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ちょっと専門的なQ&Aスレ

1ミケ:2006/07/30(日) 13:26:06 ID:KO.P9.dA
第一掲示板にて、わりと専門的な質問が出ることがあります。
そういう質問の場合、答えを理解してもらうにはある程度の基礎知識が必要。

ただ、それをやってるとべらぼうに長くなってしまい、
第一掲示板の特性上、少々他の方に迷惑をかける結果になりかねません。
(↑つうか自分のことだわ、コレ)

そこで、思う存分ながながと答えるためのスレッドを設けました。
教えてクンの誘導も推奨。
備忘録スレ・論点整理スレと役割がかぶりそうですが、
備忘録スレはウォッチ、論点整理スレは議論、
このスレは質問箱的な感じで使い分けていけばいいかと。
第一掲示板への答えとしてむこうにリンクを貼る場合は、
スレッドではなく発言へのリンクを貼ると良いでしょう。
誘導の場合はスレッドへのリンクで。

2ミケ:2006/07/30(日) 13:51:00 ID:KO.P9.dA
第一掲示板での、通行人A さんの質問へお答え。


>腕が、突起物から五指まで進化する過程は、コピーミスというよりは、新しい塩基配列が作られていくことではと思うのですが、生体機能を腕にもたせる塩基配列を作っていくというのは、偶然の連鎖で簡単にはつくれないと思うのですが、そのあたりを具体的に教えてください。

まず、
「腕が、突起物から五指まで進化する過程は、コピーミスというよりは、新しい塩基配列が作られていくことではと思う」
この認識は誤解です。確かに「新しい塩基配列」はできますが、それはコピーミスからできるのです。
第一掲示板7月12日(水)20時38分48秒の投稿も読んでおいて下さい。
(投稿フォームの下 『全1566件の内、最新の記事から20件ずつ表示します。 』 と書いてありますね。そこから過去ログを読めます。問題の投稿は7月30日現在で12ページ目にあります。)


>偶然の連鎖で簡単にはつくれない

この認識はある意味では正しいですが、肝心な部分をいくつか見落としています。
自然選択の存在と母数の膨大さです。特に進化を否定するヒトの多くはこれらを見落としがちなんですよ。

まず、自然選択。ただ偶然が連続したわけではないんです。
それは7月25日(火)20時21分27秒の投稿で示唆したつもりだったんですが。
**************************************************
↑は決して一本道ではありません。
一連のコピーミスにはさまざまな分岐点が存在し、
それは現在まで続く道もあれば途中で途絶えてしまう道もあります。
**************************************************

“偶然突然変異が生じたあと”で、その偶然が“積み重なる”という過程は【偶然ではない】。
すなわちそれが『自然選択』。このことについては、このHPでも参考図書が紹介されています。
http://members.jcom.home.ne.jp/natrom/review.html#02
まあ実際にやってみるのが理解するには早いですかね。
↓のページで紹介されているプログラムをやってみてください。
http://blackshadow.seesaa.net/article/4413334.html
念のため。「一文字あってても文章にはなってないじゃないか」というのはツッコミになっていないのでご注意。
必要ならばそのことについても解説しましょう。(ヒントは、あくまでも喩え)

『母数の膨大さ』については、かつて別の場所で議論していて気付いたんですが、
多くの場合 世代 と 個体数 のどちらかしか考慮しないんですね。
実際には、母数は 世代数 でも 個体数 でもなく【世代×個体数(生まれる子の数)】なわけです。
たとえば1億分の1の確率で生じる突然変異があったとしましょう。
そんな低い突然変異率でも、一万個体からなる集団を1万世代維持するならば、母数は一億以上になる。
具体的に言うと、この条件でその突然変異は65%くらいの確率で生じます(*)。


>トランスファーRNAとアミノ酸が正確な関係を築けているのはどうしてなのか、

アミノアシルtRNA合成酵素が、一つのアミノ酸とそれに対応するアンチコドンをもつtRNAを
特異的な酵素活性によって結合させるからです。
その特異性は7月25日(火)20時21分27秒の投稿でも触れたように、
『その分子(アミノアシルtRNA合成酵素)の形や電荷の偏り』と
『対象となるアミノ酸、およびtRNAの形や電荷の偏り』
によって決定します。


(*)1-1/100000000の一億乗を1から引いた確率。正確にはちょっと違う。
生き残る数より多くの子が生じているはずなので、もっと高くなる。
たとえば繁殖齢に達するまでの生存率を50%とすれば
一億乗→二億乗となり、確率は85%くらいになる。
 そこそこ分かってるヒトへ。この数値は集団遺伝学で使う固定確率とは異なるのでご注意。

3ミケ:2006/08/05(土) 01:37:27 ID:KO.P9.dA
第一掲示板、おじん さんの質問(8月 2日(水)08時25分27秒)へのお答え。
お題:「生物が成長という能力を獲得したのはどうやって?」

>「この様にして細胞分裂は行われる」という言わば仕組みの観察結果ではなくて、その事が出来得る能力を細胞はいったいどのようにして獲得したのか?という疑問です。
>例えば古代の海中で一番初めに誕生した生き物は、自分が死ぬ前に自分の子を残したんでしょう?一代の間にそのような能力をいかにして得たのだろうか?という事です。

ええっと、、、この疑問は
>進化論ではなく、それ以前の問題だと思われますが・・・(8月 1日(火)16時22分44秒)

と表現するには不適切であることをまず指摘しておきます。
これは進化論を受け入れてから考えるべき問題ですね。
『生物は世代を経て変化してきたように見える。』
『ならばどのような道筋を通って、どのような原因によって変化してきたのか?』
ってことで。
どうしてこんなことを言うかというと、その後の答え方にも関わってくるからです。

さて、ではそのお答えを。
結論から言うと、一代でそのような能力(分裂・分化)を獲得したわけではありません。
事実、先カンブリア代中ごろまでの地層からは、多細胞生物はほとんど発見されていません。
分子系統学的研究から、多細胞生物は立襟鞭毛虫と呼ばれる生物と近縁(近い親戚関係)であるとされ、
この鞭毛虫類は細胞群体を形成することから、
細胞群体が多細胞生物の起源であるという考えが現在は有力です。

最初の細胞が獲得していただろう能力は「異化と同化」、すなわち代謝能力。
外から物質をとりこんで分解・再構築して材料にするとともに、
そこからエネルギーを取り出すという作業のことです。
これも一代で獲得したわけではないと考えられています。
最初の細胞の前段階は自己複製酵素活性を持つ分子だったと考えられています。
(第一掲示板7月12日(水)20時38分48秒の投稿を参照のこと)
複製を繰り返す過程で複製の間に余計なものが入り込んだ。
これがセントラルドグマや代謝経路。順番はまだよく分かっていないはずですが。


この細胞がミトコンドリアを取り込んで真核細胞となり、
それが多細胞生物へと連なる、、、とこんな感じです。


>さっそくググりました。百貨事典のサイトを一通り読んで、それでも分らない点があったらまた後でお訊きします。その折は宜しくお願いします。

訊いたほうがラクなのは分かりますが、本当に理解したいと思うのなら
すぐに訊かないでそこからさらにもう一歩調べることを強くオススメします。
百科事典サイトにでてきた重要っぽい単語をキーワードにして。

4Temporal:2006/08/08(火) 13:26:04 ID:wdqUBCDc
ウスラ罵蚊がナにかユ〜テオルよーでおますが・・・・・

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/5329/1143897717/1277

そこには書き込んでおりマヘンがな。
しかし、一度書けば分かるに、これも10回コピペでおますか?
サスガ、高学歴中卒だけのことはおます。
まるで、小学生低学年が「おまえのカーちゃん、デベソ。」と言ってオルよーなレスではおまへンか。
(★`▽´)y─┛~~ なんだ、なんだ、そのウスラ停脳な三才児レスは?



