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怖い話Part2

1名無しさん:2013/04/11(木) 20:47:22 ID:kJlroZZA0
霊的な怖い話を集めてみましょう

前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/study/9405/storage/1209619007.html

630『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:10:48 ID:cGZ0jfJU0
 電話を切り、時折少女の傷の様子を確かめる。
指の火傷ほどでは無いが、順調に傷口は治りつつあり、出血も止まっていた。
傷口が完全に塞がったのは夜中前、午後11時過ぎ。
傷のあった場所がやや赤みがかってはいるが、既に髪の毛も再生されていた。
これなら大丈夫。傷の様子を確かめながら準備は済ませてある。
大丈夫。今が、その時。
術を使って数分すると少女は目を覚ました。
枕元に座る俺を暫く見詰めた後、ゆっくりと上体を起こした。
もちろん白い頬に血の跡はなく、唇の色にもやや生気が戻っている。

631『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:12:47 ID:cGZ0jfJU0
 「お前のお陰で全部思い出した。礼を言う。」 微笑む少女に俺は黙って頭を下げた。
「生まれた時から私は奇妙な質で、父母は相当に苦労したようだ。
小学校に入学しても友達一人作れない私を、父は良く釣りに連れて行ってくれた。
そしてあの日、私たちは出逢った。」
少女が語る言葉は暖かく、しかし一抹の後悔を含んでいるように思えた。
「あの方と共に過ごす時間が愛しくて、私は父にせがんで度々釣りに出掛けた。
そして私が中学生になった年、私たちは約束をした。
16歳になったら、私はあの方の嫁になると。」
やはり、ただの神隠しでは無かった。信じられないが、これは、現在進行形の異類婚説話。
「父は黙って許してくれた。母は少し泣いたが、やはり許してくれた。
『このまま人の世に住んでもお前は幸せには慣れないから』と。それなのに。」
少女は言葉を切って俯いた。両手で握りしめた布団の端に落ちた涙が染み込んでいく。

632『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:14:24 ID:cGZ0jfJU0
 「何が、有ったんですか?」 少女は右手の中指で涙を拭ってから顔を上げた。
「あの方が私を迎えに来た時、言いつけを守らずに目を開けてしまった。
あの方の、本当の姿を見てはいけなかったのに。」
「もしかしてそれは、あの鏃のせいだったのではないですか?」
「どんな言い訳も意味が無い。私は言いつけを守れなかったのだから。
それから私にはあの港がただ1つの居場所になった。
重なり合う2つの世界の狭間、『何処でもない場所』が。」
「でも、昨夜あなたは彼処から出ました。これから、どうするつもりですか?」
少女は再び俯いた。小さな肩が震えている。
「詫びが、言いたい。 一言、あの方に。」
少女が呟いた途端、俺の部屋をその存在が満たした。厳かな、何処か懐かしい気配。
俺は正座をして頭を下げ、畳に手を着いた。硬く目を閉じる。
そう、これは、決して『人が見ることを許されない』場面。

633『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:16:32 ID:cGZ0jfJU0
 『詫びを言うべきなのは、私だ。お前の気持ちがあまりに嬉しくて、油断した。
だから、あの忌まわしい呪いの矢から、お前を、護れなかった。
しかし今日その傷が癒えたからには、お前の望みを叶えたい。
そのまま人の世に居たければ、一生の幸せを約束する。
父母始め、お前の縁の者に不自由はさせないし、もう、決して油断はしない。』
「人の世に、私の幸せは無い。何度も言った筈だ。」
『本当に、人の世に帰る気は無いのか?』
『無い。許されないならあの港に戻る。許されるなら、約束通り、お前の嫁になる。』
少女の声の響きが変わっていた。
ただ一本の呪いの矢によって長く中断していた魂の変容が、完成しようとしている。
『許すも何も、悪いのはあの矢。お前は何一つ悪いことはしていない。
私が、臆病だったのだ。本当の姿を見られて、お前に嫌われるのが怖かった。
それで『目を閉じていてくれ』と。もしその目を閉じていなかったなら、
お前があの矢を受けるなど万に一つも有り得なかったのに。』
『矢を受けても、目を開けるべきではなかった。だから、私が悪い。許してくれ。』
『私の本当の姿を見たのに、嫁に来てくれるのか?』
『何度も言わせるな。私は約束を守りたい。お前の下へ、行きたい。』

634『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:19:35 ID:cGZ0jfJU0
 『R、大体の事情は分かったな?』
「はい。」 慌ててさらに頭を低くする。一体何故、俺の名を。
『此所で修行を始めて直ぐに、お前ならこの役目を任せられると思った。
そして、その働きは期待以上だった。ずっと、待っていた甲斐がある。』
そうか、今、俺の部屋を満たしている存在は俺が修行している神社の...
俺と同じ適性を持つ術者は久しくいなかったとSさんは言った。
それなら俺が今年此処に修行に来たのも、遠い『約束』の1つなのだろう。
「気付かぬ内にお役目を果たす事が出来ていたなら幸いです。」
『最後にもう1つ、頼みたいことがある。』
「私に出来る事なら何なりと。」
『この娘を私の社まで連れて来てくれ。晴れて、嫁として迎えたい。』
「仰せの通りに。」
『頼む。』
その言葉を最後に、その存在は俺の部屋を去った。
『顔を上げてくれ。』 少女の声だ。
少女は俺の前に立っていた。パーカーとジーンズではない、目が覚めるような純白の着物。
儀式の時にSさんや姫が着る着物に良く似ている。
『悪いが、一刻も早くあの方の下へ行きたい。頼む。』
少女の頬はほんのりと紅に染まっていた。そしてあの鮮血と同じ色の紅をさした唇。
本当に、何もかもが美しい。穏やかに微笑む少女を見て、俺は心からそう思った。

635『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:20:57 ID:cGZ0jfJU0
 参道に続く階段の手前、狭い駐車場に車を停め、助手席のドアを開けて跪く。
今年、桃花の方様をある場所にお送りした時、Sさんから習った作法。
俺に出来る最上の礼を尽くさねばならない。そう思った。
差し出された手を取って車を降りる補助をする。 「ありがとう。」 鮮やかな笑顔。
少女が参道の方向に向かって歩き始めたのを確認してから、俺は振り向いた。
これは...
参道の入り口に篝火が焚かれ、参道の両側には五色の幟がたなびいている。
俺が毎朝通ってきた時の寂れた感じとは全く違う、厳かで華やかな雰囲気。
目が慣れてくると階段の上り口に白装束の人影が跪いているのが見えた。
上り口の両側に3人ずつ、計6人。巫女さんのようだ。巫女さんどころか、
普段の社務所には管理をしている年老いた男性が一人いるだけだというのに。
俺は少女の後を、少し離れて歩いた。未だ役目は終わっていない。
少女は階段の上り口の手前で立ち止まった。ゆっくりと振り返る。

636『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:23:45 ID:cGZ0jfJU0
 『此処までで良い。色々と苦労をかけたな。』
少女の前でもう一度跪く。この任を解いて頂く時だ。
「いえ、私は何も。むしろ、このようなお役目を頂き光栄でした。」
『一緒に釣りが出来て楽しかった。あのタチウオ、絶対に忘れない。
旅立つ前に良い思い出ができた。心から、感謝する。』
「はい...」
それは、一体どれほど重い決心だったろう。
少女が辿ってきた道程とその苦難を想うと、言葉が出ない。
無力だ。俺の力も、言霊でさえも。 ただ涙だけが溢れる。
頭を下げた俺の目の前で向きを変えた少女の足が、もう一度向きを変えた。
『人間だった時の名を、憶えておいてくれないか。縁あって私が人の世に生まれた、その証に。』
「は、今何と?」
少女の膝が曲がるのが見えた。俺の耳にかかる温かな吐息、爽やかな芳香。
『 い ず み 』 『万物を育む、清らかな水の源、『泉』。』
信じられぬ思いで俺はその言葉を聞いていた。まさか、こんな事が。
「誓って、忘れません。」 やっとの思いで言葉を絞り出す。
少女の足は向きを変えた。遙かな世界へ向かう、軽やかな足取り。

637『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:27:37 ID:cGZ0jfJU0
 「何時までそうしてるの?」
聞き覚えのある声。振り向いた俺の直ぐ前にSさんが立っていた。
「Sさん、どうして?」
「どうしてって。あなたの電話で事情が分かったから直ぐに飛んできたの。
先回りして神社の祭主と連絡を取ったって訳。必ずこうなると思ったから。
祭主は神隠しの件を憶えていたから話が早かったわ。
あ、駐車場の車、気付かなかった?まあ、あんな状況なら無理もないけど。」
「でも、彼女が別の選択をする可能性だって。」
Sさんは両手で俺の頬を挟んだ。温かい感触。
「この私に2人も子供を産ませて、未だ女の気持ちが分からないの?
別の選択をするつもりなら自分を神隠しにする必要なんか無いでしょ。
記憶もないのに、そして文字通り血を流しながらでも待ち続けられたのは、
こうなることを彼女が心から望んでいたからじゃないの。
そしてあなたの適性なら成功すると信じたある御方が、この御役目をあなたに任せた。
そうでなければ、これ程の御役目、とても人間に担えるものじゃない。
あなたには、いつも本当に驚かされる。でも、とても誇らしいわ。御役目、御苦労様。」
事の重さに気が付いてから、その重圧に負けまいと張り詰めてきた気持ちの糸が、
Sさんのその言葉をきいてプツリと切れた。

638『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:32:05 ID:cGZ0jfJU0
 「Sさん。僕は。」 また、涙が溢れた。止められない。
俺は、跪いたままSさんの胸に顔を埋めて泣いた。
哀しいのではない、嬉しいのでもない。でも、どうしても、涙が止まらなかった。
「全く、子供みたいね。誇りに思いこそすれ、泣く事じゃ、無い、でしょ。」
Sさんの涙声が、俺が経験したことの不思議さと、その重さを示している。
どれ位そうしていただろう。いつの間にか辺りは薄明るくなっていた。
「もう、落ち着いたでしょ。さ、立って。それから、あの鏃を頂戴。」
「鏃?」 「そう、これは私の役目。さ、上着の胸ポケットよ。」
俺は言われるままに上着の胸ポケットに触れた。柔らかな感触、その中心の固い芯。
あの、鏃の破片を包んだタオルの包みだ。一体、何時の間に?
Sさんは俺のポケットから包みを取り、無造作にそれを解いて矢尻の破片を左掌に置いた。
「Sさん、それを素手で」 Sさんは右手の人差し指で俺の唇を押さえた。『黙って』の合図。
目を閉じて深く息を吸い、小声で何事か呟いた。
Sさんの集中力が高まっていく、チリチリという音が聞こえるようだ。
やがて、目を開けた。左掌の上、鏃の破片をボンヤリとした光が包んでいる。 これは。
次の瞬間、Sさんの左手が一本の矢を握っていた。 赤黒い鏃、真っ黒な軸と矢羽根。
「返れ・・・の矢は射手へ。」
Sさんが掌を開くと、呪われた矢は、まるで手品のように、消えた。

