したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!2

62ファンタ ◆jz1amSfyfg:2010/05/31(月) 19:08:36 ID:/9.UHC3I
しかし、マズイ事になった。このタイミングで兄貴が来るとは。
しかも、断りも無しにドアを開けようとしやがった。まあ、油断して鍵かけるのを忘れた俺も悪いんだけど。
開ける途中で、死角からドアごと蹴り飛ばせたから、俺のこの格好には気づいていないだろう。

「翔太〜!」

ドアの向こう側から、怒りを押し殺したような声が聞こえる。

「聞かせてもらおうか。なぜ蹴った?」

メイド服を着ているところを見られなくなかったからです! とは言えない。言える訳がない。
なんて言い訳をしよう。兄貴を納得させる事ができるぐらい説得力のある言い訳を。何かないか、何かないか、何かないか……ダメだ、焦りすぎて思い浮かばない。

「理由もないのに蹴ったのか?」

兄貴の口調が平淡なものに変わるが、逆にそれが怖い。

「えーと、ご……」
「ご?」
「ごめんなさい」

謝り、即座に鍵をかける。

「おい、ふざけんな!」

兄貴の怒りの声と、ドンッ、とドアを叩いたような音が部屋に響く。

「第一なぁ、兄貴も悪いんだよ! ノックも無しにいきなり人の部屋に入ろうとすんじゃねえよ、バーカバーカ!」
「なんだとおぉぉ!」

さらに怒らせてどうするよ、俺。怒りに火がついたのか、もの凄い勢いでドアを叩いてる。
このドアが壊れちゃうんじゃないかってくらいの勢いだ。
そんな事を考えていると、ミシリ、という音と共にドアの鍵を取り付けている部分にヒビが入る。

「……え?」

思いもよらなかった事に、思わず声が出る。
もしかして、ドア全体が壊れるような事はなくとも、鍵をつけている部分は壊れやすい……とか?
その考えを肯定するかのように、ドアを叩く音と共にヒビが広がっていく。
この様子だと長くはもたない。せいぜい一分程度だろうか。
一分だと着替えるには時間が無さすぎる。
残された道は窓から外に逃げるしかない。
しかし、逃げるといっても問題がある。
一つはどこに逃げるか、である。つまり、こんな格好の状態で行くアテはあるのか、という事。
そして、もう一つ。他人の目、である。つまり、通っている学校の関係者、特に俺と同じクラスの人間に見られると非常に厄介な事になる。無論、人通りの少ない所を選んで通るつもりだが。
とはいえ、このままじゃ見つかるし行くしかない。
急いで靴を履き窓から出ようとして、部屋の隅でオブジェと化していた、マスクと目が合った。

「無いよりはマシか」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板