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怖い話Part2

1名無しさん:2013/04/11(木) 20:47:22 ID:kJlroZZA0
霊的な怖い話を集めてみましょう

前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/study/9405/storage/1209619007.html

890回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:23:32 ID:bz1odVGo0
「全ては仮定の話にすぎないだろ?」
「そうね。でも、マミさんにとってはそうではなかった」
「どういう事だ?」
「あの娘はね、未だに自分の存在に罪悪感を持っているのよ。可哀想にね。
母親の不幸も、貴方に降りかかった生命の危機も、全て自分のせいだと、持たなくても良い罪の意識に苛まれていたの。
そして、奈津子さんに出会って、あの娘の罪の意識は決定的なものになってしまった。。。」
「何故?」
「奈津子さんは、優しくて、本当に良い娘だからね……あの娘は、マミさんにも優しかったわ。
そして、貴方の事が大好きだから。。。あの娘は、自分の感情を隠さない。
見ていて羨ましいくらいに自分の気持ちを真っ直ぐに表現する。……奈津子さんの存在はマミさんを打ちのめしたわ」
「どういうことだ?」
「マミさんは、自分が奈津子さんから貴方を奪ってしまったと、持たなくても良い罪悪感を持ってしまったようね。
そして、貴方を深い眠りから目覚めさせたのが奈津子さんだった事が決定的だったみたい」
「馬鹿な。。。」
「そう、馬鹿よね。あの娘は、貴方を本当に幸せに出来るのは奈津子さんだと思ってしまった。
それだけじゃないわ。
貴方があの娘に注いだ愛情は、自分が捻じ曲げて奪ったものであって、本来は全て奈津子さんのものだった、そんな風に誤解してしまったの。
貴方が奈津子さんの声に反応して目覚めた事で、マミさんの罪悪感は決定的なものになってしまったのよ」

891回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:26:03 ID:bz1odVGo0
「馬鹿な。何で、そんな事を。。。」
「そうね。本当に馬鹿よね。……可哀想な子。
悪い事なんて何もしていないのに。
奈津子さんに負けないくらい優しくて良い子なのにね。
あなたや貴方のご家族、イサムくん、他の『子供達』にも愛されているのに……奈津子さんにだって。
傷付き過ぎて、自分が他人に愛される存在だと信じられないのね。
持たなくても良い罪悪感に囚われて、自分の存在を否定してしまった。
自分の存在を消し去りたい、死んでしまいたい、そんな風に思ってしまった。
あの娘は、その願いを、自分の死を引き寄せつつあるわ。
あの子は今、緩やかで苦しい自殺の過程にいるのよ。
もうね、私達には手の施しようがない。
あなただけが頼りなの。
こんなことは頼めた義理ではないけれど、お願い。
あの娘を助けてあげて」

892回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:27:21 ID:bz1odVGo0
やがて夜が白み始めた。
未だ寝静まっている邸内から庭に出た。
背後に人の気配を感じ振り返ると、3人の『子供達』が立っていた。
一人とは面識が有った。
マサさんの息子だ。
もう一人は、20歳前後、丁度マミと同じくらいの年恰好の青年だった。
そして、12・3歳くらいの少年。
青年……カズキは一木貴章氏の息子、少年……セイジは一木耀子の孫らしい。
セイジが鋭い視線を向けながら1歩前に出てきた。
拳を握り構えた。浅い右前屈立ち・中段構え。
子供にしては様になっている。気魄は並の大人を軽く凌駕している。
俺は受けに回った。
「行くよ」
セイジが動いた。
中々キレのある動きだ。
セイジは同じコンビネーションを繰り返した。
何度かセイジの攻撃を受けていて、俺は気付いた。
そして、背筋に冷たいものを感じた。
このコンビネーションは、子供の頃、組手が苦手だった俺が李先輩と考えて、繰り返し練習したパターンだった。
まさか、この子は!

893回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:28:43 ID:bz1odVGo0
マサさんの息子が例の頭の中に直接響く声で話しかけてきた。
恐ろしい視線と共に。
以前は無かった、青く光る眼光……昔見たデビット・リンチの映画を思い出させる、怪しい光を帯びた不気味な目だった。
『約束だ。マミを助けてあげて。やり方は判っているはずだよ』
「ああ、判っているさ」
何故か、俺はそう答えた。
 
朝食を済ませ身支度を整えると榊家から迎えの車が到着した。
運転手の男が「お迎えに上がりました」と言って、後部座席のドアを開けた。
男を見た瞬間、俺は固まった。
後部座席に乗り込み、車が出て直ぐに俺は運転手の男を問い詰めた。
「星野 慶、何故お前が此処に?」
「驚いたか?無理もないな。お前らに捕まって開放された後、木島さんにスカウトされてな。
今は、榊さんの下で修行しながら、お嬢さんたちの運転手兼ボディーガードを勤めている」
星野 慶は、アリサの実兄だ。
以前、俺は彼に襲われ、殺されかけた事がある。
「逢いたかったよ。その内、逢えるとは思っていたけどね」
「俺もだ。……俺は、お前に詫びなくてはならない。済まない、俺の為にアリサが。。。」
「言うな。俺よりも、お前の方が辛いだろう。それに、アイツの事で俺にお前を責める資格はない。
アイツは、あの時点でああなる事を知っていたのだよ。判っていて選んだんだ。
お前は最初から最後まで、アイツを一人の『女』として扱った。
望み半ばだったとはいえ、惚れた男の為に命を張ったんだ。女冥利に尽きるだろうさ」

894回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:31:13 ID:bz1odVGo0
「だから、優、いやアリサの事は引き摺るな。忘れろとは言わない。お前には無理だろうからな。
あのマミって娘、良い子じゃないか。
幸せにしてやれよ。そして、お前もな。月並みな言い方だが、あいつもそれを望んでいると思う」
「……すまない」
「あの娘は、ずっと意識がないままだ。
お前の許を去って此処に来てから、殆ど何も口にしようとしなかったからな。
今は点滴と奈津子の『手当て』で何とか命を繋いでいる状態だ。
『気』を通してやれば何とかなるのだが、全く受け付けないんだ。
意識はないけれど、他人の『気』を体内に受け入れることを強烈に拒絶しているんだよ。
あれは、一種の自殺なんだろうな。
奈津子が頑張っているが、あの娘に何かのスキルがある訳じゃないから、もう限界なんだ。
他の『子供達』にも心を閉ざしたままだ。手詰まりなんだよ」
「慶、お前は『新しい子供達』の事を知っているのか?」
「ああ、知っているよ。
『組織』を離れていたお前は知らなかっただろうが、組織は以前のものではない。
事実上、呪術集団としては終わっている。上層部は既に『呪術』を捨ててしまっているからな。
お前も逢っただろ? 一木家の3人の子供たち。
組織を動かしているのは、あの『子供達』の意思だよ。一木家も榊家も彼らの代弁者に過ぎない。
まあ、組織の人間でも気付いていないヤツの方が多いけれどな」

895回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:33:24 ID:bz1odVGo0
やがて、俺達は榊家の『別邸』に着いた。
緑も多く『気』の濃厚な土地だ。
俺には直ぐに判った。
この土地は、榊家の『井戸』に繋がる土地の一つだと。
門を潜ると榊夫妻と奈津子の母親の千津子が俺を迎えた。
病弱で痩せていた千津子は、幾分ふっくらして血色も良く、健康そうだった。
挨拶もそこそこに奥の部屋に入ると、点滴を繋がれたマミがベッドに横たわっていた。
ベッドの横で奈津子がマミの手を握っていた。
「マミちゃん、お兄ちゃんが来てくれたよ」
「なっちゃん、ありがとうな」
そう言って、俺は奈津子と位置を交代した。
マミの手を握ってみた。
悲しくなるくらいに細くて小さな手だった。
恐る恐る、痩せた両頬に触れた。
柔らかだったが、生きているのか不安になるほどに冷たかった。
「マミ……」
目を開けてくれ!
だが、眠り続けるマミは、目を離した隙にその細い寝息まで止まってしまいそうだ。

896回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:35:29 ID:bz1odVGo0
何故だかは判らないが、この時の俺には何をどうすれば良いのか判っていた。
知らない、知る機会も無かった『知識』が俺の中にあった。
俺はマミの額と胸に手を置き、目を瞑り、目の前の『スクリーン』に彼女を映し出した。
彼女の『気』の滞りが手に取る様に判った。
頭部と心臓に『黒い気』の塊があり、内臓、下腹部の辺りには気が殆ど通っていなかった。
特に子宮周辺の滞りは慢性的なものらしい。
『赤黒い冷たい塊』が深く根を張っていた。
この塊が全身の気の滞りの『核』になっている。
俺は、マミの中に『気』を注入してみた。
予想通り、マミの意識は硬い『殻』の中にあり、殻が弾いて『気』を全く受け付けない。
俺は、マミに『同化』を図った。
イメージの中のマミは、俺に背中を向け、膝を抱えて震えていた。
呼びかけても何も応えない。
ぶつぶつと何かを言っている。
『耳』を澄ませると、「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」と、終わらない呪文の様に唱えていた。
空ろで希薄な意識のまま……。
俺は、背中からマミを抱きしめ、マミの言葉に答えるように「許す」と唱え続けた。
「ごめんなさい」と「許す」が交互に続き、シンクロして行く。
しかし、ここから中々進まない。

897回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:38:48 ID:bz1odVGo0
どれくらい続けただろう?
既に時間の感覚は無かった。
疲労からか「許す」と唱える俺の意識の方が希薄になり始めていた。
だが、ふと気が付くと大きな変化が生じていた。
「許す」と言う俺の言葉に「本当に?」というマミの言葉が繋がっていた。
「本当に?」と言う言葉に「本当だ」と繋げた。
徐々にイメージの『空間』が軽く、明るくなってきた。
俺は言葉を変えた。
「許して欲しい」と唱えた。
始め、マミからの言葉は返ってこなかった。
だが、唱え続けていると、やがて言葉が返ってきた。
「許している」と。
「ありがとう、マミ。愛しているよ」
この言葉は瞑想状態のまま、実際に口に出していたらしい。
「本当に?」
「本当だ!」
気の流入を拒んでいた、マミの『殻』は消えた。
マミの中に俺の『気』が入って行く。
枯渇状態だったマミの中に『気』が吸い込まれて行った。
やがて俺は限界に達し、意識を失った。

898回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:39:53 ID:bz1odVGo0
丸一日眠り続けて、俺は意識を取り戻した。
全身が鉛のように重く、体の節々が軋んだ。
俺は床から出て、マミの部屋に行った。
相変わらず意識は戻らず、眠り続けたままだ。
しかし、その肌には血色が戻り、冷たかった手や頬に体温が戻っていた。
ほっとしてマミの傍から立ち上がろうとしたら、立ち眩みがした。
マミに付き添っていた奈津子が俺の体を支えた。
だが、小柄で華奢な奈津子は俺を支えきれず、そのまま縺れ合うように、俺達は床に倒れこんだ。
起き上がろうとすると奈津子が抱きついてきた。
俺を抱える腕に力が篭る。
すると、俺の体から力が抜け、痛みや全身を覆っていたダルさが抜けていった。
『気』を注ぎ込むのではなく、苦痛を抜き取る、そんな感じだ。
これが奈津子の『力』なのか?
奈津子は、マミが倒れてから俺がここに来るまでの間、この『力』で一人、マミの命を支え続けていたのだ。

