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【SS】愛宕「提督、今日もご馳走様♪」霧島「……」
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―――某日 鎮守府工廠内にて―――
霧島「……また貴女ですか……いつもの事とはいえ懲りませんね貴女も」
そうため息混じりに呟くと、私の前で拘束されている彼女はへらへらと答える。
愛宕「ごめんなさいね♪で、貴女もいつも通り私の罰当番って訳ね?」
彼女は高雄型二番艦、重巡洋艦愛宕。この鎮守府における問題児ならぬ問題艦である。
彼女は普段から司令に性的な行為を強要し、今回も司令を昏倒させたのである。これでもう何度目だろうか。
霧島「ええ、いつも通りに、です。明石さんにはまた手間をかけさせてしまいますがね……ところで貴女に一つ聞こうと思っていたのですが」
私は彼女に前々から疑問に思っていたことを聞こうと話しかけた。
愛宕「あら、珍しいこともあるわね?いつもは何も言わずに黙って仕事をする貴女が……良いわよ、答えられることなら答えるわ」
霧島「では一つだけ。……何故こんな事を繰り返すのです?最終的にこうなることは分かりきっているのに」
もう既に彼女は何度も私の手によって痛い目にあっているのである。だが彼女は一向に止める気配を見せない。
何度か痛い目を見れば子供だって学ぶもの。なのに彼女は止めようとしない。人の話を聞かないタイプにも思えない、一体何故なのだろうか?
愛宕「あら、面倒くさくなっちゃった?だったらやめても構わないのよ私は」
いつも通りに彼女は戯ける。それに対し、私もいつも通りに事務的な応対をする。
霧島「やめるわけないじゃないですか、これは私の仕事なんですから。……で、何か理由があるのですか?」
愛宕「……結末は分かっててもやめられないのよ。やめられない理由が私にはあるの。貴女には関わりの無いことだけど」
……低いトーンで答える彼女。最後の嫌味混じりの台詞も含め、普段の彼女にしては珍しい物言いだ。
霧島「それは私が外様だから、ということなのでしょうか?私が外部出身だからと言ってそれが貴女を罰しない理由にはなりませんが?」
愛宕「……そういえば貴女はこの鎮守府に異動になったんでしたっけ。じゃあ知らないわよね」
霧島「何のことですか」
愛宕「この鎮守府についてのことよ。……良かったら私を壊す前に少し聞いてみない?私の……私達の昔のお話」
……そういえば、私が来る前のここの話は聞いたことが無い。他の艦娘と話をする機会もあまり無いし、司令もここに来たばかりの新米提督である。
駄目だ、興味が出てきてしまった。彼女を罰しなければいけないのは分かっていたが、ここは彼女の口車に乗せられることにした。
霧島「……構いませんよ。明日は私は非番ですので。それで愛宕さんの気が済むのならどうぞ」
愛宕「ありがとう、霧島さん。じゃあ少しお時間頂くわね」
―――そう言うと、彼女はゆっくりと話を始めた。
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愛宕「ええっと、まずはどこから話せばいいかしらね……霧島さんは私の練度はご存知だったかしら?」
霧島「この鎮守府内でもかなりの練度を誇るとは伺っておりますが」
愛宕「ええ、その通りよ。数値だけで見れば私の練度はこの鎮守府内でもトップクラス。……じゃあ高雄の練度はご存知かしら?」
霧島「高雄さん……ですか?特に聞き及んではいませんが……まさか貴女と同等くらいの練度なのですか?」
愛宕「違うわよ。……高雄の練度は私よりも、貴女よりも遥かに下。なんせ、貴女が来る少し前に建造されたばかりだから」
霧島「……それは失礼しました。建造されたばかりとは知りませんでした」
愛宕「ええ、“今の”高雄はね」
霧島「……!まさか、高雄さんは」
愛宕「お察しの通り、二代目よ。この鎮守府のね。……初代の高雄は今の私よりも高い練度だったわ」
霧島「今の愛宕さんよりも高い練度というと、この鎮守府のトップだったのでは?」
愛宕「その通りよ、彼女はこの鎮守府のトップの練度だった。出撃機会も多かったし、彼女も精一杯頑張っていたから」
霧島「轟沈……されたのですか。初代の高雄さんは」
愛宕「ええ……“前の提督”と一緒にね」
霧島「!!」
愛宕「因みにね、今の提督は前の提督の実の息子よ。前の提督は有能な指揮官で、その息子もとても優秀ということで後を引き継いでね」
霧島「……それは初耳でした。まだずいぶんとお若い方が……とは思っていましたがそういうことでしたか」
愛宕「前の提督が軍の上層部とコネクションがあったというのも理由らしいけど」
霧島「……しかし何故そのような提督が高雄さんと運命を共にされたのですか?この海域にはそれほどの強敵が?」
愛宕「この海域にそんな強敵は居ないわよ。ここはそんな前線でも無いし。」
霧島「じゃあどうして……」
愛宕「……ここから先は私の推測。私はその場に居合わせた訳ではないから。個人的な感情が混じった話になっちゃうけど、それでもいい?」
いつになく神妙な面持ちの彼女。……なんだろう、この顔、どこかで見た気がする。
霧島「……構いませんよ。私は貴女の話を聞きたいんです。」
―――彼女のその時の顔をどこで見たことがあるのか。私は、その場で気づくべきだった。―――
―――気づいていたら、私はあんな思いをすることは無かったのに―――
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―――高雄は提督に殺された。―――
愛宕さんは、そう切り出した。
霧島「……え?貴女は何を……言っているのですか?」
