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陸軍少尉「艦娘…ですか?」
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途中まで史実設定。
陸軍主人公。
前作はほっぽりだしたから完結させたい。
陸軍少将「うむ、知っているか?」
陸軍少尉「は、多少の噂話は…」
陸軍少将「そうか、噂話なら少しは説明した方が良いだろう」
陸軍少将「うむ、現在の我が大日本帝国は米軍の圧倒的な戦力で死に瀕していると言えるな」
陸軍少将「特に海軍艦艇や輸送艦艇といった海上戦力の減少は甚だしい」
陸軍少将「しかし最近ある実験に成功した」
陸軍少将「オカルト…というのか」
"
"
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陸軍少将「…とにかく、沈んだ舟の魂…と言うのか?それを人に移す事ができる、と考えたらわかりやすいか」
陸軍少将「それによって人は一人で軍艦一隻分の火力を持つことが出来る」
陸軍少将「…ある程度の不利益も有るがな」
陸軍少尉「…自分に何故この話を?」
陸軍少将「ああ、そうだな」
陸軍少将「その艦娘とやらが数人陸軍に来る」
陸軍少尉「陸軍に…ですか?」
陸軍少将「台湾沖航空戦の代償を支払ってもらった」
陸軍少将「少尉、君に任務を命ずる」
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陸軍少将「第5砲兵司令部 新設第1特殊砲兵小隊の指揮にあたれ」
陸軍少尉「…はっ!」
陸軍少将「以上だ、答えられる質問には受け付けるぞ」
陸軍少尉「は、正確な人数と艦種?と…何故自分が選ばれたかを」
陸軍少将「うむ、最後の質問以外には答えよう」
陸軍少将「人数は五名だ」
陸軍少将「駆逐艦娘三名に重巡洋艦娘一名、戦艦娘一名だ」
陸軍少将「昔の編成された艦隊とは全く関係の無い人選らしい、仲はどうか知らないが連帯は取れていないだろうな」
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陸軍少将「まあ、選ばれた理由は…まとめの手腕を買ったと言うことにしといてくれ」
陸軍少尉「…は、了解しました。歩兵第22連隊、「陸軍少尉」拝命します」
陸軍少将「うむ、よろしく頼んだ!」
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陸軍少将『到着は明日だ。突然だろうが海軍の暗号が見破られてると見られてる可能性があるからだそうだ』
陸軍少将『……陸軍の暗号を使えば良いものを』
陸軍少将『…まあ良い、君は元の部隊から移動だ。たしか君は中隊付きだったな、別れの挨拶をしてくるといい』
陸軍少将『現時点を持って少尉は小隊長だ。出世かどうかは別だが…この選局を乗り越えれば昇進は間違えない』
陸軍少将『さもなければ…沖縄の土に血を染み込ませる事になるぞ』
陸軍少将『兵の血も、民の血も…そう』
陸軍少将『子供の血もだ』
"
"
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これ以降少尉表記
少尉「失礼します」
少佐「おお、少尉か、どうだったか?」
少尉「は、本日から第5砲兵司令部直轄部隊に移動との事です」
少佐「…そうか、少尉を失うのは惜しい」
少尉「いいえ、そんなことは…」
少佐「いいや、中隊付きには惜しかったよ…そうか移動か…」
少尉「は、機密のため部隊名は言えませんが…」
少佐「いや、兵にも知れ渡っているよ」
少佐「からくり兵とか言われている…確か艦娘だったな」
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少佐「中隊の仲間にも会いに行くといい」
少尉「はい、有り難うございます」
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少佐「奴が、子守りか…」
少佐「司令部も酷いことをするな…いや…違うか」
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兵1「少尉!呼び出しは何だったんですか!」
兵2「昇進ですかね!ついに!」
兵1「もしかして二階級昇進ですか!」
少尉「それ死んでるじゃないか」
少尉「いや、そういう話じゃないよ、部隊移動だ」
兵3「少尉、中隊から離れるんですか!?」
兵2「他の部隊に入って指揮を取るとかでしょうか」
少尉「ああ、砲兵部隊の小隊長だ」
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兵4「また微妙な…」
少尉「おいおい、上官だぞ?一応…まぁ最後位はいいか」
少尉「最近はどうだ?」
兵5「弾薬が全くです」
兵1「ああ、防衛戦闘ならまだ少しは行けますが攻撃だと駄目ですね」
兵3「砲兵のやつらが弾が足りないって嘆いてましたよ」
兵8「12.7cmも20.3cmも海軍の優男使うんだ、俺が欲しいのは155mmだってね」
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兵4「連隊砲や大隊砲の弾も足りません。歩兵にとっては致命的ですよ」
兵1「そういえば火力不足を補うために本土から何か来るらしいですね」
兵5「もしかして少尉…その指揮では?」
少尉「さあな。…さてそろそろ休みは終わりか、直ちに陣地構築に戻れ!」
兵達「はっ!」
兵2「少尉!火力支援期待してます!」
兵1「俺らの上には落とさないで下さいね!」
少尉「考えておくよ!」
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このように部隊を回るうちに一日は過ぎていった。
明日から何が起こるか全くわからない。
しかし徐々に胸騒ぎがしてくる。
それはアメリカに対する物なのか。
それとも…
アイスバーグ作戦まで残り12日
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少尉「さて、そろそろか」
少尉「…船団が見えるな、あれか?」
少尉(いや、その周りに何か滑っているのか…?)