899回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:42:21 ID:bz1odVGo0
「ありがとう、なっちゃん。もう大丈夫だ」
「そう?……でも、もう少し、このままでいさせて」
暫く、無言のまま、俺は奈津子に身を任せていた。
やがて奈津子が口を開いた。
「お兄ちゃん……お兄ちゃんは、私の事好き?」
「好きだよ」
「うれしい。私も、大好きだよ。でもね、私、知っているんだ」
「何を?」
「……お兄ちゃんの私への好きは、マミちゃんへの好きとは違うってこと」
奈津子は泣き始めていた。
「私のお兄ちゃんへの好きは、お兄ちゃんのお嫁さんになって、赤ちゃんを産みたい、そういう好き。
マミちゃんと同じ好き。。。」
奈津子は本格的に泣き始めた。
堪らなくなって、俺は奈津子を強く抱きしめた。
「ごめんな。。。」
「謝らないで。。。
みんな私に優しくしてくれる。お爺ちゃんも、お婆ちゃんも、お母さんも。大家のオバちゃんも、アパートの人たちも。
耀子さんや琉華さんも、慶ちゃんやカズ君、セイちゃんも……お兄ちゃんとは違う好きだけど、みんな大好きなの」
「そうか」
「うん。マミちゃんにも好きな人や優しくしてくれる人達はいるけれど。。。
マミちゃんの好きな人達は、みんな、お兄ちゃんを通して繋がっているの。
お兄ちゃんがいないと、マミちゃんは一人ぼっち。だから、私、我慢する。
私、マミちゃんよりも、お姉さんだから。マミちゃんのことも好きだから我慢する。えらいでしょ?」 
「ああ、ごめんな」

900回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:45:53 ID:bz1odVGo0
「謝らないで、……褒めて欲しいな。頭を撫でて欲しいな」
俺は、奈津子が泣き止むまで、細くて柔らかい髪を撫で続けた。
やがて泣き止んだ奈津子は、腫れた目で俺の顔をじっと見つめ出した。
見つめ返すと、奈津子は目を閉じて唇を尖らせた。
「ご褒美!」
少し迷って、俺は奈津子の額にキスした。
「ううぅ、ちょっと違う! でも、まあ、いいか。マミちゃんに怒られちゃうものね!」
 
マミの『治療』は難航した。
他の治療師や榊氏たちが『気』の注入を試みたが、マミは俺の『気』以外、相変わらず受け付けようとしなかった。
俺を『通路』にして、榊家の『井戸』から『気』を導入してみたが、結果は芳しくなかった。
しかし、俺の能力不足で、自前で回した俺の気や気力では全く足りない。
方法は合っている筈なのだ。
少々無理をして『気』を引き出し続けたために、俺の体調は急速に悪化して行った。
榊夫妻が「もう止めろ」と言ったが、止める訳にはいかなかった。
慶が俺をフォローしたが、慶の疲労の色も濃くなって行った。

901回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:48:38 ID:bz1odVGo0
もう駄目なのか?
俺には無理なのか?
悔しさや悲しさ、無力感や倦怠感に囚われていた。
いっそ、このままマミと。。。
明らかに『気』の欠乏状態が精神に影響を及ぼし始めていた。
症状が進行すれば、やがて自殺願望が出てきて、突発的な自殺行動に出る可能性もある。
限界だ。
だが、此処で投げ出せばマミは助からないだろう。
もう少し、あと一歩なのだ。
続けるしかない。
しかし、気力の果てた俺が足掻いたところで効果など上がる訳もなく、とうとう俺は倒れてしまった。
起き上がることも出来ない。
俺は何て無力なんだ!悔しい、ただそれだけだった。
 
マミの治療を開始してから、俺は毎晩同じ夢を見ていた。
深い森の奥に立つ一本の巨木。
間違いなく、この森の『ヌシ』だろう。
そして、樹の纏う神々しさ。
この樹は『神木』の類なのかも知れない。
ただ、固定観念の成せる業だったのだろう。
俺は、この夢をただの『夢』としか捉えていなかった。

902回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:50:31 ID:bz1odVGo0
だが、その晩は違っていた。
疲労困憊していた俺は、夢と現実の判断を完全に失っていた。
目の前の『神木』を実体を持った存在と認識していた。
俺は、目の前の樹に対して『同化の行』を行った。
樹から夥しい量の『気』が流れ込んでくる。
大量の『気』と共に、俺は嗅いだ事のない花、或いは香のような匂いを感じていた。
嗅いだことのない匂い?
いや、あるのか?
やがて俺は目覚めた。
俺の全身には、信じられないほどに『気』が漲っていた。
俺はつまらない固定観念から、やり方を少し間違えていたようだ。
全ては始めから用意されていたのだ。
俺は夢の中の『神木』と繋がっていた。
神木から引いた『気』を体内で一回ししてからマミに注いでみた。
上手く行く。確信があった。
予想通り、マミの中に大量の『気』が入って行くのが判る。
30分ほど気の注入を行い、俺はマミから離れた。
終わった。
慶に礼を言い、瞑想に入った。
瞑想を通じて、榊家の森と夢の中で見た『神木』に礼を述べた。
瞑想から覚めたところで榊婦人が俺を呼びに来た。
「マミさんが目を覚ましたわ!」

903回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:52:43 ID:bz1odVGo0
「おはよう、マミ」
「XXさん、何で此処に?わたし、まだ夢を見ているのかな?夢なら覚めないでほしいな」
俺はマミの頬を片方、指で摘んだ。
「痛い!」
「もう片方も行っておくか?」
「やめて下さい。もう、せっかく感動してるのに、ぶちこわしじゃないですか!」
「ごめん」
「謝らないで下さい。わたし、嬉しいんですから。もう二度と会えないと思っていたから。。。」
マミは泣き始めた。
泣き止むと、マミは話し始めた。
「ずっと、怖い夢を見ていました。暗くて寒い所にずっと一人ぼっちで。。。淋しくて、苦しくて。
死ぬって、こういう事なのかなって。。。」
「そうか」
「でも、XXさんの匂いがしたんです。懐かしい、大好きな匂いが。そうしたら、だんだん暖かくなってきて。。。」
「そうか……もう、何も言うな」
俺は、マミを抱きしめた。
最初は恐る恐る。そして、少し力を強めて。

904回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:55:48 ID:bz1odVGo0
どれくらいそうしていただろうか?
マミが口を開いた。
「XXさん、私、おなかが空いちゃった」
「俺もだ。何か、食べたいものはあるか?」
「XXさんの焼いたアップルパイ! シナモンは抜いて」
「そんなのはお安い御用だけど、さすがに今は無理じゃないかな?」
「そう? それじゃ、ミルクティーでいいや。うんと甘くして。
……ラーナさんが入れてくれたのは美味しかったよね。シナモンは余計だったけど」
 
「……マミ、早く元気になって家に帰らないとな。みんな待っているぞ?」
「私、もう帰れない」
「何で?」
「私、久子さんに嫌われちゃった。大好きな久子さんに……合わせる顔なんて無いよ!」
「そんな事ないって」
「XXさんは、知ってる?
……私は、お母さんに聞いたのだけど。。。
久子さん、素子さんが結婚した時に、お父さんに言ったんだって」
「何を?」
「久子さん、……一生、誰とも結婚しない。子供も産まないって」
「そうか……。昔、嫌な事件があったんだ。アイツはそれ以来、男性恐怖症気味だから……仕方ないな」

905回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 04:58:14 ID:bz1odVGo0
「XXさん、違う。そんなんじゃないよ?」
「違う?」
「そう、違うの!
……XXさんが意識を失って、目を覚まさなくなったとき、一番取り乱していたのは久子さんだったの。
泣きながら言われたわ。
なんで、XXさんを信じて待っていなかったの、何でXXさんの事を受け止めてあげなかったのって。。。
わたしがあなただったなら、わたしがあなただったならって、何度も言いながら、あの久子さんが泣いていたのよ。
私、鈍いから、それで始めて気付いたわ。
そんな久子さんが、私のことを認めてくれたのに、XXさんのことを任せてくれたのに、私は。。。」
俺は、何を言えば良いか判らなくなっていた。
更に、マミは続けた。
「……それに、私はXXさんとは一緒にいられない。そんな資格はないの」
「何で?」
「みんながXXさんを助けようと頑張っている時に、私、酷い事を……とっても酷いことを考えていたの」
「何を?」
「このまま、XXさんが目を覚まさなければいい。
私のものにならないなら、いっそ死んでしまえばなんて……ごめんなさい。許してなんて、言えないよね」
「……何故?」
「だって、敵わないもの。
私、ほのかさんや香織さんみたいにキレイじゃないし、藍さんみたいに頭も良くないし、ジョンエさんみたいに優しくもない。
祐子先生みたいに強くもなれない。……奈津子さんを差し置いて、XXさんに選ばれる理由なんて思いつかないもの」

906回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:01:11 ID:bz1odVGo0
「そんなことはないよ。
確かに、ほのかや香織はちょっと居ないレベルだけど、マミだってキレイで可愛いぞ?
ホモか余程の変人でもない限り、男ならお前に好きだと言われたら、10人中9人は舞い上がるだろうさ。
マミは、ジョンエみたいに誰にでも優しい訳ではないかもしれないけれど、俺や周りの人たちには十分過ぎるほど優しいじゃないか。
それに、俺だって藍みたいに頭は良くないし、祐子みたいに強くも無い。
……馬鹿で同じ失敗を何度も繰り返しているし、お前と同じくらいに、いや、お前以上に弱い。
恐怖に負けずに、お前と一緒に居る強さがあれば、お前に全て打ち明ける勇気があれば、お前をここまで傷つける事は無かった。
ごめんな。……俺が弱かったばかりに」
「……奈津子さんの事は? 私、XXさんの事は大好きだけど、奈津子さんほど強く想えているのかは判らない」
「そんなことは、誰にもわからない。人間の感情を数値化して比較することなんて出来ないのだから。
奈津子は確かに良い娘だよ。人の姿をしているけど、本当は天使か何かなんじゃないかって位にな。
でも、俺はお前を選んだ。
ただ、それだけだ。理由なんて無いよ」
「ごめんなさい……」
「謝る事なんてない。
俺だって、同じような状況だったら、同じようなことを考えるかもしれないからな。
マミが誰かのものになりそうなら……マミを誰にも渡したくないから。
独占欲ってヤツなのかな? 俺はむしろ、マミに其処まで思ってもらえて嬉しいぞ?」

907回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:04:06 ID:bz1odVGo0
「以前、お前に言ったはずだ。
俺はもう、好きな女を失ったら、お前を失ったら耐えられそうに無いって。
昔、俺の先輩……お前の伯父さんが言っていたよ。
どんな理由があっても、どんな形であっても人殺しは許さないってな。
人殺しは最も重大な罪だからな。その中でも、自殺は特に罪深いと思うぞ?
ただの人殺しなら、残された者は殺した者に対する怒りや憎しみ、復讐心に縋って生きることも出来るだろう。
殺した者にも、贖罪の道が残されている。
でも、自殺は、残された者に悲しみしか残さない。贖罪の道も最初から絶たれてしまっている。
前に、お前が手首を切ったときに言ったはずだ。
お前が自分自身を傷付ける事は、俺や父さん、母さんや久子を傷つけることに等しいって。
死にたくなったら、先に俺を殺して、もう一度考えてからにしろって。
お前が何をしたとしても、俺は許せると思う。時間が掛かったとしても、いつかは。
生きてさえいてくれたらな。
お前に去られたとしても、耐えてみせよう。
でも、自分を傷付けるのは、自殺だけは止めてくれ。
お前は、俺にとっては誰よりも大切な存在なんだ。その存在を、おまえ自身が否定するのは止めてくれ。
……俺は、それに耐えられるほど強くはないんだ。いっそ、お前に殺された方がマシだよ」

908回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:06:56 ID:bz1odVGo0
……こんな事じゃなかった。
俺がマミに本当に言いたいのは、こんな事じゃなかった。
もっとシンプルな、何度も、何度も、毎日繰り返していた言葉じゃないか!
何故言えない?
言え!
臆病者め!
同じ過ちを何度繰り返せば気が済むのだ!
考えるな!
さっさと言ってしまえ!
愚図、鈍間、低脳、ヘタレ!
俺は、自分の弱さ、勇気の無さに呆れ果てていた。
自分自身に嫌気が差す。
こんなヤツではマミも愛想を尽かすだろう。
もう、どうにでもなれ!

