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立教大学助教授・教え子殺人事件

22研究する名無しさん:2015/03/14(土) 06:14:56

 女子大生失綜事件・熟れた匂い   (東映:荒井美三雄監督) 池田博明

 『温泉ポン引き女中』(1969),『秘・女子大寮』(1970)に次ぐ荒井美三雄の第三作である。『温泉ポン引き女中』には傑作の声がある。『徳川女刑罰史』(石井輝男)や『新仁義なき戦い』の共同脚本者でもある面白い人のようだ。そう思ったのはこの作品を見たからに他ならない。

 東京女子大[???] の大場助教授事件に題材を取ったきわものだが,深尾道典の脚本とあいまって,完成度の高い作品である。「愛」という名の虚名にすがりつく男女関係を描波している。

 仏文研究室の助教授(菅貫太郎),講師(有川正治),院生(清水紘治),全員が失そうした女子大生村松幹子(沢リリ子)と肉体関係がある。失そうを契機に,講師は「キスだけだ。やさしい女だった」と主張し,もと婚約者の院生は「つきあってみると,しつこい女だ」と体験を話し,助教授は彼女と一緒のところを妻(村松康世)にどなりこまれた時のことを,トイレで思い返す。講師が「キスだけ」というのはウソである。

 しばらくたって,秘書(藤ひろ子)が,失そう当日の助教授の不審な行動を告白する。「今日一日,資料調べをしていたことにしてくれ。幹子との愛にピリオドを打ってきた」と彼が言い,口止めをした代わりに自分と寝た,という。一方,助教授の妻は,夫が殺したという噂だと,学生(中林章)にふれこまれる。この学生は女子大生を愛していると思い込んでいる。妻は夫を道連れにガス心中。「あの女を殺したのね。やはりわたしを愛していたのね」とは,なんたる錯覚。結局のところ,学生が欺かれつづけなのを知り,「僕が愛してる,僕がって,押しつけがましい」といわれたのを憤って,絞殺したらしい。しかし,その遺書でも「僕は幹子を愛していた」と何度も強調しているのが悲喜劇。

 失そうした女子大生の姿はほとんど彼等の話で知れるという「ラショーモン」的手法が冴えている。    (未掲載.1974年当時執筆)

コメント:この作品はキネマ旬報社の日本映画記録全集にも掲載されていない。東映が一般館用のつなぎの添え物で作っていたピンク映画の中の突然変異的な作品である)


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