今回、これまで困難であったCNTのような複雑で軽い原子から構成される物質を、原子レベルの高倍率で観察するための技術を新たに開発し、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)をベースに試作した電子回折顕微鏡を、0.1nmより小さい構造の情報まで得られるような回折パターンの広視野化を図った。
観察に用いた電子顕微鏡は、試料に照射された電子の散乱状態からコンピュータで原子像を再生する"回折イメージング法"を採用している。同手法は、従来の原子像の観察に用いられている透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)と比べて低いエネルギーで長時間の観察ができるため、試料への損傷が少なく、炭素原子のような軽元素を観察できる特長がある。