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エスペラントは左翼のものではない

38松戸彩苑:2008/05/04(日) 14:28:33
日本のエスペランティスト(とくに革新派の人たち)の間では、ザメンホフの

  エスペラントは、私たちめいめいが自分の必要のために使っている単なる言葉ではな
  く、重大な社会的問題です。

という言葉がしばしば引用されます。

で、引用するのは良いんですが、困ったことに「どこから引用したのか」ということが書かれ
ていない場合がほとんどなんですよね。
ですから、この言葉がどういう文脈で語られたのかをご存じない方も少なくないと思われま
す。

そこで今回は、前後の文脈がどうなっているのかを見てみることにします。
この言葉が語られたのは、第8回世界エスペラント大会での演説のなかだったんですね。

  私たちの運動でいっさいの公的役割を辞退するまえに、最後にもう一度申しあげます。
  つねに一致団結し、秩序と協調をもって働いてください。エスペラント運動全体に関係が
  あり、個々のエスペランチストの個人的自由に抵触しない疑問点については、公平に選
  出される代議員たちの正規の合意のうえ、少数派が多数派に整然と譲歩し、つねに平
  和のうちに解決してください。私たちの運動では、「声の大きい者が正しい」などという原
  則がまかりとおることを、けっして許してはいけません。たとえ世界中が反対しようとも、
  団結さえあれば私たちはいつか必ず勝ちます。ぎゃくに、内輪もめをしていれば、敵が束
  になってかかってくる前に、私たちの運動は破滅してしまうことでしょう。忘れないでくだ
>  さい。エスペラントは、私たちめいめいが自分の必要のために使っている単なる言葉で
>  はなく、重大な社会的問題です。私たちの目的達成のためには、運動についてたえず
  宣伝し、世間の尊敬と信頼を得るように努力しなければなりません。もし何か具合の悪い
  ようなことが起こったときには、みんなで納得のうえで決定し、しずかに取り除けばよい。
  ともかく、私たちの陣営に互いの憎しみと不和の種をまくようなことは、けっしてしてはな
  りません。敵をよろこばせ、有頂天にさせるだけだからです。私たちの活動の初期のころ
  には、緑星旗に「希望、根気、忍耐」という言葉が書いてありました。それだけで、じゅうぶ
  んでした。私たち同志が尊敬し合い、助け合わなければならないのは分かりきったことで
  すから、「団結」などと書く必要はなかったのです。ところが、最近では、残念ながらこの
  義務をしばしば忘れています。それで、私たちの歴史の第二の重要な時期に、第二の四
  半世紀に移ろうとしているときにあたって、私たちは緑星旗に新しい言葉を書き加え、神
  聖な命令としていつも守ろうではありませんか。その言葉は、「協調」です。

  (水野義明(編・訳)『国際共通語の思想』300〜301ページ)

これを読めば判るように「内輪もめをしないようにしてくれ」ということを言ってるなかで語られ
たのであって、べつに「革新的な社会運動をやってくれ」と言ってるわけではないんですね。

もちろん革新的な社会運動のためにエスペラントを利用してもまったく問題は無いんですが、
しかし「ザメンホフは、ここでは、そういうことを言ってるわけではない」ということを理解してい
ただきたいと思います。
---

ところで余談になりますが、この引用文中には

  たとえ世界中が反対しようとも、団結さえあれば私たちはいつか必ず勝ちます。

と書いてありますが、この言葉は、私にはとても信用できませんね。

もちろん、内輪もめをしているよりは団結しているほうが良いに決まってるんですが、しかしこ
れまで100年以上にわたってエスペラント界は団結して運動してきたと思うんですが、まった
くうまく行ってないじゃないですか。

やはり、やりかたが悪ければ、いくら団結しててもうまく行かないと私は思います。

(終わり)


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