正法無常宗祖師 転法(/\)南無一切無常絶対超越真理

5Temporal:2006/08/08(火) 13:28:15 ID:wdqUBCDc
↑ これは、間違えてしまいましたな〜。
上記は、WhityAkiのひとりごとスレへのレスでおました。
だから、こういう掲示板は使いにくいんでおます。
( ̄ー ̄)ゞスマンスマン


正法無常宗祖師 転法(/\)南無一切無常絶対超越真理

6<削除>:<削除>
<削除>

7モモコ:2006/08/16(水) 01:52:46 ID:oV1/Oa4M
私はおそらく教えてクンというものになるのだと思いますが、
ダーウィンの進化論についてパソコンで検索したら、
難しい言葉ばかりでよくわかりませんでした;;
例えると、
あるところに首の少し長いキリンがいた。

そしてそいつは他のキリンよりも、少し高いところの葉っぱが食べれた。

他のキリンは低いところの葉っぱしか食べれなかった。

首の長いキリンは、他のキリンより食べられる範囲が広い。

たくさん食べれる。

たくさん食べれば、生き残れる。

そして、首の長いキリンが生き残り……の繰り返しで

キリンの首は長くなる!

という感じですか?
個性から生まれる結果ってこと?

8ミケ:2006/08/16(水) 21:05:28 ID:KO.P9.dA
>>7
こんにちは、モモコ さん。
進化の原動力の一つである「自然選択」についての、
おおまかな理解はそれで問題ないです。
家畜や作物の品種を新たに作り出す経緯と似たようなものです。

ただし二点ほど、注意しなければならないことがあります。
※二点目は細かいところなので流し読みでも結構です。

まず一点目
・「ダーウィンの進化論」と言うとき、それは自然選択だけを指すわけではないという点
 ダーウィンの進化論のキモ、それは
 『種は不変ではなく、生物の姿は変化しうる』
 『現在の多様な生物は、共通祖先から枝分かれしてきた』
 ということ。
 その非常に重要なメカニズムの一つとして挙げられたのが自然選択なワケです。
 上記の『』は“現象”、自然選択はその現象の“メカニズム”。
 進化について調べるときには、この二つを区別しておくと良いと思います。

二点目。
・キリンの場合は、「高いところの葉っぱを食べられた方が有利だから」という理由で首が伸びたわけではないかもしれない点
 特に過去に起こった変化の理由を考えるとき、以下の点が重要になってきます。
 『有利だったからそうなったのか?それとも別に有利じゃなかったけどたまたまそういうヤツらが生き延びてきたのか?』
 『有利だったとして、なぜ有利だったのか?』
 特に後者、首の長いキリンは短いキリンに比べてどの点で有利だったのか、
 これは非常に検証の難しい問題だと思います。
 もしかしたら、背が高い方が敵を見つけやすかったのかもしれないし、
 首の長いヤツのほうがモテたのかもしれません。

9モモコ:2006/08/19(土) 12:57:36 ID:oV1/Oa4M
>8
ミケさん、ありがとうございます!
他の掲示板で同じ質問をしたら、分子レベル(?)の話をされたので、
意味不明だったんです…。
でも、ミケさんのおかげでさらに興味が深まったので、
たくさん勉強してもっと高レベルなところで理解できるように頑張ろうと思います。
ありがとうございました!

10ミケ:2006/08/24(木) 01:03:34 ID:KO.P9.dA
第一掲示板、8月21日(月)01時02分37秒
確率のお話に関する質問が出ました。
「アミノ酸は無数にあるので、世代数と個体数の両方を勘案しても特定のアミノ酸ができる確率は低すぎるのでは?」
というもの。

その疑問にはこちらでお答えします。
というか、コレ以降、こちらに移りませんか?

まず、そもそも発生学的に重大な誤解をなさっているようです。
生物の進化とは、
特定の組織に特定のタンパクが対応していく過程、
『 で は あ り ま せ ん 。』
特定のタンパクの発現量であったり、そのタイミングが形態に影響し、
その形態に自然選択がかかって、生物の体は変わっていくのです。
『その遺伝子(タンパク)が発現する場所がその組織になる』わけですから、
ある組織にあるタンパクが特定化する、というのは、まるっきり逆な言い方です。


さて、次に。
大体の生物において、あるタンパクは、昔使っていたタンパクの使い回しです。
となると確率計算にも重大な欠陥があることが分かっていただけると思います。
ある遺伝子(タンパク)は、別のタンパクから突然変異によってできる、
だとすれば、突然変異によって生まれる新しいタンパクは、
どんな種類のものも等しい確率生まれてくる、などということはありませんね。


もう一つ、生化学的にも少々勉強していただきたい部分があるようです。
7月25日(火)20時21分27秒の投稿で触れましたが、
巨大分子(タンパク)における触媒活性、すなわち、タンパクが持つ機能の正体、
それは、
『その分子の形や電荷の偏りが他の分子を引き寄せたり捕まえたり変形させたりする』
という能力。
でね、タンパクは確かにアミノ酸が多数連なった巨大な分子なんですが、
その“能力”を担うのは、その中の一部のアミノ酸だけなんですね。
他は結構テキトウなアミノ酸配列でいいんです。
したがって、ある特定の機能を持つタンパクというのは、結構たくさんあるし、簡単に作り出せるんですよ。
そのような機能を決めるのは、タンパクの中の、“能力”を担う部分のアミノ酸配列だ
ってことは理解してもらえると思いますが、
20種類のアミノ酸にも性質の似通ったものがけっこうありまして、
性質の似通ったものどおしならある程度代替もきくのです。


そういう観点からしますと、
あなたの8月21日(月)01時02分37秒 の投稿における確率計算は机上の空論です。

生物の体を作るうえで遺伝子やタンパクがどのように働いているかを理解しないと、
きちんとした確率計算をすることは不可能であると思われます。
単に進化論否定が目的なのではなく、純粋に学問的興味から学びたいとお考えでしたら、
まずは発生生物学の教科書を紐解くことをオススメします。
評価の高い教科書は値段も高いのが悩みどころですが。
(ギルバートの発生生物学などは1万の大台を超えてますし。)


補足。
>遺伝的アルゴリズムというのは、進化の過程をより明確に解明していこうとする思考モデルですから

上記については、直後のゆん(♂) さんの投稿でご理解いただけるかと思います。

11diamonds8888x:2006/09/13(水) 05:52:00 ID:cix7jPKY
 中立説と自然淘汰説との関係について誤解する人が多いように思うが、短いレスでは説明しきれないことが多いので、私論としてまとめてみる。私論なので専門家の表現とは異なる部分もあることは御承知願いたい。また分子進化では中立説またはほぼ中立説は定説化しているが、種レベルでの進化との結びつけに関しては、専門家の問題の立て方についても個人的に疑問なところもあり、それゆえ私論として述べたい。

