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魔王「クーデター起こされた死にたい」
-
〜???〜
魔王「はぁ……」
ビュオオオ
魔王「ぶるぶるぶる。寒風が身にしみるよ」
魔王「お城のベッドが恋しいよ」
魔王「お腹空いたなぁ」
バタッ
魔王(もうだめだ。体が動かない……)
魔王(側近……すまない)
魔王(父上……申し訳ありません)
"
"
-
〜一ヶ月前・魔王城〜
側近「今日もお疲れ様です。ぼっちゃま」
魔王「その呼び方はやめてくれ側近。今の我は魔王だよ」
側近「ほっほっほ、そうでしたな。これは失礼しました魔王様」
魔王「まあいい。それより今日も報告を頼む」
側近「本日は何事もなく平和でした。お天気がよかったので洗濯物がいつもよりはやく乾きました」
魔王「うむ、平和がいちばんだ」
側近「ほっほっほ、ですな」
-
メイド「魔王様っ! た、大変です!」ガチャッ
側近「なんじゃ騒々しい。いくらぼっちゃまがお優しい方だとはいえノックぐらいせんか」
魔王「ぼっちゃまじゃない。魔王だ」
メイド「冗談やってる場合じゃないですよ! ほんとに大変なんですよ! お城の周りを大勢の兵隊に囲まれて……」
側近「なに?」
ガチャッ
火の四天王「邪魔するぜ」
魔王「火の四天王。これは一体どういうことだ」
火の四天王「見てわからないか? クーデターだよ。つまり魔王サマ、あんたのやり方についていけないんで反逆しちまおうってわけだ」
側近「馬鹿な! こんなことをして他の四天王が黙っておらんぞ!」
火の四天王「他の連中もオレと同じ考えだぜ。それに魔王サマのお兄サマにも許可はいただいてる」
魔王「あ、兄上に!?」
-
火の四天王「おっと、オレとしたことがしゃべりすぎたようだぜ」
火の四天王「ところでこの部屋はオレには少し寒すぎるようだ。ちょっくら暖をとらせてもらうぜ。それっ!」
ゴウッ!
メイド「きゃあっ!」
側近「城に火を放つとは……貴様、自分のやっていることがわかっているのか!」
火の四天王「ひゃっはっはっは! いいねえ、その絶望に満ちた表情! たまんねえぜ!」
魔王「どうして……」
火の四天王「ん?」
魔王「どうして……こんなことを」
-
魔王「我が間違っていたのか。我はただみんなが笑顔になれるように……」
火の四天王「甘ったれたことヌかしてんじゃねえ魔王サマよ! アンタはつくづく甘ちゃんだな。ヘドがでるぜ」
火の四天王「あんたのやり方で一体だれが笑顔になったっていうんだ? 少なくともオレは我慢できなかったぜ」
火の四天王「人間サマとおててつないで仲良くしましょうってやり方がよ!」
火の四天王「人間なんてよわっちい種族にへーこら頭下げるなんてよォ、魔王サマ、アンタ恥ずかしくないのかよ」
火の四天王「いや、もう魔王サマと呼ぶ必要はないな。魔王ォ! アンタにはここで死んでもらうぜ!」
火の四天王「火炎魔法!!」
魔王「!」
ボワァッ!!
"
"
-
魔王「…………」
魔王(なんともない……)
側近「ご無事ですかぼっちゃま」
魔王「側近!? なぜ我をかばった!」
火の四天王「情けねえなあ魔王。アンタが弱いのがいけないんだぜ」
火の四天王「今度は確実に仕留める。死にやがれっ!」
側近「させるかっ!」ガシッ
火の四天王「ぐっ! 放しやがれ老いぼれ!」
-
魔王「側近!」
側近「逃げてください」
魔王「しかし!」
側近「はやくっ!」
魔王「おまえを置いてはいけない!」
側近「ぼっちゃま、今から私の無礼をお許しください」
側近「転移魔法!」
魔王「側きn……」
ヒュンッ
側近「どうかお達者で」
-
期待
-
側近死なないで
-
転移魔法あんなら最初から転移しろや!
