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(´<_` )深山に棲まうは ( ´_ゝ`)のようです
1代理:2012/12/11(火) 22:56:25 ID:wqMHyXSo0
エセ陰陽師話注意

2名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:00:46 ID:QbLVfSlM0


都のすぐ近くにある山の奥深く、世にも恐ろしい夜叉が住み着いていた。
その鬼は旅人を捕らえ、凌辱の限りを尽くした後、生き血を啜るのだという。
しかしながら、噂はすれど、姿を見た者は一人もいなかった。
土塊に、あわれ無惨な姿となった屍が捨て置かれていたわけでもない。

噂だけが都に蔓延っていた。
都の貴族は、口々に夜叉の恐ろしさを語り、夜は固く門戸を閉ざした。
やむなく都へ向かう旅人は、山越えをする間念仏を唱え、ただひらすらに夜叉に出会さぬよう願うばかりであった。

深山に茂る木々の梢は高い。
山は昼なお暗く、しっとりとした気配を漂わせるのだった。

3名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:01:47 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )「鬱陶しいことだ。さすがは鬼が棲まう森かよ」

露を指先で払うと、若者が忌々しげに呟いた。名を乙彦丸という。
傍らには従者を伴い、険しい山道を歩いていた。

イ从゚ ー゚ノi 「……」
⌒*リ´・-・リ「……」

従者達は主人の問には応えない。
二人とも禿を揺らし、俯いて歩いていた。
一人は緋色の狩衣、一人は黒耀の狩衣姿であった。
共に、頭を垂れた項から覗く肌が、抜けるように白い。まるで傀儡のようである。
結んだ唇は紅く、すぐりの実を思い起こさせた。

それでも、僮達が平凡に見えるのは、主人の抜きん出た美しさのせいか。
乙彦丸は睫毛を伏せ、従者を一瞥すると、興味を失ったように再び歩き出すのだった。

(´<_` )「せっかくの景色も、こう木の葉ばかりでは、
飽いて仕方がないな。これでは歌も詠えまい。」

乙彦丸は首を振ると、ひとりごちた。誰に聞かせる訳でもない。

橅や樫が急な斜面をおおうように生え、山肌に色濃く影を落としていた。
木々の葉は重なり合って、旅人の行く手を遮った。
申し訳程度に露出する表土には、羊歯がしがみついている。

屈強な獣すら、この山中では息を押し殺して、身を潜めているのではないか、乙彦丸は一人その様子を思い描いた。

4名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:03:04 ID:QbLVfSlM0


一刻もたった頃、とうとう僮達の足取りは重くなり、息も絶え絶えという風になった。
かれこれ、三里近く歩いているにもかかわらず、一向に人里が見えてこない。
乙彦丸は相変わらず、額に汗一つ浮かべることなく涼しい顔をしていた。が、不意に立ち止まり辺りを見回した。

(´<_` )「おかしい、今の時分ならば麓に着いても良いころだ」

イ从゚ ー゚ノi「失礼ながら、申し上げまする」

禿の僮の一人が声を潜めて申すには、
どうやら一行はあやかしの幻惑に惑わされているのではないか、ということである。
道を失い、気丈な顔を見せていた僮達も、これにはほとほと困り果てていた。

(´<_` )「小賢しい真似をするものだ。鬼とは随分臆病なのだな。
ならば好都合。この乙彦丸、鬼に目にもの見せてくれようぞ」

腰に備えた刀を一撫ですると、従者達をそのままに歩き出してしまった。
僮達は小走りで後をついて行く。

5名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:04:53 ID:QbLVfSlM0


また半刻ほどたったころだろうか、いよいよ道は暗くなり、暗闇が辺りを包み込んだ。
目印はなく、木々の隙間から零れる月明かりだけを頼りに進んでいたときのことだ。

もう一人の目敏い僮が声を上げた。

⌒*リ´・-・リつ「若様、あれを。灯りに御座いまする」

半里ほど先に灯りが灯っていた。
僮達は頷き合って、心底安心した表情を浮かべていた。
乙彦丸は目を凝らしてみるが、薄暗くて何の灯りなのかは判然としない。

(´<_` )「瑠璃よ、不用意に近づくでないぞ。鬼火やもしれぬ」

乙彦丸は今にも駆け出しそうな従者を制すると、口に指を当てて、何事かを呟いた。
唇の形から辿ることはできないが、朱いそれは妖しく蠢いてみせた。

6名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:05:43 ID:QbLVfSlM0

すっと目を閉じて一呼吸――。

(´<_` )「呪を掛けておいた。
鬼火ならば、身を焼かれることはあるまいよ」

イ从゚ ー゚ノi「私が様子を見に行って参ります。
瑠璃は、若様をお守りせよ」

⌒*リ´・-・リ「あい、行ってらっしゃいませ、姉様。」

姉様と呼ばれた僮――狛露という、は、先刻の疲れも何処へやら。
獣のような敏捷さで山道を駆けていった。
乙彦丸は特に驚きもせず、路傍の石に腰を掛け、ゆったりと構えていた。

7名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:06:10 ID:fOok0sYE0
雰囲気がいいな

8名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:06:35 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )「ふふ、鬼がでるか蛇がでるか。これは見物だな」

琵琶のような低く張りのある声を振るわせて、笑った。
唇の隙間から零れた歯は、真珠のように艶めかしく、つやつやと濡れていた。

イ从゚ ー゚ノi「戻りまして御座います、若様」

笑い声を上げた刹那、ついさっき出立したはずの僮が、
音一つさせることなく乙彦丸の傍らに跪いていた。
乙彦丸は笑いを引っ込めると、憮然とした顔をして従者の労を労った。

(´<_` )「御苦労」

(´<_` )「して、何だったのだ? その様子だと、鬼火ではなかったのだろう? 」

イ从゚ ー゚ノi「灯りの正体は、東屋のように御座います。
中に足の萎えた婆が一人おりました」

(´<_` )「そうか。ならば其処へ宿を乞うてみようではないか。
どうせこの暗がりを進んでも、迷うばかりで埒があかぬ」

乙彦丸は立ち上がると、揚々と東屋目指して歩き出した。
瑠璃もすんなりと後ろに従う。
先に様子を見てきた狛露だけが、眉を僅かに寄せて、暗闇の先を見つめていた。

9名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:07:29 ID:QbLVfSlM0


⌒*リ´・-・リつコンコン「御免下さいまし、旅の者に御座いまする」

('、`*川「はい、どちら様で御座いましょう? 」

引き戸から顔を覗かせたのは、年頃もわからないくらい衰えた婆だった。
視線を下から上へと持ち上げて、見目麗しい青年と禿の僮達を交互に見やった。

⌒*リ´・-・リ「婆様、私達は旅の者。道を失い、往生しておりました」

イ从゚ ー゚ノi「御覧の通り疲れ果て、厚かましくも、
一晩の宿をお願いしに上がった次第で御座いまする」

('、`*川「まぁまぁ、それではお疲れになったことでしょう。
荒ら屋では御座いますが、どうぞお休みになって下さいまし」

10名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:08:23 ID:wqMHyXSo0
寝る前に支援

