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アルミン「多分、吸血鬼だと思う
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※進撃の巨人SS ネタバレあります。
ガチャッバタン!
エレン「アルミン、この棚重てぇ! 動かすの手伝ってくれ!」ズリ、ズリ
アルミン「あ、ああ!」 ズリリリリ
エレン「・・・・・・はあ、はあ。これで戸はしばらく大丈夫そうだ」
アルミン「ごめん、僕が逃げ遅れたせいで、エレンが怪我を・・・・・・僕は、本当に足手まといだ」
エレン「そんなことねえって・・・・・・はあ、はあ」
アルミン「ごめん・・・・・・」
"
"
-
エレン「それより、これからどうする? この戸からは出られそうにないぞ」
アルミン「――僕のガスの量はあと僅かだ、立体起動は出来ない。エレンは?」
エレン「本体がぶっ壊れちまってる。刃は全部残ってるが、何の意味もねえ」
アルミン「・・・・・・もう、おしまいだ」
エレン「なら、潔く死ぬか?」
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アルミン「え?」
エレン「アルミンが諦めているんだ。そんな状況で俺が何を考えても無駄なことくらい分かる」
アルミン「でも、エレンには大事な夢があるんだろ? そんな簡単に死ぬなんて」
エレン「お前はどうなんだよ、アルミン」
エレン「アルミンにも夢があるだろ! ここで諦めて、死んでいいのかよ」
アルミン(海、砂の雪原、氷の大地・・・・・・)
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エレン「アルミン、俺はお前に託すよ。アルミンが考えた計画なら俺は従う」
エレン「いつかこの戸も破られる。早めに決めてくれ」
エレン「この状況を打破できるか、できないか。俺はどっちでもお前の意見を尊重する」
アルミン「・・・・・・エレン、どうして僕にそんな決断を託すの?」
エレン「お前って、やばい時程どの行動が正解か当てることができるだろ?」
エレン「それに頼りたいと思ったからだ」
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アルミン「いつそんなことが?」
エレン「色々あっただろ? 5年前なんか」
エレン「お前がハンネスさんを呼んでくれなかったら、俺もミカサも巨人に食われて死んでた」
アルミン(自分が足手まといだって、僕は思い込んでた)
アルミン(エレンはそんなこと、思ってなかったのに)
アルミン(これ以上の説得力がどこにある・・・・・・僕に命を任せると言っている人は)
アルミン(僕がこの世で最も信頼している人間だ・・・・・・)
"
"
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アルミン「必ずここから脱出してみせる!」
エレン「分かった・・・・・・信じてるぞ、アルミン」
アァァァ アアアァ オォォオ
エレン「人間の声、聞こえなくなったな。一体何なんだ、あいつら」
アルミン「多分、吸血鬼だと思う」
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――数時間前・トロスト区壁上
サシャ「上官の食料庫からお肉盗ってきました」
エレン「サシャ・・・・・・お前、独房にぶち込まれたいのか?」
トーマス「お前・・・・・・本当にバカなんだな」
コニー「バカって怖えぇ・・・・・・」
ミーナ「え?」コニーの方チラッ
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――――
ミーナ「わ、私も食べるから! 取っといてよ・・・・・・!!」
サムエル「何つっ立ってんだエレン。作業に戻んねぇとバレちまうぞ!」
ミーナ「お昼はまだ先だよ」
エレン(お前ら・・・・・・)
エレン(あれから――5年経った)
エレン(3分の1の領土と2割の人口を失って、ようやく人類は尊厳を取り戻しつつある)
エレン(勝てる――人類の反撃は、これからだ)
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サシャ「!」クンクン
コニー「あ? どうしたサシャ」
サシャ「風に乗って、血の臭いがします・・・・・・」
サムエル「あはは、何を言ってんだ。腹の減りすぎでおかしくなったか?」
サシャ「違います!! 本当に、凄い血の臭いが」
ミーナ「何? どうしたの? 2人とも」
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エレン「血って、どこからそんな臭いすんだよ」
サシャ「壁内です!」
コニー「な、巨人か!?」
ミーナ「でも、ここから見る分にはトロスト区に巨人なんていないよ?」