-
>>10
敵前逃亡はかなりのアレやん?
-
――――
――
―
〜寝室〜
魔王「側近!!」ガバッ
魔王「…………」
魔王「夢か」
魔王(ここはどこだろう。我は気を失ったはずだが)
幼女「…………」ジーッ
魔王「ん?」
幼女「…………」ジーッ
魔王(なんだこの小娘?)
-
魔王「小娘、我の顔になにかついているのか」
幼女「…………」クルッ
ガチャッバタンッ
魔王(行ってしまった。なんだったのだ一体)
コンコン
<失礼します
ガチャッ
僧侶「もうお目覚めですか?」
-
魔王「ここは……」
僧侶「ここは名もなき教会。満足な寝具をご用意できなくてごめんなさい」
魔王「いや、いい寝心地だった」
魔王(城を抜け出してからはずっと野宿だったからな)
魔王「それよりも助けてくれてありがとう。おまえは命の恩人だ」
僧侶「わたしは神に仕える身ですから。困っている方に手を差し伸べるのは当然のことです」
-
僧侶「ところでなんのご用でこの土地を?」
魔王「…………」
魔王(行くあてもなくさまよっていたと言えるわけもない。それに我は魔族だ。素性は隠しておくか)
魔王「我は世界の各地を旅してまわっている旅人という」
僧侶「旅人さんですね。よろしくおねがいします。わたしは僧侶と申します」
僧侶「これからわたしたち夕食をいただくところなのですけれど、旅人さんもいっしょにどうですか?」
魔王「夕食」グゥー
僧侶「えっ?」
魔王「……ご一緒させてもらおう」
-
〜教会〜
魔王「ドラゴンか。我も旅に出る前はやつらの背中に乗っていろいろな地を訪れたものだ」
子どもA「すっげー!」
魔王「おまえたちも試しに乗ってみるといい。いい記念になるぞ」
子どもB「でも食べられちゃうよ」
魔王「ドラゴンは知能の高い魔物だ。やつらのプライドを傷つけるような真似さえしなければ人を襲うことはない」
子どもC「へー!」
僧侶「こら、あなたたち。旅人さんは長旅でお疲れなのだからそこまでにしておきなさい」
子どもたち「えー!」
-
僧侶「わたしが代わりに向こうで遊んであげるから。ね?」
子どもA「しょうがねえなー」
子どもB「いこうぜ」
子どもC「おじちゃん、バイバイ」
ガヤガヤワーワー
神父「すまないね。外からやってくる人間が珍しいものだからあの子たちも興奮してるんだ。許してやってくれ」
魔王「いや、我も楽しませてもらった。最近は辛いことが多かったのでな」
神父「神に祈りなさい。神は暗闇に閉ざされた我々の道をいつでも照らしてくださる」
-
魔王「それにしてもここはずいぶんと子どもが多いのだな。教会なのだろう?」
神父「教会といっても実際は孤児院のようなものだからね」
魔王「孤児院ということはあの子どもたちの親は……」
神父「旅人くんといったね。場所をかえようか。あの子たちがいつここへ戻ってくるとも限らない」
神父「私の部屋に来たまえ」スタスタ
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なぜかRPGツクール製のゲームっぽく脳内再生されている
続き楽しみ
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〜神父の部屋〜
神父「私たちが生まれる遥か昔、ここいらの土地はオーク族のものだった」
神父「そこに我々の先祖がやってきて、オーク族を追い出して新しく町を作った」
神父「それがオルペという町だ。この教会を出てしばらく歩いたところにある」
神父「オルペに住む人間とオーク族は互いを憎みあって、今日まで戦いを続けてきた」
魔王「なぜ戦うのだ。魔物と人間の戦いは終わったはずでは?」
