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手形小切手法 その3
562
:
ハンタカチ王子
:2009/07/27(月) 01:19:47
こんなんは?
手形行為は,意思表示を要素とする法律行為である。そうすると,手形意思表示の瑕疵の問題は,手形法及び商法にこの点に関する明文規定を欠く以上,本来,一般法である民法の全面適用及び民法の法律行為論という
基礎理論に基づいて解決が図られるべきものである。民法96条1項は,「強迫による意思表示は,取り消すことができる。」とし,明文の第三者保護規定を置いていないが(同条3項と対照),これは,強迫は,詐欺と異なって回避不能であり,表意者の帰責性が極めて小さいことに基づいているからであり,そうであれば,強迫による取消の手形抗弁は,制限能力者の保護との均衡からも,善意の第三者にも対抗できる物的抗弁であると解することになるはずである(意思主義)。
他方,民法95条は,「意思表示は,法律行為の要素に錯誤があったときは,無効とする。ただし,表意者に重大な過失があったときは,表意者は,自らその無効を主張することができない。」と規定しており,明文の第三者保護規定を置いていないので(民法96条3項と対照),この場合,錯誤の手形抗弁は,原則として,善意の第三者にも対抗できる物的抗弁であると解することになるはずであり(意思主義),第三者が保護されるとすれば,表意者に「要素の錯誤」がない場合,又は,重過失がある場合(表示主義)に限られることになる。
瑕疵ある手形意思表示に,手形理論につき,交付契約説の立場から,民法の法律行為論に忠実に,民法の全面適用を肯定する全面適用説は,少数説にとどまっており,「取引の安全」の見地から,民法の適用を修正ないし排除する,修正適用説,適用排除説が通説であるといってよい。
また,判例(判決例の意味。以下同じ。)も,強迫による手形行為及び錯誤による手形行為に,民法の規定を適用しつつ,対第三者の事案における第三者との関係では,その無効は当事者間の人的抗弁にすぎないとして,悪意と証明されない第三者には,その手形抗弁を対抗できないとする修正適用説的立場である。
しかし,判例・通説において,民法の全面適用が真に「取引の安全」を著しく害し,手形の流通性と相容れない結論しか導けないものなのかが綿密に検討された形跡はうかがえない。
これまでの議論は,強迫・錯誤による手形行為の場合,手形債務者が強迫を受けたり,要素の錯誤に陥ったりしたことを議論の所与の前提とした上で,強迫・錯誤の民法規定の全面適用は,第三者保護規定を欠くために「取引の安全」を害することになるはずだと抽象的・直感的に論じて,民法規定の適用をいかに修正ないし排除するのが理論構成上相当であるかということに腐心してきたものであり,そもそも,議論の前提部分の検証が極めて不十分であったように思われるのである。
そこで,手形法・民法の裁判規範性を前提とする,裁判実務を担当する裁判官の内的視点からすると,まず,議論の出発点として,手形債務者が強迫を受けたり,要素の錯誤に陥ったりしたことを所与の前提とするのではなく,どのような場合に,裁判実務上,手形行為について「強迫」「要素の錯誤」があったと判断(認定)できるのかという判断(認定)枠組み(判例準則)を,一連の判例群を分析して実証的に明らかにする作業から始めなければならない。
次に,そのような判断(認定)枠組みを前提として,民法の価値判断に従ったルールによる場合,許容できないほどの「取引の安全」を害する事態が発生するのか否か(「強迫」の場合),仮に,「取引の安全」に一定の配慮が必要であるとしても,民法の解釈論だけでは十分でなく,手形法的な解釈論的修正を施す必要性が存するのか否か
(「錯誤」の場合)が検討されなければならない。
以上を通じて,民法規定の全面適用を前提とした,手形債務者(被告)からの「強迫」「錯誤」の手形抗弁の主張が,手形をめぐる訴訟において,手形所持人(原告)に著しい不利益を与え,「取引の安全」を害するのか否かが実証的に検証されなければならないと考える。
他方で,手形法・民法の行為規範性を前提とする,制度設計を担当する政策立案者の外的視点からすると,上記のような裁判の当事者に限定した部分均衡的な最適解決という点だけでなく,その訴訟における解決が裁判外の一般の人々に与える影響(外部効果)という点を考慮に入れた上で,手形行為への民法の全面適用というルールの設計が,取引社会(市場)で行動する人々にどのようなインセンティブ(誘因,刺激)を与えるのか,
また,取引社会からの「取引の安全」の要請に反するのか否か,つまり,取引社会におけるリスク配分として相当か否かが,理論的・分析的に検討されなければならないと考える。
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