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千歌「大日本東京野球倶楽部?」
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オリジナル設定ほかパクリ設定もありますが生暖かい目で見守って下さい
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2017年、夏―
曜「今年の毎売は強いねえ」
千歌「だって小杉がいるもん…『タカミ賞』は確実だよ」
キーン!
梨子「はわわ…!?」
果南「おー、飛んだね〜!」
ゴチン
梨子「あいたー!!?」
千歌「あちゃー…」
ダイヤ「むむむ…梨子さん!!!」
梨子「ひいい…!」
-
曜「ダイヤさんってなんでも出来るよね…」
千歌「センスはホントに抜群だよね」
ダイヤ「果南さん!!もう一度です!」
鞠莉「おー、ナイス根性!!」
果南「よーし今度は長嶋だよ〜!」ブンッ
ダイヤ「では私は村山さんです!!」ガバア
ピッ!
シュイ!
カーン!!
果南「あっ!」
ダイヤ「千歌さん!危ない!」
千歌「えっ…!?」
ガッ
…………
-
…………
「ーい、おー…」
「丈夫?……大丈夫?」
千歌「む…」
曜「お!目覚めたよ!」
千歌「曜…ちゃん?」
曜「あれ?なんで私の名前を?」
果南「そりゃお転婆だからでしょ?」
千歌「果南ちゃんも!?」
曜「果南ちゃんもお転婆やー!」
果南「やめて!ん…?」
-
千歌「な、なんでそんな変な格好?」
果南「変とは失礼な!」
千歌「ゆ、ユニフォーム?」
曜「おお、制服と言わず横文字を使ったよ?果南ちゃん!」
果南「むむ…意外と学業が良いのかな?」
千歌「ちょっと?何訳の分かんないことを!?」
曜「んー、混乱してるのかな?」
千歌「へっ!?」
ザッ
"
"
-
海未「何を騒いでいるのです?」
曜「あ、海未先輩」
千歌「ええ!?み、ミューズの園田海未さん!?」
海未「如何にも、私は園田ですが…ミューズ?その珍妙な名前は知りません」
千歌「へ、へ?何を言って…?」
海未「そろそろ練習しますが…まあその娘はベンチにでも休ませていて下さい」
千歌「練習?」
果南「はーい、じゃあ君、ちょっとこっち来て」クイッ
千歌「ええ!?」
-
千歌「そ、そういえば…ここは野球場?」
果南「野球?そうだよ、私達は全日本なんだよ!」
千歌「ぜ、全日本!?って…ここは?」
果南「草薙球場。野球は…知ってる?」
千歌「野球?もちろん!ソフトボールとほとんど変わらないからね!」
果南「そ、ソフトボール?何かは知らないけど野球が好きなら見ていきなよ?何かの縁さ」
ザッザッザッ…
千歌「な、なにこれ?」
ガチャ
-
希「ありゃ?どこのこなん?」
にこ「知らないわよ?誰よ?」
千歌「こ、こんなことってあるの?」
希「なあ、なんて名前?」
千歌「えっと!私、高海千歌です!」
にこ「千歌ね…良い名前じゃない…」
ガチャ
善子「あら?誰よ?」
希「この子は千歌ちゃん!うちの親戚や!」
-
にこ「え?」
千歌「ほえ?」
善子「ふーん…」
千歌「善子ちゃん!?善子ちゃんもユニフォーム来てるの?」
善子「希さんが連れてきた割に…変な子ね?」
ルビィ「おはようございます…」
千歌「ルビィちゃん!?まさか…」
ルビィ「?ところで善子ちゃん、試合に向けてどう?」
善子「うーん…グラブが少し解れてるから直さなきゃ」
-
