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【忍殺パロSS】テコンドースレイヤー

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:17:23 5/T6QAGE
※ニンジャスレイヤーのパロディSSです
内容はあくまで架空のもので、実在の人物等とは一切関係がない事を
あらかじめお断りしておきます


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2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:18:32 5/T6QAGE

「日本はこの地上からなくなるべきです!」
韓国のとある高校。教室の中で一人の男子生徒、チョがクラスメイトを前に熱弁を振るう。
自分がどれだけ日本を憎んでいるかを皆の前で示す、韓国の高校ではよくある風景だ。


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:20:02 5/T6QAGE

「わが世界一偉大な国家、韓国に対する長年の敵対行為、そして屈辱的な殖民支配…」
男子生徒は大げさな身振りを交え、涙ながらにクラスメイトに訴えかける。
「猿以下の野蛮人国家、日本が高貴なるわが国にした仕打ちをワスレルナ!」


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:21:20 5/T6QAGE

ウオオー…、とクラス中から歓声が上がる。反応は上場だ。気を良くしチョは続けた。
「日本は我々から色々な物を盗んでいった」怒りに震える口調で彼は訴える。
「漢字、カタナ、ノーベル賞…元々、これは偉大なるわが国のものだった!」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:23:04 5/T6QAGE

「全部、日本がわが国から盗んで自分のものにした!日本を許すな、シャザイ・バイショウ!」
男子生徒が手を振り上げ叫ぶ。「シャザイ・バイショウ!」クラスメイトがそのチャントに唱和する。
「シャザイ・バイショウ!」「シャザイ・バイショウ!」「シャザイ・バイショウ!」


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6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:24:40 5/T6QAGE

シャザイ・バイショウとは邪悪なる魔物の国、日本を調伏するための古来より伝わる
呪文であるとされる。その起源を知るものはほとんど居ないが、別に誰も気にはしない。
意味はわからなくとも、事あるごとに叫ぶ事が重要なのだ。


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:26:58 5/T6QAGE

バイショウ・チャントに唱和するクラスメイトを眺め、チョは満足だった。
自分がどれだけ日本を憎んでいるか、みんなの前で示すことが出来た。
これで、間違っても自分は憎き祖国の裏切り者、親日派のレッテルを貼られる事はないはずだ。


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:28:49 5/T6QAGE

「フン!」その時、相対するように立つもう一人の男子生徒、ウェが
小ばかにしたように鼻を鳴らした。「誤魔化そうったって無駄だ。チョ、お前は親日派だ!」
「ナニィー?」チョの頭に血がのぼる。


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:33:48 5/T6QAGE

「俺は見た。チョ、お前はこの前日本のある方向を見て微笑んでいた!これはお前が日本に親しみを
持っているからだ!」完全なる言いがかりである。しかし、それゆえ無実である事を逆に証明しにくい。
この厄介な言いがかりに対処する方法は一つだ。


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:36:23 5/T6QAGE

「ウルセェー!ウェ、俺は聞いた!お前はこの前日本はいい国だと褒めていた!」
「アー?言うわけない!この嘘のつきの親日派野郎!」
チョも相手を威圧し黙らせようと、出来るだけ大きな声で出鱈目をまくし立てる。


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:38:24 5/T6QAGE

「お前の先祖は奴隷のくせに!俺の先祖は貴族だ!」
「どこが貴族か?お前は、日本人と売春婦の間に生まれた子だ!」
大声で互いに相手を圧倒する。これぞ韓国の声の戦い、ソン・トーだ!


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:40:12 5/T6QAGE

「このドレイ!」「このチョッパリ!」チョッパリとは日本人の事だ。
「ドレイ!」「チョッパリ!」「ドレイ!」「チョッパリ!」
「ドレイ!」「チョッパリ!」「ドレイ!」「チョッパリ!」


13 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:44:00 5/T6QAGE

「ドレイ!」「チョッパリ!」「ドレイ!」「チョッパリ!」
「ドレイ!」「チョッパリ!」「ドレイ!」「チョッパリ!」
「ギャー!ゴエッドラ!ゴラ!エ!」「ウゲラバッテガ!アゴラ!オ!」


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:45:29 5/T6QAGE

二人の口から出るのは、もはや人の言葉かどうかすら定かではない。
しかし、大切なのは内容ではなく声の大きさと勢いで相手を圧倒する事だ。
それが韓国の声の格闘技、ソン・トー!


