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スーパードックンのようです- 1 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:02:57 ID:RireJPbYO
- がんばるぞ!
- 2 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:04:09 ID:Skc33CDY0
- がんばれ
- 3 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:04:20 ID:RireJPbYO
- J( 'ー`)し「読み終わったら片付けなさい!何度いえば…」
('A`)「はいはい、後でね…ちょっとコンビニ行ってタバコ買ってくるよ」
食べおわったパスタの容器にペットボトル、本やパソコンの周辺機器。
とにかく雑多な散らばり方をした部屋は足の踏み場もなく、灰皿にできた山がいつ崩れるか分からない、そんな毎日を彼は続けていた。
- 4 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:05:24 ID:RireJPbYO
- ('A`)ネムイ
彼の名はドクオ。
25才。独身。無職。
特に求職活動もせず、コンビニと家を往復することがほとんどの人間である。
('A`)「あー、温めなくていいです。あとタバコ…ハイライトを一つください。あ、メンソールじゃなくて…」
いつものようにカルボナーラと缶コーヒー、タバコを買った彼は帰り道を歩く。物思いにふける一時。ボサボサの黒い髪と同じ色のジャージ。視線は気にしない。
- 5 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:06:27 ID:RireJPbYO
- ('A`)(仕事を辞めてけっこう経ったけど…どうすっかねぇ)
きっかけは些細なことだった。上司の作った資料の間違っているところを指摘、具申した。
甘かった。
その日から彼に対しての風当たりが強くなり、結果、退職届を提出。もちろん自己都合。
それからは糸の切れた人形のように怠惰な生活を送り、今に至る。
- 6 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:07:54 ID:RireJPbYO
- ('A`)(あー、でもめんどくさいからもうちょっとこのぬるま湯に…)
もう少しで自宅が見えてくる。とりあえず食べかすと本を片付けて、母親から小遣いを貰って。
そんな皮算用をしながら歩いていると目の前に車が止まった。白のワゴン。
「あの人でいいお!急ぐお!」
- 7 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:14:58 ID:RireJPbYO
- どことなく焦った声が聞こえてきた。勢いよくワゴンから降りてきたのはパーティー帰りの、見た目おじさん一歩出前といったところか。
ベージュのジャケットに――ポケットのチーフはスリーピークス――ワインレッドのチェック柄シャツを黒いジーンズにタックインした、小太りの男だった。もちろんノータイ、第三ボタンが空いている。
('A`)(なんだ…?)
ニコニコと胡散臭い顔でドクオに詰め寄る。あまり関わりたくない。嫌な予感。
- 8 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:16:48 ID:RireJPbYO
- ( ^ω^)「いやぁお兄さん、ラッキーだお!私、こういうものですお♪」
これはご丁寧に、と反射的に彼は名刺を受け取る。
('A`)「VIPテレビ…プロデューサー…内藤ホライゾン…」
(;'A`)「ってあのVIPテレビ!?」
古くからお茶の間に親しまれていた老舗のテレビ局、そこのプロデューサーと認識したときには、なるほど、その出で立ちもわかる。正直ダサい。
- 9 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:21:15 ID:RireJPbYO
- ( ^ω^)「その通りですお」
十年以上前と比べると視聴率に陰りはあるものの、やはり数あるメディアの中でもまだまだ注目されるテレビ。ましてやVIPテレビはその中でもトップの位置にいる。
小太りの男、内藤は自身の胸を強調するように、誇らしげに反った。腹が出ていた。
( ^ω^)「早速だけど、お兄さん、テレビに出てみないかお?」
- 10 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:22:04 ID:RireJPbYO
- 貰った名刺を財布に入れ、それを笑顔を崩さず怪訝な顔で見つめる内藤に向かって答える。
('A`)「はぁ…お断りします」
(*^ω^)「そうだおね!まずどんな番組か聞きた…」
(*^ω^)
( ^ω^)「え?」
- 11 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:23:18 ID:RireJPbYO
- ('A`)「いや、けっこうなんで…」
(;^ω^)「え、いや…即、断るとかないわ。ちょ、ホント、勘弁してよ」
そもそも色々と言いたいことはあるが、とにかく胡散臭い。それにつきる。名刺を受け取った時は社交辞令も兼ねて驚いてみせたが、今のドクオは自分を騙しにきているであろうこの男から離れたかった。
( ^ω^)「あ、ギャラ?ちゃんとだすよ〜美味しいものも奢るよ〜?ね、ね?話だけでも…」
('A`)「いや、いいんで。急ぎますからそれじゃ…」
- 12 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:24:26 ID:RireJPbYO
- 彼は内藤を振り切ろうと歩を進めた。テレビに少し興味があったのは事実だが、詐欺だと面倒だ。触らぬ神に祟りなし。帰ってカルボナーラ食べよ。
(# ^ω^)ウラァ!
Σ('A`)ウグッ!
追い抜きざまの一撃は、ドクオの持っていたコンビニ袋をアスファルトに落とす。彼は体を内藤に委ねた。
- 13 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:25:52 ID:RireJPbYO
- ( ^ω^)「…てこずらせやがって」
周囲を確認。そのままドクオを担ぎ上げ、白いワゴンへと歩きだす。
(; ^Д^)「な、内藤さん、大丈夫すか?」
局のロゴが入った紺のベストを着た若いスタッフが、トランクに気絶した男を放り込む内藤に恐る恐る問う。早く出せ、とジェスチャーで伝えた彼は、トランクを閉めすぐに助手席に乗り込んだ。
( ^ω^)「大丈夫だお。俺に任せろ」
( ^Д^)「そっすよね!内藤さん、いっつも無理を通してきましたもんね!」
(* ^ω^)「おっおっお。そうだお♪それより急げよ、今回は遅刻厳禁だからな」
- 14 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:27:21 ID:RireJPbYO
- (* ^ω^)「おっおっお。そうだお♪それより急げよ、今回は遅刻厳禁だからな」
わかってますって。調子よく返答し、スピードを上げるスタッフ。間に合う。そう確信した内藤は座席に背中を預け、切り替わっていく景色に目をやる。
( ^ω^)(ふぅ…一時はどうなるかと思ったお。これでなんとかなるお)
( ^ω^)(生放送直前に出演者失踪…危うくクビが飛ぶかと思ったけど…)
( ^ω^)(まぁ大方、僕の立場を妬んだ奴らの仕業だおね。だけど、これで安泰)
- 15 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:34:33 ID:RireJPbYO
- ( ^Д^)「でも、ホント大丈夫なんすかぁ?この人で」
運転しながら後ろを見た。思うところがあるのだろう、少し顔がこわばっている。色々と危ない。
( ^ω^)「前見ろ、前」
あごが動く。
( ^ω^)「…かまわんお。どうせ、すぐ消えるから余計なことにならなくて好都合だお。万が一、殴られたことをカメラの前で言われても、こいつの格好じゃ説得力ないし」
- 16 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:38:53 ID:RireJPbYO
- あぁ、そっか。そうすね。あいまいな相づちを打ちながら運転を続ける。大通りを外れ、裏道を出来る限り急いだ結果、目的地はもうすぐだ。
( ^ω^)(そう、何も問題ないお。この生放送…)
( ω)(全国VIPクイズ選手権ならな…!)
続く
- 17 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 02:45:01 ID:RireJPbYO
- 寝てから続きもがんばるぞ!
- 18 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 04:47:41 ID:5D9H0Ui.0
- 支援
- 19 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 11:14:09 ID:RireJPbYO
- 「お任せください!」
VIPテレビに就職した内藤は平凡だった。特別な能力もなければコネもない。
「も、申し訳ございません」
「はい、ええ、ええおっしゃる通りです」
「あ……ありがとうございます!」
上司に頭を下げる。部下を上手く使う。利害関係者と腹を探り合っては、胃に負担がかかっていく。そこに特殊なモノは無く、大変な仕事をなんとかこなす、一般的なサラリーマン。
ただ、群雄割拠のこの業界で彼の武器となるものを、しいてあげるとすれば
( ^ω^)
常に笑顔であることだ。
- 20 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 11:15:07 ID:RireJPbYO
- 〜〜〜
('A`)「……んっ」
('A` )彡キョロキョロ
ミ( 'A`)キョロキョロ
('A`)ムゥ
目が覚め、立ち上がって状況確認。六畳一間の狭い部屋。机と窓。自分の部屋と比べれば広さを除いて快適な空間といえる程度には物がある。
('A`)「刑務所、ではないな。タコ部屋にしちゃあキレイだし…いやタコ部屋なんて入ったことないが」
- 21 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 11:15:55 ID:RireJPbYO
- 一人愚痴るドクオは、周囲を見渡したあと、あぐらをかいて座った。
さて、なにがあったか。コンビニでいつもの商品を買い、帰路でVIPテレビの小太りな男と出会った。そこから記憶がない。
('A`)イテッ
(;'A`)「あー……殴られたんだった」
- 22 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 11:16:44 ID:RireJPbYO
- 意識が無くなる直前、強烈な痛みを感じたことを、未だ僅かに痛む腹をおさえながら思い出した。
(#'A`)「ムチャクチャなことやってくれるよな……訴えたら勝てるんじゃね?」
自室には、散らばった本の中に法律について書かれたものがあった。確かに突然殴られ拉致されたのだ。充分に余地はあるだろう。
- 23 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 11:17:48 ID:RireJPbYO
- ('A`)(って無理無理。証拠もねぇし、相手が相手だし面倒くせぇし)
自分の格好と内藤の格好。外見はともかくも、社会的地位を考えるとあまり気乗りはしなかった。
('A`)(とにかくもうさっさと帰りたいが……)
不毛な考えを切り換え、帰宅することに集中する。とりあえずここから出ようともう一度立ち上がると同時に、目の前のドアが開いた。
- 24 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 11:18:32 ID:RireJPbYO
- ( ^Д^)「あ、起きてたんすね」
先ほど部屋に置いてあるもの――机にお菓子、壁面には鏡台、その横に衣装をかけるラック等々――を見て予想はついたが、目の前に現れた若い男の着ている、VIPというロゴが入ったベストを見て確信した。
ここは楽屋だ。
スーパードックンのようです
夜になったら続きをがんばるぞ!遅くてごめんなさい。
- 25 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 11:22:09 ID:c1nXBrnU0
- (´・_・`)はやく書け!間に合わなくなっても知らんぞ~!
- 26 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 12:26:02 ID:jPLF0X8.0
- がんばって!!!支援
- 27 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 13:51:44 ID:G63swJIQ0
- がんばるぞ!ってのが無性に応援したくなるw
期待!
- 28 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 21:57:50 ID:RireJPbYO
- 夜だ!
皆さん、書き込みありがとうございます。がんばります。
- 29 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 21:59:46 ID:RireJPbYO
- 歳は20代前半だろうか。
短い黒髪とあどけなさの残る顔つき。ベストから覗くレギュラーカラーの白シャツや黒のスラックスに、しわや汚れが目立たないことから言動はともかく好青年な印象を受けた。立ち仕事が多いのだろう、黒い外羽式の紐靴は先端が削れていた。ご愛嬌。
( ^Д^)「災難でしたね、ドクオさん」
ドアを閉め、立ち往生しているドクオの前に愛想笑いのような表情で話し掛ける。
- 30 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:00:34 ID:RireJPbYO
- ('A`)「!」
とっさに財布を入れていたジャージのポケットを探る。無い。
( ^Д^)「そうそう、これを返しにきたんっすよ」
言って、かなり使い込まれた、青色の小さい財布をドクオに渡した。マジックテープ式でとても機能的である。
(;'A`)バリバリ
('A`)ガサゴソ
(*'A`)ダイジョウブ
- 31 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:01:35 ID:RireJPbYO
- 中身に変化はなかった。確認が終わって一息ついていると、スタッフが声をかけてくる。
(; ^Д^)「さすがに盗ってませんって」
( ^Д^)(盗るほど無かったし。あ、バリバリだから入らないのか?でもいい歳した大人が財布に37円しか入ってないのはどうかと思った。あ、バリバリだからだな!いやでもなぁ……)
若者の葛藤をよそに、全てを確認し終えたドクオはポケットに財布を戻した。クレジットカードはもちろん、キャッシュカードやポイントカードすら入っていないのですぐに終わったようだ。中身は免許証と保険証のみ。
- 32 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:03:02 ID:RireJPbYO
- 顔を上げ、真っすぐに見つめる。若者は、ようやく下らない葛藤から解放された。
('A`)「運転免許証か、保険証からか。あんたらの目的は俺の個人情報か」
Σ(;^Д^)
勝手に名前を知られ、財布がないという状況はこれ以外にあまり当てはまらないだろう。毅然として詰め寄る。内藤が拉致をした時に比べるとやや反抗的なので少し驚いた。
- 33 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:04:09 ID:RireJPbYO
- (#'A`)「テレビ局の人間は犯罪行為に躊躇がないのか?」
無理もない。まるで通り魔にあったようなものだ。怒りと不安。ドクオの拳が震えていることを裏付けている。
対峙する若者は存外、冷静だった。
(;^Д^)(あー、内藤さんが言ってたなぁ……普段から怒ったり、強い態度に出ることがない人は絶対『拳』が震えるって)
- 34 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:05:05 ID:RireJPbYO
- 目が潤んだり、声をつまらせたりは誰が見ても怒りかそれに似た感情を持っているのだろうと推測できる。
反面、大人になるにつれ、ある程度それらを押さえようとすることも可能だ。
そこで拳。
彼は上司である内藤の言った話を思い出した。
( ^Д^)(こういうときは……)
- 35 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:05:48 ID:RireJPbYO
- 次にとった行動は意外。
( ^Д^)「ドクオさん、上司が乱暴……殴って、車に連れ込み、ここVIPテレビ局に連れてきたこと」
( Д)「そして勝手に財布を抜き取り、さらに免許証を見たこと」
( - )「申し訳ございませんでした」
- 36 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:06:28 ID:RireJPbYO
- 謝った。土下座でも、腰を九十度曲げるような慇懃無礼でもない。ただ、静かに。しかし一字一句丁寧な物言いで頭を下げたのだ。
('A`)(…)
(拳の震えが小さくなっている。この調子だ)
( Д)「信用できないかもしれませんが、本来ならこのようなことは絶対にしません。ですが、緊急事態なのです」
事実、ドクオは『のまれて』いた。彼の対応が正しいかは分かりかねる。しかし、経緯を簡潔に述べ、何に対して怒りを感じているかの答えを示し、はっきりと謝る。人間、謝っている者に対しては攻撃しにくい――もちろん例外はあるが――ものだ。これでヘタに土下座でもして、勢いで流そうとしたならば、蹴り飛ばしてかもしれない。
- 37 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:08:59 ID:RireJPbYO
- >>36
蹴り飛ばしてかもしれない←間違い
蹴り飛ばしていたかもしれない←正しい
ごめんなさい。続けます。
- 38 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:11:11 ID:RireJPbYO
- ('A`)ハァー
息を吐いた。
('A`)「……緊急事態?」
このまま対立した状態では進展しない。言いたいことはあるが、ぐっと抑え、聞く。震えは止まっていた。
( ^Д^)「はい……そうなんすよ。あー、自己紹介が遅れました。俺は吹木っていいます」
うまくいった。内藤の部下であることを伝えるべきか迷ったが、殴った人間のことを思い出させてしまうのは危険だ。今は会話ができるようになれば問題ない。後で言えば良い。口調を戻す。
('A`)「ふぎ?変わった名字だな。名刺はないのか」
( ^Д^)「すみません、切らしてて。えっと、吹木じゃ堅いんでプギャーって呼んでください」
名字も変わっているが、呼び方も変わっていた。上司に名付けられたらしい。詳しく聞く気もないので適当に返事を返す。
- 39 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:12:23 ID:RireJPbYO
- ('A`)「……で、緊急事態だのなんだの、いったいどういうことなんだよ」
頭をボリボリとかきながら、落ちていくフケを気にせずドクオは尋ねた。名探偵には程遠い。
(;;^Д^)(ホントにこの人で大丈夫なんすかねぇ……まぁここまできたら、しゃあないか)
プギャーは意を決して口を開いた。
- 40 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:13:16 ID:RireJPbYO
- ( ^Д^)「ドクオさんには今からテレビに出てもらうっす」
('A`)「はいはい、テレビね」
('A`)「……」
('A`)「ん、テレビ?」
( ^Д^)「はい。生放送です」
('A`)「なんだ、生放送か」
('A`)
('A`)「ん、生放送?テレビ?」
- 41 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:14:23 ID:RireJPbYO
- ( ^Д^)「本来、出るはずの出演者が急にいなくなってしまったので、代わりに出てもらうためにあんなことしたんすよ」
( ^Д^)「緊急事態っしょ?」
( ^Д^)「やばいっしょ?」
( ^Д^)「……ドクオさん?ドクオさーん?」
( ^Д^)「おい、37円」
(゚A゚)「はぁ!?」
Σ(;^Д^)ビクッ!
VIPテレビの小さな楽屋に、こだまする。
どうやら家に帰るには、まだ早いようだった。
スーパードックンのようです
第二話終わり!
続く
- 42 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:24:45 ID:Skc33CDY0
- どう展開してくんだろ
気になる
そして書き出し、胸がいたい・・・
- 43 :名も無きAAのようです:2013/04/07(日) 22:34:15 ID:c1nXBrnU0
- もう終わりかよ
乙
- 44 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 02:01:22 ID:fjYV/P2c0
- これちょっと気になるな
- 45 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 04:02:19 ID:slzVZPRs0
- プギャーの対応イイね、続きに期待
- 46 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 13:57:40 ID:zPegI0YwO
- >>36
(拳の震えが小さくなっている。この調子だ)←ダメ
( - )(拳の震えが小さくなっている。この調子だ)←いいよ
同じ所を何度もごめんなさい。
- 47 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 13:59:32 ID:zPegI0YwO
- 同じ所を何度もごめんなさい。
ドクオは本が好きだった。
(・A・)ホンヨム、ホンヨムー!
↑ドクオ、三歳
ζ(゚ー゚*ζ「はいはい」
↑若い時のカーチャン
小さい頃からたくさんの本を見せてもらっていた。両親の本好きが遺伝したのだろうか、物心がついたときには自分から読みたいと母親に伝え、読んでもらう。嬉しそう。
ヾ(*・A・)〃キャッキャッ
はしゃぎながら続きを催促する。リビングにて昼下がりの一時。春の日ざしが暖かい。
ζ(^ー^*ζ「あらあらうふふ。本当にドクオは本が好きなのね」
(*・A・)ウン!
ζ(^ー^*ζ「よーし、そんな君に良いことを教えてあげよう」
(・A・)ナーニ?
ζ(゚ー゚*ζ「いい、ドクオ?本の世界は不思議なことがいっぱいあるでしょう。でも、もっと不思議な世界もあるのよ。なんだと思う?」
(・A・)フシギ?
(-A-)ウーン、ウーン
頭を抱えながらうずくまり、母親がそれを見てクスクスと笑うと、頬を膨らませて答えた。
(#・A・)ワカンナイ!
ζ(^ー^*ζ「ふふ、答えはね……」
〜〜〜
(;'A`)「なんで俺が生放送に出なくちゃいけないんだよ!?」
事実は小説より奇なり。現実は摩訶不思議である。
スーパードックンのようです
第三話
夜になったら始まるよ!仕事、勉強、がんばろう!
- 48 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 21:55:09 ID:VUmep0oI0
- 夜だぞ
- 49 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:34:46 ID:zPegI0YwO
- 夜だ!
いつも遅くなってごめんなさい。言い訳はしないです。
- 50 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:36:13 ID:zPegI0YwO
- (;^Д^)「き、急に大声出さないでくださいよ」
プギャーは身じろぎしていた。やけに素直な様子だったので冗談を言った矢先に叫びだしたのだ。怖かった。
('A`)「だいたい、出演者くらいならいくらでも用意できるだろ?ほら、スタッフ、アルバイトとかさ」
現段階で自分がテレビに出演する要因は、まず素人であること。次に無職だったり、パッとしない外見だったりと考えられるが、今までの様子からして、事前にそれを知り、かつ出演させるのは難しい。どんな番組なのかまだ分かっていないが、テレビ慣れしていない人物を使うならば新人スタッフや、自ら出演したい素人をスカウトしたほうが建設的だ。
( ^Д^)「そうなんすけどね、その……」
- 51 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:36:58 ID:zPegI0YwO
- ('A`)「な、なんだよ」
( ^Д^)「あと10分で始まるんで」
('A`)「は?何が」
( ^Д^)「生放送」
('A`)「ああ、そっか。なるほどな。なら仕方ないか」
( 'A`)チラ
ドクオは部屋の壁にかかった時計を見た。18:48分。腹が減るわけだ。今日はカレーだ。
( ゚A゚)「っておい!?もう始まるじゃねえか!!」
- 52 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:37:59 ID:zPegI0YwO
- ( ^Д^)「だから言ってるじゃないっすか。早く行きますよ。あ、衣装の用意出来ませんでしたからそのままでお願いしますね」
プギャーがドクオの腕を掴んだ。スタッフの仕事が始まる。
(#'A`)「い、いやだ!出ないぞ!公開処刑はごめんだ!」
(;^Д^)つ「そんなこと言わないでくださいよ、頼みますよ〜」
(;^Д^)つグイグイ('A`;)ヤダヤダ
頑なに動こうとしないドクオに対して焦りが生まれる。生放送で出演者欠席。もともと許されるものではないが、大物タレントならともかく素人の一人や二人、どうとでもなるはず。しかし、今回は違った。
( ^Д^)つグイグイ(内藤さん、クビかかってるからなぁ……)`;)ヤダ!ヤーノ!
- 53 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:39:01 ID:zPegI0YwO
- 〜〜〜
( ^ω^)「プギャー、今度の生放送だけど遅刻するなよ?」
( ^Д^)「はぁ、わかってますよ」
( ^ω^)「いやいやマジで。失敗したら俺クビだから」
��(;^Д^)「マ、マジすか…!?」
( ´ω`)「諸本社長含む重役会議で『次は素人を使った番組を生でやれ』って決まったんだお」
(;^Д^)「んなムチャな」
_,
( ^ω^)「なんとか回避しようとしたけど根回しされてたみたいで無理だったお」
( ^Д^)「きっついっすね。大丈夫すか?」
(* ^ω^)「おっお、既にプランはできてるお。まぁスタッフがしくじったり出演者が消えたりしなければなんとかなるお」
( ^Д^)「さすがっすね!じゃあスタッフには俺からそれとなく伝えときますんで任せてください!」
( ^ω^)「任せたお。あとは出演者だけど、高待遇でむかえてるから問題なしお」
( ^Д^)「えー、てか、それは余裕でしょ?」
( ^ω^)「まぁな。ハッハッハ」
( ^Д^)「ハハハハハ」
- 54 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:40:37 ID:iBndkkMU0
- どっくん頑張れ
クイズの才能開花させておくれ
- 55 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:41:20 ID:zPegI0YwO
- 〜〜〜
( ^Д^)(念のため、補欠に三人は確保しておいたけど、当日全員バックれ。そのまさかだもんなぁ…)
語尾は変だが部下の信用はあつい――正しくは部下の使い方がうまい――内藤をクビにさせるわけにはいかない。プギャーはこの動かない男を生放送に出演させなければいけなかった。しかし、時間は止まらない。残り8分を切った。
('A`)「絶対に出ないからな!」
(;;^Д^)(まずい、このままじゃ…)
スタジオまでここから5分。走って3分。これ以上、手間取るわけにはいかない。必死で腕を引っ張りながら再度時計を確認しようとしたとき、楽屋のドアが開いた。
- 56 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:42:05 ID:zPegI0YwO
- ( ^ω^)つ「はーい、こちら出演者の楽屋でーす!」
内藤だった。テレビに出てくるような大きなカメラではなく、家庭用のビデオカメラをドクオに向けて笑顔で話し掛ける。プギャーはすぐに壁ぎわへ移動しカメラの範囲外に立ったが、突然の出来事だったので、あっけにとられた出演予定者はそのレンズに視線をとられた。
( ^ω^)つ「こちらは今回の出演者、ドックン!」
('A`)σ「おい、なんだよ!まだ19時じゃないだろ?」
佇まいを直しながら、時計を指差して答えた。
( ^ω^)つ「おっと、ドックンは自信満々ですね!すごい意気込みです!」
(#'A`)「つーか、ドックンて言うな!」
出会って間もないが、特徴的な語尾のあるこの男が丁寧な話し方をしている。この違和感にドクオは閃いた。
- 57 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:44:03 ID:zPegI0YwO
- ( '∀`)「わかった。あれだろ、実際は18:55から番組前の紹介とかで俺が出演せざるをえない状況をつくるつもりだろ。」
先ほどまで掴みかかっていたプギャーが離れたこと。時間ギリギリでカメラを持ったプロデューサーが現れたこと。当たらずも遠からず、内藤が僅かに顔をしかめる。プギャーは声こそあげないものの、焦燥した様子がうかがえる。ビンゴ。勝機だ。
(;'A`)「聞いてくれ!俺は出演者がいなくなったからとスタッフに殴られて無理やり連れて来られた一般人なんだ!」
(;'A`)「その上、生放送に出ろなんて無理を強要してくる!こんなことが通用するわけがない!」
ここぞとばかりにドクオは叫んだ。生放送なら少なからず効果があるはずだ。
- 58 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:46:42 ID:zPegI0YwO
- (;^ω^)「どうやら興奮されているみたいですねー緊張されているのでしょうか」
(#;'A`)「緊張も何も、こわくて出れるわけないだろ!だいたい、何の番組なのか俺は知らねぇし!」
('A` )「……とにかく、出ないからな!」
少し落ち着いたドクオは憮然として腕組みをする。悟った。たとえどれだけ偉い人からいくら言われようとも、自分が出なければいいのだ。テレビ局の都合など知ったことではないし、義理もない。あと5分もすれば全て終わる。このままでいい。
だが、曲がりなりにもマスコミ関係者。内藤はビデオカメラの電源を切って、笑う。
- 59 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:47:37 ID:zPegI0YwO
- ('A`)「な、なにがおかしいんだよ」
(* ^ω^)「ごめんお。いやぁ、うまくいったからうれしくて」
本人に出演の意志がなければ、ニュースでもないかぎりテレビには映らない。
( ^ω^)「時間がないから簡単に言うお。このビデオカメラは生放送用じゃないお」
( ゚A゚)「なっ……!」
( ^ω^)「生放送が終わったあとのミニコーナーで流すV……つまり録画した映像だお」
本人に出演の意志がなければ。
(^ω^ )「別に出なくてもいいお。その時はこの映像を面白く編集して、適当に流すから」
(^ω^ *)「そうだおね〜……『緊張も何も、こわくて出れるわけないだろ』……このセリフから、出演するはずだった演者が土壇場でこわくて逃げ出した感じになるお!素敵!」
( ゚A゚)
- 60 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:48:52 ID:zPegI0YwO
- (゚A゚)(は、はめられた……このままじゃ、俺は全国に臆病者だと言ってるもんじゃないか。就職はおろか、コンビニだっていけねぇ……チキンドックンとかあだ名つけられるよ絶対)
強行手段で暴力や拉致を行うプロデューサー。短い映像だろうが、好き勝手に編集されては害しかない。
(; ^ω^)「さぁ、どうするお!このまま逃げて醜態を晒すか、戦って自分を守るか!」
内藤の額に汗。プギャーは沈痛な面持ちで時計を見ている。あと3分。
( A )「……だ」
( ^ω^)「お?」
\(#'A`)/「もういい、上等だ!生放送だろうがなんだろうが出てやる!案内しろ!」
- 61 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:50:31 ID:PgsfCQuY0
- おおおお
- 62 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:52:20 ID:zPegI0YwO
- すかさずプギャーがドアを開け、誘導する。開け放たれたそれに向けて、走れと叫ぶ内藤。残り2分。
( ^ω^)「ふぅ……」
緊迫した空間は静寂を取り戻し、内藤はビデオカメラの電源を入れ直すと慣れた手つきで先ほどの映像を消去した。
( ^ω^)(なんとか引っ掛かってくれたお……こんなもの流すわけないだろ)
ドクオの啖呵は、無機質な一文が画面に流れたことで無になる。あっけない。内藤は初めからこうなるだろうと考え、逃げ道を出来るだけ減らしたのだ。
ビデオカメラを机に置いて、鏡を一瞥し身だしなみを整える。
( ^ω^)(あんなやつに僕が作ってきた環境を壊されてたまるかお。このまま乗り切ってやるお)
鏡に映る笑顔は皮肉か。今までも、そしてこれからも、絶やさず。誰もいなくなった部屋の時計が19時を指したころ、多様な思惑が渦巻く劇は始まった。
スーパードックンのようです
第三話おわり!
続く
- 63 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:55:06 ID:PgsfCQuY0
- おつ!
- 64 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:55:51 ID:VUmep0oI0
- 乙
- 65 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 22:56:26 ID:zPegI0YwO
- >>53
_,
( ^ω^)「なんとか回避しようとしたけど根回しされてたみたいで無理だったお」←あかん
_,
( ^ω^)「なんとか回避しようとしたけど根回しされてたみたいで無理だったお」←わからん
ずれる、ずれると六年ほどブーン系で見てきましたが、初めて実感しました。勉強してきます。
- 66 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 23:38:33 ID:T4m/jbAk0
- _,
( ^ω^)ちょwwwズレてるwwwwwwww
- 67 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 23:42:34 ID:iBndkkMU0
- 半角スペースを最初に入れたり、連続で入れたりすると無視されるんだ
←こういう感じで全角スペース+半角スペースとかでやればずれない
- 68 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 23:43:10 ID:zPegI0YwO
- >>66
おお!こうすればいいのか!
勝手ながらコピーさせていただきます。これでいいのかな。
_,
( ^ω^)
- 69 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 23:44:17 ID:iBndkkMU0
- 他の出演者が最高に気になる
乙乙乙
- 70 :名も無きAAのようです:2013/04/08(月) 23:48:23 ID:zPegI0YwO
- >>67
アドバイス、ありがとうございます。こんな感じかなと入力すると見事にずれました。手動入力の際に参照します。
そもそも最初からファイルシークなどでコピーすればよかったですね。反省点。
明日も暇を見つけて昼に、そして夜にがんばります。おやすみなさい。
- 71 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 12:13:49 ID:6g92.R0.O
- (-@∀@)「さぁ、始まりました!全国VIPクイズ選手権!司会は私、浅井ことアサピーと」
(*゚ー゚)「椎名こと、しぃが」
(*-@∀@)「お送りします!」(゚ー゚*)
\ワーワー!ヤンヤヤンヤ!ヤンヤヤンヤ!!/
(-@∀@)「えー、この番組は全国から集まったクイズが得意な芸能人、著名人達に、一般の方が挑戦!あらゆるジャンルの問題でバトルを繰り広げるというものです!」
(*゚ー゚)「はい!さらに今回、全国初のクイズ番組生放送でお送りしています!」
(-@∀@)「しぃさん、これは盛り上がること間違いなしですね!」
(゚ー゚*)「アサピーさん、私たちも頑張っていきましょう!」
(-@∀@)/ 「ええ!それでは早速、各界から集められた英雄たちの入場にまいりましょう!どうぞ!」
- 72 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 12:16:09 ID:6g92.R0.O
- 〜〜〜
司会が番組説明を終え、キャストの紹介に入るころ。内藤は、モニターやPC、その他精密機械が所狭しと並ぶサブ――副調整室――に来ていた。ここにいるスタッフによって、番組の進行を裏から助ける機能が果たされている。
( ^ω^)「お疲れー」
(*゚∀゚)「内藤さん、遅いよ〜」
10人ほどのスタッフが内藤に挨拶する中、白地によくある英文字の入った転写Tシャツに青いスキニージーンズを履き、頭にはVIPのロゴ入りキャップ、手にストップウォッチを持った女性が近づく。タイムキーパー。コンバースのハイカットがスポーティー。
( ^ω^)「おー、ごめんだお。今度ピエールエルメのマカロン買ってくるから許してお」
(*゚∀゚)「ホント!やった♪」
内藤はわざとらしく肩をすくめ、歩を進める。納得したのか、浮かれながら彼女は自分の持ち場に戻った。
- 73 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 12:16:58 ID:6g92.R0.O
- (´・_ゝ・`)「プロデューサー、お疲れ様です」
自身の定位置までくると、手に分厚い資料を持った男が近づいてきた。チャコールグレーのスーツに白いレギュラーカラーシャツ、焦げ茶色のネクタイ、同色である内羽式の紐靴。全て無地であり一見地味な印象を受けるが、見るものが見れば、それらはオーダーメイドであって品が良いこと、さらに手入れに余念がないことがわかる。チーフは入れず、本来ならピンで身に付ける義務のある社員証――チーフディレクター 盛岡と書かれた――をしっかりと留めているところからも信頼できそうだ。
- 74 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 12:17:43 ID:6g92.R0.O
- ( ^ω^)「デミタス、お疲れお。滞りなく進んでるかお?」
内藤は中央の席に座り全体を見ながら、コーヒーが好きな彼に尋ねた。笑顔で答える。
(´^_ゝ^`)「支障ありません。現在、キャスト紹介に入ったところです」
( ^ω^)「けっこう。さすがだお」
中央から正面。各カメラが映しているスタジオの映像がそれぞれのモニターに流れていた。
(´・_ゝ・`)「恐れ入ります。例の素人については……」
( ^ω^)「問題ないお。今から出てくる」
内藤はいつもと変わらない様子でモニターを見ながら言う。斜め後ろにいるデミタスの表情は、照明の具合だろうか暗い。
(´・_ゝ・`)(出演予定の素人が失踪し、局を出てスカウトに向かったのが17時……およそ2時間、いや実質1時間足らずで交渉成立させた、か)
(´・_ゝ・`)(……)
- 75 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 12:18:39 ID:6g92.R0.O
- 〜〜〜
(-@∀@)「……はい、以上ですね。それでは次に、挑戦者のご紹介に入ります。今回多数の応募があったため、かなり確率の低い抽選となった挑戦者へのキップ!」
応募はあっても抽選はしていない。出来レース。
(*^ー^)「皆さまのご応募、ありがとうございました!」
(-@∀@)「厳正なる抽選にて、そのキップを手にしたのは……」
アサピーは溜めた。演出に見えるよう表情を崩さず、目線を一瞬下にもっていく。カンペ。
(;-@∀@)「……ボサボサの髪とラフな格好、それは世界トップの名探偵か!?はたまた、ただの出不精か!?クイズ界の神を倒せ!!その名も……!」
(*-@∀@)「スゥゥウゥ!パァァア!!ドックゥゥウン!!」
スーパードックンのようです
第四話
ご飯を食べるよ!夜になったらはじまるよ!がんばれ、負けんな、力のかぎり!
- 76 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 12:42:16 ID:eqiWpbb60
- とりあえず乙
- 77 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 13:04:11 ID:ZHMuesgg0
- 面白くなりそう
乙
- 78 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 22:59:07 ID:6g92.R0.O
- アサピーがドクオ以外の出演者を紹介しているころ、プギャーたちは走っていた。本来なら到着している時間。しかし、内藤が手回ししたのだろう、左耳につけているインカムからは指示がこない。つまり、急げば良いということだ。
(;^Д^)「ドクオさん、なにやってるんすか!」
走りながら振りかえると、3メートル離れた位置で息を切らしながら走っているドクオがいた。
- 79 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 23:02:45 ID:6g92.R0.O
- (;;'A`)「ちょ……待って…」
( ^Д^)「ちょっとしか走ってないのに、どんだけ運動不足なんすか!……ほら、つきましたよ」
スタッフ専用と書かれた扉をあけると、スタジオの音が微かに聞こえてきた。肩で呼吸しながら、プギャーと同じ位置につく。
(;'A`)「はぁ、はぁ……そ、そういえば……何の番組……だったっけ?」
膝に手をつき呼吸を整えながら、肝心なことを尋ねるドクオに対し、インカムを使って内藤に連絡をしながら、手早くピンマイクなどの必要なものを取り付けているプギャーが答えた。
( ^Д^)「……あれ、言ってなかったすか……よっと、準備OKっと……えーと、今から出る番組は」
- 80 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 23:06:39 ID:6g92.R0.O
- 《はい、以上ですね。それでは次に、挑戦者のご紹介に入ります……》
告げられるタイムリミットによって彼の返答は途絶えた。
��(;^Д^)「やべ、ドクオさん時間ないっす!」
つグイグイ('A`;)「お、おいっ!?」
押されるがままスタジオの裏側へと入っていく。目の前に現れた赤い豪華な幕を開ければ別世界への入口。後にはひけない。
《……クイズ界の神を倒せ!!その名も……!》
('A`;)「せめて段取り教えて……」
( ^Д^)b「気合いで」
言い切った。と同時に幕が開かれる。白い煙幕のようなものがエックスの字を描きながらあがる。煙が消え、現れた者は黒いジャージの男。スーパードックンである。
( ^Д^)(……なんでスーパーなんだろう)
司会の声を聞きながらドクオを見送ったプギャーは、そのままスタジオが一望できるところに移動しながら思った。
- 81 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 23:07:22 ID:6g92.R0.O
- 〜〜〜
(;'A`)ドキドキ
眩しい照明、何台ものカメラ、キャッチーなBGM。目の前には台があり、以前放送していたトリビアの泉に出てくるようなボタンが付いている。間を5メートル前後あけた反対側にも同じものがあった。生放送を考慮してか、観客はいない。
('A`)(大運動会とか、カラオケ大会とか考えていたが、これは……)
(-@∀@)「スーパードックン!まずはおめでとう!」
('A`)!?
右斜め――ボタンの付いた台と台間ちょうど真ん中ほど――には司会者であるアサピーとしぃがいる。生で初めて見た。
(*゚ー゚)「あなたは数ある応募から選ばれた勇者です!これから始まるバトルについて意気込みをどうぞ!」
(;'∀`)「え、あ、いや、てゆうか何が始まるのかまだちょっとわからな」
(#-@μ@)「何が始まるか!?決まっている!戦いだ!戦だ!勝つか負けるかだ!」
('A`)(テレビでは名司会者のイメージだったけど……実際参加するとアサピーさん面倒くさいな)
(*゚ー゚)「さぁそんなスーパードックンに立ちふさがる最初の英雄は……この人です!」
- 82 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 23:08:24 ID:6g92.R0.O
- 照明が暗くなり、どこかで聞いたようなクライマックス風の音楽が流れる。青色のオーロラがスタジオを彩って、ライブ感のある演出が行われたかと思うと反対側の台から更に奥の青い幕が、ドクオと同様に開かれる。煙から現れたのは壮年の男性だった。
( ФωФ)「ふん」
黒のシャドウストライプスリーピース。白い無地のチーフはスリーピークス。ライトグレーのワイドカラーシャツに淡いブルーのネクタイをウィンザーノットでタイドアップしている。見ただけで高級品と分かるそれらは、おそらく向かい合った男性と同じ背格好、年齢であったとしても着こなすことは難しいだろう。惜しまれるは靴が見えないこと。
( ФωФ)「面白い試みをすると聞いて出てみれば……相手は若造ではないか」
- 83 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 23:08:55 ID:6g92.R0.O
- まるで虫でも見るような目でドクオを射ぬいた。気負い、たじろぐ。かたや貫禄、かたや貧相。竹槍で戦車に挑むようなものだ。
(*゚ー゚)「えー、先ほどもご紹介しましたが、全日本クイズ協会副理事杉浦先生です」
('A`)(全日本クイズ協会副理事……杉浦………!?)
前言撤回。竹槍どころか、ひのきのぼうだった。
スーパードックンのようです
第四話おわり!
もうすぐ山場だよ!いつも遅くてごめんなさい。
- 84 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 23:29:04 ID:6verrWuM0
- 乙
- 85 :名も無きAAのようです:2013/04/09(火) 23:38:34 ID:d8l2XG5U0
- 独特の台詞回しと展開に期待
乙
- 86 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 00:22:28 ID:i05Ed78s0
- 服の説明が濃いなww
- 87 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 12:28:20 ID:NIsJu4hA0
- ドクオはファッションマニアなのか
ファッションモンスターか
- 88 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 13:49:20 ID:gAArYggkO
- >>87
夢オチではなかったら、こうなっていたのかもしれませんね。見当違いのことでしたら流してください。
ご飯食べたけど仕事がたまってるよ!夜にいっぱいがんばろう!
- 89 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 13:54:07 ID:NIsJu4hA0
- >>1も元気印見てるのかwww
- 90 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 15:13:47 ID:cG4gSlbk0
- ドクオの服装を思い出せ
- 91 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 21:55:42 ID:EucCNRwk0
- マダー?
- 92 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 21:55:56 ID:gAArYggkO
- >>89
大好きです。高尚な感じが。
>>90
そこに気付くとは……拙い描写ですが、読んでいただいてありがとうございます。
よーし、がんばるぞ!
- 93 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 21:57:29 ID:gAArYggkO
- サブ。モニターの前には落ち着いた空気が流れていた。対峙する近代兵器と棒っきれを内藤と盛岡が見守る。
(´・_ゝ・`)「副理事、杉浦先生……」
( ^ω^)「不服かお?」
(´・_ゝ・`)「いえ。しかし、当初の順番では大トリだった人物がまさか最初にくるとは……」
(* ^ω^)「おっお。そのまさかで数字を稼ぐんだお」
- 94 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 21:58:28 ID:gAArYggkO
- 内藤ははしゃぎながら、タイムキーパーのつーがかぶっている帽子のつばを、口頭部へまわした。なにするんだ、と延びた可愛らしい声が聞こえてくる。
( ^ω^)(本当はドックンをとっとと潰して、別の企画でアプローチするつもりなんだけど)
(´・_ゝ・`)「挑戦者のスーパードックンは、クイズが得意なんですか?」
背中を叩かれながら内藤は答える。
(*゚∀゚)=つポカポカ( ^ω^)「凡人だお。時間がなかったから、彼が控え室で待機している時にネットで名前を検索してみたけど何も出なかったお」
- 95 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 21:59:20 ID:gAArYggkO
- 例えば大会で優勝、試験で合格。何らかの実績を残せばすぐにインターネット上で確認することができる。載っていないから無能、ではないが、今回の件に対してプラスに働くことはないだろう。
(´・_ゝ・`)(さすがに都合よくクイズの得意な一般人をスカウトは出来ないな)
(;*゚∀゚)ゴメンナサイ イタイオ(^ω^ ;)
(´・_ゝ・`)(だが……この人は本当に凄い。どれだけ困難な業務でも、最終的には遂行している)
(´-_ゝ-`)(……杞憂だったか……)
- 96 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 21:59:56 ID:gAArYggkO
- 盛岡は目を閉じたかと思うと、すぐに開けた。どこか迷いが無くなったような印象をうける笑顔。内藤のそれとは違う。
(´^_ゝ^`)「やはり時間が足りませんでしたね」
( ^ω^)「まぁな、でも体裁さえ整えばどうとでもなるお。数字が上がれば問題ない」
( ^ω^)「それに、最初の問題はサービスだお」
(´・_ゝ・`)「サービス?」
( ^ω^)「ま、見ていればわかるお」
- 97 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:01:01 ID:gAArYggkO
- 〜〜〜
('A`)「杉浦……ロマネスク先生」
(; ^Д^)(うわぁ…潰しにかかってきてるよ、内藤さん)
プギャーが隅で既に諦めの感を抱いていた時、ドクオは壮年の男性を前にして思い出したかのようにこぼした。
( ФωФ)「ほう、我輩のことを知っていたか」
('A`)「ああ、本で見たことがある。数多の学問に通じ、見識、教養の広さから数年前、副理事に任命されたんだよな」
( ФωФ)「……存外、楽しめるか」
表情を変えず言う。そこに頃合いを見計らっていたのか、しぃが入ってきた。仕事をする。
- 98 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:01:56 ID:gAArYggkO
- (*゚ー゚)「それではクイズのルールについて説明します。今からアナウンスされる問題を、台にあるボタンを押してからお答えください。ただし問題は最後まで聞いてください。途中で分かってもボタンは反応しません。先に10問正解された方の勝ちです」
(*゚ー゚)「なお、挑戦者であるスーパードックンが負けてしまった場合、杉浦先生が他の出演者とバトルしていただきます」
いわゆる早押しクイズ。シンプルだがその分解答者の知識が試される。ルールが説明されたあと、おもむろに杉浦は両手を上げた。
- 99 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:02:38 ID:gAArYggkO
- (-@∀@)「おっと!?これは……貫禄の証でしょうか、杉浦先生はボタンから手を離しています!」
静かで重い空気は苦手なのだろうか、先ほどまで沈黙していたアサピーが驚きの声を上げる。
(;'A`)「な、なんのつもりだ?」
両手を肩の位置――いわゆる降参のポーズ――まで持って言ってから杉浦は答えた。
∩( ФωФ)∩「まともにやったところで勝負にならん。2、3問くれてやる。試してやろう」
余裕綽々。思えばドクオには理不尽な態度やあからさまな上から目線に対して少し反抗的なところがある。ここに至るまでの出来事を鑑みれば、両手を上げ不敵な顔をした杉浦に業を煮やさすのも納得だろう。
(#'A`)(なめやがって……)
動揺が広がる。進行によって少しは緩和されるか。しぃは手元にある問題用紙を読み上げた。
- 100 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:03:39 ID:gAArYggkO
- (*゚ー゚)「では、第一問です」
(*゚ー゚)「日本たばこ産業が製造、販売している1960年に発売されたハイライト。これに使われている香料はなに?」
ドクオがボタンに手を置く。杉浦はそのまま。
ピンポーン
(*゚ー゚)「はい、スーパードックン!答えをどうぞ!」
('A`)「ラム酒」
(*^ー^)「正解です!」
ファンファーレ。しかし正解者の顔はすぐれない。彼は拉致された時に落としたカルボナーラ達を思い出していた。
('A`)(内藤の仕業か……?あの時、ハイライトも袋に入ってたし。まぁ、次の問題が勝負だろうな)
逡巡するドクオ。対戦者が正解しても依然として格好を崩さない杉浦。
∩( ФωФ)∩「……」
ある意味真剣さが伝わってきたのだろう。重い雰囲気を振り払うように、しぃは司会を続ける。
- 101 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:04:32 ID:gAArYggkO
- (;*゚ー゚)「つ、次の問題に参ります……」
用紙を読み上げる一瞬、衝撃が走った。もちろん顔には出さないが。
(;*゚ー゚)「ミレニアム懸賞問題においてポアンカレ予想を解決しクレイ数学研究所にて認定された年月日及び、その人物は?」
(゚A゚)
- 102 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:05:24 ID:gAArYggkO
- 終わった。しぃは確信する。先ほどの衝撃は戦う二人からくるものではない。難しすぎたのだ、問題が。
∩( ФωФ)∩「さすがに分からないようだな」
( A )「……」
∩( ФωФ)∩「無理もない。一般の、たかだかテレビやネットでかじった程度の者には難しすぎるだろう」
( ФωФ)「これが『クイズ』だ、小僧」
両手が下がる。ボタンに近づく。加速する鼓動に止めを指すために。あと一寸で音がなる時、ドクオの声が通る。
( A )「ようやく手を下げたな」
- 103 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:07:22 ID:gAArYggkO
- この場にいる、あるいは見ている人達が。
( ФωФ)「……!?」
誰が予想できただろう。
( A`)「2010年3月10日」
このうだつのあがらない青年が。
('A`)「その人物は……グリゴリーペレルマンだ」
戦 え るということを。
( ゚ω゚)
��(; ^Д^)
(;-@∀@)
(´ ゚_ゝ ゚`)
(**゚∀゚)スッゲ
(;*゚ー゚)「せ、正解です!」
- 104 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:08:11 ID:gAArYggkO
- 先ほどの動揺とは比べものにならないほどの、ここに観客がいたらどうなっていたか想像に難くない出来事。言うなれば夢か、幻か。
('A`)(内藤が絡んでるとなると、どうなることかと思ったが……普通のクイズじゃねぇか)
('∀`)(いけるわ、これ)
その微笑みは現実。ドクオは改めてボタンに手を添えなおした。戦闘態勢。
(; ФωФ)「バカな……偶然知っていたのか」
( ФωФ)(確かにミレニアム懸賞問題は有名な数学問題、特にポアンカレ予想など高校生でも聞いたことくらいはあるだろう)
( ФωФ)(ならばなんだ……あの自信に満ちた顔は……!)
しかし、戦うは歴戦の老兵。小細工など通用しない猛者は、初めてボタンに手を置いた。
( ФωФ)「よかろう、真剣にお相手しよう」
('A`)「おいおい、今さら本気かよ。いいぜ、凝り固まっちまった頭に俺が『クイズ』を教えてやる」
(# ФωФ)「ほざけ、小僧…!」
同じ土俵に立つ二人の戦士。今、クイズ界に残るバトルが始まろうとしていた。
スーパードックンのようです
第五話おわり!
- 105 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:12:44 ID:gAArYggkO
- >>103
( A )「ようやく手を下げたな」←足りない
( A )「ようやく手を下げたな」
ピンポーン←足りた
ドックン、かっこつけるまえにボタンを押そうな。
ごめんなさい、用事ができました。夜中にできれば投下します。無理せずがんばろう。
- 106 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:13:09 ID:mrw4GVl20
- 乙
燃える展開になってきたな
- 107 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:18:21 ID:gAArYggkO
- >>99
(;'A`)「な、なんのつもりだ?」の下に改行がない。
>>105
>>102の間違いです。
ごめんなさい。
- 108 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 22:52:32 ID:z1pRbD/E0
- 期待
- 109 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:11:11 ID:HxeUxn4A0
- 面白くなってきた
とりあえず乙
- 110 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:54:14 ID:l6jy70v.0
- kitai
- 111 :名も無きAAのようです:2013/04/10(水) 23:54:57 ID:l6jy70v.0
- 乙乙
- 112 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 00:21:28 ID:HX7RvB9wO
- いいところで切りやがって、ところで今真夜中なんだが続きはまだかね
- 113 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:06:02 ID:j8Yrn1EAO
- 皆さん、毎度ながらごめんなさい。本編は今書いてます。明日の昼か夜に暇をみて。
スーパードックンのようです
NGシーン
はじまるよ!
- 114 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:07:32 ID:j8Yrn1EAO
- 第一話←これを最初の投下にいれなかったのはお酒を飲んでいたからです。
〜〜〜
(# ^ω^)ウラァ!
Σ('A`)ウグッ!
追い抜きざまの一撃は、ドクオの持っていたコンビニ袋をアスファルトに落とす。彼は体を内藤に委ねた。
( ^ω^)「…てこずらせやがって」
( ^ω^)
( ^ω^)
(; ^ω^)「し、死んでる」
おわり
- 115 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:32:00 ID:j8Yrn1EAO
- 第二話←これがついたのは、仕事の移動中にちょっと疲れたから間違えてつけてしまったからです。統一感。
歳は20代前半だろうか。
短い黒髪とあどけなさの残る顔つき。ベストから覗くレギュラーカラーの白シャツや黒のスラックスに、しわや汚れが目立たないことから言動はともかく好青年な印象を受けた。
この時、プギャーはおしゃれをしていた。白シャツはディオールオムのBee刺繍入り。コットン100。黒のスラックスはクリスヴァンアッシュ、外から見れば普通のスラックス――もちろん見るものが見れば、僅かな光沢具合やライズからインシームのシルエットがモード感を出していると推測できよう――だが裏返せば白のテーピングが裾までデザインされている。上司から貰った外羽式のストレートチップ黒靴はベルルッティであり、サイドのコバにBの刻印が印字されていることをまだ知らない。ご愛嬌。また、その他にも……
(;'A`)「なげぇよ!誰も興味ねぇよ!俺はジャージだぞ!?なんの説明もないし!」
( ^Д^)「ファッションモンスタ〜」
おわり。色々とすんません。
- 116 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:36:30 ID:PymaP7II0
- 作者のキャラも文体同様独特だな
嫌いじゃないぜ 乙
- 117 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:50:21 ID:j8Yrn1EAO
- >>116
ありがとうございます。かなり偏った書き方をしていますがそう仰っていただけると嬉しいです。がんばる。
- 118 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:51:49 ID:j8Yrn1EAO
- 第三話↓中二病バンザイ
ドクオは本が好きだった。
ホンヨム、ホンヨムー!←ドクオ三歳
「はいはい」←若いカーチャン
小さい頃からたくさんの本を見せてもらっていた。両親の本好きが遺伝したのだろうか、物心がついたときには自分から読みたいと母親に伝え、読んでもらう。嬉しそう。
キャッキャッ
はしゃぎながら続きを催促する。リビングにて昼下がりの一時。春の日ざしが暖かい。
「あらあらうふふ。本当にドクオは本が好きなのね」
ウン!
「よーし、そんな君に良いことを教えてあげよう」
ナーニ?
「いい、ドクオ?本の世界は不思議なことがいっぱいあるでしょう。でも、もっと不思議な世界もあるのよ。なんだと思う?」
フシギ?
ウーン、ウーン
頭を抱えながらうずくまり、母親がそれを見てクスクスと笑うと、頬を膨らませて答えた。
ワカンナイ!
「ふふ、答えはね……」
〜〜〜
('A`)「はっ!夢か……」
ドクオは目を覚ました。魑魅魍魎ひしめく異界であるここ『イレギュラータワー』にて睡眠がとれたのは、ひとえに彼女のおかげだった。
(-A-)「……巫女の力、か。待ってろよクー。俺がお前を助ける。たとえその姿がどんなもんだろうとな」
傍らにかけてあった刀をとる。名は『真答』(まこと)、真の答え。
今まででより一層手に馴染む感覚は、筆舌に尽くしがたい感情の揺れ動きか。
('A`)「さぁ、行こうか」
全ての元凶、『厄神』を殺すためにドクオは走りだした。
おわり
- 119 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 01:53:51 ID:j8Yrn1EAO
- >>118
しまった、AAいれてなかった。それも含めてNGです。
- 120 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 02:31:48 ID:j8Yrn1EAO
- 第四話↓BGM GLAY 逢いたい気持ち
( ^Д^)(……なんでスーパーなんだろう)
( ^Д^)(スーパー……考えられるとすればスーパーマン。でもドクオさんはスッパマン的な存在)
( ^Д^)(いや、もしかすると能力を隠して……考えにくいな)
( ^Д^)(!)
( ^Д^)(スーパーマーケットの店員か!?)
( ^Д^)(つまりこういうことか。ドクオさんは中小企業である地元スーパーで働く一社員)
( ^Д^)(担当は日曜雑貨、売り場は、GMS――おっきなスーパー――だから割と広い)
( ^Д^)(そんな環境で彼は働いていて、ある日スコッティの売り場を手直ししているときに)
〜〜〜
『こんにちは、いらっしゃいませー、業務連絡を致します。日曜雑貨のドクオさん、日曜雑貨のドクオさん。5番レジまでお願いします』
('A`)「なんだよ……フェイスアップ中に……」
ε=('A`)タッタッタッタ
(; ^ω^)「ドクオ、悪いけどレジヘルプ頼むお!」
('A`)「あー、はい」
('A`)「エアロスミス〜(いらっしゃいませ)」
('A`)「アランドロン不在でした〜(ありがとうございました)」
「君、その言葉使いはおかしいだろう」
('A`)(ちっ、クレーマーかよ、めんどくさいな)
川 ゚ -゚)「もっとはっきりしゃべ……ドクオ?」
(;'A`)「ク、クー……!?」
見つめ合う。何もかもから解き放たれたこの時、二人の間に何がおこったのかは誰もわからない。
ただ、ひとつだけ言えることは、愛しあった分だけ歓んだ思い出が、愛しあった分だけ傷ついてできた瘡蓋から、触れてもないのに溢れる――くすぐったい痛みを伴って――それをそっと拭うように、止まった時間が動きだしたということだ。クーの指に輝く銀色の光は、希望か、それとも。
( ^Д^)(おわり)
- 121 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 02:47:36 ID:j8Yrn1EAO
- 第五話↓AAってなかなか使うの難しいね。
('A`)「おいおい、今さら本気かよ。いいぜ、凝り固まっちまった頭に俺が『クイズ』を教えてやる」
ピキ(# ФωФ)
(ФωФ #)スタスタ
('A`;)「おい、どこにいくんだよ」
(ФωФ #)「決まっている。弁護士のところだ」
('A` )「え」
(# ФωФ)「貴様は公共の場で我輩を頭が凝り固まっていると侮辱した。非常に不愉快だ」
('∀`;)「いや、それは、ほらテレビ的にもおいし」
(ФωФ )「金はいらん。刑事告訴だ。次にあうときは法廷だな、小僧」
⊂(>A<;)「おい、ちょっとまってくれって」
ドン
ベタン
(ФωФ )
('A`)
('A`)「し、死んでる」
(-@∀@)おわり(゚ー゚*)
おやすみなさい。
- 122 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 08:32:36 ID:Lzac/dig0
- ワロタ
- 123 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 09:19:02 ID:GL1YFTkI0
- おつwww
- 124 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 11:45:02 ID:j8Yrn1EAO
- J( 'ー`)し「ドクオ遅いわねぇ…なにしてるのかしら」
時刻は19時30分を回ろうとしていた。キッチンにあるあまり大きくない鍋には、およそ二人分のカレーが入っていた。
母親は戸棚からウィスキー――山崎の18年――を取り出し、グラスに注いで氷をいれると、まだ料理のない食卓についた。食器だけが存在を主張している。
- 125 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 11:46:39 ID:j8Yrn1EAO
- J( 'ー`)し「あの人がいなくなってからもうだいぶ経つけれど、ドクオも大きくなったわ」
氷を指でまわしながら、少しずつ口に含んでいく。独特のキレと香りが、彼女を過去へ戻していく。
J( - )し「ダメね、あの人のことはもう考えないようにしないと」
ふっ、と息を吐き、回想を止めテレビのリモコンをとった。いつも二人で見るテレビ。昔は三人。今、一人。
- 126 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 11:47:30 ID:j8Yrn1EAO
- 電源が入るとNHKのニュースが映った。人が殺された悲しい事件もあれば、新しいテーマパークが開設される楽しい報道もある。
J(* 'ー`)し「あら、イケメンね」
この施設を計画、実行した責任者がインタビューに答えているのを、うっとりとした表情で見つめる。
J( 'ー`)し「はぁ……ドクオもこうやってテレビに出られるくらい偉い人になってほしいわ」
冗談交じりで呟きながら、チャンネルを変えていく。一瞬、聞き覚えのある声がしたので戻す。
- 127 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 11:48:18 ID:j8Yrn1EAO
- 『よかろう、真剣にお相手しよう』
テレビに壮年の男性が出てきた。下に表示されているテロップを見ると、この番組は生放送でクイズをやっているようだ。
J( 'ー`)し「へぇ、おもしろそうね。……うわ、このおじさん、クイズ協会の偉い人なんだ……誰と対戦してるんだろ」
そのままリモコンを置き、見入る。こうしてテレビを見ながら呑むウィスキーも格別だ。
『おいおい、今さら本気かよ。いいぜ、凝り固まっちまった頭に俺がクイズを教えてやる』
J( 'ー`)し ブバァッ
J( 'ー`)し ポタポタ
J( ゚д゚)し「息子ぉぉお!?」
J( ゚д゚)し「しかも偉そうぉぉお!?」
かーちゃんの願いが届いたのか、ドクオはテレビに出ている。調子に乗って偉そうだ。シンクから雑巾を持ってきて、こぼしてしまった酒を拭きながら、テレビの音量を少し大きくした。
スーパードックンのようです
第六話
夜になったらはじまるよ!がんばろう!
- 128 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 12:36:51 ID:Lzac/dig0
- 地の文の細かな描写に妙に拘るのが良い
支援
- 129 :名も無きAAのようです:2013/04/11(木) 16:46:08 ID:k5uFXnY.0
- 乙!なんかワクワクしてきた
- 130 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 00:53:57 ID:7nY/HjJA0
- まだかなまだかな( ・∀・)
- 131 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:33:38 ID:g9fxy33IO
- 申し訳ございません。
言い訳をします。付き合いで呑んでました。
投下します。
- 132 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:34:40 ID:g9fxy33IO
- 〜〜〜
ピンポーン
『ナルコーシスだ』
『正解です!』
ピンポーン
『ピッティウォモである』
『正解です!』
( ゚ω゚)(バカな……どうなってるんだお)
- 133 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:35:24 ID:g9fxy33IO
- 愕然とした。目の前にあるモニターに映るのはクイズで戦う二人の戦士。攻防の切り替わりは激しい。
(; ^ω^)(確かに最初の問題だってタバコの知識がなければ答えられないお……でもそれ以降の問題は色んなジャンルだお)
ハイライト自体、有名なタバコ。開封したときの匂いは特殊なものだ。これを喫煙しているのならば香料について知識があってもおかしくはない。しかし、ありとあらゆるジャンルから出題される問題を解くことは至難の技だ。
- 134 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:36:18 ID:g9fxy33IO
- (; ^ω^)(じゃあ……なんなんだお)
『報告法と請求法の違い』
『正解!』
( ω )(なんなんだお、お前は……!!)
まるで内藤の欺瞞を嘲笑うかのようなドクオの強さは、プロデューサーとしての自信をおおいに揺らしている。
(*゚∀゚)「はい、CM入るよー」
つーは5から順に数字を数えて1を言い終えたあと座ったまま後方に倒れ、椅子の背もたれに体を預ける。バンザイしてノビ。
\(*^∀^)/「スーパードックンすっげぇな〜!最初見たときはただのコスプレか、だっせぇ格好だと思ったけど、やるじゃん」
(;´・_ゝ・`)「驚きました……とても一般人とは思えないな」
高校生クイズや芸能界クイズなどは、研究すればその傾向がわかる。一般人から見れば専門性の高いクイズに思うが、そうでない存在からは飽きるほど解いた問題で、さほど凄いとは思わないだろう。むろん、あくまで研究をし、場数を踏み、たくさんの経験がなければわかるものもわからない。その道理を曲げて猛進しているのが黒いジャージの男だった。
- 135 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:37:29 ID:g9fxy33IO
- ( ^ω^)「つーちゃん、今、二人は何点かお?」
おもむろにタイムキーパーを呼び掛ける。いつもの表情。狂いそうな笑顔。
(*゚∀゚)「え、んーと。杉浦先生が4点、スーパードックンは7点だよ」
ありがとうと頷くと、次に盛岡へ向かっていく。声が漏れないように耳打ちする。
- 136 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:38:10 ID:g9fxy33IO
- ( ^ω^)「デミタス、次のクイズだけどお……」
(´・_ゝ・`)「――はい?よろしいので?」
(^ω^ )「構わんお。数字のためだお」
(´ -_ゝ -`)「……承知しました」
多少の戸惑いは否めず。しかし、なにより先ほど迷いは消えたではないか。悩むことはない、数字のためだ。盛岡が持ち場を離れ、内藤の指示を司会に伝えに行く。中央に一人となった彼は椅子に座り手で顔を覆った。
(# ω )(数字のためだお……か。笑わせる。こんなもんほっといても視聴率なんか上がるに決まってるお)
( ^ω^)(気に入らないお。たいした努力もしていないヤツが上へ上へと、光の射す栄光へはい上がってくる)
( ^ω^)(虫みたいだ)
( ^ω^)(これは僕の矜持をかけてあげるお、ドクオ)
( ^ω^)(潰してやる)
僅かに、しかし確実に。彼の持つ人を寄せ付ける笑顔に、狂気が混じっていることを本人さえも気付くことはできない。
- 137 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:39:08 ID:g9fxy33IO
- 〜〜〜
('A`;)(CM中ってこんなんなのか……)
ドクオは興味深く周囲を見渡す。慌ただしく動くスタッフ。談笑する司会。杉浦は直立不動でこちらを凝視。腕組みがさまになっているが恐い。
( ^Д^)「ドクオさん!」
台の前で手持ちぶさただったドクオの傍にプギャーが近寄ってきた。二、三、挨拶を交わすと身につけている出演者用の機材をメンテナンスし始める。
( ^Д^)「にしても、すごいっすね……まさか杉浦先生に本気を出させるなんて。なにか特殊なことやってたんですか?」
周囲は静かではないが、あまり大きな声では喋らない。ドクオもそれに倣った。
('A`)「あぁ、まぁ本とか好きだし……それより、あそこにいるアサピーさんとしぃさんが話してるスーツの男がプギャーの上司なのか?」
目には落ち着いた面持ちの男。資料を片手に司会と打ち合わせしているのだろう。
( ^Д^)「あれ、それもいってなかったすか。あの人は盛岡さんで、チーフディレクター。内藤さんの右腕っすよ」
('A`)「じゃあお前はなんだよ」
( ^Д^)「下っぱADっす。まぁ内藤さんに可愛がってもらってるんで、内藤さんが一番の上司になるんすかねぇ」
- 138 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:39:52 ID:g9fxy33IO
- ('A`)(内藤ねぇ……またなんか企んでるんじゃねぇだろうな)
(* ^Д^)「はい、準備OK!ドクオさん頑張ってくださいね、そんじゃ」
手を振りながら隅に戻っていくプギャー。どうやらCMがあけるようだ。スタッフのよく通る声が再戦の合図となった。煽るBGMが二人を緊迫へと誘う。
(*-@∀@)「いやぁ、しぃさん。本当に驚きの一言ですね」
(゚ー゚*)「ええ、びっくりしています。現在の獲得ポイントは杉浦先生が4ポイント、スーパードックンが7ポイントとなっていますからね」
(-@∀@)「はい……と、ここでルール追加です。次の問題に正解したほうに特別ボーナス10ポイントが与えられます!」
( ФωФ)(!)
(;'A`)(な、なんだと!?今までの苦労はなんだったんだよ!)
- 139 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:40:26 ID:g9fxy33IO
- よくある光景。だが、実際に参加し、しかも勝ち越しているこの状況では笑えない。
('A`#)「最初のルール説明にそんなものなかっただろ、無効だ無効だ」
(-@∀@)「スーパードックン、落ち着いて。戦いは常に変化するものだから……」
('A`;)「意味わからねぇよ!」
( ФωФ)「小僧、うるさいぞ」
腕組みをしたまま静観していた杉浦が言う。凄味があるのか、黙った。
('A`)「っ……!」
( ФωФ)「良いではないか。先に正解したほうの勝ち。実に分かりやすい」
(;'A`)(そりゃあんたからしたらラッキーだろう)
( ФωФ)「それに……」
杉浦は手をスイッチに添える。まるで何も気負わないように自然に。
('A`)(?)
( ФωФ)「文句を言うならば、貴様が先に答えれば良いだけだ、スーパードックン」
- 140 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:41:56 ID:g9fxy33IO
- ('A`)(小僧……じゃない?)
一瞬、驚いたが気を取り直す。ここまできたなら勝ちたい。
(-@∀@)「さぁ、互いに認めあうほど戦いあったこのバトルも、最後の問題になります!しぃさん、お願いします!」
(*゚ー゚)「はい。それでは最終問題です!」
(*゚ー゚)「1887年に、医師によって付けられた『賢い白痴』という名称は現在、何というでしょうか。また、名付けた医師の国と名前をお答えください」
この時、杉浦は諦めていた。勝つ、勝たないの次元におらず、ただ目の前の男について思慮していた。
- 141 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:43:01 ID:g9fxy33IO
- ( ФωФ)(圧倒的な知識量)
ピンポーン
( ФωФ)(にもかかわらず、短気で欠陥のある愚鈍な人格)
('A`)「イギリスの医師、ジョンランドンダウン」
( ФωФ)(理由は一つしかあるまい)
('A`)「現在の名称は……サヴァン症候群だ」
(*^ー^)「せ、正解です!!おめでとうございます!!」
「スーパードックン!一回戦突破おめでとう!!」
( ФωФ)(イディオ・サヴァン。白痴天才、か)
勝利のファンファーレが鳴り響く。敗北者である杉浦は、穏やかに笑うと、拍手のSEに合わせて両手を叩いた。
スーパードックンのようです
第六話おわり!
- 142 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:45:46 ID:g9fxy33IO
- 本当にごめんなさい。これ以上は何も言えません。体調管理しながら、がんばります。おやすみなさい。
- 143 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 02:50:46 ID:g9fxy33IO
- 「スーパードックン!一回戦突破おめでとう!!」←なにやってるんだよ
(-@∀@)「スーパードックン!一回戦突破おめでとう!!」←まぁいいけどさ
重ね重ねすみません。
酔っぱらいが書き溜めします。今回のようなことにならないよう、気を付けよう。無理はしないよ!
- 144 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 07:15:10 ID:Kayl0N1c0
- おつおつ
- 145 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 07:46:45 ID:kCLUuD4w0
- おおおおつ
- 146 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 08:39:23 ID:wW0LzqbY0
- おっつおつ
- 147 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 13:50:36 ID:43SkeZs60
- どっくん凄いな。
続き楽しみにしてます。乙
- 148 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 22:46:23 ID:g9fxy33IO
- 申し訳ございません。また付き合いです。情けない。
明日以降、私のPCが戻るかもしれません。超がんばります。
- 149 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 23:13:26 ID:4j3WuZj.O
- >>148
気にするなよ、打ち切りするわけじゃないんだから
俺も、同僚のおっぱい大きいねえちゃんとならそっちとるから
酔いつぶれたときに脇乳揉めるしね
- 150 :名も無きAAのようです:2013/04/12(金) 23:27:19 ID:g9fxy33IO
- >>149
ありがとう、気が楽になります。こうして作品は完成していくんだなぁ。
おっぱいがありません。助けてください。
- 151 :名も無きAAのようです:2013/04/13(土) 00:30:28 ID:yoDP0IKEO
- 世の中には俗称おっぱいパブなるものがあると聞いたことがある
その様なお店でしかるべき対価を払って存分に揉み満足したのち
賢者となって神聖なるブーン系小説の執筆に取りかかるがよかろう
- 152 :名も無きAAのようです:2013/04/13(土) 02:21:30 ID:W5CLUOTs0
- 結論:おっぱいって素敵
- 153 :名も無きAAのようです:2013/04/13(土) 15:26:07 ID:PPGifoBMO
- 地震……だと?移動できないではないか!
