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栃木県のカメムシについて6
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栃木県のカメムシについてのスレッド
カメムシ以外の虫もOKです
前スレ
h ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/travel/1614/1131291343/
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今後の調査ではNS(北部・南部)の広域分布種がもう少し増えるので
片方の地域だけで記録されている種の比率は減ることが予想される。
特にS分布を示す草原性・雑木林のカスミカメやハナカメムシ、ナガカメムシは
北部の塩谷町、日光市今市地区にも産すると考えられる。
逆にN分布を示す森林性・寒冷地性の種類は
南部から記録されることは予想に乏しい。
しかしながら寒冷地の要素が残る茂木町、益子町の南東部や
大陸系のモンゴリナラが分布する佐野市葛生地域には
まだ発見されていないN分布の種類が見つかるかもしれない。
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フタガタカメムシとカスミカメムシを合わせたカスミカメムシ上科は
栃木県では210種が記録されているが
この分布様式に便宜的に当てはめてみると以下のように構成される。
○北部全体N=178 (N' 106+NS72) ※N'は北部のみ NSは南部と共通した広域分布
○南部全体S=103 (S' 31+NS72) ※S'は南部のみ NSは北部と共通した広域分布
●N'106+S'31+NS72+文献那須1=210
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●N'106+S'31+NS72+文献那須1=210
210を分母として=の部分を/としてみると、大体の割合が分かる。
北部に限定されたN'はカスミカメムシ全体の5割を示すのに対し南部限定のS'は全体の15%止まりである。
このことから、カスミカメムシがいかに北部の樹林帯に豊富かがうかがえる。
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本来ならばちゃんとした数式を用いて論じるべきかもしれないが
知識がないのでおおよそこんな感じ、というのを紹介したかった。
ヒラタカメムシにおいては、この傾向がさらに顕著となる。
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ヒラタカメムシ 28種
○北部全体N=27 (N' 16+NS11) ※N'は北部のみ NSは南部と共通した広域分布
○南部全体S=12 (S' 1+NS11) ※S'は南部のみ NSは北部と共通した広域分布
●N'16+S'1+NS11=28
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ツノカメムシは南部のみに産するような暖地性の種がいないので以下のようになる。
ツノカメムシ科 23種
○北部全体N=23 (N' 9+NS14) ※N'は北部のみ NSは南部と共通した広域分布
○南部全体S=12 (S' 0+NS14) ※S'は南部のみ NSは北部と共通した広域分布
●N'9+S'0+NS14=23
日本産ツノカメムシは一部を除いて広域分布を示すものが多く
栃木県産も例外ではない。半数以上が南北にかけて広く分布する。
しかし南部でも平地では数が少なく、主な分布は樹林のある程度発達する西部の山地となる。
栃木県に産しない種は
北海道のセグロベニモンツノカメムシ、北海道と長野産のElasmostethus brevis、
長野から記載されたアオツノカメムシ、本州南部から沖縄にかけて分布する
フタテンツノカメムシの4種となる。
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南部全体S=14の間違い
南部の下野市では数少ない雑木林に大型のAcanthosomaを産する。
セアカツノカメムシがもっとも普通で次いでヒメハサミツノカメムシが見つかる。
ヒメハサミツノは平地でもシデにつくと思われる。
オオツノカメムシ、フトハサミツノカメムシ、ハサミツノカメムシは稀ながら1,2頭が得られた。
そのほか栃木市からエゾツノカメムシが文献で記録されている。
ツノアカツノカメムシとミヤマツノカメムシ、未記載種は北部に産するため南部にはいない。
2種のモンキツノカメムシ類は平地にエサキモンキツノカメムシが
山間部にモンキツノカメムシとエサキモンキツノカメムシがいる。
ヒメツノカメムシ類はヒメツノカメムシ以外に
文献でクロヒメツノカメムシとアカヒメツノカメムシが鶴田沼から記録されている。
北部山地には多いが平地にもいるものなのだろうか。
残りのElasmostethusは広域分布のベニモンツノカメムシとアオモンツノカメムシ、
それとハリギリにつき局地的なヒメアオモンツノカメムシの三種がみられる。
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ヒラタカメムシは南部のみに見られる暖地系のものは少ない。
唯一アカヒラタカメムシが県南の雑木林、山間部から見つかった。
内陸県のため、南方系の要素が多いオオヒラタカメムシ亜科は乏しく、
Carventinae亜科、Calisinae亜科は産しない。
代わりに北半球で分化の激しいヒラタカメムシ亜科のAradus属が本県には豊富に産し
この1属だけで県内全体の半数を占める。
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ここまで北部に優勢なグループをいくつかあげてみた。
逆に南部に優勢、もしくは南北で数字に差のないグループは何であろうか。
ハナカメムシ科 25種
○北部全体N=13 (N' 5+NS8) ※N'は北部のみ NSは南部と共通した広域分布
○南部全体S=20 (S'12+NS8) ※S'は南部のみ NSは北部と共通した広域分布
●N'5+S'12+NS8=25
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ハナカメムシは南方で種類が豊富となり
本県にも平地性・暖地系の種類が数多く見られる。
栃木県全体では25種の生息が確認された。
南部のみに産する12種は全体のほぼ半数を占めており
北部のみに産する種が5種と20%にとどまっているのとは対照的である。
南部全体では20種となり、このことからも本科の暖地に優勢な面が見て取れる。
しかしながら旧北区で繁栄しているハナカメムシ亜科Anthocorini族だけを見た場合
本県産7種(2属7種)のうち北部ではAnthocoris属全6種が見られ、そのうち3種は北部だけに生息する。
南部からは2属4種が知られ、Elatophilus属1種だけが南部のみに生息し
残りのAnthocoris属3種は北部と共通している。
北部だけに生息するハナカメムシ科5種のうち3種が
ハナカメムシ亜科のAnthocorini族Anthocoris属に含まれているのは
この族・属が大陸性であることを証明している。
Anthocorini族の日本産は他にAnthocoris属の北海道産チャバネクロハナカメムシ、千島産のハリギリクロハナカメムシ
Acompocoris属に北海道・本州高山性のハイマツハナカメムシ
Temnostethus属に千島産のチシマシロモンハナカメムシ
Tetraphleps属に北海道・本州高山性のコガシラハナカメムシが知られる。
奥日光や那須の高山にはいくつか分布しているかもしれない。
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北部のみに産する残りの2種はいずれもLyctocorinae亜科のもので
一種はCardiastethini族のDysepictrius rufescensと思われる種。
日本では琉球から知られており本県のものは移入かもしれない。
アカマツから採集された1頭だけが知られている。
もう一種は純然たる在来種でクロバズイムシハナカメムシである。
Lyctocoris属の日本産2種はいずれも少なく珍しい。
そのうちクロバズイムシハナカメムシはキノコに関連する珍しい生態をしており
2004年までは立ち枯れのコメツガに着生したキノコから採集されたが
発生木が倒れてしまい現在は見ることが出来ない。
生息地周辺は環境が保持されており同様の立ち枯れのコメツガやモミも多数あることから
どこかで生息しているのは間違いないと思われる。
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ハナカメムシ亜科は日本産は2族に分けられ
Anthocoriniは大陸・旧北区に多く本県でも北部、寒冷地に優勢なことを確認した。
一方のOriiniは南方に種類が多く東洋・熱帯で分化している。
日本では南日本、南西諸島で種類が豊富となり
小笠原に固有属、南西諸島にも固有の亜属を含む固有種がいくつか見られる。
本県では南部を中心に少なくとも6種の生息が確認されており
北部のみに産する種はおらず、南部との共通種は3種。
南部には、共通種を含めた全6種が分布し、それぞれ固有の生態系を持っている。
モンシロハナカメムシ属Montandoniolaの基準種であるモンシロハナカメムシは従来一種として扱われ
他の種はシノニムで消えていたがこれは誤りで
酷似した数種で構成されていることが判明した。
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みてるよ!
