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ニャル子「2018」真尋「0401」
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――秋のはじまり――
ヒュルルルル〜
真尋「うっ、さむっ! 風つめたっ!」ブルッ
真尋「はー、もうこんな時季か……」ハァ
ヒュルリラリラルルル〜〜〜
真尋(にしてもやけに風が冷たいな……)
真尋(はやく帰って今日から暖房をつけよう……)スタスタ
"
"
-
――夜 真尋の部屋
ピッ、ピッ、ピッ……
真尋「……」ポチポチポチ
ピッ、ピピッ、ピピピッ……ピガガガガ……
真尋「……」
シ――ン……
真尋「……ってエアコン故障かよっ!」バシーン!
真尋(部屋寒い……風邪引く……)ブルルッ
-
――コンコン
真尋「ん?」
ガチャ
ハス太「……真尋くん? 怒りのままエアコンのリモコンを壁に叩きつけたような音がしたけどどうしたの?」
真尋(なんで僕の行動がそこまで分かるんだ……?)
真尋「……いや、今夜寒いからさ。暖房つけて寝ようと思ったんだがエアコンが壊れてるみたいなんだ」
ハス太「ま、真尋くんの部屋のエアコンがこわれてる!? な、なんだってー!?」
ハス太「大変だよ! こんなさむい部屋で寝たら真尋くん風邪ひいちゃうよ!」
ハス太「なんとかしてあたたかくして寝ないと! あぁどうしよう!」
真尋「えっと」
ハス太「あっそうだ! ボクが真尋くんのおふとんをあっためるよ!」
ハス太「うんそれがいいよ! むしろそれしかないよ!」
ハス太「おとこのこどうしだからなんのもんだいもないよねっ!」
ハス太「それじゃおじゃましまーす」もぞもぞ
真尋「」
-
――翌朝
ニャル子「真尋さんっ! おっはよーござ――」ガチャ!
真尋「zzz...」
ハス太「zzz...」
ニャル子「――ってぇえええええええええくぁwせdrftgyふじこlp;」
真尋「朝からうるさい!」ヒュン!
ニャル子「痛い!?」フォークブスリ!
-
――――――
――――
ニャル子「――それで朝までふたりきりでひとつの布団の中でお互いを温めあっていたと。ふたりで。ひとつの。」
ニャル子「へー。はぁ。そうですか。よくわかりました。納得です。ええ。」ポタポタ
真尋「なんでお前は目から血の涙を流してんだ?」
ニャル子「どうせ真尋さんにはわかりませんよぅ……」ゴシゴシ
真尋「そうだエアコンの修理を頼まないとなぁ」
ニャル子「!」キュピーン!
ニャル子「その心配はありません真尋さんっ!!」
ニャル子「今夜からはわ・た・し・が! 真尋さんのベッドを温める役目を引き受けましょうっ!!」キラキラ
真尋「え? ニャル子と同じベッド? 絶対にイヤだけど」
ニャル子「」グサッ
ニャル子「な、なぜ……」ヨロヨロ
真尋「だってお前絶対僕に変なことするし。無理。却下」
ニャル子「」グサグサッ!
"
"
-
ハス太きゅん相手なら仕方ない
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期待
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.......................
――――秋のおわり
.....朝
ニャル子「真尋さん! おっはよーござ――――」ガチャ
ハス太「zzz...」ギュウゥッ...
真尋「zzz...」...ギュッ
ニャル子「――ってはあああああああああああ!?!!??」
真尋「……っさぃなぁ」ヒュヒュン!!
ニャル子「いたた痛いっ!?!?」フォークブスブスッ!!
-
ニャル子「うぅ……真尋さぁん、痛いですよぉ……」ヌプッ
ニャル子「どうしてこんなヒドイことするんですかぁ……」サスサス
真尋(……)
真尋「……自分で考えろ」プイッ
ニャル子「私はただ――――」
真尋「 」ギロッ
ニャル子「――いえ、なんでも……朝から失礼しました」ペコリ
ニャル子「朝食の用意、できましたので……食卓でお待ちしてます」キィィ...
――...バタン
真尋「……」ヒョイ
真尋(……)ジー...
真尋(……)
-
ハス太「ん……真尋くんおはよぉ」フラフラ
真尋「ああ、おはようハス太」
ハス太「どうかしたの? 握りしめたフォークじっと見つめて」
真尋(いや……)
真尋「別に。ほら、朝食いこっか」グイ
ハス太「……? ……??」
真尋「ん?」
ハス太「あ、えと、ボクのカラダ起こしてくれるなんて、真尋くん優しいなぁ……って///」モジモジ
真尋「そうか? いつもどおりだろ――」
-
◇◇◇ ニャル子 side ◇◇◇
――キィィ...