神父「表面上はそうだ。先代魔王が勇者に倒され、人間に協力的な新しい魔王が後継者になり、世界は平和になった」
神父「だがこの土地ではまだ戦いが続いている。魔王と勇者の戦いが始まるずっと前から続いてきた戦争だ」
魔王「戦争をとめる術はないのか」
神父「一方の種族が滅びるまで戦いは終わらないだろうね」
魔王「そんなの……虚しいだけではないか」
神父「まったくだ」
-
魔王「あの子どもたちは戦争で親を亡くしたのか」
神父「そのとおりだ」
魔王「…………」
神父「近いうちにまた戦争が始まるだろう。その前にここを発ちなさい」
神父「この土地は呪われている」
魔王「…………」
-
コンコン
<神父さまー
神父「入りたまえ」
僧侶「わたしだけじゃあの子たちの面倒を見きれないんです。助けてください」
神父「わかった、すぐに行こう。先に行って待ってなさい」
ガチャッバタン
神父「やれやれ。世話のやける息子と娘たちだ」
神父「私の命よりも大切な宝物だよ」
魔王「…………」
神父「さ、我々も行こうか」
-
〜寝室〜
僧侶「おはようございます旅人さん。昨夜はよく眠れましたか」
魔王「ああ、昨日は思いっきり遊んで疲れたからな」
僧侶「うふふ、あの子たちすっかり旅人さんに懐いちゃって」
魔王「悪い気はしない」
僧侶「あ、昨日はその格好のままで寝られたのですか? ごめんなさい、わたしったら旅人さんの寝間着の用意をすっかり忘れちゃって」
魔王「気にするな。我はこの服装でないと夜は落ち着いて眠れないのだ」
僧侶「そうなのですか?」
魔王「うむ」
魔王(ローブで頭を隠しておかないと角が見えてしまうからな)
-
〜教会〜
僧侶「神父様、お昼に村まで買い物にいこうと思うのですが」
神父「うーん、それは困った。私は午後から用事ができてしまってね、ここを離れることができそうにない」
神父「本当ならおまえたちに付き添ってやりたいところなんだが」
僧侶「そうですか、残念ですがそれなら別の日に……」
神父「いや待て。旅人くん、すまないがきみに頼みがある。聞いてくれるか」
魔王「なんだ?」
神父「私のかわりに彼女たちの買い物に付き合ってくれないか?」
神父「道中危険な魔物は少ないとはいえ、女と子どもだけというのは少々心もとない」
僧侶「神父様、旅人さんはお客人です。お客人の方にそのようなお願いをするのは……」
-
魔王「わかった、引き受けよう」
僧侶「旅人さん!?」
魔王「おまえたちは我の命の恩人だ。それに一宿一飯の恩もある」
神父「ありがとう、そういってもらえて安心したよ」
神父「旅人くん」ボソッ
神父「僧侶は普段幼い子どもたちの世話と神へのお勤めとの二足のわらじで自分の時間がほとんどとれていない」
神父「だから年の近い友人というものがいない」
神父「きみに僧侶の友人になってくれと頼むわけではないが、つかの間の骨休めに付き合ってやってはくれないか?」
魔王「もちろん。我でよければ」
神父「頼んだよ」
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http://urx.red/rNMm
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〜オルペの町〜
僧侶「二時間後にここに集合ね。時間になったらちゃんと帰ってくるのよ。わかった?」
子どもたち「はーい!」
ガヤガヤワーワー
魔王「途端に静かになったな。まるで嵐が過ぎ去ったあとのようだ」
僧侶「うふふ、まったくです」
魔王「こうしてみると僧侶殿はあの子たちの母親のようだな」
