■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■

「あなたが好きです。大好きです」

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:27:34 /FUCHOrI
夕方、放課後、美術室

先生「・・・・・・ほら、男君。もう君しか残っていないよ。早く終わらせないと」

男「・・・・・・んー、最後の色が決まらないんですよ」

先生「そういう時はね、思い切って好きな色を塗ってみよう」

男「好きな色って・・・・・・この絵、花瓶ですよ?」

先生「いいのいいの。嫌いな色で塗った絵なんて、楽しくないでしょう?」

男「そういうものなんですか?」

先生「私にとってはそういうものです」ニコ

男「んー・・・・・・先生の好きな色ってなんですか?」

先生「そうだなぁ、水色かな」

男「・・・・・・水色の花瓶かぁ」

先生「いや、自分の好きな色で塗るんだよ?」

男「ははは。分かってますって」


"
"
2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:28:08 /FUCHOrI
先生「・・・・・・あ、でも今は銀色が好きかも」

男「先生の好きな色を話しても、仕方ないんじゃなかったでしたっけ」

先生「あはは、ごめんごめん」

男「・・・・・・あ、指輪ってことか」

先生「うん、そうそう」

男「ご結婚おめでとうございます」

先生「おお、男君がしっかりと丁寧な言葉を」

男「茶化さないで下さいよ、しっかりと丁寧に祝っているんですから」

先生「ありがとう」ニコ

キーンコーンカーンコーン

先生「あ、もう時間だね」

男「はああ、やっと帰れるー」

先生「続きは明日の朝やりなさい」

男「うわ、まじすか」

先生「まじです。提出期限を一日延ばしただけでも、ありがたいと思いなさい」ニコ


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:28:39 /FUCHOrI
夕方、放課後、校門

男「・・・・・・はあ、明日六時起きかよ」スタ、スタ

女「・・・・・・」

男「・・・・・・あ」スタ、スタ

男(足なっげーな)ドキドキ

女「え? ああ、男か。 なに、補習?」

男「いや、美術の課題が終わんなくてさ。放課後まで居残り」

女「それは、補習」

男「・・・・・・お前は? 何してんの」

女「補習帰り」

男「あはは、お前もかよ」

女「疲れた」

男「もう帰るんだろ? 駅まで一緒行くか」ドキドキ


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:29:14 /FUCHOrI
夕方、駅のホーム

男「・・・・・・」ドキドキ

女「・・・・・・誘ったんだから、何か話してよ」

男「いや、だって何もないんだよ」

女「・・・・・・つまんない奴」

男「そんなこと言われたってなぁ」

女「・・・・・・美術の補習ってことは、先生か」

男「え? ああ、そうそう、先生な。好きな色が水色から銀色に変わった方の」

女「あれさ、何で水色か知ってる?」

男「あ、そこまでは聞いてない」

女「恋の色っぽいからだって」

男「ぶっ! ははは。何だよそれ。似合わねー」

女「そう? 案外お似合いだと思うけど」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:29:48 /FUCHOrI
男「あー・・・・・・まあ言われてみれば、確かに。でもさ、恋のイメージって赤とかピンクじゃないか?」

女「安直だなぁ」

男「素直って言え」

女「でもさ、恋の色って一種類じゃないと思う。ほら、人の数だけーみたいな」

男「恋の色を語る、お花畑な女子高生」

女「と、痛々しい男子高校生」

男「やめろ、なんか途端に恥ずかしくなってくるわ」

女「まあ、ようするに。赤とかレモンイエローとか水色みたいに、真っ黒な恋とかもあると思う」

男「真っ黒は流石にないだろ」

女「・・・・・・あるって。これだけ人が居るんだから」

男「あー・・・・・・そうかも」

駅員『まもなく、江別行き普通列――』

女「・・・・・・」

男「・・・・・・やっぱり真っ黒はないだろ」

女「分かった分かった」


"
"
6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:30:29 /FUCHOrI
翌日、始業前、廊下