移動中に書き溜めしようと考えておりましたが、厳しいですね。
可能であれば夜、不可能なら月曜日あたりにと思ってください。
- 154 :名も無きAAのようです:2013/04/13(土) 16:23:41 ID:PPGifoBMO
- 調べてみると、かなり大きい地震だったか……
軽率でした。皆さん、気をつけてください。
- 155 :名も無きAAのようです:2013/04/13(土) 16:24:38 ID:7NnvCm7Q0
- 地震に無理矢理起こされて寝不足
訴訟
- 156 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:41:39 ID:0.kYxIAAO
- 人心地つきました。がんばります。
- 157 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:42:41 ID:0.kYxIAAO
- ドクオは本が好きだった。
部屋に散らばる本の数と本棚に入っている数、述べ数万冊。小規模な書店や図書館を上回りかねない。また、母親が晩酌に高級ウィスキーを空けること、なにより仕事を辞め、数年たった今でもなんら問題なく生きていけることから、彼の家が広く、書物を保管できることも頷ける。
その全てを読んでは記憶し、定着させていくことは常人では不可能である。しかし、彼はある時に医学の本を読んでそれを知り、さらに自身がそうだと確信した。
サヴァン症候群。
原因など詳しいことはまだわかっていないが、主に記憶分野で特異な能力を持ち、一度見た書籍や風景であれば忘れることがないという天才的頭脳。有名な山下清もこれに該当するのではないかと言われている。
そんな彼がひょんなことから出演した生放送。内容はクイズ。身体的な能力も、特別なコミュニケーションも勝つためには必要ない。
(*^ー^)「スーパードックン、一回戦突破おめでとう!」
(゚A゚)「よっしゃぁ!!」
ただ、出題された問題に答えるだけ。たとえどれだけ難しい問いだろうと、彼の前には解答が見えているのだ。
スーパードックンのようです
第七話
- 158 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:44:09 ID:0.kYxIAAO
- ドクオが勝利し、労いの言葉がかけられ、放送が録画してあるVTR――彼以外の出演者紹介――に代えられている頃。出演者の交代など準備や休憩で忙しなく動いている。
('A`)(勝っちまった……)
手の震えは武者震いか。勝利は彼の心を揺さぶっている。そんな勝者に敗者が近づいてきた。見えなかった靴はエドワードグリーン。英国産が鳴らす音色が、彼の人柄を表し終えた時、二人は向かい合う。
( ФωФ)「スーパードックン」
('A`;)「へ、は、はい」
変わらず厳かな杉浦に、挙動不審。戦いが終わり気が抜けたところに差し出されるは右手。
( ФωФ)つ「おめでとう」
- 159 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:44:50 ID:0.kYxIAAO
- ('A`)「……へ?」
( ФωФ)つ「どんな形であれ、君は我輩に勝った。それは事実だ」
まっすぐ見つめて言われたドクオは戸惑いながらも右手を差し出す。終わってすぐ、思い出したかのように返答する。
('A`;)「ちょ、ちょっと待ってくれ。あんた最後の問題、分かってたんじゃないのか?」
( ФωФ)「ふん、だからなんだというのかね」
('A`;)「いや、その……」
(ФωФ )「先ほど言った通りだ。君は勝った。それだけだ。」
踵をかえす。数歩歩いたところで立ち止まった。
- 160 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:45:33 ID:0.kYxIAAO
- (ФωФ )「一つ聞いておこうか。名は?」
('A`)「……ドクオ。宇都宮ドクオだ」
�堯福� ФωФ)「なんだと!?」
振り返り、少し荒い靴音がドクオに近づいた。先ほどから萎縮してばかりだ。
(゚A゚;)「え、な、なにか……」
(; ФωФ)「君の父親は……宇都宮マナブという名前か!?今どこにいる!?」
('A`;)「お、オヤジ……?いや小さい頃から会ってないから知らないけど……」
( ФωФ)「そうか……いや、失礼した」
もう一度彼に背中を向け、そのまま歩を進めていく。今度は立ち止まらずに言った。
(ФωФ )「ドクオ君。君にはまた会うことになるやもしれん。その時は……最初から全力でお相手しよう」
去りゆく背中から発せれた言葉は、ドア一枚を隔てて消えた。
- 161 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:46:14 ID:0.kYxIAAO
- 〜〜〜
些末な照明、無機質な白い壁と床。ポスター。病院の通路に似たそれは、スタジオと比べ、殺風景に感じる。
出演を終えた杉浦は楽屋に寄らず、そのまま帰ろうとしていた。それは前方から歩いてくる人物によって止められる。
( ^ω^)「お疲れだお、杉浦先生」
( ФωФ)「敏腕プロデューサーだな、内藤。よもやあのような逸材を連れてくるとは」
( ^ω^)「まぁラッキーだったお。おかげでかなり盛り上がったお」
( ФωФ)「以降の対戦者では相手になるまい。ぬか喜びになるぞ」
(* ^ω^)「ふふん、問題ないお。確かにとんでもない奴だけど、スーパードックンは次で負けるお」
穏やかな会話は、杉浦の一言で終わる。
- 162 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:47:16 ID:0.kYxIAAO
- ( ФωФ)「だと良いがな」
_,
( ^ω^)「なに?」
( ФωФ)「あまり彼を侮らないほうが良いぞ、内藤。足元をすくわれないように気をつけたまえ」
( ^ω^)「……サブに戻るお。今日はありがとう」
内藤はすれ違いながら舌打ちをし、肩をいからせながら歩いていく。品のないそれを見ずに彼とは反対方向へと進む。
( ФωФ)(玉石は、間引いていくといずれ玉のみ残る。というが……)
杉浦は歩きながら携帯電話を取り出すと、二回の操作で耳にあてた。
( ФωФ)白「終わったのである。……そうだ、敗北した。……ああ、そうだ。……相手は白髭殿の息子である。……うむ。そうすると良い」
( ФωФ)白「来い、諸本。面白いものが見れるぞ」
- 163 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:48:18 ID:0.kYxIAAO
- 〜〜〜
(*゚ε゚)「なー、なー、デミタス〜」
椅子に座って赤鉛筆を鼻と口で横一文字。つーは放映されているモニターを見ながら、後ろを向かずチーフディレクターに声をかけた。
(;´・_ゝ・`)「チーフと呼びなさいよ……どうした?」
(*゚ε゚)「これスーパードックン全勝するんじゃね?なんかどんな問題も解いちゃいそうじゃん〜無双じゃん無双」
(´・_ゝ・`)「ん……確かにな。全くとんでもない素人を連れてきたものだ。プロデューサーにはいつも驚かされるよ」
- 164 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:49:17 ID:0.kYxIAAO
- (゚∀゚*)「内藤さんねぇ……」
座席を回転させて振り向く。鉛筆は既に机の上。
(´・_ゝ・`)「どうした?彼に不満でもあるのか」
(゚∀゚*)「ううん。優しいし仕事できるし面白いけど」
(-∀- )「笑ってないんだよね、あの人」
(´・_ゝ・`)(笑って、ない?)
- 165 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:50:16 ID:0.kYxIAAO
- デミタスは怪訝な面持ちを、入れておいたコーヒーで隠すようにした。伏し目がちにつーは続ける。
(-∀-*)「ニコニコしててすごく良い印象だけど、なんかな〜奥底では真逆なんじゃないかなって」
(´ -_ゝ- `)「……穿ってみるなよ、上司だぞ」
(゚∀゚*)「わかってるって。あ、これ内緒だからね」
言い終えた彼女はまた回転させる。二回転したあと元に戻った。
(´・_ゝ・`)「はいはい……」
(´・_ゝ・`)(穿るな、か。人のことを言えるわけではないのだがな)
( ^ω^)ノシ「おいすー、みんなお疲れだおー」
- 166 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:51:10 ID:0.kYxIAAO
- 労いの言葉が室内にこだまする。内藤はやはり中央の自席に一直線。タイムキーパーはQシート――番組の進行表――をわざとらしく見ながら彼から顔をそらした。
(´^_ゝ^`)「プロデューサー、お疲れさまです。もうまもなく二回戦が始まりますね」
(* ^ω^)「おっお。いくらスーパードックンでもそろそろ負けちゃうお」
(´・_ゝ・`)「ええ。しかし、彼はなぜか出される問題を全て答えることができ、間違いがなかった……懸念される事項ではありませんか?」
探る。あくまで自然に。不審に思われたらつーのせいにしよう。
(^ω^ )「ん、そうだおねぇ……まぁラッキーだったんじゃないのかお?少なくとも次の対戦相手には勝てないと思うお」
- 167 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:51:51 ID:0.kYxIAAO
- (´・_ゝ・`)(なんだ……?歯切れの悪い)
( ^ω^)「それより、デミタス。お前がそんな意見をするとは珍しいおね」
(;´・_ゝ・`)「え、ああ。つーが言ってたんですよ、つーが」
人差し指をピッとたてて、肩をすくませる彼女を指差す。恨めしい顔が頭の中に浮かんできたデミタスは口角が上がった。
(;;゚∀゚)アワアワ
( ^ω^)ツーチャンオイデ
ワー!ナニモシナイオ オシゴトニツイテオハナシスルオ
(´ -_ゝ-`)(疑いは消えた、迷いもない。たが……笑っていない、か)
- 168 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:53:08 ID:0.kYxIAAO
- 〜〜〜
(* ^Д^)「はい、OKっす!」
プギャーが再度、機材の準備を完了させた。心なしか表情が柔らかい。
(* ^Д^)「いやぁ、マジすごいっすねドクオさん。先生を負かすなんて」
(-A-)「そうでもないさ。あのオッサン、最後に手を抜きやがった。最初からまともにやればやばかったよ」
黒ジャージの男は、さすがにフケがスタジオの床に落ちることをためらったのか、控えめに頭をかいた。床が汚れた。
- 169 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:54:06 ID:0.kYxIAAO
- ( ^Д^)「そ、そうなんすか?でもやっぱすごいっすよ。その調子で次の対戦も頑張ってくださいね」
( 'A`)「そういえば次の対戦相手は誰なんだ?」
プギャーはいつもの半笑いをさらに憎たらしくして答える。頬が赤い。
(* ^Д^)「あー、素直姉妹っす」
(;'A`)「ってあのアイドル三人組か。ちょっと待て、クイズは一対一だろ?」
(; ^Д^)「はい。ボタンは一つしかありませんからね、押せるのは一人だけですよ。答えるのは一人でも考えるのは三人だから正解には近づきやすいっすけど……てかドクオさん驚かないんすね」
- 170 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:54:50 ID:0.kYxIAAO
- 既視感のある驚きが返ってくると予想していたプギャーだったが、結果が違うことで半笑いが元に戻る。
('A`)「アイドルは好きじゃねえんだ。みんな同じ顔に見える」
( ^Д^)「へー、若いのに珍しい。おっともう始まるみたいっすよ、頑張ってください!」
インカムから開始直前の連絡が入ったのだろう足早に所定位置へと駆け出す若人。一人、向こうに見える対戦相手の入場口を見つめる青年。どちらもこれからだというのに歳をとったような会話をするのは、若者の特権か。
('A` )(お前が俺を若いとか言うなよ……)
- 171 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:56:03 ID:0.kYxIAAO
- 頭の中で愚痴るドクオを尻目に、きれいに年を重ねた司会が口を開いた。ポップな音楽は今から現れるアイドル達の曲。
(*-@∀@)「さぁ、次の対戦相手も準備が整いました!まさかの大番狂わせで一回戦を突破したスーパードックンと対するは、今話題の三人組エリートアイドル!!」
(*゚ー゚)「いったいどちらが勝つのでしょうか!それでは入場です!」
(-@∀@)「まずは東大を首席で卒業した、オールマイティーかつクールビューティー!」
(-@∀@)「素直クール!」
川 ゚ -゚)ドモ
(-@∀@)「続いてたくさんのスポーツ種目においてトップクラスの成績をおさめてきた、情熱の美女!」
(-@∀@)「素直ヒート!」
ノパ⊿゚)ウッス
(-@∀@)「最後に、枠が余ってるからと誘われ、高卒フリーター人生にさよならしたキューティガール!」
(-@∀@)「素直キュート!」
o川#゚皿゚)o「ちょっとまてやぁ!なんなの!?なんで私だけそんなしょうか」
(*゚ー゚)「三人そろって」
(*-@∀@)「スナオシスターズの登場です!!」(゚ー゚*)
- 172 :名も無きAAのようです:2013/04/14(日) 23:56:39 ID:0.kYxIAAO
- o川*:皿:)o「聞いてよぉ!」
('∀`)(あぁ、キュートにちょっと親近感わくわ……ぶっ潰して泣かそ)
若さゆえの驕りや油断。自身が危険な立場になることを彼はまだ知らない。
スーパードックンのようです
第七話おわり!
- 173 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 00:02:58 ID:p2y82Phw0
- 乙乙
キュート可愛い
- 174 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 00:09:32 ID:Yf6YWTpwO
- >>151
おぉ、味はいかがですか?確かめられますか?おいしそうなら行きますね。
>>152
これ以上にない結論です。ありがとう。
>>155
大丈夫ですか?地震も危険ですが睡眠不足も厄介ですよね。ご自愛ください。こんな当たり前のことしか言えない私でごめんよ。
>>173
早速ご覧いただきありがとうございます。少し間をおくだけで不安になりますが、書き込みをみるとほっとします。恐るべしブーン系……
しばらく落ち着きそうなのでフライングしました。ごめんなさい。
PCが戻ってきたので色々テストしたいと思います。わーい。
- 175 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 01:07:45 ID:rePrhch.0
- スーパードックンのようです
NGシーン
はじまるよ!
第六話↓果たして無事にできているのだろうか
J( 'ー`)し ブバァッ
J( 'ー`)し ブボォ
J( 'ー`)し ブリュリュリュリュリュ
J( 'ー`)し ビシャアアアアアァァァァァ
J( 'ー`)し ブホホッホー
J( 'ー`)し サディスティック!
J( 'ー`)し ボボボボボボボ
J( 'ー`)し ボッシャーン
J( 'ー`)し ポタポタ
J( 'ー`)し ポタポタポタポタ
J( 'ー`)し ポタッ
J( 'ー`)し
J( 'ー`)し ポ
J( 'ー`)し ブリュリュリュリュリュ
おわり
- 176 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 01:13:17 ID:rePrhch.0
- 第六話 take2←スペルを確かめるべくグーグルをひらきました。
ピンポーン
『ナルコーシスだ』
『正解です!』
ピンポーン
『ピッティウモ……』
『ピッテ……』
『ピティォモ……』
『ゴホン!』
『……』
『ピッ、ティ、ウォ、モ、である』
『せ、正解です!』
( ゚ω゚)(バカな……どうなってるんだお)
おわり
- 177 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 01:41:35 ID:Yf6YWTpwO
- 第七話↓やっぱり携帯が一番
('A`)「アイドルは好きじゃねえんだ。みんな同じ顔に見える」
( ^Д^)「へー、じゃあどういうのがタイプなんすか?」
('A`)「常○貴○だな」
( ^Д^)「ああ、悪魔の」
('A`)「やめろ、それ以上は言うな。カバ○タレやロン○ラブレターだ」
( ^Д^)「すんません。俺は森○中の黒○とかっすね」
('A`)「あー、いや否定できんわ、うん。次点で柳○加奈○か?」
( ^Д^)「おっ、さすがっすね。最近だとキンタロ○とか……あ」
('A`)「わかるわかる。みんな並べてアレとかコレとかしたいね。ん、どうした?」
カメラは一部始終を捉えていた。急遽、CMを挟んだあとドクオの存在が消えていたことは言うまでもなかった。
J( ゚д゚)し サディスティック!
おわり。おやすみなさい。
- 178 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 01:45:16 ID:p2y82Phw0
- 乙。おやすみなさい。
- 179 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 04:00:11 ID:BPey3OP60
- これはひどい
- 180 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 09:34:50 ID:1O5Lykdo0
- 乙
いちいち面白い
- 181 :名も無きAAのようです:2013/04/15(月) 18:11:14 ID:6f6B.2Jw0
- ドクオはサヴァンのハイエンドか何かかよwwwwww
- 182 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:44:17 ID:8zwHOJIUO
- 頑張りますか!
- 183 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:45:11 ID:8zwHOJIUO
- メイドと女中。その違いはないというのは語弊があるか。本来メイドとは家事労働を手伝う使用人を指す言葉で、女中は旅館などに住み込みで働く日本国内における呼称である。したがって、昨今の風変わりな喫茶店や、多種多様なゲームに出現する奇抜な存在ではない。汚い仕事をこなし、TPOによって衣装を替え接客、さらに主人より目立つ格好をしてはならないルールがある。
だから、エリート三人組の彼女らはその歴史を重んじ、時代と逆流――多少の現代テイストはあるが――の服装に身を包んでいる。
- 184 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:45:45 ID:8zwHOJIUO
- 黒の襟付きワンピースは、襟と袖が白に近い灰色のクレリックタイプで、単色だがシューズが見えないところまで隠しており、ともすればクーの姿勢の良さからフォーマルに見えてもおかしくはない。真っ白のエプロンはウエストを調整し、うまくパニエを使って膨らませている。カチューシャこそかぶっていないものの、擬似的だが現代風のヴィクトリアメイド──クラシカルメイド──と言っても過言ではない。
左右対称性である顔と、凛とした立ち振る舞いから、昨今の流行である露出要素が少ないのにもかかわらず高評価を得ている。
川 ゚ -゚)(……ふむ)
- 185 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:46:16 ID:8zwHOJIUO
- 正反対のヒートは白いストライプが右肩辺りから大きめに入ったエンジ色のドレス。こちらも膝下まで生地があることから一見フォーマルに思えるが、ざっくりとあいた背中、それを隠すような長い後ろ髪と、下手に胸元を強調せず、デコルテ──首から胸元のことを指す──からさりげなく見える鎖骨。それらが何よりも美しいアクセサリーと見紛うことから、決して下品ではない色気をもったフレンチスタイルが、クーとは違った人気を得ていた。
ノパ⊿゚)(くっ……)
- 186 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:46:54 ID:8zwHOJIUO
- そして最も人気の三人目。何の変哲もない黒の七分袖ワンピース、麻でできた緑のカーディガン。ヒールを履けども中肉中背。カーディガンと同色のレギンスをはいているが、台で見えず、両隣と比べれば公開処刑。もちろん役割はボタンを押すだけ。
よく食べ、よく泣き、よく笑い、よく怒る。そんなどこにでもいるような女性が、御伽噺のようにどうしてここに立っていて、一番の支持を得ているのか。
(*^ー^)「スーパードックン!また正解!これで5対0です!」
o川*;μ;)o「ぶえぇぇん!なんでぞんなにグイズどげるんだよぉぉお!」
それはシンデレラガールであるキュートが、魔法をかけずにガラスの靴を履いたから。有体に言えばネタ担当である。
スーパードックンのようです
第八話はじまるよ!
- 187 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:49:54 ID:8zwHOJIUO
- (*;゚ー゚)「きゅ、キュートさん大丈夫ですか?」
o川*;ー;)o「だ、だいじょうぶぇぇぇええええん!」
('∀`)(泣け泣け〜もっと泣け〜)
ヨシヨシ ノハ;゚⊿゚)つ o川*;ー;)oヒックヒック (゚- ゚ 川 ダイジョウブ
しぃが心配するのをよそに、キュートが二人に慰められているのをドクオは嬉しそうな顔で見ていた。不審極まりない。
- 188 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:50:48 ID:8zwHOJIUO
- ノパ⊿゚)つ(クイズが始まって5問……私たちでも答えられる問題はいっぱいあった)
ノハ;゚⊿゚)つ(でも、答えられなかった。解答が速すぎる。ありゃ反射神経とかじゃなくて出題の意図がわかった瞬間に全部解ってるんだ。クソッ!)
どれだけ聡い人物であれ、多少の逡巡は生まれる。それが比較的、問題文の短いこの早押しクイズでは致命的。ヒートは台につっぷしているボタン係に慰めの言葉をかけながら思った。
- 189 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:51:55 ID:8zwHOJIUO
- 川 ゚ -゚)「ヒート。奴を見てみろ」
キュートの頭をなでながら、あごをドクオに向けてしゃくる。
('∀`)エヘヘ
ノハ;゚⊿゚)「わ、笑ってやがる……」
川 ゚ -゚)「ああ。余裕の笑みだな。私たちも色んな分野を勉強し、吸収してきた。学問やスポーツ、芸能界においても悪くはない結果を残し続けている」
川 - -)「だが……いくら勝ち越しているとはいえ、この局面で笑えるということは」
ノパ⊿゚)「私たちに負けるはずがない……そう言いたいのか、あの野郎」
無言は肯定を意味する。これから彼にも知らない問題が出るかもしれない。にもかかわらずまるで全て解っているような態度に怒りを通り越して諦観する二人。
('∀`)(やっべ、泣かせすぎたか……まぁいいや、面白いし)
- 190 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:53:36 ID:8zwHOJIUO
- 当の本人は別の意味であきらめていた。らちがあかないので司会がCMに入るまでトークをつないでいたが、それは彼女によって止められる。
o川*`ー')o「スーパードックン!ぜえぇったい!勝ってやる!まっけないんだからぁぁあ!」
��('A`;)ビックリシタ
o川*゚ー゚)o シャァコイ!
目が赤く、声が上ずっているがキュートは突然、台から体を上げ宣言した。すぐに振り向いて二人に話しかける。
o(゚ー゚*川o「この方法ならあいつに勝てるよ!二人とも、よく聞いて……こうで……こうして……」
- 191 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:54:30 ID:8zwHOJIUO
- (-@∀@)「おーっと、素直キュート!宣戦布告をしたかと思うといきなり仲間と相談を始めたぁ!」
(*゚ー゚)「なにか作戦を思いついたのかもしれませんね」
三人が輪を組んで話し込んでいる。マイクから音が漏れてこないことから、よほど小さな声か、遠隔で音声の操作をしているのだろう。
('A`;)(……あ、もう終わった。なんだったっんだろ?)
かと思えば、すぐに三人は輪を解いて台に戻った。
川 ゚ -゚)「……わかった、そうしよう」
ノパ⊿゚)「……おう、こうなったらとことんやらないとな!」
会議終了。三人はドクオに向かい合う。ボタンにはキュートの手が乗せられている。別段、変わったところはない。
- 192 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:55:44 ID:8zwHOJIUO
- (*-@∀@)「どうやら準備万端のようですね!さぁ、ここから逆転となるか、スナオシスターズ!しぃさん、お願いします!」
(*゚ー゚)「はい!それでは問題です!」
(*゚ー゚)「ロンドンで上演された劇で、ヒロインのヘイゼルドーンに捧げられたカクテルの名前はなんでしょう?」
ピンポーン
('A`)アレ?
時間が止まったように静かになる。とっさに動いたのはクー。すぐさまキュートに耳打ちをする。
o川*;゚ー゚)o「ぴ、ピンクレディ!」
(*^ー^)「正解です!」
- 193 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:56:49 ID:8zwHOJIUO
- (;-@∀@)「おぉ!?これは作戦が功を奏したのか、スナオシスターズ!ついにポイントをとりました!」
(*゚ー゚)「5対1とまだ差はありますが、わかりませんね。それでは……いったんCMのようです!」
(#-@∀@)「これは目が離せないですね!みなさん、チャンネルはそのままですよ!」
彼女らの新曲がワンフレーズ流れ、CMに入る。クーとヒートは動揺しながらも、新たな決心をした。
川; ゚ -゚)(……これは、キュートの言うとおりまだわからないかもしれない)
ノハ#゚⊿゚)(勝てるかも?いや、勝つんだ。私なら大丈夫、二人がいるから……!)
- 194 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 02:57:36 ID:8zwHOJIUO
- キュートに賞賛と決意を表そうと口を開こうとする。しかし、彼女の背中は前傾姿勢で丸まっていた。すぐにでも解答することができる体勢に入っているのを確信した二人はそれを見習い、笑みの消えたドクオをにらみつける。敵も本気。三位一体。
突然の攻守逆転は、それぞれ思うところがあるのだろう、沈痛な面持ち。
o川* ー )o(……)
(……)( A )
o川*;゚ー゚)o(なんで?)('A`;)
ところが、二人はCMが終わるまでずっと同じ考えだった。
スーパードックンのようです
第八話おわり!
- 195 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 03:25:50 ID:Uv/KCOok0
- 来てたのか
乙
- 196 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 03:43:36 ID:8zwHOJIUO
- 前回にいつ投下するのか書かなかったどころか、こんな時間に投下しちゃいまして……面目ない。見てくれて本当にありがとうございます。
明日はゆっくりできそうなので、書きためてから日付が変わる前にがんばりますね。皆さん、おやすみなさい。
- 197 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 10:53:23 ID:X5.C3nIg0
- おつー
- 198 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 21:15:06 ID:yh2B.Ads0
- 乙でーす
- 199 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:32:41 ID:8zwHOJIUO
- 間に合った!がんばるぞ!
- 200 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:34:55 ID:8zwHOJIUO
- ('A`;)(あれ?あれ?)
ピンポーン
<ゴニョゴニョ o川*;゚ー゚)o「えぇと……四種、感染症!」
(*^ー^)「正解です!」
(*-@∀@)「すごい!すごいぞ、スナオシスターズ!あっという間に5対5!スーパードックンと並んだぁ!!」
戦局は互角となり、戦意は反対となる。ドクオは焦っていた。
('A`)(どうなってやがる……押しても押してもボタンが反応しねぇ)
('A`)(故障か?いや、CM明けごろ、プギャーがチェックしてくれたし……)
('A`;)(まさか、本当にさっきの円陣作戦が……!?)
- 201 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:35:40 ID:8zwHOJIUO
- 彼の元々悪い顔色は、どんどん青ざめていく。気の毒。
川 ゚ -゚)「ふふ、焦ってるな」
ノパ⊿゚)「しっかしこんな方法が有効なんて……よく気づいたな、キュート」
o川*;゚ー゚)o「え、あ、うんまぁ」
相対的にクールとヒートは高揚していた。先ほどまで解答することができず、もはや諦めの状況に追い込まれていたのだ。そこから同点となり、勝てる希望が見えたことは彼女らの士気が上がることにつながる。
川# ゚ -゚)「さて、妹を泣かせてくれた分」
ノハ#゚⊿゚)「たっぷり払ってもらうぞ」
(#-@∀@)「怒濤の反撃宣言だ!美人三姉妹がこの流れに乗れるか!!」
- 202 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:36:40 ID:8zwHOJIUO
- ボルテージに当てられたのだろう、アサピーも興奮していた。唯一、落ち着いているキュートはボタンを凝視する。
(#-@μ@)「さぁここからが勝負の分かれ目です!しぃさん、問題!!」
(*;゚ー゚)「はい!問題です!」
(*゚ー゚)「人生には三つの坂があると言われています。上り坂、下り坂、あとひとつはなんでしょう?」
こんな作戦が通用するとは当然思っていなかった。
ピンポーン
だが、諦めたくない彼女の気持ちが、
o川*゚ー゚)o「これは解るよ!『まさか』でしょ!」
そのまさかを起こしたのかもしれない。
(*^ー^)「正解です!5対6!スナオシスターズが一歩リードです!」
o川* ー )o(勝っちゃう……こんな、こんな)
o川*;゚ー゚)o(ボタン連打だけで……アハハ)
たとえどれだけ安易で稚拙な作戦だろうと、自分で考えたものが通用するのであれば、やぶさかではなかった。
スーパードックンのようです
第九話はじまるよ!
- 203 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:37:45 ID:8zwHOJIUO
- 〜〜〜
(* ^ω^)「おっおっお!さすがキューちゃんだおね!ボタンを連打してスーパードックンに答えさせないようにしてるお!」
サブにて両手をジーンズのポケットに入れた偉そうな内藤が感嘆の声をあげる。他のスタッフがそれに続く中、デミタスは懐疑的な表情をしていた。
(;´・_ゝ・`)「……」
(;´・_ゝ・`)(なぜだ?なぜ、スーパードックンが解答できない?)
(´・_ゝ・`)(本当にボタンを押すタイミングか?確かに5問目が終わってからキュートの押し方が変わったが……)
- 204 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:38:22 ID:8zwHOJIUO
- 『5対7!スナオシスターズ、止まりません!』
(´・_ゝ・`)(それにしては違和感がある……)
答えがでないままモニターを見つめていると、気だるい声が聞こえてくる。座席の背もたれが動いた音もした。
(*゚∀゚)「CM入るよ〜……ふぅ、生放送は疲れるなぁ」
首を左右にひねって、ストレッチ。内藤が後ろから声をかけるが、後ろを見ないで二つ返事で返した。
- 205 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:39:20 ID:8zwHOJIUO
- (^ω^ )「つーちゃん、あんまりそういうこと言っちゃダメだお?みんな疲れてるんだから」
(*゚∀゚)「はーい、ごめんなさーい」
( -ω-)「はぁ……俺は音声の切り替えをミスって不適切な言葉がそのまま放送された番組を何度も見てるお。気をつけるんだお」
��(*;゚∀゚)「うっ、それはコワい」
(´・_ゝ・`)(音声の……切り替え……もしや)
- 206 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:40:11 ID:8zwHOJIUO
- 背筋を伸ばして呟いたつーに優しく諭す内藤。そんな彼を小声で呼びかけ通路に誘導する。さほどうるさくはなかった空間から移動することで、さらに静けさが増した。
( ^ω^)「どうしたんだお、デミタス。恐い顔をして」
(´・_ゝ・`)「プロデューサー、失礼を承知で申し上げますが……」
(´・_ゝ・`)「何か、隠していませんか?」
- 207 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:40:49 ID:8zwHOJIUO
- ( ^ω^)
( ^ω^)「なんのことだお?」
特に言うつもりはなかった。今まで納得のいかないことはたくさんあった。その都度、こらえてきた。
(´ -_ゝ -`)「スナオシスターズが急に正解を連発、一方のスーパードックンは5問目以降、問題を答えることすらしていない」
(´・_ゝ・`)「あまりに不自然です」
それは内藤がプロデューサーとして実績を残し、評価されているからである。
( ^ω^)「それで?僕が裏で細工をしているとでも?」
(;´・_ゝ・`)「……」
(* ^ω^)「おっおっお!デミタス、面白いおね!俺がそんなことをするわけがないお」
だから今回の疑問に関しても、言及はしない。
- 208 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:41:33 ID:8zwHOJIUO
- (´・_ゝ・`)「……そうですね、大変失礼しました」
( ^ω^)「気にしなくていいお、いつものデミタスより濃い感じがしたお」
内藤が、まるでコーヒーの味を解説するように冗談を飛ばす。社交辞令で笑いながらデミタスは続けた。
(´ ^_ゝ ^`)「お時間を頂いてありがとうございます」
背中を向ける。まっすぐに伸びた姿勢がどことなく寂しい。
( ^ω^)「お?どこにいくんだお?」
〃(;´ ^_ゝ「プロデューサーに意見するのが久しぶりで胃の調子が……」
首だけ横を向いて、手を腹に当て、腹痛を表す。
(; ^ω^)ノシ「うんこかお。早くいってくるお、ばいぶー」
走り行くスーツ姿に手を振りながら呟いた。
( ^ω^)「そうそう、もし僕が小細工するのなら」
( ^ω^)「絶対に失敗しない」
- 209 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:43:11 ID:8zwHOJIUO
- 〜〜〜
('A`)(スイッチの反応を切り替える細工でもしてるんだろ)
(#'A`)(内藤の仕業だな、十中八九)
ドクオは気づいていた。出会ってから良いことなど一度もない彼にとって、悪いことがあればプロデューサーのせいという、身勝手だが間違いのない方程式を完成させていた。
( 'A`)(とはいえ、だからどうするって話なんだが……せめて味方がいれば)
- 210 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:44:22 ID:8zwHOJIUO
- ドクオはプギャーのほうをみた。スケッチブックを持った中腰の男は、映らないのをいいことにあくびをしている。選択肢から除外。
('A` )(……司会に向かって全部言うか?)
かぶりを振って二人に視線を向ける。初めてあったときの面倒な印象と、淡々と問題を読み上げる具合から、ことなかれ主義と思われる仕事ぶりが浮かんだ。
('A`)(ダメだ。どうせ取り合ってくれないし、さらし者になっちまうかもしれん)
- 211 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:45:36 ID:8zwHOJIUO
- すでにドクオは帰ることよりも勝つことに集中していた。持って生まれた特性によって学校や社会から迫害されたときを思い出す。
暴力、罵倒、差別、隔離。辛い過去が心に影を落としていると、音を伴った光が射した。
o川#゚ぺ)o「やい、スーパードックン!」
('A` )「あぁ?」
o川*゚―゚)o「あんたは確かにクイズ強いけど、髪はボサボサだし服はダサいし、顔は……うん、ごめん」
言われた本人の表情と胸中が曇る。少し泣きそう。
('A`;)「何が言いたいんだ?」
o川*-へ-)o「うん、なんていうか。テレビとか生放送とか関係なしにさ」
o川*゚ー゚)o「本気でかかってきてよ、あたし今、結構たのしいんだからさ」
- 212 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:46:27 ID:8zwHOJIUO
- ('A` )(……)
川 ゚ -゚)「私もそう思う。君は醜い」
('A`)グハッ
川 ゚ -゚)「だが、これくらい離れた距離ならばクイズで対戦するのも悪くはない。それに……いや、なんでもない」
腕組みをして発する冷ややかな言葉は最後まで紡がれなかったが、言いたいことはわかった。曇りが晴れていく。
- 213 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:47:17 ID:8zwHOJIUO
- ノハ*゚⊿゚)「私もそうだ!スーパードックン、全力でこいよ!スナオシスターズが相手してるんだ、手加減なんてするんじゃない!」
ヒートが右手を突き出し、手のひらを上をして指で挑発する。クールが冷めた表情で促す。キュートは本心を飾らずにいう。
(*-@∀@)「これは感動的!トップアイドルたる者、相手の気持ちを考え、自分の気持ちを伝える!それは現代人が忘れていった、まさに素直さというべきか!」
- 214 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:47:58 ID:8zwHOJIUO
- ここはスタジオ。生放送。逃げ場もなければ隠れるところもない。しかし、なぜだろうか今まで生きてきたどの場所よりも心地が良い。ドクオの声が静まる出演者たちに向けて放たれた。
('A`)「俺はアイドルが嫌いだ」
('A`)「特徴のない衣装に、同じような顔。どうでもいいノリ」
(>A<)「それが大嫌いだ」
('A` )「だけど、まぁ……あんたらを見てると」
( ∀ )「そうでもねぇのかなと思い始めた」
川 ゚ ー゚)
ノパー゚)
o川*^ー^)o
('A`)「いくぜ、スナオシスターズ。時代錯誤のあんたらに、俺が『クイズ』を教えてやる」
- 215 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:49:20 ID:8zwHOJIUO
- 晴れ渡った彼の心中。再びまみえる変わった美女達と、牙のない孤独な野獣。誰も勝負を諦めていない。
(*-@∀@)「盛り上がってまいりました!では、しぃさん!問題をお願いします!」
('∀`;)(つっても……どうするよ、この状況。あー、誰か助けて)
もっとも、勝ち目が薄いことに変わりないが。
- 216 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:50:03 ID:8zwHOJIUO
- 〜〜〜
言及はしないが、追求はする。確信にも似た考えを得たデミタスはトイレに入らず、出演者の控え室に向かっていた。競歩のスピードに近い。
(´・_ゝ・`)(やはりプロデューサーが仕組んでいる)
(´・_ゝ・`)(一人称が俺から僕にかわるとき、いつも彼は何かを隠しているはずだ)
(´ -_ゝ- `)(おそらくは手動式の切り替え装置。どこかに持っているのか……?)
(;´・_ゝ・`)(いや……持っていようがいまいが、うかつに手を出せない)
- 217 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:50:53 ID:8zwHOJIUO
- 仮説が正しいとして解決には至らない。切り替えて、決定的な方法を模索する。
(#´・_ゝ・`)(仕方ない、別のアプローチを考えなければ)
ふと、目に入ってきた文字を確認するために歩みを止めた。《全日本VIPクイズ選手権 宇都宮ドクオ様》と書かれた下に、控え室と続けられている。
(´・_ゝ・`)(これは……スーパードックンの控え室。宇都宮……ドクオというのか)
- 218 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:51:37 ID:8zwHOJIUO
- デミタスは二回、ノックをする。誰も入っていないのはわかるが、癖なのだろう。数秒待ってからドアノブをまわし、鍵がかかっていないことに疑問を抱きながら中へ入った。勝手知ったる普通の楽屋。他と比べ、特別なものはなにもない。
(´・_ゝ・`)(ん……なぜこんなところにハンディカムが?)
机にあるビデオカメラに注目した彼は、おもむろにそれを持ち操作する。
(´・_ゝ・`)(再生できる映像は……なにもないな)
期待した分、反動は大きい。ため息をつきながら、机に戻そうとするが、念のためにともう一度手に取る。今度はスパナマークの設定画面を弄り始めた。
- 219 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:52:06 ID:8zwHOJIUO
- (´・_ゝ・`)(……SDカードと本体の同時記録設定)
電源を落とし、電源蓋を開けSDカード──サンディスクのクラス10 UHS-I 64GB──を取り出す。金と黒のそれを机においてもう一度再生画面を開いた。
��(;´・_ゝ・`)「こ、これは!?」
機械から流れてくるドクオと、自身がよく知っている関係者の声が、喧騒のあった部屋の時間を巻き戻していた。
スーパードックンのようです
第九話おわり!
- 220 :名も無きAAのようです:2013/04/16(火) 23:55:00 ID:Uv/KCOok0
- 乙
- 221 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 00:00:15 ID:dwWPKWT2O
- いつも読み返してはいますが、粗が多いなぁ……特に第五話なんか訂正箇所が多すぎてひどい。改めて直します。
偏向な書き方ですが、お付き合いいただけると幸いです。
明日も夜からがんばりますね。
- 222 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 00:08:27 ID:/bipx02k0
- おつおつ
- 223 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 03:30:34 ID:kW2JNw3.0
- 一気に読んだけどめっちゃ面白い!
処女作?
がんばってね!!!
- 224 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 12:33:39 ID:lmJ9C7DM0
- 期待しております
- 225 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:33:34 ID:dwWPKWT2O
- 処女作です。なかなかうまく書けませんが、がんばります。
面白い、期待などの言葉にこれほど勇気をつけられるとは、やはり恐るべ……
夜なのでやってきますか!
- 226 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:35:15 ID:dwWPKWT2O
- 会議室は円卓の木製机が中央にあり、片方の壁面にスクリーンがある。窓はブラインドが締め切られており、通路側のドアは二つとも重厚な扉となっている。
数週間前、重役会議にて今回の生放送である全日本VIPクイズ選手権の概要が決まった。発案は昔クイズ番組が好きだった役員の一人。プロデューサーは飛ぶ鳥を落とす勢いである内藤。そしてそれを通すよう裏で根回しをしていた者がいる。
チーフディレクター盛岡。あだ名はデミタス。内藤の右腕であり、最も彼を疑っているその人である。
国立大学を卒業した彼はVIPテレビに就職。若くして勤勉さが買われ、同期を残して出世。苦労に見合った分、その実力と地位は確かなものとなっていく。それは敏腕で鳴らしていた内藤の助力もあり、二人は名コンビとして毎日を乗り越えていった。
- 227 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:36:28 ID:dwWPKWT2O
- きっかけは、日々の蓄積。近づけば近づくほどに内藤の実績に関して不信感が募る。領収書の水増し、様々な大御所への賄賂、不可能に近いロケを非合法な方法でやりぬく。それらは当然、許されるべきではない。少なくとも一般社会では。
何度も具申してきた。上司に通用しなければその上の人間に、またその上の人間に。しかし、暖簾に腕押し。すでに彼は局の人間として無くてはならない存在になっており、多少の不作為は目こぼしされる状況になっていた。
とはいえ第三の機関に申告すれば少なからず自身の身も危ない。正義感と保身が彼の言動を皮肉にも保っていた。
(;´・_ゝ・`)(これは……!?)
(´・_ゝ・`)「……吹木、聞こえるか。盛岡だ。今から言うとおりに行動してくれ」
正すことを好み、傷つくことを嫌う。中途半端なヒーローごっこ。そんな彼が発見したまぎれもない証拠。流れる二人の声は真相を示し、彼のバランスが崩壊しようとしていた。
スーパードックンのようです
第十話はじまるよ!
- 228 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:38:19 ID:dwWPKWT2O
- 〜〜〜
(*゚ー゚)「また正解!5対8!スナオシスターズが大幅にリードを広げます!」
啖呵をきったドクオは憔悴していた。手加減しないのは相手も同じ。実際はしないのではなくできないのだが。
('A`)(さすがに、ここまでかな……)
(-@∀@)「……えー、はい、ではしぃさん。問題をお願いします」
(*゚ー゚)「はい、問題です!」
一瞬、アサピーが目配せをし、書類を入れ替える。何事もなかったようにしぃは問題を読み上げた。
(*゚ー゚)「アミラーゼの一種であるジアスターゼを抽出しタカジアスターゼを発明した人物の名前と出身国はなんでしょう?」
- 229 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:39:07 ID:dwWPKWT2O
- ノパ⊿゚)(……わ、わからない……)(゚- ゚ 川
沈黙がスタジオを包む。出題されるレベルが上がったようだ。
('A` )(あれ、あいつらわからないのか……高峰譲吉くらいわかるもんだと思うが。日本人なのに)
ピンポーン
o川*゚ー゚)o「た、貴乃花!」
(*゚ぺ)「残念、不正解です!」
的外れの答えにドクオは苦笑するが閃く。
('A`)(貴乃花て……待てよ、これ解答権が俺にくるんじゃ……)
- 230 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:39:55 ID:dwWPKWT2O
- (*゚ー゚)「スーパードックンはボタンを押されていませんね……それでは次の問題です!」
('∀`)(ですよねー、あー押しても反応しなきゃ意味ねぇのな)
惰性ながらボタンを連打し続ける。現状を打開するより、なぜ問題が急に難しくなったのかが気になった。プギャーを見ると文字が書かれたスケッチブックを司会の方向に見せていた。
( ^Д^)つ『最上級問題を出してください』
合点がいった。まだ終わってはいない。何らかの指示で対戦が延びているのだ。
('A`)(プギャーか……誰の指示か知らないがありがたい。もうちょっと粘ってみますか)
- 231 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:41:00 ID:dwWPKWT2O
- 〜〜〜
勢いよく放たれたドアにつーが驚く。少し崩れたスーツとネクタイ。
(; ^ω^)「ど、どうしたおデミタス。そんなにあわてて」
呼吸を整えて内藤を呼び出す。
(´・_ゝ・`)「プロデューサー、こちらに」
つーを含む他のスタッフ達を無視して、デミタス達はまた通路に出た。
( ^ω^)「なんだお。うんこが間に合わなかったのかお?」
おどける彼に向けて、デミタスは手に持っていたビデオカメラの再生ボタンを押す。本体に記録されていた内容が通路に――音量は低く設定してある――響く。
- 232 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:41:48 ID:dwWPKWT2O
- (´・_ゝ・`)「これを見てください」
( ^ω^)「……!」
(; ^ω^)(しまった……SDの記録は消去したけど、あせって本体の記録を消し忘れていたんだお)
人間が最も失敗しやすい場面。それは落ち着いた時である。時間制限のある難題をクリアし、安堵した内藤に、HDDに記録された映像を消去することは思いつかなかった。
(´・_ゝ・`)「どういうことですか、これは?スーパー……いえ、宇都宮ドクオは出演を拒否しているように見えますが」
- 233 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:42:34 ID:dwWPKWT2O
- それでも笑顔は変わらない。
( ^ω^)「どうもこうもないお、デミタス。俺は彼を説得した。納得した。そしてテレビに出ている」
今までもこれからも。
( ^ω^)「それ以上でもそれ以下でもないお?」
(#´・_ゝ・`)「しかし、明らかに無理があります。これだけ頑なに出演を拒んでいるのに出ているのはあなたが無理やり……」
( `"ω' )「盛岡」
それは変わらないはずだった。
(;´・_ゝ・`)「!」
- 234 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:43:22 ID:dwWPKWT2O
- 彼は初めて内藤の顔を見た気がした。まぎれもない怒り。あっという間に元通りになるそれが頭から離れない。
( ^ω^)「お前は優秀だ。ならわかるだろう?我々にとって一番重要なものはなにか」
(´・_ゝ・`)「……」
( ^ω^)「数字だお、数字。過程はともかく結果がよければ問題ない」
何も言い返さないデミタスに、やはり彼も寂しい背中を向ける。
( ^ω^)「話は終わりだおね。このままスナオシスターズが勝てば彼は舞台から去る。安定した数字と番組に戻るお」
(^ω^ )「この仕事が終わったら休みをとるといい。1週間、バカンスにでもいっておいでお。経費で落としてあげるお」
(;´ -_ゝ- `)「くっ……」
ようやく口を開いたが、出されたものは言葉にならず。内藤はサブに戻ろうとする。
- 235 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:44:19 ID:dwWPKWT2O
- (^ω^ *)「納得いかないようなら社長にでも言えばいいお。まぁ、忙しいからなかなかアポを取るのも難しいけどお」
ドアノブに手をかけ、何もなかったことにするその時だった。
(´・ω・`)「アポ?その必要はないよ」
( ゚ω゚)「!?」
(´ ゚_ゝ゚`)「!?」
現れたその男を見上げ、直立不動になる二人。
(´^ω^`)「内藤、盛岡。お疲れ。おみやげ持ってきたけど、たべる?ピエールエルメだよ」
- 236 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:48:30 ID:dwWPKWT2O
- 体格のよい、温和な話し方をする実年――五十から六十台を表す――を感じさせない男に対して、慇懃な態度になるのは必然。
(; ゚ω゚)「ど、どうして諸本社長がこちらに……」
ロマンスグレーの髪に、焼けた肌。シャツもネクタイも黒単色。ブラックスーツの太めのラペルが大柄な特徴を表している。しかし、それを高めのゴージラインやなめらかな肩、絞られたアームホールによって中和させることで、貫禄に余裕を持たせた典型的なナポリスーツと見受けられた。しょぼくれた顔が雨降り袖のもつソフトでカジュアルな印象とマッチしている。
(´・ω・`)「優勝賞品のあれ、渡すの僕がやることにしたんだ。ほら、よくあるだろ?」
(´・ω・`)「それより、立ち話もいいけど中に入ろう。みんなにも挨拶しないとね」
- 237 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:49:11 ID:dwWPKWT2O
- ノーブランドだが、マッケイ製法で作られた黒のモンクストラップシューズが小さく音をたてながらサブに入ろうするとき、デミタスが言う。
(;´・_ゝ・`)「しゃ、社長、折り入ってお話が……!」
(・ω・` )「いいって。だいたいテレビ見て状況わかったから」
紙袋を目線に上げながら、それに追従して三人は元の場所に戻った。
- 238 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:50:25 ID:dwWPKWT2O
- 〜〜〜
(; ^ω^)「こちらにいらっしゃるならご連絡をいただければお迎えに上がりましたのに」
つーに土産を渡し、一通りスタッフと会話をした後、隅にあるパーティションで仕切られた空間に三人は集まる。一つある椅子に諸本が座り、内藤と盛岡は横に並び立ったまま彼と対面している。
(´・ω・`)「いいよ、それより」
(´・ω・`)「内藤、出して」
声は聞き耳を立てても聞こえにくい程度に落とし、無造作に彼の前へ大きな手が出された。
( ^ω^)「は?」
- 239 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:51:10 ID:dwWPKWT2O
- (´・ω・`)「早く」
( ω )「……」
意味がわからないふりはできない。内藤はジーンズのポケットから小型のスイッチがついた機械を取り出すと、諸本の手に置く。
(´・ω・`)「まったく、こんなものを使って演出をしているとは」
二、三回ほどそれを操作してスーツの内ポケットにしまい、冷や汗を流す男を見た。
(´・ω・`)「度し難いな」
( ゚ω゚)ヒッ
機を見るに敏。
(;´・_ゝ・`)「社長、彼はそれ以外にも……」
(´・ω・`)「黙ってなさい」
- 240 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:51:47 ID:dwWPKWT2O
- しかし口を開くのは許されないとばかりに、威圧し続ける。
(´-ω-`)「君達は勘違いをしているようだね」
(・ω・ `)「正義感に固まっている割には下に落ちることを恐怖するチーフ」
(´ _ゝ `)「……」
( ´・ω・)「結果を残したいがばかりにあこぎな手法に走って、あげく目的を見失ったプロデューサー」
( ω )「……」
(´・ω・`)「大事なことはなんだい?白日の下に不正を正すことか?自分の思い通りになる番組を作ることか?」
(´・ω・`)「違う。数字をとることだ」
- 241 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:52:30 ID:dwWPKWT2O
- 優しい口調で辛辣な言葉を並べる諸本に、分かっているといいたげな表情を浮かべている内藤が割り込む。
(;; ^ω^)「そ、それなら私が……」
(´-ω-`)「盛岡、君に聞こうか。このままスーパードックンが負けてスナオシスターズが他の出演者と対戦するのと、彼が勝って優勝するかもしれない過程と、どちらのほうが面白いと思う?」
(´・_ゝ・`)「そ、それは……」
無視され、憤りを感じる間もない彼とは正反対に、チーフは問われる。答えは出ているが、言えない。
(´・ω・`)「素人同然の彼がどういうわけか善戦している。庶民はヒーローが好きだ。見た目は悪くとも、秘められた力で敵をなぎ倒す無類の豪傑」
(´・ω・`)「内藤。水戸のご老公は視聴率が良いだろう?」
(´・ω・`)「視聴者は、それを求めている」
- 242 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:53:25 ID:dwWPKWT2O
- (; ^ω^)「……」
(;´・_ゝ・`)「……」
会話が終わり、張り詰めた空気は緩んでいく。諸本は立ち上がった。
(´・ω・`)「邪魔したね。私は別室にてスタッフと打ち合わせをしてくるよ」
通常の話し方に戻った彼は、やはりスタッフに労いの言葉をかけながらドアへと進む。途中、立ち止まり喋りだした。
(´・ω・`)「あと、最後に出てくる対戦者だけど僕の知り合いに変更したから」
(;´・_ゝ・`)「なっ、どういうことですか!」
(´・ω・`)「まぁ色々とね。出演するはずだった山崎くんには話をつけておいたから安心して」
『スナオシスターズ!また不正解!問題が難しいのでしょうか!?なかなかポイントを取れません!』
(´^ω^`)「じゃあね。二人ともよろしく頼むよ」
- 243 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:53:55 ID:dwWPKWT2O
- 諸本は手を振りながら体を少し屈めて退室した。社長が来たことで騒つく室内に二人は取り残されたように呟く。
(´・_ゝ・`)「プロデューサー……」
(; ^ω^)「盛岡……ちょっと席を外すお」
(;´・_ゝ・`)「どちらに」
( ^ω^)「うんこだお、うんこ」
少し遅れて返答しながら、内藤も通路へと出ていく。その微笑みはどんな感情が込められていたのか。他人の事を考えられる余裕はない。
- 244 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:54:50 ID:dwWPKWT2O
- (´・_ゝ・`)(結局、私は……なにも変えられないのか?)
完膚なきまでに自身の弱いところを叱咤された彼は自問自答する。答えなどない。考えるのも億劫になる。
『おっと!?ここにきて、スーパードックンが解答する!!』
最初は、上司の思惑を正したかったから。今は、その思惑で潰れる哀れな姿を見たくないから。だから、モニターに映る冴えない男を見つめて。
(´ -_ゝ- `)(いや、いい。もうそれはどうでもいい。少なくとも、今は)
『せ、正解です!』
せめて、バランスが崩れ、リセットされた気持ちでいられるなら。
『6対8!これはすごい!難しい問題をたやすく解くその様はまさに』
(´ ^_ゝ^ `)(スーパーな彼を見届けたい)
『スーパードックンの名の通りだぁ!!』
デミタスは、笑う。
- 245 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:56:16 ID:dwWPKWT2O
- 〜〜〜
('A`;)(おお、ボタンが反応した)
諸本の行動により、ボタンは正常に戻る。それに加えて、難問が続くことによりキュートの連打に迷いが生まれていた。問題を外せば晒される。自分はいいが他の二人が迷惑する。実際、顔が恐い。
('A`)(なんだろ、ほんとに内藤だったのか?まぁなんにせよ)
ピンポーン
('A`)「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応」
(*^ー^)「正解です!」
(#'A`)(ここが鍔際か)
- 246 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:57:01 ID:dwWPKWT2O
- 希望が見える。体勢を整えて問題を待つ。アサピーが促した。
(*゚ー゚)「問題です!クレジットカード発行後の会員の信用度合いを測定するために用いられるスコアリングはなんというでしょう」
ピンポーン
('A`)「ビヘイビアスコアリング」
(*^ー^)「正解です!」
o川*;゚ー゚)o(うわっ、マジで本気だしてきた。どうしよ、どうしよ……押しても問題が……)
キュートは横目で二人を見やる。動揺が表情から消えない。
ノハ;゚⊿゚)(今までの出題は特に偏ってはいないし、スポーツに関するものもいくつか出てきた)
ノパ⊿゚)(でも……クール姉さんですら追いつけないその力はいったいなんだ……!!)
- 247 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:58:00 ID:dwWPKWT2O
- ピンポーン
('A`)「1969年、夏。コクサッキーA24変異株」
(*^ー^)「正解です!」
川; ゚ -゚)(バカな……!?こんな問題、出すほうもおかしいが答えられるのもおかしい!)
川 ゚ -゚)(私とて専門の分野を持っているし、それ以外の分野でもそれなりの自信はある)
川; ゚ -゚)(まさか……奴は、姉さんと、同じ……)
川; ゚ -゚)(アスペルガー症候群だというのか!?)
- 248 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:58:48 ID:dwWPKWT2O
- (*-@∀@)「9対8!こうなることを誰が予想した!?逆転に続く逆転は最終問題となるか!?しぃ、問題だぁ!!」
(*;゚ー゚)「も、問題です」
(*゚ー゚)「古代から中世にかけて東南アジアなどで用いられた梵語とも呼ばれる言語はなんでしょう?」
ピンポーン
<ゴニョゴニョ o川;*゚ー゚)o「サ、サンスクリット語」
(*^ー^)「正解です!」
かろうじて正解する三人に油断も余裕もない。負けたくない。それは各々、理由が違えど共通していること。
川 - -)(私とて……負けるわけにはいかない……!姉さんに、シュール姉さんに会うまでは!)
誰も知らない決意を胸に秘めた彼女の顔を、勝利への執着心と捉えたアサピーが盛り上げる。
- 249 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 22:59:45 ID:dwWPKWT2O
- (#-@∀@)「まだ、最後にはならず!!そしてついに並んだ!!9対9、もう後にはひけない!」
(*-@∀@)「その姿は出不精ではなかった!甘いものが好きなら間違いなくあの名探偵といえるほどの知識!スーパードックン!」
(*-@∀@)「クイズの世界でもトップアイドル!芸能界一の実力を持つ!スナオシスターズ!」
(#-@μ@)「勝つのはどっちだ!?さぁ!問題はよ!!」
(゚ー゚#)「はいはい、問題です」
この時、しぃは度重なるアサピーの言動に辟易していた。本来読み上げるべき難しい問題ではなく、ともすれば誰にでも解けそうな問題をあくまで淡々と読み上げてしまったのだ。
- 250 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 23:01:08 ID:dwWPKWT2O
- (#゚ー゚)「《奇特な人》の正しい意味はなんでしょう?」
ピンポーン
�徉�; ゚ -゚)
��ノハ;゚⊿゚)
��( ゚A゚)
o川* ー )o
o川*゚ー゚)o「うふふ、スーパードックン。これはあたしの勝ちね」
- 251 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 23:03:10 ID:dwWPKWT2O
- o川*-ー-)o「あんまり最後の問題にはふさわしくないけどさ……いいもん、あたしは所詮、奇特な人だよ」
o川*゚∀゚)o「答えは変わった人!変人!でしょ!」
(*゚ぺ)「残念!不正解です!」
o川*゚∀゚)o
o川*゚∀゚)o
o川*゚∀゚)o エッ
ピンポーン
('A`)「はぁ……まったく、確かにあんたらは奇特だよ。沈魚落雁、閉月羞花でもあるが」
o川*;゚∀゚)o チンギンラクダ? ヘイジツシュッカ?
(*-A-)「……答えは心がけが良く、健気な人を褒めるに値するさまのこと。特にキュートみたいな奴な」
(*^ー^)「正解です!10対9!接戦を制したのは……」
川 ー )
ノハ-⊿゚)
o川*。>皿<)o
(*-@∀@)「スーパードックンだ!!おめでとう!二回戦突破だぁあああ!」
(*-A-)ケッ
負けてもなお、その美しさは花も恥じらうアイドル達。後にドクオの言ったことわざの意味を二人に聞いたキュートは顔を真っ赤にした。
スーパードックンのようです
第十話おわり!
- 252 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 23:05:07 ID:KIh1qiXs0
- 主人公がニートという事を忘れそうなくらい面白い
乙
- 253 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 23:07:15 ID:dwWPKWT2O
- 投下する度に誤字が増える……
至急、訂正とNGシーンの執筆に入らねば!
本編は近いうちにがんばります。
- 254 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 23:14:55 ID:ite.f/Fw0
- こんなに問題思い付くのもすげぇな
- 255 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 23:15:30 ID:dwWPKWT2O
- >>252
見ていただき、ありがとうございます。
彼は特別なニートなのです。でも弱点があります。決して設定を忘れていたわけではありません。
- 256 :名も無きAAのようです:2013/04/17(水) 23:18:34 ID:dwWPKWT2O
- >>254
お気づきの通り、私には先生がいますのでご安心ください。
色々と注意して問題を選んでいますが、よろしくないことがあれば教えていただけると助かります。
- 257 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:06:10 ID:mdwTmh3I0
- おつおつ!
- 258 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:32:59 ID:Fmz0fCIQO
- おいっ、先生いるのか素晴らしいリア友だな
- 259 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:36:08 ID:VbN775.s0
- 乙
毎晩すげーな
- 260 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:46:36 ID:z7jWZbz.O
- 書けた!失礼しますね。
スーパードックン NGシーン
はじまるよ!
第八話↑訂正よりこっちを先にやってしまう自分が情けない
青いフード付のパーカーは、フード部分が特殊なつくりになっており、被ると透き通った白い顔が出てくる。洗面器が入るほど口は大きくないし、ヒゲもないが、ともすれば顔の造詣の良さからロボットに見えてもおかしくはない。
真っ白のエプロンとシャツはパーカーを邪魔しないように調整されており、シャツをうまく袖口から出してこぶしを握っている。赤いチョーカーはアクセント。
鈴こそつけていないものの、赤いテールアクセサリーを見えないところにつけていることから、擬似的だがおそらく声が太そうなところが大山のぶ代時代──クラシカルドラ○もん──と言っても過言ではない。
左右対称性である顔と、凛とした立ち振る舞いから、昨今の流行である四次元要素が少ないのにもかかわらず高評価を得ている。
川 ゚ -゚)(……ふむ)
- 261 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:47:20 ID:z7jWZbz.O
- ヒートは全体が青く、黄色のボタンが両肩辺りに大きめに入ったスポーティなサロペットと赤いカットソーを着こなしている。
こちらも両手にしている白い手袋や、見た目のほとんどが青であることから一見猫型ロボットに思えるが、どっしりとした大きな鼻、それを隠すような長いヒゲと、下手に頭を強調せず、赤い帽子を被り、主に耳の上付近の骨のくぼみからさりげなく見える──モミアゲ──。
それらが何よりも美しいアクセサリーと見紛うことから、決して下品ではない色気をもったイタリア系アメリカ人。クーとは違った人気を得ていた。マンマミーア!
ノパ⊿゚)(くっ……)
- 262 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:48:28 ID:z7jWZbz.O
- そして最も人気の三人目。何の変哲もないダンボールを被り、両手両足を出せども中肉中背。
ダンボールと同色のダンボールをはいているが、台で見えず、両隣と比べればダンボール。もちろん役割はダンボールを押すだけ。
ダンボールを食べ、ダンボールで泣き、ダンボールに笑い、ダンボールが怒る。そんなどこにでもいるようなダンボールが、御伽噺のようにどうしてここに立っていて、一番の支持を得ているのか。
(*^ー^)「スーパードックン!また正解!これで5対0です!」
o川*;μ;)o「ぶえぇぇん!なんで私だけガ○ダムなのよ!」
それはダンボールに書かれたキュートという文字が、魔法をかけずにダンボールを被ったから。有体に言えばダンボールである。
おわり
- 263 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:49:33 ID:.mtB85qk0
- ダンボールばっかじゃねえか!
- 264 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:51:07 ID:z7jWZbz.O
- 第九話↓AA技術を磨こう。
('A`)「俺はアイドルが嫌いだ」
('A`)「特徴のない衣装に、同じような顔。どうでもいいノリ」
(>A<)「それが大嫌いだ」
('A` )「だけど、まぁ……あんたらを見てると」
( ∀ )「そうでもねぇのかなと思い始めた」
ピキ川# ゚ ー゚)
ピキノハ#゚ー゚)
ピキo川#^ー^)o
('A`)「いくぜ、スナオシスターズ。時代錯誤のあんたらに、俺が『クイズ』を教えてや……る?」
ツカツカ 川 ゚ ー゚)
ツカツカ ノパー゚)
テクテク o川*^ー^)o
('A`)「え、どしたのみんな怖い顔して近づいて」
('A`)「なんだろ、なんかデジャブだなぁあはははうぅわぁぁぁ」
『しばらくお待ちください』
おわり
- 265 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:52:09 ID:z7jWZbz.O
- 第十話↓本当はこっちを使うつもりだった。無理だった。
(*゚ー゚)「《姥桜》の正しい意味はなんでしょう?」
ピンポーン
�徉�; ゚ -゚)
��ノハ;゚⊿゚)
��( ゚A゚)
o川* ー )o
o川*゚ー゚)o「うふふ、スーパードックン。これはあたしの勝ちね」
- 266 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:53:10 ID:z7jWZbz.O
- o川*-ー-)o「あんまり最後の問題にはふさわしくないけどさ……いいもん、あたしは所詮、全盛期の過ぎた女だよ」
o川*゚∀゚)o「答えは年甲斐もなく若作りする人!でしょ!」
(*゚ぺ)「残念!不正解です!」
o川*゚∀゚)o
o川*゚∀゚)o
o川*゚∀゚)o エッ
ピンポーン
('A`)「はぁ……まったく、確かにあんたらは姥桜だよ。うぐいす泣かせたこともあるか」
o川*;゚∀゚)o ウグイスナカセタコトナイヨ?
(*-A-)「……答えは女盛りを過ぎた女性をほめるときに使う言葉。特にキュートみたいな奴な」
(*^ー^)「残念!不正解です!」
- 267 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 00:54:41 ID:z7jWZbz.O
- (*-A-)
('A`;)「は?いや、あってるだろ?」
(*゚ー゚)「彼女たちは二十代です。女盛りは過ぎてません」
('A`;)「いやいや、問題の趣旨からして答えは間違っていな」
(#゚ー゚)「過ぎてません」←二十代後半
ゴゴゴゴ (*゚ー゚)
ツカツカ 川 ゚ ー゚)
ツカツカ ノパー゚)
テクテク o川*^ー^)o
('A`)「あれ、ああ、はいはい、こういう展開な。うんわかあああああああああ」
『しばらくお待ちください』
おわり
- 268 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 01:03:35 ID:z7jWZbz.O
- NGシーンはミスも含めてNGです。言い訳。
>>258
だいたいのことは教えてくれます。ときどき、「もしかして」と選択肢を出してくれます。素晴らしい。
>>259
ありがとうございます。可能な限り早く書いてます。遅くなるときはごめんなさい。
>>263
ちょっと足りなかったよな……
それでは皆さん、おやすみなさい。
- 269 :名も無きAAのようです:2013/04/18(木) 01:09:13 ID:.mtB85qk0
- こういう小ネタNG集みたいなの含めてこのスレ好き
頑張れ>>1
- 270 :名も無きAAのようです:2013/04/19(金) 21:57:55 ID:TmLddFtMO
- >>269
ありがとうございます。小ネタを考えているときが一番楽しいかもしれません。
さて、本編ですがようやく人心地ついたので明日の夜までに書き、投下します。遅れたらごめんなさい。
ここからは私的な呟きですが、無限の住人が最終巻でていたこと、ゼルダの伝説 神々のトライフォース2が発表されたこと……とても複雑な気分です。表現しがたい。
- 271 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:01:20 ID:I/ntd5/oO
- 『スーパードックン、二回戦突破!すごいぞー!』
lw´ ノv「へぇ……」
辺りは暗く、人影はロッキングチェアらしきものに座っている以外わからない。唯一の光源はテレビから放たれるそれ。
lw´ ノv「やるなぁ、コシヒカリみたいだ」
揺れる椅子がリズムを刻むように、言葉が紡がれていく。
lw´ ノv「すくすく育ったコシヒカリ。会いたいなぁ、会えるかなぁ」
そのささやかな言葉は、光から生まれる音によって消された。
- 272 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:03:58 ID:I/ntd5/oO
- 〜〜〜
例のごとく準備のためにVTRが流れ、途中に挟まれたニュースが午後9時を伝えている頃、アイドル達はドクオと話をしていた。
川 ゚ -゚)「スーパードックン、おめでとう。君は醜いがすごいな。醜いが」
少し離れた位置から声をかける。
('A`)(素直に喜べない)
ノハ^⊿^)「しっかしとんでもねぇ奴だな!私たち相手に勝っちゃうなんてさ!なんか特別な訓練でもしてたのか?」
対して、ヒートは負けたことなど露ほどにもかけず、話し掛けている。性格の違い。
- 273 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:04:34 ID:I/ntd5/oO
- (*'A`)「あ、あんたらだって強いじゃねぇか。まぁ、俺は本とか好きだからそれで……」
美人二人を相手に、照れながらドクオは頭を掻こうとしたが、今度こそさすがに気が引けたのであろう、行き場をなくした両手を、汚れ、ほつれたジャージのポケットにいれた。
o川*゚ー゚)o オオリャ!!
��(゚A゚) ゴホッ
健闘むなしく。いつの間にかいなくなっていたキュート――あわただしい動きに紛れながら様子をうかがっていた――の飛び蹴りが、彼を横から吹き飛ばした。両手が使えなかったためか、やはり床は汚れる。
- 274 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:05:07 ID:I/ntd5/oO
- o川*`ー')o「やい、スーパードックン!ニヤニヤすんな!」
立ち上がってくるドクオを、手を腰に当てて睨み付ける彼女。全身を払いながら返す。
('A`#)「よう、ボタン係。あんたのボタン押しもなかなかだったぜ」
o川*`ー')o
o川*゚ー゚)o
o川*。゚ー゚)oウルウル
- 275 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:05:54 ID:I/ntd5/oO
- ('A`;)「じょ、冗談だよ。最後の問題は焦ったから、キュートすごかったから、すごかったから」
o川*。゚ー゚)o サイゴノ モンダイ?
o川*゚ー゚)o。о〇{特にキュートみたいな奴な}
o川*////)o ボン!
真っ赤になった顔を隠して、高速で出口であるドアへと走り、扉を閉める。ヒートは、こういうときのキュートと自分、どちらが速いのだろうと不毛な考えをしながら彼女を追った。
('A`)「おーい、どこ行くんだよ……ったく」
- 276 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:06:39 ID:I/ntd5/oO
- 返事のない質問をし終えた彼にクーが問い掛ける。先ほどまでの和やかな雰囲気ではなく、真剣。
川 ゚ -゚)「スーパードックン、聞きたいことがある」
('A`)「ん?」
川 ゚ -゚)「不快に感じたらすまない。君はアスペルガー症候群か?」
一瞬、曇る。すぐに戻る。
('A`)「え、ああ……いや、違う。俺はサヴァン症候群ってやつらしい」
川; ゚ -゚)(サヴァン症候群……!?なるほど、確かに……いや、にしては)
('A`)「あんたなら知ってるだろうし、おかしな点があることもわかってるんだろうけど」
(-A-)「悪いが、その話なら勘弁してくれ」
- 277 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:08:04 ID:I/ntd5/oO
- 出会って間もないが、ドクオという人間が言い切る言動をとるときは、本心なのだろう。軽く頭を下げる。
川 ゚ -゚)「……失礼した。君なら姉のことを知っているかと思ったが」
('A`)「姉?」
川 ゚ -゚)「シュールという名前……正確にはニックネームだ」
目が見開かれた。驚愕。
( ゚A゚)「シュ、シュール!?」
川; ゚ -゚)「知っているのか!?」
- 278 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:08:42 ID:I/ntd5/oO
- (;'A`)「あ、ああ……本で、な」
歯切れの悪さは知っているのが相対してではなく、紙からだったからか、ドクオの顔は暗い。伝染してクールも同様。
川 ゚ -゚)「そうか、確かに姉さんなら載っているからな……」
川 - -)「……会えると思ったんだが、優勝を逃した時点でそれもなくなった……」
('A`)「優勝とシュールと、何か関係でもあるのか?」
川 ゚ -゚)「おや、聞いていなかったのか?優勝すると賞品がもらえるんだぞ」
- 279 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:09:12 ID:I/ntd5/oO
- 事実、スーパードックンとして登場する直前、出演者の紹介と優勝することによる賞品についての説明はされていた。またもや驚愕。
('∀`;)「ま、マジか!?なんだ、金か、車か、海外旅行か?」
川 ゚ ー゚)「そうじゃない。いいか、賞品は……」
はやる気持ちを抑えていたが、無慈悲にも声が響いた。
////)oコソコソ ノパ⊿゚)「クー姉!早く行こう!!」
(゚- ゚ 川「悪い、今行く!」
元気の良いヒートの声が、クーの了承で返される。
川 ゚ -゚)「ではな、スーパードックン。もし姉に会ったらよろしく言っておいてくれ」
- 280 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:09:59 ID:I/ntd5/oO
- ('∀` )「あ、あの……賞品は……」
聞けずじまい。気にはなるが、それどころではない。
('A`)「……行っちまったか。それより……」
腕組みをする必要も、何も気にせず頭を掻く必要も、彼にはあった。
('A`)「シュール……素直、柊。珍しい名字だからまさかとは思ったが」
記憶していることに、サヴァン症候群は関係ない。同じ条件であればおよそ、誰にでも可能な簡単な話。
( ゚A゚)「知ってるもなにも、元カノじゃねぇか!」
ゆらりと揺れるロッキングチェアを彼は知らない。
スーパードックンのようです
第十一話は明日はじまるよ!
本当にごめんよ!
- 281 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:16:07 ID:js4oQ63s0
- おつ!
ていうかそういう関係なのか!
- 282 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:16:54 ID:I/ntd5/oO
- >>67さんにせっかく教えてもらったのにぬかるとは……申し訳ない。
いい加減でごめんよ。本来、夜の予定でしたが、非常にバタバタしております。明日ならいけるか……書くぞ!