ニャル子「……」
バタン。と真尋の部屋の扉を閉じたニャル子の指先は震えていた
ニャル子「――あんの泥棒猫がぁぁ…………」ワナワナ
愛する人の隣を奪われ。
同衾などという抜け駆けを犯したあげく
あまつさえ愛用の抱き枕のごとく地位を獲得したあの恋敵
ニャル子「ふ、ふふ……」フルフル
本来ならば心身湯立つ程
受け入れ難い屈辱
だが・・・
-
ニャル子は
愛する人に抱きしめられていた
恋敵の残像を思いながら
ある感情に
支配されていた
ニャル子(――やるじゃあありませんかァァ!!!)
敵への
惜しみ無き
賞讃!!
-
ニャル子(本来ならばハンデともなろう自分の性別を逆手に、いや)
ニャル子(自分のステータスを最大限に活かした一手――!)
ニャル子(その勝利への飽くなき貪欲さ――嫌いじゃありませんよォ!)
ニャル子「ふふ……ふふふ……」スッ
妖しげな笑みを浮かべ、ニャル子は携帯電話を取り出す
ニャル子(『使えるものは何でも使う』というその姿勢――)
ニャル子(――学ばせて頂きます!)ピポパ...
――――――
――――
-
――――
――――――その日の夜
真尋(ハス太に惑星保護機構から緊急招集司令……?)
真尋(何があったか知らないけど、影でよからぬ動きがある気が……)
――ぽふっ
真尋「……布団が冷えるな」ぽつり
真尋(やっぱりエアコン、直しておくべきたっだか――)
真尋「……なんか眠れそうにない」ソワソワ
――こんこん
真尋「ん? 誰だ?」
キィィ..........
-
.......
.............
.................翌朝
ニャル子「まっひろさぁん♡ おっはよーござ――――」ガチャ
クー子「zzz...」ギュウゥ...
真尋「zzz...」ギュゥ...
ニャル子「――なぁああああああああ△※↑#@!?!?」
真尋「……ぃ...zzz...」ヒュヒュヒュン
ニャル子「いた痛たたいたぁっ!?!?」ブスブスブスッ!!
-
ニャル子「ってクー子ォおお!!あんたなんばしよっとぉおおおお#▽"↓→%*^_√!?!?」
クー子「……おはようニャル子」ムニャムニャ
ニャル子「クー子...死ぬ覚悟は出来てるんでしょうね...?」パキポキ
クー子「……違う。私はクー子ではない。ニャル子は何か勘違いをしている」
ニャル子「は?」
クー子「私はただの少年の湯たんぽ」
クー子「このように温度調節も可能な優れモノ」ボウッ
クー子「実は抱きまくらがないと眠れなくなったという悩める少年に善意でこの身を差し出しただけ」
クー子「双方合意の上。ちなみに少年は38.5℃の設定がお気に入り///」ポッ
ニャル子「」
-
*** クー子 side ***
ニャル子「」←放心中
クー子「……ニャル子?」
ニャル子「」ヌプププッ
カラン,カランカラン...
ニャル子「」
ニャル子に突き刺さったフォークが床に落ち、乾いた音を立てる。
真尋「...zzz」クークー
そして訪れた静寂の中、再び少年の寝息だけが聞こえてきた。
ニャル子「」フラフラ
ニャル子は覚束ない足取りで部屋の出口へ向かうと
ニャル子「」キィィ...パタン
何も言わぬままそっと部屋を去っていった
-
――――――
――その日 深夜
キィィ...
ニャル子「……」ソローリ
真尋「zzz...」ギュッ
クー子「...」ポカポカ
ニャル子(っ……)グスッ
...パタン
-
――ニャル子の部屋
ピピヒ...
ニャル子「……」すっ
[36.0℃]
ニャル子「……」ずーん....
『――少年は38.5℃の設定がお気に入り///』ポッ
ニャル子「クー子んにゃろう……!」ギリギリ
ニャル子「私だって出来ることなら何でもヤって見せますよォ!」ガバッ!
ポチポチポチポチ
[ヤマンサドットコム 風邪(になる)薬]
――ポチッ
-
――次の日 夕刻
真尋「……」スリスリ
クー子「……少年、何故撫でる……?」ポカポカ
真尋「……温いから?」スリスリ
――がちゃ
ニャル子「まっひろ…ゴホッ…さぁぁん♡///」ゴホゴホ
真尋「……」...ギュッ
クー子「ニャル子……風邪……?(....少年?)」
ニャル子「ゴホッ…見てくださいよぉ…これ♡///」すっ
[38.5℃]
ニャル子「今夜こそはぁ……♡ ゴホッ…わたしと♡ ――寝ましょ?♡///」ゴホ...
クー子(――っ)ぞくっ!
-
真尋(……)
真尋「は? オマエから風邪うつされたら嫌だし無理だろ。常識的に考えて」ギュッ
クー子(っ!? 少年!?)オロオロ
ニャル子「真尋さんたらぁ……♡ またそんなつれないこと言ってぇ……♡///」トローン♡
クー子(だ、駄目だこのニャル子――完全に熱に浮かされている――)ゾクゾクッ
ニャル子「一晩だけ…ゴホッ…いいじゃないですかぁ♡///」じりじり
真尋「――寄るな、ニャル子」
すちゃっ
クー子(!)
