせ、他に巻き込まれているであろう『罪無き人々』を救う為に進み出した──




のではあるが、その中には『生きていたい』、『優勝賞品が欲しい』、『大切な人をどうしても生き残らせたい』等といった動機から殺し合いに乗る様な者が現れ、いずれはそういった参加者とも戦う事になるであろうという懸念があった。

【狙撃名手ロビン@モンスター烈伝 オレカバトル】
[状態]:健康、ヒエールへの反逆心(大)、信念の揺らぎ(中〜?)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜3(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:ヒエールに抗う。 また罪の無い人々を守る。
1:まずは周辺を警戒しながら移動。
2:殺し合いに乗っているような相手は説得してみる。 説得に応じない様なら戦わなければならない…?
3:殺し合いに反対的な参加者を保護する。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。


909 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/28(日) 16:37:23 NkM83kQk0
投下終了です。


910 : ◆5IjCIYVjCc :2021/11/28(日) 16:40:57 TQu6C39A0
投下します。


911 : お話をするお話をするお話 ◆5IjCIYVjCc :2021/11/28(日) 16:42:55 TQu6C39A0
「美しい手と顔をした女だ」

それが、胡蝶しのぶがこのエロトラップダンジョンロワイアルで最初に出会った人物が彼女の顔を見て最初に発した言葉であった。
『彼』はこの戦いの舞台に降ろされて警戒しながら行動していたしのぶの背後から話しかけてきた。

振り向いたしのぶの顔を見てそう発言した、彼女の後ろにいた人物は、男ではなかった。
『彼』…ではなく、『彼女』はしのぶよりも年若く見える少女であった。
だが先ほどから聞こえる男の声は、確かにその少女から発せられていた。

「あなたは、一体…?」

しのぶは目の前の人物を警戒するような感じで尋ねる。
どう見ても少女の姿をしているのに、声が男、しかも大人のものをしていることは自分の耳を疑ってしまう。
それだけでなく、彼女はその声に聞き覚えがあった。
その声は、彼女が所属する鬼から人々を守るための組織、鬼殺隊の御館様である『産屋敷輝哉』と同じもののように聞こえた。
そういった点からも、目の前の人物には不審で、奇妙な点が存在していると感じた。


「私の名は吉良吉影。年齢15歳。私は常に『心の平穏』を願って生きてる。頭をかかえるような『トラブル』とか夜も眠れないといった『敵』を作らない……というのが私の社会に対する姿勢であり…」
「いえ、そんなことまでは聞いてません。何故そんな長々と話そうとするのですか?」

吉良吉影と名乗った少女の予想外の返答に、しのぶには相手への不信感が余計に増えてしまった。

「会話ぐらいしてくれてもいいだろう?」
「そもそも、私はあなたとは出会ったばかりですが?」

しのぶのきつめな声音の返答に、少女は少々拗ねた感じで消沈する。


「Oh♪そうだね。それじゃあ、君の名を聞かせてもらえないか?」
「……私は胡蝶しのぶといいます」
「しのぶッ!さんか……美しい名をつけてもらってるじゃあないか」
「それはどうも」

警戒しながらも、しのぶは間をおいて少女の質問に対して返答した。
次に、しのぶの方から質問を始めた。

「それはそうと、あなたはこれからどうするつもりなのですか?こんなところで話しかけたのは、自分は殺し合いには乗っていないってことでいいのですか?」
「………「闘争」は私が目指す「平穏な人生」とは相反しているから嫌いだ…。ひとつの「闘い」に勝利する事は簡単だ…。だが次の「闘い」のためにストレスがたまる……愚かな行為だ。他人と争うのはきりがなくムナしい行為だ」
「つまり、戦うつもりはないってことでいいのですか?」

またもや話を長くしたばかりだけでなく、表現も回りくどかった。
そのことに対して、少々イラっとしてしまう。

「だが、私の『平穏』を乱す者とだけは闘わざるを得ないッ!」

突如、少女は叫び気迫を見せる。
相変わらず回りくどいような感じがあるが、そこには強い意志があるように感じられた。

「……それは、自分の身を守るためならば戦う、ということでよろしいですか?」
「Oh♪この指先で触れた物はどんなものであろうと爆弾に変えられるッ!」
「何を突然鬼みたいなことを言うのですか?」
「あぁん?スタンド使いかな?」

人差し指を立てながら少女は発言する。

「すたんど…?それが何かは分かりませんが、鬼というのは実在する化物です。私はその鬼を狩るための鬼殺隊に所属しています」
「やはり、スタンド!」
「違います」

しのぶは自身の話をしようとするが、言葉が妙に通じない。
少女はどうも、スタンドという存在にこだわっている様子だ。

「とにかく、私としましてはこの殺し合いを開いたあの男を打倒したいと思っています。ひょっとしたら、鬼が関わっているかもしれません。可能ならば、あなたにも協力してもらいたいと考えています」
「なるほど。屈辱の『生きっ恥』をかくことがないように気を付けなくっちゃあなあ………」
「あなたからは先ほどおっしゃった"すたんど"についてもまた詳しく聞かせてもらいたいです。私の方からも鬼について知っていることを教えますので、一先ずは共に行動するということでよろしいですか?」


912 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/28(日) 16:42:58 NkM83kQk0
失礼します。>>908ですが、キャラの状態表を以下のものに修正します。

【狙撃名手ロビン@モンスター烈伝 オレカバトル】
[状態]:健康、ヒエールへの反逆心(大)、信念の揺らぎ(中〜?)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み?)
[思考・状況]
基本方針:ヒエールに抗う。 また罪の無い人々を守る。
1:まずは周辺を警戒しながら移動。
2:殺し合いに乗っているような相手は説得してみる。 説得に応じない様なら戦わなければならない…?
3:殺し合いに反対的な参加者を保護する。
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。
※弓矢と矢筒を除いた武具を没収されない代わりにランダム支給品の数を減らされています。


913 : お話をするお話をするお話 ◆5IjCIYVjCc :2021/11/28(日) 16:43:21 TQu6C39A0
しのぶの前にいる少女にはまだ不可解な点はあると思われる。
正直、先ほどからの発言は妄言としか思えない。
彼女が発する声はどこか、継ぎ接ぎになっているような感じもあり、違和感が拭えない。
まるで、相手が話せる言葉は予め特定のものに限定されているかのようだ。
だがだからといって、この殺し合いを止めるために協力できるならばやらないに越したことはない。
それに声は大人の男とは言え、身体はどう見てもただの人間の少女、自分が鬼殺隊の剣士として守る対象だ。
声については単純に男の声真似が上手くてわざとやっている可能性もある。
もしかしたら、生まれつきのものであることも考えられる(ひょっとしたら気にしていることもありえるかもしれない)。
下手に触れていい問題であるかどうか、もう少し様子を見てから判断するべきだろうか。

とにかく、女性を特に辱めるために開催されたこの趣味の悪い催しにおいては、少女が単独で行動するのは危険なものだ。
まだある疑問点についてはこれから話を聞いていくことになるだろう。


「この週末は……楽しく過ごそうじゃないか……2人っきりで………」
「週末でもありませんし常に2人だけになるとも思えませんが?」

まだ、意思疎通に難がありそうではあるが。




しのぶが出会った彼/彼女の名は吉良吉影/保登心愛(ココア)。
杜王町/木組みの街に住む高校生。
女性の手に執着するスタンド使いの魂を受け継いだ少女。
パンを作らずにはいられないという衝動を持っている。

この男声のスタンド使いの少女は殺し合いに乗るつもりはない。
元となった人物は殺人鬼だったかもしれないが、彼女自身は殺人の衝動を持っていない。

彼女の目的はただ一つ、大切な『友達』と共に平穏に、静かに暮らすことだけだ。
そのためには自分やその友を傷つける者とだけは闘わざるをえない。

ここにいる保登心愛であり吉良吉影でもある存在は、本来の吉良吉影と違い『黄金の精神』を持っている。
彼女はこの舞台で、親愛なる者たちと手の美しい女性たちを守るため、そして自らの正義の心に従って動くだろう。

そして、ここで出会った胡蝶しのぶに関しても、彼女は守るつもりでいる。
顔と手が美しいこともあるが、吉良/ココアにとってもまた、相手の声は聞き覚えのあるものであった。
それだけでなく、「しのぶ」という名前にも何かしらの聞き覚えがあるような感覚がある。
その感覚がどこから来たものなのかはココアにも分からないが、どちらにしろ彼女にとってしのぶは親愛なる友の1人として数えられている。
本当のその名前との因縁を認識できているわけではないが、少なくともこのココアの決意は変わることはないだろう。



【胡蝶しのぶ@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、主催者を打倒する
1:一先ずはこの少女と共に行動する
2:この少女についてまだ情報が欲しい
[備考]
※参戦時期は後続の書き手にお任せします。


【保登心愛=吉良吉影@吉良吉影がごちうさのココアさんをアフレコしたようです】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:私と私の『友達』の「平穏」を乱す者とだけは闘わざるをえないッ!
1:しのぶと共に行動する
2:彼女たち(元の世界の友達)はいるかな…?
[備考]
※肉体的には女性ですが、CV:森川智之です。
※バイツァ・ダストは制限により使用できません。
※参戦時期は少なくとも第1期(ACT1)の12話以後。
※名簿には「保登心愛」と記されます。


914 : ◆5IjCIYVjCc :2021/11/28(日) 16:43:55 TQu6C39A0
投下終了します。


915 : ◆bLcnJe0wGs :2021/11/28(日) 16:45:19 NkM83kQk0
>>914
申し訳ございません。
書き込み中の割り込み失礼致しました。


916 : そこに悪の爪などなく ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 17:11:51 SEVXRv5g0
投下します


917 : そこに悪の爪などなく ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 17:12:22 SEVXRv5g0
 月明りが照らす湖畔に佇む一人の女性。
 幻想的な光景に実に似合う美女ではあるものの、
 夜と言う背景は美しさよりも恐怖に一役かっている。
 ファンタジーなものと無縁な人にはコスプレに見えるかもしれないが、
 逆に分かっているのであれば、人ならざるものだとすぐにわかるが故に。
 薄紫色の髪をかき分け、側頭部顔に等しい程の長さを持つ禍々しい紅色の角。
 角と同じく、蝙蝠のをより禍々しくしたかのような紅色の翼が生えている。
 スタイルの良い美女の姿であっても、悪魔と言った類と認識されるのは必然なこと。

「ふむふむ、次から次へと厄介事が舞い込むものだ。
 帝国……は関係ないか、私よりも皇帝を招くだろうし。」

 事実、彼女は人間ではなくデーモンであり魔神でもある。名前はマレブランケ、
 白の帝国でも少々異端な魔物を使役する軍団『黒の軍団』における副団長を務めている。
 帝国は実力主義な国。領土拡大のために龍族、鬼族、ダークエルフ……数々の部族に勝利して統合してきた。
 現皇帝が元傭兵崩れも合わせて反感を買っており、事実ダークエルフや一部貴族等造反者の戦いもあったばかり。
 だから最初はそれの巻き添えかとも思っていたが、どうやらそれとは無関係なのが分かる。
 最初の見せしめを白の皇帝にすれば、尊厳を全て失わせた死に様を見せることになってたはずだ。
 気難しい相手とは言え、多くの人が仕える皇帝。彼の死は多くの人物を動揺させることになるだろう。
 たとえ皇帝の座を狙う騎士団長であったとしても、あのような死に様を喜ぶことはできないはずだ。
 にも拘わらずしてこなかったし、そも帝国相手にこんな自由度の高いリスクある遊びをする暇などない。
 白の帝国の友軍には数々の国から支持を受けてる王国がある。そんな王国がいつ来るかもわからない中、
 暢気に殺し合いをやらせるなど間抜けにもほどがある。そういった点から関係があるとは思えなかった。

「カテリナやカトリーナ……なんて、流石に期待は難しいか。」

 水面に映る首輪を見るに生殺与奪の権限は機械的な構造の代物。
 魔術に関しては彼女はダークプリーストを務めているので長けてるが、
 工学面は飛行艇を有する帝国でも、工作兵の人材に期待したくもなる。
 ただ、そういうのを期待できるような状況と言えるものでもない様子だ。

「最悪、優勝も視野かなこれは。」

 大分人間側に馴染んではいるものの、黒の軍団を率いる副団長の立場。
 必要であれば命を奪う選択肢を取ることに関しては特別躊躇いはない。
 無論、必要であればであって無暗にするつもりもないので大分ましだ。
 魔族ではあるものの、物質界の相手には友好的な関係を築いている。
 即座に人を殺すと言う選択肢に至ることはない。

(……つい期待してしまうのは悪い所だ。)

 ひょっとしたらあの時みたいに、
 王子が助けに来てくれるのではないか。
 なんて乙女チックなことを想起して少し楽しそうな表情になる。
 窮地に陥ってた黒の軍団を颯爽と救ってくれた、帝国と同盟を結ぶ王国の王子。
 彼女にとっては一目惚れの白馬の王子様。何よりも王子は超が付く程のお人よし。
 仲間だと思ってる相手ならどこだろうと遠征してしまう彼に期待しない人の方が稀だろう。
 物質界でも、魔界でも、天界でも。助けなければならない相手の為に全力を尽くしてくれる。
 それが王子の魅力だ。だから誰もがついていく。元魔王軍幹部であった人物すら今や同盟関係だ。

(とは言え今期待しすぎてしまうのはよくないね。)

 ダークエルフ、白の王国、竜人、冥界の神の連合軍との戦いを一先ず終えて、
 今や天界との戦いが再開が予見されるこの多忙な時期。王子も余裕があるとは言えない。
 なるべくうまく切り抜ける。気まぐれな団長に振り回されてる彼女には慣れたものだ。

「……メフィストがいたら、1000%興味が沸いたとか言いそうだ。」

 殺し合いだけでいいのに余分に追加されてるような要素。
 探求心旺盛な団長がいたら、そんなこと言いながら少し楽しそうに行動しそう。
 なんてことを想像して苦笑を浮かべながらマレブランケは動くことにする。

【マレブランケ@千年戦争アイギス】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0〜3
[思考・状況]
基本方針:まあ、しばらくは様子見で。
1:最悪優勝。まあ最悪だから基本は乗らないかな。
2:帝国や王国がいてほしいと思うべきか、いないでいてほしいと思うべきか。
3:杖はどうしたものかな。

[備考]
※参戦時期は『帝国大戦 第二陣』終了後以降です
※魔術による回復能力は落ちてます


918 : そこに悪の爪などなく ◆EPyDv9DKJs :2021/11/28(日) 17:13:51 SEVXRv5g0
投下終了です


919 : ◆.EKyuDaHEo :2021/11/28(日) 18:56:37 rxHXEq7c0
投下します


920 : ハイグレの魔王 ◆.EKyuDaHEo :2021/11/28(日) 18:56:58 rxHXEq7c0
「おーほっほっほ!あのヒエール・ジョコマンとかいう男、中々面白いこと考えるじゃない?」

にこやかな仮面に黒いマントで風貌を隠している者、ハイグレ魔王は満足げに笑った
自分が参加者として使われていることには少々納得いってはいないがこれは好都合だと考えた
元々ハイグレ魔王は地球に住む人々をハイグレ人間にして支配しようとしていたところこの殺し合いに呼ばれた

