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YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!2

224こっぺぱん:2013/03/01(金) 23:33:20 ID:Il0J.YuY
−−−迷う指先の辿る軌跡−−− ⅩⅩⅩ :曖昧な境界線4:

 新年最初の部活は、寒稽古という慣習に沿った稽古となった。
 学校に集まった部員達は、全員胴衣に着替えると、素足に草履で外へ出て、震えながら竹刀を振るう。
 が、元々剣道場は寒い。素足など剣士にとっては当たり前のことで、この寒さも200回程度竹刀を振るえば感じなくなる。もちろんその中にワタルもいた。
 三年生は引退してしまったが、物好きな数人がこれに参加している。稽古する側ではなく、サポートする側で。
「がんばれ〜終わったらおしるこだよ〜」
 三年生女子部員の一人がジャージ姿で後輩達にそう声をかける。
「おしるこより先輩が食べたいです」
「ダメ、諦めて女性化しろ」
 後輩のさりげなくないアプローチを同じくさりげなくない形で却下したのは、女子の中で一番強かったアユミという女子だった。
「先輩そこは可愛い後輩の前途のために純潔を捧げるとか……」
「いやないから。ないから」
「二回も言うなんてそんなに大事なコトですかそれ」
「大事大事。それにもうあたし純潔じゃないし」
「えー!!!」
 アユミの周りでおしるこを食べていた男子部員達がそう声を上げた。そこまで驚いたわけではない、どちらかといえば落胆した、が近いだろう。
 このご時世、中学時代に経験してしまう女子は少なくない。だからこそ逆に、純潔に希少価値があるとも言える。まぁ、処女幻想といったところだろう。
「そんな……オレ先輩のこと好きだったのに……」
「いやいやいや、処女じゃないからってなんで好きじゃなくなるのよ」
 アユミは男子部員のそんな冗談(好きなのは本当かもだが)に笑顔で答えた。言われて嬉しくなくはない。
「でも先輩、女性化したら剣道も厳しいんでしょう? けっこうそれで辞めた人いるじゃないスか」
「あーまぁね、男子の時みたいにはいかないよね。そのギャップに耐えられない人がいても不思議じゃないし、仕方ないと思うよ」
 部内最強の女子だからこそ、言えることだった。サボったり怪我をしたりではなく、いきなり自分が今まで勝ててた相手にまったく勝てなくなったら、それは精神的にかなりきついだろうということが、アユミだから言えた。彼女とて最初から強かったわけではないのだ。
「でも女性化してもやってる人いるよ? 剣道って試合の勝ち負けより自分を研磨することが大事だからね。マキも頑張ってたじゃん」
 少し離れておしるこを食べていたワタルの手が止まった。

 マキ先輩は、元男?

 そう思ったワタルは、その可能性を否定できなかった。
 マキを見かけ始めたのは突然で、それが目立たない男子部員が女性化したのだと考えれば納得がいく。必死に練習していたのも、どうにか元の状態に追いつこうと思った結果で、急に辞めると言い出したのも、限界を感じたから、と思うと、マキが女性化した元男である可能性の方が遙かに高いと思えてしまった。
「あの、アユミ先輩……」
「ん? 何? 純潔はあげないよ? もう無いし」
「いえ、あの、マキ先輩のコトなんですが……」
「あー、マキは純潔じゃない? 何、マキが気になるの?」
 そういうことを聞きたかったわけではないのだが、それを聞いたワタルは何故か顔が赤くなるような感覚を覚えた。マキが純潔であるというのを喜んでいる自分を気付かされた。
「マキはどうかなーちょっと頑なな子だからねー、まぁがんばんな!」
 あっけらかんとそう言うアユミに曖昧な笑顔で応じ、ワタルは元の場所に戻った。
 その後部員数人と一緒に片付けをし、ワタルは戸締まりを任されておしるこを作った鍋などを学校に返すと、カバンを取りに剣道場へ戻った。

 そこに、マキがいた。


 −続く−


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