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シルビア「ほのぼのオッレルスだ」フィアンマ「いや、俺様のだ」
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とある魔術の禁書目録のオッレルス勢力(オッレルス宅)の話です。
・はじめのところは二人で会話してもらうために少し改変しました。
・シリアスは少なめです。
・キャラが崩れてると思われます。
・時系列は旧約22〜新約5辺りまでです。
・途中設定が違うかもしれませんが、できる限り忠実にするつもりです。
不定期、亀進行ですが、よろしくお願いします。
"
"
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『拾われたフィアンマ』
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………ロシア………
オッレルス「……」ザクザク
オッレルス「……おや」ザク…
シルビア「ん? そっちにいたのか?」ザッザッ
オッレルス「ああ……」
オッレルス「でもアレイスターに先を越されたね」ザク
シルビア「やられてるってことか?」
オッレルス「そういうこと。右腕が切り落とされてる……」
オッレルス「しかもだいぶ時間が経ってるみたいだ」
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シルビア「それ、生きてんのか?」
オッレルス「ぎりぎり、かな」
オッレルス「雪のせいかだいぶ体温は下がってきてるけどかろうじて息はある」スッ
シルビア「……ふーん、まあ、自分で見りゃいいんだけど」ザッザッ
オッレルス「いや、君が聞いたんだろ」
シルビア「……ごめん」ザクザク
-
オッレルス「ところでシルビア、その辺で腕見かけなかった?」
シルビア「腕? そんなもん悪趣味なもん見てないよ」
オッレルス「右だよ?」
シルビア「いや、右も左も落ちてないって」
シルビア「そもそも腕の左右を区別できるほど腕単体は見慣れてないさ」
オッレルス「私だって見慣れてないよ」
シルビア「……右方のフィアンマはあのアレイスターとやりあったんだろ?」ザクッ
オッレルス「それしかありえないと私は思っているけど……」チラ
シルビア「だったら、腕なんか残して行かないだろうよ」
シルビア「右腕なんてフィアンマにとって心臓以上に大事なもんだと言っても過言じゃない、彼のシンボル的存在だろう?」スタッ
シルビア「私がアレイスターでも持ち帰るね」
オッレルス「……だろうね」
"
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シルビア「にしても、だいぶ派手にやられてるねえ」
オッレルス「神の右席とは言ってもあのアレイスターに敵わないのは仕方がないだろうさ」
シルビア「かもしれないけど……」
シルビア「散々策略巡らせて、暴れ回った結果がこれってのはフィアンマも報われないね」
オッレルス「……どちらにしろ、私たちにとって必要不可欠な人材だということは変わりないから助けないって選択肢はないさ」
オッレルス「出来れば協力を取り付けてからがよかったんだけど、仕方がない」
シルビア「なんだー? まるで使い道がなかったら助けない、みたいな言い方はらしくないねえ」
シルビア「どうせあの子供達みたいにフラっと助けるんだろう?」
オッレルス「……今回の場合はその時になってみないと何とも言えないよ」
オッレルス「彼は少しやり過ぎてたから、使い道が無かったら助けなかったかもしれない」
シルビア「さてさて、どうだか」
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オッレルス「っと、無駄話はこの辺にしないと……」
オッレルス「彼に死なれては私たちがここまで来た意味がなくなる」
シルビア「本当にその通りだ。さっさと応急処置して帰るよ」
オッレルス「はいはい」シャガミ
オッレルス「……とりあえず腕の止血しておけば大丈夫かな?」
シルビア「なんで私に聞くんだ?」
オッレルス「いや、止血しても死なれたりしたら困るし。腕があればくっつけりゃいいだけだったんだけどさ」ブツブツ
シルビア「それなら多分大丈夫だろうよ」
オッレルス「多分って信用ならないな……」
シルビア「いいからとっととやりな」ゲシゲシ
オッレルス「痛い痛い!!」
オッレルス「分かったから! やりますから蹴るのやめて!!」
シルビア「……」ザクッ
オッレルス「はぁ、聖人の蹴りとか本当に勘弁なんだけど……」
-
オッレルス「……よし、これで大丈夫か」スッ
シルビア「あとは体力が回復したら目覚めるだろうな」
オッレルス「まあ、そうだろうけどさ」チラ
シルビア「何か?」
オッレルス「君が回復魔術かけた方が良かったんじゃないかと今更思ってね」
シルビア「ああ、それはやめた方がいいと思う」
シルビア「基本的に自分の回復しかしないから細かく回復魔術使うのは苦手なんだ」
シルビア「私は少しくらい雑な回復でも問題ないんでね」
オッレルス「……自分の体は大切にした方がいい」
シルビア「はははっ、こちとら生まれた時から聖人やってるんだ」
シルビア「アンタに体の心配されるほどヤワじゃないさ」
オッレルス「はぁ、自信過剰もいいけど本当に気をつけてくれよ?」
シルビア「ははっ、その心配はありがたく受け取っておくよ」
オッレルス「いや、シルビアが倒れたら誰も私にご飯を作ってくれないから」
シルビア「……それはご自分でどうぞ」
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オッレルス「さってと、目的は達成できたし、そろそろ帰るかな」スック
シルビア「……フィアンマはどうするんだい?」