「ここは色んな世界から参加者を集めてるらしいわね…その参加者達もハイグレ人間にしちゃえば地球だけじゃなくて色んなところを支配できるのも夢じゃないわね」

ここには地球だけじゃなく様々な世界から集めていることを聞き、ハイグレ魔王は参加者達をハイグレ人間にし、他の世界も支配しようと考えていた

「アクション仮面がいる世界の支配は後回しね、とはいっても良い感じには進んでるけど」

元々アクション仮面がいる世界の地球を支配していたが、ハイグレ魔王はこの機会にハイグレ人間を増やし他の世界を支配することも考えた

「もっとハイグレ人間を増やしてもっと色んな世界を支配するわよ!おーほっほっほ!!」

甲高い笑い声をあげながらハイグレ魔王は参加者を探し始めた



【ハイグレ魔王@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ハイグレ光線@クレヨンしんちゃん、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:ハイグレ人間を増やし様々な世界を支配する
1:参加者は見つけ次第ハイグレ人間にさせる
2:他の世界の支配も夢じゃないわね…
[備考]
※参戦時期は少なくともしんのすけと対面する前です


921 : ハイグレの魔王 ◆.EKyuDaHEo :2021/11/28(日) 18:57:10 rxHXEq7c0
投下終了します


922 : ◆2zEnKfaCDc :2021/11/28(日) 19:00:36 nWctUVuA0
投下します。


923 : 優しい世界の法則なんて、どこにもないから ◆2zEnKfaCDc :2021/11/28(日) 19:02:36 nWctUVuA0
「……最っ悪。」

 水無乃有理は、開幕五分で引っかかった服だけ溶かす系のトラップでひん剥かれていた。

 このような姿で人前に出るわけにはいかない。せめて何か着るもの、とまではいかずとも、せめて身体を隠せるものはないか……そう思い漁ったザックからは、一着の青いバニースーツが出てきた。

 困惑しつつも、やむ無くそれを着込む。

 ピッチリと肌にまとわりつく網タイツの感覚が、まるで撫で回されているかのようで、どことなく気色が悪い。

 ちなみに、何故付属のうさみみバンドまで被ったのかは自分でも分からない。しかしそれまで被らないとバニースーツとはいえないと、抗えない大いなる運命のような何かが要請したのだ。

「っ――! ああ、もう……!」

 そして己の姿を客観的に想像しつつ、有理はその語調を荒らげて、叫んだ。

「何で私が……こんな目にっ……!」

 それは、羞恥からの叫びではない。

 それは、死への恐怖からの叫びではない。

 それは、平穏を許してくれない、世界への嘆きだった。空虚で、理不尽な――そんな世界への、呪いだった。

「……ほんっと、意味わかんない。こんな世界でも……私はまだ、生きてたいって思うんだから……。」

 殺し合いなどというものに巻き込まれる前、有理はバスに乗っていた。それ自体は特段珍しいことでもないが、しかしその時は、いつもとは違った。唐突に蛇行を始め、ざわつく乗客を尻目に、崖へと続くガードレールに突っ込んで――そして、気付いたらこの殺し合いに招かれていた。

 スピードを上げるバスの中で、迫ってくる崖を眺めながら――有理は、生きたいと思った。

 疲れを零したい時も、怨嗟を吐きたい時も、常日頃から優等生であり続けて。猫を被って色々なことを我慢しながら、死にたいと思ったことだって、決して少なくなかった。それなのに、こうして命が死にかけるような目に遭ってみれば、こんなところで終わりたくないと思ってしまう。

 生還という目的を第一に据えて、その上で殺し合いに乗るべきかは保留だ。単純に、男や大人も含まれたある程度の人数での殺し合いであるならば、ただの女子中学生である自分が優勝できる確率は極めて低い。

 しかしもしも他人を殺さずに帰れる方法があるのならそれに越したことはない。例えばこれが、そういった需要を求める層に映像作品として売るために開催されているなど、そういった類の企画であるならば、もしかすると優勝せずとも、死ぬこともなく帰してもらえる見込みだって、あるかもしれない。

――ところで。

 有理の身に着けたバニースーツには、呪いが込められている。それは装備している限り、決して死ぬことがないという効果のもの。有理は殺し合いという舞台で、不死の特権を手に入れたに等しい。

 しかし、それは決して、救いではない。何せこの世界におけるその呪いは、言い換えれば――脱がされるまで死ぬことが許されないという呪いでも、あるのだから。

【水無乃有理@CRYSTAR -クライスタ-】
[状態]:健康
[装備]:妖魔のバニースーツ@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めてS
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:生還する。
1:まだ、生きていたい
※バス事故に巻き込まれている最中からの参戦です。
※幽鬼の姫とはまだ話していません。

【支給品紹介】
【妖魔のバニースーツ@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めてS】
装備している限り、死亡しても復活する呪いが妖魔軍王ブギーによってかけられたバニースーツ。ドラクエシリーズの呪いにお馴染み、装備したら外せなくなる効果は付与されていない。


924 : ◆2zEnKfaCDc :2021/11/28(日) 19:03:22 nWctUVuA0
投下完了しました。


925 : ◆ytUSxp038U :2021/11/28(日) 19:16:27 3IBRNZ9I0
投下します


926 : こんなに醜い世界でさ、こんなに醜い私でさ ◆ytUSxp038U :2021/11/28(日) 19:18:57 3IBRNZ9I0
「人間なんぞに首輪を付けられるのは気に入らんが、最高の催しではないか」

悪意をこれでもかと詰め込んだような笑みを浮かべる一人の参加者。
金剛力士像に酷似した顔を持つ彼の名は金剛。
吸血鬼の長、雅に忠誠を誓ったアマルガムであり、本土にて宮本明と死闘を繰り広げた末に敗れた男…ではない。

確かに金剛という名の吸血鬼は存在した。
だがこの男は本物の金剛ではない。
固有の能力である脱皮を繰り返していた金剛から分裂した、もう一人の金剛。通称エロ金剛である。

「ガハハハハ!あの褐色のガキのような奴も参加しているなら最高だ!毛も生えていないマ○コを犯すのはさぞ気持ちが良いだろうよ!」

このエロ金剛、本物の金剛が持っていた煩悩を残らず引き継いだかのような性格をしており、三度の飯よりセックスが大好きな吸血鬼だ。
それ故に、殺し合いに巻き込まれても怒りや恐怖は皆無であり、むしろよくぞ自分を招いたと高揚すらしていた。
勝ちゃんの母ちゃんこと山本ゆり子に首を刎ねられても、底知れぬ性欲は健在であった。

早速女を探してレイプしてやろうと出発する。
道中、ゴブリンに襲われたが軽く蹴散らしてやった。
本物の金剛程の力は無いが、並の吸血鬼よりは遥かに強い。

意気揚々と犯す相手を探索し続け、やがて女を見つけた。

長い黒髪の女は、エロ金剛に気付いていないのか背を向けたまま微動だにしない。
一体どんな顔をしているのやらと、舌なめずりをして近づく。
美人であれば良い。多少不細工でもそそる体付きなら許容の範囲内だ。
どっちにしろ早く犯したくて、股間がそそり立つ。
待ちきれないと言わんばかりに、女の肩に手を置き強引に振り向かせた。

「おい女!貴様の顔を見せてみ――」







「い ち ま ん え ん く れ た ら しゃ ぶ っ て あ げ る よ」


デデドン!(絶望)





「何だこの化け物!?(驚愕)」

自分も化け物なのを棚に上げて叫ぶ。
しかし無理もない。何故なら女は吸血鬼であるエロ金剛から見ても、この世のものとは思えないほどおぞましい風貌をしていた。


927 : こんなに醜い世界でさ、こんなに醜い私でさ ◆ytUSxp038U :2021/11/28(日) 19:20:05 3IBRNZ9I0
思わず後ずさるエロ金剛へ、女は笑みらしきものを浮かべにじり寄る。
きっとその見るからにクッソ汚くて臭そうな口で、エロ金剛をしゃぶり尽くす(意味深)気でいるのだろう。
エロ金剛からすれば堪ったものでは無い。
相手が美女や美少女なら喜んでしゃぶらせてやるが、こんな邪鬼がマシに思えるような顔の女にしゃぶらされては、自慢のムスコは二度と機能しなくなるに違いない。
ならさっさと殺すに限るのだが、この顔を見ているだけで腰が引け戦意を喪失しそうになる。

(ぐっ、こんな女に構ってられるか!)

だから背を向け、一目散に逃げた。
これが本物の金剛だったなら、自分に恐れを抱かせた女にプライドを傷つけられたとして殺しに掛かっただろう。
エロ金剛にそういったものは無い。
女一人の殺害に拘るのは時間の無駄、他のイイ女を探しに行った方が遥かに建設的ではないか。


思い出すだけでムソコが萎えそうな女の顔を頭から追い出すように、走る速度を上げた。


【エロ金剛@彼岸島シリーズ】
[状態]:健康、精神疲労(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:女を見つけて犯す
1:今はこの場を離れる。
[備考]
※参戦時期は死亡後。





エロ金剛が遭遇した女の名はピンキー姉貴。
真夏の夜の淫夢という、ネットで熱狂的な人気を誇るコンテンツに登場する女性である。
お世辞にも美人とは言い難い容姿をホモガキどもの玩具にされてしまい、挙句の果てには見ただけで心停止するなどと言われる始末。
ここにいるピンキー姉貴は現実に存在するホモビ女優ではない、ネットの世界で誕生した悲しきモンスターなのだ(迫真)。

「しゃぶってあげるよ……」

彼女に人間らしい思考は残されていない。
あるいは、最初からそんなもの無かったのかもしれないが、確かな事はただ一つ。

ピンキー姉貴は、バトルロワイアルに参加した全男性をしゃぶり尽くす脅威として君臨した。
それだけである。

女は多分襲われないからゴブリンくん達の孕み袋にでもなって、どうぞ(無慈悲)。


【ピンキー姉貴@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:男を見つけてしゃぶり殺す
[備考]
※クッソ恐ろしいシンメトリーフェイスになったり、ならなかったりします。


928 : ◆ytUSxp038U :2021/11/28(日) 19:20:49 3IBRNZ9I0
投下終了です


929 : ◆QUsdteUiKY :2021/11/28(日) 20:17:37 upPh4tCM0
投下します


930 : 深淵の因縁 ◆QUsdteUiKY :2021/11/28(日) 20:19:34 upPh4tCM0
神代凌牙ことシャークは悲劇的な運命を辿っていたが、九十九遊馬とアストラルが未来を切り拓いたことで彼も宿命から解放された。
 ようやく手に入れた平穏。命を懸けたデュエルの行われない平和な世界。

 だがそんな日々も長くは続かず、シャークはこうして殺し合いに巻き込まれている。
 何故か自分の知っているカードのモンスター達が実体化している。それ自体は歴戦の決闘者である彼にとってさほど問題ではないのだが、どういうわけかモンスター達は性的な暴力に特化するように改造を施されているらしい。

 それは彼らのそそり立つ股間を見れば簡単にわかることだし、相手はいきなり自分達を連れ去るような男だ。モンスターをNPCとして使役し、改造することなど容易い事だろう。

 それは良い。
 そこまでは良い。

 少女が見せしめにされるあんな催し物を見せられて心中穏やかではないが、はっきり言えば人の死にはある程度見慣ている。
 殺し合いに巻き込まれたことだってイラつくが、荒事には慣れている。

 そういうことはまだ良い。
 だがどうしても気に食わないことが1つだけある。

「ちっ……イラッとくるぜ」

 支給された1枚のカードを片手にシャークは不機嫌そうに吐き捨てる。
 そのカードの名は《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》
 かつてシャーク自身や妹の璃緒に毒を注入するという姑息な手段を使った上でデュエルを挑んできた小悪党がエースモンスターとして使用したカードだ。

 それがよりにもよって自分に支給された。しかも本来のデッキを没収された現状、このカードに頼らざるを得ない。

「気に食わねえが、今はこいつを使うしかねえか……」

 偽りとはいえナンバーズはナンバーズだ。
 先程NPCのモンスターに使ったことでこのモンスターの有用性は理解した。
 そして皮肉なことに水属性使いのシャークにとってこのモンスターと《ステルス・クラーゲン・エフィラ》はそのままデッキに投入しても差し支えないくらい相性が良いだろう。

 ステルスクラーゲンを仕舞うと、もう1枚の支給されたカードを見つめる。

「……そしてお前はなんなんだ?初めて見るカードなのに俺のカードかもしれねえと思っちまう」

 そのカードの名は《ヴァリアント・シャーク・ランサー》
「バリアン」と「シャーク」の名を持つ水属性・獣戦士族のエクシーズモンスターだ。
 シャークの使用していた《ブラック・レイ・ランサー》を意識して生み出された遊戯王OCGのカードだが、作品が完結した後に作り出されたこともありシャーク自身はこのカードを知らない

 だが今こうしてシャークと《ヴァリアント・シャーク・ランサー》は惹かれ合った。
 このカードを手にした時から、シャークはこのエクシーズモンスターと自分が何らかの繋がりがあることを直感した。

「……まあ良い。そんなことより遊馬達の方が心配だ」

 自分が巻き込まれたということは他の決闘者が巻き込まれている可能性もある。
 遊馬、カイト、トロン兄弟、バリアン七皇……シャークの知る決闘者は強者ばかりだ。彼らが早々にくたばることはないだろう。

 だが遊馬達が切り拓いた未来をわけのわからない男に奪われるわけにはいかない。
 それに遊馬が再び事件に巻き込まれているのなら……どうせすぐに無茶をするに違いない。

 今回は決闘ではなく、命を懸けた殺し合いだ。
 それこそベクターのように外道な作戦を思い付く者がゴロゴロと参加している可能性だってある。

「遊馬……俺と合流するまで絶対に死ぬんじゃねえぞ」

 遊馬が参加していないならそれが一番だが、もしも参加しているならば合流を目指す。彼には大きな借りもある。なにより生涯の友を死なせたくはない。

「そしてこの殺し合いは俺が叩き潰す。
 遊馬……アストラル……。お前達の創った未来は俺が守るぜ」


931 : 深淵の因縁 ◆QUsdteUiKY :2021/11/28(日) 20:19:51 upPh4tCM0
【神代凌牙@遊戯王ZEXAL】
[状態]:健康
[装備]:No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン&ステルス・クラーゲン・エフィラ@遊戯王OCG、ヴァリアント・シャーク・ランサー@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本方針:主催者をぶっ倒す
1:遊馬が居るなら早めに合流する
2:自分のデッキをなんとかして取り戻す
[備考]
参戦時期は最終回後

【No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン&ステルス・クラーゲン・エフィラ@遊戯王OCG】
神代凌牙に支給。ステルス・クラーゲンの効果の都合上セットで支給されている
エクシーズモンスターだが本ロワではカードを持ちながら名を叫ぶことで普通に召喚可能。
ただし何らかのデッキを手に入れた場合、正規の手段でエクシーズ召喚しなければならないという制限が付与される
破壊効果などは微弱なNPCにしか通用しないように改造されている。
このカードで召喚したモンスターは実体化される

No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/水族/攻1900/守1500
水属性レベル4モンスター×2
(1):フィールドの表側表示モンスターは水属性になる。
(2):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。
相手フィールドの水属性モンスター1体を選んで破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
(3):X召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。
このカードが持っていたX素材の数まで、EXデッキから「ステルス・クラーゲン・エフィラ」を特殊召喚する。
さらにその特殊召喚したモンスターそれぞれに、自分の墓地から水属性モンスターを1体まで選んでそのX素材にできる。

ステルス・クラーゲン・エフィラ
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/水族/攻1900/守1500
水属性レベル4モンスター×2
(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。
相手フィールドの水属性モンスター1体を選んで破壊する。
(2):「No.」Xモンスターの効果で特殊召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。
このカードが持っていたX素材の数まで、自分の墓地からこのカード以外の「ステルス・クラーゲン」モンスターを選んで特殊召喚する。
さらにその特殊召喚したモンスターそれぞれに、自分の墓地から水属性モンスターを1体まで選んでそのX素材にできる。


