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白人女性を考察する

179幸ちゃん ◆N5p9k72X0s:2014/08/02(土) 00:31:00
 他方、女性の好みからなされ無意識な顧慮となると、もちろんわれわれは男性の場合ほど詳しく示
すことができない。ただ次のことだけは、だいたいにおいて主張することができる。女性は、青年が
元来人間の最高の美を示すものであるにもかかわらず、主としてこの年頃よりは、三十歳から三十五歳
までの年齢の男性のほうを好むものである。その理由は、女性を導くのは趣味ではなくて、この年齢を
生殖力の全盛期と見る本能だということである。一般に女性は、美にたいしては、とくに容貌の美しさ
にたいしては注目しない。まるで子供に美を授ける仕事を引き受けるのは自分たちだけだと言わんばか
りである。女性の心をとらえるのは主として男性の力であり、この力から生まれる勇気である。という
のは、この力と勇気が、強壮な子供と、それと同時に子供の勇敢な保護者を約束するからである。男性
にどういう肉体上の欠点があっても、また典型から逸れた点があっても、女性自身がこれらの点で欠点
がなく、というよりむしろ反対に人並み以上であれば、そのことによって女性は、子供に関するかぎり
生殖によってこれらの欠点を解消することができる。ただ男性側の性質で、男性に固有の、したがって
母親が子供に授けることのできないものは別である。男らしい骨格、肩幅の広さ、しまった腰、まっす
ぐな足、筋肉の力、勇気、ひげ等々がこれである。女性が醜い男性を愛することはしばしばあるが、男
らしくない男はけっして愛さないのも、このためである。それは、こういう男性の欠点を女性は相殺す
ることができないからである。

 性愛の根底にある顧慮で第二の種類は、精神上の特質に関するものである。ここでわれわれが発見
するのは、女性は例外なく男性における心情、或るい性格の特質にひかれるということである。――と
いうのは、これらの特質は父親から遺伝するからである。女性を魅するのは、堅忍不抜の意思、決然と
事を断行する勇気、それにまたおそらくは誠実さと親切なことであろう。ところが知的な長所は、女性
にたいし直接の、まあ本能的な影響力をもたない。それはつまり、知的な長所は父親から遺伝しないか
らである。相手の無知は女性の場合どうでもよいことである。

卓越した精神力とか、あるいは天才となると、一種の変態としてむしろ不利な印象を与える。醜くて、
愚かで、粗野な男が教養も才気もある好ましい男を押しのけて女性の愛をうるのは、そのためである。じ
じつまた、精神的に異質の男女のあいだにしばしば恋愛結婚が成立することがある。たとえば、彼のほう
は粗野で、腕っぷしが強く、頑迷なのに、彼女のほうは多感で、思慮深く、教養もあり、情操が豊かだと
か、あるいは彼のほうはまったく天才的な学者なのに、彼女のほうは馬鹿だというような場合など。

  これぞヴィーナスの女神のしわざ、
  身も心も似ざる者に青銅のくびきをかけて
  笑いはやすは

その理由は、ここでは知的な顧慮よりもまったく別の顧慮が――すなわち、本能の顧慮が優先している
からである。結婚の目的は、才気煥発な会話ではなくて、子供を生むことである。それは、心と心の結
びつきであって、頭と頭の結びつきではない。女性が男性の精神にほれこんだなどと言い張るのは、根
も歯もない笑止千万な嘘っぱちか、さもなければ、変質が昂じたものである。――ところが男性は、本
能的な恋愛を女性の性格上の特質によって決めたりはしない。だからこそ、じつに多くのソクラテスが
彼らのクサンティッペを見いだしたのであって、たとえば、シェークスピア、アルブレヒト・デューラ
ー、バイロン等々みなしかりである。しかしこの場合〔女性の〕知的な特質は〔選択に〕影響する。それ
が母親から遺伝するからである。しかしこの知的な特質の影響よりもだんぜん優勢なのは、肉体美の影
響である。このほうがより本質的な点でいっそう端的に作用するからである。ところで、母親が娘と男
性にとって魅力のあるものにするために、彼女たちに美術や語学等々を習得させるのも、かの知的な特
質が男性に与える影響を感得しているか、あるいは経験しているためになされることである。彼らはこ
の場合、人為的な手段で知性を補強しようとしているので、必要な場合に腰や胸にたいしてとる措置の
ようなものである。――


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