11名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:08:38 ID:QbLVfSlM0

婆は枯れ木のように痩せていた。
胸元に浮き出た骨から、よく目を凝らせば、向こう側が透けて見えるのではないだろうか。
しかし、紬の小袖をしゃんと着こなし、立ち振る舞いは意外にしっかりとしていた。

僮達は漸く安心して、婆に勧められるままに、囲炉裏の方へ上がり込んだのだった。

12名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:09:03 ID:fOok0sYE0
続きwktk

13名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:09:31 ID:QbLVfSlM0


('、`*川「さぁさぁ、何もお出しできませんが、
どうぞこれを召し上がって、一息ついて下さいまし」

(´<_` )「ほう、これは雅なことだ」

乙彦丸は柳眉を上げて、ほう、と溜息をついた。
婆が差し出したのは、簡素な椀に鉄瓶から汲み上げた白湯だった。

その中に桜の花弁が一つ――。

控えめに浮かぶ様子は、この上なく趣があった。

瑠璃と狛露は一口飲んで目配せし合った後、椀を主人に勧めた。

婆は一行の様子を見守りながら、一人一人に視線をうつしていった。

男は深みのある緑の繻子地に、縫箔が艶やかな狩衣姿。
烏帽子をきりりと結い上げた黒髪に乗せ、口元を広げた扇で隠している。
二人の少女は、飾り気のない綾絹の狩衣姿ではあるが、物はかなり値の張るものと見える。

きっと身分の高い御方に違いない。

14名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:10:47 ID:QbLVfSlM0


('、`*川「ところで、皆様は何故このような山に、
分け入っておいでなので御座いましょうか? 」

('、`*川「この山の奥深く、葵童子という恐ろしい夜叉が居を構えておいでなのは、
皆様もお聞き及びのはず。」

闇に紛れて窺い知ることができなかったが、
ここに鎮座する男とそのお連れの者達は、旅をするにはあまりにも軽装だった。
まるで、散策をしに着の身着のままで出掛けたような風情である。

('、`*川「もし、ご無理でなければ……どうぞ訳を婆に教えて下さいまし」

乙彦丸はすっと目を細めると、鋭い視線を婆に送った。
口元は未だ微笑んだままである。

(´<_` )「なに、その葵童子を見物しに来たのよ」

('、`*川「また御冗談を」

15名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:11:56 ID:QbLVfSlM0

葵童子という言葉に、婆は敏感に反応した口の端を吊り上げて、目の前の男を嗤う。
葵童子は都で評判の恐ろしき夜叉。
このようになよなよしい男が、夜叉討伐に赴くとは、どうしても思えない。

顔には僅かに嘲りの色が浮かんでいた。

刻まれた顔の皺でひた隠しにしている、したたかな女の顔が覗いた。

(´<_` )「冗談だと思うか? 」

乙彦丸は微笑んで、面白そうに話の成り行きに任せていた。
そこは手練手管の婆、手をかえ品をかえ、言葉巧みに真意を聞き出そうとする。
けれど、乙彦丸は笑うばかりで、何を言われても柳に風と受け流す。

一進一退の攻防が長い間続いた。

16名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:13:06 ID:QbLVfSlM0


僮達は既に、床に突っ伏して寝ている。
夜は更け、木々のざわめきと火の爆ぜる音のみが聞こえる、寂しい夜だった。

婆は面倒そうな乙彦丸を宥め賺して、機嫌をとった。
しかし、どう足掻いても、乙彦丸は葵童子に会いに来たの一点張り。とても埒があかなかった。

次第に婆が焦れて、本性を現した。
                 オノコ
('、`*川「もう、良いわ。なんと強情な男だこと。
身体も強情なら、心根も強情か。」

17名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:14:07 ID:QbLVfSlM0

婆がすっくと立ち上がる。

('、`*川「どうせ、薬はそこの二人には効いておる。僮達は動けまいよ。
男一人、この紅天鬼が打ち払ってくれようぞ」

('、゚*川「そなた達が、我が住まいへ足を踏み入れたが、運の尽き。
素直に我が呪の餌食におなり」

老獪な婆の面差しは掻き消えていた。
代わりに、小面の面をかぶった、うら若い女が、乙彦丸を見下ろしていた。
婆が先程まで着ていた、紡の小袖もどこぞへ消えている。
紅天鬼と名乗った女は、薄い水衣だけを羽織り、その瑞々しい肌を露わにしていた。

18名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:14:41 ID:fOok0sYE0
婆、お前……

19名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:15:24 ID:QbLVfSlM0

            ツラ
(´<_` )「ほう、婆の面も幻影か。
よほどじっくり見ていたが、ちっともわからなかった」

乙彦丸は女を見上げ、しきりに関心していた。
婆の出した白湯は仄かに薬の香がした。
先程の執拗な問い掛けも、何か訳があってにちがいない。
しかし、ここまで変幻自在なあやかしはついぞ見たことがなかった。
余程強い力の持ち主らしく、紅天鬼の周りをぐるりと紅蓮の炎が囲んでいた。

(´<_` )(あの炎は幻か。あれが邪魔でうかつに近寄れぬ)

にわかに空気は張り詰め、密度を増していった。
これも紅天鬼の呪の賜物か――。
乙彦丸は真綿でゆるゆると締め上げられていくような息苦しさを感じていた。

20名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:16:26 ID:QbLVfSlM0


('、`#川「その落ち着き様。しゃくに障ることよ」

水衣の袖をさっと動かすと、炎があれよあれよと言う間に縮んでいった。
傲慢な動作で乙彦丸に近づくと、しなやかな指先で乙彦丸の顔を撫でた。
そのまま顎門を捕まえて、無理やりに上を向かせる。

(´<_` )「なぁ、紅天鬼。俺はやがてお前の手にかかって死ぬのだろう? 」

なら、俺に慈悲をおくれ。言い終わると、赤い舌を紅天鬼のきめ細やかな指に絡め、舌先で辿った。

('、`*川「戯れ言を」

(´<_` )「どうせ死ぬのだ。ならば、良いめがみたい、違うか? 」

紅天鬼は面の奥で、目を剥いて手を引っ込めると、しげしげと乙彦丸を見つめるのだった。
なにより、あれだけ入念に掛けた呪に縛りつけられているのに、
やすやすと動いてみせることが不思議でならなかった。
それどころか、乙彦丸は悠然と床に胡座をかいている。
此処に月があれば、今にも笙を取り出して、月と戯れんばかりである。