理解が追いつかない。提督が、艦娘を殺した?そんなこと、出来るわけが―――
愛宕「殺す、っていうのは貴女が思ってるような意味じゃない。高雄はね、提督に使い潰されたのよ」
―――高雄は、とっても優しい子なの。いつか平和な世の中になるようにって、そのために私が出来ることは何かっていつも考えていて
―――そのために自分は辛い思いをしても大丈夫だって、私が頑張れば皆が幸せになれるんだって
―――自分がこの鎮守府の支えになるんだって、そのために出来る事ならなんでもするって
―――そんな思いを、前の提督は利用したの。
高雄「慰安任務……ですか?」
提督「ああそうだ。君に担当してもらおうと思っている」
高雄「それは……必要なことなのでしょうか?」
提督「勿論だ。艦娘という存在があるとはいえ、軍の人員は男が殆どだ」
提督「彼らは前線に立って未だ戦闘を続けていてな、もうストレスが限度に達しているそうだ」
提督「ストレスの解消には様々な方法があるが、分かりやすい解消法として性欲の発散という方法が挙げられてな」
提督「とは言え公然と自国から慰安婦の募集なぞ出来ないし、敵の領土からの接収も何を言われるか分かったものじゃない」
提督「そこで艦娘が代案として挙げられたんだ。最前線の艦娘はそんなことは出来ないが、うちの鎮守府は幸い前線からは外れている」
提督「うちの鎮守府も御国の為に新たにやれることがあると分かったんだ。……高雄、君に協力を願いたい」
高雄「……私は、この鎮守府の最高練度で……私の戦いの場は海なんです……そんなこと……」
提督「……嫌なら構わない。その際は、他の艦娘を慰安任務に就かせるよ。……例えば君の妹などは第一艦隊では無いし練度も君に劣るしな」
高雄「っ……!!分かりました、私がやります!……他の艦娘には絶対にやらせないと約束して貰えるならば」
提督「ありがとう、助かるよ。……では、早速改修工廠に行ってくれ。それなりの準備が必要になるのでな」
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霧島「そんな話……!あり得ません!仮にも私達は戦艦ですよ!?なんでそんなことをしなければいけないんですか!!」
愛宕「……それはね、私達が“女の形をした兵器”だからよ。兵器とは言え、人の形をしているの。」
愛宕「そんな私達を造った人間が、ただ未知の敵と戦う為だけに私達を使うと思う?」
霧島「っ……!!」
―――そして高雄は、任務に適した体に改造されて、軍の慰安任務に就いた
―――約束通り、私達には特別任務に就いたといって隠され、たった一人で来る日も来る日も繰り返し繰り返し
―――誰にも言えない、言ったら巻き込まれると思って一人で抱え込んで
―――国の為なんだと自らに言い聞かして
―――妹の私にすら隠し通して、ずっと一人で
愛宕「……でも、心は少しずつ壊れていって」
愛宕「事情を知らなかった私達にも目に見えておかしくなっていって」
愛宕「それで、高雄は―――」
……高雄が気づいていたのかは分からない。
軍の兵隊のためと銘打った慰安任務は、提督自らの慰安となって
軍の上層部のご機嫌取りの為の慰安となって
艦娘の改造、他の用途への転用のための実験材料となって……
……本来の任務とは全く異なる形となっても、彼女は任務を続けた。
そして、あの日。
あの日高雄は艦隊を率いてとある海域に出撃したの。
特に難しい任務じゃない、だけどその日は何故か提督も連れて。
一緒にいた艦娘の話だと
敵が発見されたと同時に高雄の装備が突如爆発して提督と共に沈んでいったと
その場に居た敵の攻撃が届く場所じゃなかった。でも爆発は尋常なものじゃ無かった。助ける間も無かった、と
何でその日に限って提督が艦隊と共にいたのかは分からない。
でも、結果として高雄は轟沈。提督も共に死亡。
そして今の提督が代わりに鎮守府に着任。二代目の高雄はその後再建造され今に至る、と。
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愛宕「……ずいぶん話し込んじゃったわね。これで私の話は終わり。他に何か聞きたいこととかはあるかしら?」
聞きたいことなら山ほどある。でも、この場で追及出来る訳がない。
喉まで出かかっていた多くの言葉を飲み込んで、辛うじて一つだけ絞り出した。
霧島「……今の話と、愛宕さんが今の提督に何度も襲いかかってることに何の関係が?」
愛宕「……高雄が轟沈した日の前日ね、私も改修工廠で改造されたのよ。内容は……言わなくても分かるわよね」
霧島「!!」
愛宕「私はね、今でも前の高雄を思い出してしまうの。二代目の高雄を見る度に、ね」
愛宕「今は、高雄より私の練度の方が上。だから、今度は私の番なのよ」
霧島「そんなこと……!任務として命じられてる訳では無いでしょう!?それにそんな事、前の高雄さんも望んでる訳が……」
愛宕「分かってるわよそれぐらい!!高雄が私にさせたくないからやってたってことも分かってる!!」
愛宕「だけど、あの時私は何もしなかった!!何も出来なかった!!だから私はやらなきゃいけないの!!」
愛宕「……お誂え向きに改造もされちゃったし。知ってる?今の提督ね、とっても絶倫なのよ。」
霧島「……知りませんよそんな事っ……!」
愛宕「別にね、今の提督が嫌いなわけじゃないの。でもね、高雄に手を出したあの男の血を継いでるのよ。」
愛宕「吐き気がするほど嫌いな遺伝子を自分の体の中に入れる不快感と、望んでもいない快楽を同時に味わえるのよ。」
霧島「……」
愛宕「……提督には徹底的に私を嫌ってもらうの。それと一緒に、性的快楽もね。」
愛宕「今の高雄を守るために、鎮守府の皆を守るためにはこれぐらいしなきゃいけないのよ。」