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DXさん本物?
もし本当なら謝りたいことがあるんや。
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いろいろすまんかった!
これからもよろすく。
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なんか探索で面白いカメムシ撮れた?
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さむい
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県南各地のリスト作ってたら大変なことになった
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便宜的に定義した南部ライン以南から記録のあるカメムシ→408
そのうち山地性・準山地性のカメムシ→106
よって残りの約300種が平地の要素となる。
広域分布の種が多数を占めるが
一部湿地性、北限種、稀少種を含み分布の論じにくいカメムシもいる。
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南部ライン以北、主に日光地域とその周辺から記録のあるカメムシは511種。
それに那須地域のものを文献から拾い追加すると520を超える。
ムモンミズカメムシ、ミゾナシミズムシ、ハネナシアメンボ、アカシマサシガメ、アシナガサシガメ、
クロモンサシガメ、キイロサシガメ、イネクロカメムシ、
それと那須町から記録のあるヒメダルマカメムシ、ウスイロヨツモンカスミカメ
キベリマキバサシガメ、ブチヒゲツノヘリカメムシ、オオキンカメムシ、ヒメナガメ、ムラサキカメムシ。
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たかがカメムシ、されどカメムシであり
一人で県内をくまなく回るのは不可能、だからこれは予報にすぎない。
しかし20年30年とカメムシをやっていく上で
今現在分かっているデータをまとめることは無意味ではない。
かといってパソコンだけのデータで済ませてしまうのは忍びないから
こうして手書きで文書を残そうと、作業している。
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600種中530種近いカメムシが分布する北部地域は自然度の高さからもっともな数字であるが
半数近い300種が南部の平野にいることに驚く。
なかでも下野市は、ほかの昆虫の記録が皆無に近く
昔から調査者の興味に触れなかったことが分かる。
筆者が調査を始めて、一番最初にリストを作ったのが
高校三年の1999年、約10年前になるが149種であった。
その後の調査でさらに新しい種が見つかり、合併などもあって現在は244種を数える。
全国的に記録の少ないズイムシハナカメムシやコバネアシブトハナカメムシ、ジムグリツチカメムシや
平野部では記録の少ないダルマカメムシ、オオツノカメムシ
最近県内からの記録がないイネカメムシを含む。
これらすべてのカメムシは5年以上前に記録したもので
環境の変化などもあって、今現在追加することは難しい。
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積極的に踏み入れなかった環境を調査したり
採集視点を変えることで追加できたものもある。
樹幹は従来カメムシ類の採集では注目されなかったが
最近カスミカメムシやハナカメムシ、サシガメの珍種、未記載種が見つかってから
にわかに注目され始め、筆者も数年前から注意を払うようになった。
その結果下野市からはカモドキサシガメの一種Empicoris egregiusが見つかり
三番目のEmpicorisとして去年新記録となった。
近隣の地域ではほかにも別種が見つかっており
おそらく下野市内にも生息するものと考えられる。
環境はごくありふれたクヌギ・コナラの雑木林で
クヌギの樹幹の割れ目にいた幼虫を発見、羽化したものを後日同定した。
ただし個体密度は少なく、目が慣れるまでは見つけるのは至難の業である。
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下野市内は2本の主な河川が流れており
一つは田川で市内の東の外れ、流域は上三川町の境となる。
もうひとつは姿川で旧石橋町、国分寺町を流れる。
姿川は昔からのフィールドで草原性、地表性のカメムシは比較的よく調べていたが
河川本流はほとんど着目しなかった。
河川としては小さく河原も未発達なことから、河川環境を好むものは少ないと考え
過去にミズギワカメムシ類とアメンボ、チビミズムシ類などが記録されていただけだった。
去年細谷橋に流れ込む水門でオオアメンボを発見し
さらに数ヵ月後には細流にシマアメンボを確認した。
小規模な河原の石の下にはカワラムクゲカメムシも健在で
今まで見逃していたことになる。
雑木林の樹幹の例を含め、積極的に様々な環境で採集することが
どの地域、フィールドにも言及できる。
慣れてしまうとそうしたことが見えなくなってしまう。
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186 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:51:47
まだ調査を始めて10年もたっていないうえに
リスト作りを目的とした調査もしていないので
まだ予報の段階だが、南部だけでも
●南東部の山地
1. 益子町高館山
●中南部の平野
2. 下野市
3. 宇都宮市宮岡橋上流・東木代町-西刑部町
●南西部の山地
4. 佐野市豊代町
5. 佐野市唐沢山
6. 大平町下皆川打越林道
●南端部
7. 渡良瀬遊水地
●南西部の平野
8. 足利市迫間
187 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:53:30
南東部の山地についてはさらに
茂木町鎌倉山周辺、益子町大郷戸も加えておきたい。
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188 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:59:52
北部についてもそれぞれ湯元、菖蒲が浜、いろは坂より上部、いろは坂より下部、
馬返、萩垣面、船生(佐貫も含む)、龍王峡、土呂部、など区分けしてみるのも面白いかもしれない。
189 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 21:02:42
しかし調査の進んでいない地域は比較するのは早計かもしれず
まずは旧日光市の区域でリストをつくり
そこからさらに、いろは坂を境とした上部(中宮祠、菖蒲が浜、千手が浜、光徳、湯元)
下部(萩垣面、小倉山、馬返など)のリストをつくり、その差を比較すると何か見えてくるかもしれない。
190 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 21:13:03
予想されるのは、大陸にも分化し樹林帯を好むカスミカメムシやヒラタカメムシ、
ハナカメムシのクロハナカメムシ族、ツノカメムシ類はなどは豊富だが
平地・暖地に優勢なサシガメやヘリカメムシ、ツチカメムシ、カメムシはいろは坂上部では少なく
とくにサシガメに関しては記録が皆無かもしれない。
標高と気温から容易に導かれることだが、実際にリストアップすることで
どれだけの種類が、寒冷な地で生息適応しているだろうか。
いろは坂より下部では河川敷などを中心とした草原や河畔林、ブッシュが主な生息地となり
サシガメやグンバイムシの種類も増え、バランスの良い構成となるだろう。
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明後日が休みなのでその時にまたリスト下書きします。
下野市の244種は平野部のかなり広域な範囲で見た数字だけど
益子町高館山の202種は、狭い範囲としてはかなりの数だと思う。
とくにサシガメでここにしかいないような希少種もしくは分布北限が4種いるが
山間部に限られた分布を示すサシガメ全7種中の4種であるから、その比率の高さに驚く。
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県内では高館山でしか見つかっていないチャイロサシガメ、オオカモドキサシガメは
いずれも2006年に採れただけでその後はまったく追加できない。
全国的にも稀少で局地的な分布を示す。生態もよくわかっていないらしい。
高館山以外に、北東の茂木町鎌倉山でも発見された
チビアシナガサシガメは高館山では最近新たな生息環境も見つかるなど
個体数は比較的多いが局地的でどこにもいるわけではない。
この種も全国的に稀少で、産地は数えるほどしかない。
ヒメホソサシガメは暖地では比較的多いが
栃木県では高館山の山頂近くにある草原だけで見つかっている。
地表部に多数の個体がおり、近縁のミナミホソサシガメが混じるがごく僅かで
ヒメホソサシガメが圧倒的な数となる。
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西部の豊代、唐沢山、下皆川は150種前後と横並び。
高館山より少ないが共通した種も多く、基本は変わらない。
平野部に広く分布する種、山間部に生息する種、暖地性の種、めいめいに混じる。
西部だけに産する種は、北限となるもの、稀少種を含むが
カスミカメムシの多くは日光山塊の豊富なファウナが
そのまま標高を下げてこれらの地域まで広がっていると考えられる。
豊代における寒冷地性のナラオオホソカスミカメ、キベリナガカスミカメがこの例に当てはまる。
調査不足により東部との共通種が増えないのかもしれないが
高館山での幾多の調査を考えると、地史的な要因も排除できない。
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西部の特徴として次の点を考えてみた。
もちろん東部にもいないとも限らないから、この定義は極めてあいまいマインである。
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1. オオホシカメムシ科が2種とも分布する。→平野部、山間部ともにこの傾向があり、その地域は温暖
以下は山間部
2. 二種のホソカスミカメが分布する→オオヒキヨモギとクサイチゴにつく種。オオヒキヨモギは崖地、地質的な要素。
3. ルイスチャイロナガカメムシ、ヒサゴナガカメムシが分布する→東部よりさらに温暖
4. マダラカスミカメの存在→なぜか東部にはいない。
5. キタダルマハナカメムシの欠如→東部ではメダカダルマハナカメムシとセット。メダカダルマは僅かに足利のみ。
4と5はまだ不安定、とくに5は今後発見される可能性が高く消えてしまうかもしれない。
なぜ東部の高館山にマダラカスミカメがいないのだろうか。烏山まで行くと生息している。
八溝から下ってきたのだろうか?ちなみに高館山・鎌倉山より北の八溝地区には他にもキベリヘリカメムシ、
さらに茨城側にはアザミグンバイまでもが生息しており、寒冷地の要素が見られる。
那珂川が分布を分かつ?