僧侶「あら、旅人さんはわたしがそんな年増に見えますか? 残念です」
魔王「んぐっ! そ、そういう意味では……」
僧侶「くすっ、冗談ですよ」
魔王「心臓に悪い冗談だ」
魔王(真面目かと思ったら意外と茶目っ気があるのだな、僧侶殿は)
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幼女「ねえ」クイクイッ
僧侶「幼女ちゃん、どうしたの?」
幼女「村長さんの家ってどこ?」
僧侶「そこの角を曲がってずっとまっすぐ行ったところだけど」
僧侶「幼女ちゃんは村長さんの家になんの用事があるのかしら?」
幼女「べつに……」プイッ
タッタッタッ
僧侶「幼女ちゃん……」
僧侶「わたし、あの子に嫌われてるみたいです」
魔王「…………」
-
僧侶「幼女ちゃんは一年前に戦争で家族を亡くしたんです」
僧侶「わたしはあの子のお母さんにはなれなくても、お姉さんの代わりになれるようにって今日まで頑張ってきました」
僧侶「でも……」
僧侶「わたしじゃ、あの子のお姉さんにはなれないみたいです」
魔王「僧侶殿……」
僧侶「考えてみれば当然ですよね。あの子が求めているのは血の繋がった本当のお姉さんであって、偽物のわたしじゃない」
魔王「…………」
魔王「確かにうわべだけ見れば偽物かもしれない。しかし僧侶殿のあの子を想う気持ちは本物の姉以上のものだ」
僧侶「旅人さん……」
-
魔王「今はまだあの子も認めてくれないかもしれないが、我は信じたいと思う」
魔王「僧侶殿の真剣な想いがあの子の心を覆っている氷を溶かしてくれることを」
僧侶「…………」
魔王「んぐっ! 柄にもなく熱く語ってしまった。適当に聞き流してくれ」
僧侶「ありがとうございます」
魔王「え?」
僧侶「今の言葉で救われた気がします。今まで頑張ってきた自分がまったくの無駄ではなかったと」
僧侶「わたし、旅人さんとお知り合いになれてよかったと思います」
僧侶「神よ。この巡りあわせをわたしに与えてくださったこと心から感謝いたします」
魔王「…………」
僧侶「そろそろ参りましょうか。買い物をしていたら二時間なんてあっという間に過ぎてしまいますよ」
-
http://urx.red/rNN6
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おっつん
-
兵士「どけどけー! 邪魔だ道を開けろー!」
ザワザワ
兵士「ええい! 貴様ら、邪魔だというのがわからんのか!」
ザワザワ
魔王「なんだ? 人垣のせいでよく見えないが」
僧侶「さ、さぁ……」
魔王「おい」
村人1「ん?」
魔王「ずいぶんと騒がしいが一体どうしたのだ?」
村人1「見回りの兵士が怪しいやつを捕まえたんだってよ」
魔王「その怪しいやつというのは?」
村人1「オーク族のガキらしいな。いい気味だぜ」
-
魔王「そのオーク族の子どもが村を襲ったのか?」
村人1「さあな、詳しいことはわからねえ。だがオーク族め、目に物を見せてくれる」
村人2「火あぶりにしてやろうぜ」
村人3「ああ、丸焼きにして食ってやるぜ。豚だけにな」
僧侶「やめなさい! いくらオーク族とはいえ無実の者を不当に罰するのは許されないことです」
僧侶「神の裁きの雷がくだりますよ」
村人1「黙れよ。罪を犯したかどうかなんて関係ねえ。俺たちはオーク族をぶっ殺せりゃなんだっていいんだよ」
村人2「ん? おい、こいつは神父んとこの……」
村人3「おい、帰ったら臆病者の親父に伝えてくれよ。俺たちは戦争で命をかけてんのに、てめえ一人だけ山奥に逃げこんで恥ずかしくないのかってな」
僧侶「ちがっ……お父さんはそんなんじゃ……!」