オッレルス「え? 持っ……連れて帰るに決まってるだろう」
オッレルス「いくら止血したとはいえ、この極寒な地域に放置してたら死ぬし」
オッレルス「というか私もそろそろ凍え死にそうだし」
シルビア「じゃあなぜ放置したままなんだ?」
オッレルス「いや、そこはシルビアが回収してくれると……してくれないのか!?」
シルビア「……助けるって言ったのはアンタだ」
シルビア「それに女に力仕事を押し付けるのは少し引くなあ」
オッレルス「は、いや、私は回復したんだから回収は当然君の仕事だろう!」
オッレルス「確かに女であることは認めるけど、君は聖人だ。私の数倍力も体力もあるんだろう?」
シルビア「そうだね……なら譲歩してあげよう」
シルビア「ジャンケンで負けた方が抱えて帰るって条件でどうだい?」グー
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オッレルス「ふむ……平等な勝負を選んでくれたことだけは感謝しよう」
オッレルス「だけど、聖人さまがこんな優男に荷m、人運びを押し付けようとするのは納得が行かない……」
オッレルス「だから」
オッレルス「その勝負、受けようじゃないか」
オッレルス「さあ、ジャンケンだ!」グッ
シルビア「ふふふ、言ったな?」
シルビア「…………私の勝ちだ」クスッ
-
シルビア「最初はグー」ブンブン
オッレルス「ジャンケン!」
オッレルス「ぽん!!」グ-
シルビア「ふっ……」パ-
オッレルス「なっ、負けた……」
シルビア「だから私の勝ちだと言ったろう?」
-
シルビア(……聖人がジャンケンで負けるなんてことは有り得ない)
シルビア(相手が出した手を0.01秒で判断し、自分の手を0.01秒で出す)
シルビア(相手から見たら同時だが、私から見たら後出し)
シルビア(……私にとってじゃんけんなんてものは平等な勝負ではないのさ)ククッ
シルビア(ネタバレはしないけど)
オッレルス「……」フルフル
シルビア「負けた方が持つって約束だ」ニヒヒ
オッレルス「分かってる……」
オッレルス「だけど持つって言い方はどうかと思うよ」
シルビア「……じゃあ、連れて帰る、に訂正しておこう」
オッレルス「ああ……さっさと連れて帰ろう」
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オッレルス「よっこらしょっと」ドスッ
シルビア「布団干してるみたいじゃないか。そんな抱え方だと肩痛めるよ」
オッレルス「問題無い」
オッレルス「こう見えても私は肩を痛めたことはないんだ」ドヤ
シルビア「……まあいいや。途中で潰れても知らないからね」
オッレルス「でも……意識のない人間の体ってのは重たいな……」ズリズリ
シルビア「そんなの当然だ。新発見できて良かったねえ」
オッレルス「馬鹿にしたような言い方、気に食わないな……」
シルビア「そう聞こえたんなら悪かったね」
オッレルス「……どーも」ズリズリ
シルビア「……あんまり話してると体力消耗するよ」
オッレルス「………………」ズリズリ
-
今回の投下はここまでです。
-
乙
-
きたいん
-
ほほう
-
『肩凝り』
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………オッレルス宅………
オッレルス「いてて……」サスサス
シルビア「だから忠告したじゃないか」
シルビア「肩痛めるよってね」
オッレルス「……そんな警告をするくらいなら、君が運んでくれれば良かったんだ」ケッ
シルビア「ふーむ、いまさらそんなこと言うなんて男らしくないな……」
シルビア「仕方ない、そのお詫びとして、私が肩を刺す刺すしようか?」
オッレルス「待って、君のさすさすは普通のさすさすとニュアンスが違う気がするよ?」
シルビア「でも、せっかくアンタにベッドを譲ってやったのに……」
シルビア「あまり疲労回復の効果がなかったみたいでショックだ」
オッレルス「そんな文句を言うならフィアンマをソファーに寝かせれば良かっただろう」ム
シルビア「いやいや、聖人的に怪我人を雑に扱うことはできないから」
シルビア「たとえ第三次世界大戦を起こした張本人とは言えどね」
-
オッレルス「はっ!」
オッレルス「なら私も肩を痛めている。雑に扱えないな」グッ!
シルビア「だからアンタは疲れてるだろうからベッドで寝れるよう考慮したんろ?」
シルビア「本当ならフィアンマにはアンタのベッドを貸すつもりだった」
シルビア「が、肩疲れてるであろう人間を放っては置けないから、フィアンマには私のベッドを貸して、私はソファーで寝たってわけだ」
オッレルス「……ソファーで寝るのは順番にしないか?」
オッレルス「君だけずっとソファーっていうのは不公平だろう?」
シルビア「ん? その提案はありがたいんだけど、肩痛めてるんだろう?」
オッレルス「……凝ってるだけかもしれない」グルグル
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シルビア「ふーん、あんなことをして肩凝りで済んでたら私でも驚愕もんだけど……」
シルビア「ふむ、チェックしてみるか」
オッレルス「え?」
シルビア「少しじっとしていろ」ガシ
オッレルス「ええ? ちょっと、シルビアさん?」
シルビア「……」ゴリゴリ
オッレルス「いでででででででで!!!!」バタバタ
シルビア「ふーん……」パッ
オッレルス「何? 何がしたいんだ?」
シルビア「ただのチェックだよ」コキコキ
オッレルス「……肩の骨が折れるかと思ったぞ」ガクガク
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オッレルス「……して、診断結果は?」
シルビア「本当にただ凝ってるだけだったよ」
オッレルス「いや、それは無い」
オッレルス「君のせいで確実に折れた。骨がボキッていった」