千歌「てことは…」
ダイヤ「ルビィ!脱いだ衣服も畳めぬとは大和撫子の風上にもおけないですわ!」
千歌「やっぱり…」
花丸「さあ打撃練習するずら!」
ダイヤ「その前に柔軟…あらそちらは?」
千歌「高海千歌です…見学で…」
善子「希さんの親戚らしいですよ?」
ダイヤ「へえ…」
花丸「よろしくずら」
凛「んん!?新入り!?」
千歌「も、もう驚かない…」
穂乃果「へえ?新入り?」
-
千歌「圧巻…」
にこ「先に走ってくるわ」
ザッザッザッ
希「ほなうちも〜」
凛「凛も凛も!!」
千歌「みんな…野球をやってる…」
ザッ
絵里「真姫…誰よ?」
真姫「凛がでかい声で言ってたには…新入り?」
千歌「クール組み…」
真姫「野球が出来そうには見えないけど…」
-
鞠莉「エリーチカ?あなたは別メニュー…」
千歌「てことは…あと一人かな?」
真姫「じゃあエリー、走り込みしましょ?」
絵里「ええ」
ザッザッザッ
鞠莉「ええと?フー?」
千歌「私は高海千歌です。希さんの知り合いで…」
鞠莉「へえ?ベースボールは出来る?」
千歌「ちょっとなら…」
鞠莉「ならキャッチボールしない?グラブは適当でいいわよ?」
千歌「はあ…」
-
千歌(やっぱり、鞠莉さんは無茶だなあ…)
ザッ
鞠莉「いくわよ!」シュッ
パン
千歌「おお…良い球」
千歌(グローブがとてもボロボロだけど…)
鞠莉「さあ千歌、カモーン!」
千歌「ほいっ!」シュッ
パシーン!
鞠莉「…えっ?」
千歌「?」
鞠莉(な、何よこのボールは…)
-
千歌「お、おーい!投げ返して下さい!」
鞠莉「え、ええ…」
シュッ
パン
千歌「ふふ、ナイスボール!」
シュッ
スパーン!
鞠莉「なんて球よ!?」
ダッ
モギュ!
千歌「きゃっ!?ちょっと鞠莉さん!?」
-
鞠莉「あなた最高よ!?ポジションは!?」
千歌「ピ、ピッチャー…です」
鞠莉「ピッチャー!?最高っだわ!」
ダッ!
千歌「海未さんに話しかけてる…?」
ザッザッ
海未「あなたが…最高の投手とのことですが…」
千歌「えっ!?」
千歌(鞠莉さんめ…)
海未「今全日本は投手が喉から手が出るほど欲しいのですが…」
鞠莉「不安?」
-
海未「ふうむ…まあ受けて見ましょうか」
ザッ
パン!パン!
海未「さあ!来なさい!」
千歌「はあ…」
グッ
鞠莉(採用されたばかりのワインドアップ…)
スッ
シュッ
スパーン!
海未「……な、なんですか?これは?」
-
海未「速すぎます!?なんですか!?」
鞠莉「でしょ?そうだ!ドロップは投げれる?」
千歌「ドロップ?」
*ドロップ……昔のブレーキングボールの総称。落ちる球全般を指す。
鞠莉「まあ、落ちる球ならなんでもいいわ!」
千歌「ああ…変化球…」
グッ
千歌「スライダー!」シュッ
クン
パン!
海未(魔球!?エリーのドロップとは比べ物にならない!)
-
千歌「フォーク!」スッ
フワッ
ドテッ
鞠莉「あの海未さんが…後逸した…?」
千歌「よ、予想以上に落ちたなあ…」
カラカラ
「ふーん…変な球放るのね」
千歌「えっ!?」
鞠莉「り、リリー!?」
海未「梨子さん!?あなた怪我は!?」
-
梨子「全日本のためにそんな弱気でいられませんから…」
鞠莉(あれは桜内梨子、全日本の4番よ?)
千歌「り、梨子ちゃんが4番!?」
千歌「アハハハハハ!?ちょっと笑わせないでよ」
梨子「へえ?ふざけてるわね?」
コンコン
梨子「来なよ?ふざけた投手」
千歌(梨子ちゃんってこんなボスキャラみたいな感じだったかなあ?)