トーマス「おい、誰か壁を登ってくるぞ!」
バッ
先遣班A「お、お前ら、訓練兵か?」ポタッポタッ
-
ミーナ「固定砲整備4は――って、凄い怪我じゃないですか!!」
サムエル「大丈夫ですか!? 肩を貸します!」
先遣班A「あ、ああ。俺は、先遣班の、Aだ・・・・・・」
エレン「先遣班!? それじゃあ本当に、巨人が」
先遣班A「違う! 巨人じゃない・・・・・・巨、人じゃ、ないんだ」
トーマス「出血量が多すぎる、早く医療班を呼ばないと!」
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先遣班A「おま・・・・・・ら、壁を降り、るな。降りたら、し」ドサッ
サムエル「Aさん? Aさん!」
コニー「どうしたっていうんだよ!」
サムエル「・・・・・・死んでる」
ミーナ「なんなの一体・・・・・・」
サシャ「エ、エレンは班長ですよね!? どうすればいいですか?」
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エレン「と、とにかく落ち着け! 俺が駐屯兵を呼んでくる!」
トーマス「あ、ああ。分かっ――!?」
エレン「どうした?」
コニー「お、おい。サムエル・・・・・・」
サシャ「その人・・・・・・」
サムエル「え?」
先遣班A「 」ムクリ
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サムエル「A、さん? え・・・・・・があぁぁああ!!」
ミーナ「きゃああ!!」
サシャ「何をしているんですか!!」
先遣班A「アァアア」クチャ、クチャ
トーマス「く、食ってる・・・・・・」
エレン「やめろぉぉぉお!!」ドン!
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ミーナ「サムエル大丈夫!?」
サムエル「いってえぇぇぇ、耳を、食いちぎられた」
サシャ「あの人、落ちちゃいましたよ・・・・・・」
エレン「あ、ああ。分かってる・・・・・・分かってる!!」
コニー「どうすりゃいいんだ、これ」
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エレン「コニー、サシャ! お前らは立体起動の速度が早い。サムエルを医療班の所に届けてくれ」
コニー「分かった!」
サシャ「私が担ぎます。行きますよコニー!」 バシュッ
コニー「おう!」バシュッ
エレン「俺達はAさんを確認しにいくぞ!」
トーマス「ああ」
ミーナ「うん!」
-
――トロスト区壁際
トーマス「駄目だ、死んでるよ」
エレン「そうだな・・・・・・」
ミーナ「し、仕方なかったよ! エレンは悪くない。この人が、急に」
トーマス「そ、そうだ。エレンはサムエルを守ったんだ」
エレン「ああ、分かってる・・・・・・ありがとな」
トーマス「とにかく補給所に向かおう」
ミーナ「うん。先遣班が動いているってことは、兵団は巨人侵入時の作戦をベースに動いているハズだよ」
-
――トロスト区中部・補給所
駐屯兵・兵長「――情報が錯綜している為、緊急だが超大型巨人出現時の作戦を元に、諸君らに任務を言い渡す」
駐屯兵・兵長「訓練通りに各班ごと通路に分かれ、駐屯兵団の指揮の下、情報伝達と住民の避難、敵の掃討を行ってもらう」
駐屯兵・兵長「以上だ。何か質問はあるか?・・・・・・そこ、訓練兵か?」
アルミン「はっ! 訓練兵団所属、アルミン・アルレルトです!」
駐屯兵・兵長「アルレルト訓練兵、質問を述べよ」
アルミン「・・・・・・敵とは、何でしょうか」
-
――
ミカサ「アルミン!」
アルミン「ミカサ、無事だったんだね」
ミカサ「エレンがいない」
アルミン「緊急招集だったから、集まりきれていない班が何班もいるみたいなんだ」
アルミン「それに、今は街があんな状態だからね。足止めを食っているのかもしれない・・・・・・」
ミカサ「エレンが・・・・・・危ない」
アルミン「ミカサ、落ち着いて。エレンの班は今日壁上の任務だった筈だよ。きっと大丈夫だから」
-
ミカサ「壁上・・・・・・アルミン、私は任務が開始次第前衛方面に向かう」
イアン班長「ミカサ訓練兵!! お前は特別に後衛部隊だ。付いて来い!!」
ミカサ「・・・・・・私は訓練兵です! 訓練兵は通常、中衛に――」
イアン班長「お前の判断を聞いているのではない」
イアン班長「ウォールマリアへ通じる門を中心に暴動が起きている。鎮圧に多くの精鋭が必要だ」
ミカサ「し・・・・・・しかし!」
アルミン「ミカサ!!」
-
アルミン「クーデター・・・・・・いや、伝染病かも・・・・・・とにかく、これは人類の存続に関わるかもしれないんだ」
アルミン「ミカサ個人の都合で動いたらいけないよ」
ミカサ「でも・・・・・・」
アルミン「エレンがここに居たら、きっと同じことを言っていた筈だよ」
アルミン「大丈夫、僕は中衛だ。きっとエレンと合流するから、安心して欲しい」