とりあえず、眠ります。おやすみなさい。
- 283 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:19:26 ID:I/ntd5/oO
- >>281
おぉ……ちょっとしか投下してないに関わらず読んでいただけるとは、ありがとうございます。
ドックンとシュールは、チョメチョメです。
- 284 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 01:33:42 ID:LUd2cqsAO
- 楽しみにしてるんだから、完結させてくれよ
- 285 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 09:29:57 ID:1qefcLJ20
- きてたー
乙
- 286 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:38:44 ID:I/ntd5/oO
- 打ち切りはまずないですね。ただ、時間がかかってしまうのでなるべくがんばります!
それでは、短いですが。
- 287 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:39:43 ID:I/ntd5/oO
- ('A`;)「あいつらの姉だとは……」
指をとんとん、足をカツカツ。一人演奏会。
('A`)「あーどうしよ、なんか絶対言うだろな。あいつ、スーパードックンとかアホみたいな名前でテレビ出てるんだぜとか言うんだろな」
('A`)「ん、テレビ……」
(゚A゚)「見てるんじゃねえだろうなこの番組!?」
(;;'A`)アワアワ
(; ^Д^)「ドクオさん、おつか……なにしてるんですか?」
- 288 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:40:20 ID:I/ntd5/oO
- VIPテレビに来ておそらく一番、口を開いたのが独り言。彼は今、ふとんにかぶさりながら大声をあげたい。黒歴史。そんな思春期の遺物におそるおそる声をかけたのはプギャーだった。
( A )「プギャー……俺はどうすればいい。死ぬしかないのか?」
すでに死にそうな顔をしたドクオは言う。
( ^Д^)(うわ……めんどくさそう)
(; ^Д^)「……ってそんな話はどうでもいいんですよ!」
- 289 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:41:07 ID:I/ntd5/oO
- とにかく切り替えねば。少し強い口調でプギャーは話すが、退かない。
(#'A`)「どうでもいいだと?ふざけるな、俺がどんな心境にいると」
(# ^Д^)「対戦相手が変わったんすよ!」
矢継ぎ早に繰り出された言葉に、目まぐるしく回転する頭脳は優先順位を変えた。
('A`)「対戦相手が変わった?」
( ^Д^)「インテリ芸人の山崎渉が急遽変更になったんです」
('A`)「ああ、あのピューピュー言うやつか、それで?誰に代わったんだ?」
- 290 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:41:44 ID:I/ntd5/oO
- ( ^Д^)「ええ、それがっすね……」
「俺に代わったんだよ」
若い声がしたので二人は振り返った。思ったより歳をとった顔つきだが、その端正さ、金髪のミディアムウルフヘアーが若づくりというほどではないファッショナブルな印象を受ける。
_
( ゚∀゚)「初めましてスーパードックン。イタリア生まれのイタリア育ち、ジョルジュ長岡だ。よろしく。」
- 291 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:42:37 ID:I/ntd5/oO
- 近づいて右手を差し出す。白のライダースをジッパーを閉めずに着用しているため、スタイリッシュなサイジングが、中に着ているタイトな黒い無地のカットソーを魅せている。ストレートのデニムパンツは裾をブーツインしており、腰に巻かれているベルトのバックル――D&Gのロゴ――が主張しているが、内藤と似たファッションにもかかわらず嫌な感じをさせない。
('A`)「あぁ、どうも初めまして……」
デニムパンツのポケットから自分の吸っているタバコと同じ銘柄が見えたドクオは、少し嬉しそうに応え、手を差し出すが、引っ込められたそれが空を切らせた。杉浦のようにはいかない。
_
( ゚∀゚)「っと、スーパードックンよりも宇都宮ドクオ君と言ったほうがいいかな?」
- 292 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:43:15 ID:I/ntd5/oO
- (;'A`)「な、なんで俺の名前を……」
_
( ゚∀゚)「マジシャンなんでね、本物の」
髪をかきあげるしぐさが妙に似合うその様子が、彼の言う特殊な職業を物語る。
('A`)「は?」
( ^Д^)ヒソヒソ「なんか対戦相手がマジシャンに代わったんすよ」
耳打ちするプギャーを見て、ため息を吐きながら、たしなめるように口を開いた。
_
( ゚∀゚)「疑ってるみたいだね〜そうだなぁ……君の着てるジャージ、私物で3日着ぱなっしでしょ」
ドクオに向かって、さも自分は知っているように指摘する。
('A`)(!?)
- 293 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:44:28 ID:I/ntd5/oO
- _
( ゚∀゚)「コンタクトもしてるね。目が相当悪いんだろ?」
( ^Д^)(なんすかこの男……見ただけで相手のことを見透かしてるみたいな)
二人の動揺を気にとめず、ジョルジュは続ける。まるで楽しそうに、次々と見ただけではわからないことを挙げていく。
_
( ゚∀゚)「あとね、足が臭い、口臭もきつい、鼻糞もたくさん、それと」
プギャーは一歩ひいた。生理的に不都合。
(;'∀`)「もうやめてくれ……」
短時間で精神に負担がかかっているのだろう、半笑いで呟いた。
_
( ^∀^)「ああ、ごめんごめん。マジシャンだからつい癖でね。それじゃ、本番に会おうか」
- 294 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:45:08 ID:I/ntd5/oO
- えりあしが背中の肩胛骨にかかるか、かからないか。見つめていた二人だが、そしりを受けたほうが編み上げブーツの音を止める。
('A`)「あー、ちょっと待ってくれ」
_
( ゚∀゚)「なんだい?サインなら後で……」
('A`)「あんた、イタリア育ちじゃないだろ」
振り替える。振り替えざるをえない。
('A`)「体裁よく取り繕ってるが、マジシャンってのも胡散臭いな」
- 295 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:45:50 ID:I/ntd5/oO
- _
( ゚∀゚)(ふーん……)
しかし、彼は何も言い返さず、男にしては長い髪を揺らして去っていった。
(#'A`)「ちっ……やな奴」
また返事のない問いが消えて、プギャーがようやく話し掛けてくる。聞きたいことだらけ。
(; ^Д^)「ド、ドクオさん!やっぱりあの人マジシャンっすよ!?」
('A`)「ありゃコールドリーディングだろ。誰にでも当てはまることや、推測で、さも知ってるような雰囲気を出す心理術だ」
- 296 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:47:31 ID:I/ntd5/oO
- ( ^Д^)「え、でも名前は……」
('A`)「そこは事前に調べた、としか考えられんな。予め、相手に対しての情報を掴んでおく、いわゆるホットリーディングってやつだ。まぁ内藤にでも聞いたんじゃね?」
( ^Д^)「へぇ〜……あ、じゃあドクオさんが言ったイタリア育ちじゃないってのはなんでっすか?」
(-A-)「ズボンのポケットにハイライトが入ってただろ?イタリアにハイライトは売ってねぇよ。帰国してすぐにそれを吸うとも思えねぇし。ま、推測だけど」
- 297 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:48:25 ID:I/ntd5/oO
- ( ^Д^)「あーなるほど。ホントなんでも知ってるんすねぇ」
(-A-)(本当は昔見たSPってドラマのワンシーンにそういう場面があったから気付いたんだけど、黙っとこう)
感心はすぐに終わる。インカムから伝えられた時間に余裕はなかった。
(; ^Д^)「あ、やべ!ドクオさん、本番始まるんで急いで準備しますね」
迫り来るその時に、ドクオは複雑な思いを抱きながら、準備のため棒立ちになった。
- 298 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:49:09 ID:I/ntd5/oO
- 〜〜〜
近くにはスーパードックンの対戦相手が通る幕。トリコロール――イタリア風に言えばトリコローレか――の絢爛な入口に二人。
(´・ω・`)「どうだった、宇都宮君は」
_
( ゚∀゚)「面白そうではあるかな。しくじったらごめんよ」
その会話から、上司と部下のような感覚ではなく、友人としてはよそよそしいような、枠にはめにくい関係がとれる。
- 299 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:50:03 ID:I/ntd5/oO
- (´・ω・`)「おいおい、頼むぞ。君に任せたからね」
_
( ゚∀゚)「分かってるって。失敗しないさ。俺は絶対に負けない」
(´・ω・`)「ああ、期待してるよ。そうそう、彼なんだけどさ……」
少し声を落とす。
_
( -∀-)「……ああ、そうだね。俺もそう思うし、視聴者でも気付いてる奴がいるんじゃないか?」
- 300 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:50:59 ID:I/ntd5/oO
- 奇しくもその内容は、確かにその通りだった。
(´・ω・`)「圧倒的知識を持った特殊な人間」
例えば経験と知識。
_
( ゚∀゚)「サヴァン症候群であるが故に……」
特殊な能力、多才な魅力。
lw´‐ _‐ノv「……大事な大事なコシヒカリ。だ、け、ど」
それらを持ち合わせた者が、宇都宮ドクオを語る言葉は一つ。
『弱い』
スーパードックンのようです
第十一話おわり!
- 301 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:52:40 ID:I/ntd5/oO
- いつも見てくれていらっしゃる方々、本当にありがとうございます。続きはまた明日、あさってかな。がんばるぞ!
- 302 :名も無きAAのようです:2013/04/21(日) 23:53:27 ID:1qefcLJ20
- がんばれ乙
- 303 :名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 22:38:12 ID:b2yfPaTwO
- 毎度ありがとうございます。
申し訳ない、今日は投下をすることが出来ません。
進捗状況は50%です。なるべく早く投下します。……がんばる!
- 304 :名も無きAAのようです:2013/04/23(火) 22:40:39 ID:QcDN1yrk0
- がんばれ!
- 305 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:08:35 ID:Hdztws3IO
- >>304
ありがとう。今からがんばるよ!
チャンスは今しかない。始めますね。
- 306 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:09:28 ID:Hdztws3IO
- 満天の星空とは稚拙な表現。しかし、頭上に広がる星々は、なるほど悪くないと思わせるほど輝いていた。明日は晴れ。
(´・_ゝ・`)y-~~「ふぅ……スーパードックンが勝った、か」
デミタスはいくつかある関係者入口の喫煙場所に来ていた。まもなく本番が始まるが、一服。
(´・_ゝ・`)y-~~(やっぱり私は、ただヒーローになりたかっただけなんだろう)
(´ -_ゝ- `)y-~~(質実剛健な、悪者を倒すカッコいい正義の味方)
(´・_ゝ・`)y-~~「なりたかったな……」
立ったまま紫煙をくゆらせながら、吐かれた煙は消え、言葉は届く。
( ^ω^)「何にだお?」
- 307 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:10:03 ID:Hdztws3IO
- 気配を感じなかった彼は驚いて灰をこぼした。スーツにかかったそれを払いながら口を開く。
(;´・_ゝ・`)y-~~「プ、プロデューサー……!タバコは吸わないのでは?」
黙って横に座る内藤は、懐からJPS――ボックスパック――を取り出し、使い込まれたデュポンのライター――ライン1――を手に持つ。
( ^ω^)「たまにはいいだろ」
風のない、静かな夜に独特の音が響く。横にこすって着火。しばらく静寂が漂う。
- 308 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:10:43 ID:Hdztws3IO
- (´ -_ゝ- `)y-~~「……どうするおつもりですか」
( ^ω^)y-~~「なにが」
(´・_ゝ・`)「社長にああ言われると、やりにくいのでは。色々と」
二人は、タバコを備え付けの灰皿に落とした。他の吸い殻はない。
( ^ω^)「ああ、それは問題ないお。別にクビになるわけじゃないし、数字さえとれば何も変わらない」
( ^ω^)「ただ……」
(´・_ゝ・`)「?」
- 309 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:11:24 ID:Hdztws3IO
- (^ω^ )「デミタス、お前も何かになりたいんだろうが、俺もちょっとなりたいものができたんだお」
二人はサブへと戻る。珍しく、プライベートな話で饒舌の内藤に、デミタスは耳を傾ける。
(´・_ゝ・`)「なんですか、それ」
(^ω^ )「勧善懲悪じゃない物語の」
(^ω^ )「悪の親玉だお」
彼は笑顔で言った。そんなものは本や映画、乱暴に言えば空想にもあまり出てこない。もし、比較したとして、それが最も適切な現われ方をするならば、それは現実だとデミタスは思った。
スーパードックンのようです
第十二話はじまるよ!
- 310 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:12:05 ID:Hdztws3IO
- (-@∀@)「さぁ!始まりました、三回戦目!この戦いを誰が予想できたか!!」
相も変わらず、高揚しているアサピーはマイクを強く握って対戦者を紹介する。
(-@∀@)「杉浦先生を破り、スナオシスターズをも退けた、とてつもない男!」
(-@∀@)「スーパードックン!!」
(*-@∀@)「では意気込みをどうぞ!」
('A`;)「は、え、あ、が、がんばるぞ!」
(#-@∀@)「はい、なんの面白みもないコメントをありがとうございました!」
- 311 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:15:31 ID:Hdztws3IO
- 飛んでいくつばをしぃが冷めた目で見つめる。察したのか、少し落ち着いた。
(-@∀@)「続いて……その甘いマスクを使って魔法をかける謎のイケメンマジシャン!」
(-@∀@)「ジョルジュ長岡!」
(-@∀@)「どうぞ、意気込みをお願いします!」
髪をかきあげ、大きな目をドクオに向けながら挑発する。
_
( -∀-)「スーパードックン、そのコメントはナンセンスだね。俺はこう言うよ」
_
( ゚∀゚)「絶対に負けない、とね」
('A`#)イラッ
(*゚―゚)ハウッ
- 312 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:16:16 ID:Hdztws3IO
- 突然、冷ややかな表情に赤みを帯びた彼女の心境をアサピーははき違える。テンション上がってきた。
(*-@μ@)「さぁ、まだまだ続く生放送!最後まで見逃せない一戦が始まります!時間の都合を忘れさせてくれ!!それではしぃさん、問題をお願いします!」
(*;゚ー゚)「は、はぁい、問題です!」
(*゚ー゚)「保険会社において、経営の健全性を測る指標のうち、保険金の支払余力を意味する比率のことをなんと言うでしょう?」
ピンポーン
('A`)「ソルベンシーマージン比率」
(*゚ー゚)チッ「正解です」
('A`)(今、舌打ちしやがった)
- 313 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:22:45 ID:Hdztws3IO
- さすがに、ここまでは想定通りなのだろう。司会も対戦相手も動揺せず、速やかに進んだ。
(*゚ー゚)「続いての問題です!」
(*゚ー゚)「医療用語で、オゼムと略される画像再構成法の正式名称はなんでしょう」
ピンポーン
('A`)「オーダーサブセット期待値最大化」
(*-ー-)ハァー「正解です」
('A`)(ため息つきやがった!)
('A` )(しかし……あんだけ大見得切った割には大したことねぇな)
('∀` )(……なにが貰えるか知らないが、ま、軽く優勝してカーチャンに何か買ってやるか!)
取らぬ狸の皮算用。涼しい顔をしているジョルジュに対して、ドクオは不敵な笑いを浮かべた。
- 314 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:23:46 ID:Hdztws3IO
- 〜〜〜
(´・ω・`)(サヴァン症候群の男……か)
(´・ω・`)(白髭さんの息子がいたとはね、驚きだったよ)
(´-ω-`)(まぁ……負けることはないだろう)
通路を歩き、立ち止まる。目の前にはサブの入口。考えを整理し、ドアを開けた。
(´・ω・`)「みんな、お疲れ様ー」
労いの言葉を受けながら、中央にいる二人のところまで進んで言う。
- 315 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:24:35 ID:Hdztws3IO
- (´^ω^`)「どうだい、内藤、盛岡。僕が用意したキャストは?」
(;´ ^_ゝ^ `)「はい、その……」
( ^ω^)「現在、ジョルジュ長岡が0ポイント、スーパードックンが2ポイントです」
いくら諸本が穏やかな人格とはいえ、トップの人間が用意した人物をそうそう無碍にできない。ためらったデミタスに反して、内藤はあっさりと言った。
(´^ω^`)「そうか、これからだね」
存外、気にしていないような雰囲気を感じたのか、つーも声をかける。
(*゚∀゚)「諸本社長〜!ジョルジュ長岡って何者なんですかぁ?」
- 316 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:25:30 ID:Hdztws3IO
- 背もたれに寄り掛かりながら尋ねる。ヒヤヒヤ。それも大して気にせず答える彼に、ようやくデミタスも会話に参加する。
(・ω・ `)「彼はマジシャンだよ」
(;´・_ゝ・`)「マ、マジシャン……ですか。そのようなそぶりは今のところ見受けられませんが……」
(´・ω・`)「そうだよ。彼は普通のマジシャンじゃない」
『スーパードックン、また正解!飛ばしてますねぇ!』
モニターを見れば、マジシャンが負けている。社長の手前、一同が苦虫を噛み潰したような表情をするが、当の本人はやはり素知らぬ顔で続けた。
(´・ω・`)「言葉のマジシャンさ」
- 317 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:26:20 ID:Hdztws3IO
- 〜〜〜
J(* 'ー`)し「うわぁ、おっきい……」
VIPテレビ局を前に、ドクオの母親は呟く。上を向いたら負け。普段は自宅から遠いここに来ることなどないので、目的を忘れてしばし呆然とする
J( 'ー`)し「関係者以外立ち入り禁止……ここからなら」
立ち尽くしていても仕方がない。少しふらつく足取りで、それらしい入口と守衛を発見。
(’e’)「あーちょっと、おばさん。なにやってるの」
若い男は紺の警備服を着ていた。VIPのロゴが入っていることから、ここで間違いないと確信する。
- 318 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:27:01 ID:Hdztws3IO
- J( 'ー`)し「あなたここの警備員さん?今ね、息子がテレビに出てるのよ」
(’e’)「はぁ」
J( 'ー`)し「だからね、ちょっと見にきたのよ。ね、通してくれるでしょ?」
酒くさい中年の、よくわからない言い分は聞くだけ無駄か。守衛はあくまで冷静に対応する。
(’e’)「申し訳ないけど、部外者の人はちょっと……」
J(# 'ー`)し「あなた、話聞いてたの?私は宇都宮ドクオの母、宇都宮デレです。さぁ、通してください」
(’e’)「だから、許可証がないとダメですって」
J( 'ー`)し「許可証なんてもってるわけないわ」
(’e’)「じゃあお帰りください」
J( 'ー`)し「ぐぬぬ……」
- 319 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:27:52 ID:Hdztws3IO
- ひとまず諦めた。せっかく見つけた入口だったが、無理に通れば厄介になる。他に入れないところはないか、しゃっくりをしながら探しはじめた。
J( 'ー`)し「はぁー、なかなか入れないわね……」
J( 'ー`)し「ドクオ、大丈夫かしら……」ヒック
- 320 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:28:36 ID:Hdztws3IO
- 〜〜〜
(*-@∀@)「スーパードックン!やっぱりすごいぞ!!0対5!!」
(#゚ー゚)「なかなか不正解を出しませんね!」クソッ
戦局はドクオがかなり有利。懐疑的だった相手の動向も、この時点でほとんどない。挑発の仕返しをする。
('A`)「どうした、マジシャン。あんた、口だけか?」
_
( ゚∀゚)「ブラボー。ファンタスティックだよ、スーパードックン」
- 321 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:29:14 ID:Hdztws3IO
- ('A`)「今さら言ったって遅いぜ。絶対負けないんじゃなかったか?」
_
( -∀-)「ああ、俺は絶対負けないよ」
軽く受け流しつつも自身の言い分が変わることはない。左腕の時計――スイス製ノーブランドのクロノグラフ――を一瞥し、挑発に対して宣戦。
_
( ゚∀゚)「……そろそろいいかな」
('A` )(?)
- 322 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:29:57 ID:Hdztws3IO
- _
( ゚∀゚)「俺が『マジック』をみせてあげるよ。この言葉の魔術師、ジョルジュ長岡がね」
本人や、彼を知るものがどのような認識をしているかはまだ定かではない。だが、放たれた魔術をそのまま解釈するのなら。
('A`;)「言葉の……魔術師?」
詐欺師というのが妥当だろう。
スーパードックンのようです
第十二話おわり!
- 323 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 09:39:33 ID:SJNbl8DI0
- カーチャン酒入ったままじゃねーのか…
- 324 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 17:28:47 ID:haLZ5zlo0
- デレっつったか
デレっつったかカーチャン
- 325 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 17:30:58 ID:V8VyfofQ0
- デレだな
>>47だな
- 326 :名も無きAAのようです:2013/04/25(木) 23:42:34 ID:Hdztws3IO
- >>323
ちゃんとタクシーで来ました。飲酒運転はやめましょう。
>>324
若いときはべっぴんだったんです。
>>325
その記憶力、もしやあなたは……細かいところまで読んでいただいて嬉しいです。
いやぁ、ゆっくり出来るって素晴らしいですね。今、猛スピードで書いてます。日付は変わりますが早めに投下します。いつもごめんね。
- 327 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 19:00:54 ID:qX.9mrDk0
- べっぴんさんの息子がこ......
- 328 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 19:14:54 ID:48xSzv2U0
- こんな面白い作品とはおもわなんだ
おつ、次も楽しみにしています
- 329 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:01:21 ID:Urn8KFlAO
- >>327
小さい頃は良かったともっぱらの評判。
>>328
ありがとうございます。色々と荒いですが精進します。
それでは投下します。
- 330 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:02:23 ID:Urn8KFlAO
- (*-@∀@)「おーっと!これは強気!五点差をつけられているジョルジュ長岡はこの状況で逆転する秘策があるのか!?」
ジョルジュ長岡の堂々とした言い様に、司会は盛り上がる。
(**゚ー゚)「ぜひ、頑張っていただきたいですね」
ドクオは構えてはいるが、既に何度も問題をクリアしているからか、そこまで慌てない。
('A` )「……なにを仕掛けてこようが、クイズに答えりゃい――」
しかし、それは長く続かなかった。
- 331 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:03:08 ID:Urn8KFlAO
- _
( ゚∀゚)「スーパードックン」
_
( ゚∀゚)「君のその格好はなんの冗談なんだい?」
('A`;)「は?」
_
( ゚∀゚)「ここは天下のVIPテレビ局。その生放送に小汚い格好をして出演するとは」
_
( -∀゚)「常識を疑うが」
(-@∀@)ウンウン
(*゚ー゚)ウンウン
身振り手振りを大げさに、まるで演説のような具合で彼は話し続ける。うなずく二人。
- 332 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:03:48 ID:Urn8KFlAO
- ('A` )(心理的に揺さぶるつもりか、くだらねぇな)
('A` )「そりゃこの局が衣装を用意しなかっただ――」
_
( ゚∀゚)「衣装を、用意、しなかった?」
ドクオの反論は、言い切る前にジョルジュの区切るような口調に飲み込まれ消えた。
_
(# ゚∀゚)「ふざけるな」
��('A`;)ビクッ
一喝。間髪を入れず次。
_
( ゚∀゚)「自分の不手際を棚に上げ、あまつさえ余所の責任にするとは」
_
( ゚∀゚)「それでも社会じ……失礼、君は無職かもしれないな」
――('A`) ズキッ――
- 333 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:04:26 ID:Urn8KFlAO
- 本来ならこの状況で、相手の言い分に落ち込む必要などない。ただの悪口、嫌味でしかなく、公共の電波でということを考えれば流してしまって良い。
_
( ゚∀゚)「見た感じ……二十代前半といったところだが、顔に覇気がない。大学生どころか、何かに打ち込む高校生より幼い顔つきだ」
――( A`) ドクン ドクン――
しかし、あくまで普通の場合。彼はその特殊な能力が生んだ過去を思い出す。鼓動が速い。全身が熱い。刺すような痛み。
_
( -∀-)「つまり、君は……引きこもり、といったところかな」
――( A ) ――
そして、壊れた。
- 334 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:05:24 ID:Urn8KFlAO
- _
( ゚∀゚)「さて、それじゃ問題を」
目の前に茫然自失の男がいるにもかかわらず、しかも、そうなるよう仕向けた張本人は、なんの迷いもなく司会進行を促す。
(;゚ー゚)「えっ……」
_
( ^∀^)「少し話が延びてしまって申し訳ないけど、時間がもったいないだろう?」
(*;゚ー゚)「は……はいっ」
さすがにこの空気でアサピーは出張らない。しぃは複雑な思いで問題を読み上げた。
- 335 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:06:11 ID:Urn8KFlAO
- (*;゚ー゚)「建築用語で建物の正面はなんというでしょう?」
ピンポーン
_
( ゚∀゚)「ファサード」
(*;^ー^)「せ、正解です!」
(;-@∀@)「これは……なんと表現をするべきでしょうか」
(;-@∀@)「相手を心理的に攻め、解答をさせない……!」
(#-@∀@)「言葉の魔術師の異名は、伊達ではないということか……!」
(*-@∀@)「ジョルジュ長岡、1ポイント獲得!!1対5、まだまだ勝負はわかりません!」
堂に入った司会で、抑えつつも湧かせる。悪魔の魔術か、神秘の奇術か、あるいは口先の詭弁か。彼らの目にうつる、涼しげな顔の男が何に見えるのかは誰にもわからないまま、CMに入った。
スーパードックンのようです
第十三話はじまるよ!
- 336 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:07:02 ID:Urn8KFlAO
- 〜〜〜
(#´・_ゝ・`)「なんという……」
(; ^ω^)「おっ……」
(#゚ぺ)「卑怯なヤツっ!」
当然の所感を述べる複数に対して、一人笑い声を上げるしょぼくれ顔がいた。
(´^ω^`)「ハハハ、確かに正々堂々ではないな。だが、放送コードには触れていない」
まるで当事者ではない言い方に、デミタスは意見する。
(;´・_ゝ・`)「社長、このままではBPOや視聴者から……」
- 337 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:08:15 ID:Urn8KFlAO
- プルルルル
(´・ω・`)「そうだね、言ってるそばからきたよ」
そう言って、デスクにある受話器を取ると、平社員のような口調で話しだした。
(´・ω・`)¶「はい、サブです」
(´・ω・`)¶「あー、はいはい。既に上から適当に流して対応してって聞いてますから。ええ、間違いないです。まもなくそちらにも通達が入りますから。はい。……え?ああ、はいはい。うん、じゃあお願いします」
ガチャ
電話を切って、ため息をつく。
(;´・ω・`)「もう、そんなに怒らなくてもいいのになぁ」
- 338 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:09:07 ID:Urn8KFlAO
- 内藤も恐る恐る問うが、やはり変わりはない。
(; ^ω^)「よ、よろしいので……?」
(´・ω・`)「構わんよ。後日、役員達にでも適当に謝罪させておくから」
(・ω・ `)「それより、これは数字がとれるぞー、みんな、最後まで頑張ってね」
業務用のスマートフォンを懐から取り出してスワイプし、通話画面を出した諸本は、ゆったりとした足取りで通路に出た。残されたスタッフの思いは一つ。
「む……」
(;´・_ゝ・`)「ムチャクチャだ……」(^ω^; )(゚∀゚;*)
- 339 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:10:11 ID:Urn8KFlAO
- 〜〜〜
闇の中に浮かぶは記憶。ドクオの思い出は、思い出という言葉が優しすぎるほど辛いものだった。
「えー、めんどくさいなぁ」
「わかんないよー」
小学生の時。教師が算数の問題を出す。『1から100までの数字すべてを足しなさい』とのこと。当然、生徒達は多種多様で、一生懸命ノートの隅まで計算していく者もいれば、諦めて遊んでいるものもいる。一人の子供が発言するまで、課題を出した本人も自分の仕事をしていた。
(・A・)「先生、5050だよ。カール・フリードリヒ・ガウスって人がこうやって……」
- 340 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:11:15 ID:Urn8KFlAO
- 驚いたのもつかの間、すぐに教師は彼を叩いた。生意気だ。仕事を中断させるなと勝手なことを言って、暴力をふるう。
��(。・A・)「やめてよ、痛いよ!やめてよ!」
子供たちにとって、大人は絶対の存在。暴力を是とするそれを目の当たりにした学友は、無慈悲。
「気持ち悪いんだよ、お前」
(。・A・)「ぼ、僕は何も……痛っ……!」
それは中学、高校にいっても変わらず、ドクオの心には鋭利な刃物で刻まれた、治ることのない傷が出来る。
- 341 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:12:08 ID:Urn8KFlAO
- 「なぁ、あいつさ……」
( A )
「わかる、キモいよね」
( A )
「そうそう、何考えてんのかわかんねぇよな」
( A )
「てか人殺しそうじゃない?キャハハ」
( A )
努めておとなしくするべきだと悟った彼は、誰とも関わらないまま、ただ本やテレビ、インターネットなどの情報を得る機会で社会性を見いだす他なかった。そして、度重なる心の傷が皮肉にも精神をある種、成熟させ、不幸にもそれが顔に表れること――対人間との実質的コミュニケーションが少ないため――はなかった。
- 342 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:13:11 ID:Urn8KFlAO
- そんな男に救いがあったのは、大学に入った時。広がる闇にほんの少し光が射す。
('A`)(せめて、大学ではおとなしくしていよう)
暗い景色がはっきりする。ここはキャンパス。周りは人だらけ。まだ攻撃してくる人間がいないことが、彼には何よりの幸福か。
「ちょっと、キミ、キミ」
( -A-)「うん、何もせず慎重に頑張ろう」
「おーい、そこのジェームズアンソールが描いた絵みたいな人〜」
(゚A゚#)「誰が骸骨だ、誰が!」
- 343 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:15:12 ID:Urn8KFlAO
- さすがに大学ともなると手段が高尚。つい反射的に振り向いたドクオの前には女性がいた。
lw ノv「ありゃ、今の気持ちは不真面目な仮面の原題?」
かすみがかかって見えない。何か大事な気がするのに。
('A`)「……別に腹は立ってねぇよ」
lw ノv「へぇ、詳しいね、キミ。名前は?」
(;'A`)(しまった、関わっちまった……逃げよ)
lw ノv「あ、逃げたらキミの似顔絵を描いて、そこらじゅうにばらまくから」
( 'A`)「……」
- 344 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:16:29 ID:Urn8KFlAO
- lw ノv「わかったよ。先に名乗るよ、くそったれ」
忘れようとも忘れられない。大切な思い出。闇を照らす光になる、暖かな情景。
('A`)(なんなんだ、この人)
lw ノv「私は柊。シュルレアリスムとかけて、シュールって呼んでね」
(-A- )「……なるほどな、だからアンソールか……はぁ、仕方ない。俺の名前は……」
- 345 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:17:32 ID:Urn8KFlAO
- 〜〜〜
(; ^Д^)「ドクオさん、ドクオさん!」
名前を呼ばれてゆっくりと声のする方へ向くと、悲しいかな現実が沈痛な面持ちで立っていた。CMが終わるまでもう少し。話はできる。
( A )「ぷ、ぎゃー……?」
( ^Д^)「しっかりしてくださいよ!」
( A )「俺は……もう駄目だ」
時間に多少の余裕はあれど、本人には余裕がない。惚ける彼をプギャーは焚き付けた。
( ^Д^)「何言ってるんすか!このままじゃ負けちゃいますよ!」
- 346 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:18:25 ID:Urn8KFlAO
- ( A )「いいよ、負けても……もういい」
(; ^Д^)(うわ、豆腐メンタルだ)
( A )「勝ったところで、あいつの言う通り、俺はニートで引きこもりだ。そもそも途中で負けとけばよかった……そうすれば、誰に何を言われることもなかった……」
(; ^∧^)「くっ……」
( A )「ここまでありがとう、プギャー。一応、最後までは出演するから安心してくれ」
決心は固い。若いADは、情にほだされたのか諦めない。
( ^Д^)「……ドクオさん、何があったか知りませんが、もうちょっと……」
( - )「わりぃな」
健闘むなしく、ドクオは目をつむり、一切の関与を否定した。
- 347 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:19:21 ID:Urn8KFlAO
- 〜〜〜
スタジオを他のスタッフに任せ、プギャーはサブまでの通路を早足で進む。途中、インカムから通信を送った。
( ^Д^)「デミタスさん、吹木っす。実は……」
一通り、状況を伝えた彼は、デミタスから毎度の小言を聞きながらも安心する。業務上、内藤にも連絡をするべきだが、様々な事柄と自分の気持ちを整理し、止めておいた。
( ^Д^)(こんな終わり方ってないっす)
少なからず、ドクオに奮闘してほしい。それは戦いを間近で見てきたから。そして、今度は自分に何か出来る仕事がないかと協力したいから。一心で動く。
- 348 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:20:09 ID:Urn8KFlAO
- ( - Д-)(でも、どうすれば……)
( ^Д^)(?)
具体的な案が思いつかない彼はふと、関係者入口を見た。否、見てしまった。
J(* 'ー`)し オエッ「オボロロロゥゥ」ビチャビチャ
(’e’)「うわぁ〜〜〜」
(; ^Д^)(な、なんだこの光景は……!?)
夕飯が何か分かるほど盛大な椿事は、彼に片付けという仕事を与えた。
スーパードックンのようです
第十三話おわり!
- 349 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:23:17 ID:ORXv.RIE0
- 乙
カーチャンせめて酒抜いてからくればいいのに…
- 350 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 21:30:00 ID:Urn8KFlAO
- >>349
やむにやまれぬ事情がありまして、NGシーンで解明されます。NGシーンという時点で、悲惨なことが想像できるかもしれませんが……
いつも見てくださっている方、たまたま見てくださった方、ありがとうございます。誤字、脱字、誤用等はまとめて修正します。開き直り。
まとまった時間をとれそうなので、次回もなるべく早めにがんばります!
- 351 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 23:40:51 ID:suxn2p920
- ドックン頑張れ
- 352 :名も無きAAのようです:2013/04/26(金) 23:56:28 ID:VAy63DVg0
- もはやNGありきwwwwwwww
- 353 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 00:14:11 ID:CvueQC7Y0
- なんか昔のバラエティ合体型のドラマをみているようだww
- 354 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 00:25:55 ID:q8QEhiYw0
- デレwww
- 355 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 15:05:38 ID:FqS3924UO
- もっと早く読めばよかったな!!
面白い!続きはよ!
- 356 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 18:02:16 ID:3c5OY8yo0
- >>353
なんかイメージわかないんだけどどういうのだったの?
- 357 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 19:43:27 ID:CvueQC7Y0
- >>356
劇中で歌を歌い出したり、料理を作って食いだしたり、トーク番組っぽくなったり、
メタネタっぽいことやったり、とにかくなんでもありだった
ストーリーはやたらシリアスなのになぜかそういうミニコーナーみたいのが挟まってた
- 358 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:43:50 ID:moYlkGIU0
- >>356
フリーダムすぎワロタ
- 359 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 22:44:37 ID:moYlkGIU0
- >>357
安価間違えたすまん
- 360 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:04:58 ID:.ut95xXkO
- >>351
ドックンがんばる!私もがんばる!
>>352
より一層、NGシーンに力を入れていきたいと考えております。
>>353
面白い表現ですね。私としては、フードファイターや断食ご一行様を思い浮かべました。15年くらい前のドラマは楽しかったなぁ……
>>354
意外とヒロインがやらかす作品は多いですよ。いや、カーチャンがヒロインかどうかはともかく。
>>355
ありがとうございます。期待がエネルギー。力こそパワー。
それでは参ります。短くてごめんなさい。
- 361 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:06:02 ID:.ut95xXkO
- スタジオとうってかわって、意外にもサブが忙しい。
(´・_ゝ・`)¶「ええ、はい、そうです」
(;´・_ゝ・`)¶「ですから、上からの通達が……あ、きました?ええ、それに従ってください」
鳴りやまぬ電話にてんやわんや。内容は全て生放送についての苦言。
( ^ω^)¶「そうだお、社長命令だお。嘘じゃないお!」
内藤の指示で、諸本の発言通りにひとつひとつ対応していく。通達が順次、来ているのだろう。一回の通話がそれほど長くかかることはなかった。
- 362 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:06:45 ID:.ut95xXkO
- ( ^ω^)¶「……おっおっ、わかってくれればいいんだお。え、なに?司会の椎名が色々とえこひいきしてるんじゃないか?……それはこっちでなんとかするわ、ごめんごめん。はい、はーい」
稀に変わった内容がくるが、こちらで判断できるものが多数。数をこなしていくスタッフを、横目にみながらつーが呟く。
(*゚∀゚)「すげぇ、クレームの嵐だなぁ」
座りっぱなしで固まった筋肉をほぐすようにノビをしながら言った。
- 363 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:07:38 ID:.ut95xXkO
- (^ω^ )「そういうなら手伝えお」
(*゚∀゚*)「ごめんなさぁい、タイムキーパーは時間を正確に計る大事な仕事がありますから〜♪」
(´・_ゝ・`)「ならモニターとQシートに集中しなさい。こっちみるな」
あちこちから鳴る電話の合間をぬって、二人が言う。しぶしぶ答え、集中する。
(*゚∀゚)「はいはい」
(*゚―゚)(でも、スーパードックン……勝てるかなぁ……ちょっと応援してたんだけどなぁ……)
- 364 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:08:19 ID:.ut95xXkO
- やはり思うところは番組内容。彼女なりに今回の内容がどう転ぶか考えている。
(´・_ゝ・`)(吹木からあった連絡ではかなりまずい状況だが……こっちも動きようがない……あいつに任せるしかないな)
同じように、自身の望みをある種、託したようなデミタスも考えていた。せめて、この応対が一助になればと頭で考え、受話器を取っていく。
( ^ω^)(これだけ苦情がくるなら、数字面ではなんら問題ないおね。あとは僕のやり方でやる)
そして、唯一。他と違った思慮をしている内藤。
( ^ω^)(そのためには……)
彼の思うその理想は。
( ^ω^)(優勝賞品次第か)
これからの結末に直結する。
スーパードックンのようです
第十四話はじまるよ!
- 365 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:09:15 ID:.ut95xXkO
- 〜〜〜
J(;'ー`)し「すみません……その……なんというか……」
夜空の下で、必死に頭を下げる中年女性を見れば、こちらもくるものがある。両手を出してなだめた。
( ^Д^)「いいっすよ、別に。俺もよく酒で失敗してましたから」
J( 'ー`)し「本当にごめんなさい。なにか、お礼をしなきゃ……」
黄土色に彩られたまだ温かいそれを、守衛から借りたゴム手袋ですくい上げ、始末したプギャーは言った。守衛は持ち場に戻っている。
- 366 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:09:51 ID:.ut95xXkO
- ( ^Д^)「だからいいっすって。それより、なんでこんなところにいるんすか?関係者以外、入っちゃダメっすよ」
彼女は青ざめた顔で思い出したかのように話しだす。だいぶ楽になったようだ。
J(*'ー`)し「そう、そうなんです!実は私は宇都宮ドクオの母でして……」
��(; ^Д^)「ええっ!?ドクオさんのお母さんですか!?」
J( 'ー`)し「はい……テレビに出ていたものだから、応援に行こうと来てみたんですが、その……」
(; ^Д^)(吐いちゃったわけか、つーか、飲んでくるなよ……)
- 367 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:10:30 ID:.ut95xXkO
- J( 'ー`)し「ええっと、スタッフさん?私はドクオに会えないかしら……」
顔色が良くなって、目的を話しだす。しかし、一社員としての対応。
( ^Д^)「申し訳ないっすけど、生放送中で、部外者の方は……」
J( - ー)し「……そうですか……」
( ^Д^)「そうだ。お母さん、ちょっと……」
ダメならダメじゃない方法を取れ。プギャーは内藤の教えを思い出し、実行していた。
- 368 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:11:06 ID:.ut95xXkO
- 〜〜〜
(*^ー^)「正解です!」
(-@∀@)「これは厳しい!スーパードックン、戦意喪失か!?全く答えられないまま、5対5、同点に追いつかれた!!」
(*゚ー゚)「がんばってください!」
インカムから連絡があったのだろう、普段通りに進行するしぃ。頭の中は給与査定。
(*-@∀@)「さぁ、番組も大詰めになって参りました!このまま破れてしまうのか!?それともスナオシスターズのように逆転劇を見せてくれるのか!?しぃさん、問題をどうぞ!」
(*゚ー゚)「はい、問題です!」
(*゚ー゚)「貸金業の業者が集まって設立や運営をする個人信用情報機関はなんというでしょう?」
ピンポーン
_
( ゚∀゚)「レンダースエクスチェンジ」
(*^ー^)「正解です!」
- 369 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:11:35 ID:.ut95xXkO
- 悠々と得点を増やしていく彼に対して、ドクオは相変わらず。しかし、その心中は違った。
( A )(俺は……どうすりゃいい)
( A )(このまま、負けちまっていいのか……)
闇が消え、明かりが灯る。そこにうつしだされるは、好敵手。
―――
( ФωФ)「どんな形であれ、君は我輩に勝った。それは事実だ」
―――
( A )(俺を認めてくれた杉浦先生……)
- 370 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:12:22 ID:.ut95xXkO
- ―――
o川*゚ー゚)o「本気でかかってきてよ、あたし今、結構楽しいんだからさ」
―――
( A )(ふざけてるが、悪くねぇアイドル、スナオシスターズ)
僅かな、しかし確実に彼の心に刻み込まれた人間の優しさを知る。
( A`)(……そうだ、せっかくこんな、会えるはずもねぇ面白い人達にあったんだ)
( A-)(それを……こいつなんかに……)
(*゚ー゚)「問題です!」
(-A-)(こいつなんかに……!)
- 371 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:14:24 ID:.ut95xXkO
- (*゚ー゚)「強い意志を持って、困難に挫けないさまを四字熟語で答えてください」
ピンポーン
(-A-)「不撓不屈」
('A`)(……負けてたまるか!)
(*^ー^)「正解です!」
(*-@∀@)「おぉ!!スーパードックンが正解を出した!6対6!まだわからない!これが彼の『クイズ』とでもいうのか!!」
(*゚ー゚)「戦いは緊迫していますが、ここでCMです!続きもお見逃しなく!」
- 372 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:15:34 ID:.ut95xXkO
- 〜〜〜
両目を開けば、既に見慣れた色。そこに金色を揺らした男が大きくうつる。
_
( ゚∀゚)「……」
('A`)「もう、あんたのマジックは効かねえぜ」
ジョルジュは時計を見ながら言った。
_
( -∀゚)「どうかな?そろそろ……」
('A`)「それだ」
_
( ゚∀゚)「え?」
- 373 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:16:36 ID:.ut95xXkO
- 意表をつく。反撃開始。
('A`)「その時計をみる仕草。おおかた、心理的な攻撃の有効時間だろ」
_
(; ゚∀゚)(!)
('A`)「ストレスを与えて一定時間ごとに測定。あんたの場合は落ち着いたところに、さらに追い打ちをかけるつもりだったんだろうが……目的や方法は全く違うが、クレペリンテストの猿真似か?くだらねぇな」
一息で言い切ったドクオに、それでも気にしていないような表情を浮かべながら返答した。
_
( -∀-)「なるほどね、お見通しか……」
- 374 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:17:28 ID:.ut95xXkO
- まっすぐ見る。ドクオの目を。射ぬくかのように、発する。
_
( ゚∀゚)「じゃあもう一つマジックを紹介するよ」
('A` )「なっ……」
_
( ゚∀゚)「君の父親、宇都宮マナブについて」
(゚A゚)「え……」
_
( ゚∀゚)「俺は白髭さんを知っている。今どこにいるのかも、ね」
そらされた視線は、まるで当たることが確定しているように下へ。
(゚A゚ )「お、親父はどこに……」
_
( ∀ )「教えて欲しければ」
_
( ゚∀゚)「この勝負に勝たないでもらいたいな」
- 375 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:18:26 ID:.ut95xXkO
- 次に交わる時には、もう術中。
( A )「なっ……!」
_
( ^∀^)「そうすれば教えてあげるよ。どうだい?簡単だろ」
(; ^Д^)「ドクオさん!!」
プギャーが息を切らしてやってくる。ジョルジュは口角をあげて、戻りはじめた。
_
( ゚∀゚)「おっと、邪魔が入った。それじゃよろしくね」
所定の場所に着いた彼は、両手を台の端の置き開戦を待つ。神妙なドクオにプギャーは言う。
(; ^Д^)「はぁはぁ、間に合った……!」
- 376 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:19:25 ID:.ut95xXkO
- (* ^Д^)「インカムから聞こえましたよ!スーパードックン、復活っすね!」
( A )「……」
( ^Д^)「いやぁ、一時はどうなることかと思いまし……ドクオさん?」
たった一言。それだけで、彼の士気は失われていた。
( A )「プギャー」
誰も聞きたくない。彼に寄せられた期待を全て打ち壊すかのように。
('A`)「俺、負けるわ」
父親の存在は大きかった。
スーパードックンのようです
第十四話おわり!
- 377 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:29:45 ID:S.CMgYhI0
- 乙
父親は劇中ではまだ殆ど触れられてないよね?
- 378 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:32:01 ID:.ut95xXkO
- >>377
読んでいただき、ありがとうございます。おっしゃるとおり、ほとんど触れていません。どうしよう。
- 379 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:39:09 ID:KFEw5f82O
- ここは('A`)を勝たせるしかないだろうが
このあとどれだけ盛り上げらるか、かつどれだけ伏線をはれるかだろ
- 380 :名も無きAAのようです:2013/04/27(土) 23:47:07 ID:.ut95xXkO
- >>379
おおお面白くなるよう、が、がんばります!
では続きを書いてまいります。仕事?けっ!
- 381 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 00:27:26 ID:OCrQY6qQ0
- カーチャンの為にも勝つしかないな
乙
- 382 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:40:24 ID:sHLmW5wwO
- >>381
ありがとうございます。カーチャンに吉報を届けられるか……
それでは参ります。
- 383 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:41:09 ID:sHLmW5wwO
- ( )「それじゃ、いってくる」
黒いスーツに白いシャツ。ベルトもバックルを除いて黒ければ、セオリー通りに黒の内羽根式ストレートチップ。ともすれば、お悔やみ事にでもいくようなその格好は、仕立てが良かった。行きつけの仕立て屋にオーダーしたそれは、彼の仕事を進めやすいよう、馴染んでいる。
ζ(゚ー゚*ζ「いってらっしゃい、あ……」
全身で一つだけ、色のある紺のソリッドタイを直す嫁に、夫は答えた。密着して少し顔を赤らめる。まだまだ新婚。
- 384 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:41:44 ID:sHLmW5wwO
- (* )「すまないな、デレ」
ζ(^ー^*ζ「ううん、今日は霞ヶ関でしょ?びしっとしていかなきゃ!」
( )「ああ。……戸籍を抹消し、家族に何も出来ない私は、息子にも、つまらない思いをさせている……」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫!私だってわかっているし、ドクオも強い子よ。心配ないわ」
( )「そうだな。そうあるために彼にあの名前をつけたんだ。……ありがとう、君が妻でよかった」
ζ(゚、゚*ζ「もうっ、からかわないでよ!」
- 385 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:42:30 ID:sHLmW5wwO
- 玄関に笑い声が響く。小さめのブリーフケースを持って、ドアに手を掛けた。
( )「ふっ……では、いってくるよ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。気を付けてね」
慎重に閉められ、音を立てずに閉じられた扉をしばし見つめていたデレは、幼児用のベッドで眠っている赤ん坊に小さく話し掛ける。
- 386 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:43:25 ID:sHLmW5wwO
- ζ(゚ー゚*ζ「私はマナブさんがどれだけすごいことをしているのかわからないけど」
ζ(ー゚ *ζ「彼が好きなの、ドクオ」
ζ(^ー^*ζ「ねぇ、あなたならいつか、わかるのかしら」
ζ(゚ー゚*ζ「内調がどんなところなのか」
正式名称、内閣情報調査室。宇都宮マナブは国家公務員だった。
スーパードックンのようです
第十五話はじまるよ!
- 387 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:43:51 ID:sHLmW5wwO
- 〜〜〜
(; ^Д^)「ドクオ、さん……なにを言って……」
拳が震える。ドクオは吹っ切れたように言う。
('A`)「二転三転してわりぃな。俺はこの通りはっきりしてる」
(# ^Д^)「だから、なにを……!」
(-A-)「知りてぇんだよ」
(; ^Д^)「は?」
目を伏せ、呟く。言い訳のように長く、それでも気持ちを伝えるには短い。
- 388 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:44:18 ID:sHLmW5wwO
- (-A- )「あいつが言ったんだ。俺の父親を知っているって。杉浦先生だって知りたがっていた、父親のことを知ってるって」
( ^Д^)「お、お父さん……?」
( A )「物心つくときには、もういなかった。なにかとんでもないくらいすごいことをしていた男ってくらいしか知らねぇが」
( ∀ )「諦めてたが、この年になって、こうやって生きてるんだ。出来るなら、顔くらい合わせてぇんだよ」
( ^Д^)「……」
- 389 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:44:45 ID:sHLmW5wwO
- ('A`)「だから、俺は負ける。嘘でもいい、些細な情報だって構わない」
( 'A`)「ただ、会いたいんだ。父親に」
視線をあげた。プギャーの拳は震えが治まっていたが、彼の顔は決して晴れていない。
( - Д-)つ「……ドクオさん」
⊂('A` )「ん、なんだこれ」
小さなメモ用紙が渡される。文字がびっしりと連なって、それを頭の中で反復していく。
- 390 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:46:11 ID:sHLmW5wwO
- ( Д )「もうCMが入る余裕はないっすから、これが最後っす」
('A`)「……」
それはよく知っている筆跡。
( Д )「そりゃ、男なら父親を超えたいのはわかります。大きな壁みたいなもんすから」
('A`)「……っ」
きれいな、間違えようのない文面。
( ― )「だけど……」
('A<)「……くっ」
(# ^Д^)「あんたを育ててくれた本人の思いを捨ててまで固執することじゃねぇと思いますよ」
(>A<)「う、う……」
涙を必死に止める。読んでいる合間にメンテナンスが終わったのだろう、明るい声でプギャーが言った。
- 391 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:46:55 ID:sHLmW5wwO
- ( ^Д^)「準備OKっす」
(* ^Д^)「みんな応援してるんです。勝ってください。宇都宮徳雄さん」
(A< 。)「つっ……!」
止まらない嗚咽は、母からのサプライズ。理由や経緯、さらには自身の浅はかな考えすら洗い流していく。
- 392 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:47:26 ID:sHLmW5wwO
- 〜〜〜
徳雄へ
本当は直接会って応援したかったけど、無理みたい。ごめんね、カーチャン、役たたずでごめんね。
あなたがどんな気持ちで、テレビに出ているのかカーチャンはわかりません。でも、ちょっと見てたら、あなた、意外と楽しそうじゃない。カーチャン安心。
スーパードックンっていうの?芸名かしら。あなたの名前をもじっているのね。
あなたの名前はお父さんが考えてくれました。人徳の徳には気品や意志、勇気や謙虚さ……色んなことが含まれています。それらを持ち合わせた男になってもらうよう、雄をつけました。
読み方がありきたりなのであえてドクにしたのはカーチャンです。素敵でしょ。
徳雄、頑張りなさい。帰ってきたら、カレーが待ってるわ。それじゃあね。
母より
- 393 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:49:16 ID:sHLmW5wwO
- 〜〜〜
(-A-)(そうだ……この名前で、よくいじめられた)
(-A- )(でも、どんなに辛くても)
(-A- )(カーチャンが励ましてくれた)
(#-@∀@)「さぁ!6対6!佳境に入る!勝つのはどちらか!?しぃさん、問題!」
(*゚ー゚)「問題です!」
(*゚ー゚)「資産運用において、より高いリターンを獲得するために、投資資金を複数の異なった資産に配分して運用することをなんというでしょう?」
ピンポーン
_
( ゚∀゚)「アセットアロケーション」
(*^ー^)「正解です!」
- 394 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:50:20 ID:sHLmW5wwO
- ( A )(殴られて、泣きながら帰ってきても)
_
( ゚∀゚)「IHクッキングヒーター」
(*^ー^)「正解です!」
(-A )(落ち込んで、家に帰らずフラフラしていても)
_
( ゚∀゚)「デファクトスタンダード」
(*^ー^)「正解です!」
(-A- )(カーチャンは、いつも笑って)
(-A-)(迎えてくれた)
(-@∀@)「スーパードックン!!手も足も出ない!やはり心理的なダメージが大きいのか!?」
- 395 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:51:22 ID:sHLmW5wwO
- (*゚ー゚)「9対6、まもなく終了です!最後の問題でしょうか、参ります!」
(-A`)(そんな母親の期待を)
(*゚ー゚)「傷ついたDNAを修復する機構の一種で、NERと略されるものはなんというでしょう?」
('A`#)(ちゃちなプライドで)
ピンポーン
('A`#)「ヌクレオチド除去修復!」
_
(; ゚∀゚)
(*^ー^)「正解です!」
('A`#)(壊していいはずがねぇ……!)
(*-@∀@)「魅せる!魅せるぞスーパードックン!土壇場で正解、9対7!」
- 396 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:52:33 ID:sHLmW5wwO
- うろたえるジョルジュは、先ほどの交渉を引き合いに出す。
_
(; ゚∀゚)「い、いいのかい、スーパードックン。あの話はなかったことになるが……」
('へ`)「はんっ!やっぱ詐欺師みたいなヤツのいうことなんざ、ごめんだね」
交渉決裂。もはや彼には戦うことしか頭にない。
_
( ゚∀゚)「ふむ、ならもう一つのマジックで……」
('A`)「おっと、その仕草。三度目は通用しねぇぞ」
- 397 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:53:32 ID:sHLmW5wwO
- 言って、彼は両手を頭の高さに持っていくと両耳に当て、人差し指を穴に差し込んだ。
(;;-@∀@)「なんだぁ!?」
(*;゚ー゚)「りょ、両耳を……」
_
( ゚∀゚)「ふさいだだと!?」
б('A`)∂「あー、ちゃんとしゃべれてんのか不安だが……」
б('A`)∂「進行してもらって構わねぇよ」
少し声のトーンが大きいが、促す。半信半疑ながら、時間も押していることを考え、しぃは司会を進めた。
- 398 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:54:07 ID:sHLmW5wwO
- (*;゚ー゚)「で、では問題です……」
_
( ゚∀゚)(ふざけている……俺の言葉を聞かないつもりか知らないが、問題も聞こえなければ意味もない)
(*゚ー゚)「1939年に開発された神経ガス、サリンですが、それの正式名称をお答えください」
_
( -∀-)(多少、面倒な問題だが、これで終わ――)
ピンポーン
б(-A-)∂「イソプロピルメチルホスホン酸フルオリダート」
(*;゚ー゚)「せ、正解、です……!」
_
(; ゚∀゚)「なんだと!?」
б('A`)∂「あんまり疲れるからやりたくなかったんだがなぁ……こうするといらねぇ声が入らないから集中できるんだよ」
б('A`#)∂「終わらせるぜ、ジョルジュ長岡。スーパードックンが本気で『クイズ』に答えてやるよ」
- 399 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:54:55 ID:sHLmW5wwO
- 宇都宮ドクオ。
特徴はサヴァン症候群。
(-@∀@)「わ、私たちは忘れていたのかも知れません……」
稀有なそれであり、かつ一つの能力――ドクオの場合、記憶力――に優れる反面、他の事に支障が生じる。
(-@∀@)「なんの前情報もない普通の、いや普通より冴えない男……」
だが、彼にはその支障が見受けられなかった。
それは他人に極力、気付かれないよう振る舞っていたから。
- 400 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:55:23 ID:sHLmW5wwO
- それができる特異な体質と、傷ついていく精神がそうさせていたから。
(-@∀@)「しかし、強豪を倒し、ここまできたその様は」
だから、普段は平々凡々でもひとたび、
本 来 の 状 態
に、戻すのであれば。
(-@∀@)「まるで変身したヒーローのような圧倒的な強者……!」
(-@∀@)「そう、その名も……!」
(*-@∀@)「スゥゥウゥ!パァァア!ドックゥゥウン!!」
不様な格好は、必要ない情報を否定し、目的のために取捨選択後、遂行する。
規格外の絶対的な集中を持った彼は、スーパーコンピュータと同等か、それ以上となるだろう。
スーパードックンのようです
第十五話まだつづくよ!!
- 401 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:56:11 ID:sHLmW5wwO
- ジョルジュは彼を見ている。問題を聞くことすら放棄して、異様な男を注視する。
_
( ゚∀゚)(は、速すぎる……!)
_
( ゚∀゚)(出題された問題を解釈しているとか、そういう話じゃない)
_
(; ゚∀゚)(彼は……まさか問題を、先読みしているのか!?)
б(-A-)∂(……)
ドクオの頭の中には今まで培ったあらゆる知識が生きているかのように動いていた。押し合い圧しあい、せめぎあう。問われる前に傾向を読み取り、答えを極限に絞っていく。
- 402 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:57:09 ID:sHLmW5wwO
- _
( ゚∀゚)(現に、彼は……)
(*゚ー゚)「問題です!」
_
( ゚∀゚)(両手をボタンから放して……)
それは壮年の老兵が見せた貫禄の証。
(*゚ー゚)「ドラマ、古畑任三郎にも出た、侵襲性歯周炎の原因菌として知られる歯周病菌の旧学名はなんというでしょう」
ピンポーン
б(-A-)∂「アクチノバシラスアクチノミセテムコミタンス」
_
( ゚∀゚)(問題を言い終える刹那にボタンを押している……!)
それは若人の偶像が、偶然、通用した力技を、特別に昇華させた武器。
(*^ー^)「正解です!」
- 403 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:57:57 ID:W1zDmHZA0
- ( ;Д; )モリアガッテキタナー
- 404 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:58:11 ID:sHLmW5wwO
- つい先ほどの情報も、吸収されれば二度と消えることはない。そして、それは数少ない思い出にもなる。
(;-@∀@)「き、9対9!!ここにきて、ここにきてまさかの!同点!同点です!!」
(*;゚ー゚)「さ、最後の問題です!」
司会は焦る。アサピーが言う前にしぃが言った。
(*;゚ー゚)「 」
_
( ゚∀゚)(フッ……そうか)
ピンポーン
_
( -∀-)(これが白髭さんの息子か)
б(-A-)∂「 」
_
( ∀ )(楽しかったよ)
- 405 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:59:21 ID:sHLmW5wwO
- 〜〜〜
( ^ω^)「終わりだおね。勝負も番組も」
(*´・_ゝ・`)「ええ!スーパードックンがやりましたよ」
いつもの笑顔と対照的に、デミタスは興奮している。つーも喜びながら、モニターを見つめていた。
(゚∀゚*)「ふわぁ……応援してた甲斐があっ……!」
突然、言葉を切ると書類を何度も見直す。冷や汗が伝った。
- 406 :名も無きAAのようです:2013/04/28(日) 23:59:47 ID:sHLmW5wwO
- (^ω^ )「どうしたお?」
(゚∀゚;;)「あ、ああ……!」
('・ι_・`;)「なんだ、なにかトラブルか」
( ∀ ;)「どうしよ……」
(゚∀゚ ;)「スーパードックン……これ、勝ってないよ……!」
- 407 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:00:20 ID:JUKn/EiYO
- 〜〜〜
(;;-@μ@)「あ、ああーっ!!」
最後の解答が終わる直前、時を同じくしてアサピーが叫ぶ。ドクオは流れがおかしいと感じたのか集中をゆるめた。
б ('A`) ∂「……ふぇ?」
(;-@∀@)「なんと、なんとここで番組終了10分前となりました!!クイズに関しては以上で終了となります!」
(*゚ー゚)「惜しいところで終わってしまいましたね……」
б ('A` ) ∂「え、は、え!?」
- 408 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:01:01 ID:JUKn/EiYO
- (-@∀@)「この時点で得点が高いほうが優勝となるのですが……」
(*゚ー゚)「お二人とも同点です」
б ('A`;) ∂「……これで、終わり、だと……?」
スケッチブックを持つプギャーの顔は表現し難い。インカムからの指示を書き上げて、読ませる。
(-@∀@)「この場合は……えー、はい。お二人とも」
(*-@∀@)「優勝です!!」(゚ー゚*)
(゚A゚ )「はぁーーっ!?」
- 409 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:01:44 ID:JUKn/EiYO
- こだまする絶叫は、関わった人々の思いを乗せている。場違いな笑い声が響いたのは、それが終わってから。
_
( ^∀^)「ハハハハハ!やっと耳から手を放してくれたね」
手を顔にあて、嘲笑にしてはさわやかさのある笑みと口調。癪に障る。
('A`)「な、なんだよ……」
ジョルジュは、戦いのときとまた違った余裕を顔に浮かべながら彼に言う。まるでこうなることを想定していたかのように。
- 410 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:02:25 ID:JUKn/EiYO
- _
( ゚∀゚)「種明かしだよ、スーパードックン。こいつは、心理的なトリックを遂行する道具じゃない」
_
( ゚∀゚)「ただの時計さ」
これみよがしに、右手の人差し指で腕時計を差した。目を開き、合点するも、今さら気付いたところでもう遅い。
(゚A゚;)「え……じゃあ、もしかして……!」
_
( ^∀^)「そう。単に終了時間の調整をしていただけだよ」
( A ;)「んなっ……!」
_
(* ゚∀゚)「意識誘導。マジックの基本さ」
- 411 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:03:07 ID:JUKn/EiYO
- また髪をかきあげた。汗一つかいていないのは、乾いたからか。あるいはそれほど動揺などしていなかったのか。
_
( -∀゚)「言っただろう、スーパードックン。俺は絶対、『負けない』とね」
勝利のファンファーレは騒がしく、釈然としない。ドクオに贈られるはずの名誉や達成感等は、大がかりな、しかし安直なマジックにて削がれてしまった。
残すは、優勝賞品のみである。何度も見たCM中の、あわただしい作業を彼はどうしようもない面持ちで眺めていた。
スーパードックンのようです
第十五話おわり!
- 412 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:06:27 ID:JUKn/EiYO
- >>403
せっかく盛り上がってきたのにごめんね。まだ続きます。
とりあえずそろそろNGシーンを書かないとアレなので、本編は少しお待ちくださいな。なるべく早くがんばるぞ!
- 413 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:11:30 ID:qHxUnb1Y0
- NGはよ( 」 ゚д゚ )」カモーン
- 414 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:38:36 ID:w69n2PK.0
- 乙
- 415 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 00:41:42 ID:Tizmll760
- 乙、良かったねカーチャン良かったね
- 416 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 06:56:09 ID:AeNo7gIs0
- ジョルジュやるな
- 417 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 08:06:27 ID:QqeNUHcw0
- NGありきなのかよwww
- 418 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:43:16 ID:JUKn/EiYO
- >>413
お待たせしました。今から投下します。
>>414 >>415
ありがとうございます。カーチャンひと安心。
>>416
彼はやり手です。まだなんの設定も考えてないので練りがいがあります。ごめんなさい、強がりです。どうしよう。
>>417
それに頼りすぎてます。NGシーンって、難しいですね。挑戦の連続です。
それでは参ります。
- 419 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:44:31 ID:JUKn/EiYO
- スーパードックンのようです
NGシーン
はじまるよ!
第十一話↓しょっぱなからネタ切れ感が否めない
『スーパードックン、二回戦突破!すごいぞー!』
lw´ ノv「へぇ……」
キィコキィコ……
辺りは暗く、人影はロッキングチェアらしきものに座っている以外わからない。唯一の光源はテレビから放たれるそれ。
- 420 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:45:13 ID:JUKn/EiYO
- lw´ ノv「やるなぁ、コシヒカリみたいだ」
キィコキィコキィコ……
揺れる椅子がリズムを刻むように、言葉が紡がれていく。
lw´ ノv「すくすく育ったコシヒカリ。会いたいなぁ、会えるかなぁ……っとわぁ!」
そのささやかな言葉は、椅子から生まれる爆音によって消された。
キィコキィコキィコバターン!
lw´ ノv「あ、あがが……」
おわり
- 421 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:45:49 ID:JUKn/EiYO
- 第十一話 take2↓ほらね、こんなことになる
o川*゚ー゚)o オオリャ!!
≡≡≡≡�槇茵�。(゚A゚) グハァッ
健闘むなしく。いつの間にか姿を消していたキュート――あわただしい動きに紛れながら様子をうかがっていた――の超高速低空回し蹴りが、彼を横から吹き飛ばし、十メートル先の壁に激突させる。両手が使えなかったためか、やはり床は汚れ、壁は砕ける。
o川*`ー')o「やい、スーパードックン!ニヤニヤすんな!」
立ち上がってくるドクオを、手を腰に当てて睨み付ける彼女。全身を払いながら返す。ダメージは少ない。
- 422 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:46:26 ID:JUKn/EiYO
- ('A`#)「よう、キュート。あんたの蹴り、まだまだきかねぇぜ?」
o川*`ー')o
o川*゚ー゚)o
o川*。゚ー゚)oウルウル
('A`;)「じょ、冗談だよ。さっきのメギドスラッシュやテラブレイクは痛かったから、キュートすごかったから、マジ鬼のように強いから」
o川*。゚ー゚)o メギドスラッシュ…… テラブレイク……
- 423 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:47:01 ID:JUKn/EiYO
- o川*゚ー゚)o。о〇{神と悪魔の名の下に、ひれ伏せ!メギドォォオスラァァアッシュ!!}
o川*゚ー゚)o。о〇{大地よ地球よ!我の両腕に宿りしは数多の生命……!滅びよ!テェェエラァァアブレェェエィク!!}
o川*////)o ボン!
真っ赤になった顔を隠して、神速で出口であるドアへと走り、扉を閉める。ヒートは、こういうときのキュートと自分、どちらが疾いのだろうと不毛な考えをしながら彼女を追った。
('A`)「おーい、どこ行くんだよ……ったく」
おわり
- 424 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:48:12 ID:JUKn/EiYO
- 第十一話 take3↓もうホントすみません
(´・ω・`)「ああ、期待してるよ。そうそう、彼なんだけどさ……」
少し声を落とす。
_
( -∀-)「……ああ、そうだね。俺もそう思うし、視聴者でも気付いてる奴がいるんじゃないか?」
奇しくもその内容は、確かにその通りだった。
(´・ω・`)「偏向的知識を持った特殊な服オタ」
例えば一般的感性とTPOの理解。
_
( ゚∀゚)「ハイブランド至上主義であるが故に……」
カッコいい着こなし、ダサい格好。
lw v「……あ、あがが」
- 425 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:48:46 ID:JUKn/EiYO
- それらを知っている普通の人々が、宇都宮ドクオ――ボサボサの髪は雑誌のチョキチョキを参照にし、黒ジャージはドレスキャンプのセットアップ、靴はジョンガリアーノのスニーカー型サンダル。唯一、財布だけは古着屋で一点物を購入し、カジュアルダウンさせた。分かる人、分からない人のどちらが見ても『合っていないスタイル』をとっている――を語る言葉は一つ。
『ファッションモンスタ〜』
おわり
- 426 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:49:43 ID:JUKn/EiYO
- 第十二話↓カクレンジャー!にんじゃにんじゃ!
(^ω^ )「デミタス、お前も何かになりたいんだろうが、俺もちょっとなりたいものができたんだお」
二人はサブへと戻る。珍しく、プライベートな話で饒舌の内藤に、デミタスは耳を傾ける。
(´・_ゝ・`)「なんですか、それ」
(^ω^ )「勧善懲悪じゃない物語の」
(^ω^ )「悪の親玉だお」
(;´・_ゝ・`)「な、なんだって……!?」
(; ^ω^)「ど、どうしたおデミタス」
(´・_ゝ・`)(内藤さんが……悪の、親玉になる……!?)
- 427 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:50:22 ID:JUKn/EiYO
- 〜〜〜
( ^ω^)「ふはははは!殺せ殺せお!」
( ^Д^)「イィー!」
( ^Д^)「イィー!」
(´・_ゝ・`)「まてぇい!」
(; ^ω^)「だ、誰だお、お前は!?」
(´・_ゝ・`)「貴様の悪事、これ以上は許さん!日頃の恨みも兼ねて、この苦みのデミタスが相手だ!!」
( ^ω^)「ふん!よくわからんが、お前たち、やってしまえお!」
- 428 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:51:07 ID:JUKn/EiYO
- ( ^Д^)「イィー!」
(´・_ゝ・`)「微糖キック!」
��( ^Д^)「プギャ!」
( ^Д^)「イィー!」
(´・ι_・`)「カフェオレパンチ!」
��( ^Д^)「プギャ!」
(; ^ω^)「な、なにおー!」
(´・_ゝ・`)「観念するがいい、悪党!くらえ、必殺ブラックキャンケェーヒィー!」
(; ゚ω゚)「う、うわぁ!やられたおー!」
(´・_ゝ・`)「よい子のみんなもコーヒーを飲んで強くなろう!さらばだ!」
- 429 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:51:39 ID:JUKn/EiYO
- 〜〜〜
(´ ^_ゝ^ `)(とかなんとかいっちゃって)
(; ^ω^)「で、デミタス……」
(´・_ゝ・`)「……はっ、失礼しました。さぁ戻りましょうか」
(; ^ω^)「いや、あのさ」
(´ ^_ゝ^ `)「はい?」
( ^ω^)「全部、声に出てたお」
(´ ^_ゝ^ `)
(´ ^_ゝ^ `)
おわり
- 430 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:52:27 ID:JUKn/EiYO
- 第十二話 take2↓綺麗なバラにはなんとやら
ζ(゚ー゚*ζ「うわぁ、おっきい……」
VIPテレビ局を前に、ドクオの母親は呟く。上を向いたら負け。普段は自宅から遠いここに来ることなどないので、目的を忘れてしばし呆然とする
ζ(゚ー゚*ζ「関係者以外立ち入り禁止……ここからなら」
立ち尽くしていても仕方がない。少しふらつく足取りで、それらしい入口と守衛を発見。
(’e’)「あーちょっと、……!?」
(’e’;)(え、誰これ!?素人?めっちゃかわいい!?)
