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女「あの夏は、まだ終わっていないよ」

1 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:08:30 7zMZhDHI
十二年前、昼、公園

女「あーそぼ」

男「んー」

ザバァァ

女「なにしてるの?」

男「ありの巣に水かけてる」

女「かわいそうだよー! やめなよー」

男「だって、おもしろいもん」

ザバァァ


"
"
2 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:09:11 7zMZhDHI
女「・・・・・・ありさんはどうなるの?」

男「んーしんじゃうとおもう」

女「ねえ、ほかのことしよー?」

男「やーだ。いやならべつの子とあそんでよ」

女「・・・・・・なら、やる」

男「じゃあ女ちゃんじょうろに水いれてきてー?」

女「う、うん」

男「ははは、ながれてくー、ありがながれてくー」


――
―――
――――


3 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:09:43 7zMZhDHI
入学式、教室

○○○「――白石に住んでまーす。お願いします」ガタ

○○○「はい次、後ろの人」

○○○「あー・・・・・・ども、○○○です。趣味は――」ガタ

男「・・・・・・」

○○○「次、女子の列な」

女「はじめまして、女です。これから三年間、よろしくお願いします」ニコ

男「・・・・・・あ、れ?」

○○○「じゃあ次の人、はい嫌がらない」

○○○「だってはずかしっすよ。はは。俺は――」ガタ

男「・・・・・・」チラ

女「・・・・・・」ニコ

男(・・・・・・女ちゃん?)


4 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:11:07 7zMZhDHI
放課後、校門

友「俺ここからバスだわ。そしたらまた明日な。これからよろしく」ニカ

男「おーう。また明日」スタ、スタ

○○○「ねえそっちのクラスイケメン居たー?」

○○○「ぜんっぜん。そっちは?」

○○○「二人居たよー」

男「・・・・・・」スタ、スタ

男(・・・・・・まあ、こんなもんだよな。高校って)


5 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:11:43 7zMZhDHI
女「ねえ、男君!」タッタッタ

男「・・・・・・あ」

女「男君だよね。私のこと、覚えてる?」ニコ

男(・・・・・・覚えてたんだ)

男「ああ、久しぶり」

女「十二年ぶりかな? まだ恵庭に住んでるの?」

男「あ、ああ」

女「なら途中まで一緒だ。帰ろっか」ニコ


"
"
6 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:12:22 7zMZhDHI
夕方、街

女「――それで、あの後は札幌に住んでたよ」ニコ

男「そっか」スタ、スタ

女「懐かしいなー。よく一緒にいたずらしてたよね、落とし穴掘ったり」スタ、スタ

男「それで女の母さんに怒られてな」スタ、スタ

女「全部男君が言い出したことなのに、私まで怒られたんだよー?」スタ、スタ

男「文句を言わなかったんだから、同罪だろ」スタ、スタ

女「あはは、ひどいなぁ」ニコ

男(・・・・・・女、大分可愛くなったなぁ)

女「・・・・・・なに? 私の顔に何かついてる?」

男「あ、いや。別に」

女「・・・・・・寂しかったなぁ。男君と離れてから」

男「引っ越したのはお前の方だけどな」

女「そうだね」ニコ


7 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:13:02 7zMZhDHI
夕方、駅前

男「あ、ごめん。お前、ここまで来たら遠回りだろ」

女「いいよ、楽しかったから」

男「そっか」

女「また会えて良かった。これから三年間、よろしくね」

男「ああ、よろしく」

女「じゃあ、また明日」ニコ

男「うん、また明日」スタ、スタ

男(・・・・・・性格は昔のままなんだな。優しいっていうか、お人よしっていうか)スタ、スタ

男「・・・・・・でも、可愛かったな」ボソ

男「・・・・・・」チラリ

女「ばいばい」ニコ

男(・・・・・・はは、いつまで見送るんだよ)


8 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:13:38 7zMZhDHI
夜、男の家、リビング