ミカサ「悪かった・・・・・・私は冷静じゃなかった」
ミカサ「でも、頼みがある・・・・・・1つだけ、どうか」
ミカサ「二人とも無事に帰ってきて」
-
アルミン(ミカサ・・・・・・)
アルミン「うん、ミカサもね。それじゃあ」
アルミン(人が人を襲う・・・・・・それもトロスト区全域で被害報告が出ている)
アルミン(クーデターにしては変だ。王都ではなくわざわざトロスト区を襲うメリットがない)
アルミン(伝染病……狂犬病、にしては症状が違いすぎる……じゃあ、何だ。あれは、まるで)
アルミン(人を食べるなんて、まるで巨人じゃないか・・・・・・)
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――トロスト区前部・住宅地
エレン「おい、トーマス! 早く屋根に上れ!!」
ミーナ「急いで!!」
トーマス「ああ!!」バシュッ
ミーナ「トーマス、腕から血が」
トーマス「さっき暴徒を押さえつけようとした時に、噛まれたんだ。大丈夫、見た目より酷くない」
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アアァアアァ ぎゃああぁ!!! やめてえぇえ!! アァアアア
ミーナ「人が、人を食べてる……」
トーマス「な、なあエレン。こいつら、巨人じゃないよな?」
エレン「人間と同じ大きさの巨人聞いたことがない……人間だ」
ミーナ「なら何で襲ってるの!?」
エレン「わかんねえ!! わかんねえけど、人を襲ってる以上は、こいつらを」
トーマス「道中に人と暴徒が溢れているんだよ!? とても、この中、は、は、ゴハッ」ビチャ
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ミーナ「トーマス!?」
エレン「大丈夫か?」
トーマス「うん、大丈、夫だ。とにかく補給所に向かって、指示を貰わないと」
ミーナ「でも、作戦通りならとっくに前衛班が来てる筈よ」
エレン「きっと俺達と同じだ。向かっている途中で暴徒を発見して、それで」
トーマス「食われたっていうのか!?」
エレン「こっちに来てないっていうことは、そうだと思う」
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ミーナ「もう、もう嫌よ……」
トーマス「ゴホッゴホッ」ドサ
エレン「お、おい」
ミーナ「トーマス? トーマス!?」ユサ、ユサ
エレン「…………ミーナ、トーマスから離れろ」シャキン
ミーナ「え? エレン、何でブレードなんて」
エレン「いいから早く離れろ!!」
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ミーナ「わ、わかった」タッタッタ
トーマス「 」ピク
エレン「トーマス?」
トーマス「 」ノソリ
エレン「く、くそ」
ミーナ「トーマス? どうしたの?」
-
エレン「さっきの先遣班や下の暴徒と同じだ!! 一回倒れて、その後人を襲う!!」
ミーナ「だって、トーマスは、さっきまで」
エレン「おい、近づくな!! ミーナ!! トーマス、返事をしてくれ! トーマス!」
ミーナ「トーマス? 大丈夫よね?」
トーマス「アァアアアアア」
ミーナ「きゃあああ!!」
エレン「くそぉおおお!!」ジャキン
-
トーマス「」
ミーナ「トーマス、トーマス……」
エレン「首を切り落とした……もう死んでる」
ミーナ「……ねえエレン」
エレン「……なんだ」
ミーナ「何でエレンは、そんなに簡単に人を切れるの?」
-
ミーナ「さっきの先遣班の人だってそう!! トーマスだって!! 二人は、二人は」
エレン「ああ、人だ」
ミーナ「ならどうして!? こんな、人を切るなんて、訓練では、一度も」
エレン「ミーナ、仕方ないんだ……切らないと、トーマスはミーナを」
ミーナ「分かってる!! 分かってるけど……エレンは……おかしいよ。だって、だってこれは」
ミーナ「こんなの、人殺しじゃない!」 バシュッ
エレン「ミーナ!」
-
――トロスト区後部・ウォールマリア前門
ぎゃああああ噛まれたぁぁああ!! アアァアア うあああぁ アァアアア
壁上・駐屯兵「クソ!! これだけ暴徒と一般人が入り乱れていると砲撃は出来ない!!」
――商店・屋根上
イアン班長「はあ、はあ……きりがない!! 何故暴徒が増え続ける!!」
ミカサ(エレン……アルミン……)バシュ ジャキン バシュ ジャキン バシュ
-
駐屯兵・門衛「もう駄目だ!!門を閉めろ!!」
ミカサ「……は…?」バシュ スタ
ミカサ「何故、門を閉めているんですか?」
イアン班長「王政府からの命令は一時間前に届いていた! これでも時間を稼いだんだ!」
ミカサ「しかし、住民の避難が完了していません」
イアン班長「そんなことは言われずとも分かっている!!」
ゴゴゴオ
おい、何で閉めるんだ!! アアァァ 俺達はまだ!! ぎゃああああ!! お母さん!! 近づかないで!!