 中立説はもともと遺伝子すなわち特定の塩基配列やアミノ酸配列を対象とするものだが、このような自己複製子としての配列の進化過程は個体や生物集団の進化過程とは異なるところもあり、感覚的に齟齬をきたすことも多いように思える。自己複製子としての塩基配列やアミノ酸配列が進化してゆく、というイメージはどうも正しく理解されにくいように思うので、そこにも焦点を当てたい。(続く)

12diamonds8888x:2006/09/13(水) 05:54:20 ID:cix7jPKY
 n個の塩基対からなるDNA領域を考えると、全ての変異は4点×n次元の格子空間の点として表せる。具体的にはヘモグロビンでn=3×200=600程度。基準とする変異、例えば野生型の生存率を1としてある変異の生存率を1+kとし、kを淘汰係数と呼ぶ。
 kの値による集団内での頻度変化の様子は数学的にきちんと解かれており集団遺伝学者の間で意見の違いはありえない。解析的には解けない方程式もあるようだが、シミュレーションも使えるので問題はないのだろう。しかし4点×n次元空間内でのkの分布により実際に出現する頻度分布は変化するので、それをどう仮定するかで結果が変わる。
 さてkの分布はどのようなものになるか? 当然だが環境は固定されていると仮定する。さもないとkが変化してしまう。

 淘汰万能説: 野生型以外の全ての変異についてk<<0。野生型以外はとても不利。
 中立説: 多くの変異についてk=0。他の大部分の変異についてk<0
 ほぼ中立説: 多くの変異についてk≒0。他の大部分の変異についてk<0

 淘汰万能説と中立説は対立するが、ほぼ中立説は中立説の自然な拡張である。またどの説でも野生型以外はk≦0であるが、これは野生型は現在の環境で最も適応した変異であるとの主張である。ここで環境が変化すると全ての変異の生存率が変化するので、ある変異についてはk>1となりえる。そしてk>1なる変異が発生すれば大きな確率で定着し野生型を駆逐する。いつかは最適な変異が発生して定着し、いわば新規環境下での野生型となる。

 ここで淘汰万能説により自然淘汰の過程を模式化すると次のようになる。
 野生型以外はとても不利なので突然変異で発生しても速やかに消失するが、突然変異率との平衡により大部分の変異は常に集団内に存在できる。例えば抗生物質耐性変異は常に細菌集団内に存在するか発生するが、通常環境下では野生型ではなく不利である。ここで環境が変化し野生型とは別の変異が有利になると、その変異が速やかに増えて遺伝子頻度が変化する。例えば抗生物質にさらされる環境に変化すると抗生物質耐性変異が有利となり、この変異が定着する。

 中立説ではk=0の変異、いわば野生型となりうる変異が多数ある。従って集団内で多数派の変異は世代を重ねると共にこれら中立な変異の間である確率で転換する。一般に次の多数派はそれまでの多数派から塩基1個置換された変異体であり、多数派のDNAに1塩基置換が生じたとも見なせる。単位時間または単位世代当たりの塩基置換率を置換速度と呼ぶが、計算からは置換速度は突然変異率に等しいことが示されている。
 また小集団に分かれた場合、各集団にはそれぞれ異なる変異が定着していく。

 中立説でもk<<0の場合を否定してはいないし、その場合の自然淘汰の過程は上記の淘汰万能説と同様である。いわゆる保守的配列は突出して最適化しているために何億年も変化しない。つまり中立説は自然淘汰を含んでおり、いわば淘汰万能説を拡張したものと言える。

 ほぼ中立説ではk≒0の多数の変異がいずれも野生型となりえる。特に集団の個体数が小さい場合は、kの絶対値が大きい変異でも定着する確率は大きくなる。すなわち中立説における時とともに転換しうる変異の範囲がk≒0にまで拡張される。また小集団に分かれた場合に各集団に定着する変異の範囲もk≒0にまで拡張され、その確率は各集団の個体数に依存する。 (続く)

13e10go:2006/09/13(水) 14:40:41 ID:5/V6R9W6
diamonds8888xさん、初めまして、e10goです。

>淘汰万能説: 野生型以外の全ての変異についてk<<0。野生型以外はとても不利。

この「野生型」の意味を教えてもらえますか。

ペットの犬や猫、動物園のトラやライオンに対して、自然に生息する動物を野生動物と言いますが、
この「野生」とdiamonds8888xさんの説明されている「野生型」とは異なる意味ですよね?

ここで言う「野生型」とは、
#現在の種の中で、大部分が同じ遺伝子を持っており、それが主流になっているもの。
#しかも、現在の環境で、生存・定着に不利でないもの。
と、勝手に私が解釈しましたが、間違ってますか?

14diamonds8888x:2006/09/15(金) 05:19:16 ID:cix7jPKY
 e10goさん、御興味を持っていただきありがとうございます。文中での「野生型」はおっしゃる通り「その時点で主流のもの」の意味で使っています。現在の環境で、生存・定着に不利でないことは自然淘汰が働く以上は当然なのですが、ほぼ中立説では「わずかながら不利」な野生型も存在しうることになりますね。

15diamonds8888x:2006/09/15(金) 05:26:28 ID:cix7jPKY
「有利な変異」の割合−1−

 現環境下で安定している生物集団では野生型かそれに近いわずかな変異のみが最適応変異体である。つまりk>1の意味での「有利な変異」は存在しない。ところが下記サイトの太田朋子の図では淘汰万能説と中立説で「有利な変異」が相当割合を占めている。これは対象とする母集団が異なると考えるべきだろう。その母集団とはどんなものなのだろうか?
http://www.nig.ac.jp/museum/evolution/C/bunsi-01.html

 さて3説のいずれでも4点×n個の全変異の中で大部分についてはk<0である点には間違いはない。というよりほとんど自明である。野生型からかけはなれた変異、例えば全塩基が異なるものでは機能が全く異なるはずだから本来の機能は果たすことさえできないはずである。逆に考えれば、ある特定数、例えば100個のアミノ酸からなるタンパク質には様々な機能を持つものがありうるはずで、それらは各々の環境下でこそ最適化されているが、他の機能を持つタンパク質の環境下では全く役に立たない。ヘモグロビンの配列が消化酵素をコードすべき場所にあったのではk<<<1である。
 つまり3説の相違点は4点×n個の全変異の中でも野生型近傍の変異群を考えた場合のkの分布についての相違点と見なせる。観測的にも分子進化学で対象となるDNAまたはタンパク質の変異の集合は、配列の一部のみが異なっている変異の集合である。そもそも配列の多くが異なっていたら、同じ系統の遺伝子と見なすことができない。

 さて同じ機能を持つDNAやタンパク質を異なる生物種同士で比べると、上記のように配列の一部のみが異なっている変異体となっている。この変異の原因について淘汰万能説と中立説では対立がある。
 淘汰万能説: 各変異は各生物種において最適者で、淘汰によりその変異体が定着した。
 中立説: 各変異の間で同一環境下での淘汰係数に差はなく、遺伝的揺動により分散した。

 淘汰万能説では、同じ機能性タンパク質でも各生物種において必要な機能がわずかに異なると主張していることになる。例えばヒトとゴリラではヘモグロビンが必要とする機能がわずかに異なるために、アミノ酸数個の違いが出たのだと主張する。ひとつの自己複製子としてのヘモグロビン遺伝子の立場から見れば、ヒトの血球中とゴリラの血球中とでは自己複製子が適応すべき環境がわずかに異なり、各変異体はそれぞれの環境に最適応した変異体だということになる。