-
ニャル子に対し銀色の冷たい凶器が向けられる
少年が全力で拒むときに使われる道具
初動から攻撃までに要する時間は1フレームを切る
――頼むから……ニャル子――
しかしクー子はその狭間 確かに聴いた
――これ以上……僕の内側に入って来るな――
ぐさり、と銀器がニャル子の頭頂部を刺した
-
――――――――…………
――翌朝
真尋「zzz...」ギュッ
クー子「……ん」パチリ
クー子(世界が……静か……?)
休日だから。ニャル子が少年を起こしに来ないから。
いやそれだけじゃない、この名状しがたい違和感のようなものは――
クー子「……」モゾモゾ
何かに抱き縋るような少年の腕をかいくぐり、カーテンの外を伺う。
クー子(これは――――このままでは――――)
――――少年のツンで地球がヤバい。
-
クー子「少年、少年」ユサユサ
真尋「む……なんだよクー子、休日の朝に……」モゾモゾ
クー子「起きて。このままだと地球が終わる」ユサユサ
真尋「ったく……なんの話だ……」むくり
クー子「少年。大事な話がある」
真尋「……なんだよ」
クー子「とても大事な話。どうかよく聴いて――――」
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――――――――――
――――――回想
◆◆◆ 真尋 side ◆◆◆
ヒュルルルル〜
真尋「うっ、さむっ! 風つめたっ!」ブルッ
真尋「はー、もうこんな時季か……」ハァ
冷たい風が吹き、今年も秋が来たのか、と思う
「人肌恋しい季節」だなんてよく言われたりするけれども――
真尋(はぁ……)
頭をよぎるのは季節も何も関係なしに、隙あらばボディタッチをしてくるあの存在。
サラサラの銀髪をした――いや見た目に騙されてはいけない――少女……の姿をしたおぞましい邪神。
分かっている。頭では分かっている。あれはとてつもなくおぞましい邪神なのだと。
それでも――
-
――それでも。ああも毎日、無条件に、ただひたむきに、ストレートに好意を向けられて、
潤んだ大きな瞳で見つめられ、『真尋さんのことが、好きです』と――――
真尋(あぁもぅっ!)ガシガシ
僕はおかしい。顔が上気しているのが自分でもわかる。この往来でひとりなにやってんだ僕は。
――彼女の形の良い唇から紡がれる自分への愛の告白。
そして人目も気にせず僕に無断で抱きつき、頬ずりし、そして耳元でまた愛をささやく――
頭では分かっていても、僕の心臓は勝手に跳ねる。彼女と触れた肌から熱が伝染し、鼓動が早くなっていく。
それはもう僕の意思では止められない。あぁ、もぅ。
――僕は、どうかしている。
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寒空の下、僕は世界との正しい結節点を見失いそうになる。
ポケットに、手をいれる。
――冷たく尖った銀器の感触。
指先のその感触に僕は安堵する。
かろうじて、この世界と僕の理性とを結びつけることができる。
だけどもう、それが「正しい」ことなのか、既に僕にはすっかりわからなくなっていた。
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――冬にさしかかろうとしていたある日の朝。
『大事な話がある』、とそう同居人は告げた。
それは悲しみと怒りと、慈しみを湛えた瞳だった。
曰く、『個人的にツンデレは嫌いじゃない』だとか
『だけど暴力系ヒロインはもうトレンドじゃない』だとか
冗談なのか本音なのかいまいち推し測りきれない言葉を交えつつも、
『地球の命運は少年にかかっている』――と。半ば脅しのような文句を突きつけられ
結局僕は、ニャル子の部屋に向かうこととなった。
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――ニャル子の部屋
こんこん。
真尋「……入るぞ、ニャル子」がちゃ
くらり、と。瞬間、甘いような香りに僕は軽い脳震盪を起こす。
ニャル子「――えへ♡ まひろさぁん♡ また看病に来てくれたんですかぁ?///」コホコホ
そこには開ききった瞳孔から爛々と怪しい光を放つニャル子が、ベッドに横たわっていた
ニャル子「一晩で二十九回も様子を見に来てくれるだなんて、心配性さんですねっ♡」ウットリ
真尋「……もう朝だし僕が来たのはこれで初めてだ、ニャル子」
まだ熱があるのか、と僕はニャル子の額に手を添える。
ニャル「――ひうっ♡///」ビクン
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びくん、とニャル子の身体が跳ねた。
ニャル子「……っ、失礼しましたぁ……幻覚らしからぬリアルな手触りに思わず声が……」
真尋「僕は幻覚じゃない」ナデナデ
まだ熱はあるようだ。額に触れた手のひらが、熱い。
ニャル子「ふふ……もぉ騙されませんよぉ……///」ポー
ニャル子「本物の真尋さんが、わたしのことそんな愛おしげに撫でてくれるはずないじゃないですかぁ...///」ニヘラ
――っ…………。
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別の意味で病んでる…
いや、ある意味正しいのか?
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期待
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はよはよ
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