母「で、どうだったの? 高校は」

男「ああ、まあ普通」もぐもぐ

父「なんか部活入っておけよ?」もぐもぐ

男「考えとくよ。・・・・・・あ、そうだ。女に会ったよ」

母「女?」

男「あー・・・・・・女ちゃん」

母「ああ! 女ちゃんかぁ。懐かしいわね」

男「同じクラスになってさ、まだ俺のこと覚えてたみたい」

父「あれだけ仲が良かったんだから、そりゃ覚えてるだろ」もぐもぐ

母「・・・・・・あれ」


9 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:14:20 7zMZhDHI
男「ん?」

母「・・・・・・そんなに仲、良かったかしら」

男「それはまあ、毎日遊んでたし」

母「・・・・・・でもあんた、女ちゃんが引っ越した後・・・・・・なんていうか、喜んでたような」

男「・・・・・・え?」

父「勘違いだろ。男はしっかり悲しんでたぞ、確か」もぐもぐ

母「あはは! そうね。なんせ初恋だったもの」

男「ち、違うわ」

父「まあ、今度は逃げられる前に上手くやれ」

男「違うって!」

母「女の子と付き合うなんてまだ早いでしょう?」

男「それは早くないだろ」

父「ああ、早くないな」もぐもぐ

母「・・・・・・そうなの?」


10 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:14:51 7zMZhDHI
十年前、公園

男「えい! えい!」ドシ、ドシ

女「ありさんふんだら、かわいそうだよー」

男「かわいそうじゃないよ!」

女「うーん」

男「やらないなら、あーそばない!」

女「・・・・・・えい」ドシ

男「ははは! えい! えい!」ドシ、ドシ


11 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:15:29 7zMZhDHI
女「・・・・・・え、えい! えい!」ドシ、ドシ

男「あはは! 一杯しんでる!」ニコ

女「あ、あはは・・・・・・はは」ニコ

男「あー! あっちにも沢山いる!」

女「・・・・・・男君」

男「んー?」

女「たのしい?」

男「うん!」ニコ

女「そっか」ニコ


――
―――
――――


12 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:16:00 7zMZhDHI
朝、男の部屋

男「・・・・・・ん、ああ・・・・・・夢、か」

コンコン、ガチャ

母「そろそろ起きなさい!」

男「起きてるよ」

母「きゃあ!? ちょ、ちょっと脅かさないで。起きてるなら言ってよ」

男「今言っただろ」

母「朝ご飯冷めちゃうから、早く降りてくるのよー?」

ガチャ、バタン

男(・・・・・・悪趣味な夢だったな)


13 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:16:36 7zMZhDHI
朝、教室

ガラガラ

男「おはよー」スタ、スタ

友「おう! なあ、席替えってすぐやると思う?」

男「んー、どうだろ」

○○○「女ちゃんその髪型可愛いね!」

女「そうかなー」

○○○「てか髪サラサラじゃん! 羨ましい」

女「ありがと」ニコ


14 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:17:14 7zMZhDHI
友「・・・・・・可愛いなぁ。多分クラスで一番だろ」

男「・・・・・・ああ、そうかも」

女「あ、おはよう! 男君」ニコ

男「え? あ、ああ。おはよう」

○○○「ねえ女ちゃん、どこの美容室行ってるの?」

女「ああ、私が行ってるのは――」

友「・・・・・・知り合い?」

男「うん、小さい頃の」

友「・・・・・・羨ましいわ」ニカ

男「はは、素直なんだな、友って」


15 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:18:09 7zMZhDHI
朝、HR

担任「――だから、帰りのHRに選択科目の希望書を集める」

○○○「どうするー?」

○○○「音楽でいいんじゃない? 楽そうだし」

友「男、同じにしよーぜ」

男「ああ、いいよ」

担任「じゃあ最後に。今朝、グラウンドで野良犬が死んでいた」

○○○「あ、私見たかも」

○○○「きもー」

担任「はい静かに。動物の死骸から病気が蔓延することもある、もし見かけても近づかないように」

○○○「おーす」

担任「あー・・・・・・それとな、生き物は大切にするように」

○○○「あはは、小学生じゃないんすから」

男(そんな当たり前のことを、なんでわざわざ言うんだ?)