909回帰4 夢の樹に繋げば ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:08:55 ID:bz1odVGo0
「マミ」
「はい?」
「俺は、お前を……愛しているんだ。今でも。そして、これからも」
言っちまった。
……しかし、マミは何も応えてくれない。
俯いたままだ。
マミの肩が震えている。泣いているのか?
「……ごめん」
「何で謝るんですか?
わたし、嬉しいんですよ!もう二度と言っては貰えないと諦めていたから」
「……俺も、もう二度と言えないかと思っていたよ」
「私も愛してます。だから、もっと言ってください!」
そのままマミは、ずっと泣き続けた。
良くもここまで涙が続くものだと呆れるくらいに。
だが、この泣き顔も俺にとっては愛しい表情の一つだ。
「ごめんなさい、私、こんなに泣き虫じゃなかったはずなのに。。。」
「いや、マミは前から泣き虫だったよ」
「泣き虫は嫌いですか?」
「いや?泣き虫なマミも可愛いよ。愛してるよ、マミ!」
やっと泣き止んだマミがまた泣き出した。
  
  
つづく

910回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:24:38 ID:bz1odVGo0
マミの治療は、マサさんが呼び寄せたチェンフィに引き継がれた。
俺の治療で縁の出来たチェンフィには、月に1度ほどの頻度で姉の診察・治療もして貰っていた。
人見知りの激しいマミもチェンフィとは面識が有ったので、比較的すんなりと治療に入れたようだ。
彼女の腕は確かだ。
マミの体のことは、安心して任せておけた。
 
俺はその日、天見琉華の呼び出しを受けていた。
マサさんと共に、彼女の教団本部に赴くと、其処には例の3人の子供達が来ていた。
やがて、天見琉華が姿を現した。
俺は、まず彼女に礼を述べた。
「礼なんて無用よ。
私は貴方を何度も危険な目に遭わせてきたのだから。
むしろ、膨大な借りが残っている。
それに、貴方やマミさんのことは、こちらの都合でもあるのだから、気にしないで」
実のところ、かなり緊張して赴いていた俺は拍子抜けしていた。
これまでの彼女のイメージと懸け離れた印象だった。
俺のそれまでの天見琉華へのイメージは、出来れば関わりを持ちたくない、冷酷で恐ろしい人物だった。
実際、彼女によって俺の手に余る危険な仕事を『押し付けられた』ことは1度や2度ではない。
我ながら、よく今日まで生き残れたものだと感心する。
彼女と彼女に関わる全てが俺にとって不吉だった。

911回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:26:56 ID:bz1odVGo0
だが今、目の前にいる彼女は、柔らかい、孫とでも遊んでいるのがお似合いの、ただの老女だった。
一木耀子と似た優しい雰囲気を醸し出していた。
慶が言っていた。
『組織』の上層部は既に『呪術』を捨ててしまっていると。
これほど変わってしまうものなのか?
俺は、驚きを隠せなかった。
そして、改めて確信した。
『呪術』とは、人を不幸にしかしない、自分自身を傷付ける自傷行為に他ならないのだと。
マサさんの息子が俺に話しかけてきた。
「オジサン、『例の言葉』は見つかった?」
「ああ。『全てを許し、その存在を許容する』と言った所かな?」
「まあ、ほぼ正解。それを他人だけでなく、自分自身にも適用できれば良いのだけどね」
「自分自身に?他人にではなくて?」
「そう。他人を許すことはそんなに難しいことじゃない。許すと『決めて』しまえばいいんだ。
でも、自分自身を許すことは何倍も難しいよ。
マミを見れば判るでしょ?オジサン自身も自分の事を許せていないじゃないか」
「そうかな?」
「そうだよ。まあ、自分自身を完全に許せている人なんて、いないと思うけどね」
「だろうな」

912回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:29:32 ID:bz1odVGo0
俺は、天見琉華に尋ねた。
「俺の死期とされていた『定められた日』って何だったんだ?」
「貴方も『瞑想者』なら気付いているはずよ?
勿論全ての『瞑想者』が気付いている訳ではないでしょうけど。
でも、貴方になら判るでしょう。
あなたが眠りに付く前と後では大きく変わった事があるはず」
「それは、『障壁』の事か?」
「そう、深い精神の階層との壁が一つ、消えてしまった」
「そうか、……あれは、俺の個人的な事象では無かったんだな」

913回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:30:51 ID:bz1odVGo0
瞑想状態に入り込むと、ある一定の深度から先の段階で見たり聞いたりしたものを記憶に残す事が非常に困難となる。
同時に、昼間の顕在意識下での思考や意思をその先の瞑想深度で保持し続ける事も困難だ。
その境界を仮に『眠りの壁』と呼ぼう。
正にその名の如く、『眠り』が壁になってしまうのだ。経験のある人も多いだろう。
ただ、この壁を乗り越えることはそう難しい事ではない。
瞑想を繰り返せば『壁』自体が弱くなるし、一定の方法を知り訓練を重ねれば普通に思考する事も可能だ。
だが、次の段階にある『壁』は難物だ。
仮に『音の壁』とでも呼ぼうか?
この壁の向こう側では、言語による論理的思考は不可能だ。
人間は言語により思考する動物だから意識を保つ事も難しい。
言語で思考できない領域だから言葉で表現することは非常に難しい。
この領域ではバイブレーション、敢えて言うなら音の高低やリズム、音質で……『音楽』で思考する。
感情の起伏も『音』に顕著な影響を与える。
多くの宗教に様々な形で『音楽』が取り入れられているのは、この段階の精神階層にアクセスする為ではないかと俺は考えている。
俺は、この階層の瞑想中に聴いた『音楽』を持ち帰った。
そして、それを再生・演奏したものを繰り返し聞いて身に付けた。
イサムに託したUSBメモリーに入れてあった音楽ファイルだ。
あの音楽に、瞑想中に見聞きしたものを『感情』を『接着剤』に使って結び付けて記憶し、顕在意識下に持ち帰っていたのだ。

914回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:33:56 ID:bz1odVGo0
一昨年末に、大きな変化が生じたという。
音の世界に『言葉』が混入し始めた。
曲に歌詞がついて『歌』となり、音の世界の音楽に混入し始めた、とでも言えば良いのだろうか?
今回、俺はこのように表現したが、瞑想のやり方は色々だし、感じ方もそれぞれ、表現も人によるだろう。
他人がどう表現するのか、俺にとっても興味深いのだが。
だが、確かに大きな変化が生じたようなのだ。
そして、変化の結果、人間の顕在意識下での思考が、言語による思考がより深い階層の意識に届き易くなってしまったらしい。
これは恐ろしい事態だ。
『願い』や『呪詛』が叶い易くなってしまったのだ。
より深い階層から、大きく強いうねりとして。
『願い』は良い。
潜在意識にアクセスする術を持つ者は、より早く、より強く自己の欲望を実現して行くだろう。
そして、恐らく、この精神の深奥を利用する術に気付くか気付かないかで、人々の間に新たな二極分化が生じるだろう。
問題は『呪詛』だ。
以前に書いたように、自己も他人も同じ生命体の一部。
他人を傷付ける事は、自己を傷つけることに等しい。
自己も他人も相対的なものだ。
違いがあるとすれば、それは呪詛の発信源からの『距離』か?
上手い表現が見つからない。
これまでの『呪詛』のエネルギーは、浅い階層を徐々に弱まりながら同心円状に広がっていった。
相手に当たった呪詛のエネルギーは跳ね返って自分にも戻ってきた。『呪詛返し』だ。
だが、『変化』の後、状況は変わった。

915回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:35:28 ID:bz1odVGo0
浅い池の表面を叩くのではなく、深い池に重い石を投げ込んだ時、高く水柱が立つように、呪詛は仕掛けた者に直接降り掛かるようになったのだ。
今後、他人に呪詛を仕掛ける者は、恐らく、予想外の激烈な形で滅びを迎えるだろう。
俺は思う。
これは恐らく、『生命の樹』に備わった免疫反応なのだ。
他人に呪詛を仕掛ける存在を……『生命の樹』を傷つける『癌細胞』をより効果的にデリートするための。
先に延ばされた、次の変化のために。。。
俺には、これといった欲望は無い。
マミや他の家族と、仲の良い隣人に囲まれながら、平和に穏やかに暮らしたいだけだ。
だが、大人しくしているだけで、多分、俺の中には今尚住み着いているのだ。
激しい憎悪を内包した『鬼』が。
『鬼』の憎悪や怨念は、俺とマミの平穏を何れ破壊するだろう。
一度は『滅び』を免れたが、今尚俺は『生命の樹』を傷つける『癌細胞』の一つなのだ。
目を逸らして、知らない振りをしても無駄だ。
真の意味で『鬼』を鎮めなければならない。
和解しなければ。
既に途絶えているはずだった、俺の一族が今日まで存続し続けたのは、その為だったのかも知れない。

916回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:38:26 ID:bz1odVGo0
「カズキ、お父さんに頼んで、コンタクトを取って欲しい人がいるんだ」
「行くんだね?」
「ああ。お前達には、全てお見通しだったな」
「まあね。お父さんにはもう頼んであるよ」
「そうか」
「おじさんが、本当は『赤い人』なのか『青い人』なのか、見極めさせてもらうよ」
マサさんが再会してから一度も外さなかったサングラスを外した。
マサさんの両眼は、俺が榊家に向かう直前に、マサさんの息子が見せたのと同じ青い光を帯びていた。
「この光が見えるということは、オジサンも僕らと繋がっていると言う事なんだよ」
「だから、俺は知らないはずのマミの治療法を知っていたんだな」
「そういうこと」
「マミを介して、オジサンは僕らと繋がっている。
オジサンが『赤い人』なのか『青い人』なのかは、まだ判らない。
マミが目覚めないのは、その為だろうね」
『赤い人』とは、多分、鏡に映った、夢の中でマミを手に掛けた、『鬼』の事なのだろう。

917回帰5 呪いの地へ再び ◆cmuuOjbHnQ:2014/01/31(金) 05:40:41 ID:bz1odVGo0
「マミの為にも、オジサンには『青い人』になって欲しいな。
無事に帰ってきて、『今度は』セイジにオジサンの空手を教えてあげてよ。
あいつはオジサンの事が大好きなんだ。マミのこともね。
くれぐれも『赤い人』には気を付けて」

俺たち一族にとっては、捨て去った筈の呪いの地。
かつて、その地で俺たちに向けられた『呪詛の視線』を思い出し、俺の掌には冷たい汗が滲み出していた。
其処に何が待つのかは判らない。
だが、俺は行かなくてはならない。
俺たち一族を呪い続ける人々との『和解』のために。
それが、坂下家同様に、既に絶えていた筈の俺たちの一族が存続し、俺が今日まで生き延びてきた理由だと思えるからだ。 
今度こそ、逃げる訳には行かない。
逃げた先に安住の地はない。
今度こそ、手に入れるのだ。
マミや家族との平穏な暮らしを。
俺は父の実家のあった『田舎』、怨念の地へ向かう事にした。
  
 
おわり

918名無しさん:2014/01/31(金) 07:38:29 ID:zHvUt4BE0
おはよう〜。投稿ありがとうございます〜

919名無しさん:2014/01/31(金) 16:35:40 ID:Y5MfK1xY0
管理人さん、「影の家族」へのリンクが無いッス

920名無しさん:2014/01/31(金) 17:32:16 ID:FCXakptQO
そんなもの無くていい
それより長い!長い!