細かな制限に関しては、この作品が通った場合に他の遊戯王カードの制限に沿ったものとする。

【ヴァリアント・シャーク・ランサー@遊戯王OCG】
神代凌牙に支給。
エクシーズモンスターだが本ロワではカードを持ちながら名を叫ぶことで普通に召喚可能。
ただし何らかのデッキを手に入れた場合、正規の手段でエクシーズ召喚しなければならないという制限が付与される
破壊効果などは微弱なNPCにしか通用しないように改造されている。
このカードで召喚したモンスターは実体化される

エクシーズ・効果モンスター
ランク5/水属性/獣戦士族/攻2500/守1600
レベル5モンスター×2
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
自分フィールドのX素材を1つ取り除き、対象のモンスターを破壊する。
自分フィールドに他の水属性Xモンスターが存在する場合、この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、自分フィールドの他の水属性Xモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
デッキから魔法カード1枚を選んでデッキの一番上に置く。

細かな制限に関しては、この作品が通った場合に他の遊戯王カードの制限に沿ったものとする。


932 : ◆QUsdteUiKY :2021/11/28(日) 20:20:15 upPh4tCM0
投下終了です


933 : ◆1qfrROV/6o :2021/11/28(日) 20:40:17 m2ASe3vk0
投下します。


934 : ◆1qfrROV/6o :2021/11/28(日) 20:40:45 m2ASe3vk0
「ミコト、あいつら追ってきてるよ!」

「ヒメ、こっち!」

自分の半身である鳴花ヒメを手を引いて走る。
後ろに見えるのは、こちらに向かって走ってくるゴブリンの群れだ。
ヘルメットのようなものを被り、布の服と胸当てのような鎧を装着して、鋭利なとげの付いたバットを装備したゴブリンたち。
だがその装備が与える印象も、股間からそびえ立つむき出しの凶器の前にかき消される。

鳴花ミコトは、訳も分からぬままに殺し合いの舞台へ連れてこられていた。
周りを見渡せば、ここが先ほどの異様な男が言っていた場所。
エロトラップダンジョンであろうことは容易に想像がついた。





悪趣味な男の演説が終わって会場に投げ出された直後。
そこはおそらくダンジョンの半ば。この場所をスタート地点と設定されたのだろう。
そう考えたボクは、ヒメをかばうようにしながらダンジョンの中を慎重に進んでいた。
だけど、周辺への注意ばかりに気を取られていたボクは古典的な足元のトラップに気が付かなかった。

スイッチを押してしまった手ごたえと、何かの起動音。
不意に、左右の壁から勢いよく煙が噴き出してきた。
咄嗟に口元を手で覆ったが、多少は煙を吸い込んでしまった。
ボクより反応の遅かったヒメは、もっと多くの煙を吸い込んでしまっただろう。

異変はすぐ体に現れた。
熱い。頭がぼーっとする。胸の内からこみ上げてくる奇妙な熱。
―――これは、媚薬だ。そう察したボクはすぐにヒメの手を取って走り出した。

数秒もせずに煙の中から脱出する。
晴れた視界に飛び込んできたのは、トラップの起動音を聞きつけて集まってきたゴブリンたち。
このままでは追い付かれる―――と直感したボクらと、ゴブリンたちの逃走劇が始まった。





「ヒメ、大丈夫!?」

「だい、じょ、ぶ……!」

振り返ってヒメの状態を確認する。
……見るからに顔が赤く、呼吸も激しい。
強がっているが、ボクよりも媚薬の影響が強いことは見るからに明らかだった。
―――瞬間、自分の内からこみ上げてくる暴力的な衝動。


935 : ◆1qfrROV/6o :2021/11/28(日) 20:41:34 m2ASe3vk0

ヒメとミコトは、人間ではなく梅の精霊である。
梅の樹は、一つの花におしべとめしべが両方存在する雌雄同株と呼ばれる存在だ。
だから、ある意味で男でも女でもあるボクたちには本来、特定の性別というものは存在していない。
でも。今ボクの股の間に存在する、この感覚は―――

自分の内から湧き上がってくるその衝動に戸惑っていた時、ゴブリンたちの下品な声で我に返った。
そうだ。今はそんなことに戸惑っている場合じゃない。何とかヤツらから逃げてダンジョンの外に脱出しなければ。

別のトラップに引っかからないよう慎重になりながらダンジョンの中を駆ける。
何も手掛かりはないが、スタート地点からダンジョンの最奥ということもないはずだと闇雲に走る。
数分は走っただろうか。もう何度目かもわからないダンジョンの角を曲がった時に、階段が通路の奥に見えた。

「ヒメ、あそこっ!」

今まで通ってきた通路に、上へ向かう道は存在しなかった。
そしてこのダンジョンのいかにも地下迷宮ですと言わんばかりの構造と材質。
おそらくあれが出口だろう、と直感した。

「―――っ、あ……!」

だが、その「出口を見つけることができた」という安心感が今回は仇となった。
その安心感から来る気のゆるみ。早く脱出したいという当然の思い。
それ故にヒメは、直前まで足元にあったスイッチに気づくことができなかった。

同じ轍は踏まないよう、ギリギリでスイッチを踏まないように体を逸らす。
しかし。ゴブリンから全力で逃げている中でそんな無理に体制を変えるとどうなるか?
言うまでもない。体のバランスを崩し、足をもつれさせて倒れこむ。
世間一般でわかりやすく言うならば、転倒である。

「ヒメっ!」

……おそらくここで止まって引き返せば、出口にたどり着くよりも前にゴブリンたちに追いつかれてしまうだろう。
それでもミコトのなかに、ヒメを見捨てるなどという選択肢は端から存在しない。
すぐさま駆け寄って手を伸ばす。半ば強引にヒメの手を取って引っ張りあげる。

「あ、ありがと、ミコト……でも、これじゃ……!」

「いいから、走ろう!」

諦観を口にしかけたヒメの言葉を遮って、再び手を引いて走り出す。
少しでも出口の方へ。せめてヒメだけでも脱出する時間を稼げるように―――


936 : ◆1qfrROV/6o :2021/11/28(日) 20:42:06 m2ASe3vk0

ほんの数十秒の後に追い付かれる。
そんな状況でも諦めずに出口に向かって走っていると、不意に階段を降りてくる人影が目に入った。
赤の主張が強い上着を羽織った茶髪の青年で、何やら左腕に特徴的な円盤型の機械を装着している。

初めは穏やかな顔で階段を降りていた彼も、必死に逃げるヒメとミコト、そして後ろから追いかけてくるゴブリン達を見るを顔色が変わる。
ふたりが彼に対して何かしらのリアクションを取るよりも早く、先程までと違う真剣な顔でこちらに向かって走り出した。

「そのまま出口まで走れ!」

逃げるのに必死だったふたりに何か言葉を返すような余裕はなく、結果的に彼の言葉通り出口へ向けて走る。
通路の中ほどで、こちらに駆けてくる彼とすれ違う。
ミコトの眼で見る限り、彼は武装したゴブリンたちと戦えるような装備をしているようには見えない。
一体どうするつもりなのか、走りながらチラリと背後を盗み見る。



「―――《E・HERO ネオス》を召喚!!」

直後、彼は予想外の行動に出た。
左腕につけていた機械から、何かカードのようなものを右手で引く。
いつの間にか円盤部分が先ほどよりも大きく展開しているように見える。
そのまま山札のような場所から引いたカードを、円盤にあるスロットのような場所へ装填した。

正しい場所に収まったことを示すような、甲高い効果音が鳴り響く。
直後、カードに描かれている……そう、例えるならば……3分間だけ地上で活動し、怪獣を倒していく特撮のヒーローのような。
そんな存在が目の前に実体化して現れた。しかも、徒手空拳でよせ来るゴブリンの群れを全て撃退していく。

あまりにも奇想天外なその光景に、命からがら逃走していたはずのミコトも動揺して少し躓いてしまう。
今度は自分が転ばぬよう、慌てて体のバランスを取る。前に向き直り、再び出口へと走り出した。
その間にも後ろから戦闘の音が聞こえてくる。振り向きたい気持ちを振り切って、出口まで駆ける。

―――ついた。ダンジョンの出入口の階段まで。
ここまでずっと全力疾走だったのが原因で、脳が酸素を求めている。胸が苦しい。
ヒメも同じように肩で息をしている。……後ろの戦闘は、さっきの彼はどうなった?
息を整えながら、ゆっくりと後ろを振り返る。



「お、大丈夫か?こっちは終わったぜ。」

「「―――えっ……?」」

……なんてあっけらかんと言われてしまい、ヒメと二人で思わず固まってしまった。
いつの間にか、追いかけてきたすべてのゴブリンが地面に倒れ伏している。先ほどの白いヒーローも、既に消えていた。
もしかして、彼にとってはあのゴブリンたちは雑魚だったのだろうか……?
困惑と安心感のまま、足元の階段に椅子のように座り込んでしまった。


937 : ◆1qfrROV/6o :2021/11/28(日) 20:43:16 m2ASe3vk0



◇◆◇



「梅の精霊?梅ってあの、おにぎりの具とかに入ってる、すっぱーい……あの梅か?」

「そう、その梅だよ。私は鳴花ヒメ!で、こっちのが鳴花ミコト!」

落ち着いて話ができるようになったので、先ほどの彼に自己紹介を兼ねて素性を話す。
普通の人にいきなり梅の精霊です、なんて名乗っても頭がおかしい人だと思われるかもしれないけど。
でもよく考えたら、彼は目の前でカードのイラストに描かれたヒーローを実体化させるなんて突拍子もないことをしてる訳だし。
ボクたちの素性くらいなら話しても大丈夫だろう、と判断した。

「ま、デュエルモンスターズの精霊が存在するわけだしな。別に梅に精霊が宿ってても、おかしくはないよな。」

思った通りで、彼が言っている言葉の意味は分からなかったが納得はしてもらえた。
……もしかして先ほどの白いヒーローは、どちらかというとボクたちの親戚のような存在なのだろうか。

「おっと、こっちの紹介がまだだっけ。俺は遊城十代!よろしくな、ヒメ!ミコト!」

「よろし―――あっ……。」

握手を求めて手を伸ばしてきた十代さんにヒメが応じて手を伸ばそうとした時。
ふらり、とヒメの足元がおぼつかなくなる。
媚薬の効果が抜けきっていないからだ、とすぐに気づいた。ボクもまだ抜けきったとは言えないから。
バランスを崩して倒れかけるヒメの体を、咄嗟に手を伸ばして支える。

「っと、わりぃ。気が利かなかった。さっきまでこの中でずっと逃げてたんだから、ちょっと休みたいよな。」

ひとまずここを出て外に行こうぜ、と言って十代さんが階段を上り始める。
さんせーい、と気の抜けた返事をしながらヒメもそのあとに続いた。
慌ててふたりの後ろから最後尾を歩き始める。



―――両足の間からこみ上げてくる劣情を、必死に隠しながら。
考えるな。考えるな。前を歩くヒメの、スカートの間から覗く生足に目を奪われるな。
さっき体を支えた時の、掌に残る柔らかさを思い出すんじゃない。
おかしい。こんなの絶対におかしい。だっていつもは、ヒメに対してこんな気持ちを抱いたりしないだろう?
……そんな悶々とした気持ちを押し隠しながら、ボクは二人と一緒にダンジョンを脱出した。


938 : ◆1qfrROV/6o :2021/11/28(日) 20:44:30 m2ASe3vk0

【鳴花ヒメ@VOCALOIDシリーズ】
[状態]:健康、媚薬の影響(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いから脱出する。
1:十代さんは信用できそう、かな?
2:まだちょっと、体が熱いよ……。
[備考]
※太宰府天満宮の御神木「飛梅(とびうめ)」がモチーフの梅の精霊です。
※雌雄同株な花を持つ梅の精霊であるため本来は特定の性別を持ちませんが
 媚薬と共に浴びたダンジョンの罠の影響により現在は女性の体となっています。
※ミコトと違い、自分が女性になっていることにはまだ気づいていません。


【鳴花ミコト@VOCALOIDシリーズ】
[状態]:健康、媚薬の影響(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いから脱出する。
1:十代さんと一緒に行動する。
2:股の間が、ムズムズする……!
3:考えるな……ヒメを見て、変なこと考えるな……!
[備考]
※太宰府天満宮の御神木「飛梅(とびうめ)」がモチーフの梅の精霊です。
※雌雄同株な花を持つ梅の精霊であるため本来は特定の性別を持ちませんが
 媚薬と共に浴びたダンジョンの罠の影響により現在は男性の体となっています。


【遊城十代@遊戯王デュエルモンスターズGX】
[状態]:健康
[装備]:遊城十代のデュエルディスク@遊戯王デュエルモンスターズGX
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いを止める、ないし参加者を無事に脱出させる。
1:当面はヒメとミコトを守りながら情報収集、ってとこか。
2:辱めたいにしても、殺し合わせたいにしても、どっちにしてもやり口が中途半端だよな。
3:デュエルモンスターズの精霊にも何かしているなら、あの悪趣味な男を許すわけにはいかない。
[備考]
※参戦時期は本編終了後です。
※デュエルモンスターズの精霊ユベルと魂が融合している為
 決闘外での精霊の実体化能力や、催眠術などの精神的干渉への高い耐性などを獲得しています。
※ユベルとの会話が可能かどうかは後続の書き手にお任せします。
※精霊の戦闘においては必ずしも攻撃力は指標になりません。
 例として劇場版の〜超融合!時空を越えた絆〜にて、攻撃力4000の《究極宝玉神 レインボー・ドラゴン》の攻撃を
 攻撃力2500/守備力2000のネオスが防いでいる描写があります。(その後、同じ攻撃力2500の《スターダスト・ドラゴン》に吹き飛ばされています。)



『支給品紹介』
【遊城十代のデュエルディスク@遊戯王デュエルモンスターズGX】
十代が使用しているデュエルディスク。
彼自身のデッキとセットで一つの支給品として支給されている。
これ自体は何の変哲もないデュエルディスクだが、十代は精霊の実体化能力を持つためこれだけでもかなりの戦力となる。


『NPC紹介』
【ゴブリン突撃部隊@遊戯王OCG】
元々は攻2300/守0のモンスター。
常に下半身をギンギンにして参加者を襲うが、少人数で行動することも多く大群を率いてない限り大して強くない。
守備力がかなり低いので、武器さえあれば普通の参加者でも対処は可能かもしれない。


『エロトラップ紹介』
【性転換してしまう煙の罠@オリジナル】
ダンジョンの中に設置された罠。
地面のスイッチを踏んでしまうと仕掛けが発動し、周囲の壁から視界を覆う媚薬入りの煙が噴出される。
これを吸い込んでしまったものは、媚薬の効果による興奮状態に陥るとともに性別が変わってしまう。


939 : ◆1qfrROV/6o :2021/11/28(日) 20:46:09 m2ASe3vk0
投下を終了します。
記載し忘れてしまいましたが、タイトルは【精霊の種類】です。


940 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/28(日) 20:47:04 CODjB61c0
投下します


941 : 『氷獄』の厄災 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/28(日) 20:52:40 CODjB61c0
「――はぁ」

鮮やかな金髪を揺らした青年が、眼前の光景に対し、呆れと壮観の感情を併せたため息を吐く
そこら中に転がっている、明らかに自然的に発生したとは思えない巨大な氷の塊がそこら中に散乱している

よく確認すれば、溶けた氷から流れ出る水の中に赤い血が混じっているのが見える
目を向けると死体があった、切り刻まれた死体、氷塊に潰された死体

「こんな光景、ただの笑い話だったら良かったんだけど」

殺し合い、それだけでも十分に非現実的だと言うのに、まざまざと見せつけられたそれは非現実を通り越して一種の神秘、青年はそれを物陰で目撃していた


『王』を名乗る男と、『王』に殺されそうになった少女とそれを守るために立ち塞がった或る二人
二人と『王』の戦いを奇跡的にバレずに、自らの手玉としたメイドと共に青年はそれを観戦していた

