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怖い話Part2

761『玉の緒(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/17(金) 18:01:58 ID:tG/ByxVg0
『玉の緒(下)』

 その日は朝から、俺の病室の中だけで無く、病院全体の空気がピリピリと緊張していた。
彼方此方から伝わってくる気配。そのどれもが間違いなく、かなりの力を秘めている。
おそらく病院の出入り口などの要所に、式や術者が配置されているのだろう。
今日、当主様と桃花の方様がこの病院に、俺の病室に御出になるからだ。
『見舞い』と言えば聞こえは良いが、『上』のメンバーも一緒。つまりこれは調査。
紫さんの件に続いて炎さんと俺。あの禍々しい存在と接触して生き延びたのが
俺一人だとすれば、俺の状態を『上』が調査するのは当然の事だろう。
昨夜、姫は今日に備えて幾つか重要な事を教えてくれた。
「分かってると思いますけど、炎さんは助かりませんでした。
Sさんと他の術者たちが範士の屋敷に到着した時、既に全てが終わっていたそうです。
瑞紀ちゃんや他の人質は全員無事だったけれど、
リビングの床には大怪我をして意識の無いRさん、それと炎さんの遺体。
そして、屋敷に残っていた痕跡から、怖ろしい事が起きたと分かったんです。」
姫はSさんから預かったという一枚の写真を俺に手渡した。
リビングの絨毯が黒く、大きく焦げている。ある動物を思わせるその形。
写真を見ているだけなのに、全身の毛が逆立つような寒気を感じる。


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