- 431 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:53:00 ID:JUKn/EiYO
- 若い男は紺の警備服を着ていた。VIPのロゴが入っていることから、ここで間違いないと確信する。
ζ(゚ー゚*ζ「あなたここの警備員さん?今ね、息子がテレビに出てるのよ」
(’e’;)(こ、子持ちかよ〜!そういわれりゃ地味だな……いや、全然いけるわ、むしろどんとこいハピネスだわ)
ζ(゚ー゚*ζ「だからね、ちょっと見にきたのよ。ね、通してくれるでしょ?」
酒くさい人妻の、よくわからない言い分は聞く。絶対に聞く。守衛はあくまで冷静に対応する。
- 432 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:53:33 ID:JUKn/EiYO
- (’e’*)「申し訳ないですけど、部外者の人は……いや、どうしてもっていうなら、ねぇ?そのまぁあれがああなって」
ζ(゚ぺ#ζ「あなた、話聞いてたの?私は宇都宮ドクオの母、宇都宮デレです。さぁ、通してください」
(’e’**)「だから、まぁなんとかなるけど、ほらね、その誠意という名の許可証がないとダメですって!さぁさぁ!」
ζ(゚ー゚*ζ「許可証なんてもってるわけないわ」
(’e’)「チッ……じゃあお帰りください」
- 433 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:54:02 ID:JUKn/EiYO
- ζ(゚、゚*ζ「ぐぬぬ……」
ひとまず諦めた。せっかく見つけた入口だったが、無理に通れば厄介になる。他に入れないところはないか、しゃっくりをしながら探しはじめた。
ζ(゚ー゚*ζ「はぁー、なかなか入れないわね……」
J(゚ - ゚)し ヌギッ「あ、もう暑いから脱ご」
J( 'ー`)し ボンッ!「ドクオ、大丈夫かしら……」ヒック
おわり
- 434 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:55:07 ID:JUKn/EiYO
- 第十三話↓私はオールドフォレスターやボウモア テンペストが好きです。バッチなんだったかなぁ……
時間は、カーチャンであるデレが家を出る前にさかのぼる。
〜〜〜
何も入っていない山崎のボトルは、すでにゴミとして分別し、処理してあった。
彼女は、最初のボトルを空けた後にもう一度、棚に向かって人差し指で選り好みをしていた。
- 435 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:55:57 ID:JUKn/EiYO
- そうして決まったハイランドパークの12年を大事に抱え、氷の入ったグラスに注ぐ。
少し食べてしまったカレーの満足感をあえてアイラ系のピート香で飾り、悦に浸る。海鮮風味にしておくべきだったかと、胃のなかに問うがそこはオールラウンダー。
決して機嫌を損ねないバランスで、充実した味わいが彼女を虜にさせる。
- 436 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:56:52 ID:JUKn/EiYO
- 次に、満タンだったそれを飲み干してから、分別し、棚を開ければ迷いなくラガブーリン。重い口当たりだが、なめらかな銘酒は、先ほどのピーティーさを崩すほど強烈な海藻の臭いが広がる。
もちろん、この旨味を最大限に引き出すため、グラスを替えてストレートで楽しむのだ。チェイサーなど酒豪の前にはない。
- 437 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:57:34 ID:JUKn/EiYO
- そろそろ、いかねば。やはり空になったボトルを分別――間違えて燃えるゴミのところに入れてしまった――し、棚ではなく食器入れのなかからバースプーンとミキシンググラスを取出した。
冷蔵庫からよく冷えたジン、ビフィーターと、ワインの一種であるベルモットをグラスに一滴だけ加え、ステアする。このレシピには足りないものが多いが、それもまた王の所以か。
- 438 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:58:26 ID:JUKn/EiYO
- オリーブもなく、計測も定かではないドライマティーニが出来上がった。
すぐにカクテルグラスを用意して、並々まで注ぐと、足を持って一気に飲み干す。
温くならないクールな飲み方は、強い刺激が全身を痺れさせ、心身を高揚させた。
- 439 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:59:01 ID:JUKn/EiYO
- J( 'ー`)し「あらやだ、こんな時間」
ある意味、ギムレットにはまだ早いか。食器をそのままにして、ほろ酔いで近くにあるタクシー乗り場に向かう。息子に会うために。その雄姿を応援するために。
〜〜〜
J(* 'ー`)し オエッ「オボロロロゥゥ」ビチャビチャ
(’e’)「うわぁ〜〜〜」
(; ^Д^)(な、なんだこの光景は……!?)
おわり
- 440 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 22:59:46 ID:JUKn/EiYO
- 第十四話↓使い回しではない
( A )(俺は……どうすりゃいい)
( A )(このまま、負けちまっていいのか……)
闇が消え、明かりが灯る。そこにうつしだされるは、好敵手。
―――
( ФωФ)「ピ、ピティウモ……いや、ピ、ピッティモ……違うな、ピピテウモ、なんかおかしいな……さっき惜しかったのに」
―――
( A )(俺を認めてくれた杉浦先生……)
- 441 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:00:16 ID:JUKn/EiYO
- ―――
o川*゚ー゚)o「……天が輝くとき、地に恵みあり、次元の彼方が悲しむとき、現在(いま)が刻を奏でる……これはあたしの作った最終奥義よ!終わりだ!デショニックプレイヤー!!」
―――
( A )(ふざけてるが、悪くねぇアイドル、スナオシスターズ)
僅かな、しかし確実に彼の心に刻み込まれた人間の優しさを知る。
( A`)(……そうだ、せっかくこんな、会えるはずもねぇ面白い人達にあったんだ)
- 442 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:00:45 ID:JUKn/EiYO
- ( A-)(それを……こいつなんかに……)
(*゚ー゚)「問題です!」
(-A-)(こいつなんかに……!)
(*゚ー゚)「強い意志を持って、困難に挫けないさまを四字熟語で答えてください」
ピンポーン
_
( ゚∀゚)「不撓不屈」
('A`)(負けていいや!やってられるか!)
こうしてジョルジュ長岡はある程度問題を解き、優勝した。
おわり
- 443 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:01:46 ID:JUKn/EiYO
- 第十五話↓今さらですが、NGシーンは本編と関係ありません。多分
( )「ああ。……戸籍を抹消し、家族に何も出来ない私は、息子にも、つまらない思いをさせている……」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫!私だってわかっているし、ドクオも強い子よ。心配ないわ」
( )「そうだな。そうあるために彼にあの名前をつけたんだ。……ありがとう、君が妻でよかった」
ζ(゚、゚*ζ「もうっ、からかわないでよ!」
玄関に笑い声が響く。小さめのブリーフケースを持って、ドアに手を掛けた。
- 444 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:02:47 ID:JUKn/EiYO
- ( )「ふっ……では、いってくるよ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。気を付けてね」
慎重に閉められ、音を立てずに閉じられた扉をしばし見つめていたデレは、幼児用のベッドで眠っている赤ん坊に小さく話し掛ける。
ζ(゚ー゚*ζ「私はマナブさんがどれだけすごいことをしているのかわからないけど」
ζ(ー゚ *ζ「彼が好きなの、ドクオ」
- 445 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:03:28 ID:JUKn/EiYO
- ζ(^ー^*ζ「ねぇ、あなたならいつか、わかるのかしら」
ζ(;ー;*ζ「籍も入れてくれず、逃げ回っていたら住民票が削除されてしまったことを」
借金から逃げ回るために転々としていたら、戸籍ではないが住民票が抹消されていた。証明書等を出し、再起復活するには色々と手遅れだった。子どももいるのに。宇都宮マナブはまぬけだった。
おわり
- 446 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:04:03 ID:qHxUnb1Y0
- マジキチ
- 447 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:04:10 ID:JUKn/EiYO
- 第十五話 take2↓酔いが残っていると惨事を招きます
(* ^Д^)フッフフ「みんな応援してるんです。勝ってください。宇都宮徳雄さん」
(A< 。)「つっ……!」
止まらない嗚咽は、母からのサプライズ。理由や経緯、さらには自身の浅はかな考えすら洗い流していく。
- 448 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:06:08 ID:JUKn/EiYO
- 〜〜〜
徳雄へ
本当は直接会って応援したかったけど、無理。酔って吐いた。くさい。ごめんね、カーチャン、ゲロ吐いてごめんね。
あなたがどんな気持ちで、テレビに出ているのかカーチャンはわかりません。羨ましくもあり、憎たらしくもあります。正直、狂いそう。でも、ちょっと見てたら、あなた、ジャージじゃない。カーチャン心配。
スーパードックンっていうの?芸名かしら。あなたの名前をもじっているのね。最悪ね。
あなたの名前はお父さんが考えてくれました。徳雄の徳は徳光和夫の徳。……とにかく色んなことが含まれています。それらを持ち合わせた男になってもらうよう、雄をつけました。間違えて雌をつけるところでした。お父さんが犯人です。
読み方がありきたりなのであえてドクにしたのはカーチャンです。素敵でしょ。ドクオとか、最高に笑える。
徳雄、頑張りなさい。帰ってきたら、カレーが待ってるわ。あなたの分はないけど。それじゃあね。
母より
- 449 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:07:07 ID:JUKn/EiYO
- 〜〜〜
(A< 。)「つっ……くっ……!」
(* ^Д^)プッフ(か、可哀想すぎる。うっ、ダメだ、笑うな)
おわり
- 450 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:08:03 ID:JUKn/EiYO
- 第十五話 take3↓現在、私の住むところには、ガスコンロすらありません
(-A-)(そうだ……この名前で、よくいじめられた)
(-A- )(でも、どんなに辛くても)
(-A- )(カーチャンが励ましてくれた)
(#-@∀@)「さぁ!6対6!佳境に入る!勝つのはどちらか!?しぃさん、問題!」
(*゚ー゚)「問題です!」
(*゚ー゚)「資産運用において、より高いリターンを獲得するために、投資資金を複数の異なった資産に配分して運用することをなんというでしょう?」
ピンポーン
_
( ゚∀゚)「アセットアロケーション」
(*^ー^)「正解です!」
- 451 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:08:46 ID:JUKn/EiYO
- ( A )(殴られて、泣きながら帰ってきても)
_
( ゚∀゚)「IHクッキングヒーター」
(*^ー^)「正解です!」
(-A )(落ち込んで、家に帰らずフラフラしていても)
(-A- )(……)
('A` )(ん!?)
(*゚ー゚)「次のもんだ……」
('A`;)「ち、ちょっとまて!」
_
( ゚∀゚)「?」
('A`;)「なんだよ、IHクッキングヒーターって!」
- 452 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:09:29 ID:JUKn/EiYO
- _
( ゚∀゚)「スーパードックン、知らないのかい?オール電化のこと」
('A`;)「いやいやいや、そうじゃなくて、ほら、問題の傾向というか」
_
( -∀゚)「はぁ……仕方ないな。アサピーさん、しぃさん。お願いできますか?」
(-@∀@)「むっ、私たちの出番ですか」
(*^ー^)「いいですよ、とくとご覧なさい」
('A`)(な、なんだ……照明が暗くなったぞ?劇場っぽいけど何が始ま……)
- 453 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:10:05 ID:JUKn/EiYO
- (-@∀@)「と、と、とってのとれる♪」ズン ズン ズズズン
_
( ゚∀゚)「とっ、とっ、とってのとれる♪」ズン ズン ズズズン
(*゚ー゚)「とっ、とっ、とってのとれる♪」ズン ズン ズズズン
_
( ゚∀゚)(-@∀@)「ティファ〜ルを〜!」(゚ー゚*)
(-@∀@)「が、が、ガスコンロで♪」ズン ズン ズズズン
_
( ゚∀゚)「が、が、ガスコンロで♪」ズン ズン ズズズン
_
( ゚∀゚)(-@∀@)「沸かしても〜いい〜!」(゚ー゚*)
- 454 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:10:49 ID:JUKn/EiYO
- _
( ゚∀゚)「だけど〜そぉれはそれとして〜♪」
(-@∀@)「フラァット天板の一種で〜♪」
(*゚ー゚)「磁力線〜の働きによぉって〜♪」
(-@∀@)「鍋自体を発熱さぁせぇるぅぅう!」
(*-ー-)「それは」
_
( -∀-)トットットッテノトレル
(-@∀@)「いったい」
_
( -∀-)トットットッテノトレル
- 455 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:11:22 ID:JUKn/EiYO
-
(*-@∀@)ティファール!
(*゚ー゚)「なんというクッキングヒーターでしょう!?」
_
(* ゚∀゚)ティファール!
('A`)
(-@∀@)「二番もあ('A`)「いや、いい」
おわり
- 456 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:12:14 ID:JUKn/EiYO
- 第十五話 take4↓これはしまらない!
б('A`)∂「あんまり疲れるからやりたくなかったんだがなぁ……こうするといらねぇ声が入らないから集中できるんだよ」
б('A`#)∂「終わらせるぜ、ジョルジュ長岡。スーパードックンが本気で『クイズ』に答えてやるよ」
б('A`#)∂
б('A`)∂「……」
б ('A`) ∂ スポッ
('A`)
τ ('A`) τ スッ
τ('∀`)τ ジャキーン!
- 457 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:12:55 ID:JUKn/EiYO
- τ('∀`#)τ「終わらせるぜ、ジョルジュ長岡。スーパードックンが本気で『クイズ』に答え」
_
(; ゚∀゚)「それはいくらなんでも。まるで団子じゃないか。」
τ('∀`#)τ
τ('∀`)τ
τ ('∀`) τ スポッ
('∀`)
(;∀`)
おわり
- 458 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:17:32 ID:JUKn/EiYO
- >>446
長いのに読んでいただき、ありがとうございます。コメントがついて本当に良かった……
本編ですが、明日以降なるべく早めに投下します。
- 459 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:21:47 ID:qHxUnb1Y0
- NGも楽しみになってきてる
乙
- 460 :名も無きAAのようです:2013/04/29(月) 23:59:14 ID:HELZb9Xk0
- 乙、NGからも溢れでるセンス
もうカーチャンはヒロインだな
- 461 :名も無きAAのようです:2013/04/30(火) 01:10:12 ID:A6Nc5IGg0
- 乙
- 462 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 20:53:02 ID:qJ0vjfDIO
- >>459
ありがとう!ありがとう!何も分かっていない分、色々挑戦していきます。
>>460
そう仰っていただいてすごく嬉しいです。なかなかアウトプットするのが難しいです。慢心しないよう気をつけます。
>>461
ありがとうございます。GW中に投下できるよう、がんばるぞ!
本編はしばらくお待ちくださいませ。
- 463 :名も無きAAのようです:2013/05/01(水) 20:54:38 ID:qJ0vjfDIO
- >>460
おっと、カーチャンはヒロインじゃな……いや、どう考えてもヒロインだわ、これ。比重的にみてもヒロインだわ。
- 464 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 21:42:37 ID:cySF4npk0
- 期待してる 本編はよ
- 465 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:54:56 ID:jwz1.i.gO
- >>464
ありがとう、久々なのでおかげさまで勇気が出ました。ナイスタイミングです。今からはじめます。
- 466 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:55:45 ID:jwz1.i.gO
- 夜更け、彼女はベンチに腰掛ける。外灯が物憂げな母親を演出していた。
J( 'ー`)し「もう番組も終わりかしら……」
プギャーに介抱してもらったあと、入口から少し離れたところで座りながら視線が定まらず落ち着かない。やはり立ち上がってうろうろ。そんな時に目の前を通りすぎる影があれば誰だって驚く。
J(; 'ー`)し「キャッ」
( ・∀・)「失礼」
しりもちをつくほどではなかったが、半歩下がって目をつむる。声が聞こえた方をみれば、スーツをきた男が、すでに局へと入っていった。
J( 'ー`)し「あら、あの人……さっきテレビで見た……」
ほとんど後ろ姿だけで判断できたのは、記憶に残った男前のなす業か。デレは夕方のニュースを思い出しながらまたベンチに座った。
- 467 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:56:29 ID:jwz1.i.gO
- スタジオの中心、ちょうど回答者の台と台の間に四人が並ぶ。左からジョルジュ、アサピー、しぃ、ドクオ。
(-@∀@)「長らくお付き合いいただきましたこの生放送も、いよいよ最後です」
(*゚ー゚)「非常に白熱した戦いでしたね」
感慨深い口調で締めに入ろうとする司会。あまり疲れを出さないところもプロ。
(-@∀@)「ええ、なんといっても彼の存在が番組を盛り上げてくれたと思います」
(*゚ー゚)「はい、二組のクイズ通を倒したまさかの一般参加者」
(*-@∀@)「スーパードックン!」(゚ー゚*)
- 468 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:57:00 ID:jwz1.i.gO
- ('∀`)「え、えへへ……」
ドクオは最後まで床を汚す。
(*-@∀@)「おめでとう、スーパードックン!今のお気持ちを聞かせてください」
('∀`;)「え、あ、や、が、がんばりました」
(#-@∀@)「うん、やっぱりなんの面白みもないコメントをありがとうございます!」
一連の流れが終わると、今度はしぃが問う。
(*゚ー゚)「では、この瞬間を最も伝えたい人はいますか?」
('A`)「あ、あー……」
- 469 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:57:40 ID:jwz1.i.gO
- 考えながら、もう決まっている言葉をどう伝えるべきか迷った。だから、あまり飾らず言った。
('A`)「カーチャン、俺……がんばったよ。なにがなんだかまだよくわからないけど、勝っちまった。応援サンキュ」
(*゚ー゚)(スーパードックン……マザコンかしら)
感心したアサピーに対して、女性は冷静。不毛なことを思いながら、もう一人の優勝者に向かう。
(*^ー^)「ありがとうございます。続いては、そんな彼と同点のまま優勝となった謎のマジシャン」
(*-@∀@)「ジョルジュ長岡!」(゚ー゚*)
- 470 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:58:19 ID:jwz1.i.gO
- (*゚ー゚)「まさに宣言通りの結末でしたが、いかがですか?」
彼が髪をかきあげても何も落ちない。ドクオとは違った。
_
( ゚∀゚)「まず、この場に出られたこと、そして司会のお二人や、関係者の方々に支えてもらいながら、彼……スーパードックンと戦えたこと。とても嬉しく思うよ」
(*-@∀@)「さすがは言葉の魔術師!良いコメントをありがとうございます」
(*゚ー゚)「では、この瞬間を最も伝えたい人はいますか?」
いったいどんなマジックを出してくるのか、全員が見守るなか、意外にも単純。
_
( -∀゚)「そうだね……ショボン。約束通りだ、とだけ言っておこうかな」
- 471 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:59:00 ID:jwz1.i.gO
- ともすれば、ドクオよりも簡潔で捉えようのないその一言に、アサピーは動揺しつつもフォローする。
(;-@∀@)「おぉ、友人のあだ名でしょうか。呼ばれた君はラッキーだぞ〜」
ジョルジュは鼻で笑った。
(*゚ー゚)「ありがとうございます。それでは、優勝賞品の授与に参ります。VIPテレビ社長、諸本さん、お願い致します!」
カメラ側から歩いてきた二つの封筒を持つ大柄の男は、アサピーとしぃの間に入り、言う。
(´・ω・`)「二人とも、おめでとう」
髪の色、低めの声と図体、そしてアンバランスな顔にドクオはたじろぐ。
('A`;)(この人が諸本……前にプレジデントで読んだが、でけぇな)
- 472 :名も無きAAのようです:2013/05/05(日) 23:59:51 ID:jwz1.i.gO
- (´・ω・`)「ふふ、まずはジョルジュ長岡クン。はい、どうぞ」
諸本は封筒をジョルジュに渡す。そこに他意はないように見える。
_
( ゚∀゚)「ありがとう」
二人の接触を、別の意味であざとく見つめるドクオは、優勝賞品の予想をしていた。
('A` )(そういや、何が貰えるんだろ……あ、金っぽいな。膨らんでる)
そう考えているうちに目の前へとやってくる。見上げるから首が痛い。
(´・ω・`)「次は、キミか。スーパードックン」
('A`)「あ、はい」
両手に受け取るそれは軽い。ピンマイクが拾えないほど小さな声でささやかれたことのほうが、気になるほどに。
(´-ω・`)ボソッ「期待してるよ」
- 473 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:00:41 ID:6lD6P6zUO
- ('A`)(えっ……?)
(´・ω・`)「おめでとう」
何事もなかったかのように、定位置へと戻りはじめる。広い背中に礼を言う。
('A`;)「あ、ありがとうございます……」
('A`;)(なんのことだったんだろう)
(-@∀@)「諸本社長、ありがとうございます!それでは最後に、社長から重大発表があります!」
ドクオの疑念は露知らず。アサピーは言い終えるとマイクを諸本に渡した。
(´・ω・`)「えー、はい。皆さんありがとうございました。既に司会から、出演者の紹介と同時に優勝賞品について説明があったかと思いますが、私から改めて発表させていただきます」
('A`)(発表……?金じゃねぇのか、これ)
- 474 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:01:26 ID:6lD6P6zUO
- (´・ω・`)「来年の1月。全世界から集められた一番を決めるクイズ大会。通称、『シベリア』を我々VIPテレビが中継致します!」
('・ω・` )「当然、二人が優勝賞品として持っているシベリア特急券はそのためのパス……つまり」
(´・ω・`)「ジョルジュ長岡とスーパードックンの決着も、ご覧のチャンネルで見ることができます!」
��(゚A゚)(なっ……!)
(´^ω^`)「それでは皆さん、来年の1月にお会いしましょう」
(*-@∀@)「さようなら〜!」(^ー^*)
( A )(全世界でナンバーワンを決めるクイズ大会)
('A`)(シベリアに……)
(゚A゚)(俺が……参加するだとぉ!?)
ジョルジュを含めた四人が手を振る。驚愕の顔をしたドクオは、映らない――ある意味、映せない――まま、番組が終了した。
スーパードックンのようです
最終話はじまるよ!
- 475 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:02:23 ID:6lD6P6zUO
- 〜〜〜
\(*^∀^)/「おつかれー!くぅ〜!疲れました〜」
騒々しくなる番組終了後のサブ。一番大きな声でノビをしながら立ち上がったのはタイムキーパー。
( ^ω^)「ご苦労さんだお、つー」
(´・_ゝ・`)「全く、最後は急に騒ぐから焦ったぞ……社長から指示が来たから対応できたが、まさか同点で終わるとは」
(*;-∀-)「ホント、劇的な番組だったね。二度としたくない。……って来年もあるのか……」
ため息をつくのもつかの間、つーは目を輝かせながら二人に言う。
(*゚∀゚)「ねぇねぇ、この後みんなで打ち上げ行こうよ!」
- 476 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:03:09 ID:6lD6P6zUO
- (´・_ゝ・`)「悪くないな。プロデューサーはいかがです?」
(; ^ω^)「おー、悪いけど、明日からの準備があるから俺はいけないお」
(*゚ε゚)「ちぇっ、じゃあデミタス、先に着替えてくるね〜」
早々に帽子をとってスタッフの更衣室へと向かう。ため息はデミタスに伝染した。
(;´・_ゝ・`)「だからチーフと……ふぅ」
(* ^ω^)「おっおっ、元気でいいお。じゃ、俺も仕事の準備」
気がつけば他のスタッフもいない。
(´・_ゝ・`)「プロデューサー」
だから、こんなことが言えたのだろう。
(´・_ゝ・`)「辞めて、しまうんですか」
- 477 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:04:09 ID:6lD6P6zUO
- ( ^ω^)「……」
( ^ω^)「ああ」
(´ -_ゝ-`)「……」
沈黙。辞職する理由などないはずだが、長年の相棒にはわかるものがある。
( ^ω^)「お前にも世話になったお、デミタス。面倒もかけたな」
(´ _ゝ `)「私は……」
( ^ω^)「まぁ、辞めるまで時間はあるからしばらくはここに――」
(´・_ゝ・`)「ありがとうございました!」
直角に折れた姿勢は、敬意。たとえ内藤に許しがたい感情を持っていようとも関係ない。
(; ^ω^)「え!?き、急に……」
(´・_ゝ・`)「私は、あなたのやり方が嫌いだった」
(´ -_ゝ-`)「正しくないことは悪いことだと思っていた今までは……そうでした」
- 478 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:04:14 ID:QWLr0xTY0
- うはww来てるwwありがとう!
- 479 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:05:33 ID:6lD6P6zUO
- ( ^ω^)「……」
(´ ^_ゝ^ `)「でも、そうとは限りませんね。あなたが連れてきた彼を見て、思いました」
既に何も映っていないモニターを見ながら、続けた。
( -ω-)「デミタス……僕は」
(´・_ゝ・`)「あなたが悪の親玉になるのなら」
(´・_ゝ・`)「私はあなたを倒すヒーローになります」
(*´・_ゝ・`)「だから……頑張ってください、内藤さん」
( ^ω^)「……ありがとう」
二人は退室の準備を済ませ、通路に出る。そして、別々の道を歩き始めた。
- 480 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:07:10 ID:6lD6P6zUO
- 会議室の重厚な扉をノックする。間をおいて返事が聞こえてきた。
(´・ω・`)「入りたまえ」
( ^ω^)「失礼します」
通路よりも明るい室内には、諸本と、男性アイドルのような中性的な顔をした優男が閉めきられたブラインドの近くに立っている。
(; ^ω^)「こちらにいらっしゃるということで、参りましたが……この方は?」
(´・ω・`)「ああ、したらばテーマパークの責任者、茂良さんだ」
( ・∀・)「お初にお目にかかります」
歳はドクオやプギャーと変わらない程度。服装もバーゲンで購入したような既製のシャドウストライプが入ったブラックスーツに黒い内羽式プレーントゥ。真っ白のシャツと、緑のレジメンタルタイをシンプルノットで結んだそれらは、目上の人物に会ったり、何かの謝罪にやってきた人間というよりは、もはやリクルートに近い。
- 481 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:07:50 ID:6lD6P6zUO
- (; ^ω^)「は、はぁ……私はVIPテレビ、プロデューサーの内藤と申しますお」
だが、さして脅威を感じさせないにも関わらず、妙な畏怖を覚えた内藤は、名刺の肩書きと諸本の言い分に納得せざるを得なかった。
(* ・∀・)「あなたが内藤さんでしたか」
まるで何の警戒もなしに茂良は詰め寄る。少し下がって、平常心。
(; ^ω^)「なにか?」
違和感が汗をかかせる。怖いのだろうか。
(´・ω・`)「そう固くならないでくれ、内藤。茂良さんには来年の件で良くしてもらってるんだ」
( ・∀・)「面白い番組を作っていると諸本社長から伺っておりましたが、度肝を抜かれましたよ。今回の生放送には」
- 482 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:08:30 ID:6lD6P6zUO
- (; ^ω^)「お、おー……」
( ・∀・)「おっと、失礼。諸本社長に御用があったのでは。席を外しますね」
丁寧に一礼し、外へ出ていく。足音が聞こえなくなって、やっと安堵した内藤は、本題に移った。
( ^ω^)「諸本社長、折り入ってお話が」
(´・ω・`)「辞める気かい?」
(; ^ω^)「えっ……」
出鼻を挫かれ、重ねられる。
(´・ω・`)「キミがここに来てからそこそこたったけど」
(´・ω・`)「その全て良い結果を残してきた」
( ^ω^)「はっ、恐縮です。そのためにも今回の失態は……」
(´・ω・`)「たった一人の素人に崩されてしまった」
( ^ω^)「っ……」
- 483 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:08:42 ID:r1PDXLK.O
- なかなか深い話じゃないか、終わらせかたにもよるけど
④
- 484 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:09:10 ID:miftxOss0
- 久しぶりで来てたー!でも最終話とか・・
ドックン無双期待
- 485 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:09:28 ID:6lD6P6zUO
- 見透かされているように、内藤は話せない。完全に諸本のペースへとのまれていく。
(´-ω-`)「くだらんな、実にくだらない。その程度の傷でキミが辞めるなどと」
( ω )「……私は、それでも」
プライドが許さない。ここで切り返す。しかし、反対に別の方面へと話を切り返されてしまう。
(´・ω・`)「プロデューサーを一人、検討していてね」
(; ^ω^)「は……?」
(´・ω・`)「来年の1月、約一年近く準備する時間がある」
(´・ω・`)「キミのけじめはそこでつければいい」
- 486 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:10:11 ID:6lD6P6zUO
- ( ^ω^)「し、しかし……」
(´・ω・`)「何度も言わせるな、内藤。我々の仕事は数字を上げることだ。そのために必要な人材に対して私は惜しまない」
('・ω・` )「原動力になるならば、くだらないプライドも大いに結構。ただし、リベンジをしろ。最高の数字をもってな。それも嫌なら辞めてもらって構わん」
理解はしているが、納得するに至るには時間がかかるかもしれない。いずれにしてもこれ以上は話しても仕方がない。誰かに相談すべきかと思った時、相棒の顔が浮かんだ。
( -ω-)「……承知しました。ご寛大な処置に感謝します」
また彼も一礼をして、通路に出た。足音がゆっくりと消えていくのは、今から打ち上げに間に合うかどうか考えているからかもしれない。一人、残った諸本は、そんな彼の気など存じず笑う。
(*´-ω-`)「これで役者は揃ったか……フッ、来年は最高の舞台になるだろう」
その心中にあるのはVIPテレビ社長としての策略か、それとも――
- 487 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:11:59 ID:6lD6P6zUO
- 〜〜〜
もう司会も社長もいない。スタジオには数名のスタッフと話しているジョルジュと、熟考しているドクオだけ。終わってみれば殺風景。
(-A-)(シベリア……国際的に有名なクイズの大会……いや、もはや式典に、俺が)
(* ^Д^)「ドクオさん、おめでとうございます!」
急に声をかけられて、考え事もとんだ。プギャーは人懐っこそうに言った。
(;'A`)「お、おう」
( ^Д^)「いやぁ、なんとかなって良かったっす!」
('A`)「そういや、プギャーがカーチャンの手紙届けてくれたんだよな、ありがとう」
( ^Д^)「いえいえ、どうってことないっすよ!これでドクオさんもシベリア行きっすから!」
(;'∀`)「シ、シベリア行きってなんか悪意が……」
- 488 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:12:58 ID:6lD6P6zUO
- 談笑はマジシャンに止められる。二人の前で変わらず飄々と話しかけた。
_
( ゚∀゚)「スーパードックン」
('A`)「ジョルジュ長岡……」
_
( ゚∀゚)「約束通り、白髭さんのことを話そうか」
予想外のマジックに、プギャーが反応する。
(; ^Д^)「えっ、でもドクオさん優勝してるっすよ?確か負けないとダメじゃ……」
_
( ゚∀゚)「言っただろう?『勝たない』でくれと。確かに優勝はしたが、俺に勝ったわけじゃない。約束は守るさ」
(; ^Д^)(この人……時間制限で負けないつもりだったんなら、この結果も予想できたはず……本当は最初から教える気だったのかな)
_
( -∀-)「手短に話そう。あの人は――」
- 489 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:13:51 ID:6lD6P6zUO
- ('A`)「待ってくれ、話さなくていい」
凛とした声がジョルジュに届く。迷いのないそれの続きを目で促した。
_
( ゚∀゚)「ん?」
(# ^Д^)「なにいってるんすか!あんだけ知りたがってたお父さんの情報っすよ!?」
(-A-)「確かに俺は勝たず負けずで優勝した。だがな、あんたとの勝負にも勝っても負けてもいねぇ」
('A`)「シベリアで決着つけようぜ、ジョルジュ。その時に俺が勝ったら教えてくれよ」
( ^Д^)(……ドクオさん)
それはドクオがシベリアへ行くことの決意。彼は戦いの中で成長したのだろう、ジョルジュをライバルの一人と見定めていた。
_
( ^∀^)「ハハハ!これは良いね!なるほど、そうきたか」
_
( ゚∀゚)「わかったよ、じゃあ勝負はお預けだね」
('∀`)「ああ、頼むぜ」
- 490 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:14:26 ID:6lD6P6zUO
- まんざらでもなく、むしろ嬉しそうに言ったジョルジュは、後ろを向き、長い髪から横顔を覗かせる。
_
( ^∀^)「了解。あー、楽しかった。それじゃ二人ともチャオ ア プレスト!」
ゆらゆら揺れる髪を見ながら、プギャーは尋ねた。
(; ^Д^)「な、なんて言ったんすか?」
('A`)「イタリア語で、『またね』だとよ。ホント、くえねぇヤツ」
そういいながら笑う彼も、やはり楽しかったのだろう。心地よい疲れを背中を伸ばしてほぐしながら納得の言ったプギャーに向かって言う。
('A`)「さて……じゃあ俺もいくわ」
- 491 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:15:15 ID:6lD6P6zUO
- ( ^Д^)「あ、はい……あの」
('A`)「なんだ?」
( Д )「色々あって、申し訳ないやらおめでとうやら言いたいことけっこうあるっすけど、とりあえず……」
( ^Д^)「お疲れさまでした。来年お会いできたら俺のことも覚えててください」
それは初めて会った時と同じように、しかし拳は震えておらず、ただ自身の気持ちを静めるために、背中を曲げた。顔を上げれば両方笑顔。
(-∀-)「……ああ、ありがとな。あと内藤に今度会ったら、嫌味の一つでも言っとくよ」
(* ^Д^)「へへへ……あ、途中まで送るっすよ」
そして二人は歩いていく。あわただしかった、一日の終わりへと。
- 492 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:15:55 ID:6lD6P6zUO
- 〜〜〜
J( - -)し「ふにゃ〜……」
酒が抜けて睡魔が襲う。外で吐いて寝るとはただの酔っぱらいだが、幸いにして息子がそれを阻止した。
('A`;)「カーチャン!」
途中で別れ、デレの居場所を教えてもらったドクオは早足で向かう。立ち上がった彼女の前で息を整えるが、難しい。
J(# ゚-゚)し「ドクオ!!あんた勝手にこんなとこ来て、人様に迷惑かけて、しかも全国放送で顔まで出して……!!」
(>A<;)「はぁはぁ……わ、悪かったよ……でもこっちだって色々……」
- 493 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:16:54 ID:6lD6P6zUO
- 叱られながら母親の顔を見る。潤んだ瞳に見つめられては、言い返すこともできなかった。
J( 。'ー`)し「心配……したんだから」
('A`)「……」
呼吸は整った。頭もかいた。タバコは帰りに買えばいい。本の片付けも、今日の出来事も後回し。カルボナーラより好きな、カレーが待ってる。だから――
('ー`)「ただいま、カーチャン」
J( 'ー`)し「おかえり、徳雄」
今は、この余韻に浸っていたい。
スーパードックンのようです
第一部最終話おわり!
- 494 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:18:09 ID:miftxOss0
- 第一部・・・よかったwww
- 495 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:22:43 ID:r1PDXLK.O
- おっ、第二部があるのか楽しみだ
.
- 496 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:22:49 ID:6lD6P6zUO
- >>478
こちらこそありがとうございますよ!早速見ていただいて!
>>483
さすがに伏線なげっぱなしには出来ませんね。年表が頭をちらついた。
>>484
お待たせしました。が、申し訳ない。ドックン無双はしばらくお待ちを……
皆さん、見ていただいてありがとうございます。ちょっと言い訳と今後について書きますね
- 497 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:26:24 ID:/wrpg95s0
- 乙乙
次が楽しみだ
- 498 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:26:55 ID:j7HACwCk0
- ドクオとテレビ局側の二つの物語が並行してるのが良し
乙
- 499 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:27:40 ID:6lD6P6zUO
- ・言い訳
まず、このお話は…プロットっていうんですかね、構成をほとんど考えず書きました。
本来ならロマネスク戦で終わってます。
ここまでこれたのはコメントのおかげだと初めて作品を書いて実感しました。ありがとうございます。
- 500 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:33:00 ID:6lD6P6zUO
- ・今後について
NGを書かねば!!!!!早く!NGを!!!!うわぁぁあ!!!
…言い訳でもあるように、思いつきで書いていましたが、さすがに畳めなくなりました。なので、ちょっと書きためをします。
およそ1ヶ月ください。いや、長いよな…なるべく早めます。
賛否両論あるかと思いますが、よろしければ見てやってくださいな。
- 501 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:39:07 ID:6lD6P6zUO
- >>494
ごめんよ、意味深なことしてごめんよ!
>>495
きっちり終わらせますのでよろしければお付き合いください。
>>497
ありがとうございます。できるだけ急いで書きます。
>>498
下にも書きましたが、思いつきが上手くいって良かったです。ありがとうございます。
・最後に
スーパードックンが最優先ですが、もしかしたら短編で息抜きするかも知れません。お許しを…
それではNGを近いうちに。おやすみなさい。
- 502 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 00:40:48 ID:miftxOss0
- NGも面白いがやっぱ本編が見たい
第二部待ってる 乙!
- 503 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 07:25:21 ID:C0g8tb6c0
- 乙
- 504 :名も無きAAのようです:2013/05/06(月) 20:30:51 ID:JTWG.CRI0
- ありがとう、面白かったよ
そして第二部も楽しみにしてるよ
- 505 :名も無きAAのようです:2013/05/07(火) 12:13:35 ID:SpvpycMI0
- クイズの形式いろいろ増えてたらいいな
- 506 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:36:21 ID:ZcwRs.U2O
- この町のうどんはなかなかいけます。明日も行こう。
>>502
ありがとうございます!本編は現在、進捗状況10%です。早めにがんばるぞ!
>>503
今さらですが、『乙』って文化?はいいもんですね……ありがとう。
>>504
こちらこそ!第二部までしばらくお待ちを……
>>505
そう、それです!それを必死で考えてます。構想はありますが、書くにはまだおぼろげといったところですね。書きながら考えてみます。
夜中はお腹が空くね。それでは空腹の状態でNGシーンいってみよう。
- 507 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:37:44 ID:ZcwRs.U2O
- スーパードックンのようです
第一部最終話 NGシーンはじまるよ!
↓実際にはこううまくいくまい。
(*゚ー゚)「では、この瞬間を最も伝えたい人はいますか?」
('A`)「あ、あー……」
考えながら、もう決まっている言葉をどう伝えるべきか迷った。だから、あまり飾らず言った。
('A`)「カーチャン、俺……がんばったよ。なにがなんだかまだよくわからないけど、勝っちまった。応援サンキュ」
(*゚ー゚)(スーパードックン……マザコンかしら)
(*゚ー゚)(家ではこんな感じなのかな……)
- 508 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:38:34 ID:ZcwRs.U2O
- 〜〜〜
J( 'ー`)し「ドクオちゃん、起きなさい」
('A`)「やーの!まだ寝るんだい!」
J( 'ー`)し「もう、仕方ない子ねぇ」
('A`)「おんぶ!おんぶおんぶ!」
J( 'ー`)し「あらあらうふふ、ほら、どうぞ」
(*'A`*)「わーい!」
〜〜〜
(;゚―゚)(うわ、気持ちわる……)
(*-ー-)(……私とは大違いね)
- 509 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:39:47 ID:ZcwRs.U2O
- 〜〜〜
椎名 十三歳。
J(悪 'ー`)し「おら!酒はよ買ってこいや」
(*;゚ー゚)⊃⑩「お、お母さん、これじゃ買えないよ……」
J(悪 'ー`)し「んだと、てめぇ……金がねぇなら盗んでこいよクズが」
(*゚ー゚)「そんな……」
J(悪 'ー`)し「言うこと聞かねぇとぶっ殺すぞ」
(*;-ー-)「わ、わかり……ました」
- 510 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:40:31 ID:ZcwRs.U2O
- 〜〜〜
(*;゚ー゚)(どうしよ……私、このままじゃ殺されちゃう)
(・∀ ・)「ねぇねぇ、一人?」
(*゚ー゚)「えっ……」
(;;・∀・;;)「お兄さん達と一緒に遊ばない?」
(*;゚―゚)「い、嫌です」
(・∀ ・)「つれねぇこというなよ、こいよ」
(*;>ー<)「は、離して……!」
- 511 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:41:14 ID:ZcwRs.U2O
- ( )「君たち、待ちたまえ」
(・∀ ・)「あ?誰オッサン」
( )「嫌がってるじゃないか」
(#・∀ ・)「マジうぜぇんだけど、ちょっと殴らせて」
(; )「き、君たち、暴力はいけな」
(・∀ ・)「おらっ!」
(;;>―<)「きゃっ!」
- 512 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:41:44 ID:ZcwRs.U2O
- (;>ー゚)チラッ(お、おじさん……殴られちゃっ……)
(;・へ ・)「あ、いでででで!」
( )「言ったのに。暴力はいけないって」
(#;;・∀・;;)「て、てめぇ!」
( )「ふん」
(;; ゚∀゚ ;;)「ぐわっ!」
(*;゚ー゚)(殴ってもないのに、なんで……)
- 513 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:42:32 ID:ZcwRs.U2O
- ( )「まだやるかい?」
(#・∀ ・)「ちっ、行こうぜ」
( )「ふぅ、全く困ったものだ」
(*゚ー゚)「あ、あの……ありがとうございます!」
( )「気にしないでくれ。それより、君……その首のケガは今つけられたものじゃないね」
(*゚―゚)「……う」
( )「よければ話してくれないか?力になれるかもしれない」
- 514 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:43:07 ID:ZcwRs.U2O
- (* ― )「……」
( )「ああ、申し遅れた。私はこういうものだよ」
(*゚ー゚)「……え、アナウンサー!?」
(-@∀@)「うん。浅井っていうんだ。アサピーって呼んでね」
- 515 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:43:49 ID:ZcwRs.U2O
- 〜〜〜
(*゚ー゚)(あれからだいぶ経ったわ……私がここに居られるのも、アサピーさんのおかげ)
(*゚ー゚)(時々、うっとうしいけど、本当に感謝して)
(*-@∀@)、、「さすがは言葉の魔術師!良いコメントをありがとうございます」ペペペ
(*.、゚ー゚.)ピチャビチャビチャ
(#.、゚ー゚.)
合気道三段のアサピーが、しぃの家庭を救ったのはまた別のお話。
おわり
- 516 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:44:31 ID:ZcwRs.U2O
- 最終話 take2↓飛ばないように気を付けよう。
(*゚ー゚)「では、この瞬間を最も伝えたい人はいますか?」
いったいどんなマジックを出してくるのか、全員が見守るなか、意外にも単純。
_
( -∀゚)「そうだね……ショボン。約束通りだ、とだけ言っておこうかな」
(´・ω・`)(ふふ、さすがジョルジュ。ウィットに富んでいるじゃないか)
ともすれば、ドクオよりも簡潔で捉えようのないその一言に、アサピーは動揺しつつもフォローする。
(;-@∀@)「おぉ、友人のあだ名でしょうか。呼ばれた君はラッキーだぞ〜」
(#´・ω・`)(ああ?)
- 517 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:45:18 ID:ZcwRs.U2O
- (´・ω・`)(アサピー、干すぞこら)
(´・ω・`)(だいたい、お前はつばを飛ばしすぎなんだよ。一時期、唾吐きアサピーってあだ名流行ったのお前知らないだろ)
(´・ω・`)(お前が出席した会議じゃ、机が水浸しで掃除が大変とか言ってたぞ)
(#´・ω・`)(そもそも今日日、牛乳ビンのフタみたいなメガネしやがって)
(#´・ω・`)(かち割るぞ、あ?)
- 518 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:45:51 ID:ZcwRs.U2O
- (*゚ー゚)「ありがとうございます。それでは、優勝賞品の授与に参ります。VIPテレビ社長、諸本さん、お願い致します!」
カメラ側から歩いてきた二つの封筒を持つ大柄の男は、アサピーとしぃの間に入り、言う。
(´・ω・`)「二人とも、かち割るぞ」
_
(; ゚∀゚)(;-@∀@)「!?」('A`;)(゚ー゚;)
(´・ω・`)「……あ」
おわり
- 519 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:46:33 ID:ZcwRs.U2O
- 最終話 take3↓今さらながら全角の使い方を学びました。
(´ -_ゝ-`)「正しくないことは悪いことだと思っていた今までは……そうでした」
( ^ω^)「……」
(´ ^_ゝ^ `)「でも、そうとは限りませんね。あなたが連れてきた彼を見て、思いました」
既に何も映っていないモニターを見ながら、続けた。
( -ω-)「デミタス……僕は」
(´・_ゝ・`)「あなたが悪の親玉になるのなら」
( ^ω^)「あの……」
(´・_ゝ・`)「私はあなたを倒すヒーローになります」
( ^ω^)「いや、僕は」
(*´・_ゝ・`)「だから……頑張ってください、内藤さん」
( ^ω^)「聞けよ、おい」
- 520 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:47:19 ID:ZcwRs.U2O
- (*´・_ゝ・`)「え、辞めちゃうんでしょ?」
(; ^ω^)「なんでちょっと嬉しそうなんだお。……まぁ確かに辞めるつもりだけどさ、引きとめられるかもしれないじゃん」
(´^_ゝ^`)「まさかぁ、大丈夫ですよ」
( ^ω^)「おい、どういう意味だお」
(´・_ゝ・`)「辞めたいって言ったら辞められるに決まってるじゃないですか。当然の権利です」
- 521 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:48:03 ID:ZcwRs.U2O
- ( ´ω`)「盛岡、まだ社会人なめてんのかお?俺が居なくなったらどうやって局をまわして……」
(#´−_ゝ−`)「出た出た、社畜精神。私はそれが大嫌いなんです。自分の穴くらい誰かが埋める、埋められなければ会社が悪い。当たり前でしょう?」
(# ^ω^)「よーし、そこまでいうお。俺がもっかい鍛え直してやる必要があるおね」
(#´・_ゝ・`)「はん、あなたに教えてもらったことはたくさんありますが、これ以上は自分で見つけます。いずれあなたをぶちのめすくらいになりますよ」
- 522 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:48:44 ID:ZcwRs.U2O
- ( ^ω^)「もう怒ったお、……行くぞ、打ち上げ」
(´・_ゝ・`)「はい?」
( ^ω^)「お前と俺でどちらが酔い潰れるか勝負するお。負けたほうが参加者全員の代金を支払う」
(;´・_ゝ・`)「さ、参加者全員……」
(* ^ω^)「怖気づいたお?まだまだペーペーのデミちゃんにはきっついかもしれんお〜♪」
(;´・_ゝ・`)「い、いいでしょう。ヒーローは酒にも強いんです。悪党に負けるわけがない!」
( ^ω^)「ふん、吠え面かかせてやるお。さぁ、とっとと片付けていくお!」
(´^_ゝ^`)「……はい!」
二人は退室の準備を済ませ、通路に出る。そして、『同じ道』を歩き始めた。
おわり
- 523 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:49:35 ID:ZcwRs.U2O
- 最終話 take4↓やまなしおちなし。
(´・ω・`)「何度も言わせるな、内藤。我々の仕事は数字を上げることだ。そのために必要な人材に対して私は惜しまない」
('・ω・` )「原動力になるならば、くだらないプライドも大いに結構。ただし、リベンジをしろ。最高の数字をもってな。それも嫌なら辞めてもらって構わん」
( ^ω^)「わかりましたお、辞めます」
('・ω・` )「うんうん、わかってくれれば」
(;´・ω・`)「え!」
- 524 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:51:19 ID:ZcwRs.U2O
- ( ^ω^)「私のプライドはズタズタです。リベンジする気力も残っていませんので、残念ですが……」
(;´・ω・`)「い、いやぁ、あのさ。もうちょっと考えてみてよ。ほら収入なくなるじゃん」
( ^ω^)「恐れながら独身で貯蓄がありますので……」
(´・ω・`)「だ、だからってすぐ辞めてもらっては困る」
( ^ω^)「はい。引き継ぎは抜かりなく一ヶ月で完了させます。後任には盛岡を推薦する所存です」
- 525 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:52:37 ID:ZcwRs.U2O
- (;´-ω-`)「お前……一ヶ月で引き継ぎって簡単にいうがなぁ」
( ^ω^)「万が一を考え、いつでも引き継ぎができるよう準備をしておきましたから」
(;´・ω・`)「優秀な……わかった、待遇を変えよう。役員も視野に検討」
(^ω^ )「申し訳ございませんが、辞退させていただきます。失礼します」
バタン
(´・ω・`)「……」
(*´-ω-`)「これじゃ役者は揃わんな……フッ、来年は……」
(´゚ω゚`)「……どうしよ」
その心中にあるのは経営者の悲しき運命か、それとも――
おわり
- 526 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:53:33 ID:ZcwRs.U2O
- 最終話 take5↓別に本編には絡みません。
居酒屋『ニュックン』は彼ら裏方達の行きつけである。座敷に二十人ほど入っても余裕のある広さにつーは浮かれていた。
(*゚∀゚)「スゲー!広くていいね!」
今までは都合で来れず、初めて訪れた空間で騒いでいる彼女を、腕組みをしてあぐらをかいているデミタスがたしなめる。
(´・_ゝ・`)「あんまりはしゃぐなよ、みっともない」
各々が会話をしていると、ふすまが開き、大将である丹生(にゅう)が注文をとりにやってきた。
- 527 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:55:10 ID:ZcwRs.U2O
- ( ^ν^)「ご注文は?」
着流し姿の青年は、メモを持たず立ったまま全員に問う。声が小さくて遠くの人物には聞き取れなかったが、雰囲気で察し、どんどん飲み物や料理を注文していく。
(*゚∀゚)「あの人、何も書かずに大丈夫なの?」
(´・_ゝ・`)「そういえば、初めてだったな。まぁ見てろ、問題ないから。……っと、生中一つ!」
デミタスが横で丹生に向けて叫ぶ。無愛想な顔は変わりなく頷いたのでつーも言った。
- 528 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:55:57 ID:ZcwRs.U2O
- (*-∀゚)「えっと、じゃあねぇ……たこわさ、いかのてんぷら、砂肝、冷奴、ポテト盛り合わせ、おでん盛合せ、焼きそば、豚しゃぶ、焼き餃子、ソーセージ盛合せ、カキフライ、海鮮サラダ、プリン、湯豆腐、刺身盛合せ、チヂミ、じゃがバター、シーザーサラダ、イカ一夜干し、手羽先から揚げ、アスパラベーコン、しめ鯖、バニラアイス、だし巻き玉子、抹茶アイス、野菜スティック、鶏軟骨からあげ、子持ちししゃもと冷奴!以上!」
早口でまくしたてたのは意地悪。もちろん、丹生のその表情を愛想笑いにでも変えれば少しは和むだろうという、つーなりの優しさだった。しかし、彼は笑うでもなく頷き、言った。
( ^ν^)「冷奴、二つあるけど」
(*;゚∀゚)「え、あ……じ、じゃ一つ取り消しで!」
- 529 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:57:01 ID:ZcwRs.U2O
- とっさの返答は注文の確定を意味する。丹生はそのままふすまを閉じると厨房へと戻っていった。
(*;゚∀゚)「信じらんない……あれ、さっきの含めたみんなの全部、完璧に覚えてるの?」
(´^_ゝ^`)「ハハハ、だから問題ないといったろう。私もここで一度にそれなりの量を注文するが、彼は一回も間違えたことはないぞ。無愛想だが仕事は完璧だ」
(*゚∀゚)(うわぁ〜……スーパードックンとどっちがスゴいかな?)
(´・_ゝ・`)「それより、つー」
(*゚∀゚)「ふぇ?」
(´・_ゝ・`)「お前、食えよ。全部」
- 530 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:57:52 ID:ZcwRs.U2O
- ��(*゚∀゚)「……あっ」
彼女の泣き顔にはかなわない。出された料理は、スタッフ一同がおいしくいただく他なかった。
〜〜〜
( ^Д^)「……いいんすよ、別に、俺は。したっぱだし?忘れられててもなんも気にしてないっすよ、全然余裕っすよ」
( 。^Д^)グスン
おわり
- 531 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:58:48 ID:ZcwRs.U2O
- 最終話 take6↓初めておっきなAAを貼りました。
( ^Д^)「いやぁ、なんとかなって良かったっす!」
('A`)「そういや、プギャーがカーチャンの手紙届けてくれたんだよな、ありがとう」
( ^Д^)「いえいえ、どうってことないっすよ!これでドクオさんもシベリア行きっすから!」
(;'∀`)「シ、シベリア行きってなんか悪意が……」
( ^Д^)「これでドクオさんもホワイトウルフの一員っすね!」
('A`)「へ?ホワイトウルフ?」
- 532 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 00:59:49 ID:ZcwRs.U2O
- ( ^Д^)「シベリアで活躍するためには、全世界の人と会うから特殊訓練を受ける必要があるんす。もちろん現場スタッフだって受けてます」
('A`)「は、はぁ……初めて聞いた」
( ^Д^)「へぇ〜ドクオさんも知らないことあるんすね。とりあえず一日のメニューを教えるっす」
( ^Д^)「まず、朝四時起床」
('A`)(いつもなら起きてる時間だ)
( ^Д^)「四時五分に全員集合」
('A`)(五分で準備か……)
( ^Д^)「そこから三時間マラソンをして……」
('A`;)「は!?なにそれ、軍隊じゃねぇか」
- 533 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:00:31 ID:ZcwRs.U2O
- (# ^Д^)「そんなやわなもんじゃないっす!続けますよ」
('A`;)(軍隊を、やわって……)
( ^Д^)「マラソンが終わったら、腕立て伏せ一万回、腹筋五千回、スクワット三千回を一時間以内にやるっす!」
(゚A゚;)「待てぇ!死ぬ!不可能だ!」
(; ^Д^)ハァ「ドクオさん……朝の準備体操で死ぬわけないじゃないっすか」
(゚A゚;)(準備体操!?三途の川を渡るための体操か!?)
- 534 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:01:11 ID:ZcwRs.U2O
- ( ^Д^)「で、そのあと山を登ります。服装や持ち物は問いません」
('A`;)「ああ、ようやくまだマシな訓練が出てきたな」
(* ^Д^)「そうっすね、三十分以内に山頂についたらオッケーなんで」
(゚A゚#)「さ、三十分!?普通、標高二千メートルなら五、六時間はかかるぞ!?」
( ^Д^)「そりゃ普通にしてたらかかりますけど、訓練っすから」
(-A-;)「……ちょっと待て、仮に制限を破ってしまったらどうなるんだ?」
( ^Д^)「ああ、そういう時は楽になりますよ。救済処置ってやつですね」
- 535 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:01:58 ID:ZcwRs.U2O
- ('∀`;)「そ、そうか……具体的にどれくらい楽になるんだ?」
( ^Д^)「一瞬で楽になります」
('∀` )「……それって、もしかして安楽……」
( ^Д^)「銃殺っす」
��(゚A゚;)「撃ち殺されんの!?そりゃ一瞬で楽になるけどさ!」
(* ^Д^)「参加者がやるんで、自分がこうならないように引き締める意味合いも兼ねてます」
(>A< )「それ最上級のトラウマだろ!治外法権のトラウマ!」
- 536 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:03:02 ID:ZcwRs.U2O
- ( ^Д^)「あ、話それたっすね、えっと次は……」
('A`)「もういいよ……で、それやったらなんの意味があるんだよ。だいたい全世界の人に会うなら言葉や文化を覚えるだけで十分じゃねぇのか?」
( −Д−)「甘いっすよ、ドクオさん。この過酷な訓練を終えれば……全世界の人と会った時に必ず有利になる要素があるっす」
('A`)(どうせ、度胸がつくとか、動じなくなるとかそういうのだろ)
( ^Д^)「精神面が鍛えられますが、何よりのメリットは……」
('A`;)(あれ?なんだ、違うのか……いったい何が得られ)
- 537 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:03:39 ID:ZcwRs.U2O
- (* ^Д^)「筋肉っす!!」
('A`)「 」
(* ^Д^)ヌギッ!「筋肉がつくっすよ!見てください!」
('A` )スタスタ
(* ^Д^) n
⌒`γ´⌒`ヽ( E)
( .人 .人 γ /
=(こ/こ/ `^´
)に/こ(
「この筋肉があれば誰にも負けないっす!パワーっす!服じゃなく肉のパワードレッシングっす!」
- 538 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:04:22 ID:ZcwRs.U2O
- A` )スタスタ
(* ^Д^) n
⌒`γ´⌒`ヽ( E)
( .人 .人 γ /
=(こ/こ/ `^´
)に/こ(
「あれ、ドクオさん。どこいくんすか、ねぇ!この外腹斜筋と内腹斜筋の………」
おわり
- 539 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:05:03 ID:ZcwRs.U2O
- 最終話 Last take↓ホントに最後は締まらない。
J( 。'ー`)し「心配……したんだから」
('A`)「……」
呼吸すれば三半規管に刺激がくる。頭もいたくなるほどに。タバコをすぐ吸いたい。アレの片付けや、掃除はプギャーがしてくれたのか。カルボナーラより好きな、カレーも食べたくない。とにかく――
('ー`)「カーチャン、臭い」
J( 'ー`)し「ごめんね、カーチャン盛大にやらかしてごめんね。フローズンダイキリ飲みたい」
今は、帰ってさっさと風呂に入ってもらいたい。
おわり
- 540 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:07:17 ID:ZcwRs.U2O
- 眠気がすごい。もう少しだけ投下するものがありますが、ごめんなさい、明日にさせてぐさい。
おやすみなさい。
- 541 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:08:17 ID:iEXpBF1.0
- >>516-525辺りのテンポの良さが特に心地良い
乙
- 542 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 01:10:59 ID:p71eShdYO
- 本編以外の力の入れようが、コン部<スーパードックンなのはわかった
- 543 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 05:50:46 ID:2XrKqktM0
- おつ
- 544 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:33:29 ID:ZcwRs.U2O
- 540の明日にさせてぐさい←まぶたがほとんど開いていませんでした。すみません。
>>541
ありがとうございます。オチが思いつかないときは、ノリでしのぎます。たまには爆発させればいいのかな。
>>542
コン部さんのキャラやステマ、面白いですよね。早く続きが見たい……って私も急いで書かねばっ!本編!シリアス成分!
>>543
あざっす!今日はゆっくりできる日なので、ちょっとだけ今から投下します。
- 545 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:34:52 ID:ZcwRs.U2O
- スーパードックンのようです
おまけ↓たくさんのキャラを動かす練習を兼ねてます。が、なにも考えてません。無です。だらだら書いてます。私はあいのりも好きでした。
某所
(-@∀@)「こ、ここは……」
(*゚ー゚)「どこなんでしょう?」
ノパ⊿゚)「なんだ、なんだぁ!?」
o川*゚ー゚)o「なんか集められたけど……クーちゃんなんか知ってる?」
川 ゚ -゚)「知らん。他の人に聞いてくれ」
- 546 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:35:54 ID:ZcwRs.U2O
- _
( ゚∀゚)「ふー、まったく、突然だからね、俺もよくわからないや。杉浦先生は何かご存じで?」
( ФωФ)「知るか。おおかた良からぬことだとは思うが」
( ^ω^)「おっおっ、みんなわからないお〜」
(´・_ゝ・`)「少なくとも、今回の番組に関係した人物が集まっているのは確かなようですね」
(*;゚∀゚)「めんどー!早く帰りたいのに〜」
( ^Д^)「あ、誰か来たっすよ……あ、あれは」
- 547 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:37:20 ID:ZcwRs.U2O
- デデーン!ζ(゚ー゚*ζ「初めまして〜スーパードックンの母、デレでーす」
(; ^Д^)「お、お母さん!?」
_
(* ゚∀゚)「ヒュー、こりゃスーパードックンも幸せもんだな」
( ФωФ)「して、貴女が我々を集めたのかね?」
ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと違いますね。私はアシスタントです」
(*゚ー゚)「アシスタント?」
ζ(^ー^*ζ「はい、今回集まってもらった皆さんでクイズをしてもらうための助手です」
(-@∀@)「我々の立場と似た感じですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、そんなところです」
(*゚ー゚)(悔しいけど、キレイね……)
- 548 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:38:02 ID:ZcwRs.U2O
- o川*゚ー゚)o「ふぅん、じゃあ主催者は誰!」
ノハ-⊿゚)「まぁだいたい」
川 ゚ -゚)「予想はつくがな」
o川;゚ー゚)o「え、あたしだけ?あたしだけ分かってないの?」
みんな「うん」
o川*;ー;)o「びぇぇぇん!」
( )「おいおい、始まる前から荒れてんじゃねぇか」
o川*;ー゚)oヒックヒック「そ、その声は……」
( )「いいぜ、俺がここに集まった奴らに『クイズ』を教えてやる」
('A`)ババーン!「この、スーパードックンがな!!」
- 549 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:38:41 ID:ZcwRs.U2O
- o川*゚∀゚)oキャー
(*゚∀゚)オッ スパドクガキタキタ
二人以外<シーン……
(;'A`)「いや、そういうリアクションやめてくれよ」
(; ^Д^)「だって……」
(*;゚ー゚)「ねぇ」
(*゚∀゚)ワーイワーイ
o川*////)oドキドキ
ノパ⊿゚)「スーパードックン、とりあえずさっさと進めてくれ!」
(*゚ー゚)「何か知らないけど、これ終わらないと帰れないんでしょ?」
( ^ω^)「巻いていこうお」
みんな<ブーブー
- 550 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:39:43 ID:ZcwRs.U2O
- (゚A゚)「おまえら全員ダメだ!!!」
みんな<ビクッ!!
('A`#)「いいか、各々が自分の力を出し切って頑張ったと思ったら大間違いだぞ」
_
(; ゚∀゚)「な、なにが言いたいんだい?」
(#'A`)「反省会だ、クイズ形式の反省会するんだ。カーチャン、ルール!」
ζ(゚ー゚*ζ「はいはい。皆さんには出題される問題を、今から渡すフリップに回答を書いて頂いて、書けた人は挙手してお答えいただきます。正解すればポイントが入って、最終ポイントが一番高い方が優勝です」
- 551 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:40:27 ID:ZcwRs.U2O
- (;-@∀@)「う、内《ピー---》じゃないか……あれ?」
('A`)「アサピーさん、あんまりややこしいこと言うと音入るから気を付けて」
(-@∀@)(どこから音が……)
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ皆さんにフリップとペンを配りまーす。並んで並んで」
- 552 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:41:33 ID:ZcwRs.U2O
- 〜〜〜
('A`)「さっそくいくぞ!第一問!カーチャン、問題!」
ζ(゚ー゚*ζ「はいはい……えーっと、スーパードックンが楽屋に連れていかれたときの所持金をお答えください」
( ^Д^)(おっ!これは俺しか知らないはずっす!)
( ^Д^)φカキカキ
( ^Д^)「はい!」
('A`)「はい、プギャーくん」
(* ^Д^)⊃バン[37円]
- 553 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:43:20 ID:ZcwRs.U2O
- ('∀`)「ブッブー!!」
(; ^Д^)「え、いや確かに37円だったっすよ!バリバリの財布にそんだけしか入ってなかったっす!」
みんな<うわぁ……
(;゚A゚)「ばかやろー!!バラすな!カーチャンが悲しむ!」
ζ(゚ー゚;*ζゴメンネ カーチャン オカネワタサナクテ ゴメンネ
( ^Д^)(クイズなんすからそんなこと言われても。つか合ってんじゃないすか)
川 ゚ -゚)∩「ふむ……はい」
- 554 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:44:13 ID:ZcwRs.U2O
- 川 ゚ -゚)∩(これは、あれだな。面白おかしく書かないといけないはずだ)
川*゚ ー゚)∩(フフッ、これなら間違いあるまい)
('∀`*)「おっ、クーちゃん!」
川*゚ ー゚)
川#゚ -゚)イラッ
川 ゚ -゚)φシュッシュッ カキカキ
('∀`*)「ク、クーちゃん?なんで書きなおしてるのかなぁ?ねぇ、クーちゃんってば」
川 ゚ -゚)⊃バン[死ね]
(゚∀`*)グハッ!
川 ゚ -゚)(誰がクーちゃんだ、誰が)
- 555 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:45:24 ID:ZcwRs.U2O
- ('A`#)「クーちゃんマイナス100ポイント!!」
川;゚ -゚)「なっ!?」
('A`)「死ねなんて書いちゃいけません!!傷つく!!」
みんな<(……)
('A`)「はい、他にわかる人いないの?いない?じゃあ正解を発表します」
(-A-)「正解は……」
- 556 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:46:17 ID:ZcwRs.U2O
- ('∀`)「1037円でしたぁ!」
(# ^Д^)「そ、そんなになかったっすよ!!」
(*'∀`)「ジャージのポケットに緊急用の金入れてんだよ。ひっかかったな!!ケヘヘヘ!」
(*'∀`*)「あー楽し!おまえらおちょくんの最っ高に面白いわ!!たまんねぇ!!おら、次行くぞ!」
- 557 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:47:12 ID:bkpumMaI0
- (*'∀`*)←すげえ良い笑顔でワロタ
- 558 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:47:53 ID:ZcwRs.U2O
- 〜〜〜
ノパ⊿゚)「なぁ」
川 ゚ -゚)「ああ」
o川*゚ー゚)o「うん」
(-@∀@)「これは」
(*゚ー゚)「絶対」
(*゚∀゚)「徹底的に」
( ФωФ)「完膚なきまでに」
_
( ゚∀゚)「潰すしか」
( ^Д^)「ないっすね」
( ^ω^)「おっ」
(´・_ゝ・`)(なるほど、ポケット……そういうのもあるのか)
[第二部終了後、つづく]⊂ζ(^ー^*ζ
- 559 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 12:56:02 ID:ZcwRs.U2O
- >>557
ドックンも色々溜まってます。楽しそうな彼も人の子。
このおまけは練習が主なので今のところ続きはないですが、第二部が終われば書きます。先送り。
さて、これにて第一部に関しての番外は全て終了しました。これからは本編を書きためしていきます。
進捗状況はちょくちょく書きにきますので、よろしくお願いします。
- 560 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 13:03:50 ID:bkpumMaI0
- 乙
二部も楽しみ
- 561 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 13:16:17 ID:Kfg7qOEM0
- 乙
- 562 :名も無きAAのようです:2013/05/08(水) 13:42:20 ID:2XrKqktM0
- おつおつ
- 563 :名も無きAAのようです:2013/05/10(金) 00:07:05 ID:fzRpI0e20
- 乙!
- 564 :名も無きAAのようです:2013/05/14(火) 00:39:21 ID:wD4oRjW.O
- ご無沙汰しております。
現在、進捗状況20%
出だしや話の核は決まりましたが、なかなか難しいですね。書くときは一気に書くので次に報告する時は上昇率が上がるようがんばるぞ!
それでは、おやすみなさい。
- 565 :名も無きAAのようです:2013/05/14(火) 00:50:15 ID:Uqc5Hng60
- おやすみなさい
- 566 :名も無きAAのようです:2013/05/14(火) 00:50:47 ID:gQ2DIK2s0
- おやすみなさぁい
- 567 :名も無きAAのようです:2013/05/14(火) 01:25:06 ID:qt2vaP5YO
- >>564
そのペースだと100%は6月6日になるじゃねぇか
がんばって今月中に頼むよ
.
- 568 :名も無きAAのようです:2013/05/14(火) 12:20:20 ID:GLZ5RsHE0
- 200%でもいいのよ
- 569 :名も無きAAのようです:2013/05/20(月) 22:34:52 ID:1gpmKGfgO
- またまたご無沙汰しております。忙しいですが、軌道に乗ってきました。進捗状況70%くらいかな。
>>565 >>566
ちょっとキュンとしてしまいました。
>>567
5月中に出来るよう頑張ります!多分ギリギリかも。遅くなったらごめんなさい。
>>568
本編とNGシーンで200だ!わぁ!
……しっかり完成度をあげます。お待ちください。
それではおやすみなさいませ。
- 570 :名も無きAAのようです:2013/05/20(月) 22:36:44 ID:8DC1NQi20
- たまたまリロったら報告来てた
おやすみ
- 571 :名も無きAAのようです:2013/05/20(月) 22:37:34 ID:s.Rnsufw0
- おやすみ
楽しみにしてるからな
- 572 :名も無きAAのようです:2013/05/22(水) 02:50:06 ID:WzTX88j60
- 一番楽しみな現行 待ってる
- 573 :名も無きAAのようです:2013/05/28(火) 19:56:17 ID:ZQ4TWVAI0
- まだかなまだかな
- 574 :名も無きAAのようです:2013/05/28(火) 22:01:32 ID:ukxjlbaY0
- 頼むぜ頼むぜーはよはよ
- 575 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:41:14 ID:ZAcu9QnUO
- 毎度、ご無沙汰しております。
結論から言いますと、月末までに全て仕上げることは出来ません。
なので、誠に勝手ながら、今から投下します。続きは追々。行き当たりばったり。
- 576 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:41:50 ID:ZAcu9QnUO
- あれは冬から春に替わる頃だった。全国規模のテレビ局であるVIPテレビが歴代ベスト5の瞬間視聴率をたたき出したこと。
テレビ・ラジオ・新聞・ネット――およそ考えられるメディアで報じられた全国VIPクイズ選手権。
番組の趣旨は生放送でクイズ番組という今までであってもおかしくない──全国初を謳っているが、紐解けばあったかもしれない──内容で、ラテ欄をみて興味をひかれたのは、クイズが好きな人や、出演する芸能人目当て程度だった。
それがどうして、結果として大成功したのは一人の素人によるもの。
- 577 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:42:19 ID:ZAcu9QnUO
- その人物は男だった。ボサボサの髪をよくかきむしり、黒いジャージ姿の痩身でいかにも今時の若者。もちろん彼が今までで世間に名を残したことなどない典型的な一般人。
相対したのはクイズ界の大御所にインテリアイドル、そして未だ問い合わせが殺到している謎に満ちたマジシャン。
誰の目に見ても、また初めからそれを八百長だと穿っても、いずれその男がテレビから消えることは明白だった。
- 578 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:42:48 ID:ZAcu9QnUO
- そんな誰からも期待をされていなかった彼が、あまつさえ優勝してしまったのだから、その過程を途中から見始めるものがいたことも納得できる。
男の特徴はサヴァン症候群。一度見たものを完璧に記憶する一種の天才。
男の名前は宇都宮ドクオ。そして、彼を呼ぶものはテレビ局の人間が適当につけた名前で皆、こう言う。
スーパードックンと。
スーパードックンのようです
第二部 第一話はじまるよ!