紅天鬼は本能的に、ひらりと後ろに飛び退いて距離をとった。

21名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:18:11 ID:QbLVfSlM0


('、` ;川「貴様、何者だ! 」

(´<_` )「やれやれ、ようやく名乗れるというもの。
先刻は息が詰まって、喋る暇もなかったからな」

(´<_` )「我が名は乙彦丸。しがないまじない師だ。
まさかこの山の頭目――雷公鬼の奥方に御拝謁賜るとは思わなんだ」

(´<_` )「俺は葵童子を見に来たんだが」

言い終わるとゆっくりと立ち上がり、摺り足でじりじりと距離を詰めていった。

22名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:19:01 ID:QbLVfSlM0

乙彦丸の腕が紅天鬼の柔肌を掴む。
夜叉の力を以てすれば、振り払うのは容易いはずなのに、
紅天鬼はその場に固まって、打ち震えていた。

水衣が滑り落ちる。

乙彦丸は紅天鬼の白魚のような手を引き寄せると、おもいきり後ろ手に捻りあげた。

('、` ;川「あれっ」

腕を捻った衝撃で、紅天鬼は強かに顔を打った。そして、そのまま床に組み伏せられてしまった。
面はひび割れて、隙間から紅天鬼の朱唇が覗く。
屈辱から、牙を剥き出しにして、がちがちと歯を鳴らしていた。

23名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:20:09 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )「で、俺の提案は受け入れてくれるのか? 」

紅天鬼を見下ろす乙彦丸の視線は、意外なほどに無邪気だった。
虚を突かれ、紅天鬼は薄く唇を開けるに留めた。
乙彦丸は紅天鬼に跨がると、半身を浮かせ、やわやわと乳房を弄んでいた。

このまま、この男に抱きすくめられれば、夜叉としての誇りは粉々に砕けちるであろう。

('、`*川「愚かな。
私を辱め、葵童子の居所を探り出す魂胆であろう? 」

紅天鬼はゆっくりと自らの舌の根を噛み締めていった。
勝ち目がないと悟った今、自害する以外に己を守る術はない。

(´<_` )「振られたか。別にそんなつもりはないんだがな。」

乙彦丸が一言、呪を唱えた。

それを合図に、床に転がっていた瑠璃と狛露がむくりと起き上がった。
狛露は狼に変化すると、主の代わりに紅天鬼にのしかかった。
一方、瑠璃は一本の細い縄に変化して、その身をくねらせ、紅天鬼を縛り上げていった。
狛露はそれを見届けると、また人の姿に戻った。

24名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:21:10 ID:QbLVfSlM0


('、゚#川「おのれ! 私を謀ったな」

苦しさに呻き声が洩れる。呻き声はやがて、呪詛に変わった。

一つ身じろぎをする度に、縄は食い込み、肉がよじれ、骨が軋んだ。
紅天鬼はのたうち、身悶えしながら、抗っていた。

(´<_` )「こんな見事な月夜の晩だ。
芝居を打つのも一興かと思ってな」

乙彦丸は、この鬱蒼と木々の茂る山に足を踏み入れたときから、
何者かの結界が敷かれていることを、勘づいていた。
蜘蛛の巣のように張り巡らされた、結界の糸を人間の身体が弾く。
すると、たちどころに呪をかけた者の所へ、知らせがいく案配だ。
乙彦丸はすぐさま筆をとると、口には出さずに、このことを従者に知らせたのだった。

巧妙に仕掛けられた罠に、絡めとられたのは、哀れな紅天鬼だった。

(´<_` )「千切ることはできんぞ、紅天鬼。
なにせ、瑠璃は火鼠のあやかし。あれから作った縄は、例え、力自慢の牛頭でも破れぬ」

25名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:23:34 ID:QbLVfSlM0


紅天鬼は乙彦丸を睨みつけると、落涙し、下を向いた。
欠けた面の隙間から、一筋の雫が伝って床に落ちた。

(´<_` )「さて、この見事な二対の角、どちらが宝玉であろうな」

扇をぱちりと閉じて、乙彦丸はのたまった。

イ从゚ ー゚ノi「これのどちらかが、偽りなので御座いますか? 」

狛露は首を傾げて、主に尋ねた。
よもや玉だとしても、何故乙彦丸が関心を示すのかが、わからないようだった。
売り払っても、万人が喜ぶ代物ではない。

(´<_` )「夜叉が隠し持つ宝玉は、自らの力の源よ。
それがなければ、鬼は踏ん張れず、力を充分に出せないのだ」

こつりこつりと、閉じた扇で紅天鬼の角を叩く。
音色でわかるはずもない。
乙彦丸は自分がした子供のような振る舞いが、少し可笑しくなった。
紅天鬼は顔を背け、こちらを見ようともしない。

26名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:23:37 ID:My1kajpY0
なにこれ、すごい面白い

27名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:24:04 ID:fOok0sYE0
おお、お見事

28名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:25:07 ID:QbLVfSlM0


( ´∀`)「それくらいにして頂きましょうか、乙彦丸様」

輝くばかりの毛並みをした、白い大きな豹がいた。
二尺三寸はあろうかという、大豹であった。
戸口の隙間から、するりと入り込む。
紅天鬼を庇うように、乙彦丸の前へ立ちはだかると平伏してみせた。

( ´∀`)「私は、葵童子様の使いの者。
我が主、葵童子様が貴方様をお呼びです。どうぞ、お目通りを」

(´<_` )「会おうにも、葵童子は何処にいるのだ?
検討がつかねば、見えることも叶うまい」

( ´∀`)「東屋の戸と主の屋敷の入り口を繋げまして御座いまする。
このまま歩まれれば、いずれ屋敷へ到着致します故」

(´<_` )「紅天鬼はそなたに返さぬぞ」

29名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:26:08 ID:QbLVfSlM0

乙彦丸は、抜け目なく白豹に言い放った。

( ´∀`)「構いません。
しかしながら、もし紅天鬼様になにか御座いましたら、
屋敷と東屋を繋ぐ道を、私が断ち切りまする」

(´<_` )「あいわかった」

白豹は身を翻すと、闇夜へ消えた。

乙彦丸はぐったりとした紅天鬼を、狛露に命じて背負わせた。
紅天鬼は狼に軽々と持ち上げられ、なすがままになっていた。
紅天鬼は酷い責め苦に気を失っていたのだ。

そして、白豹と同じく、その姿は闇夜へ溶けて消えたのであった。

30名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:28:22 ID:QbLVfSlM0


一行が暗がりを歩んでいると、じきに開けた所に出た。
大樹によって、巧みに隠されてはいるが、そこに目の眩むような優美な御殿があった。

柱は黒漆、門は螺鈿で飾りつけられていた。
屋敷の大きさは計り知れない。塀は高く、天まで届きそうだった。

目の前の門扉は閉ざされている。
なのに、庭園に咲き乱れているであろう、蓮の芳香が乙彦丸の鼻先をくすぐった。

まるで、此処は――。

31名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:30:07 ID:QbLVfSlM0

(´<_` )(牢獄のようだ)