123は安定した特徴と考えられる。
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最近は東部だけと思われていた暖地性のウスイロカモドキサシガメが
西部の唐沢山からも見つかった。
このように東部と西部の両端に北限があるカメムシは、
西部のみに北限のある種よりは寒冷地への適応が強いのではないだろうか。
あくまで仮説なのだが、かつて東部の高館山近辺だけで知られていたモンキツノカメムシがいる。
これは去年、西部の唐沢山でも見つかり東西での分布が明らかとなったが
その後さらに県北の日光市でも複数地点から生息が確認され
内陸の寒冷な地域まで伸ばしていることが判明した。
ウスイロカモドキサシガメも近縁種が県北から発見されたので
両者のギャップを埋めるためにも、県央からこの類の発見が期待されるが
おそらくはウスイロカモドキサシガメが勢力を伸ばしている可能性が高い。
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いろいろ予想は尽きない。
明後日休みなのでまたお付き合いください。
おやすみなさい。
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さむしんぐえるす
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東部地域の比較が高館山単体だけでは寂しいので
益子町大郷戸それと茂木町鎌倉山周辺も加える。
そのうえで、東部と西部を比較したとき以下の点が共通した。
1. コナラにミイロカスミカメ、ツヤヒョウタンカスミカメ、ウスバツヤカスミカメがつく→代表的な種
2. 落ち葉層にヤスマツチビナガカメムシ、ケシナガカメムシが生息する→暖地性、または砂質の土壌性
3. ヌルデに2種のGorpis属マキバサシガメを産する→捕食性の大型カメムシ
4. アズキヘリカメムシが見出される
5. 南部地域で唯一のミドリカスミカメ類であるコモンミドリカスミカメの生息
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この共通点とは、東部と西部の山間部を比較したものであり
平野部の普通種は含まない。
平野から一続きになった低い山地なので
当然平野部との共通種も多いことは論をまたない。
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アズキヘリカメムシが東西の山間部に残っているが
平野部でもかつては記録があった。
大豆の害虫とされているが、栃木県での記録は少なく日光市今市と足利市の2例だけだった。
2003年に岩舟町で枯れ葉のついた枯れ枝から複数のアズキヘリカメムシを採集し
その後近隣の大平町下皆川、佐野市唐沢山にも生息することが分かった。
特に唐沢山にはノアズキが繁茂している場所があり、本種も安定して発生している。
南東部にもいて、茂木町鎌倉山、益子町高館山が産地としてあげられる。
ビーティングで散発的に採れ、ホストから得たことはない。
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西部のみに生息するカスミカメムシは14種と、東部の1種に比べ格段に多いが
それはファウナの豊富な日光地域からの要素が分布を広げているためだと
>>494で示唆した。
東部の山塊は日光地域からは切り離されているため
カスミカメムシ単体での構成種は少なく
西部との共通種がほとんどであり、東部のみに生息する種はモンシロハシリカスミカメのみ。
この種も北海道や青森から記録されていて
県内で局地的なのは調査不足に起因するもの。分布限界ではない。
西部は日光地域から続く山塊ということでかなりの低標高まで
カスミカメムシ類が生息を広げている。
では、具体的にそれぞれの種類について考察してみよう。
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南部ラインに分布するカスミカメムシのうち
●南西部の山地にのみ分布するカスミカメムシ(南東部からは未記録) 14種
ナラオオホソカスミカメ
キベリナガカスミカメ
ウンモンカスミカメ
ホソカスミカメ1
ホソカスミカメ2
クロスジツヤカスミカメ
リュウキュウヒゲナガカスミカメ
シオジツヤマルカスミカメ
コアカソカスミカメ
モモアカハギカスミカメ
ツマグロハギカスミカメ
マダラカスミカメ
オオミドリカスミカメ
ヒノキカスミカメ
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このうち、ホストと強いつながりを持ちなおかつ寒冷地の遺存的要素と思われるもの
ナラオオホソカスミカメ
キベリナガカスミカメ
2種とも佐野市豊代から記録されている。
この地域はモンゴリナラが生育することで区別され、古くから知られていた。
葉の大きなナラ類でミズナラに似ている。
このカスミカメは県内では他に奥日光のミズナラから見つかっており、
とくにナラオオホソカスミカメは近縁種とともに標高1000m近い寒冷地のみの分布となっている。
豊代ではミズナラのかわりにモンゴリナラをホストとしていると考えられ
他にもこうした要素が隠れているかもしれない。
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北部と共通するが寒冷地だけにかぎらず、より広く産する種
ウンモンカスミカメ
クロスジツヤカスミカメ
シオジツヤマルカスミカメ
コアカソカスミカメ
モモアカハギカスミカメ
ツマグロハギカスミカメ
マダラカスミカメ
ヒノキカスミカメ
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東部に産することが予想される種で
特に分布の広いマダラカスミカメやハギにつくモモアカハギカスミカメ、ツマグロハギカスミカメは
高館山からも記録される可能性がある。
ウンモンカスミカメは西部では大平町下皆川に知られていて
ヌルデからアカホシメダカカスミカメとともに採集される。
県北では日光市龍王峡のクルミから採集された。
北海道から記載された種で、寒冷地にも適応している。
クロスジツヤカスミカメは稀少で情報不足だが
西部では大平町西山田から記録されている。すべての個体がシデから採れている。
北部では日光市龍王峡で採集された。
ハンノキなどから採れたがシデの類も周囲には多いので
おそらくシデが関係するのではないかと思われる。
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シオジツヤマルカスミカメは奥日光では西の湖に多く
ヤチダモから多数の個体が見つかる。
西部では足利市赤雪山からの記録があるが