- 579 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:43:22 ID:ZAcu9QnUO
- 〜〜〜
('A`)「うぃー、さみぃー」
始発前、駅のホーム。まだ薄暗い中、端で場違いな格好をしてタバコを吸っている。幸い、人はいなかった。目的地へ行くには今から目の前に来る電車と、主催が用意したヘリに乗らなければならない。
礼服。シャツは白いレギュラーカラー。アイボリーのソリッドタイをプレーンノットで結んでいる。
手には黒いビジネスバッグ。弁当も入るが、中には分厚いチケットだけ。その姿は、仕方がないから結婚式に出向くような普通のフォーマル。
- 580 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:44:04 ID:ZAcu9QnUO
- これから向かう場所は特にドレスコードなどないが、母親であるデレがこれを着ていきなさいとうるさかったため、しぶしぶ。さすがにタキシードを勧められた時は断固として断った。
('A`)「あー、めんどくせぇ」
このホームに吸殻入れはない。しかし、禁煙とも書かれていないので、彼は吸殻を一度地面に落とし、履きジワとソールのすり減りが目立つ内羽根式の黒革靴で火を消すと、スラックスのポケットから携帯灰皿を取り出し、始末した。
('A` )(あれから一年か……)
あの生放送が終わった後は大変だった。どこで知ったのか、連日のようにマスコミが自宅を訪ねてくる。
- 581 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:44:33 ID:ZAcu9QnUO
- インターネット上での個人情報などある意味皆無だと知っている彼でも、実際に事が起きるのは初めて。
取材を申し込んでくる記者達に怯えながら、おちおちコンビニにも行けない彼は、デレが全て対処してくれるのをいいことに、絶賛引きこもっていた。おかげでまた知識量が増えたのは皮肉。
(-A-)(ジョルジュ……待ってろよ)
人の噂もなんとやら。半年もすればしがらみは減った。ずっとこのままでいても良かった。しかし、彼には約束があった。
あの戦いで交わしたジョルジュ長岡との再戦の誓い。それがドクオをここに来させている。物憂げな顔をしながら、またハイライトを口に咥える。百円ライターの簡素な音が響いた。
- 582 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:45:07 ID:ZAcu9QnUO
- ('A` )(……そういや、親父もハイライトだったな……)
戦いの目的は決着と、そして知ること。ジョルジュに勝てば長年、知らなかった父親についての情報が得られることも、彼が遠方に赴く理由の一つだと紫煙を燻らせながら明るくなってきた空を見て思う。吸い終わったそれをまた同じように始末したころ、ホームに機械音声が流れた。
('∀`)(ま、がんばりますか)
目の前に開くは、長い一日の始まりか。窓にうっすらと映る自分を見て、ネクタイを直したドクオは電車に乗り込んだ。
- 583 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:46:30 ID:ZAcu9QnUO
- 〜〜〜
座席は全く埋まっていない。ボックス式の席に座っていて、消えていく景色を仏頂面で眺めている。
なのに、なぜドクオの隣に人がいるのか。
( l v l)「難しいなぁ」
('A`)(うわぁ……)
目的地である雨蔵駅まで50分を切った頃、うつらうつらとしているドクオの横で人が座る音がしたので、何事かと見ていれば中年の男性が息を吐きながら雑誌を読んでいた。ねずみ色のくたびれた無地スーツ。じろじろ見るのも失礼だが、靴は目に入ってくる。コンバースの黒シューズだった。色々な意味でスポーティー。
('A`;)(なんなんだこのおっさん)
- 584 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:47:07 ID:ZAcu9QnUO
- 区切るように男性の黒いカバンが、大きさのあまりドクオを圧迫する。トンネル内で窓に反射した雑誌がクロスワードパズル集で、彼が必死にシャーペン──ノック部分に消しゴム付き──を使って問題を解いているのがわかった。
('A`;)(まれにいるらしいな……こうやって空いてるのにわざわざ人の横に座る奴)
怪訝な視線を送れる度胸はない。諦めて景色を楽しもうと切り替えるがどうにも落ち着かない。
( l v l)「うーん、縦のカギが……あれ?じゃあこっちがおかしいから……」
電車の揺れる音に消されない程度の声量で呟く。うるさい。
- 585 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:47:47 ID:ZAcu9QnUO
- (* l v l)「あー、じゃ、こっちだ。こっちのカギが……あ!違う!これはこの答えで……」
('A`#)イライラ
( l v l)「よしよし、これで……ええ?違うなぁ……」
('A`#)イライライラ
(# l v l)「あー、わからん!わからんぞぉ!」
('A`#)「おっさんうるせぇよ!」
ついに我慢できなくなったドクオは声を荒げる。初めこそ驚いた男性は、相手が年下だと認知すると反論した。
(# l v l)「なんだ君は!私はクロスワードを解いていただけだぞ?」
('A` )「なら静かにやってくれよ、他の座席空いてるだろ」
( l v l)「生意気な奴だな。敬語も使えないのか。これだから近頃の若者は……」
- 586 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:48:41 ID:ZAcu9QnUO
- 正論にぶつける言葉がでない男性は、論点をすり替え応戦する。こういう人物にはなにを言ってもダメ。相手が黙ったことに気分を良くした彼は、行き詰った問題のストレスを吐くために続ける。
( l v l)「良いことを教えてあげよう。だいたいだね、私はこのすごく難しいパズルを朝の通勤時間に解くことが日課なんだよ」
('A`)(なにいってんだこいつ……)
- 587 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:49:21 ID:ZAcu9QnUO
- (l v l )「そしていつかこの雑誌を全て解いて応募して……夢のハワイ旅行にいくんだ。移動遊園地に家族でいくんだ」
('A`)(……)
(# l v l)「最近、女房も娘も口をきいてくれないからこれで威厳を取り戻すんだ……それを君みたいな学もなさそうな若者にとやかく言われたくない!わかったら黙って……」
言い終える前にドクオは、手に持っている雑誌を奪い取る。何度も消しては書いているのでマスは汚い。
( l v l)「君!なにをす」
('A`)「1のタテ、グランドスラム」
( l v l)「えっ……」
('A`)「2のタテ、ドリア」
奪い返そうとする手は徐々に下がっていき、怒りの感情は驚きへと変わっていく。5つ目の答えを口頭で伝えたころには両手でシャーペンを渡していた。
- 588 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:50:19 ID:ZAcu9QnUO
- (; l v l)(こ、この若者……なんなんだ?)
凝視すれば、ドクオが一度も消しゴムを使わず、しかもその手を少しも止めずに次々とマスが埋まっていく。汚れていたそれは活きた文字となり、本分を成していく。そうしてすべてのページが完成されたころには、雨蔵駅到着のアナウンスが聞こえ始めた。
('A`)「はい」
まるでなんの苦労もないように、雑誌とペンを持ち主に返すと足元に置いてあったバッグを持って男性を両足を跨ぐように通路へ出る。呆然とページをめくれば、おそらく全て正解しているであろうことがすらすらと書いていた様子と相まって理解できた。
- 589 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:50:57 ID:ZAcu9QnUO
- (; l v l)「き、君!」
電車が止まってドアが開く。男性は立ち上がってそこまで行くと、すでに降りているドクオを呼び止める。
( l v l)「いったい、君は……」
言いたいことは多々あれど、混乱と時間がそれをまとめさせない。察したドクオは少し笑って言った。
('A`)「おっさん、飛行機では静かにな」
去り行く後ろでドアが閉まる。歩いていく華奢な背中に向かって、男がわずかに背を曲げて、頭を下げていたことを彼は知らない。
- 590 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:51:52 ID:ZAcu9QnUO
- 〜〜〜
国際クイズ大会、通称シベリア。4年に一度開催される全世界の選ばれた代表者のみが参加できるいわばクイズのオリンピック。
今回の開催地であるしたらばテーマパークは、孤島にある。雨蔵駅から送迎のリムジンバスにチケットを渡したドクオは、後部座席にもたれながら中継地点である発着場へと向かった。途中、ご自由にお使いくださいと書いてあるアメニティに目がくらんだが、後で代金を請求されるような気がして終始、腕を組んだままうつむいていた。貧乏性。
- 591 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:52:40 ID:ZAcu9QnUO
- 到着して恭しく運転手が下車を促したので、カバンを持って降りてみれば目の前に地平線が見える。
('A`;)「すげぇ……」
いつの間にか乗っていた車が発進していたが、そんなことは気にならない。飛行機にすら乗ったことのない彼は、本やテレビなどでは味わえない風景に唖然とした。
どこまでも伸びているようなアスファルトの先には何があるのだろう。童心にかえったような面持ちで付近を観察していると、後ろから声が聞こえる。
( ∵)「ヘイ!スーパードックン!調子はいかが?」
- 592 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:53:09 ID:ZAcu9QnUO
- 見れば丸坊主の、目が小さくて愛嬌のある大男が居た。ドクオは上から下まで首を動かす。顔に似合わず青と黄色の半そで花柄アロハシャツをはだけ、ひざ上丈のジーンズを履いた季節感皆無の服装。寒そう。足元の茶色いビーチサンダルに、思わず顔をしかめた。
(*∵)「オイオイオイオイ、せっかくのフライトなんだぜ?楽しくいこうや!俺の名前は尾戸、兄貴がいるんでみんなからビコーズって呼ばれてる。よろしくな!」
言葉になまりや、いい淀みがないことから、どうやら気さくな日本人のようだ。差し出された右手を恐る恐る握る。大きい。
('A`;)「よ、よろしく……ところで、あんたがアレを動かすのか?」
- 593 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:53:55 ID:ZAcu9QnUO
- 握手を終えた二人は、目線を動かす。小さめの飛行機が目に入った。
( ∵)「おうよ!俺が動かすんだぜ!あのセスナ152をよ!」
白い流線型の小型飛行機。よく言われているのはセスナという呼び方は機種の名称ではなくメーカーだ。
このセスナ152は、全幅が約10メートル、高さは約2.5メートルとセスナ機の中でも訓練用に分類されるほど小さい。
('∀`;)「は、はぁ……」
えらく安上がりな送迎だなと感じたのは、先の乗り心地が良すぎたからだろう。愛想笑い。
( ∵)「さっ、行こうぜ!夢と冒険のしたらばテーマパークへよ!」
ビコーズはそう言って、運転席に座り込む。それにならってドクオも横の席に着いた。
やはり外観と変わらず、機内は狭い。座席は二つしかなく、眼前にはたくさんの装置がついている。
- 594 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:54:37 ID:ZAcu9QnUO
- (*∵)「レッツゴー!」
管制塔とやり取りを終えた操縦者は陽気に離陸する。
(゚A゚;)「うおぉ……」
左を見れば、すでに雲が掴めそうなほどになっていた。いつもの暗い顔も消えて、子供のようにはしゃぐ。
(*'∀`)「すげぇな!」
(*∵)「だろ?空の旅なら俺たちビコーズ兄弟に任せとけって!」
言いながら的確に操作をしていく男にドクオは尋ねた。
( 'A`)「兄弟って言えば、兄貴だっけ?その人も運転するのか?」
( ∵)「いや、兄貴は管制官だよ。いつも俺の耳に完璧な指示を届けてくれるホットな男だぜ!バイクのゼファーに乗ってるから訛ってゼアフォーって呼ばれてるんだ!」
( 'A`)(無理やりだな……)
- 595 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:55:07 ID:ZAcu9QnUO
- 右を見て、変わったあだ名の兄も同じような顔をしているのだろうかと不毛なことを考えていると、ビコーズが無線を使って連絡を取った。
( ∴)「フライトは順調か、弟よ」
( ∵)「おう!たった今、兄貴のことを話してたとこだ」
( ∴)「そうか、ちゃんと伝えたか?」
( ∵)「俺に似て男前だって言ったさ!」
(*∴)「ハハハ!了解、それではな、グッドデイ」
( ∵)「グッドデイ!」
ゆったりとドクオの方を向いて、したり顔のパイロットには、やはり愛想笑いしかできなかった。
- 596 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:56:31 ID:ZAcu9QnUO
- 〜〜〜
雲の上に忍者を走らせることに飽きたドクオは、目の前に島が見えてくることに興奮する。上空からだからだろうか、全体的に小さめの印象を受ける緑の多いそれの中心には、近代的な建物が所狭しと並んでいた。件のテーマパークだと悟った時、ビコーズが口を開く。
( ∵)「こちら152、ビコーズ。今から降下するぜ」
( ∴)「こちら管制塔、ゼアフォー。了解した」
無線を終えた彼は、下に広がる滑走路へと降下をし始める。
('A`)(ふぅ、やっとつい)
(;∵)「あ、あああ!?」
(;'A`)「どうした!?」
(;∵)「しゃ、しゃ、しゃ」
(;'A`)「え!?」
( ∵)「車輪が……出ねぇ!!」
- 597 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:57:12 ID:ZAcu9QnUO
- (;゚A゚)「はぁぁぁあ!?」
何度、操作をしても現状は打破できない。滑走路へは徐々に近づいている。
��( ∵)「どどどどうしよ!?どうすりゃいいんだ!?」
一般的な旅客機に乗るパイロットはこういったトラブルに関しても十分に訓練を重ねており、いかなる時でも冷静に判断をし、最大限の危機回避を行う。しかし、セスナなどの小型飛行機においては、経験や知識が豊富とは限らない。短い距離を運よくトラブルに巻き込まれずに運行してきたビコーズにとっては、混乱の極みといえる。
そして、そんなアンラッキーを吹き飛ばした人物は意外にも素人だった。
(゚A゚)「上がれ!!」
- 598 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 21:59:29 ID:ZAcu9QnUO
- 簡素な言葉は今のビコーズに伝わりやすい。操縦桿をめいいっぱい引くと、機体はまた空を映し出す。
(;∵)「はぁはぁ……」(゚A゚;)
差しあたって生命の終わりを回避した二人は肩で息をする。空を旋回。状況は変わっていない。
(;∵)「やべぇよぉ……こんなこと今までなかったよ……」
(;'A`)「か、管制塔に連絡しなくていいのか?」
(;∵)「うっ、うっ、俺もう死ぬのかなぁ……死にたくねぇよ……」
( 'A`)「おい、ビコーズ?」
(; )「死にたくねぇよぉ……どうすりゃい」
(#'A`)「無線を入れろ!!死にたいのか!!」
��( ∵)「ひぃ!」
- 599 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:00:41 ID:ZAcu9QnUO
- おびえながら無線のスイッチを入れると、慌しい声が機内に響く。ハンズフリーのような機能だろうか。
(;∴)「こちら管制塔、ゼアフォー!どうした、ビコーズ!?」
( ∵)「兄貴ぃ!車輪が、車輪が出ないんだよぉ!」
( ∴)「な、なんだと!?」
( ∵)「どうすりゃいいんだよぉ!俺まだ死にたくねぇよ!」
(;∴)「おおおおおちつけ、おちつくんだ、いいか、まず素数を……」
('A`)「おい、いい加減にしろよ、お前ら」
ドクオの静かな、それでいて怒気の混じった低い声が二人をいさめる。
('A`)「管制塔にはあんたの他に人はいないのか?」
( ∴)「え、ああ、私一人だ」
(;'A`)「はぁ!?ふざけんな!なんであんただけなんだよ」
- 600 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:01:28 ID:ZAcu9QnUO
- ( ∴)「このフライトは特別なんだ。したらばテーマパークの方から依頼があって……」
恣意的なものを感じた彼は、これ以上、問答を続けても意味がないと判断し話題を変えた。
( -A-)「……あんた、この状況を解決できるか?」
(∵#)「なにいってんだ、兄貴はすげぇんだぜ!?こんなトラブル朝飯前……」
( ∴)「すまない、できない」
��( ∵)「あにきぃぃぃいいいい!?」
( ∴)「弟よ、奇跡を信じよう。な?」
(;∵)「無理無理無理!!なんとかしてくれって!なぁ!?」
(#∴)「そもそもお前が機体の確認を怠ったのが原因だろう、このペーパーパイロット」
(#∵)「んだと?そっちだって親父のコネで入って社内ニートのクセしやがって!」
- 601 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:02:12 ID:ZAcu9QnUO
- 立て板に水をかけるように、火に油を注ぐように、くだらない言い合いを空中で繰り広げる兄弟。ドクオは座席に持たれかかりながら、旋回する機体が見せる空を眺めながらため息を吐く。そして諦めた表情で、穏やかな口調をもって間に入った。
('A`)「もう、そんくらいにしとけって」
( ∴)「他人は黙っていてくれないか、今、我々は兄弟の尊厳をかけた戦いをしているんだ」
(∵#)「そうだそうだ!お前だってこのピンチ、解決できないクセに!」
('A`)「できるよ、俺」
( ∴)「……え?」(∵ )
両指を組み手のひらを前に突き出して伸びをする。諦めたのは生きることでもなければ二人を止めることでもない。
('A`)「ビコーズ、ゼアフォー。俺がこの最悪な状況を突破する方法を教えてやる」
('A`)「この、スーパードックンがな」
時間に間に合わないことを諦めたのである。
- 602 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:02:45 ID:ZAcu9QnUO
- 〜〜〜
滑走路の上空を旋回し始めて10分が経過した。最低限の燃料はほとんど底をついている。
('A`)「いいか、チャンスは一回だ。この方法でも失敗すりゃ終わりだ」
ドクオはまず、ゼアフォーに滑走路で駐在しているスタッフへの連絡を依頼していた。内容は消火剤を撒いておくこと。万が一、火災が発生した場合の予防策だが、気休め程度らしい。
( ∴)「しかし、よくこんな方法を……何か特殊な訓練をしていたのかね?」
('A`)「本で読んだ」
(;∴)「ほ、本……!?」
無線越しに驚愕の意思が伝わってくる。しかし、安全圏のそちらと違って危険な機内。パイロットは覚悟を決めていた。
- 603 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:03:24 ID:ZAcu9QnUO
- ( ∵)「スーパードックン!俺はこれでいいか!?」
ビコーズは機体を滑走路から数キロ先へ動かし、そのまま転回させ、当初と同じように降りるようなコースにもっていった。違うのは、距離。着陸する際の何倍も開いた状態で直進していく。
( 'A`)「ああ、頼むぜビコーズ」
( ∵)「やるしかねぇだろ!ああ、死にたくねぇ……!」
海がなくなり、滑走路が見える。機体はそのまま降下し、地上へと接触する。
��(゚A゚)クッウウウウ!!
��( ∵)ゴエエエエ!!
とてつもない轟音と、振動、そして衝撃が乗っている二人に襲い掛かる。激しい粉塵が舞い、窓を覆っていく。
- 604 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:04:06 ID:ZAcu9QnUO
- ( A )(……)
(; )(……)
それは時として事故の扱いとなる方法。
( A-)(……っ)
本来の降着装置を用いず機体そのもので着陸を行う非常時においての緊急回避。
('A`)(うっ……)
ドクオが提案した『胴体着陸』は、ゼアフォーの連絡による出火防止と。
(;∴)「こちら管制塔、ゼアフォー!二人とも無事か!?」
(;∵)「こ、こちら……ビコーズ。セスナ152は──」
ビコーズの執念とテクニックで。
(;'A`)「無事だ、俺たちも……な」
九死に一生をえた。
- 605 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:04:49 ID:ZAcu9QnUO
- 〜〜〜
(*∵)「本当に助かったぜ、スーパードックン!俺たちだけじゃやばかった!」
損傷は激しいが、燃料が無くなっていたことと、消火剤及び救助に来たスタッフの処置で炎上することはなかった。機体から降りた二人は五体満足。ドクオに至ってはタバコを吸っている始末。その背中にビコーズは声をかけた。
( ∵)「なぁ、なんか礼しねぇといけねぇな!なにがいい!?」
得てして、ドクオは不満が溜まると反抗的な態度をとることが多い。いくら火災が起きないとはいえ、この状況で火種を生む彼は、それをまた足で消し、灰皿にいれて答える。
(-A-)「そうだな……三つほど言いたいことがある」
( ∵)「え、み、三つか……!?なんだ、金か?女か?ああ、もちろんこのことはマスコミに伝えて名誉を……」
- 606 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:05:33 ID:ZAcu9QnUO
- ('A`)「ひとつめ。マスコミには俺のことを絶対に伝えるな」
ジャケットを脱いで、ネクタイを乱雑に外しながら、振り返る。
('A`)「ふたつめ。この真冬にそんな格好してんじゃねぇ」
言って、手に持った二つのそれと、もはや何も入っていないバッグを投げつける。頭の上にクエッションマークがついている大男はあわててそれを掴んだ。
(#'∀`)「みっつめ。飛行機では静かにしろ、バカ野郎」
吐き出すように言い終えた華奢な体は、遠く、前方に見える近代構造物へと足を進める。アスファルトで塗装された、時間にさえ間に合っていれば迎えの車が来ていたであろう道を歩いていく。
ビコーズが、ちぐはぐな上着を羽織ってまた大声を出しながらネクタイを振ると、ドクオは後ろを向かず右手をあげて、そのまま視界から消えていった。
スーパードックンのようです
第二部 第一話おわり!
- 607 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:09:38 ID:ZAcu9QnUO
- 皆さん、色々と申し訳ない。私に書きためを完遂する能力はありませんでした。
とりあえず、二、三日くらいで一話ずつやっていこうかと思いますので、良ければ見てね。
- 608 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 22:11:57 ID:d4uwOEv.0
- 乙
久々に楽しんだよ
- 609 :名も無きAAのようです:2013/05/30(木) 23:15:39 ID:VHCjYfm.0
- 乙
- 610 :名も無きAAのようです:2013/05/31(金) 00:58:59 ID:Lbhmv2eEO
- 雨蔵←これなんて読めばいいの ウクラ、あめぞう、あめくら?
それと>>1はブーン系ジャンキー度がかなり進行してるようだないいことだ
- 611 :名も無きAAのようです:2013/05/31(金) 07:43:49 ID:aP1nb.pw0
- おう来てたのか乙
ドクオ、スーパードックンの呼び名結構気に入ってるのか
- 612 :名も無きAAのようです:2013/05/31(金) 08:35:54 ID:L5juDpgs0
- おつ
- 613 :名も無きAAのようです:2013/06/01(土) 15:16:13 ID:TMfonvyA0
- スーパードックンイケメン過ぎて男だけど濡れた
- 614 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 12:56:36 ID:sA44jc/6O
- どうもここ最近忙しいです。間が空きすぎた。
>>608
おぅぅ、ありがとうございます!お待たせしてますが、お付き合いいただいて感激。
>>609 612
ありがとうございます!良ければまた見てね。
>>610
あめぞう駅と読んでいただければ!読み仮名ふるの忘れました。ごめんなさい。そんな私の好きなブーン系小説は真夜中の読み物。いつまでも待ってる。
>>611
気に入っています。時々、鏡を見てポーズを決めています。少年の心です。
>>613
ボロをまとえど心は錦。ちょっと気性が荒い青年です。よろしくどうぞ。
今日の夜にがんばるぞ!またね〜
- 615 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 22:09:06 ID:S24arGC.0
- バッチこい
- 616 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:14:34 ID:sA44jc/6O
- >>615
お待たせしました!それではいきます。
- 617 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:15:35 ID:sA44jc/6O
- ( ^Д^)「おそいっす……おそいっすよドクオさん……」
紺のベストを着た若者は、一年前と変わらない見た目でシベリア参加者が出入りする入り口に立ち尽くしている。
従業員や参加者等の控え室があるこのビルは、外観は華やかだが、入り口は簡素。観葉植物や備え付けの灰皿は汚れていて、見えないところには金を使わない方針が伺えた。
プギャーの右手には大きな舞台があって、そこで競技が始まるが、待ち人はこない。刻々と時間が過ぎていく。
- 618 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:16:07 ID:sA44jc/6O
- (; ^Д^)「なにやってんすかね……ま、まさかビビッて逃げたとか」
冷や汗が落ちる。このままこなければ自分はおろかVIPテレビの沽券にかかわる。はやる気持ちを抑えたのは、もう一人の優勝者。
_
( ゚∀゚)「大丈夫だよ、彼はくるさ」
(^Д^ )「ジョルジュさん」
すでに参加手続きを終えたジョルジュ長岡がプギャーに並んで話しかける。
- 619 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:16:54 ID:sA44jc/6O
- シャイニーなブラックスーツに白のボタンダウンシャツをノーネクタイで着こなし、余計なアクセサリーをつけていない金髪の男は、肩まで落ちている長いそれが、光沢に対するアクセントだと言わんばかりに主張する。いい意味でフォーマルをバカにしたような、粋なスタイルだった。靴も黒いヒールブーツなところがまたにくい。
_
( ゚∀゚)「ヒーローは遅れて登場するものだろ?」
(^Д^ ;)「で、でも参加手続きが……」
_
( ゚∀゚)「ああ、書いておいたよ」
(^Д^ )「えっ」
- 620 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:17:23 ID:sA44jc/6O
- ジャケットの内ポケットからタバコを取り出す。ノーブランドのジッポは音も小さめに点火する。
_
( ^∀^)y-~~「マジシャンだからね、筆跡を真似ることくらいできるさ」
(; ^Д^)(そんなバカな……)
だいたいドクオの筆跡を見たことがないはずなのに、そんな芸当ができるとは思えないプギャーは、自分を励ましてくれていることへのありがたさと同時に、ばれてしまったあとのことを考えて、胃が痛くなった。
スーパードックンのようです
第二部 第二話はじまるよ!
- 621 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:17:52 ID:sA44jc/6O
- 〜〜〜
晴天の光が入らないホールは、テーマパーク内で最も大きなビル、『富士』(ふじ)の最上階にある。カーテンが閉め切られ、間接照明と壁際一面に広がるスクリーンの光が唯一の光源である、日本の富士山をもじったこの建物に、名だたる人物達は集結していた。
/ ,' 3「此度は、お集まりいただき感謝する」
まるで葬式のような、同じ礼服で統一された人間達が、映画館の座席に似た配列に腰掛けている奇妙な光景。
数十人の前で、スクリーンを背に壇上でマイクを使って声を発するのは、この式典の主催者でもあるシベリア委員会会長荒巻スカルチノフ。
- 622 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:18:52 ID:sA44jc/6O
- やや腰が曲がったそれを除けば、とても老体とは思えないほどの威圧感。まだ黒い髪の毛、鋭い眼光と、経験を表すシワが、見るものに戦慄をもたらすような男だった。後光をうけながら荒巻は口角を片方上げて続ける。
/ ,' 3「仰々しい挨拶はこれくらいにしよう。皆も待ち望んでいるであろう?シベリア賭博を」
言い終わると同時に後ろの画面が切り替わる。そこには各国の参加者と、数字が映し出された。そして、声の出所も変わった。
( ・∀・)「えー、初めての方もいらっしゃると思いますので説明させていただきます。まず私は──」
したらばテーマパーク責任者の茂良は、サラリーマンがプレゼンを行うような切り口で話し出した。だが、ここにいる人物達には合わない。
- 623 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:19:38 ID:sA44jc/6O
- 「そんなことはどうでもいい!早く賭けさせろ!」
「そうよ!せっかく参加できたんだわ!早くしてよ!」
巻き起こる不平不満。それは集まったほとんどの者が口にする。
(´・ω・`)(まったく、品がないな……)
足を組んで憮然とするVIPテレビ社長の諸本は、右手で額を覆いながらうつむいている。同様の格好は数名。金持ちも色々。
(; ・∀・)「で、ですが、これを説明しないと、その……」
言いよどみ、あたふたとする茂良に向かって、荒巻は近づき耳打ちする。
/ ,' 3「茂良、こうやって場がうるさいときに沈める方法を知っているか?」
( ・∀・)「は、はぁ……」
/ ,' 3「こうするんだ」
- 624 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:20:17 ID:sA44jc/6O
- 荒巻は茂良と自分のマイクを持ち上げ、電源が入った状態で地面に落とした。鈍い音の後にくるハウリングがホールに響き渡る。
例えば賑やかな空間で唐突に大きな音がしたとき、一瞬だが静かになる場面がある。それを応用して、彼はヤジをかき消した。
/ ,' 3「ほら、しゃべれ」
落ちたそれらを拾って、ひとつを渡すと何事もなかったように元の場所へ戻る。苦笑いなのは茂良だけではなかった。
(*´・ω・`)(くくっ、やってくれるな。あれだけうるさかった場をこうも沈めるとは。それに、若い彼も落ち着いている……なかなか面白い)
諸本の押し殺した笑いを知る由もなく、気を取り直して話し出す茂良。
( ・∀・)「では、続けます」
- 625 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:20:56 ID:sA44jc/6O
- 彼が話す内容は、大規模な非合法賭博である。
荒巻が就任後、各国の高所得者をターゲットに秘密裏に行われている式典を隠れ蓑にしたシベリア賭博。
アンダーグラウンドでまことしやかに噂されているそれは、徹底されたセキュリティと、社会的に影響の大きい人物が参加することによる保身で、メディアに出ることがない。
ルールは簡単。何も知らない参加者が戦って、その優勝者を当てるだけ。もちろん諸本のように、自国に出場する選手に賭けても良いし、反対も然り。
そのシンプルなやり方と、莫大な掛け金で裏の世界では大きなビジネスとなっている。
( ・∀・)「──はい、ルールに関しては以上ですね。質問はありませんか?」
どこか間延びした場違いな男の問いかけに反応するものはいなかった。
- 626 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:21:39 ID:sA44jc/6O
- ( ・∀・)「では、事前にお渡ししていた投票券をボックスに入れてください」
各々が立ち上がり、ホールの中央、荒巻の前にある選挙に使うような箱に小さな紙を入れていく。まるで小規模な選挙のように粛々と行われていくそれは、本来のそれと同様に、利権が絡んでいる。違うのは、表か裏かだけ。
( ・∀・)「皆さん、よろしいですか?それでは集計に入りますのでしばらくお待ちください」
投票が終わって、茂良は箱を持ち、ホールの裏側へ荒巻と一緒に入っていく。ざわつき始める観衆を止めるものはいなくなった。
(´・ω・`)(さて、ジョルジュのオッズは10.0か。いずれにせよ、まず負けることはない)
諸本が使った金額は3千万円。資本主義。
(´-ω-`)(問題は……奴だな)
- 627 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:22:22 ID:zCcDUF5U0
- 来たか支援するよ
- 628 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:22:29 ID:sA44jc/6O
- 懸念しているのはスクリーンに映る正体不明の人物。シルエットだけが出ているが、性別すら判別できないそれは、名前の部分にエックスとだけ書いてあった。オッズは8.6倍。
(´・ω・`)(さすがにそこまで情報が回ってくるわけもない、か。まぁ、いいだろう)
考えても仕方がないという思考に至ったとき、二人は戻ってくる。ホールの中心に並んで、茂良が口を開いた。
( ・∀・)「えー、集計が終わりました。特に偏りはないですねぇ」
大して話す内容もないのか、ごまかすように笑う彼に、荒巻が言う。
/ ,' 3「そうだ、茂良。お前も賭けてみるか?」
�堯�; ・∀・)「えっ!?私がですか?そんな恐れ多い……」
/ ,' 3「所詮ゲームだ、口頭でかまわん。わしが金を出してやろう」
( ・∀・)「はぁ……じゃあ」
- 629 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:23:09 ID:sA44jc/6O
- 今更ではあるが、参加者のオッズもそれほど開きはない。8から12倍程度の倍率となっているのは
経歴等を鑑みて、誰が優勝してもおかしくないからである。
( ・∀・)「スーパードックンに1億でお願いします」
(´・ω・`)(……!)
しかしそれは、ただ、一人を除いてだが。
「ハハハ!!そこの従業員は博打が好きだな!」
「がんばってくださいね〜養分さん♪」
皮肉に雑言を、引きつった笑顔でかわす。まるでいじめられている子供のように。
( ^∀^)「えへへ、みなさん誰も賭けてませんからねぇ、こっちのほうが面白いでしょ?」
- 630 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:24:21 ID:sA44jc/6O
- ジョークが場を盛り上げるように沸く。誰もが本気とはとらえていない。荒巻も鼻で笑いながら言った。
/ ,' 3「ほほ、よかろう。それでいくか。どうせ当たらん」
(* ・∀・)「えぇ、ホントにいいですか?じゃあお願いします。っと、それでは皆さん、クイズ開始までごゆっくりおくつろぎください!」
あわてて取り繕った茂良は解散の合図を促す。席を立つもの、談笑するもの様々な光景の中で、諸本だけがそのままの態勢だった。
(´・ω・`)(……)
- 631 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:25:05 ID:sA44jc/6O
- いくらテレビで活躍したところで、正式な実績がなければ倍率には反映されない。
ただの気まぐれな博打か、徹底された緻密な計算か。視線を変えて、諸本がじっと見つめる先は、今大会最高倍率のオッズ。スーパードックンの100.0倍という規格外の数字である。
スーパードックンのようです
第二部 第二話おわり!
- 632 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:27:32 ID:sA44jc/6O
- せっかく支援もいただいたのに本編短くてごめんね。NGだけど続けます。
スーパードックンのようです
第二部 NGシーン
第一話
↓ずれませんように
シベリア1ヶ月前。自宅にて。
( 'A`) [ ('A` ) ]←鏡
('A`)スゥゥ
(-A-)ハァ
(゚A゚)カッ
いいぜ ヘ('A`)ヘ
|∧
/
俺が
あんたに
クイズを教えてやる
/
('A`)/
/( )
/ / >
('A`) 三
(\\ 三
< \ 三
`\
(/A`)
( / この
/く スーパードックン
がな
- 633 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:28:26 ID:sA44jc/6O
- ( 'A`)……[ ('A` ) ]
(*'A`)フフッ [ ('A`*) ]
'ー`)し ( 'A`) [('A` ) J('ー`]
J( 'ー`)し ('A` )
`\
J(/ー`)し ('A` )
( /
/く
おわり
- 634 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:29:11 ID:sA44jc/6O
- 第一話 take2
↓見にくくなりませんように
J( 'ー`)し……[ J('ー` )し ]←鏡
J( 'ー`)しゴソゴソ
J( 'ー`)し⊃ζ(゚ ゚*ζ
ζ(゚ ゚*ζ
∩J( 'ー`)し∩カポッ
ζ(゚ー゚*ζボン
ζ*゚ー゚)ζウフフ[ ζ(゚ー゚*ζ ]
- 635 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:29:58 ID:sA44jc/6O
- 'A`)ζ*゚ー゚)ζ[ ζ(゚ー゚*ζ ('A` ]
( 'A`)ζ(゚ー゚*ζ
( 'A`)カ カーチャン? ζ*゚ー゚)ζゴソゴソ
( 'A`)ナニヲ…… ζ*゚ー゚)ζ⊃ζ(゚ ゚*ζ
ζ(゚ ゚*ζ
( 'A`) スッ∩ζ(゚ー゚*ζ
ζ*゚ー゚)ζボン ζ(゚ー゚*ζ
ζ*゚ー゚)ζ ζ(゚ー゚*ζ
ζ*゚ー゚)ζウフフ ウフフζ(゚ー゚*ζ
ζ*゚ー゚*ζ ウフフフフ ζ*゚ー゚*ζ
おわり
- 636 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:30:48 ID:sA44jc/6O
- 第一話 take3
↓いつも7時15分が楽しみでした
私の名前は宗男。サラリーマンだ。今日、いつも通りに電車でクロスワードを解いていたら、隣にいた弱そうな若者が全て解いてくれた。あれだけ難しい問題を全て解いたのだ。きっと名だたる人物に違いない。えっ、テレビ?朝のNHKおはよう日本しかみないな。島津有○子が出なくなってから見ていないが。
( l v l)「ただいまぁ」
帰ってきても誰も相手にしてくれない。いいさ、私はこんなもんさ。
- 637 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:31:35 ID:sA44jc/6O
- (* l v l)「お、ハイン。お父さんな、今日……」
从 ゚‐从「うるせぇ、殺すぞ」
娘は今年から高校に入る。私が話し掛ければ、二言目には死を誘ってくる。仕方ない。二階に上がっていった娘を見送り、リビングへ向かえば妻が待っている。
( l v l)「ただいま」
ミセ*゚―゚)リ「……」
( l v l)「き、今日な、面白いことが……」
ミセ*゚―゚)リ「早く食べてよ」
食卓の上には豆腐が置かれている。木綿だ。私の晩ご飯はこれだけだ。醤油とわさびを用意して、目の前で鯖のムニエルやらビーフストロガノフやら食べている彼女と向かい合っていただきますをした。
- 638 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:32:45 ID:sA44jc/6O
- うまい。木綿豆腐の程よい弾力が口のなかに広がって、食欲を満たしていく。大豆に大豆をかければ、風味豊かで幸せな気分になれる。わさびの辛さがそれをまた引き立たせて、食べおわるときの余韻に繋がった。妻は食後にハーゲンダッツを食べていた。
从 ゚∀从「母さん、今日のご飯なに?」
娘が降りてきた。今日のご飯も美味しいぞ。
( l v l)「おー、ハイン。今日のご飯は豆……」
从 ゚‐从「しゃべんな、殺すぞ」
ミセ*^ー^)リ「ハイン、今日はビーフストロガノフと鯖のムニエルよ。お母さんちょっと疲れててこれくらいしか出来なくてごめんね〜」
从 ^∀从「いいよ、いつもありがとな」
- 639 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:33:57 ID:sA44jc/6O
- 一家団らん。私は幸せ者だ。たとえ、ないがしろにされようが、こうしてみんな揃って食卓を囲めるのだから。
ミセ*゚―゚)リ「あなた、早く寝たら?」
( l v l)「えっ」
ミセ*゚―゚)リ「そこにいるとテレビが見れないんだけど」
( l v l)「いや、でも」
ミセ*゚―゚)リ「早く」
私は席を立った。仕方ない。テレビが見れないんじゃ仕方ない。二人ともテレビ好きだもんな。なんか今日面白いクイズ番組あるみたいだし。
テレビの電源がつけば、映し出された映像に男の姿があった。朝の光景を思い出す。そうだ、この若者だ。
- 640 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:34:46 ID:sA44jc/6O
- (; l v l)「あ、こ、この人だよ!」
ミセ*゚―゚)リ「は?」
从 ゚‐从「なんだよ、殺すぞ」
(; l v l)「この人が朝の電車に乗ってて、それで……」
私は思い出したかのように雑誌を取出し、机に広げた。
(* l v l)「このクロスワード全部解いてくれたんだ!ハワイに行けるよ!」
ミセ*゚ー゚)リ「!」
从 ゚∀从「!」
目の色が変わった気がした。二人は雑誌をめくり終えると私に近づく。
ミセ*゚ー゚)リ「あなた、お仕事お疲れ様。ご飯まだあるけどいかが?」
从 ゚∀从「肩こってないか?揉んでやるよ」
- 641 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:34:49 ID:zCcDUF5U0
- 宗男……
- 642 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:35:33 ID:sA44jc/6O
- テレビが見れないことをお構いなしに私を椅子に座らせ、妻はキッチンで食事の用意を初め、娘は肩を揉みだした。
ミセ*^ー^)リ「ビールもあるわ、ささっ、どうぞ」
从 ^∀从「かゆいところあったらかいてやるよ」
至れり尽くせりだ。あの若者に感謝しなければ。こんなに幸せなことはない。あとは島津有○子がおはよう日本に戻ってきてくれれば、街角情報室で東アナウンサーと掛け合いをしてくれれば言うことはない。
(* l v l)「いやぁ、本当に長かったよ。このクロスワード解くのに五年はかかったからね」
極楽で呟いた一言は、二人が雑誌をもう一度読むきっかけになった。そして、妻が言った。
ミセ*゚‐゚)リ「……これ、有効期限、切れてるじゃない」
- 643 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:36:45 ID:sA44jc/6O
- 静かに雑誌をゴミ箱に捨て、ビールを私に向けて勢いよく放つと、風呂場に向かった。タオルでも持ってきてくれたらどれくらい嬉しいか。
从 ゚‐从「死ね」
娘は汚ないものでも見るように蔑み、手をキッチンで念入りに洗うと私に用意してくれた食卓を盆に乗せ、二階に上がる。
そうだ、こんな応募賞品一つで家族の態度がかわってしまうのは良くない。もっと根幹にある絆は、そうそう崩れないのだ。
私は、幸せだ。
おわり
- 644 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:41:43 ID:sA44jc/6O
- 改めましてNGは誤字脱字も含めてNGです。
>>641 支援にコメントまでしていただいて、ありがとうございます!励みになります。次回はもう少し長めになりますが、良ければまた見てください。
それでは、また二、三日後に。なるべく急ぎます。おやすみなさい。
- 645 :名も無きAAのようです:2013/06/03(月) 23:45:32 ID:zCcDUF5U0
- 乙、続きはよ
こんなカーチャン欲しい
- 646 :名も無きAAのようです:2013/06/04(火) 00:22:48 ID:AH6aa4Ds0
- >>645
ミセリがいいのか?マゾだな
- 647 :名も無きAAのようです:2013/06/04(火) 06:03:46 ID:Skll.7vk0
- NGってことはこの不幸な後日談は無かったんだな!?
- 648 :名も無きAAのようです:2013/06/04(火) 07:32:14 ID:u9uZEHMU0
- 乙
- 649 :名も無きAAのようです:2013/06/04(火) 08:40:45 ID:7NsGN2gI0
- どんだけNGに気合い入ってんだと小一時間
- 650 :名も無きAAのようです:2013/06/07(金) 16:08:11 ID:bk7HkDog0
- >>633
これ好き
- 651 :名も無きAAのようです:2013/06/08(土) 09:56:58 ID:40Fr/toQ0
- しかし、場所が場所だしこれからカーチャンの出番減りそうじゃのう……
- 652 :名も無きAAのようです:2013/06/11(火) 00:41:01 ID:OHQlq726O
- 遅くなっております。申し訳ない。
報告のみになりますが、明日、あさってに投下できる見込みです。
- 653 :名も無きAAのようです:2013/06/11(火) 12:40:11 ID:IJyIkM560
- おー楽しみ。
- 654 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:15:40 ID:89GL6mawO
- ようやく投下できる…遅れて申し訳ございませんでした!見てくれた方、乙をくれた方、ありがとうございます。
>>645 >>646
ごめん、私もミセリかと思って笑ってしまった。デレもミセリもミステリアスな雰囲気です。変身したり料理が上手かったり。
>>647
はい、NGはNGなので宗男一家はもう少しマシです。多分ほのぼの系のお話で書けるようなハートフルファミリー。
>>649
NGは気合いを入れて適当に書いてたらなんかできたみたいなそんな感じです。
>>650
こういう母親、いますよね?こうガチでデューク更家の真似をしながらジョギングしたりとか。ごめんなさい、なんでもないです。
>>651
カーチャンは神出鬼没!忘れた頃にやってくる!はず!
>>653
お待たせしました、参ります。
- 655 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:16:43 ID:89GL6mawO
- 相も変わらずざわつくのはテレビ局の常か。小さめのプレハブに数人のスタッフが慌しく動いている。
\(*゚∀゚)/「うぉし、やるぞー!」
スキニージーンズとハイカットのシューズを合わせた、タイムキーパーのつーは、いつものように椅子にもたれながらノビをする。
普段と違うのは紺のベストにネームプレートが付いているところ。式典というだけあって服装はかたい。それは、より厳しく指導するチーフディレクターの指示だった。帽子は譲らない。
- 656 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:17:16 ID:89GL6mawO
- (´・_ゝ・`)「つー、頼むぞ」
後ろから彼女のかぶっているそれのつばを後ろに回す。驚いて転げそうになりながら見れば、自身がこんな格好をしている原因となったデミタスが立っていた。
グレーが好きなのだろうか。やはりチャコールグレーのスーツに淡いピンクのネクタイ。普段ならまず着ないであろうターコイズの無地シャツを着こなす彼は、磨いているのだろう何年経っても色あせないネームプレートを付けている。チーフディレクターと書かれた文字が際立つ。
- 657 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:17:59 ID:89GL6mawO
- (´・_ゝ・`)「前回の比じゃない大会だ。ミスするなよ」
つばを元に戻したつーは、居住まいを直す。わかってるよと陽気に言うと、笑ったデミタスに対して少し優しい気持ちになった。
(*゚∀゚)(普段のデミタスならこんな笑わないんだけど……ちょっと変わったかも)
和やかな雰囲気が二人の間に流れたとき、このプレハブの責任者、そして二人の上司である小太りな男が現れた。
( ^ω^)ノシ「おいすー!」
(´・_ゝ・`)「プロデューサー!」
(*゚∀゚)「内藤さん!」
- 658 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:18:48 ID:89GL6mawO
- つーは立ち上がり、デミタスは彼の正面に立つ。彼だけは式典だろうと通常業務だろうと変わらない。ピンクのジャケットに黒のカジュアルシャツ、ライトグレーのデニムパンツを、細くて白い二連ベルトで締めた──締める必要はない体形だが──それらは、スタッフ全員が思っているのだろうがやはりダサい。靴がガチガチのプレーントゥなのもまたひどい。
(;´・_ゝ・`)(相変わらずこの人は……)
(*;゚∀゚)(着る人が着たらかっこいいのかなぁ……)
不毛な考えをしている二人の視線が、極力、内藤の全身を見ないようにしているのを誤解したか、聞いた。
- 659 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:19:01 ID:9MAxTU.E0
- 来てるー!!!
- 660 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:19:35 ID:89GL6mawO
- (; ^ω^)「どうしたお、二人とも。俺の顔になにかついてるお?」
的外れな彼の言葉に、顔を見合わせたつーとデミタスは笑った。それを見て状況がわからない内藤も、いつもの笑顔でとりあえず笑った。
スーパードックンのようです
第二部 第三話はじまるよ!
- 661 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:20:16 ID:89GL6mawO
- 〜〜〜
およそ一年前の冬だった。内藤が辞職を決意したのは。辞める旨を社長に伝えるべく向かった先で、彼は自身の葛藤と戦っていた。
( ω )(ここまで上ってきて、こんな何も知らない素人にここまでコケにされて……)
それは怒りにも似ていて、同時に己の未熟さを感じる。
( ω )「──はい、ご寛大な──」
だからというわけではない。しかし、確かに男の心には隙間があった。
( ω )「──失礼します」
- 662 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:20:58 ID:89GL6mawO
- ドアを閉め、殺風景な通路に一人。歩く速度は徐々に増していき、両足がつかない程度になるころには目的地も決まっていた。
( ω )(僕は……あいつを許さない)
( ω )(どんな罰だろうと、人に軽蔑されようと関係ないお。僕は、あいつを……)
( ^ω^)(宇都宮ドクオを潰す)
内藤の笑顔は歪んでいる。どれだけ言われても、為されても、自身の生んだサビも似た思いはぬぐいきることはできなかった。
- 663 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:21:39 ID:89GL6mawO
- デミタスは、看板を見つめた。バーの名前はプラス。人が集まるところで縁が深まればとマスターが名づけたらしい。陳腐。
内藤がいない打ち上げは一般企業のそれと同じような愚痴や労いで終わった。
携帯の着信に上司の名前が出たからではなく、ゆっくりと二人で話しあう時間が作れるかもしれないと相棒としての自負を持ってデミタスはこのバーに来たのだ。
外観の重厚な扉を開けて、中に入ると、こじんまりとした店内。テーブル席はなく、カウンターは10席にも満たないそれは、よくある隠れ家よりもずっと穴場な印象を受けた。
- 664 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:22:24 ID:89GL6mawO
- 奥の席で内藤が手を上げたので、デミタスは横に行きスツールに腰掛ける。他に客はいない。すでに減っているナッツと、琥珀色をしたアブサンが目に入ったので、短髪黒髪の、蝶ネクタイ姿のバーテンダーに注文する。
(´・_ゝ・`)「……マティーニ、ロックで。オリーブは抜いてください」
( "ゞ)「はい」
顔と声で若いなとデミタスは思った。本来なら初めて入るバーでマティーニを頼むことは、バーテンダーの腕を試すと言われているのであまりいいものではない――酒の飲み方に良いも悪いもないが――。
もちろんそのことをデミタスは知っていたし、逡巡はあったが、あえてそれを頼んだのはそれが王道だから。相棒との話に、余計なことを考えたくないのだ。
- 665 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:23:04 ID:89GL6mawO
- ( "ゞ)「どうぞ」
(´・_ゝ・`)「ありがとう」
差し出されたウィスキーグラスに、丸氷が浮かぶ。透明に近い液体を飲んで、そのアルコールに心を打たれる。
オーダーにはベルモットについての言及がなかった。しかし、出されたそれは明らかにベルモットが少ない。ジンのアルコールがしっかりと効いたドライマティーニのロックがこの店のレシピなのか、あるいは自分を見て判断したのか定かではないが、悪い気はしない。
自身の好きな酒を二口つけたところで、内藤が口を開いた。
( ^ω^)「お疲れだお、デミタス」
(´^_ゝ^`)「お疲れ様です、ブーン」
- 666 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:23:52 ID:89GL6mawO
- デミタスが言った呼称は、長い日々を共にしてきた戦友としての言葉。久しぶりのそれは、言ったほうも言われたほうも少し恥ずかしい。
(* ^ω^)「久しぶりだおね、こうやって二人で飲むのは」
(*´・_ゝ・`)「そうですね」
グラスの丸氷を指で回す。タバコに火をつけようかと思ったが止めておいた。
(´・_ゝ・`)「どうでした?」
( ^ω^)「まぁ、引き止められたお」
(´・_ゝ・`)「でしょうね。それで……?」
( ^ω^)「来年のシベリアが終わるまでは居る必要があるお」
(´‐_ゝ‐`)「そうですか」
- 667 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:24:32 ID:89GL6mawO
- 複雑な気分だった。今日の番組の不正を暴くことに頭を使い、数字を疎かにしたことを叱責されたこと。どこにでもいるはずの素人が、ヒーローの如く、困難を全て乗り越え優勝を手にしたこと。どちらも彼の琴線にふれる。
(´・_ゝ・`)「ブーン」
( ^ω^)「なんだお」
だから、彼は言った。
(´・_ゝ・`)「居てください。VIPに」
デミタスにとって内藤は、相棒であり、上司であり、そして正さなければいけない存在でもある。その全て、同じ空間にいなければ為せないこと。フィールドが違えば協力も仕事も、戦うこともできない。
突き詰め、考えて言った言葉は、ありふれたお願いになった。黙ってこちらを見ながら水割りの酒を飲む彼に続ける。
- 668 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:26:01 ID:89GL6mawO
- (*´・_ゝ・`)「局に必要だとか、そういうことではなく、えー、なんというか……」
内藤は酒を置いて、視線をグラスの中に移す。ほとんど無くなった琥珀色のそれが、まるで曇った鏡のような気がした。じっと見つめ、一人こぼすように話し出す。
( ^ω^)「ありがとう、デミタス。なんとなく言いたいことはわかったお」
( ‐ω‐)「僕は自分が許せないんだお。今までの実績を全て崩してしまった自分が……」
本当は違った。自分は悪くない。ドクオが悪い。最も気心の知れた仲である男に、それを口にできないのは、酒ではなく自身の矜持に酔っているのだ。
( ω )「だから、見極める。来年の大仕事で僕の……デミタス?」
- 669 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:26:32 ID:89GL6mawO
- ふと、隣を見ればうつらうつら。彼が頼んだ酒は空。疲れたのか、ペースを合わせようとしたのか、飲むのが早ければ回るのも早い。
(; ^ω^)「まったく、しょうがない奴だお」
思えばこうやって面倒を見てきたことは今まで何度もあった。二人で飲む機会が少なくなってからはそれもなくなった。
バーテンダーに目を合わせ、二人分の会計を済ませた内藤は、たとえ全てを明かさずとも、この男が自身の本当に許せない部分を正してくれるのではないかと、僅かに期待しながら夜風に吹かれてタクシーを待った。
- 670 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:27:19 ID:89GL6mawO
- 〜〜〜
(* ^ω^)「さてさて、開始10分前だお!みんながんばるお!今日の番組で今年、最高の数字をつくっちまおうお!」
番組の開始は戦いの始まり。刻々と迫ってくる時間を、内藤は全員に向かってポジティブにたきつける。
( ^ω^)「デミタス、準備はいいかお」
(´・_ゝ・`)「はい、支障ありません」
(^ω^ )「つーちゃん、頼むお」
(*゚∀゚)「は〜い!」
各々に檄をとばすプロデューサー。その姿はやはり敏腕。小さなプレハブの大きな結束力は、彼にしか生み出せないことをスタッフ達は思った。万事、抜かりはない。
- 671 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:27:58 ID:89GL6mawO
- ( ^ω^)(ドクオ、しょっぱなで潰れんなお。最後まであがってくるといいお)
( ω )(僕の実力にふさわしい数字と、僕のプライドをかけた執念と、どちらも満たしてやるお)
( ^ω^)(お前が目印にしている光は、最後に闇に変わる。そのときが僕の勝ちだお……!)
変わらないその笑顔は、因縁の決着を静かに待ち望んでいる。だから勢いよく扉が開かれてもそうそう崩れない。
- 672 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:28:31 ID:89GL6mawO
- (; ^Д^)「な、内藤さん!」
(*;゚∀゚)「わっ、びっくりした……!」
(; ^ω^)「どうしたお、プギャー?そんなに慌てて」
(;´・_ゝ・`)「なにか機材に不備でもあったのか?」
多少のトラブルはいつでも回避してきた。今回も回避できるはずだった。
(; Д )「ハァハァ……ないっす」
( ^ω^)「は?」
(; ^Д^)「ドクオさん、まだきてないっす!!」
�堯福 ❻悄❶法屬呂,,, Ą€�
さすがの内藤も、この事態だけは笑顔を崩さざるをえない状況だった。
スーパードックンのようです
第二部 第三話おわり!
- 673 :続けます:2013/06/13(木) 23:29:44 ID:89GL6mawO
- ドーナツ型の中心部分には、白くて広い舞台がある。外側には、一人ひとりが十分に座ったり立つことのできる座席。何百席とあるそれらは、ほとんど空白が見受けられない観客席である。
そこから見下ろす中央の舞台は、観客の半分程度なら問題なく入るほど壮大。にもかかわらず、そこに立っている人物やその周辺に居る人間は数十名程度だった。
ひとつは司会。年末の歌番組のような華やかな格好をしている二人──タキシードとドレス──は一年前と比べ、更に絢爛豪華。そして、舞台を囲むように大きなカメラを構えたVIPテレビが映すのは、この地に呼ばれた選手達。司会と対面に並んで立っている人物達は、老若男女問わない。
(-@∀@)「さぁ!始まりました!クイズの世界一を決める大会、シベリア!司会は浅井ことアサピーと」
(*゚ー゚)「椎名ことしぃが、VIPテレビ独占の生中継で」
(-@∀@)「お送りいたします!!」(゚ー゚*)
- 674 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:30:24 ID:89GL6mawO
- マイクを伝って響き渡る声に、観客は盛り上がる。
(*-@∀@)「それでは早速、各国から集められた選手の紹介に参ります!しぃさんお願いします!」
(*゚ー゚)「はい!まずは……世界で最もプロゲーマーを輩出したサブカルチャーの先進国イーサンから」
(*^ー^)「津雲レイさんと小森ヒカルさんです!」
呼ばれて前に出てきたのは二人。女性は金髪の巻き髪に、変わった格好をした若い日本人。ショート丈のタイトな黒皮ジャケットに、真っ赤なカットーを着込み、赤と黒のチェック柄が入ったスカート。
10センチの黒いヒールシューズはチェーンで巻かれており、さながらパンクやゴシックファッションの印象を受ける。
しかしナチュラルメイクな整った、少しきつめの顔は、人によっては好みの分かれるこの姿を見事に惹きつけていた。
- 675 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:31:09 ID:89GL6mawO
- 対する男性も若く、国籍こそ同じであるが、対照的に黒いジャージを着ている。長く伸びた髪の毛は肩までかかって表情を隠しており、まるで自国から出場するうだつのあがらない彼に似ていた。
(*゚ー゚)「レイさんは、各国のゲーム大会にてタイトルを獲得している現役プロゲーマー、通称『巻き髪のツン』です!大会の意気込みをどうぞ!」
しぃがマイクを彼女の口に近づける。
ξ゚⊿゚)ξ「ふん、残念だけど、私が優勝するから。せいぜいみんな盛り上げてちょうだい」
短い挑発的な言葉に、さぞ聞いた人間は不快な気持ちになるだろう。しかし、意外にも観客のコールは熱い。
- 676 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:32:25 ID:89GL6mawO
- それは様々な大会で喋る彼女の毒舌や、勝利したときの素直な喜び様が原因だった。もちろん容姿のファンも多いが。
ここにいる観客達は多かれ少なかれ、出場する人物を知っている。それを認識させるに十分な歓声が響き渡った。
(*゚ー゚)「はい、ありがとうございます!続いてヒカルさんですが……」
(-_-) zzz
(*゚ー゚)イラッ
普段は淡々と仕事を進めていくしぃもこれには面食らった。立ったまま眠っている。
(#^ー^)「えー、彼は様々なオンラインゲームにてトップを保っている最強のオンラインプレーヤー「ヒッキー」です!彼は今、日常での睡眠時間が短いため、このように立ってまま眠れる特技を披露して頂いています!」
しぃのアドリブに今度は笑い声が響く。本来なら何かコメントをもらう場面だが、進行に影響を及ぼす可能性を感じた彼女は、説明もほどほどに続けた。
- 677 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:33:12 ID:89GL6mawO
- (-@∀@)「お二人とも、がんばってください!それでは次の出場者です!」
髪を揺らし、モデルのような歩き方をする女性と、本当は起きているのではないかと思われる男性は、元の場所に戻る。
残り9人の出場者を紹介するしぃは、先が思いやられた。
スーパードックンのようです
第二部 第四話はじまるよ!
- 678 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:34:02 ID:89GL6mawO
- 〜〜〜
(# ^ω^)「なんでまだきてないんだお!」
焦る声がプレハブにこだまする。開始10分前にして重大なトラブル発生。スタッフ達は意気消沈。
(; ^Д^)「わ、わからないっす……飛行場までの送迎は問題なかったみたいっすけど……」
まるで自分が怒られているかのように萎縮するプギャー。
(´・_ゝ・`)「私も確認しました。リムジンの送迎後、運転手から連絡が入りましたので」
すかさずデミタスがフォローする。しかし状況はかわらない。
(*;>∀<)「ま、まさか飛行機が墜落したとか……」
両手を抱えて震えるつーにいつもの余裕は見れない。本気で心配。
- 679 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:34:38 ID:89GL6mawO
- その心配を解消するか、増長するか、内藤の携帯電話が鳴った。相手はしたらばと飛行場を行き来する送迎運転手。
「プロデューサー!大変です!実は」
( ^ω^)「スーパードックンはまだかお!?なにがあったんだお!?」
「はい、どうやらこちらの飛行場でトラブルがあったようで……」
(; ^ω^)「な、なんだと、まさか」
「いえ、操縦士と同乗者は無事だと確認できました。その後、周辺を探してみたのですが……どうやら徒歩で会場に向かっているようでして……」
(# ω )「なんでもっと早く連絡してこないお!」
「も、申し訳ございません!」
自身の顔つきがかわっていくのを察した内藤は、周りの視線を察知し、落ち着く。
- 680 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:35:32 ID:89GL6mawO
- (; ^ω^)「……仕方ないお。君は引き続き捜索にあたってくれお。こっちでなんとかするお」
「承知しました!失礼します」
電話を切った彼は、深くため息をつき、全員に状況を知らせる。うつむくスタッフ達を見て、いよいよ上に掛け合う必要があるかと感じたとき、プギャーが口を開いた。
( ‐Д‐)「せっかくジョルジュさんがドクオさんの参加手続きをしてくれたのに、こんな……」
(´・_ゝ・`)「ジョルジュ長岡が?冗談だろう、筆跡も印もどうやってごまかしたんだ?」
( ^Д^)「いつものアレっす。マジシャンだからでごまかされました。でも本当に通ってたみたいっす」
- 681 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:36:17 ID:89GL6mawO
- あの後、プギャーが受付に確認を取りに行くと問題なく参加手続きができていた。不思議に思った彼だが、そもそもよくわからない人物──得意の口撃でも使ったのだろう──であったし、自身の責任やこれからの進行を考え、あまり詮索はしなかった。
( ‐ω‐)「……代役を考えるか」
( ^Д^)「内藤さん?」
腕組みをしながら目をつむって、またすぐに開け、周りを慎重に見渡す。意味のわからない行為に周囲は疑問を抱く。
( ^ω^)「デミタス、スーパードックンのプロフィールは?」
(;´・_ゝ・`)「はぁ、こちらに……」
資料として机に置いておいた参加者プロフィールを開き、内藤に渡す。彼はひとつひとつ指で追っていきながらそれらを読み上げた。
- 682 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:36:58 ID:89GL6mawO
- ( ^ω^)「年齢20代前半、身長160代後半、体重50キロ前半──さて、これらに当てはまる人物は」
あいにくとスタッフの数が限られた中でそういった人物がいることはまれである。
(^ω^ )〃チラッ
せいぜい10人前後の小さなメンバー。
(´・ι_・` )〃 チラッ
されどその意志は固く、少数精鋭という言葉がしっくりとくるこの中に。
(゚∀゚*)〃チラッ
はたして、スタッフ全員の視線という白羽の矢は刺さった。いいだしっぺの法則。
��(; ^Д^)「え、えっ、え」
- 683 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:37:41 ID:89GL6mawO
- 誰も何も言わない。ただ、うなずき、優しく微笑む。
( ^ω^)「吹木くぅん」
入社して以来、内藤にその名前で呼ばれたことは数えるほどしかなかった。だから、それが恐怖をあおる。
(; ^Д^)「ちょ、ちょっと待ってください、背格好はともかく、俺の顔や髪じゃドクオさんと全然ちがうっすよ!」
頭をかきむしるプギャーの渾身の叫びを聞きながら、笑う彼らの傍らで、ピンク色のスポーツバッグを漁るつーが両手に抱えるほどの持ち物を取り出す。
ススッ⊂(*゚∀゚)⊃ススッ「じゃーん!」
そこには長い黒髪のウィッグ、サングラスなど、およそ今回のような厳かな催しとはかけ離れたアイテムがあった。歓声が沸く。
- 684 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:38:15 ID:89GL6mawO
- (^Д^ ;)「つーさん!?なんでそんなものもってるんすか!?」
(*^∀^)「前に会議用資料で落とした!内藤さんがテレビ局の人間たるもの、いつでもユーモアをもってなさいって!」
(* ^ω^)「おっおっ!その通りだお、つーちゃん!さすがだお!」
二人はこれがいいか、こっちはどうだろうと、それを使う本人の気もしらずに盛り上がっていく。そのやり取りに、皆はどんどん口を出していく。下がっていた士気は、不本意にも上がっていった。
( Д )(俺、やっぱり入る会社間違えたかな……)
エスカレートするプレハブ内の中で、プギャーだけが珍しく、難しい顔をしている。その肩に手を置き、インカムで司会に連絡をとると約束するデミタスの顔も、やはり笑みを浮かべていた。
- 685 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:39:51 ID:89GL6mawO
- 〜〜〜
(*^ー^)「──はい、ジョルジュ長岡さん、ありがとうございました!」
長い金髪を揺らせながらジョルジュは元の位置に戻る。最後の出場者の紹介を控えた現場は、気迫も最高潮。
(-@∀@)「それでは最後になりましたが、我々VIPテレビ主催のクイズ大会が輩出した、もう一人の優勝者」
(*-@∀@)「スーパードックンの紹介に入ります!!」
それまでの参加者の動きを見つめられたのは僥倖。ややぎこちない動きで前に出るプギャーの格好は不審者極まりない。
- 686 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:40:23 ID:89GL6mawO
- (-@∀@)「そのスーパードックンですが……風邪ですか?」
デミタスが言った、インカムの連絡は機能しているようで、冗談を言って観客を笑わせるアサピー。とはいえ宇都宮ドクオを知っている司会だから、多少の不審さは意に介さないのだが。
(;;●□●)「げ、げほほほ、そうっ……いや、そうだ」
下手くそな咳を振りまいて、慣れない言葉使いを吐くプギャーの汗は尋常ではない。
黒いサングラスに薬局で売っているようなマスク。長い髪は都合よくパーマがかかっていて、彼の顔を隠している。
さすがにジャージまでは用意できなかったが、いくら出不精なドクオでもこういう場面ではさすがにまともな恰好をしてくるだろうと思い、ベストだけ脱いで白シャツと黒のスラックスでいる。もしもタキシードで来たらどうしようと思った。
- 687 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:41:10 ID:89GL6mawO
- (*-@∀@)「お大事にしてくださいね。さて、皆さん!こんな病弱そうな彼、スーパードックンは昨年に行われたクイズ大会で見事優勝!一般公募にて当選した普通の素人が、並居る強敵を倒していくその様はまさに痛快!さらに──」
観客のヒートアップする歓声と、司会のつばが飛ぶほどに大げさな説明。両方とも耳に入らない。彼が聞きたいことはただ一つ。
(;;●□●)(ドクオさん、早く来てくださいぃ!!)
その素人の、いつもの気だるい声だけだった。
スーパードックンのようです
第二部 第四話おわり!
- 688 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:41:57 ID:89GL6mawO
- スーパードックンのようです
NGシーンはじまるよ!
第二部 第一話take4
↓もはや恒例行事
両指を組み手のひらを前に突き出して伸びをする。諦めたのは生きることでもなければ二人を止めることでもない。
('A`)「ビコーズ、ゼアフォー。俺がこの最悪な状況を突破する方法を教えてやる」
('A`)「この、スーパードックンがな」
( ∵)ピキッ
( ∴)ピキッ
('A`)(ああ、わかってる。どうせこのあと俺がボコボコにされたりすんだろ。もうワンパターンなんだよ、いい加減にしろよ)
( ∵)「ご、」
( ∴)「が、」
('∀`)(さぁ、なにがくるんだよ、いいぜ、もうなんも怖くねえ。みんな死ねばいいんだ)
- 689 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:43:04 ID:89GL6mawO
- ( ∵)「ゴェェェェ!」
( ∴)「ガァァァァ!」
(;'A`)ビクッ!
( ∵)「よくぞ我の封印を解いた、礼を言うぞ、ニンゲン」
(;'A`)「え、えぇー……」
( ∵)「ふむ、300年振りの地球はこれほどまで美しいとはな、壊しがいがある」
(;'A`)「な、び、ビコーズ?」
( ∵)「その名で呼ぶでない、ニンゲンよ。我は観測者。この世の摂理を観る者なり」
('A`)「か、観測、者……だと?」
( ∴)「ガァァァァ!」
( ∵)「ほう、アカシックレコードに触れておったか。我の封印を解くだけはある」
(#'A`)「へっ、たとえ観測者が相手だろうと、地球を好きにはさせねぇ!」
- 690 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:44:21 ID:89GL6mawO
- (#-A-)「この星にはな!精一杯生きてる奴らがいるんだよ!それを、摂理だ輪廻だっててめぇの裁量で壊されるわけにはいかねぇ!」
( ∴)「ガァァァァ!」
( ∵)「愚かなり、ニンゲン。ならば望みどおり死」
ドゴォーーン!
セスナは墜落した。みんな死んだ。
( ∴)「ガァァァァ!」
おわり
- 691 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:45:33 ID:89GL6mawO
- 第二部 第二話
↓私は幼稚園や保育園にいかなかったので描写が甘いです。
晴天の光が入らない教室は、町で最も大きな幼稚園の、『富士』(ふじ)組である。カーテンが閉め切られ、間接照明と黒板一面に広がるへったくそな蛍光ペンで書いた落書きの光が唯一の光源である、日本の富士山をもじったこの教室に、名だたる園児達は集結していた。
/ ,' 3「此度は、お集まりいただき感謝する」
まるでお遊戯のような、同じ服装で統一された人間達が、掃除の時間のように机を端に寄せて、自分たちは地べたに座る奇妙な光景。
- 692 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:46:44 ID:89GL6mawO
- 数十人の前で、黒板を背に壇上で新聞紙で作ったマイクを使って声を発するのは、この集まりの主催者でもある富士組年長の荒巻スカルチノフ。
やや腰が曲がった――お腹が痛いらしい――それを除けば、とても園児とは思えないほどの威圧感。まだまだ黒い髪の毛、鋭い眼光と、経験を表す絆創膏が、見るものに戦慄をもたらすような男だった。蛍光ペンの後光をうけながら荒巻は口角を片方上げて続ける。
/ ,' 3「仰々しい挨拶はこれくらいにしよう。皆も待ち望んでいるであろう?運動会賭博を」
言い終わると同時に後ろに向いて黒板に白のチョークで書き込んでいく。そこには各組の参加者と、数字が映し出された。そして、声の出所も変わった。
- 693 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:47:31 ID:89GL6mawO
- ( ・∀・)「えー、初めての方もいらっしゃると思いますので説明させていただきます。まず私は──」
富士組年少の茂良は、サラリーマンがプレゼンを行うような切り口で話し出した。だが、ここにいる人物達には合わない。
「なにいってるのかわかんないよ〜!」
「そうよ!あらまきくんももらくんもなにいってるの〜?」
巻き起こる不平不満。それは集まったほとんどの者が口にする。
(´・ω・`)(まったく、品がないな……)
足を組んで憮然とするVIP組の諸本は、右手で額を覆いながらうつむいている。同様の格好は数名。園児も色々。
(; ・∀・)「で、ですが、これを説明しないと、その……」
言いよどみ、あたふたとする茂良に向かって、荒巻は近づき耳打ちする。
- 694 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:48:06 ID:89GL6mawO
- / ,' 3「茂良、こうやって場がうるさいときに沈める方法を知っているか?」
( ・∀・)「は、はぁ……」
/ ,' 3「こうするんだ」
荒巻は茂良と自分のマイクを持ち上げ、広げて何度か折ると勢い良く振り下ろした。破裂音の後にくる園児の泣き声が室内に響き渡る。
例えば賑やかな空間で唐突に大きな音がしたとき、一瞬だが静かになる場面がある。それを応用して、彼はヤジをかき消した。
/ ,' 3「ほら、しゃべれ」
振り下ろしたそれらをもう一度マイクの形に戻して、ひとつを渡すと何事もなかったように元の場所へ戻る。苦笑いなのは茂良だけではなかった。
(*´・ω・`)(くくっ、やってくれるな。折り紙でっぽうで、あれだけうるさかった場をこうも沈めるとは。ちょっとびっくりして漏らしたが、若い彼も落ち着いている……なかなか面白い)
- 695 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:48:53 ID:89GL6mawO
- 諸本の押し殺した笑いと、濡れた半ズボンのわけを知る由もなく、気を取り直して話し出す茂良。
( ・∀・)「では、続けます」
彼が話す内容は、大規模な運動会賭博である。
荒巻が年長になってから、各組の、家がお金持ちの園児をターゲットに秘密裏に行われている教室を隠れ蓑にした運動会賭博。
帰りの会でまことしやかに噂されているそれは、徹底されたセキュリティと、幼稚園内的に影響の大きい人物が参加することによる保身で、チクられることがない。
ルールは簡単。何も知らない参加者が戦って、その優勝者を当てるだけ。もちろん諸本のように、自分の組から出場する選手に賭けても良いし、反対も然り。
そのシンプルなやり方と、莫大な掛け金で幼稚園内では大きなビジネスとなっている。
- 696 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:49:33 ID:89GL6mawO
- ( ・∀・)「──はい、ルールに関しては以上ですね。質問はありませんか?」
どこか間延びした場違いな男の問いかけに反応するものはいなかった。
( ・∀・)「では、事前にお渡ししていた投票券をボックスに入れてください」
各々が立ち上がり、ホールの中央、荒巻の前にある選挙に使うような箱に小さな紙を入れていく。まるで小規模な選挙のように粛々と行われていくそれは、本来のそれと同様に、利権が絡んでいる。違うのは、書いた字が読めるか読めないかだけ。
( ・∀・)「皆さん、よろしいですか?それでは集計に入りますのでしばらくお待ちください」
投票が終わって、茂良は箱を持ち、隅っこのカーテンへ荒巻と一緒に入っていく。ざわつき始める観衆を止めるものはいなくなった。
- 697 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:50:20 ID:89GL6mawO
- (´・ω・`)(さて、ジョルジュくんのオッズは10.0か。いずれにせよ、まず負けることはない)
諸本が使った金額は三百円。資本主義。
(´-ω-`)(問題は……奴だな)
懸念しているのは黒板にかかれた正体不明の人物。シルエットだけが出ているが、性別すら判別できないそれは、名前の部分にだれでしょう?とだけ書いてあった。オッズは8.6倍。
(´・ω・`)(さすがにそこまで情報が回ってくるわけもない、か。まぁ、いいだろう)
考えても仕方がないという思考に至ったとき、二人は戻ってくる。壇上の中心に並んで、茂良が口を開いた。
( ・∀・)「えー、集計が終わりました。特に偏りはないですねぇ」
大して話す内容もないのか、ごまかすように笑う彼に、荒巻が言う。
- 698 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:51:02 ID:89GL6mawO
- / ,' 3「そうだ、茂良。お前も賭けてみるか?」
�堯�; ・∀・)「えっ!?私がですか?そんな恐れ多い……」
/ ,' 3「所詮ゲームだ、口頭でかまわん。わしが金を出してやろう」
( ・∀・)「はぁ……じゃあ」
今更ではあるが、参加者のオッズもそれほど開きはない。8から12倍程度の倍率となっているのは
経歴等を鑑みて、誰が優勝してもおかしくないからである。
( ・∀・)「スーパードックンに1000円でお願いします」
(´・ω・`)(……!)