少尉(そうか、あれが…確かに漏れる訳だ、機密もヘッタクレもないな)
軍曹「少尉、あれが?」
少尉「あぁ、軍曹か」
少尉「そうだ、あれが我々の部下でありこの沖縄の守りだ」
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期待
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軍曹「少尉、こちらは駆逐艦3、重巡洋艦1、戦艦1と聞いておりますが艦名は何なのでしょうか」
少尉「軍曹、いい質問だ」
少尉「実は何も上から降りてきていない」
軍曹「は、なにもですが?」
少尉「うむ、上から来たのは艦種のみだ。型は聞いていない」
軍曹「受け入れ体勢は整らせましたが…ますます不安でありますな」
少尉「…少将からはあまり連帯は取れていないらしい」
軍曹「…それでは陸軍との連帯は…ますます気苦労が…」
少尉「なに、気にするな軍曹。きちんと間に合わさせるさ」
少尉「駆逐艦一隻のみで連隊直轄の砲兵力と同等だ」
少尉「戦艦は師団砲兵力をも上回るだろう。どうだこの戦、勝てる気がしてこないか?」
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少尉「さて、お出迎えだ」
軍曹「はっ!」
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少尉(たしかに砲兵としては優秀だろう)
少尉(しかし…問題も多い)
少尉(まず婦女子と言う点だ)
少尉(男所帯に性別が違う者が入る時点で不味いものがある)
少尉(捕虜としてもだ)
少尉(はるか西方のドイツでは酷いことになっているらしい)
少尉(アメリカも…いや日本も、男と言う時点で…)
少尉(しかも陸は海とは全く違う戦場だ)
少尉(目の前で、自分の弾で弾け飛ぶ兵を見て耐えられるか)
少尉(そして一番は補給だ)
少尉(師団相当の火力?)
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少尉(砲兵火力と言うならこの第32軍は恐らく帝国最高だろう)
少尉(発揮できるならば…だが)
少尉(全力射撃をして弾薬が尽きても生産されるわけではないこの孤島)
少尉(正規部隊にすら足りていない弾薬がどうして艦娘達に足りると言うのだ)
少尉(…)
軍曹「少尉!到着したとの事です」
少尉「…うむ、行くか」
軍曹「第4号室で待機中です」
少尉「…よし」
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少尉「失礼する」
少尉「諸君らの指揮を取る「少尉」という。よろしくたのむ」
少尉「来たばかりで申し訳ないが、自分の紹介を頼む」
少尉「上から何も来ていないのでな」
少尉「戦艦、重巡洋艦、駆逐艦の順で頼む」
???「はっ!」
???「私は扶桑型戦艦扶桑です!少尉、よろしくお願いします!」
少尉「ふむ、扶桑型か。35.6cm12門からなる火力か。期待しているぞ」
少尉「次」
???「高雄型重巡洋艦3番艦の摩耶ってんだ、よろしくな!」
少尉「…言葉遣いがよろしくないな」
扶桑「も、申し訳有りません!」
少尉「いや、扶桑が謝ることではない。まあ今はいい」
少尉「対空砲には期待をしている。次」
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摩耶「はぁ?それだけかよ!」
少尉「…二度は言わないぞ」
摩耶「チッ…」
少尉「…次だ」
???「特型駆逐艦「曙」よ。こっちをじろじろ見ないでよね、ウザいから」
少尉「…」
曙「何よ」
少尉「いや、何でもない」
少尉「君も言葉遣いが…まあ今はいいか。」
少尉「次」
曙「ふんっ」
???「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月です!
ここに推参致しました。お任せください!」
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少尉「秋月型か、最新鋭だな。摩耶同様防空に期待する」
少尉「最後」
???「おう!オレの名は天龍だ!お前が司令官か、よろしく頼むぜ!」
少尉「…」
少尉「天龍は駆逐艦じゃないはずだが?」
天龍「んなことどうでもいいだろ」
少尉「…どうでもいい?」
少尉「そんな訳あるか」
少尉「自分の聞いていたのは駆逐艦だ。旧式の軽巡洋艦ではない」
天龍「はぁ!?ふざけんなよ!」
少尉「そもそも何だその言葉遣いは」
少尉「いいか、俺はお前達の司令官でも無いし、友達でもない」
少尉「二度は言わないぞ」
少尉「俺はお前らの上官だ」
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胸糞。
sageて、どうぞ。
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※19
ここまで胸糞展開なんてあったっけ
陸軍主役だから海軍好きには結構アレかもね
少尉「大将や少将に文句を言いに行きたいがそんな時間は無い」
少尉「長旅後すまないが今日から訓練に入る」
少尉「いいな」
艦娘達「はっ!」「はいはい」「おう!」
少尉「よし、ついてこい」
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少尉「九九式短小銃だ」
少尉「まずはこれの扱い方を覚えて貰う」
摩耶「…こんな豆鉄砲要らねぇよ」
天龍「そうだそうだ、こんなのより14cm砲が」
少尉「いや、覚えて貰う」
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少尉「いいか天龍」
少尉「旧式軽巡洋艦といったが14センチ砲を持ったお前を俺は高く買っている」
少尉「大隊火力を大きく上回り、そして移動も早い」
天龍「…なら!」
少尉「十分な補給を得られたならだがな」