921名無しさん:2014/02/01(土) 00:10:45 ID:wxxmMX7U0
祟られ屋さんの方、続きの投稿乙でございました。

さらに続きのお話があるようですね。

そちらもよろしければ、タイミングの良い時にお聞かせくださいね。

922名無しさん:2014/02/01(土) 15:50:03 ID:07sYpnycO
sharekowaの日韓ワールドカップ

923名無しさん:2014/02/02(日) 05:56:47 ID:APnxACFwO
霊的でないとダメなの?
普通の日常的な怖い話じゃダメ?

924名無しさん:2014/02/02(日) 13:59:06 ID:Z0T6NISs0
なんでもいいから怖い話なのが基本だから日常的な怖い話でもOK

925名無しさん:2014/02/02(日) 16:27:37 ID:APnxACFwO
皆さんは騒音オバサンをご存知かと思う。

布団叩きを持って引っ越せ!引っ越せ!と叫んでいたあのオバサンです。
10年ほど前にテレビに出ました。

私の近所にもそれに似たオバサンがいます。(年は70くらい)
私の家は一戸建てで隣にも同じ家が2件並んでいます。
その向かい側にボロく小さい家が1件あります。
3件の家沿いにブロックの壁が立っており私の家はボロから見て一番右側になります。
そのボロい家に問題のオバサンが住んでいます。

いつかの日曜日−
私は昼頃まで寝ていました。
隣(真ん中)の住人から掃除機音が鳴りすっかりその音で起こされてしまいました。
掃除機音が鳴って数分後

うるさいッ!

という声を聞いたのです。(ボロ家からです)
その声で掃除機音はピタリと止まりました。
そして意味不明なことを叫んだのです。

お前は歩く吸い取り屋〜!

って叫んでたような…

別の日に空気を入れ換えようと窓を開けるとボロ家のオバサンが外で草取りをしているのが見えたので私はワザと馬鹿デカいクシャミをしてすぐに隠れ、窓の隙間から外を覗くとオバサンがこっちを睨みつけていました。(30秒は睨んでたかな…)
オバサンは立ち上がり、シッシ…と手で追い払うような仕草をとって家に戻っていきました。

また別の日に隣から掃除機音がするとボロ家からオバさんが出てきて

また吸い取り屋か!また吸い取り屋か!

さらに

ドコッ!クシャッ!

ブロック壁に何かをぶつけた音がしたのです。
あとテレビの音量や洗濯機のガタ音などがすると

ガタガタガタガタ壊れとんか〜!
とか
テレビ消さんと燃やすぞ〜!

など次々と意味不明な罵声をとばしてきます。
少しでも物音や話し声などが聞こえるとそこの家に近づき叫んでくるのです。
私は隣の住人が可哀想になってきました。

私もここのところ不眠症が続いています。

ヘタに刺激すれば何をするか分かりません。
警察もよほどなことでないと動かないと思います。

相談所みたいになってすみませんが何とかあのオバさんを黙らせられたらと思ってここに書いてしまいました。

926名無しさん:2014/02/05(水) 04:30:37 ID:OVHoSTjUO
何でもいいって言っといて人が折角、実話を書いた途端にレスが途絶えるもんな〜
応えられないの?
何だっての?一体?

927名無しさん:2014/02/05(水) 04:34:17 ID:OVHoSTjUO
どうしてこうなんだろうね?サイトって
ちょっと何か書けばすぐこれだもんな〜
本当腹立つ!

928名無し:2014/02/05(水) 21:09:38 ID:gvVg0HW.0
アレ?

929名無し:2014/02/05(水) 21:22:11 ID:gvVg0HW.0
>>926
まあ落ち着けって。
何でか書き込みが蹴られたから、も一回書く。
俺の偏見って思われてもしょうが無い。でもココは大事な隠れ家な訳。
もちろん怖い話なら何でも良い。君の話もしっかり読ませてもらったよ。
でもレスが沢山ついて変なのが集まるのは避けたいんだ。
だからマサさんの話も藍さん達の話も皆のレスは極力控え目。そういうこと。
(できれば上の方のレス読んで察してくれ)
どうしてもレスが必要なら、ココ以外にも掲示板用意してウェルカムな
まとめサイトがある(怖い話まとめでググレ)。しかもかなりメジャーだ。
ただ、そういうトコは辛辣なレスも覚悟して書き込む必要があるな。
書き込んでくれてアリガト。

930名無し:2014/02/05(水) 21:31:13 ID:gvVg0HW.0
>>926
ああ、忘れてた。思い出したからもう1つ。
とりあえず「創作」って前置きがあると好き勝手にレスできるけど、
生身の人間の、しかも『実話』はレスしにくいぞ。
「こうすりゃオバさん黙るぜ。」って提案して
「逆効果じゃねぇか。どうしてくれる!」って展開は避けたいだろ?
次からは、けなされなかったらOK、くらいの感じで書き込んでくれよ。
怖くて面白い話、待ってるよ。

931名無しさん:2014/02/06(木) 00:32:58 ID:srw5Xuis0
あなたは大人だ。

932名無しさん:2014/02/06(木) 09:21:46 ID:ZvDqe1060
>>925
確かにお前さんの話はリアルに怖い話になるけど
ここは語り部がいてそれに感想付けるだけの様な憩い場的なスレ
925さんの話は怖い話ではあるけど最後
「相談所見たいになって申し訳ありません」
と自分で言ってしまっている以上
レス返しがない可能性も考えて頂きたいです
また>>926-927の様に思ってしまうのなら
相談スレなどご近所トラブル系の板なり探すなどやりようが他に有りますので
そうしていただけないでしょうか?

ではまた怖い話があれば是非読ませて頂き
楽しみに待っております

933名無しさん:2014/02/07(金) 01:58:09 ID:GuVu659IO
それは悪かったと思う。
でも悩みのサイトがなくて…

934名無しさん:2014/02/07(金) 02:36:05 ID:GuVu659IO
925の話は仕方ないとして、自分もいくつか怖い話を知ってるのでぼちぼち出したいと思います。

935いじめ:2014/02/08(土) 04:06:53 ID:XbM63.TsO
小5の時、クラスで凄くイジメられていた生徒がいた。
その生徒を仮にMとします。
Mは家が貧乏で制服はいつも泥臭かった。
同じクラスにMをイジメていたガキ大将Sがいてそいつに連られて何人かの生徒が彼をイジメていた。
私はイジメていたわけじゃないけどSとは時々話しをするので【もうやめろよ】と言っても彼は聞こうとはしなかった。
そのMという生徒はとても変わっていてSが彼の頭を叩いたり体を殴ったりすると怒るどころか笑っていた。
彼が教室にいない時、教科書や筆箱を隠されても困った様子も見せずただ笑っていた。
何をされても笑うだけで、そんな彼をSは許せなかったのだろう。
体育の授業でSは不意打ちを噛ますようにMの背後から飛び蹴りをしたこともあった。
それから彼をイジメる生徒は減っていったがSだけは相変わらずでどうしようもなかった。

社会人になって数年ぶりにSに再会しました。
彼は今、県外で働いており父の墓参りのため数日間の休暇をとって帰ってきたという。
最近の話題や過去の思い出話をしているうちに彼の口から怖い話を聞かされることに…

彼が墓参りの途中の道を歩いている時、彼の前方、遠くから犬を連れた男の人がこちらに向かって歩いてくるのが見えたそうだ。
彼も歩いているのでもちろんお互いの距離がどんどん縮まってくる。
30mほどで彼は相手の男が誰かに気づいたそうだ。

その犬を連れた男の人…
彼が小学生の時にイジメていたMだったって。
会社の作業着かは知らないがヒドく汚れていたそうだ。

Mと出くわした事に彼は非常に戸惑ったそうです。
過去が過去なので

よーッ!久しぶりッ!元気だったか?

というわけにもいかず、俯き加減で歩いていた彼…
何故かそんな気持ち
すぐに吹っ飛んじゃったって。

それはMが連れた犬を見てゾォ〜ッと血の気が引いたからだそうだ。

そのMが連れた犬…
あちこちにケガをしていて血の塊のようになってたって。
片目は潰れ、前足の片方は折れていたとか。

こう言ってはなんだが…

Mはもしかして今までイジメられてきたツケの全てをその犬に当たっていたんじゃないか…
と彼は想像したそうだ。

さらにもっと怖かったのが彼がMとすれ違う直後だった。

まだ生きてんのか…
早く死ね…クソ…

小声ではあったがはっきりとそう聞こえたそうだ。


その日の夜、彼はあの言葉が耳にこびり付いて眠れなかったそうです。

936名無しさん:2014/02/08(土) 04:08:26 ID:XbM63.TsO
途中から敬語になってゴメンナサイ

937名無しさん:2014/02/08(土) 16:51:13 ID:m6DNAdmY0
あんまり怖くないかもしれませんが。

私が小学生だった頃、山奥に住んでいたのですが
小学校へ通うのにバス乗り場まで歩いて行かなければいけませんでした。
私はランドセルを背負って軽い坂道を降りるのですが、
ある道を通ると背中を押されたりする間隔を感じるようになりました。
しかし、背中を押されても後ろには何もいません。
「気のせいだろう」そう思っていたのですが、中学生の時
学校帰り、バスを使わないで歩いて山道を歩いて帰っていた時。
耳の近くというか、頭の中(?)で「しね!!」という声がしました。
聞いた瞬間、背筋がぞくぞくぞくっとしましたが、誰もいませんでした。

その他には特に何もなかったのですが、あれは何だったんだろう?と不思議に思います。

938名無しさん:2014/02/09(日) 03:34:21 ID:ZK8d8Kj6O
その山道には霊がさまよっていたりして

939鏡に映ったモノ:2014/02/09(日) 16:51:24 ID:ZK8d8Kj6O
ある土曜日の夜
私の知人、男4人女3人でカラオケに行きました。(因みに私は女性です)
7時に入店し飲んで食べて歌いまくりで気がつくと深夜12時を回っていました。
男の1人がベロンベロン状態でふらふらになっていたのでその場で解散することにしました。
私ともう1人の女の子は道がこっちだと言って2人で帰りました。(女の子をAとします)
面白話しをしながら歩いているとAが今から私のウチに来ない?と誘います。
明日は日曜ということもあってAの家へ行くことにしました。
Aの家はマンションで広々とした部屋です。
私が彼女のベッドの横にある小さな椅子に座るとAはカーテンを開け、ガラス戸を鏡代わりにし、髪を溶かしていました。
(外はガラス戸が鏡代わりになるくらい真っ暗だった)
私も喉が渇いていたので氷水かなんか貰えない?