639『約束(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:35:05 ID:cGZ0jfJU0
 「はい、これでお終い。荷物まとめて、一緒に帰りましょ。」
「でも、まだ修行がまだ一週間以上残ってますが。」
「これ程の御役目を果たした時点で、祭主の印可は降りてる。もう修行は終了。
それとも、新婚さんのお社に毎日毎日早朝からお邪魔するような真似をするつもり?」
いや、確かにそれはまずいだろうけれど、俺の借りたアパートは。
「え〜っと、アパートの駐車場は一台だけしか。」 「ロータスは此処へ置いていくわ。」
成る程、そういうことか。一度2人で荷物をまとめて。
「後で取りに来るんですね?」 「違う。この社に納めるの。」 「へ? 車を?」
「そう、神様のお嫁さんを乗せてお送りしたのよ。デザインや材質は違っても、
この車は立派な御神輿。今後この車は社宝として祀られる。一般には公開されないけど。」
「でも、Sさんはこのロータス気に入ってたんじゃ?」
「あらゆる人外に、優れた術者が此処にいますと宣伝して歩くようなものよ。
幾ら何でも目立ち過ぎる。どのみち今後私たちの仕事では使い物にならない。」
そうか、神社の駐車場、『本体』が近過ぎて今は見えないが、おそらく光塵の数と明るさは。
「そう、それにね。」 Sさんは悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「当然『上』が社宝として買い上げる訳だから損はしない。
それどころか多分同じ車何台か買ってもお釣りが来る。帰ったら直ぐに検討しなきゃね。」

『約束(下)』 了

640『約束(結)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:38:52 ID:cGZ0jfJU0
『約束(結)』

 少し開けた窓から晩秋の冷たい風が吹き込んで来る。
Sさんが運転する車の助手席で、俺は紅葉に染まり始めた山の景色を眺めていた。
『少し仮眠をしたら』とSさんは言ったが、未だ興奮が醒めず、とても眠れたものではない。
「やっぱり、眠れない?」 「はい。何だかテンションが上がり気味で。」
「あの御方に恋、しちゃったかな? あんなに綺麗じゃ、忘れられなくても仕方無いけど。
嫉妬する気にもなれない位だったし。」
「恋、じゃありませんよ。人間が神様のお嫁さんになるなんてことが、
どうして起こるんだろうと、それを考えていたんです。」
「お嫁さんだけじゃなくてお婿さんもいる。神婚説話、知ってるでしょ?」
確かに、相手が神なら、それは異類婚説話ではなく神婚説話だ。
「はい、ただ、それは。」
「単なる言い伝えで、本当にあるとは思わなかった?」 「そうです。」
「何の具合なのか、極く希に起こるみたいなの。神に近い魂が人の体に宿ることが。
本人も家族も、とても辛い境遇に置かれることになる。特に近代以降はね。
実は、Lの母親もそう言われていたみたい。『後々は神の嫁になる娘』って。
でもあの人は、人の世に生きる事を選んで、Lを産んだ。
その魂と『強すぎる力』が生み出す負荷に耐えられず、早死にすることは承知の上で、ね。

641『約束(結)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:42:34 ID:cGZ0jfJU0
 そうか、姫の母親の『強すぎる力』とは。
あの少女と比肩する力を持っていたのなら、人間の体が長く耐えられる筈がない。
少女があの御方を待ち続けるためには、時間の流れの止まったあの領域が必要だったのだ。
『Lの母親と同じく、あの御方も自分の望みを叶えたのだから幸運だったのよ。
あの御方を支えたあなたの適性、修行の時期、それら全てが『約束』だったって事ね。」
それはあの時、俺が感じたのと同じ感覚だ。
「おいおい話が出来ることはあると思うけど、今はここまでにして。OK?」
「はい、正直これ以上聞いても、今の僕には理解出来ないと思いますから。」
「ありがと。そういえば未だお土産買ってないでしょ?翠、楽しみにしてるわよ。」
「あ、済みません。県境を越える前に何処かで土産品店に寄って下さい。」
「修行が早期終了したんだから仕方ないわよね。」
Sさんは路肩に車を停めた。悪戯っぽい笑顔。
「私とLの分もお土産買ってよね。私はちゃんとあなたの望みのものを手に入れたんだから。」
「あの、望みのものって。」 Sさんの頬が見る見る真っ赤に染まった。
「自分で言っておいて、まさか忘れたんじゃ無いでしょうね。」
冷たい汗が流れた...もしかしてあの自虐ネタを本気に?

642『約束(結)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:45:08 ID:cGZ0jfJU0
 「あの、本当に手に入れてくれたんですか?白衣。」
「そうよ。頼む時、すごく恥ずかしかったんだから。感謝してよね。」
一体、Sさんはどんな顔をして頼んだんだろう。思わず笑みが浮かぶ。
「もちろん、感謝感激雨霰ですよ。ところで。」 「何?」
「今夜、着て見せてくれるんですよね。どのみち光塵のお陰で寝不足は決定だし、
光塵の灯りで見る白衣はきっとロマ、あ痛たたたた。」
「馬鹿!」
「だって、僕に見せてくれるために」 「知らない!!」 「痛いですってば。」
「あ、そうだ。最後に1つだけ教えて下さい。」 「なあに?」
「あの矢です。あれは『呪い返し』ですよね。」 「そう、私が頂いた御役目。」
「あの矢は、誰に返したんですか?」 「本当に、知りたいの?」
「それはもちろん、誰が彼女に矢を射たのか、知りたいですよ。」
Sさんは深呼吸をして目を閉じた。
「海岸、今はあの街の北側にある大きな港になってる。
かなり力の強い邪神だったみたいね。もう既に始末は付いたけど。」
街の北側の大きな港。それはおそらく、俺が最初に訪ねた港。
なら、あの気配こそが。そして、俺に干渉しようとした理由も何となく分かった。
「ねぇ、どうしたの?」 「何でもありません。運転、変わりましょう。」

 俺の中で変わったこと、変わっていないこと。
俺は今更のように、『出会い』から過ぎた時間の重さを感じていた。

『約束(結)』 完

643 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:51:17 ID:cGZ0jfJU0
皆様今晩は、藍です。

>>613
>>626
コメント感謝致します。
気付いたのが投稿開始後だったので、投稿終了まで
レスを控えさせて頂きました。
皆様の思いが次以降の作品に繋がると思います。
有り難う御座いました。

644名無しさん:2013/11/16(土) 00:54:18 ID:8BBQdrI60
藍さんお疲れ様でした。
投下の時に来れてよかった!
わくわくしながらリロードしてましたw

作者さんありがとうございます!
今回も読んでいて気持ちのいいお話でした。

白衣は女医さんでしょうか、それとも看護師さんのでしょうか。
それだけが今の私の気がかりですがw

645名無しさん:2013/11/16(土) 00:57:26 ID:6vCaPGGU0
藍さん有難うございました、まさか一気通貫とは思いませんで流れを切ってしまいすみません

ここなんですがね

>「もしその目を閉じていなかったなら、お前があの矢を受けるなど万に一つも有り得なかったのに。』
>『矢を受けても、目を開けるべきではなかった。」

因果律の逆転があるような文章で何度も読んでしまいました。
彼女が持っていた力と関連があったのですかね。あまり今後の展開には「泉さんの名前ほどの」重要なかかわりはなさそうですが

646名無しさん:2013/11/16(土) 00:58:40 ID:6vCaPGGU0
>わくわくしながらリロードしてましたw

同志よWW

知人さんも藍さんも好きですが、同志も大好きだ。

647名無しさん:2013/11/16(土) 11:42:36 ID:GQIXckogO
藍さん知人さんありがとう〜
この物語、大好物です〜\(^o^)/

648名無しさん:2013/11/16(土) 19:11:02 ID:0XtXkJDk0
素晴らしい作品です がんばってください

649:2013/11/16(土) 21:51:05 ID:8c5zYwkQ0
今回も心に染みる本当に良いお話でした。

藍さん、作者様、有難うございました!

650名無しさん:2013/11/17(日) 00:59:31 ID:jGFRn7fU0
でも、神様のお姿ってどんなんだったんだろ。
 _o/|_ いやいや、いけない、見ちゃいけない。

651名無しさん:2013/11/17(日) 05:32:00 ID:LV7hspMw0
藍さん、作者様、今回も素晴らしいお話をありがとうございます。

参道の、篝火や五色の幟や巫女さんたちは、最初幻かと思ったけど、
Sさんが手配した現実だったんですね?
本当に心に染みるお話で、何度も読み返しては泣いてますw

652藍(夜勤明け) ◆iF1EyBLnoU:2013/11/17(日) 12:48:24 ID:l5zi.uhc0
皆様今日は、藍です。
早速コメントを頂き、とても嬉しいです。

>>644
DVDのお話からすれば、白衣は看護師さんバージョンでしょうね。

>>645
それまでの経緯、その時何があったのか、私もずっと考えています。

>>647
>>648
>>649
有り難う御座います。気に入って頂けてとても嬉しいです。

>>650
あの場面で眼を閉じていられる素直さと純粋さが、Rさんの魅力なんでしょうね。

>>651
とても印象的な場面ですよね。幻影、現実、色々な解釈が可能ですが、
篝火と五色の幟はSさんの手配、巫女さんたちは神様から遣わされた存在、
そんな気がしています。それにしても、
悲しさでも無い、嬉しさでも無い、そんな涙が、あるんですね。

653名無しさん:2013/11/17(日) 22:46:02 ID:HjaGLaJc0
人を呪えば穴二つって、邪神とは言え、神様にも通用するんですな。

時間の遮断された空間を形成する→一瞬が永遠になるような時間の引き伸ばしですかね

結界の維持に、受けた鏃の呪力を一部使ったから記憶喪失になったのですかね

鏃を受けた瞬間の表現は誤字じゃなかったんですね。今回の話はとても不思議です

解せば→目を開けていたから鏃を受けることになったのだ
その返答→鏃を受けたから目を開けてしまったのだ

彼女が、目を開けることで神様をかばったようにも読めますし、結果と原因が入れ替わった返答。不思議

リールはシマノのアンタレス、ですか?晴れた日に釣りに出てたのはそのせいですかね。プロすぎる

654枯れ木も山の賑わい:2013/11/18(月) 01:37:25 ID:hXUXhpCg0
>>653
 『もしその目を閉じていなかったなら、お前があの矢を受けるなど万に一つも有り得なかったのに。』
私には、『目を閉じていたから、お前はあの矢を受けた。』と読めます。不思議ですね。