-
村人1「ちがわねえよ! 卑怯者の娘め!」
村人2「この臆病者が!」
村人3「山奥に引っ込んだまま二度と外に出てくるな!」
僧侶「ちがう! お父さんは卑怯者じゃない!」
魔王「いこう僧侶殿。そろそろ待ち合わせの時間だ」
僧侶「でも……」
魔王「いこう」グイッ
スタスタスタスタ
-
乙乙
-
・・・・
魔王「落ち着いたか?」
僧侶「さっきはごめんなさい。わたし取り乱してしまって……驚きましたよね」
僧侶「わたし、親の顔を知らないんです。物心ついたときには寒空の下に一人震えていました」
僧侶「そんな捨て子同然のわたしを神父様は拾ってくださって、実の娘のようにかわいがってくださいました」
僧侶「本当の家族というものをわたしは知らないんですけどね」
魔王「…………」
魔王(僧侶殿が人一倍家族の絆に執着しているのはこの理由のためか)
-
僧侶「あの方には本当に感謝しているんです。感謝という言葉を尽くしても足りないほどに」
僧侶「神父様の悪口を言われているとき、悲しくなると同時に怒りがこみ上げてきました」
僧侶「神父様が村から離れて教会に籠っているのは、なにか特別な理由があるからだって思うんです」
僧侶「だから……」ジワ…
魔王「んぐっ! 頼むから泣かないでくれ」
僧侶「ご、ごめんなさい」グスッ
魔王(まったく。女の流す涙というものは厄介なものだな)
-
魔王「オーク族の子どもが捕まえられたことについて僧侶殿はどう思う?」
僧侶「はっきりとした罪状もなしに捕まえたことに関しては疑問を感じています」
僧侶「それにその捕まえられた子にだって親がいるはずです」
魔王「我も同じ意見だ」
僧侶「でも私たちにはどうすることもできません。かわいそうですが」
僧侶「村中の厳重な警備の目をかいくぐることは不可能です」
魔王「そうでもない」
僧侶「え?」
魔王「僧侶殿、今夜の予定は空いているか?」
魔王「それと……魔法の心得はあるか?」
-
乙
-
〜夜・オルペの町〜
隊長「異常はないか」
兵士1「はっ!」
隊長「よし、そのまま警戒を怠るなよ」
兵士2「はっ!」
ガチャガチャガチャ
「…………」
「……行ったようだな。もう大丈夫だ」
「はい。透明化魔法・解除」
-
ボワァー
僧侶「はぁはぁ……この魔法、魔力の消費が激しいですね」
魔王「短時間でここまで使いこなせるとはたいしたものだ。僧侶殿は魔法の才があるぞ」
僧侶「旅人さんの教え方がうまいからです」
魔王「そうか? とにかく先を急ごう、あまりモタモタしていては衛兵がもどってくる」
僧侶「はい!」
-
〜牢獄〜
子オーク「…………」
子オーク「暗いブヒ。お腹へったブヒ」
子オーク「父ちゃん……母ちゃん」
カランッ
子オーク「プギャッ!?」
カランカランッ
子オーク(窓からナイフが落ちてきたブヒ!?)
<そのナイフで縄を切るのだ!
子オーク「しゃ、しゃべったブヒ! ナイフのお化けだブヒィ!!」
<お化けではない! 我はおまえを助けにきた味方だ!
-
子オーク「味方……? オイラを食べないブヒ?」
<食べない! はやくしろ! このままでは衛兵が……
子オーク「…………」
子オーク「わかったブヒ!」
ゴリゴリ……ブチッ
<よし、縄は切ったな。待っていろ。すぐにそこから出してやる
子オーク「ブヒィッ!!」バコッ
ミシミシガラガラッ
僧侶「すごい……パンチ一発で壁を」
子オーク「ふぅ……すっきりしたブヒ!」
-
魔王「馬鹿者! 待っていろと言ったではないか! なぜ我に従わなかった!」
子オーク「?」
子オーク「こっちの方が楽ブヒよ?」
魔王「この単細胞が!」
<侵入者だー!
<絶対に逃がすなー!