この近辺はシオジ林が多く、このカスミカメも植生と結びついて分布を可能にしているのだろう。
コアカソカスミカメは佐野市豊代、唐沢山から記録されている。
いずれも崖地のコアカソ、シソ類に見つかる。
北部では日光市で見つかっている。
分布は局地的で、シソ類に必ずいるわけではなく
もしいたとしてもほとんどがクロバカスミカメばかりである。
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モモアカハギカスミカメは記録が少ないが
佐野市唐沢山で複数得られている。
これまで北部の日光市小倉山で採れていただけだった。
ハギの類から採集されるがまとまって採れたことはない。
ツマグロハギカスミカメも北部では日光市小倉山、鹿沼市大越路峠などから記録されていた。
最近南西部の佐野市豊代からも記録された。
ハギの花から採れるApolygusは東部、西部の共通種が
ニセフタモンアカカスミカメ、ウスイロツヤマルカスミカメの二種。
ニセフタモンアカは北部でも個体数が多く最普通種。
そして西部のみがモモアカハギカスミカメ、ツマグロハギカスミカメとなり
北部とも共通しているが個体数は少ない。
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マダラカスミカメはもっとも普通なカスミカメの一つで
暗い林道や雑草地の植物に多数見られる。
平野部には産せず北部、西部の山地から山間部にかけて多い。
東部の鎌倉山や高館山からは見つかっておらず
分布要因はどうなっているのか分からないが、調査不足の可能性も高く言及できない。
ヒノキカスミカメは従来日光市五十里から知られていて
ヒノキの分布からは、県北だけに産することは同意できなかったが
最近南西部の佐野市豊代からも見つかり、分布の空白がうめられた。
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県内でも西部だけに分布が限られ、北限に近い分布を示す種
リュウキュウヒゲナガカスミカメ
オオミドリカスミカメ
この二種は関東南部が北限と考えられていたが
前者は大平町下皆川から、後者は佐野市唐沢山からそれぞれ記録された。
リストに含めていないが、下皆川には暖地性のヨツボシカスミカメを産する。
渡良瀬遊水地にもいるこの種も、太平洋側では関東南部が北限だった。
ヨツボシを含めた三種はいずれもホストとのつながりが強い。
リュウキュウヒゲナガはクズ、オオミドリカスミカメはカヤ、イヌガヤ、
ヨツボシカスミカメはヘクソカズラにつく。
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県内で西部に分布が限られるが未記録種のため分布が論じられない種
ホソカスミカメ1
ホソカスミカメ2
オオヒキヨモギにつくホソカスミカメとクサイチゴにつくホソカスミカメは
それぞれ佐野市豊代、佐野市唐沢山、大平町西山田、大平町下皆川から見つかっているが
東部ではホストが生えているものの(クサイチゴ)、記録がない。
産地での個体数は多いが幾分局地的な面もあり、
もしかすると東部でも記録される可能性がある。
二種とも未記録種で、国内での分布も分からない。
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東部と西部では、森林を構成する樹木の共通種としてアカマツを忘れてはいけない。
そしてこのアカマツに結びついたカメムシは
東西では全てが共通しており、大きな差は見られなかった。
参考までにあげておくと
マツトビカスミカメ 東部:益子町 西部:佐野市 大平町
マツノヒゲボソカスミカメ 東部:益子町 西部:佐野市 大平町
ヒラタハナカメムシ 東部:益子町 西部:佐野市
マツヒラタカメムシ 東部:益子町 茂木町 西部:佐野市 大平町
マツコヒラタカメムシ 東部:益子町 西部:佐野市 大平町
マツヒラタナガカメムシ 東部:益子町 西部:佐野市 大平町
このようになる。
北部との共通種はヒラタハナカメムシを除くすべての種だが
ヒラタハナカメムシもアカマツの分布からは北部にもいるだろう。
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マツヒョウタンカスミカメが抜けていた。
この種は平野部や日光市からも記録があり、
南部では南東部の益子町から採集されている。
しかし南西部の分布が抜けている。
分布域からは当然産するであろう。
チビクロハナカメムシは山間部にはいないが
塩谷町、宇都宮市の記録からすれば、少数ながらもいるかもしれない。
県北のアカマツだけに見られる種類は県南では見つからないのだろうか?
可能性はゼロではない。
参考までに記しておく。
Plesiodema gotohi 那須町 塩谷町
マツケブカカスミカメ 日光市 那須町
ズグロマツカスミカメ 日光市 鹿沼市
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招待状なくてもmixi入れるのか来月から
でもカメムシ関連のトピは賑わってるのだろうか
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ファウナのお話が終わったら
今度は観察地ごとにそれぞれどんな植物にいるか紹介したいですね
生態のお話になります
県南まだまだ終わらん
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Kさんのアカホシカメ類の報告読んだり
JJSEの論文アブストラクト読んでたら
南西諸島から結構未記録が追加されてた
ダルマホシ ハレギアカホシ オオアカホシ
それとイトカメ、ホシカメの他種、オオホシカメの仲間。
オオメカメの近縁種は知ってた。
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県南の大体の値
県南全体 408
●県南東部 250
●県南部平地 300
●県南西部 200
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平地はもっとも多くのカメムシを産し
草原・森林・水環境すべてにそれぞれの種が進出している。
温暖化などで北上あるいは物流に乗って移入した種が広がるなど
常に変化の場ともなっている。
里山や河川敷、堤防など人手の適度に入る環境には数多くのカメムシを産し
いわゆる広域分布型の普通種で大半を占めるが、分布の限られた極めて珍しい種類も含まれる。
南部に残された遊水地も同様に、分布局限された種の数少ない多産地として注目される。
南東部・南西部の低山地は平地に比べ森林面積が大きく
平地には見られない山地性の要素を多く含むが
草原や水域の発達は乏しく、標高も低いために本格的な山地とはならない。