しかしそれは、ただ、一人を除いてだが。
「わー!もらくんおかねもち!」
「ドクオくんきらーい!」
皮肉に雑言を、引きつった笑顔でかわす。まるでいじめられている子供のように。
- 699 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:51:49 ID:89GL6mawO
- ( ^∀^)「えへへ、みなさん誰も賭けてませんからねぇ、こっちのほうが面白いでしょ?」
ジョークが場を盛り上げるように沸く。誰もが本気とはとらえていない。荒巻も鼻で笑いながら言った。
/ ,' 3「ほほ、よかろう。それでいくか。どうせ当たらん」
(* ・∀・)「えぇ、ホントにいいですか?じゃあお願いします。っと、それでは皆さん、運動会開始まであと3日、体を壊さないでください!チクったら殺す」
あわてて取り繕った茂良は解散の合図を促す。席を立つもの、談笑するもの様々な光景の中で、諸本だけがそのままの態勢だった。
(´・ω・`)(……)
- 700 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:52:33 ID:89GL6mawO
- いくらおかあさんといっしょで活躍したところで、正式な実績がなければ倍率には反映されない。
ただの気まぐれな博打か、徹底された緻密な計算か。視線を変えて、諸本がじっと見つめる先は、今運動会最高倍率のオッズ。スーパードックンの100.0倍という規格外の数字である。そして、黒板を消さなかった荒巻達は、その後、先生にばれてすごく怒られてしまった。諸本はズボンのシミがばれてみんなに嫌われてしまった。
賭博、ダメゼッタイ。
おわり
- 701 :名も無きAAのようです:2013/06/13(木) 23:55:02 ID:89GL6mawO
- >>659
早速見ていただいてありがとうございます。なかなか物語が進みませんが、よければお付き合いください。
本日は以上です。続きはなるべく早めにがんばります!
- 702 :名も無きAAのようです:2013/06/14(金) 08:54:25 ID:lRZbWeCg0
- おつ!
- 703 :名も無きAAのようです:2013/06/14(金) 19:22:06 ID:amdRYSiQ0
- こりゃ先が長そうだなww
楽しみにしてる、おつおつー!
- 704 :名も無きAAのようです:2013/06/14(金) 19:37:15 ID:WSIykK8Q0
- 相変わらずNGに気合い入れ過ぎクソワロタ
- 705 :名も無きAAのようです:2013/06/14(金) 22:37:36 ID:zJnIcEqk0
- 今気付いて読んだ!ドックンはよこい!
そしてNG気合い入りすぎ!
- 706 :名も無きAAのようです:2013/06/14(金) 23:09:47 ID:jrdIfxv.0
- おつ!
- 707 :名も無きAAのようです:2013/06/19(水) 00:54:48 ID:e8e983zoO
- どうも最近忙しくてたまらん。
今回も報告のみですが、明日、明後日に投下できる見込みです。毎度遅くなってごめんなさい。おやすみなさい。
- 708 :名も無きAAのようです:2013/06/19(水) 00:55:25 ID:kn/SreUo0
- おやすみー
- 709 :名も無きAAのようです:2013/06/20(木) 23:26:48 ID:J3clr1qo0
- しかしいっつもsage進行だから投下に気付きにくいのう
- 710 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:32:41 ID:s5DjBIf.O
- >>702 >>706毎度ありがとうございます、励みになります。がんばるぞ!
>>703
ありがとうございます。正直、かなり長くなりそうです。書きためたものを消しては書いたりしてますから、遅くてごめんね!
>>704
最近、本編がなかなか進まないと思ったらNGのせいでした。今回も本編二話いきます。
>>705
このままではスーパープギャーになってしまいますね。あー、ありか……いや、ないな。
>>709
そういえば分かりにくいですよね、よーし、あげるぞー!
というわけで参ります。
- 711 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:33:59 ID:s5DjBIf.O
- 舗装され、うっそうとしげった木々の中を歩くのは、これまたうっそうとした髪型をしている男。
森林伐採でもできそうな作業道めいたそれは、この島に人口の手が入っていることを裏付ける。
進めば進むほど自然は増え、当てのない旅路のようにただひたすら歩を進める彼に目的はあるのか。
('A`)(……)
ふと立ち止まって空を見上げる。寒空の晴天は、まだ春がこないことを実感させ、男は手をこすり合わせる。
雲の数、鳥の位置、豊かな緑、曲がり角。今まで通ってきた道は全て記憶しているし、旅人のようなこの状況を謳歌しているわけでもない。
('A`)(やっべ、道迷った)
宇都宮ドクオは生粋の方向音痴である。
スーパードックンのようです
第二部 第五話はじまるよ!
- 712 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:34:31 ID:s5DjBIf.O
- 〜〜〜
(; ●□●)(やっべ、マジやばいっす)
選手の紹介が終わり、みな威風堂々と構えている。プギャーだけが戦々恐々。
(; ●□●)(クイズが始まる前に来てくださいよ、ドクオさぁん……)
神に祈るような面持ちは、変装のおかげで誰にもわからない。サングラス越しに選手を見ても問題はない。少しの背徳感と、途方もない緊張は、無慈悲な司会の一言でさらに彼を焦燥させる。
(-@∀@)「さて、しぃさん!皆さんの紹介が終わったところでさっそく参りましょうか!」
(*゚ー゚)「はい!それでは予選のルール説明を行います!」
- 713 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:35:24 ID:s5DjBIf.O
- 仮にVIPテレビ局での放送であれば、いくらでも手を加えることはできただろう。しかし、今回の主催はシベリア。
ましてや国際的な大会には急遽変更などという誤魔化しは効かない。
黒服の男たちが各選手の前に、プギャーの腰程度の高さがある台を設置していく。
(*゚ー゚)「まずは恒例の早押しクイズです!いまから出題される問題を早押しでお答えいただきます!」
さほど大きくない台には手前側に大きく1から11までの番号と、台の中心にテレビゲームのコントローラーのような4つのボタンがあった。
それぞれにAからDまでのアルファベットが記載されている。
(; ●□●)(ミリオネアみたいっす……)
- 714 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:35:57 ID:s5DjBIf.O
- 押してみたくなる衝動に駆られたが、司会の言葉が続いたので思いとどまった。
(*゚ー゚)「制限時間の30秒以内に4つの選択肢から正解と思われるものを選んでいただき、間違えたり、時間が過ぎてしまった場合は失格となります!」
(*^ー^)「なお、1名でも失格者が出た時点で予選は終了、本選へと移りますのでよろしくお願いします!」
幸か不幸か、少なくとも予選での失格者は1名に限られる。それを聞いたプギャーは安心。心機一転。
(; ●□●)(全員で11人、その中の一人が失格者……これならなんとかいけるはずっす!)
(*゚ー゚)「それでは、皆さん!並び順を変更しますので、案内にしたがって移動してください!」
司会の後方、観客席を分かつ大きな壁にスクリーンが現れる。自然だった壁面に無機質な白が全員の視線を集めた。
- 715 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:36:52 ID:s5DjBIf.O
- 黒い文字で各台の位置と、それに伴う選手達の名前が表示され、移動が始まる。プギャーの指定位置はそう遠くはないが、これからのことが嫌でも心中を駆け巡り、視野が狭まる。
最初の紹介でもわかるように、それぞれ自国の選手が並んだ状態──エックスのみジョルジュの横だった──だったが、これではカンニングも容易い。事前に選手同士の暗号などを仕込んでおけば、このようなクイズは無意味になる恐れがある。
それを防止するために、各国バラバラでの並び順でクイズは開始される。
プギャーは移動中、自身に向けて苦虫を噛み潰したような顔でアイコンタクトするジョルジュを見て確信した。
(; ●□●)(ジョルジュさん、気づいてるんすね……)
- 716 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:37:25 ID:s5DjBIf.O
- ドクオの代わりとして彼が出場することはジョルジュに伝わっていない。
当然、インカムなどという便利な道具は二人ともつけてはいないので、どうするべきかと考えたが杞憂だった。
同時に、彼が手助けをしてくれるかもしれないという甘い考えは捨て、台に着く。
そして一呼吸おいて、自分の横に誰がいるか確かめるため、改めて前方のモニターを凝視した。
(; ●□●)(……!?)
- 717 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:38:05 ID:s5DjBIf.O
- 無意識に隣を見る。それは選手紹介において、司会はおろか本人さえ一言もしゃべらなかった人物。
(-@∀@)「皆さん、台に着きましたね!さぁ参りましょう、クイズの世界一を決める聖戦シベリア、開幕です!」
白いフード付の外套姿は、エックスのマークがついたフードを口辺りまでかぶさって顔を覆っていて、華奢な体をマントのように足元まで包み込んだ、男性とも女性ともわからない奇妙な存在感を放っていた。
(; ●□●)(この人が……俺の横っすか)
総勢11人の猛者達の名前が、スクリーンに連ねられる。歓声がプギャーの耳に聞こえないのも無理はない。
- 718 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:39:00 ID:s5DjBIf.O
-
ξ゚⊿゚)ξ
(,,゚Д゚)
(-_-)
ハハ ロ -ロ)ハ
( ><)
爪'ー`)
('、`*川
( Ⅹ )
( ●□●)
(゜д゜@
_
( ゚∀゚)
それは今大会で最も謎の多い人物、エックスが左隣であることを意味していたからである。
スーパードックンのようです
第二部 第五話おわり!
- 719 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:40:30 ID:s5DjBIf.O
- スーパードックンのようです
NGシーン
第二部 第五話
↓乾杯モンテカルロ〜♪恋はラプソディ♪
(*゚ー゚)「それでは、皆さん!並び順を変更しますので、案内にしたがって移動してください!」
(*;゚ー゚)「あー!ギコさん!その場で腕立てふせしないでください!腹筋もダメです!移動しながら脊柱起立筋も鍛えないでください!」
(*;゚ー゚)「ツンさんもヘドバンしないでください!ここはライブ会場じゃありません!あー、そういう巻き毛を指でクネクネするアピールは止めて下さい!ぜーはー言いながらクネクネしないでください!電話のコードじゃないんだから……あ?電話にコードなんてない?このワイヤレス世代が!」
- 720 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:41:12 ID:s5DjBIf.O
- (゚ー゚;*)「あらやださん、観客席に飴を振舞わないでください!そういうのは禁止です!えっ、あとで料金を徴収する?商魂逞しいですね!私もかませてください!」
(*゚ー゚)「おっと、ハローさん、移動中のハイタッチはやめてください。みんな困ってます。あとそういう手をあげながらアーハーン?とか言わないでください。え、ああ、はいはい、そうですね、アメリカは最強です」
(*゚―゚)「ビロードさん、そうやってわかんないわかんないって言ってればなんでも通ると思ったら人生大間違いです。備えなさい」
- 721 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:43:50 ID:s5DjBIf.O
- (*-д-)「くさっ!フォックスさん、くさいです。え、タバコ?いえ、私は気になりませんが……あ、勝手に泣かないでくださーい。別に体臭のことをいったわけではありません、ただ存在がくさくて……あ、泣かないでくださーい」
(*゚ー゚)「ジョルジュさん、かっこいいですけどカメラ目線はたいがいにしてください。こっちをみてください!私だけを見てください!こっちを見ろ!コッチをミロ!」
ススッ( ゚д゚ )
(゚ぺ#)「誰だ!?こっちみんな!」
(*^ー^)「ペニサスさん、脱がないでくださーい。背中がきれいなのはわかりますが、前は貧相です。え、別れた男に『お前、背中きれいだよな。あの人みたいだ』って比べられたのがショック?だから世界に発信して慰めてもらう?あー、比較する男ですか、まぁ元気だして!私には関係ないから!」
- 722 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:44:31 ID:s5DjBIf.O
- ( ゚‐゚)「アサピーつば飛ばすな」
(*^ヮ^)「ヒッキー起きろ!家、燃やすぞ!お前のPCに入ってるデータも燃えるぞ!あっつあつ!あっつあつ!あっつあつったらあっつあつ!あ、起きた。うわっ、はや」
ススッ( ゚д゚ )<ちくわ大明神
(゚ぺ#)「だから誰だお前!」
( Ⅹ )(……)
(*゚ー゚)(……)
(゚ー゚*)″プイッ
(' Ⅹ `)ショボーン
(*゚ε゚)「もう皆さんしっかりしてくださいよ!ほら、スーパードックンを見てください」
(; ●□●)ドキッ
- 723 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:45:15 ID:s5DjBIf.O
- (*゚ー゚)「ちゃんと指定位置に移動しているでしょ?全く、皆さんそんなんだから彼の変装も見抜けないんですよ」
(; ●□●)チョ、マ
(*゚ー゚)「えっ、ああ。実はスーパードックンは遅れてきているのでVIPテレビスタッフの、吹木くんが変装しているんですよ」
(; ●□●)シ、シィサンナニヲイッテ
(゚ー゚*)ツカツカツカ
(; ^Д^)ババーン ⊂(゚ー゚*)エイッ
(*゚ー゚)「ほらね」
( Д )アアアアア
(*^ー^)「もうやってられません!割れてしまえ!地球なんか!」
- 724 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:46:25 ID:s5DjBIf.O
- (-@∀@)「しぃさん!正気にもど」
(゚皿゚#)「つば飛ばすな!!」
�堯�;-@∀@)ヒィ!
(*゚ー゚)「いいわ、全世界が見ているここで私が知りうる情報を暴露してやる!人呼んで『枕とタバコの間』椎名しぃがね!」
(*゚ー゚)フフフフフ
(*゚ο゚)アーハッハッハ!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〇
ο
。
(*゚ー゚)フフ
(-@∀@)(しぃさん、大丈夫かな……なにか辛いことでもあったんだろうか)
おわり
- 725 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:47:55 ID:s5DjBIf.O
- 第二部 第五話 take2
↓手負いの虎には気を付けたほうがいいですよ、なめてかかると死ぬみたい
ドクオの代わりとして彼が出場することはジョルジュに伝わっていない。
当然、インカムなどという便利な道具は二人ともつけてはいないので、どうするべきかと考えたが杞憂だった。
同時に、彼が手助けをしてくれるかもしれないという甘い考えは捨て、台に着く。
そして一呼吸おいて、自分の横に誰がいるか確かめるため、改めて前方のモニターで確認した。
(; ●□●)(……!?)
- 726 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:51:26 ID:s5DjBIf.O
- 無意識に隣を見る。それは選手紹介において、司会を食ってしまうほどしゃべり続けた人物。
トラ模様のよそ行き姿は、髪の毛が紫でパンチパーマと、塗りたくった化粧で顔を覆っていて、重厚感のある体系が、脂肪を足元まで包み込んだ、男性とも女性ともわからない奇妙な存在感を放っていた。
(; ●□●)(この人が……俺の横っすか)
総勢11人の猛者達の名前が、スクリーンに連ねられる。
(゜д゜@
(゜д゜@
(゜д゜@(゜д゜@
( ●□●)(゜д゜@
(゜д゜@(゜д゜@
今大会で最も態度の大きい人物、矢田新子が隣であることを意味し、同時に増殖。バーゲンセールが如きスピードで目標を囲む。
(; ●□●)(死……)
死期を予感したプギャーは気絶した。
- 727 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:52:11 ID:s5DjBIf.O
- 〜〜〜
( ^Д^)「こ、ここは……」
(^ω^ )「大丈夫かお?プギャー」
(; ^Д^)「な、内藤さん!?大会はどうなって」
(^ω^ )「大丈夫だお、スーパードックンが優勝したお」
( ^Д^)「よかった……」
(^ω^ )「どうしたんだお、プギャー。青白い顔して」
(; ^Д^)「あ、いや、その……怖い夢を見てたみたいで……」
(^ω^ )「怖い夢?」
( ‐Д‐)「はい。化け物のようなおばちゃんが自分を囲んでた夢です。ほんと夢でよかったっす」
- 728 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:52:42 ID:s5DjBIf.O
- (^ω^ )「化け物のようなおばちゃん……」
( ^Д^)「マジびびるっす。あんなのに囲まれたら──」
( ω )「プギャー、それって」
(゜д゜@「コ ン ナ カ オ カ オ?」
�庾�(;; ゚д゚ )「ぎゃあああああああ!!」
おわり
- 729 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:53:45 ID:s5DjBIf.O
- 第二部 第三話
↓ジャズバーでマティーニを注文したら材料関係なく「ないです」と言われたときの虚無感
店の名前は『たす』。人が集まるところで縁が深まればと店主が名づけたらしい。陳腐。
内藤がいない打ち上げは一般企業のそれと同じような愚痴や労いで終わった。
携帯の着信履歴に上司の名前が出たからではなく、ゆっくりと二人で話しあう時間が作れるかもしれないと相棒としての自負を持ってデミタスはこの居酒屋に来たのだ。
のれんをくぐりながら引き戸を開けて、中に入ると、客でごった返した煩雑としている店内。座敷しかなく、他の客の背中と背中がくっつきそうな勢い。それは、よくある大衆居酒屋よりもずっと乱暴な印象を受けた。
- 730 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:54:25 ID:s5DjBIf.O
- 奥の座敷で内藤が手を上げたので、デミタスは靴を脱いであがる。背中にはやはり客。目の前ではすでに減っている明らかな冷凍食品のえだまめと、白濁な色をした酒であるマッコリが目に入ったので、短髪黒髪の、はちまき姿のスタッフに注文する。
(´・_ゝ・`)「……マティーニ、ロックで。オリーブは抜いてください」
( ^ω^)「おい、デミタスなにいって」
「はぁ!?お客さん、うちはそんなハイカラなもんはおいてねぇよ!」
顔と声で若いなと彼は思った。
本来なら初めて入る居酒屋でマティーニを頼むことは、スタッフの腕どころか常識を疑われるのであまりいいものではない。
もちろんそのことをデミタスは知っていたし、逡巡はあったが、あえてそれを頼んだのはそれが面白そうだったから。
- 731 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:55:09 ID:s5DjBIf.O
- 本当は相棒との話なんて、正直どうでもいい。タダ飯、タダ飲みできれば。
(´‐_ゝ‐`)「ふん、マティーニも出せないなんてとんだバーだな。まぁいい、ビールをもらおう」
「うち居酒屋だってのに……へい、ビールね」
〜〜〜
「へい、おまちどう!」
(´・_ゝ・`)「ありがとう」
差し出されたビールジョッキに、泡が浮かぶ。オーダーには小、中、大かについての言及がなかった。
しかし、出されたそれは明らかに量が少ない。
中ジョッキで子供が飲むオレンジジュース程度の量がこの店のレシピなのか、あるいは自分を見て判断したのか定かではないが、悪い気はしない。
- 732 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:55:46 ID:s5DjBIf.O
- ビールを二口つけたところで、デミタスが口を開いて別のスタッフを呼び止める。
(´・_ゝ・`)「君!」
「へい、なんでしょうか?」
(´^_ゝ^`)「シェフを呼んでくれたまえ」
( ^ω^)「お前、もう帰れ」
おわり
- 733 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:57:08 ID:s5DjBIf.O
- 第二部 第四話
↓ラーメンについて詳しくはありません。私は伸びたラーメンが大好きです。たとえ邪道といわれても。
( ^ω^)「なんでまだきてないんだお!」
焦る声がプレハブにこだまする。開始10分前にして重大なトラブル発生。スタッフ達は意気消沈。
(; ^Д^)「わ、わからないっす……飛行場までの送迎は問題なかったみたいっすけど……」
まるで自分が怒られているかのように萎縮するプギャー。
(´・_ゝ・`)「私も確認しました。リムジンの送迎後、運転手から連絡が入りましたので」
すかさずデミタスがフォローする。しかし状況はかわらない。
(*;>∀<)「ま、まさか飛行機が墜落したとか……」
両手を抱えて震えるつーにいつもの余裕は見れない。本気で心配。
その心配を解消するか、増長するか、内藤の携帯電話が鳴った。
「ちゃーす!ライライ軒です!」
- 734 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:57:43 ID:s5DjBIf.O
- ( ^ω^)「しょうゆラーメン三人前とチャーシューラーメン五人前、塩ラーメン五人前に半チャー餃子セットはまだかお!?なにがあったんだお!?」
「はい!どうやらこちらの飛行場でトラブルがありまして!」
(; ^ω^)「な、なんだと、まさか」
「いえ、俺達、出前運びは無事なんですけどラーメンが……その後、周辺を探してみたのですが……どうやら着陸した時にちょっとこぼれてしまったようでして……」
(# `ω´)「なんでもっと早く連絡してこないお!」
「も、申し訳ございません!」
顔つきがかわっていくのを察した内藤は、周りの視線を察知し、落ち着く。
(; ^ω^)「……仕方ないお。全部こぼれたわけじゃないんだお?持ってきてくれお。こっちでなんとかするお」
「承知しました!失礼します」
- 735 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:58:30 ID:s5DjBIf.O
- 電話を切った彼は、深くため息をつき、全員に状況を知らせる。うつむくスタッフ達を見て、いよいよピザに変更する必要があるかと感じたとき、プギャーが口を開いた。
( ‐Д‐)「せっかくジョルジュさんがドクオさんのしょうゆラーメンも注文してくれたのに、こんな……」
(´・_ゝ・`)「ジョルジュ長岡が?冗談だろう、あいつはラーメンが嫌いなのにどうやって注文したんだ?」
(; ^Д^)「いやデミタスさん。ラーメン嫌いな人でもラーメン注文することはできますよ」
(;´・_ゝ・`)「そ、そうか!」
あの後、プギャーがライライ軒に確認を取ると問題なく注文ができていた。
- 736 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 21:59:11 ID:s5DjBIf.O
- どうしてしょうゆラーメンを注文したのか不思議に思った彼だが、そもそもよくわからない人物──適当に選んだのだろう──であったし、自身の責任や腹減り具合を考え、あまり詮索はしなかった。
パイプ椅子にかけ、立っている人物はいないプレハブ内に、ドアの開閉音が響き渡る。
「お待たせしました!ライライ軒です!」
( ^ω^)ガタッ
(´・_ゝ・`)ガタッ
(*゚∀゚)ガタッ
( ^Д^)ガタッ
全員が一斉に立ち上がる。目の前には銀色の立方体であるおかもち──出前箱──を手にする二人の若者がいる。
「いやぁ、すんません本当!おそくなっちまって!」
( ^ω^)「かまわんお!早くよこせ!!」
「は、はい。えーっと──」
それぞれのスタッフに、注文したラーメンとサイドメニューが配られていく。皆、割り箸を割って即座にすする。内藤のみ先に会計を終えて、いざ酒池肉林の戦場。
- 737 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 22:00:12 ID:s5DjBIf.O
- 「うめぇ!」
「おいしい!」
「たまんねぇ!」
たとえ季節が冬だろうと、空腹が満たされていくプレハブ内の熱気はすさまじい。しかし、冷房をつけることはおろか外気を入れることすらしない。
熱いものを熱いうちに食べる。先人の教えは彼らVIPテレビ局のスタッフ達にも受け継がれているのだ。
(* ^ω^)「はぁ、食った食ったお」
手で口元を覆いながら、つまようじを使う内藤はご満悦。全員が食べ終わったころ、外気が侵入してきた。
(;'A`)「あー、ここでいいんすか?」
(*゚∀゚)「あ、スパドクだ!」
- 738 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 22:00:54 ID:s5DjBIf.O
- 帽子で顔を仰いでいたつーが、またそれを被りなおしながら近寄ってくる。初対面。
(;'A`)「な、なんすかスパドクって」
(*^∀^)「スーパードックン、略してスパドク!どうよ!」
( 'A`)(エ○パ○みたいじゃねぇか……怒られる)
呆然としながらも、こもる熱気と臭気にドクオは反応した。
('A`)「あ、もしかしてみなさんお昼ごはんですか。そういえば俺、何も食べてなかったんだよなぁ。朝ぬいてきちゃったしなぁ」
(^ω^ )「おっおっ、ちゃんと君の分もとってあるお」
('∀`)「あ、内藤さんでしたっけ。ありがとうございますあのときのことは忘れてねぇから覚悟しとけよ」
(^ω^ )
丁寧に礼をいって、差し出されたラーメンを見る。汁はなくなり、麺は干からびているような、それがその店のラーメンといわれたら納得せざるをえない物体。
- 739 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 22:01:30 ID:s5DjBIf.O
- (゚A゚)「こ、これは!!」
( ^Д^)「しょうゆらーめんっす。みんなはもう食べたんでドクオさんも早く食べてください」
油麺とも違うそれをかき混ぜる。鈍い音をたてながら麺をほぐそうとしても無駄。それはグチャグチャとドンブリの中を廻っていく重い、重い、成れの果て。
湯気はなく、熱さも感じられないそれを見て、ひたすら歩いてきた男は言う。
( A )「──のびてんじゃねぇか」
(´・_ゝ・`)「いらないならもらおう」
(;'A`)「だめ!」
大会はジョルジュが優勝した。
おわり
- 740 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 22:04:40 ID:s5DjBIf.O
- 本編8レスって……
ちょっと用事が出来ましたので、中断します。
- 741 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:02:24 ID:s5DjBIf.O
- 富士 最上階
(´・ω・`)「さて、まずは前座、余興といったところか」
給士がいたのでリキュールを注文した諸本はスクリーンを見ながら優雅に腰をすえている。
早いうちに食事を済ませていた彼が注文した酒はリモンチェッロ。南イタリアのアマルフィ海岸一帯が主な産地でアルコール度数も30度以上ある強めの食後酒。
スーパーマーケットでも販売している有名なそれは当たり外れが大きく、本場のレモンをつかっているか、着色料や香料をつかっているかどうかで決まる。
よく冷えたリモンチェッロは、彼の舌と喉を違和感なく通り過ぎ、本場の習慣を体現するようにその美味さに満足する。
- 742 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:03:10 ID:s5DjBIf.O
- ( ・∀・)「諸本社長」
悦に浸っている彼の背後から声がしたので振りかって見ると、やはりどこか気弱そうな茂良が片手をあげて近づいてきた。空いている横の席に座る。
(´・ω・`)「ああ、茂良さん」
( ・∀・)「いかがですか、ゲームは」
(´^ω^`)「うん。楽しんでいるよ。このリモンチェッロも美味しいしね。君はなにか飲まないのかい?」
( ・∀・)「無調法で。すみません」
二人の年齢差は大きく離れている。社長といえどもそれをかさにして高圧な態度に出ることはない。
その人間がどれだけのことができて、どういう利益をもたらすかで判別している。然るに、ミドルと呼ぶにはまだ若い茂良の役職や経歴を見れば、対等の態度──目上、目下はあるが──を取ることに不自然はない。
- 743 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:03:41 ID:s5DjBIf.O
- (´・ω・`)「美味しいんだけどね。まぁ、僕の場合は思い出も兼ねてるからなんだろうけど」
それはプライベートでイタリアに行ったとき。彼に出会い、そう教えてもらったから。
( ・∀・)「イタリア……ジョルジュ長岡ですか」
(´-ω-`)「そうだ。あの男は信頼できる。本当ならすぐにでも右腕にしたいんだけど、なかなか振り向いてくれなくてね」
飲み干したリキュールのグラスをじっと見つめるその表情はどこか淋しい。茂良は話題を変える。
( ・∀・)「そういえば、諸本社長。ひとつお耳に入れておくことがありまして」
すぐに顔つきを元に戻した彼は、穏やかな男を見る。声をひそめて話すから、少し近づいた。
- 744 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:04:32 ID:s5DjBIf.O
- ( ・∀・)「ここ数年、シベリアに捜査が入るとの噂が絶えません」
(´・ω・`)「捜査……?ICPOか?」
( ‐∀‐)「そう考えるのが妥当でしょう。ですが、今回は違います」
(´・ω・`)「……?」
( ・∀・)「内調です」
(;´・ω・`)「なんだと!?」
思わず声を荒げてしまった彼に、まばらにいる周囲の視線が突き刺さる。茂良がすかさず愛想笑いで退けた。
( ・∀・)「あくまで噂ですが、躍起になっているようで。なんでも非常に有能な人間がかぎまわっているみたいです」
どこからの情報か確認することも野暮。噂と前置きされている以上、はぐらかされてしまう。
だから呟くしかなかった。
(;´・ω・`)「白髭……」
( ・∀・)「えっ、なんですか?」
(´・ω・`)「いや、なんでもない。しかし、随分と杜撰だな。その言い分だとセキュリティは機能していないように思うが」
- 745 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:05:35 ID:s5DjBIf.O
- (´・ω・`)「いや、なんでもない。しかし、随分と杜撰だな。その言い分だとセキュリティは機能していないように思うが」
( ・∀・)「問題ありませんよ。確かにアンダーグラウンドでもよく話題に上がるほど面白い話ですが、所詮は都市伝説。仮に内調がメスを入れようとしても、少なくとも今回は核心に至りませんよ」
(´・ω・`)「その根拠は?」
( ^∀^)「企業秘密です」
顔をしかめる諸本に慌てて茂良は取り繕う。
(; ・∀・)「あ、いえ。その……すみません。こればかりはどうしても……私もサラリーですから」
- 746 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:06:15 ID:s5DjBIf.O
- その慌てように追求心は削がれる。仕方なく、スクリーンに視線を移した彼の横顔に、茂良は続けた。
( ・∀・)「まぁ、もっとも……さすがにこのテーマパーク内に潜入されているとしたら、厄介ですがね」
(;´-ω-`)「──フッ……笑えない冗談だな」
(; ‐∀‐)「ええ」
話が終わる。穿った二人の目線は、スクリーンに映し出される各国の選手達を一巡した後、まだシルエットのみ表示されているエックスに注がれた。
スーパードックンのようです
第二部 第六話はじまるよ!
- 747 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:06:54 ID:s5DjBIf.O
- 〜〜〜
(*-@∀@)「それでは第一問、参ります!しぃさん、問題をお願いします!」
(*゚ー゚)「はい!それでは問題です!今から出題される問題の解答を4つの選択肢からお選びください!」
先にスクリーンへと文字が表示され、それに続くようにしぃが読み上げる。
(*゚ー゚)「国連は何の略称でしょうか?
A国際連結 B国際連動
C国際連盟 D国際連合
さぁどうぞ!」
(; ●□●)(これならわかるっす。Dっすね)
台のボタンが点灯する。プギャーはDのボタンを押すと、おどおどとした様子でスクリーンを見つめる。自信はあっても不安は不安。
- 748 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:08:07 ID:s5DjBIf.O
- (*゚ー゚)「はい、皆さん回答いただきましたね!それでは正解を見てみましょう!」
アサピーが問題文が載っている方向に向いて促す。すぐに画面にはDの文字が表れた。
(*^ー^)「正解はDです!正解者はこちら!」
(; ●□●)(ほっ……声を出さないでいいのは助かるっす)
10秒と経たず一問が終わる様子に、観客は盛り上がる。当然のように不正解を出した者はいない。
心底安心しているプギャーに対して、他の選手達は余裕の表情を浮かべている。
(* ●□●)(これくらいの問題ならなんとかいけるっすね!)
クイズの要領もわかった彼はさらに気を引き締める。それは会社のためでもあり、そして彼のサポートをするため。
若いADの青臭い理想は、次の問題で崩れた。
- 749 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:08:48 ID:s5DjBIf.O
- (*゚ー゚)「では次の問題です!」
(*゚ー゚)「1ユーロセント硬貨の裏面に描かれている、世界文化遺産にも登録されたイタリアの城はなんというでしょう?
Aサンタンジェロ城 Bデルモンテ城 Cトッレキアーラ城 Dチロル城
さぁどうぞ!」
(* ●□●)
( ●□●)(あ、終わったっす)
いくら主催がシベリアとはいえ、最初の問題だけであれば融通も効いたのだろう。しかし、ここは世界一を決める舞台。都道府県ごとの大会でもなければ、一国の頂点を選ぶ戦いでもない。
アサピーが言った聖戦という言葉も過言ではないそれは、サービス問題がいつまでも続かないことを意味している。
- 750 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:09:39 ID:s5DjBIf.O
- ( ●□●)(なんか、最初にドクオさんが杉浦先生と戦ったときを思い出すっすねぇ……あのときは、確か)
諦め、思い出に甘え、現実から逃げているわけではない。ダメならダメじゃない方法をとれ。
ドクオの母親と接触したときにも思いだした内藤の教えを、この状況下でも実践している彼の目はまだ勝負を諦めていない。必死にあの時の出来事から、打破する材料を探している。
( ●□●)(ドクオさんは最初の問題を解いた。その後、難しい問題が出てきて……杉浦先生が手をあげて……ドクオさんは、確か……なんて答えたかわすれちゃったけど、なんか正解して……)
(; ●□●)(なるほど、わからないっす!俺にはドクオさんみたいな能力はないっす!)
- 751 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:10:20 ID:s5DjBIf.O
- 自分は自分、他人は他人。いくら過去を思い出そうとも、今に反映できる要素はない。
詰み。その二文字が頭に浮かぶ。それを消そうとかぶりを振る。
(*-@∀@)「残り10秒です!えー、スーパードックンのみが未解答です!がんばってください!」
(; ●□●)(……くっ!)
煽る司会の言葉に急かされたか、プギャーはBのボタンを押す。心臓の高鳴る音が周りに聞こえてしまうのではないかと錯覚するほど動揺している。
(*゚ー゚)「はい、皆さんの回答が出揃いましたので正解を発表します!」
(*^ー^)「正解は──」
- 752 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:11:33 ID:s5DjBIf.O
- 〜〜〜
(# ‐へ‐)「もう二度としませんからね!」
予選終了後、プレハブ内で髪の毛を外したプギャーは、サングラス、マスクが乱雑に置いてある机の前で叫ぶ。
ベストを着なおした彼は、安堵と共に愚痴をもらした。
( ^ω^)「まぁまぁ、結果的にはよくやったじゃないかお」
(*゚∀゚)「そうだよ!よっ!スーパープギャー!」
おだてられて、まんざらでもない下っ端ADはいつものにやけ顔に戻る。そこに傍観していたデミタスが詰め寄った。
(´・_ゝ・`)「しかし、どうやって二問目以降を解いたんだ?」
( ‐Д‐)「あー、実はっすね……」
腕組みをしながら目をつぶってうなりながら思い出すように話し出す。
ありえなかった出来事が起こったかのように、ゆっくりと言葉を選んでいった。
- 753 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:12:05 ID:s5DjBIf.O
- 〜〜〜
(-@∀@)「残り10秒です!えー、スーパードックンのみが未解答です!がんばってください!」
(; ●□●)(……くっ!)
それは弱気を消すためにかぶりを振った時だった。ふと、目に入ったのは左手にいるエックス。
袖口から手だけが見えた後に気づいたのは、正体不明の人物の、変わった形をつくった右手の指先。
力を抜いた右腕は足に沿いながら、人差し指を親指につけて、オッケーマークのような形状に、中指を人差し指の第二間接あたりにつけており、プギャーの視界になんとか映って認識させる。
( ●□●)(あれは……?)
- 754 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:12:36 ID:s5DjBIf.O
- 彼に特別な能力はない。その意味は、デミタスのような総合的な適用力や、つーのような周りを見てうまくコミュニケーションをとる力、そして内藤の持つある種のカリスマ性などがないということ。
特筆するべき一般的なスキルを持っていない男の、誰にも負けない力は、学び、実行する力だけ。
まずは点ではなく、線でもなく、面で見ろ。大きいところから見て、そして行動しろ。
視野を広げ、全体を意識する。なにもない。狭め、視線を下らせ、一線に集中する、違和感がある。自身の視線を違和感のある一点に集中させる。違和感の正体は手。
敏腕プロデューサーの元で働いたAD吹木は、自身の身長とあまり変わらないエックスの、およそ膝あたりで形成されているマークをみて、意を決し、Bのボタンを押した。
- 755 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:13:09 ID:s5DjBIf.O
- 〜〜〜
( ^Д^)「……って感じで、最終的に全部の問題を指文字っていうんすかね?それで教えてくれたんすよ」
言い終えた彼はため息をつく。まだ憔悴しているようで、やや猫背。
(´・_ゝ・`)「あのエックスという人物が……」
( ´ω`)「まったく、何者なんだおね?奴は」
(;´・_ゝ・`)「わかりません。選手紹介プロフィールにも記載はありませんから」
敵に塩を送る行為以外の何物でもない奇行は、プレハブ内に疑問をもたらす。打ち消すように声をあげたのは、意外な人物だった。
- 756 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:13:43 ID:s5DjBIf.O
- (*゚ε゚)「たぶん、あの人……女の人だと思う」
赤鉛筆を咥えたいつものつーは、一言で場の視線を集めた。口を元に戻し、背もたれに肩をかけて、半身で後ろを向く。
(*゚∀゚)「あの人の歩き方なんだけどさ、履きなれてないヒールを履くとあんな感じになるんだよ」
特有の歩き方というものは、体全体が外から見えなくても性別を示すファクターとなりえる。他の女性スタッフが、賛同するのをみて男性陣は顔を見合わせた。
(´‐_ゝ‐`)「仮に、だ。エックスが女性だとして……どうしてプギャー、いやスーパードックンを助けるようなマネを?」
(*-∀-)「あれじゃない?スーパードックンに会いたい、会ってクイズで対戦したいとかじゃないかな。だからここで負けてほしくないとか……」
- 757 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:14:28 ID:s5DjBIf.O
- なげやりで安直な回答に怪訝な顔をするが、だからといって反論できる推論も証拠もない。この話はこれで終わりと沈黙を決めようとしたデミタスに代わって、内藤が尋ねる。
(^ω^ )「つーちゃん、その話の根拠はなんだお?」
(;*゚∀゚)「女のカン。なんちて」
(^ω^ *)「おっおっ、十分に信じられる根拠だお!」
(´・ι_・`;)「な、内藤さん、いくらなんでもそれは」
いいからいいからと内藤が、詰め寄ってくるデミタスを押さえる。プギャーを含む全員の顔を見渡した後、いつもより少し大きな声で呼びかけた。
(* ^ω^)「まっ、エックスの正体はそのうちわかるだろうお!もしもあの格好のままでいるんだったら俺が抗議にいってやるお!だけどお?俺達が考えて、クリアしなければならない今の問題は──」
_
( ゚∀゚)「主役がこないこと、だろ?」
- 758 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:15:12 ID:s5DjBIf.O
- 改めてスタッフの解決すべき課題を、声に乗せた内藤だったが、それはドアの開いた音と共に奪われてしまう。肩透かし。自身の名誉を取り繕うわけでもないが、注意する。
(# ^ω^)「じょ、ジョルジュ。ここはスタッフ以外立ち入り禁止だお!」
_
( -∀゚)「おっと、失礼。諸本社長から許可は受けてるんだけどね」
(; ^ω^)「しゃ、社長から……!」
一年前を思い出せば、もともとは諸本が連れてきた男。嘘をついている可能性も考えたが、万が一を思うと恐い。
(; ‐ω‐)「わかったお……で、なにしにきたんだお?」
_
( ゚∀゚)「うん、問題の解決を……ね」
( ^ω^)「お?」
- 759 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:15:58 ID:s5DjBIf.O
- 長い髪と大きな背中の後ろから、親子のような身長差が伺える男が見える。
(; ^Д^)「あ、あ……」
掻けば落ち、地面が汚れるボサボサの髪。
(;´・_ゝ・`)「……やっときたか」
ジャージと比べればまともだが、何の変哲もないはずの、白のシャツは汗や土ぼこりなどで汚れていて。
(;*゚∀゚)(わー、ちょっとドキドキする!)
履きジワとつま先の削れ具合は、誰も知らないが今朝よりもひどく、まるで歩いてきた距離を物語るように。
( ^ω^)「おっおっ、遅かったおね。そして久しぶりだお……
──スーパードックン」
- 760 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:16:36 ID:s5DjBIf.O
- 渦巻く陰謀、欺瞞、懐疑。道理を飛ばして真実を開くことは容易でない。
('A`)「悪いな、遅れた」
だが、少なくともその男は因縁の前に現れ、
クイズ とか
問 題は解決れた。
スーパードックンのようです
第二部 第六話おわり!
- 761 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:18:24 ID:s5DjBIf.O
- 今回は以上です。
投下する本編が予想以上に短いので次回からちょっと考えます。なるべく早くがんばるぞ!
- 762 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:21:37 ID:JnmaVn9E0
- 「クイズとか問題は解決れた」って素直に読んじゃった自分が恥ずかしい
乙
- 763 :名も無きAAのようです:2013/06/21(金) 23:50:50 ID:BeLt8LZM0
- 乙!
- 764 :名も無きAAのようです:2013/06/22(土) 00:10:45 ID:FpG8Lue.0
- ジョルジュよくドックン見つけたな乙
- 765 :名も無きAAのようです:2013/06/22(土) 00:46:12 ID:Qevz2h1.0
- ドックン来ないと始まらんもんなww
- 766 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:16:07 ID:lmrT8KiYO
- 夜中に目が覚めました。おめめぱっちり。ひっそり更新。
>>762
慣れないことはするもんじゃないですね。すみませんが、また出てきます。
>>763
あざっす!嬉しいっす!
>>764
まぁ魔術師(笑)ですから!
>>765
ホント、ドックンきたら話進めやすくて……あー、他のキャラの魅力が引き出せない。
- 767 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:16:50 ID:lmrT8KiYO
- _
( ゚∀゚)「いやぁ、こんな所で会うとはね」
('A`)「こっちのセリフだ」
木々に囲まれ、舗装された道を歩くのは金髪と黒髪。歩幅の違う二人だが、歩く速度は一緒。
現在の進行状況など重要な事柄は確認したが、道端に咲いている花のように談笑をするわけでもなく、小鳥の鳴き声が感じられるほど無言でもなく、彼らは目的地へと進む。
開始前には選手達が控え室にいなければならないが、終了後には自由行動。
そのまま控え室に残る者もいれば、テーマパーク内の施設を利用するものもいる。
予選終了後のテレビ放送では例の如く編集されたVTRが流されていて、戦いの緊迫と放送される緊張を癒すつかの間の休息に、ジョルジュはテーマパーク外にいたのだ。
- 768 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:17:32 ID:lmrT8KiYO
- ('A`)「なんであんなところにいたんだ?」
ドクオが彼を発見した場所は、したらばからかなり離れた道端。周囲にはなにもなく、何らかの目的で来ているであろうと推測できる。
歩き疲れているのか、声が小さいので振り返ったジョルジュは聞き返す。口角をあげて思わせぶりに答えた。
_
( -∀-)「スーパードックン……男なら、わかるだろ?」
(;'A`)「えっ、いや、んなば──」
_
( ゚∀゚)「立ちションだよ」
(;'A`)「あ、ああ、そうか」
白痴な青年は必要以上にうなずいた。それを見て笑いながら進んでいくジョルジュ。
- 769 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:18:04 ID:lmrT8KiYO
- _
( ^∀^)「ハハハ、冗談だよ。電話してたんだ。あんまり人に聞かれたくなかったんでね」
確かに園内で携帯を利用すれば、誰かに聞かれる恐れがある。しかし、いくらなんでも歩いて数十分かかる場所を選ぶ必要があるのか。不審に思ったドクオは言及した。
('A`)「誰に電話してたんだよ」
_
( ゚∀゚)「んー、まぁいいか。──諸本社長だよ」
昨年、一度だけ顔を合わせたVIPテレビ局社長。しょぼくれた顔と釣り合わない体格。そしてロマンスグレーに隠れた意味深な態度。
聞かれたくない話をしていただろうから、自分がこれ以上聞いてもしょうがないと思った彼は相づちを打って流そうとしたが、意外にもジョルジュは続ける。
- 770 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:18:46 ID:lmrT8KiYO
- _
( -∀゚)「……ちょっと面白い話を聞いてね」
('A`)「面白い話?」
_
( ゚∀゚)「うん。シベリアに捜査が入るかもって話」
(;'A`)「はぁ?脱税とかか?」
_
( ゚∀゚)「どうだろうね。俺達、選手には関係ないだろうけど──おっと、ついた」
要領をえないドクオは前を行く長い髪を揺らした背中に情けない声を漏らした。それが原因ではないが、立ち止まり、また振り返って、ここが目的地だと親指を後ろに向けて差す。
ようやくたどり着いたゴールに彼は安堵の表情を浮かべるが、それは次の言葉で打ち消された。
- 771 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:19:41 ID:lmrT8KiYO
- _
( ゚∀゚)「まぁまた後で詳しく話すよ。あ、そうそう……一つだけ」
_
( ^∀^)「君のお父さんが来ているかもしれないってことだけ、伝えておこうかな」
(;゚A゚)「な、なんだって……!?」
二人の目の前に現れたのは大きな門。巨大な建造物に蠢く思惑を、ドクオはまだ知らない。
スーパードックンのようです
第二部 第七話はじまるよ!
- 772 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:20:18 ID:lmrT8KiYO
- 〜〜〜
プレハブ内に案内されたドクオは、スタッフ達と対面する。
初めて顔を合わせる者も居れば、一年前とはいえ、特殊な能力を除いても、思い出として残っている人物達。
その中で最も早く彼に近づいてきたのは、同じ年頃の男だった。
⊂(^Д^ )⊂==「ドクオさぁぁあん!」
(;'A`)「うわっ!ちょ、プギャー!」
テレビ局の人間で、最も彼と近い場所にいたプギャーは、感極まったのか抱きつく。
それを見た他のスタッフたちの、ある種の緊張がほぐれた。
- 773 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:21:00 ID:lmrT8KiYO
- (;Д; )「会いたかったっす!遅いっす!なにしてたんすかうわっなんか汗くさ!」
(;'A`)「落ち着け、近い近い」
両肩を掴んで距離を取り、一呼吸置かせる。さりげなく鼻を利かせてチェック。問題ない。自己診断。
('A`)「歩いてきたんだよ、飛行場から。あやうく死ぬとこだった」
(^Д^;)「飛行場については聞きましたけど、歩いてきたんすか……だからくさ」
(#'A`)「くさくねぇよ!」
笑いが漏れるのを聞いて、恥ずかしくなったドクオと、少しまじめな顔をしたプギャーは話を続ける。
- 774 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:22:28 ID:lmrT8KiYO
- (^Д^ )「あ、そうだ!大会の進行状況なんすけど」
('∀`)「ジョルジュから聞いた。ありがとうな、プギャー。助かったよ」
普段よりさらに、にやけた顔をしてうなずいた彼は後ろを向いた。二人のやり取りを暖かく見守るスタッフ達を見てからドクオに言う。
(* ^Д^)「紹介するっす!えっと、まずこちらがつーさん!タイムキーパーっす!」
席からこちらに歩いてくる女性から活発な印象を受ける。帽子を外してあいさつするところも好印象だった。
(*゚∀゚)「はじめまして!つーです!タイムキーパーやってます!あとでサインくだ」
(´・_ゝ・`)「つー、調子にのるな」
手で無防備な頭をゴシゴシとなでると、怒ったつーはいつもの口調で反抗する。
- 775 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:23:14 ID:lmrT8KiYO
- 先ほどの自己紹介とは違った子供のような話し方と、目の前にいる真面目そうな男性との会話に、おもわず笑みがこぼれた。
( ^Д^)「こちらがチーフディレクターのデミタスさんっす。ドクオさん、一回見ましたよね?」
('A`)「ああ、遠くからな」
(´・_ゝ・`)「部下が失礼した。こうして話すことになるとは思っていなかったが、よろしく頼むぞ」
丁寧に言ったデミタスに、こういう人間が上司だったらと不毛な考えを抱いたドクオは、差し出された手を握った。
そのときに後ろにいる小太りの男と目が合ったので、手を離し、そのまま男の前に移動する。一部の人間は顔をしかめた。
- 776 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:23:53 ID:lmrT8KiYO
- ( 'A`)「よう、久しぶりだな。内藤さん」
(^ω^ )「そうだおね、スーパードックン。元気だったかお?」
(#'A`)「ふんっ、おかげさまでマスコミ嫌いになったよ」
(^ω^ #)「おっおっ、そりゃよかったお。なんならもっと出してあげようかお?」
一転して険悪。暴力を与えられ、望まぬ戦いに赴くことになった一般人。自身のプライドを壊され、再起を必要とする業界人。
決して混ざり合うことのない二人を止めるのは、両者を知る魔術師だった。
_
( -∀-)=3 ハァ「そこまでだよ、二人とも。いがみ合うのはよしてくれ」
(#'A`)「うるせぇ!(お)」(^ω^ #)
- 777 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:24:48 ID:lmrT8KiYO
- きれいに合わさった二人の声を聞いて、一瞬呆けたジョルジュは笑いながら諭していく。
_
( -∀゚)「はいはい。だいたい、スーパードックンだって、こんなことが無かったらシベリアに来てないだろ?」
(;'A`)「ぐっ……」
_
( ゚∀゚)「プロデューサーだって、彼がいなかったらあの視聴率はとれなかったかもしれないし」
(^ω^ ;)「おっ……」
_
(* ^∀^)「ドクオが有名になる、内藤さんの実績が増える!俺も嬉しいし、お互い悪くないと思うけどねぇ?」
( 'A`) ムムムゥ(^ω^ )
('A` ) ケッ! ( ^ω^)
_
(* ^∀^)ハハハ
(*;゚∀゚)「ねぇねぇ、なんであの二人あんなに仲悪いの?」
(;´・_ゝ・`)「ん、まぁ、なんだ……似たもの同士なんじゃないか」
(*゚∀゚)「あー、なるほどー」
- 778 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:25:47 ID:lmrT8KiYO
- 多少、雰囲気が落ち着いたところでプギャーがドクオに催促する。手には機材。
タイミングを伺っていたが、ジョルジュのおかげでようやく言い出せた。
( ^Д^)「ドクオさん!早速なんすけどこれをつけてください。もうすぐ本選が始まるんで控え室に案内します」
('A`)「わかった。懐かしいな……」
シャツにピンマイクをつけた彼は気持ちを切り替える。いよいよ初陣かと思うと、自然と武者震いを感じた。
ドアの近くで待っているプギャーとジョルジュに近づいたとき、後ろから声がした。スタッフ全員の激励を背中に受ける。
- 779 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:26:22 ID:lmrT8KiYO
- (*゚∀゚)「ジョルジュさんとスーパードックン!どっちか優勝したらサインちょうだいね!」
(*´・_ゝ・`)「二人とも油断するなよ!勝ってきてくれ!」
( ^ω^)「がんばれおーすぐ負けんじゃねぇおー」
金髪の男は振り向き、笑顔を見せ、黒髪の男は手で合図する。
各々の言葉を胸に秘め、三人は控え室へと向かった。
- 780 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:27:14 ID:lmrT8KiYO
- 〜〜〜
想像していたより広い控え室は、多目的ホールほどの面積に長机、パイプ椅子。無料の自動販売機以外に心躍るものはなかった。
二人は貴重品をプギャーに預けると、適当な位置に座る。窓際。
( ^Д^)「俺はプレハブに戻るっすけど、もうすぐ始まるんでここから出ないでくださいね」
うなずく二人を見て、応援する言葉をかけたあと、名残惜しそうに退室する。
ドクオは控えめに周囲を見渡して、ジョルジュに話しかけた。
(;'A`)「な、なんか外国の人ばっかだな」
_
( ゚∀゚)「そうだね。日本人なのはイーサンから出てる二人と、もう敗退したけどネジビスから出てる山田新子くらいだよ」
('A`;)「言葉通じるのかな」
_
( ゚∀゚)「スーパードックン。ここはどこだい?シベリアだよ。開催地である日本の言語を使えない選手はいないだろう」
(;'∀`)「そ、そうだよな」
- 781 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:28:07 ID:lmrT8KiYO
- 雑談は、入り口付近で話している人物達のうち、男性が大きな声を発したため止められた。
(,,゚Д゚)「なぁ、あんた誰なんだよ?」
( Ⅹ )「……」
(,,゚Д゚)「そんなローブみたいなもん被って、よく居られるなぁ?せっかくテレビに出られるんだぜ?」
( Ⅹ )「……」
(#,,゚Д゚)「だんまりかよ……」
白いローブをまとった人物と、緑のタンクトップに迷彩色のカーゴパンツを履き、黒いミリタリーブーツを履いた体格の良い──諸本と同じ程──坊主頭の男が視界に入る。
男のかもし出す体育会系な雰囲気が苦手なドクオは、目をそらした。
- 782 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:28:53 ID:lmrT8KiYO
- ('A`)(どうも季節感がおかしい奴ばっか会うな……まともな奴いるのか?)
的外れな考えをして嫌な気持ちを抑えようとする彼に、ジョルジュは目線を入り口にとどめたまま話し出す。
_
( ゚∀゚)「フードの人はよくわからないけど、男の方はギコ・ギコ。オリン出身で、数々の運動種目でトップクラスを保っているアスリートだ。君が去年会ったスナオシスターズのヒート、彼女も彼に教わったみたいだよ」
('A`)「おいおい、クイズだろ?そんな運動種目が出てくるわけでもあるまいし、なんで出場してんだよ」
_
( -∀-)「さぁね、なにかあるんじゃないかな?」
いつもの適当な言葉に憮然とするドクオは、改めて入り口を見る。状況が変わっていた。
- 783 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:29:42 ID:lmrT8KiYO
- (,,゚Д゚)「どうせ試合で脱ぐんだろ、それ?じゃあここで脱いでもいいじゃねぇか」
( Ⅹ )「……」
(#,,゚Д゚)「ゴルァ!もういい、俺が脱がしてやる!」
( Ⅹ )「……!」
ξ゚⊿゚)ξ「やめなさいよ!」
抵抗しようと手をあげた瞬間、よく通る女性の声が響く。今まで視線を合わせていなかった人物達も一斉に声の出所を見た。
入り口へと向かっていくのは小柄な女性。甲高い足音が静まり返った室内にこだまする。
ξ゚⊿゚)ξ「嫌がってるし、うるさいし……いい加減にしてくれる?あなた、オリンの出身なんでしょ?そういうことすると自国の評価を下げると思うけど」
(#,,゚Д゚)「うるせぇな、カメラもないからいいじゃねぇか!」
ξ゚ー゚)ξ「そうかしら。現に私の評価は最悪よ?イーサン代表であるこの私の評価がね」
- 784 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:30:22 ID:lmrT8KiYO
- とがった物言いは怖じていない。その鋭い眼光と、堂々とした態度に、罪悪感に苛まれたギコは退く。
(゚Д゚,,)「ちっ……」
のそのそと席に戻り、勢いよく座った彼を見て、ツンは勝ち誇った顔をし、エックスに話しかけた。
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫?気にすることないわ、何か目的があってその格好なんでしょ?」
( Ⅹ )〃コクリ
ξ*゚ー゚)ξ「フフ、あなたと戦えることを楽しみにしているわ」
うなずき、礼をする様を見て席に戻ろうとしたとき、天井にある小さなスピーカーから声が聞こえた。耳を澄ます。
<「選手の皆さん、本選第一回戦目の時間となりましたので、名前が挙がった選手は、選手入場口までお越しください」
<「本選第一回戦目の出場者は」
- 785 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:31:05 ID:lmrT8KiYO
- <「スーパードックン」
��(;'A`)ビクッ
<「津雲レイ」
ξ゚⊿゚)ξアラ
<「この2名となります」
<「他の皆様は、本選第二回戦目まで自由行動となりますので、よろしくお願いいたします」
<「繰り返します──」
放送が流れる最中、初戦から出場となり、強張る表情を浮かべるドクオの前にツンが歩いてくる。彼が目を合わせれば、見下すような目線で口を開いた。
- 786 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:31:48 ID:lmrT8KiYO
- ξ゚⊿゚)ξ「あなた……確か、予選でもたついてたわよね」
('A`)「えっ、ああ、はぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「サングラスといい、キザな人だと思っていたけど……その顔じゃ、風邪もウソね?大方、横にいるジョルジュさんの引き立て役ってところかしら。どうせVIPテレビもヤラセで一般人を通したんだろうし、くだらないわね」
_
(; ゚∀゚)(おー、こわ)
ξ-ー-)ξ「まっ、せいぜい面白くなるようにがんばってね、あなたみたいなウスノロじゃ無理だろうけど。じゃあね、スーパードックンさん」
言い終えると、既に何名か入り口に向かっている流れに彼女は混ざっていく。
- 787 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:32:22 ID:lmrT8KiYO
- ジョルジュは、ゆっくりと立ち上がってフォローするかのように、去っていく彼女を見ながら説明する。
_
(; ゚∀゚)「あー、彼女は津雲レイ。通称『巻き毛のツン』でプロゲーマーだとさ。選手紹介の時でもお嬢様だったけど、きっついね……?」
座ったままのドクオが話を聞いているのか疑問に感じた彼は隣を見る。
いつのまにか音も無く起立したそれは、まるで士気をそがれた兵士のように、陰鬱としているように見えるが実際は違った。
( A )「……」
_
( ゚∀゚)「ドクオ?」
(#'A`#)「あの巻き毛、泣かす!絶対泣かす!なんか腹立ってきた!」
_
(; -∀-)(そういえば、こういう性格なんだったな……)
理不尽な物言いや、あからさまな高圧的態度に敏感な宇都宮ドクオはむしろ、気合十分だった。
スーパードックンのようです
第二部 第七話おわり!
- 788 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 02:33:55 ID:lmrT8KiYO
- 以上です。NGはまた次回。続きはなるべく早めにがんばります!
おやすみなさい。
- 789 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 03:04:31 ID:FYmfvfeU0
- おつ
- 790 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 15:46:47 ID:n/XeU3GA0
- 乙!NG楽しみにしてるわ
- 791 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 15:49:00 ID:YECHaMnA0
- そうだこういう性格だったなドクオは
乙
- 792 :名も無きAAのようです:2013/06/25(火) 16:03:04 ID:Yq9yMW4Y0
- いいぞ泣かしたれドックン
- 793 :名も無きAAのようです:2013/06/28(金) 12:10:22 ID:DbJUF4RkO
- 下痢でケツが痛いですが報告します。
どうやら月曜日辺りまで書き込む方法がない状態です。wimaxめ…PCからガラケーにデータ転送するケーブルでも買おうかな…
毎回不定期で申し訳ないですが、お待たせした分、長めに投下しますので、しばしお待ちください。
- 794 :名も無きAAのようです:2013/06/28(金) 12:40:03 ID:8P8P/ZXU0
- 夏場は冷たいもの口にする機会が多いから必然的に下痢の頻度が増えるよね
待ってるよ
- 795 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:40:29 ID:HCCatPBsO
- >>789
ありがとうございます。今回は少し長いので見てくださったら幸いです。
>>790
ありがとう!NGはあと少しなので夜中になります。ごめんなさい。
>>791
けっこう無鉄砲です。感受性豊か。
>>792
いよいよドックンのクイズです。一気にいきます!
>>794
ありがとうございます!下痢も治りましたので万全の体調で参ります。
- 796 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:41:40 ID:HCCatPBsO
- (-@∀@)「皆様お待たせしました!本選第一回戦目の開始です!!!」
依然として盛り上がる歓声をうけながら、円の中心に立つアサピーとしぃ。厳格な式典ということで予選では抑えていた彼も徐々にヒートアップしている。
(*-@μ@)「栄えあるシベリアにおいて、初戦を飾ってくれるのはこの人たちだぁ!」
司会から見て右手と左手、九時と三時の方向から現れたのは、対称的な二人。性別も違えば、格好も違う選手が司会の前へと揃う。
事前にスタッフ達から本物のドクオが来たことを確認しているアサピーとしぃは、そのまま進行していく。
- 797 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:42:29 ID:HCCatPBsO
- (-@∀@)「VIPテレビ局からは刺客!最強の一般人、見た目は悪いが頭脳は本物!スーパードックン!!」
ワーーーー!
(;'A`)(久しぶりだなぁ、アサピーさんのこのテンション……)
(@∀@-)「サブカルチャー文化に特化しているイーサンからは美少女!バーチャルを極めた毒舌乙女!巻き毛のツンこと津雲レイ!!」
ツンチャーーーン!ガンバレーー!
ξ゚⊿゚)ξ「恥をかく前にさっさと終わらせてあげる」
交わる視線は火花を散らす。両者の紹介を終えたアサピーはしぃを見た。アイコンタクトで進行。
(*-@∀@)「本選第一回戦目はいったいどのような戦いになるのか。ちなみに第一回戦目終了後、ビックサプライズがありますので皆さん、期待していてください!それではルール説明の前に簡単な準備を行います!」
途端、黒服の男と女が各入場口から選手達に向かって走ってきた。手には何らかの機械を持っている。
- 798 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:43:33 ID:HCCatPBsO
- (*゚ー゚)「お二人にはこの機械をつけていただいての対戦となります」
('A`)(うわっ、なんだこれ……アルファベットのボタンに十字キー?プレステみてぇだ)
二人とも利き腕と逆の左腕にマジックテープで巻きつけるようにして装着された機械は、左側に上下左右を模したボタン、右側も同様にAからDまでの十字に配置されたボタンがある。
本来、ドクオの考えているゲーム機のコントローラーは両手で持ち安定させるが、この形状は腕を台座としており、例えるならUFOキャッチャーのような操作をするのではないかという印象を受ける。
黒服たちはそれらを付け終えるとすぐに離れた。黒子の役割なのかと一人合点するドクオはツンを見る。同じような機械をつけていて、自信満々。
両者の機械がスクリーンに映し出されたのを確認したしぃは続ける。
- 799 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:44:04 ID:HCCatPBsO
- (*゚ー゚)「準備完了ですね!本選第一回戦目はそちらのコントローラー、シベリアムーブを使っての対戦となります!」
(*゚ー゚)「基本ルールは簡単!スクリーンに出題される問題を、十字キーや対応したアルファベットのボタンを押して回答していただき、先に10ポイント獲得していただくだけです!」
('A`)(なんだ、いつものボタン式クイズとかわらねぇじゃねぇか)
ξ゚⊿゚)ξ(……)
(*゚ー゚)「ただし、皆さんが想像されているように、通常のクイズとは違って基本ルールと別にコンセプトルールがあります」
('A`)「コンセプトルール……?」
(*゚ー゚)「本選第一回戦目、まずそのコンセプトですが……」
(*^ー^)「ゲームです」
(;'A`)(ゲ、ゲーム……?)
困惑するドクオに対面するツンは、口角を上げる。まるで勝利を確信しているかのように。
スーパードックンのようです
第二部 第八話はじまるよ!
- 800 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:45:03 ID:HCCatPBsO
- 〜〜〜
(*゚∀゚)「これって巻き毛ちゃんが有利なんじゃないの?ゲーマーなんでしょ?」
プレハブ内のモニターをQシートを見ながら監視しているつーがつぶやく。答えたのは内藤。
( ´ω`)「おーん……俺も社長から聞かされたんだけどお。どうもシベリアってのは各出身国の得意な分野でクイズを出題するらしいお」
(´・_ゝ・`)「それだと公正では……」
( ^ω^)「いや、少なくとも一回は自分の得意なジャンルが出てくるみたいだお。まぁ途中で負けちゃったら終わりだけど。総合的な能力あってこそのシベリア参加だっていう大義名分を掲げてる以上、反論できないお」
( ^Д^)「じゃあ対戦する時にどっちの国のジャンルが出るかは運なんすか?」
( ^ω^)「そこはほら、これだお」
プギャーに向かって薄笑いを浮かべながらオッケーマークを指で作り、手首をひねる。
- 801 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:45:43 ID:HCCatPBsO
- 内藤の体格や雰囲気で、ふざけた念仏にも見えたが、それが金を意味していることは誰にでもわかった。
(;*゚∀゚)「ううう、スーパードックン、これに勝ったら得意分野で戦えるかなぁ」
(;^ω^)「あー……つーちゃん。残念だけどそれはないお」
(*゚∀゚)「ふぇ?」
( ^ω^)「VIPテレビの放送権利が優先で、他のイニシアチブはとれなかったんだお……だからスーパードックンもジョルジュも、得意ジャンルでの対戦はできないお」
(;*-∀-)「そんなぁ……」
( ^ω^)(まぁ、本当は僕が社長に提言したんだけどね)
(* ^ω^)(勝って当たり前なんじゃ面白くないだろう?ドクオ)
試合会場の熱気とは裏腹に、暖房があれど冬の寒さが余計に身を刻む。できることはモニターを見て祈ることだけだった。
- 802 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:46:16 ID:HCCatPBsO
- 〜〜〜
時刻は昼前。晴天は少しだけ寒空の下にいる人々を暖める。
(*゚ー゚)「コンセプトルールについて説明します。こちらをご覧ください」
スクリーンに注目を集めるしぃは、突如、現れた二台の車がドクオとツンの並びのように対面となった状態を確認し、続けた。
(*゚ー゚)「3秒のカウントダウン後、この2台の車が同時に発進します。停止している時間が5秒を過ぎると停止しているほうが敗退になります」
(゚ー゚*)「先にハンドルを切ったほうが負けです。出題されるゲームに関連した問題の回答権はありません。なお、同時にハンドルを切った場合はドロー、もう一度やり直しとなります。やり直し後の問題は、10ポイント獲得できる難問となりますが、どの場面でも衝突すると両者敗退なので気をつけてください!」
- 803 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:47:02 ID:HCCatPBsO
- ('A`)(なるほどな……)
頭に記憶される情報は定着し、消えることはない。スクリーンに記載されている情報は、
───
・10ポイント先制で勝利。
・お互いの車が走り出し、ハンドルを切ったほうに回答権はない。同時に切った場合はドロー。やり直し。
・やり直し後、10ポイント獲得できる難問の回答権が得られる。
・5秒以上停止していると停止しているほうが敗退。ぶつかってしまった場合、両者が敗退する。
───
と、四つの箇条書きが全員に把握できるよう大きく示されている。
ξ゚⊿゚)ξ(まず、ぶつからないようにしないといけないってわけね)
尊大な振る舞いを一時的に止めて、ルールを叩き込んだツンは真剣な表情でスクリーンを見つめ、理解した。
司会は二人に質問がないか確認し、返答がないことを肯定ととって進行する。
- 804 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:47:43 ID:HCCatPBsO
- (-@∀@)「さぁ!それでは参りましょう!コンセプトルールはゲーム!」
(#-@μ@)「チキンレースを制するのはどうみてもオタクのスーパードックンか!?」
(@μ@-#)「はたまたゲームとは無縁に見えるプロゲーマーの津雲レイ改め、巻き毛のツンか!?」
(*-@∀@)「臆病者はどっちだ!?シベリア第一回戦目、開始です!!!」
- 805 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:49:03 ID:HCCatPBsO
- 〜〜〜
(´・ω・`)「ゲームねぇ……」
産業を否定するわけではない諸本は、苦笑いで画面を見ている。対して隣に座っている茂良の表情は明るい。
しょぼくれた顔に向かって屈託のない笑顔で話しかけた。
( ・∀・)「楽しそうだなぁ、諸本社長はゲームとかするんですか?」
(´・ω・`)「あんまりしないよ。君はするのかい?」
(* ・∀・)「ええ!けっこうやりこみますよ!初代ミルナメイクライはミルナマストダイを初期ステータスでクリアしましたし、クルウハザードは全シリーズの最高難度をクリアしましたし……ああ、あの追跡者クルウ怖かったなぁ……」
話が長くなりそうだったので、目を輝かせて話すいい年をした男の前に手を出す。制止の意味を込めて。
(;´・ω・`)「す、すごいね……よくわからないが」
- 806 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:50:09 ID:HCCatPBsO
- つまらなそうな顔をする茂良だったが、後ろから声が聞こえたのでそちらに集中した。
(=゚ω゚)「ふっふっふ」
熱気に包まれる富士の最上階で、不敵な笑いを浮かべるのは背の低い、童顔の男性だった。
彼の服装は集まっている人物達と変わらず、座っている二人と目線は一緒。
( ・∀・)「おおっ、伊予さん!」
(=゚ω゚)ノ「いよぅ!」
立ち上がり、嬉々として話しかける優男は、伊予と呼ばれた男と握手を交わした。
(´・ω・`)(……誰だ、この小動物は)
(・∀・ )「あ、ご紹介しますね。こちらは株式会社イヨコンの代表取締役、伊予さんです」
(=゚ω゚)「はじめましてだよぅ」
(´・ω・`)「ふむ、あのイヨコンの……」
ゲーム産業において中堅を担うイヨコンは、様々なジャンルのゲームを提供しており、そちらの業界に疎い諸本も名前を聞いて立ち上がった。
- 807 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:50:54 ID:HCCatPBsO
- 陰りが見える市場で数少ないコマーシャルを流すことができる優良企業として、各業界からも一目置かれているという認識。
名刺交換を終え、三人は茂良を間に挟んで座る。
(=゚ω゚)「諸本社長はシベリア賭博、初めてかよぅ?」
(´^ω^`)「ええ、楽しませてもらっていますよ」
(=^ω^)「そうかよぅ!それはよかったよぅ!でも残念ながらそちらの選手は負けるよぅ」
不遜な態度で言い切る様と、独特の語尾が気に障ったのか声を低くして聞き返した。
(´・ω・`)「それは、どういう意味でしょう?」
(=゚ω゚)「うちのツンちゃんが勝つってことだよぅ」
ゲームのプロというものは日本においてまず、存在していない。
他国に渡っての活動が基本となる形態で、津雲レイはイーサンに移ったのだ。
- 808 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:51:44 ID:HCCatPBsO
- プロゲーマーという特殊な仕事で生計を立てるためには出資者が必要となる。イヨコンの社長、伊予は彼女のパトロンだった。
(゚ω゚=)「彼女は天才だよぅ。どんなゲームをやらせても、他人に負けることはないよぅ」
(´^ω^`)「それはそれは……ですが、私どものスーパードックンも負けませんよ」
(=゚ω゚)「どうかよぅ?」
スクリーンを見ろと無言で伝える。アサピーの熱中した声が聞こえてきた。
『あーっとスーパードックン!ハンドルを切ってしまったぁ!!ツンさんが回答権を得ましたぁ!!』
(#´・ω・`)「……」
(*=゚ω゚)「ちょっとやそっとのオタクじゃ彼女には絶対勝てないよぅ。まぁ、次の対戦はともかくとして、ゲームがコンセプトの時点で一回戦目はうちの勝ちだよぅ!」
(#´・ω・`)(どうかな……それにしてもうっとおしい、内藤の語尾がマシに思えてくる)
- 809 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:52:26 ID:HCCatPBsO
- 場の空気を察したのか、黙っていた茂良が声をあげる。
二つの企業の代表者に挟まれているにもかかわらず、物怖じしない様は勇敢か無謀か。
(* ・∀・)「すごいですね!ああ、私、スーパードックンに賭けていたんですけど、心配になるなぁ」
(=゚ω゚)「ふっふっふ、あの大博打は僕もびっくりしたよぅ!たいした度胸だよぅ」
( ^∀^)「えへへ、まぁ人の金ですから。それにしてもこのゲーム面白そうだなぁ……」
( ・∀・)「ねぇ、伊予さん。なにか必勝法とかあるんですかね?」
(´・ω・`)(!)