と彼女に言ったその時です。

髪を溶かしていた途中でAがクシを机に置き私にこう言ったのです。

○○ちゃん(私の名前)最近車買ったんだよね、ちょっと見せてくれる?
と言い、私の手を強引に引っ張って部屋から連れ出します。
私は

えっ?何っ?
何言ってんのこの子?

全くわけが分かりません。

だって私は車どころか免許すら持っていないのです。

それにここはAのマンション。

外に出た瞬間Aは私の手を掴んだまま走り出したのです。
Aに引っ張られたままマンションから数百m離れた所まで連れて行かれました。

痛ッたいッて〜!もう何なのよ急に〜ッ!
と私はAに怒ります。
そこでAは走るのをやめ、手を放し、息を切らしながらこう言ったのです。

ゴメンね○○ちゃん!

あのね、よく聞いてね…

さっき私たち部屋に入ったでしょう。

私が窓で髪を溶かしてた時ベッドの下に男が刃物持って隠れてたのが見えたの!

ということだった。

私は呆然とし言葉を失いました。

Aが男の存在に気づいた時、慌てて逃げると襲われると思いワザとあのような行動をとったという

Aはとにかく持参していた携帯で警察に連絡し15分ほどでマンションに来てくれました。
警察が部屋に入った時、すでに男の姿はなく特に部屋中が物色された形跡はありませんでしたが…

警察からは別のマンションに引っ越したほうがいいと言われ、それ以来Aは私のマンションに移ることになりました。

940名無しさん:2014/02/09(日) 16:53:52 ID:ZK8d8Kj6O
またまたゴメンナサイ
タイトルが鏡に映ったモノではなくガラス戸に映ったモノでした。

941名無しさん:2014/02/09(日) 16:57:52 ID:cg3OVZZo0
一行あけはハングル変換のせいだろうか

942名無しさん:2014/02/10(月) 04:53:02 ID:1Uwm/JjEO
文章を連続で繋げたり詰めると内容が分かりづらかったりするから。
貴重なところは一行あけたほうが読みやすい

943どこの子?:2014/02/10(月) 14:59:10 ID:1Uwm/JjEO
俺は現在、会社の紹介で安いマンションに住んでいる。
一年前から住んでるんだけど、それまでは古いアパートに住んでいた。

これはそのアパートに住んでいた時の話。

仕事を終え帰宅したのは夜の8時過ぎ。
当時住んでいたアパートの周辺は真っ暗で何も見えないほどではなかったが少し怖いくらいだった。
このアパートはとても古く、通路の電灯はほとんど点かない状態。
階段も同じで俺の部屋は2階。(家賃もタダに近い部屋)
近所の外灯もあてにならなかった。
階段を上がり踊場に出るとそこの隅っこに【何か】置いてあるのが見えた。
暗くてよく見えず持参していた携帯のライトで照らすと思わず一歩引いてしまった。
何とそこには4、5才くらいの男の子が丸くなって座り込んでいたのだ。
一瞬驚いたが恐々としながら俺はその子に歩み寄り

どうしたん?こんなトコで?

返事がない。
もう一度聞くが返事がない。
ここに住む子なんだろうか?
俺はその子に

お父さんは?お母さんは?

と訪ねるがやはり返事がない。
男の子は俺の顔を見るがすぐにうつむいてしまう。
きっと腹を空かしてるだろうと思い部屋からパンとジュースを持ち出し男の子に与えた。

早よお家帰り
家の人、心配しとるよ

と言い、俺は部屋へ戻った。
シャワーを浴び夕食を済ませ、寝る前にビールとつまみを採ろうとすると、つまみがなかったので近くのコンビニへ買いに行こうと階段を下りると男の子がまだ踊場で座り込んでいた。

何しとん?早よ帰りーや!

思わず声を荒げてしまった俺。
男の子は泣き出してしまい

あぁ悪りィ悪りィ
怒ったんちゃうで
しょうがねーなー

俺は一晩だけならいいかと男の子を部屋に入れてやり、明日大家に聞いてみる事にした。
男の子の体を洗ってやり服も洗濯した。
そして俺は男の子と同じ布団で寝た。

翌朝になって気がつくと男の子の姿はなかった。
トイレかと思ったがいない。
部屋中探してもどこにもいなかった。
服もなくなっていた。
うちに帰ったんやろか?
大家に聞いてみるがそんな子は知らないとのこと。

大家が言うには、つい2日ほど前に1階の○号室に住んでいた若い夫婦が退室したらしいが、その夫婦が男の子と関係してるかは不明。

そして数日後の朝、俺がゴミを出そうとゴミ置き場に行くと幼稚園用のカバンとシューズが捨ててあったが、あの男の子のものなのかは分からない。

無事でいるのだろうか…

944おじちゃん:2014/02/11(火) 04:00:22 ID:xLElbtfAO
幼稚園の頃の話

私を入れて家族4人、そしてもう1人知らないオジちゃんと暮らしてました。
そのオジちゃんが来てから私が母に

あのオジちゃん誰?

と聞くと母は

○○(私の名前)は知らなくていいの

と言われました。
兄も知りません。
けどそのオジちゃんはとても優しくていつも私と兄を遊びに連れてってくれたり
お菓子を買ってもらったりしてくれました。
私はそのオジちゃんを実の父のように思うくらい大好きでした。

でも家にオジちゃんがいない時、母はよく私と兄に言ってました。

あのオジちゃんと2人きりになっちゃダメよ

って。

えっ?なんで?
あんなに優しいのに?

3ヵ月ぐらい経ってからまた母にさり気なく同じことを聞いてみました。

ね〜、本当にあのオジちゃん誰なの〜?

しばらく母が沈黙したあとこう言いました。

親戚の人…

の一言。

当時私は小さかったのでオジちゃんのことを不審人物や悪い人だとは全く思いませんでした。

ある日のこと

私と兄が部屋でオジちゃんに遊んでもらっていた時です。

ピンポ〜ン♪

家の呼び鈴が鳴り母が出ると相手は警察官でした。
私と兄もソ〜ッと玄関前の部屋で立ち聞きすると警官が母に中年の男性を捜してると訪ね、母がうちにいるオジちゃんの事を話した。
私が奥の部屋に戻ると一緒に遊んでいたはずのオジちゃんがいつの間にか消えていました。

家中探してもいませんでしたが兄の部屋の窓ガラスの鍵が開いているのに気づき、戸が少し開いていました。

きっとここから飛び出したんだ

でもどうして?

その日からオジちゃんが家に戻ることはありませんでした。

会ってもいません。

オジちゃんがどこの人で何故うちに居座っていたのかは分かりませんが20年経った今、さり気なく母に聞いてもあの人の話になると相変わらず何も言いません。

何者だったんでしょうか?

945去年の花火大会:2014/02/11(火) 11:22:37 ID:xLElbtfAO
みんなテトラポットって分かる?
海岸でよく見かけるヤツ
三菱のマークの形に似たコンクリート
船虫がいるよね

去年といっても3年前になるんだけど
8月某日に花火大会があって隣町の海岸がよく見えるということで家族で見に行ったの

海岸に着くと砂浜にはたくさんの人たちが風呂敷を広げて打ち上がる花火に注目していました
私たち家族も場所をとって見ていました
海岸沿いにあるテトラポットの上に座って見ている人たちも大勢いました

しばらく花火を見ていた時です

キャーッ!!

私たちから左、数10m離れた所から女の人の悲鳴がしました

私が姉と悲鳴がした辺りまで走って行くとテトラポットの周辺に人集りが出来ていました
あまりの人集りに何が起きてるのか分かりません

数分後にパトカーがやって来て警官が出てくると第一発見者と思われる人が警官に早く早くと急かします
警官が慌てて

どこです?

と訪ねると発見者は

あそこ!あそこ!

と指を指します

警官が人集りに入った時、私たちも入りました
そこで私たちが見たものは…

何とテトラポットの下に死後数ヶ月は経とうかという男の人の死体があったのです
死体には船虫がウヨウヨと集っていました
警官が警棒で突くと
ザァー…と船虫が一斉に散らばり近くにいた人たちが悲鳴をあげてその場から放れます
私たちは気分が悪くなり、両親に今の出来事を話し、すぐ家に帰ることにしました

車で帰る途中、反対車線から救急車が通って行くのが見えました
きっと海岸へ向かって走っていたのでしょう


でも本当に良かったね
男の人見つけてもらえて

946名無しさん:2014/02/11(火) 13:23:52 ID:DeG3ZGNw0
自作怪談のブログやってます よろしければどうぞ

http://scoby.blog.fc2.com/

947名無しさん:2014/02/11(火) 16:13:00 ID:xLElbtfAO
今まで書いた文章をまた1から書き直すの面倒だから、このまま爆進するよ

948 ◆iF1EyBLnoU:2014/02/13(木) 21:56:32 ID:R8bu/kHI0
テスト中。

949 ◆iF1EyBLnoU:2014/02/13(木) 21:58:15 ID:R8bu/kHI0
皆様今晩は、藍です。
今回はかなり時間のかかるお仕事を手伝っておりまして、
まとめの方で頂いたコメントに返信するのが精一杯でした。
一昨日帰ってきて、昨夜こちらを覗いたら書き込みが沢山あって嬉しかったです。
『玉の緒』以降の作品がどうなるのか全く分からないので、
今夜は私の経験を書かせて頂きます。

確か小学6年生のことです。
私と母は小正月の行事のために、本家に手伝いに行きました。
母や叔母たちが繭飾りを作るのを手伝って、とてもウキウキした気分でした。
そうこうしている内に、高校生の娘さんが部活から帰ってきました。
彼女は私の従姉妹、本家の娘さんでとても綺麗な人です。
私は彼女が大好きだったので、すぐに玄関に迎えに出ました。
言葉を失うというのは、ああいう状態を言うのかも知れません。

950 ◆iF1EyBLnoU:2014/02/13(木) 22:01:25 ID:R8bu/kHI0
靴を脱いで廊下を歩いている彼女は何故かボンヤリした表情。
その後ろを小さな男の子が歩いています。
まるでその顔が彼女のお尻にぴったりくっつきそうな距離。文字通り「異様」。
一体あの子は誰だろう?何であんなにくっついて歩くんだろう?
今まで見た事のない男の子は、従姉妹が手伝いを始めてからもその後をついて回りました。
私の視線を不思議に思ったのか、母は私を勝手口から庭に連れ出しました。
「藍、さっきからずっと○●ちゃん見てるよね。何が見えてるの?」
「○●お姉ちゃんの後ろをね、小さな男の子がついて廻ってるの。帰ってきてからずっと。」
「その男の子、どんな格好してる?着物?それとも洋服?」
「洋服だよ。黒い服。靴も黒いよ。ピカピカで。」

その途端に、母の表情が変わりました。とても険しい表情だったと思います。
「藍、今話したこと、皆には内緒ね。お利口に出来たら帰りに好きなもの買ってあげる。」
「うん、約束ね。」 そんなやりとりがあって、私は何時の間にか寝てしまったようです。
ふと、目が覚めると薄暗い居間のソファの上でした。台所は明るく、話し声が聞こえました。
母を探そうと立ち上がったとき、突然左肩を掴まれました。
年上の従姉妹が私の顔を覗き込んでいました。大きく見開いた目は少し怖かったです。
そしてその左肩の後ろ、あの男の子の顔が見えます。
「○●お姉ちゃん、その男の子、誰?」
「ああ、やっぱり藍ちゃんには見えてたんだ。この子はね。」