(´<_` )「……これだけの御殿を結界で覆い隠すとは。
手練れの術師が束になっても、雷公鬼に適わない訳だ」

白豹は乙彦丸の声に気がついて、姿を認めると、中へ入るよう促した。

( ´∀`)「葵童子様が離れでお待ちです」

(´<_` )「雷公鬼はどこぞへ行ったのだ。気配を感じない」

( ´∀`)「雷公鬼様はこちらにお住まいではありません」

白豹は、言葉を短く切ると、何も話さなくなった。
沈黙が忠誠の証か。
もはやこれ以上、乙彦丸達に話題をくれてやる気はない、という頑な意志を感じた。

32名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:31:15 ID:QbLVfSlM0


( ´∀`)「葵童子様、乙彦丸達をお連れ致しました」

 「通しなさい」


部屋の向こうから、鈴を転がすような声が響いた。
まるで女御のような、成熟仕切っていない、可憐な声音だった。

 「よくぞ参りました」

葵童子が乙彦丸達を出迎えた。

御簾の奥から声がするので姿はわからない。ただ、平伏している影は、瑠璃や狛露と変わらないくらい小さいものだった。
白豹は葵童子の傍らに陣取ると、御簾をするすると上げた。

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「お初にお目にかかる。
我が名は葵童子、今宵は何用で我が屋敷にいらっしゃったのでしょうか」

33名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:32:12 ID:QbLVfSlM0

狐面をかぶった少年が一行を出迎えた。

御衣は煌めくような綾錦。
細い身体に大仰な衣を羽織っていた。
朱地に燕子花文が絵緯で織り出された、それは見事な唐織だった。

腰元が緩やかに膨らんでいる。おそらく、刀を下げているのだろう。

(´<_` )(また、随分と意匠を凝らした御衣であるよ)

乙彦丸は葵童子の衣の模様を、目で追った。
工夫しているのは、華美な見た目だけではない。
模様を形作る綾の一織り一織りに、強烈な呪がかけられていた。

(´<_` )(だが、嫌な感じがしない。
一体どんな呪がかかっいるのやら)

葵童子は乙彦丸の視線に気づいて、言った。

34名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:33:13 ID:QbLVfSlM0


  ∧ ∧
( ` ゝ´)「これが気になりますか? 」

(´<_` )「堅牢なまじないがかかっているな。
まるでそなたを守る鎧のようだ」

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「そのような恐ろしいものでは御座いません」

柔らかな声で否定した。

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「これは身体の弱い私の為に、
母、紅天鬼が特別にあつらえたもの」

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「故に、病魔を払っても、貴方様の呪を退けることはできません」

葵童子は、唐織を優しい手つきで撫でさすった。

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「申し上げました通り、私は脆弱です。
この様なはしたない姿で、客人を迎えることを、どうぞお許し下さいませ」

(´<_` )「構わぬ」

葵童子はそう言うと、夜叉とは思えぬ、か弱い仕草で脇息に身を預けた。

身体を傾けたせいで、額に一房の御髪がかった。
紺青の髪が白地の狐面にさらさらと零れる。
それが、人でない何よりの証だった。

35名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:34:46 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )「なに、そなたを見物しに来たまでよ。
それをこの紅天鬼は、何を思い違えたのか、我らを襲ったのだ」

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「あぁ、その様なことが。
母がとんでもないことを致しました」

葵童子は再び平伏して、乙彦丸に心から詫びるのだった。

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「せめてもの詫びに、今宵は宴を開きましょう」

(´<_` )「それは名案。
実は、俺もそなたと飲もうと思っておったのだ」

◯⊂(´<_` )「ほれ、このように。良い物を持っているぞ。」

乙彦丸が懐から取り出してみせたのは、玻璃でできた、孔雀色の杯だった。
杯の縁には細かな彫りが施され、しっとりと濡れていた。

葵童子は乙彦丸の杯をひとしきり誉めると、白豹に宴の用意を命じた。

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「宴の支度をしておいで」

( ´∀`)「かしこまりました」

36名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:38:09 ID:QbLVfSlM0


白豹を部屋の外へやると、葵童子は乙彦丸に近づいて対面した。
しずしずと葵童子が動く度に、伽羅の香りが漂う。
その芳香と葵童子の妖しげな色香に一行は陶酔していた。

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「お願いが御座います」

(´<_` )「面越しでは真意が汲み取れぬ。
願い事があるならば、それをはずしてもらおうか」

  ∧ ∧     マナコ
( ` ゝ´)「夜叉の眼を見た者は、瘴気に当てられて、気が狂れ、肉はいずれ蕩けまする。
術師ならば、貴方様もご存知のはず」  

(´<_` )「そなたは人間であろう」

乙彦丸は葵童子を見つめた。

まるで、錐のような視線だった。

37名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:38:59 ID:fOok0sYE0
人間だと……

38名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:39:11 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )「もはや隠す必要もあるまい。
そなたは、かつて生き別れになった、我が同胞……」

(´<_` )「双子の兄、我孫子丸ぞ」

葵童子は口を噤んだまま、微動だにしなかった。
乙彦丸は言葉を続ける。

(´<_` )「その刀が、我らが兄弟と示す、絆の証。
それは父、流石業平より賜った、世に二つだけの宝刀」


己を貫くような視線に、葵童子は困惑していた。
顔を床へ落とし、溜め息をつくと、諦めたように乙彦丸へ顔を向けた。

もはや、これまでか。悲しげな葵童子の呟きが聞こえた。

  ∧ ∧
( ` ゝ´)「偽ることは時間の無駄というものか」

手を後手に回し、丹赤の面紐を解いた。

39名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:40:22 ID:QbLVfSlM0

  ∧ ∧
( ∩ゝ∩)


( ´_ゝ`)「しばらくだ、乙彦丸よ」


( ´_ゝ`)「……。」(´<_` )


同じ顔が鏡合わせのように並んでいた。
ただ、乙彦丸は雄々しく怜悧なのに対し、
我孫子丸は花のように儚げで、繊細だった。
黒くつややかな床に座して、二人は暫しの邂逅を分かち合った。