 あと、リールは発売年度とスプールのデザインの描写からしてシマノのスピニングリール。
おそらく最上位機種のステラ(1000番か2000番)と思われます。
アンタレスのようなベイトリールは普通(特に女性は)、波止からのタチウオ釣りには使いません。

 他にも「街と大きな港の位置関係」など、興味深い描写が沢山ありますね。
細かく考察するのもこの物語を読む楽しみの1つだと思いますが、
意見は色々でしょうからこれ以上は自粛ということで。

655浩太郎:2013/11/18(月) 11:26:59 ID:BCFF8tB.0
新しい作品 拝読させて頂きました。作品執筆・投稿お疲れ様です。
いつものように美しく透明間のある作品 感動しました。

細かい考察等は他の方にお任せするとして、本作品、及び他の一連の作品にも流れている
愛や自然との調和の作者の方の意図が今回も素晴らしいと思います。

単なる読者の我儘ではありますが、このまま素晴らしい作品を発表して頂ければと思います。

藍さんも 大変かとは思いますが、私も含め(多数いると思われる)この作品のファンのため
これからもよろしくお願いいたします。

656名無しさん:2013/11/19(火) 01:16:38 ID:0bdZvDHE0
・教えてもらったんですけどね、神仏との約束は、一度「お手配になったら」逃げようとしても逃げれないとの事です。

人間は生かされているな〜と思うお話ですね。だから人は感謝を忘れてはならないのでしょう。

結末に至るまでに、一生懸命考えたのは間違いなく本人。生かされている=生

657名無しさん:2013/11/19(火) 01:17:40 ID:0bdZvDHE0
あ、切れた

→生きている、なんでしょうな

658 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/20(水) 00:19:40 ID:oaP6qAfM0
皆様今晩は、藍です。

>>653
いつもながらの深い考察を幾つも頂きましたが、敢えて1つだけ。
人といえど神といえど、呪い返しで『自分の』呪力を返されればそれを避けようがないのだと思います。
だとすれば、結局は『先に手を出した方が負け』になる可能性が高く、SさんやLさんがギリギリまで
強引な術を避けようとするのも納得出来る気がします。専守防衛、ということでしょうか。

>>655
前作以上の温かいコメント、心から感謝致します。
『感動しました』という御言葉、知人も喜んでくれると思います。
今後の作品への御期待も、知人にはしっかりと伝えておきます。

>>656
深いコメント感謝致します。
矢を受けた少女も、少女を助けようとしたRさんも、先回りして少女とRさんを支えたSさんも、
それぞれの場面で、それぞれの立場で、必死で考えた行動だったと思います。
だからこそ、短い描写なのに深く感情移入してしまうんでしょうね。
651様へのレスでも触れましたが、私自身、作業中に一番泣いた作品でした。
(投稿者としては不適切なコメントかも知れません。悪しからず。)

>>654
温かいフォロー感謝致します、と書きたいところですが。
投稿名とリールの件で特定しました。
お礼は、明日の夜にでも、直接確認してから言わせてもらいます。

659名無しさん:2013/11/20(水) 03:56:10 ID:DTbI4pTg0
>654

>「アンタレスのようなベイトリールは普通(特に女性は)、波止からのタチウオ釣りには使いません。」

そうそう、私もそう思ったんですがね、ステラだと恒星の意味が強いのと、ライントラブルを防ぐためにお父さんがブレーキきつめにして使わせてたのかと
だから遠くに飛ばせなかったのかと思ったのです

水をつけて糸をなじませて晴れた日の釣りに出かける。だから毎日は釣ってなかったという設定なのかと思いました

660名無しさん:2013/11/22(金) 00:22:38 ID:muLgeYq.0
女医さんだったらオプションは聴診器

看護士さんだったらOPは水の計量の大きな注射器・・・だなWW

661名無しさん:2013/11/24(日) 21:36:14 ID:GXgxiLss0
結局、山の賑わいさんは、中の人だったのでしょうか

予想としてはちょっち違う気がするんですがね

662名無しさん:2013/11/24(日) 23:49:12 ID:xDsFzeds0
弟です。中の人ではありません。

663名無しさん:2013/11/25(月) 23:28:31 ID:IE76Bgj.0
>>662

ありがとうございます。そうするとやっぱりステラだったのですな。感謝。

664 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:15:21 ID:Q8bPF5Z.0
テスト中。

665 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:23:04 ID:Q8bPF5Z.0
皆様今晩は、藍です。

先日次作原稿の冒頭部を受け取りました。
しかし、作業を進めている途中で知人から連絡があり、
急遽予定を変更して別の作品を投稿することになりました。
まずは作品を投稿し、
その後知人から皆様へのメッセージを投稿する予定です。

では『一期一会』、上・下・結の3部構成。お楽しみ頂けると良いのですが。

666 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:35:39 ID:Q8bPF5Z.0
『一期一会(上)』

 少しだけ開けた窓の隙間から吹き込む風は冷たく、冬が近いことを告げている。
翠も藍も暖かい寝床で昼寝をしているが、もう、窓を開けたままで過ごすには寒い。
俺はリビングの窓を閉めてまわり、ソファに戻った。

 「本当にあなた達、入籍だけで良いの?式だけでも挙げた方が良いんじゃない?
一生のことなんだし、女の子にとって純白のウェディングドレスは憧れなんだから。」
もちろん身内だけで式を挙げることも考えたが、姫はそれを望まなかった。
姫には両親がいない。Sさん以外に近い親戚がいるという話も聞いてはいない。
根掘り葉掘り聞く気にはなれないし、姫の気持ちに添う形が一番だろう。
俺は両親に式や披露宴はしないと話をして了解をもらっていた。
特に反対もされなかったのは、両親がSさんに遠慮したからかも知れない。

667『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:38:00 ID:Q8bPF5Z.0
 「式を挙げる代わりに写真を撮ろうと思ってるんです。ちゃんとした写真館で。」
「結婚の、記念写真ってこと?」
「はい、親しい人たちには後でその写真を配れば良いかなと思って。」
「...それならまあ、それでL、着物、それともドレス?」
「あの、ドレスにしようと思ってます。着物はいつも着てますから。」
「じゃあドレスは『○×◎』で仕立ててもらえば良いわ。私が頼んであげる。
それに『○×◎』は写真館も兼ねてるからお誂え向き。ふふ、何だか楽しみね。」
Sさんは席を立って玄関へ向かった。早速『○×◎』に電話をかけるのだろう。
姫と俺が予想していた通りの展開。とても楽しそうだし、相変わらず気が早い。
『○×◎』は市内にある洋裁店兼写真館で、一族の人が経営していると聞いていた。
Sさんや姫は昔からお洒落着を仕立てて貰っていたらしい。
Sさんも姫も、普段からほとんど肌を露出しない。
姫も高校生になった頃から、夏でもノースリーブのワンピースをほとんど着なくなった。
今時のデザインから2人の好みに合う服を探すより、仕立てて貰う方が早いのだろうし、
オーダーメイドだからサイズもピッタリで良く似合う。
俺も『○×◎』の服は(というか『○×◎』の服を着た2人が)大好きだった。

668『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:40:16 ID:Q8bPF5Z.0
 その日の夕方、夕食の支度をSさんに任せて翠と遊んでいると玄関の電話が鳴った。
数回の呼び出し音に続いて電子音、さらにFAX用紙が吐き出される音。
「『○×◎』かしら。ドレスのデザインと見積もりを頼んだのは昼過ぎだから、
幾ら何でも早い気がするけど。R君、お願いね。」
「了〜解。」 俺は翠を抱き上げて玄関へ向かった。
電話は未だFAX用紙を吐き出し続けている。デザインの候補は何種類かあるのだろうか?
最後のFAX用紙、末尾に記されていた文字と文様。『○×◎』の連絡先ではなかった。
腹の底が冷たくなる。これは『上』だ。つまり仕事の依頼。
俺は慌ててFAX用紙を並べ変えた、最初の用紙に記された件名。
『ポルターガイストに類似した事象に関する依頼について』
「おとうさん、『ぽるたーがいすと』ってなあに?」
「え〜っと、これはお父さんとお母さんの新しいお仕事の名前。」 「ふ〜ん。」
少し不満そうな翠を抱いたまま、俺はダイニングへ急いだ。

669『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:42:45 ID:Q8bPF5Z.0
 「確かにポルターガイストみたいですけど、これも陰陽師の仕事なんですか?」
「依頼者がキリスト教徒でないなら教会に頼む訳にもいかないし。まあ、仕方ないわね。」
夕食を済ませ、翠と藍を寝かしつけてから、Sさんは俺と姫をリビングに招集した。
配られたコピーを一通り読むと、その依頼の事件は確かにポルターガイストに良く似ていた。
湯呑みとお椀、それに本がひとりでに移動するという。
テーブルの上を動くのではなく、空中を飛んで移動するらしい。それも数mの距離を。
これまでに二度、いわゆる霊能者に依頼したが、霊能者の前ではこの現象が起きない。
取り敢えず祈祷や御祓いをして貰ったが効果はない。まあ、これも典型的だろう。
俺は依頼者の家族構成が気になった。
ポルターガイストが起こる家には、家族に思春期の女の子がいることが多いと聞いた事がある。
「いわゆるポルターガイストは、思春期の女の子と関係してると聞いたことがありますが。」
「5歳の男の子が1人。女の子でも思春期でもないし、この現象との関わりは分からない。
指定された日付けは3日後。物に関わることは私の領域だし、アシスタントは。」
「僕が行きます。Lさんは『○×◎』との相談があるかも知れませんから。」
依頼を受ければ下調べや準備でSさんが外出する事が多くなる。
それは、俺と姫が進めている計画にも好都合だった。

670『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:44:09 ID:Q8bPF5Z.0
 3日後は土曜日、みんなで昼食を済ませた後、俺はSさんを乗せて車を走らせた。
たまたま代理店に在庫があったのを即決で購入した以前と同じ型・同じ色のロータス。
違うのは年式だけ、当然ながら運転していて全く違和感は無い。快適なドライブになった。
依頼者の家は隣の○県△◎市、比較的古い町並みが残る地域。
「資料の住所からするとこの辺りですけど、細い路地が多くて分かり難いですね。」
「ちょっと其処のバス停に停めて頂戴。電話して聞いてみるから。」
依頼者の家は町並みの中でも一層古色蒼然とした小さな日本家屋。
ポルターガイストという言葉とは、どうにもかけ離れた雰囲気だ。
家の中に案内してくれた女性はYさん、ご主人は他県に単身赴任中で息子さんと2人暮らし。
俺たちはこぢんまりとしたダイニングに通された。
居間と土間をあわせてリフォームしたのだろう。4人分の椅子、細長いテーブル。
廊下を隔てた部屋は畳敷きの和室、調度も古びた和風のものが多い。
ふと気配を感じて振り向くと和室の奥に小さな男の子が立っている。
人見知りなのか、俺が振り向くとすぐに奥へと引っ込んでしまった。
Sさんは男の子のいた方向をチラリと見たあと、挨拶もそこそこに依頼の話を始めた。