少尉「しかしだ、現実問題それはこの沖縄ではありえない」
少尉「まず砲弾が尽き、圧倒的な火力が消える。次に燃料が尽き、人間では有り得ない力が消える」
少尉「最後に残るのはオカルトの力の防御力だ」
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少尉「しかしそれでも天龍、君は普通の者よりも強い」
少尉「頼む、か弱い少女に頼むのも情けないのはわかってる」
少尉「しかしどうか我々を救う盾になってくれ」
天龍「…しょうがねぇなあ」
少尉「本当か!?ありがとう」
少尉「他に不満は?」
少尉「無いな、よし訓練を始める。軍曹、手本を」
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少尉(情報部から流れてくる情報は芳しくない)
少尉(むしろ悪い方向にばかりだ)
少尉(彼女らが銃を使えるようになれば最悪の事態は避けれるだろう)
少尉(いや、避けねばならない)
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少尉(扶桑は流石戦艦といったものか銃の反動にはものともしなかった。あれならば力が消えて少しだけ残ったあとでも九二式重機関銃を使えるだろう)
(摩耶と天龍は九九式軽機関銃なら全く問題ない)
(が天龍はガサツに見えて狙いの筋がいい。九九式狙撃銃で狙撃手をやらせることも出来るだろう)
(駆逐艦娘達も短小銃なら楽に振り回せる)
(一○○式短機関銃でもいいかもしれない)
少尉(さすが軍属か。後一ヶ月有ればものに出来るだろう)
アイスバーグ作戦まで11日
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少尉「陸軍少尉、入ります」
少将「うむ、入れ」
少尉「失礼します」
少将「少尉、たびたび申し訳ないな」
少尉「いいえ。今回はどの様なご用件で」
少将「うむ、貴様は話が早くていい」
少将「どうだ、アレは」
少尉「は、アレですか」
少尉「まあ使い物にはなるかと」
少将「どれくらいだ」
少尉「一ヶ月有れば」
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少将「10日だ」
少尉「…は」
少将「…」
少尉「11日後ですか」
少将「そうだ」
少尉「無理ですな。使い物にはなりません。」
少将「…するのだ。そのための貴様だ」
少尉「はい、わかっております。しかし…」
少将「貴様の言いたいことは分かる。しかし状況がそれを許さん」
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少将『いいな、必ず仕上げろ』
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少尉「必ずか…」
軍曹「少尉、どうでしたか」
少尉「…11日後だそうだ」
軍曹「遂に…ですか」
少尉「フフ、怖いか」
軍曹「いえ全く」
軍曹「まあ予想されてましたしね」
少尉「飲むか」
軍曹「お、これはウイスキーじゃないですか」
少尉「少将からの餞別だ」
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少尉「これから苦労するな軍曹」
軍曹「少尉でしょう、それは」
少尉「娘が増えた気分だ」
軍曹「少尉の娘さんは今何歳ですか」
少尉「13だよ」
軍曹「一番成長する時期ですね」
軍曹「家に帰ったら…」
少尉「帰れたらな」
少尉「…いや、もう居ないんだ」
軍曹「…すいません」
少尉「別に死んだ訳じゃない」
軍曹「しかし…」
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少尉「行方不明さ」
少尉「よくあることだ」
軍曹「…」
少尉「…湿気ってしょうがないな」
少尉「軍曹、君の方は?」
軍曹「産まれて一ヶ月です」
軍曹「まだ顔も見ていません。男の子っていうのは分かってるんですが…」
少尉「あぁ、それでは絶対に帰らなければな」
軍曹「貴方もですよ、少尉」
少尉「私はもういいよ」
少尉「妻も死んだ、娘も消えた」
-
摩耶「くっそ硬い布団だな…」
曙「寝れる気がしないわ…」
天龍「…はぁ、肩がいてぇ」
摩耶「ったくなんでこんなところに…」
扶桑「不幸だわ…」
秋月「ふ、布団が有るだけましですし…」
秋月「それに、ほら!後少しでご飯です!」
曙「なんであんな糞上官と一緒に食べなきゃいけないのよ」
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扶桑「少尉に関してはそんなに悪い人には見えませんが…」
秋月「そ、そうですよね!」
天龍「まぁなー」
曙「ウザいってだけよ!」
曙「何か一々ウザいのよ!く、クソ司令の方がましってもんね!」
摩耶「お前本当に司令官が好きだよなぁ…」
秋月「あ、ご飯です!行きましょう!」
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天龍「おい!飯は何処だ!」
軍曹「よし配膳を行う」
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天龍「なんだあれ…」
扶桑「あ、油っぽい赤飯…」
曙「なによあのご飯…不味すぎ…」
秋月「あ、あれは「コウリャンメシ、だぞ」ですよ」
摩耶「し、しれ少尉!」
少尉「慣れればまぁマシなんだがな」
扶桑「し、少尉、何のようでしょうか…」
少尉「いや、親交を深めに」
少尉「酒もあるぞって、飲める奴がいないか」
少尉「扶桑、どうだ?」
扶桑「は、はあ…頂きます」
少尉「天龍、摩耶もどうだ?もう飲めるだろう」
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少尉「ほら」
扶桑「ど、どうも…」
少尉「ふぅ…まさか扶桑しか残らないとはな」