シルビア「そんな謙遜はいらないよ」
オッレルス「今のは誰がどう聞いても謙遜ではなかったけどね」
シルビア「どうやら私が思っていた以上にアンタは頑丈らしい。驚いたよ」
オッレルス「本当に凝ってるだけなのか?」グルグル
シルビア「ああ」
シルビア「だけど、だいぶ酷い凝りだからマッサージでもしてあげよう」
オッレルス「優しく頼むよ」
シルビア「心配しなくても、私のマッサージは効くって評判なんだ」ゴキゴキィッ
オッレルス「ちょ、え、待って」
シルビア「ほら、歯ぁ食いしばって耐えてみな!」
オッレルス「肩マッサージで歯を食いしばるってどういうことだ!」
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今回の投下はこれでおしまいです。
次回は日曜か月曜になると思います。
-
乙
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『フィアンマげらっぷ』
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フィアンマ「っ……」ムク
フィアンマ「いづっ……」ビギリッ
フィアンマ「……俺様の、右腕がない……」
フィアンマ(そうか……俺様は確か、アレイスターに右腕を狩られ……反撃をしようとして……)グッ
フィアンマ(ダメだ、そこで意識が途切れている……)
フィアンマ「いや、それよりここは、どこだ……?」キョロキョロ
フィアンマ(何者かがあんな所にいた俺様を見つけ、死なせずにとりあえずは安全な場所に運んできたということか)
フィアンマ(……ということは、相手は只者ではないだろうな)
フィアンマ(……聖なる右は、ほとんど使い物にならない……)ジュウン
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フィアンマ(さて、どうしたものか)
フィアンマ(良心で俺様を回収してくれたというのならありがたいが……)
フィアンマ(いや、まだ俺様はあいつみたいに人間を信じることはできないな)
フィアンマ(……だが、包帯が巻いてあるし、窓まである)
フィアンマ(ということは、監禁されているという線は薄いか?)スッ
フィアンマ(……最悪拷問くらいならされると思っていたが、それは無さそうだな)
フィアンマ(まあ、そんなことがあったら返り討ちにするだけだが)
フィアンマ(で……建物的に学園都市ではないことは確かだな)キョロキョロ
フィアンマ(日本式の建物でもないか)
フィアンマ(だがそれ以外は見当が付かない……と)フゥ
-
コツコツ…
フィアンマ(っ……足音!)ビクッ
フィアンマ(攻撃……は止めておくべきか)
フィアンマ(一撃で仕留められなくて相手を逆上させても面倒だろうし……)
フィアンマ(今、俺様には右腕がないのだから、慎重に行動すべきだ)
フィアンマ(まあ、見張り役程度の敵なら腕なしの俺様でも一撃だろうが……)
フィアンマ(……とりあえずは寝たふりで様子を見るか!!)バッ
ズケッ
フィアンマ「んがっ!!」ゴツッ
フィアンマ(いたた……右腕ないの忘れてたな)
フィアンマ(っと、まずい、ベッドに戻らなければ!)スッ……グラッ
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ガチャ
オッレルス「……」ジー
フィアンマ「あ……」
フィアンマ(間に合わなかった!!)
オッレルス「もう起きたんだ」
オッレルス「おはよう」ニコニコ
フィアンマ「……あ、ああ、おはよう」アセアセ
-
フィアンマ「じゃない! 貴様は何者だ?」ズザッ
フィアンマ「いや、違うな。どこの組織だ?」
オッレルス「……命の恩人を貴様呼ばわり、か」
フィアンマ「……」ジッ
オッレルス「まあいいや、警戒されるのは仕方が無いし」
オッレルス「開けた瞬間攻撃が来なかっただけ良かったのかな」
フィアンマ「答えろ」ギロ
オッレルス「……オッレルス」
オッレルス「あと一歩で魔神になるはずだった男、とでも思ってくれればいい」
フィアンマ「魔神……」
フィアンマ(魔術を極めたことにより、神の領域まで到達した人間、だったか)
フィアンマ(確かに俺様が睨んでも全くひるまないかったし、言うだけの力は持ってるだろう)
フィアンマ(……その上なんだか俺様と似たような暗さを感じる)
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オッレルス「まあ、私のことはどうでもいいんだ」
フィアンマ「……少し興味が湧いたんだがな」
オッレルス「そうか? あまり面白い話でもないんだけど……」
フィアンマ「面白そうだとは俺様も思ってはいない。ただの興味だ」
オッレルス「……まあ、どうしても聞きたいなら後でいくらでも教えてあげるよ」
オッレルス「とりあえず今は少し私の話を聞いてくれないか?」
フィアンマ「……いいだろう」
フィアンマ(本当に魔神手前だとしたら、聖なる右のない俺様が勝てるかは微妙……)
フィアンマ(ということは、相手の言うことに従い、機を見て行動を起こすしかないか)チラ
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今回の投下はこれでおしまいです。
おつ感謝です。
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オッレルス「……」
フィアンマ「なんだ? 話すんじゃないのか?」
フィアンマ「腕組んで黙っていても何もわからないぞ」
オッレルス「ああ、ごめん。少し考え事してた」
フィアンマ「……? 話さないのか?」
オッレルス「いや、今から話すけど、とりあえずそこに座ってくれないか?」
オッレルス「立ってると怪我にも響くだろうしさ」
オッレルス「お互いにね」
フィアンマ(お互いに?)
