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怖い話Part2

79『卯の花腐し(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/05/09(木) 23:06:37 ID:dAcosai.0
 俺たちは正面入り口に戻り、マンションを出た。
交番の中の警官に会釈をして車に乗り込む。警官は少し驚いた顔をした。
俺たちと榊さんが此処を出てからまだ30分も経ってないのだから驚くのも無理はない。
「こんなに早く捜索が終わるなんて思わなかったでしょうね。」
「もしあの男が罪を認めたら、なるべく早く調書を取った方が良いと
榊さんに話してあったの。多分あの男の体はあまり長く保たないから。
本格的な家宅捜索は、きっと来週以降になると思う。」
写真に写った影、ドアや鍵の開閉、なによりあの鬼の出現。
一体どれほどのエネルギーを要しただろう。生身の人間には、あまりに大きな消耗だ。
修行を重ねた術者ですら、限度を超えて消耗すれば回復出来なくなる、
つまり死ぬことがあると聞いていた。まして普通の人間では。
この事件の裁判は開かれない、何となくそんな気がした。
「それにしても早く済んだわね。まだ7時ちょっと過ぎよ。あなたのお陰。」
「僕のって、どういう意味ですか?」
文字通りよ。この件はあなたが解決したようなもの。だから榊さんはあなたに
『また宜しく』と言ったの。少なくとも榊さんには術者として認められたってこと。


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