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理学療法士実習生の自殺について、皆さんどう思われますか?

225名無しのPTさん:2018/11/27(火) 01:14:33 ID:rrMqUq7k0
控訴審の争点と今後の展望 
平成30年10月
大野事件弁護団
弁護士 高橋 典明
◆1 一審判決 

 近畿リハビリテーション学院を運営していた被告髙寿会と実習先の辻クリニックを運営していた被告一裕会の双方に、実習生であった故大野輝民に対する以下のような安全配慮義務違反を認めて、原告に対する損害額全額の賠償を命じた。

 ① 被告髙寿会の安全配慮義務違反
・厚労省の指導要領にもとづき、臨床実習における学修時間が自宅における学修時間も含めて1週間あたりおおむね45時間以内となるように注意すべき義務に違反
・実習開始後の実習環境の調整等の義務に違反

 ② 被告一裕会の安全配慮義務違反
・厚労省の指導要領にもとづき、臨床実習における学修時間が自宅における学修時間も含めて1週間あたりおおむね45時間以内となるように注意すべき義務に違反
・実習生に対し、精神障害等の心身の不調をもたらすような強い心理的負荷を与えないよう十分配慮する義務に違反

 ③ 故大野輝民の自死に対する予見可能性は、両被告にあったと認定


◆2 髙寿会(近畿リハビリ学院)の控訴理由 

 ① 厚労省指導要領では1週間の実習時間に関し、自宅における学修時間も含めて45時間とするような規制はしていないので、原判決の解釈は誤っている。

 ② 実習開始後の実習環境を調整すべき義務というのは抽象的で、具体的にどのような行為を行えば義務を果たしたといえるか疑問であり、そのような義務はない。

 ③ 故輝民の自死についての予見可能性は髙寿会にはなく、自死は究極の自己決定であり、他者がその意思決定を知ることは著しく困難である。


◆3 一裕会(実習先辻クリニック)の控訴理由 

 ① 厚労省指導要領では1週間の実習時間に関し、自宅における学修時間も含めて 45時間とするような規制はしていないので、原判決の解釈は誤っている。

 ② 教育者側に暴行や人格的攻撃などの社会通念に反する行動がない場合には、安 全配慮義務違反があるとすべきではない。

 ③ 実習指導者は、故輝民が自殺にいたる可能性などおよそ予見し得なかった。

 ④ 原判決には事実誤認が多く、公平な事実認定をしていない。


◆4 被控訴人(大野)の反論準備書面のポイント 

 ① 政府及び厚労省自身が、実習及び自宅での学修時間等を含めて1週間45時間程度とするよう指導要領で規定していることを明言しており、控訴人らは、それすら知らずに最重点の控訴理由としている。

 ② 学院側は、本件が2度目の自死の事例であり、輝民の実習中から、過度な精神的負担により実習生が自死するかも知れないと言うことは十分予見可能であった。また実習先も、前年度の輝民の精神傷害の発症を知っており、また指導者は、前回実習生が自死した事件当時の同級生であったにもかかわらず、輝民に精神的プレッシャーをかけ続けており、実習先にも自死の予見可能性はあった。

 ③ 学院は、自ら大阪府に提出した報告書の中で、建前としては、学院に実習生に対する様々な安全配慮義務があることを認めていながら、実際には何もしていなかった。

 ④ 実習先指導者には、輝民を故意に追いつめるような発言を行い、実習中止を示唆するなど、ハラスメント的な対応があったことを原判決が詳細に認定している。

 ⑤ 一裕会は事実誤認を主張するが、原審の指導者の証言のみを我田引水的に引用しているのにすぎないのと比較し、原判決は証拠に基づき詳細に事実認定をしている。


◆5 控訴審審理の争点と見通しについて 

 控訴審第1回の裁判長の訴訟指揮ぶりからすると、1審判決の大筋は維持しながら、損害額の算定方法を変えるべきか否か、また亡輝民氏側の素因や過失相殺で損害額を減額すべきか否かが控訴審の争点になるのではと考えられる。
 弁護団としては、損害額が減額されないように大きな努力を注ぐ方針であり、控訴審は短期決戦が予想されるので、引き続き力強いご支援をお願いしたい。


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