フィアンマ「……大したことない、が、確かに傷が痛むから座らせてもらおう」スタ
オッレルス「ふぅ、これでシルビア怒られなくて済む」ブツブツ
フィアンマ「何言ってるんだ」
オッレルス「……いや、私も座らせてもらうよ」ズルズル スタ
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オッレルス「そう言えば、君の自己紹介がまだだったね」
フィアンマ「はぁ、俺様の正体を知らない奴が俺様を回収するわけがないだろう」
オッレルス「いやいや、相手の事を知らずに傷ついてるからって理由だけで保護してしまうこともあると思うけど?」
オッレルス「上条当麻とかはそのいい例じゃないか」
フィアンマ「……だがお前は俺様のことを知っているよな?」
フィアンマ「魔神とか何とか言っているくらいだから魔術側の人間だろう」
オッレルス「そりゃあ、私はもちろん知ってるさ」
オッレルス「君のことを知っていて、その上で協力を仰ぐために君を保護したんだから」
フィアンマ「協力だと?」ムッ
オッレルス「そう。私たちに協力してもらいたい」
フィアンマ「……ふむ、今、俺様は断れない状況なのだろうが、一応内容を聞かせてもらえるか?」
フィアンマ「流石に私が魔神になって世界を我が手中に収めるために協力しろ、などと言われたら全力で抵抗しなければならないからな」
フィアンマ「……俺様もそれくらいのことは許されるはずだ」
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オッレルス「……それはないよ」
オッレルス「まあ、私が目的を話したら、自己紹介してくれるというのなら話してもいいけど?」
フィアンマ「そこまでして俺様に自己紹介させたいのか……?」
オッレルス「もちろん」
オッレルス「私たちが持っているのは君の情報であって君自身ではないからね」
オッレルス「君自身を知らないことには背中を預けることはできないだろう?」
フィアンマ「……そこは詳細を話すことと引き換えに協力を取り付けるところだろう」
オッレルス「別に私は協力を強要するつもりはないからそんなことする必要はないよ」
オッレルス「ただ、仮にも世界を救うとか豪語していた君ならこの話を断ることはないと思ってのことだけど」
フィアンマ「……魔神にもできないことがあるのか?」ククッ
オッレルス「私は魔神じゃないよ。魔神になりそこねた惨めな魔術師さ」
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オッレルス「よし、じゃあここから話を始めるとしよう」
オッレルス「魔神もどきである私の敵は私の代わりに魔神になった隻眼のオティヌスだ」
フィアンマ「魔神になるチャンスを奪われたということか?」
オッレルス「いや、正しくは私が勝手に魔神になるチャンスに棒を振っている時に、彼女が魔神になったって形かな」
フィアンマ「ふむ……」
オッレルス「簡単に言えば、魔神のなりそこないVSれっきとした魔神という構図だね」
フィアンマ「……なぜその二人がVSになるんだ」
フィアンマ「オティヌスとかいう奴に魔神の座を……奪われたのが気に食わないというわけではなさそうだが」
オッレルス「ああ」
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オッレルス「つい最近までは後悔してたけど、今は彼女のことも魔神のことも大して興味はないさ」
オッレルス「だけど、かつて自分が追っていたものが誰かに悪用されることだけは許せなくてね」
オッレルス「彼女が完成するのを阻止するためなら私は自分の力を失っても構わないって思うくらいには、ね」
フィアンマ「彼女が完成する?」
オッレルス「……彼女は既に魔神なんだけど、何らかの理由でまだ完全に力を発揮できる状態ではないらしい」
オッレルス「理由の予想はいくつかあるんだけどね」
フィアンマ「例えば?」
オッレルス「まだ予想の段階でしかないんだよ」
オッレルス「全く確証のない私の妄想に過ぎない情報で混乱させたくはないから今は言えない」
フィアンマ「そうか。それなら仕方がない」
オッレルス「まあ、とにかく彼女が魔神として完璧になる前に止める」
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フィアンマ「……なぜオティヌスとやらが魔神の力を悪用すると言いきれる?」
オッレルス「あれ、君なら悪用する可能性があるだけで潰すって言うかと思ったけど……予想外だな」フ-ン
オッレルス「……魔神の力は言葉では表せないほどに強大だから魔神というものが存在するだけで不味いんだ」
オッレルス「そもそも魔神が持つ無限の力に世界の方が耐えられないかもしれないしね」
フィアンマ「ふむ、世界の方が崩れかねないほどの力なのか」
オッレルス「そう。私は魔神ではないから確かなことは分からないけど……」
オッレルス「仮に世界が崩れなかったとしても、魔神の持つ力は個人が自由に使えてもいいレベルを優に超えている」
オッレルス「……まあ、その点で言えば君も私も同じなんだけど」
オッレルス「魔神の場合は世界を破壊してしまうことさえ個人でできてしまうから危険なんだよ」
フィアンマ「なるほどな……」
オッレルス「ついでに言えば私と彼女は腐れ縁でね」
オッレルス「過去の悪事も数え切れないほど知っている」
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オッレルス「だからこそ、彼女を知ってるからこそ、完全な魔神の力を得たら彼女は世界を壊しかねない、と私は言えるんだ」
オッレルス「彼女が世界を壊さないという可能性を信用できない」
フィアンマ「ふむ……確かにそうかもしれないが、やはりそれは俺様自身の目で確かめないとなんとも言えないな」
オッレルス「そうだね。一度自分で見てみた方がいいだろう」
オッレルス「百聞は一見にしかずって言うし」
フィアンマ「で、具体的に俺様はどうすればいいんだ?」
オッレルス「私と共に彼女の計画を破壊する」
オッレルス「具体的にはホルスの時代について推測でもいいから教えて欲しい」
オッレルス「もしかしたらオティヌスに対する切り札やら彼女の弱点やらの手掛かりが得られるかもしれない」
