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短い午後のetc
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◇1
男「ねぇねぇ聞いてよ」 妹「ん」
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男「またふられた」
妹「お兄ちゃんコレで何回目よ」
男「今年になって3回目」
妹「3回って…、まだ3月だよ。月一ペースで失恋してるじゃん」
男「今度こそ、最高の人だと思ったのに…」
妹「どうせまた片思いで、相手に彼氏がいたんでしょ」
男「うっ」
妹「それはふられたとは言わないから」
男「いいんだ…彼女には幸せになって欲しい…」
妹「自分で幸せにしてあげようと思わないところが駄目だと思うよ」
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男「なぁー慰めてくれよ」
妹「うざい。抱きつくな」
男「なぁーなぁーなぁー」
妹「あーもう…わかったから黙って抱きつけ」
男「……」
妹(…あったかい)
男「なぁ」
妹「なに」
男「キスしたかった」
妹「残念だったね」
男「キスってどんな感じなんだろうな」
妹「ん、別に。普通だよ」
男「そっかー…普通かー…」
妹「うん」
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男「…はぁ!?!?!?」
妹「うわっ、急になによ」
男「お前、何時キスしたの」
妹「何時って…この間」
男「誰よ」
妹「はぁ?」
男「誰とキスしたのかって聞いているんです」
妹「いいじゃん。誰とキスしたって」
男「良くない!良くない!誰と何時何処でどうやって!!」
妹「うるさいなー」
男「おおおお…ついに妹に先を越された…」
妹「……」
男「なんたることだ…あの可愛かった妹が、もう既に大人の階段を上り始めているとは…」
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妹「今もかわいいっつーの」
男「……」
妹「…さらに、落ち込んでるし」
男「……ぐすっ」
妹「泣いてんの?」
男「泣いてないもん」
妹「…そ」
男「……」
妹「ん」チュッ
男「……!?」
妹「キス、こんな感じ。普通でしょ」
男「お、おう」
妹「てか、強く抱きすぎ。もっとやさしくして」
男「お、おう…」
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妹「ん、丁度いい」
男「……」
妹「……」
男「あ、そういえば、プリンあるけど、食べますか」
妹「食べる」
男「わかりました。持ってきます」
妹「ん」
そんな兄弟の午後。
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◇2
男「暑いな」 女「うん、暑い」
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男「何回暑いっていったかな」
女「たぶん百回くらい」
男「残念。24回」
女「数えてたんだ、変なの」
男「暑い時ってさ、暑い以外の感想が無いよね」
女「そんなことないってば」
男「例えば?」
女「…涼しくなりたいなーとか」
男「後は?」
女「海いきたいなーとか?」
男「何で疑問系なんだよ」
女「いや、良く考えてみたら別に海いきたくなかった」
男「海って、思っているよりいいもんじゃないよな」
女「たしかに。砂浜暑いし、日陰ないし、人もいっぱいだし」
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男「じゃあ、何処いきたい?」
女「…映画館」
男「映画館?」
女「うん。映画館。私好きなんだよね映画館」
男「しばらく、行ってないな」
女「暑くてウンザリしながら映画館はいるとさ、寒いくらいのクーラーがかかってて」
男「うん」
女「ほんのり甘いにおいがするの。ポップコーンの匂い」
女「なんだか、一瞬で違う世界に来た感じがするんだよね。みんなワクワクしているし、逆にがっかりしてる人もいて」
男「ガッカリ?」
女「クソみたいな映画見せられてさ」
男「あぁ、なるほど」
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女「いいでしょ、映画館」
男「うん」
女「…夏だね」
男「うん、夏だね」
女「どっか行きたいね」
男「うん、何処にでも行きたい」
女「誘ってよ、楽しませてあげるよ」
男「うん」
女「ねぇ」
男「ん?」
女「好きだよ」
男「知ってる」
女「そっか」
そんな恋人たちの午後。
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◇3
男「なにしてるの」 死神「ひなたぼっこ。ここ丁度いいのよ」
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男「あの…」
死神「なによ、なんか文句ある?」
男「いや、服着ないの?」
死神「着てもいいんだけどね、ほらコレ邪魔じゃない」
男「……羽?」
死神「飛べないけどね。ほら、私、高所恐怖症だから」
男「…なるほど」
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男「それ、僕のタバコ」
死神「綺麗な箱に入っていたから、つい貰っちゃった。でもこれおいしくないわね」
男「タバコは火をつけなきゃ」
死神「火をつけたら燃えちゃうじゃない」
男「こんな感じ」シュボッ
死神「し、知ってたからね?」
男「吸う?」
死神「…いらない」
男「そっか」
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男「……」
死神「……」
男「それでさ、君、誰なの?」
死神「死神」
男「は?」
死神「だから、死神」
男「…そっか」
死神「そっかって」
男「いや、まぁ。そうなんだろうね」
死神「なんなのその反応は」
男「僕、死に損なっちゃった?」
死神「まぁ、そういうことみたい」
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恐る恐る振り返ってみると、部屋中が血だらけになっていた。
男「あちゃー…」
死神「なかなか落ちないわよー。アレは」
男「どうしよっか」
死神「どうするって、私に聞かれても」
男「こういう場合ってさ、もう一回死んだほうがいいの?死神的には」
死神「どっちでもいいけど。あんたがしたいようにすれば?」
男「それ、僕が選んじゃっていいの?」
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死神「ま、冥土からの土産ってことで」
男「……」
死神「あ、みかんだ。食べていーい?」
男「どうぞ」
死神「ありがとー」
男「……」
死神「…甘いー」
男「……」
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死神「この、白いのを取るのか取らないのかでいつも迷うのよね」
男「…なんか、疲れちゃったな」
死神「なにが?」
男「死ぬことも、生きることも。面倒くさくなっちゃった」
死神「ださい言い方」
男「他にどんな言い方があるのさ」
死神「私の中から価値が消えていきましたー…とか?」
男「抜け殻ってこと?」
死神「ずいぶん血もなくなったみたいだし」
男「確かにね」
死神「ミイラ男って感じ」
男「そのあだ名は嫌だな」
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死神「じゃあなんて呼べばいいの」
男「何が?」
死神「からっぽのあんたのこと」
男「そうだな…」
男「男、ただの男でいいよ」
死神「変なの。それじゃ私は女?」
男「君は死神でしょ」
死神「なんかそれじゃダサい」
男「君が言い出したのに」
死神「だってそれは私の役割だもん。学校の先生だって、先生って言うのが名前じゃないでしょ」
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男「じゃあなんて呼べばいのさ」
死神「なんかあだ名つけてよ」
男「僕、センスないよ?」
死神「知ってる」
男「そうだなぁ…あだ名ねぇ…」
死神「可愛いやつね!」
男「ワガママだなぁ」
死神「口答えしないのっ」
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男「んじゃ、マール・ボロで」
死神「なにそれ」
男「僕の好きな言葉」
死神「どういう意味?」
男「人は本当の愛を見つけるために恋をする」
死神「あら素敵」
男「僕が言ったわけじゃないけれどね」
死神「それじゃ、私は今日からマールってことで」
男「よろしくね、マルちゃん」
死神「急にセンスがなくなったけど!?」
そんな異世界交流の午後。
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訂正 兄弟→兄妹
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煙草か
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