結果など、眼前の光景通り、『王』が殺し尽くした、その絶対的な力にて


【桐間紗路@ご注文はうさぎですか? 死亡】
【フェイト・テスタロッサ・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's 死亡】
【毛利尊拳@大番長 死亡】


「早い段階で讃岐と合流できて幸運だとは思ったけど、流石にこれは聞いてないかな」
「…………」

もちろん青年としては今後の方針は考えている。適当なグループに入り込み信頼を得て無事脱出する、邪魔になるような者がいれば殺す、そう楽観視していたのだが、あんな地獄を見せられては今まで信じていた常識が覆りそうになるのは当然だ
幸いにも、権力者や傭兵の力を借りて男どもの手で堕とした女、かつて『黒髪の山猫』と呼ばれた暗殺者で、私立探偵クリス・クロムウェルの付き添いであるメイドである諏訪讃岐が己が隣にいる

勿論、平時の彼女であれば自分に信頼など向けず、逆に殺しに掛かられても仕方のない事であろう、だが今の彼女は淫溺に堕ち、そのためならば本来の主ですら同じ奈落へ引きずり込もうとするだろう

「ひとまず、ここから離れようか、讃岐」
「……わかり、ました」

紅潮する顔を隠そうともせず、讃岐は今の主であるマクシミール・ウィローに付き従う讃岐
淫らに堕ちた今の彼女であってもクリスに対する忠誠は変わらないであろう、それが歪んだ形であったとしても

(もしも、クリスがここにいるのなら――もうこの際だから殺しても構わないか。何せ、殺し合いの舞台なんだから)

そしてマクシミールの心の奥底には、どす黒い欲望が渦巻いていることに、今の讃岐は永遠に気づくことはないのだ


【マクシミール・ウィロー@私立探偵クリスクロムウェル 淫謀のラビリンス】
[状態]:健康、危惧
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:この殺し合いを生き残る
1:入り込めるグループを探す
2:もしクリスがいるなら最悪処理するべきか
[備考]
※参戦時期は最低でも第5章以降
※感覚共有に関する制限は後続に書き手にお任せします

【諏訪讃岐@私立探偵クリスクロムウェル 淫謀のラビリンス】
[状態]:健康、発情(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:マクシミール様に従う
1:……お嬢様、既に処女を喪われてなければいいのですが
2:身体が疼いてしまいます
[備考]
※参戦時期は最低でも第5章以降
※クリスとの感覚共有は切られています


942 : 『氷獄』の厄災 ◆2FVYsixnq6 :2021/11/28(日) 20:52:56 CODjB61c0
「――つまらん」

自らが殺した者達の死体にも目もくれず、『王』はただつまらなそうに吐き捨てる

「下らん茶番にしては大掛かりではあるが、それもまた一興か」

男はこの殺し合いを「茶番」と評した。だが、それもまた良し
願いを叶えるというのは、間違いでないのなら価値はある

「奴がいないとならば、遊ぶつもりもない」

執着すべき相手もいない、かつての孤高と同じ、仲間も、相棒もいらない、〈王〉はただ一人でいい

「―――勝つのは俺だ」

〈王〉は孤高のまま大地を往く。その果てに、全てを支配するために



【ヴォルラーン・アングサリ@テイルズオブアライズ】
[状態]:健康
[装備]:霧氷剣ペルソス@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本:全て殺し、全てを支配する
1:???
[備考]
※参戦時期は後続に書き手にお任せします

『支給品紹介』
【霧氷剣ペルソス@グランブルーファンタジー】
ヴォルラーンに支給、空の世界のランスロットの所持する剣
凍てついた刀身を抜けば戦場の空気を一変させる。霧氷を纏い全てを切り裂き打ち砕く様は、さながら氷獄の爪である


943 : ◆2FVYsixnq6 :2021/11/28(日) 20:53:06 CODjB61c0
投下終了します


944 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:00:25 aB4KMw8Q0
とうとう最終日ですね!
少しでも盛り上がりに貢献できたらと思います。
連続となりますが投下します。


945 : 夜明け ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:01:52 aB4KMw8Q0
鮨ーーーーー酢をした飯をにぎって、その上に魚・貝の肉などの具をのせたもの。
Oxford Languagesより引用。

序章 夜明け

「……これは、一体……?」
困惑を隠せない一人の女性が浮遊大陸の一画に立っていた。

女性の名は海棠きらら。
鮨職人。

「日本へ帰国している最中だったはず……」
きららは日本代表としてワールドスシバトルを優勝した。
その数年後、懐かしの日本へ帰ってくるために飛行機に搭乗していたのだが、目を覚ますと、珍妙な格好をした男により殺し合いの参加させられたのだ。

「とにかく、周囲を探査してみようかしら」
きららは、現状を把握しようと周囲を探索しようとした、そのとき――――――

長い舌がきららを捕らえる。
長い舌の正体はNPCの舌魚。

「こ、の……」
(この、魚……見たことない種類だわ!?)
鮨職人として様々な魚の身を握ってきたきららは見たこともない魚に気づく。

そして――――――――

「なっ!?」
なんと、長い舌できららの胸を揉んできたのではないか。

(NPCがどうとかいっていたけど……こういうことなのねッ!)
舌魚に責められ、きららは改めてここがそうした欲望の場所だということを認識させられる。

「やめ……」
他の舌魚の舌がきららのズボンの越しから舐めてきたのではないか!

「はぁ……はぁ……」

このまま、イカされて魚たちの慰み者とされてしまうのだろうか————————
————————きららの脳裏に最悪の結末がよぎる。

しかし、そのとき――――――――――

「……おい」
低い男の声。

それと同時に————————

「チェストーーーーーーーーーーー!!!!!!」
男は手にした日本刀で魚のモンスターを下した。

『ッ!!!???』
周囲を取り囲んでいた舌魚たちは、目をまん丸にして男を見つめると――――――――

『〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!』
お楽しみを邪魔され怒り沸騰。
舌魚たちは舌を伸ばして、男をイキ殺そうと襲い掛かる。

「きな……バラバラに下してやるよ」
男は手にした日本刀で襲い掛かってくる舌魚を迎え撃つ。

「すごい……」
まるで、アニメのような男の動きにきららはただ見つめることしかできない。

そして―――――――

戦闘が終わると、静寂の空気が—————————

「あ、あの助けて……ッ!?」
きららは助けてくれた男にお礼を伝えようとしたそのとき―――――――――

————ドサッ

「だ、大丈夫ですが!?」
自身を助けてくれた男が倒れ、きららは駆けよる。
すると――――――――

「……すいません、何か飲み物とミルクを」
男はそう言った。

男の名はヴァン。
————————夜明けのヴァン

☆彡 ☆彡 ☆彡


946 : 夜明け ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:02:12 aB4KMw8Q0
終章 ヴァンと鮨職人

あれから、きららはヴァンにお礼として鮨をおごることとした。
先ほど仕留めNPCの魚をヴァンに頼んで身を薄く下してもらうと、きららは構える。

(スシ……か。本当なら調味料がほしいところだが……)
調味料がたっぷりとかかなっていない鮨では、満足には程遠いが、とにかく、腹を空かせている以上、ヴァンは何も言わず、きららの調理を待った。

——————チラリとヴァンの口の大きさを確認すると

「――――――いきます」

——————本手返し

「!?」
きららの本手返しを見たヴァンは目を見開く。
それは、ヴァンの知っているスシの握り方とは一線をかくしたものだったからだ。

「どうぞ、名前がわからないのが、残念ですが先ほどの魚の”握り”です」
「おお……」

「本当は、醤油や煮キリをつけたらいいのですが……」
「いや、大丈夫だ。この際、文句は言ってられない」
きららは、鮨として完成品ではないことをヴァンに謝るが、ヴァンは気にせず、鮨を一気に頬張る。

「ッ!!……」
無言で食す。

「……美味しくありませんでしたか?」
あまり表情が変わらないヴァンにきららは尋ねる。

「ん……いや、俺が今まで食べたスシの中でも一番美味いよ。ただ……」
そう、きららは知らないが、ヴァンにとって食事とは、ありったけの調味料をこれでもかとドバッとかけて食する程の味覚音痴。

故に、きららの握ったスシは美味いと感じるが物足りないといったところだ。

「……ごちそうさん。助かったよ」
お礼を伝えるヴァン。

「いえ、そう言っていただけて嬉しいです」
(……世界には多くの人がいる。私もまだまだだわ)

片や、きららはヴァンの言葉に笑顔を見せるが、内心はもっと学ばなければとケツイを深めていた。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「それで、アンタはどうするんだ?」
「といあえず、ヴァンさんと行動を共にしたいのですが、……いいですか?」
きららは、先ほどのNPCにまた出会ったら、一たまりもなく陵辱されるだろう。
故に、きららはヴァンに同行を願い出た。

「……アンタには美味しいスシをご馳走になったからな。いいぜ」
そういうと、ヴァンはきららに背中を向けて歩きだす。

(不器用そうに見えるけど、悪い人ではないみたいだわ……)
そんなヴァンの背中をきららは追いかけるのであった——————————

【海棠きらら@江戸前鮨職人きららの仕事ワールドバトル】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて日本へ帰る
1:ヴァンと行動を共にする
2:ヴァンに”美味しい”と思える鮨を握ってあげたい
[備考]
※参戦時期は最終話日本へ帰国する前
※ヴァンとの会話で、もしかしたら別の世界の人ではないかと半信半疑ながら考えています。

【ヴァン@GUN×SWORD】
[状態]:健康
[装備]:千鳥@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:あの男をバラバラにする
1:とりあえずきららと行動を共にする
2:首輪をどうにかしたい
3:きららの握った”スシ”……美味いが、物足りなねぇな……
[備考]
※参戦時期は最終話カギ爪の男へ復讐を果たした数年後、ウェンディと再会する間

『支給品紹介』 【千鳥@刀使ノ巫女】
衛藤可奈美愛用の御刀。
当然、ヴァンは迅移といった力は使用することはできないため、ヴァンにとっては頑丈な日本刀。

『NPC紹介』 【舌魚@遊戯王OCG】
長い舌をもつ魚。ヒエールの改造により、女性の乳首や蜜壺に男の一物をその長い舌で攻めてくる性欲のモンスターと化した。


947 : ケンサクします ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:03:27 aB4KMw8Q0
「エロトラップ」と「エロトラップダンジョン」検索数はどちらが多い?

正解は「エロトラップ」 検索数 約 8,010,000 件

ちなみに「エロトラップダンジョン」は 約 1,240,000 件
Google検索より引用

カ〜チコチカチ♪ カ〜チコチカチ♪ カ〜チコチカチ♪

あ〜んどう ケンサク♪

【安藤ケンサク @安藤ケンサク 】
[状態]:健康 
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜3
[思考・状況]
基本方針:ケンサクの知識を増やす
1:参加者と出会ったらケンサクする
[備考]
※参戦時期はばくだんサバイバル担当中


948 : 肉>バトロワ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:04:36 aB4KMw8Q0
肉ーーーーー食用にする動物の肉。
デジタル大辞泉より引用。

「ああああああ〜〜〜〜〜」
浮遊大陸。
それは性欲と罠が密接に絡み合う殺し合いの舞台。

そこに一人、嘆いている女性がいる。

女性の名は米沢いく。
お肉をこよなく愛するOL。

主催の男の手によりいくが浮遊大陸に送られる前、いくは彼氏とデートをしていた。
いくにとって、彼氏である清治郎の肉を食べる仕草は満点。
正に理想の彼氏であった。
しかし――――――
肉を愛する人と思っていたら、まさかの肉ギライが発覚。
意気消沈したいくは2軒目を断り、一人、雨の中落ち込んでいた。

(殺し合いなんて……そんなことしたら、私が私でいられなくなる!)
肉は人を笑顔にさせる。
たとえ、裕福な家庭でなかったとしても。

人の命を奪う行為は笑顔にさせる力を持つ”肉”を裏切る行為。

(それに、あんな小さな女の子をあんな風に見せしめとしてするなんて、許せない!)
いくは、故に殺し合いには乗らない。

「絶対に生きて帰って、焼き肉をたべるんだからッ!!!」

【米沢いく@お肉ガール】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰り、焼き肉を食べる
1:まずは、生きて帰るために探索する
2:お肉、食べたい……
[備考]
参戦時期は1話一人焼き肉をケツイした直後


949 : 創世するために ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:06:13 aB4KMw8Q0
選択ーーーーー多くのものの中から、よいもの、目的にかなうものなどを選ぶこと。
goo辞書より引用

少年は選択を迫られていた——————

一つは神の絶対の支配による秩序。

一つは多神教、天津神による多様性ある新たな世界。

一つは人の可能性のために神の王座を破壊。

しかし―――――――

————————————少年は選択できなかった。

「……」
少年は大地に立つ。
そして―――――――――

「……」
彼は動きだした。

——————————選択するために。

——————————————————真の欲を意思を指すために。

【ナホビノ@真・女神転生V】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いを見届けて選択する
1:首輪の対処を探す
2:降りかかる火の粉は掃う
[備考]
※参戦時期は至高天への道を開き、選択する直前
※少年には名前がありますが、名簿にはナホビノと記名されます。
※アオガミの意識があるのかどうかは後続の書き手様に委ねます。
スキル
麁正連斬
神霊水
轟雷
荒神螺旋斬
国津罪ノ穢レ
滄海原ノ禍
天剣叢雲


950 : 歩く歩く歩く ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:07:20 aB4KMw8Q0
散歩ーーーーー気晴らしや健康のために、ぶらぶら歩くこと。
Oxford Languagesより引用。

「ちょっと、ちょっと、これは何なのよ……」
一人ぽつ〜んと浮遊大陸にいる少女は現状に頭がおいついておらず、困惑の色を隠せない。

少女の名は相生葵。
豊島南高校の2年にして散歩部の部長を務める少女。

「たしか、教室の扉から歩ちゃんの補講を覗いていたよね……」
そう、葵は同じ部員の小路歩の補講が終わるのを教室の扉から覗いて待っていたのだ。

「そしたら、意識が落ちて……」
葵はそこで意識を落とし、気がついたら主催の男によるエロと殺し合いのバトルロワイアルへ参加させられたのだ。

「……」
(殺し合いに乗らないと、私もあの小さな子のような死が……)
葵の脳裏に浮かぶのは褐色肌の小さな子の尊厳死。

普通の女子高生の葵にとって、それは、ショッキングな映像。

しかし――――――――

「人を殺して歩きまわるなんて……カッコ悪すぎにもほどがあるわっ!!!」
そう、葵にとって、それは、”散歩”に対する裏切り行為である。

故に———————

葵は殺し合いに乗らない道を選んだ。

「歩ちゃんと目白庭園へ絶対に行くんだからッ!」

——————————大切な後輩と大好きな散歩を続けるために。

【相生葵@ぐるぐるてくてく】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰り、歩と目白庭園へ散歩する
1:自分と同じ志の参加者を探す
[備考]
参戦時期は3話歩の補講を教室扉から覗いている最中


951 : 解雇だけはまじ簡便 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:08:56 aB4KMw8Q0
出向ーーーーーーでむくこと。命令で、ある所へでかけること。命令で、他の会社や役所の仕事につくこと。
Oxford Languagesより引用

(どどど、どうしよ〜〜〜〜〜!!!!!)
浮遊大陸。
ここは、ヒエールの手によりエロトラップがどこもかしこも設置された浮遊大陸。
その一角に頭を抱えている女性がいた。