15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:47:23 5/T6QAGE

「よーし、そこまで」頃合いを見て、このクラスの担任である教師が二人を止める。
「二人とも、いいソン・トーぶりでした」「ハー、ハー…」「ありがとうございます」
「二人の日本を憎む気持ちがよく伝わりました。頑張りましたね」「ハイ!」「ハイ!」


16 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:49:56 5/T6QAGE

「だがチョ、お前は親日派だ」「アイッ!?」「お前は顔が気に入らない」「アイゴッ!」
おお、何たる不条理か!この教師は演説の内容、ソン・トーの戦いぶりではなく
自分の適当な感情でこの生徒に親日派の烙印を押したのだ!


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:52:21 5/T6QAGE

「アッ、アッ、アイゴォーーーー!」ガシャーン!窓ガラスを突き破り、チョは窓の外に
身を投げてしまった。ここは6階だ!外からグシャッと音がした。チョが窓から身を投げたのも
無理もない。この国では親日派の烙印を押されれば、就職はおろか大学受験すらままならない。


18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:54:55 5/T6QAGE

日本に好意を持つ親日派の烙印を押されれば、哀れな物乞いとして一生を過ごすしかない。
いや、今日無事に家まで帰れる保障すらない。帰り道で顔を隠した複数の暴徒に襲われ、
無残に撲殺される…親日派と見られる人物への暴行・殺害は、ここではキムチ・インシデントだ。


19 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 13:58:42 5/T6QAGE

「チョは明らかに親日派でした。デスネ?」「アッハイ」先生に問われた生徒達は素直に応じる。
「皆さんは、彼のように日本に魂を売ってはいけません」「アッハイ」「では授業を始めます」
何事もなかったかの様に先生は教科書を開いた。他の生徒も何事もなかったかのようにそれに習う。


20 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:00:22 5/T6QAGE

先ほどのような光景はよくある事だ。祖国に対する裏切り者、親日派など死んで当然。
そして先生のやる事に間違いはないのだ。
韓国の哲学的宗教、ジュキョーにも目上には絶対逆らってはいけないと書いてある。


21 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:02:03 5/T6QAGE

「エー、デハわが国の偉大なる歴史ですね」先生は教科書を読み始めた。
「エー、世界的によく知られてるように、わが偉大なる韓国は半万年の歴史を誇ります。エー、
 その頃のわが国はユーラシア大陸の役7割、エジプト、メキシコ等を支配下に置いていました」


22 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:03:30 5/T6QAGE

ゴウランガ!古代韓国は何と広大な領土をもち、悠久の昔から存在する国であろうか!
「これらは世界的に有名な事実です。なので、韓国は世界から尊敬されるのです。イイデスネ?」
「アッハイ」生徒達が応じる。


23 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:08:05 5/T6QAGE

「その様子は、何によって証明されましたか?…ハイ、君」「ハイ、高麗壁画です」
高麗壁画とは、高麗時代の韓国の様子を描いたとされる壁画だ。
「ソウデスネ。壁画にはその当時の様子が生き生きと描かれていることで世界的に有名です」


24 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:10:27 5/T6QAGE

「そして、その頃の日本は我が国と比べて大分遅れていました」教師は教科書の続きを読み上げる。
「我々が世界に先駆け稲作をし、万里の長城を築き、我が国固有の文化である和歌を詠んでいる頃、
日本にはまだオーストラロピテクスが住んでいました」


25 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:12:20 5/T6QAGE

「わが国から、およそ500万年ほど遅れていました。なので日本人は猿と呼ぶに相応しいのです」
「アッハイ」「そして、あまりにもみすぼらしい日本が哀れだったので、わが国は寛大にも
哀れな日本に文化を伝えてやる事にしました」先生は教科書の続きを読み上げる。


26 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:16:44 5/T6QAGE

「偉大なる我ら韓民族は日本人に、文字、稲作、仏教、前方後円墳、馬、ハニワ、カタナ、茶、和歌、
武士、サシミ、ノリマキ、ジュードー、ショドー、和紙、ホウリュウ寺等を伝えました」「アッハイ」
「我々のお陰で、日本人はようやくかろうじて人類と呼べる存在となったのです」


27 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:19:35 5/T6QAGE

「我等の偉大さ、そして寛大さに日本人は大いに感激し、当時の日本女王ヒミコは韓国使節団を
わが国に派遣し貢物をしました。しかし彼らは未だに半野蛮人で、服装は腰に布を巻いただけ、
足は裸足でした。貢物はみすぼらしかったのでわが国固有の海である韓国海に捨てられました」