そのため、北部山地、南部平地に比べトータルでの種類は少なくなる。
分布の北限またはそれに近い分布を示す種類が多いことが特筆できる。
未記載・未記録種もいくつか見つかっており、学問の観点からも興味ある地域となっている。
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来月もお休みします。
活動は四月から。
定点観測止めようと思うけれど
リスト作りの観点から続けるべきか迷っている。
ライトトラップ、もうあらかじめ組まれている
クシクラゲみたいなスタンド型のやつ、いいかも。
光源はエネループのライトがあればいいのだけど・・この辺は全然知らないのや。
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とりあえずまとめることのできた地域の、暫定数字を以下に示す。
10年にも満たないスパンでの、しかも不確定な調査で恥ずかしい限り。
長年調べられている方々のデータを基にした報告を見ると頭の下がる思いだ。
しかし20年30年後、それより後の世界でも
まだ自分が虫をやっているなら、今まとめているデータは無にはならないと思うので、
これからも手探りながら調査はしてゆく。
ただ、昆虫学の知識がないので把握している虫たちを
数字を使って解析できないのが歯がゆい。多様度とか類似性というのか。
テキストがあれば出来なくもなさそうだけど。
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栃木県全体 604種
○日光市を中心とした北西部地域(那須除く) 501種
○南部地域 408種
以下、集計がほぼ終わった南部地域について紹介する
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南部地域とはすでに示したように
足利-佐野-栃木-宇都宮-真岡-茂木ライン以南で
平野部、それと茂木・益子の南東部山地、佐野・足利・大平などの南西部山地、南端の遊水地を含む。
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南部地域 408種
○南部のみに分布が認められる種 99種
○南部と北部で共通している種 308種
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南部地域 408種
○山地に生息する種(偶産種、または稀に平地にも見られるもの含む) 106種
●山地だけにみられる種 73種
●平地でも見つかったが偶産、もしくは少数が平地にいる種 33種
○山地、平地ともに見られる・もしくは平地だけにいる種 302種
※線引きが難しい場合も多く、このカテゴリーわけは厳密でない部分もある。
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各地の種数
○南東部山地
茂木町鎌倉山・大瀬 114種
益子町高館山 202種
益子町大郷戸 114種
益子町大川戸 26種
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○南部平野部
宇都宮市鬼怒川宮岡橋上流 203種
下野市 245種
渡良瀬遊水地 177種
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○南西部山地
佐野市豊代 142種
佐野市唐沢山 151種
大平町下皆川 150種
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193 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 14:20:00
高館山と宇都宮鬼怒川で大体同じ数字になったけれど
宇都宮の場合は近隣の下野市の数字と比較すると
環境の類似性からもう少し増えて250前後になると思われる。
一方の高館山も周辺地域の記録を見ると、同じく250前後に落ち着くだろう。
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195 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 15:08:05
高館山を含めた南東部三地区(高館山、益子町大郷戸、茂木町鎌倉山)で共通
もしくは二地区、その周辺で共通した、県内から記録の少ないカメムシは以下の通り
○暖地性
Amphiareus ruficollaris
ヒメハリカメムシ
モンキツノカメムシ
○寒冷地性
アラゲオオヒラタカメムシ
○希少種
キタダルマハナカメムシ
メダカダルマハナカメムシ
チビアシナガサシガメ
○その他局地的な分布
ミヤモトマルグンバイ
196 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 15:11:16
南東部のみに分布するのはAmphiareus ruficollaris、ヒメハリカメムシ
チビアシナガサシガメ、ミヤモトマルグンバイで
国内ではごく産地の少ないチビアシナガサシガメを除く3種は西日本に分布の中心がある。
いわゆる北限に近い分布。
ただしどの種も西部には分布している可能性が強く
この区切りは暫定的なものである。
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197 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 15:14:42
南西部の二地点以上で記録があるものの
南東部では記録がなく、高館山にも産しないものは以下の通り
ウンモンカスミカメ
ホソカスミカメ1
ホソカスミカメ2
コアカソカスミカメ
モモアカハギカスミカメ
ツマグロハギカスミカメ
ルイスチャイロナガカメムシ
ヒサゴナガカメムシ
198 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 15:19:47
ホソカスミカメ類は二種とも特定の植物と結びつき
東部にもその植物は生えているが、全く見つからなかった。
北限分布のナガカメムシ二種は西部までは達したものの、東部にはまだ到達できていないようだ。
しかしながら高館山を含む東部と西部で共通した北限性の種は多く
どちらかといえば、両者が北限となっている種のほうが
より寒冷な内陸、北部にまで分布を及ぼしている場合が見受けられる。
例えばガマカスミカメはアカメガシワにつく暖地性要素だが
北部の日光市まで分布している。
モンキツノカメムシもエサキモンキツノカメムシより暖地を好み
栃木県では東部・西部の山間部に知られるだけだったが