女性の名は宮田柚香。
高知県庁に努める職員。

(え?え?エロトラップ!?殺し合い?わけがわからないよ〜〜〜!!??)
そう――――――

本来なら、柚香は出向先の高知競馬場へ向かっていた。

無事に高知競馬場北口バス停に降りて、ゲート前に立ったと思ったら、いつの間にか、殺し合いをさせられる羽目となったのだ。

「というか、このままだと私……出向初日から無断欠勤になるよね?」
まだ、職場の皆さんに挨拶すらしていない。

「と、いうことは最悪……私、解雇されちゃうんじゃ!?」
最悪の想定をして青ざめると―――――――

「ま、まずはここを探索して、殺し合わなくても生きて帰れる方法を探そう……ッ!」
柚香はそうケツイを深めると、行動を開始した———————

【宮田柚香@ゆずかアプセット】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:とにかく、生きて帰り、出向先の職場へ向かう
1:まずは、探索して生きて帰る手段を探す
2:どどど、どうしよ〜〜〜〜〜!!!!!
[備考]
参戦時期は、1話、高知競馬場へ着いた直後


952 : ヤクザとよさこい少女とガンマン ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:10:27 aB4KMw8Q0
YOSAKIーーーーーー高知県のよさこい祭りから端を発した、踊りを主体とする日本の祭の一形態である。
wikipediaより引用。

1章 龍とYOSAKOI少女

「…一体、どうなってやがるんだ!?」

性欲溢れる浮遊大陸に困惑の色を隠せない男…

「たしか、俺はうみねこ坐で映画を観ていたはずだったよな…?」

男の名は春日一番。
元東城会直系荒川組若頭。

「眠気に負け、途中寝ちまって…んで、エロとか殺し合いとか、冗談見てぇなことをいいやがって…」
自分の所属していた組の息子荒川真斗の目を覚まさせるために拳を交え一連の騒動に決着をつけた一番は異人町に留まることを選択した。
ある日、馴染みのあるうみねこ坐の支配人にお勧めされた映画を観ていた一番は睡魔に負けて寝てしまった。
目が覚めるが、珍妙な服を着た男が現れて現在に至るーーーーー

「…っといけねぇ。とりあえず、一服できそうな場所を探さねーと…」
とりあえず、思考を深めるためにも手ごろな休憩場所を探す春日。
「おっと!行き止まりか…」
走っていると目の前に行き止まりを示す塀に辿り着き、肩を落とす春日。
「…ん?なんだ?この音」
武家屋敷の塀の向こうから地面を蹴る音が聞こえーーーーー

「ッ!?わわわ、どいてくださーいッ!!」

「おわっ!」

春日の目の前にある塀からなんと、女の子が跳び越えてきたーーーーー

☆ ☆ ☆ アダッ!!?? ☆ ☆ ☆

☆彡 ☆彡 ☆彡

一番と激突した少女はとりあえず、古民家の中で互いに自己紹介を交わしたーーーーー

「へぇ…するとハナちゃんはアメリカから日本へ来たのか?」
「そうデス!それに憧れの日本で【よさこい】を踊るのは、私の夢なんデス♪」
少女の名はハナ・N・フォンテーンスタンド。
ハナは自身の夢を一番に語る。

「…夢…か」
(親っさん…若…)
ふと、春日の脳裏に敬愛する2人の姿がよぎるーーーーー
(あの、あのイカレタ男は「どんな願いでも一つ叶える」と言っていた。けど、それで2人が蘇っても、筋が通るわけねぇよな…)
主催の男が放った優勝の権利に一瞬、夢の日々を連想したが、すぐさま否定した。

「ところで、一番さんはJapaneseYAKUZAデスか?」
「ん…ああ、元、だけどな」
所属していた荒川組からは破門され、さらに大元である東城会は近江連合と共に警察に解散届を提出し東西の2大極道組織は消滅したーーーーー

「色々あってな…今は一番ホールディングスの社長ってわけだ!」
「OH!元YAKUZAでシャチョーさんデスか!?すごいデスね♪」

「いや、従業員の皆のおかげさ!それにハナちゃんも「よさこい」って踊りを踊るのが夢だなんてスゲェじゃねぇか!」

「ふふん♪それほどデモです!…一番さんも私と踊りませんか?」
ハナの提案。
「いや、俺はよしとくよ。踊りなんて修学旅行のフォークダンス以来だからな…」
(流石に喧嘩で使用しているダンスはまずいよな……)
口ではそういうが、先の騒動では、ダンススタイルで戦ったことがある一番だが、踊りを純粋に楽しむハナを見て申し訳なさそうに断るがーーーーー

「大丈夫!ただクルクルクルクル楽しく回っていればいいんです!だから、ほら!」
「お…おい」
そういうと、ハナは一番の手を掴み畳の上で周囲を周る。

「〜〜〜〜〜♪」
「……」

(素敵な笑顔、長いまつ毛、大きな瞳、小さい身体に高くてきれいな声だ…)

一番はハナの顔を見つめる。

☆彡 ☆彡 ☆彡


953 : ヤクザとよさこい少女とガンマン ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:10:54 aB4KMw8Q0
「…ふぅ。…どうでしたか?」
「…悪くねぇ。最高だったぜ」
笑顔でハナに答える一番。

「よかったデス♪…ところで一番さんは、どうしますか?男性が言っていた通りに優勝を目指すんデスか?」
「…そうだな。二人に逆らえば、この爆弾首輪で首をドッカーンと刎ねられて死んじまう。正直、死にたくねぇな…・」
「……」
ハナは一番の言葉を黙って聞いているーーーーー

「けどよ、あの男の言う通りにしちゃあ男がすたるってもんだ!あの男は魔王よりも外道だッ!!…なら勇者が退治しねぇとな?」
そう――――――――一番は怒りに体を震わせる。

少女を尊厳死させた主催の男(ヒエール)にケジメをとらせる。
一番はハナに自身の答えを伝える。

「一番さんはJapaneseサムライデス♪ カッコイイです♪」
一番の答えにハナは笑顔を見せる。

「おうよ!春日一番という人間は荒川の親っさんから教わった度胸とドラクエの勇者から教わった勇気から出来てるんだからなッ!」

そう。それが春日一番という男だ。

「私も死にたくはないデス…でも、殺し合いに乗ったらもう二度とよさこいを踊ることはできないと思うんデス!だから私も抗います!」
ハナも自らのケツイを一番に語るーーーーー

「そんじゃあ、細長男の企み、一緒に阻止すんぞッ!ハナちゃん!」
「はいデス!アニキ!」

「…ハナちゃん…兄貴はよしてくれ……」

【春日一番@龍が如く7】
[状態]:健康 ジョブ:フリーター
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:珍妙な男に少女を殺したケジメをとらせる。
1:ハナちゃんと共に珍妙な男の目論みを打開する

※最終章クリア後
※デリバリーヘルプは使用不可能です。
※会社経営で株価1位になり、サブストーリーをクリアしています。
※取得しているジョブのスキルや他のサブストーリーの進行度などは後続の書き手様にお任せします。

【ハナ・N・フォンテーンスタンド @ハナヤマタ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰るためにアニキと行動を共にする。
1:アニキ(一番)と行動を共にする
2:えー…いいじゃないデスか♪アニキって響き私はスキです♪

※参戦時期はアニメ最終回後

☆彡 ☆彡 ☆彡


954 : ヤクザとよさこい少女とガンマン ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:11:37 aB4KMw8Q0
終章 憂鬱のガンマン

—————シュボッ!

————————フゥ……

「おいおい……全く妙なことに巻き込まれてしまったようだ」
髭を生やした男は煙草を吸いながらボヤく。

髭の男の名は次元大介
大泥棒ルパン三世の相棒にしてガンマン。

【次元大介@ルパン三世ワルサーP38】
[状態]:健康
[装備]:マールボロ@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:首輪をどうにかしたら主催の男の額に風穴を開ける
1:とりあえず、浮遊大陸を探索する
2:首輪をどうにかしたい
[備考]
※参戦時期は本編終了後


955 : 走る走る走る ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:12:29 aB4KMw8Q0
「いやあああああっ!!来ぉないでえええええ!!」

【シロミ・ラブカスラフ@異世界喰滅のサメ】
[状態]:健康
[装備]:究極捕食海魔神殺滅(サメ)@異世界喰滅のサメ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考・状況]
基本方針:主催の男の野望を打ち壊す
1:とにかく、
2:いやああああああ!!!!!!?????
[備考]
参戦時期は2話冒頭
※殺滅(サメ)に追われています。
『支給品紹介』 【究極捕食海魔神殺滅(サメ)@異世界喰滅のサメ】
シロミが使い魔として召喚したサメ。レベル893
普段の姿は稚魚と蔑まれるほどの人畜無害そうなサメに見えるが、ひとたび暴れ出したら死屍累々と化す。
特にイチャイチャしているカップルは要注意。


956 : ベビーシッターとしての矜持 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:13:16 aB4KMw8Q0
ベビーシッター ------親に成り代わって乳幼児の世話をする人をいう。
Wikipediaより引用

「……許せないわね」
全身黒の洋服だけでなくサングラスに帽子と身に纏う物全て黒。
そして、その黒よりも深い怒りを抱き、震えている参加者が一人いた。

その者の名は下落合ギン。
下落合ポピンズ倶楽部のベビーシッター。

「エロに殺し合いなんて……それで”笑顔”になるのは、子供ではなく下種な大人よ」
ギンは唯のベビーシッターではなく、英国ナニー協会認定のプロ。

「そんな輩の言うことなんかきくものですか」
故に—————————
ギンは主催の男に反抗する道を選んだ。

「それに同じ、オトコとして、あの男は許せないわ」
そう―――――――――
ギンは”オトコ”である。

どんなに子供を愛しても、自分では子供を産むことができない不幸な……悲しいオトコ。
オトコの代表として主催の男に人殺しの罪を償わせる。

ギンはケツイすると、欲望の笑顔が蔓延る浮遊大陸を探索しに動く。

【下落合ギン@ベビーシッター・ギン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催の男に人殺しの罪を償わせる
1:探索して情報収集する
[備考]
参戦時期はBaby1後


957 : サービスは世界を救う ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:14:13 aB4KMw8Q0
サービスーーーーー個人(客・来訪者)や社会や家族に対する、奉仕的な活動、また、職務としての役務提供。
Oxford Languagesより引用。

「……」
浮遊大陸に直立不動の白い布を被った男。
男は両腕を組むと一人目を瞑っている。

幾ばくか時がたち————————

——————カッ!!!

男は開眼すると―――――――

「ヤイ♪ヤイ♪」
—————バッ!バッ!

「ハイ♪ハイ♪」
—————バッ!バッ!

突如、衣服を持ちあげ股間を晒す。

男の名はサービスマン。
世界中で人気の自らの陰部を露出する謎の男。

「あの少女にサービスすることができなくなった……許せん」
サービスマンは怒りに震えている。
未来ある少女が自らの陰部を見ることが出来ずに尊厳死させられたことに。
そして、その原因であるしゅさいの男に。

「ん?……金髪少女がッ!?」
眼前に見えるは先ほどの褐色肌の少女に似た金髪ブロンドの少女。

(いかん!私が守らなければ!)
サービスマンは走る。
少女を救う為に。
少女の清らかな体を狙うNPCやエロトラップから守るために。

「……?」
少女はサービスマンの気配に気づき、振り向く。

「サ――――――――――――ビスッッッッッ!!!!!」
魂のこもった渾身のサービス。

(決まった……)
己のやるべきことを無事にやり切り、サービスマンは達成感に酔う。

サービスマンのサービスを受けた少女は膠着していたがやがて——————―――――――

「……」
シュルルルル———————

少女の髪が拳に変身すると―――――――

——————ボコォォォォォ!!!!!

「ぐはぁっっっっっ!!!!!?????」
ズザザザザ——————
金髪少女に殴られたサービスマン。

サービスマンを殴り倒した金髪少女はジト目で見つめると――――――

「……えっちいのは嫌いです!!」

そう、顔を赤らめながら答えた。

【サービスマン@ボボボーボ・ボーボボ(漫画)】
[状態]:負傷(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:亡き少女の無念を胸に主催の男にサービスする
1:金髪少女を守り、サービスする
2:サービスだ。見とけ
[備考]
※参戦時期は175話裏マルハーゲ帝国メンバーお披露目直後

【金色の闇@ToLOVEる-ダークネス-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催の男を殺す
1:首輪をどうにかする
2:えっちいのは嫌いです!!
3:なんですか……この男は
[備考]
※参戦時期は70話後


958 : エロトラップダンジョン?探索するわ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:15:49 aB4KMw8Q0
探索ーーーーーさがし求め、さぐること。
goo小学館類語例解辞典より引用。

序章並びに終章 探索者の性

「さて……困ったわね」
手を顎に当て悩む少女。

少女の名は魔救の探索者(アダマシア・リサーチャー)
仲間内からは”リサ”の愛称で呼ばれている。

「ちょっと、気が緩みすぎたわ」
研究に没頭して意識が落ちたリサは目を覚ますと奇天烈ともいえる催しに参加させられる羽目となり憂鬱の気分。

——————パン!

(だけど、いつまでもクヨクヨとしてられない!)
リサは自分の頬を叩き、気持ちを切り替える。

「この禍々しい杖……使い道を謝ると自分の破滅を招くわね」
リサは支給品の杖……光魔の杖を見つめる。

—————光魔の杖。
かの大魔王が使用した杖。

微力な魔力の持ち主では到底扱うことなどできぬ禍々しき杖を持ったリサは—————

—————ワクワクしていた。

(他にも、こういった支給品があるのかしら?)
それは、探索者(リサーチャー)としての性なのだろう。

「首輪の解除に、ここの探索……ふふ、やりがいがあるわ!」

【魔救の探索者(リサ) @遊戯王OCG 】
[状態]:健康 未知なる大陸と支給品にワクワク
[装備]:無し
[道具]: 基本支給品、ランダム支給品0〜2 光魔の杖@ダイの大冒険
[思考・状況]
基本方針:首輪を何とかして生きて帰る
1:周囲を探索する(首輪を解除するため)
2;光魔の杖は使い道を誤らないようにしなきゃね
[備考]
※遊戯王カードについての知識はありません

『支給品紹介』 【光魔の杖@ダイの大冒険】
持ち主の魔法力を攻撃力に変換する杖。使用する際には先端の飾り部分が翼状に開いて左右に割れ、鎖が伸びて装備者の腕に絡みつく。この鎖が装備者の魔力を吸収し、その魔力を光の刃に変えて先端より噴出させ敵を切り裂く。しかし握っているだけで無限に魔力を吸い込むため、装備していれば時間とともに莫大な魔力(MP)が消費され、杖の攻撃力と使用者の魔力が低下していくという重大な欠点も持っている。


959 : その少女、誇りある意思を持つ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:17:17 aB4KMw8Q0
金メダルーーーーー金めっきを施された記章/徽章。競技会や競演会(コンクール)の優勝者に対する表彰
Wikipediaより引用

「はぁ……はぁ……」
浮遊大陸。
殺し合いの舞台と化した舞台。

その一角に座り込む少女。

少女の名は朱方歩夢。
14歳のとき、オリンピックで女子100m背泳ぎにて金メダルを獲得した史上最年少女王。

しかし―――――――――

それは、もはや過去―――――――――

膝を怪我した歩夢は引退し、スポーツ枠で入学していた高校から追い出された。
歩夢の名声を聞き、部活のコーチとして勧誘された歩夢は先輩と取っ組み合いの喧嘩をしてしまった。