28 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:23:33 5/T6QAGE

「しかし、日本人は愚かでした。我々が彼らを文化を伝え猿から進化させてやったのに、
わが国の偉大さに嫉妬した日本は恥知らずにも侵略戦争を仕掛けたのです。これを何と言いますか?」
「ハイ、ヒデヨシの侵略戦争です」「よろしい」


29 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:25:59 5/T6QAGE

「ヒデヨシの軍は、大挙して海を渡りわが国に押し寄せてきた。しかし彼らは一兵たりとも
わが国に足を踏み入れる事はなかった。当時のわが国の英雄に決定的敗北を喫したからです。それは誰でしょう?」
「ハイ、イスンシンです」「よろしい。その活躍は壁画にも描かれていますね」「ソウデスネ」


30 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:27:38 5/T6QAGE

「しかし…」ここで教師は声を落とした。「しかし、ヒデヨシはわが国に深い爪痕を残した。
ヒデヨシの軍はわが国を荒らしまわり、様々な財物や文化を奪っていった。仏像、高麗写経、
ザゼン、ケンドー、マネキネコ、ウキヨエ、ナラの大仏…この時奪われた財物は2万点を超えると言われる」


31 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:29:08 5/T6QAGE

「我々は、これら奪い去られたものを取り戻さなくてはならない!シャザイ・バイショウ!」
「シャザイ・バイショウ!」生徒達が唱和する。「シャザイ・バイショウ!」
「シャザイ・バイショウ!」「シャザイ・バイショウ!」「シャザイ・バイショウ!」


32 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:31:02 5/T6QAGE

「そしてその後、日本は恩ある偉大なるわが国に牙を剥いたとして世界からそっぽを向かれ、
孤立してしまいました。これを何と言いますか?」「ハイ、鎖国です」「そうですね。日本は
そのお陰で文明が衰退し、マンモスやサーベルタイガーを狩る生活に逆戻りしてしまいました」


33 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:40:55 5/T6QAGE

「その頃の日本はわが国の偉大さ、恩の深さを思い知り、そして自らの愚かしさを心から悔い、
毎日韓国のある方向へ向かって九回頭を地面へ打ちつけ許しを願ったと伝えられています。
なので日本人は、我々に逆らう事ができないのです」「アッハイ」


34 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 14:55:18 5/T6QAGE

「しかし…」教師はまた声を落とした。
「それから300年ほど経ったあと、寛大なわが国がそろそろ日本を許してやろうかと
思い始めた頃に、思い上がった日本はまた韓国に大して大それた仕打ちを仕出かしました」


35 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 15:22:08 5/T6QAGE

「それを何と言うでしょう?」「ハイ、日帝による侵略戦争です」「そうですね。
卑怯にもわが国からゼロ戦や戦艦ヤマトの設計図を盗んだ日帝は、それを使って
わが国を脅し支配してしまいました」


36 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 15:23:11 5/T6QAGE

「日帝による支配は酷いものでした。男は劣悪な環境で強制労働、女は全員慰安婦にされ
多くの者が殺されました。しかし、高潔な精神性を持つ我々はあえて暴力で対抗はせず、
ジュキョーの精神をもって野蛮な日本人の心を教化しました」


37 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 15:25:10 5/T6QAGE

「そして、我々の寛大さを見るうちに自分がどれだけ恥ずべき行いをして来たのか
深く反省した日本は、ただちに我々に降伏し、その証に竹島を我々に差し出しました。
こうして第2次世界大戦はわが国のお陰で終結し、わが国は戦勝国となったのです」「アッハイ」


38 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 15:26:59 5/T6QAGE

「しかし、やはり日帝はわが国に深い傷跡を残した。日帝はわが国から様々な物を奪い取り、
自分の物としてしまいました。ラジオ、カラーテレビ、トヨタ、ソニー、ファミコン、
スラムダンク、ドラゴンボール…これらは元々、全て韓国のものでしたが日本はその事を隠しています」


39 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 15:37:39 5/T6QAGE

「わが国から大いなる恩を受けたにも関わらず、わが国の偉大さを嫉妬し、そして再三に渡って
侵略を繰り返し多くのものを奪って行った日本は未来永劫許してはいけない!シャザイ・バイショウ!」
「シャザイ・バイショウ!」「シャザイ・バイショウ!」「シャザイ・バイショウ!」