乙彦丸は生き別れた際と変わらぬ兄の姿に、息を飲むと、視線を逸らした。

40名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:41:09 ID:QbLVfSlM0

暫し思案して、言葉を探す。

日溜まりの許で、煌めいて揺蕩った黒髪は、
何故紺碧に変わったのか、何故此処から逃げ出さないのか――尋ねるべきことが、浮かび、心の淵に消えていった。

(´<_` )「夜叉の双眸、見るものではないようだな。
眼に溺れ、朽ちた者の心持ちが、今ならよくわかる」

やがて、困ったような顔して、乙彦丸は頭を掻いた。

( ´_ゝ`)「だから、見るなと言ったのだ」

我孫子丸も同じような顔をして、微笑んだ。
まことに花が開くような笑みであった。

41名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:42:19 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )(兄者がいなくなって、幾年の年月が巡ったことだろう)

(´<_` )(もう、数えることすらやめてしまった)

乙彦丸が兄、我孫子丸と別れ別れになったのは、
九つの年を迎えたときだった。

いつもなら我孫子丸は蹴鞠に誘うのに、その日は愛用の鞠を持っていなかった。

濡れ縁に腰掛けた乙彦丸を見つけると、にやけ顔で近づいた。
足取りは軽く、弾むように歩いている。
我孫子丸の浮かれた様子を見て、乙彦丸は無意識に顔をしかめた。

( *´_ゝ`)「弟者! 今日は山へ散策に行こう! 」

乙彦丸は兄の誘いに眉尻を下げた。
山へ勝手に分け入ってはいけない、と母からきつく言い渡されている。

山には雷公鬼という夜叉が棲んでおり、悪さをすれば頭から喰われる、と教えられていた。

それは、我孫子丸も承知のはずだった。

42名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:43:21 ID:QbLVfSlM0

(´<_`;)「駄目に決まっているだろう、兄者。
もし、このことが母上に知れてみろ、どんな叱責を受けるか」

母の般若のような顔を思い出して、乙彦丸は身震いした。
母は二人にたゆみない愛情を注いでいるが、
ひとたび怒れば、その凄まじさは大の男の子すら、震撼させた。

我孫子丸は落胆してみせると、今度は頬を膨らませた。

( *´_ゝ`)「あの山には鬼が住んでいるのだろう? 
きっとそいつの屋敷に忍びこめば、宝物があるに違いないぞ」

我孫子丸は堪えきれずに頬を緩めた。
頭の中は、雷公鬼の屋敷に住まう、美しい女官や、珍かな宝玉を夢想していた。

43名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:44:11 ID:QbLVfSlM0

(´<_` )「駄目だ」

乙彦丸のつとめて冷静な声が、我孫子丸の夢物語を引き裂いた。
我孫子丸は唇を突き出すと、不服そうに言った。

( ´_ゝ`)「弟者は意気地なしだなぁ。
夕刻までに戻れば、ばれやしないさ」

(´<_` )「否、絶対に母上に知られるね」

(´<_` )「なぁ、暇を持て余しているなら、蹴鞠をしよう。釣殿へ涼みに行っても良いし、此処で双六をしても良い」

乙彦丸は慰めるように、しょげかえった兄に提案した。
自身も宝物や、豪傑な夜叉に心惹かれない訳ではない。
しかし、般若と夢物語を秤にかけると、やはり母の方へ傾くのだった。

ありもしない幻よりも、確かな現の方が、乙彦丸には恐ろしかった。

(#´_ゝ`)「もう良い! 弟者が行かなくても、俺一人で行ってくる! 」

44名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:47:38 ID:fOok0sYE0
ああ……

45名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:47:49 ID:QbLVfSlM0


我孫子丸は疾風の如き軽やかさで、乙彦丸を置いて駆け出してしまった。

(´<_`;)「待ってくれよ、兄者! 置いていかないで! 」

乙彦丸は舌打ちをした。

我孫子丸は敏捷く、拗ねると必ずどこぞへ行方を眩ますのだった。
捕まえるのは容易な事ではない。
もし、このまま深山に入り込めば、到底、乙彦丸に探し出すことはできないだろう。

慌てて、乙彦丸は駿馬のように走る、我孫子丸を追いかけた。

暫く走っていると、我孫子丸の狩衣が乙彦丸の目の端に映った。
乙彦丸は兄の姿をみとめると、むんずと袖を掴み、後ろへ引いた。

46名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:48:42 ID:QbLVfSlM0

(´<_`;)「はぁ、はぁ、捕まえた! 」

( ´_ゝ`)「何だよ、弟者もついてきたのか」

(´<_`#)「兄者を連れ戻しにきたのだ! 」

乙彦丸はいきなり我孫子丸の耳を掴むと、もと来た道へ引き返した。

(´<_`#)つ( ´_ゝ`)))

 │ ´_ゝ`)彡「嫌だね」

我孫子丸は身を翻すと、さっと深緑の幹に隠れた。

Σ(´<_`;)「なんという強情さ。隠れてないで出てこい、兄者! 」

 │ ´_ゝ`)「一緒に夜叉を探してくれるか? 」

我孫子が木の影から、期待に満ちた眼差しを乙彦丸に向ける。

乙彦丸は譲歩して、麓周辺の散策に留めるよう、我孫子丸を説得した。
しかし、我孫子丸は頑として、うんと言わない。

とうとう乙彦丸は折れて、夜叉探しを承諾した。

( *´_ゝ`)「流石だ弟者よ。お前なら、わかってくれると信じていた」

(´<_` )「俺は手伝わないぞ」

乙彦丸は枝を手折ると、道に撒いた。
せめて迷い子になることのないよう、用心することにした。

47名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:49:06 ID:My1kajpY0
続きが・・・続きが気になって眠れん!