そして、先ほど喧嘩をした先輩から謝りたいと手紙をもらい、夜遅くの時間に屋内プールへ足を運ぶと飛び込み用のプールに突き飛ばされたのだ。

(死ぬかと思った……)
膝が弱くなっているのもあり、足をつった。
このまま、誰にも助けられることもなく死ぬのだと意識が落ちた時、覚悟した。

——————結果として、歩夢は死ななかった。

「でも……完全に助かったとは言えないわね……」
そう、溺れからは助かったが、代わりにエロと殺し合いを強要される。
これでは、溺死したのと大差ない。

「それに……服装」
歩夢は自分の服装が私服ではなく、制服になっているのを確認する。
「――どうせルールブックに載ってるから説明不要かもしれないけど、念の為。もしこの絶望と性欲に塗れた殺し合いでたった一人生き残れたのなら、どんな願いでも叶えた上で、副賞として20億円プレゼント!」

—————————ドクン

「本当に願いを……」

歩夢の脳裏に浮かぶのは、男の甘言。
ごくりと一度、喉を鳴らす歩夢。

だが――――――――――

「それで翼を手にしたって意味ないわ」

そう―――――――
殺し合いで獲得した”翼”なんか、こちらから願い下げ。

故に————————
歩夢はこの殺し合いを否定する。

「とにかく、この場に留まっても仕方がないわね……」

歩夢は生きて帰るために行動を開始した——————————

【朱方歩夢@奇跡の翼】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:生きて帰る
1:とりあえず、周囲を探索する
[備考]
参戦時期は1話夜7時の屋内プールにて溺れている最中
※足を怪我しているため、あまり長時間走ることはできません。


960 : 郵便配達車としての矜持 ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:18:59 aB4KMw8Q0
手紙ーーーーー用事などを記して、人に送る文書。書簡。書状。
goo辞書より引用

「あー……本当にやるんですね」
エロトラップダンジョンと参加者同士の血と血で洗う殺し合いの舞台。
浮遊大陸。
その一角にジト目で本当にふざけた催しをやるの?と訴えかけるツインテールの少女。

ツインテールの少女の名はマト。
郵便配達人(クロ)の少女。

街から街へ手紙を渡すマトは、次なる街へ出発している最中にこの性欲と暴力の殺し合いに巻き込まれたのだ。

「……願い事、か」
マトの脳裏に浮かぶのは、珍妙な格好をした男の甘言。

「――どうせルールブックに載ってるから説明不要かもしれないけど、念の為。もしこの絶望と性欲に塗れた殺し合いでたった一人生き残れたのなら、どんな願いでも叶えた上で、副賞として20億円プレゼント!」

「……ま、有無を言わさず、こんな催しに参加を強要する人が有言実行するとは思えないね」
————ぽりぽりと頭を掻く。

「あの珍妙な男の人の言葉は薄っぺらい」
そう――――――――

郵便配達人として働くマトは、言葉を———————手紙を受け取る人達の表情を見るのが好きだ。

「だから、私は従わない」
故に————————

マトは殺し合いに不服従。

「さてと、さっさと帰らないとアイさんを悲しませちゃいます」
今頃、マトの仕事に同行する小説家志望のアイは驚き、自身を探しているはずだろう。

マトは大好きな仕事の日常を取り戻すため、動き始めた————————


【マト@たびだより】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催の男をシメて仕事を再開する
1:とりあえず、周囲を探索する
[備考]
参戦時期は1話終了後


961 : ほしい、全てが ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:20:54 aB4KMw8Q0
「全て、ワシがいだたく」

【強欲ゴブリン@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3(強力かつ凶悪な支給品)
[思考・状況]
基本方針:全てを奪い、再び成り上がる
1:優勝して、輝かしき元の地位を取り戻す
2:女は家畜。男は殺す。
[備考]
参戦時期は成金ゴブリンから落ちぶれた後


962 : どんぐり、ころころどんぶりこ〜♪ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:23:25 aB4KMw8Q0
どんぐりーーーーーカシ・クヌギ・ナラなどの、わん形のからで半ば包まれている実。
Oxford Languagesより引用

1章 どんぐりの可能性A

どんぐりころころ、どんぶりこ〜〜〜〜〜♪

「ふっざけないでくださいよ!本当に!!!」
怒りが収まらない少女は天に叫ぶ。

声の主は七草にちか。
アイドルになったどんぐり。

「ようやく……掴んだですよッ!」
手をギュッと握りしめ、唇を噛む。
無理もない。

合わない靴を履き、血反吐を吐く想いで掴んだ憧れのアイドル。

その直後がエロトラップと殺し合いの強要。
いくらなんでもあんまりだ。

「絶対に生きて帰るんだから」
譲れない思いを叶えたのだ。

その選択は至極当然。

【七草にちか@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:元の世界へ戻る
1:生きて帰り、アイドルとして活動する
[備考]
参戦時期はW.I.N.G.優勝後

☆彡 ☆彡 ☆彡


963 : どんぐり、ころころどんぶりこ〜♪ ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:23:44 aB4KMw8Q0
終章 どんぐりの可能性B

どんぐりころころ、どんぶりこ〜〜〜〜〜♪

「あ、あははー。アイドルになる夢が破れた私はこれからどうすればいいんですかねー」
浮遊大陸に響く空しい言葉。

言葉の主の名は七草にちか
アイドルを目指した、いっちばん普通のどんぐり。

「それにしても……」
にちかの視線にいるのは————————

—————————息絶えた緋田美琴

本来なら、七草にちかとグループを組むはずだったアイドル。

「人ってこんなにもあっけなく死んじゃうんですね……」
美琴の血を吸った包丁を死んだ魚の目でみつめる。

「――どうせルールブックに載ってるから説明不要かもしれないけど、念の為。もしこの絶望と性欲に塗れた殺し合いでたった一人生き残れたのなら、どんな願いでも叶えた上で、副賞として20億円プレゼント!」

それは、夢見たどんぐりに差し伸べられた手。

「……しょうがないじゃないですか」

————————だって、”アイドル”にもう一度”挑戦する”道は、これしかないんですから

【七草にちか@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:万能包丁@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2 美琴のランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:優勝して、主催の男の願いで”アイドル”にもう一度”挑戦する”
1:私は諦めない。もう一度夢を見る。
[備考]
参戦時期は2次選考で落選した後


964 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:24:11 aB4KMw8Q0
これにて投下終了します。


965 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:45:27 aB4KMw8Q0
すみません、抜けがありましたので、修正して投下します。


966 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:45:39 aB4KMw8Q0
終章 どんぐりの可能性B

どんぐりころころ、どんぶりこ〜〜〜〜〜♪

「あ、あははー。アイドルになる夢が破れた私はこれからどうすればいいんですかねー」
浮遊大陸に響く空しい言葉。

言葉の主の名は七草にちか
アイドルを目指した、いっちばん普通のどんぐり。

「それにしても……」
にちかの視線にいるのは————————

—————————息絶えた緋田美琴

本来なら、七草にちかとグループを組むはずだったアイドル。

「人ってこんなにもあっけなく死んじゃうんですね……」
美琴の血を吸った包丁を死んだ魚の目でみつめる。

「――どうせルールブックに載ってるから説明不要かもしれないけど、念の為。もしこの絶望と性欲に塗れた殺し合いでたった一人生き残れたのなら、どんな願いでも叶えた上で、副賞として20億円プレゼント!」

それは、夢見たどんぐりに差し伸べられた手。

「……しょうがないじゃないですか」

————————だって、”アイドル”にもう一度”挑戦する”道は、これしかないんですから

【緋田美琴@アイドルマスター シャイニーカラーズ 死亡確認】

【七草にちか@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:健康
[装備]:万能包丁@現実
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜2 美琴のランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:優勝して、主催の男の願いで”アイドル”にもう一度”挑戦する”
1:私は諦めない。もう一度夢を見る。
[備考]
参戦時期は2次選考で落選した後


967 : ◆DE1ZlR3npE :2021/11/28(日) 21:45:40 SBLNtff20
投下します


968 : ◆DE1ZlR3npE :2021/11/28(日) 21:45:50 SBLNtff20

ダンジョンを内をただひたすらに疾走する一匹の『羊』。
その羊の正体を知ればある者は戦慄し、またある者は正気を保てなくなるという。
だが、当の本人にとってそんな事はどうでも良かった。ただ、一つ言えるとするならば_____

『Meeee!』


【Baaa@Baaa】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:ダンジョン内を羊で埋め尽くし、優勝する。
[備考]
現在、第一形態です。


969 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:46:00 aB4KMw8Q0
改めて投下終了します。
大変申し訳ありませんでした。


970 : ◆DE1ZlR3npE :2021/11/28(日) 21:47:27 SBLNtff20
投下終了です
◆s5tC4j7VZY様、割り込み投下申し訳ありません


971 : ◆s5tC4j7VZY :2021/11/28(日) 21:56:31 aB4KMw8Q0
DE1ZlR3npE様

こちらのミスでの再投下でしたので、お気になさらないでください。


972 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 22:04:03 ye9yuoU60
私も二作品ほど投下させていただきます。

まずは以前、コンペロワに投下したものを一部手直ししたものになります。


973 : かつての夢は闇の中に ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 22:04:39 ye9yuoU60
ここは会場内の湖畔、そのほとりには無数の人影があった。

いや、厳密には人影ではなく、無数のゴブリンとそれに陵辱される一人の娘の姿があった。

「う、うげええぇぇぇ……もう、やめてぇ……お願いだからぁ……もう、出さ、な…でぇ…」

陵辱されている娘、女武闘家は嘔吐しながら力ない声でゴブリンたちへそう嘆願した。

しかし彼らが手を緩めることなどない。
それは彼女自身、自分の身をもって理解していることだった。しかしそれでも、その苦痛から彼女は嘆願せずにはいられなかった。

そしてゴブリンたちはそんな彼女をあざ笑い、またも彼女の身体に自らの精を流し込んでいった。

それにより女武闘家が再び悲痛な声を上げる、そんなおぞましい光景がここには広がっていた。

しかしそんな光景が突如として終わりを迎えた。

見回りをしていたゴブリンたちが、謎の黄色い弾により吹き飛ばされたのだ。

それにより先ほどまで女武闘家を陵辱していたゴブリンたちはその手を止め、自らの武器を手に取りその場へと向かったのだ。

そしてそこには、奇妙な格好をした男がいた。

黒地に金の刺繍が施された着物にすだれのようなものが付いた冠、そして顔全体を巨大な呪符のようなもので覆っていた。

まるで中国の皇帝とキョンシーを混ぜたような見た目をした男が、そこに立っていた。

そしてゴブリンたちは気づいた。彼が自分たちを襲った者だと気づき、数の暴力に任せて彼に襲い掛かった。

しかしそれは悪手だった。男はそのまま彼らゴブリンたちを様々な技で葬っていったのだ。

丁度男の目の前にいたゴブリンは抜き手で無数の風穴を開けられ、

あるゴブリンは気弾を込めた掌底で身体を跡形もなく吹き飛ばされ、

またあるゴブリンは空中で繰り出された回し蹴りで周囲にいた仲間ごと頭をはね飛ばされ、

そして遠くにいたゴブリンは彼の手から放たれた気弾によってすべて薙ぎ払われてしまった。

中でも一番悲惨だったのはこのゴブリンたちを率いていたリーダーだろう。

彼は男の放つ無数の技を食らった挙句、全身を骨も残らずチリにされてしまったのだから。


974 : かつての夢は闇の中に ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 22:05:19 ye9yuoU60
そうしてその男は体術のみでゴブリンたちをすべて殺害してしまった。

その光景を、女武闘家は一言も発さず、まばたきもせずに見つめていた。

魅了されていたのだ。彼の放つ技一つ一つに。

曲がりなりにも武闘家であるから分かったのだ、彼の放った技の美しさとその威力に。

そして、彼の衣服には一つたりともゴブリンたちの血が付いていないことに気づいたのだ。

そうして彼女が男の姿に魅了されていると、その男がこちらに近づいてきた。

全身を汚辱にまみれた姿を見られたくないと思った彼女は男から逃げようとしたが、男のほうが早く彼女のすぐ近くまで来てしまった。

そうすると突如男が口を開いた。

「其方、なかなかいい目をしているのぉ……」

「憤怒、絶望、憎悪、屈辱、………そして力に対する渇望が透けて見えておる」

「余はそのような淀んだ目をした人間が大好きでの、何なら其方に技を授けてやろうか?」

目の前にいた男は女武闘家にそう言い、彼女をじっと見降ろしていた。

お前に自分の技を授けてやると、彼はそういったのだ。

そして彼女はその言葉に対し、即座に答えた。

「……ぜひともお願いいたします……!貴方のことを、師匠と呼ばせてください……!」

師匠と呼ばせてくださいと、貴方の技を授かりたいと、そう答えたのだ。

そして男は高笑いをしながら彼女の答えを受け取ったあと、自身の名を教えた。

「はっはっはっはっ!余に師事を仰ぐか!余はマオタイ、我が剛の拳の極意を、とくと味わうがよい」

そうして彼女に自分の技を教えるといったマオタイだったが、彼女に対して顔をしかめた雰囲気でこう言った。

「まずは、そこの湖で体を清めよ。そのままでは栗の花臭くて、教える気にはならぬ」

その言葉に若干ショックを受けた女武闘家だったが、その通りだとも思ったので彼の言うとおり自分の身体を洗いに行った。

そして先ほどまでゴブリンに襲われていたため確認できなかったデイバッグの中に、丁度衣服が入っていたのでそれを着ることにしたのだ。

これからの自分の成長に胸を躍らせながら……。


975 : かつての夢は闇の中に ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 22:06:02 ye9yuoU60
------------------------
そして彼女が体を洗っている間、マオタイは……

「ふむ、やはり余の身体から力が失われておる…、これもあの主催者の仕業か……。全く、忌々しいものよ……!」

自分の身体に起きた変化について苦々しい雰囲気を出しながら確認をしていた。

(しかし、余の身体に起きた変化を確認するために小鬼どもを始末したが、とんだ拾い物をしたものよ)

しかし彼は呪符で隠した顔から笑みを浮かべていた。何故ならば、彼は面白い拾い物をしたからだ。

(あの小娘、女武闘家といったか?あれは、磨けば光る逸材よ……)

(必ずや、余の覇道を支える程の拳士、ひいては余の悲願たる"王楽浄土"の礎となる存在だろう……)

そう、彼は女武闘家の中にある才能を見出していたのだ。そしてその才能を開花させれば、必ず自身の役に立つ拳士となると、そう確信していた。

故に彼は女武闘家を助けたのだ。自身の覇道を助ける、一つの駒として、そして自らが求める『とこしえの楽園』のための礎として。

そして彼のもとに、身体についた汚辱を洗い流し、また新しい衣服を身にまとった武闘家が走ってきた。

「身体を清めてまいりました!では、稽古をつけさせていただけますか?」

「そうか、では早速稽古をつけさせてやろう。覇を掴む、最強の拳をその身に刻むがよい」

―― こうして、かつて小鬼により道を閉ざされた武闘家は仙界の魔皇によってその才覚を見出され、再び武の道を歩み始めた。

―― その先に待ち受けるのが、彼の意志によってすべてが決定される『偽りの理想郷』であっても、今の彼女にそれを知る由はない…………。


【女武闘家@ゴブリンスレイヤー】
[状態]:陵辱による疲労(中)、ゴブリンへのトラウマ(大)、マオタイの技に対する心酔
[装備]:カンフースーツ@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:ゴブリンたちへの雪辱を晴らすため、マオタイに師事を仰ぐ。
1:何という技の数々……!この人に師事を仰げば私も……!
2:ゴブリンたちは皆殺しにする……しなければならないんだ……!
[備考]
※参戦時期はゴブリンスレイヤーによって救出され、馬車で他の犠牲者とともに移動していた時期
※元の衣服はゴブリンたちの手でズタズタにされたため、カンフースーツを着用しています。
※魔皇マオタイを『異国の武闘家』だと思っています。