少尉「あそこまで嫌われてるとは思わなかったよ」
扶桑「いえ…皆環境の変化に戸惑ってるのだと思います」
少尉「まあその戸惑ってるなか訓練をさせたんだから仕方がない」
少尉「どうだ、旨いか?」
扶桑「ち、ちょっと強いです」
少尉「まあウイスキーだしな」
少尉「どうだ、この島は」
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少尉「綺麗な海だっただろう」
扶桑「ええ、凄く美しかったです」
少尉「戦争が終わったら皆で遊びに来るといい」
少尉「きっと気に入る」
扶桑「ええ、戦争が終われば…」
扶桑「…」
少尉「どうした」
扶桑「私は、私たちは戦争が終わっても生きられるのでしょうか」
少尉「どうして生きられないと思う?」
扶桑「私たちはこの艦娘になってからの記憶しか無いのです」
扶桑「私たちは兵器です」
扶桑「私は、私たちは…作られた人間では無いかと思っています」
扶桑「人造人間、倫理と輪廻から外れた…」
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少尉「…」
扶桑「私たちは刷り込みをされています」
扶桑「主人になつくように」
扶桑「そしてそれは恋愛感情として…」
扶桑「私はよく不幸だと口癖でいってしまいます」
扶桑「周りは不幸じゃないのに…と良く言うのです」
扶桑「確かに戦時下なのに美味しいご飯だったりフカフカなベッドだったり…沖縄のような最前線に来て初めて兵隊の生活を理解しました」
扶桑「いいえ、もっと酷いのでしょう」
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扶桑「でも私が不幸と思うのはそれじゃない」
扶桑「私は紐に繋がれた従順な猟犬として生きる自分が不幸だと思うのです」
扶桑「自分の大切な好きという感情ですら自分のモノに出来ない…」
扶桑「不幸だわ…」
少尉「…」
扶桑「少尉、お願いします」
扶桑「私は貴方のために、少尉の為に何でもします、何でもです」
扶桑「その代わり、その代わり他の四人は…どうか…!」
少尉「そうだな…なんでもか」
扶桑「…はい」
-
少尉「それでは寝ろ」
少尉「命令だ、あぁ夜を共にするって意味じゃないぞ」
少尉「扶桑、部屋に戻り自分のベッドで就寝しろ」
扶桑「…はいっ!」
少尉「いい夜を、扶桑」
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少尉「人造人間か、面白い事を言う」
少尉「当たらずとも遠からずってところか…」
少尉「…」
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日に日に飲む酒の量は増えていく。
連隊に戻りたい訳では無かった。
ただ日常に戻りたい、その一心だった。
そして今、平和な日常から最も遠いこの地で、今少し日常が戻り始める。
アイスバーグ作戦まで10日
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少尉(最初の夜から6日がたった)
少尉(扶桑とは打ち解けられたが他とは未だに話はつながらない)
少尉「よし、今日は砲撃陣地に入り特火点への援護砲撃の準備をする」
少尉「秋月は上空に飛来する航空機の警戒と迎撃に当たれ」
摩耶「遂に自慢の砲が火を吹くって訳か!」
曙「こっちに来て初めてマトモな命令を受けたわ!」
少尉「いや、実弾は扱わない」
曙「はぁ!?じゃあどうやって訓練するのよ!」
少尉「…今回行うのは陣地と陣地を転換するものと地図覚えが主な仕事だ」
少尉「妖精の力でかなりの命中率を誇ると聞く。前に扶桑にやってもらった際は何も見ずに効力射を成功させていた」
曙「…!当たらなきゃ意味無いじゃない!」
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少尉「それは問題ない。ここは陸だ」
少尉「海は撃沈が重要だが陸は違う」
少尉「全体的な損害を重視させろ」
曙「はぁ!?ふざけないでよ!そんなことしたって敵は直ぐに回復するのよ!?」
少尉「…君達は深海棲艦とやらと戦ってると聞いたが、本当にそう思っているのかね?」
曙「そう思ってる?アンタ馬鹿なの!?事実よ!」
天龍「おい、曙…!」
曙「なによ!」
少尉「…おい」
-
少尉「言葉遣いには気を付けろと言ったよな」
少尉「しかも二回目は無いと言った」
少尉「正論を言うならまだしもバカな答えをグダグダと」
少尉「お前は何様だ?」
曙「…!好きでこんなところに居る訳じゃないわよ!」
曙「陸軍が弱いからこんなところに来て!」
曙「そんでもって砲撃もさせてくれない!」
曙「そんな補給軽視で負けてってるのよ?!」
曙「尻拭いに走って!何でこんなところに…!」
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少尉「…補給ね」
少尉「お前、どうやって陸軍が海で補給線を守れると思ってるんだ?」
少尉「尻拭い?ふざけるな。」
少尉「ガダルカナルで海軍の尻拭いをして」
少尉「インパールは要求の十分の一しか補給が貰えず…」
少尉「いや、それはいい」
少尉「そんな話では無かった」
少尉「言葉遣いだ」
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少尉「お前の前居た部隊ではその口調は良かったのかもしれないがな」
少尉「ここは、陸軍は違う」
少尉「一人でもそんな奴が居たら戦線は崩壊するからだ」
少尉「いいか、もう一度言う」
少尉「私に敬意を表すしゃべり方をしろ」
少尉「…周りに人が居なければ何時ものそれでいい」
少尉「しかし、ここは人の目がある」
少尉「大きく騒ぎすぎたな」
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少尉「周りを敵に回した」
曙(…!何時の間に…陸軍の兵士が!)