バタン
-
ミカサ「っ……」ギリ
イアン班長「……」
イアン「暴徒は依然増え続けている。この場に残った住民を何としても救助するぞ、アッカーマン」
ミカサ「……はい。先程の連続戦闘で、刃をなまくらにしてしまいました。次はより多くの暴徒を切れるよう心がけます」
イアン「あ、ああ」
-
イアン班長(ミカサ・アッカーマン、こいつは間違いなく逸材だ。暴徒と判断すれば、人間でも容赦なく切り伏せる)
イアン班長「お前、104期訓練兵団のトップだとは聞いていたが……一体どんな経験を積めば、そこまで」
ミカサ「……」
――戦え!! 勝てなきゃ……死ぬ……勝てば、生きる…… 何考えてやるこのガキ!!
ミカサ「戦わなければ、勝てない」ボソ
イアン「なんだ?」
ミカサ「……いえ。任務を続行します」バシュ
-
すいません、>>34でミスがあったので修正です。
これ見てる人、居ますか?
ミカサ「っ……」ギリ
イアン班長「……」
イアン班長「暴徒は依然増え続けている。この場に残った住民を何としても救助するぞ、アッカーマン」
ミカサ「……はい。先程の連続戦闘で、刃をなまくらにしてしまいました。次はより多くの暴徒を切れるよう心がけます」
イアン班長「あ、ああ」
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※何度もすいません、さっきのは>>34ではなく>>33の修正です。
下記、>>34修正
イアン班長(ミカサ・アッカーマン、こいつは間違いなく逸材だ。暴徒と判断すれば、人間でも容赦なく切り伏せる)
イアン班長「お前、104期訓練兵団のトップだとは聞いていたが……一体どんな経験を積めば、そこまで」
ミカサ「……」
――戦え!! 勝てなきゃ……死ぬ……勝てば、生きる…… 何考えてやるこのガキ!!
ミカサ「戦わなければ、勝てない」ボソ
イアン班長「なんだ?」
ミカサ「……いえ。任務を続行します」バシュ
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――トロスト区・中部 繁華街
アルミン「救出します、早くこちらへ!」
住民・女性「あ、あああ。もう駄目です!!噛まれました、噛まれたらあいつらの仲間に」
アルミン「そ、そんなことない!! 早く!」
暴徒「アアァアア」ガシ
住民・女性「もう駄目だ。もう駄――や、やめてええあぁあぁあああ!」
ユミル「おいアルミン、そいつはもう駄目だ! 早くこっちに上がれ!」
アルミン「……ごめんなさい」バシュ
-
――バー屋根上
アルミン「くそ……僕は……」
ユミル「仕方ねえよ、あいつは噛まれていた」
アルミン「でも、助けられたかもしれない」
ユミル「おいおい、いつもの頭脳派はどこにいったよ」
ユミル「いつ暴徒に変わるかも分かんない女を連れてこの地獄をお散歩なんて、この状況じゃ無理だし、あたしはごめんだ」
クリスタ「ユミル! もうやめて!!」
-
ユミル「……あいよ」
ハンナ「早く上がって!! 早く!!」
アルミン「? ハンナ? 何を……」
ハンナ「アルミン助けて! フランツがおかしいの!!」
ハンナ「下の道は暴徒で溢れていて危険なのに! 何度呼びかけても屋根に上がってこないの!」
アルミン「違うんだ……フランツは…」
フランツ「アアァアアアア」ノソ、ノソ
アルミン「もう……やめてくれ……これ以上もう……無理だ……これ以上は……」
-
今日はここまでです。明日続き書きます。
-
乙
ゾンビかな?