実際はより内陸にもいて、日光市でも採集された。
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199 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 15:27:34
このように、いくつもの要素が重なって
高館山のカメムシを特徴づけている。
高館山単体で見た場合、ここからしか記録のないカメムシは以下の通り
○北限
ヒメホソサシガメ
○分布稀少
チャイロサシガメ
オオカモドキサシガメ
○その他
モンシロハシリカスミカメ
200 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 17:05:35
ヒメホソサシガメは関東南部以南から、モンシロハシリカスミカメも
北海道以南から記録があるので、高館山以外にも産している可能性がある。
両者とも草原の地表部におり、モンシロハシリの近縁種モンキハシリは
宇都宮市から上三川町にかけての鬼怒川堤防に多産する。
ヒメホソサシガメは県内では高館山からしか見つかっていない。
チャイロサシガメは分布は広いが記録は少なく
関東では東京や離島で見つかっている。
ライトトラップで採れたものが多く、生態は明らかにされていない。
色彩変異が二つあり、南西諸島のものは異なるが形態的な差はないらしい。
201 名前:Aelia ◆mYl7EDbJMI[sage] 投稿日:2010/02/24(水) 17:06:57
オオカモドキサシガメは古くから記載されたが産地は少なく
関東では小田原や東京の記録がある。
この種も詳しい生態は分かっていない。
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以上を踏まえると、高館山は平地性・山地性の種類をベースにしながら
北限分布の種、稀少種、寒冷地系の種を交えた構成となる。
なかでも高館山からしか記録のない珍種もおり
とりわけサシガメ科に集中しているのは興味深い。
○高館山周辺が県東部の北限となる、暖地性のカメムシ
ネムチビトビカスミカメ
ガマカスミカメ
Amphiareus ruficollaris
ユミアシハナカメムシ
マツムラグンバイ
ヒメホソサシガメ
ウスイロカモドキサシガメ
Arbanatus sp.
ヤスマツチビナガカメムシ
スコットヒョウタンナガカメムシ
オオホシカメムシ
ヒメハリカメムシ
モンキツノカメムシ
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○希少な種
ヒイロカスミカメ
イッカクカスミカメ
メダカダルマハナカメムシ
ヒラタハナカメムシ
チャイロサシガメ
オオカモドキサシガメ
チビアシナガサシガメ
ハイイロヒラタカメムシ
キモンナガカメムシ
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○寒冷地系の種
キタダルマハナカメムシ
アラゲオオヒラタカメムシ
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高館山産カメムシ目録
クビナガカメムシ科
1. ヒメクビナガカメムシ
平野部から山地にかけて分布する普通種で
幼虫をよく目にする。高館山では落ち葉層から採集された。
クロクビナガカメムシもおそらく見つかるであろう。
ムクゲカメムシ科
2. ムクゲカメムシ
落ち葉層に見られる黒い種。
3. ムクゲカメムシの一種
♂と♀で形が異なる種で落ち葉層にいる。この二種は県西でも類似の環境に見出される。
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イトアメンボ科
4. ヒメイトアメンボ
アメンボ科
5. ヒメアメンボ
死骸がクモの巣などから時折見つかる。移動性に優れているのだろう。
6. ヤスマツアメンボ
山頂近くの湿生植物園跡にいる。暗い場所を好む習性で周年発生している。
川や沼がないので水生カメムシは極めて貧弱となる。
文献では近くの芳賀青年の家でタガメの記録がある。
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カスミカメムシ科
7. ダルマカメムシ
下草から得られた。サクラが近くに多く、コナカイガラムシを食すると思われる。
8. コモンキノコカスミカメ
西明寺の暗い林で枯れづるから幼虫が採れた。
9. クロキノコカスミカメ
枯れ木のキノコに比較的普通。
10. ガマカスミカメ
アカメガシワに発生する。夏に多い。
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11. ケブカキベリナガカスミカメ
代表的な樹種、コナラに発生する。
12. ヒイロカスミカメ
シデ類につく。広場の細いシデから自生の太いシデに見られ、選択制は比較的広い。ただし少ない。
13. アカホシメダカカスミカメ
県西ではヌルデに多いが高館山では散発的に他の樹木から得られる。
14. ツヤヒョウタンカスミカメ
コナラに発生する。
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15. マツヒョウタンカスミカメ
アカマツにつく。広場のアカマツには多く、幼虫もよく観察される。
16. クロヒョウタンカスミカメ
雑草につく。木から採れることはない。
17. イッカクカスミカメ
アオダモの幹に幼虫がみられた。その後の追加はない。
18. モンシロハシリカスミカメ
ススキの草原におり、地表部の暗い所にいる。幼虫は赤く、見つけやすい。
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19. チャイロホシチビカスミカメ
スギから採れるが叩けるような枝が少なく、高館山ではまれ。
20. コミドリチビトビカスミカメ
ヨモギなどの雑草にいる。
21. ネムチビトビカスミカメ
ネムノキにつく。夏以降は見られない。
22. コブヒゲカスミカメ
コナラに発生する。高館山においてもトップバッターで早い年では四月末に成虫が出る。
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23. マツトビカスミカメ
いろいろなサイズのアカマツ樹上に見出される。
24. キアシクロホソカスミカメ
コナラに発生する。ケブカキベリナガより遅れて出る。
25. ムグラホソカスミカメ
カナムグラにつく。
26. ヒメヨモギカスミカメ
ヨモギにつく。
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【昆虫】「悪いやつ扱いされてかわいそう」 ゴキブリ90種を一堂に…「ゴキブリ展」伊丹市昆虫館で開催 大阪