フィアンマ「ホルスの時代……か」
フィアンマ(アレイスターが言っていたアレのことか)フム
フィアンマ(それこそ俺様の妄想に過ぎない確証も何もないものなのだが……)
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フィアンマ「他には?」
オッレルス「彼女の計画を阻止するには、取り巻きの魔術師も倒さないとならない」
フィアンマ「ふむ」
オッレルス「だから戦力としても力を貸して欲しい」
フィアンマ「それは構わないが、分かっているのか?」
フィアンマ「今の俺様は聖なる右……第三の腕は使えない」
フィアンマ「ある程度魔術は使えるが、魔神の取り巻きに敵うかは分からないものだぞ?」
オッレルス「そこは私に任せてくれて大丈夫だ」
オッレルス「君は魔術の才能の塊と言っても過言じゃないからね。少し学べば一気にできることが広がるはずだよ」
フィアンマ「……」
オッレルス「どうした?」
フィアンマ「俺様は神の右席だぞ? 魔術程度、学び尽くしている」フン
オッレルス「……」クツクツ
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今回の投下はこれでおしまいです。
少し書き溜めができてきたのでちょくちょく投下していくつもりです。
そこまで長くならない予定です。
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フィアンマ「何がおかしい」
オッレルス「いや、真面目な天才は違うなって思っただけさ」
オッレルス「神の右席っていう縛られた場所にいる人間が普通に魔術を学んでもさ、使える魔術がある程度レベルで止まるのは当然でしょ」
フィアンマ「そんなこと分かっている。その克服のために俺様は薄める原罪を取捨選択しているんだぞ」
オッレルス「ああ。知ってるよ」
オッレルス「……ただし、まあ、禁書目録があった時はそうでもなかったみたいだけどさ」
フィアンマ「何を言いたいんだ」ムッ
オッレルス「不真面目な秀才は正攻法なんか使わない。それじゃあ天才には追いつけないから」
オッレルス「学問に王道なし、とかよく聞くけど、不真面目な子はそれに納得がいかず、王道を探し求めることに力を注いだ」
フィアンマ「その不真面目な子というのはお前か」
オッレルス「まあね。昔はすごく頭痛めながら本を読み漁ったもんだ」
フィアンマ(結局努力家じゃないか)
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オッレルス「そんなチートを調べ抜いた私が才能の塊である君に魔術を教えたら、ある程度なんてチャチなもんじゃない、十分戦力になるだろうさ」
フィアンマ「くくっ、俺様に魔術を教える、か」
フィアンマ「確かにそれなら俺様にも得があって悪くないな」
オッレルス「だろう? Win-Winだ」
フィアンマ「ふっ、久々に愉快な気分だ」
オッレルス「それは良かった」
フィアンマ「ああ、俺様が真面目な天才か。おかしなことを言う男だ」
オッレルス「それは褒め言葉として受け取っていいのか?」
フィアンマ「さあな」
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オッレルス「それじゃあ」
オッレルス「今度こそあの少年が守った世界を守れるよう、この私に協力してくれるかい?」スッ
フィアンマ「っ……」
フィアンマ「……ふん、まだ協力すると決めたわけじゃない。オティヌスを見て決めるつもりだ」
フィアンマ「奴に危険を感じなかったら手切りだ」
オッレルス「もちろん」
フィアンマ「それでもいいなら……今は利害の一致ということで」ガシッ
オッレルス「よろしく、フィアンマ」
フィアンマ「ああ、短い間だがせいぜい俺様の足を引っ張らないよう気をつけろよ」フッ
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オッレルス「よし、じゃあ約束を果たしてもらうとするか」スック
フィアンマ「約束……? 何のことだ?」
オッレルス「自己紹介に決まってるだろう?」
オッレルス「忘れたとは言わせないよ」
フィアンマ「ああ……覚えていたのか」
オッレルス「当然だろう」
フィアンマ「……はぁ」
オッレルス「じゃあ私はシルビアを呼んでくるから少し待っていてくれ」������������������������������
フィアンマ「ああ、分かったからさっさと行け」��
オッレルス「くくっ、分かったよ」
-
ガチャッ�� バタン
フィアンマ「……なぜ笑ってたんだ? 何もおかしなことはないだろうに」
フィアンマ「いや、大したことではないか」フルフル
フィアンマ(……魔神オティヌス……オティヌス……北欧神話の主神オーディンに対応してる、と考えるのが自然か)フム
フィアンマ(つまり北欧神話をベースにした魔術を主に使うのだろう)
フィアンマ(いや、魔神だから一概にそうとも言えないか……?)
フィアンマ(まあいい)
フィアンマ(それは奴からおいおい聞き出していくか)
フィアンマ(さてと、戻ってくるまで少し調整しておくとしよう……)フッ
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今回の投下はこれでおしまいです
空白が?になってしまってますが気にしないでください
次の投下分からはほのぼの要素が出てくるのでお待ちください
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『自己紹介』
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ガチャッ
フィアンマ「む……来たか」チラ
シルビア「やあ、私がコイツの相棒……じゃないな。コイツを世話しているシルビアだ」
フィアンマ「ああ、そいつから聞いている。世話になったな」
オッレルス「コイツにそいつ……私にはオッレルスという名前があるからな?」
シルビア「はいはい」
オッレルス「今回は適当にあしらったって黙らないからな?」
シルビア「……」ニコ
オッレルス「ごめんなさい」
フィアンマ(なんだ……このノリは?)
