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まいごのまいごのこねこちゃん

1ねこ:2009/04/22(水) 01:17:21 ID:USEnfh9A0
迷子の子猫ちゃんは一体どこに行くのでしょう。



お菓子をあげたら泣きやみました。

けれど帰り道が分かりません。

遠くまできてしまったことをひどく後悔しているようです。

まあそれはほっといていいんだ。でかい鞄かかえて、最初から逃げだすつもりでいたみたいな感じだし。

そうだね、たぶん、最初から逃げだすつもりでいたっていうのが周囲にバレて、それで余計に煙たがられてたのかもね。



子猫ちゃんは泣きやんだけれど、笑いもしませんでした。

自嘲気味に、「私は誰も私を知らないところに行きたいの」と言いました。

そして、「私の願いが叶う場所に連れて行って」と言いました。

僕は戸惑って、その子猫ちゃんの小さな頭をすりすり撫でてやることしか出来なかったのです。

子猫って耳がぴくぴく動いてかわいい。ちっちゃくてかわいい。かわいいかわいいかわいい。



誰も子猫ちゃんを知らない場所、ってどこでしょうか。

僕は天国か地獄ぐらいしか思いつきません。

「神さまは誰も助けてくれないんだよ」と子猫ちゃんは言いました。

きっと神さまが嫌いなんでしょう。

だから僕は、子猫ちゃんを殺して、神さまのところで幸せに暮らせるようにしてあげることはやめました。

神さまなんていないんだっていうことを、子猫ちゃんはとっくに気づいていたのかも知れません。



子猫ちゃんには大好きな人がいました。

その人は子猫ちゃんを置いてどこか知らない場所へ行ってしまったといいます。

「いつも公園に来て、捨てられていた私のために、エサをくれたり、ミルクをくれたりしていたの。とっても優しい。優しい。優しい。」

子猫ちゃんはその人が大好きみたいです。

その人に会わせてあげたいけれど、僕はどうすればいいんでしょうか。



子猫ちゃんは、右目がありませんでした。

「羽根になって、飛んで行ってしまったの」と子猫ちゃんは言いました。

くりくりした大きい左目は、まっすぐに僕を見ていました。健在。

僕の右目を差し出すだけじゃ、子猫ちゃんが世界を知るためには足りないようです。



子猫ちゃんにはお友達がたくさんいました。

カワウソ、豚、豆しば、カピパラ、パンダ、コアラ、犬、人間の女の子。

たくさんのお友達がいました。

とてもとても幸せそうです。



右目のない、大好きな人のところに行きたがっている子猫ちゃんのために、僕は何ができるでしょうか。

きっと子猫ちゃんに必要なのは、幸せな人生じゃなくて、一瞬でもいいから今の自分の願いが叶う場所なのだと思います。

「私のお願いが叶ったら、私はもう何も欲しくないの。会いたい人がいるの。お友達とまたおしゃべりしたいの。おいしいものが食べたいの。けれど神さまは嫌い」

子猫ちゃんは、にゃーにゃー、と鳴いて、泣きました。

顎の下をくすぐってやると、気持ちよさげに眠りました。

手のひらに乗ってしまう小さな命を、僕はどうすればいいのでしょうか。

迷子の子猫ちゃんのしあわせのために、僕はどうすればいいのでしょうか。

2詩音:2009/04/22(水) 13:47:58 ID:viZYjPaY0
迷子の子猫ちゃんの為に貴方が何かしてあげたいのなら、
休ませてあげるのが一番なのではありませんか?
子猫ちゃんの本当の願いは、大好きな人に会うことでも、おしゃべりでもなく、
永遠の休息なのではないの?
幸せだと、自分をごまかさなくては息をすることが難しいから、
時々自嘲気味に、時々幸せそうに。
場所は、願いが叶う場所ではなく、居ても邪魔にされない場所が欲しいのではないの?

3ねこ:2009/04/22(水) 22:28:31 ID:USEnfh9A0
迷子の子猫ちゃんがまた泣き始めました。

お菓子をあげても泣きやみません。

僕の膝の上で、目を真っ赤に晴らして泣いています。

「私はやっぱりダメな子なんだ」と子猫ちゃんが言いました。

「そんなことはない、君はいい子だよ。何かいいところが必ずあるよ」とありきたりな励ましをしてあげましたが、子猫ちゃんはそれでも「だって周りのお友達はみんな私よりいい子ばかりだもん。私が一番ダメな子だって、みんな言うんだもん」

でも私は思いました。子猫ちゃんのお友達も、きっとどこかで不安や焦りを抱えていて、だから一番長所の少ない子猫ちゃんを陥れることで、何とかカースト制を維持しているんだと。

子猫ちゃんは、自分が思っているほど、泣いてしまうほど、悪い子じゃない。

僕はそう思いました。

だから僕は、子猫ちゃんの小さな頭をなでながら言いました。

「君はダメな子なんかじゃないよ。君はとってもかわいいね。それに、目が大きくて、毛づやがよくて、きれいだよ。君がかわいい声でにゃーにゃー鳴くと、僕はとっても嬉しくなるんだ」

子猫ちゃんは涙をぽろぽろ流しながら、僕を見上げて首をかしげました。

「でも、他のみんなは私よりもっともっとかわいいし、もっともっと美人だよ?」

僕はくすくす笑いました。

「僕の傍には君だけしかいない。僕は君だけのことを言っているんだ。ただ一匹だけの、迷子の子猫ちゃんだけを、僕は好きなんだ」

迷子の子猫ちゃんはまた泣き始めました。

僕は、この子が一番プライドが高くて、だからこそ群れの中心にいることができなくなって、ここまで来てしまったんだろうなと思いました。

子猫ちゃんはむしろ、一人の方がいいのかも知れないと思いました。

他の猫がいたら、きっとまた子猫ちゃんは泣いてしまうでしょうから。

「私はやっぱりダメな子なんだ。みんなより身体が小さくて、みんなより爪が鋭くない」

そうやって、自分のダメなところを必死に探し続けるのでしょう。

延々と、どこまでも。

子猫ちゃんは泣き疲れて眠ってしまいました。

僕はかわいい子猫ちゃんの頭を、ずっと撫でていました。

4ローズ:2009/04/23(木) 00:36:04 ID:FG7uIYm60
子猫ちゃんは、「僕」のところにいるのがいいかもしれませんね

5雑草:2009/04/23(木) 08:42:41 ID:FyMy8qZQ0
いいかどうかは私にはわからないですね。


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