48名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:49:39 ID:QbLVfSlM0


半刻も歩いた頃、二人は自分達が同じ山道を繰り返し歩いていることに気がついた。
先刻撒いたはずの小枝は、草木に紛れ、わからなくなっていた。

約束の刻限は近い。日は西に傾き始めていた。

(;´_ゝ`)「もう、日が暮れてしまう! どうしよう、弟者!? 」

我孫子丸は焦り、おろおろと辺りを見回した。

(´<_`;)「時に落ち着くのだ、兄者! 焦れば余計、道がわからなくなるぞ」

( ;_ゝ;)「すまない、弟者。俺が宝探しなどしなければ……」

我孫子丸は涙声で、乙彦丸に謝罪した。
薄暗い森は、より一層暗くなり、静まり返っていた。
期待に胸膨らませていたので、我孫子丸には、山の恐ろしさが目に入らなかったのだ。

(´<_` )「涙を拭けよ、兄者。こうなっては仕方がないではないか」

乙彦丸は兄の前へ回り込むと、顔を覗いて慰めた。

(´<_` )「じっくり胆を据えて、帰り道を探そう」

二人はしっかりと手を繋いで、険しい山道を進んだ。
もうどちらが山頂で、どちらが麓なのかも二人にはわからない。
兄弟は迷い迷って、山の頂きの方へ歩いていたのであった。

49名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:50:31 ID:QbLVfSlM0


日はいよいよ落ちて、夜になった。

もはや、鳥すら飛んでいなかった。
深緑はやがて、漆黒に変わり、二人を包み込んだ。
もうどれほど歩いたのかわからない。
我孫子丸と乙彦丸は途方にくれて、歩くのをやめてしまった。

(||| ´_ゝ`)「駄目だ、もう一歩も歩けない」

我孫子はへなへなと崩れ落ちると、その場にへたり込んだ。

(´<_`;)「こんな所で立ち止まっちゃいけない、兄者! 
獣に襲われでもしたら、どうする気だ。」

乙彦丸は懸命に気力の萎えた、兄の腕を引っ張った。
此処で止まれば、夜叉に出会すやもしれぬ。
乙彦丸の背筋に鳥肌が立った。

50名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:51:11 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )(そして、草臥れた我らの為に、特別に誂えたかのような屋敷を見つけた……)

(´<_` )(浅はかな俺達は、喜び勇んで屋敷の中に忍び込んだ)

(´<_` )(深山の頭目、雷公鬼の屋敷にな)

51名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:52:05 ID:QbLVfSlM0


屋敷を一目見たときに、雷公鬼の屋敷だと思い至らなかったのは、屋敷に灯っていた灯りが温かだったから。
恐ろしい夜叉を失念していたのは、屋敷の門戸から、美味そうな夕餉の香りがして心底安心したから。

( *´_ゝ`)「御免下さい! どなたかいらっしゃいませんか! 」

我孫子丸はまだ、見知らぬ屋敷を訪ねる際の、礼儀くらいは心得ていた。
向こう見ずな兄が、漸く分別ある振る舞いをしていた。
乙彦丸は兄の生真面目な横顔を見て、少し笑った。

52名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:53:06 ID:QbLVfSlM0


しかし、待てど暮らせど主人はおろか、使用人すらやってこない。
痺れを切らして、兄弟は覚悟を決めた。
築地塀に手を掛けて、ゆっくりと踵を踏みしめると、高い塀を登ることにした。

塀をやっとの思いで乗り越えた、二人の目に飛び込んだのは、目を見張るような大きな御殿だった。

( *´_ゝ`)「見ろよ、弟者! まるで絵物語の御殿のようだ! 」

(´<_`;)「しっ! 静かに。屋敷の主に見つかってみろ、不作法を咎められるぞ」

乙彦丸はびくつきながら、屋敷の様子を窺った。
己の屋敷と比べるまでもなく、此処は広大だった。
長い渡殿は母屋へ続いている。磨かれた床が、水面のように輝いていた。
庭は手入れが行き届いて、一つの乱れすら見当たらない。
なのに、何故人の気配がしないのか、乙彦丸は訝しんでいた。

( ´_ゝ`)「弟者は心配性だなぁ。見つかったら、見つかったで、主に訳を話せば良い


( *´_ゝ`)「行こう! 良い匂いがする」

我孫子丸はさっさと走り出してしまう。
先刻泣いていたのは、どこのどいつだよ、乙彦丸は兄の背中に文句を言った。

53名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:53:58 ID:QbLVfSlM0


屋敷の中は外側も豪奢なら、内側はより一層絢爛で艶やかであった。
兄弟は見たこともない宝物に、声も出せずにいた。
一つ一つを手にとって、眺めて回る。
部屋の隅には、温かな食膳が用意されていた。

( *´_ゝ`)「凄い! 凄いぞ弟者! 」

頬を赤く染めて、我孫子丸は手を打った。
琵琶は瑪瑙、櫛は珊瑚、いずれもどのようにして作られたのか、見当のつかない代物だった。
乙彦丸は宝物を見つめ、不安げな視線を兄へ向けた。

(´<_` )(屋敷に人は居らず、宝物は珍かなものばかり……)

(´<_` )(此処は、何かがおかしい……)

54名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:55:04 ID:QbLVfSlM0


( :::::::::)「其処にいるのは、誰ぞ」

空気を震わす、朗々とした声が部屋の中に響いた。
我孫子丸ははっと顔を上げると、口元を引き締め、見えない相手に向かって言った。

( ´_ゝ`)「部屋に勝手に上がり込んだ無礼、深くお詫び申し上げまする
我ら兄弟は旅の者。道を失った矢先、貴方様の屋敷を見つけ、宿を乞おうとあがった次第」

遊んでいるうちに、迷子になったと言わないのは、せめてもの矜持か。
我孫子丸は背筋を伸ばし、堂々とした様子で主に申し上げた。

( :::::::::)「成る程。どうやら、そなたは大層勇気があるようだ」

( ^ω^)「ならば、我も姿を隠した非礼を詫び、直に話そうぞ」

((;゚_ゝ`))「あっ、あ、あ……」

55名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:56:08 ID:QbLVfSlM0


兄弟の前へ現れたのは、岩のように大きな、翁の面を被った男だった。
金色の御衣を身に纏い、大股で歩く。
歩くたびに肩についた筋肉が、瘤のように膨れ上がる。
そのまま兄弟の前へどっかりと座ると、胡座をかいた。

( ^ω^)「我が名は雷公鬼。この山の頭目ぞ」

( ^ωФ)「して、幼子達よ。本日は、うちへお泊まりになるのかな? 」

面の奥の眼がギラリと光った。
金色の眼が、兄弟達を品定めするように動いている。

(;´_ゝ`)「弟者、走れ! 」

我孫子丸に突き飛ばされ、乙彦丸は外へ投げ出された。
膝が笑い、上手く立ち上がることができない。
それでも兄を助けようと、必死で手を伸ばした。

(;<_; )「嫌だ! 兄者! 」

( ´_ゝ`)「お前は兎に角山を下れ!
大丈夫、夜叉くらい引き留めてみせる」

( ´_ゝ`)「行け、父上を呼んできてくれ」

(;<_; )「兄者! 」

(#´_ゝ`)「早く! 」

乙彦丸は振り返り振り返り、屋敷を後にした。
乙彦丸が山道で行き倒れ、麓に住む村人に発見されたのは、翌朝のことだった。
高熱にうなされながら、乙彦丸は兄が雷公鬼の屋敷にいると、譫言のように繰り返していた。