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シルビア「ふーん、それにしても、あんなに出血してたのに脳には障害ナシか」
オッレルス「それは私の治癒のおかg」
シルビア「さすが、腐っても神の右席ってことかね」
シルビア「こんなにモヤシっぽくても生命力は人一倍あるんだねえ」
フィアンマ「むっ、俺様は腐ってない」
フィアンマ「すごい健全だ」
シルビア「……あ、ああ、そういうことね」
シルビア「でも腐るという単語の別の意味を知ってる時点で沼に片足入りかかってることは忘れない方がいい」
フィアンマ「……」ガクガク
オッレルス「腐る?」
シルビア「なんでもないよ」
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オッレルス「……でも、まあ、確かに私も驚いたよ」
オッレルス「腕落とされたってのにたった一日で目覚めるなんてね」
オッレルス「もちろん、話しておきたいこともあったから、早いに越したことはないんだけどさ」
フィアンマ「ふん、俺様はその辺の奴らとは地力が違う」
オッレルス「それは認めざるを得ないな。もう脱帽もんだ」
シルビア「……自己紹介するんじゃなかったのかい?」
オッレルス「ああ、すっかり忘れてた」
フィアンマ(なぜせっかく忘れていたというのに掘り返すんだ……)チラ
シルビア「ふっ……」ピ-ス
フィアンマ(間違いなくこの女もこの男の影響を受けているな)ハァ
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オッレルス「じゃあまずシルビアから頼むよ」
シルビア「ああ」
シルビア「私はシルビア。書類上ではイギリスに属している魔術師だね」
フィアンマ「まだ肩書きあるよな?」
シルビア「鋭いね。こんななりだけど聖人させてもらっているよ」
フィアンマ「くくっ」
フィアンマ「聖人連中はまともな格好している奴を探す方が難しいから、そんなに自分の格好を卑下しなくてもいいと思うぞ」
シルビア「卑下まではしてないけどな」
オッレルス「おお、シルビアが押されてるー?」
シルビア「少し黙ってろ」
オッレルス「はいはい……」
シルビア「聖人のついでと言ってはなんだが、王室派の近衛侍女ってのもやってる」
フィアンマ「ということはイギリス清教とも繋がりがあるということか」
シルビア「まあ、そうなるだろうけど、所属してる奴らと個人的に交流があるくらいさ」
フィアンマ「ふむ、なるほどな」
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フィアンマ「じゃあ……次は俺様か」
フィアンマ「多少面倒だが、仕方無い」
オッレルス「え?」
フィアンマ「なんだ。俺様の邪魔をするなら例え魔神手前のお前でも許さんぞ」
オッレルス「いやいや、まだシルビアは名前と所属しか話してないじゃないか」
フィアンマ「しか? 他に何か話すことでもあるのか?」
オッレルス「当たり前だろう? まだ序盤だ」
フィアンマ「だから他に何を言うんだ。得意な魔術とかか?」
オッレルス「いやいや、そんなの作戦会議の時でいいよ。今は自分の好物とか趣味とかを紹介する時だ」
シルビア「いや、しないけど」
オッレルス「え?」
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シルビア「しないと言ったんだ」
オッレルス「え、なんで」
シルビア「別にそんなことわざわざ話すようなことではないだろう?」
オッレルス「……私と初めて会った時は普通にしてくれたのに、時の流れって怖いな」
フィアンマ「そうなのか?」
シルビア「余計なことを……ああ、やったよ」
フィアンマ「ふむ……」ジー
シルビア「分かったよ。やればいいんだね?」ハァ
フィアンマ「い、いや! 俺様は別にやる必要などないと思っているが!」
オッレルス「正直に言えよ、フィアンマ」
フィアンマ「……少しは聞いてみたいという好奇心があるのも確かだ」
オッレルス「ぶっ!!」
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……………………
オッレルス「突然魔術使ってくるとかどうしたんだ? 危うく燃えるとこだったよ……」
フィアンマ「黙れ」ギロ
オッレルス(せっかく心を開いてくれたかと思ってたけど、ぱーにしてしまったかな)
シルビア「まあ、今のはアンタが悪いよ」
オッレルス「……分かってるから進めちゃってくれ」
シルビア「ああ。好物はイチゴで、趣味は……編み物だな」
フィアンマ「……イチゴか。やはり赤い食べ物は至高だな」
フィアンマ「俺様も嫌いじゃないぞ」ウンウン
シルビア「そうかい? 甘いものとかあまり好きじゃ無さそうだけど」
フィアンマ「色が好きなだけだ」
シルビア「あはは! なるほどね」
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今回の投下はここまでです。
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フィアンマ「次は……貴様の番だな」
オッレルス「また貴様に戻ってるし……」シュン
シルビア「さっさと話せー」
オッレルス「ごほん、私はオッレルス。没落貴族だけど、今はただの魔術師さ」
フィアンマ「貴族らしさの欠片もないな」
オッレルス「それは自覚ありだよ」
オッレルス「まあ、ただの魔術師に貴族らしさなんていらないだろうし、これでいいかなって」
フィアンマ「……ふむ、確かにそんなのもありかもしれないな」
オッレルス「お、分かってるね。私はあまり縛られるのが好きじゃないんでね」チラ
シルビア「私は別にここにいたいからいるわけで、縛られてるわけじゃないね」
フィアンマ「自由だな」
シルビア「いやいや、帰還命令無視してるだけさ」
-
フィアンマ「……ふっ、良かったな」
オッレルス「?」
フィアンマ「国の命令を無視できるほどにはお前は気に入られているらしい」
オッレルス「まさか、そんなわけ無いだろう?」
オッレルス「放っておいたら死にかねないからって言うんだからね」
フィアンマ「……そうかそうか」
シルビア「余計なことは言わないほうが身のためだって一応言っておこうかね」
フィアンマ「何も言うつもりはないさ」ククッ
オッレルス「なんだか気になる言い方だなあ……」
フィアンマ「気にすることはない」
フィアンマ「お前はいつも通りにしていればこの女は去らないだろうよ」
オッレルス「???」
-
シルビア「……」
シルビア「そう言えば、フィアンマがアンタのことをお前って呼んでたな」
オッレルス「あ、確かにそうだったかも」
オッレルス「話を強引に変えられたような気もするけど貴様呼びじゃなくなったならいいや」
フィアンマ「なっ!」
フィアンマ「……俺様は人を貴様呼びすることは少ないからお前のためだけに貴様呼びを意識していると疲れる」