 対して中立説では、生物種が異なっても機能性タンパク質に必要な機能は同じだと主張する。ゴリラのヘモグロビンがヒトの赤血球にあったとしても全く変わりなく機能するのだと主張する。自己複製子としてのヘモグロビン遺伝子の立場から見れば、ヒトの血球中とゴリラの血球中とでは自己複製子が適応すべき環境が全く同一だと主張する。

 以上の議論を時間軸上で見てみよう。現在の特定生物種の特定遺伝子は歴史的に変異を重ねてきた。タンパク質で言えばアミノ酸置換が起こしてきた。淘汰万能説では、ある時点で置換が起きたのは生じた変異体がそれまでの変異体より適応度が大きかったからである。つまり、その時点で自己複製子としての遺伝子の生きる環境が変化し、それまでの野生型の適応度よりも別の変異体の適応度が大きくなったからである。対して中立説では、置換は遺伝的揺動により生じたとする。

 そこで、実在した変異体、すなわちかって定着したことのある変異体全てを母集団とし、各変異体が定着した時点の環境下における、直前の野生型変異体に対する淘汰係数をkとした時、各説は次のように主張していると考えられる。

 淘汰万能説: 全ての変異体について、k>0
 中立説: 多くの変異体についてk=0、いくつかはk>0
 ほぼ中立説: 多くの変異体についてk≒0

 太田朋子の解説における「有利な遺伝子の置換が300世代に1個くらいだろうといっています。」「つまり遺伝的荷重の理論から推定するよりもはるかに多数の置換が“中立的に”おこっているという結果がでてきたのです。」という文では、確かに上記の定着したことのある変異体全てを母集団としているように読める。だがこの母集団には有害な変異は存在しないはずなので、図の母集団はこれとは違うものであるはずだ。

 なんだか無理に太田朋子の図の弁護をしようとしているような気になってくるが、実は本人はあまり厳密には考えていなかったのかも知れない。(続く)

16e10go:2006/09/16(土) 09:42:22 ID:5/V6R9W6
diamonds8888xさん、回答ありがとうございました。

最初、意味が解らなかったのですが、質問を書く内にこういう意味かなと思いました。
間違った解釈をしてもと思い、質問させていただきました。
diamonds8888xさんの講義、楽しませて頂いています。

17diamonds8888x:2006/09/17(日) 12:55:20 ID:IWxeKwgk
 第一掲示板での質問に関連するが、突然変異の定量的イメージというのもなかなか難しい。本筋の中立説私論とは別に、その話を書いてみたい。

 突然変異というと、ある時ただ1個体の突然変異体が誕生し、適応度が大きかったり運が良かったりすればその個体は複数の子供を持てるが、通常は不利なので子供を残さずに一生を終える、というイメージが強いのではないだろうか。だが集団遺伝学の初期モデルでは個体数が十分多数であることを仮定する。
 集団のおとなの個体数をNとし、そのほとんどがただ一種類の変異である野生型だとする。野生型からある変異体への突然変異率をvとすれば、その変異体の子供が1世代でcNvだけ誕生する。ただしcは1個体当たりの子供の数の平均値である。極端な場合でこの変異体は野生型同様に成長はするが子供は残せないとすると、誕生した変異遺伝子は次の世代には完全に消失する。かくて、どの世代でもこの変異を持つおとなの個体数はNvとなる。
 一般には変異遺伝子の割合をx<<1とし淘汰係数kとすれば、1世代でのxの変化量Δxは、
   Δx≒v+kx
 である。上記の極端な場合はk=−1なのでx=vで平衡となるが、k<0の場合はx=v/|k|で平衡となり、突然変異率よりも多い割合の変異が存在する。 k>0だとxは世代と共に増加してついには野生型を置き換える。なおxが大きくなると上の近似式は誤差が大きくなる。例えば下記の「c.一般の場合」を参照ねがいたい。下記ではホモでは致死、ヘテロで選択値が数%低下する例を示している。
http://www.primate.or.jp/PF/yasuda/21.html

 上記サイトにはホールデンが血友病遺伝子の突然変異率をu=2.5E(-5)[/世代]と推定した例も載っている。分子系統樹から推定された中立な塩基配列の点突然変異率は5E(-9)[/年]ほどであり、血友病遺伝子の推定突然変異率はこれに比べて5千倍もある。これは血友病が血液凝固因子コードする遺伝子に変異があると生じるものだからである。つまり同じ血友病遺伝子と言っても具体的なDNA配列は異なっているのであり、血友病としてくくった集団の血液凝固因子コード遺伝子はいわば多型なのである。表現型で示された「突然変異」というのは、このように遺伝子レベルでは多型であるのが一般的である点は見逃さないようにするべきだろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E5%8F%8B%E7%97%85

 例えば特定の抗生物質への耐性遺伝子を考えても、耐性を生む変異は唯一とは限らない。集団遺伝学初期の研究では、このように遺伝子レベルでは多型であるはずの形質をまとめてひとつの変異として解析していることが多く、この点も淘汰万能説が主流となる原因のひとつであったらしい。

 さて上記の無限個体モデルはvN>>1でないと成り立たない。vを1塩基変異と考えれば2塩基変異はvの二乗である。vは小さいので、2塩基以上の変異では1個体も存在しないこともあるだろう。この計算を応用したのが、耐性菌に対して複数の抗生物質を同時に使うという戦略である。詳しくは下記サイトを参照のこと。
http://www10.ocn.ne.jp/~fukasawa/drugresistance2.html

 ただし野生型が多型であれば、複数の各野生型について1塩基変異体が平衡量だけ存在するので、存在する変異の種類は野生型が一種だけの場合よりも増えるはずである。

(終わり)

18diamonds8888x:2006/09/17(日) 13:11:07 ID:IWxeKwgk
「有利な変異」の割合−2−

 以上の点から太田朋子の図の淘汰万能説を見ると、「有利な変異」とは実在した生物種のそれぞれで「有利な変異」の集合と思われる。だから「有利な変異」のそれぞれは有利でいられる環境が異なる。直前の野生型変異体を置換して新たに定着しえたのは、直前の野生型が有利な環境から新たな変異が有利な環境に変化したからである。

 では残りの「不利な変異」とは何かと言えば、これら「有利な変異」以外の変異であろう。これら「不利な変異」も未だ実在しなかった生物種の中では有利となるかも知れないが、現時点では有利であるべき環境が知られていないと言える。言い換えれば、これまで実在しなかった(集団に定着したことがなかった)変異の全てを不利と断じていることになる。つまりここで考えている母集団とは、定着したことのある変異体に定着したことのない変異体を合わせた集合と考えられる。言い換えれば、実在した複数の野生型およびその近傍の変異体の集合である。

 それに対して中立説では、これまで実在しなかった(集団に定着したことがなかった)変異もその多くは実在した野生型と同等な適応度を持つと考える。実在した変異はそれら中立な変異体の中のいくつかが揺動によりたまたま定着したものだと考える。ただし中にはそれまでの野生型より有利であったがために定着した変異もあったというのが太田朋子の図での中立説における「有利な変異」の存在だろう。ヘモグロビンで言えば、水棲生物から陸上生物に進化したときに陸地に適したものが有利となった例がある。