h ttp://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1267164636/
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間違えました
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27. ベニモントビカスミカメ
コナラから採れるが少ない。どこでも少ないPsallus。
28. クリトビカスミカメ
平地で採れる触角が淡色のものとは違うかもしれない。コナラにつく。
29. クヌギトビカスミカメ
コナラから採れたが少ない。
30. Psallus sp.
シデに発生する黄緑色の種。まだ見つかって日が浅いが、県西部でも同様にして採れた。
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31. クロツヤチビカスミカメ
高館山を含めた南部山間部の個体はアカメガシワから得られる。日光地域では様々な木にいる。
32. クビワシダカスミカメ
シダに見られる。普通。
33. ズアカシダカスミカメ
本種もシダにつき、より普通にみられる。
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34. マツノヒゲボソカスミカメ
アカマツに生息する普通種。
35. ケブカアカツヤカスミカメ
様々な植物から採集される。
36. ウスバツヤカスミカメ
コナラから得られる。
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37. ヒコサンテングカスミカメ
本種もいろいろな植物上に見出される。
38. ブチヒゲクロカスミカメ
文献記録。平地から山地にかけ普通。
39. ヒゲナガカスミカメ
クズから採集される。
40. クロバカスミカメ
様々な植物から得られるが日陰を好む。成虫越冬する。
41. コアオカスミカメ
ヨモギなどにいる。
42. ウスイロツヤマルカスミカメ
ハギなどから採集される。
43. ニセフタモンアカカスミカメ
ハギの花にいる。
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44. コモンミドリカスミカメ
ハギの花から採集される。
45. ミイロカスミカメ
コナラにつく。
46. オオチャイロカスミカメ
いろいろな植物から採集される。
47. オオクロセダカカスミカメ
秋に日陰の植物から採集される。
48. フタスジカスミカメ
道路脇の単子葉類に発生していたがまれ。
49. アカミャクカスミカメ
文献記録による。
50. ナガムギカスミカメ
シダから得られたが越冬個体であった。
カスミカメムシの特徴としては、調査期間が長いために46種と、ほかの地域に比べ多いが
構成種は西部山間部と共通したもの、または平野部との共通種が多く
暖地性の種類はきわめて少なかった。
また高館山、周辺部に固有的な分布を示すものも1種のみと少ない。
カスミカメムシの豊富な日光山地からは平野部を挟んで隔離されていることが
この地域の特徴でもあり、日光と山続きでつながっている西部にみられるカスミカメムシは
約15種だが、高館山など東部では全く見ることが出来ない。
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51. ホシチビカスミカメ
いろいろな植物から採集される。
52. ヒメセダカカスミカメ
本種もいたるところに多い。
ハナカメムシ科
53. キモンクロハナカメムシ
54. ヒラタハナカメムシ
アカマツから幼虫とともに得られた。新成虫と考えられる。アカマツにつくことが分かり産地が増えてきた。
55. キタダルマハナカメムシ
5月に成虫が出る。ガマズミ類から得られることが多く、次種とともにスイカズラ類に関連している気がする。
56. メダカダルマハナカメムシ
7-8月にかけて成虫が出る。高館山ではスイカズラからよく得られる。
57. ヒメハナカメムシ類
いろいろな植物から採集される。
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58. ヤサハナカメムシ
カメムシの中ではもっとも普通の種で1年を通して採集される。枯れ葉に多い。
59. モリモトヤサハナカメムシ
草原のススキなどから採れる。明るい環境に多い。
60. Amphiareus ruficollis
最近東南アジアにも広く産することが判明した。県内では高館山周辺のみに限られ、比較的多い。
61. ユミアシハナカメムシ
県内では南部に限られる。枯れた植物から得られたがまれ。
62. ケブカハナカメムシ
アカマツなどの湿った朽木に多く樹皮下に生息している。
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ハナカメムシ類はクロハナカメムシ族の54,55,56が注目される。
県内には局地的ながらも広く産するが
3種がまとまって記録されているのは自然度の豊かさを反映している。
暖地性の要素としてはCardiastethini族の60,61が該当する。
特に60は高館山のほかに益子町大郷戸、大川戸、茂木町鎌倉山の南東部だけで記録があり
グンバイムシ科のミヤモトマルグンバイに似た分布パターンを示す。
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マキバサシガメ科
63. キバネアシブトマキバサシガメ
ススキ草原の地表部にいるが少ない。
64. アカマキバサシガメ
灌木から採集される。
65. ベニモンマキバサシガメ
本種も同様にして灌木から得られる。
66. コバネマキバサシガメ
日陰の植物からよく採集され、もっとも普通の種。
67. ハネナガマキバサシガメ
草原の地表部にいる。
マキバサシガメは、山間部の特徴的な64,65,66を産し
ススキの草原には、平野部にも共通した草原性の63と67がみられる。
以上、基本的な構成となっており特筆すべきことはない。
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グンバイムシ科
68. オオウチワグンバイ
69. ウチワグンバイ
地表部に見られる。