フィアンマ「だから大人な俺様が広い心で許してやったというだけの話だ」
オッレルス「そうか」
オッレルス「じゃあまた貴様呼びされないよう注意しながら自己紹介進めようか」
フィアンマ「まだ続けるのか……」
シルビア「まあ、聞いてやれば満足するさ」
フィアンマ「はぁ……お前も大変だな」
シルビア「慣れっ子だよ」
-
オッレルス「私の好物は……強いて言うならステーキだね」
オッレルス「趣味はゲームだ」
フィアンマ「ゲーム? ボードゲームか?」
フィアンマ「あまりやったことはないが」
オッレルス「私が好きなのはテレビゲームだね」
フィアンマ「テレビゲームか……やったことないな」
オッレルス「なら後でやってみたらいいよ。ゲーマーが増えるのはいいことだし」
シルビア「目を悪くしてもいいならやるといいよ」
フィアンマ「ふむ、やってみるか」
シルビア「私の話聞いてた?」
フィアンマ「当たり前だ。目が悪くなっても多少は魔術で補正かけられるから構わない」
シルビア「魔力の無駄遣いだねえ」ハァ
フィアンマ「ふん、そんなの俺様の自由だろ」
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オッレルス「最後はフィアンマの番だ」
フィアンマ「はぁ、本当にやる気か?」
シルビア「私たちがやってアンタだけやらないのはねえ?」
オッレルス「大丈夫だって。もう笑わないからさ」
フィアンマ「お前の発言は参考にならないからな……」ハァ
シルビア「まあ、悪気があったわけじゃないんだ。本当は凄く甘い野郎だから飽きずに仲良くしてやってくれ」
フィアンマ「仲良く……か」
シルビア「同年代で同じ性別の奴と話すことがあまりないからテンション上がっちゃってんだよ」
オッレルス「なっ! 何言ってるんだ!?」
フィアンマ「ふっ、面白い冗談を」
フィアンマ「俺様はお前たちと馴れ合うつもりは毛頭ないからな」
シルビア「さてさて、でも確かにアンタは人間嫌いしてそうだからねえ」
シルビア「オッレルスの人たらしが効くかどうか分からないな」
オッレルス「いや、別に私は人たらしなんかじゃないんだけどね」
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フィアンマ「だろうな」
フィアンマ「人たらしが同年代と話すことがあまりないとかありえないだろうよ」
フィアンマ「俺様みたいな奴にも良くしてしまう激甘さに人間が寄ってくるだけだ」ケッ
シルビア「それを人たらしというんじゃないの?」
フィアンマ「ふん、そんなのは蜜に虫が集るようなことだ」
フィアンマ「甘い人間には平穏を求めるクソ野郎が虫のように集まるんだ」
オッレルス「わあ、すごい言われようだね。褒められてないのは確かかな」
フィアンマ「当たり前だ」
フィアンマ「最後にはクソみたいな人間にいいように使われるのがオチだ」
フィアンマ「まあ、それを否定する気はないがな」
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シルビア「私がいるから問題ないさ」
フィアンマ「それはどうだか。あるコトは人を盲目にするらしい」
シルビア「よーし、後で外行こうか」
フィアンマ「いや、ここで構わないぞ」
フィアンマ(コイツが見ている時に手を出したりはしないだろうしな)
シルビア「了解」トンッ
フィアンマ「ぐはっ!」ズドッ
オッレルス「怪我人……だけど?」
シルビア「余計なことを言う奴は敵さ。敵は怪我している時にこそつついていかないとね」
フィアンマ「っ、甘く見ていた……」ジンジン
オッレルス「先に言っておくべきだったか……シルビアは怒らせない方がいいよ」
フィアンマ「今更言われても困る」
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今回の投下はこれでおしまいです
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インフルなようなので二日ほど消えます
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フィアンマ「……よし、今度は人たらしじゃない俺様の自己紹介するか」タンコブ
オッレルス「お、乗り気になったか!」
フィアンマ「無駄話に飽きただけだ」
フィアンマ「それにこれ以上話して痛い目に遭うのは勘弁だからな」
シルビア「それが得策だね」
フィアンマ(思えば自己紹介というものは今までやったことがなかったな……)
フィアンマ(とりあえず名前、所属か)
フィアンマ「俺様はフィアンマ、ローマ正教の神の右席で右を司っている」
フィアンマ「まあ、神の右席のリーダーみたいなものだ」
シルビア(そう言えば、フィアンマも同年代との交流が少ないんだったか)
シルビア(上から下を見ているだけ。常に自分が上で同等の立場の人間はいない)
シルビア(ははあ、それを前提に考えれば、あの角を立てるような話し方にも納得だね)ハァ
シルビア(ということは、まあ、人たらしにたらし込まれるのも時間の問題かね)
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オッレルス「ほほう、私の情報と一致してるけど、自分がリーダー格だと分かってたのか」フムフム
フィアンマ「いや、ただ他の三人が最終的な判断は俺様に委ねていただけだ」
フィアンマ「好きな物は……」
フィアンマ「……」
オッレルス「まさかの溜めが入るとは……」
フィアンマ「俺様が好きなものか……」
シルビア「別に食べ物にこだわる必要はないんだけどね」
フィアンマ「俺様が好きな物は特にはないな」
オッレルス「好きな物がないかー。人生の九割は損してるかな」
フィアンマ「き、九割だと?」
フィアンマ「基本的に出されるものは選り好みせず食べていたからな……」
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シルビア「それはいいじゃないか。作る側としてはなんでも食べてくれることはありがたい」
フィアンマ「いや、そういうわけじゃなくて、食べ物に頓着しなかったというか、栄養になる物ならなんでも構わなかったというか……」
フィアンマ「食べ物を食べるという行為が俺様にとっては生きるための義務でしかないといったところか」
フィアンマ「歯磨きに好みなどないのと同じように食べ物にも好みがないのさ」
シルビア「あ、それは作る側に失礼だね。流石、トップ様は食べ物に困らないだけあるねえ」
シルビア「これは要矯正だ……」
オッレルス「あれ? シルビア?」サッサッ
フィアンマ「どうしたんだ?」
オッレルス「スイッチ入っちゃったみたいだね」ハァ
フィアンマ「え? 何のことだ」
オッレルス「いや、何でもないさ。気にしないで続けてくれ」
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フィアンマ「そんなことを言われてもな……」