海未「ではとりあえず勝負ですね」
千歌「え、あ、はい」
-
海未「そうです、先程の落ちる球。腑甲斐無いですが私は捕れませんので」
千歌「ああ…なるほど…」
千歌(フォークはダメってことね)
梨子「来なさい!」
千歌(全力でいかせて貰おうかな?)グッ
ズオッ
梨子(…)グッ
千歌「ふんっ!」シュッ
シュッ
梨子(速いっ!?)ブン
カーン!!
-
千歌「う、うそ…?」
ヒューン
にこ「うわっ危ない!?」
ドスッ!
穂乃果「さすが梨子ちゃんだなあ…」
ルビィ「でも誰が投げたの?」
梨子「ふーん、良い球。でも打てない球じゃない」
梨子「これじゃアメリカは抑えられない…」
千歌「あ、アメリカ…?」
鞠莉「でも使えるわよね?」
梨子「そう、ね」
-
ザッ
鞠莉「総合練習の前に朗報です!」
千歌「え、えーと…」
花陽「投手がこれで3人だね!」
絵里「…ふーん」
千歌「高海千歌、です」
絵里「私はエリー。エリー・コンスターノヴィチ・アヤセルヌよ」
千歌「ほ、ホントにロシア人?」
絵里「父が亡命者よ。今は無国籍ね」
鞠莉「それにしても…良いセーラー服ね?」
穂乃果「見たことないセーラーだね」
千歌「あはは…」
千歌「そういえば…ここって日本?」
-
真姫「何を言ってるの?」
千歌「文字が…逆…」
ことり「?」
千歌「も、もしかして…タイムスリップ?」
千歌「いいい今何年ですか?」
絵里「何年?今は昭和9年よ」
千歌「昭和!?へ、平成は!?」
海未「何の話かは分かりませんがこれから宜しく願います」
千歌「せ、西暦!そうだ、西暦は!?」
凛「西暦?なにそれ?」
ダイヤ「西暦は伴天連の神様の誕生から数えている物です。今は1934年です」
-
梨子「…そんなことより全日本として勝つ方法を見出ださない?」
花陽「梨子ちゃん…」
梨子「全米は強いわ。ベーブやローラは簡単にスタンドまで球を運ぶわ」
千歌「ベーブ?ローラ?」
花丸「全米の強打者、ベーブ・ルースとローラ・ゲーリッグのことずら」
*ベーブやローラ……元ネタはベーブ・ルースとルー・ゲーリッグ。どちらもヤンキースの伝説の大打者。
千歌「それって…大昔の…」
花丸「?」
真姫「それだけじゃない、ジョリーン・ディマジオ、彼女も危ういわ」
*ジョリーン・ディマジオ……元ネタはジョー・ディマジオ。ヤンキースの強打者でマリリン・モンローの元旦那。
凛「凛が足で稼ぐにゃ〜!」
ザッ
善子「あっ!」ザッ
千歌「?」
-
ダイヤ「南理事長!」
理事長「治っていいわ」
ザッ
千歌(なにこの空気…軍隊?)
理事長「日米野球まで後何日?」
海未「あと6日です!」
理事長「そう…あら?」
理事長「あの子は?」
にこ「はい!高海千歌という新入りです!」
理事長「ふーん…ポジションはどこなの?」
絵里「はい!投手です!」
-
理事長「そう、じゃあ穂乃果ちゃん打席に立ちなさい」
穂乃果「は、はい!」
千歌「えっ!?」
理事長「じゃあ海未さん、よろしくね?」
海未「はい!」
タッタッタッ
海未「先程の通りあの大きな落ちる球は無しで。ドロップと直球でお願いします」
千歌「は、はい!」
タッタッタッ
穂乃果「うー!楽しみだよ!」
海未「穂乃果、あなたは打てませんよ」
穂乃果「やってみないと分かんないよ!?」
-
理事長「じゃあ千歌さん、でしたっけ?よろしく」
千歌「はあ…」
千歌(穂乃果さんと…時代も違えばしてることも違うけれど…)
千歌(こうして向き合えている!!)グッ
ガバァ
穂乃果(足が上がった!)