愛宕「……ずいぶん喋り過ぎちゃったわね。ごめんね、時間を取らせちゃって。」
愛宕「さ、霧島さん。私を壊して。顔でも、首でも、胸でも、お腹でも、背中でも、どこでもいいの」
愛宕「……あの男の遺伝子を無くすために、私を徹底的に壊しちゃって。いっそ殺してくれても構わない。私から改めてお願いするわ」
―――そう言って愛宕さんは、私に全てを委ねた。
―――ああ、そうだ。思い出した。この顔は。愛宕さんの今のこの表情は。この光の無い目は。
―――私が殺したあの艦娘にそっくりなんだ。
―――愛宕さんは、もう壊れているんだ。あの艦娘と同じように。私と同じように。
―――きっと今の私も、あの艦娘と、愛宕さんと同じ表情をしているのだろう。
―――そんなことを思いながら私は拳を握りしめ、彼女目掛けて振り下ろした
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明石「……で、いつも通りに治せばいいんですよね?」
霧島「ええ、お願いします。いつも通りに治して下さい。」
明石「了解しました。……何か私に言いたげですね?お伺いしましょうか?」
霧島「愛宕さんから、ここの鎮守府の昔の話を少し聞きました。……明石さんも、確かここ出身ですよね?」
明石「あー……ええ、そうですよ。私は前の提督が指揮をとってた頃からの古参です。」
霧島「……つまり、貴女はここの改修工廠の」
明石「その通りです。多分貴女の想像通りですよ。高雄さんと愛宕さんにとある改造を施したのは私です。」
霧島「……何故元に戻さないんですか?」
明石「……愛宕さんに断られたんですよ。このままでいい、絶対に元に戻さないで、とね」
明石「……私も罰しますか?霧島さん。」
霧島「貴女が壊れたら誰が治すんですか。何より愛宕さんを治して貰わないと、今の高雄さんが悲しみます」
明石「そうですか、助かりました。……霧島さん。私、ちょっとしたメンタルケアも出来るんですよ。良かったら別の機会にでも……」
霧島「折角のお誘いですが、遠慮させて下さい。私も、このままでいいんです。どうか、壊れたままで居させて下さい」
明石「……そうですか、了解しました。ではまた今度、お茶でも飲みながらお話でも」
霧島「それなら構いませんよ。……それじゃあ、よろしくお願いします」
前日譚的な何か
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1419816948/-100
以上終わりっ!閉廷!
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(言葉が)出ないよぉ…
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NaNじぇい鎮守府の闇は深い
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女子供が兵器担いで命令で敵と闘わされてるんだ
みんな頭おかしいのさ
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派手にやるじゃねぇか!
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出来が良過ぎてツライ
どうすんのよこれ
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本当に納得してしまった(語録無視)
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正気で戦争はできない(至言)
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やめてくれよ…と言いたいところだけど出来がいいだけに何とも言えないですね…
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×提督自らの慰安となって
○提督への慰安となって
アカンこれじゃ提督が男娼になるぅ!
こんな糞シリアスっぽい作品を書いたけど愛宕×ショタ提督スレも霧島スレも大好きです、これだけは真実を伝えたかった
明石さんも便利やなぁ、ホンマに…
明石さんスレもっと流行らせコラ!
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過程が書かれてるや……事が始まるまでの過程やん!(驚愕)
すごいですねこれ
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ショタ提督を搾り取ることで性的行為をトラウマにして慰安任務を頭からなくすとはたまげたなぁ-
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ええやん!
設定がしっかりしていてぇ… ええやん!
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明石さん、とうとう人体改造にまで手を出したか…
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こういう狂気まみれの作品はたまに出会うと実に面白い
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北上スレはハッピーエンドだったのに何故こちらはバッドエンド不可避なのか
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