70. ヤブガラシグンバイ
71. アワダチソウグンバイ
最近見られるようになった移入種で拡散が著しい。
72. ヤマコウバシグンバイ
-
73. ナシグンバイ
74. ツツジグンバイ
植栽のツツジにいる。
75. トサカグンバイ
ネジキから見つかることが多い。
76. マツムラグンバイ
南部の山間部に多いが、南東部では高館山だけで見つかった。クマノミズキにつく。
77. ヒメグンバイ
コナラにつく。
78. クチナガグンバイ
西明寺で採れている。ぶら下がった枯れ葉の中で越冬していた。
グンバイムシも普通種が多く、マツムラグンバイを除くすべてが
平野部にも産する広域分布種だった。
温度の面から、マツムラグンバイだけが暖地性の種として指標に上がった。
近辺ではミヤモトマルグンバイが見つかっており、おそらく高館山にも産するものと考えられる。
-
サシガメ科
79. ヨコヅナサシガメ
サクラの樹幹に幼虫がみられる。
80. アカサシガメ
初夏のころ多い。
81. オオトビサシガメ
越冬のため建物に集まる個体を目にする。
82. シマサシガメ
初夏のころ多い。幼虫越冬するので冬に見つかることもある。
83. ヤニサシガメ
アカマツから得られるほか、越冬中の幼虫もよく見つかる。
-
84. トビイロサシガメ
ススキ草原に見られ、地表性。86,88とともに生活する。
85. ホソサシガメ
山間部の暗い環境に見つかり、スゲの株元や落ち葉の中から採れた。
86. ミナミホソサシガメ
ススキ草原に生息し前種とは好む環境が異なる。
87. ヒメホソサシガメ
もっとも多いトビイロサシガメ亜科で、草原の地表にいる。幼虫越冬する。県内では高館山のみ。
88. チャイロサシガメ
2006年に2頭採れただけで追加はない。土壁の中にいた。県内では高館山以外知られていない。
-
89. ヒメマダラカモドキサシガメ
最も多いEmpicorisで枯れ葉の中から見つかる。
90. コブカモドキサシガメ
ケヤキやシデの大木樹幹にいて、コケの生える場所を好む。枯れ葉の中には潜らない。
91. オオカモドキサシガメ
稀なEmpicorisで枯れたキヅタの葉から3頭採れただけ。追加個体は現在までに採れていない。
92. Empicoris maeharai
分布は広いが散発的にしか採れない。高館山ではススキやキヅタの枯れた部分にいる。
93. Empicoris spectabilis
比較的多く分布も広い。いろいろな枯れ葉から採集される。
-
94. チビアシナガサシガメ
土壁の中や落ち葉層など、小昆虫が発生しやすい環境に見られる。国内では稀だが高館山には多い。
95. セスジアシナガサシガメ
地表部にいるが少ない。
96. アシナガサシガメ
地表部やスゲの枯れた部分にいて、前種より多い。
97. ウスイロカモドキサシガメ
西明寺の森林にいる。スゲの枯れた部分で生活する。常緑樹からはいまのところ採れていない。
-
94. チビアシナガサシガメ
土壁の中や落ち葉層など、小昆虫が発生しやすい環境に見られる。国内では稀だが高館山には多い。
95. セスジアシナガサシガメ
地表部にいるが少ない。
96. アシナガサシガメ
地表部やスゲの枯れた部分にいて、前種より多い。
97. ウスイロカモドキサシガメ
西明寺の森林にいる。スゲの枯れた部分で生活する。常緑樹からはいまのところ採れていない。
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良子
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間違えた
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98. フタスジユミアシサシガメ
地表部にいる。幼虫は冬によく見つかる。
99. クロモンサシガメ
地表部からよく見つかる。
サシガメ科は22種と、一つの地域としては突出して多い。
注目すべき種としてはチャイロサシガメ、オオカモドキサシガメ、チビアシナガサシガメがあり
いずれの種も全国的に数が少なく、栃木県でも高館山及びその近辺でしか得られていない。
どうしてこのような多様性を示しているのか、興味が持たれる。
気温の面から、暖地性のウスイロカモドキサシガメが北限に近い分布を示す。
この種は最近南西部からも記録された。
地表部の調査は草原では回数が多いものの
林内の調査は遅れているため、ビロウドサシガメ亜科などの追加が期待される。
-
100. アカシマサシガメ
ヒラタカメムシ科
101. ツヤアカヒメヒラタカメムシ
アカメガシワの枯れ枝にいるが少ない。
102. マツコヒラタカメムシ
アカマツのヒトクチタケにいるが高館山では少ない。
103. マツヒラタカメムシ
前種に準ずる。
104. ノコギリヒラタカメムシ
時折得られるが倒木が少ないので見る機会は少ない。
伐採できるような斜面がなく急であることから、開発を免れてきたように思われる。
105. ハイイロヒラタカメムシ
FITトラップで得られた1♂のみが知られる。他に日光市から1♀が採れただけで稀。
-
106. Arbanatus sp.
倒木の下にいたもの。最近は倒木も朽ちて本種もいなくなった。
107. クロヒラタカメムシ
前種と同じ環境にいるが適応できる環境は広く、現在も見られる。
108. アラゲオオヒラタカメムシ
ヒラタケの生えた蔓にみられ、5年連続して発生している。
109. トビイロオオヒラタカメムシ
110. イボヒラタカメムシ
アカマツに生えたカワラタケ状のキノコにつく。
ヒラタカメムシ科は10種が知られいずれも広域分布種からなる。
そのうちハイイロヒラタカメムシは稀で他に日光市からの記録があるのみ。
Arbanatus sp.は南部ライン以南にみられ、世界に産する本属中最も北に分布する。
他の9種は北部にも広く産することが知られている。
地理的にみて興味深いのは、県内では北部に中心のある
アラゲオオヒラタカメムシが南東部の山地まで分布を広げ、高館山周辺にまで広がっていることで
佐野市など南西部からは発見されていない。
ただし近縁のオオヒラタカメムシは鹿沼市粟野地区まで標高を下げているし
文献では足利市の記録もあることから、定義にはさらなる調査を要する。
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