グイッ
ピシュン!!
穂乃果(打つ!!)
千歌(勝ちたい!!)
ブン
スパーン!!
-
穂乃果「は、はっや〜!?」
絵里「あのまっつぐ…」
ルビィ「体からは考えられない球ですね」
千歌「ふう…」パス
千歌(穂乃果さんもフルスイングだった…!!)
千歌「全力勝負!」グッ
ズオッ
穂乃果「…」グッ
ピシュン!!
穂乃果(手を抜いた!?)グッ
ククッ
穂乃果(ドロップ!?)ブン
スパーン!!
-
鞠莉「ナイスピッチング!!」
梨子「…」
千歌「ふう…」パス
希「制球力もありそうやな?」
穂乃果「…な」
海未「…だから言ったでしょう?」
穂乃果(エリーちゃんともダイヤちゃんとも違う…)
穂乃果(新しい投手!!)
海未「…最後ですよ!」
ズオッ
-
穂乃果(打たなきゃ!)
グオッ
穂乃果(全日本のために!!)
ピシュン!
ブン
穂乃果「…ああ」
スパーン!!
にこ「バッターアウト。奪三振ね」
梨子(…全日本の3番を三振か…)
希「うちも打ちたいな」
理事長「ふむ…」
-
理事長「その前に日米野球の従順を発表したいのだけれど…」
希「はい!出過ぎました!」
理事長「良いのよ…でもねえ…」
千歌「?」
真姫「何ボーッとしてんのよ!」
千歌「日米野球?」
理事長「そうよ?これまで多くの大学が壊れるまで打たれたか…」
理事長「だから今回こそ大日本帝国に勝利をもたらすのです!」
「「「はい!!!」」」
千歌(だ、大日本帝国…?)
理事長「花陽さん、渡してたあれを」
花陽「はい!」
-
スッ
理事長「んんっ、では…」
理事長「開催地は静岡草薙野球場。相手は今まで最高のアメリカよ!」
千歌(そ、そんなに…)
理事長「負けるわけにはいけない!必ず勝つスタメンを発表する!」
ザッ
理事長「一番 二塁手、星空凛!」
凛「はい!」
理事長「二番 右翼、渡辺曜!」
曜「はい!」
理事長「三番 三塁手、高坂穂乃果!」
穂乃果「はい…」
-
理事長「ん…?」
理事長「…四番 左翼、桜内梨子!」
梨子「はい」
理事長「五番 一塁手、東條希!」
希「はい!」
理事長「六番 捕手、園田海未!」
海未「はい!」
千歌「みんな気合い入ってるなあ…」ボソッ
理事長「七番 遊撃手、津島善子!」
善子「はい!」
理事長「八番 投手、エリー・アヤセルヌ!」
絵里「はい!」
絵里(いい加減日本語読みで呼んでくれないかしらね…)
理事長「九番 中堅、矢澤にこ!」
にこ「はい!」
-
理事長「控え、二番手投手、高海千歌!」
千歌「えっ…!?」
理事長「…返事はなさい?」
千歌「でも私まともに投げたこともないし、ましてやいきなりそんな…」
理事長「……」
理事長「おだまり!護国に勤めようとせん大和撫子に言い訳は無!」
千歌「はいぃっ!!」
理事長「よろしい!」ニコッ
理事長「三番手 投手、南ことり!」
ことり「はい!」
ことり(むうっ…)
理事長「控え捕手 小原鞠莉!」
鞠莉「はい!」
-
理事長「控え一塁手、黒澤ダイヤ!」
ダイヤ「はい!」
理事長「控え二塁手、小泉花陽!」
花陽「はい!」
理事長「控え遊撃手、黒澤ルビィ!」
ルビィ「ピギィ!!」
ダイヤ「ルビィ!いつになったらまともな返事が出来るのです!」
理事長「ふふ、良いわよ?」
千歌(こんな時代でもやっぱり黒澤家だなあ…)
理事長「控え三塁手、国木田花丸!」