671『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:45:33 ID:Q8bPF5Z.0
 「資料は全部読みましたが、今の所実害は無いようですね。
現在も変化がないのであれば、特別な対策を講じなくても良い気がしますが。」
Yさんは溜息をついた後、現象が次第に変化していることと、
その現象があの男の子に与えている影響について話し始めた。
「おかしな事が起こるようになったのは今年の8月頃です。
最初は私の思い違いかと思いましたが、9月の始めに本が飛ぶのを見たんです。」
「念のために聞きますが、落ちたというのとは、全然違うんですね?」
「はい、あの本棚からこのテーブルまでふわふわと。時間は2〜3秒、だったと思います。」
Yさんが指さした和室の本棚からこのテーブルまではざっと5〜6m。
当然、何かの拍子に落ちた本が移動する距離ではない。
「9月中頃からはお椀や湯呑みも移動するようになりました。」
「それも実際に見たことが?」 「はい、息子と一緒に見たこともあります。」
Yさんは一旦言葉を切って俯いたが、やがて、意を決したように顔を上げた。
「一番怖いのは息子のことなんです。息子はお椀が飛ぶのを見てとても喜びました。
そしてそれ以来、ひとりで遊ぶ時間が極端に長くなりました。」
「時間以外に、普通のひとり遊びと違う所がありますか?」
「息子が居間にいる時、他の誰かと一緒に遊んでいるような気がするんです。
話し声がしたり、突然笑い声が聞こえたり。もし何かが息子に干渉しているとしたら、私。」
「実際に誰かと話しているのを見たことはないんですね?」
「はい、私が居間に入るとそれらはピタリと止みますから。」

672『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:46:27 ID:Q8bPF5Z.0
 俺はメモを取りながら黙って2人の話を聞いていたが、突然Sさんに声をかけられた。
「R君、今の話どう思う。これ、本当にポルターガイストかしら?」
「いいえ、ポルターガイストとは違う、ような気がします。」 「どうして?」
「この家に来てから感じる気配が人間のものとは思えません。上手く言えませんが、
僕たちとは異質な感じがします。」
「そうね、確かに異質だわ。人間とは違う、でも動物とも言えない。どちらかというと。
いや、予見を持つのは危険。まずは確かめてみないとね。
Yさん、これからこの家で起きている現象の正体を確かめます。
ただ、依頼を受ける前にも聞いたと思いますが、
これから私たちのすることと、その結果起こることは、くれぐれも他言無用に願います。」
「はい、それは重々承知しています。」 「それでは、まず息子さんを此処へ。」

673『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:48:10 ID:Q8bPF5Z.0
 「剛君、私たちお母さんに頼まれて剛君とお話をしに来たんだけど。」
「僕、何も知らない。この家の中に友達なんていないよ。」
男の子の顔は冷たく強張っていた。おそらく以前に依頼した自称霊能者たちにも
色々聞かれて嫌な思いをしたのだろう。かなり強く心を閉ざしている。
「何かを聞きたいんじゃないの。知らない人たちに色々聞かれて、最近剛君が元気がないから
応援してほしいって、お母さんに頼まれたわけ。私たち、魔法使いだから。」
「魔法使い?」 少しだけ男の子の表情が緩んだ。
「そう、信じられないかも知れないから良い物見せてあげる。」
Sさんは持参したスーツケースから小さな鋏と紙を取り出した。いつもとは違う、黒い紙だ。
鋏で手際よく黒い紙を切り、それを左掌の上に乗せた。
「これ、何だと思う?」 「蝶々。」 「そう、紙の蝶々。ね、右手を出して。」
Sさんは男の子の右掌に紙の蝶々を乗せた。小声で何事か呟く。
男の子はじっと掌の上の蝶々を見ている。
「じゃ、その蝶々、天井に向かって飛ばしてみて。思いっきり強く。」
男の子は力一杯、紙の蝶々を投げ上げた。やはり、これは。

674『一期一会(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:50:55 ID:Q8bPF5Z.0
 男の子の頭の上を大きな黒いアゲハチョウが一片、優雅に飛び回っている。
Yさんも信じられないという表情で蝶々を見つめていた。
『剛君、これから暫くの間、眠ってて頂戴。』
アゲハチョウはゆっくりと男の子の肩に舞い降り、紙の蝶々に戻る。
同時に男の子の目が閉じ、すうっと体の力が抜けた。
「眠っているだけですからご心配なく。R君、お願い。」
俺は男の子の体を廊下を隔てた和室に運んだ。母親が持ってきた毛布をかける。
「ポルターガイストがその家の子供と関係していたという事例もありますが、
剛君が寝ている状態でも何かが起こるとすれば、剛君は関係ありません。」
「でも、これまで来て頂いた方々の前では何も起こりませんでしたから、今回も。」
「それは、初めからポルターガイストだと決めつけて、その現象を止めようとしたからです。」
「ポルターガイストを止めないんですか?」 Yさんは不安そうな顔をした。
「ポルターガイストかどうか、確かめてみないと分かりません。
それにはまず、この現象の本来の姿を知る必要があります。
だから止めるのではなく、逆にお膳立てをするんです。
何の邪魔も入らない状態で、一体何が起こるのかを見るために。」

『一期一会(上)』 了

675『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:52:18 ID:Q8bPF5Z.0
『一期一会(下)』

 Yさんが家中のカーテンを閉めてまわる間に、
俺はSさんの指示通り、ダイニングの床に必要な物を準備した。
依頼に応じる際、Sさんが持参するスーツケース。通称『お出掛けセット』。
余程特殊な依頼でなければ、ほぼその中身だけで対応が可能な品々。
まずは白い杯に日本酒を注ぐ。黒い杯、こちらには米粒を盛った。
小さな燭台に細いロウソクを立てる。その間Sさんは鋏で紙細工をしていた。
銀色の星形、金色の半月形、そう言えば昨夜は下弦に向かう半月。
最後に白い紙から小さな鳥の形を切り抜いてテーブルの上に置いた。そして。
Sさんは立ち上がり、暗くなったダイニングの壁に切り抜いた星と月を貼り付けた。
貼り付けた星と月に両手をあて、目を閉じて何事か呟く。
「これで準備完了。ポルターガイストにしろ、何か別のものにしろ、怪異が力を増すのは夜。」
全てのカーテンを閉めきって灯りを消した室内は、昼とはいえかなり暗い。
その中でSさんの眼が輝いている。まるでこれから起こる事を楽しみにしているようだ。
「Yさんはこの椅子に座って下さい。護符を渡しておきますから、何が起きても大丈夫。
ただ、私が良いと言うまで声を出さないで下さい。良いですね?」
「はい。」 YさんはSさんから受け取った護符を首にかけた。
「さて、始めましょう。R君、ロウソクに火を点けて。」 「了解です。」
床に置いた燭台のロウソクにライターで火を点ける。
ロウソクに火が灯ったその瞬間、何故か部屋が更に暗くなった気がした。
俺もSさんの隣の椅子に座り、3人で床の杯とロウソクを見詰める。
白い杯に注いだ日本酒がロウソクの光を反射して妖しく光っていた。

676『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:53:35 ID:Q8bPF5Z.0
 わずか2〜3分後。ロウソクの長さもほとんど変わらないうちに小さな物音がした。
食器棚の扉が滑るように開く。息を呑むYさんに、Sさんは『黙って』の合図をした。
開いた扉の奥から花柄の湯呑みが3口、浮き上がった。ふわふわと飛んで床に移動する。
次に木製のお碗が2客、同じように飛んで床に移動した。どれも床からは2cm程浮いている。
湯呑みとお椀は床から浮いたまま、ゆらゆらと揺れながら直径50cm程の円を描いて
ロウソクと杯のまわりを回り始めた。何とも奇妙で信じられない光景だ。
更に本棚から飛んできた文庫版の本が3冊、行列に加わった。
『・・うれし・・・ぬうち・・ひゃくとせ・・・でたき・・・』
微かに音楽が聞こえてくる。まるで祭のお囃子のように賑やかな調子と歌声。
これは..似た光景を以前どこかで見たことがある。
そうだ、付喪神。年を経た古道具が変化した妖怪たち。
顔や手足こそないが、これは百鬼夜行図に描かれる付喪神そのものではないか。
しかし。確かにどれも古そうだが100年も経っているとは思えない。
少なくとも文庫本は100年前には無かった筈だ。
それなら、やはり何者かがこの茶碗や本を動かしていることになる。
それが、ポルターガイストの本体。イタズラ好きの、霊。
その本体である霊を、Sさんは一体どうするつもりだろう。そっと様子を窺う。

677『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:55:28 ID:Q8bPF5Z.0
 Sさんは微笑みを浮かべて道具達の行列を見つめている。
俺の視線に気付くと、Yさんには見えないように、ゆっくりと口を動かした。
す・て・き・ね Sさんの口はそう言っている。素敵?この行列が?
さらにSさんの口が動く。 も・う・す・ぐ これ以上、何かが起こるというのか。その時。
ガタン。廊下を隔てた和室から大きな音がした。
大きな和箪笥、一番上の引き出しが抜け落ちそうな程に大きく開いている。
その中から薄い木箱が浮き上がった。
ふわふわと宙を飛び、お椀や文庫本の行列近くに着地する。
お椀や文庫本の動きが止まった。音楽も聞こえない。
木箱の蓋がパタンと跳ねて開いた。大小様々な油紙の包みが5つ並んでいる。
一番右端の包みがゆらりと浮き上がった。油紙がひとりでにほどける。鋏?
鋏はそのままふわふわと宙を飛び、刃を上に向けた状態で列のほぼ中心に移動した。
お椀や文庫本がゆらゆらと揺れ、行列は再び杯とロウソクの周りを回り始めた。
お囃子と歌声も聞こえてくる。前より音が大きくなっているようだ。

678『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:56:39 ID:Q8bPF5Z.0
 古道具たちの異様な宴に見とれていると、家の彼方此方から音が聞こえてきた。
家鳴りのような大きな音、コップがぶつかり合うような高い音。
まるで家中のあらゆる道具たちが宴に加わろうとしているようだ。
まずい、このままでは収拾がつかなくなる。
すい、とSさんが右手を伸ばした。掌に紙細工の鳥が載っている。
『とう・・こう』小さく呟いた瞬間、掌の上には鶏、赤い鶏冠の雄鳥が乗っていた。
十姉妹よりも小さな、玩具のような雄鳥だ。雄鳥が羽をパタパタと羽ばたかせると、
部屋中から聞こえていた音が一斉に止み、列の動きが止まった。そして、
雄鳥は小さい体に似合わぬ大きな時の声を上げた。
ふらふらと浮いていた道具たちは一斉に床に落ち、湯呑みが1口俺の足元に転がってきた。
そっと拾い上げる。 !? 熱い。 まるで、ついさっきまで熱いお茶が入っていたようだ。
Sさんが俺の手から湯呑みを取り上げて微笑んだ。
「これでお終い。R君、ご指名みたいだから鋏以外のものを片づけて。鋏は私が片づける。」