40 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 16:05:34 5/T6QAGE

キンコーン…その時、丁度授業の終了を告げるベルが鳴った。
男子生徒のリュは、ホッとひと息ついた。
歴史の授業は、理解するのがとても難しかった。


41 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 16:06:25 5/T6QAGE

ヒデヨシの軍は、韓国に1兵たりとも足を踏み入れられなかったはずなのに
どうやってヒデヨシの軍は韓国を荒らしまわり多くの物を奪い去って行ったのか。
さらに日本は韓国より500万年は遅れていたはずなのに、なぜこうもたびたび侵略を受けるのか。


42 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/15(日) 16:11:51 5/T6QAGE

「昔は500万年分進んでいても、結局日本に追い越されたって事じゃないか」
ふと、そんな事が口をついて出てしまった。「おい、リュ」リュは声をかけられハッとした。
うかつだった。今の言葉を聞かれては、親日家の烙印を押されてしまう!


43 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/20(金) 17:42:03 jKkCSFT.
期待


44 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:03:19 OaGB63AY

「めったな事は言うなよ、リュ」リュは、声をかけてきた相手を見てホッとした。
親友のピだった。彼になら聞かれても安心だ。「誰かに聞かれたらどうする?
親日派のレッテルを貼られてしまうぞ」「ああすまない、ピ。うっかりしていた」


45 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:04:51 OaGB63AY

彼なら誰かに言いふらしたりする恐れはない。リュは、幸運に感謝すると共に
ついうっかり親日派と思われてしまうような言動をしないよう気を引き締めた。
この国で生きるためには、親日派と思われる事はあってはならないのだ。


46 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:06:23 OaGB63AY

それから下校の時間になり、リュは街灯の点る薄暗い夜道を一人家に向かって歩いていた。
家に帰れば、今度は作文の宿題をやらなくてはいけない。
日本はなぜ憎むべき国なのか、その理由を原稿用紙に10枚。


47 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:07:24 OaGB63AY

少ない量ではないが、時間がかかっても何とかこなさなくては。
さもないといい点数がもらえない。
韓国の受験戦争は苛烈なものとして有名だ。


48 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:08:16 OaGB63AY

しかし、これだけ周りが日本への悪罵に満ちている環境なのにも関わらず、
リュは日本が言われているような愚かで、かつ悪鬼羅刹のごとくの国だとは
どうしても思えなかった。


49 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:10:15 OaGB63AY

中学校の頃、当時の仲間と共に度胸試しの感覚で違法な物を取り扱う闇市に
恐る恐る足を踏み入れた事があった。所狭しと並ぶ違法改造LAN端子,違法強化サイバネ義手…。
そんな中に、日本のマンファ(漫画)が何冊か店頭に並べられているのが目に入った。


50 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:11:26 OaGB63AY

顔を覆った赤い正義のニンジャが、黒い悪のニンジャと奇想天外な技やニンポで
戦いあう子供向けの、他愛のない内容のマンファ。
しかし、絵や内容から子供達を喜ばせようとする暖かな心遣いが伝わってくる。


51 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:12:27 OaGB63AY

それに、コミカルに描かれたニンジャの柔軟な発想の戦い。
絵のニンジャがまるで生きているように躍動的だ。
ニンジャなど、ひ弱な日本人が生み出した妄想に過ぎないと教師は言っていたが。


52 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:14:15 OaGB63AY

リュは、それが子供向けの本であるにも関わらず思わず読みふけってしまった。
韓国のマンファと言えば、強力な韓国軍が日帝を一方的に殺戮する、または
日帝による従軍慰安婦への暴虐といった、サツバツとした内容のものばかりなのに…。


53 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:18:16 OaGB63AY

これを見るに、本当に日本は文化的、精神的に遅れた野蛮人の国なのだろうか。
逆に、わが国のマンファのほうがよほど野蛮な内容ばかりじゃないか。もしかしたら、くり返し
授業で教えられる日本の姿は、まるでデタラメなのでは…。そんな事を考えながら歩いていた時。


54 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:20:14 OaGB63AY

「アイヤーーーーッ!」「アイーッ!?」
リュは、背中に突然大きな衝撃を受け地面に倒れた。
慌てて後ろを振り向くと、おお、何とそこには全身白装束の異様な姿の男が!


55 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:21:04 OaGB63AY

「フシュゥゥゥー…」頭に黒い帽子を載せ、顔を白い布で覆った
白装束の男は両手を前に突き出し格闘技のような構えを取りこう言った。
「アニョハセヨ、リュさん。テコンドースレイヤーです」


56 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:22:51 OaGB63AY

「ア、アイイイ…」あまりの突然の出来事に、リュは腰が抜けて立てなかった。
テコンドースレイヤーと名乗ったこの男は一体何者なのか?
そして、その目的は?


