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「先にやったのは、お前だろ」
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「この前、お前が俺を池に落としたじゃないか」
「はぁ?お前が先に俺の服に虫を入れたんじゃないか、このバカ」
「何言ってんだよ、それはその前にお前がー」
「はいはい、何騒いでいるの、静かにしなさい」
「だってこいつが」
「何言ってんだよ、お前が」
「はいはい、分かったから そんなに前の事を、いつまでもウジウジ言っててもしょうがないでしょ
はい、仲直りの握手」
「…ちぇ」
「…ふん」
「もう…君達ね、そうやってお互いに相手のせいにするのって、端から見ると惨めなものよ?」
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「大人でもね、今の君達みたいに先に誰々がやった〜って言って、いつまでも人のせいにするような人がいるんだけどさ
それでどんどん、どんどん話が大きくなって…」
「そうすると、最後には取り返しのつかない事になっちゃうの」
「取り返しのつかない事?」
「そう、例えば…大切な人と、もう二度と、話すことも会うことも出来無くなったりしてしまうの」
「…二度と?」
「うん、二度と、絶対に」
「…ふん、別にいいよ、お前なんかと二度と会わなくて」
「…何を」
「こら、仲直りしたんでしょ」
「何が仲直りだ、こんな奴、大切でも何でもないよ……
お前なんか、大っ嫌いだ!!」
ダッ
「あ、待って!……」
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「………ヒック…ヒック…」
「…大丈夫、大丈夫だよ」
「ヒック……ねぇ、俺、もう二度とあいつに会えなくなっちゃうのかな」
「…ううん、まだ大丈夫」
「だって、だって……」
「明日、また会えるじゃない
また一緒に会って、仲直りすればいいだけじゃない」
「でも…」
「あの子が君のこと、本当に嫌いになるわけないじゃない」
「…うん」
「きっと明日になったら、また仲直りして、いつもと変わらない声を聞けると思うよ
大丈夫、君達はまだまだやり直せる」
「うん」
「だから、何も心配することなんてないよ」
「…うん、分かった、明日またあいつに会って、話してみるよ」
「そう、君達は笑顔で話してる姿が一番お似合いだよ」
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だけど、その次の日
いや、それからもあいつとは、二度と会えも、話せもしなくなってしまった
あいつの親によると、その日、帰った後、俺と喧嘩した事を話してくれたらしい
そして、俺と同じように不安になり、俺と同じように泣き、俺と同じように励まされ
俺と同じように、次の日は一秒でも早く会って、仲直りしようと家を出たらしい
あいつは、本当に一秒でも早く、俺に会いたかったらしい
そんなこと、誰が聞いても理解できる
俺は、この時の事を忘れることは無いだろう
特に、あの人から聞いた話
最初は例え些細なことであっても、次第に事は大きくなっていく
それは、もう誰にも支えることは出来なくなっていって
最後には、もう二度と
もう…二度と………
「…い……おい……おい、いい加減に起きろ、お前」
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「…んぁ?」
「んぁ、じゃねぇよ、この野郎
もうすぐ朝礼が始まっぞ」
「あぁ、わり、ありがと」
「たく、もう少し早く起きろよな
よりにもよって今日遅れたら、長官になんてどやされっか知んねぇからよ」
そうだ、俺は兵士として、今日、戦争の真っ只中に送られる
俺は慌てて正装に着替えてーーー正装と言っても、訓練で散々ボロボロになり、継ぎ接ぎも多い服だがーーー重い足を無理にでも上げて、朝礼に向かった
どうやら、ギリギリ間に合ったようだ
ほとんど人は集まってはいるものの、まだ長官の話は始まってはいない
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「こらあ!!お前ら今何時だと思っている!?」
「すいません」
「いくら時間に間に合えばいいと言っても、最悪15分前には来るものだ!!ましてや今日のような日にだな……」
「うっひぇー、始まった 副長官の長説教」ボソッ
「む、なんだ、口答えか?」
「げ、聞こえてた……」
おいおい、あまり下手なことは言わないでくれ
俺まで巻き添えを食らってしまう
「…まぁいい、もう朝礼が始まる、早く位置に付け!!」
「はい!!」
そういって敬礼をし、自分の列の位置についた
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「おい、今日なんで遅れてきたんだよ」
「…寝坊しただけだよ」
「よりにもよって今日かよ!?度胸あんなーお前」
「…うっせーな、ほら、長官の話が始まるぞ」
「なんだよ、相変わらず冷たいの」
そんな密かな会話も静まり、周りはいよいよ静寂になったころ、長官は我々の前に立った
その風貌は、これだけの人数を前に、それ以上の威圧感すら感じられるほどだ
「ごほん」
その咳払いに、俺は唾を飲んだ
「敬礼!!」
そう言ったかと思うと、 バババッ と音が耳に聞こえるくらい、兵士全員が素早く敬礼をした
俺も周りとほとんどその差がないくらいに敬礼をした
「諸君らに今日集まってもらったのは他でもない
我が国の為、諸君らに誇りある闘いに旅立ってもらう為だ」
その声はとても勇ましく、年相応には聞こえない程だ
流石に長官だけはある、といつも感心させられる
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だが、そう思うのも最初だけで、後はただその声を聞き流すだけの思考になる
流石に今日はそういうわけにもいくまいと、何とか耳をたてるも、寝起きではやはり聞き取れる事も少ない
けれど、長官から発せられたその言葉は、何故か俺の意識を、唐突にハッとさせた
「諸君らの中に、戦争に行く理由がよく分からない者も居るかもしれん
…お前、何故か分かるか」
それは、前にいる者に向けられた物で、自分に向けられた物ではなかった
質問の内容も、特別変わってる訳でもなかった
が、やはり自分が寝ぼけてる時にいつ指名されてもおかしくないという潜在意識が、俺をそうさせたのだろうか
「あ、その…」
指名されたそいつは、答えに戸惑っている様だった
「うむ、無理もない…今の時代、情報源もまともに得られなかった者も少なくないだろう…
では、今から私が話そう」
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ワロタ
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続けて
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