56名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:57:25 ID:QbLVfSlM0


(´<_` )(あれから何が起きたのか、俺は知らない)

(´<_` )(父上は討伐隊を組んで山へ向かったが、俺達が見た屋敷はどこにもなかった)

(´<_` )(ただ、あの日以来、兄者がいなくなってしまったのは、紛れもない事実だ)

(´<_` )「……で、願いというのは何なのだ? 」

乙彦丸は追憶から逃れると、氷のようなつめたさで、兄の返事を待った。

57名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:58:23 ID:fOok0sYE0
しえ

58名も無きAAのようです:2012/12/11(火) 23:59:07 ID:QbLVfSlM0


( ´_ゝ`)「乙彦丸、お願いだ。母上の縄を解いてやってくれ。
あのように床に転がされ、可哀想だ」

(´<_` )「断る」

( ´_ゝ`)「ならば久方ぶりの邂逅も、仕舞いにしようぞ」

我孫子丸は沈痛な面持ちで、自らの刃に手をかけた。
後ろに控えていた狛露は唸り声を上げて、鼻に皺を寄せていた。

(´<_` )「俺は葵童子と酒を酌み交わしたいだけ」

(´<_` )「ただ紅天鬼は、どうやら俺が好かんとみえる。
解き放つのは愚かというもの」

( ´_ゝ`)「では紅天鬼の玉をお前に授けよう。
宴が終わったとき、返しておくれ」

59名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:00:06 ID:ZyPIWh3M0

右手側の角だ、我孫子丸は囁くように言った。
乙彦丸が憔悴した紅天鬼の髪を掴んで強引に引き上げる。
ぞんざいな手つきで紅天鬼の髪を弄った。
角は少し力を入れると、呆気なく折れて、鈍色の玉に変わった。

乙彦丸は胡座をかいて、玉を灯りに透かしてみせた。

●∂(´<_` )「これが鬼の力の源かよ。
随分と濁った色をしている」

乙彦丸はひどく残念そうだった。
もっと、きらきらと雲母のように輝く玉を想像していたのだ。

( ´_ゝ`)「力が弱っているのだ。いつもは鴇色に輝いている」

瑠璃は乙彦丸に命ぜられるままに、人の姿に戻ると、紅天鬼の戒めを解いた。

我孫子丸は駆け寄ると、着物を脱いで、紅天鬼に掛けた。
力の抜けた身体には、痛々しい縄目が這いまわっていた。
我孫子丸はその無惨な姿に目を潤ませていた。
そして、朱地の衣を纏った夜叉を、愛おしそうに抱いたのであった。

60名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:01:49 ID:ZyPIWh3M0


( ´∀`)「葵童子様、宴の用意ができまして御座いまする」

襖の向こうから白豹が声を掛けた。

( ´_ゝ`)「入りなさい」

小さな鬼が襖を開け、一礼すると膳を両腕で抱えて入室した。
仔鬼は座っている乙彦丸の、肩の半分くらいの大きさだった。

(´<_` )(これは式神か。兄者に式を操る力はないとみえる)

必然的に式を動かしているのは、白豹であろう、と見当をつけた。
白豹は部屋には入ってこない。

乙彦丸は首筋にちりちりとした視線を感じた。

( ´_ゝ`)「母上を褥へ運んでおくれ」

( ´∀`)「かしこまりました」

白豹は軽々と紅天鬼を抱き上げると、退室した。
仔鬼も食膳が整ったらしく、後に従う。

61名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:03:11 ID:ZyPIWh3M0


(´<_` )「さて、やっと本題だ」

( ´_ゝ`)「乙彦丸。お前は酒を飲んだら、夜が明ける前に、大人しく帰ってくれないか」

(´<_` )「昔のように弟者と呼んでくれ。
それに、俺は目的を成し遂げるまで、帰るつもりはない」

乙彦丸の願いに、我孫子丸は応えず、再び問うた。

( ´_ゝ`)「お前の願いは、俺と酒を酌み交わすことであろう?
それは、ほどなく達成される」

(´<_` )「そうかな? 此処にいるのは我が兄、我孫子丸。
残念ながら、葵童子はおらぬ」

( ´_ゝ`)「俺は葵童子だ」

乙彦丸の嘲るような笑い声が、我孫子丸の言葉を遮った。
心底可笑しくて笑っているのではない。怒りを笑い声で押さえつけたのだ。

(´<_` )「式もまともに扱えず、
未だ、角すら持たないお前が夜叉と申すか。違うね、お前は人の仔、我孫子丸ぞ」

62名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:04:30 ID:ZyPIWh3M0

( ´_ゝ`)(乙彦丸が憤る気持ちは、よくわかる)

我孫子丸は人の身を捨て、夜叉に堕ちたのだ。

( ´_ゝ`)(一族の恥と謗られても仕方のないこと)

( ´_ゝ`)(だが、俺は……)

( ´_ゝ`)「そなたの怒りももっともなこと」

かつての片割れは、思いも寄らぬ冷たさで、我孫子丸を睨んでいた。
杯を持つ手は震え、酒が乙彦丸の袖を濡らした。

( ´_ゝ`)「しかし」

( ´_ゝ`)「溜め息のでるような、長い年月を俺は此処ですごした。
紅天鬼の愛を一身に受け、雷公鬼の慈悲の許育ったのだ」

是を、夜叉と言わずして何と言うのか。

( ´_ゝ`)「そなたが何と言おうと、我が父母は、雷公鬼と紅天鬼」

( ´_ゝ`)「もう、俺は人には戻れない」

葵童子はゆるゆると首を振った。

63名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:05:33 ID:ZyPIWh3M0

(´<_`#)「ふざけるな! 」

(´<_`#)「兄者を此処へ縛り付けるものは何だ? 」

( ´_ゝ`)「何も」

(´<_` )「ははぁ、あの夜叉の夫婦だな? 
兄者はあれのせいで、此処を離れないのだな?」

乙彦丸はいらいらと唇を噛む。唇が裂け、血が白地の御衣に赤い花を散らした。
兄は思いも寄らないくらい、夜叉に肩入れしていた。

兄を取り戻すことこそ、乙彦丸の悲願。
達成は間近まで迫っていたのに、それは乙彦丸の鼻先を掠め、嘲笑うかのように消えてしまった。

乙彦丸は、柄をそっとなぞった。
これを紅天鬼の腹に押し当てて、臓物を引きずり出したら、
どんなにせいせいとした気持ちになれることか。

64名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:06:27 ID:ZyPIWh3M0
(´<_` )「ならば、兄者の軛となる夜叉を全て殺そうぞ」