少尉「…さあどうする」
少尉「彼らの怒りは簡単には収まらないぞ」
軍曹「し、少尉どうしますか?」(小声
少尉「まぁまて。ガキの言うこと一つ一つで兵はカッカしない」(小声)
軍曹「な、ならば…何故?」(小声)
少尉「あれはただ立場をわからせるつもりだけだろう」
軍曹「…兵が上官に対する…ですか?」(小声)
少尉「あぁ」
曙「な、何よ!」
曙「もう嫌!全員かかって…!」
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少尉「待て!」
少尉「曹長、状況を報告せよ」
曹長「は、現在不明の叫び声がしたため駆けつけました」
少尉「なるほど、その銃は下ろしてよい」
兵1「…」ガチャリ
曹長「話の内容は軍批判に繋がりますが…」
曙「な、なによ。脅し!?」
少尉「何も聞いてない、いいな」
曹長「は、了解」
少尉「皆、仕事にもどれ」
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曙「…恩を売ったつもり?」
少尉「あいつらは口が悪くてな」
少尉「お前にも勝るとも劣らない」
曙「そうは見えなかったけど!なに?当て付け?あいつらみたいになれって?」
少尉「そうじゃない、今もそれは変わらん」
少尉「時間と空気を読むって事だ」
少尉「まあ、詳しくは他の四人から聞く事だな。摩耶や天龍何かを参考にしろ」
軍曹「罰は如何しますか?」
少尉「何も無かっただろ?」
軍曹「はぁ…」
少尉「さて、皆!この陣地の部隊には最悪の紹介になってしまったな!他の陣地で評判を取り戻すぞ!」
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少尉「いやぁ評判は取り戻せなかったなぁ」
軍曹「いや、彼処まで嫌われるとは」
扶桑「わ、笑い事じゃないですよ!」
少尉「ふむ、そうか?」
扶桑「そ、そうですよ!」
軍曹「懐かしいですな、昔もこんなことが合ったような」
少尉「お、墓穴ほってるぞ、軍曹」
扶桑「…不幸だわ」
天龍「よう、少尉っと…」
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天龍「扶桑も一緒だったか」
扶桑「ええ、天龍もいかが?」
天龍「子供にそんなの進めんなよ…」
少尉「あー、どうした?」
天龍「曙がすねちゃってよぉ…どうすればいいか聞きに来た」
少尉「ふむ、天龍や摩耶だったら上手くやれると思ったんだがなぁ」
天龍「いや、ありゃ父親に叱られた反抗期の娘だな」
天龍「軍曹でもいいぞ。二人とも子供が居るって聞いたから…」
扶桑「ちょっと天龍…!」
天龍「…とすまねぇ!」
-
少尉「ふむ」
少尉「天龍、この娘が行方不明の俺と、まだ子供の顔を見ていないコイツ、どっちがいい?」
軍曹「自分は全く悪くないですよねぇ…」
天龍「…どうすれば」
少尉「扶桑ーちょっと見てきてくれないか?」
少尉「これ持っていってやれ」
扶桑「これは?」
少尉「かすていら」
-
扶桑「曙ー」
曙「なによ…」
扶桑(なんか父親に怒られて泣いた娘ね…)
扶桑「甘いもの持ってきたの」
扶桑「少尉さんには内緒よ?」
曙「あ、甘いものなんて…いら「頂いてもいいのですか!?」」
扶桑「あら秋月も居たのね」
扶桑「牛乳…は無いから脱脂粉乳ですけど、少しゆっくりしませんか?」
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秋月「かすていら、ですね!」
秋月「本で読んだことはありますけど実物は初めてです!」
秋月「本当に頂いても宜しいんですか?」
扶桑「ええ、少尉が…には内緒ですよ?私の取って置きなんです」
曙「…頂きます」
秋月「頂きます!」
扶桑「ふふっ、どうぞ召し上がれ」
曙「美味しい…」
秋月「…」フルフル
-
曙「あ、アンタどうしたの?」
秋月「お、美味しすぎます!」
秋月「黄金色の生地が、甘いスポンジなのにシットリとしていて…」
秋月「それなのにクド過ぎない!」
扶桑「喜んでもらえて嬉しいわ」
曙「脱脂粉乳と合う…」
曙「ふぅ…」
扶桑「落ち着いた?」
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曙「…少し」
扶桑「そう、よかったわ…秋月ちゃんは反対に興奮しちゃってるわね…」
秋月「か、感激です!」
扶桑「甘い物を食べると落ち着くわよね…どうしてそんなに少尉さんに強く当たっちゃったの?」
曙「…どうしてって」
曙「どうしてだろう…」
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少尉「うまくいってるかなぁ、なあ摩耶」
摩耶「知らねえよ」
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曙「…何か苛つくのよ」
曙「クソ上官…少尉が悪いことがやってるわけでは無いわけ」
曙「ただ、いや」
曙「生理的に嫌いなの」
扶桑「生理的に?」
曙「…」コクリ
扶桑「うーん…元々性格が同じとか?」
曙「…そうかもしれないわ」
扶桑(何時も少尉にするみたいに反発しないなんて…)
曙「なんか、嫌なの」
曙「私たちってほら」
曙「記憶が無いじゃない?」
-
扶桑「…そうですね」
