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少女「ねぇ、あなた、お金持ってる?」青年「うん?」

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 04:37:26 CFmhmWhM
少女「お金持ってる?」

青年「えっ、あっ、ある。あります」

少女「いくらくらい?」

青年「今…たぶん3000円くらい」

少女「ふぅん…」

青年「卸せばもっとあるよ」

少女「どのくらい?」

青年「60万くらいかな…」

少女「…なるほど」

青年「いくら欲しいんですか」

少女「そういうわけではなくて」

青年「?」

少女「私のこと買ってくれない?」

青年「えっ」


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2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 04:43:01 CFmhmWhM
青年「買うってどういう…?」

少女「…ハムスターって知ってる?」

青年「ハムスター?知ってるよ」

少女「あれって小さいからそんなにしないの、1000円もあれば買えるんだって」

青年「安いね」

少女「でもね、ハムスターは放し飼いできないから、カゴを用意しなきゃいけないし、餌も必要だから、結局1000円で育てるのは難しいの」

青年「そりゃあね」

少女「まぁ私、ハムスター飼ったことないけど、たぶんそんな感じ」

青年「なにが?」


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 04:45:39 CFmhmWhM
少女「私のこと……」

少女「いくらだっけ…3000円…?それでいいから、家に連れて帰ってほしいの」

青年「どうしてそんなことを…?」

少女「……」

青年「なにかワケありなんだ?」

少女「……」

青年「話なら聞いてあげるから…でもここじゃ寒いね。どっかお店行こっか」

少女「……」


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 04:48:41 CFmhmWhM
ファミレス

青年「君、家出したの?」

少女「……」

青年「あ、ごめん…その前になにか頼む?ドリンクバーあるよ」

少女「お水でいい…」

青年「食べ物は?」

少女「……」

少女「こお」

青年「それはちょっとやめた方がいいんじゃない」

少女「……」

青年「じゃあ、僕、ポテト頼むから。一緒に食べようか?」

少女「いいの?」

青年「いいよ」

少女「ありがと………ございます」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 04:54:59 CFmhmWhM
青年「で?家出したの?」

少女「…家を出ているのは間違いないけど」

青年「けど?」

少女「……」

青年「理由は?」

少女「それは言えないの」

青年「どうして?」

少女「それも言えないかも」

青年「えー…」

少女「それでも買ってくれたら嬉しいわ」

青年「ちょっと、厳しいかな」

少女「……」


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6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:00:19 CFmhmWhM
青年「君、年はいくつなの。中学生くらいにしか見えないけど」