 ほぼ中立説では弱有害な変異も定着しえるのだが、図で「有利な変異」が存在しないのは腑に落ちない。ところで弱有害な変異も定着しえる、つまり野生型が弱有害でありうるということは、現環境下で安定している生物集団での野生型近傍の変異集団の中には、現環境下でも野生型より有利な変異が存在することもある、ということを意味する。つまり、野生型近傍の変異集団を母集団とし、現環境下での淘汰係数をkとした時には、ほぼ中立説の場合だけがk>1である「有利な変異」が存在することがあるのである。

 どうも太田朋子の図の話が長く複雑になってしまい読者にも申し訳ない。が、淘汰係数はどの環境下でのものかを意識しないと混乱するのだという点は御理解願いたい。次回でこの図の話は終了予定である。(続く)

19diamonds8888x:2006/09/18(月) 08:36:36 ID:IWxeKwgk
「有利な変異」の割合−3−

 前回の母集団の説明でわかりにくい点もあったかも知れないので補足する。ある遺伝子の進化を対象とするのだが、先ずかって実在した野生型の変異を全て考える。実際には調べた生物種で得られた変異を全て考えることになる。次に各野生型についてわずかに異なるだけの近傍の変異全てを考える。わずかにというのは厳密に決めることは不可能だが、考えた野生型の変異の間での最大の違い程度までを考えれば良いだろう。次に、実在した各野生型が主流だった時の環境での適応度を考え、その野生型の適応度を基準としてkを定義する。すると、あるひとつの変異についても今与えられている野生型の数だけのkが定義される。つまり定義されたkの数は、[考慮した変異の数]×[考慮した野生型の数]だけになる。こうして定義されたkの集合がどのような値に分布しているかというのが、各説の違いとなるのである。
 ただしここで中立説やほぼ中立説では実在した各野生型が主流だった時の環境はほぼ同じだと考えるので、それらを同一視すればkの数はずっと減る。全ての場合の環境が全く同一とすれば、kの数は考慮した変異の数に等しい。

 さて専門家の安田徳一{YASUDA,Norikazu}による太田朋子の図の解説が以下にあった。
http://www.primate.or.jp/PF/yasuda/41.html

 これによれば、「ほぼ中立説は自然選択説と中立説でみとめた有利な遺伝子の存在は特に考えないで、Nes=±0のあたりの変動をする突然変異としてまとめてしまいそれらがかなり多いと主張するものである。」とある。私はこれは以下のような分類を主張していると解釈した。
 |選択される|← ほぼ中立 (k<0)→|←中立(k=0)→|← ほぼ中立(k>0) →|

 まとめてしまいというのだから本来は、次の図となるべきなのだろう。実際、中立な変異とほぼ中立な変異との違いはkの値の連続的な違いなのだから、厳密に分けることはできないはずであり、太田朋子の図で中立という区分が作られている意図は不明である。単に中立説との違いを強調する意図か、師の木村への敬意の現れか。
 |選択される|← ほぼ中立 (k≒0)→|

 いずれにせよ、淘汰係数が厳密に0の変異以外は有意に有害な変異のみというのも不自然であり、多くの変異がほぼ中立というのは極めて自然な仮説である。中立説を理想気体の法則と例えれば、ほぼ中立説は実在気体における理想気体とのずれを取り入れたものと例えられるだろう。

 だが太田朋子のほぼ中立説は、中立説の単なる近似補正ではないと強調しているようにも見える。とすればその強調点は「有利な変異」を無視する点であろう。それが太田朋子説の特徴とすれば、それは次のような点だと考えられる。

 定着した変異がk>1の変異でも、その定着の要因には淘汰の寄与よりも揺動の寄与の方が大きい。つまり純粋に淘汰のみにより定着した変異というものはない。

 計算やシミュレーションによれば揺動と淘汰の寄与の割合はkの大きさと集団の有効個体数に依存する。だから後はそれぞれの遺伝子やタンパク質ごとに実際はどうなのかという個別での実測の問題になるだけであり、一般的に淘汰と揺動のどちらが重要かと強調することでもないように、私には思えるのだが、どうなのだろうか?

 なお安田徳一の解説で、「自然選択説では、新たに生じた突然変異遺伝子の大部分が有害で選択されるが、すでに存在している遺伝子より有利な突然変異が出現すると主張するものである。」とあるが、有利な突然変異が出現するには環境が野生型が最適ではないものに変化していなくてはならない点に触れていないのは説明不足だと思う。

「有利な変異」の割合、終わり
(中立説私論は続く)

20diamonds8888x:2006/09/20(水) 06:28:23 ID:m90DE7Kw
 突然変異の定量的イメージにつき、もう一度述べたい。

 中立な塩基配列の点突然変異率は5E(-9)[/年]ほどであり、これほど小さくては無限個体モデルの適用は難しいだろう。実際、中立説の枠組みでの分子進化のモデルでは、出現した1個の変異の運命やそれが1個も無くなる消失の確率などを考察する。実際の有効個体数がそれほど大きくはないこともあり、変異体の数を離散量とするモデルが現実に近いと言える。そしてこの場合は、k≒0ならば多少不利でも揺動により1個の変異が増えてゆく確率はゼロではない。

 先に述べたように例えば血友病遺伝子は遺伝子レベルでは多型と考えられる。つまり血液凝固因子コード遺伝子の複数の変異の集合なのだ。遺伝子レベルではこれらの複数の変異のうちのあるものが突然変異により1個出現し、その中のあるものは揺動によりある程度増えてゆく。ある程度の個体数となった変異でも時が経てば揺動と淘汰により消えてゆくこともある。つまりこれら複数の血友病変異体集団とでもいうべき変異が入れ替わり立ち替わり現れては消えてゆくことを繰り返す。これを表現型だけで見ると、あたかも血友病というひとつの形質が集団の中で平衡になっているかのように見えるだろう。

 これは正常な血液凝固因子コード遺伝子でも同様である。表現型だけ見るとひとつの形質が変化せずに続いているように見えても、遺伝子の中立な部分は揺動により多数の変異が入れ替わり立ち替わり現れては消えてゆく。そして中立な場合はほとんど全集団の個体を置き換えてしまうことも起きうる。しかし表現型だけを見て、実は互いに中立な異なる変異の集合であるものをひとつの変異としてのみ考えていれば、淘汰による適応的進化しか見えない。これが淘汰万能説が陥った罠だったのだ。

|−−−表現型A−−−| >適応進化> |−表現型B−|
|A1,A2,A3・・|
(−中立進化、多型−−)

 まさに表現型の進化と分子進化とは違うのである。

21diamonds8888x:2006/09/28(木) 05:42:45 ID:IgreeRk2
−−橋の前で−−

 「揺動」は「浮動」ではないかという指摘をいただきました。その通り、遺伝的浮動(genetic drift)が正しい。揺動(fluctuation)またはゆらぎというブラウン運動での言葉と混同していました。

 さて中立説が確立以後の問題は表現型レベルの進化と分子レベルの進化との間の橋渡しだと言われているが、橋渡し問題に入る前に、DNAレベルでの変異と表現型との関係について基本的なことを押さえておきたい。