57 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:25:14 OaGB63AY

「リュ。おヌシは、わが国を愚弄したそうだな?」「エ…」
「誤魔化しても無駄だ。聞いたぞ、わが国は日本に追い抜かれたと貴様は言ったそうだな!」
「アイイッ!?」


58 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:27:56 OaGB63AY

この男は、なぜその事を知っているのか?
その事を知っているのは親友のピだけのはずだ。まさか、ピが誰かに告げ口を…?
いや、そんははずはない。ピはたった一人の親友。まさか、ピが。そんなはずは…。


59 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:29:16 OaGB63AY

「親日派は万死に値する」「ヒィッ!」「我は親日派を粛清する者、テコンドーの達人
テコンドースレイヤー」「ヒィィ…」「薄汚い親日派め。我が国の誇る、一撃必殺のテコンドーで…」
スウ…と男は足を上げた。「貴様を、一撃であの世に送ってくれるわ!」「ヒィーッ!」


60 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:30:02 OaGB63AY

「アイヤーッ!」「アイーッ!」一撃必殺のテコンドーが、容赦なくリュを襲う!
「アイヤーッ!」「アイーッ!」「アイヤーッ!」「アイーッ!」
「アイヤーッ!」「アイーッ!」「アイヤーッ!」「アイーッ!」


61 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:31:28 OaGB63AY

「アイヤーッ!」「アイーッ!」「アイヤーッ!」「アイーッ!」
「アイヤーッ!」「アイーッ!」「ハァ、ハァ…」「アイイ…」
テコンドースレイヤーは大きく肩で息をする。テコンドーの達人にも、休憩は必要なのだ!


62 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:32:17 OaGB63AY

「アイヤーッ!」「アイーッ!」一撃必殺のテコンドーが、再び容赦なくリュを襲う!
「アイヤーッ!」「アイーッ!」「アイヤーッ!」「アイーッ!」
「アイヤーッ!」「アイーッ!」「アイヤーッ!」「アイーッ!」


63 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:33:43 OaGB63AY

「アイヤーッ!」「アイーッ!」「アイヤーッ!」「アイーッ!」
「アイヤーッ!」「アイーッ!」「ハァ、ハァ…」「アイイ…」
テコンドースレイヤーは大きく肩で息をする。テコンドーの達人にも、休憩は必要なのだ!


64 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:35:12 OaGB63AY

「なかなかしぶといな貴様。だが…」「アィィ…」「これで、終わりだ」
テコンドースレイヤーは、リュの頭に致命的な一撃を加えようとゆっくり片足を上げた。
リュはもはや焦点の定まらない、大きく晴れ上がった両目でぼんやりとそれを見つめた。しかし、その時…。


65 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:36:06 OaGB63AY

「Wasshoi!」
突如として、赤黒い影が風のように地面に降り立った。赤い装束に、顔を覆うメンポ…。
おお、その姿は、昔見たマンファに描かれていたニンジャそのものではないか!


66 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:37:22 OaGB63AY

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」その男はアイサツした。
「おヌシは、ニンジャか?」ジゴクめいた声で、その男はテコンドースレイヤーに言った。
「アッ、アッ…」


67 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/29(日) 11:39:24 OaGB63AY

「アイヤァァーッ!?ナンデ!?ニホンナンデ!?」テコンドースレイヤーはしめやかに失禁した。
遺伝子に刻まれた日本への恐怖が引き起こす、日本的なものを目の当たりにした時に発症する
JRS(ジャパン・リアリティ・ショック)の症状だ!


68 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/30(月) 22:12:16 ku5h5z7s
おもろいぞ


69 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:19:26 AVGKtZ7g

「ニンジャとあらば容赦せん。答えよ!」「アイヤァァーーーーッ!」赤黒いニンジャの詰問に
テコンドースレイヤーは再び激しく失禁した。俺は殺される。テコンドースレイヤーは思った。
このジゴクの業火めいた殺意、怒り。何故にここまで?いずれにせよ、それは今自分に向けられている!


70 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:20:27 AVGKtZ7g

「アイゴォーーーーーー!」テコンドースレイヤーは突如激しく泣きじゃくりながら地面にあお向けに
なりだだっ子のように手足をバタつかせ始めた。なぜだ。なぜ俺だけがこんな目に。社会のゴミ親日派を
叩き殺してストレス発散しようとしただけじゃないか。あまりにも不条理だ。そう訴えているようだった。


71 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:25:33 AVGKtZ7g

「どうやら、ニンジャではないようだな」ニンジャスレイヤーと名乗った赤黒いニンジャは、
興味を失ったように言った。「なら用はない。おヌシも立ち去られよ」ニンジャスレイヤーは
リュの方を向きそう言った。その瞬間、テコンドースレイヤーの顔の布の奥の、両目がギラリと光った!


