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勇者「俺は生命に呪われし勇者だ」

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/17(金) 23:15:54 Mpf1ydKs
〜〜始まりの街 城内〜〜

王「勇者よ、そなたは今この時より成人の儀を終え、勇ましき者としその身を捧げ魔王討伐に出で発つ事を命ず」

王「宜しいか?」

勇者「あぁ、問題ない。」

王「では、無事に帰って来ることを願っておるぞ」

勇者「あぁ、出来たらな」


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2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/17(金) 23:31:06 Mpf1ydKs
〜〜始まりの街 城下街〜〜
勇者「…やっと始まるのか、この日をどれだけ待ったか」

勇者「それにしてもこの街も貧乏なんだな…人も居なけりゃ店もやってねぇ」

勇者(儀式を済ませた後、王から貰ったのは円にもならない様なジャリ銭だけ。これでどうしろってんだ)

ー俺はふと憔悴し、金を道に撒いた

勇者「元々人から貰ったモノは好かねぇんだよ、いらね」

ーその時、男が撒いた金に飛び付いてきた

男「お前、この金いらねぇのか?」


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/17(金) 23:41:23 Mpf1ydKs
勇者(なんだよこいつ、汚ぇ格好しやがって…)

男「なんだ、そのゴミを見る目はよぉ俺は元々城で兵士をやってたんだぜ?」

勇者(んなもんしらねぇよ)「あ?他人が捨てたもん血眼で掻き集めてる奴ァ、ゴミじゃねぇのかよ」

男「テメェ、喧嘩売ってんのか?あ?」

勇者「そんなもん、お前に売るくらいなら商人にでも売るぜ、ゴミ」

男「このガキ…!ぶっ殺す!」

勇者「おーおー、血の気が凄いねぇ…やれるもんなら殺ってみろよ」

男「泣いて詫びても、遅いぞ!」

ー男はどこかに隠し持っていた短剣をいきり立ち、突き付けてきた

勇者「チッ、そんなもん持ってたのかよ…」


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/17(金) 23:56:16 Mpf1ydKs
ー油断していた、腹部の激しい傷み…

勇者「刺されたか…」

男「ギャハハ!俺が何も持っていないと思ってたのかよ!ゴミはテメェだゴミ!」

勇者(ガキかよ…)「よく見ろよ…俺はまだ生きてるぜ…笑いたきゃ…殺してから笑え」

男「あぁ?テメェみたいなガキ殺してなんになるんだよ?…いや、テメェの身ぐるみ剥いで売っぱらうか!」

ー男が襲いかかってきた

勇者(こいつが馬鹿で良かった…)「フッ…」

男「何笑ってんだよ!覚悟は出来たか!」

ー男が身体の上に乗って来る

勇者「あぁ」

男「死ねぇ!」

ー男は首に手をかけ締め上げて来た

勇者「死ぬのは、お前だよッ!」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/18(土) 00:05:33 HTJl88lg
ー俺は短剣を逆手に持ち、男に突き刺した

男「て、めぇ…それ…」

勇者「あぁ?これか?気が付いたら俺に刺さってたからな」

ー俺は男に刺さっている短剣を引き抜き、蹴り飛ばした

男「がっ、ぐぁっ…」

勇者「お前ホントに街の兵士だったのかよ、雑魚すぎて敵の数にも入らんわ」

男「ぐっ、くっ、クソがっ!」

ー男が傷みにのたうち回る

勇者「短剣は刺したら抜く、敵に致命傷を与える戦場の基本だろ?」


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6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/18(土) 00:17:11 HTJl88lg
男「テメェ、何者だ…っ」

勇者「そうだなぁ…何者かって言われると勇ましき者、勇者ってところかな」

男「!!」

ー男が驚いた様な顔で、俺を見てくる

男「こんな…ガキが…か」

勇者「あぁ、こんなガキがだよ」

男「…」

男「」

ー男は絶望した顔で、息絶えた。

勇者「はぁ…30分は無駄にしたな、しかもこんな事があって、ましてや死人が出たのに誰も居ないとはな」

勇者(つまんねぇな)

勇者「一旦帰るか…」

ー俺は短剣をその場に捨て、誰も居ない城下街を去った


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/18(土) 02:46:08 0EyeEDfI

魔王以前の問題だな人類


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/18(土) 20:44:12 oQkQALt6
〜〜始まりの街 外れの洞穴〜〜

勇者「はぁ…街であれじゃ世も末ってやつだな」

勇者(後でまた、街に戻って酒場でも行くか)

勇者「くっそ…もう治ってやがる…気色悪ぃ…」

ー俺は短剣を刺された筈ねその場所に手を触れる。
しかし、そこには傷は無くただ衣服に穴が開いてるだけだった…

勇者「生命の女神の祝福ね…」

ーこの世には様々な女神が存在する。
闘いの女神は、力の象徴。
博愛の女神は、守りの象徴。
勤勉の女神は、知恵の象徴。
そして、生命の女神は…

本来なら存在しない。


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/18(土) 20:57:41 oQkQALt6
ー他にも女神達は存在している、日常に関わる女神達だ。
豊穣の女神達。太陽の女神、変風の女神、四季の女神、雨雲の女神。

こちらにも、生命の女神は存在しない。

生命の女神とは一体…

勇者「ま、難しい事はわかんねぇや」(祝福とは言われてもな)