 簡単のために以後タンパク質に翻訳される遺伝子もしくはタンパク質そのものを考えるが、遺伝子が機能を発揮する方法は少なくとも次の3通りが知られていることは留意しておこう。
  1)遺伝子から合成されたタンパク質が機能する
  2)DNAから合成されたRNAが機能する
  3)DNA自体が機能する
 3の例はほとんど知られていないとは思うが、例えばRNA合成開始領域が一例といえる。2の例としてはトランスファーRNA(t−RNA)やリポゾーム−RNA(r−RNA)が古くから知られているが、最近ではヒトのイントロン中に多くの機能性RNAが存在してタンパク質合成などの調節に関与するらしいことが発見されてきている。このような遺伝子発現の調節にRNAが関与するとすれば、その遺伝子のわずかな変異が形態の大きな変異につながる可能性がある。

 さてタンパク質コード配列の場合、同一アミノ酸をコードしている同義配列同士は理論上中立のはずである。機能を持つのはタンパク質であってDNAではないのだから。またタンパク質の機能にあまり関わらない部分のアミノ酸が多少変化したとしてもk≒0であることも自然である。k≒0の変異を認めない淘汰万能説はどう考えても不自然である。

 一方、完全にk=0でない限りは変異分布の推移には淘汰も寄与する。しかしほぼ中立説が主張するようにk≠0でもk≒0なら遺伝的浮動の方が大きい場合もある。これも自然な考えであり、計算やシミュレーションでも示された事実である。つまるところ、「kには分布がありその値により変異分布の推移への淘汰と浮動の寄与割合が違ってくる」と言ってしまえば、これは至極当然のことなのである。ただ個々の状況でkがどのようであるかは調べてみないとわからない。

 ところで「ほぼ抜きの」中立説はk≒0の多くをk=0に近似したものであり一般に木村の中立説と呼ばれるのはこの場合である。当然ながら木村の研究にはk≒0の場合の考察も含んでいるのだがk=0が前面に押し出されているのは次の理由によるのであろう。
  ・k≒0の場合の計算が困難で解析的に解きにくい
  ・実測データはk=0でも十分に説明可能だった
 そして理論と実測の両面の精密化によりk≒0の場合も取り入れることができるようになったのである。これは中立説のほぼ中立説への発展とも言えるが、この段階で太田朋子の寄与が大きかったので太田のほぼ中立説とも呼ばれるようである。実は他にも根井正利、宮田隆等多くの研究者の寄与があるらしいが、各人の貢献の程度は詳しくは知らないし、あまり興味もない。

 今振り返れば淘汰万能説の不自然さはよく見えるのだが、当時は無理からぬ面もあった。表現型ではいかにも中立に見える形質でも、それどころか一見は不利に見える形質でも、適応度の違いが隠れている可能性が強いからである。

22青蛙:2006/10/02(月) 18:28:52 ID:9AOZAGYw
 こちらの管理人の NATROM さんが、ご自身のブログの8月6日に「冥王星の発見物語」というログをアップされました(*1)。
# そこでは、「ローウェルの弟子トンボー」という「天界伝説」が語られています。天界伝説というのは、「天文ギョーカイに蔓延っている都市伝説」を省略したもので、星座神話の類いではありません。
で、このログに対して Kosuke さんが次のようなコメントを寄せられました。


「海王星の動きに計算に合わないところがあるので、未知の惑星があるに違いないという予測のもとに望遠鏡を向けたらそこに冥王星があった」
というのは単なる偶然だった、というのは本当ですか?


 このコメントに対して私は同意し『「単なる偶然だった」というのは本当です』とレスを返したところ、このやりとりをご覧になっていた meineko さんが、ご自身のブログにおいて反論されました(*2)。
 さて、それでは冥王星の発見が「単なる偶然だった」というのは本当なのでしょうか?


 まず、Kosuke さんのコメントには錯誤があります。

> 海王星の動きに計算に合わないところがあるので、未知の惑星があるに違いないという予測のもとに望遠鏡を向けたらそこに冥王星があった

という箇所は

「天王星の動きに計算に合わないところがあるので、未知の惑星があるに違いないという予測のもとに望遠鏡を向けたらそこに海王星があった」

と、海王星→天王星、冥王星→海王星とすると史実になります。冥王星は、海王星のように望遠鏡で直接発見されたわけではなく、写真上を捜索して発見されたのものなのです。これまで多くの新天体(小惑星・彗星・新星)がそのようにして発見されました。

23青蛙:2006/10/02(月) 18:29:56 ID:9AOZAGYw
 次に、本題の meineko さんのログに対してです。

> 冥王星の扱いについてのこのところの動きに関する記載の中で、冥王星の発見は「単なる偶然」という言葉が、散見されます。

 事実、偶然だったのですからしかたありませんね。どうも、meineko さんは、冥王星の発見が偶然だったことがお気に召さないご様子です。

> 話を単純化しすぎている+トンボーの業績を矮小化している気がする

 そうです。meineko さん個人の「気がする」だけにすぎません。

> 天王星の動きの乱れを元に、計算で予想されて海王星が見つかった話は有名です。

 「計算で予想され」はしましたが、見つかったのは偶然です。

> wikipediaあたりの記述によると(中略)ということになっています。偶然?

 「偶然?」と訝しがられても、偶然なんだからどうしようもありません。

> まぁ、でも、ニュートン力学の賜物でした。

 発見された経緯をきちんと吟味しないで、「ニュートン力学の賜物」とか科学の勝利とか言い出す方が、よっぽど「話を単純化しすぎている」んじゃないかと思いますがね。

> で、海王星の動きについても、すぐに、計算と合わないという話が出て、多くの人が未知の惑星について計算をおこなっていました。

 そんなこと……あるわけないじゃん。天王星の動きが、海王星が発見されても「すぐに、計算と合わないという話が出」たんですよ。そりゃそうでしょ。実際に発見された海王星はルヴェリエが予測したものとは違うんですから。だってルヴェリエは計算に合うように未知惑星の軌道計算を行ったんですよ。
 「すぐに」というのが具体的にいつ頃のことなのかは分かりませんが、超海王星天体が取り沙汰され、ローウェルが軌道計算を行った1915年頃には、天王星は発見より1.5公転、(発見以前の観測も加えれば2.5公転)していたので、計算された軌道と実際に観測された位置の比較ができました。この時点で海王星はまだ半分も公転していません。

> ところが、発見当時から、予想される冥王星の質量からは、海王星の軌道に影響を与えないことがすぐわかったそうです。

 これもそう。トンボーまでは予測された光度の星を探してたので、いつまで経っても見つからなかったのです。実際に発見された冥王星は予測されていた光度より2等級暗く、太陽からの平均距離も予測より大きかったのですから、計算と合うわけがありません。
 結局、既知惑星の摂動から未知惑星を発見するルヴェリエやローウェルらの取り組みは失敗したんですよ。それは、天体力学の敗北というよりも、実際の惑星の振る舞いが「一筋縄ではいかなかった」ということです。

> その後、惑星探査機によって海王星の質量が正確に決まったので、想定されていた様な海王星の軌道に対する未知の惑星による影響を想定する必要が無いことがわかりました。

 海王星にも衛星が存在する(そのうちの一つトリトンは海王星が発見されてからすぐに発見されている)ので、ケプラーの法則を使って海王星の質量を求めることができるはずです。この方法はそんなにアテにならないのでしょうか?

> #このあたりが、偶然という言及の火元でしょう?

