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【たまに安価】『冬、そして』
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冷え切った空気を差し込む風。
雲一つない晴天。
本来ならば青く輝くはずのそれは鈍い灰色に侵されていた。
「………」
灰色。白と黒がグチャグチャに混ざった退廃的な色。
空も、街も、太陽でさえ
退廃的なその色に本来の色彩を書き換えられてしまっている。
見ているだけで吐き気を催す、俺の最も嫌いな色。
「……………」
冬にも関わらずじわり、と粘りのある汗が全身に滲む
シャツがベッタリと肌に張り付いて気持ちが悪い。
ああ、また
あいつが、来る
"
"
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『や!おはよう!』
ニコニコと満面の笑顔をぶら下げて、俺に手を振るな。
『相変わらず引きこもってるの?全く、時間は有限なんだよ?もっと有効に使わなくちゃさぁ!』
うるせぇよ
『まだ引きずってるのかい?あの事?もういいじゃないか、終わったことなんだし』
『仕方なかったんだよ
君のせいじゃないんだよ、あれは』
終わったことだって?
仕方なかった、だって?
分かってんだよ、そんなこと
『誰のせいでもなかったんだよ』
終わったことだからこそ………
もう、終わってしまったからこそ
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『……もう、気にしなくてもいいんだよ』
「………」
『学校、行ってないの?』
……うるせぇよ、関係ねぇだろ
『関係なくないよ?君、たしか進級危ないんじゃなかったっけ?』
………いいんだよ、もう
『よくないよ!君、医学部目指してたよね?だったら……』
もういいっつってんだろ!
………いいんだよ、もう
放っておいてくれよ………
『…………』
「………っ」
『………また後で来るから………』
『ご飯くらいはしっかり食べるんだよ?』
「…………」
『………もう』
-
プルルルプルルル
「 ただいま留守にしており ます。ピーという発振音が鳴りましたらお名前と御用件をお話し下さい。 」
ピー
友「よ、男!元気にしてっかー?生きてっかー?そろそろ冬休みだけどお前予定とかある?なければちょっと遊び行かねーか?スキーでも温泉で
もさ、どこでもいいんだけど
な、駄目ならいいんだけど
良ければさ、来てくんねーか?
部のメンバーも誘うし
みんなお前に会いたがってる
………な、来てくれよ…俺、お前と話したいしさ
とりあえず!来る気になったら連絡する事!来週までにくれると有難い!勿論それ以降でもいいし!
……俺、ずっと待ってっからさ………気が向いたらで良いからさ、連絡くれよな」
プツッ
学校、か
いつから行ってないんだって
確か………夏休み前くらいだったっけ……
…………もうそんなに経った……
いや……まだそれだけしか経ってないんだな………
………
……
-
男「……ん」
ぼんやりとした目で時計の針に目をやると午後8時半を指している
どうやら5時間ほど寝ていたらしい
男「………」
グゥ
……そういえば、今日は1日何も食べてなかったっけかな
男「飯……食うか……」
����������������������リビング
男「…………」
ゴソゴソゴソゴソ
だめだ、何も無い
買いだめしていたレトルト食品もカップ麺も底をついてしまっている
男「……外、出なきゃな……」
時刻は8時40分
どの店も開いている時間だ
男「………スーパー、行くか」
"
"
-
男「………」
2週間ぶり、か?外に出るのは
………ま、飯買う以外の目的で外出してねぇしそんなもんか
男「……」
ピンポーン
「いらっしゃいませー」
かごを取り、適当に店内を見回す
……相変わらず人のいない店だな
目に入るレトルト食品、カップ麺、缶詰を買い物カゴの中に放り込む
栄養士が見たら土足で駆けて来る食生活だな、コレ
………とりあえず、これで暫くは持つだろ
手に持った買い物カゴに栄養バランスの考えられていないフードを投げ込む作業を終える
飲みもんも買ってくか……
2Lのお茶を3つ程カゴの中に入れ、ミルクティーに手を伸ばす
と、向こう側から伸ばされた手にコツンと触れる
男「あ……すみません」
???「あ………こちらこそ………あれ、先輩?」
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男「……後輩?」
【帰路】
後輩「驚きましたよ、先輩がいるなんて」
男「ああ……俺もだ」
男「……最近どうだ?部活の方は」
後輩「……いつも通りですよ。ただダラダラと遊ぶだけの部活です」
男「ハハ…そっか」
後輩「………」
男「みんな元気にしてるか?」
後輩「はい……でも」
男「でも?」
後輩「……友先輩は、元気がないように感じます」
男「友…が……そっか」
後輩「………」
男「………」
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後輩「……ホントは、皆前程の元気は無いです
友先輩は特に………」
男「………そうなんだ」
後輩「……先輩」
男「ん?……」
後輩「学校……来ないんですか?」
男「…………」
後輩「最近全然学校来なくなっちゃったじゃないですか……」
男「ん……そうだね」
後輩「……皆、先輩に会いたがってます」
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男「………」
後輩「……先輩……まだ、幼先輩の事……」
男「……ごめん、用事思い出したから急いで帰らなきゃ」
後輩「え……」
男「暗いから、気をつけて帰れよ後輩」
タッタッ
後輩「せ、先輩!
待ってください!」
後輩「………先輩」
後輩「……………」
"
"
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