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「あなたが好きです。大好きです」
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夕方、放課後、美術室
先生「・・・・・・ほら、男君。もう君しか残っていないよ。早く終わらせないと」
男「・・・・・・んー、最後の色が決まらないんですよ」
先生「そういう時はね、思い切って好きな色を塗ってみよう」
男「好きな色って・・・・・・この絵、花瓶ですよ?」
先生「いいのいいの。嫌いな色で塗った絵なんて、楽しくないでしょう?」
男「そういうものなんですか?」
先生「私にとってはそういうものです」ニコ
男「んー・・・・・・先生の好きな色ってなんですか?」
先生「そうだなぁ、水色かな」
男「・・・・・・水色の花瓶かぁ」
先生「いや、自分の好きな色で塗るんだよ?」
男「ははは。分かってますって」
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"
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先生「・・・・・・あ、でも今は銀色が好きかも」
男「先生の好きな色を話しても、仕方ないんじゃなかったでしたっけ」
先生「あはは、ごめんごめん」
男「・・・・・・あ、指輪ってことか」
先生「うん、そうそう」
男「ご結婚おめでとうございます」
先生「おお、男君がしっかりと丁寧な言葉を」
男「茶化さないで下さいよ、しっかりと丁寧に祝っているんですから」
先生「ありがとう」ニコ
キーンコーンカーンコーン
先生「あ、もう時間だね」
男「はああ、やっと帰れるー」
先生「続きは明日の朝やりなさい」
男「うわ、まじすか」
先生「まじです。提出期限を一日延ばしただけでも、ありがたいと思いなさい」ニコ
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夕方、放課後、校門
男「・・・・・・はあ、明日六時起きかよ」スタ、スタ
女「・・・・・・」
男「・・・・・・あ」スタ、スタ
男(足なっげーな)ドキドキ
女「え? ああ、男か。 なに、補習?」
男「いや、美術の課題が終わんなくてさ。放課後まで居残り」
女「それは、補習」
男「・・・・・・お前は? 何してんの」
女「補習帰り」
男「あはは、お前もかよ」
女「疲れた」
男「もう帰るんだろ? 駅まで一緒行くか」ドキドキ
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夕方、駅のホーム
男「・・・・・・」ドキドキ
女「・・・・・・誘ったんだから、何か話してよ」
男「いや、だって何もないんだよ」
女「・・・・・・つまんない奴」
男「そんなこと言われたってなぁ」
女「・・・・・・美術の補習ってことは、先生か」
男「え? ああ、そうそう、先生な。好きな色が水色から銀色に変わった方の」
女「あれさ、何で水色か知ってる?」
男「あ、そこまでは聞いてない」
女「恋の色っぽいからだって」
男「ぶっ! ははは。何だよそれ。似合わねー」
女「そう? 案外お似合いだと思うけど」
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男「あー・・・・・・まあ言われてみれば、確かに。でもさ、恋のイメージって赤とかピンクじゃないか?」
女「安直だなぁ」
男「素直って言え」
女「でもさ、恋の色って一種類じゃないと思う。ほら、人の数だけーみたいな」
男「恋の色を語る、お花畑な女子高生」
女「と、痛々しい男子高校生」
男「やめろ、なんか途端に恥ずかしくなってくるわ」
女「まあ、ようするに。赤とかレモンイエローとか水色みたいに、真っ黒な恋とかもあると思う」
男「真っ黒は流石にないだろ」
女「・・・・・・あるって。これだけ人が居るんだから」
男「あー・・・・・・そうかも」
駅員『まもなく、江別行き普通列――』
女「・・・・・・」
男「・・・・・・やっぱり真っ黒はないだろ」
女「分かった分かった」
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"
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翌日、始業前、廊下
男「はあ、ねみい」スタ、スタ
友「あれ、男じゃん、おはよー。ていうか今日早いな」
男「おう、お疲れ」
友「お疲れ?」
男「朝から補習だった。六時起き」
友「だはは! ざまーみろだ」
男「声でけえ、頭痛くなるわ」
友「俺なんか朝練で毎日五時半起きだぞ? 少しは俺の凄さが分かったか」
男「ああ、早起きが凄く好きなんだな」
友「いや、バスケが好きなんだよ」
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友「そういえば、昨日の放課後女と歩いてたって?」
男「あ、ああ」
友「付き合ってんの?」
男「はあ? なんでそうなるんだよ」
友「二人きりで歩くってそういうことだろ」
男「それなら俺とお前も付き合ってることになるけど」
友「いや、それはないわ」
男「・・・・・・うわ、ごめん。キモいな」
友「ああ、スーパーキモいわ」
男「まあとりあえず、付き合ってはいないぞ」
友「とりあえず?」ニヤ
男「・・・・・・全く付き合ってはいない」
友「ははは、寂しい男だな」
男「お互い様だろ」
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始業前、教室
ガラガラ
友「おいーっす」
帰宅部「おう、おはよ。てか男早くね?」
男「もう聞かないでくれ」
友「朝補習だってさ」
帰宅部「ははは」
女「・・・・・・」
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男「・・・・・・女、おはよ」ドキドキ
女「おはよ」ニコ
男「え!?」
友「どーした男、大きい声出して」
男「あ、いや。・・・・・・別に」
友「そっかそっか。てかお前そろそろバスケ部入れよー、人足りねえ」
帰宅部「いやだよ、朝練したくねーし」
男(・・・・・・なんかいつもと違わないか?)ドキドキ
女「・・・・・・」
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四時限目、教室
先生「その西洋人の優れて白い皮膚の色が、掛茶屋へ入るや否や、すぐ私の注意を――」
ギャル「先生質問」
先生「ん? なにかな?」
ギャル「結婚生活はどうですかー」