男「はあ、ねみい」スタ、スタ

友「あれ、男じゃん、おはよー。ていうか今日早いな」

男「おう、お疲れ」

友「お疲れ?」

男「朝から補習だった。六時起き」

友「だはは! ざまーみろだ」

男「声でけえ、頭痛くなるわ」

友「俺なんか朝練で毎日五時半起きだぞ? 少しは俺の凄さが分かったか」

男「ああ、早起きが凄く好きなんだな」

友「いや、バスケが好きなんだよ」


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:31:05 /FUCHOrI
友「そういえば、昨日の放課後女と歩いてたって?」

男「あ、ああ」

友「付き合ってんの?」

男「はあ? なんでそうなるんだよ」

友「二人きりで歩くってそういうことだろ」

男「それなら俺とお前も付き合ってることになるけど」

友「いや、それはないわ」

男「・・・・・・うわ、ごめん。キモいな」

友「ああ、スーパーキモいわ」

男「まあとりあえず、付き合ってはいないぞ」

友「とりあえず?」ニヤ

男「・・・・・・全く付き合ってはいない」

友「ははは、寂しい男だな」

男「お互い様だろ」


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:31:45 /FUCHOrI
始業前、教室

ガラガラ

友「おいーっす」

帰宅部「おう、おはよ。てか男早くね?」

男「もう聞かないでくれ」

友「朝補習だってさ」

帰宅部「ははは」

女「・・・・・・」


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:32:17 /FUCHOrI
男「・・・・・・女、おはよ」ドキドキ

女「おはよ」ニコ

男「え!?」

友「どーした男、大きい声出して」

男「あ、いや。・・・・・・別に」

友「そっかそっか。てかお前そろそろバスケ部入れよー、人足りねえ」

帰宅部「いやだよ、朝練したくねーし」

男(・・・・・・なんかいつもと違わないか?)ドキドキ

女「・・・・・・」


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:33:10 /FUCHOrI
四時限目、教室

先生「その西洋人の優れて白い皮膚の色が、掛茶屋へ入るや否や、すぐ私の注意を――」

ギャル「先生質問」

先生「ん? なにかな?」

ギャル「結婚生活はどうですかー」

先生「俺の話は良いだろ。はい、みんなも笑わない」

ギャル「あはは、はーい」

友「・・・・・・すう、すう・・・・・・ぐが・・・・・・すう、すう」

男「・・・・・・」チラ

女「・・・・・・」スラスラ

男(朝の笑顔は何だったんだろう、いつもは無表情なのに)

男(なんか、良いことでもあったのかな)


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:33:47 /FUCHOrI
女「・・・・・・」ニコ

男(あ、また笑ってる・・・・・・可愛い)

男「いや! 違う違う!」

友「・・・・・・ほえ?」

先生「どうした、男」

男「あ! いや。・・・・・・すいません」

先生「・・・・・・大抵は頭に護謨製の頭巾を被って、海老茶や紺や藍の色を波間に浮かし――」

男(は、恥ずかしい・・・・・・ていうか女こと見過ぎだろ、俺・・・・・・友が余計なことを言ったせいだ)ドキドキ


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:34:23 /FUCHOrI

昼休み、美術室

男「・・・・・・」もぐもぐ

先生「・・・・・・あ、今日の卵焼きは成功だ」

男「そうすか」もぐもぐ

先生「・・・・・・それで、どうしたの?」

男「え?」

先生「私に何か話したいことがあるから来たんでしょう?」ニコ

男「あ、あー・・・・・・はい」

先生「言ってみなさい」

男「・・・・・・笑わないで下さいよ? えっと」

――――
―――
――



13 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:34:54 /FUCHOrI
先生「あははは!」

男「わ、笑わないでって言ったじゃないですか!」

先生「ごめんごめん、はは、可愛いなぁ。というより、そういうのはクラスメートとかに話すことじゃないの?」

男「いや、ほら。先生、最近結婚したじゃないですか。そういうの話し易そうっていうか」

先生「なるほど」

男「・・・・・・なんか、最近女が変なんですよ。目で追っちゃうっていうか。今日なんかニコって笑ったんですよ?」

先生「それは女君が変わったっていうより、男君が変わったんじゃないのかな?」

男「そうなんですか?」

先生「うんうん。相手を好きになるとね、前とは見え方が変わってくるものだよ」

男「す、好きとは言ってないじゃないですか!」


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:35:24 /FUCHOrI
先生「あれ? そういう話じゃないの?」