【魔皇マオタイ@モンスター烈伝オレカバトル】
[状態]:健康、力を封じられたことに対する怒り(大)
[装備]:邪帝の酒器@モンスター烈伝オレカバトル
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:主催者を打倒し、『どんな願いもかなえる力』を奪う。
1:余の覇道を邪魔するか、痴れ者め!
2:『どんな願いでも叶える』か……ならばその力、余がすべていただこう。
3:こやつ(女武闘家)は、磨けば光りそうだ……。
[備考]
※制限により『無影暗殺拳』、『七死七殺拳』などの相手を即死させる技の効果が無効化されています。
 また本来の姿である『邪帝』への変化もできません(正確にはそのために必要な『邪帝白酒』が没収されています)。


『支給品紹介』
【邪帝の酒器@モンスター烈伝オレカバトル】
 黒と金の菱形模様をした盃で、彼が『邪帝』に変化するために必要な道具の一つ。

 これに彼特製の『白酒』を注ぐことで『邪帝』への変化を果たすのだが、
 肝心の酒とそれを作るための『魔麹』が手元にないので、今のところ只の盃である。


976 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 22:06:40 ye9yuoU60
投下終了です。

続いて、本ロワにて新規に描き上げた作品を投下いたします。


977 : 身体は女子高生、中身は触手と精子 ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 22:07:49 ye9yuoU60
ここは会場内にある学校、そのプールの近く……

そこには黒いセーラー服をまとったロングヘアの女子高生がいた。

そしてその正面には、イソギンチャクのようなモンスターが彼女の腕から伸びる触手によって痛めつけられている姿があった。

「どうしたどうした!この程度の力で余に勝てるとでも思ったのか!」

彼女はまるで年老いた男のようにしゃがれた声で、目の前にいるモンスターに触手を振るいながらそう叫んだ。

彼女の言うとおり、このモンスターは丁度プールの近くを探索していた彼女に突如襲い掛かり、無数の触手で陵辱しようとしていた。

しかし結果はこの通り、彼女の腕から伸びた泥のような質感の触手によってそれらは打ち払われ、逆に自分が痛めつけられる結果となってしまったのだ。

「そろそろ貴様と遊ぶのも飽きた!故に彼方へと消えるがよい!」

そう言うと彼女は触手を増やし、それでモンスターの全身を絡め捕ってどこか遠くへと投げ飛ばした。

そしてモンスターの姿が見えなくなったのを確認した後、彼女は歩き始めた。

「あの時、余の半身たるこの小娘とともにあのナホビノに刺し貫かれ、そして消滅したはず……なのになぜこのような場所にいる?」

消滅したはずの自分がなぜこのような場所にいるのかという疑問を口にしながら……。

「まあ……理由はどうであれ余は復活できた…ならばやるべき事なぞ決まっている」
「あのにっくきナホビノを打ち倒し、今度こそ創世を成してやろうぞ!」

そして、自らの野望を叫び、その顔に歪んだ笑みを浮かべながら……。

―― 彼女の名、正確には彼女の中にいる存在の名は『邪神ラフム』、バビロニアの古き神にしてベテルに封じられた悪魔の一体である……。


【邪神ラフム@真・女神転生V】
[状態]:健康、樹島サホリの身体
[装備]:デビルマトリクス@魔界戦記ディスガイアシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:再び創世を目指す。
1:この身体が余の半身のはず……なのになぜ、ナホビノになれぬ?
2:あのナホビノ(真・女神転生Vの主人公)には、報いを受けさせねば……!
3:確かにこの武器によって強くなっている気はするが、どうにも実感がわかぬ……。
[備考]
※参戦時期は樹島サホリを取り込み、彼女とともに死亡した後。
※樹島サホリの意識はほとんどありません。
※制限によりナホビノにはなれません(そもそも原作でナホビノ化していない)。
※耐性とスキル構成については以下の通り。

 火炎:弱点 氷結・衝撃:耐性 呪殺:無効
 スキル: 滅びのシルト
      紫煙乱打
      ブフダイン
      ムドオン
      テンタラフー
      マハジオンガ
      大魔脈


『施設紹介』
【学校@オリジナル】
 その名の通り、うら若き少年少女の為の学びの場で、3階建ての校舎と体育館、
 白線の引かれた校庭やフェンスに囲まれた25メートルのプールなどが存在している。
 また教室にはチョークや黒板消し、体育館の倉庫には体操用のマットなどの備品が存在しているなど
 疑似的な学園生活を営むには十分な設備がそろっている。

 ……要するに"シチュエーションプレイ"のために用意された施設である。


『支給品紹介』
【デビルマトリクス@魔界戦記ディスガイアシリーズ】
 魔物用の武器で、『悪魔の力』を限界突破させる代物。

 ……ただし、具体的にどのような力を限界突破させるか、そしてどのような形をしているかは不明。


『NPC紹介』
【官能の奉仕者@セブンスドラゴン】
 陸地に生息するイソギンチャクのようなモンスターで、遠目で見ると純白のドレスを着ているように見えるのが特徴。
 無数の触手で攻撃するほか、相手を恐怖状態にして動きを鈍らせたりする。

 (注)出典元は『CERO:B(12歳以上対象)』のゲームで、なおかつ公式で存在するモンスターです。
   断じてエロゲーや同人誌オリジナルのモンスターではございません。


978 : ◆L9WpoKNfy2 :2021/11/28(日) 22:08:23 ye9yuoU60
これにて二作品とも投下終了です

以上、ありがとうございました。


979 : ◆0EF5jS/gKA :2021/11/28(日) 22:49:07 0BlGjl6M0
投下をします。


980 : 母を探して千里はどれくらいになる? ◆0EF5jS/gKA :2021/11/28(日) 22:52:01 0BlGjl6M0
「おおお…!!こんなことをしてる場合じゃないんだ!!かあちゃあああん!!!」

淫乱を量産して殺戮と性欲が巻き起こる舞台で
帽子をかぶり顔が影で隠れている男が心底焦っている。


あまりの錯乱ぶりに主催であるヒエールの解説や
見せしめ猛烈にエッチな醜態をさらしながら死んだ少女のことなど一切頭にはいっていないのだ。


焦る男の名はJガイル、写る物から写る物へ移る能力ハングドマンのスタンドを持つ男である。


「この会場にいたりすんのかい!?かあちゃあんんん!」


Jガイルはポルナレフと花京院の前に敗れた後、どういうわけか生存しており
風の噂で主のDIOが母のエンヤ・ガイルに肉の芽を植え込んだ情報を得たのだ。


肉の芽の効果は対象の脳に植込むことでカリスマ性を思い知らさせて
天才独裁者に従う兵士のような精神状態に塗り替えて配下とする効果を持つ。


だからこそ理解できない、そんな物を使わなくても母エンヤは
DIOを絶対にしてゆるぎない究極の帝王として狂信し、不動の忠誠を誓っていたではないか、
そんな母に肉の芽を植込んでも裏切る可能性は無であるため意味などないはず、
これは何かの間違い…とは言い切るわけにはいかない。


なぜなら植込まれた肉の芽はいずれは暴走してしまい寄生した人間を食い潰し死に至らせてしまう。
仮に植込まれていたらエンヤ婆の命があぶない。
他人の妹を殺害するとてつもないゲスのJガイルだがそのゲスさと親への純粋な思いは
同時に存在していても一切矛盾はない。


「無事でまっててくれよ母ちゃん!もしいるなら
見つけてなんとか助けてやるからな…!!
母ちゃん!母ちゃあああん!!!」


親思いの悪党が母を発見して救うために今死力を尽くして駆け抜けだした。
早く見つけて病院にいかなくては、
そう思いながら猛ダッシュするJガイルだがこの会場に病院があるのかは不明。


仮に病院があったとしても医者がいるのかについては一切不明だ。


【J・ガイル@うろ覚えで振り返る 承太郎の奇妙な冒険】
[状態]:健康、焦燥(特大)
[装備]:特になし。
[道具]:ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:母のエンヤ婆を発見してともに病院に行く。
1:母ちゃんどこだよお…!!
[備考]
焦燥のあまり主催者の話が一切頭に入っておらず殺し合いのルールを一切理解していません。


981 : ◆0EF5jS/gKA :2021/11/28(日) 22:52:21 0BlGjl6M0
投下を終了します。


982 : ◆ytUSxp038U :2021/11/28(日) 23:08:26 3IBRNZ9I0
投下します。


983 : 剣を振り下ろす先は ◆ytUSxp038U :2021/11/28(日) 23:13:04 3IBRNZ9I0
むせ返るような血の臭いが立ち込めていた。

辺り一面に散らばるゴブリンの死体。
首を落とされ、上半身と下半身とを分けられ、頭頂部から股まで真っ二つにされ、
不浄なる者どもに相応しい、汚らわしい色の臓物が地面を汚している。

凄惨な空間の中央に立つのは、男と女。
後者は正確に言えば、女ではなく少女と呼ぶべきであろう外見をしていた。

子どもらしく丸みを帯びた体付きに、可愛らしく結われた髪。
命を奪われ、体を汚され、心を壊される。バトルロワイアルという遊戯には似つかわしくない存在。
不幸にも巻き込まれてしまった少女は、じっと男を見上げていた。

どこか眠た気な瞳が映すのは、異様な風体の剣士。
全身に鎧を纏ったかのように見える黒い肉体。
血を連想させる赤の瞳、頭頂部から突き出るのは剣にも似た二本の角らしき物体。
およそ人間とはかけ離れた姿の男もまた、沈黙を貫き少女を見下ろしている。

男は見抜く。少女は人間では無いと。
外見は人に似せているようだが、本当の姿は別にある。
確かな証拠はない。だが、直感で理解した。
何せ男は、少女と同じ種族を数えきれない程殺して来たのだから。

男は今まさにゴブリンが少女を襲おうとしている場面に遭遇した。
薄汚く悪臭を放つ小鬼どもは残らず斬り殺したものの、自分が介入せずとも少女ならば自力で切り抜けられたかもしれない。
幼い子どもの姿をしていても、その本質は人間とは違う。

ここから自分は、少女をどうすべきなのかと男は考える。
相手は人間ではない。
だが、まだ子ども。人間の年齢ではあり得ないくらいに年を重ねていても、彼女の種族からしたらまだまだ幼いと言う事もある。
子どもなら、まだ危険はないものとして保護すべきなのだろうか。
嘗て、共に暮らしたあの小さな相棒のように。

少女を見ていると、どうしても思い出してしまう。
小さい体で自分をサポートしてくれた相棒との、幸せだった日々を。
心から大切に想っていた相棒が、殺すべき怪物と化した瞬間の絶望を。
自らの使命に従い、相棒を忌むべき怪物として斬った感触を。

相棒と少女は一切関係ない筈なのに、思い起こされる。

「あなたは」

少女が口を開く。
外見に違わず幼い声で、名前も知らぬ相手へ率直に思いをぶつけた。

「どうしてそんなに、悲しそうなの?」

その質問への答えを、男はすぐには返せなかった。


【小林カンナ@小林さんちのメイドラゴン】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしない
1:目の前の男に対して…?
[備考]
※参戦時期は朧塚小学校に通うようになって以降のどこか。

【バスター・ブレイダー@遊戯王OCG】
[状態]:健康
[装備]:幻想大剣・天魔失墜@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]
基本方針:殺し合いに乗る気は無い
1:この少女を…?
2:人に害を為すドラゴンは斬る
[備考]

【幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)@Fate/Grand Order】
ジークフリートの持つ剣。
聖剣と魔剣両方の属性を持つ黄昏の剣。竜殺しを為した呪いの聖剣。


984 : ◆ytUSxp038U :2021/11/28(日) 23:13:52 3IBRNZ9I0
投下終了です。


985 : ◆QUsdteUiKY :2021/11/28(日) 23:16:01 upPh4tCM0
投下します


986 : 痴漢の生き様 ◆QUsdteUiKY :2021/11/28(日) 23:17:43 upPh4tCM0
 痴漢。
 それは社会から逸脱した異端者。
 まっとうな人間達から罵られ、批判され……それでも己が在り方を貫き通す者。
 求めるものは容易に得られず、ただ生きることさえも困難を伴う道を歩む者。

 女性の敵であり、世間的に叩かれるべき存在。それが痴漢。

 しかしそんな痴漢にも様々な人間が居る。
 全員が全員、一方的な行為を楽しむことを目的としているわけじゃない。

「エロトラップダンジョンで行われるバトル・ロワイアル。その参加者に逸脱者の俺が選ばれたわけか」

 鷹取迅は。
 痴漢としての生き様を貫く逸脱者は自らが殺し合いに招待されたことについて納得していた。

 願い事にも賞金にも興味はないが、エロトラップダンジョンという単語や主催者の言葉でわかった。
 きっとこれは逸脱者の開いた殺戮だ。ならば同じ逸脱者であり、その道を極めた迅が参加者に選ばれたことにも納得がいく。

「だが……あの少女は逸脱者じゃない。あれではただの殺戮(レイプ)に過ぎない……!」

 感度三千兆倍で強制的に殺された少女。
 彼女はどう見ても一般人だ。逸脱者(こちら)側の人間ではない。
 だから少女を殺した主催者の行為に対しては一切の納得が出来ないし、許容する気もない。

「俺の望む痴漢(戦い)はこんなものではない!」

 迅はあの少女のことを何も知らない。しかし逸脱者を見極める観察眼が彼女はこちら側の人間じゃないと告げている。
 そもそもやり方があまりにも強引だ。快楽を共有していたとは言い難く、牝の素質もない少女を一方的に殺戮するなど痴漢の風上にも置けない。

「あんな殺戮(レイプ)をした理由はわからないが……俺は痴漢(仲間)たちのために。陵辱(希望)のためにお前という暴走列車を止める!」

 きっとこの殺し合いには様々な参加者が呼ばれている。
 だが彼らが全員、逸脱者や牝の素質を秘めた者とは限らない。主催者の口振りからするに、ただの一般人も巻き込まれていることだろう。

 それではレイプと何も変わらない。そんなものを痴漢とは呼ばない。
 だから鷹取迅は主催者を打倒することを決めた。
 ただの痴漢だからこそ、許せないものがある。

 状況は最悪だ。
 相手は一度自分を拉致して会場へ連れて来た存在。正攻法で戦って勝てる可能性なんて限りなく少ない。

 だがそれがどうした?
 鷹取迅にとって。
 痴漢(彼)にとって逆境はいつものこと。それでこそ人生だ。

 だから逸脱者である痴漢(彼)には主催者が何者だろうが関係ない―――

「―――俺はこの腕で未来を切り開く!!」

 痴漢(愛)のために!!

