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YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!2
226
:
こっぺぱん
:2013/03/06(水) 00:18:41 ID:U8akVWMg
−−−迷う指先の辿る軌跡−−− ⅩⅩⅩⅠ :曖昧な境界線5:
「おつかれ、おしるこおいしかった?」
マキはワタルに背を向けたままそう言った。
「はい、おいしかったです」
ワタルは平静を装いながらそう言った。まさかマキがいるとは思わなかった。
「稽古、つけてほしいんでしょ?」
マキは振り返ってそう言い、ワタルに竹刀を渡した。ワタルは少しためらってから、竹刀を受け取った。
「でも先輩、防具つけないと」
「いいよ、本気だけど本気で打たない稽古だと思ってさ」
「いえ、でも女の子の肌に傷ついたら……」
ワタルが言い終わる前にマキが打ち込んできた。ダンッ!と踏み込みの音が稽古場に響く。ワタルは咄嗟に竹刀を掲げてそれを受け止めた。互いにすぐさま間合いを取る。よく見ると、マキが打ち込んできた一撃は片手によるものだった。その一撃の重さにワタルは驚き、歯噛みした。悔しいと思った。
「やるね、不意を突いたんだけど」
マキが右手を竹刀に添える。ワタルも竹刀を握り直し、足下を整えて構える。二人が完全に静止し、互いの目線が交錯する。
時が止まったかのような静寂の後、先に動いたのはワタルだった。ワタルの竹刀の切っ先がほんの少し下がったのを見たマキは、素早く踏み込みながら最小限の軌道で竹刀を振り下ろした。後の先を狙ったワタルの誘いを見越して、それでは対応できないくらいの速さで動いたのだった。
ワタルは咄嗟に竹刀を振り上げるが、マキの方がわずかに早かった。マキの竹刀が一瞬先にワタルの頭を捉え、竹刀の切っ先はワタルの肩に命中した。
「キミ、優しいね」
マキは竹刀を引くと、ワタルにそう言った。ワタルは痛みに耐えながら、ぎこちない笑顔を返す。
「やっぱ、これじゃ稽古にならないか。でもキミは上手いね」
マキはワタルを褒めたが、強いとは言わず上手いと言った。
「さすがに、防具着けてない女の子に本気出せませんよ」
ワタルはそう言いながらマキの竹刀を受け取り、防具部屋に歩いて行った。マキから顔が見えなくなった途端に表情は痛みで歪んだ。マキの一撃は重く、やせ我慢もこれが限界だった。
「キミ、何も知らないの?」
竹刀を置いて振り向いたワタルに向かってマキがそう言った。防具部屋のスライドドアに手を置いて、ワタルの方を見ずに、そう言った。
「知ってますよ」
ワタルもマキの方を見ずにそう言った。
「そっか、それでも本気は出せなかったか」
マキは少し笑った。ワタルからは逆光でシルエットしか見えなかったが、それはどこか自虐的な笑顔だった。
「先輩、本気にこだわりますね」
「そりゃね、だから剣道やめたんだもん」
マキはドアに背中を預けて、右手を前に突き出した。
「手、握ってみ」
ワタルは言われたとおり、おそるおそるマキの手を握った。そのコトでワタルがどきっとする前に、ワタルの手がぐっと力を込めて握られた。握力測定をするような感じだった。
「先輩、痛いですよ」
「ね? 振りほどくほど痛くないでしょ? これ私の本気なんだよ。前はみんな、痛がってすぐに振りほどいた」
ワタルは言葉が出てこなかった。なんと言えばいいかわからなかった。
「ごめんね、ただの八つ当たり。キミが将来有望そうだったからつい、ね」
マキはパッと手を離すとそう言って笑った。悲しそうな、しかし女性的で魅力的な笑顔だった。
「先輩、処女なんですか?」
「へ?」
不意にワタルの口から出てきた言葉はそんな言葉だった。
そしてお互い、今の光景を以前どこかで見たことがある、と思った。
−続く−
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