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神聖にして呪われたる生贄
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【管理人】アイオーン・アブラクサス★
:2008/09/21(日) 22:31:06 ID:???0
ミサトは、加持に父親の幻影を見て「他に好きな人が出来た」といった
とある。自分で言っているように、それは彼女が、父親の幻影から、加
持から逃げるために必要とした「嘘」である。
加持のもっとも特徴的なところであるが、彼はその嘘をも含めて、眼前
に起こっている、自身にとって衝撃的な、暴力的な沈黙をもたらされる
事実において、『現に在ること』、『現に起こっていること』を眼を開
いて正面から見据えようとする意志を持ち合わせている。
これは言外に、曖昧に済ませるのではなく、事実を知るということがい
かなることなのか、をよく踏まえている人間の謂が含まれているといっ
ていい。「輝かしいパースペクティヴに到達する知識と、どうしようも
ない暗黒とは同じものなのである」とバタイユは言う。もし加持が、極
端な快楽を知らず、極端な苦痛を少しも知らなければ、このような態度
は持ち得ないといえる。
何かを知るということは、それを知ることができるという喜びの代償に、
常に痛みを伴う暗黒面があるということである。加持はこの辺りをよく
踏まえている人間なのだ。それは後に加持の口からシンジに伝えられて
いるが、それはさておき・・・。
加持とミサトとは対照的に、欲求不満の態を示しているアスカのほうは
悲劇的である。これはエロティシズムが本来笑いとは一切関係のない、
悲劇的なものであるというバタイユの指摘に反さない。
(この項続く)
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