男「そう、ですけど」

先生「よし、ならデートに誘ってしまおう」

男「え!? は、早くないですか?」

先生「こういうのは早い方が良いと思うよ。ぼやぼや片思いをしていたら、他の人に取られるかも」

男「あ・・・・・・それは」

先生「そうでしょう? 高校生活も後一年なんだから、思い切ってやってみなさい」ニコ

男「は、はい!」

先生「うんうん」


15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:36:02 /FUCHOrI


          既読
          19:22「お疲れ」

女「なに?」19:31

          既読
          19:38「土曜日暇?」

女「暇じゃ」19:45

          既読
          19:48「暇じゃ、ない?」

女「暇じゃ(おじいさん)」19:50

          既読
          20:02「ああ、そういう」

女「で、なに?」20:07

          
          20:29「遊びに行かない?」


16 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:36:36 /FUCHOrI
夜、男の部屋

男「・・・・・・返事、来ないな」

男「・・・・・・」

男「・・・・・・なんだこれ。なんの間だよ」

ピコン

男「うわ! き、来た」ドキドキ

女「い」21:04

男「お、お・・・・・・?」

ピコン

女「ミス。いいよ」21:04

男「・・・・・・はあ。心臓に悪い」

男(・・・・・・そっか、俺、デートするのか・・・・・・女と)

男「・・・・・・うおぉぉ!」バタバタ


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:37:28 /FUCHOrI
深夜


女「・・・・・・ん・・・・・・あっ」

先生「・・・・・・はあ・・・・・・ん」

女「・・・・・・んん・・・・・・先、生・・・・・・?」

先生「・・・・・・はあ、はあ・・・・・・なんだい?」

女「ヨダレ、糸引いてる」

先生「は、はは。お互い様じゃないか」

女「・・・・・・ねえ先生、嬉しいですか?」

先生「ああ、嬉しいよ」

女「・・・・・・幸せですか?」ギュ

先生「はあ、はあ・・・・・・ああ、幸せだ」

女「そう」ニコ


18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:38:02 /FUCHOrI
先生「・・・・・・そろそろ、名前で呼んでくれないか?」

女「あれ? 制服のまま押し倒すから、そういうのが好きなんだと思っていました」

先生「俺は、そ、そんな変態じゃないよ」

女「あはは、そうですね」

先生「・・・・・・お、女君、本当に、良いのかい?」

女「・・・・・・いいよ、おいで?」

先生「あ、ああ」ゴクリ

女「・・・・・・その前に、指輪、はずしてくれますか?」

先生「・・・・・・え?」

女「私が欲しいんでしょう?」ニコ

先生「・・・・・・は、ははは。ああ、ほ、欲しいよ・・・・・・これで、いいんだろう?」スル、ポトリ


19 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:38:38 /FUCHOrI
女「はい」ニコ

先生「・・・・・・じゃ、じゃあ・・・・・・入れるよ」ズイ

女「んあ・・・・・・痛っ・・・・・・ああ!」

先生「あ、はぁぁ・・・・・・あ、あはは、温かいよ」ズイ

女(ああ・・・・・・私、真っ黒だ。最低の、クズだ。はは、は・・・・・・でも、)

女「先生だって、そうでしょう?」ボソ

先生「・・・・・・はあ、はあ、え?」

女「・・・・・・」ニコ

ポタ、ポタ

――――
―――
――



20 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 17:39:16 /FUCHOrI
※続きは書き溜めて更新します。


21 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/09(木) 20:02:15 /FUCHOrI

深夜、先生の家

ガチャ、バタン

「おかえりなさい」ニコ

「・・・・・・あ、ああ。ただいま」

「遅かったんだね」

「ほら、大学の同期と飲むって昨日言っただろ」

「そうだったね。お風呂どうする?」

「入った」

「え?」

「あ、いや、入るよ」

「はーい」ニコ


22 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/03/11(土) 09:15:03 lDIZGV8A
女が怖いな


"
"

■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■