951 ◆iF1EyBLnoU:2014/02/13(木) 22:02:59 ID:R8bu/kHI0
その後の記憶は途切れ、目が覚めたら私は母に抱かれていました。
母との約束を憶えていたので、あの男の子のことは口にしませんでした。
見た事の無い人たちが沢山いて、すごく慌ただしい雰囲気だったせいもあったと思います。

その年のお盆に本家を訪ねた時には、何の異変もありませんでした。
○●お姉ちゃんや他の従姉妹達と一緒にホラー映画のDVDを見て楽しかったです。
あの日の記憶は一体現実だったのか、それとも夢だったのか、確かめる術はありません。
いつか○●さんに聞いてみたいような、そうしてはいけないような、不思議な気持ちです。
今にして思えば、母と、もっと沢山話をしておくべきだったと、そんな気もしています。

さて、取るに足らない昔話、お付き合い頂いた皆様に感謝致します。有り難う御座いました。
他の投稿者さまの邪魔にならなければ良いのですが。

952名無しさん:2014/02/13(木) 22:41:22 ID:HzLDXNfE0
ふむ。やはりそうなるか。では私も一つ後で上げさせてください。

953名無しさん:2014/02/15(土) 03:36:45 ID:nh4jCeCIO
怖い話じゃないけど

最近のトイレって入口入るとセンサーが反応して電気点くようになってるよね
(ある程度時間経つと消えるようになる仕組みで)
この前、暗くて誰もいないと思って入った時、センサーが反応した瞬間、大便のほうからいきなり人が飛び出して出て行った!

ちょっと驚いたけどその人、電気消えている間、何やってたんだろね?

954金縛り:2014/02/17(月) 01:10:23 ID:2azV4/860
私の話をしようと思います。これは私が初めて金縛りに遭った時の話です。

私と言えば幼少のころから実家には私にしか見えないお化けが出ました。そういったものが怖いという考えすら持ってなかった頃から見えていました。
当時の実家は平屋建てで北入り玄関。向かって左が8畳キッチン。その奥が8畳和室+広縁の子供部屋
向かって右が水回り、その奥が両親の寝室で8畳和室。一番奥が寝室と続き間になった座敷で8畳和室+広縁。つまり座敷ぶんだけ南側に出ている形の家でした。
一番奥の座敷から玄関までまっすぐの廊下が伸びており、キッチンに行くには家南の端から玄関までの北端まで歩く格好になります。
東京の赤門近くの病院で父と知り合った母は免許はありましたが、結局還暦超えても紙ドライバーで車は父の運転する一台のみ。
TVは座敷のみで、TVや車が複数台有るというのは当時で言えばブルジョワでした。そんな時代の話です。

955金縛り:2014/02/17(月) 01:11:10 ID:2azV4/860
夕飯に呼ばれてキッチンに向かうと必ず出るんです。髪の長い女の人が。
子供部屋の入り口のドアの正面は、お仕置きにも使われた半畳の物置スペースなのですが、そのドアの表面から、すっと女の人が湧いて出て3尺の廊下をまたぎ子供部屋に音もたてずに入っていくんです。
仕事を手放さない母は兄が生まれても1週間で内職を始める元気人間で、一度も髪を長く伸ばしたことがありません。

私「今女の人が子供部屋に入っていったよ」
父「誰も居ないじゃないか」
私「うん、誰も居ないね」

水曜スペシャルの心霊モノを見た日はトイレに行けなくなるほどビビりだった割には実物を見ても怖いとは感じてませんでした。唯一気になったのは決して顔が見えないという事くらいでしたね。
こんなやり取りをしながら平和に育った私は中学生になりました。

956金縛り:2014/02/17(月) 01:11:56 ID:2azV4/860
中学になった私はある事情で虐めにあう事になりました。クラスの女子からバイキン扱いというテンプレなアレです。
男子にはあまり伝播しませんでしたが中には2チャンネルに出てくるコウトのような嫌な奴も居るんです。
結局虐めは中学2年の終わりまで続くことになるのですが、その中で数度、虐めにやり返したことがあります。
今思えば、子供の社会と言うのは大人の世間体とあまり変わらないんですね。だから底辺の私が逆らうとその人は私に恥をかかされたことになるんです。因果応報もへったくれもありません。
虐めは辛い物でしたが学校は休まず通っていました。そんな中で事件は起きたんです。

休日の私はいつも昼近くまで寝てるような子供で、晴天にも関わらずその日もいつも通り昼前になって母に「いい加減起きろ」されました。
兄弟は上と下に居て3人で子供部屋を使っていましたが、私の寝床は広縁。つまり窓際だったんですが、いつも通りめんどくさそうに体を起こすと私を呼ぶ声が聞こえたんです。

957金縛り:2014/02/17(月) 01:12:39 ID:2azV4/860
「*澤〜」

身を起こしたままで目を開けたまま後ろ=窓際を振り返えようと力腰にひねる力を入れた瞬間に金縛りに遭いました。
その後金縛りに習慣的に遭うようになるんですが、初めての金縛りだけは違っていました。何と言うんですかね「恐怖の感情を首の後ろから瞬時に注入されて即時に体に広がる感じ」です。
習慣的になった金縛りは、足から感覚が抜けていき、次第に体の上まで徐々に動かなくなります。最後には歯の麻酔をしたときのようにブツブツと歯の神経が切り離されていく感じで終わります。恐怖は感じません。
しかしその時は何も見てない状態「恐怖の対象が何か認識してない状態」で一瞬にして体の自由が奪われて恐怖に体全体が支配されたんです。

958金縛り:2014/02/17(月) 01:13:30 ID:2azV4/860
訳が分からなくなりましたが必死で頭の中で

「御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい」

と頭の中で繰り返したところ恐怖が体の中から消え去り体が動くようになったのを「何故か」把握しました。
お調子の者の私は何でか安堵と言うよりは、何故か腹が立ってしまい、もう一度背後を振り替えようしたんです。「と力を入れた瞬間にまた体が動かなくなり」恐怖で再び体と感情が支配されました(アホや私)
「あいつ」は私と繋がり、私の精神を読み取っていたんです。私を「向こう側から」覗いていたんです。

「御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい」WWWW

情けなさと共に再び力が戻った私は、今度は振り返ることなく立ち上がることが出来、母に金縛りに遭った事を伝えると心配どころか本当のアホ扱いされました。

959金縛り:2014/02/17(月) 01:15:02 ID:2azV4/860
・・・ここまでは皆に話している事です。実は誰にも話したことがない部分があります。

あの時、後ろに窓ガラスがあるにも関わらず、距離を無視してまるで首根っこの後ろに向かって息をかけるように、声色を排した囁くような吐く息だけのあの声の持ち主。
そして名字の呼び捨てでお互いを呼び合うのは、当時では中学の同級生だけだった事。
声が聞こえた瞬間に、その声の持ち主が、私が逆らったあの同級生男子、M・Aだという直観を感じた事を。

私もあの時きっと「あいつ」と繋がっていたんです。

おわり。

みなさん、不条理でも何でも、人から念をかうと飛んでもない目に遭いますよ〜

960 ◆iF1EyBLnoU:2014/02/25(火) 20:00:23 ID:oJwXw81Q0
皆様、今晩は。藍です。
本日知人から、残っている作品の準備を始めた旨の連絡がありました。
単純に喜ぶ訳にはいかないのですが、考えていたより早く
次作以降の投稿に向けた作業が出来そうです。
次作以降をご期待頂いている方々、どうかもう暫くお待ち下さい。

961名無しさん:2014/02/25(火) 21:56:33 ID:zX3u160QO
o(^o^)o WAKWAK

962名無しさん:2014/02/26(水) 01:38:28 ID:ZDduScas0
藍さんこんばんわ。

うーん、原稿の準備ですか。知人さんの課題の進捗はどうなのでしょうか。

続きは非常に読みたいのですが、心配。

963 ◆iF1EyBLnoU:2014/03/01(土) 21:33:56 ID:mBDek2jo0
皆様今晩は、藍です。
昨日、新作の原稿を受け取りました。掌編なので作業は既に終了。
知人にもメールで送信済み、投稿の許可を貰え次第投稿致の予定です。
今夜か明日中に投稿できれば良いのですが。

964名無しさん:2014/03/02(日) 17:15:22 ID:Psr7awH60
シリーズ物スレを建ててみました
http://jbbs.shitaraba.net/study/9405/#1
藍さん、できればそちらの方に投稿できまんでしょうか?
他意はありません。ただ、藍さんの作品が投下されると少なくないレスがついて
スレが肥大化してしまうでしょう?
他の作品も埋もれてしまうし、住み分けしてもいいと思うんですがどうでしょうか
他の方の意見も聴きたいです

965名無しさん:2014/03/02(日) 17:17:15 ID:Psr7awH60
すいませんシリーズ物のスレのアドレス間違ってました
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/9405/1393747823/
こちらです

966 ◆iF1EyBLnoU:2014/03/02(日) 18:03:01 ID:G/hhzQKA0
>>964
管理人様でしょうか?
わざわざ新しいスレをたてて頂き、感謝致します。
今夜投稿予定のお話から、そちらに投稿させて頂きます。
本当に有り難う御座いました。

967名無しさん:2014/03/02(日) 18:04:21 ID:ouWq9OMQ0
スレ主さん、まとめ係さんのご負担も減りそうですね。

968 ◆iF1EyBLnoU:2014/03/03(月) 00:04:18 ID:LfliCkpY0
>>967
スレ主さんとまとめ係さんにご負担をおかけして来ましたこと、
心からお詫びしたい気持ちでいっぱいです。申し訳ありませんでした。

969名無しさん:2014/03/03(月) 00:19:29 ID:WTsA43ho0
>>968

藍さん、少し落ち着いて。私が悪かったのです。色々書き込んでしまったから。

970名無しさん:2014/03/04(火) 15:55:56 ID:HpfLGtcw0
>>964
意味のあるスレ分けだと思うし賛成だけど、建ててから
> 他の方の意見も聴きたいです
ってどうなのよw

あと、そのスレタイだと祟られ屋の人にも今後移動をお願いする訳ね?