少女「…中学生なら買ってくれる?」

青年「そういうわけじゃないよ。でも小学生にも見えなくはないかな」

少女「……」ムッ

青年「あ…そう、中学生なんだ…」

少女「まぁ、そういうことにしておいて」

青年「なんだかテキトウだなぁ」

青年「でも、小学生だろうと中学生だろうと、連れて帰るのはまずいよ」

少女「どうして?」

青年「親が探すでしょ」

少女「探さない」

青年「いや探すって。警察に頼んだりしてさ…普通はそうするよ」

少女「……」


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:02:45 CFmhmWhM
少女「じゃあ」

少女「もし、親の方から私を追い出したとしたら?」

青年「えっ」

少女「それでも、警察が私を探すと思う?」

青年「……」

青年「それなら探さないかもしれないけど。ありえるかな?」

少女「ありえるかありえないかじゃなくて」

少女「あなたが『普通は』って言ったから、例外を言ってみただけ」

青年「じゃあ親に追い出されたわけではないんだ?」

少女「案外本当のことかもしれないわよ」

青年「やっぱり内緒なんだ?」

少女「そんな感じ」

店員「お待たせしました、フライドポテトです」コトッ

青年「あ、どうも」


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:04:52 CFmhmWhM
少女「食べていい?」

青年「……」スーッ

少女「…どうしてお皿をそっちに寄せるの?」

青年「食べちゃダメ」

少女「さっき、一緒に食べようか、って言ってたのに…」

青年「君が正直に答えてくれたら食べさせてあげるよ」

少女「なにを?」

青年「家出の理由」

少女「……」

少女「じゃあ、いらない」

青年「えっ?」

少女「我慢する」

青年「ほんとに?」

少女「すごくお腹空いてるけど、我慢する」

青年「そんなに言いたくないの?」


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:08:30 CFmhmWhM
青年「……」パクパク

少女「……」ジーッ

青年「美味しいよ」

少女「うん、すごく美味しそうに見えるわ」

青年「話してくれたら好きなだけ食べてもいいよ」

少女「じゃあいらない」

青年「……」

青年「なんでそんな意地張るの?」

少女「……」

青年「…一本だけ食べる?」

少女「…いいの?」

青年「なんか、すごく可哀想になってきたから」

少女「ありがとうございます」

青年「君お礼言う時だけえらい丁寧だよね」


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:14:08 CFmhmWhM
少女「……」サクサク

青年「どう?」

少女「おいしい…」

青年「もう一本ほしい?」

少女「くれるの?」

青年「正直に話したらね」

少女「分かったわ」

青年「一本食べたら簡単に折れたね」

青年「まぁいいや、じゃあ聞くよ」

青年「好きな食べ物はなに?」

少女「……え?」

青年「これも答えてくれない?」

少女「……」

少女「お、オムライス」

青年「分かった、はいポテト食べていいよ」


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:17:17 CFmhmWhM
少女「どうして?」サクサク

青年「んー?」

少女「どうしてそんな質問…」

青年「…だってもう、君の事情は話してくれそうにないから」

青年「大人しく連れて帰ってあげようかなって」

少女「…いいの?」

青年「大丈夫なんだよね?警察とか、来ないよね」

少女「たぶん、大丈夫」

青年「え、たぶんなの?」

少女「絶対大丈夫って言うと、逆に不安がられそうだから」

青年「確かに」

少女「だから、たぶんをつけておくわ」


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:22:41 CFmhmWhM
青年「…それ食べたら、家に行こうか」

少女「うん。じゃあ、お金」サクサク

青年「?」

少女「3000円払って。そうしたら私、あなたのものになるから」

青年「ものって…」

少女「あなたの言うことなんでも聞くわ。私けっこういろいろできると思うから」

青年「けっこういろいろって…?」

少女「編み物とか、靴磨きとか」

青年「へぇ」

少女「ガラスのテーブルとか作れるし、あとバイクの修理とかも」

青年「…ほんとに?」

少女「うん」

青年「君さ、わりと勢いで喋ってる?」

少女「そんなことないけど…」サクサク

青年「……」


13 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:26:35 CFmhmWhM
少女「ねぇ、これは何?ケチャップ?」

青年「違うよ、それはタバスコ」

少女「タバスコって…?」

青年「タバスコ知らないの?」

少女「うん…はじめて見たわ」

青年「もしかしてファミレスとかはじめて来た?」

少女「…ファミレスは、知ってたけど」

青年「知ってた…ってことは、やっぱり来るの初めてなんだ?」

少女「あんまりないから」

青年「ふーん…そっか…そうなんだ」

少女「タバスコって、おいしい?」

青年「…試しに舐めてみたら?」

少女「そうね…」ポタポタ


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:30:29 CFmhmWhM
少女「……」

少女「ちょっとずつしか出ないわ」ポタポタ

青年「そりゃあね。タバスコだからね」

ポタポタポタポタポタポタ

青年「あーあ。そんなにかけちゃって…絶対後悔するよ」

少女「?」パクッ

少女「……」モグモグ

少女「あっ」

少女「酸っぱ、違う、辛い、あ、あ、辛い、辛い!」

青年「水飲んで水」

少女「……!」ゴクゴク

少女「辛…なんで、教えてくれないの!」

青年「言ったじゃんタバスコだって」

少女「タバスコがなんだか知らないって言ってるのに!」

青年「ごめんごめん」


15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 05:35:20 CFmhmWhM
店員「ありがとうございました」


青年「行こうか」

少女「……」

青年「行かないの?」

少女「本当に買ってくれるの?」

青年「うーん…」

青年「とりあえず一晩だけ泊めてあげる」

青年「明日になったから帰りなよ。ね」

少女「それはできないの」

青年「……」

青年「まぁ、さ…家出なんて、きっと今は、意地でも帰るものかって気分かもしれないけど」

青年「明日には気が変わって、家が恋しくなるかもしれないよ」

少女「じゃああなたは、明日には私の気が変わって、すぐに帰りたがると思っているのね」

青年「うん」

少女「そうなったらいいわね」


16 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 06:37:12 nxrBWYhw
期待


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/21(水) 19:26:06 kbsuHNf6
面白そう


18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/23(金) 01:42:04 2rki1TF2
支援


19 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2015/10/23(金) 08:10:52 JQ1SNFiU
続きをください


20 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/04(木) 22:07:11 nV6SoGQU
おぉい


21 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/09(火) 02:44:29 q3EWtdZ.
てす


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