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:
S
◆KMyTcmL3ws
:2006/01/06(金) 21:49:59 ID:XLLG1MWw
「ニセ科学」入門 菊池誠サイトより引用
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_nyumon.html
6.ドーマン法と「奇跡の詩人」
最後の実例として、NHKテレビで放映されて大論争になった「奇跡の詩人」問題をとりあげよ
う。新生児期に脳障害となり、事実上ひとりでは動くこともコミュニケーションを取ることもできな
かった日木流奈君が、ドーマン法というリハビリ法の訓練を受け、母親に介助されながら文字盤
を使って文章を組み立てるファシリテイテッド・コミュニケーションという技法を身に付けることに
によって、会話ができるようになっただけではなく、本まで出版してしまったという話である。
ドーマン法はアメリカで始められたリハビリ法で、特に先天的な知的障害者に対するリハビリ
で知られている。ドーマン法の背景となる” 理論”をまとめると以下のようになる。脳は発達し続
けるものであり、知的障害は発達が停止あるいは遅滞することによって起きる。これは、加速さ
せることが可能であるしたがって、知的障害のリハビリには、適切な刺激を与え続けることによ
って、脳の発達を加速させればよい。
そのための具体的な手法としては、”正常な”動作を無理やり行なわせることによって正しい”
パターン”を学習させる「パターニング」、自分の呼気を吸わせる「呼吸訓練」、そして上述の
Fascilitated communicationがある。特にパターニングでは何人もの大人が手足を持って、子ども
を無理やりに動作させるということが行なわれる。
理論があると書いたが、むろんこの理論は学問的には全く認められていない。それどころか、
アメリカではいくつかの学会が否定的声明を出している。また、当然のことだがFascilitated
communicationでは介助者の意図が反映することが明らかになっている。さらにパターニングの
やりかたから推測できるように、ドーマン法は親だけではできず、何人ものボランティアを必要と
する。事実、インターネットで検索すると、ドーマン法のためにボランティアを募集しているという
記述をいくつも見つけることができる。
少なくとも知的障害のリハビリ法としては明らかにニセ科学である。ドーマン法はいわば”藁を
も掴む”親の気持ちにつけこんだもので、実際、この指導を受けるにはかなりの金額が必要とさ
れる。しかし、親の負担もさることながら、これが意思疎通能力を欠く子どもに対する虐待以外
のなにものでもないという点がより重要である。
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