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幼女「笛ぇ・・・」

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/30(金) 23:57:57 hW9RNKEk
男「幼女、ついにそれを手にしてしまったか」

幼女「これ何?」

男「見ての通り"篳篥"だ」

幼女「ひらがなで書けばいいのに」

男「その篳篥はだな」

幼女「うん」

男「・・・知りたいか?」

幼女「そこまで言ったのなら言ってよ!」


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2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 00:03:18 oKxx3mcI
男「では幼女だけに教えてやろう」

幼女「うん」

男「それは死んだ親父が愛用していたものだ」

幼女「汚っ!」ポイ

男「いやいやちゃんと除菌してあるから」

幼女「ほんとに?」

男「さすがに不潔だろ、俺が吹いた後ならまだしも」

幼女「男のキスはもっといらない」


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 00:08:34 oKxx3mcI
男「そして親父は死ぬまでこれを持ち歩いていた」

幼女「死ぬまで歩いてるって・・・」

男「正確に言うと"肌身離さず持っていた"かな」

幼女「肌身離さずってことは、死ぬまで吹いてたの?」

男「ああ、厳密にはそうだな。最期の息を吐ききるまで演奏していた」

幼女「あのさあ・・・」

男「ん?」

幼女「包み隠さずにハッキリ話してくれる?詐欺師さんよ」


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 00:14:48 oKxx3mcI
男「というわけで、うちの倉庫には色々な物が眠っているのでした」

幼女「ガラクタばっかりだったね」

男「幼女にはそう見えるのかもしれないな、飯にするか」

幼女「飯食おうか」

男「米だけなら山ほどあるぞ」

幼女「えっおかずは?」

男「それは俺の・・・」

パキポキ

男「なーんちゃってウソウソー!」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 00:21:12 oKxx3mcI
男「幼女、人参を切ってくれ」

幼女「うんいいよ」

男「と、その前に皮をむけよ」

幼女「わかってるよ、ちょっと隣行ってくるね」

男「・・・隣の家?」

ズリュリュ

幼女「男ー!隣人の」

男「ふぅ・・・またか」


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6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 16:32:44 h5gqgDlo
隣人「また皮膚がなくなってしまいました」

男「お、おう」

隣人「ところで」

男「あの篳篥か?」

隣人「はい、それに付いてのことなのですが」

隣人「篳篥を返してもらえますかね」

男「何かあったのか?」


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 16:42:06 BT6SNirI
隣人「実はあれは、吹いた者は悪霊に取り付かれる"死の笛"なのです」

男「おい初めて聞いたぞその話」

隣人「ほら、後ろを見て」

男「後ろ?」

幼女「家が…」

男「燃えてる!?」

隣人「火はちゃんと消してから外出しましょう」

男「大変だ!冷蔵庫のガリガリ君が溶けてしまう!」


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 20:41:32 oKxx3mcI
男「うおおお!待ってろ俺のガリガリ君!」

幼女「炎に飛び込んだ!」

隣人「あなたも後を追いなさい」

幼女「えっでも死ぬでしょやだよ」

隣人「大丈夫ですよ」

男「煙と煤で台所がどこか分からねえ・・・」

幼女「男・・・無傷・・・」

隣人「守りの笛ですからね」


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 20:52:21 oKxx3mcI
男「守りの笛?」

隣人「もともとは2丁目の廟堂に奉られていたものですね」

隣人「しかし今から約30年前、あなたの父がそれを盗み出しました」

隣人「その直後に彼は地震・雷・火事・鼻血という四重苦に襲われ瀕死状態になるのですが」

幼女「守りの篳篥のおかげで一命を取り留めたと?」

男「運がいいんだか悪いんだか分からん」

隣人「彼はその後も何度か死にかけましたがすぐに息を吹き返しました」

隣人「そしてある時、篳篥に惚れ込んだ彼はそれを吹いてしまいました」


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/31(土) 20:58:29 oKxx3mcI
男「愛しのキス?笛に?」

幼女「キモイ・・・」

隣人「ですから、その笛は決して吹いてはならないのです」

男「うん、まあ俺はカビとか生えてたら最悪だから吹かなかった」

幼女「生理的に口が受け付けないし」

隣人「でしたら今は問題ありませんが・・・いつか」

隣人「いつか衝動的にそれを吹いてしまう時が来ます」

隣人「危ないのでそれを私に返してください」


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