679『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 20:59:02 ID:Q8bPF5Z.0
 数分後、カーテンを開け、明るくなったダイニングのテーブルに道具たちが並べられた。
湯呑みが3口、お碗が2客、文庫本が3冊。そして木箱が1つ、その上に鋏が一挺。
「この道具たちに、共通点がありますね?」 Sさんは優しくYさんに問いかけた。
「はい、どれも、祖母が使っていたものです。この家はもともと祖母のものでしたから。」
「お祖母様は、系統は違えど私たちと同業、優れた術者だったんですね。
依頼された弊や代を切っている御姿を、見たことがある筈です。」
Yさんは息を呑んだ。「あの、どうして、それを。」
「まず、この件の依頼です。あなたがどんな伝でこの依頼をしたのかは知りません。
でも、術者に何の関係もない人が、私たちに依頼をする方法は無いんです。
つまりこの依頼をしてきた時点で、あなたは『関係者』。そして。」
Sさんは木箱の上の鋏を手に取った。まず全体を、そして刃の部分をじっくりと眺める。
「この鋏は術者が幣や代を切る時に使っていたものです。おそらく200年位前のもので、
今この型の鋏を作る職人はいませんし、その技術も伝えられていません。
壊れると術者が確実に廃棄しますから、おそらく現存するものはごくわずか。
私も実物を見るのは初めてです。時代の割にとても状態が良いのは、
ここぞという時にしか使わない『取って置き』だったからでしょうね。」
Sさんは大切そうに鋏を油紙で包み、そっと木箱の中に戻した。
「何人かの術者が受け継いできたこの鋏を、縁あってお祖母様が受け継いだ。
そしておそらく今年、この鋏は霊力を得て付喪神に変化したんです。
そして、お祖母様に縁のある古い食器や文庫本たちがその霊力に感応した。」

680『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:00:15 ID:Q8bPF5Z.0
 「じゃあ、今までの...」
「はい、これはポルターガイストではなく、『付喪神の宴』です。
もちろん年を経た道具が全て付喪神になる訳ではありません。
この鋏のように、特殊な用途で使われてきた道具が幾つかの条件を満たした時だけ、
付喪神に変化する可能性があります。百年以上の歳月は、その条件の1つに過ぎません。
私たちの資料でも確実な記録は数件、明治時代初頭の一件以来、約130年ぶりの記録。
極めて珍しい貴重な事例、私たちとしてはむしろこの家ごと保存しておきたいくらいです。」
呆然とSさんの話を聞いていたYさんは暫く黙っていたが、やがて頭を振った。
「いくら祖母の持ち物でも、どれほど珍しい事例でも、無理です。私には...
あの、古道具なら、塚を作って供養出来ませんか。針供養みたいに。」
突然、テーブルの上の木箱が音を立てて揺れた。Sさんがそっと左手で箱の蓋を押さえる。
そのまま、二言、三言。何事か呟いた。 Yさんは怯えた眼でそれを見詰めている。
「その方法も含めて、この現象を鎮める上で幾つか問題があります。
R君、Yさんに説明してあげて。」 「あ、はい。」

681『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:02:40 ID:Q8bPF5Z.0
 俺は必死で以前Sさんから教えて貰った記憶を辿った。
「まず、この鋏は壊れている訳ではないので、塚を作って供養する方法は使えません。
それに、変化した直後の付喪神には人間の霊のような善悪の基準が無いんです。
それまで御利益をもたらしていたとしても、ちょっとしたきっかけで
怖ろしい祟りをなす存在に容易く変化してしまう。そして。」
そう、おそらくYさんに取ってこれが一番大きい問題だろう。
「剛君と付喪神の間には、既に繋がりが出来ています。
おそらく剛君は心の中で付喪神を擬人化し、一種のイマジナリーフレンドとして
とらえている筈です。それをいきなり失えば、剛君の心の平衡が崩れてしまう。
そうなると、どんな影響があるのか全く予測がつきません。」
「でも、このままでは私も剛も...一体どうすれば。」
「私に、引き取らせて頂けませんか。箱ごと、この鋏を。」
「え、引き取るって?」 Yさんは驚いたようにSさんを見詰めた。
「私たちにとってはとても貴重なものです。それに。」 Sさんは木箱の蓋をそっと撫でた。
「私の適性はお祖母様と同じ、これも何かの縁でしょう。
鋏を引き取らせて頂ければ、この件に関して報酬は一切頂きません。
それと、剛君には代わりの『お友達』を作り、暫くの間それを残しておきます。
剛君の交友関係の発展に合わせて、その存在がゆっくりと薄れていくように。
それで全て解決、如何ですか?」
「是非、それでお願いします。」 Yさんはホッとした表情で深々と頭を下げた。

682『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:04:38 ID:Q8bPF5Z.0
 Sさんは白い紙から先程の鋏と良く似た形を切り出した。相変わらず見事な技だ。
大きく開いていた和箪笥の引き出しの中にそれを貼り付ける。
閉じた引き出しの中に感じる気配。1年か、2年か、剛君に本当の友達が出来るまで続く術。
「これで良し。剛君は自然に眼を覚ますまで寝かせてあげて下さい。
その間に新しい繋がりができます。そして今後は、小さな子供に良くあるひとり遊び、
そう考えて見守ってあげて下さい。何の心配も要りませんから。」
「はい。本当にありがとう御座いました。」
「それではこれで失礼します。R君、荷物をお願い。」 
「はい。」 『お出掛けセット』は既に片付けてあるし、すぐに出発できる。
「Yさん。最後に1つだけ。」 「はい、何でしょう?」
「この家を含め、おそらくお祖母様の遺品はどれも私たちに取って貴重な資料です。
その管理はあなたには負担だとは思いますが、散逸すれば取り返しがつきませんし、
思わぬ事態を引き起こすかも知れません。もしも今後、この家を手放す事をお考えなら、
その前に是非ご相談下さい。出来るだけのことをさせて頂きます。」
「はい、有り難う御座います。」 Yさんの表情は見違えるように明るかった。

683『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:06:22 ID:Q8bPF5Z.0
 県境に向かう山道、ロータスは快調なエンジン音を響かせている。
「Sさん、質問があるんですが。」 「なあに?」
「あの鋏、どうするんですか?」 「どうするって、私が使うのよ。『取って置き』にして。」
「ちょっと待って下さい。わざわざ付喪神をお屋敷に持ち込むんですか?」
「有るべき所に落ち着いて新しい役目をもらえば悪さはしないわ。
それに、あの鋏が使えたら、いざという時私の術も強化される。式が一体増える程度だし、
翠も藍も式で慣れてるからほとんど影響は受けない。だからお願い、ね。」
Sさんは大袈裟に両手を合わせた。 全く、この人は。
しかし実際、俺はSさんが何体の式を使役しているのかを知らない。
「『上』に止められる可能性は無いんですか?」
「もちろん。だってあれはあくまで道具で祭具じゃない。
それに、今あの鋏を使いこなせるのは、一族の術者の中で私だけだもの。」 
思わず笑みが浮かぶ。いつも通りだ。こと『術』に関して、この人の自信が揺らぐ事は無い。
得意そうな、イタズラっぽい笑顔。それが本当に、愛しい。
「仕方無いですね。でも本当に、気を付けて下さいよ。」
「ありがと。あなた、愛してる。」 Sさんは俺の左頬にキスをした。

684『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:07:44 ID:Q8bPF5Z.0
 翌日、朝からSさんは上機嫌だったが、
姫と一緒に出掛けた『○×◎』から帰って来ると、少し不機嫌になっていた。
それは更に翌日の月曜日、今日になっても続いている。
「もう良い加減に機嫌直して下さいよ。僕もLさんも息が詰まりそうです。」
「だって、私、太ってたのよ。新しいドレスの採寸だったのに。ウエストが3cmも。」
家族皆で写真を撮る時のために、Sさんも新しい黒のドレスをオーダーしていた。
「2人目の子供を産んでウエスト+3cmなら奇跡的じゃないですか。
それに、胸も大きくなってるんですから、バランスは崩れてないし。
むしろ僕は今の方が好きです。全然問題無いですよ。」
方便ではない。Sさんは出逢った頃より雰囲気が柔らかくなり、俺はそれが嬉しかった。
「ホントに?」 「はい。3人目も年子、間違いないって感じですね。」 「う〜ん、それは。」
ようやく良い雰囲気になった所で玄関の電話が鳴った。Sさんが受話器を取る。
「はい...そうですか。いいえ、潔い覚悟だと思います。私たちにお任せ下さい。」
それから2・3分話した後でSさんは受話器を置いた。
「Yさん、ですか?」 「そう、家ごと手放すから協力して欲しいって。」
今後、あの家とYさんの祖母の道具には『上』の調査が入るのだろう。
もしも貴重な資料が得られれば、それは術の研究に役立てられる。

685『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:09:12 ID:Q8bPF5Z.0
 11月26日、姫の誕生日。朝食の後、俺と姫は役場に出掛けて婚姻届を出した。
一度お屋敷に戻り、今度は家族5人で『○×◎』に出掛ける。
既にスタッフは準備を整えて待っていてくれた。姫のドレスが壁に掛かっている。
姫が選んだウェディングドレスは細いウエストから裾が大きく広がるデザイン。
長身で細身の姫にとても良く似合う。お伽噺から抜け出したような、文字通りの、お姫様。
薄いメイクと着付けを終えた姫の姿を見てSさんは涙ぐんだ。
「素敵。L、あなた、とても綺麗よ。」 Sさんはすっかり母親代わりの気分らしい。
「有り難う御座います。」
「Sさんのドレスも仕上がってますよ。着付けとメイク、今度はSさんの番です。」
「え、だって私は。」
『○×◎』のスタッフがドレスに掛けられていた覆いを取った。純白のウェディングドレス。
Sさんのために俺と姫が相談してオーダーしたドレスだ。
こちらは体のラインを強調した大人っぽい、それでいて肌の露出が少ない清楚なデザイン。
「何かプレゼントを用意してるのは分かってたけど、まさか、こんな...」
「もちろんこれは僕たちからのプレゼントです。
それに、『ウェディングドレスは女の子の憧れ』って言ったのはSさんですよ。」
「おかあさん、ないたらダメ。おいわいだから。」 「そうね。ごめん、ね。」

