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生贄の祭壇
1
:
邪神様
:2015/06/27(土) 22:28:10
シクレとか気にして表に出しづらい応援はここに捧げると良い
2
:
冥王星
:2015/07/01(水) 02:36:00
員登場SSです(断言)
◇◇◇
「あぁ、今日も空気がうまい。邪神様の復活の日が近いということだろう」
歌川灰斗は大仰な仕草で天を仰げながら、満足気に呟く。
もっとも、天の頂点に存在するはずの恒星は今は地に堕ち、その空は暗然たる様子である。しかし敬虔なる信徒である灰斗はそうした異常事態すらも邪神復活の兆候であると解釈し、歓迎し祝福するかの様に目を細めた。
「あぁ、素晴らしい空模様だ。今日も今日とて、邪神様の為に我が美声で聖歌を捧げることができそうだ」
一度、掃き溜めを覗くかの様な侮蔑の視線を労働バーを回している強制労働者に向けた後、彼は歌い出した。
「〜〜〜♪」
それは、邪神を賛美する歌。
灰斗はこの歌を歌うことで邪神への信心を増すことのできる魔人能力を持つ。
この能力によって、彼は無辜の民や異教徒に邪神への信心を刷り込み、強制的に労働させることを可能としているのだ。
(一度、歌による教導を怠った際は悲惨な目にあったからな……)
彼は、約一年前のことを思い出す。
それは、うだるような暑い真夏日のことであった。
◇◇◇
「糞! 糞! 糞! 屑めっ!!! 役に! 立たん塵共が! 貴様等如きの生まれた意味など! 邪神様に使われるために決まっておろうが! その程度の! 役目さえ! 果たせんとは度し難い!!!」
ガッ、ガッ、ガッと連続する暴力的な音。
灰斗が労働者を革靴で何度も踏みつけているのだ。
その労働者は、暑さの為か労働バーを回している最中に倒れたのだ。
「死ね! 死ね! 死んで詫びろ! 豚にも劣る貴様らが! 邪神様の復活を邪魔しおって!!! この世に! 邪神様を復活させる以外の法などない! 天下の道理だ! 弁えろ!!! 滅びぬ! 蘇る! あってはならんのだ! そんなこと!!! 邪神様は不滅だ! 舐めるなよ屑めらがァ! 誰にも負けん! 不可能はない!!!」
灰斗は激昂していた。
労働者は一般教徒にも劣る存在だとは思っていたがここまで役立たずであったのか、と。
「邪神様以上の存在などこの世にいない! 封印されたままでいいはずが無かろうが!!! 役に立て! 生贄となれよ貴様等! 邪神様が復活する為ならば、残らず塵共!!! 磔に処してくれる! それ以外、すべてに何の意味があるというのだ! ありなどしない! 邪神様は必ず! 復活し救世主とな――ぐあッ!!!」
蹲る労働者をひたすらに蹴り続けていた灰斗であったが、突然横から殴られた。
「――ふざけんじゃねぇ! 人を何だと思ってやがる! 何が邪神様だッ!」
労働バーを回していた者の一人が余りに酷い仕打ちに見かねて、灰斗を殴ったのだ。
「――、なんだと」
血の滴る額を抑えながら、灰斗は瞠目する。
何故今まで文句ひとつ言わなかった労働者がここに来て反目するのかと。
「もう俺らは我慢できねぇ!」
「ふざけるなぁッ!」
「お前が死んで詫びろ!」
殴られ、蹴られ、灰斗は地面に伏す。
「ぬ、が……貴様らああああああああアァァッ!」
そういえば今日は歌による教導がまだだったことに、彼は気づいた。
3
:
冥王星
:2015/07/01(水) 02:36:19
――だが、もう遅い!
「皆、今こそこいつに仕返しするんだ!」背中を足蹴にする労働者その1!
「そうだそうだ!」同じく背中を足蹴にする労働者その2!
「ヤンスヤンス!」何故かその場に居た下っ端口調のいい匂いがする美少女!
「せいっ! せいっ!」何故かズワイガニを投擲する女子!
「以心電信! ズワイガニ!」
「プロミネンス! プロミネンス!」何故か地上に降りてきたピンポン球ぐらいの大きさの太陽!
「やめてください!こんなことは無意味です!」
「ゴボボゴボゴボゴボボ。ゴボゴボゴボボゴボ。ゴボゴボボゴボゴボ。」
「ウソつくのやめてもらってイイデスカ―」
「ぴょーん。ぴょーん!」何故かハイジャンプから足蹴にしてくるウサ耳を被った貧乳少女!
「私、あすか! ちょっぴり正義感の強い普通の女の子!」普通の女の子はこんな場所に出現しない!
「グギョギャ」
「やぁやぁやぁ! この石油でも受け取ってくれたまえ(じょばばばー)」
「ウェーイ……ワンチャン……」
「ヒヒヒ……」何故か現れたあずきを洗う老婆!
「ギロ、ミンナがとっても大好きでチョンパっ! 主の御加護がミンナにもあることを祈ってるでチョンパ〜っ!」チョンパチョンパっ!
「な、何ですかこの人だかり!?(びくびく)」何故か現れたうさぎ耳の巨乳少女!
「邪神様。私は貴方様の為に今から眼球をえぐり出します」(※グロ映像注意)
「ア、 アニギィ……」
そんなこんなでもみくちゃにされる灰斗。
「ぐッ、おお、おおおおおおおおおおぉぉぉォォォオッ!」
結局、駆けつけた再生派の信徒たちに助けられるまで、この凄惨な(?)暴力は続いた。
――この時を境目に、灰斗は欠かさず歌を歌うことにしたのだった。
【END】
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