(*=^ω^)ノシ「プフフフ、ないない!そんなもんないよぅ!レースゲームは反射神経と動体視力が基本かつ最重要だよぅ!」
(* ・∀・)「ですよねぇ、アハハハハ」
本物の笑い声と偽者の笑い声。聞き分けることができるほど違いはない。
しかし、諸本はより一層、主張も誇張もしない凡庸なはずである茂良を懸念した。
- 810 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:53:03 ID:HCCatPBsO
- 〜〜〜
(;'A`)(つ、つえぇ……)
ドクオが動かす黒い車は、等速で動く赤い車を避ける。ぶつかってしまっては終わり。手に汗。
(-@∀@)「またスーパードックンの車が避けたぁ!!しぃさん!ツンさんに問題を!」
(*゚ー゚)「はい!それでは次の四択から正解を選んで、対応するアルファベットのボタンを押してください!」
(*゚ー゚)「スーパーファミコンソフト、ヨッシーアイランドで、ミニゲームだけをプレイするコマンドは次のうちどれでしょう?
A セレクトボタン押しながらX X Y B A
B セレクトボタン押しながらX X Y Y A
C セレクトボタン押しながらX X Y A A
D セレクトボタン押しながらX X Y X A
」
ξ゚⊿゚)ξ「A」ポチッ
(*^ー^)「正解です!」
大きく歓声が沸きあがる。昨年とは違った臨場感は、正解者に喜びを、そうでない者に不安を与える。
- 811 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:54:02 ID:HCCatPBsO
- ここまで彼は、その不安しか受けていなかった。
(*-@∀@)「強い!巻き毛のツンは伊達ではない!!スーパードックンの0ポイントに対し、ツンさん怒涛の6ポイント!!」
ξ゚⊿゚)ξ「口ほどにも無いわね」
(;'A`)「ちっ……!」
きれいなロールを手でいじりながら勝ち誇った顔でたしなめる。事実、ドクオは追い詰められていた。
( 'A`)(クイズの内容自体は余裕なんだけど、回答ができねぇ。奴の反射神経か、動体視力か……とんでもねぇな)
彼の運転は下手ではない。引きこもってゲームをしていたこともあってか、それなりに状況を見る目はある。
しかし、ぶつかってはいけない緊張感と、まるで相手の出方を読んでハンドルを切らせるツンの巧みな心理的誘導かつ反射的なスピード調整がドクオの判断を鈍らせていた。
( 'A`)(俺だって家庭用のビーグルファイターで反射神経を鍛えたんだ……よし、こうなったら)
- 812 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:55:01 ID:HCCatPBsO
- 全く違う方向性のゲームを思い出していると、司会が次のレース開始を促した。
(*゚ー゚)「それでは参ります!スリー、ツー、ワン……ゴーーー!!」
スクリーンに映った黒い車と赤い車は、同時に走り出す。上下二画面、上がドクオで下がツン。
荒野を走るスポーツカーのような形をしたそれらは、中央に向かうべく加速していく。
(#'A`)(ぶつかるギリギリで加速してビビらせてやる……!あいつも女だ、ビビッてハンドル切るに違いねぇ!)
偏った思考は極度の緊張が生み出した安直な作戦。お互いの車がそれぞれの画面に見えたとき、ドクオはアクセルのボタン──Aボタン──を強く押し続けた。
(#'∀`)(そぉれ、避けないとぶつかるぞぉ!!)
一瞬だけ加速した黒は赤に迫る。
ξ゚⊿゚)ξ(甘いわ)
間合いが狭まり、このままではぶつかると思われたそのとき、ツンはブレーキのボタン──Bボタン──を押した。
- 813 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:55:47 ID:HCCatPBsO
- (;゚A゚)「なっ!?間隔が……やべっ、ぶつかる!!」
声が出てしまうほど予想外の行動をされた彼は、初めてレースゲームをプレイする人のように、自身の体も曲げながら腕の十字キーを押した。
体勢を崩したドクオはしりもちをつき、同時に黒い車は無残にも道をそれ、コース外へと出る。
ゲームオーバーの文字が画面を埋め尽くしたとき、司会が叫ぶ。
(*-@μ@)「スーパードックン、ハンドルを切ってコースアウトォオオ!!またしても巻き毛のツン!勝利です!!」
今度は歓声に混じって罵倒の声が、車と同じく無様な彼に投げかけられる。それは対面する女性からも聞こえた。
ξ゚⊿゚)ξ「スーパードックンさん」
(;'A`)「な、なんだよ」
ξ*^⊿^)ξ「加速見てから減速余裕でしたぁ♪」
(##゚A゚#)(こっのクソ巻き毛ェェェエエエエ!!!)
- 814 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:56:46 ID:HCCatPBsO
- 突然、向かい合う車が加速したとき、状況にもよるが現実でもブレーキを使ってスピードを緩めることを先にしなければならない。
この場合、黒い車はスピードが上がることによって、ハンドル操作が遅れてしまうこともあるのでぶつかる可能性が高くなる。
敗退を避けたい彼は、自らの行為で墓穴を掘り、相手の動向までしっかりと見ることができなかった。
加速による判断ミスを誘おうとしたドクオの作戦は、ツンの並外れた動体視力であっさりと破られてしまったのだ。
(*-@∀@)「うぅー!この毒舌、痺れますね!!名言が出たところでしぃさん、問題をお願いします!」
冷ややかな目でアサピーを一瞥したしぃは、半歩横に移動してから問題を読み上げる。アサピーとの距離が少し開くが気にしない。
- 815 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:57:51 ID:HCCatPBsO
- (*゚ー゚)「はい、問題です!」
(*゚ー゚)「ドリームキャストソフト、シェンムーの主人公が使う武術で、フリーバトル時に使用可能な、一章から二章に引き継ぐことの出来る「→→X+A」のコマンドはなんという技名でしょう?
A 裂晃閃(レッコウセン)
B 鎧通(ヨロイトオシ)
C 崩山槍(ホウザンソウ)
D 重ね当て(カサネアテ)
」
ξ゚⊿゚)ξ「……Bね。Cは初期技だから」ポチッ
(*^ー^)「正解です!」
(*-@∀@)「ツンさん、7ポイントォオオオオ!対するスーパードックンは依然、0ポイント!!このまま地面を這いずるしかないのか!?」
ξ゚⊿゚)ξ(やっぱり、つまらないわね……)
鳴り止まぬ声援を受けているツンはふと、目を伏せる。リードする余裕が自身がここにいる理由を再度、思い出させている。
ξ-⊿-)ξ(勝たなければ、いけない。私のような落ちこぼれは……)
それは、彼女がゲームを楽しめなくなった一因だった。
- 816 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:59:03 ID:HCCatPBsO
- 〜〜〜
川゚⊿゚)
中学時代の津雲レイは親から見離されていた。理由は不良だったから。
学校にもいかずフラフラとしている彼女に、言うことを止めた両親は冷たい。
酒もタバコもやった。万引きという言葉が、どうにもハクがつかないから窃盗と自分で言いふらして悪いこともした。
川゚⊿゚)「はぁ……」
本当は認めてほしかった。やれば勉強だろうと運動だろうとそれなりの成績を残せる。しかし、時すでに遅し。
そういった妥協点を持って接するほど彼女にも、両親にも器量はなかった。
川゚⊿゚)「なにか、面白いことないかなぁ……」
制服姿で繁華街を闊歩する。声をかけてくる男に、きつめの表情をすれば逃げていくし、ふさぐように並んで歩いてくる女学生も勝手に道をあけていく。
- 817 :名も無きAAのようです:2013/07/01(月) 23:59:50 ID:HCCatPBsO
- 何も怖がる必要がない反面、楽しくはなかった。
川゚⊿゚)「あれ、こんなところにゲームセンターなんてできたんだ」
体裁を気にする両親は金銭的補助には寛容。
視界に入った煌びやかな装飾の建物を見て、一人つぶやいたツンは学生カバンに入っている財布の中身を思い出しながら、性に合わないと思って一度も入ったことのないゲームセンターに初めて入った。
川;゚⊿゚)「うわっ、うるさ」
広い店内には麻雀やアーケードなど主に男性がプレイするものから、音楽ゲーム、プリクラなどのカジュアルなものが所狭しと並んでいる。
UFOキャッチャーが目に入ったツンだったが、どうせ取れないと割り切り、時間を潰せそうだと判断した格闘ゲーム機の椅子に座った。
- 818 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:00:31 ID:qJWQFrWUO
- 川゚⊿゚)「えーっと、なになに……?ビーグルファイター?犬が戦うの?」
説明を読んで百円玉を投入。画面が切り替わったので、少し焦りながらキャラクターを選んでいく。
川゚⊿゚)「あ、これかわいいからこれにしよ」
適当に選んだそれは主人公であるビーグルという子犬だった。CPUキャラクターの大型犬が現れ、対戦が始まる。
川#゚⊿゚)「ちょ、なによ!このこの!」
パンチやキックを駆使して戦ううちに、勝利するツンは、次のキャラクターが出てくるまでにコマンド表を見る。
それを理解し、次は余裕の勝利を収め、その次はノーダメージとなった。
川゚ー゚)(コツがつかめてきたわ。負ける気がしない)
慢心は、見慣れない画面に切り替わったので捨てる。対人戦が始まるとアナウンスが画面に表示され、戦闘開始となる。
- 819 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:01:16 ID:qJWQFrWUO
- 川;゚⊿゚)(わっ、強い……でも!)
残りゲージがほとんどない状態から、見事なカウンターを決めたツンは息を吐く。
向かいの台からしかめた顔をした同年代と思われる男が去っていくのを見て、心身が高揚していることを感じる。
川*゚⊿゚)(た、楽しい……!)
それから彼女は毎日ゲームセンターに通った。基本的にはビーグルファイターをプレイするが、息抜きに他のゲームもやってみる。
誰も近寄ってこなかった日常とは別に、友達も増えていき、充実した日々を過ごしていった。
- 820 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:02:04 ID:qJWQFrWUO
- 川;゚⊿゚)(負けちゃった……もっとがんばろ!)
川*゚ー゚)(やった!10連勝!)
勝った日は喜び、さらに練習を続け、負けた日は妬み、勝つための研究を続けていくツン。
後に、開店して間もないこのゲームセンターに凄腕のゲーマーがいると噂になり、ビーグルファイターの大会が開かれる。
優勝はもちろんのこと、他の大会でも様々なタイトルを得て、いつの間にか賞金はおろかパトロンまでついていた。
もはや敵もなく、楽しむことすら忘れた彼女は、ついに実績を家族に認められる。
皮肉にもそれは、初めてゲームをして、心のそこから浮かぶ津雲レイの大切な気持ちと引き換えに。
- 821 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:03:24 ID:qJWQFrWUO
- 〜〜〜
ξ-⊿-)ξ(勝って、みんなに認めてもらう。シベリアで優勝すれば、もっと世界的に認知される)
ξ゚⊿゚)ξ(私は、負けるわけにはいかない……!)
('A`)「おーい、巻き毛さんよ」
音が聞こえてきた。目の前にはいつのまにか立ち上がった男がいる。眼中にない。
('A`)「聞こえてんのか?まぁいいや。あんた、ホントにゲームうまいな」
ξ゚⊿゚)ξ「……今更かしら?」
眼中にはない。
('A`)「あ、良かった。聞こえてた。いやいや、ちょっと侮ってたよ。こんなすげぇゲーマーが、しかも女がいるとは」
ξ#゚―゚)ξ「女とか関係ないわ……!弱いクセに知ったようなこといわないでくれる!」
眼中にはないはずなのに。
('∀`)「わりぃわりぃ。俺はこういうゲームとか好きでな、面白くてけっこう夢中になってんだよ。でもなぁ、あんたさ」
('A`)「楽しくねぇんだろ」
どうしてあんなに楽しそうな彼がうらやましいのだろう。
- 822 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:04:13 ID:qJWQFrWUO
- ξ#゚⊿゚)ξ「楽しいとか楽しくないじゃないわよ!ここはシベリアよ?勝たなければ意味がないわ!」
ボサボサの髪をかく様が汚らしく、この距離ではわからないがフケでも落ちているのだろう。
ツンが見つめる先にいるのはただの素人。ライトゲーマー。ここまでの成績で勝負にもならないことは目に見えている。
(-A-)「うーん、あんたはむかつくし、絶対泣かすけど──」
('A`)「いいぜ、俺が仏頂面でいやいや遊んでいる巻き毛さんに『ゲーム』の楽しさを教えてやる」
('A`)「このスーパードックンがな」
だからツンは、そのまっすぐなドクオの瞳に嫉妬した。
- 823 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:04:57 ID:qJWQFrWUO
- 〜〜〜
(* ^ω^)「おっおっ!強がり言っちゃって、スーパードックンもこんなもんだおね!所詮はただクイズが得意な一般人!プロには勝てないお!」
内藤の高笑いがプレハブ内に響き渡る。ごまをすって賛同する者、苦笑いを浮かべて敬遠する者。様々。
(*;゚∀゚)「スーパードックン、負けちゃうのかな……やっぱり相手の得意ジャンルじゃ無理だよー!」
(; ^Д^)「そうっすよ!やっぱこれじゃフェアじゃないっす!」
モニター前で騒ぐ二人に上司は冷たい。
(^ω^ )「文句言っても仕方ないお、これはシベリアが決めたんだから」
(*#゚ぺ)「むぅー!内藤さんどっちの味方なんだよ!」
( ^ω^)「俺は自分の味方だお。数字を取ることが優先だお」
- 824 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:05:30 ID:qJWQFrWUO
- 返答に対してそっぽを向くタイムキーパーと、ため息をつく若手ADは考える。しかし名案は浮かばない。
( ‐Д‐)「はぁ……せめて、これが普通のクイズだったら、ドクオさんも勝てるはずなのに」
(´・_ゝ・`)「いや、普通のクイズだぞ、これ」
押し黙っていたデミタスは二人の間に入っていく。もう一人の上司に期待するプギャーとつーは彼を見つめた。
期待の視線を受けて悪い気はしない彼はいつもより真剣な顔。見栄っ張り。
(´‐_ゝ‐`)「このゲーム、一見するとレースゲームの一種で反射神経などが必要と思われるが……」
(´・_ゝ・`)「実はまったく関係ない方法で勝つことができる」
(*゚∀゚)「えっ!?」
( ^Д^)「なっ!?」
( ^ω^)(おっ……)
- 825 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:06:12 ID:qJWQFrWUO
- 驚愕を浮かべる二人と、焦りを浮かべる内藤。想像以上の反応に、彼は引き気味に続けた。
(;´・_ゝ・`)「まぁ、絶対とはいえ……ある条件がないとダメなんだが……」
(´・_ゝ・`)「問題はそれにスーパードックンがそれに気づいているかどうかだ」
言い切ったデミタスは羨望の眼差しで続きを促されるが、咳払いをして散らした。
小言をつぶやきながらモニターに視線を移していくのを見て、内藤に近づく。小声で会話。
(´・_ゝ・`)「気づいているんでしょう、プロデューサー」
( ^ω^)「ふん、当たり前だお。まぁここまで追い詰められてあいつがそれに気づけるとはおもえんお」
- 826 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:06:45 ID:qJWQFrWUO
- モニターの前に居る二人の頭を視界にいれながらつぶやく。
それに対して口角をあげながら反論するデミタスに怪訝な顔をした。
(´‐_ゝ‐`)「どうでしょうか。おそらく気づいてますよ」
(; ^ω^)「なんでわかるんだお」
(´^_ゝ^`)「だって、あの決めセリフが出たんですから」
まるで幼い頃から見ている特撮を観賞しているように言った無邪気な言葉は、彼にとって、最大の応援だった。
- 827 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:07:30 ID:qJWQFrWUO
- 〜〜〜
(-@∀@)「本選第一回戦目もいよいよ終盤です!ただいまの両者獲得ポイントは……」
機材の準備などに数分かかる場合があるので、テレビではコマーシャルや編集が流れていた。
本番開始、アサピーは視聴者に伝えるように現在の状況を説明する。
(*-@∀@)「現在ツンさんは7ポイント獲得しています!このまま10ポイント先制となるか!?」
(@∀@-)「対するスーパードックンは、なんと0ポイント!!ツンさんの完璧な見極めに手も足もでない!!」
(#-@μ@)「しかしまだ勝負は終わっていません!勝つのは赤か、黒か、あるいは混ざり合ってしまうのか!!しぃさん、スタートをお願いします!」
(*゚ー゚)「はい、スタートです!」
しぃがカウントダウンを声に出して始める。
勝利を確信しているにもかかわらず、沈痛な面持ちのツンはそれを聞き流しながらドクオに集中した。
- 828 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:08:10 ID:qJWQFrWUO
- ξ゚⊿゚)ξ(負けない、負けるわけにはいかない……!)
強張った表情をする赤い車の主は、それでも冷静に走らせる。
心境に戸惑いはあれど、相手の出方を見れば特に注視するところは見当たらない。
はたしてそれは、ツンの想像通りの結果となった。
(-@∀@)「おーっと!!スーパードックンがハンドルを切った!ツンさんに回答権!!」
(*゚ー゚)「では問題です!」
(*゚ー゚)「株式会社ホープムーンから発売されている携帯電話向けゲームで、夢魔シリーズや銀星シリーズのシナリオを書いたライターは次のうちどれでしょう?
A 泉八朗
B 和泉八朗
C 泉八郎
D 和泉八郎
」
ξ゚⊿゚)ξ「Cね、紛らわしいけど」ポチッ
(*^ー^)「正解です!」
- 829 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:09:08 ID:qJWQFrWUO
- (-@μ@)「ツンさん8ポイント!!もう2ポイントで勝者となります!!やはりこのまま決まってしまうのか!?」
湧き上がる歓声に彼女は心を落ち着かせる。プレッシャーになりえるそれは、ツンにとって当たり前のもの。
プロになってからいつでも、どんなところでも、ゲームでほぼ負けたことはない経歴によって、ギャラリーの声援が心を落ち着かせる子守唄のように浸透していく。
本調子に戻ってきた毒舌が飛び出した。
ξ゚⊿゚)ξ「偉そうなことを言うわりに、結果は悲惨ね?」
( 'A`)「うっせぇ、あんたは泣かすから黙ってろ」
ξ゚ー゚)ξ「フフ、もうあと二回で終わるのよ。チキンドックンさん。あなたに勝てる見込みはないわ。降参でもしたら?」
(#'A`)「二回あれば十分だ。黙ってろクソ巻き毛」
気に入っている髪を馬鹿にされたツンは静かな怒りを抑えながら視線を司会に移す。怒気を含む声で促した。
- 830 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:09:50 ID:qJWQFrWUO
- ξ#-⊿-)ξ「……早く進めてちょうだい。私、この男大嫌い」
(*-@∀@)「は、はいぃぃい!スタートしますぅ!しぃさん早く早く!!」
若い女性のヒステリックほど恐ろしいものはないと自論をもっているアサピーは反面、嬉しそうな顔をしてアシスタントに言う。
どんどん開いていく歩幅と心の距離は当然の結果。
(*゚ー゚)「ではスタートです!スリー……」
('A`)(タイミングは最初で覚えてるから、あとは……)
発進の合図が出る。なんら変わらず走り出す両者の車は、中央付近で変化が出た。
黒、赤ともに同じ瞬間にハンドルを切ったため、リアリティのある砂埃が画面を覆っていく。
ξ゚⊿゚)ξ(あら……?)
(;-@μ@)「ま、まさかの同時コースアウト!!ここにきて初めてのドロー!ドローが出ました!!」
(;-@∀@)「この場合、次のレースで勝った方に10ポイント獲得の難問回答権が得られます!」
- 831 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:10:48 ID:qJWQFrWUO
- コース外の対角に位置する赤と黒を見て、ツンは考える。至った結論は変わらない。
ξ-⊿゚)ξ(運が良かったわね。10ポイントクイズに賭けてるみたいだけど、確かにこの状況下で勝つためにはそれが最も合理的。でも……)
ξ゚⊿゚)ξ(ハンドルを切るのはあなたよ)
不敵な笑みを浮かべながらスクリーンから視線を外す。ドクオに向かって慇懃な挑発をした。
ξ゚ー゚)ξ「よくやってくれたわ、スーパードックンさん。私と同じタイミングでハンドルを切るなんてね」
('A`)「んなもん、一回見たらできるよ」
ξ゚⊿゚)ξ「フン!強がりね。だけど確かにゲームの楽しさを教えてくれたわ。ここまで盛り上がりに貢献してくれてありがとう」
ξ-ー-)ξ「おかげさまで、最高の舞台で勝利を収めることができるわ」
会場は、どよめきが活気に変わっていくのが、聞かずとも体でわかるほど震えている。さながらサッカーのPKや野球のサヨナラ場面。
ここで試合が終わるかもしれないという局面は、最高潮のテンション。
- 832 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:11:36 ID:qJWQFrWUO
- (-@∀@)「いよいよ次で終わりになるか……!当たれば終わり、避けても高得点の回答権利が得られるドロー戦!しぃさん、お願いします!!」
(*゚ー゚)「はい、スタートです!」
もはや見慣れた荒野の黒と赤。発進する車の最後は、どちらかが勝利か敗北を手にすることができる可能性のあるチキンレース。
ξ゚⊿゚)ξ(あの男が突っ込んでくるはずはない。テレビもあるのにあれだけ大口を叩いてぶつかってくるような人物ではないはず)
ξ;゚⊿゚)ξ(だから同じように、見極めてハンドルを切らせるだけ。もし難問に正解できなくても次のレースで勝てばいい)
ξ;-⊿-)ξ(さっさと消えてちょうだい、口だけの臆病者!)
(;-@∀@)「おお!赤の車が加速していく!!これは余裕の表れなのか!!対する黒の車も加速して……えっ」
実況するアサピーの視界には信じられない物が見えた。故に普段ではありえない言葉のつまりが起きた。
- 833 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:11:58 ID:qDLwFpQM0
- ぼく2問解けた!2問解けたよ!!
- 834 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:12:22 ID:qJWQFrWUO
- それは放物線を描いてツンの足元付近に転がっていく、本来なら腕に巻きついていた機械。
ξ゚⊿゚)ξ(は……?)
視認できる範囲の全員がそれに気づいたとき、自身の仕事を思い出したかのように声をあげたのは、初めに驚いた彼だった。
�堯�;-@д@)「ななななんと!?スーパードックン……!!」
(;;-@д@)「コントローラー、シベリアムーブを取り外し、それを前方に投げました!!」
ξ;;゚⊿゚)ξ(なにを考えているの!?)
驚愕するそれらを尻目に、スクリーンでは異常なく車が動いている。
黒の車は制動する装置がなくなっても加速した分の惰性でどんどん直進していくのに対し、赤の車はブレーキをかけて減速している。
ξ#゚⊿゚)ξ(このままじゃ絶対にぶつかるじゃない!バカじゃないの!?)
ξ;-⊿゚)ξ(ここで一度止まってもこの速度だと、いずれぶつかる……これは)
�熙�;゚⊿゚)ξ(私がハンドルを切るしかないってこと!?)
- 835 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:13:20 ID:qJWQFrWUO
- 逡巡する思考が導き出した答えは、初めて臆病者のレッテルを貼られること。
赤い車がコースアウトすることによって、レースは終了した。
(#-@μ@)「ツンさんコースアウト!!スーパードックンは初の回答権を得る!!これは予想外!!しかし、こうでもしないと衝突していたかもしれない!!」
(;-@∀@)「それでは今からスーパードックンには10ポイントが獲得できる難問に挑戦していただきます。しぃさん、問題を」
静まり返る観客席にあわせるように、アサピーは静かに、しかし堂に入った態度で促す。
(*;゚ー゚)「はい、問題です!この問題は難問のため、選択肢はありません!口頭でお答え下さい!」
ξ;゚⊿゚)ξ(そうよ……確かに彼が勝つチャンスはあるけど……)
(*゚ー゚)「プログラム内蔵方式を提唱し、現在のパソコンに貢献した、物理学、気象学、心理学など様々な分野にも精通しているハングリー出身の数学者の名前と、生年月日はなんでしょう?」
- 836 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:14:15 ID:qJWQFrWUO
- ξ;゚ー゚)ξ(こんな難しい問題があんなダメそうな男に解けるわけが)
諦めていないツンに向かって、大胆な行動をとったにもかかわらず沈黙を貫いていたドクオが声をかける。難問に、何の苦痛も抱いていないような軽い態度。
('A`)「なぁ、クソ巻き毛。ゲーム理論って知ってるか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「は?なによそれ」
('A`)「このゲームにも関連する数学用語さ。俺も本で読んだんだけど……相互作用を及ぼしあう複数、又は単独の主体の振る舞いに関して研究する応用数学の一種のことだ。そのパイオニアみたいな人のこと、知ってるかなぁと思ってさ」
ξ#゚⊿゚)ξ「な、何言ってるのか全然わかんないわよ!!っていうかさっさとクイズに答えなさいよ!どうせわからな──」
(-A-)「そのパイオニアも、この問題の答えも一緒だよ。1903年12月28日、ジョンフォンノイマンだ」
(*^ー^)「正解です!」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ ⊿゚)ξ
ξ ⊿ )ξ
バタッ――
- 837 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:15:15 ID:qJWQFrWUO
- 判定を聞いたツンはその場にへたりこんだ。愕然とする彼女と、当然といわんばかりに堂々とした彼の姿。
両者の立場が逆転している様子をしばし呆然と見届けたアサピーはたどたどしく、そして徐々に調子を取り戻しながら言った。
(-@д@)「……こ、これは……ツンさんの8ポイントに対して……0ポイントの状態で10ポイント問題に正解したスーパードックンの──」
(*-@∀@)「勝利となりまぁぁぁああああすぅ!!」
静まり返った分、空気の振動がよくわかるほど、観客の歓声が会場をめぐる。
それは誰もが勝てるとは思ってもみなかった不審な男、宇都宮ドクオが第一回戦目を土壇場の大逆転で突破したことを意味した。
- 838 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:16:08 ID:qJWQFrWUO
- ドクオはツンの前に近づき、落ちているコントローラーを拾って損傷を確認する。
意外と頑丈だったらしく、投げたときに壊れてしまうかと危惧していたが杞憂に終わった。
ξ ‐ )ξ「……あなた、何者よ」
座ったまま動かず、下を向いたまま尋ねる。問われた彼は無機物から有機物に視線を変えて、思っていた以上に美しい髪の毛がよく見えたので、茶化したことを少し後悔しながら答えた。
('A`)「俺は普通の一般人だよ。強いていえば本やゲームが好きな今時の若者かなぁ」
ξ# ⊿ )ξ「ふざけないでよ!さっきのわけがわからない言動といい、やたら難しい問題の回答といい!まさか最初からこうするつもりだったの!?」
- 839 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:16:56 ID:qJWQFrWUO
- ('A`;)「えっ、うん、まぁ、これ多分ナッシュ均衡のないゲームだし、ハンドルみたいな大事な物をマジックテープで固定する違和感もあったし、最初からそのつもりっちゃぁ、そのつもりだったかな」
ξ# ⊿ )ξ「なら、なんでもっと早く勝ちにこないのよ!!」
( A )「だって、そりゃあんた」
('∀`)「楽しかったもん、対戦」
ξ;⊿゚)ξ「あ──」
顔を上げれば、まぶしい光と、白いシャツの袖口が見える。
地面にこぼれないよう、頬を伝う雫を拭ったツンは、差し出されたドクオの手をとった。
スーパードックンのようです
第二部 第八話おわり!
- 840 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 00:19:27 ID:qJWQFrWUO
- お待たせして申し訳なかったです。いつもより少し長めです。
NGの準備をしてきます。遅いので明日学校や会社の方は寝てね。
>>833
ぼくくんすごいなぁ!シェンムー知ってるんか!?3はよ!
- 841 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:17:19 ID:qJWQFrWUO
- スーパードックンのようです
NGシーン
第六話↓ネタが思いつかないときはこいつを使おう
( ^ω^)「お?」
長い髪と大きな背中の後ろから、親子のような身長差が伺える男が見える。
( ^Д^)「あ、あ……」
掻けば落ち、地面が汚れるボサボサの髪。
(´・_ゝ・`)「……やっときたか」
ジャージと比べればまともだが、何の変哲もないはずの、白のシャツは汗や土ぼこりなどで汚れていて。
(*゚∀゚)(わー、ちょっとドキドキする!)
履きジワとつま先の削れ具合は、誰も知らないが今朝よりもひどく、まるで歩いてきた距離を物語るように。
( ^ω^)「おっおっ、遅かったおね。
そして久しぶりだお──」
渦巻く陰謀、欺瞞、懐疑。道理を飛ばして真実を開くことは容易でない。
( ゚д゚ )「カルネアデスの板前」
( ^ω^)(´・_ゝ・`)
「誰だお前」
(゚∀゚*) (^Д^ )
д゚ )ササッ「ログオフの女」
おわり
- 842 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:18:06 ID:qJWQFrWUO
- スーパードックンのようです
マル秘!お蔵入りシーン
↓苦し紛れの新コーナーです。
J( 'ー`)し「どうもみなさん!NGシーンかと思った?残念、カーチャンでしたぁ!」
J( 'ー`)し「これは諸々の事情によって載せられなかったNGシーンを客観的に見ていくコーナーです」
J( - ー)し「それぞれの話につき、ひとつ以上はNGを出したいけど無理なときもあるのよね……」
J(*'ー`)し「気持ちを切り替えて、はりきって参りましょう!まずはゲストから!」
J('ー` )し「ドクオ〜!早くきなさーい!」
('A`)「なんだよ、カーチャン。出番がないからってこんなところで」
J('ー` )し「それ以上は言っちゃダメです!カーチャン辛い」
(;'A`)「わ、悪かったよ……で、なにをすりゃいいんだ?」
- 843 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:18:49 ID:qJWQFrWUO
- J('ー` )し「そうねぇ、これを売ってきてちょうだい」
('A`)「は?」
J('ー` )し「ガムテープよ。一個30万でどうかしら?」
(゚A゚)「はぁ!?そんなもの売れるわけないだろ!」
J('ー`*)し「がんばれ!あなたならできる!失敗したら家の本を全部燃やすからね」
('A` )==Зタッタッタ「ちっ……」
J( 'ー`)し「さて、ゲストも体よく追っ払ったから始めますね」
J( 'ー`)し「まずは箇条書きにしてみました!」
・第七話 ドクオ、道に迷って遭難する。
・第七話 もしも謎の人物エックスがカーチャンだったら
・第七話 ツンに腹パン
- 844 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:19:36 ID:qJWQFrWUO
- J( 'ー`)し「なんか国民的アニメみたい。上から行きますね。ドクオが道に迷って遭難する話です」
J( 'ー`)し「島の中をうろうろしているうちに道に迷って、もう帰りたいから脱出しなければならなくなってしまうのね」
J( 'ー`)し「例えば、トラとかイノシシとか野生の動物と生死をかけた頭脳戦を繰り広げたり、食卓を豊かにするために今まで読んだ図鑑の知識を使って行動したりするの」
J(*'ー`)し「で、最終的には頑丈な船を作って脱出するハートフルサバイバルストーリーになるんだけど……」
J( 'ー`)し「つまらないのでお蔵入りとなりました」
- 845 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:20:18 ID:qJWQFrWUO
- J( 'ー`)し「別に色々と被るからやめたっていうわけじゃないの。サバイバル系は難しいのね。バナナをバナーナとかすごい尊敬する。ごめんなさいなんでもないわ」
J( 'ー`)し「続いて二つ目!もしもエックスがカーチャンだったら!」
J( 'ー`)し「これはね、文字通りよ。カーチャンがギコさんと心理戦を繰り広げる話なんだけど……」
J( 'ー`)し「セントジョーンズさんの時のようにオチができなかったからお蔵入りとなりました」
J( 'ー`)し「ごめんね、カーチャン若作りモードでがんばりたかったんだけどごめんね」
- 846 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:21:04 ID:qJWQFrWUO
- J( 'ー`)し「最後は暴言を吐くツンちゃんのお腹をドクオが執拗に殴っていくお話なんだけど」
J(;'ー`)し「実はこれ、短いけどちゃんとできていて、オチもついてるのよ」
J( 'ー`)し「ただ、閲覧注意を促すとなんだか忍びない感じがしたのでお蔵入りとなりました」
J( '、`)し「いくら自業自得だからって、ゲロを吐くシーンなんて女性としてどうかと思うしねー」
J(*'ー`)し「『スーパードックンのようです』は健全な作品です!」
- 847 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:22:13 ID:qJWQFrWUO
- J( 'ー`)し「ふぅ、全部終わったけどなんだか味気ないわ。そうだ!お外でドクオの本を燃やしましょう!」
ノミ彡)
√J( 'ー`)し ノ彡ミ彡))
| (、===m=<|三〜)⌒ミ彡)メラ
|_|:|| ヾ〜)彡ノ彡メラ
(_)_) ヾ人ヽノ
本本本
J( 'ー`)し「まぁ、よく燃えるわ!」
- 848 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:22:43 ID:qJWQFrWUO
- (;'A`)「た、ただいまカーチャン!売れたよ!」
J( 'ー`)し「えっ」
(;'∀`)「ガムテープ30万で!」
J(;'ー`)し「ど、どうやって……」
( '∀`)「ガムテープの薀蓄を、道端で演説してたら売れた!例えば布粘着テープを英語でガファーテープ、ガフテープ、ガファテープって呼ばれることとか、ガムテープを貼り合せて暗いところで思い切り剥がすと発光するトリボルミネセンスの解説とか!珍しがって買ってってくれたぜ!」
J(;*'ー`)し「そ、そう……よかったわね!ドクオ!さぁご飯にしましょ!」
- 849 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:23:37 ID:qJWQFrWUO
- ('A`)「カーチャン焦ってどうしたの?あれ、なんか熱いよ?なにか燃やして──」
ノミ彡)
ノ彡ミ彡))
)⌒ミ彡)メラ
)彡ノ彡メラ
ヾ人ヽノ 本本 ('A` )
本本本
- 850 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:24:24 ID:qJWQFrWUO
- (゚A゚)「これ俺の本じゃねぇか!?」
(゚A゚)「売ってきただろう!?」
(#゚A゚#)「ガムテープをよぉ!!」
(。。○A○。。)「ああああぁぁぁぁ!!」
J('ー` )し「まぁ、たいへん!」
(。。'A`。。)「あ、ああ、あああ……」
J( 'ー` )し「あらあら、うふふ。みんなも、火事とガムテープの押し売りには気をつけようね!おしまい!」
(。'A`。)「あああ、あああああ……」
( A )「ああ……」
おわり
- 851 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:25:42 ID:qJWQFrWUO
- 第八話
↓Flock offって曲ですかね。これはひどい。1が一番好きです。知らない方は雰囲気を味わってください。
ミルナが恐れる、男がいた。
ジリリリリ
ガチャ
(`・ω・´)「ミルナメイクライ。悪いが今日は店じまいだ」
(`-ω・´)「──そいつはゆかいだな、で、俺にどうしろって?」
(`・ω・´)「京都の八橋と築地の回らない寿司でどうだ」
(`-ω-´)「オーケー、交渉成立だ」
(`・ω・´)「3分で終わらせる」
- 852 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:27:00 ID:qJWQFrWUO
- デレデレデデーデーデデレデレデデーデーデー
(`・ω・´)「フッハァ!」
トゥイーウワゥン
(`^ω^´)「カモーン」
ッテケテテテッテッテッテッテ
(`-ω・´)「トゥーイージー」
トクトクディードルルドトクトドトィードルルド
(`゚ω゚´)「ンウェ!」
ドゥーゥルルルルルン
(#`・ω・´)「ハッハッハッハッハッハッハッ!」
テケテケテーテーテケテケテーテー
(*`・ω・´)「ブレイクダウン!!」
シューンシューンシューン
ミルナ ミルナ ミルナメイクライ──
(#゚;;-゚)「合言葉は?」
(`・ω・´)「コッチミルナ!」
カミグスーン……
〜〜〜
(* ・∀・)「か、かっこいい……これ買おう」
おわり
- 853 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:28:42 ID:qJWQFrWUO
- 第八話 take2
↓手抜きといわれてもいい。私は0〜3までしか認めない。
クルー川 ゚ 々゚)の日記
5月9日
夜、警備員のガナーとモカー、研究員のじぃとババ抜きをやったよ!じぃってば、やたらババを引かせてくる。私、ババ抜き弱いなぁ。
5月10日
今日、研究員の偉い人から新しい動物の世話を頼まれたんだ♪
ちょっと皮膚に怪我しているゴリラさん。
生きてる餌がいいっていうから、豚さんにごめんなさいして、ゴリラさんにあげたらもう見てられない!おもちゃにしたあとやっと食べたみたい。
5月11日
今朝5時ごろなんだけど、宇宙服みたいな防護衣を着たガナーに起こされたんだ。
私も着てって。かわいくないけど、事故が起こったから着ないとダメなんだって。
みんなずっと研究なんてやってるから事故がおこっちゃうんだよねぇ……
- 854 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:29:29 ID:qJWQFrWUO
- 5月12日
昨日からこのかわいくない宇宙服を着たままだから、背中が蒸れちゃう……
お肌の手入れもできないし、ちょっとかゆいから困ったなぁ……
そうそう、あの犬さんのご飯なんだけど、あげるの忘れちゃった。
ごめんね犬さん。
5月13日
すごく背中がかゆくなってきたから医務室でおっきなバンソウコウ貼ってもらったの。
ちょっと恥ずかしいけど、もう宇宙服を着ないで済むみたいだからいいかな?
これでお肌のケアもできるし、夜もぐっすり眠れるね♪
5月14日
朝起きたら、大変!背中だけじゃなくて足にもニキビみたいなのができてるの。サイアク!
犬さんのところがなんだか静かだったから、足痛いけど見に行ったら数が足りないし……
ご飯あげるのずっと忘れてたから逃げちゃったのかなぁ……ばれたら怒られるぅ……
- 855 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:30:08 ID:qJWQFrWUO
- 5月16日
昨日ね、この屋しきからにげよとした研究いんが一人、殺されちゃった、ってはなししってる?
夜、からだ中、あついよかゆいよ。くるいそ。
お胸のニキビかきむしたら肉が落ちちゃた。
わたし どうな て
5月19日
やと ねつ ひ
いた けど かゆいよ
おなかすいた い
ぬさん えさ 食べる
5月21日
かゆい きゅい がなーきたー
ぶさいくだたからころした
おいし
よん
くるう
くるうくるう
〜〜〜
(; ・∀・)「このゲーム、こわい……でもおもしろい!」
おわり
- 856 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:31:02 ID:qJWQFrWUO
- 第八話 take3
↓ノーコンドックン
(-@∀@)「おお!赤の車が加速していく!!これは余裕の表れなのか!!対する黒の車も加速して……えっ」
実況するアサピーの視界には信じられない物が見えた。故に普段ではありえない言葉のつまりが起きた。
それは放物線を描いて飛んでいく、本来なら腕に巻きついていた機械。
ξ;゚⊿゚)ξ(は……?)
視認できる範囲の全員がそれに気づいたとき、自身の仕事を思い出したかのように声をあげたのは、初めに驚いた彼だった。
(-@д@)「ななななんと!?スーパードックン……!!」
(;;-@д@)「コントローラー、シベリアムーブを取り外し、それを前方に投げました!!」
- 857 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:31:42 ID:qJWQFrWUO
- (-@∀@)「そしてそれが……」
(-@∀@)「ツンさんの頭に直撃!!」
ξ。⊿゚ξ「ぐぇええ」
(-@∀@)「ツンさん、ダウン!!出血しています!これは……」
(-@д@)「し、死んでる」
おわり
- 858 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:32:28 ID:qJWQFrWUO
- 第八話 take4
↓なまじありえるからタチが悪い。
(-A-)「うーん、あんたはむかつくし、絶対泣かすけど──」
('A`)「いいぜ、俺が仏頂面でいやいや遊んでいる巻き毛さんに『ゲーム』の楽しさを教えてやる」
('A`)「このスーパードックンがな」
(;'A`)(言っちゃったよ……これ言うともう終わりだよ……今回はどうなるんだよ……)
ξ゚⊿゚)ξ「わかったから、早く始めてよ」
('A`)(あれ?)
(*゚ー゚)「はい、それではドロー後のスタートです!」
('∀`)(おっ、これいけんじゃね?)
- 859 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:32:59 ID:qJWQFrWUO
- しぃがカウントダウンを声に出して始める。
勝利を確信しているにもかかわらず、沈痛な面持ちのツンはそれを聞き流しながらドクオに集中した。
ξ゚⊿゚)ξ(負けない、負けるわけにはいかない……!)
(-@∀@)「おお!赤の車が加速していく!!これは余裕の表れなのか!!対する黒の車も加速して……えっ」
実況するアサピーの視界には信じられない物が見えた。故に普段ではありえない言葉のつまりが起きた。
それは放物線を描いてツンとドクオの足元付近に転がっていく、本来なら腕に巻きついていた機械。
ξ;゚⊿゚)ξ(あ……)
視認できる範囲の全員がそれに気づいたとき、自身の仕事を思い出したかのように声をあげたのは、初めに驚いた彼だった。
- 860 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:33:33 ID:qJWQFrWUO
- (;-@д@)「ななななんと!?ツンさんとスーパードックン……!!」
(;;-@д@)「コントローラー、シベリアムーブを取り外し、それを前方に投げました!!」
(-@∀@)「車は急に止まれません!このまま激突!!両者敗退です!!」
( 'д`)「」
ξ゚д゚)ξ「」
おわり
- 861 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:35:42 ID:qJWQFrWUO
- 本編を重視して、NGの量が落ちてきました。もう少しがんばります!
それではまた近いうちに。おやすみなさい。
- 862 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:43:03 ID:BO2yPDQs0
- おつ!
一から読んできたけど面白い!クイズわけわかんねえけども
NGも好きだわwww
- 863 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 01:45:35 ID:5HyBCPd20
- 乙、今回も楽しかった
- 864 :名も無きAAのようです:2013/07/02(火) 09:00:36 ID:1xY4u5/I0
- 乙、逆転劇っていいのう
- 865 :名も無きAAのようです:2013/07/07(日) 22:39:25 ID:5P5XvuxwO
- 定期的になってまいりました報告です。水曜か木曜に投下できる見込みです。
毎度ながら遅くなってごめんなさい。また長めにいきます。がんばるぞ!
では、おやすみなさい。
- 866 :名も無きAAのようです:2013/07/11(木) 19:39:32 ID:RiazZVD2O
- 申し訳ない、土曜日になります…もう少し書きためますね。
待ってらっしゃる方はごめんなさい。
- 867 :名も無きAAのようです:2013/07/12(金) 17:28:12 ID:RxbG0h7c0
- 待ってないんだからね!
- 868 :名も無きAAのようです:2013/07/13(土) 22:14:17 ID:r1rLFEQQO
- もももうしわけない
夜中になる…
- 869 :名も無きAAのようです:2013/07/13(土) 22:15:58 ID:wTb9Jnkw0
- >>847
ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
- 870 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:32:52 ID:z5.rjoIIO
- 酒の付き合いに行くときは、先に投下をしておかなければならない。(教訓)
>>862
ありがとうございます。ムチャクチャなクイズばかりなので、もっとわかりやすい物も取り入れていきます。
>>863
ありがとうございます。続けて読んでいただいて嬉しい。
>>864
逆転劇は私も大好きです。熱いですよね。裁判も好きです。欲しい。
>>867
べ、別にホントは待たせてごめんとか思ってないんだからねっ!
>>869
頑張ったドクオにもっと悲惨で凄惨な顔をさせようかと思いましたが無理でした。
全く何が夜中なんでしょうね、帰ったら朝日が眩しかったです。それでは参ります。
- 871 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:36:04 ID:z5.rjoIIO
- (;=゚ω゚)「なっ、そんなばかなよぅ!」
勢いよく立ち上がる伊予はスクリーンを見つめ驚嘆の声をあげる。ありえないと言わんばかりに顔をしかめ、憤慨する。
(;=゚ω゚)「そんな、ツンが、ゲームの天才であるツンが負けるなんて……!!いったいどういうことだよぅ!」
(´-ω-`)「ゲーム理論ですよ、伊予さん」
背もたれに深くかけ、足と手を組み嘲笑する諸本は同じ目線で話しかける。振り返った小動物。
(゚ω゚=)「はっ?ゲーム理論って、囚人のジレンマとかかよぅ?」
(´・ω・`)「ええ、しかしこの場合は違います。チキンレースにおいて、ルールにもよりますが妥協点というものはあまり存在しない」
(´・ω・`)「ですから、相手の出方を決めてしまえば勝つことは可能です。ハンドルを投げてしまうようにね」
- 872 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:37:24 ID:z5.rjoIIO
- 反論したいが言いよどむ彼に対して、そのままの体勢で続ける。
(・ω・` )「もっとも、彼がとった行動は一度しか通用しませんし、お互いがその行動をすれば両者敗退。心理戦も関わってきますがね」
(゚ω゚=;)「じゃ、じゃあ難問を解いたあの男はなんなんだよぅ!オッズはとんでもない数字だったはず──」
(´-ω-`)「津雲レイがゲームの天才ならば、彼はクイズの天才です」
(´・ω・`)「ゲーム理論を用いたクイズに負けるわけがありません」
(-ω-=;)「いよぅぅ……!」
あくまで淡々と、しかし確実に言いくるめられたパトロンは、二人の前から足早に去っていく。表情を戻した諸本に、タイミングを見計らったかのような切り口で茂良は話しかけた。
- 873 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:38:31 ID:z5.rjoIIO
- ( ・∀・)「さすがですね、諸本社長!いやぁ、全然気づきませんでしたよ」
次々と賛辞を述べていく彼の言葉に適当な相づちをうちながら思うことは、全ておためごかしにしか聞こえないという猜疑心。
(´・ω・`)(宇都宮に1億をかける度胸、伊予にさりげなく本質を尋ねる知恵……)
(´・ω・`)(以前から思っていたがこの男──)
深く考え込んだのか、何度も同じ事を尋ねてくる声が聞こえるのに時間がかかった。
( ・∀・)「──社長?大丈夫ですか?」
(;´・ω・`)「え、ああ。すまない。ジョルジュのことを考えていた」
(* ・∀・)「本当に彼が好きなんですね〜!」
(´・ω・`)「私になにか聞いていたかね?」
( ・∀・)「ええ!ほら、司会が言っていたビッグサプライズってなにかなと思いまして」
(´・ω・`)「そういえば言っていたな、私も聞いていないが……」
(* ・∀・)「盛り上がりそうですね!わぁ、楽しみだなぁ!」
目を輝かせ、見つめる先にいる勝者と敗者に向かってはしゃぐ不思議な男に、諸本はため息をついた。
- 874 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:39:28 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
(-@∀@)「第一回戦目!終了!勝者は……」
(*-@∀@)「スーパードックンです!!」
シベリアムーブ等の機材を片付けても、別に広さは変わらない。二人の選手は中心、司会の前に並んでいる。
今までにない声援を受けるドクオは例の如く床を汚した。それを腫れた目で見つめるのは、横に並んでいる負けてしまったツン。
(-@∀@)「おめでとう!スーパードックン!今のお気持ちを聞かせてください!」
(;'A`)「え、ああ、まぁはい、嬉しいです」
(;-@∀@)「本当に君はコメントが苦手だね!では、負けてしまいましたツンさん!ひとことお願いします!」
ξ-⊿-)ξ「フン。……楽しかったわよ」
- 875 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:40:08 ID:z5.rjoIIO
- ドクオ含め、司会はおろか観客までも顔を緩める。それを肌で感じ取ったツンは赤面した。
ξ#゚⊿゚)ξ「べ、別にこいつとのクイズが楽しかったわけじゃないんだからね!シベリアの出すゲームが楽しかっただけで!!」
人差し指を横にいる男に向けて、声を荒げる。
わかっているといわんばかりな態度と、真逆の笑顔を見せられてさらに顔をしかめたが、アサピーが話を終わらせに入る。
(-@∀@)「はい!ツンさんの惚気はこのくらいにしておきましょう!私としては少し残念です!」
ξ゚⊿゚)ξチョット!
(-@∀@)「さぁ観客席の皆さん!勝った口下手の彼と、負けてしまっても最高の試合を見せてくれた毒舌の彼女に、両者にもう一度大きな声援をお願いします!」
ひとつは勝者を称える栄光の声、ひとつは敗者に対して観戦のお礼。合わさったそれらは第一回戦目の幕引きとなる。
- 876 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:42:10 ID:z5.rjoIIO
- (-@∀@)「はい!皆さんありがとうございます!さて、それでは開始前に申し上げましたビッグサプライズについて……しぃさんお願いします!」
先ほどまでしゃべらなかったしぃがアサピーの前に出る。選手の目の前。
持ち前の淡白な口調をあえて抑えているのは、会場にいる全ての人々に驚きを伝えるためか、抑揚をつけ、聞き取りやすい。
(*゚ー゚)「はい!ではご説明します!ビッグサプライズとは今大会にて重要な要素を持つコンセプトルールに加え、もう一つの特別ルールのこと……」
(*-ー-)「そのルールとは、敗者が勝者のサポートをしていただくことです!」
ξ゚⊿゚)ξ「えっ?」
('A`)「はぁ?」
(*゚ー゚)「第一回戦目終了後にお伝えしたのは皆様に驚きを与えるため!以降、スーパードックンの行う試合にはツンさんにも協力していただきます!もちろん他の選手たちも、初戦終了後のみ、同様にサポートとして以降の試合に参加していただきます」
- 877 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:45:23 ID:z5.rjoIIO
- (゚ー゚*)「勝者の権利を超えない範囲で試合に関する事柄であれば全て相談や干渉などをすることができる特別な決まり!」
(*゚ー゚)「題して……」
(*^ー^)「シベリアセコンドルールの適用を開始します!」
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なぁ!?」(゚A゚;)
スーパードックンのようです
第二部 第九話はじまるよ!
- 878 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:46:35 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
ξ#゚⊿゚)ξ「冗談じゃないわよ!」
自販機から出てきた紙コップを取り出すドクオに向かって、ツンは言う。動じない。
ξ゚⊿゚)ξ「なんで私があなたのセコンドにならなきゃいけないのよ!ありえないわ!」
反応がないことを良しとしてつらつらと言葉を並べていく彼女の前に置かれたのは二つ分。中身はアイスコーヒー。
冬の寒さを忘れさせる試合会場の熱気と、空調の効いた控え室にはちょうどいい。
('A`)「無糖と加糖、どっちがいい?」
ξ;゚⊿゚)ξ「加糖よ!……ってそうじゃなくて!」
(-A-)「俺だってびっくりだよ」
- 879 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:47:21 ID:z5.rjoIIO
- 隣に腰掛けた彼は、見分けのつかない紙コップのうち一つを自分の口に運ぶ。
少し汗をかいていた体に浸透して、頭も回転してきた。コーヒーは燃料。
('A`)「まさかセコンドルールなんて突飛なものを出してくるなんてな」
ξ-⊿-)ξ「そうよ!ジョルジュさんのセコンドならまだしも、よりによってなんであなたのセコンドなのか理解できないわ!」
とめどなくあふれてくる雑言を一言で止めたのは、こちらを見ずに発したドクオの呟きだった。
('A`)「いや、俺に負けたからだろ」
�熙�;゚⊿゚)ξウッ
('A`)「負けは負け、勝ちは勝ちだ。大会である以上、勝者が勝者と戦わなきゃならねぇ」
(-A-)「文句があるなら運営に言えよ」
ξ;゚―゚)ξ「な、なによ……そこまで言わなくても……」
- 880 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:48:00 ID:z5.rjoIIO
- 一口すする。横にいるうつむいた彼女を横目で見て、心のなかでため息をつきながら続けた。
('A`)「って、あの頑固なおっさんなら言ってたろうな」
ξ゚、゚)ξ「ふぇ?」
ツンの方向に向き直って、穏やかな表情で話す彼に先ほどの棘は見えない。
まるで思い出に浸るように丁寧な物言いは、彼女を落ち着かせていく。
(-∀-)「俺がVIPテレビで戦った、クイズが強いおっさんと、バカなアイドルに教えてもらったんだよ。本気で対戦すると楽しいってことをな」
('A`)「その髪、バカにして悪かった。あんたとのゲームは楽しかったんだ。だから、俺はセコンドになってもらうと嬉しいぜ、ツン」
- 881 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:48:39 ID:z5.rjoIIO
- 初めて名前で──といっても通称だが──呼ばれたからか、よほどドクオの姿が神妙だったからか、からかう気もおきず、かといって邪険に扱うこともできなかったので、照れるしかなかった。
ξ*゚ー゚)ξ「そ、そこまで言うならなってあげるわよ。しょうがないわね!言っとくけどあなたのためじゃないんだからね!このまま試合が進めばもしかしたら──」
( 'A`)「じゃ、俺タバコ吸ってくるから」
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ、ちょ、ちょっと!……なんなのよ、もう」
過ぎ去っていく後ろ姿は華奢。まだ自身が負けたと思えないほどに矮小な存在の──
ξ;>⊿<)ξ「……苦っ!無糖じゃないのこれ!」
口に含んだそれと似た、黒い髪が視界から消えたので、渋々飲み干してから席を立った。
- 882 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:50:57 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
どこの施設でも通路は殺風景なのだろうか。
部屋から部屋への移動は、機能性だけあればいいと考える冴えない男は、怠惰を摂取すべく喫煙室に向かっている。
('A`)(明らかな得意ジャンルの出題……これはまぁ俺のときだけかもしれんが)
('A`)(セコンドルール。初戦終了後のみ適用される勝者と敗者の問題の共有、及び協力……そして)
('A`)(敗者復活の権利)
('A`)(勝者の権利を超えない範囲で試合に関する全ての事柄に干渉できるなら、もし俺が負けて、敗者になったとき、セコンドルールの適用された初戦敗退の彼女がそれをする可能性もあるはず。変なルールだ)
(;'A`)(まぁ、負けるわけにはいかねぇが……でも、このまま俺が勝てるか?)
(;-A-)(なにか裏があるような……)
- 883 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:51:40 ID:z5.rjoIIO
- _
( ゚∀゚)「危ないよ」
ふいに肩をつかまれたので驚いて振り向けば、目線を少し上にあげないといけない。
もはや見慣れた金色は、はたしてツンとどちらが綺麗なのかと不毛な考えを抱いてすぐに消した。
('A`;)「ジョルジュか……脅かすなよ」
_
( ゚∀゚)「驚いたのはこっちだよ」
離した手でドクオの目先を指差す。目的地手前、自動ドアは開いていない。
自己嫌悪に陥りかねない些細な失態に、苦虫を噛み潰した顔をしたドクオを見て不憫に思ったジョルジュは続ける。
_
( ゚∀゚)「考え事かい?前を見ないと」
- 884 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:52:28 ID:z5.rjoIIO
- ('A`)「あ、ああ、わりぃ……そういえばジョルジュは二回戦目だったよな?どうだった?」
_
( ゚∀゚)「もちろん勝ったよ。クミアデカのペニサスさんとドクオじゃ知識差は歴然だったからね。余裕だよ」
一回戦目終了後、ジョルジュは学問に特化している国、クミアデカの代表と戦っていた。
コンセプトルールはテスト。学生の時に戻ったように木の机と椅子にかけて答案用紙を埋めていく地味な模様は、彼の意外な行動によって決着がついたのだが、他者の試合を観覧していないドクオには知る由もない。結果が分かればいい。
- 885 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:53:10 ID:z5.rjoIIO
- ('A`)「そうか……」
_
( ^∀^)「君とは約束しているからね、こんなところで負けられないさ」
歪みのない自信に少したじろいだ彼は、意を決して、たどたどしく言葉を紡ぐが、看過されたのか途中でさえぎられてしまった。
('A` )「なぁ、ジョルジュ、その──」
_
( ゚∀゚)「詳しい話は、中で聞こうか」
同じ銘柄のタバコをスラックスのポケットから取り出して、ジョルジュは優しい笑顔を浮かべた。
- 886 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:54:07 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
(* ^Д^)「いやぁ、でもよかったっすホント!ドクオさんもジョルジュさんも勝って!」
(*゚∀゚)「デミタスのややこしい解説なんかどうでもよくなっちゃうよね!」
各選手達の試合も終盤にして、未だプレハブ内の熱気は収まらない。
試合が終わったり、事あるたびに喜怒哀楽を出す二人に、仕事をしながら質問に答えるデミタスの呆れた表情がいつもの情景を感じさせる。
(;´‐_ゝ‐`)「お前らな……」
口ではなくて手を動かせ。そう叱責するべきか考えていると、上司の呼ぶ声が聞こえたので切り替える。
- 887 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:54:49 ID:z5.rjoIIO
- ( ^ω^)「デミタス、現在の状況をまとめた書類はこれかお?」
(´・_ゝ・`)「はい、口頭でも申し上げました通り、セコンドルールに則った進出者は──」
はきはきとした説明を聞きながら改めて書類を確認していく内藤は、ふと気づいたように呟く。
( ^ω^)「……シードがあるおね」
(´・_ゝ・`)「ええ。まだ何も聞かされていませんが」
( ω )「ということは進行状況によって変わるということか……」
近眼だろうか、紙を顔に近づけているので聞き取りにくい。聞き返す。
(´・_ゝ・`)「プロデューサー?」
( ^ω^)「ん、ありがとうお。俺はちょっと用事ができたから失礼するお」
顔を見ればあの笑顔。しかし、僅かな違和感。引き止めようとする彼を逆に引き止めたのは部下達。
- 888 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:55:34 ID:z5.rjoIIO
- (*゚∀゚)「あ、みてみて!第一回戦のラストはじまるよ!」
( ^Д^)「ほんとっす!デミタスさんも見ましょうよ!」
反射的に振り返った時には外気が一瞬入ってきて、すぐに閉じられる。釈然としない面持ちでモニターを見つめた。
(´・_ゝ・`)「小森ひかるとエックスか……どちらもよくわからない選手だからな、どうなるやら……」
内藤の行方が気になるが、次に聞こえてきたアサピーの声にその考えは消される。
『エックス選手、そのフードを外してください!でないと機材を装着できません!』
『このままでは失格となりますが、よろしいですか!?』
(;´・_ゝ・`)「この期に及んでまだ正体を現さないとは」
(*;゚∀゚)「ちょっとかわいそう……」
(; ^Д^)「あ、外すっすよ!ほら!」
司会の言及がしばし続いたあと、ついにエックスはそのローブを剥ぎ取ろうとする。
- 889 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:56:17 ID:z5.rjoIIO
- 手が衣服に接触した時、この場では到底、発されることのない鈍い音がモニターからも聞こえてきた。
『……あー!こ、小森選手!大丈夫ですか!?」
( ^Д^)「えっ」
静寂はプレハブ内だけではない。会場も静まり返っていて、やはりそれを打ち破るのは名司会者のよく聞こえる声だけ。
『な、なんと!小森選手!開始前に倒れました!!』
次いで見えてくるのは担架を持った黒服達。ローブに手をかけたままの選手と、救護を手伝うアサピー。ざわめく観客達を抑えるしぃの姿。
よく眠っているようなジャージ姿の小森がモニターに大きく映し出され、どうしようもない空気が漂う。
(;´・_ゝ・`)「な、なんじゃそりゃ……」(^Д^ ;)(゚∀゚;*)
なんとも不条理でシュールな光景だった。
- 890 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:57:07 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
_
( ゚∀゚)y-~~「──なるほどね」
都合よく喫煙所は二人きり。換気の効いたこの部屋に、たゆたう煙は消えていく。
点けては消え、また点けては消え。それは生まれてくる疑問が少しずつ解決していく様子に似ていた。
( 'A`)y-~~「どう思う?」
通路での思考をジョルジュに問う。シベリアの裏に何かがあると勘ぐっているドクオに、大きく間をおいて答える。
_
( ゚∀゚)y-~~「んー、まぁ推測通りといえばそうかもしれないが……」
( 'A`)y-~~「教えてくれ」
- 891 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:57:49 ID:z5.rjoIIO
- _
( ゚∀゚)y-~~「仕方ないね。ドクオ、このシベリアでは選手達を使った賭博が行われているんだ」
~~-ч('A`;)「と、賭博だと……!?それって」
_
( -∀-)y-~~「もちろん違法さ。だけど、権力や情報をうまく使ってバレないようにやってきているらしい」
~~-ч('A`;)「だから内調が……でもこういうのは普通、ICPOが出てくるんじゃないのか?」
_
( ゚∀゚)y-~~「そう。普通はね。ただ、今回は特別に内調が動いている。まぁ察しの通り、君のお父さん……白髭さんがね」
父親の呼称を聞いて、持っているタバコを落としそうになる。落ち着いて一服。まだ先端が燻っているそれを見つめ呟く。
~~-ч(-A-;)「……俺の親父は、小さい頃から会ってない。唯一知ってることといえば国家公務員ってことと、これを吸ってたってことくらいだ」
- 892 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:58:30 ID:z5.rjoIIO
- _
( ゚∀゚)y-~~「ハイライトかい?」
( 'A`)y-~~「ああ。カーチャンに聞いても知らないっていうし、学生時代はそれどころじゃなかったしな」
_
( -∀-)「……」
他人の話す身の上話はどうしても重たくなる。うつむいて沈痛な顔をするドクオと、同じくタバコを消し、目を閉じて腕組みをするジョルジュ。
父親の嗜んでいたそれの灰が地面に落ちたことに気づいた息子は顔を上げた。
( 'A`)y-~~「つーかよ、なんでそこまで知ってるんだ?賭博といい捜査が入ることといい」
_
( ゚∀゚)「マジシャンだからさ」
気を取り直したと見た彼は普段の飄々とした態度で髪をかきあげる。無反応。無言の威圧が続きを促す。
- 893 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 19:59:15 ID:z5.rjoIIO
- _
(; ゚∀゚)「──って、それは冗談で……諸本社長から聞いた」
会ったことは一度だけ、しかし思い返すのは何度目か。どうにもしょぼくれ顔と端正な顔が並ぶ光景が理解できない。
( 'A`)y-~~「あの人か……いったいあんたと社長とどういう関係があるんだ?」
_
( ゚∀゚)y-~~「長いよ?」
うなずくドクオを見て、タバコに火をつける。吐き出した煙と同時に語りだした。
_
( ∀ )y-~~「あの人と俺は……」
<『選手の皆さん、本選準々決勝第一回戦目の時間となりましたので、名前が挙がった選手は、選手入場口までお越しください』
<『準々決勝第一回戦目の出場者は』
<『スーパードックン』
('A`#)「なっ、もうかよ!こんなときに!」
無慈悲にも流れる出陣の合図は、話の終わりを意味していた。
フィルターぎりぎりのところまで迫っていたので、熱さを感じる前に、乱暴に灰皿へ押し付ける。
<『エックス』
<『この2名となります』
<『他の皆様は、本選準々決勝第二回戦目まで自由行動となりますので、よろしくお願いいたします』
<『繰り返します──』
- 894 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:00:50 ID:z5.rjoIIO
- 立ち上がって太ももに散る灰を叩き落とし、ジョルジュを見た。咥えタバコの金髪は、絵になるが逆光でよく見えない。
('A`)「ちっ、悪いなジョルジュ。ちょっと行って来る」
_
( ゚∀゚)y-~~「ああ」
_
( ゚∀゚)y-~~「ドクオ」
(;'A`)「んあ?」
間髪を入れず続けられたので、まぬけな声が出てしまう。
ジョルジュは手先を灰皿に持っていき、半分しか吸っていないタバコを消した。
_
( ゚∀゚)「色々と思うところはあるだろうから、一つだけ言っておく。あの人と俺は戦友だ。苦楽を共にした、ね」
- 895 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:02:57 ID:z5.rjoIIO
- _
( ゚∀゚)「あ、それと白髭さんだけど。彼はすごい人だ。変装・偽造・対人──俺なんかじゃ到底思いつかないほど、スパイとしての必要なスキルは全て持っている」
_
( ^∀^)「だけどそれ以上に、息子思いだよ。いつも嬉しそうに子供のことを話していた。だから心配しなくていい」
('A`)「……二つじゃねぇか、サンキュ」
華奢な背中には目的を達成する気持ちの重みがのしかかる。それはドクオの人生で一番の負荷。
それを背負って彼が持つポテンシャルを発揮できる舞台で、本気になって取り組める問題の解決への道程。
_
( ゚∀゚)「決勝で待ってるよ」
険しく遠い獣道を、後ろ手に礼を言って、今度こそ前を向き歩き出した。
- 896 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:05:21 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
選手入場口の照明は暗い。それは奥から漏れ出す会場の光がしっかりと入ってきているから。
エコロジーと見るか、守銭奴と見るかで印象が変わるしたらばテーマパークにおいて、戦いに赴く男の前で腰に手を当て対面する女性はパートナー。
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、遅いわよ!」
ジョルジュと会う前に考えていた手前、目の前のセコンドに気まずい思いを抱いたが、その必要はなかった。
口の悪い、生意気な態度で遅れてやってきたドクオに突っかかる。
('A`)「タバコ吸ってた」
ξ#゚皿゚)ξキィー!
軽くあしらわれたツンは歩幅を変えず進む彼の後ろを歩く。
声援と晴天の光が交わる舞台の中心に並び、司会を挟んで対戦者と向かい合う。
- 897 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:06:32 ID:z5.rjoIIO
- (-@∀@)「さぁ順調に試合は進み、準々決勝となりました!対するのはこの二人!」
(-@∀@)「その頭脳で謎を解き明かす超一般人!スーパードックン!セコンドは惜しくも敗れてしまった津雲レイ!」
ワーーーー!ガンバレーー!
(-@∀@)「そして、今度こそそのベールは明かされるのか!?謎の選手エックス!」
ふいに、対戦者が一人足りないことに疑問を抱いたドクオは司会にも聞こえるように尋ねる。答えは意外なところから出た。
(;'A`)「あれ?あんたのセコンドは?」
ξ;-⊿-)ξ「あなたがタバコ吸ってる間に、客席から色んな試合見てたけど……恥ね。小森ひかるは睡眠不足でテーマパーク内の医療センターに運ばれたわ」
(;'A`)(なんじゃそりゃ)
思うことは皆同じ。その普通ではまず起きない事態を彼女はうなだれながら説明し、尋ねた本人も言葉に詰まった。
- 898 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:08:50 ID:z5.rjoIIO
- 選手達もピンマイクを装着しているのである程度は周囲にも聞こえるが、この歓声ではかき消されてしまう。
アサピーは再度、声をあげて全体に伝える。
(;-@∀@)「えー、ツンさんからご指摘のありました通り、エックス選手はセコンドがいません!」
(-@∀@)「よって、本来なら特別にハンデキャップが適用されるところですが……」
(-@∀@)「なんと、試合開始前、ハンデキャップの適用を辞退すると本人の申し出がありました!」
エーーー!?
(-@∀@)「これは自信の表れととってよろしいでしょうか、エックス選手」
( Ⅹ )"コクリ
(*-@∀@)「おーーー!これは強気だ!ハンデなどいらない!2対1を物ともしない姿勢はまさにストイック!」
オオオオーーー!!エックスガンバレーーー!!