ガチャガチャガチャ
僧侶「はやく逃げましょう!」
魔王「言われなくても!」
-
隊長「そうやすやすと逃がすと思うか! 一斉に取り囲め!」
子オーク「どけブヒィー!」
バキッ
兵士1「うぐっ」ドサッ
兵士2「うわっ、うわわっ」
隊長「なにを手こずっている! 相手は子どもだぞ!」
子オーク「ブーーー」ブンブンブン
子オーク「ヒイーーーッ!」
ポイッ
兵士3「うわーっ!」
ガラガラガッシャン
-
兵士4「た、助けてくれー!」
隊長「て、撤退! 撤退ー!」
ガチャガチャガチャ
僧侶「兵が退いていきます。今のうちに村の外へ!」
魔王「よし!」
魔王(あまりにも呆気なさすぎるような……気のせいだといいのだが)
-
・・・・
兵士2「ここにはいないようだな」
兵士4「俺はさっきのところをもう一度探してみる。おまえは向こうを」
兵士2「ああ」
ガチャガチャガチャ
魔王「どうにかやりすごせたようだな」ガサッ
僧侶「はい、一時はどうなることかと思いましたが」
魔王「まったくだ」ジロッ
子オーク「ブヒ?」
魔王「なんでもない」
-
子オーク「オイラを助けてくれてありがとうブヒ。おまえら、人間だけどいいやつらだブヒ」
魔王「我の名前は旅人。こちらは僧侶殿だ」
魔王「今すぐにでもおまえを仲間の元へ送ってやりたいところだが今夜は危険だ」
魔王「夜が明けるまで待ちたい。それまでは私たちとともに教会にいてほしい」
子オーク「こわくないブヒ?」
魔王「安心しろ。教会を管理しているのは信用できる人間だ」
子オーク「わかったブヒ。おまえらを信じるブヒ」
僧侶「では、すぐに参りましょう。神父様も待っておられます」
魔王「うむ」
-
〜教会〜
僧侶「神父様、遅くなってごめんなさい。ただいまもどりました」
神父「僧侶」
僧侶「神父……様?」
神父「に、逃げるんだ」
僧侶「え?」
ヒュンッ……サクッ
子オーク「ブヒッ!?」
隊長「逃げようとしても無駄だ。おまえたちはすでに包囲されている」
隊長「動くなよ。全身はりねずみにはなりたくないだろう?」
-
隊長「貴様ら三人は死刑だ。オーク族の手先め」
隊長「覚悟しておけ。太陽が昇りきると同時にもっともむごたらしい方法で殺してやろう」
魔王「ぐっ……」
隊長「なぜ、という顔をしているな。教えてやろう」
隊長「先回りしておいたのさ。貴様らがここに戻ってくることを見越してな」
隊長「それが事前にわかったのも密告者のおかげだ。誰のことかわかるか?」
魔王「密告者だと?」
-
隊長「来なさい」
幼女「…………」
僧侶「え……幼女ちゃん?」
隊長「今日の昼頃、この子から村長様の家に連絡があった」
隊長「教会に怪しいローブの男がいる。しかもその男は魔物であると」
魔王「!!」
僧侶「えっ?」
-
隊長「私も初めのうちは子どもの悪戯だろうと思って相手にもしなかった」
隊長「だが村の中で脱獄の指揮をとる貴様の姿を見て確信した。この少女の言っていることはあながち嘘ではないかもしれないと」
隊長「その男はオーク族の密偵としてこの教会にもぐりこんでいたのだ」
隊長「我々の情報をオーク族の元に持ち帰り、我々を陥れるためにな」
神父「なにを馬鹿なことを。第一証拠がないじゃないか」
隊長「証拠ならある」
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隊長「おい」
魔王「…………」
隊長「その頭の被り物をとって、己が人間であることを今ここで証明してみせろ」
魔王「…………」
隊長「はやくしろっ!」グイッ
パサッ
魔王「…………」
僧侶「うそ……」
隊長「見ろ。この男の頭に生えている醜悪な二本の角を。これこそが魔物であることの証だ」
隊長「我々の敵であることの証だ!」
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乙
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期待しとるよ乙
"
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