【鷹取迅@GOD FINGER 迅】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:主催者という暴走列車を止める
1:逸脱者を発見したら痴漢する
[備考]
参戦時期は最終回後。制限は後続の書き手にお任せします


987 : ◆QUsdteUiKY :2021/11/28(日) 23:18:07 upPh4tCM0
投下終了です


988 : ◆0EF5jS/gKA :2021/11/28(日) 23:22:09 0BlGjl6M0
投下をします。


989 : 寝起きで意思疎通できると思うな。 ◆0EF5jS/gKA :2021/11/28(日) 23:22:59 0BlGjl6M0
「はいそうです、僕はこのすけべ殺し合いを止めようと思います。
この18禁な殺し合いが止められると青少年の健全な教育が守られたり
保健体育の授業がすけべな目で見られにくくなると思われたり…」


「ブローム。」


「そうですね、健全さのためと僕の夢のためにヒエールとかいうのを
やっつけて僕のギャングスターの願いを脅して叶えてもらいましょう。」


「ブローム。」


「よし、わかりました、ではでは一緒に行きましょうところで…」


「ブロームってどういう意味なんです?」


「……ブローム。」


意思疎通の難易度は思ったより高いようだ。


【ジョルノ・ジョバァーナ@寝起きで振り返る ジョルノの奇妙な冒険】
[状態]:健康、疑問
[装備]:特になし。
[道具]:ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:ヒエールを打ち負かした後に脅してギャングスターになる願いを叶えてもらう。
1:ブロームってどういう意味です?
[備考]
特にありません。

【ブロック@DRAGON QUEST -ダイの大冒険】
[状態]:健康
[装備]:特になし。
[道具]:ランダム支給品1〜3
[思考]
基本:ブローム!!
1:ブローム。
[備考]
一応殺し合いに抗うようです。


990 : ◆0EF5jS/gKA :2021/11/28(日) 23:23:18 0BlGjl6M0
投下を終了します。


991 : ◆RzgssxN6bQ :2021/11/28(日) 23:23:43 Uk/vx/Jk0
投下します。


992 : 類は友を呼ぶ。 ◆RzgssxN6bQ :2021/11/28(日) 23:27:25 Uk/vx/Jk0
「しかしマジかよ………まさか別の世界からも参加者が集められてるとは思わなかったぜ。オイラあんたの姿を見て、てっきりそういう『個性』の持ち主だとばっかり………」
「それを言うなら私達も同じですよ。まさか超人が存在せず、超常能力に目覚めた人間が繁栄した世界が存在するとは………」
「全くじゃ、ワシも生まれてこの方別の世界の人間に会うのは初めてだわい。長生きはするもんじゃのう」

エロトラップとNPCひしめく殺し合いの会場たる浮遊大陸に存在する森の一角にて、そんな会話を繰り広げる者達がいた。
一人は顔を覆うマスクに短いマントといったヒーローを思わせる格好に、まるで葡萄のような頭髪をした100cm程度の小柄な体格の少年。
もう一人は筒状の頭部に緑がかった体色をした明らかに人間ではない人型の生命体で、さらに右腕からは禿げ上がった頭の男性老人が生えているという理解を越えた異形であった。

雄英高校ヒーロー科一年A組に在籍するヒーロー候補生『モギタテヒーローGRAPE JUICE』こと峰田実。
悪行超人の魔の手から人類を守る新世代正義超人(ニュージェネレーション)の一人、若き超人ニルスと老超人ジージョマンの合体超人バリアフリーマン。
それが彼らの名である。

二人(正確には三人)はこの浮遊大陸に移動させられて程なくして出会い、お互いが殺し合いに乗っていない事を確認出来たことから現在まで知り得る限りの情報交換を行っていた。
なお、普通の一般人であればバリアフリーマンのような異形を見れば怯えて逃げ出すなり攻撃を繰り出すなりの反応を見せかねない所だが、峰田のいた世界では人の姿を逸脱した異形型の個性の持ち主など別段珍しくなかった為、大きなトラブルもなくコンタクトに成功していた。


「………それにしてもあのヒエールとかいう悪(ヴィラン)、はっきり言ってヤバすぎるだろ………普通のバトルロワイヤルならまだしもエロトラップダンジョンとか発想がまずヤベェ!ていうかあんな将来有望そうな褐色ロリを見せしめであの殺し方とか、どういう神経してやがんだ!オイラが主催者なら絶対にやらねえ!!」
「ワシも同感じゃぞ峰田とやら。エロい罠に引っ掛かったオナゴの姿を見るならまだしも、あのような無惨な殺し方をするなどどうかしておるわ!あの娘はあと10年もすれば大器になっておっただろうに、もったいない事を〜!!」
「二人とも怒る方向性がおかしいでしょうが!?」


993 : 類は友を呼ぶ。 ◆RzgssxN6bQ :2021/11/28(日) 23:29:59 Uk/vx/Jk0

殺し合いの主催者であるヒエールに対して怒りを露にするものの、明らかにベクトルがおかしい峰田とジージョマンにニルスが即座にツッコミを入れた。
それもそのはず。
峰田は「モテたいから」という唯一無二の理由でヒーローを志し、あらゆる場において隙あらばセクハラ行為を繰り返すため担任であるプロヒーロー・イレイザーヘッドからも『性欲の権化』とすら認識されるほどの筋金入りのスケベ。
ジージョマンはかつてスウェーデンにおいて寝技の達人と称される程の実力者だったが、あまりにもスケベすぎる性格が原因で超人協会の怒りを買い呪術師の手によって木に封印された過去があり、現代において改心した後も『戦慄のエロ核弾頭』という異名で呼ばれるレベルのエロジジイぶりを見せている。
ある意味二人は似た者同士であった。

「バリアの爺さん達………オイラは決めたぜ、この殺し合いをぶっ潰す。ここで立ち上がらなきゃ流石にヒーローは名乗れねぇ。よかったらオイラに力を貸してくれねえか?」
「ホエホエ、お安い御用じゃ。人類を守るのが正義超人の使命じゃが、何よりあのヒエールとかいう馬鹿者にはワシ自身一発当ててやらんと気が済まんからのう。どうせ願いを叶えるだの賞金だのも嘘っぱちじゃろうしな」
「二人とも………」

決意と共に固く握手を交わす二人の姿にニルスは静かに頷いた。
性格はこの通りだが、やはり両者は正義を守るという根っこの部分は忘れてはいなかったのだと。

「とりあえずこの首輪を外したりする為にも仲間を探しに行かなきゃならねえが………オイラ達が行く先には確実にエロトラップに引っ掛かってる女の子達がいるだろうな?」
「うむ、そこにすかさずワシらが駆けつけ、涙するオナゴ達を助け出すという寸法じゃな?」
「分かってるじゃねえか爺さん。そうすりゃきっと『ありがとうございますヒーローの皆さん、このご恩は一生忘れません!ていうか今お礼をさせてください!抱いて!』となる可能性も………」
「ホエホエ、さあ早くオナゴ達………いやさ参加者達を探しに行かねば〜っ!」

前言撤回。
下心丸出しの二人にニルスは呆れて物も言えなかった。


グニッ


何か柔らかい物を踏みつけるような音が森に響いた。
音の主はバリアフリーマンの足元。


ズボォォォォォ!!

体長1mを越える牙を生やした巨大なミミズが、突如草むらから這い出て二人に襲いかかってきた!
あからさまにNPCだ!

「ヒョエエ〜ッ!やってしもうた〜っ!」
「何やってんだよ爺さん!オイラ達がNPCに教われてどうするんだよ!誰得だろ!?」

とにかくこの怪物の相手をしなければ話にならない。
前途多難な気配を感じつつも、二人のスケベヒーローは戦闘体勢を取らざるを得なかったのだった。


994 : 類は友を呼ぶ。 ◆RzgssxN6bQ :2021/11/28(日) 23:30:52 Uk/vx/Jk0

【峰田実@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:健康、主催者への怒り
[装備]:ヒーローコスチューム@僕のヒーローアカデミア
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:ヒーローとして殺し合いを止める
1:とりあえず参加者を探す、エロトラップに引っ掛かった女の子ならなお良し。
2:バリアの爺さん何してんだよ!
3:知り合いが呼ばれてないか気になる。
[備考]
※参戦時期は原作26巻、超常解放戦線との決戦前です。
※制限により個性『もぎもぎ』の粘着力が弱体化しています(本人はまだ気がついていません)


【バリアフリーマン@キン肉マンⅡ世】
[状態]:健康、主催者への怒り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:正義超人として殺し合いを止める。
1:とりあえず参加者を探す。若い女性ならなお良し。
2:やってしもうた〜っ!
3:万太郎達は呼ばれているか気になる。
4:そういえばワシらは死んだはずでは………?
[備考]
※参戦時期はデーモンシード編での死亡後です。
※ニルスとジージョマンの両方の首に首輪が取り付けられています、片方の首輪が作動すると連動してもう片方の首輪も作動します。

『NPC紹介』
【おおみみず@ドラゴンクエストシリーズ】
体長1mを越える巨大なミミズの魔物。
目が退化している為、匂いで獲物を探す。
これといって特殊な能力は持たないが、亜種はふしぎなおどりを踊ったり、超巨大だったりもする。
またこの殺し合いの舞台に生息する個体は、やたら体表がヌラヌラしているらしいが理由は不明である。


995 : ◆RzgssxN6bQ :2021/11/28(日) 23:31:28 Uk/vx/Jk0
投下終了します。


996 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 23:31:56 Mk8IsEt20
投下します。


997 : 毒蛇の恋:運命の出会い ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 23:34:31 Mk8IsEt20
 エロトラップが張り巡らされたという狂った催しに参加させられた時津風は、ただ一人で森の中に飛ばされていた。
 一人とはいえ、時津風は過去の大戦に活躍した艦船の名を冠した艦娘だ。
 駆逐艦とはいえ、そこらの所謂一般人よりも力は強い。

「……」

 しかし現在、エロトラップの餌食になっていないにも関わらず、時津風は動くことができなかった。

「えっと……あの……」
 
 なぜなら、そこには時津風一人と、「一匹」がいたからだ。
 紫色で腹に禍々しい模様を持つ巨大なコブラが、時津風の首から下を覆い、締め上げていたのだ。

「う……ぐ……苦しいんだけど……」

 時津風は頭を除いてコブラにグルグル巻きにされ、ギチギチと圧迫されている。
 コブラの名は、彼(性別は♂である)のいた世界ではアーボックと呼ばれていた。

「シャーボック」
「ひっ……」

 アーボックは巻き付いている時津風を見下ろして、その髪をチロチロと舐める。
 その瞳に睨まれた時津風は怯え、まさに蛇に睨まれた蛙のようになってしまう。

 だが、結論から言えば時津風がここで力尽きる心配はなかった。
 なぜなら――。 

「シャーボック♡」

 アーボックは偶然同じ場所に飛ばされてきた時津風に一目惚れをしていたのだから。
 つまり、アーボックはポケモンでありながら、艦娘に恋してしまったのである。
 こうしてアーボックが時津風をぐるぐる巻きにして舐めているのは、彼なりの愛情表現だ。
 無論、時津風にとってはこの巻き付きは結構な圧迫となって彼女にとっては苦しいのだが、アーボックとしては甘噛みに近くかなり手加減している方だ。

「ひ〜〜〜〜〜ん、たーべーなーいーでー!」
「シャーボック♡」

 時津風がアーボックの想いに気づくのは、いつになるだろうか。


【時津風@艦隊これくしょん】
[状態]:巻き付かれていることへの恐怖
[装備]:時津風の制服
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない
1:たーべーなーいーでー!
2:このヘビなんなの!?
[備考]

【アーボック@ポケットモンスターシリーズ】
[状態]:時津風への恋
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針:時津風は俺が守る
1:時津風大好き!ぎゅーっ!
[備考]
※時津風に一目惚れしました。


998 : ◆mAd.sCEKiM :2021/11/28(日) 23:35:21 Mk8IsEt20
以上で投下を終了します。


999 : ◆8eumUP9W6s :2021/11/28(日) 23:46:41 o1w2OPUs0
過去のロワにて投下した作品から一部を修正流用した作品を3本投下させて頂きます。スレが埋まりそうなので、埋まり次第Part2の方に投下させてもらいます。


1000 : ◆8eumUP9W6s :2021/11/28(日) 23:48:32 o1w2OPUs0
まともな人間になりたかった。
物心ついた頃からずっと、何もかもがくだらなく思えて…どいつもこいつも馬鹿にしか思えなかった。
…異常なのは世界の方ではなく、自分の方だって事はわかってた。そんな事は…母親に身代わりにされて、俺の存在自体を否定された時に、否が応でも理解せざるを得なかったからな。
それでも俺は…まともになる為に、世界を歪んでいると断じて、在るべき正しい世界へと変革させようとした。他にまともになる方法は存在しないって…そう信じて、母親の事は伏せたまま、唯一残った家族の妹と袂を分かって、沢山の罪を重ねて、悪党に成り下がって、徒党を組んで…。

…だが、そこまでして…あと少しのところで俺は、ある男と、その仲間達の手により計画のカナメだった相手を奪い返され、直接対決でもその男に俺は負けた。
目論みを打ち砕かれた俺は…それでもみっともなく足掻こうとしていた協力者だった男を見て、全ての間違いを悟った。
…自分が、あのキモい男の同類だった事に気付かされた。最も…気付くにはあまりに遅過ぎたんだがな。
だから俺は…ムカつくあの男に、最後に一発入れてやろうとと思って…それで、逆上したあの男の攻撃を受けて…。

そのまま一人で終わる筈だった俺は、たった一人残った家族に看取られて終わった。
…妹が泣いている事に気付いた俺は…思っていたよりずっと、心にこたえるものがあった。こんな…俺のようなダメな兄の為に泣くなんて…思いもしなかったから。
…死ぬ前に俺は、俺を打倒し、計画をぶち壊した相手にふと尋ねた。
「違う形で出会えていたら、友達のようなものに…なれたと思うか?」
と。
…相手は…その男は、
「仮定の話をしても仕方ない」
と、可愛げのない答えを返した。
…それでも俺は…嬉しかったんだ。仮定の話はしない…そう答えたという事は───。
……サガラ。俺にも、お前みたいなガッツが有れば…な。

その思考を最後に、限界を迎えた乗機が爆発するところが…俺がこの殺し合いに巻き込まれる前の最期の記憶だ。

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終わる筈だった俺は、どういうわけかこの会場に居た。
そこで男にルールを説明されて、見せしめのクロエという少女が悍しい形で殺される様を見せられた後、気づくと会場の一角に放り出されていた訳だ。

…あの場で負けを認めた以上、今更世界をどうこうする為に動くつもりは無かった。
例え殺し合いに勝ち残ったとして、あの男が大人しく世界の変革を認めるだろうか?答えは否だろう。
そもそも負けを認めた上に、あの場で終わった命の筈な俺をわざわざ叩き起こしておいて、首輪を付けて殺し合いに参加させようとし、さらには見せしめをあの悍ましい形式で処刑している時点で…あの巫山戯た態度をした男はおそらく相当性格が悪い。ベクトルこそ違うがあのムカつくキモ男…エンブリヲのように。…これは俺が言えた話では無いだろうがな。
兎に角、そんな性格の悪い奴らが胴元な以上…よしんば願いが叶ったとしても、奴らの都合の良い世界になっている可能性が高い筈だ。

勿論、俺には元の世界に戻るつもりも無かった。
サガラ達ならば…俺の残したデータを参考にして、世界の融合を止め、世界自体を救ってみせているだろうという確信があった。

サガラなら…このような殺し合いに巻き込まれても、殺し合い自体を破綻させて、ぶっ壊そうと動くだろう。
…俺には、サガラのようなガッツは無い。死ぬ間際に過ちに気付けたとはいえ、気付くには遅過ぎた上、一度死んで生き返った程度で俺の犯した罪は消えるはずが無い。
それでも…このふざけた殺し合いをぶっ壊す為に俺は、終わった筈の命を使って、罪を背負い、なけなしのガッツで、主催や殺し合いに乗った相手に立ち向かう事を決めた。
あいつのようには行かなくても…それでもやってみたいと、そう思ったんだ。

そして、決意を固めた俺は、アラストルでも入っていれば助かるんだが…と思いながら、支給されていたバッグの中身を確認する事にした。

【レナード・テスタロッサ@スーパーロボット大戦V】
[状態]:健康、決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]
基本方針: この殺し合いを破綻させる
1:まずはバッグの中身を確認する。
2:首輪の解析を行いたい。
[備考]
※参戦時期は困難ルート50話「決戦の青き星々」にて死亡後からです。
※彼の過去については出典元である「フルメタル・パニック!」の描写も使用しています。


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