花丸「はい!」
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理事長「控え外野、西木野真姫!松浦果南!」
真姫「はい!」
果南「はい!」
真姫(なんで私が控えなのよ…)
理事長「以上よ。しっかり修練してください!」
「「「はい!!!」」」
理事長「では今日はもう遅いですから寮に引き揚げなさい?」
「「「ありがとうございました!」」」
理事長「ああ、そうだ。千歌さん。あなた新入りだからね…寮に入りなさい」
千歌「は、はあ…」
-
理事長「そうね…確か梨子さんの部屋が空いてたから一緒に入りなさい?」
梨子「なっ!?」
ズカズカ
梨子「やめて下さい!私は極限の集中に身を置きたいんです!」
千歌「り、梨子ちゃん…」
理事長「極限の集中ねえ…?」
理事長「!ああ、ちょっと西木野さん?」
真姫「はい?」
理事長「あなた全日本の四番打ちたい?」
真姫「な?はい!もちろんです!」
梨子「ちょっと!理事長何を言って…」
-
理事長「あなた、本当に自分がベーブやローラと同じ大打者と思ってるの?」
梨子「は!?」
理事長「傲りすぎよ、全日本の四番…」スタスタ
梨子「くっ!?」
真姫「あんたねえ…なめんじゃないわよ?」
梨子「先輩こそ立場をお分かりで?」
真姫「私だけじゃないわよ」タッタッタッ…
梨子「ふん、全日本の四番は私よ…」
千歌「ええと…よろしくね?梨子ちゃん」
梨子「はあ…まあしょうがないから部屋に入れてあげるけど…」
梨子「邪魔しないでね、ホントに」
ザッザッザッ…
千歌「梨子ちゃん…」
-
1934年、秋―
千歌「凄い…何にもない…」
梨子「集中したいし。布団があればなんとかなるわ」
千歌「あれ?ボールが…『國報誠忠』…?」
梨子「勝手に人の物に触らない」ヒョイ
梨子「それと…あなた小学校や中学はでたの?」
千歌「ええ!?だって義務教育だよ!?そりゃ行ったよ!」
梨子「…尋常小学でも教わる言葉を読み間違えたりしないわ」
千歌「へ?」
千歌(じ、尋常?どういう意味?)
梨子「これは『忠誠報國』。誠を貫き国に尽くすという意味よ」
千歌「へ、へえ〜…」
千歌(あれ?右から読むの?)
-
梨子「ちょっと外にでましょ?」
千歌「えっ?もう遅いよ?」
梨子「…少し、少しだけよ」
ガチャ
梨子「グローブとボールもよろしく」
千歌「ちょ、ちょっと…!」ガチャ
ヒュオオオ
梨子「あなた最初に見た時海未さんが後逸するような大きなドロップを放ったわね?」
千歌「ドロップ…ああフォークね」
梨子「あなた…本当はどこから来たの?」
千歌「えっ!?え、え〜と…」ダラダラ…
梨子「ふうん…」
-
ピシュ!
千歌「きゃあっ!?」パシン
梨子「一打席真剣勝負…受けなさい!」
千歌「り、梨子ちゃん?」
梨子「あなたの全て晒しなさい!!」グッ
千歌「…」
千歌「分かった。やるよ!」
ザシュ!
千歌(勝たなきゃ…本当の梨子ちゃんは出てこない!)
梨子「捕手はいないから遊び球とか置き球とかふざけた真似しない…」
千歌「そんなことしない!!」
-
梨子「!!」
千歌(真剣勝負!!)梨子
グッ
ガバア!
梨子(直球!)
ポン
梨子(ど、ドロップ!?)ブン!
スカッ!
千歌(何年振りだろう…スローカーブ)
梨子「…」ピシュ!
パシン
-
梨子(二球目…何で来る!?)