勇者「俺にとっちゃ何をしても死ねない地獄の呪いだ…くそっ」


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/18(土) 23:01:09 zdeCIZyU
これは期待


11 : ≫1 :2016/06/18(土) 23:56:23 oQkQALt6
勇者「少し休んでから街に戻るか…」

ー俺は椅子に腰掛け、一息ついた。

勇者(街に行って、酒場で旅を同行してくれる仲間を見つけないとな…)

ー魔王討伐の旅。決して楽ではない…
街はほぼ閉鎖状態で外部との接点が無い

勇者「飢えや欲ってのは、人間を人間じゃなくするのかもしれないな…」

ー街で襲いかかってきた男、あいつは金に飢えてた。
恐らく、食い物か酒を買う為だろう。

勇者(もうこの街も終わりだろうな)

ーそんな事を考えながら俺は、眠りについてしまった。


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/19(日) 00:01:29 GTJVUqRA
教会での復活の儀式を省略してノンタイム回復復活か…


13 : ≫1 :2016/06/19(日) 00:11:59 LGEflEiU
ー物音がする…近いな。
5メートル、3メートル…いや、もっとか。

勇者「誰だ、人の家に無断で上がり込みやがって」

男2「いやぁ、家ってかどう見ても洞穴でしょ」

勇者(左右の腰に剣、街の者か?…)「お前、何しに来た」

男2「俺の名前は盗賊、別にお前を殺しに来たり金品かっぱらおうって訳じゃねぇよ」

勇者(盗賊…か武器を構える様子もないし、事実の様だな)

盗賊「雨降って来ちゃってさぁ、雨宿りさせてくんね?」

ーそういうと、盗賊は外を指差した。
雨が轟々と降っている。

盗賊「ありゃりゃ、こりゃ豪雨だねぇ…女神様が泣いてるのかなぁ?」

ー盗賊が俺を見ながら、少しニヤついた。

盗賊「まるで誰かが死んだ事に嘆き、血を洗い流してるみたいだなぁ」


14 : ≫1 :2016/06/19(日) 00:26:42 LGEflEiU
ー冷たい眼差しを送られる。
まるで腹の底を握られた感覚になる。

勇者「お前…何が言いたい」

盗賊「そうだなぁ…言ったら仕事の代行ありがとさん、晴れて殺し屋おめでとう。ってか?」

勇者(代行?殺し屋?何言ってるんだこいつは)

盗賊「あいつは、俺が狙ってた奴でねぇ探してたんだよ」

勇者「そして、俺が殺したのをどこかで見た…って事か?」

盗賊「正確には違うが…ま、そういうこったな」

ー盗賊はケタケタと掠れた声で笑った。

勇者「で、お前は俺に何がしたい」

盗賊「お、そうだったなぁ」

ー盗賊が、腰に下げている両方の剣を抜いた。

勇者(何を要求してくる…?)

盗賊「お前の旅の仲間に入れてくれ!」

ー盗賊はそういうと、両方の剣を俺に差し出してきた。


15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/19(日) 01:06:41 1TDCUKG.



16 : ≫1 :2016/06/19(日) 09:16:12 nA67o4g2
勇者「…は?」

ー俺は、目の前の奴が何を言ったのか理解が出来なかった。

勇者「今なんて言った?」

盗賊「だから、仲間に入れてくれって!お前、勇者として魔王討伐の旅に出るんだろ?」

勇者(こいつ…どこまで知ってるんだ…)「あぁ、そうだな」

盗賊「なら、旅の仲間に入れてくれ!ちょうど良い機会だろ?」

勇者「何が目的だ?名声や富はさっきの事を王に言えば手に入るぞ」

盗賊「それじゃあつまんねぇよ!で、どうすんだ」

勇者(変な奴だな…ま、手間が省けるか…)

ー俺は、差し出された剣を受け取った。

勇者「わかった、今日からお前は俺の旅の仲間だ。」


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/06/19(日) 10:01:36 B9Ixh0QM
あくしろよ


18 : ≫1 :2016/06/19(日) 10:35:08 oI8j6X8g
盗賊「おお!入れてくれるのか!」

勇者「いや、お前の場合は俺が根気負けするまで粘るだろ…」

盗賊「えっ…い、いやそんなこと無い」

勇者「そうか」

盗賊「お、おう」

ー盗賊は気が動転しているのか、逆さに剣を腰に差した。

勇者「ま、とりあえず雨が上がるまで待機だな」


19 : ≫1 :2016/06/19(日) 10:51:17 oI8j6X8g
盗賊「向こう側の空は白んでるから、もうすぐ晴れるな…」

ー盗賊は外をずっと眺めている。

勇者「なぁお前に聞きたい事があるんだが」

盗賊「ん?なんだ?」

勇者「俺があの男を殺したとき、お前はどこに居たんだ?」

盗賊「あぁ、その事か」

ー盗賊は外を眺めたまま、不意に姿と気配を消した。


20 : ≫1 :2016/06/20(月) 05:41:06 NY0qTdHQ
勇者「消えた⁉︎」

ー俺がたじろいでいると、盗賊が姿を現した。

盗賊「これは恐らくだけど、俺にしか使えないハイド呪文だ」

勇者(ハイド…?)

盗賊「一時的に存在を消す呪文だ。」

勇者「聞いた事無いな…」

盗賊「そりゃそうだな、俺が作ったんだから」


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