-
乙
-
>>41はい、ゾンビです。進撃の設定にはストレートに入れずらい単語なので、ちょっと言葉を変えています。
下記、続き
カン カン カン カン
ユミル「おっ撤退の鐘だ、やっとこんな地獄から抜け出せるな」
アルミン「そんな……まだ救助出来ていない人が」
ユミル「見渡す限り暴徒しかいねえぞ?」
アルミン「それに、まだ壁上に居た班が戻ってきていない」
ユミル「ああ? 大方ここに来る前に食われたんだろうよ」
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クリスタ「ねえアルミン、行きましょう?」
アルミン(……ミカサと……エレンを連れてかえるって、約束したんだ)
アルミン「クリスタ、僕はどうしても壁上に居た班が心配だ」
アルミン「命令違反だけど、ここで救助を続けながら待つよ」
クリスタ「そんな……じゃあ、私も」
ユミル「クリスタ!!」
-
アルミン「駄目だよ。ハンナは気が動転している、ユミルと一緒に彼女を連れていって欲しい」
クリスタ「……分かったよ。必ず無事に戻ってきてね?」
アルミン「ああ、きっと」
ユミル「バカが……。クリスタ、さっさといくぞ。おいハンナ、お前もだ」バシュ
クリスタ「うん! それじゃあ、また後で」バシュ
-
アルミン「まだ、生き残っている人が何処かに居るはずだ」
アルミン「前衛方面に向かいながら、一人でも多く救おう」バシュ
アルミン(エレン……君は何処にいるんだ)
――ウォールマリア壁上
コニー「――ああぁぁ」ドサ
サシャ「うわぁああ、コニー! あなたもまさか」
-
コニー「バカ! ただの溜息だ。もう今日は飛ぶ体力ないぞ……」
サシャ「やっと任務が終わりましたね……」
コニー「ああ、一体何なんだあいつらは……何で人を食ってんだよ」
サシャ「サムエル……」
コニー「仕方なかったんだよ、あそこで駐屯兵がサムエルを切ってなかったら、お前も」
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サシャ「……はい」
コニー「エレン達もトロスト区から脱出してんだろ、早いところ下で合流しようぜ」
サシャ「ええ――あ」
コニー「あ?――お、い、おいおい……」
―ウォールマリア前部
アァァア ぎゃあああああ おい、暴徒が紛れているぞ!! アアァアアア 前衛から一人も出すな!!
駄目だ! 体を切っても死なない!! ァアアァア 頭を狙え!! 相手は人間ですよ!?
-
サシャ「コニー、あれ」
コニー「嘘だろ……ウォールマリアまで入ってきてるってのかよ」
サシャ「どうします!? どうします!?」
コニー「降りて、手伝うしかないだろ」
サシャ「そう、ですよね」
-
――ウォールマリア・駐屯兵団支部
ピクシス指令「状況は」
駐屯兵・精鋭「全兵士にトロスト区からの撤退命令を出しましたが、遅れている者も多いです」
駐屯兵・精鋭「また、ウォールマリア内へ引き入れた避難民の中に暴徒が紛れていたらしく、門周辺でパニックが起こっています」
ピクシス指令「そうか……」
駐屯兵・精鋭「……指令、鎮圧に兵士の数が足りておりません。憲兵団は何を」
-
ピクシス指令「政府と同じく、内地で引きこもっておるわ」
ピクシス指令「頼みの綱の調査兵団も壁外遠征じゃ……あやつが異変に気づき引き返してくれればよいが」
駐屯兵・精鋭「……報告では、暴徒に噛まれた者は数分後に暴徒と同じ攻撃性を持つそうです」
駐屯兵・精鋭「早期に住民をウォール・シーナ内へ避難させるべきかと」
ピクシス指令「駄目だ、政府が許さん。ここで被害を食い止めるほかない」
ピクシス指令「……旧地下街だ。物資と合わせて可能な限り住民を避難させよ」
-
駐屯兵・精鋭「ですが、あそこでは住民の五割も収まりません……」
ピクシス指令「……急げ、これ以上人類を減らしてはならん」
駐屯兵・精鋭「……はい。それでは」 ガチャ バタン
ピクシス指令(暴徒の数が鼠算式に増えておる……このままではウォールマリア内は暴徒の巣窟と化すじゃろう)