686『一期一会(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:11:00 ID:Q8bPF5Z.0
 泣き止んだSさんのメイクと着付けが終わるのを待って、記念の写真を撮った。
(俺もタキシードに着替えて、髪型を整えてもらった。所要時間5分強。)
最後に家族5人で撮った写真は、大きく引き伸ばしてダイニングの壁に飾ってある。
藍を抱いて椅子に座ったSさんの右側に姫。翠を抱いた俺はSさんの左側。
皆の、眩しい笑顔。いつもは写真写りの悪い俺も屈託無く笑っている。
深く強い縁で結ばれた5つの魂。今更にその出会いの不思議さを思う。
Sさん、姫、翠、藍、4人と過ごす毎日を大切にして俺は生きてきた。
家族で過ごす時間は、その一瞬一瞬が愛しく、かけがえのないものだ。
きっと皆も同じだろう。そしてこれからも、お互いを大切にしながら皆で生きていく。
一期一会を、一生のものとするために。そしていつか、新しい家族を迎えるために。

『一期一会(下)』 了

687『一期一会(結)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:13:10 ID:Q8bPF5Z.0
『一期一会(結)』

 「R君、ま〜たLの写真見てにやけてるのね?もう夕食の準備をする時間でしょ。」
「良いじゃないですか。RさんはSさんのウェディングドレス姿が大好きなんですよ。」
「おとうさんはみどりもだいすきだよね?」 翠を抱き上げ、深く息を吸った。腹に力を込める。
『うん、お父さんは翠も、藍も、お母さんも、お姉ちゃんも、みんな大好きだよ。』
「わあ、キラキラいっぱい。きれい、これなあに?」

『一期一会(結)』 完

688 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 21:16:35 ID:Q8bPF5Z.0
藍です。

いざ投稿を始めようとしたらマウスが壊れて慌てました。
何とか今日中に投稿を終えることが出来てホッとしています。
暫くお休みを頂いてから、知人のメッセージを投稿致します。

689 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 22:28:18 ID:Q8bPF5Z.0
藍です。
以下、知人からのメッセージを転載致します。

 初めまして、作者です。
藍が喜んでくれるのが嬉しくて、
障りの無い範囲で作品の公開を続けてきました。
藍がこちらに投稿した作品も『約束』で早15話。
ここまでくれば、あと数話。許可の下りた作品を藍に託して、
本来に近い形で区切りをつけたいと考えていました。
しかし身内の事情が変わり、暫くの間、作業が出来なくなります。
一ヶ月か、一年か、期間はわかりません。
なるべく早くと願う訳にもいかないので複雑な心持ちですが、
その日が来たら、藍に残りの作品を託そうと思っています。
もともと16話目は別の作品を予定していましたが、
上記の理由により予定を変更、今回の作品を託して区切りとします。
こちらで拙い作品を読んで下さった皆様に、そして
託した作品を本当に大切に育ててくれた藍に、心から感謝します。
ありがとうございました。

690 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/26(火) 22:43:43 ID:Q8bPF5Z.0
藍です。

もしかしたら本当にあと1話で最後かと思っていましたが、
これは「一旦休止」のメッセージ。投稿予定だった作品の冒頭部は
受け取っていますし、私自身続きを読みたい気持ちで一杯です。
しかし知人も書いている通り、「早く次を」と願う事が出来ない事情があります。
私はこれまで知人の作品に元気づけられ、支えられてきました。
今度は知人を支える立場になりたいと思っています。

691名無しさん:2013/11/26(火) 23:16:37 ID:pfQKd/ZQ0
藍さん知人さん有難う。ゆっくり読みたいと思います〜

明日は飛騨高山の盗人神社に謝罪のお参りに行くのです(私ではありませんが)

692名無しさん:2013/11/28(木) 00:44:36 ID:YUdX2Zug0
知人さん、藍さん、いつも美しいお話をありがとうございます。
お体に気をつけて、無理をなさらず。

693名無しさん:2013/11/28(木) 21:49:45 ID:G5uWLu9U0
作者さん藍さん
今回も美しく優しいお話をありがとうございます。また、大好きな作品が増えました。次はいつになるか解らないみたいですけど、今までの作品を読み返して何時までも待ってます。お疲れ様でした。

694名無しさん:2013/11/29(金) 08:51:00 ID:YW67fw42O
\(^o^)/
藍さん投稿ありがとーございます。今回も、とても面白かったです!

695名無しさん:2013/11/29(金) 21:58:26 ID:H6O85/ko0
知人さん、藍さん、弟さん。また会いましょう。その日を楽しみにしてます

696 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/29(金) 22:28:40 ID:/37An8ZQ0
皆様、今晩は。藍です。

>>691
加茂神社に、しかも「謝罪」のお参りとは、穏やかじゃありませんね。
どうかご無事に、収まりが付くことを願っております。

>>692
知人も私も、体だけは丈夫なのが取り柄なので。ご心配なく。

>>693
「読み返して」というコメント、本当に嬉しいです。有り難う御座います。

>>694
今回は少し毛色の変わったお話ですが、私も大好きです。

>>695
有り難う御座います。
私が書き込み出来なくなるのはもう少し先でしょうし、
弟は今後も出しゃばるのではないかと思います。
どうかもう暫く、宜しくお願い致します。

697 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/29(金) 22:40:18 ID:/37An8ZQ0
書き込み出来なくなるのは←×
書き込み出来なくなるとしたら←〇
舌足らずで失礼致しました。

698名無しさん:2013/11/30(土) 02:16:27 ID:33Y2Tncc0
>>696

私の知人の看護士が、まあ、「うんと昔」、助けてもらったのにお礼をしてなかった
とお叱りのご指導が入り、早速向かおうとしたら平湯の辺りで大雪になり引き返した
と話を聞きまして
障りのある神社に単独で向かうとはまかりならんと、私が付き添いました
晴天でとても綺麗な神社でした。紙のお賽銭入れて周りをお掃除させて頂き
無事帰ってこれました
次のご指導の時に「その神社じゃねぇ」と言われなければよいのですがww

699名無しさん:2013/12/04(水) 11:28:13 ID:T8g/atxU0
これ、今の家に住んでからの話なんだけど。

初めて霊現象ってやつをこの家に来てから、身に沁みて体感したんだ。
初めは一ヶ月目(もうこの家に住んでからは3年は経つ)辺りに起きたんだけどさ…。
家に帰ってきて、あまりに暇すぎたから寝てたんだよ。
そしたら足元から何かが出てきて、暫くしたら脚にしがみ付いてるんだ。
見たこともないような何かが脚にしがみ付いていて、何だ?これ?って思ったんだよ。
何かわからなくて怖くてさ、夢の中なのにだよ?
気づいたら起きたんだ。で、起きてから自分のいる位置にびっくりしたよ。
本来自分が布団を敷いてる位置に布団が無いんだ。それどころか、壁際に布団があって…。
結構寝相悪いんだけどそんなレベルの話じゃなくて、布団があった場所からそっくりそのまま布団が壁際にあってさ。
最初はびっくりしたんだ。驚いたのはそれだけじゃなくて、スエットでその頃寝ていたんだけど、起きたらズボンが足元まであってびっくりした。

一応、他にも色々あるんだけど…一番最初に起きて覚えてるのがこれ。
幻想とかそうゆう類ならいいんだけどね。

700枯れ木も山の賑わい:2013/12/04(水) 19:09:59 ID:K7xkokhY0
>>管理人様
いつも作業お疲れ様です。
『約束』と『一期一会』のまとめへのUP感謝します。
ただ、『約束(上)』が別の方のお話と入れ違っています。
修正して頂けるとありがたいです。
ついでに、『卯の花腐し(中)』と内容が重複しているので
『卯の花腐し(中)②』は削除した方が良いと思います。
対応、宜しくお願いします。

701枯れ木も山の賑わい:2013/12/06(金) 18:25:06 ID:uOxqJ87I0
>>管理人様
早速の御対応ありがとうございました。

702名無しさん:2013/12/08(日) 03:25:18 ID:jpaDRB2.0
変な夢を見た話です。最初見たのはほんとに小さいころであやふやだったんですが、なぜかまた見て思い出しテキストファイルに書き記していたのを整理してたら見つけたので
投稿させてもらいます。このテキストファイルは二年位前に書いたものでした

友達と遊びにいこうって話になり、駅まで歩いていたら友達が車にはねられてしまった
そこで救急車を待ってるところに別の友達が駆けつけて、僕を慰めてくれてた
いきなりその真横にいた友達の首から上がなくなってて、後ろに鉄板が転がってた
事故で飛び散ったガードレールやら車かわからないけど、それの破片が飛んできてたので立て続けに二人の死に目を間近で見てしまった
その現場から近いところにある祖母の家に転がりこんでその日を明かそうとしたけど、寝れるはずもなく家を探検してた
そしたらアルバムみたいなのを見つけて中を見たら死体とかそういう写真がみっしり貼ってるアルバムで、後ろから祖母が来て「みちゃったね」
って言って目が覚め、これが一日目です
 二日目、続きから見て、何これってたずねたけど変事がなく早く寝なさいの一点張りでしぶしぶ布団に入って
夢の中で寝るっておかしな話ですが、気づいたら朝になってて祖母と知らない二人の男が話してた
それで男の一人がいきなりもう一人の男を刺して祖母が逃げろみたいなことを叫んで刺された
必死で逃げたと思ったら一日目見た事故のところになって、二回目の事故が起きたところで目が覚めた
 三日目、またその続きから夢を見て、ここで祖母の家に言ったら刺される、と覚えていたので家に戻ったら
家の中が真っ暗でさすがに誰か親がいるはずとおもって真っ暗な部屋の中で母親が椅子に座ってた
おかしいなと思いつつ話しかけても返事がないので、電気を付けて近寄ってみたら母親の顔がそぎ落とされて死んでた
そしたら後ろに二日目の刺した男が立ってて自分も刺される!と思ったところで目が覚めた

なんかおかしな夢だなあとおもって目が覚めたと同時に揺れたのでまだ夢なのか!とおもったらその揺れは阪神淡路大震災でした
そして二度目見たときはちょうど休みで昼寝してたときで、3回に分けてみた夢を1回で全部見た
また変な夢見たけど前も見たことあるような気がする、と思い時間を見ようとテレビをつけたら今度は東日本大震災の緊急ニュースがやってました
これはほんとに偶然なのか、こういう大災害がおきるときにこういう夢をみるのか
なにか関連性があるのかとおもいゾッとしてしまいました

703名無しさん:2013/12/08(日) 10:50:32 ID:idfb3x/20
このスレこわい

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/lite/read.cgi/sports/40494/1376742584/l30