曙「だから、私たちは刷り込みのように誰でも好きになる」
曙「私だって気づいてるの」
扶桑「気づいてる?」
曙「…私が無条件に司令官を好きになっているって」
曙「恋愛感情じゃないわ」
曙「心の底で刷り込みがなされてる」
扶桑「…」
曙「それと同じように、私は少尉が嫌い」
曙「心の底から」
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扶桑「まるで思春期ね」
曙「…もう私は大人よ」
扶桑「ううん」
扶桑「あの頃は皆そう。私もよ」
扶桑「記憶が無くても覚えてる」
扶桑「体が、心が」
扶桑(私が砲の撃ち方を知っている様に)
曙「…そうかしら」
扶桑「そうよ」
秋月「そうですね…」
秋月「そうですよね」
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秋月「私も覚えてます」
秋月「少尉は…あの人は父親そのものなんです」
秋月「私たちを守ろうと…」
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少尉「酒だ、酒を持ってこい!」
天龍「もう寝ろよ」
軍曹「はぁ…」
摩耶「ちょっと格好いいと思ったら…」
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軍曹「まぁこの人も複雑だしな…」ボソリ
摩耶「え?複雑?」
天龍「おい、教えろよ!弱味にするから!」
軍曹「じ、地獄耳…この軍用兵器が…」
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秋月「…まるで父の様な」
秋月「おかしいですよね、人造人間なのに父なんて…」
秋月「おかしいですよね…」
扶桑「…」
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扶桑「人造人間が人間じゃないなんて誰が決めましたか?」
扶桑「それは私達が決めることで」
扶桑「…周りは関係ないです」
秋月「…」
扶桑「私たちは確かに人造人間です」
扶桑「だから人間とは違う?」
扶桑「そんなことは有り得ません」
秋月「で、でも」
扶桑「誰がそれを決めたのですか?」
曙「それはどうでも良いわよ」
曙「人間なのは確か何だから」
扶桑「ならそれで良いじゃないですか」
扶桑「私たちには悩む時間が多いんですから」
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扶桑「だって海軍上層部では次の決戦は台湾と予想してますから!」
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少尉「さて、少しシラフに戻るか」
少尉「扶桑が居ないのはあれだが、お前ら年長組には話ておくことがある」
少尉「一週間以内に米軍がここを襲う」
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少尉「もう薄々感ずいてるよな」
少尉「…台湾とレイテに送った師団は戻らない」
少尉「お前らの小隊が発揮する軍団相当の火力が鍵だ」
天龍「いや知ってたよ」
摩耶「ああ、とっくにな」
少尉「…」
天龍「じゃなきゃ送られねぇよ」
天龍「こんなロートルも」
摩耶「口の悪い奴もな」
-
少尉「…」
軍曹「…」
摩耶「分かってたよ」
天龍「ここが私たちの死に場所」
天龍「お願いです」
摩耶「私たちには華々しい死を」
天龍「周りの艦が羨むような死を」
天龍「私たちは必ず死にます」
天龍「それなら」
摩耶「それならば、私たちにはせめて、せめて素晴らしい死を」
天龍「そして駆逐艦には生を」
摩耶「私たちは死んでも構いません」
-
天龍「私たちを殺しても、彼女たちを日本の未来の為に、託すために」
天龍「生きさせてはあげられませんか」
摩耶「ど、どうかお願いします」
少尉「…」
目の前には大人とは言い難い二人の土下座が見えた
深い、それこそ頭をすり付ける
この国の間違えそのもののような
-
少尉「…」
軍曹「…」
少尉「お前ら知ってるか?」
----------- ----------- -----------
扶桑「あら、天龍、摩耶どうしたの?そんな泣き腫らした目は」
扶桑「…」
天龍「ねる」
摩耶「私も…」
曙「あ、じゃあ私も…」
秋月「は、はい!寝ましょう!」
扶桑「そうねお休みなさい…」
秋月「あれ、扶桑さんは?」
扶桑「…少し風に当たってきます」
-
少尉「扶桑か」
扶桑「御一緒しても?」
少尉「…軍曹が寝たかしらんぞ」
扶桑「どうせ確認してるでしょう?」
少尉「良くわかったな」
少尉「グッスリだ」
少尉「少々アルコールが強すぎたな」
扶桑「私も頂いても?」
少尉「あぁ、ほら注いでやろう」
-
扶桑「…少尉、二人に言いましたね?」
少尉「あれは空想だ」
少尉「気にすることは無い」
扶桑「そうですね…」
扶桑「風が気持ちいい…」
扶桑「匂いさえ無ければ」
少尉「火薬と石油の匂いも嗅げば慣れる」
少尉「心地よいとも感じるさ」
-
扶桑「血の臭いは?」
少尉「感じなくなるさ」
扶桑「本当に?」
少尉「あぁ、本当さ」
少尉「…人の腐る臭いとその元を見ながら飯を食えるようにもなるさ」
少尉「まあ、そこまでは有り得ないだろうけどな」