16 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:18:43 7zMZhDHI
夕方、放課後、校門

男「・・・・・・」スタ、スタ

女「お疲れ様、男君」ニコ

男「ああ、お疲れ」

女「今日も一緒に帰ろうよ」

男「ああ、いい、けど」チラ

○○○「なに、四組の人?」ヒソヒソ

○○○「もう付き合ってんのか」ヒソヒソ

○○「早くなーい?」ヒソヒソ

女「どうしたの?」ニコ

男「ああ、いや。行くか」スタ、スタ

男(こういうの、気にしないんだな)


17 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:19:13 7zMZhDHI
夕方、街

女「学校楽しめそう?」スタ、スタ

男「中学と変わらないよ。なんとなーく友達作って、なんとなく勉強するわ」スタ、スタ

女「そっか」ニコ

男「ああ」スタ、スタ

女「あ! 猫だ」

猫「ミャア」

男「路地裏にダンボールって、捨て猫?」

女「よしよし」

猫「ミャア♪」

男「はは、昔から好きだったもんな、動物」

女「男君もそうでしょ?」ニコ


18 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:20:25 7zMZhDHI
男「あー・・・・・・正直良く覚えてないけど、こいつは確かに可愛いな」

猫「ンミャアー、ゴロゴロ」

女「あの頃もさ、こうして、一緒に捨て猫を見つけたことがあったよね」

男「そうだっけ」

女「そうだよ? あの日は確か、静かな夕方でね。二人で手を繋いで帰ってた」

男「なっ・・・・・・よく、覚えてるな」

女「男君が先に猫を見つけたんだ。この子と同じ、白い子猫だった」

男(・・・・・・ああ、そうだ。確か、小さなミカン箱に、ぼろぼろの毛布が敷いてあって――)

女「それで、私・・・・・・男君を喜ばせようと思って――」

男「ん?」


19 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:21:02 7zMZhDHI
女「・・・・・・」ニコ

猫「ぐ、ぎゃ、ぎぎ」ゴキゴキ

パキ

男「・・・・・・え?」

女「あの時と同じだね。そうそう、そんな顔してたよ」

猫「・・・・・・」

女「懐かしいね」

男「あ、あ・・・・・・」ドサ

女「また一緒に遊べるね、男君」ニコ

男「・・・・・・う、うわぁああ!」ダッダッダッ

女「あ、待っ――」


20 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:21:33 7zMZhDHI
駅、電車


――
―――
――――

プシュー、バタン

ガタン、ガタン

○○○『この電車は、新千歳空港行き、快速――』

男「ぜえ、ぜえ、ぜえ」

男「・・・・・・ぜえ、ぜえ」

(バキバキバキ、ぐ、ぎゃ、ぎぎ)

男「っ! うっ」

○○○「なにあの人ー、大丈夫?」ヒソヒソ

○○○「うわ、吐くんじゃない?」

男「・・・・・・はあ、はあ」

ガタン、ガタン


21 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:22:26 7zMZhDHI
夕方、男の部屋

男「・・・・・・」ゴロリ

男「・・・・・・なんだったんだ、あれ」ボソ

コンコン、ガチャ

男「・・・・・・なに?」

母「またこんな時間に寝て! 約束してたんでしょー?」

男「いや、気分が悪――約束?」

母「ええ、女ちゃんと」

男「は? なに、それ」

母「だから、久しぶりに家に呼んだんでしょう? 女ちゃんを」

男「呼んでない!!」

母「なに大声出してるのよ。だって、現にこうして――」

女「あはは、忘れちゃうなんて酷いなぁ、男君は」スタ

男「・・・・・・あ」


22 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:22:57 7zMZhDHI
母「久しぶりにゆっくりしていってね、女ちゃん」ニコ

女「ありがとうございます、おばちゃん」ニコ

ガチャ、バタン

女「・・・・・・」

男「・・・・・・な、なんで」

女「なんでって・・・・・・酷いなぁ。一人で勝手に帰った男君が悪いんだよ?」

男「・・・・・・いや、そうじゃ、ねーだろ」

女「全く、相変わらず自分勝手だなぁ、男君は」

男「そうじゃねーだろ! な、なんで猫を殺したんだよ!!」

女「・・・・・・なんでって、そういう遊びでしょ?」ニコ

男「・・・・・・あ、そび?」


23 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:23:54 7zMZhDHI
女「よく一緒にやっていたでしょう? だから久しぶりにさ、一緒に――」

男「俺はそんなことしてない!!」

女「したよ。蟻を踏んだり、トンボを引き裂いたり、蝶を燃やしたり」ニコ

男「む、虫だろ! それは!! それに、あんなの、子供の頃の!!」

女「だから、なに?」ニコ

男「はあ!? だ、だから!」

女「虫だからなに? 子供だからなに?」ニコ

男「・・・・・・あ、あ」

女「・・・・・・ねえ、男君。さっきから私を悪者みたいに言ってない?」

男「そ、そうだろ。だって、猫を!」

女「今まで散々殺したでしょう? 今更正義の味方ごっこしないでよ」ニコ

男「・・・・・・いや、だから!」


24 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:24:33 7zMZhDHI
女「男君が私に教えたんだよ?」

男「・・・・・・あ」

(やらないなら、あーそばない!)