704名無しさん:2013/12/08(日) 20:52:13 ID:a.r4avks0
沖縄に行った時の話。

知り合いのつてで会ったHさんに案内してもらって、
首里城とかハブ園とか、いろんな所を回った。
まあお決まりの観光コースなんだけど初めての沖縄は楽しかった。
で、Hさんと話してるうちに仲良くなり飲みに行くことになった。
Hさんちの近所の沖縄居酒屋に到着。
本場で飲むオリオンビールは格別に旨い。ガブガブいける。
ラフテー旨い。ミミガー旨い。豚足旨い。名前忘れたけど刺身も最高。
泡盛も飲む。Hさんの日に焼けた笑顔と白い歯が眩しかった。
名前分からんけどツブツブのついた海草サラダがサッパリして美味しい。
豆腐を発酵させたやつは俺的に無理だったけどHさんにあげると喜んで食った。
周りの客も寄ってきて飲み食い。色々話して楽しかった。
オーナー自慢の古酒(くーすー)という酒が出された。Hさん大喜び。
かなり美味しかった気がするがこのへんでかなり酔ってる俺。
タクシー呼んでホテルに帰ることにした。

タクシーに乗ってしばらくボーッとしてた。
そこで ふ と気づいた。どこ走ってるんだ?って。
もちろん初めての沖縄だからここがどこかなんて分からないんだが、
なんか違う気がして運ちゃんに聞いた。
「あのー、どこ行くんですかこの車?」ろれつが回ってなかったかも知れないけど。
「ぐそうですよね?」答える運ちゃん。やっぱ違った。そんなとこ知らん、行かん。
「いや、国際通りの××ホテルです」そう言うと、
「あー違いましたか、すみません。カカカ」って笑った。
その瞬間、オエーッ!!てものすごい勢いで吐いた。
やばいと思ったけど止まらない。口からも鼻からもゲロ。苦しい。
あらかた吐き終わって涙とゲロまみれでむせながら
「すみません!すみません!」て謝った。

「意識が戻ったぞ!もう大丈夫だ!」て声。
目を開けて周りを見ると、救急隊員、Hさん、居酒屋のオーナー、野次馬。
俺は店の入口の前に倒れてた。「よかったよー」って泣き笑いのHさん。

後で聞いたところ、フラフラと店を出てその場でぶっ倒れたらしい。
それで意識不明。呼吸なし。すぐに救急車呼ばれたんだって。
で、その間に変な夢を見たとHさんに話したんだけど、
「危なかったよそれ…行き先確認して良かった」だって。

説明してしまうと運ちゃんの言ってた「ぐそう」てのは地名じゃなくて、
「後生」と書いて「あの世」のことだったんだ。

あれから酒が飲めなくなった。

705名無しさん:2013/12/09(月) 22:47:52 ID:fp54FBWs0
Rさんの処の管狐さんは、飯綱の秘法なのかなぁ

伝統的な使役法ってそんな感じがするんです。

706名無しさん:2013/12/14(土) 00:27:47 ID:4kUXcWdk0
次のお話まだかな〜o(^o^)oワクワク

707名無しさん:2013/12/14(土) 14:31:50 ID:7I17Mgmk0
この前家で起こった話。
俺は塾の課題プリントを今日中に終わらせちまおうと
机に向かっていた、ふと腕時計を見ると、10時20分。
はぁー、と溜め息をついてシャーペンをもう一度持って
黙々とやっていた。
すると、ガタガタガタガタッ って音がした。でもどこから
音がするか解からない。そんなことはもう気にせずに
プリントが終わって、電気を消した・・・その瞬間。

708名無しさん:2013/12/14(土) 14:37:43 ID:7I17Mgmk0
ズバァーン!!

ドアが開いた。そして唖然としていると、
ドォン…ドアが倒れた。外れたという表現が正しいか・・・
えーっ?と困惑していると、廊下が見える。
ここで薄暗くて何もない廊下を想像してほしい。
その廊下の床から、人の頭がスッとでて・・・スーっと
天井に吸い込まれていった。人間が・・・。
その夜、俺の住んでる下の部屋で、自殺があった。

709 ◆iF1EyBLnoU:2013/12/15(日) 20:34:02 ID:CqpVY/4E0
>>705
「確かに伝統的だね。」と知人は言いましたが、
それ以上は教えてくれませんでした。

>>706
次のお話が、既に冒頭部を受け取っている話になるのかどうか。
それとも別のお話になるのか、未だ分かりません。
気長にご期待頂ければと存じます。

>>管理人様
弟のコメントに即ご対応頂き有り難う御座いました。

さて、思い切って休職し、生活が大きく変わりました。
今後どうなるのか不安もありますし、コメント、投稿の間は開くと思います。
でも、『次』を投稿出来る日を信じたいと存じます。
有り難う御座いました。

710名無しさん:2013/12/15(日) 23:28:46 ID:01xR0tdA0
まずは藍様、作者様の生活あっての事
無責任ですが楽しみを前に待つ事は苦ではありません
とにかくご自身の生活を大事されることを。

711名無しさん:2013/12/16(月) 09:31:29 ID:Yyvga16IO
>>709
『次』を投稿して頂ける日を楽しみにして待ってます。o(^-^)o

712名前が消滅した奴:2013/12/16(月) 21:02:25 ID:zH..kSK20
1年6か月振りのカキコです。
1年6か月前の板住民は一人も居ません。

713名無しさん:2013/12/18(水) 02:32:58 ID:hIB2BgTs0
>>709

お疲れ様です。たまには息抜きに来てくださいね。知人さんも藍さんも

普賢の行とかなされてるのでしょうか?食事制限があるようなら、納豆が唯一最後の必須アミノ酸が
とれるようです。

課題なりお役目が成就されることを祈念いたしております。

714 ◆iF1EyBLnoU:2013/12/26(木) 21:09:32 ID:l7zXIpsg0
皆様今晩は、藍です。
思い切って休職し、毎日知人の生家でお手伝いをしています。
年末・年始は帰れないので、今日・明日だけお休みをもらいました。

>>710
有り難う御座います。
とても充実した毎日を過ごしています。

>>711
既に受け取っている作品の冒頭部は、私にはかなり衝撃的な内容でした。
私自身、とても次を読みたいのですが、これが『次作』かどうか分かりません。
でも、『次』をご期待頂き嬉しく思います。

>>712
私が初めて書き込んだのは丁度一年くらい前でした。
あと半年、書き込みを続けられればと思います。

>>713
私は下働きなので食事制限はありません。
でも、知人の朝食には必ず納豆があるので、「もしかして」と思いました。

明後日以降は少し書き込みの間が開くと思います。
ただ、その間こちらとまとめのコメントのチェックは弟に任せていますので、
出来るだけ失礼の無い範囲でレスが出来ればと存じます。

皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

715名無しさん:2013/12/28(土) 21:27:29 ID:EDx0ZheM0
藍様お疲れ様です。

お元気そうで何よりです。

今年はここで縁が出来たので、明日か明後日に七面山に登ろうと思っています
3日に遠出するのに前修行をしてこいとお達しなので何がいいかと思って。
思えば何故今年の4月に12本爪のアイゼンを買ったのか(笑)天女様にご挨拶してきます

716名無しさん:2014/01/02(木) 20:55:00 ID:dLPHNHnE0
みなさん、あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします

717名無しさん:2014/01/09(木) 02:43:46 ID:K9XP593A0
Rさんの処では、福島のカムイの線引き直しとか、課題になってるのかなぁ。

東北は神道的には別世界。北海道は異界らしいですね。

普賢の行=四足絶ちですかね、正式名称は。

最近気付いたのですが、趣味の神社参拝の時に、健全な体と心で参拝の活動が続けれますようにと、いつの間にか祈るようになっていました

基本的にナムナム系の私ですが、しきりにお役目を頂くようにとの手配の圧力がかかっています

(TT)恐らくは目覚めたら動かざるを得ないのでしょうが、まったく心当たりがない中、頭の中で考えることが日々変化しています

修羅道での神々の戦い。それって本当にあるのでしょうか。

718 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/09(木) 20:56:04 ID:5H2KJcy.0
 皆様、今晩は。藍です。

 遅ればせながら新年のご挨拶を申し上げます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
昨日まで知人の生家のお手伝いをさせて頂き、本日、先程帰りました。

 空き時間には知人と話が出来ましたので、
役得で新作の内容を聞きながら、流れで投稿の許可をもらいました。
知人の気が変わらないうちに全速力で準備を進め、
冒頭部だけでも投稿して、既成事実を作りたいと思います。

>>715
見事、前修行と修行は成就したものと思います。
天女様のご加護がありますように。

>>716
新年、おめでとう御座います。本年も宜しくお願い致します。

>>717
私は下働きの身ですので、詳しいことは存じません。
ただ、健全な身体と心で参拝を続けることは、とても大切な事だと思います。
お役目を果たされることを祈念しております。

719名無しさん:2014/01/09(木) 21:33:18 ID:K9XP593A0
おお、藍さんあけましておめでとうございます。既成事実頑張ってくださいWW

713、715、717は「徳島の特産」の私です。

ま、まだお役目頂いてないです・・・というかすっとぼけたいWWW

七面山はとても素敵な処でした。落差1500メートルを4時間半で超特急で登りましたが
富士山とても近くに見えましたです。
日の出の時に樹木に映る朝陽で、木が燃え上がっている様に見えました
さすが南門の朱雀、天女様のおわす土地ですな

720 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:39:44 ID:cgwJRcZ20
テスト中です。

721 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:46:25 ID:cgwJRcZ20
皆様、今晩は。藍です。
既成事実を作るため、投稿の準備を進めてきました。
明後日には、知人の手伝いに出るので取り敢えず(上)のみ。

では、以下『玉の緒(上)』、お楽しみ頂けると良いのですが。

722『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:47:30 ID:cgwJRcZ20
『玉の緒(上)』

 微かに、女性の悲鳴が聞こえたような気がした。
俺は暗闇の中にいる。此処は、あの悲鳴は、俺の見ている夢なのか。
「止めて!どうしてこんなこと。」 もう一度、ハッキリ声が聞こえた。 これは、Sさんの?
何故こんな切羽詰まった声を。 その直後、いきなり視界が開けた。 これは。
目の前の床に血の海が拡がっている。その中に俯せに倒れている女性と小さな女の子。
女性は抱きかかえるようにして小さな女の子に覆い被さっていた。
視界がぐるりと動き、壁際に蹲る女性の姿が見えた。俯いて赤子を抱きかかえている。
目の前に腕が現れた。男の腕。刃物を握っている、これは、あの短剣だ。一体何故?
男の腕が視界の右側に消え、女性の姿が大きくなった。女性に、近づいているのか、俺は。
女性がこちらを向いた。蒼白い顔。 まさか、Sさん。 では、この赤子は藍?。
右手に微かな痺れを感じた瞬間。
視界の右側から男の腕がSさんに短剣を振り下ろすのと、
Sさんが藍を庇うように左手をかざすのが見えた。
右手に嫌な感覚が残り、足元に真っ赤な血飛沫が散る。
Sさんの左手は力なく垂れ、それでも必死に藍を庇おうと動いていた。
信じられないというような表情。頬を伝う涙。
「あなた、どうして...」