先生「俺の話は良いだろ。はい、みんなも笑わない」
ギャル「あはは、はーい」
友「・・・・・・すう、すう・・・・・・ぐが・・・・・・すう、すう」
男「・・・・・・」チラ
女「・・・・・・」スラスラ
男(朝の笑顔は何だったんだろう、いつもは無表情なのに)
男(なんか、良いことでもあったのかな)
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女「・・・・・・」ニコ
男(あ、また笑ってる・・・・・・可愛い)
男「いや! 違う違う!」
友「・・・・・・ほえ?」
先生「どうした、男」
男「あ! いや。・・・・・・すいません」
先生「・・・・・・大抵は頭に護謨製の頭巾を被って、海老茶や紺や藍の色を波間に浮かし――」
男(は、恥ずかしい・・・・・・ていうか女こと見過ぎだろ、俺・・・・・・友が余計なことを言ったせいだ)ドキドキ
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昼休み、美術室
男「・・・・・・」もぐもぐ
先生「・・・・・・あ、今日の卵焼きは成功だ」
男「そうすか」もぐもぐ
先生「・・・・・・それで、どうしたの?」
男「え?」
先生「私に何か話したいことがあるから来たんでしょう?」ニコ
男「あ、あー・・・・・・はい」
先生「言ってみなさい」
男「・・・・・・笑わないで下さいよ? えっと」
――――
―――
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先生「あははは!」
男「わ、笑わないでって言ったじゃないですか!」
先生「ごめんごめん、はは、可愛いなぁ。というより、そういうのはクラスメートとかに話すことじゃないの?」
男「いや、ほら。先生、最近結婚したじゃないですか。そういうの話し易そうっていうか」
先生「なるほど」
男「・・・・・・なんか、最近女が変なんですよ。目で追っちゃうっていうか。今日なんかニコって笑ったんですよ?」
先生「それは女君が変わったっていうより、男君が変わったんじゃないのかな?」
男「そうなんですか?」
先生「うんうん。相手を好きになるとね、前とは見え方が変わってくるものだよ」
男「す、好きとは言ってないじゃないですか!」
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先生「あれ? そういう話じゃないの?」
男「そう、ですけど」
先生「よし、ならデートに誘ってしまおう」
男「え!? は、早くないですか?」
先生「こういうのは早い方が良いと思うよ。ぼやぼや片思いをしていたら、他の人に取られるかも」
男「あ・・・・・・それは」
先生「そうでしょう? 高校生活も後一年なんだから、思い切ってやってみなさい」ニコ
男「は、はい!」
先生「うんうん」
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夜
既読
19:22「お疲れ」
女「なに?」19:31
既読
19:38「土曜日暇?」
女「暇じゃ」19:45
既読
19:48「暇じゃ、ない?」
女「暇じゃ(おじいさん)」19:50
既読
20:02「ああ、そういう」
女「で、なに?」20:07
20:29「遊びに行かない?」
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夜、男の部屋
男「・・・・・・返事、来ないな」
男「・・・・・・」
男「・・・・・・なんだこれ。なんの間だよ」
ピコン
男「うわ! き、来た」ドキドキ
女「い」21:04
男「お、お・・・・・・?」
ピコン
女「ミス。いいよ」21:04
男「・・・・・・はあ。心臓に悪い」
男(・・・・・・そっか、俺、デートするのか・・・・・・女と)
男「・・・・・・うおぉぉ!」バタバタ
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深夜
女「・・・・・・ん・・・・・・あっ」
先生「・・・・・・はあ・・・・・・ん」
女「・・・・・・んん・・・・・・先、生・・・・・・?」
先生「・・・・・・はあ、はあ・・・・・・なんだい?」
女「ヨダレ、糸引いてる」
先生「は、はは。お互い様じゃないか」
女「・・・・・・ねえ先生、嬉しいですか?」
先生「ああ、嬉しいよ」
女「・・・・・・幸せですか?」ギュ
先生「はあ、はあ・・・・・・ああ、幸せだ」
女「そう」ニコ
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先生「・・・・・・そろそろ、名前で呼んでくれないか?」
女「あれ? 制服のまま押し倒すから、そういうのが好きなんだと思っていました」
先生「俺は、そ、そんな変態じゃないよ」
女「あはは、そうですね」
先生「・・・・・・お、女君、本当に、良いのかい?」
女「・・・・・・いいよ、おいで?」
先生「あ、ああ」ゴクリ
女「・・・・・・その前に、指輪、はずしてくれますか?」
先生「・・・・・・え?」
女「私が欲しいんでしょう?」ニコ
先生「・・・・・・は、ははは。ああ、ほ、欲しいよ・・・・・・これで、いいんだろう?」スル、ポトリ
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女「はい」ニコ
先生「・・・・・・じゃ、じゃあ・・・・・・入れるよ」ズイ
女「んあ・・・・・・痛っ・・・・・・ああ!」
先生「あ、はぁぁ・・・・・・あ、あはは、温かいよ」ズイ
女(ああ・・・・・・私、真っ黒だ。最低の、クズだ。はは、は・・・・・・でも、)
女「先生だって、そうでしょう?」ボソ
先生「・・・・・・はあ、はあ、え?」
女「・・・・・・」ニコ
ポタ、ポタ
――――
―――
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※続きは書き溜めて更新します。
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深夜、先生の家
ガチャ、バタン
「おかえりなさい」ニコ
「・・・・・・あ、ああ。ただいま」
「遅かったんだね」
「ほら、大学の同期と飲むって昨日言っただろ」
「そうだったね。お風呂どうする?」
「入った」
「え?」
「あ、いや、入るよ」
「はーい」ニコ
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女が怖いな
"
"
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