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怖い話Part2

642『約束(結)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/16(土) 00:45:08 ID:cGZ0jfJU0
 「あの、本当に手に入れてくれたんですか?白衣。」
「そうよ。頼む時、すごく恥ずかしかったんだから。感謝してよね。」
一体、Sさんはどんな顔をして頼んだんだろう。思わず笑みが浮かぶ。
「もちろん、感謝感激雨霰ですよ。ところで。」 「何?」
「今夜、着て見せてくれるんですよね。どのみち光塵のお陰で寝不足は決定だし、
光塵の灯りで見る白衣はきっとロマ、あ痛たたたた。」
「馬鹿!」
「だって、僕に見せてくれるために」 「知らない!!」 「痛いですってば。」
「あ、そうだ。最後に1つだけ教えて下さい。」 「なあに?」
「あの矢です。あれは『呪い返し』ですよね。」 「そう、私が頂いた御役目。」
「あの矢は、誰に返したんですか?」 「本当に、知りたいの?」
「それはもちろん、誰が彼女に矢を射たのか、知りたいですよ。」
Sさんは深呼吸をして目を閉じた。
「海岸、今はあの街の北側にある大きな港になってる。
かなり力の強い邪神だったみたいね。もう既に始末は付いたけど。」
街の北側の大きな港。それはおそらく、俺が最初に訪ねた港。
なら、あの気配こそが。そして、俺に干渉しようとした理由も何となく分かった。
「ねぇ、どうしたの?」 「何でもありません。運転、変わりましょう。」

 俺の中で変わったこと、変わっていないこと。
俺は今更のように、『出会い』から過ぎた時間の重さを感じていた。

『約束(結)』 完


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