723『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:48:20 ID:cgwJRcZ20
 思わず飛び起きた。 図書室? あれは、夢か。
全身に冷や汗をかいていた。 右手を確かめる、大丈夫だ。 血の跡などない。
窓の外、空はうっすらと明るい。 昨晩、俺は資料を調べるために夜更かしをしていた。
そのまま居眠りをしたのだろう。でも一体何故あんな夢を。
感覚は鈍かったが、あれはおれの腕だった。 そして、川の神様に授けられた短剣を。
思い出しても身震いする。俺がSさんと藍に斬りつけるなんて。
あの状況が、全く理解出来ない、待て、血の海に倒れていた女性と小さな女の子は。
姫と、翠だ。あれ以前に、俺は2人にも手をかけたのか?
図書室を飛び出して廊下を走った。階段を駆け上る。
...大丈夫。Sさんの寝室、ドアの向こうから4人の気配を感じる。
ぐっすりと寝ているようだ。ノブにかけた右手をそっと離した。
ただの悪夢。わざわざSさんや姫を起こす必要はない。俺は自分の部屋で服を着替えた。
今日は土曜日、姫の送りも仕事の予定もない。少し眠れば気分も良くなるだろう。
しかしベッドに入った後も、右手に残る嫌な感触と、あの時のSさんの表情が忘れられない。
結局、それから朝食の時間が来るまで俺は一睡も出来なかった。

724『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:49:05 ID:cgwJRcZ20
 「また欠伸、4回目よ。体調悪いの?」
「いいえ、大丈夫です。ちょっと寝不足なだけで。続きをお願いします。」
俺の『勉強』の時間、Sさんが様々な系統の術を基本から教えてくれる。
その間、翠と藍の面倒を見てくれるのは姫。当然俺の『勉強』は土日か休日。
「直接の身体接触を通じて掛ける術は、単純だけど効果が大きい。
簡単な行動の強制くらいなら相手の意識がなくても可能だし、
相手には術を掛けられた記憶さえ残らない。
霊質の関係で、ごく希にこの系統の術が効かない人がいるけれど、
それだけ気を付けていれば、費用対効果が抜群に良い術なの。」
そうだ、あれは藍が生まれた時。
O川先生と看護師さん、3人の視覚と記憶を操作するために、Sさんはこの術を使った。
しかし、看護師の◎内さんには術が完全には効かず、それを補完したのが姫の術。
おそらく事前にSさんは◎内さんの霊質に気が付いていたのだろう。
だから姫に出産の立ち会いを頼んだ。そして、あの時『頼りにしてる』と。
あらかじめ相談が出来ていたとしても、本当に見事な連携プレーだった。
「ちょっと、R君。今度は何?」 目の前でSさんの掌が揺れている、まずい。
「あ、いや、この術。僕にも効くのかなと思って。」
「僕にも、って。私、前に掛けたことあるでしょ、あなたに。忘れたの?」
「え〜っと、言い方が悪かったです。僕が僕に掛けても効くのかな、ということで。」
Sさんのキョトンとした表情。 「あなたがあなた自身に? この術を?」 「はい。」
「効く、でしょうね。でも、術を掛けたこと自体忘れてしまうんだから、意味が無いでしょ?」
「そうですね。でも、この術の練習には丁度良いです。他の人には影響が無いですから。」

725『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:49:43 ID:cgwJRcZ20
 目を閉じて、言葉を練る。 俺の無意識に語りかける、出来るだけ簡潔な指示。
『もし俺が家族を傷つけようとしたら、すぐに自分自身を始末する』
今朝方見た夢、あんなことが絶対に起きてはならない。そのために、この術が使える。
練り上げた言葉に『力』を込め、血液に乗せて左の薬指に送り込む。そんなイメージ。
目を開けて左手の薬指を舐めた。あとはこの指を額に。
「待って! 何するの。」 Sさんが両手で俺の手を止めた。 とても冷たい感触。
Sさんは両手で俺の左手を掴んだまま、何事か小声で呟いた
やがて、俺の薬指の先端に、小さな紫色の光が現れた。まるで、紫色の火花。
それは、一度強く輝いた後、ゆっくりと降下し、テーブルの上で小さく跳ねて輝き続ける。
もう一つ、また一つ。次々と小さな光がテーブルに舞い降りてゆく。
呪力を光の粒子に還元する、極めて高度な術。『○◆の雪』。
光が現れなくなると、Sさんは両手を離した。
「馬鹿!」 平手、俺の左頬が派手な音を立てる。痛。
「自分自身を始末するなんて、術を、そんな風に。」
「御免なさい。でも、有り得ない指示なら害はないかな、と。」
「有り得ないって...始末ってことは自殺、なのよ?万が一。」
「その前です。例えば僕がSさんを傷つけようとするなんて、絶対に有り得ません。
僕はSさんが大好きだし、それに。」
「それに?」 Sさんの表情は少し緩んだが、眼差しは鋭いままだ。
「もし僕がおかしくなって、翠や藍を傷つけようとしたら、
Sさんは僕を止めてくれますよね?その、例え僕を殺してでも。」

726『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:50:25 ID:cgwJRcZ20
 Sさんはテーブルを回り込んで俺の右隣に座った。
「R君、どうしたの?あなた、今日はおかしいわよ。何故そんな事言うの?」
「夢を見たんです。」 「夢?」 「はい、僕が短剣、川の神様から授かった短剣で...」
俺が話している間、Sさんはじっと俺の眼を見つめていた。
「あんな夢を見た自分が許せなくて。」 本当に、許せない。
「夢、なのよ。そんなに思い詰めることないわ。」 「でも。」
Sさんは俺の膝の上に座り、真正面から俺の唇にキスをした。熱く、長いキス。
「逆夢かもしれないでしょ?」 「逆夢、ですか。」
「そう、もしかしたら家族が増えるかも知れない。私とLが同じ時期に妊娠するとか。」
「そりゃ、絶対無いとは言えませんが」 Sさんは人差し指で俺の唇を押さえた。
「それにね。私、もし殺されるなら、あなたに殺して欲しい。
他の誰かに殺されるなんて絶対に嫌。」 Sさんはもう一度俺にキスをした。
言われてみればその通りだ。俺だって殺されるならSさんに殺して欲しい。
「御免なさい。変な事言って。でも、僕はSさんが、みんなが大好きだから。」
「もう良い。そんなの分かってる。だからこの話はお終い、ね。
それより、痛くない? ホントに御免なさい、事情も聞かずに叩いたりして。」
Sさんはそっと俺の頬を撫でた。眼にうっすらと涙が浮かんでいる。胸が痛い。
「僕が悪かったんです。それに、こんな美人にお仕置きされて、ちょっとドキドキしました。」
「もう、心配してるのに。」 Sさんの笑顔。俺の心もすっかり軽くなっていた。

727『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:51:09 ID:cgwJRcZ20
 俺とSさんがリビングに戻ると、藍を抱いて翠と遊んでいた姫が顔を上げた。
「あれ?何だか2人、良い雰囲気ですよ。『お勉強』の時間の筈なのに。妬けちゃうな〜。」
決して後ろめたいことはないが、やはりドキッとする。相変わらず鋭い人だ。
「R君が変な夢見たって落ち込んでたから慰めてあげたのよ。
夢の中で私やLに意地悪したんですって。」
「意地悪?Rさんが、私とSさんに?そんなの有り得ない、確かに変な夢ですね。」
「おとうさん、だめ。おかあさんとおねえちゃんにいじわるしたら、だめだよ。」
「いや、だからホントのことじゃなくて、夢の中の話だよ。」
「ゆめのなかでも、いじわるしたらだめ〜。」
「そうだね。お父さんが悪かった。もうしないから。」 「うん。」
満足そうな翠を抱き上げて頬ずりをした。 翠の言う通りだ。二度とあんな夢は見たくない。
その時、玄関の電話が鳴った。

728『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:51:50 ID:cgwJRcZ20
 電話を終えたSさんの表情は硬く、緊張していた。
これは仕事の依頼ではない。間違いなく何か、悪い知らせ。
昼食を終え、翠と藍が昼寝をしている間に、Sさんは俺と姫をダイニングに招集した。
姫が黙って紅茶を淹れてくれる。冷たく張り詰めた空気に、白い湯気が溶けていく。
紅茶を一口飲んでから、Sさんは話し始めた。
「術者が一人、業に呑まれた。」
俺と姫は顔を見合わせた。姫の顔も緊張している。
しかし、正直なところ、事態の重大さが俺には想像出来ない。
「術者の出自が特殊だから、『上』も事後処理に追われてるみたい。」
業に呑まれた術者は処理、つまり殺すしかないと聞いていた。
当然、処理にあたる術者は相手よりも...腹の底がヒヤリと冷たくなる。
「あの、もしかしてSさんが、その術者を?」
「ううん、もう術者の処理は済んでる。派遣されたのは『炎』、憶えてるでしょ?」
もちろん覚えている。というより、あの男を忘れる事など出来ない。
時代の流れに抗い、力を持つ子供を人為的に産み出そうとした人々。その計画の『最高傑作』。
俺が裁許を受けた日。聖域の参道で俺とSさんの前に現れた分身は、
その男の並外れた力量を如実に物語っていた。

729『玉の緒(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2014/01/12(日) 22:52:37 ID:cgwJRcZ20
 「あの男が派遣されて、処理が済んだなら一件落着、ではないんですか?」
「処理された術者は炎の妹なの。母親は違うけど。」
「『紫(ゆかり)』さん、なんですか?本当に?」 姫が息を呑んだ。
「紫が受けた依頼。その打ち合わせ場所で、依頼人の遺体が見つかったの。
紫が自分の部屋に戻っているのは間違い無いけど、連絡が取れない。
『上』の調査では、依頼人の魂はおそらく『不幸の輪廻』に飲み込まれた。だから、ね。」
Sさんが言葉を濁すのは滅多に無い、しかしそれも当然だろう。
あの男は、腹違いとはいえ妹を、自分の手で殺したということなのだから。
しかも異母妹ということは。そうだ、さっきSさんは言った。その術者の出自が『特殊』だと。
「もしかして、その人もあの計画の?」
「そう、あの計画の結果生み出された術者の一人、彼女もかなりの力を持ってた。」
「しかし幾ら何でも...妹の処理に兄を派遣するなんて、『上』は酷過ぎる気がしますが。」
「炎が志願したの。いや、あの家系の意志で炎に志願させたというべきかしらね。
『上』が黙認していたとは言え、あの計画への疑念を持つ人は今でも多い。
この件を切っ掛けにして、計画の結果生み出された術者は危険だという流れになるのは、
あの家系としても避けたいでしょうから。それで。」
「危険なのはその人だけで、他の7人は安全だと」


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