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YOU、恥ずかしがってないで小説投下しちゃいなYO!
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「ジョークのつもり? それともいらぬお節介か?」
一瞬、スプーンを片手に固まっていたが彰二の行動に深く溜息を吐くとやや半目にしながら
ジトーっとした視線を送った。
「……な、なんだよ。その目は」
「わからないか? 非常識な奴を見る軽侮の眼差しだ。美崎はまだ子供だが、そんな戯言を真
摯に聞けるほど幼くはないんだよ」
「む、難しい言葉使わないでよ」
彰二は何も言い返せず、そのまま黙り込んだ。
――やや堅い言い回し、それが美崎の特徴だった。
そんな言葉が理解出来る筈がないと踏んだ上で彰二を言い包めるために敢えて使っているの
で、彼にしてみれば厄介な話だが難しい語句を並びたてられては当然そうなる。
「恥を知れと言っている。食事時にそのような下品な話を持ち出されては甚だ不快だ」
そう言い放ち、芋ようかんを掬ったスプーンに目を向けながら、
「噂話と言うより彰二の作り話だろう」と小声で呟いた。
「…………うっ」
彰二は創作である事を看破され口を噤む。それに追い討ちをかけるが如く、
「あと、お前はお前の心配をしたらどうだ。その理屈でいくと彰二は女性に直行だぞ?」
邪悪な笑みを浮かべ彰二に止めを刺した。
「…………う、うぅ……うわあああ!
そうなった時は星の嫁に行くから良いんだよー!」
泣き叫びながら、彰二は教室を飛び出した。それを見て美崎はようやく一息付く。
「……ふん」
一見御伽噺のようでいて、世界ではありふりた現実であることをよく知っている。
そのことを思う美崎の心には、どこか哀愁が漂っていた。
そんな会話を交わしたのも、遥か手の届かない空のように遠い昔のこと。
楽しかった日々が永遠に続くこともなく、幕切れも呆気ないものだった。
次の日、美崎は海外へと引っ越した。
だがあの夏の日、突如やってきた別れを別れと認識しないまま渡独してから五年後のこの日。
美崎、いや――私は、こうしてこの場所に立っている。
彼がいる、学び舎。見上げると『2-H』と掲げられたプレート。
ここが私の新しい教室になる。
耳をすますと扉を隔てた教室からの喧騒が、零れ出ている。
その中に宮穂の声を聞き、そして彼の声を聞き……つい動機が激しくなった。
扉の前に伸ばす手はとても震えていて、全身の血が脈を打って駆け、立っているだけで重圧
が圧し掛かった。でもそれは、仕方のないことだった。
この数年、日本を離れていてわかりかけていたことがある。
それはここに至ってようやく確信に至った。今なら自信を持って言えるのだ。
私は、彼のことが好きなのだと。
――今日は、あの日と違って雲一つない快晴。春風吹く、出会いの季節。
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