971と、徳島です:2014/03/07(金) 00:14:59 ID:5KCMgYSY0
こんばんわです、私も少し気持ちを練ってました。まずは、やることやりますね。

藍さん、ごめんなさいm(_ _)m

私はちょっと変わった営業やってまして、ある物を売る事と、クレーム対応が一緒になったような仕事をしています。自分で言うのも何ですが全国表彰レベルの営業です
普通の方よりも何倍も人に会って、何倍も怒られ、褒められる仕事です。喋る順番を間違えただけで印象を悪くする事は常に気を付けてたのですが・・
他の方にも怒られちゃいましたね。(有り難い話です)
ブラックリストのお客様とか他の担当が出禁になった案件とかもよく回ってくるので、自然と人の気持ちや、生活の姿には考えを向けることが多いです。

リアルでは、因縁とかそんな話はしてません。そんな事したら、扱い、ではなく本当の「アホの子」になってしまいます。
しかし、この問題が起きた時に、ここでしかできない、ここだからこその話をしようと「何故か」思いました。

①怖い話Part2 の藍さんオリジナルの話。②そして今回のお話。③枯れ木さんのお姉さんに関するお話で「何のイメージがお心にあって」今回の様な反応をされたのか私なりの見当はついています。
正直、私の心の在り方が善悪を問わず、藍さんにとって悪影響があるのなら、もうここにはこれないなと考えていました。それが今回の「出会い」とも。
3つの事前の「お手配」がありながら、私は「それ」を認識できず、今回の事を予防することが出来ませんでした。
普段の私の修行も、普通の人から見たらバカみたいな話ですが、こういう事、小さな分岐を自分で認識して改善したい過去(因縁)を変えることにあるので、どうしても喋ってしまいました。

972と、徳島です:2014/03/07(金) 00:15:43 ID:5KCMgYSY0
管理人さん・・・・投稿先間違えちゃった(TT)

973名無しさん:2014/03/08(土) 17:29:07 ID:huBAd/ao0
もうずいぶん昔のことです。そのころ私は、和服の行商をしていましてね。
いや、荷を担いで廻ってたわけじゃありません。
カタログ販売です。むろんインターネットも携帯電話もない頃でしたから、
本社からその県のね、拠点となる場所に商品を送ってもらって、
私はカタログを持って小さな集落を廻って歩くんです。
一軒一軒を訪ねて注文があれば代金をいただいて品物を送らせる。
今にして考えれば悠長な商売ですよね。のんびりした時代だったんです。

移動は、経費節約のため鈍行列車を使うことが多かったですよ。
集落に入ってからは、自転車を調達できればそれで、なければ徒歩で回っていました。
たいした給料ではありませんでしたが、
いろんな場所へ旅から旅の生活は楽しかったですよ。
ああ、すみません。前置きが長くなってしまいました。
夜行列車に載っていました。もちろんローカル線の各駅です。
当時は鉄道も単線の区間が多くて、急行列車を待つために駅でもなんでもないところで
数十分くらい停車しているということがよくありましてね。

974名無しさん:2014/03/08(土) 17:29:45 ID:huBAd/ao0
夜の10時頃だったでしょうか。私は商売柄、列車の中で寝るのは得意だったんですが、
その日はどうしたわけか寝つけなくて、
4合瓶をちびちびやりながら窓の外を見てたんですよ。
他の乗客はわずかしかおらず、ほとんどの方は眠っていました。
季節は夏の終わり頃で、まだ列車の天井では扇風機が回っていましたね。
急行待ちのアナウンスがあって列車が停まったのは、線路脇に芒(すすき)、
その向こうは雑木のまばらな林となっているところでした。

ぼんやりと見ていると、その林の中をですね。白いものを着た人が歩いていた。
暗くってはっきりとはしませんが、烏帽子のようなものも被っていました。
つまり神主さんの格好ですよ。
そういう人が20mばかり離れたところをゆっくりと歩いている。
その人がちらと、こちらのほうを見て、
そのときに顔の造作が車窓からの光で見えたんです。
いや、何の変哲もない中年男の顔でしたよ。

975名無しさん:2014/03/08(土) 17:30:18 ID:huBAd/ao0
ただ、その人の後ろに何か動くものがありました。
鹿です。大きな鹿がたくさん、その人の後をついて歩いてたんです。
鹿は、みな一様に首をうなだれてとぼとぼと元気のない様子でした。
不思議なことがあるものだな、と思いました。
鹿を飼っていて慣れているのだろうか、
神主の格好をしているのはどこかの神社で飼っている鹿なのだろうか・・・

ところがですね。その鹿の群れがだんだん列の後ろにいくにつれて、
別のものに変わっていったんです。夜の中で黒ぐろと見えていた鹿の地肌が、
だんだん白くなっていった。
あれっ、と思ってよく見ると・・・四つん這いの人間です、まる裸の。
鹿と人間が混ざったようなのもおりましたよ。背中だけ毛皮が生えているようなね。
列の後部のほうはまるっきりの人間でした。男も女もいましたね。
裸で尻を高く上げた四つん這いで、頭を垂れて歩いていました。

976名無しさん:2014/03/08(土) 17:30:51 ID:huBAd/ao0
見ていたのは数分程度のことでしたが、長く感じました。
ああ、たしかに酒は飲んでいましたので、幻を見たという可能性はありますよ。
ただ、話には続きがあるんです。
列車はまもなく出発して次の駅に着きました。
そこで私たちの車両に乗り込んでこた客が一人いたんです。
中背の勤め人のような背広を着た、40代くらいと思える男の人でした。
大きな風呂敷包みを抱えていましたね。

その人が、席はガラガラに空いているのに、私の前にきて座ったんです。
ほら昔の車両ってのは、向かい合った4人がけの席になっていることが多いでしょう。
その向かい側の席です。そのとき、その人の顔を見て驚きました。
さきほど林の中で異形の鹿の群れを連れていた神主とそっくりなんです。
あの・・・狩衣というんですかね、それと背広という違いはありましたが、
まったく同じ人だと思いました。

977名無しさん:2014/03/08(土) 17:31:26 ID:huBAd/ao0
その人は、「ここ失礼します」と言って座り、
風呂敷包みは網棚に上げずに横の席に置きました。
様子を見ていると、「失礼ですが、どのようなご商売ですか」と、
向こうのほうから話しかけてきたんです。
それは柔らかな、笛か何かを思わせるような声でした。
それで、問われるままに行商のこと、旅のことなどいろいろ語りました。
お酒が入っていたせいか、自分でもびっくりするほど饒舌になっていました。

その人のほうはと言えば、
自分のことはほとんど語ることなく聞き役に徹していましたよ。
いや、今にして思えば上手な聞き役でした。
私は子どもに死なれたことや、それが原因で妻と別れたことまで話してしまったんですから。
その人は私の話をひととおりり聞き終えると、改まった感じで「わたしと一緒にきませんか」
というようなことを言ったんです。
どういう意味かはわかりませんでした。
もしかしたらさきほど林の中で見たことと関係があるのか、とは思いましたが。

978名無しさん:2014/03/08(土) 17:32:01 ID:huBAd/ao0
するとそのときです。ガクンと列車が揺れ、ギィーッという長いブレーキ音ととに停止しました。
私はずいぶん長く鉄道を利用していましたので、
これは何か事故があったんだなとわかりました。
その人にもわかったようで、
額にしわをよせて、「飛び込みでしょうかね」と言いました。
そのあとでそわそわとした様子になり、「ちょっと見てきますね。野次馬趣味でお恥ずかしい」
そう言って、荷物を持つと前の車両に移っていきました。

席を立つときに、その人はつぶやくように歌うように「しかぞなくなる」と言ったんです。
・・・それからもう戻ってはきませんでした。
前の車両に席を移して、そのままどこかで降りられたのかもしれません。
列車は動き出し、私はいつしか眠ってしまいまして、気がついたら朝になっていました。
これだけの話です。・・・「しかぞなくなる」というのは、
万葉集にある「世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる」
という和歌のことではないかと、だいぶ後になってわかりました。

979名無しさん:2014/03/09(日) 03:32:53 ID:79iyLaOQ0
a

980名無しさん:2014/03/09(日) 03:33:28 ID:79iyLaOQ0
ずいぶん昔のことになるけどな。闇金の取り立てをやってたんだ。
まあ今みたいにすぐ弁護士が出てくるようになる前のことだ。
で、ある客のとこに取り立てにいったときの話。
いや、俺らはサラ金とは違うからフツーは客の家に行ったりはないよ。
電話催促だけで、紙貼ったり家の前で怒鳴ったりなんてことはしなかった。
特に利息分だけで元金超えてる客に関しては。

そんときの客は三田って40過ぎくらいの女だった。
もともと知ってる女でね、新興宗教の教祖みたいなことをやってたんだ。
その頃は羽振りもよくて、闇金屋と客っていう関係じゃなかった。
ちょっと世話になったりもしたんだ。
ところが未成年の信者の親が警察に不法監禁で訴えてガサ入れがあり、
そんときに覚醒剤とかも出てきてしまったんだよ。実刑にはならなかったがな。
で、教団のほうはおじゃん。それでもしばらくは蓄えた金で生活してたが、
先物とかに手を出したらしくスッカラカンになりサラ金に金を借りた。
それが返せなくってブラックリストに載り、俺らのとこに来たわけだ。

俺が店にいたら止めとけって言ったんだが、ただの取り立て係だしな。
金は5万、端金だろ。それでも最初のうちは利息払ってたから元金分は回収してあるし、
あとは督促の電話に出なくなったらそれで終わり。
どうせ違法商売だしね、ありえない利息を払い続けられるやつなんていない。
腐ったミカンを奪い合うような商売なんだ。
むしろ訴えられるとかのトラブルのほうがヤバイんだよ。
三田の場合は利息が入らなくなって連絡して、いやいや、優しく話したつもりだよ。
だが次にかけたときは電話を止めらたみたいだった。
まだ携帯の普及してない頃だ。

981名無しさん:2014/03/09(日) 03:34:04 ID:79iyLaOQ0
それで気になって家まで出かけてみたんだ。
いやいや、惚れてたとかそうじゃないって。もうババアだぞ。
三田が教団の本部にしてた家が自分の持ち家で、何かおいしい話が転がってないか、
そういう下心はあったけどな。で、上司には内緒で夕刻に行ってみた。
宗教団体の目立つ看板はそのままだったが、サラ金の紙が貼られたままになってた。
古い一軒家なんだが、簡単に売れるとこでもないし借地なのかもしれない。
草ぼうぼうになった庭を入っていって玄関でインターホンを押したが誰も出ない。
ああ、逃げたんだろうなと思った。田舎にでも帰ったか。

閉まってるだろうが、ためしにと思って戸に手をかけたらカラッと開いた。
んで入ってみたんだよ。違法だろって?まあな。
中は民家というわけじゃなくて、宗教団体時代のゴテゴテした飾り・・・垂れ幕とか
よく知らないが梵字の書いた掛け軸とか・・そんなのがあちこちにあった。
電気も止まってるようだし、薄暗くて不気味だったよ。
部屋を順々に見ていったが、金目のものはなさそうだった。
え、自殺してるとか考えなかったかって?
ないない、ないよ。そんなやつじゃない。
確かにガサ入れ食らってからは覇気もなんもなかったが、そんなタマじゃない。

一階を見て回って、階段で2階にあがった。
前にも入ったことがあるんで様子は知ってた。上には信者の寝泊まりする部屋と
奥にご神体のある祭壇があったはずだ。
・・・最初の6畳が信者が生活してたとこで、最盛期には5人は詰め込まれてたと思った。
襖を開けると奥に何枚も布団が積み上げられて窓を塞いでいた。
床は畳でこ汚いタオルケットが数枚敷かれ、畳は黄ばんで焼け焦げの跡もあった。
焼け焦げは広範囲に畳が炭化してて、火事になんなかったのが不思議なくらい。
やっぱ金目のものはなんもない。
この部屋の隣が、急造感のある一畳ばかりのトイレ。

982名無しさん:2014/03/09(日) 03:34:42 ID:79iyLaOQ0
次が洋間になってて、祭壇があったはずだ。
ドアを開けると衝立があって、そこを曲がって入ると祭壇が目の前にある。
仏教系なんだろうな、前に見たときは鐘や木魚なんかも置いてたが、
今はただホコリが積もった白い布がかけられてあるだけ。
で、その前に押入れほどの巨大な仏壇。これはさすがに処分できなかったんだろう。
そのままの形で残ってた。
どうせ空だろうと思ったが、閉まってた扉を開けてみた。
ぶわっとホコリが舞った。中の板仕切りのようなのが叩き壊されて下に山になって落ちてた。
その奥にキラと光るものがあった。