あまり有名でないドクオと、正体の分からないエックス。
当初は均等に受けていた応援──逆転劇を見せたドクオのほうがやや多い──が、一転してエックスに注がれる。誰しも苦難を乗り越える姿を見たいもの。
- 899 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:10:38 ID:z5.rjoIIO
- ξ;゚⊿゚)ξ(まずいわね……場の空気が相手に流れている)
ξ;゚⊿゚)ξ(これじゃ、こいつの士気が……)
危惧するツンは横目で彼を見る。黒い髪を掻いているので表情が隠れているが、足が一歩前に動いた。
('A`)「あー、あのー」
(-@∀@)「はい、なんですか?」
('A`)「さっさと始めてくれねぇかな」
それは威風堂々とした男の立ち振る舞い。
ξ-⊿゚)ξ(……杞憂だったわね)
('A`)「悪いが、こんなところで止まってるわけにはいかねぇんだ」
ξ゚⊿゚)ξ(会って間もないけど、こいつは、スーパードックンは)
向かうは正体不明の敵。それでも約束を果たすために彼は退かない。
('A`)「いいぜ、あんたがその気なら俺も最初から本気で潰す」
ξ゚ー゚)ξ(これくらいの逆境じゃへたれないわ)
- 900 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:12:05 ID:z5.rjoIIO
- そして放たれるドクオの道理を曲げて突き進むための一言は。
('A`)「このスーパード──」
( Ⅹ )「プッ」
(;゚A゚)「!?」
( Ⅹ )「くっ、フフフ」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?」
( Ⅹ )「アハハッハハハハハ!!」
黄色い笑い声に潰された。
- 901 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:14:05 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
ズームされた映像から音声まで、富士最上階にいる人物達に聞こえてくる。
第一回戦目が全て終了し、人数の減った室内にて、苛立ちを見せる者、憮然として背もたれに身を預ける者、様々な模様が繰り広げられている。
多分にもれず、茂良も通常とは違う感情を抱いていた。恐怖。
( ・∀・)「うわわ、怖いなぁ……気でも狂ったんですかね?」
(;´・ω・`)「さぁ……」
諸本の反応が薄いので、つまらない顔をいているとまた後ろから声が聞こえてくる。
「別に気など狂っておらん」
(; ・∀・)「あ、あなたは!」
(´・ω・`)「おや、久しぶりだね」
- 902 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:16:44 ID:z5.rjoIIO
- 二人の前には壮年の男性。しっかりと固められた黒く短い七三分けに、大きな目が栄える。
赤、白、黒のアーガイル柄が入ったセーターをタイトに着こなし、ノータック、ノープリーツのウールパンツはライトグレーで少し早い春の装いを感じさせる。
プレーンフロントのそれを、足元のエドワードグリーン──中でもややカジュアルなドーヴァー──が、本来、フォーマルな舞台でのみ使用される高級靴にもかかわらず、華美過ぎずにカジュアルダウンさせており、ブリティッシュトラッドを別の解釈で打ち出したような趣のある格好をしている。
威厳のある男の、普段着風の姿に恐縮しながらも茂良は前に出て言った。
(* ・∀・)「全日本クイズ協会副理事……杉浦先生でいらっしゃいますね!」
( ФωФ)「ふむ、最近の若者はどうも物知りが増えたようだな」
- 903 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:18:09 ID:z5.rjoIIO
- 回想するのは一年前。それを止めるのは、名も知らなかった青年が、自身を負かした番組の最高責任者。
(´・ω・`)「それで、どうしてここに?まさか杉浦も賭けるつもりかい?」
暗に座るかどうか尋ねる諸本に対して、鼻で笑う杉浦は矢継ぎ早に続ける。
(# ФωФ)「ふん、誰が賭けるか。こんな違法賭博、潰せるならとっくに潰しておるわ。今日は理事長の付き添いでな、ようやく知り合いを見つけた」
(´・ω・`)「それはそれは。大変だね、確か最近になって代わったんだっけ?」
( ФωФ)「全く、世話のかかる理事長である……複数の協会で幹部にいる分、頭はキレるが、これなら前理事長のほうがマシだった」
諸本はもちろんのこと、茂良でさえも杉浦がぼやく姿に違和感を覚える。いかにもな人物が溢す愚痴は滑稽。
- 904 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:22:18 ID:z5.rjoIIO
- 元凶を知りたい若者は、好奇心のまま問う。
( ・∀・)「理事長……ですか。どちらに?」
( ФωФ)「貴殿達の後ろにいる」
言われて、悩みの種を見れば、ようやく笑い声が聞こえなくなっていた。
〜〜〜
( Ⅹ )「はぁ、はぁ、もうダメ。面白すぎる」
長い時間が感じられた白いローブからの甲高い声が治まったのを確認して、ツンは言う。
ξ゚⊿゚)ξ「エックスさん、失礼じゃないかしら?いくら彼がブサイクのくせにカッコつけてるからってあんなに笑うなんて」
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、落ち込んでるし」
背中越しにも分かるほど落胆しているドクオを見て、それでも余裕でいることができるのは、普段では想像もつかない対戦時の雄姿を信じているからか。
( Ⅹ )「あー、ごめごめ。だってこんなに面白かったの久しぶりだからさ」
( Ⅹ )「ね、スーパードックン」
言って、エックスの後ろに落ちるのは白いローブ。
- 905 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:25:59 ID:z5.rjoIIO
- 長袖の白いカットソーに乗ったセミロングの茶色い髪の毛、ミニスカートは膝下、緑と赤のチェック柄。
変哲のない姿で特筆するのは、10センチはあるだろう季節はずれのベージュ色をしたヒールサンダルと、それを履いてようやくドクオと同じ目線──ツンよりも少し低いほど──になるほど低い身長のみ。
伏し目がちな表情はコケティッシュ。しかしアンバランスな様は会場のどよめきを増長させていく。
ξ゚⊿゚)ξ(……声色から女性だとは思ったけど、女の子?いや、私より年上……?)
初めて同性と会ったとき、相手が自分より上か下か判断することは若者によく見受けられる。
ツンが答えを出す前に、司会が仕事をする。
(;-@∀@)「こ、これは!ついに脱がされたベールは、予想外!!エックス選手の正体は、若い女性でした!!」
- 906 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:27:28 ID:z5.rjoIIO
- 耳から聞こえてくるインカムの音声を、喋りながら聞き取り、次の言葉につなげる。
(;-@∀@)「──はい、ただいま入りました情報によりますと、彼女は……」
(-@∀@)「前回のシベリアに優勝し、あらゆる協会のトップを兼任する、神出鬼没のミステリアスレディ!」
(*-@∀@)「その名も素直、柊!通称、シュールさんです!」
ワーーーー!!
lw´‐ _‐ノv「ごきげんようごきげんよう小堺さん」
おどけながら歓声に向けて手を振るシュール。むろん、観客のほとんどが彼女の存在を知らない。
前大会優勝者の肩書きと、協会のトップというありふれた文句。そしてある種の蠱惑的なルックスが人々を惹きついている。
広い世界で見えない何かが勝手に歩いているような気がして、淋しさを感じたからか、パフォーマンスもほどほどにドクオの前へと慣れない足取りで歩き出す。
- 907 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:33:48 ID:z5.rjoIIO
- ξ;゚ー゚)ξ「前回の優勝者……強敵ね、でも、それがどうしたのよ。彼が萎縮するとでも」
正体が分かれど得体の知れない彼女に向かって、強がるツン。返ってくる言葉は否定。
lw´‐ _‐ノv「ねえさん、ねえさん」
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なによ?」
lw´‐ _‐ノv「めっちゃ萎縮してますよ」
先ほどから彼の背中越しに居たが、少し移動してみれば指でつつかれる直立不動の男がいたので、二度目の不条理を目の当たりにした。
スーパードックンのようです
第二部 第九話おわり!
- 908 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 20:42:49 ID:z5.rjoIIO
- NGシーンはこのあとあとです。
チャンネル(スレ)はこのまま、お待ちください。
- 909 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:30:09 ID:z5.rjoIIO
- スーパードックンのようです
NGシーン
第二部 第九話
↓当初はこれで行こうと思いました。他意はありませんが、せっかくなので。
(# ФωФ)「ふん、誰が賭けるか。こんな違法賭博、潰せるならとっくに潰しておるわ。今日は古い友人の付き添いでな、ようやく知り合いを見つけた」
(´・ω・`)「それはそれは。大変だね、確か最近になって代わったんだっけ?」
( ФωФ)「全く、世話のかかる奴である……頭はいかれてるし、これなら我輩のほうがマシだ」
諸本はもちろんのこと、茂良でさえも杉浦がぼやく姿に違和感を覚える。いかにもな人物が溢す愚痴は滑稽。
元凶を知りたい若者は、好奇心のまま問う。
( ・∀・)「古い友人……ですか。どちらに?」
( ФωФ)「貴殿達の後ろにいる」
- 910 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:30:54 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
( Ⅹ )「はぁ、はぁ、もうダメだ。面白すぎる」
長い時間が感じられた白いローブからの声が治まったのを確認して、ツンは言う。
ξ;゚⊿゚)ξ「エックスさん、失礼じゃないかしら?いくら彼がブサイクのくせにカッコつけてるからってあんなに笑うなんて」
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、落ち込んでるし」
背中越しにも分かるほど落胆しているドクオを見て、それでも余裕でいることができるのは、普段では想像もつかない対戦時の雄姿を信じているからか。
( Ⅹ )「あー、ごめごめ。だってこんなに面白かったの久しぶりだからさ」
( Ⅹ )「ね、スーパードックン」
言って、エックスの後ろに落ちるのは白いローブ。
- 911 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:31:53 ID:z5.rjoIIO
- 長袖の白いカットソーに乗ったセミロングの茶色い髪の毛はカツラ、ミニスカートは膝上、緑と赤のチェック柄と脛毛。
変哲しかない姿で特筆するのは、10センチはあるだろう季節はずれのベージュ色をしたヒールサンダルと、それを履いてようやくドクオと同じ目線──ツンよりも少し低いほど──になるほど低い身長のみ。
伏し目がちな表情は恥じらい。しかし危険な様は会場のどよめきを増長させていく。
ξ;゚⊿゚)ξ(……声色から男性だとは思ったけど、中年?いや、中年より変態……?)
初めて変質者と会ったとき、相手が自分より上か下か判断することは若者によく見受けられる。
ツンが答えを出す前に、司会が仕事をする。
(;-@∀@)「こ、これは!ついに脱がされたベールの中には、予想外!!正体は、変態でした!!」
耳から聞こえてくるインカムの音声を、喋りながら聞き取り、次の言葉につなげる。
(-@∀@)「──はい、ただいま入りました情報によりますと、彼女、いえ彼は……」
- 912 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:32:41 ID:z5.rjoIIO
- (;-@∀@)「国際的指名手配に名を連ね、あらゆる中年のトップを兼任する、神出鬼没のストレンジャーガイ!」
(-@∀@)「その名も宗男!もう一度言います、宗男さんです!」
ワーーーー!!
( l v l)「分かってくれる人は分かってくれている」
おどけながら歓声に向けて手を振る宗男。むろん、観客のほとんどが彼の存在を知らない。
国際的指名手配の肩書きと、中年のトップというありふれた文句。そしてある種の蠱惑的なルックスが人々を惹きついている。
- 913 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:33:27 ID:z5.rjoIIO
- 広い世界で見えない何かが勝手に歩いているような気がして、淋しさを感じたからか、パフォーマンスもほどほどにドクオの前へと慣れない足取りで歩き出す。
ξ;゚ー゚)ξ「国際的指名手配犯……犯罪者ね、でも、それがどうしたのよ。彼が萎縮するとでも」
正体が分かれど得体の知れない宗男に向かって、強がるツン。返ってくる言葉は否定。
( l v l)「ねえさん、ねえさん」
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なによ?」
( l v l)「私、こんなしょぼい格好してるけどね、本気になったらすごいんだよ?いつもは真面目なサラリーマンが、むしろこういう大多数の人間がいる場で、あえて比較的難易度の低いこの格好はポイントが高いと思うん」
先ほどから彼の背中越しに居たが、少し移動してみれば一人で持論を並べる直立不動の宗男がいたので、ツンは二度目の不条理を目の当たりにした。
ドクオは宗男を殴り飛ばし、無事、逮捕された。
おわり
- 914 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:34:29 ID:z5.rjoIIO
- 第二部 第九話 take2
↓せっかくなので。
私の名前は宗男。サラリーマンだ。先日、いつもの通りに電車でクロスワードを解いていたら、隣にいた弱そうな若者が全て解いてくれた。
おかげで今、私達はハワイにいる。
( l v l)「えーと、タバコとお酒を……」
夕暮れ時。売店で必需品を購入する。妻と娘はホテルで待っているからな。早くしないといけない。
( ・−・ )「すみません、身分証を見せてください」
(; l v l)「はっ!?」
- 915 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:35:15 ID:z5.rjoIIO
- この私が20歳未満だというのか。アロハシャツを着こなして、粋なビーチスタイルをしているこの私が……
(; l v l)「あ、あのぉ、私どうみても20歳以上なんですけど……」
( ・−・ )「身分証がないと販売できません。パスポートを出してください」
どういうことだ。確かに私は会社でも窓際で孤高の存在。誰も近寄らない一匹狼として密かな人気があると自負している。
それをなんだ、パスポートがないと販売できないだと。ふざけるな。
私は怒りをあらわにしようと思った。男性店員は若い。いくら日本語が堪能だからといって、その態度は許せない。
ここは大人の世界を教えてやるべきだ。教育だ。
(; l v l)「そ、その、ええと、ほら私、こう見えても40は越えてるんですよ。ねっ、わかるでしょ?お兄さん頭よさそうだから、ね?」
( ・−・ )「パスポートを出してください」
- 916 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:36:14 ID:z5.rjoIIO
- こいつは機械か。私の優しく、しかし厳しい指導が通用しないとは、よほど荒んだ人生を歩んでいるのだろう。
機械に何を言っても無駄か。パスポートを持ってきていない私は、諦めて店を後にしようと思ったそのときだった。
从 ゚∀从「はい」
( ・−・ )「……確かに。それでは──」
私の横からパスポートを差し出したのは愛しの娘、ハインだ。なんとここまで持ってきてくれたのである。
年齢を確認した店員は、素早く会計を済ませてくれた。
从 ゚∀从「親父、ハワイじゃ21歳以上に見えない人に酒を売っちゃいけないんだ。特に日本人は間違われやすいからパスポートを持ってこないとダメだぜ?」
( l v l)「な、なんと」
店を出て、買い物袋を抱え込む娘が道中に教えてくれた。どうやら私が間違っていたらしい。
私は反省のできる大人だ。あの店員には謝っておかなければ。心の中で。
从 ^∀从「気にすんなって!親父は童顔だからな!さ、母さんも待ってるし近道していこうぜ」
- 917 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:36:59 ID:z5.rjoIIO
- そういって駆け出したハインは行きとは違った道を進む。いわゆる近道。かっこよく言えばショートカットといったところかな。
(* l v l)「ふふふ、待ちなさいハイン」
从 ゚∀从「かけっこだ!どっちが先に着くか勝負しようぜ!」
走り出した娘を追いかける。どうやら裏路地のようで、街灯も少なく、道幅も狭い。
そういえば、この間、NHKのおはよう日本でNYからの中継に島津有○子が出ていたのを思い出した。
もしかしたら居るかも知れない。休暇でハワイに来てるかもしれない。東大経済学部卒業の彼女なら来てるかもしれない。
あわよくば、裏路地で不良に絡まれているところを私が参上し、華麗に始末した後、プライベートビーチでアバンチュールに勤しみたい。季節など関係ない。気持ちがあればいいのだ。
( ゚∋゚) 从;゚∀从「お、親父……」
夢物語から現実に戻されたきっかけは、娘が不良に捕まっているところを目の当たりにしたから。
- 918 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:37:48 ID:z5.rjoIIO
- スキンヘッドの図体の大きな黒人は、右手に拳銃を持っている。
( ゚∋゚)「……」
寡黙。その印象は、もしかすれば話せばわかるかもしれないという判断に至る。
私はその場で立ち尽くし、それでも気丈な振る舞いで、相手に揺さぶりをかけた。
(;;l v l)「すすすすすみません!ほんとすみません!命だけは、命だけはお助けを!!」
( ゚∋゚)「……」
拳銃を見せびらかしながら、あごをしゃくる。察しのいい私は即座に気づいた。
(;;l v l)「か、金なら!金ならありますから!!」
从;゚∀从「親父!俺にかまわず逃げろよ!!
(#;l v l)「黙りなさい!!お前は絶対に助ける!!」
啖呵に驚いたのか、少しだけのけぞった大男。チャンスだ。私の全力を見せてやる。
(##l v l)「これでご勘弁をぉ!!」
私は財布の中身を全て地面にばら撒いた。紙幣に硬貨。日本円にして50万ほど。楽しむために多めに持ってきてよかった。
それが仇になるとは思いもしなかったが。
- 919 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:38:58 ID:z5.rjoIIO
- ��( ゚∋゚)「!!」
銃声がした。私は下を見る。出っ張った腹から赤い液体が流れ出したので、太陽に吠えたくなった。もう日は暮れているのに。
オイナンダ
アッチデジュウセイガシタゾ
从 ゚∀从「お、おやじ……」
地面に寝そべって、顔だけをあげると開放された娘の姿があった。よかった。不良は逃げてしまったらしい。
遠くから微かに聞こえてくる住民の声が、彼女の命を救ったことを証明している。
( l v l)「ハイン……ぶ、じか……?」
从;゚∀从「外国の強盗に、あんまり、大金渡しちゃ、ダメだよ……2000円、くらいでいいよ……」
- 920 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:39:52 ID:z5.rjoIIO
- ( l v l)「そう、か……お父さん、う、っかり、しちゃ、ったな……」
意識が遠のいていく。これだけは、これだけは伝えなければ。
( l v l)「ハイ、ン……」
从;゚∀从「親父……!しっかりしろって……!今、街の人たちが、来てくれるから……!」
( l v l)「母さんを……ミセリを、頼む、ぞ」
从;゚-从「お、やじ……!」
( v )「あい、して──」
从 ∀从「……うそ、だろ?おい、しっかりしろって!親父!親父!!」
从 ;A从「──お父さぁぁあああん!!!」
真っ暗な視界。ただ、最後に聞こえた久方ぶりの呼び声は、死の恐怖を忘れさせてくれる。
私は、幸せだ。
- 921 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:40:40 ID:z5.rjoIIO
- 〜〜〜
( l v l)「……はっ!夢か」
我が家のベランダでの起床は実にすがすがしい。日光が朝の目覚めをより快適にしているに違いない。
肌着とボクサーパンツだけなので──私のパジャマなど存在しない──震えるほど寒いが、妻と娘からここで寝てと頼まれたのだ。仕方あるまい。
( l v l)「さぁ、仕事にいかなくては」
見下ろして隣の家の犬に挨拶をする。彼の家は屋根がある。少しうらやましい。
ベランダの引き戸をあけて、自室を通り、一階へと降りていく。
从 ゚∀从「このビシソワーズ、美味しいな!」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとうハイン。一応、薄味のぺペロンチーノも用意してあるけど食べる?」
从 ゚∀从「いいよ、口が臭くなるから」
ミセ*^ー^)リ「アハハ、もう年頃ね」
从 ^∀从「うっせいやい」
- 922 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:41:15 ID:z5.rjoIIO
- 楽しい会話が近づいてきたので、もう食卓を囲んでいるのだろうとうきうきしながらリビングに到着した。彼女達はこちらを一瞥して、会話を止める。
(* l v l)「お、おはよう!」
从 ゚-从「……」
ミセ*゚―゚)リ「……」
今日も私に目もくれず、黙々と食事をとっていく妻と娘。
朝ご飯はなんだろう。
( l v l)「あ、朝ごはんはなにかなぁ……そうそう今日変わった夢をみ」
ミセ*゚―゚)リ「早く食べて」
床に置かれた小皿。しょうゆが半分ほど入っている。私の朝食らしい。隣の家の犬と一瞬比べてしまう自分が恥ずかしかった。
(* l v l)「わ!しょうゆだ!いただきます!ごちそうさま!」
一口で飲み干されたそれは、辛い。
- 923 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:41:55 ID:z5.rjoIIO
- 妻は健康に気を使ってくれているのだろうか。どうも大豆関連が最近多いな。
ミセ*゚ー゚)リ「ハイン、お弁当持ってね」
从 ゚∀从「うん、ありがと。今日はなに?」
ミセ*^ー^)リ「ひみつ♪楽しみにしてなさい」
从;゚∀从「えー、こないだみたいにアルファベットキャラ弁とか止めてくれよ?あれみんなからけっこうからかわれたんだぜ」
ミセ*゚ー゚)リ「あらら、けっこう手間かかってるのよ〜?大丈夫、今日は普通のご飯だから」
( l v l)「おっ、ハイン。アルファベットキャラ弁てなん」
从 ゚-从「死ね」
いつものように私を黄泉へと誘う言葉をかけた娘は、すぐに弁当を持って外に出た。しまった、いってらっしゃいを言っていない。
( l v l)「全く、ハインはあわてんぼうだな。なぁ、お前」
ミセ*゚―゚)リ「あ?」
(; l v l)「すみません、私も行って参ります」
- 924 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:42:34 ID:z5.rjoIIO
- 脱衣所へ行き、乾いていないスーツ一式に着替えながら、今日見た夢を思い出す。
あの夢では妻も娘も優しかった。しかし、二人を残して先立つことなど絶対に許されないことだ。本当に夢でよかった。
準備が完了してリビングを通る際、私が口をつけた小皿を、ゴム手袋をはめて燃えないゴミのところに入れているミセリの姿を見た。
皿がもったいないが、おそらく柄が気に入らなかったのだろう。今日の帰りに買ってきてあげるか。
入り口でカバンを持って、外に出て新鮮な空気を吸う。妻と娘、そして私がいる。みんないるから、夢ではない現実をがんばる。
私は、幸せだ。
おわり
- 925 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:43:51 ID:z5.rjoIIO
- 第二部 第九話 take3
↓注意!マニアックです。ごめんなさい。
控え室にて
('A`)「なぁツン」
ξ゚⊿゚)ξ「なによ」
('A`)「第一回戦目のクイズってどんなんだっけ?」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ?あんた、あんなに難しい最後の問題をすらすら解いたのに、そんなことも覚えてないわけ?」
('A`)「わりぃ、忘れちまった。だからさ、ちょっと教えてくれよ。ツンならわかりやすく教えてくれそうだしさ」
ξ*゚⊿゚)ξ「し、仕方ないわね!言っとくけどあんたのためじゃないんだからね!私も知識の定着のために──」
('∀`)(ホントは覚えてるけど コミュニケーション、コミュニケーションっと)
- 926 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:44:41 ID:z5.rjoIIO
- ξ゚⊿゚)ξ「──わかった!?そこのところ大事だからね!!」
('∀`;)「え、ああ!もちろん!」
ξ゚ー゚)ξ「分かればいいわ。それじゃ第一問目ね。せっかくだからクイズ形式にしましょ」
('A`)「わかった」
ξ゚⊿゚)ξ「いくわよ!PS2ソフト、シャドウハーツ2で、ディスクの二枚目に入って最初のセーブポイントで起こる現象によってメーカーがお詫びを出したのは次のうちどれ?
A キャラクターのレベルが最大限に上がる可能性がある
B セーブデータが破損する可能性がある
C ディスクが起動しなくなる可能性がある
D アモンに変身できなくなってしまう可能性がある」
('A`)「Bだな」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、やるわね」
- 927 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:45:37 ID:z5.rjoIIO
- ('A`)「そもそもシャドウハーツ2はストーリーの進行と同時に、セーブデータのアイコンが6種類の絵に書き換わるんだよな。
で、アイコンの読み込みが完了する前にセーブ決定処理をやっちまうとアイコンのない不完全なデータを書き込んじまってフリーズ、データ破損になっちまう」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
('A`)「ま、余裕だな。ツンにとっちゃ朝飯前か」
ξ;゚⊿゚)ξ「も、もちろんよ!さぁ次の問題いくわよ!第二問!」
ξ゚⊿゚)ξ「SFCソフト、ライブアライブの現代編にて、高原がジャッキー・イヤウケアから体得できる技名は次のうちどれ?
A 大激怒岩盤割り
B 大憤怒岩盤割り
C 大憤怒石盤割り
D 大激怒石盤割り」
('A`)「A」
- 928 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:46:21 ID:z5.rjoIIO
- ξ゚⊿゚)ξ「正解。簡単ね」
('A`)「ああ。1994年9月2日に発売されて今も人気のある名作だな。ホント隠し要素が多くてやみつきになるぜ」
ξ*゚ー゚)ξウンウン
('∀`)「結婚おめでとりとかな」
ξ;゚ー゚)ξエッ
('A`)「あれの発動条件がなかなかなぁ……まぁツンならすぐに見つけ出してたんだろうが」
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、う、うん!もうみんなが気づく前にやってたわ!」
('A`;)「マジかよ、すげぇな……なぁ、あれって」
ξ;゚⊿゚)ξ「さぁ!次の問題よ!問題!第三問!」
('A`;)「お、おう」
ξ゚⊿゚)ξ「PSソフト、ビヨンド ザ ビヨンドの後に続く、サブタイトルは次のうちどれ?
A 〜悠久のセリーナへ〜
B 〜永久のカレーナへ〜
C 〜遥かなるカナンへ〜
D 〜遥かなるカナーンへ〜」
('A`)「Dだ」
ξ;゚⊿゚)ξ「せ、正解。よく知ってるわね」
- 929 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:47:09 ID:z5.rjoIIO
- ('A`)「SCEから1995年11月3日に出たRPGだな。懐かしい」
ξ-⊿-)ξ「あれ、連打が大変なのよねぇ。連射パッドも効かないし。おかげで腱鞘炎になったわ」
('A`)「は?あれ、別に一回でもボタン押したら発動するぞ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ!?」
('A`)「確かに説明書には戦闘が有利になる独自のシステムとして、キャラクターの行動前にボタンを連打すれば回避やクリティカルが出て飽きずにストーリーを進められるって書いてあるけど」
('A`)「別に一回押すだけでも出るときは出るから連打する必要なんざねぇよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「はっ、えっ!?し、知ってたわよ、冗談よ冗談!あなたが知ってるか試しただ」
('A`)「なぁ、今さっき腱鞘炎がどうとか」
ξ゚⊿゚)ξ「はい第四問!ここから難しくなるわ!」
- 930 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:48:00 ID:z5.rjoIIO
- ξ゚⊿゚)ξ「株式会社カイロソフトから配信されている携帯電話ゲームのうち、自社サイト、カイロパークから発売された有料ソフトの中で、以前までは最初から使用可能だったが、現在はクリアするまで使用不可な機能は次のうちどれ?
A 資金無限モード
B 時間無限モード
C 引継ぎモード
D 高速モード」
('A`)「D」
ξ゚ε゚)ξ「せーかーい」
('A`)「面白いよな、カイロソフトのゲーム」
ξ゚ー゚)ξ「私もしょっちゅうやるわ」
ξ゚ー゚)ξ(このゲームなら遅れをとることはない……!どんな質問でも答えてあげるわ!)
('A`)「ツンなら知ってると思うけど、タイトル画面であることをすると……」
ξ゚д゚)ξ「えっ」
('A`;)「って釈迦に説法か。気を悪くしたらすまんな」
ξ;゚⊿゚)ξ(いやいやいや、なにそれ?聞いたことないわよ!教えなさいよ!教えてよ!)
('∀`)「さ、次の問題を頼むぜ、先生」
- 931 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:48:49 ID:z5.rjoIIO
- ξ ⊿ )ξ「……もうやだ」
('A`;)「な、なんで」
ξ-⊿-)ξ「疲れた。もうやだ」
('A`;)「そう言わずにもう一問だけでも頼むよ!」
ξ#-⊿-)ξ(……悔しい。こうなったら、出題されていないけど、絶対分からないのだしてやる)
ξ-⊿゚)ξ「……第五問。口頭で答えて」
('∀`;)「おっ、さすが!さぁこい!」
ξ゚⊿゚)ξ「(x、y)=(-17,6)」
(゚A゚;)「な……」
- 932 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:49:32 ID:z5.rjoIIO
- ξ*゚⊿゚)ξ「無様ね、さすがのスーパードックンもこれはわからないでしょう?」
ξ*゚ー゚)ξ「まぁ、無理もないわ。選択肢はおろかゲームのタイトルすら出していないんだからね」
(゚A゚;)「なんで……」
ξ*゚∀゚)ξ「答え言ってあげようか?ふふふ、答えは」
(゚A゚;)「なんで、知ってんだよ」
ξ;゚∀゚)ξ「えっ」
('A`;)「しちょうせい」
ξ;゚⊿゚)ξ「えっ、うそ。なんで知ってるの?」
(-A-;)「あんたこそ、なんで知ってるんだ……」
ξ゚⊿゚)ξ「え、え、じゃあレッシー」
('A`)「846回」
ξ゚⊿゚)ξ「……血管に詰まらせて死にうるものは?」
('A`)「コラーゲン」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
('A`)「……」
- 933 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:50:55 ID:z5.rjoIIO
- ガチャ
_
( ゚∀゚)「ふぅ、終わった終わった……ん」
_
( ゚∀゚)(あ、あれはツンさんとドクオ!)
ξ ⊿ )ξ ( A )
_
(; ゚∀゚)(うわっ、二人とも険悪だねぇ……よし、ここは俺が間を取り持って)
ξ゚⊿゚)ξ⊃⊂('A` )
ガシッ!
_
(; ゚∀゚)(えっ!?)
おわり
- 934 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 22:53:38 ID:z5.rjoIIO
- えらく間が空いて申し訳ない。
もっと早く投下できるようにがんばるぞ!
- 935 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 23:21:19 ID:6MXrwP7k0
- 乙
がんばれ
- 936 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 23:22:21 ID:jtn14MEcO
- 最後の全然わからなかったけど面白かった!
- 937 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 23:32:42 ID:GWaKnn7Y0
- おつー!
シュールきたー!
でも宗男が可哀想でなんか心が痛い
- 938 :名も無きAAのようです:2013/07/14(日) 23:56:49 ID:XYUSDKhg0
- 宗男が悲惨すぎるんだよなぁ…
- 939 :名も無きAAのようです:2013/07/15(月) 00:27:16 ID:lEpccltE0
- いつも投下後に気づいてしまう、乙
ドックン身嗜み整えたら絶対モテるだろうな
- 940 :名も無きAAのようです:2013/07/15(月) 02:02:39 ID:xhaQGUxk0
- 乙!シャドウハーツ好きだからニヤッとした
- 941 :名も無きAAのようです:2013/07/15(月) 02:15:54 ID:IvJf7ykk0
- こっわ!犯罪者やんけ!
- 942 :名も無きAAのようです:2013/07/16(火) 02:07:36 ID:U9yiP6no0
- 久しぶりにドリル魔王やりたくなった
- 943 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 21:48:31 ID:5iCvdd5MO
- >>935
はい!がんばります!
>>936
ありがとうございます。しちょうせいとかコラーゲンに関しては、>>942さんが書いていただいたタイトルのフリーゲームです。他のクイズについてはごめんなさい、マニアックでした。
>>937
シュール戦はもう少しお待ちください。宗男は、もし次に出てくることがあればもう少しマシになるかもしれません。もっとも、一番の不幸は次に出ることがない可能性か。
>>938
日本のお父さんは、彼のように皆さん頑張ってます。私もみんなも頑張ろう!
>>939
おお、いつも御覧いただいてありがとうございます。確かに身だしなみを整えれば寄ってくるかも。ただ、ドックンは受身で奥手なのでいい人止まりが多いですかね。
>>940
わかってくれますか、あのバグでやる気を無くしてしまった私の気持ちを……ああ、もう一度やりたい。
>>941
た、逮捕は勘弁してください。ふ、深い意味はありません。
>>942
おおっ、わかりますか!面白いですよね。ネタの詰め方がフリーらしくて。
それでは、もうすぐ1000なので埋めますね。
- 944 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 21:49:51 ID:5iCvdd5MO
- スーパードックンのようです
これまでの登場人物
J( 'ー`)し「お蔵入りシーンかと思った?残念、カーチャンです」
J( 'ー`)し「スーパードックンのようですも佳境に入ってきましたね」
J( 'ー`)し「同時に、もうすぐ1000までいってしまうことを考えて、先に今までのお話で出てきた人物を振り返ってみることにしました」
J(;'ー`)し「だっていちいち読み返すのめんどくさいじゃない。地の文とか偏ってるし。服とか服とか、あと服とか」
J( 'ー`)し「会話文だけならまだ読みやすいかと思ったの」
J( 'ー`)し「というわけでドクオの部屋にあった家庭画報とか暮らしの手帖とかを読みながら進めていくのでよろしくお願いしますね」
J( 'ー`)し「ハイソなババアほっこり……いえ、なんでもないわ」
J( 'ー`)し(……)
J( 'ー`)し(……どうしてこんなもの読んでるのかしら、私の息子……)
- 945 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 21:51:55 ID:5iCvdd5MO
- 〜〜〜
J( 'ー`)し「それでは人物紹介に参ります。今回、事前協力してもらった人たちに私の作ったQ&Aメモを使ってドクオが事実を確認したレポートをFAXで送ってきてくれますので、それを読み上げていきますね」
こんな感じ
○○ ○○←名前
年齢 20歳←既に書いてある質問と、カーチャンが予想した回答
\J('ー` )し
J( 'ー`)し「これが事実かどうかドクオに聞いてもらってるの。でもおそいわねー」
J( 'ー`)し「あ、そうそう、極力ネタバレはごまか……伏せますので安心して」
J( 'ー`)し「あと、お話の中では出ていないこととかも出てくるけど、本編とはほとんど関係ないからよろしくね」
J( 'ー`)し「先に行けばいくほどいつもの感じになるので、頭空っぽにしてください」
FAX<ピーガガ
J( 'ー`)し「おっ、ようやく全てのレポートが揃ったようです。ではいきますね」
- 946 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 21:53:11 ID:5iCvdd5MO
- ──カーチャンのQ&A方式!主要登場人物の紹介──
('A`) 宇都宮ドクオ 『スーパードックン』
(ウツノミヤ ドクオ)
年齢 25歳
身長 低め
体重 けっこうガリガリ
髪の毛 ボサボサ
J( 'ー`)し「はい、この男の子が主人公です。私の息子。ニートです」
J(*'ー`)し「いっつも本ばかり読んでる愚息ですが、自慢の息子!」
J( 'ー`)し「婦人向けの雑誌でも読んでしまうほど読書家なのよ」
J( 'ー`)し「……」
J(;'ー`)し「つ、次にいきましょ」
- 947 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 21:53:54 ID:5iCvdd5MO
- ( ^ω^) 内藤 文太郎 『ブーン』
(ナイトウ ブンタロウ)
年齢 いい歳
身長 平均よりは高い
体重 豚
美意識 高め
J( 'ー`)し「えっと、この人は内藤さん。テレビ局の人ね。敏腕プロデューサーですって」
J( 'ー`)し「ドクオと因縁があるんだけど……あんまり二人が接触することってないのよね」
J( 'ー`)し「まぁ悪い人ではないわ、きっと!笑顔も素敵だし」
J( 'ー`)し「じゃ、次!」
- 948 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 21:54:29 ID:5iCvdd5MO
- (´・_ゝ・`) 盛岡 満 『デミタス』
(モリオカ ミツル)
年齢 働き盛り
身長 理想
体重 やや痩せ気味
好物 コーヒー(UCC以外)
趣味 ヒーローごっこ
J( 'ー`)し「内藤さんの部下、チーフディレクターの盛岡さん。わりとイケメンね」
J( 'ー`)し「内藤さんの周りの人たちはほとんどあだ名がつけられてるんだけど、彼の場合はデミタスってあだ名」
J( 'ー`)し「コーヒーが好きみたい。ただちょっとお腹がゆるいらしいわ」
J( 'ー`)し「えーっと、趣味は……ヒーローごっこ……?」
J( 'ー`)し「……年齢は、働き盛り。趣味は、ヒーローごっこ……」
J(;'ー`)し「……さ、さぁ!次よ」
- 949 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 21:55:25 ID:5iCvdd5MO
- ( ^Д^) 吹木 玲人 『プギャー』
(フギ レイジ)
年齢 ドクオの一つ下くらい
身長 ドクオと同じくらい
体重 ドクオよりはあるくらい
顔面 ドクオに比べればいい感じ
好きなもの ド
J( 'ー`)し「このカッコいい名前が作中で出ることはないでしょうね。テレビ局のAD吹木くん」
J( 'ー`)し「けっこうな苦労人だけど一応、局では最年少じゃないかしら。がんばるわね」
J( 'ー`)し「みんなから愛されてるわ。なかなか好青年よ」
J( 'ー`)し「さて、好きなものだけど……消された跡があるわね。誰が消したのかしら。まぁ、きっとドラムとか音楽系が好きなのようん」
J( 'ー`)し「次にいくわ。大丈夫、カーチャン大丈夫だから」
- 950 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:00:41 ID:5iCvdd5MO
- (*゚∀゚) 積木 通 『つーちゃん』
(ツミキ ツウ)
年齢 若いけど25は越えてる
身長 めんこい
体重 ちょっとお肉が気になる
好物 スイーツ
意外と ゴディバは嫌い
J( 'ー`)し「これはなかなかのネーミングセンスね。テレビ局のタイムキーパー、つーちゃん」
J( 'ー`)し「ボーイッシュなムードメーカー、局内にはファンも多いけど、フルネームを受け入れている人間が何人いるかは疑問だわ」
J( 'ー`)し「好きなものは好き、嫌いなものは嫌いって言える娘ね。でも空気を読むことは上手だから人気があるわね」
J( 'ー`)し「けっこう色んなことに関わってるけど印象は薄いかもしれない薄幸の美少女よ」
J( 'ー`)し「これだけで大丈夫でしょ。さ、次々」
- 951 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:01:29 ID:5iCvdd5MO
- (-@∀@) 浅井 正雄 『アサピー』
(アサイ マサオ)
年齢 テレビより若く見えますね
身長 テレビで見るより高いですね
体重 テレビって、太って見えますよね
眼鏡 あっ、眼鏡取るとかっこいいですね
仕事 ほんと、噛まないですね
唾液 飛ばさないで
J( 'ー`)し「ベテラン司会者の浅井さん。お茶の間の顔ね。通称アサピー」
J( 'ー`)し「私も好きなのよ、この人。なんていうか、どんな場面でも相応に盛り上げようとするから」
J( 'ー`)し「でも、視聴者からすれば人気者の印象だけど、なぜか横に立つアシスタントの女の子みんなちょっと距離を置いてるのよね……」
J( 'ー`)し「うーん、なんでだろ。そこそこカッコいいのに」
J( 'ー`)し「次の人いってみよう」
- 952 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:03:09 ID:5iCvdd5MO
- (*゚ー゚) 椎名 凛 『しぃ』
(シイナ リン)
年齢 姥桜ではない
身長 モデルにはなれない程度
体重 BMIが20ほど
仕事 風韻
本音 牽強付会
J( 'ー`)し「中堅アナウンサーのしぃさんね。東京事変でもなければホクロだって元々ないわ。ごめんね、カーチャン意味不明でごめんね」
J( 'ー`)し「メイン司会者のアシスタントを淡々とこなす人気の女子アナ。ちょっとあざとい気もするけどね」
J( 'ー`)し「冷静沈着、才色兼備が売りらしいわ。だいたい世間ではそういう風に見られてるのね。でもカーチャンはわかる」
J( 'ー`)し「だって、牽強付会よ?」
J( - -)し「……また、余計なことをしてしまったカーチャンを許しておくれ……」
- 953 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:03:38 ID:5iCvdd5MO
- (´・ω・`) 諸本 友一 『ショボン』
(モロモト ユウイチ)
年齢 顔にあってない
身長 壁を壊さない程度に巨人
体重 なぜ腹が出ていないのか
好きな番組 水戸黄門
悩み 笑顔がうまくできない
好きな女性のタイプ リン・チーリン
J( 'ー`)し「この人はテレビ局の社長さん。ロマンスグレーの髪が素敵な、ちょっとおちゃめなオジサマね」
J( 'ー`)し「後で出てくるジョルジュさんと並々ならぬ関係みたい」
J( 'ー`)し「好きな女性も書いてあるわ……また唐突ね。欺瞞を感じる」
J( 'ー`)し「ともかく内藤さんや盛岡さんの上にいる人だからまぁ色々考えてるみたい。しょぼくれた顔してまぁ……」
- 954 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:04:45 ID:5iCvdd5MO
- ( ・∀・) 茂良 隆一
(モラ リュウイチ)
年齢 三十路前、もうおっさんですね
身長 そんな、179cmしかないですよ
体重 最近太っちゃって……70kgくらいですね
仕事 大したことはしてませんが、アジア各国のステークホルダーと会議後、その足で新規開拓のためにインドへ向かって、日本に帰ってきたら送信しておいたプロジェクトの進捗状況を確認したあと──
最近嬉しかったこと お恥ずかしいですが、最近、資格を取りまして……ええ、ほんと時間がかかって情けないのですがアクチュアリーの正会員になれたことですね。やはり仕事をしながらだと4年はかかりました。私の業務には直接関係しませんが、今後のグローバルな──
一言どうぞ 若輩者で恐縮です。右も左も分かりませんが、皆様にご指導ご鞭撻のほど賜り、精進してまいりますのでよろしくお願い申し上げます。
J( 'ー`)し「したらばテーマパーク責任者の茂良さん。私も見たわ。イケメンよ」
J( 'ー`)し「ちょっと優男でどこにでもいるサラリーマンみたいだけど、なぜか魅力があるのよね。母性本能かしら」
J(*'ー`)し「ああいうスマートな男性の笑顔って素敵。経歴もすごそうだけど嫌味に感じないしね」
J( 'ー`)し「ドクオもああいう風に、嫌味じゃない男になってほしいわね。えっ、ひいき?だって、タイプだもの。一字一句間違えってもらっちゃ困るわ」
- 955 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:05:24 ID:5iCvdd5MO
- ( ФωФ) 杉浦ロマネスク
(スギウラ ロマネスク)
年齢 おじいちゃんとまではいかないはず
身長 かなり高い
体重 貫禄を感じさせる
服装 カチッとしたのが好き
携帯 らくらくフォン
J( 'ー`)し「ここにきて正しい名前の人がようやく出てきたわね。クイズ協会の副理事さん。偉い人」
J( 'ー`)し「威厳があって、ちょっと怖いけど、分別がついてるからドクオも嫌いじゃないみたい」
J( 'ー`)し「ここだけの話、今までの対戦でまともに戦ったら一番強いのってこの人じゃないかしら」
J( 'ー`)し「ジョルジュさんも強いけど、この人もやたら詳しいものね。ピッティウォモってなに?」
J( 'ー`)し「携帯がらくらくフォンなのは、利便性を追求しているからに違いないわ。あれってどうなんだろ。私でも使えるかな?」
J( 'ー`)し「ショップに行きたくなったので次にいきましょう」
- 956 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:06:19 ID:5iCvdd5MO
- 川 ゚ -゚) 素直クール
(スナオ クール)
年齢 20代以上30代未満
身長 170を越える
体重 健康的
服装 正直、あれはないわ
思い込み わりと激しい
J( 'ー`)し「大人気アイドル、スナオシスターズのリーダー、素直クールさんね。」
J( 'ー`)し「美貌・頭脳、どれをとっても一流なんだけど、目立たなかった人ね」
J( 'ー`)し「あと書いてある通り、あの服装は特殊だわ。誰も水谷豊を想像することはなかったはず。気になる方はwebで左文字進を検索!」
J( 'ー`)し「この娘も次の娘も、あの娘に食われた感が否めないわ。次にいきますね」
- 957 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:06:59 ID:5iCvdd5MO
- ノパ⊿゚) 素直ヒート
(スナオ ヒート)
年齢 20代以上30代未満
身長 170を越える
体重 筋肉質
服装 まだましか
性格 普通
J( 'ー`)し「目立たなかった人その二。素直ヒートさんね。まさかの性格が普通」
J( 'ー`)し「ちょっと声が大きいくらいで特別なことをなにもしていないまさに薄幸の美少女。これすらかぶってる」
J( 'ー`)し「とにかくもっとなんとかしたかった二人でした。次行ってみよう」
- 958 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:07:45 ID:5iCvdd5MO
- o川*゚ー゚)o 素直キュート
(スナオ キュート)
年齢 20代前半
身長 中背
体重 中肉
服装 商店街で買ったお徳なやつ
特徴 よく食べる。よく笑う。よく泣く。よく怒る
J( 'ー`)し「出ました、役得娘の素直キュートさん。なぜかダンボールをかぶせてあげたくなるのよね」
J( 'ー`)し「対戦はおろか、息子に気があるそぶりを見せてるから、私もあらあらうふふとしか言いようがないわ。はらわたが煮えくり返る」
J( 'ー`)し「本当は上のプロフィールも全部、むちゃくちゃに変えてしまいたかったんだけどね。かわいそうかなって」
J( 'ー`)し「厨二よし、カオスよしの万能な女の子。よろしくね」
- 959 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:08:18 ID:5iCvdd5MO
- _
( ゚∀゚)ジョルジュ長岡
(ジョルジュ ナガオカ)
年齢 けっこういってるように見える
身長 エグザイル
体重 エグザイル
職業 自称マジシャン
J(;'ー`)し「これまたきたわね。もうほんとによくわからない人が」
J( 'ー`)し「けっこう顔にしわがあるからそんなに若くはないはずだけど、どうもつかめない人ね」
J( 'ー`)し「ネタ──じゃなくて紹介しようにもできないわ」
J( 'ー`)し「ただ不可解なのはまゆげと乳のことにまったく触れていないことだけ……いや、なんかこの人見てるとそれしか思い浮かばなくて」
J( 'ー`)し「あと電子レンジがなぜか浮かんだわ。カーチャン疲れてるのかもね。次にいきましょう」
- 960 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:08:59 ID:5iCvdd5MO
- ξ゚⊿゚)ξ 津雲レイ 『ツン』
(ツクモ レイ)
年齢 別に未成年じゃないんだからね
身長 ひ、ヒールシューズで悪かったわね
体重 仕方ないわね……45kgよ。ちょっとなに笑ってるのよ!
髪の毛 えっ……そんな、ほめないでよ。……誰がツインタンクですって?
泣いた? は?泣いてないし。あれ汗だし。暑かったから汗かいただけだし
J( 'ー`)し「巻き毛のツンちゃんね。もうほっぺをはたきたくてしょうがない」「お蔵入りにね、スーパードックンのSはドSのSだ!ってセリフがあるんだけど」
J( 'ー`)し「彼女なら息子をお願いできるわ。ううん、他意はない」
- 961 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:09:39 ID:5iCvdd5MO
- 〜〜〜
J( 'ー`)し「というわけで人物紹介は終了です!」
J( 'ー`)し「いかがでしたか?次のスレッドもぜひよろしくお願いしますね」
J( 'ー`)し「……あら、他のレポートとくっついてたのがあったわ」
J( 'ー`)し「でも、他に紹介するような人っていたっけ?ドクオが勝手に書いたのかしら」
J( 'ー`)し「まぁいいや、ちょっとだけなので、さらっと読みますね」
宇都宮マナブ 『白髭』
(ウツノミヤ マナブ)
年齢 それなり
身長 不明
体重 不明
結局どこにいるの? 不明
J( 'ー`)し「あら 私の夫ね。今何してるのかしら」
J( 'ー`)し「うーん、これはひどい。なにもわからない」
J( 'ー`)し「もしこの人の情報を知りたかった人がいたらごめんなさい。詳細不明です」
J( 'ー`)し「まぁちょっとだけですから。次の人物の紹介をしますね」
- 962 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:10:10 ID:5iCvdd5MO
- ζ(゚ー゚*ζ 宇都宮デレ 『過去』
(ウツノミヤ デレ)
年齢 花の20代
身長 低いかなぁ
体重 重いかなぁ
モテた? 秘密
お酒好き? 大好き!
変身できる? めっ!
J(*'ー`)し「ウフフ、私の若いときね。ドクオったら、子供の頃に聞いたことを思い出して自分で書いたのかしら」
J( 'ー`)し「まぁこのときは楽しかったわ。ほんと、なにもかもがまぶしかった」
J( - ー)し「でもやっぱり、一番幸せは──」
- 963 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:10:42 ID:5iCvdd5MO
- J( 'ー`)し 宇都宮デレ 『現在』
年齢 秘密
身長 少し縮んだわ
体重 聞かないで
カーチャン なに?
いつもありがとな あらあらうふふ
J( 'ー`)し「ドクオを育てられたことね」
- 964 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:11:46 ID:5iCvdd5MO
- 〜〜〜
( A )「ただいま……」
J(*'ー`)し「あっ、ドクオお帰りなさい!ちょうど今、レポートを紹介し終えたところよ」
(メ'A`メメ)「そう……」
J(;'ー`)し「ど、どうしたのその傷!?なにがあったの!?」
(メ A メメ)「……のせいだ……」
J( 'ー`)し「えっ?カーチャンよく聞こえない。もう一回言って?」
(メ゚A゚メメ)「カーチャンのせいだよくそったれ!!!」
- 965 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:12:17 ID:5iCvdd5MO
- J( 'ー`)し「えー」
(メ'A`メメ)「用意してくれたメモの通りに聞いたらこの様だよ。なにがもう許可はとってあるからがんばってだ……」
(メ゚A゚メメ)「一部の人間からボコボコにされちまったじゃねぇか!!」
(メ:A:メメ)「死にそうだったぞ!!マジで!!」
J(;'ー`)し「そ、そう。ごめんね、カーチャンうっかりしちゃってごめんね……」
(メ'A`メメ)「ったく……もういいよ、ご飯にしようぜ」
J( 'ー`)し「それよりカーチャン、ドクオの部屋からこれ借りてきたんだけど……」
(メ'A`メメ)「あっ、家庭画報と暮らしの手帖じゃん」
J(*'ー`)し「燃やしてい」
(メ゚A゚メメ)「ダメッ!!」
おわり
- 966 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 22:15:07 ID:5iCvdd5MO
- 埋めようと、思っていたのにこの体たらく。
レスを数え間違えました。近日、本編を次スレに、埋めネタをこのスレに投下します。
もうしばらくお待ちください。それではおやすみなさい。
- 967 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 23:28:57 ID:actmRg.U0
- また終わった後に、乙!
プギャー、ちょっとそんな気してたけどやっぱり……
ジョルジュはもっと若いイメージあったけど結構老けてんのな
カーチャンはどこへ向かっているんだ
- 968 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 23:33:13 ID:RWA18zpI0
- 乙!
(メ'A`メメ) るろうに剣心か何か?
- 969 :名も無きAAのようです:2013/07/19(金) 23:41:54 ID:Uu7m49Po0
- 乙
- 970 :名も無きAAのようです:2013/07/21(日) 10:46:09 ID:uyHm/M3I0
- おつ!
- 971 :名も無きAAのようです:2013/07/23(火) 18:46:00 ID:ao9RWJBMO
- 報告です。
結論から、投下は未定です。
いきなり多忙になってきましたのでまたまたお待たせしますが、ボリュームたっぷりでいきますのでご了承ください。
- 972 :名も無きAAのようです:2013/07/26(金) 19:30:08 ID:y1PEvGeY0
- 待つぜー
- 973 :名も無きAAのようです:2013/07/28(日) 23:42:14 ID:5rUc3nR60
- 待つわ
- 974 :名も無きAAのようです:2013/07/30(火) 23:46:32 ID:bE7dj/Gc0
- NG好きだけど本編進めてほしいww
待ってる
- 975 :名も無きAAのようです:2013/08/05(月) 02:45:23 ID:bkGu1QP6O
- ご無沙汰しております。
忙しいよぉ…合間をぬって頑張ってますのでもう少しだけお待ちください!おやすみなさい。
- 976 :名も無きAAのようです:2013/08/05(月) 03:00:05 ID:aX5QiVEU0
- あくしろよ
おやすみなせぇ
- 977 :名も無きAAのようです:2013/08/06(火) 15:46:56 ID:BIHuxYrE0
- 打ち切りは嫌だしのんびりやってください
仕事頑張れー
- 978 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:24:03 ID:9gwXkcb6O
- お待たせしております。
えー、ようやく9割できました。もう二、三日後には続きを投下できます。
本日は報告と埋めネタだけですが、よろしくお願いします。
- 979 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:25:31 ID:9gwXkcb6O
- スーパードックンのようです
第?話
('A`)「うー、寒。コンビニ、コンビニっと……」
風が強いな。ジャージとサンダルじゃやっぱ寒いわ。
俺が歩いてる歩道の左と、道路を挟んだ右の歩道に並んでる、そこそこでかい木が揺れてら。
せっかく朝早く目が覚めたんだ。この辺、そんなに車も走らねぇから、もうちょっと穏やかにして欲しいぜ。
('A`)「れっつごーとぅ、こんびにーえんすとあー」ダイタヒカルカワイイ-
いつもなら鳥のさえずりと一緒に寝てるんだが、昨日は百科事典全巻読んでたらすぐ眠っちまった。
いや、あれは面白すぎる。1000ページくらいあっという間だ。大技林なんざ目じゃねぇわ。
('A`)「ん?」
ワイワイガヤガヤ
おっと、これはやべぇ。前方、10メートル先に黒山の人だかりだ。
しかも全部、俺の膝くらいの身長で列を乱しながら歩いてやがる。
- 980 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:26:17 ID:9gwXkcb6O
- そういや、この時間は小学生の登校時間だったな。すぐそこにある公園が最近物騒だからって集団登校してるのか。
('A`)(今時の子供は帽子もヘルメットもかぶらねぇんだなぁ)
どうもノスタルジックになっちまったけど、とりあえず追い越そう。
10人くらいの列が歩道を歩いてるから、俺は道路から抜こう。車は来てねぇかな?
(:'A`)「あれ……?」
後ろを見てみりゃどう考えてもこの集団の一員であるはずの小さな女の子が、列はおろか、俺より後ろの歩道をとぼとぼ歩いてやがる。
なんだよ、体調でも悪いのかな。まぁ俺には関係ないけど。コンビニが待ってるから。
('A`)(ま、そのうち追いつくだろ)
そう思って歩道と道路の段差を下りたんだ。思った以上に鈍い音がした。
段差を下りる音でもなければ、車がぶつかったような大きな音でもねぇ。
(:'A`)(あいつ……!)
こけてやがったんだよ、ビターンって。そりゃもう見事に、両手両足を打ったみたいに。
- 981 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:27:11 ID:9gwXkcb6O
- しかも泣かねぇの。見た感じ、俺と同じように道路に降りようとしたとき、つまずいたんだろうな。
(:-A-)(……いや、関係ねぇ関係ねぇ)
ほら、俺が助けるとかそんな義理ねぇだろ。だいたいちょっとこけたくらいだから、すぐ起き上がって──
(:'A`)(こねぇ!?)
じっと見てるけどもう10秒以上ビターン状態だよ。これやばいんじゃねぇか?
そうだ、あんだけ音がしたんだから、先に歩いてる連中も気づく──
('A`:)(気づいてねぇ!?)
走ってたよ。ああ、そうだ子供は風の子だ。そりゃ走りたくもなるわな。
- 982 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:27:42 ID:9gwXkcb6O
- でもちょっと待て。なんでそのタイミングでお前ら走ってんだよ。後ろ見ろよ、後ろ。
('A`)(……)
いくら交通量が少ないっていっても、一台も車が通らないわけがない。
前をみりゃもう豆粒の大きさになってる子供達。後ろをみりゃ相変わらず地面で寝てる女の子。周りには俺だけ。
きょろきょろして、空見て、ほんと、仕方ねぇから。
(-A-)(コンビニ、もうちょっと待っててね)
今来た道を引き返した。
- 983 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:29:40 ID:9gwXkcb6O
- 〜〜〜
*( - -)*「うう、しみるよぉ」
('A`)「バカ、傷口はちゃんと洗わねぇとダメだ」
人気のない公園の水は冷たい。顔すら洗いたくねぇけど、とりあえず蛇口をすりむいた膝に向けて、水をかけてやる。
結局、他の子供達は気づかず学校に向かってるようで、俺はこいつのお守りをしてる。
('A`)「ほら、終わったぞ」
*(‘‘)*「うん」
長時間ビターンだったからもしかしたら頭でも打ったのかと思えば、なんのことはねぇ、膝すりむいただけだった。全く、最近のガキはすぐ立てねぇのかよ……
( 'A`)「じゃ、俺は行くから。早く学校行けよ」
とにかくこれで俺の役目は終わりだ。さぁ、コンビニに行くんだ。ハイライトとカルボナーラが待ってる。
*(‘‘)*つ グイ ≡( 'A`)"
なのに、なんで動けねぇんだ?ああ、引っ張られてんのか。
- 984 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:30:48 ID:9gwXkcb6O
- ( 'A`)「……」
*(‘‘)*「……」
('A` )「おい、離せよ」
*(‘‘)*「……」
膝のあたりを引っ張って離さないこの子供は、ぶんぶんと頭をふる。勘弁してくれよ、なにが目的だ。
('A`)「俺は忙しいんだよ、ほら、さっさと行けって」
*(‘‘)*「やだ」
('A`:)「やだじゃねぇだろ、学校行かないとダメだぞ」
*(‘‘)*「おじちゃんは?お仕事いかないの?」
このガキは、俺の心に隙を生じぬ二段構えの攻撃を放ってきやがった。心は死んだ。不殺ってなんだろう。
('A`:)「お、おじちゃんじゃなくてお兄さんだ。お仕事は今から行くんだよ。わかったらその手を離して……」
*( ^ ^)*「髪の毛ボサボサ〜!おっちゃんだよ〜!それにジャージでお仕事いくの〜?パパはお仕事行くときネクタイとかしてるよ〜?」
指を差すな、指を。くそっ、痛いところをついてきやがる。笑ってんじゃねぇ。くそっ。
確かに俺は仕事もしてねぇし、風呂だって3日入ってねぇから髪もボサボサだ。
だからといって、コンビニに行けないわけじゃねぇ。こうなりゃ無理にでも離してもらうぜ。
- 985 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:31:38 ID:9gwXkcb6O
- ('A`#)「だから!お兄さん!25歳!それにお仕事は、まぁアレだけど、とにかく忙しいの!じゃあな!」
無理やり掴んでいた手を解いた俺は足早に公園を出ようとする。よし、このままコンビニに行こう。
と思ったら後ろで足音がしてきた。パタパタパタパタ。あーイライラする!
('A`#)〃「ついてくんじゃ、ね──」
ちょっと怒鳴ってやろうかと考えて振り向けば、また指差してやがった。
今度はどこを差されてるのか自分の体を見ても、わからん。ちょっとずれてるな、もうちょっと左後ろ……
[変質者に気をつけてください!]
( 'A`)「……」
('A`)コレ?
*(‘‘)*ウン!
なるほどな。うんうん。これはあれだな。今流行の声掛け事案って奴だ。
このまま俺が振り切る。こいつから学校に連絡が入る。職業不詳な黒ジャージのおっちゃ……25歳男性が公園で女児を連れまわしていました。
噂が広がる。コンビニに行ったらヒソヒソ。歩いてるだけでヒソヒソ。かーちゃん泣く。
もうやだ、外界怖い。
- 986 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:32:18 ID:9gwXkcb6O
- *(‘‘)*「おっちゃん、おっちゃん!ボサボサおっちゃん!お名前は?」
( A )「……」
*(‘‘)*σビシッ[変質者に気をつけてください!]
('A`)キリッ!「ドクオだ」
*( ^ ^)*「どくお?変な名前〜」
( -A-)「うっせぇ。……お前は」
*(*‘‘)*「ヘリカル!小学一年生!」
('A`)(磁場配位かよ)
ため息が出るわ。どうしようもねぇから名前聞いたけど。
とにかくこいつ……ヘリカルのご機嫌しだいで俺のライフがヴェンデルシュタインしちまう。何考えてんだ俺。
*(‘‘)*「ドクおっちゃん!遊ぼう!」
変なあだ名はつけられるし、今日は厄日かね……
- 987 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:33:22 ID:9gwXkcb6O
- 〜〜〜
*( ^ ^)*「できたー!」
('A`)「なんだそりゃ」
*(‘‘)*「うぃーん!」
俺達は砂場にいる。タバコでもありゃ少しはマシだろうが、あいにくヘリカルのおかげで買いにもいけねぇ。
こいつは砂を適当に固めて家々みたいなもんを作って遊んでる。街か、これ。
('A`:)「うぃーんって、なんだ?」
*(‘‘)*「知らないのー?えっとね、おーすと……」
('A`)「ああ、オーストリアのウィーンか。つか渋いな、おい」
*(‘‘)*「えへへ。ヘリカルね、行ってみたいんだぁ」
言いながら新しい家を建設していく創造神。しかしウィーンと来たか。小学生一年生でよく知ってるな。
*( ^ ^)*「ヘリカル、お歌が好き!パパとママにお話したら、うぃーんをパソコンで見せてくれたの!」
なるほど。たいそうな教育を受けてらっしゃるようで。
まぁどうせ、テレビでやってたのを見てたまたま興味が湧いたんだろう。子供は熱しやすく冷めやすいからな。
('A`)「へー、誰の歌が好きなんだ?」
*(:‘‘)*「ヘリカルのお友達、みんな知らないんだけど、んーと、る、るーとびぃっひ、ばぁん!」
- 988 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:34:13 ID:9gwXkcb6O
- ('A`:)「お、おいおい、まさかベートーベンか」
*(‘‘)*「そう!べーとーべん!あと、ふれでりっく……ふらんそわ……あれ、なんだっけ……」
(-A-:)「ショパンか……」
*(: - -)*「しょぱん!うー、ダメだぁ、全然覚えられないよぉ。んー!そうだ!他にはね……」
('A`:)(こいつ……けっこうガチで教育うけてねぇか?)
正直、驚いた。今時の子供はみんなそうなのか?ヘリカルはそのままオーストリアで活動した音楽家──厳密にはショパンとか間違ってるが──を次々と挙げていく。
それも、フルネームで。音楽のことはそこまで俺も詳しいわけじゃないから気の利いたことは言ってやれないが、まぁなんだ。こいつ面白れぇわ。
('∀`)「すげぇな、ヘリカル。よく知ってるじゃねぇか」
*(‘‘)*「ドクおっちゃんもすごい!ヘリカルのお友達、みんな知らないんだぁ〜」
('A`)「でもよ、そんなに詳しいならなおさら学校いかねぇとな。勉強してもっと賢くなったらもっと知ることができるぜ」
ここでやんわりと彼女を学び舎へ向かわせるよう話題を変える。いや、実際そうだ。こいつは学校に行ってちゃんと勉強させたほうがいい。
もちろん音楽のことだけじゃなく、色んなことを覚えるんだ。そうすりゃ世界が広がるだろ。
だけど、さっきまでニコニコしてた顔が途端にシナシナとしおれちまった。悲愴。チャイコフスキーじゃねぇぞ。
*(‘‘)*「ヘリカル、あんまり学校行きたくない〜」
- 989 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:35:05 ID:9gwXkcb6O
- ('A`)「なんで」
*( - -)*「いじめられる〜」
('A`:)「うっ……ゴホン!お前がか?」
意外だった。外見も可愛らしい──おっと、俺はそういう趣味はない──し、頭も悪くない。ちょっと生意気だが社交性もありそうだ。いじめられる要素なんざ見当たらんが。
*(‘‘)*「ヘリカルね、病気なの」
('A`)「病気……?」
そりゃな、すぐに治るもんならいいさ。俺だって、苦労したからよくわかる。
*(‘‘)*「んとね──きんじす……」
(゚A゚:)「えっ……」
*( ^ ^)*「あ、思い出した!きんじすとろふぃーって言うんだって!トロフィー!」
( A :)「うそ、だろ……」
すぐに治るもんなら、な。
- 990 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:36:13 ID:9gwXkcb6O
- 正式名称、進行性筋ジストロフィー。筋肉の細胞が次第に破壊されていく難病のことだ。
詳細は割愛するが、おそらくデュシェンヌ型。ベッカー型のほうが症状が重く見られるが関係ないな。
本来、約3500人に1人の男児が発症すると言われるこの病気に、まさか女児がかかっているとは。
('A`)(だから、さっきこけたときすぐ起き上がれなかったのか……)
もちろん治らない病気じゃねぇ。最近じゃips細胞を骨格筋にして病態を体外に作り出すことに成功してる。
治療法は今でも研究されてるんだ。症状が軽微な今の状態からしっかり治療していけば──
*( ^ ^)*「ヘリカル、走れないから。みんなと一緒に遊ぶときは座って遊ぶの。そしたら男の子がね、走れないなんて変だ〜って」
ふいに喋るから少しびっくりした。しかし笑って言うのは強さかね。
そういえばこいつ、こけても泣いてないし、すごいな。とはいえさすがに一人で登校させるのは危険だと思うが。
('A`)「そうか……」
*(‘‘)*「うん。だからあんまり学校行きたくないんだ〜」
(-A-)「うーむ……」
- 991 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:36:51 ID:9gwXkcb6O
- どうしよ、どうするよ俺。病気の知識はわかるさ、本で読んだからな。
でも、実際に患者と接することなんざないから、本だけの知識でなんて話をすればいいかなんてわからねぇな。
ま、あれだな。ここは俺なりに言いたいこと言おう。
('A`)「気にすんな」
*(‘‘)*「ふえ?」
('A`)「そんな病気なんて気にすんなってことさ」
*(:‘‘)*「えっ、でも……ヘリカル、みんなと違うし……病気だし……」
('A`)「だからなんだよ、周りは関係ねぇさ。ヘリカルと遊んでくれる奴、いるんだろ?」
*(:‘‘)*「う、うん……」
('A`)「ならいいじゃねぇか。別にみんなと仲良くする必要はねぇよ」
俺がそうだったな。こいつと同じくらいの頃からずっと、いじめられてて誰も近寄ってこなかった。
周りの大人に相談しようが、軽く諭されてはい、終わり。せいぜいがんばれ程度。
なにがいいかは今でもわからねぇけど、俺は適当な慰めより、割り切った気持ちで居るほうが楽だったなぁ。
っといかんいかん。俺の物差しで図ってもヘリカルは違うかもしれん。
*(。‘‘)*グス
ほら、泣きそうじゃん!
- 992 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:37:50 ID:9gwXkcb6O
- *(。‘‘)*「でも……ヘリカルやっぱりみんなと一緒に仲良くしたい……」
やべ、マジでやべぇ……どうすんだよ、泣かれたら最後、二度とコンビニはおろか外出なんてできねぇ!
*(。 - -)*「ドクおっちゃん……無理かなぁ……」
(゚A゚:)「あー、なんだ!その……歌だ!」
*(。‘‘)*「うた?」
('∀`:)「ああ!ヘリカル、歌が好きなんだろ!?じゃあみんなと歌えばいいじゃねぇか!どうせあれだろ?仲の良い子としか歌わないんだろ?」
*( - -)*「うん……うた……お歌かぁ……みんなとは歌ったことないなぁ……」
ええい、ままよ!
('A`:)「歌えよ!そうだ、もうここで歌ってみろ!練習だ、聞いてやる!」
('A`#)「それでみんなと歌って、それでも男どもが何か言ってきたら俺が叱ってやるよ!」
('A`)「このドクおっちゃんがな!!」
- 993 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:39:38 ID:9gwXkcb6O
- 〜〜〜
人のいない公園に人が来たのは、ヘリカルの歌に引き寄せられたんだろうか。
言ってもアレだ。大道芸人よろしく、大勢の人が来たわけじゃねぇよ。たった一人、だけど一番面倒な人物だ。
リ´−´:ル「ヘリカルちゃん!」
4曲目が終わったとき、入口から女性の声が聞こえてきた。ぎょっとして振り向いたら、スーツ姿でこいつの名前を呼ぶ。
*( ^ ^)*「あ、りるこ先生!」
近寄ってくる先生は笑顔だが、近くにいる俺を眼中に入れてるからか眉間にシワが寄ってる。
リ´−´:ル「ヘリカルちゃん、大丈夫!?なにもされてない!?」
おいおい、そりゃどういう意味だよ。
*( ^ ^)*「うん!ヘリカル、お歌を聴いてもらってたの!」
抱きかかえることをしない分、当然だが、彼女のことを分かってるのかもしれねぇな。
ここはおせっかいだが、乗りかかった船だ。聞いちまった分仕方ねぇ。
('A`)「あー、学校の先生ですよね。さっきこの子、道路でこけてましたよ。なかなか起きないから公園で手当てしてました」
人の言葉を聞く態度じゃねぇだろ、にらむなよ、無言で。まぁ、ジャージにサンダルの男が何言ってもしゃあねぇか。
( -A-)「……できたら、登校と下校にも引率の教員付けたほうがいいんじゃないですかね。まぁ俺みたいなのが言ってもしゃあないですけど」
だからにらむなって。そういう子供をかばってます的なポーズはやめてくれ。腹が立ってくる。
どちらにせよ、これ以上はもういいだろ。俺は二人に背を向けて歩き出す。願わくば、事案になりませんように……
*(‘‘)*「ドクおっちゃん!」
なんだよ。
*(*‘‘)*「ありがと!ヘリカル学校行く!みんなと一緒に歌ってみるね!」
あー、くそっ、ガラじゃねぇな。ガラじゃねぇけど。
('∀`*)「ああ!大きくなったらウィーンで歌えよ!じゃあな!」
帰り道の脳内BGMをくれたお代だ、返答くらいしてやるさ。
- 994 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:40:16 ID:9gwXkcb6O
- 〜〜〜
コンビニ行ってなかった。
〜〜〜
- 995 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:41:34 ID:9gwXkcb6O
- J( 'ー`)し「読み終わったら片付けなさい!何度いえば……」
('A`)「はいはい、後でね。ちょっとコンビニ行ってタバコ買ってくるよ」
あの後、家に帰って百科事典の続きを読んでる。熱中してたから、まだコンビニも行ってない。
だって、帰りながらコンビニの歌を歌わなかったし、なんか腹痛かったし。
でもすぐ行く気にはなれん。疲れた。眠い。そう感じながら休憩してたらカーチャンが入ってきて小言マシンガン。うっとおしいからそろそろ行くか。
でもたまには早朝に出かけるのもいいな。きっとあいつが大きくなったらVIPテレビとかに出たりするんだろう。その時は俺も特別に出演したりして。
ってないない。ヘリカルはともかく、俺がテレビなんて出るわけないわ。
へへっ、なんか今日は良い事あったし、あながち厄日でもないかもな。また面白い奴と会うかな。
さ、コンビニコンビニっと。
スーパードックンのようです
第0話おわり!
- 996 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 12:56:56 ID:80VaIFAk0
- 久々に乙!
- 997 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 13:10:28 ID:9gwXkcb6O
- >>969 >>970 >>972 >>973 >>976
ありがとうございます。お待たせしまくってます……あと二、三日。気が向いたら見てくださいな。
>>967
プギャーのあのノリはピュア故かもしれません。危ない。
ジョルジュはドクオと初対面の時にもありますが、意外と老けてます。
かーちゃんはヒロイン道まっしぐらです。フロンティア精神。
>>968
「至極、よみやすい」
剣心とサノスケが戦うシーンのこの言葉が好きです。
>>974
次の本編はまた長いです。もうちょいお待ちなすって!
>>977
お言葉に甘えてのんびりしすぎてごめんね。さすがに一月以上開くことはもうないと、信じたい。
>>996
おぅふ、なんと嬉しいタイミングで。いやぁ久しぶりですが、ありがとうございます。ぜひ次スレもよろしくどうぞ!
さて、それではこの辺りで失礼しますね。さよなら、さよなら、さよなら。
- 998 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 13:30:24 ID:VCqQH./w0
- おつかれ
次スレ待っとるぜよ
- 999 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 15:38:38 ID:YpS8OO3o0
- 乙ー
- 1000 :名も無きAAのようです:2013/08/23(金) 16:04:51 ID:QZUpylq20
- おつ!
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