薄明かりに照らされた、表情の抜け落ちた顔は、まさしく夜叉のよう。

( ´_ゝ`)「なんと惨いことを言う」

身を捩ったせいで、葵童子の御衣は波打ち、床に広がった。
錦糸をふんだんに織り込んだそれは、ただたた黒床の上を揺蕩っていた。

父母の為に嘆く少年と、兄を取り戻さんが為なりふり構わぬ男、果たしてどちらが真の夜叉なのか。

65名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:07:49 ID:ZyPIWh3M0


( ´_ゝ`)「じき、朝がくるな……」

細い光が蔀戸から差し込む。
一筋の光は、葵童子の小さな横顔を控えめに照らしていた。
暖かい日の色に染められても、なお顔は青白く、澄んでいた。

(´<_` )「俺は帰らぬぞ」

( ´_ゝ`)「……。」

( ´_ゝ`)「ひとつ、打ち明けよう」

( ´_ゝ`)「鬼は十の年を迎えるまでに、人の血を啜り、角を生やさねばならぬ」

日はゆっくりと山の端を濡らし、光が辺りに満ち始めた。
草木は緩慢な動作で首をもたげて、朝日を受け入れるのだった。

( ´_ゝ`)「ここでは、時の流れが遅い。
ここで一月たてば、都では四季が一巡りする」

(´<_` )「それがどうしたというのだ」

( ´_ゝ`)「俺が此処へやってきて十日程たった頃、
厭魅の婆が俺の顔を見て、言ったのだ」

( ´_ゝ`)「『十になるまでに、夜叉におなりにならなければ、葵童子様は死にまする。』とな」

( ´_ゝ`)「雷公鬼はそれを聞いて激昂した。まさしく夜叉の如き怒りよう。
すぐさま婆の襟首を掴むと、表へ叩き出した」

( ´_ゝ`)「雷公鬼の理不尽な振る舞いに、婆は腹を立てたのだろう。
俺に呪をかけて、雲隠れしてしまった」

雷公鬼は婆を探しに山々を駆け巡り、紅天鬼は息子の為、獲物を必死で探してまわった。
しかし、葵童子は紅天鬼がどれほど泣いて縋っても、一片の肉も口にすることはなかった。

( ´_ゝ`)「乙彦丸よ。一つ、俺は夜叉にならなければ死ぬ。
そして二つ、この屋敷から一歩でも出れば死ぬ。この二つ目は、婆の呪よ」

( ´_ゝ`)「婆は俺を屋敷へ閉じ込めれば、獲物を捕れず、
じきに飢えて、死ぬと踏んだのだろうなぁ」

66名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:11:03 ID:zZHbyduM0
婆えぐいな

67名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:11:48 ID:ZyPIWh3M0


葵童子は、つと立ち上がった。薄衣は光に透けて、儚げに瞬く。
蔀戸を開けて、朝日を一身に浴びた。

乙彦丸は茫洋とした顔をして、兄を眺めていた。

( ´_ゝ`)「乙彦丸よ。今この時が、俺が十を迎える刻限よ」

振り向いた葵童子ははらはらと涙していた。
( ´_ゝ`)「母上を恨まないでやっておくれ、乙彦丸よ。
母上は最後の獲物を俺に捧げようと、一人山中にいたのだ」

( ´_ゝ`)「最期にそなたに巡り会えるとは。これも御仏の導きの賜物か」

(´<_`;)「兄者!?」

焦っても、もう遅い。
葵童子の姿はしだいに薄くなり、朝日に溶けていった。

(;<_; )「いかないでくれ! 兄者」

( ´_ゝ`)「もう未練はない、別れの時だ」

( ´_ゝ`)「弟者、達者でな」


(  _ゝ:;.:.

68名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:12:30 ID:ZyPIWh3M0


葵童子の御衣は崩れると、はらりと打ち広がった。
乙彦丸は呆然として、動くことすら侭ならぬ。

葵童子は衣を残して、跡形もなく、かき消えてしまった。

乙彦丸はよろよろと立ち上がると、御衣を剥ぎ取った。
そこには一山の塵があるばかり。
一掴みの砂粒を堅く握り締めても、砂は掌の隙間から零れ落ちていった。

乙彦丸は、砂をかき抱いて、むせび泣いた。
どれほど握り締めても、それに兄の面影は、一欠片も残っていないのであった。

69名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:15:00 ID:ZyPIWh3M0
以上です
支援ありがとうございました!

最後にスレ立てしてくれたイケメン、話を読んでくれたイケメン、
本当にありがとうございましたー

70名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:15:55 ID:PPl6HJ820
うあああああ!
これでおわりかよおおおお

乙乙

71名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:16:23 ID:YYk.CI.60


もの悲しいな

72名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:17:09 ID:zZHbyduM0

最後切なかった

73名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:23:36 ID:zZHbyduM0
ここで言うのも申し訳ないけどだけど、>>3の文字化けのところって元々は何って書いてあったの?
あと葵童子のAAは、半角スペース削ると耳ズレがマシになると思うの

 ∧ ∧
( ` ゝ´)

74名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:35:15 ID:ZyPIWh3M0
>>73
あれ!?スマホからだと文字化け部分がわからない
何か見づらくなっちゃったかな ごめん…

葵童子のAAズレてたのかああ!!
やっぱりもしもしでテストもしないで
2行AA使うなんて無謀だった… すまない

75名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:38:32 ID:zZHbyduM0
>?摘や樫が急な斜面をおおうように生え、山肌に色濃く影を落としていた。

の、摘の前一文字が文字化けして、?摘になってる

76名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:42:14 ID:ZyPIWh3M0
ブナって書いたよ!
あれかな、常用漢字じゃなさそうだから
表示できないパターンだろうか

77名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:47:30 ID:zZHbyduM0
>>76
なるほど、ブナか

なんかいろいろと余計なこと言ってすまなかった

78名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 00:54:48 ID:ZyPIWh3M0
指摘してくれた方が助かる
こちらこそありがとう

ではではお休みなさいー( *^ω^)ノシ

79名も無きAAのようです:2012/12/12(水) 04:26:46 ID:z6SO62Vo0
乙!
凄く綺麗な話だった

80名も無きAAのようです:2012/12/13(木) 00:48:44 ID:e5BIPlHs0


救いが無いな

81名も無きAAのようです:2012/12/14(金) 14:14:05 ID:NFLNvWDg0
乙!表現から終わり方まで綺麗な話だった。言葉遣い素敵だ
終わり方切ない……

82<^ω^;削除>:<^ω^;削除>
<^ω^;削除>

83名も無きAAのようです:2012/12/20(木) 20:18:35 ID:pIiuVHT60
>>82
ソースprz

84名も無きAAのようです:2012/12/25(火) 12:24:45 ID:Dinl0W1I0
おつ
こういう雰囲気好きだなあ

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