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YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!

937青色1号 ◆YVw4z7Sf2Y:2009/12/22(火) 10:46:18 ID:U5RA/zkc

「落ち着いたかい?」
「……最初っから落ち着いてますよーだ」
「そうだったな。じゃあ、行くかい?」

 しばしの静寂の後に―――私は頷いた。

 私の手荷物が入った小型のスーツケースを抱えた神代先生の後を追うように、階段を一歩一歩……踏み締めるように、噛みしめるように、降りていく。もう、登ることはないだろう傾斜のキツい階段を。

 出口が見えてきた―――

「僕を恨んでいるかい?」

 ―――と、同時に掛けられる声。

 ホント、先生ってば空気読みませんよね。天然なのか敢えてなのかはこの際置いといて。

「本気で恨んでるなら刺し違える覚悟で包丁握ってるか、"陵辱されたー"って世間に言い触らしてますよ?」
「命の抹殺か社会的抹殺かの二者択一か……それは恐ろしい」
「あははっ、こーんな可愛い子だったらみんな信じてくれますし?」
「否定はしないが、自分で言うと価値が下がると思うが」
「くすっ、そんなコト、本気で思ってるなら恋愛で二連敗なんて喫しませんよーだ」

 『恨んでないか』と問われたら、首を縦にも横にも触れない私が居て、笑って誤魔化すしか出来なかった。
 ……気持ちの整理をつけるには、まだまだ時間が必要なのかもね。うん。そういうお年頃だもん。


 ―――外に出たら、空っ風と照りつける太陽が私達を出迎えてくれた。
 水気を失った落葉が、どこか知らない場所へと消えていく様を、どことなく自分に重ね合わせてしまう。

「さぁ、乗って。あまり時間に余裕がない」

 そう手招きする神代先生の横には、意外にも銀色の小さな国産車が停車していた。
 これ、先生の私用車……なのかな? それにしてはちょっと安いような気もしなくもない。

「僕が自分の給料で初めて買った愛車だよ。可愛らしいだろう?」

 確かに、可愛らしい。
 ……訊いてもいないのに、その小さな車を得意気に自慢してくる先生が。
 意外とこの人って可愛らしい人なのかも。

「じゃ、その可愛らしい車で―――今度こそ……エスコートをお願いしますねっ」

 乗り込んだ助手席の車窓から、少し背の低いマンションを見上げる。

 その上には、私の新しい門出を祝うみたいに、澄み切った高い高い空が広がっていた。

 自分勝手で自己満足に、どこまでも透き通る青。私はそれを黙って睨みつけることしか出来なかった。




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