女「覚えてる? 私が猫を殺した日、男君笑ってた」ズイ

男「は、は?」

女「自分の顔、分かってなかったの?」ズイ

男「やめ、近、づくな」

女「さっきも男君、笑ってたよ」ズイ

男「・・・・・・そん、な、こと、ない」

女「私もね、笑ってた」ニコ


25 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:25:20 7zMZhDHI
十二年前、空き地

男「・・・・・・なに、してるの?」

パキ

猫「・・・・・・」ドサ

女「・・・・・・え?」ニコ

男「・・・・・・」

女「ねえ、わたしもっとがんばるから、いっしょにあそんでくれるでしょ?」ニコ

男「・・・・・・あ、あは」ポタ、ポタ

女「・・・・・・あはは、おかしいね、男君。わらいながらないてるや」ニコ


――
―――
――――


26 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:25:54 7zMZhDHI
夕方、男の部屋

男「・・・・・・あ、あ」ポタ、ポタ

男(・・・・・・そうだ、俺の、せいだ)

女「男君のおかげだよ? あれから毎日、楽しくて仕方ないんだ」ニコ

男「・・・・・・あ、あは、は」ポタ、ポタ

女「ねえ、また続きをしよう?」

男「・・・・・・え?」ポタ、ポタ

女「あの夏は、まだ終わっていないよ」ニコ


27 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 21:26:46 7zMZhDHI
※ゆっくり更新していきます。
動物や虫が好きな方は見ない方がいいです。


28 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:02:09 7zMZhDHI
二週間後、朝、教室

友「おーす!」

男「・・・・・・おはよ」

友「なんか最近元気ないぞ。大丈夫か、お前」

男「ああ、大丈夫」

友「そうは見えないけどな。あ、そうだ! 明日休みだろ? どっか行こーぜ」ニカ

男「・・・・・・ごめん、明日はちょっと」

友「おーそうか! ならまた誘うよ」

男「・・・・・・ありがとう」

女「・・・・・・」ニコ

○○○「あれ、女ちゃん何みてるの?」

女「ううん。それで?」ニコ

○○○「それで、サッカー部の二年生の人が――」


29 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:02:45 7zMZhDHI
土曜日、昼、駅前

男「・・・・・・」スタ、スタ

女「こんにちは、男君」ニコ

男「・・・・・・あ、ああ」

女「昨日、友達に誘われたみたいだけれど、大丈夫?」

男「・・・・・・大丈夫」

女「そっか。こうして毎日男君と遊べて嬉しいよ。何だかデートみたいだね」

男「・・・・・・」

女「じゃあ、行こうか」ニコ


30 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:03:17 7zMZhDHI
住宅街、昼

女「あ、犬だよ! ゴールデンレトリバーかな?」

犬「ワフ、ワフ!」ブンブン

女「あはは、尻尾振ってるね! 可愛いなぁ」ニコ

男「・・・・・・ああ、そうだね」

女「えーっと、タロウって名前みたいだね。よし、行こっか。タロウ」ニコ

カチャ

犬「ワフ!」タッタッタ

男「・・・・・・」スタ、スタ

女「あはは、男君走れー! 飼い主にみつかっちゃうぞー」ニコ


31 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:03:58 7zMZhDHI
郊外の森、昼

女「・・・・・・はあ、はあ・・・・・・やっぱり大型犬は体力あるねー。ちょっと疲れちゃった」ニコ

犬「ワフワフ!」ブンブン

女「あはは、沢山走れて楽しいんだね、タロウ」

男「・・・・・・なあ」

女「んー?」

男「・・・・・・もう、やめよう? ペットが消えるって、結構、騒ぎになってる」

女「あはは、まだ大丈夫だよ。わざわざ電車で別の街まで来てるんだから」

男「・・・・・・でも」

女「私を止める権利、あるの?」


32 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:04:37 7zMZhDHI
男「・・・・・・」