フィアンマ「いや、やるか……趣味も特にないな」
フィアンマ「強いて言うならある程度の難題を打破することか?」
フィアンマ「まあ、ある程度の難題とはいっても大体のことはサクッとできてしまうだろう?」
フィアンマ「だから、どうしたら人間は足の小指をタンスの角にぶつけないように歩けるようになるかなどを考えるくらいだったな」
オッレルス「そ、そんなにバカみたいなことを考えていたんだ」フルエ
シルビア「で、その結果はどうだったんだい?」
フィアンマ「下を見て歩く、だな」
フィアンマ「足以外を犠牲にするわけだがな。頭はぶつかるし、肩もぶつかる」
オッレルス「意味ないじゃないか」
フィアンマ「全てを求めることはできない。何かを求めるなら何かを諦めるべきなんだろう」
シルビア「なんだかカッコイイこと言っているみたいだけど、それに至るまで考えていたことが足の小指をいかにしてタンスにぶつけないようにするかっていうな……」
フィアンマ「あくまで一例だ。そんなに突っ込まれると困る」
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フィアンマ「とりあえず、俺様の自己紹介はこの辺で終わりだ」
オッレルス「うん、ありがとう。等身大のフィアンマに少し近づけたような気がするよ」
フィアンマ「だから、馴れ合いはしないと言っただろう?」
オッレルス「じゃあ、いい情報をもらったよ、ということで」
フィアンマ「ふん」
シルビア「それじゃあ、怪我がある程度マシになるまではゆっくりしているといいよ」
フィアンマ「ああ。悪いな」
シルビア「私はこの赤髪野郎をギャフンと言わせるために夕飯作ってくるからさ」
シルビア「ということで買い物頼むよ!」ピラッ
オッレルス「はいはい、分かったよ」
シルビア「さっさと買ってくるように」ガチャ バタン
オッレルス「了解ー」
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今回の投下はここまでです。
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『おつかい』
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フィアンマ「さっさと買い物に行かないのか?」
フィアンマ「居座られると邪魔なんだが」チラ
オッレルス「ああ、ごめん」
フィアンマ「謝罪はいいからさっさと出てくれ」
オッレルス「少し付き合わないか?」
フィアンマ「……買い物にか?」
オッレルス「そうそう。街の案内も兼ねてさ」
フィアンマ「……荷物持ちはしないぞ」
フィアンマ「ただでさえ右が急に軽くなってとても歩きづらいんだからな」
オッレルス「それはのったと捉えていいのかな?」
フィアンマ「ああ。ここはまだ痛いが、外の風を浴びたい気分なんだ」
オッレルス「よし、じゃあ行くとしようか」
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………外………
フィアンマ「ふう、久々に外へ出たような気分だ」
オッレルス「実際はつい一昨日まで激闘を繰り広げてたんだけどね」
フィアンマ「……そうだな」
オッレルス「……」
オッレルス「ところで、今日の夕食はグラタンらしいんだけど、苦手なものとかないか?」
フィアンマ「……生魚全般。だが、普通に食べることはできるぞ」
フィアンマ「さっきも言ったように俺様にとって食は義務だからな」
オッレルス「なるほどなるほど……私と同じか……」
オッレルス「違うものだったら積極的に食卓に出してもらおうと思ってたのに」ブツブツ
フィアンマ「……お前、見かけによらずSなのか?」
オッレルス「S?」
オッレルス「Sサイズは流石に小さいかな。身長は結構高いんだから」
フィアンマ「服の話じゃない」
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オッレルス「あ、思い出した」
フィアンマ「……ん?」
オッレルス「シルビアが宣戦布告していたよ」
フィアンマ「俺様にか?」
オッレルス「食事を義務とは二度と言わせない、だと」
フィアンマ「ふむ、成功するといいな。俺様もこっそり応援しておいてやる」
オッレルス「いや、君に向けての発言だよ、フィアンマ?」
フィアンマ「分かってるさ。ただし味が美味しいから義務ではなくなるわけじゃないからな」
オッレルス「それくらいはシルビアも分かってるだろうよ」
フィアンマ「ふむ、どんな方法をとってくるか楽しみなものだ」
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オッレルス「怪我の調子はどう?」
オッレルス「今更なんだけど、シルビアにどやされそうな気がしてきたな……」
フィアンマ「ふむ……まあ痛い。だが言葉にできる程度だから回復がよく効いているのだろうな」
オッレルス「だろうね」
フィアンマ「なんだ、自慢したかっただけなのか」
オッレルス「いや、ちゃんと効いてるか少し心配だっただけさ」
フィアンマ「……チートの子じゃないのか?」
オッレルス「回復魔術を人に使うことなんてあまりないからさ。チートの子でも経験が少ないことは苦手なんだよ」
フィアンマ「ふっ、チートの子が聞いて呆れるな」
オッレルス「効けばいいんだよ、効けば」
フィアンマ「適当なことを……」
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………スーパーマーケット………
オッレルス「ついたついたっと……」
フィアンマ「ずいぶん近いな。これでは街の案内も何もないだろう」ムッ
オッレルス「ただ単に話し相手が欲しかっただけだからね」
フィアンマ「っ、何度言えば分かる。俺様は馴れ合うつもりはないと」
オッレルス「フィアンマになくても私は友達になりたいと思ってるから、私が諦めるまでは勘弁して付き合ってくれよ」
フィアンマ「……確かにお前は人たらしの名がピッタリだな。相手に友達になりたいなど素面で言えることじゃない」
フィアンマ「ま、技術があろうと俺様と仲良くなるのは不可能だろうがな」
フィアンマ「俺様が求めるのは信頼関係であって、友情関係じゃないからな。ギブアンドテイクだ」
オッレルス「……そうか。じゃあとりあえず材料買おうか」
フィアンマ「ああ。俺様を唸らせるような料理を待っているぞ」
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今回の投下はここまで。
どっかに移転しようかな……
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こっちに移転しました。
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