 「火元」って……なんだか「偶然だった」ことがいかにも根拠薄弱な風聞だったとでも言いたいような口ぶりですね。

24青蛙:2006/10/02(月) 18:31:16 ID:9AOZAGYw
【解説】

 meineko さんと私とでは、どうやら「偶然」という言葉の認識にかなりの齟齬があるようです。
 繰り返しになりますが、実際の惑星の振る舞いが「一筋縄ではいかなかった」ことに尽きると思います。

 まず、天文理論(ここでは惑星軌道論)を使って未知惑星をどうやって見つけるかを考えてみましょう。
 わかっているのは既知惑星の計算と実際との軌道のズレ(摂動)です。

 重要となるポイントは、未知惑星の質量と軌道径です。
 重力は距離の二乗の逆数に比例します(ニュートンの「逆二乗の法則」)から、軌道径の大きさをどんどん大きくしてやれば、質量も大きく見積もることができるわけです。
 ですから、質量と軌道径の2つの要素だけで未知惑星の軌道を特定することができないことがわかるでしょう。
 質量にしろ軌道径にしろ、どこかで折り合いをつけなければなりません。
 その根拠が提唱者の気まぐれであっては科学的ではないわけで、なんらかの科学的根拠が欲しいところです。

 海王星の場合は、「ボーデの法則」が軌道径を特定する根拠になりました。
 ボーデの法則は新たに発見された天王星にも適合し、天王星はボーデの法則の確からしさを補強したのです。
 ですから海王星の場合も、このボーデの法則をよりどころにするの当然でしょう。
 ところが皮肉なことに、海王星は天王星とは逆にボーデの法則に従っていませんでした。これがもとになって、現在では、ボーデの法則は科学的根拠がないものとみなされています。
 なんだか、エーテルを検出しようとして、逆にエーテルが存在しないことを証明してしまった「マイケルソンとモーレーの実験」みたいですね。

 ルヴェリエは、ボーデの法則に合致し、なおかつ天王星の摂動が説明されるように海王星の軌道を予測しました。
 ところが、海王星がボーデの法則に従わなかったので、天王星の摂動も十分に説明できなかったのです。
 冥王星の場合はどうだったのでしょう? ボーデの法則が科学的根拠を失い使えなくなったのですから、何を根拠にしていたのでしょうね。

 偶然の反対は必然です。その法則なり理論から必然的に発見されたのであれば、その新発見は法則なり理論を裏付けることになるはずです。
 天王星は天文計算から発見されたわけではありませんが、当時まだ通用していたボーデの法則を補強しました。小惑星第1号(今では dwarf planet ですか)ケレスもそうで、ボーデの法則の空白を満たし、やはり補強しました。
 ところが、海王星や冥王星は軌道・位置推定者の理論を補強していません。
 ルヴェリエの場合は依然として未解決のズレ(摂動)が残り、冥王星は観測が進むにつれどんどん小さくなり、ローウェルらの理論から遠ざかっていきました。
 このように、海王星と冥王星は天文理論から必然的に予測されたわけではありません。必然ではないのですから、両者の発見は偶然と言うべきでしょう。
 海王星の発見を「天体力学の勝利」「科学の勝利」と喧伝する方が「話を単純化しすぎている」うえに誇大にすぎると思います。
 冥王星の場合は、必然より更に遠いのです。

25青蛙:2006/10/02(月) 18:33:00 ID:9AOZAGYw
 meineko さんは、

> 系統的に黄道付近の写真捜索
> 長時間の露出
> 付ききりでのガイド

といった「苦労」話を掲げ、

> 一般的な偶然というイメージと違

うとも言っています。しかしこんな苦労はトンボーに限らず、新天体を発見しようという天体観測者全てがやっていることでしょう。それこそ「トンボーの業績を過大評価」していることになるのです。

 ただ、海王星の発見にも冥王星の発見にも幸運がついてまわりました。
 フランスのルヴェリエはなぜ外国のドイツのガレに未知惑星の捜索を依頼したのでしょうか?
 実は、ちゃんとフランスの天文観測者にも依頼したのですが、多忙を理由に断られてしまったのだそうです。そこでやむなく、知り合いのガレに依頼したのです。
 当時、ガレの勤めていたベルリン天文台には発見された海王星と同じ8等星を全て含む最新の星図(しかも刊行前!)があったのです。
 イギリス陣営はガレより先に海王星を観ていたのですが、星図がなかったためそれが惑星であることに気付くことができず、見逃してしまったのです。

 冥王星(というより未知「惑星X」)の場合、トンボー以前からローウェル天文台などで捜索はされていました。ところがどうしても見つからない。
 そこで、ローウェル天文台ではより暗い星が見える強力な望遠鏡を作り、トンボーはその新式望遠鏡のオペレーターを務めたのです。
 一昔前の図鑑類には、よくローウェル天文台で撮影された天体写真が掲載されていましたが、それはこの新式望遠鏡で撮影されたものなのでしょう。

 また、冥王星は「ふたご座デルタ星」のすぐ近くで発見されたのですが、位置が黄道のすぐ近くでもあったんです。
 これは、冥王星が昇交点(その天体の軌道が「この場合」黄道の南から北へ通過するところ)付近にあったことになります。
 冥王星の軌道傾角は17度にもなります。普通、惑星の通り道とされる黄道帯は人によって多少違いますが、Bayer の『ウラノメトリア』では8度まで細かい緯線が引かれています。
 冥王星の傾きが最大になったときは、黄道帯の2倍にも達します。そのときにいくら黄道帯付近を探しても絶対に見つかりっこありませんよね。

 「ラッキーだった」という非科学的な要素を加味すれば、確かに偶然だけでは済まないのかもしれません。

26青蛙:2006/10/02(月) 18:37:08 ID:9AOZAGYw
 ところで、meineko さんは、「冥王星口降格」報道もお気に召さないご様子です(*3)。

> 惑星=勝ち組、小惑星=負け組とかいうつもりじゃないでしょうね?
> #うがち過ぎ?

 穿ち過ぎです。これに関しては suikan さんのコメントに全面的に同意ですね。

> 鶏頭となるとも牛後となるなかれ。

 それを言うなら「鶏口となるも牛後となるなかれ」なんじゃあ。
# 私ゃ牛後でもあり鶏口でもありますけどね。

> #冥王星が小惑星の筆頭という訳でもないけれど。

 dwarf planets,TNOs の筆頭になってしまいましたね。

> アメリカ国内で反対運動が起こってる

 一部ですから。

> 早々と作業をしたMinor Planes Center、萌え?

 萌え、かどうかは判断いたしかねますが、迅速な対応であったと言えましょう。

> dwarf planetsに、minior planet番号付与したのだから、いっそのこと、planetsにもminor planet番号つけてしまうのはどうでしょう?