女「じゃあはじめよっか! 今日はどうしようかなー・・・・・・よし、トンカチにしよう」

男「・・・・・・」

女「ほら、男君。リードを木に括り付けて?」

男「・・・・・・分かっ、た」

スルスル、ギュ

女「ぼさっとしない! ほら、合羽を着て?」

男「あ、ああ」スルスル

女「もう! 男君は私が居ないとほんと駄目なんだから」ニコ

男「・・・・・・」


33 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:05:10 7zMZhDHI
女「・・・・・・はあ、はあ。ねえ、私からでいい? いいよね?」ブン

バキ

犬「ギャアン!!」

バキ

犬「ギィィィ!!」

バキ ビシャ

犬「ギギ、ガフ、ガフ」ダラー

女「あはは! 脳みそ飛び出してきた!!」ブン

犬「ガガ、ガギ!」

バキ

女「・・・・・・はあ、はあ。たーのしい!! ね? 男君!」ニコ

男「・・・・・・」

女「・・・・・・ほら、やりなよ」ニコ


34 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:06:28 7zMZhDHI
男「・・・・・・え?」

女「ずっと後ろから見てるなんてつまらないでしょう? ほら」

男「い、いや、俺、は」

女「やりなよ。この虫殺し」ニコ

男「・・・・・・あ、ああぁぁ!!」ブン

バキ

犬「ギャギ!」

男「ああああああ!!!」ブン

バキ

女「あはは! やっぱり男の人の力って凄いね!!」ニコ

バキ

バキ

バキン


35 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:07:15 7zMZhDHI
男「・・・・・・はあ、はあ、はあ」ドサ

犬「・・・・・・」

女「あーあ、死んじゃった」ニコ

男「・・・・・・ああ、あ・・・・・・お、お、俺」

女「うん、男君が殺したんだよ」

男「う、うわぁあ!」スタ

ガシ、グイ


36 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:07:49 7zMZhDHI
女「逃げちゃ駄目だよ」

男「は、離せ、よ」

女「ほら、ちゃんと見て」グイ

男「うわっ!」ドサ

犬「・・・・・・」

女「汁とか脳とか一杯出てるでしょ? これ、男君がやったんだよ? 男君が殺したんだよ?」

男「あ、ああ、あ」ガクガク

女「楽しいでしょ?」

男「・・・・・・ああ、あ」ポタ、ポタ

女「私もすーっごく楽しいよ」ニコ


37 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/14(火) 22:15:35 10IDxrlc
男はなぜ女の言うことに従うんだろう?


38 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:19:36 7zMZhDHI
女「なんで泣いてるの?」

男「・・・・・・うっ。おえ、おええ」

女「あーあー、よしよし」ポン、ポン

男「・・・・・・はあ、はあ」

女「すっきりした?」

男「・・・・・・ち、がう。違うよ。これ・・・・・・こん、なの・・・・・・」

女「同じだよ」ニコ

男「・・・・・・」

女「蚊がいたら殺すでしょう? 豚を殺して食べるでしょう? 何が違うの?」

男「あ、え?」


39 : ◆rPuHN1dQX2 :2017/03/14(火) 22:21:20 7zMZhDHI
女「そんなの人の勝手な都合でしょう? じゃあいいじゃない。殺したって」

男「ち、がう、ちが」

女「違わない!! 男君がそう教えてくれたでしょ!? 楽しいから殺すって!! その通りなんだよ!!」

男「・・・・・・」

女「男君と離れてからも、私はずっと殺してきたよ? ・・・・・・ねえ、楽しいんでしょう? 男君」

男「・・・・・・」

女「男君のおかげだよ? 私が気づけたのは。あはは、ありがとう男君」ニコ

男(ああ、俺のなんだ)

男「・・・・・・は、ははは、は」

女「ほらやっぱり。変わらないね、男君」ニコ


40 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/17(金) 04:36:21 Exm9ysiU
はよはよ


41 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/24(金) 00:13:24 LoTiLjqs
夜に見るもんじゃなかった
支援


42 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/04/02(日) 14:39:37 CqNTaQVc
続き待ってるぞ


43 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/04/02(日) 16:28:24 sRFFJgxA
あの夏から一番遠くに来たね


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