ピクシス指令(旧地下街へ避難が完了したとしても、一週間も経たずに物資は尽きる……)
ピクシス指令(何か、手はないものか)
-
――トロスト区・中部 住宅街
アルミン「いいから、戸閉めて鍵を掛けてください!!」
住民・男性「す、すまん!!」 バタン ガチャリ
暴徒「アアァアアァ」
暴徒「アアアァ」
アルミン「ここも暴徒が増えてきた」タッタッタッタ
-
アルミン(何て数だ……兵装をしている暴徒も多い……やっぱり、人間相手だと……) タッタッタッ
ドン
アルミン「うっ、まずい、行き止まりだ」
暴徒・複数「アアァアアァ」
アルミン「く、くそ」バシュ……バシュ……
アルミン「あ、ああ……ガスが……そんな」
-
エレン「うおぉぉぉぉ!!」ジャキン ドサ ジャキン ドサ ジャキン ドサ
アルミン「エレン!?」
エレン「アルミン!! こっちで引きつける! 残っている奴らの間を抜けてこっちにこい!」
アルミン「う、うん!」タッタッタ
アルミン「!」ドサ
-
アルミン「くそ、こんなところで転ぶなんて!」
ミーナ「アアァアアア」ガシ
アルミン「うわぁ! 離してくれ!」
エレン「やめろお!」ダッダッダ ドンッ
ミーナ「アァアア」ドサリ
エレン「うあぁ! くっそ、足を捻った」
-
アルミン「エレン!」
エレン「大丈夫だ、走るぞアルミン!」タッタッタ
アルミン「ああ!」タッタッタ
エレン「! あの小屋に入るぞ! 急げ」
――――
――
-
――トロスト区・前部 小屋の中
アルミン「多分、吸血鬼だと思う」
エレン「何だ、それ」
アルミン「昔おじいちゃんの本で読んだんだ」
アルミン「オカルトっていって、ようはウォール教の教えと同じくらい現実味のない話なんだけど」
アルミン「吸血鬼っていう怪物が居て、そいつは人間の血を吸うらしいんだ」
アルミン「それで、血を吸われた人間も吸血鬼になってしまうっていう話だった」
-
アルミン「あの暴徒たちは血じゃなくて肉を食べているし、吸血鬼の話と少し違う部分もあるけど」
アルミン「増え方は同じだ」
エレン「ああ、噛まれた奴らは同じような暴徒になっていた」
アルミン「僕が見た限りだと、暴徒に噛まれた人間は100パーセント暴徒になっている。噛まれないように気をつけないと」
エレン「……え? 少なくとも、100パーセントではないぞ」
アルミン「どういうこと?」
エレン「おれ、噛まれているんだ」
-
アルミン「何だって!? いつ噛まれたんだ」
エレン「ミーナを追いかけている途中で、暴徒に襲われている人を見つけたんだ」
エレン「その人を助けている時に腕を噛まれたから……2時間以上前だな」
アルミン「……エレン、噛まれた人達は数十秒から数分もあれば暴徒に変わっていた」
エレン「あ、ああ。俺も覚悟はしていたんだが、今だに影響がなくて」
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アルミン「何でエレンは噛まれても暴徒にならないんだ?……これが感染症の一種だとしたら、エレンには抗体があるってことかも」
エレン「何だよ、抗体って」
アルミン「ほら、ハンネスさんがよく言っていたじゃないか。奥さんが伝染病にかかった時、エレンのお父さんに助けて貰ったって」
エレン「ああ」
アルミン「あの時エレンのお父さんはウィルスの抗体見つけ出して、それを元にワクチンっていうものを作ったんだよ」
-
アルミン「それで、そのワクチンを伝染病にかかった人の体に入れて治していたんだ」
エレン「じゃあ、俺の中にそのワクチンの元になる抗体が入っているっていうのか?」
アルミン「まだ分からないけど、この騒動がもし感染症によるものだとしたら、可能性は高いと思う」
エレン「それじゃあ、ハンネスさんの奥さんの時みたいに」
アルミン「ああ、これ以上の感染を防いで、感染者を元に戻せるかもしれない」
――――
――
-
※書き溜め分は以上です。また後で続きを投稿します。
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