グッ
ガバア!
ピシュ!
梨子「くっ!」ブン
梨子(ここで直球…)
ピシュ
パシン…
千歌(ラスト…)
梨子(ボール!!)グッ
-
梨子(足が上がった!)
千歌(梨子ちゃん…ううん、1934年の梨子ちゃんかな…)
梨子(高海千歌!私は貴方を打たねばならない!)
千歌(梨子ちゃんと輝きたい…それが何時でも…時空を越えても共に!!)
梨子(『打者 桜内梨子』として全日本選手軍に選ばれたんだ!)
千歌(だから梨子ちゃん…)
千歌「未来を見せて上げる!!」ビシュン!
梨子(なっ!?)
ブン!
スカッ!
コロコロ…
-
梨子「あっ、ああ…」ドシャッ
千歌「…りーこちゃん!」ギュッ
梨子「なっ、何を!?」カアア…
千歌「私ね、今から遠い未来…ううん、遠い明日から来たんだ」
梨子「遠い…?」
千歌「2017年だから…えーと…」
梨子「い、今から83年後ですって!?」
千歌「そ、そうなんだ!」
千歌(流石梨子ちゃんだあ…)
-
千歌「この時代のこと千歌はよく分からないし、日米野球のこともよく知らない」
千歌「でもね、梨子ちゃんは私がいた時代の梨子ちゃんとなんら変わりなかった!」
梨子「は…?」
千歌「あっちの梨子ちゃんはとっても可愛いかったけどこっちの梨子ちゃんはとってもカッコイイ!」
梨子「…」
千歌「だからね…あなたの、梨子ちゃんのことをもっとよく知りたい!」
千歌「教えて…『この時代』の梨子ちゃんを…」
梨子「変わった人ね…」
梨子「さっきの謎のドロップを…あなたの時代の野球を教えてくれるなら…」
梨子「話すわ…桜内梨子という人の話を…」
-
1930年、夏―
曜「今年は暑いね…」
果南「夏っぽくていいんじゃない?」
スパーン!
曜「…梨子ちゃん、よくやるね」
果南「まあ梨子のおかげで高等選手権にいけるんだから」
*高等選手権……現在の甲子園大会。
曜「まあ最高の投手だからね!」
果南「うんうん!えーとアメリカではなんて…」
ダイヤ「エースですわ」
果南「ダイヤ!」
ダイヤ「梨子さんは伝説の投手になりますわ!この昭和という新時代の」
善子「それでも投げすぎじゃない?朝からよ?」
-
ダイヤ「大和撫子、気合いが入ってよろしいじゃないですか」
善子「そうなら…いいんだけど…」
ダイヤ「さあ、走りますわよ…」ザッザッザッ
梨子「…」スパーン!
鞠莉「いい球よ!」
梨子(くっ!)ズキッ
鞠莉「さあ!次はドロップよ!」
梨子「ふん!」ピシュ!
ククッ
スパーン
-
鞠莉「ちょっと休憩しましょ?」
梨子「いや、打撃練習に行ってくるわ」
鞠莉「お、オーバーワークじゃない?」
梨子「…英語は分からないわ」
ザッザッザッ…
鞠莉「英語の成績いいくせに…」
カキーン
ルビィ「梨子ちゃんはやっぱりすごいなあ…」
花丸「おら達も頑張るずら!」
果南「明日は初戦だからね…」
-
〜
ピシュ!
ピシュ!
梨子(オーバーワークね…)
梨子「そんなもの!!」
ピシュ
ドスン!
梨子「勝たなきゃ!勝たなきゃ!」
ドスン!
梨子「ハアハア…」
ピシュ!
-
ワアアアアア!
鞠莉「ワオッ!すごいわね!甲子園!」
果南「うん!これが日本の中枢の野球場だよ!」
梨子(私は…)
梨子(勝つっ!!)