扶桑「流石ですね」
少尉「…」
-
扶桑「流石、中野学校出身ですね」
-
13歳だと軽巡辺りかな
-
少尉「…」
少尉「運が良かっただけだ」
少尉「この年でまだ少尉だぞ?」
少尉「むしろ運が悪い」
扶桑「断らなければどこまで上がってたんですか?」
少尉「子供一人を残して南方へは行けなかった」
少尉「親戚も皆死んでいたからな」
-
少尉「誰から話を聞いた?」
扶桑「…少将から」
少尉「あのこんちくしょうが」
少尉「あ、今のオフレコで」
扶桑「ふふふ…」
少尉「…ふっ」
少尉「そろそろ寝る時間だ」
少尉「…お休み」
扶桑「はい、お休みなさい…」
アイスバーグ作戦まで後9日
-
扶桑(ここ3日間、少尉は姿を現さなかった)
扶桑(私たちは歩兵装備の練習もそこそこに砲撃、それも支援砲撃の訓練に移った)
扶桑(未だに周りの兵士の目は怨みに満ちていたがそれでも大きな問題は起こらなかった)
扶桑「天龍!発射速度を維持しなさい!」
扶桑「摩耶!発射速度を落として!」
扶桑(海軍の倉庫に合った弾で練習を出来るようになったのは今日からだった)
扶桑(暑い…でも、それなんかどうでも良くなる3日前の発言が私を常に動くように攻め立てる)
少尉『米軍上陸は九日後だ』
扶桑「秋月!滞空砲撃をもっと正確に!」
扶桑(肌にピリピリと来るのは本土では余り有り得ない時期の日焼けと…海から流れる殺気だった風のせいかもしれない)
-
少尉「三階級特進ですか」
中将「うむ、今日から君は少佐だ」
少尉「異例ですね」
少尉「有り得ない」
中将「まあな」
少将「これまでの功績からだ」
少将「今回の件で少佐と言う階級を上げた、ということだ」
中将「君の階級を上げた訳では無い」
中将「命令書だ」
少将「君の砲兵部隊に一個大隊を組み込む」
中将「ある程度訓練された沖縄在郷兵の部隊だ」
中将「沖縄兵の中では最精鋭に当たる」
-
少将「本当は第22連隊から一個大隊を抽出するつもりだったんだがな」
少将「本土含めてそんな余裕は無かったし無い」
中将「第32軍司令部直轄第101重独立混成大隊と称する」
少将「少佐、貴様の任務はその大なる火力で戦線の保持、及び総反撃の際の中核を担ってもらう」
少将「今回の戦いは陛下も注目している」
中将「一撃講話をこの手に」
中将「海軍によって壊された講話を実現しようではないか」
少佐「はっ!」
-
少佐「…上層部は彼女らを兵器としてしか見ていない」
少佐「どこまで彼女らに背負わせるつもりなんだ…」
少佐「どうすればいい…どうすれば!」
少佐「このままじゃ、皆死ぬ…クソ!」
コンコン
???「し、失礼します!」
少佐「…すまない、君は」
???「帝国陸軍所属のあきつ丸であります!」
少佐「…君が中尉か?」
あきつ丸「はい、少佐。今回艦娘ですが特例として陸軍に編入、中尉の階級を割り当てられ少佐の補佐を勤めるであります!」
少佐「…よろしくたのむ」
あきつ丸「は!」
少佐「それで、最初の命令だが…」
少佐「一人にさせてくれないか?」
-
少佐「くそぉッ!」
若い少女が敬礼をしているのを見ていたら吐き気がしてきた
軍服を来てるのを見たら胸騒ぎがした
何処に逃げてもまともな奴が居ない
何処に行ってもまともな奴が居ない
少佐「いや、俺もまともじゃないのかもな」
少佐(彼女らを戦力として期待している自分も、上層部と同じであり、それに吐き気がする)
アイスバーグ作戦まで後5日
-
少佐「少佐になった」
扶桑「おめでとうございます!」
軍曹「少佐の功績ならば当たり前です」
天龍「へぇ、やるじゃねえの」
摩耶「まあ、うちの司令官は中将だけどな」
秋月「おめでとうございます!赤飯を炊きましょう!」
天龍「…高粱飯はやめてくれ…」
曙「…」
少佐「…どうした曙?」
-
曙「ま、まあアンタ…少佐にしては良くやったとは思うわ…ます」
曙「こ、これは前の時のお詫びよ。ほら…」
少佐「お守り…?」
曙「…どんなにクソ少佐でも…指揮が長い方が良いから」
曙「それに…死ぬのを間近で見るのは嫌いだから」
少佐「…」
少佐「はぁ…」
扶桑「し、少佐?どうしましたか?」
少佐「う、嬉しい…」
-
天龍「なっさけねぇ顔だなぁ…」
少佐「お、お前上官にそんなこと言うのか」
少佐「せっかく赤飯の缶詰め開けようと思ったのに」
秋月「本当ですか!」
少佐「食い付きが早いなぁ」
軍曹「少佐の昇進祝いに海軍からお礼と一緒にもらったんですよ」
少佐「あぁ」
少佐(多分お礼というよりも処分出来る事に関してだろうな)
少佐(艦娘を)
-
少佐「さて、そろそろ友達から上官に戻って貰おうか」
艦娘達「はっ!」
少佐「軍曹から聞いていた通り我々の部隊は一個大隊を加えて独立混成大隊となった」
少佐「今回はその兵員と、新しい仲間を紹介する」
少佐「中尉、前へ」
あきつ丸「はっ!」
あきつ丸「皆さんお久し振りです!」
扶桑「あきつ丸さん!」
秋月「お久し振りです!」
少佐「これからは中尉と読んでやってくれ」
少佐「彼女が君たちと兵との連絡をする」
-
その夜…
少佐「なんとか連帯はとれそうだな」
軍曹「はい、やはり女性なのが大きいかと」
少佐「…うまく考えたもんだな」
少佐「在郷軍人の方はどうだ?」
あきつ丸「は、他の主力と比べると劣りますがまずまずでありますね。蹴散らされる事はないと思われます」