72 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:27:10 AVGKtZ7g

「バカめ、隙を見せたな!日帝殲滅!シャザイ・バイショオーーーーーーッ!」突如跳ね起き蹴りを放つ!
危険だ!一撃必殺のテコンドーの、ティミヨプ・チャギ(飛び蹴り)だ!
「ウォォーーー!」テコンドースレイヤーは叫んだ。「ニンジャの起源は、韓国ーーーーーっ!」


73 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:35:33 AVGKtZ7g

だが次の瞬間、テコンドースレイヤーは弾かれたように天高く跳ね上げられた。
ゴウランガ!一体何が起こったのか?リュの目には、90度に近い角度で高々と片足を上げ静止する
ニンジャスレイヤーの姿しか認識できなかった。ハヤワザ!


74 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:38:43 AVGKtZ7g

十数秒後、ドサッという音と共にテコンドースレイヤーが地面に叩きつけられた。
完全に白目を向き、ピクリともしない。相手が完全に無力になった事を確認し、
ニンジャスレイヤーは足を下ろした。


75 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:40:26 AVGKtZ7g

「ア…アナタは?」
こみ上げるJRS症状の恐怖をこらえ、リュは赤黒い男に聞いた。
男は何も答えない。代わりに、現れた時と同じく風のように闇の中へと消え去ってしまった。


76 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/07/31(火) 21:42:24 AVGKtZ7g

リュは思った。あの男は俺を助けようとしたわけじゃない。それよりもっと複雑な動機に突き動かされて
いるように思えた。俺が助かったのはついでに過ぎない。けど助かったんだ。リュは地面にのびている
テコンドースレイヤーを見た。顔の布がめくれている。そこには、あの歴史を教えていた教師の顔があった。


77 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/08/05(日) 10:59:20 AYAtZMes

「よう、リュ」次の日、リュは顔中に湿布やら包帯やら巻いた痛々しい姿で登校した。親友のピが話しかけてくる。
「帰暴漢に襲われたんだって?大丈夫か?」「ああ、大丈夫だ、ピ」結局、ピが誰かに告げ口したか
どうかなんてわからない。けどそれでいい。そうだとしてもうっかりしていた自分が悪い。ここはそういう国なんだ。


78 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/08/05(日) 11:01:38 AYAtZMes

「エー、デハ歴史の授業を始めます」昨日とは全く別の、見たことのない教師が
教壇に立ち教科書を読み上げる。「エー、中世の韓国でライトフライヤー号が発明され空を飛んでいだ頃、
日本ではいまだにプテラノドンが空を飛び人を襲い…」


79 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/08/05(日) 11:02:42 AYAtZMes

突然新しく来た教師について誰も質問したりはしない。ジュキョーによれば目上のやる事は常に正しく完璧だ。
廃人のようになり、うわごとめいてニホン怖い、ニンジャ怖いと繰り返す教師など最初から存在しないのだ。
ここはそういう国なんだ。


80 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/08/05(日) 11:04:22 AYAtZMes

ニンジャのように生きなくては。リュはそう思った。
生き抜くためには己を殺し、心の内を誰にも悟られず、決して多くを語ってはならない。
そう、あのマンファに描かれ、そして突如目の前に現れ消え去ったあのニンジャのように…。


81 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/08/05(日) 11:29:10 AYAtZMes

それにしても、あのニンジャは一体何の目的があったんだろう?
ニンジャゆえに、何か大きな密命などを抱えていたのだろうか。
あのニンジャは何も語らなかった。そして結局のところ、リュには何もわからず終いだった。


82 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/08/05(日) 11:38:38 AYAtZMes

「フゥー…」その頃、丁度韓国のとあるチキンチプ(フライドチキン屋)からフジキドが出てきた。
「ニンジャの起源は韓国…」近年発見された、いにしえのIRC情報に多数書き込まれていた情報だ。
「じっくり調べなければ」そう呟くと、フジキド=ニンジャスレイヤーは韓国の雑踏の中へと消えていった…。

(テコンドースレイヤー 終わり)


83 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2018/08/05(日) 23:23:51 awcHr2Y2



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