 日本では言いませんが、英米では水・金・地・火・木・土・天・海を minor planets に対して major planets と言うんですよ。major planet に minior planet number を付与することは有り得ないでしょうね。


【註】
*1 NATROM 「冥王星の発見物語」 @NATROMの日記
  http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20060906
*2 meineko 「冥王星」 @meinekoの日記
  http://d.hatena.ne.jp/meineko/20060907#p2
*3 meineko 「(134340) Pluto」 @meinekoの日記
  http://d.hatena.ne.jp/meineko/20060912#p1

# 長文・連投、失礼しました m(_ _)m
# リンク URL を含む投稿は禁止だそうで error になりました。
 そのためリンク先アドレスのコロンを半角→全角にしています。

27青蛙:2006/10/02(月) 18:38:46 ID:9AOZAGYw
【参考文献】
・鈴木敬信 (1987) 『天文学辞典』地人書館
 東海大学の春田晴郎氏認定 「デタラメ本」、私認定 「トンデモ本」
 ただし、悉く書を信ずれば即ち書なきに如かず。
・Bayer, J. (1603) "Uranometria", Augsbrug

# 済みません。参考文献を付け忘れてしまいました。

28カクレクマノミ:2006/10/02(月) 23:52:21 ID:Ns5ghfzw
結局、青蛙さんとmeinekoさんのどちらも、
・トンボーが冥王星の場所を予測した根拠が間違っていたので、予測された場所に冥王星が見つかったのは偶然の一致である
・上記の意味では偶然であるが、「偶然」という言葉からイメージされるような、「適当に探してみたら楽に見つかった」というわけではない
という2点に賛成している点で、事実認識に全く差はないように見えます。

「偶然」という言葉はものすごく多様なニュアンスを含みうる語です。(進化がらみでも、「偶然」に関する誤解がよく見られるし。)
青蛙さんとmeinekoさんの間には、どの意味で「偶然」と言っているのかという点での不一致があるだけで、議論に値するような不一致はないと思います。

29diamonds8888x:2006/10/05(木) 05:10:57 ID:IgreeRk2
−中立説私論−橋渡し問題−1−

 ここで文献を挙げておく。3は2の時点では不明だったことも明確になっており分子進化についてのスッキリした説明になっている。またその表現型レベル進化との関わりも述べられている。その分、2の方が詳しいことも多い。
1)木村資生「生物進化を考える」岩波書店(1988/04)
2)宮田隆「分子進化学への招待―DNAに秘められた生物の歴史」講談社ブルーバックス(1994/12)
3)宮田隆「DNAからみた生物の爆発的進化」岩波書店 (1998/07)

 さて中立説が確立されて以来、表現型レベルの進化と分子レベルの進化との間の橋渡しという問題提起がされている。が、これだけでは具体的に何が問題なのか不明確である。例えば下記サイトにもこの問題提起があるが、詳細な内容は記されていない。web検索で「橋渡し問題」を枕詞にした研究報告も多く見られるが問題の明確さに欠けるように私には見える。
ttp://www.nig.ac.jp/museum/evolution/C/bunsi-01.html
  国立遺伝学研究所、遺伝学電子博物館のサイト

 橋渡し問題の原点は木村資生「生物進化を考える」8章であろう。
---------------引用開始--------------------------------------------------
 表現型的に何億年もほとんど変わっていない生物でも、また表現型レベルでは急速に進化してきた生物でも、同一の分子(遺伝子)をとれば、塩基の置換は年あたりほとんど同じ速度で起こっている。
 変化の保守性は分子進化の大きな特徴である。すなわち、既存の分子の機能や構造をなるべく損なわないよう、いわば「ことなかれ主義」的に分子は変わってきている。
 これに対して表現型レベルの進化の特徴は、一口に言って「便宜主義」である。(以下略)
 問題は分子進化と表現型進化の大きな違いをどのように理解するかにあるが、(以下略)
---------------引用終わり--------------------------------------------------

 この違いの溝を埋めねばならないというのが橋渡し問題だが、私にはこの文からでは埋めねばならない溝が見えない。違うものは違うのであり、そこに解くべきいかなる謎があるのだろうか。同じ速度で塩基の置換が生じているのは中立な配列部分であり表現型の違いは起こしていない部分なのだから、その遺伝子を持つ生物の表現型、該当の遺伝子が関与していない表現型とは関係がないはずだ。同一の分子(遺伝子)でも機能に関わる配列部分は置換速度は年当たり同一ではない。具体的には何億年もほとんど変化しない。そして変化して機能が変わったとすれば、それは淘汰による変化のはずである。

 だが、文献2−3にはひとつの明確な問題が提起され、解決が進められている。それは「生物の進化・多様性の分子機構の研究(文献2;p101)」である。ここにはどんな謎があったのであろうか。

30青蛙:2006/10/06(金) 17:56:34 ID:9AOZAGYw
カクレクマノミさん、初めまして。レスポンスをありがとうございます。


> 「偶然」という言葉はものすごく多様なニュアンスを含みうる語

 そうですね。全く、仰るとおりです。


> 青蛙さんとmeinekoさんの間には、どの意味で「偶然」と言っているのかという点での不一致があるだけ

 ええ、だからこそ解説(>>24)において「meineko さんと私とでは、どうやら「偶然」という言葉の認識にかなりの齟齬がある」と申し上げているわけです。
 カクレミノさんは、私が主張していることを繰り返しておられるわけです。


> 青蛙さんとmeinekoさんのどちらも(中略)2点に賛成している

 meineko さんは賛成しておらないと思いますよ。というか、カクレクマノミさんが仰っているようなら、meineko さんはわざわざコメントしたりしないでしょう。
 「冥王星の発見」 を 「単なる偶然」 とみなすことに対して、

 | 話を単純化しすぎている
 | トンボーの業績を矮小化している

と物申しておられるのですから。


> 事実認識に全く差はないように見えます

 ただ一度だけ、気まぐれに買った宝くじで1等を当てれば、誰の目にもそれは偶然と写るでしょう。 しかし、「宝くじ必勝法」 という本を読み、800回も宝くじを買い続けた末に当てたものだとしたら、それを偶然と言えるか、ですね。
 (確かに、前者と後者が同じとは思えませんから、元のコメントから「単なる」を外しました)
 私にはどちらも偶然に見えますが(もちろん、後者が 「宝くじ必勝法」 の通りだったら別ですが)、meineko さんにとっては、後者は 「偶然?」 なわけです。
 「偶然?」 というのは 「偶然(……そうかぁ、違うんじゃないの)?」 という反語表現なのではありませんか? だとしたら、meineko さんと私とでは「冥王星の発見の経緯」に対して明らかに認識の差が認められるでしょう。


> 議論に値するような不一致はない

 まあ,確かに偶然かどうかなんて「議論に値するような」たいした問題ではないでしょう。
 しかし、それが 「話を単純化しすぎている+トンボーの業績を矮小化している」 かどうかは、議論の価値(と言うより 「余地」 だな)はあると思いますよ。

31青蛙:2006/10/06(金) 17:57:23 ID:9AOZAGYw
自己レス


>>23
>> その後、惑星探査機によって海王星の質量が正確に決まったので、想定されていた様な海王星の軌道に対する未知の惑星による影響を想定する必要が無いことがわかりました。
>
> 海王星にも衛星が存在する(そのうちの一つトリトンは海王星が発見されてからすぐに発見されている)ので、ケプラーの法則を使って海王星の質量を求めることができるはずです。
> この方法はそんなにアテにならないのでしょうか?

 衛星があれば、ケプラーの法則を使って母惑星の質量を求めることができます。しかし、摂動の残差を説明できるほど精密なものではないようです。
 ですから、この場合は 「アテにならな」かったわけです。


>>25
> 実は、ちゃんとフランスの天文観測者にも依頼したのですが、多忙を理由に断られてしまったのだそうです。
 『天文学辞典』 に、ガレに依頼する前に 「フランス科学院に提出した」 とあったので 「フランスの天文観測者にも依頼した」 と書いたのですが、よく読んでみると捜索したのはアメリカ海軍天文台のスタッフになっていました。
 従って 「フランスの天文観測者にも依頼した」 というのは誤りでした(ただ 「報告した」 だけでした)


 以上2点、訂正してお詫びします。


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