第一回戦 浦の星女学校(静岡) 対 栄進女学校(高知)
「プレイボール!」
〜
千歌「すごい!甲子園にでてるんだ!」
梨子「あなたの時代にも甲子園はあるのね」
千歌「うん!」
千歌「すごいなあ…それで!?どうなったの!?」
梨子「…そうね」
-
〜
「さあ!七回裏の栄進の攻撃です!」
梨子(走者一二塁…二アウト)
「ここまで桜内、12個の三振をとっています」
「現在二点差!浦の星の桜内、無失点です」
鞠莉(強気にインコース…ハイっ!)
梨子「…」コクッ
「四回の桜内の二点先制の本塁打!さあこのピンチ抑えられるか!?」
梨子「えいっ!!」ピシュ!
グキッ
梨子「!!」
鞠莉(真ん中!?)
カァーン!
-
善子「あっ!?」
曜「危ない!!」
バキィ!
「あーっとこれは危ない!投手強襲が桜内の右肘に直撃だーっ!?」
梨子「あ、あぐぅ…」ドサッ
鞠莉「梨子っ!?」
花丸「そ、走者が…」
梨子「くっ!」パシ
ヒョイ
ポテ…コロコロ…
「桜内投げられない!一塁方向にボールが転がるっ!」
ダイヤ「あっ!」パシ
ダイヤ「鞠莉さん!!」ピシュ
-
鞠莉「間に…合わない…」
「栄進追い付いたっ!!走者一掃の投手強襲となりました!」
「さらに走者三塁!しかし桜内は投げれそうにありません!!」
鞠莉「タイムっ」
ターイム
〜
千歌「それ…で?」
梨子「勿論投げれるはずもなく…学校も負けたわ」
千歌「梨子ちゃんは!?」
梨子「私は…」
-
〜
梨子「投手が出来ない?」
医者「そうね…投手は出来ない。あれは余りにも肘を使いすぎる」
梨子「でも、私…」
医者「6日」
梨子「は…?」
医者「投手を続けるなら…野球は6日しか出来ない」
梨子「そ、そんな…」
医者「よく…かんがえなさい?」
梨子「……はい」
-
トボトボ…
ダイヤ「梨子…さん?」
梨子「ああ…ダイヤさん」
ダイヤ「どう…でしたの?肘は」
梨子「…すいません、すいません」ポロポロ
ダイヤ「り、梨子さんのせいではありません!!」
ダイヤ「私達が逆転出来ないのが悪いのですわ」
梨子「…投手は…出来ないとのことです」
ダイヤ「なっ…!?」
梨子「もう…野球が出来ない…」ポロポロ
-
ダイヤ「そんな…日本一の投手が…」
ガバッ!
ダイヤ「申し訳ありません!!私達はあなたの人生を…」
梨子「ダイヤさん!?止めてください土下座なんて!!」
ダイヤ「本当に…申し訳…」グズッ
「梨子はさあ、野球は投手というポジションしかないと思ってるの?」
梨子「えっ…」
ダイヤ「果南さん…」
果南「諦めるの…早すぎるよ…!」
ダイヤ「ちょっと」
果南「私達が支えた『桜内梨子』は!そんな甘ったれて腐れた女じゃない!!」
ダイヤ「果南さん!!」
果南「考え…治しなよ…」
ザッザッ…
-
ダイヤ「梨子さん…」
梨子「…」
〜
梨子「はあっ!はあっ!」ザッザッ
梨子(私はまだ…)
梨子(野球を辞めたくない!!!)
梨子(続ける方法はただ一つ!!)
ザッザッ…
-
〜
鞠莉「学校を辞める?」
梨子「はい」
鞠莉「それはどうして?」
梨子「私は大日本東京野球倶楽部に入ろうかと思います」
鞠莉「…その、肘で?」
梨子「私は…」
梨子「打者として、再起致します」
鞠莉「だ、打者!?そんな、無理よ!」
ガバッ
梨子「お願いします!!私から野球を奪わないでください!!」
鞠莉「り、梨子……」
鞠莉(と、止められない…)
-
<削除>
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