あきつ丸「士気も旺盛であります。やはり地元を守る、というのと…艦娘を守る…というのが有るからだと思われます」
少佐「そりゃこんな可愛い子供がいたらそうなるわな」
あきつ丸「あ、ありがたいお言葉です!」
-
少佐「艦娘達の方は?」
あきつ丸「はい、艦娘内では連帯がかなり強固に取れてるであります」
あきつ丸「ですが…近隣海域に出現し始めている深海棲艦を気にし初めてはいます」
軍曹「…?」
少佐「そうか…レーダーが有るからか…わかった下がれ」
あきつ丸「はっ!」
-
軍曹「少佐、深海棲艦とは…?」
少佐「…君が子供の頃に人を殺すことはできたか?」
軍曹「…?いえ…」
少佐「だろうな」
少佐「いくら交戦距離が長いとはいえ、艦娘の機能で人の死体や弾け飛ぶ姿などいくらでも見える」
少佐「しかし彼女らが精神に異常をきたすなど目に見えている」
少佐「さて、上層部はどうしたと思う?」
軍曹「…深海棲艦という存在を作った?」
少佐「そうだ。脳を少し作り替えて敵軍艦を深海棲艦と認識するようにしたんだ」
少佐「彼女らは敵軍艦を化物と認識するようにされている」
-
少佐「つまり彼女らは自分が人殺しとは思っていない」
少佐「ゴキブリを殺したって罪悪感を抱かないのと同じだ」
少佐「…多分だが…この戦いで人を殺すということに対する負荷を確かめるつもりなのだろう」
少佐「この戦いは海軍にとっては実験なのだ」
軍曹「…」
少佐「納得いかないか?」
軍曹「ええ」
少佐「でもまぁ、人殺しをさせてるってのは変わらない」
少佐「悩むな、俺らも人殺しだ」
-
時報、及び図鑑等で軍艦時代を誇らしく語っている以上、「艦娘になる前の記憶が無い」のは独自設定かな?
しかしそうなると、曙の口が非常に悪い理由がほぼ無くなってしまう気がするんだが
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まぁ後々明かされます。
てかもうそろそろ終りだし
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>>68
曙かとも思ったが13才は厳しいか
そういや仮に曙が暴れた場合どうするつもりだったんだろ?
蟻が象を囲んで「周りを敵に回した」とか言ってもなあ
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>>86
主人公が手を打たなかったらご飯の融通聞かせない嫌がらせしたりするって感じです。
沖縄って砲兵力が結集していたので「処分」と言う点では余り困りません。多分あの場の人たちは瞬殺でしょうが…
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下士官1「アメリカ軍上陸の報あり!」
下士官2「中西部に四個師団上陸を確認、賀谷支隊が後退中!」
下士官3「特設第一連隊第一大隊が戦闘開始!」
下士官2「本部より入電、第70高地の支援の為に我が混成独立大隊は首里陣地で待機!」
少佐「了解、本部に「我が大隊士気旺盛なり、攻勢の際は先陣、撤退の際は殿を欲す」と送れ」
下士官1「本部より入電「本部了解」」
軍曹「少佐、戦闘待機は?」
少佐「戦闘待機を、秋月と摩耶には対空戦闘を命令」
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摩耶「敵航空機感有り4時の方向距離4500メートル高度100メートル数最低でも12機」
秋月「対空戦闘開始!」
秋月「…よし!一機撃墜!」
摩耶「流石に固い!」
兵士1「対空射撃開始!」
兵士2「撃て撃て撃て!」
兵士3「よし、二機墜ちたぞ!」
秋月(よし、計三機撃墜!でも…)
秋月(上陸から三日、数が増える一方…)
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少佐「戦況は?」
下士官1「は、中飛行場、北飛行場ともに敵の手に墜ちました」
下士官1「また両飛行場の破壊が足りなかった為、使用可能状態にまで回復したようです」
少佐「地上戦は?」
下士官2「特設第一連隊第一大隊が全滅また他部隊も戦線から離脱しました」
下士官3「現在は散発的な戦闘のみです」
下士官2「野嵩及び新垣で賀谷支隊が、161.8高地で独立歩兵第147大隊第一中隊が防御に入っています」
下士官3「いずれもよく耐えていますが数日中には米軍が突破に成功すると見られています」
下士官1「司令部は第七○高地を防衛線と見ています」
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少佐「…よし」
少佐「全艦娘に待機命令、対空射撃も止めさせろ」
少佐「これより秘匿陣地に入って決戦を待つ」
あきつ丸「味方を見捨てろと言うことでありますか?」
少佐「言葉には気を付けろ。来るべき時を待つと言う意味だ」
少佐「命令が来れば砲撃、突撃もやる、それが軍人だ」
あきつ丸「は、そうでは有りますが」
少佐「…艦娘には出来ないと?」
あきつ丸「彼女らは軍属であります、自分も人を撃つのは慣れないであります」
少佐「確かに」
少佐「だが嫌でもやってもらう」
少佐「もうこれしか残っていない」
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