板をかきわけて拾いだしてみると、高さ20cmばかりの仏像だった。
俺にはお釈迦様なのか観音様なのかもわからん。
暗い中でもキンキラに輝いて、ずっしりと重い。まさか金なのか、まさかな・・・
メッキかもしれないが、骨董屋に持ってくくらい安いもんだと思ってゴミを払ってバッグに入れた。
とたんにドーンと雷が落ちたような音と振動を感じた。
それだけじゃなく、部屋全体が真っ赤に見えた。
仏壇の奥から何か白いものが出てきた。這いずっていて小さい。赤ん坊というより胎児だ。
それが固まったように動けないでいる俺の前まで出てきたんだ。
てらてらした白い背中にまわりの赤い色が映ってた。蛙の顔をしていた。

それが急に素早いトカゲみたいな動きになって俺の手から肩に跳び移ってきて、
顔の横で「くえあ」と鳴いた。
・・・そっから記憶がないんだよ。気がついたときには兄貴分に肩を抱えられていた。
俺が出てこないんであちこち探してくれたらしいんだ。
そしたらここの電話番号のメモが机に残ってて、
探しにきたら部屋の隅で膝を抱えて小刻みに震えてる俺がいたってことだった。
兄貴から日付を聞いて愕然としたね。ここに入ってからなんとまる2日もたってるんだ。
仏像はどうなったかって?ああ、それだよ。バッグを開けたら中に入ってたのは
バラけないようにあちこちヒモで縛った小さい小さい人骨だった。胎児の骨だと思う。
仏像なんてどこにもない。

983名無しさん:2014/03/09(日) 03:35:15 ID:79iyLaOQ0
骨は白く乾いてて、頭の部分に小さな字がたくさん並んでいて、
その最後にやや大きく、普通の字で「しね」って書いてあった。
・・・三田の最後っ屁だったんだな。家を訪ねてくるやつに罠をかけたんだと思う。
さあなあ、俺を狙ったとは思えないが。
恨まれるようなことはしてないし、世間のやつらが憎くて誰でもよかったんじゃないか。
それにしても、こういうことって実際にあるもんだとは思わなかった。
何というか、宗教家としての力はあったってことなんだろうな。
それから三田のゆくえは探してないし、俺もしばらくして闇金をやめた。

984名無しさん:2014/03/10(月) 23:45:10 ID:5K3TS0ng0
小学校の3年のときの話です。
だから記憶があいまいなので、今、卒業アルバムを見ながら書いています。
クラス替えがあって、最初の担任が30代前半くらいの女の先生でした。
名前は北見先生です。卒業アルバムは当然ながら6年生のときの写真が中心なんですが、
その先生方の集合写真の中に顔が見えます。転任されていなかったのでしょう。
この先生は最初の9ヶ月くらいいて、それから産休に入られたと記憶しています。
代わりの担任として、湊先生という若い女の先生がこられました。
冬休み過ぎ、3学期のことでした。

いえ、学級崩壊などといったことはありませんでした。
わりとおとなしいクラスだったと思いますよ。
新しい先生に反発したということもとくにはなかったと記憶してます。
この湊先生は今にして思えばかなり変わった人でした。
低学年の担任はジャージを着ていることも多いと思うんですが、
いつも白いスーツで来られていたんです、
小さい子ども相手で汚れることも多いだろうに。
それから、教室に大きな牛のヌイグルミを持って来られていました。
あの牛乳をとる白黒のホルスタインじゃなくて、薄茶色の牛なんです。

985名無しさん:2014/03/10(月) 23:45:47 ID:5K3TS0ng0
授業はあまり上手ではなかったと思います。慣れていないというか・・・
田舎だったので、産休の講師がおらず急になられたせいかもしれません。
体育の時間などはジャージに着替えておられましたが、
かなりとまどってる感じがしましたね。
それで、週一回学級活動の時間というのがあったんですが、
その内容がかなり奇妙なものだったんです。
さきほど話した牛のヌイグルミですが、座った形をしていて、
かわいいというよりリアルな感じの顔でした。
・・・何か考えこんでいるような顔といったらいいか。
もしかしたら先生の手作りだったのかもしれません。
大きさは小学3年生が座るより大きいくらいです。
名前は・・・湊先生は「ケンちゃん」と呼んでいました。
どういう字を書くのかはわかりません。

そのケンちゃんは、背中がジッパーで開くようになっていて、
中には綿が詰められていました。
その綿を取り出して、中に順番に生徒が入るんです。1時間に3人くらいでしたけど。
手足の先まできちんと入ることができて、
もしかしたら最初から着ぐるみだったのかもしれません。
入った子はケンちゃんを着たまま黒板の前の教卓に座って、
それに向かってみんなでお願いをするんです。
・・・最初は先生の合図で声をそろえて、
「世界が平和になりますように、この世の差別がなくなりますように」と言います。
さらにその後、一人一人が順番に願い事を言うんですが、ルールがありました。
個人的なお願いはだめなんです。
「おもちゃがほしい、足が速くなりたい」などの、
自分だけに得のあることは言ってはいけないことになってました。

986名無しさん:2014/03/10(月) 23:46:38 ID:5K3TS0ng0
これって3年生には難しいですよね。
だからみんな「戦争がなくなってほしい」とか、同じようなありきたりの内容だったと思います。
一人が10分くらい入ってて、3人が体験すればだいたい45分授業は終わりました。
私ももちろん入りましたよ。すごい窮屈だったのを覚えています。
ケンちゃんは、外側はふわふわですが、中の布は固くて身動きがとれませんでした。
特に顔のまわりは詰め物が厚く入っているようで、
みんなの声が遠くでしているように聞こえました。
それから、目などの穴が空いているわけではないので外は見えず、息も苦しかったです。
みんなが願いごとを言ったら、ウンウンとうなずくことになっていました。
今から考えれば意味があるような、ないような授業ですよね。
もしかしたら学校の管理職に聞こえたら止められたかもしれません。
でも湊先生がいたのは短い期間だったし、保護者の間で問題になることもなかったと思います。

3月になって、もうすぐ年度が終わるというときでした。
湊先生と過ごす最後の週に、またこの授業がありました。
その時間に3人がケンちゃんに入ると、クラス全員が体験をすることになります。
最後に入ったのは山田君という子で、男子の出席番号の最後尾です。
その子は、こう言ってはなんですがとても勉強のできない生徒で、
ほとんどものをしゃべらず友達もいませんでした。
表立ってイジメられているというわけではなかったと思いますが、遠足などの班を決めるときに
最後まで残ってしまうような子だったんです。
着ているものもいつも同じで、不潔な感じもありました。
その子がケンちゃんに入って、みんなで「この世の差別がなくなりますように」
と言ったとき、急に山田君が「うーっ」と叫んで立ち上がろうとしたんです。

987名無しさん:2014/03/10(月) 23:47:26 ID:5K3TS0ng0
でもケンちゃんの中は頑丈で立ち上がることができません。
そのまま前のめりに教卓から落ちました。頭が床にあたるボコッという音が聞こえました。
着ぐるみの詰め物がなければ大ケガをしていたかもしれません。
そのまま床の上で、机やイスを弾き飛ばしてのたうち始めました。
「あじ、あぶう、あぶあ、あぶういい」と叫んでいるように聞こえました。
もし着ぐるみごしでなければ「熱い」と言ってたんじゃないかと思います。
あわてて湊先生が駆け寄り、
山田君のうつ伏せの足の上に載って強く背中を押さえ、ジッパーを開けようとしました。
びびびっという感じで、ジッパーの横の布が大きく裂けました。
そのすき間から両脇をすくうようにして山田君を抱き上げました。
山田君は小さかったのでひっかからずに出てきましたが、そのときにはぐったりとしていました。

外面的なケガはなかったのですが、頭を打っているので先生が保健室に連れていきました。
とくに大したこともなかったようで、次の日からも登校してきたはずです。
湊先生はまもなく、みんなにお別れを言って学校を去られました。
そして春休みに入り、町のある地区で大きな火災が起きました。
十数件の家が燃え、死者が二桁にのぼりました。
その地区はごちゃごちゃした木造の家屋が密集しているところだったので、
被害が大きくなってしまったのだと思います。
その死者の中には山田君も入っていました。家族全員が亡くなったと記憶しています。
・・・これで私の話は終わりです。

988名無しさん:2014/03/11(火) 00:03:10 ID:BMUIYRBs0
中学校2年のときのことです。
最近はそうでもないみたいだけど、昔はいろんな学校行事があったんです。
マラソン大会とか鍋っこ遠足とか・・・今もやればいいのにと思いますけどね。
で、写生大会というのもあったんです。
中学校の近くに城址公園があって、歩いて20分くらいです。
2時間授業をしてから体育着に着替え、2年生の4クラスが組ごとに並んでそこへ行きます。
スケッチブックと絵具箱、あと弁当を持ってです。
午前中2時間でスケッチをして昼を食べ、午後2時半くらいまでで色をつけて完成させる。
そんな活動でした。

俺は美術は得意でも好きでもないし「カッタルイなー」とか言いながら出かけましたが、
普通の授業よりははるかにマシでした。
クラスで仲のよかった3人ぐらいとずっとダベってても怒られる心配はないからです。
ツツジ祭りというのに合わせてやってたので、時期は5月だったと思います。
城址公園はそれほど大きくないお堀に囲まれてました。
少し坂を登ったとこにある広場で、150人の生徒が思い思いの場所に散らばり、
自分の書きたい風景を見つけてスケッチブックを広げました。
平日なので一般のお客さんは少なかったですね。

989名無しさん:2014/03/11(火) 00:03:40 ID:BMUIYRBs0
俺とあと2人のダチはもう最初から描く気はなく、
木の陰の芝生になったところに寝そべって、30分くらいゲームの話とかしてました。
ただ教師がずっと巡回してて、スケッチブックが白いままだと注意されるんで
全く何もやらないわけにもいかず、鉛筆で殴り書きのようなことはしてましたね。
その場所からは下のお堀と街路が見下ろせるんですが、
何気なくそのあたりを見てると、同じクラスの岸ってやつが、
端を渡ってお堀の向こう側に行って、体育座りで膝の上にスケッチブックを置いて
夢中になって絵を書いてるんです。
意外だな、と思いました。普段からそんなに真面目なやつじゃないんです。
むしろこんな機会ならいちばんにサボるのが定番なんです。

それと意外というか変だなと感じたのは、スケッチって普通景色を描くもんでしょ。
それが岸のやつはすぐ目の前にある雑草の生えた斜面のほうを向いてて、
しかもまだ絵の具は出さないはずなのに、絵筆で色をぬってるようなんです。
「おい、あれ何やってるんだろうな」
「草を描いてるんじゃないか。緑と黄緑だけ使って塗りつぶせば楽だし」
「にしても、いやに熱心だよな」
こんな話をしていると、こっちに西田先生がやってきました。
この西田先生というのは、教師ではなくて地元の女流画家なんです。
新聞の挿絵とかも描いてたし、なんとか展覧会にも入選したという地元では有名な人で、
好意で俺らの学校の美術の時間にときどき来てくれてました。
当時60過ぎてたと思います。


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