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別冊☆大阪百科☆ニュース6

705よっさん ◆XxkTNAUYOc:2014/06/01(日) 19:51:36 ID:w03L5oM60
精神的つながりが育む「街」
2014.5.25 09:00
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140525/wlf14052509000006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140525/wlf14052509000006-n2.htm

 創造的な人々が集まる都市をいかに作るかは、知識情報社会といわれる現代の課題の一つとされている。

 船場ビルディングは1925(大正14)年に完成した地下1階・地上4階建ての鉄筋コンクリート造りのビルである。当時まだ、鉄筋コンクリートによる高い建物は珍しかった。周囲に立ち並ぶ木造家屋の中で、ひときわ目立っていたことだろう。

 それから90年近くたって、建物は今も最新の試みをしようという人々で満室だ。完成当初は事務所と住宅から成り立っていたが、現在は全館がオフィスとして小分けに賃借されている。デザイン事務所やものづくりの工房など、さまざまなクリエーティブな職種が並ぶ。空きが出ても、すぐに次の入居者が入るという。人気の秘訣(ひけつ)は何だろう。

 見た目が圧倒的に個性的かというと、そうでもない。外観は、優しいサンドイッチのようなまとまりを見せている。2〜4階の柱型をざらっとした薄茶色のスクラッチタイルで仕上げ、その上部と下部はつるっとした乳白色のタイル貼り。かつては中央の入り口がアーチになっていたり、柱型の頭に飾りがあったりしたが、それでも元から装飾的というより、質実剛健な佇(たたず)まいだった。

 入り口を入った先に秘訣がある。緩やかな坂道になった中廊下を抜けると中庭に出る。細長く切り取られた空のまわりに、各階の廊下が面している。いったん外の空気を浴びてから、それぞれの部屋のドアを開けることになる。中庭には植物やベンチが置かれている。風通しが良く、自然に挨拶が交わせそうな、小さな街のような空間が生まれている。

 人と会うにも便利な都市の中心で、空や緑を感じることができる。こんな共有空間があったら、創造性も上がるに違いない。そう感じる人々が集まって、精神的にも一つの「街」ができている。現代社会にふさわしいつくりが、入居者を呼び寄せているのだ。

 けれど、当然のことながら、90年前の建物が今の社会のためにつくられているわけはない。中庭は元来、船場という土地柄、トラックや荷馬車などを引き込むために設けられた。来訪者を和ませる床の木製ブロックも消音効果のためである。部屋が外気に多く面しているのは、明るい照明もエアコンも無かった当時の標準的な設計。完成当時の必要でつくられた要素が、今では他に無い個性に変わっている。

 建築には転換の創造性がある。オリジナルのデザインや用途をうまく読み替え、生かすことができる。それを理解している知的な都市に、ますます人は惹(ひ)かれるに違いない。

(倉方俊輔/建築史家・大阪市立大学准教授)


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