■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
男「手を離したら食われる」
-
男「こえぇぜ」
"
"
-
俺の幼なじみ、女。
幼なじみといえば聞こえはいいが
つまりは腐れ縁というやつだ。
そんな腐れ縁の女が
ある日俺に言った。
『私ね、バケモノになっちゃった』
-
曰く
現代の医学や科学ではどうにもできない、説明できない
突然変異とのことで。
残念ながら俺の残念な頭では理解できなかった。
バケモノとはなんぞや?
いきなりそんな事を言われても。
女は続けて言った。
『ママとパパ…食べちゃった』
女は泣いていた。
-
俺はさぁ、と血の気が引く音が聞こえた。
揶揄でなく、本当に聞こえた。
体温が無くなったのではないかと
思わず自分の首筋に手を当てて
どくどくと打つ脈に
ようやく自分の体温を感じ安堵した。
はぁはぁと息を
酸素を酸素を酸素を欲する俺。
だって
理解が追いつかないのだもの。
-
『お、俺も…たた、食べるつもりか』
どもりながら
ようやく出た言葉が、これかよ。
我ながら情けなくなった。
『食べたくなんか、ないよ』
『でも、分かんない』
『食べちゃう、かも、しんない』
"
"
-
俺は、食べられてしまうのかもしれない。
圧倒的に情報が足りない中で
それだけは、分かっている事実だった。
食べられてしまうのかもしれない、という事は
食べられてしまわないのかもしれないし
やっぱり食べられてしまうのかもしれない。
二択なら50%なのでは。
そんな果てしなくどうでもいい事を思った。
-
『…』
泣いている。
女が、泣いている。
さて、俺は目の前のこいつを
どうやら捨て置け無いらしく
近づこうと一歩歩んだ。
『駄目!』
『今の私…何するか…分かん、ない、から』
でしょうね。
俺の方も何されるか分かんないもん。
怖いったらありゃしない。
-
でも、まぁ…なんつうか
ありがちな話だけど
長い付き合いだし
つまり、こいつの事が好きな訳だし。
やっぱり、放っておけないわなぁ。
『だ、め…』
『来ちゃ…』
『本当に…』
『私…』
とかなんとかやっているうちに
手が届く距離に。
-
震えてるなぁ、手。
どうしようか、どうしよう。
とりあえず、できる範囲で
できる事をしようか。
『!』
震える女の手を握った。
こんな事したところで意味は無いのかもしれないが。
『…』
女の表情が少し和らいだ…気がしないでもない。
意味はあったのかもしれない。
なら
この手は離さないでおこう。
決して
この手は離さないでおこう。
意味は無くとも
この手は離さないでおこう。
-
・ ・ ・ ・ ・
それから女は
俺を食べはしなかった。
けれども女は
人を食うのを止めはしなかった。
この手は離さない。
決して離さない。
-
見た目は変わってないのか?
-
揶揄×→比喩◯こうじゃね?
-
ico
-
背中側に掴まってるから食われずにすんでいる、という残念な回答を提示する
-
こえぇな
"
"
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■